説明

記号判別装置

【課題】複数の機器に付される記号が各々対応しているものであるか否かを容易、且つ、確実に認識させる。
【解決手段】第1機器に付される第1記号及び第2機器に付される第2記号が各々対応する記号であるか否かを判別する記号判別装置であって、第1機器に設けられる、第1記号を示す第1情報が記憶される第1記憶部と、第2機器に設けられる、第2記号を示す第2情報が記憶される第2記憶部と、第1記憶部及び第2記憶部から読み出される第1情報及び第2情報が各々対応する情報であるか否かを判別する判別部と、第1情報及び第2情報が各々対応する場合、第1記号及び第2記号が各々対応する旨を通知する第1通知と、第1情報及び第2情報が各々対応しない場合、第1記号及び第2記号が各々対応しない旨を通知する第2通知と、の少なくとも一方を通知する通知部と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記号判別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機器毎に特定の記号が付され、対応する記号の付された複数(例えば2つ)の機器が組み合わされて使用されるものがある。
【0003】
その一例として電路に設置された計器用変成器(以下、単に変成器とする)と、変成器の出力に基づいて電力量の計量及び表示を行う電力量計とが組み合わされる変成器組合せ計器がある。なお、変成器としては、計器用変圧器(Voltage Transformer:以下、VTとする)、計器用変流器(Current Transformer:以下、CTとする)、及びVTとCTが同一の器体内に収納された計器用変圧変流器(以下、VCTとする)がある。変成器としてVCTが用いられる場合、計器にはVCTにおけるVT及びCTのそれぞれの2次側出力が導入される。そして、この2次側出力に基づいて、電力量が計量されることになる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、変成器組合せ計器では、所定の検定に合格したことを示す合番号票が、変成器及び電力量計に各々取り付けられている。そして、計量に関する法律(計量法)において、適正な計量の実施のため、合番号票が一致する変成器と電力量計とを組み合わせて電力量の計量を行うことが義務付けられている。
【0005】
図3は、合番号票の一例を説明するための図である。図3(a)は、電力量計の合番号票を説明するための図であり、図3(b)は変成器(例えばVCT)の合番号票を説明するための図である。
【0006】
図3(a)に示す電力量計100には、合番号票102と検定票104が取り付けられている。
合番号票102は、金属(例えば黄銅)製の札であり、検定を実施した検定所を表す文字、及び組み合わされる変成器110の検定番号(原検定番号)(合番号)が記載されている。また、図示した面と反対側の面(以下、裏面とする)には、検定に合格した年月が記載されている。
検定票104は、ファイバー製の札であり、検定を実施した検定所や検定の有効期限満了の年月が記載されている。また、検定票104の裏面(不図示)には電力量計100の検定番号が記載されている。
【0007】
図3(b)に示す変成器110には合番号票112が取り付けられている。合番号票112には、検定を実施した検定所を表す文字、及び変成器110の検定番号(合番号)が記載されている。また、合番号票112の裏面(不図示)には、検定に合格した年月が記載されている。なお、合番号票102と合番号票112の記載は同一のものとなる。
以下、合番号票102及び合番号票112に記載された文字や番号(合番号)のことを総称して記号と呼ぶことにする。
例えば電力会社の作業員は、変成器110と電力量計100の接続を行う際、変成器110の合番号票112と、電力量計100の合番号票102の記号が一致するか否かを目視によって判別していた。そして、これらの記号が一致すると判別してから、変成器110と電力量計100との接続を行っていた。
【0008】
このように、従来、記号が付された複数の機器を組み合わせる場合、複数の機器に付された各々の記号が対応しているか否かを、例えば作業員の目視によって判別していた。
【特許文献1】特開2000−266788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前述したような作業員の目視による判別では、例えば確認不足や読み間違いなどの人為的ミスにより、複数の機器の各々の記号が対応しているか否かを確実に認識できない可能性があった。このことにより、例えば変成器組合せ計器の場合、計量法で禁止されている組合せ(合番号票が一致していない組合せ)で、変成器と電力量計を接続してしまう虞があった。
