記憶装置、記憶制御回路及びヘッド位置ずれ測定方法
【課題】径方向に磁性体が分断された記憶媒体であっても、特別な領域を設けることなく、記録ヘッドと再生ヘッドの位置ずれを正確に測定する。
【解決手段】磁気ディスク20−1〜20−2は磁性体で形成された複数のトラックの間を磁気記録不可能な非磁性体で分断した構造をもつ。ヘッド22−1〜22−4は再生ヘッドと記録ヘッドとを有する複合型である。測定記録部46は、ヘッドを、磁気ディスクの所定の半径位置及びトラック位置を記録開始点としてトラック1周の間に少なくとも1トラック以上の所定量だけ横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら測定データを書き込む。測定再生部48は、記録開始点を含む内周側から外周側の所定の走査範囲で再生開始点をじょじょにずらしながら、スパイラル状に記録された測定データを読み出す。位置ずれ検出部50は、読出走査範囲における再生信号振幅の分布を求め、評価値の分布から再生ヘッドと記録ヘッドとの記憶媒体における半径方向の位置ずれ量を検出して保存する。
【解決手段】磁気ディスク20−1〜20−2は磁性体で形成された複数のトラックの間を磁気記録不可能な非磁性体で分断した構造をもつ。ヘッド22−1〜22−4は再生ヘッドと記録ヘッドとを有する複合型である。測定記録部46は、ヘッドを、磁気ディスクの所定の半径位置及びトラック位置を記録開始点としてトラック1周の間に少なくとも1トラック以上の所定量だけ横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら測定データを書き込む。測定再生部48は、記録開始点を含む内周側から外周側の所定の走査範囲で再生開始点をじょじょにずらしながら、スパイラル状に記録された測定データを読み出す。位置ずれ検出部50は、読出走査範囲における再生信号振幅の分布を求め、評価値の分布から再生ヘッドと記録ヘッドとの記憶媒体における半径方向の位置ずれ量を検出して保存する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドに設けた記録ヘッドと再生ヘッドとのヘッド位置ずれを検出して記憶媒体の再生時に再生ヘッドの位置ずれ量を補正するための記憶装置、記憶制御回路及びヘッド位置ずれ測定方法に関し、特に、トラック間に非磁性領域を設けた記憶媒体を対象としてヘッド位置ずれを測定するための記憶装置、記憶制御回路及びヘッド位置ずれ測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の磁気ディスク装置においては、トンネル効果型磁気抵抗効果(TMR)等を利用した高感度の再生ヘッドを、記録ヘッドから独立させた、複合型ヘッド構造が採用されている。このような構造のヘッドでは、ヘッド製造プロセスにおいて発生する記録ヘッドと再生ヘッドの位置ずれを完全に取り除くことができないため、あるトラックを記録した時の記録ヘッドと再生ヘッドが通過する軌跡は異なったものとなる。したがって、このずれ量を製造検査工程などで予め測定して記憶しておき、目標トラックに記録したときの半径位置から、そのずれ分だけ補正して、目標トラックを再生する必要がある。
【0003】
近年は隣接トラック間隔が200nm程度となってきており、記録ヘッドと再生ヘッドとの位置ずれが数μmあると、数トラック分に相当するだけの位置ずれ補正が必要になってくる。この傾向は、高密度化によって隣接トラック間隔が狭まってくればそれだけ重要な問題となってくる。
【0004】
また近年、磁気ディスク装置は、小型化の流れが顕著であり、これに伴い高密度記録が可能なディスク媒体の開発が求められている。しかし、磁気ディスク装置の記録密度を向上させていく上で、隣接する記録ビットからの干渉を如何に防ぐかが課題となっている。
【0005】
そのような課題の認識のもとで、従来、磁気ディスク媒体の径方向の干渉に対して、磁気ディスク媒体を記録トラック毎に物理的に分断して、隣接するトラックからの干渉を低減させるディスクリートトラック記録という技術が提案されている。
【0006】
さらに記録密度化に対応して隣接する記録ビットからの干渉を防ぐという同じ課題の認識のもとで、従来、磁気ディスク媒体の周方向に対しても、媒体の物理的な分断を行なう、すなわち、記録ビット単位のパターニングを行なうことで、隣接ビットからの干渉を低減させるパターンドメディアという技術も提案されている。