【0010】
また、複数の機器に付された各々の記号が対応しているか否かの照合を容易に行うことが出来ない場合があった。例えば変成器組合せ計器の場合、変成器の設置状況(例えば高圧電路に設置されている場合)によっては、変成器に近づく際に特別な防具が必要になるなど、合番号票の記号を容易に確認することができないことがあった。
【0011】
このように従来、複数の機器に付される記号を照合する場合、これらの記号が各々対応しているものであるか否かを容易、且つ、確実に認識できないことがあるという問題点があった。
【0012】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の機器に付される記号が各々対応しているものであるか否かを容易、且つ、確実に認識させることができる記号判別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するための主たる発明は、第1機器に付される第1記号及び第2機器に付される第2記号が各々対応する記号であるか否かを判別する記号判別装置であって、前記第1機器に設けられる、前記第1記号を示す第1情報が記憶される第1記憶部と、前記第2機器に設けられる、前記第2記号を示す第2情報が記憶される第2記憶部と、前記第1記憶部及び前記第2記憶部から読み出される前記第1情報及び前記第2情報が各々対応する情報であるか否かを判別する判別部と、前記第1情報及び前記第2情報が各々対応する場合、前記第1記号及び前記第2記号が各々対応する旨を通知する第1通知と、前記第1情報及び前記第2情報が各々対応しない場合、前記第1記号及び前記第2記号が各々対応しない旨を通知する第2通知と、の少なくとも一方を通知する通知部と、を備えたことを特徴とする。この発明によれば、第1機器に付される第1記号と第2機記に付される第2記号が各々対応するものであるか否かを容易、且つ、確実に認識させることができる。
【0014】
また、かかる記号判別装置において、前記第1記憶部及び前記第2記憶部からの前記第1情報及び前記第2情報の読み出しを指示する指示部をさらに備え、前記判別部は、前記指示部の指示に基づいて前記第1記憶部及び前記第2記憶部から読み出される前記第1情報及び前記第2情報が各々対応する情報であるか否かを判別するようにしてもよい。こうすることにより、第1情報と第2情報が対応するものか否かの判別を任意のタイミングで行うことができるので、第1記号と第2記号が各々対応するものであるか否かをより確実に認識させることができる。
【0015】
さらに、かかる記号判別装置において、前記第1機器は、前記第1記憶部に加え、前記指示部、前記判別部、前記通知部を有し、前記第2機器の前記第2記憶部から読み出される前記第2情報を有線又は無線にて受信することが好ましい。こうすることにより、例えば第2機器に近づくことが困難な場合(例えば第2機器が高圧電路に設けられた変成器の場合)においても、第1記号と第2記号が各々対応するものであるか否かを、容易に認識させることができる。また、指示部、判別部、通知部を第1機器に集約することによって、記号の判別における操作をより簡単にすることができる。
【0016】
また、かかる記号判別装置において、前記第1情報及び前記第2情報は、前記第1機器と前記第2機器が電気的に接続されることに基づいて前記第1記憶部及び前記第2記憶部から自動的に読み出され、前記判別部は、前記第1記憶部及び前記第2記憶部から自動的に読み出される前記第1情報及び前記第2情報が各々対応する情報であるか否かを判別する、ようにしてもよい。こうすることにより、第1機器と第2機器が電気的に接続されることで第1情報と第2情報が対応するものか否かの判別が行われるので、第1記号と第2記号が各々対応するものであるか否かを、より容易に認識させることができる。
【0017】
また、かかる記号判別装置において、前記通知部は、前記第1通知又は前記第2通知の少なくとも一方を映像で通知するための表示部を有していてもよい。表示部に前記第1通知又は前記第2通知の少なくとも一方が表示されることにより、視覚情報によって、第1記号と第2記号が対応するものであるか否かを、さらに確実に認識させることができる。
【0018】
さらに、かかる記号判別装置は、前記第1機器が電力量計であり、前記第2機器が変成器であり、前記第1記号及び前記第2記号が、前記電力量計及び前記変成器に各々割り当てられる検定用の記号である場合に好適に適用することができる。
【0019】
また、前記課題を解決するための発明は、第1機器に付される第1記号及び第2機器に付される第2記号が各々対応する記号であるか否かを判別する記号判別装置であって、前記第1記号を示す第1情報が記憶される第1記憶部と、前記第1記憶部、及び、前記第2機器に設けられる前記第2記憶部、から読み出される前記第1情報、及び、前記第2記号を示す前記第2情報、が各々対応する情報であるか否かを判別する判別部と、前記第1情報及び前記第2情報が各々対応する場合、前記第1記号及び前記第2記号が各々対応する旨を通知する第1通知と、前記第1情報及び前記第2情報が各々対応しない場合、前記第1記号及び前記第2記号が各々対応しない旨を通知する第2通知と、の少なくとも一方を通知する通知部と、を前記第1機器に備えたことを特徴とする。
【0020】
また、かかる記号判別装置において、前記第1記憶部からの前記第1情報の読み出し、及び、第2記憶部からの前記第2情報の読み出し、を指示する指示部を前記第1機器にさらに備え、前記判別部は、前記指示部の指示に基づいて前記第1記憶部及び前記第2記憶部から読み出される前記第1情報及び前記第2情報が各々対応する情報であるか否かを判別するようにしてもよい。
【0021】
また、かかる記号判別装置において、前記第1情報及び前記第2情報は、前記第1機器と前記第2機器が電気的に接続されることに基づいて前記第1記憶部及び前記第2記憶部から自動的に読み出され、前記判別部は、前記第1記憶部及び前記第2記憶部から自動的に読み出される前記第1情報及び前記第2情報が各々対応する情報であるか否かを判別する、ようにしてもよい。
【0022】
また、かかる記号判別装置において、前記通知部は、前記第1通知又は前記第2通知の少なくとも一方を映像で通知するための表示部を有していてもよい。
【0023】
さらに、かかる記号判別装置は、前記第1機器が電力量計であり、前記第2機器が変成器であり、前記第1記号及び前記第2記号が、前記電力量計及び前記変成器に各々割り当てられる検定用の記号である場合に好適に適用することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、第1機器に付される第1記号と、第2機器に付される第2記号が各々対応しているか否かを容易、且つ、確実に認識させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。なお、本実施形態では、本発明の記号判別装置を変成器組合せ計器に適用した場合について説明する。また、本実施形態では、変成器組合せ計器の変成器として計器用変圧変流器(VCT)を適用することとする。
【0026】
===全体構成===
図1は、本発明の実施形態に係る記号判別装置を適用した変成器組合せ計器の全体構成を示すブロック図である。なお、図1において、P1、P2、及びP3は、例えば単相3線式の交流電路である(P2を基準相とする)。図1に示す変成器組合せ計器は、VCT30(第2機器)と電力量計10(第1機器)とによって構成されている。
【0027】
≪VCT≫
VCT30は、CT31、32、VT33、記憶部44、送受信部45、電源側接続端子P11、P21、P31、負荷側接続端子P12、P22、P32、外部端子1S、1L、2S、3S、3L、Mを有している。
【0028】
電源側接続端子P11、P21、及びP31は、VCT30の筐体に設けられており、交流電路P1、P2、及びP3の各相の電源側の配電線が接続されている。
負荷側接続端子P12、P22、及びP32は、VCT30の筐体に設けられており、交流電路P1、P2、及びP3の各相の負荷側の配電線が接続されている。
【0029】
CT31は、交流電路P1に流れる電流に基づく2次電流を発生させるものであり、CT31の1次側は、電源側接続端子P11と負荷側接続端子P12間の交流電路P1の配電線に直列に接続されている。また、CT31の2次側には導電線34(電源側)、35(負荷側)が接続され、導電線34、35は、それぞれVCT30の外側接続端子1S、1Lに接続されている。
【0030】
CT32は、交流電路P3に流れる電流に基づく2次電流を発生させるものであり、CT32の1次側は、電源側接続端子P31と負荷側接続端子P32間の交流電路P3の配電線に直列に接続されている。また、CT32の2次側には導電線36(電源側)、37(負荷側)が接続され、導電線36、37は、それぞれVCT30の外側接続端子3S、3Lに接続されている。
【0031】
VT33は、交流電路P1と交流電路P2、及び交流電路P2と交流電路P3の各線間電圧に基づく2次電圧を発生させるものである。VT33の1次側には、交流電路P1、P2、及びP3の各相の配電線に一端が接続された導電線38、39、及び40が接続されている。また、VT33の2次側には、交流電路P2に対応する導電線42、及び交流電路P1、P3に対応する導電線41、43が接続されている。なお、導電線42は外部端子2Sに接続され、導電線41、43は、それぞれ導電線34、36に接続されている。