【0007】
したがって、ディスクリートトラックやパターンドメディアといった技術を用いた記憶媒体に対しても、記録ヘッドと再生ヘッドの位置ずれ補正を正確に行なうことで、高密度記録再生を実現することが求められている。
【0008】
図12は従来のヘッド位置ずれの測定処理における記憶媒体の1トラック長を直線化して示しており、サーボセクタ数Mでトラック1回転となる。
【0009】
複合型のヘッド200に設けた記録ヘッド202と再生ヘッド204との位置ずれを補正するには、まず記録ヘッド202をある半径位置のトラック204−Nに、再生ヘッド204によるサーボセクタの読出で得られたヘッド位置信号を用いて位置決めした状態で、トラック一周分の測定信号を測定パタン206に示すように記録する。
【0010】
このとき再生ヘッド204と記録ヘッド202との間に位置ずれがあるため、再生ヘッド202はトラック204−Nに一致する軌跡208となるが、記録へッド202はトラック204−Nからずれた位置の軌跡210となり、その位置に測定パタン206が書き込まれる。
【0011】
位置ずれ量の検出は、測定パタン206の書込み後に、再生ヘッド204を位置決めする半径方向のリード位置を、測定パタン206を書き込んだ位置から再生ヘッド204のリード位置を徐々にずらしながら読み出し、例えば再生信号振幅のプロファイル(分布)を求めると、図13(A)が得られる。
【0012】
図13(A)において、測定パタンのライト位置212では再生信号振幅は低く、リード位置を徐々にずらしながら測定パタンを読み出していくと再生信号振幅が増加し、ピーク点214に達した後、再び低下していくプロファイル(信号分布)216が得られる。この再生信号振幅216のプロファイル216で再生信号振幅が最大となるピーク点214までのオフセット値218を再生ヘッドと記録ヘッドの位置ずれ量として検出する。
【0013】
ここで図13(A)の再生信号振幅の値は、1トラックに亘り読み出した再生信号振幅の平均値をあらわしており、ピーク点214及び1/2ピーク点220の再生信号振幅は図13(B)のように1トラックに亘り読み出した再生信号振幅222,224の平均値である。
【0014】
例えば、この位置ずれ検出方法を利用して、記憶媒体上にトラックずれ測定のための領域を設けておき、記録ヘッドと再生ヘッドの位置ずれの経時変化を測定する方法が提案されている(特許文献1)。
【0015】
しかしながら、このような位置ずれ検出方法では、磁性体の存在しない場所に位置決めする可能性のあるディスクリートトラックやパターンドメディアに対応できない。
【0016】
例えば図14のように、ディスクリートトラックの場合には、磁性体領域226でなるトラックの両側に非磁性体領域228が存在しており、トラック204−Nに再生ヘッド204を位置決めさせたときの記録ヘッド202の軌跡210がちょうど磁性体領域226上にある場合は、位置ずれ検出のために再生ヘッド204をオフセットさせて測定パタン206を検索したときのプロファイルは図13(A)と同様になる。
【0017】
しかしながら、図15のように、記録ヘッド202の軌跡210が非磁性体領域228上にある場合、測定パタン206を正確に記録することができず、再生ヘッド204のリード位置を徐々にずらしながら測定パタン206を読み出した場合の再生信号振幅のプロファイルは図16(A)のプロファイル216−1のようになり、再生信号振幅が最大となるピーク点214−1のオフセット値を特定することが難しくなる。なお、図16(B)はピーク点214−1及び1/2ピーク点220−1のリード位置における再生信号振幅を1トラックに亘り読み出した再生信号振幅222−1,224−1として示している。
【0018】
このような問題を解消するため、記憶媒体のサーボセクタとデータセクタの間に、媒体の半径方向に磁性体が連続して形成されている領域を設けた記憶媒体および磁気記憶装置も提案されている。(特許文献2、3)。
【特許文献1】特開平9−45025号公報
【特許文献2】特2005−166115号公報
【特許文献3】特2005−166116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、特許文献2のようなサーボセクタとデータセクタの間に媒体の半径方向に磁性体が連続して形成されている領域を、記録ヘッドと再生ヘッドの位置ずれ補正測定を行うための特別な領域に使用した場合、その領域にはユーザデータを書くことができないため、記録容量がその分低下する問題がある。
【0020】
また正確に位置ずれ補正量を測定するためには、測定パタンの再生信号を平均化してノイズを除去するために、例えばトラック一周分といったある程度長い測定領域が必要になり、ユーザーデータフォーマット効率が悪化する問題がある。
【0021】
本発明は、径方向に磁性体が分断された記憶媒体であっても、特別な領域を設けることなく、記録ヘッドと再生ヘッドの位置ずれを正確に測定する記憶装置、記憶制御回路及びヘッド位置ずれ測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
(記憶装置)
本発明は記憶装置を提供する。本発明の記憶装置は、
磁気記憶可能な磁性体で形成された複数のトラックを有し、その個々のトラック間は磁気記録不可能な非磁性体で分断された構造をもつ記憶媒体と、
トラックに記録された磁気記憶情報を読み出すための再生ヘッドと、トラックに磁気記憶情報を書き込むための記録ヘッドとを有する複合型のヘッドと、
ヘッドを、記憶媒体の所定の半径位置及びトラック位置を記録開始点としてトラック1周の間に少なくとも1トラック以上の所定量だけ横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら記憶媒体に測定データを書き込む測定データ記録部と、
ヘッドを、測定データ記録部による記録開始点を含む内周側から外周側の所定の走査範囲で再生開始点を走査しながら、再生開始点毎に測定データ記録部における所定量だけトラックを横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら記憶媒体から測定データを読み出す測定データ再生部と、
測定データ再生部で得られた測定データ読取信号から所定の走査範囲における評価値の分布を求め、評価値の分布から再生ヘッドと記録ヘッドとの記憶媒体における半径方向の位置ずれ量を検出して保存するヘッド位置ずれ検出部と、
を備えたことを特徴とする。
【0023】
ここで、測定データ記録部は、トラック幅をトラック周方向に一定間隔で形成されているサーボセクタの数で割った目標シフト量を予め設定し、記録開始点から書込みを開始した後、サーボセクタを検出する毎に目標シフト量ずつ磁気ヘッドを半径方向に移動させることにより、トラック1周の間に少なくとも1トラックだけ横断させながら記憶媒体に測定データを書き込む。
【0024】
測定データ再生部は、所定の走査範囲で走査する読出開始点から読出しを開始した後、サーボセクタを検出する毎に目標シフト量ずつ磁気ヘッドを半径方向に移動させることにより、トラック1周の間に少なくとも1トラックだけ横断させながら記憶媒体から測定データを読み出す。
【0025】
ヘッド位置ずれ検出部は、評価値として測定データ再生部により得られた読出信号の振幅を検出し、振幅の分布におけるピーク値から位置ずれ量を検出する。この場合、ヘッド位置ずれ検出部は、読出信号の振幅として、1スパイラル状の軌跡の読出しで得られた読取信号振幅の平均値または積算値を検出する。
【0026】
ヘッド位置ずれ検出部は、評価値として測定データ再生部により得られた読取信号のエラーレートを検出し、エラーレートの分布におけるボトムピーク値から位置ずれ量を検出するよいにしても良い。
【0027】
本発明の記憶装置は、測定データ記録部、測定データ再生部及びヘッド位置ずれ検出部により、記憶媒体の全てのトラック位置毎にヘッド位置ずれ量を検出して保存する。
【0028】
本発明の記憶装置は、測定データ記録部、測定データ再生部及びヘッド位置ずれ検出部により、記憶媒体の半径方向の複数の測定個所で位置ずれ量を検出して保存し、測定箇所以外の箇所の位置ずれ量については、両側に位置する測定箇所の位置ずれ量から補間計算により求めるようにしても良い。
【0029】
(記憶制御回路)
本発明は記憶装置の記憶制御回路を提供する。本発明は、
磁気記憶可能な磁性体で形成された複数のトラックを有し、その個々のトラック間は磁気記録不可能な非磁性体で分断された構造をもつ記憶媒体と、
トラックに記録された磁気記憶情報を読み出すための再生ヘッドと、前記トラックに磁気記憶情報を書き込むための記録ヘッドとを有するヘッドと、
を備えた記憶装置の記憶制御回路に於いて