【0032】
記憶部44(第2記憶部)には、VCT30に取り付けられる合番号票(不図示)に記載された検定所の文字及び合番号の記号(第2記号)を示す情報(以下、第2情報とする)が記憶される。
【0033】
送受信部45は、信号線55を介して電力量計10の送受信部12と通信を行うものである。なお、送受信部45は、電力量計10から後述する要求信号を受信すると、記憶部44から第2情報を読みだし、送受信部12に送信する。
【0034】
≪電力量計≫
電力量計10は、例えば電子式の電力量の計量器であり、押釦11、送受信部12、処理部13、記憶部14、電力演算部15、表示部16、外部端子1S′、2S′、3S′、3L′、1L′、M′を有している。
【0035】
外部端子1S′、2S′、3S′、3L′、1L′、M′は、それぞれ信号線50、54、52、53、51、55を介して、対応するVCT30の外部端子1S、2S、3S、3L、1L、Mと接続されている。また、VCTの外部端子2Sからの信号線54は、図1に示すように、アース線60によって接地されている。
【0036】
記憶部14(第1記憶部)には、電力量計10に取り付けられる合番号票(不図示)に記載された、検定所の文字及び合番号の記号(第1記号)を示す情報(以下、第1情報とする)が記憶される。
【0037】
押釦11(指示部)には、釦の押下によって導通し、例えば正の所定電圧(ハイレベル:以下「H」とする)を発生するスイッチ(不図示)が設けられている。なお、スイッチが導通していない場合の電圧は、例えば接地レベル(ローレベル:以下「L」とする)であることとする。なお、このスイッチによって発生する「H」の電圧が記憶部14からの第1情報の読み出し、及び記憶部44からの第2情報の読み出しを指示する信号となる。
【0038】
送受信部12は、信号線55を介してVCT30の送受信部45と通信を行うものである。
【0039】
処理部13(判別部)は、押釦11のスイッチからの電圧が「H」となったことを検出すると、送受信部12を介してVCT30の送受信部45に、記憶部44に記憶された第2情報の読み出しを要求する要求信号を送信する。さらに、処理部13は、記憶部14から第1情報を読み出す。そして、処理部13は、送受信部45から送信された第2情報を、送受信部12を介して受信すると、当該第2情報と記憶部14から読み出された第1情報とが一致するか否かを判別する。
【0040】
電力演算部15は、VCT30から信号線50、54、52、53、54を介して導入されるCT31、CT32の2次電流、及びVT33の2次電圧に基づいて電力量の計量を行う。
【0041】
表示部16(通知部)は、例えば液晶のディスプレイを有しており、電力演算部15で計量された電力量をデジタル表示する。また、表示部16は、処理部13にて前述した判別が行われた場合、処理部13の判別結果に基づいて、電力量計10の合番号票とVCT30の合番号票とが一致することを示す通知(第1通知)と、電力量計10の合番号票とVCT30の合番号票が一致しないことを示す通知(第2通知)とをディスプレイに映像で表示する。このように、表示部16のディスプレイで通知を示す映像を表示することにより、視覚情報によって確実に通知を認識させることができる。また、電力量の計量値を表示するディスプレイを、通知の手段として兼用できるため、コストを低減させることができる。
【0042】
なお、図1において、押釦11、送受信部12、45、処理部13、記憶部14、44、表示部16は記号判別装置を構成している。本実施形態では、VCT30の2次側出力が信号線50、51、52、53、54によって電力量計10と接続される5線方式の変成器組合せ計器に、本発明の記号判別装置を適用することとするが、これに限定されない。例えば、VT33の2次側の導電線41、43が、各々不図示の外部接続端子及び信号線を介して電力量計10と接続される7線方式の変成器組合せ計器にも、同様に本発明の記号判別装置を適用することができる。
【0043】
===電力量の計量===
以下、図1を参照しつつ変成器組合せ計器による電力量の計量の動作について説明する。
【0044】
図1に示すように、VCT30の外部端子1S、2S、3S、3L、1Lと電力量計10の外部端子1S′、2S′、3S′、3L′、1L′とをそれぞれ信号線50、54、52、53、51で接続する。そして、交流電路P1、P2、及びP3に通電を行うと、導電線38と導電線39間の線間電圧、及び導電線39と導電線40間の線間電圧は、VT33によってそれぞれ変圧される。変圧された電圧(2次電圧)は、それぞれ、VT33の2次側における導電線41と導電線42との間、及び導電線42と導電線43との間に発生する。よって、導電線34と導電線42との間、及び導電線36と導電線42との間にVT33での2次電圧が印加されることになる。そして、この2次電圧は、信号線50、52、54を介して電力量計10の電力演算部15に導入される。
【0045】
また、CT31で発生する2次電流は、CT31、導電線34、信号線50、電力量計10の電力演算部15、信号線51、導電線35の経路で流れる。さらに、CT32で発生する2次電流は、CT32、導電線36、信号線52、電力量計10の電力演算部15、信号線53、導電線37の経路で流れる。このように、CT31、32で発生する2次電流が電力量計10の電力演算部15に供給されることになる。
【0046】
そして、これらのVCT30からの2次電圧と2次電流に基づいて、電力演算部15において電力量が計量される。計量された電力量の値は、表示部16に表示される。
【0047】
===合番号票の照合===
図2を参照しつつ、本発明の記号判別装置による合番号票の照合の動作について説明する。図2は、本発明の記号判別装置による合番号票の照合の動作を説明するためのフローチャートである。この、フローチャートは処理部13の動作を示すものである。
【0048】
なお、合番号票の照合は、電力量の計量を行う前、つまりVCT30の外部端子1S、2S、3S、3L、1Lと電力量計10の外部端子1S′、2S′、3S′、3L′、1L′を、信号線50、51、52、53、54で接続する前に行うことが望ましい。ただし、電力量計10の外部端子M′とVCT30の外部端子Mは信号線55で接続されていることとする。
【0049】
まず、電力量計10の処理部13は、押釦11が押下されたか否かの判別を行う(ステップ101)。押釦11のスイッチからの電圧が「L」であり、押釦11が押下されていないと判別した場合(ステップ101:No)には、ステップS101を再度実行する。
【0050】
一方、押釦11のスイッチからの電圧が「H」となることを検出し、押釦11が押下されたと判別した場合(ステップ101:Yes)には、処理部13は、電力量計10の記憶部14から第1情報を読み出す(ステップ102)。さらに、処理部13は、送受信部12を介してVCT30の記憶部44に記憶された第2情報の読み出しを要求する要求信号をVCT30の送受信部45に送信する(ステップ103)。そして、処理部13は、送受信部45から第2情報を受信したか否かの判別を行う(ステップ104)。
【0051】
第2情報を受信していないと判別した場合(ステップ104:No)、再度ステップS104を実行する。第2情報を受信したと判別した場合(ステップ104:Yes)、VCT30の記憶部44から読み出された第2情報と、電力量計10の記憶部14から読み出された第1情報が一致するか否かの判別を行う(ステップ105)。
【0052】
第2情報と第1情報が一致しないと判別した場合(ステップ105:No)には、電力量計10の合番号票とVCT30の合番号票が一致しないことを示す通知(例えば『エラー』)を表示部16のディスプレイに表示させる(ステップ106)。
【0053】
一方、第2情報と第1情報が一致すると判別した場合(ステップ105:Yes)には、電力量計10の合番号票とVCT30の合番号票が一致することを示す通知(例えば『OK』)を表示部16のディスプレイに表示させる(ステップ107)。
【0054】
このようにすることによって、VCT30の合番号票と電力量計10の合番号票が一致しているか否かを容易、且つ、確実に認識させることができる。なお、本実施形態では、第1情報と第2情報が一致する場合と一致しない場合とにおいて、共に表示部16に表示を行うこととしたが、少なくとも一方の場合のみに表示を行うようにしてもよい。例えば、第1情報と第2情報が一致する場合のみ表示部16に例えば『OK』と表示するようにすると、表示部16に『OK』の表示がされない場合には、第1情報と第2情報が一致していないこと、つまり、VCT30の合番号票と電力量計10の合番号票が一致していないことがわかる。反対に、第1情報と第2情報が一致しない場合のみ表示部16に例えば『エラー』と表示するようにすると、表示部16に『エラー』の表示がされない場合には、第1情報と第2情報が一致していること、つまり、VCT30の合番号票と電力量計10の合番号票が一致していることがわかる。
【0055】