ヘッドを、記憶媒体の所定の半径位置及びトラック位置を記録開始点としてトラック1周の間に少なくとも1トラック以上の所定量だけ横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら記憶媒体に測定データを書き込む測定データ記録部と、
ヘッドを、測定データ記録部による記録開始点を含む内周側から外周側の所定の走査範囲で再生開始点を走査しながら、再生開始点毎に測定データ記録部における所定量だけトラックを横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら記憶媒体から測定データを読み出す測定データ再生部と、
測定データ再生部で得られた測定データ読取信号から所定の走査範囲における評価値の分布を求め、この評価値の分布から再生ヘッドと記録ヘッドとの記憶媒体における半径方向の位置ずれ量を検出して保存するヘッド位置ずれ検出部と、
を備えたことを特徴とする。
【0030】
(測定方法)
本発明は記憶装置のヘッド位置ずれ測定方法を提供する。本発明は、
磁気記憶可能な磁性体で形成された複数のトラックを有し、その個々のトラック間は磁気記録不可能な非磁性体で分断された構造をもつ記憶媒体と、
トラックに記録された磁気記憶情報を読み出すための再生ヘッドと、前記トラックに磁気記憶情報を書き込むための記録ヘッドとを有するヘッドと、
を備えた記憶装置のヘッド位置ずれ測定方法に於いて、
ヘッドを、記憶媒体の所定の半径位置及びトラック位置を記録開始点としてトラック1周の間に少なくとも1トラック以上の所定量だけ横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら記憶媒体に測定データを書き込む測定データ記録ステップと、
ヘッドを、測定データ記録ステップによる記録開始点を含む内周側から外周側の所定の走査範囲で再生開始点を走査しながら、再生開始点毎に測定データ記録ステップにおける所定量だけトラックを横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら記憶媒体から測定データを読み出す測定データ再生ステップと、
測定データ再生ステップで得られた測定データ読取信号から記所定の走査範囲における評価値の分布を求め、評価値の分布から再生ヘッドと記録ヘッドとの記憶媒体における半径方向の位置ずれ量を検出して保存するヘッド位置ずれ検出ステップと、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、ディスクリートトラックあるいはパターンドメディアといった径方向に磁性体が分断された記憶媒体であっても、記録ヘッドの軌跡をスパイラル上に変化させて測定パタンを記録した後に、半径方向の所定の走査範囲で再生開始点を叙々に変えながら、記録時と同様に再生ヘッドの軌跡をスパイラル状に変化させて測定パタンを読み出すため、測定パタンは必ず磁性体の領域を通って記録されて読み出されることとなり、ヘッド位置ずれ検出のための特別な特別な領域を設けることなく、記録ヘッドと再生ヘッドの位置ずれを正確に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1は本発明のヘッド位置ずれ測定処理が適用される記憶装置の実施形態となる磁気ディスク装置を示したブロック図である。
【0033】
図1において、ハードディスクドライブ(HDD)として知られた磁気ディスク装置10は、制御ボード12とディスクエンクロージャ14で構成される。ディスクエンクロージャ12にはスピンドルモータ16が設けられ、スピンドルモータ16の回転軸に磁気ディスク20−1,20−2を装着し、一定速度例えば4200rpmで回転させる。
【0034】
本実施形態の磁気ディスク20−1,20−2は、磁性体で形成された複数のトラックの間を磁気記録不可能な非磁性体で分断された構造をもつディスクリートトラック媒体またはパターンドメディアを使用している。
【0035】
ディスクエンクロージャ14にはボイスコイルモータ18が設けられ、ボイスコイルモータ18はヘッドアクチュエータのアーム先端にヘッド22−1〜22−4を搭載しており、磁気ディスク20−1,20−2の媒体記録面に対するヘッドの位置決めを行う。
【0036】
ヘッド22−1〜22−4には記録ヘッドと再生ヘッドが一体化された複合型のヘッドである。記録ヘッドには長手磁気記録型の記録ヘッドまたは垂直磁気記録型の記録ヘッドが使用される。垂直磁気記録型の記録ヘッドの場合、磁気ディスク20−1,20−2には、記録層と軟磁性体裏打ち層を備えた垂直記憶媒体を使用する。再生ヘッドにはGMR素子やTMR素を使用する。