なお、本実施形態では、押釦11が押下されることに基づいて、記憶部14及び記憶部44から、それぞれ第1情報及び第2情報が読み出されることとしたが、押釦11を設けずに、例えば計器10の外部端子M′とVCT30の外部端子Mが電気的に接続されたことを検出する検出部(不図示)を例えば計器10に設けてもよい。そして、計器10の外部端子M′とVCT30の外部端子Mが信号線55によって電気的に接続されたことを示す検出部の検出結果に基づいて、記憶部14及び記憶部44からそれぞれ自動的に第1情報及び第2情報が読み出され、処理部13で対応するものであるか否かが判別されるようにしてもよい。
【0056】
===その他の実施形態===
前述した実施形態では、VCT30の送受信部45と電力量計10の送受信部12は、信号線55を介して通信を行うこととしたが、送受信部45と送受信部12に、それぞれ無線による通信機能を設けることにより、無線によって通信を行うようにしてもよい。こうすることにより、VCT30の外部端子Mと電力量計10の外部端子M′を信号線55で接続する必要がなくなり、さらに容易に合番号票の照合を行うことができる。また、電力信号に情報信号を重畳させる機能、及び、情報信号が重畳された電力信号からこれら2つを分離する機能を有する伝送モデムをVCT30と電力量計10に夫々設けてもよい。そして、信号線50、51、52、53、54の何れかの電力信号に情報信号を重畳させることによって通信を行うようにしてもよい。
【0057】
また、処理部をVCT30側に設けて、記憶部44から読み出された第2情報と、記憶部14から読み出された第1情報が一致するか否かの判別をVCT30で行うようにしてもよい。そして、その判別結果をVCT30から電力量計10の送受信部12に送信することにより、表示部16に当該判別結果に基づいた通知を行わせるようにしてもよい。さらに、押釦11、処理部13、及び表示部16を、VCT30及び電力量計10と通信可能な他の機器に、選択的に設けてもよい。そして、当該機器によって第1情報と第2情報の読み出しの指示、読み出された第1情報と第2情報が対応するか否かの判別、及び判別結果に基づく通知を行うようにしてもよい。
【0058】
また、前述した実施形態では、第1記号と第2記号が各々対応しているか否かの通知を表示部16のディスプレイに映像で表示させることとしたが、電力量計10に、例えば発光素子やスピーカを設けることにより、発光や音などによって通知を行うようにしてもよい。
【0059】
なお、本発明の記号判別装置は、変成器組合せ計器以外にも、複数の機器にそれぞれ対応する記号が付されるものに適用することができる。例えば、計量対象の量を検出する機器(例えば、流量検出器、熱電対、圧力センサ等)と、計量の実行及び計量値の表示を行う機器(例えば、流量計、温度計、圧力計等)とが組み合わされる計量装置において、組み合わされる機器に各々対応する記号が付されることが考えられる。このような場合においても、同様に、組み合わされる機器に付された記号が各々対応するものであるか否かを容易、且つ確実に認識させることができる。
【0060】
以上説明したように、本発明の記号判別装置は、複数の機器に付される記号が各々対応しているものであるか否かを容易、且つ、確実に認識させることができる。
【0061】
前述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良されるとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態に係る記号判別装置を適用した変成器組合せ計器の全体構成を示すブロック図である。
【図2】合番号票の照合の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】合番号票の一例を説明するための図である。図3(a)は、電力量計の合番号票を説明するための図であり、図3(b)は変成器の合番号票を説明するための図である。
【符号の説明】
【0063】
10、100 電力量計
11 押釦
12、45 送受信部
13 処理部
14、44 記憶部
15 電力演算部
16 表示部
30 計器用変圧変流器(VCT)
31、32 計器用変流器(CT)
33 計器用変圧器(VT)
34〜43 導電線
50〜55 信号線
102、112 合番号票
104 検定票
110 変成器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1機器に付される第1記号及び第2機器に付される第2記号が各々対応する記号であるか否かを判別する記号判別装置であって、
前記第1機器に設けられる、前記第1記号を示す第1情報が記憶される第1記憶部と、
前記第2機器に設けられる、前記第2記号を示す第2情報が記憶される第2記憶部と、