【0037】
ヘッド22−1〜22−4はヘッドIC24に対し信号線接続されており、ヘッドIC24は上位装置となるホスト11からのライトコマンドまたはリードコマンドに基づくヘッドセレクト信号で書込みまたは読出しを行ういずれか1つのヘッドを選択する。またヘッドIC24には、ライト系についてはライトアンプが設けられ、リード系についてはプリアンプが設けられている。
【0038】
制御ボード12にはMPU26が設けられ、MPU26のバス28に対し、RAMを用いた制御プログラム及び制御データを格納するメモリ30、FROM等を用いた制御プログラムを格納する不揮発メモリ32が設けられている。
【0039】
またMPU26のバス28には、ホストインタフェース制御部34、バッファメモリ38を制御するバッファメモリ制御部36、フォーマッタとして機能するハードディスクコントローラ40、ライト変調部及びリード復調部として機能するリードチャネル42、ボイスコイルモータ18及びスピンドルモータ16を制御するモータ駆動制御部44が設けられている。
【0040】
更に、制御ボード12に設けたMPU26、メモリ30、不揮発メモリ32、ホストインタフェース制御部34、バッファメモリ制御部36、ハードディスクコントローラ40及びリードチャネル42は記憶制御回路15を構成しており、記憶制御回路15は1つのLSI回路として実現されている。
【0041】
磁気ディスク装置10は、ホスト11からのコマンドに基づき記録処理及び再生処理を行う。ここで、磁気ディスク装置における通常の動作を説明すると次のようになる。
【0042】
ホスト11からのライトコマンドとライトデータをホストインタフェース制御部34で受けると、ライトコマンドをMPU26で解読し、受信したライトデータを必要に応じてバッファメモリ38に格納した後、ハードディスクコントローラ40で所定のデータ形式に変換すると共にECC符号化処理によりECC符号を付加し、リードチャネル42におけるライト変調系でスクランブル、RLL符号変換、更に書込補償を行った後、ライトアンプからヘッドIC24を介して選択した例えばヘッド22−1の記録ヘッドから磁気ディスク20−1に書き込む。
【0043】
このときMPU26からモータ駆動制御部44にヘッド位置決め信号が与えられており、ボイスコイルモータ18によりヘッドをコマンドで指示された目標トラックにシークした後にオントラック制御を行っている。
【0044】
一方、ホストからのリードコマンドをホストインタフェース制御部34で受けると、リードコマンドをMPU26で解読し、ヘッドIC24のヘッドセレクトで選択された再生ヘッドから読み出された読出信号をプリアンプで増幅した後に、リードチャネル42のリード復調系に入力し、パーシャルレスポンス最尤検出(PRML)などによりリードデータを復調し、ハードディスクコントローラ40でECC復号処理を行ってエラーを訂正した後、バッフメモリ38にバッファリングし、ホストインタフェース制御部34からリードデータをホストに転送する。
【0045】
このリード処理の際には、目標トラックにシークした後のオントラック追従制御において、制御テーブル52から読み出したヘッド位置ずれ量により、再生ヘッドの位置ずれを補正し、再生ヘッドを最大再生振幅が得られるトラック位置に位置決めする位置補正制御を行っている。
【0046】
このような本実施形態の磁気ディスク装置10は、装置の組立が完了した段階で試験設備等により、ヘッド22−1〜22−4に設けている記録ヘッドと再生ヘッドの位置ずれ量を測定して制御テーブル52に保存するヘッド位置ずれ測定処理を行う。
【0047】
試験設備のホスト11は磁気ディスク装置10を接続した状態で、ヘッド位置ずれを測定するための測定ファームウェア(プログラム)を例えばメモリ30にダウンロードし、MPU26はメモリ30にダウンロードした測定ファームウェアを実行することにより、測定記録部46、測定再生部48及び位置ずれ検出部50の機能を実現し、ヘッド位置ずれ量を検出して制御テーブル52に保存する処理を実行する。
【0048】