前記第1記憶部及び前記第2記憶部から読み出される前記第1情報及び前記第2情報が各々対応する情報であるか否かを判別する判別部と、
前記第1情報及び前記第2情報が各々対応する場合、前記第1記号及び前記第2記号が各々対応する旨を通知する第1通知と、前記第1情報及び前記第2情報が各々対応しない場合、前記第1記号及び前記第2記号が各々対応しない旨を通知する第2通知と、の少なくとも一方を通知する通知部と、
を備えたことを特徴とする記号判別装置。
【請求項2】
前記第1記憶部及び前記第2記憶部からの前記第1情報及び前記第2情報の読み出しを指示する指示部をさらに備え、
前記判別部は、
前記指示部の指示に基づいて前記第1記憶部及び前記第2記憶部から読み出される前記第1情報及び前記第2情報が各々対応する情報であるか否かを判別する、
ことを特徴とする請求項1に記載の記号判別装置。
【請求項3】
前記第1機器は、
前記第1記憶部に加え、前記指示部、前記判別部、前記通知部を有し、
前記第2機器の前記第2記憶部から読み出される前記第2情報を有線又は無線にて受信する、
ことを特徴とする請求項2に記載の記号判別装置。
【請求項4】
前記第1情報及び前記第2情報は、前記第1機器と前記第2機器が電気的に接続されることに基づいて前記第1記憶部及び前記第2記憶部から自動的に読み出され、
前記判別部は、
前記第1記憶部及び前記第2記憶部から自動的に読み出される前記第1情報及び前記第2情報が各々対応する情報であるか否かを判別する、
ことを特徴とする請求項1に記載の記号判別装置。
【請求項5】
前記通知部は、
前記第1通知又は前記第2通知の少なくとも一方を映像で通知するための表示部を有する、ことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の記号判別装置。
【請求項6】
前記第1機器は電力量計であり、
前記第2機器は変成器であり、
前記第1記号及び前記第2記号は、前記電力量計及び前記変成器に各々割り当てられる検定用の記号である、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の記号判別装置。
【請求項7】
第1機器に付される第1記号及び第2機器に付される第2記号が各々対応する記号であるか否かを判別する記号判別装置であって、
前記第1記号を示す第1情報が記憶される第1記憶部と、
前記第1記憶部、及び、前記第2機器に設けられる前記第2記憶部、から読み出される前記第1情報、及び、前記第2記号を示す前記第2情報、が各々対応する情報であるか否かを判別する判別部と、
前記第1情報及び前記第2情報が各々対応する場合、前記第1記号及び前記第2記号が各々対応する旨を通知する第1通知と、前記第1情報及び前記第2情報が各々対応しない場合、前記第1記号及び前記第2記号が各々対応しない旨を通知する第2通知と、の少なくとも一方を通知する通知部と、
を前記第1機器に備えたことを特徴とする記号判別装置。
【請求項8】
前記第1記憶部からの前記第1情報の読み出し、及び、第2記憶部からの前記第2情報の読み出し、を指示する指示部を前記第1機器にさらに備え、
前記判別部は、
前記指示部の指示に基づいて前記第1記憶部及び前記第2記憶部から読み出される前記第1情報及び前記第2情報が各々対応する情報であるか否かを判別する、
ことを特徴とする請求項7に記載の記号判別装置。
【請求項9】
前記第1情報及び前記第2情報は、前記第1機器と前記第2機器が電気的に接続されることに基づいて前記第1記憶部及び前記第2記憶部から自動的に読み出され、
前記判別部は、
前記第1記憶部及び前記第2記憶部から自動的に読み出される前記第1情報及び前記第2情報が各々対応する情報であるか否かを判別する、
ことを特徴とする請求項7に記載の記号判別装置。
【請求項10】
前記通知部は、
前記第1通知又は前記第2通知の少なくとも一方を映像で通知するための表示部を有する、ことを特徴とする請求項7乃至9の何れかに記載の記号判別装置。
【請求項11】
前記第1機器は電力量計であり、
前記第2機器は変成器であり、
前記第1記号及び前記第2記号は、前記電力量計及び前記変成器に各々割り当てられる検定用の記号である、
ことを特徴とする請求項7乃至10の何れかに記載の記号判別装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−39458(P2008−39458A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−210794(P2006−210794)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)