測定記録部46は、ヘッド22−1〜22−4のをそれぞれについて、磁気ディスク20−1、20−2の各記憶媒体面における所定の半径位置及びトラック位置(例えばインデックスを持つサーボセクタ=0)を記録開始点として、トラックの1周の間に少なくとも1トラック以上の所定量だけ半径方向に横断させることでスパイラル状の軌跡を描きながら測定データを書き込む。
【0049】
測定再生部48は、ヘッド22−1〜22−4のそれぞれについて、測定記録部46による記録開始点を含む内周から外周側の所定の走査範囲について、再生開始点を半径方向に順次ずらしながら、各再生開始点ごとに測定記録部46におけると同じ所定量だけトラックを半径方向に横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら磁気ディスク20−1、20−2に書き込んでいる測定パターンを測定データとして読み出す。
【0050】
位置ずれ検出部50は、測定再生部48で得られた測定パターンの読出しによる再生信号から、再生開始点を設定した所定の走査範囲における再生信号から得られた評価値、例えば再生信号振幅またはエラーレートの分布であるプロファイルを求め、この評価値のプロファイルから再生ヘッドと記録ヘッドとの記憶媒体面上における半径方向の位置ずれ量を検出して制御テーブル52に格納している。
【0051】
このようなヘッド位置ずれの検出は、4つのヘッド22−1〜22−4を順次選択しながら、各ヘッドごとに対応する磁気ディスク20−1、20−2の記憶媒体面における全トラックあるいは予め定めた複数のトラックを目標トラックとして測定処理を実行する。
【0052】
ここでヘッド位置ずれ量の測定を記憶媒体面の一部のトラックについて行った場合には、測定された位置ずれヘッドの補間計算により、測定しないトラックの位置ずれを算出して制御テーブル52に格納するか、あるいは後述するヘッド位置ずれ補正時にその都度、補間計算をすることになる。
【0053】
このようなヘッド位置ずれの測定処理が終了すると、メモリ30にホスト11からダウンロードされた測定ファームウェアが削除され、従ってMPU26による測定記録部46、測定再生部48及び位置ずれ検出部50の機能は削除され、装置の停止終了処理に伴い、メモリ30のヘッド位置ずれ量を検出した制御テーブル52は例えば磁気ディスク20−1をヘッド22−1に対応した媒体記録面の最アウターのシステム領域に書き込まれ、不揮発的に記憶する。
【0054】
その後、ユーザのホスト11に接続した状態で電源を投入すると、磁気ディスク装置10が起動し、起動時の初期化処理の際に、ヘッド22−1により磁気ディスク20−1の記憶媒体面のシステム領域から制御テーブル52が読み出されて、メモリ30に図示のように配置され、MPU26においてホスト11からリードコマンドを受信した際のリード処理において、目標トラックにヘッド22−1をシークしてオントラック追従制御した際に、メモリ32の制御テーブル52から目標トラックに対応したヘッド位置ずれ量を読出し、ヘッド位置ずれ量をなくすようにVCM18を駆動して位置ずれ補正を行い、ヘッドを目標トラックの記録パターンに対し再生信号が最大となる位置、又はエラーレートが最小となる位置に位置決め制御する。
【0055】
図2は本実施形態における磁気ディスク装置の内部構成の説明図である。図2において、本実施形態の磁気ディスク装置はベース54上にスピンドルモータ16により一定速度で回転する磁気ディスク20−1、20−2を配置している。
【0056】
磁気ディスク20−1、20−2に対しては軸部58により回転自在に支持されたアクチュエータ56が配置されている。アクチュエータ56はアーム先端にヘッド22−1を配置し、アームの反対側に設けたコイルを、ベース54に固定して永久磁石を装着した上下に配置したヨーク60の間に回動自在に配置している。
【0057】
スピンドルモータ16により回転される磁気ディスク20−1、20−2は、その記憶媒体面を取り出して外部に拡大して示すように、ディスクリートトラック62またはパターンメディア68の構造を持っている。
【0058】
ディスクリートトラック62はトラック部分を磁性体領域64としており、この磁性体領域64となるトラックの両側に非磁性体領域66を配置している。一方、パターンドメディア68の場合には、トラック境界部分及びトラック方向のそれぞれを分断する領域に磁性体領域70を配置し、トラック方向及びトラック幅方向に分担した非磁性体領域72を配置している。
【0059】
図3は本実施形態において磁気ディスクに対しヘッドを移動した場合のヘッド位置ずれの様子を示した説明図である。図3において、磁気ディスク20に対しては図2に示したように、軸部58を中心にアクチュエータ56が回動自在に設けられ、アクチュエータ56の先端にヘッド22を装着している。
【0060】
ヘッド22には記録ヘッド74と再生ヘッド76が設けられているが、両者は製造プロセスにおける誤差などによりトラック半径方向に位置ずれを起こしている。このような位置ずれをもった記録ヘッド74と再生ヘッド76を備えたヘッド22を、アクチュエータ56により磁気ディスク20の記憶媒体面に対し半径方向に移動させると、アクチュエータ56の軸方向がトラック方向となる中央位置でヨー角θ=0となり、このθ=0の位置で記録ヘッド74と再生ヘッド76のトラック半径方向に対する位置ずれ(製造プロセス時の誤差は含まない)は最小となる。
【0061】
これに対しアクチュエータ56によりヘッド74を最アウター側のヘッド22−11または最インナー側のヘッド22−12の位置に移動したヨー角θmaxまたは+θmaxとなる位置では、トラック半径方向に対する記録ヘッド74と再生ヘッド76の位置ずれ(製造プロセス時の誤差は含まない)が最大となる。
【0062】
従って本実施形態のヘッド位置ずれ量の測定にあっては、少なくとも最アウターのヘッド22−11の位置と最インナーのヘッド22−12の2箇所でヘッド位置ずれ量を測定し、その間については補間計算で求める必要がある。
【0063】
なお、最インナーのヘッド位置ずれ量と最インナーのヘッド位置ずれ量は、ヨー角θ=0の中央位置でのヘッドの位置ずれ量に対し、プラス側とマイナス側の逆方向に変化する値となる。
【0064】
図4は本実施形態における位置ずれ測定結果を格納する図1の制御テーブル52を示した説明図である。図4において、制御テーブル52は、ヘッド番号、シリンダアドレス及び位置ずれ量が設定されている。
【0065】
ヘッド番号は図1の4つのヘッド22−1〜22−4に対応して、HH01〜HH04が設定される。シリンダアドレスはヘッド22−1〜22−4が位置するトラックアドレスに対応しており、トラック総数をn本とするとシリンダアドレスはそれぞれCC1〜CCnとなる。
【0066】
そして本実施形態にあっては、ヘッド番号及びシリンダアドレスで指定される目標トラックのヘッド位置ずれ量としてOFF1〜OFF4nを、ヘッド位置ずれ測定処理により取得して図示のように制御テーブル52に格納している。
【0067】
もちろん、制御テーブル52に格納する位置ずれ量の値は、最アウターと最インナーを含む複数の半径方向のトラック位置で測定した値を登録した後に、その間については両側の測定値については補間計算で求めたずれ量を格納してもよいし、全トラックにつきずれ量を測定して格納しても良い。
【0068】
図5は本実施形態における通常の記録再生時とヘッド位置ずれ測定のための記録再生時のヘッド軌跡を示した説明図である。図5(A)は通常の記録再生時のヘッド軌跡であり、例えばトラック78−Nにデータを書き込んだ場合には、トラック方向に一定間隔で設定されているサーボセクタを再生ヘッドにより読み取って位置信号を復調し、読み取ったトラック78−Nの位置にシークしてオントラックすることで、トラック78−Nに沿った円形のヘッド軌跡80を描きながら、記憶媒体面に対しデータの記録または再生を行うことになる。
【0069】
図5(B)は本実施形態のヘッド位置測定の際のリード軌跡を示している。本実施形態にあっては、磁気ディスク20のトラック78−Nを目標トラックとしてシークしてオントラックした状態で、インデックスが得られるセクタ番号=0のサーボセクタを記録又は再生の開始点85−1とし、磁気ディスク20が一回転する間に例えば内側のトラック78−(N+1)まで横断させるように制御することで、トラック78−Nの開始点85−1からトラック78−(N+1)の終了点85−1に至るスパイラル状のヘッド軌跡82を描くようにしている。
【0070】
図6は本実施形態における記憶媒体に対する測定パターンの記録処理を、記憶媒体面上のトラックを直線化して示した説明図である。図6にあっては、記憶媒体としてディスクリートトラックを例にとっており、トラック78−N、78−(N+1)、78−(N+2)の3トラックをディスク1回転につき取り出している。
【0071】
トラック記録領域には磁性体領域64が配置され、トラック境界部分には非磁性体領域66が配置されている。なお、非磁性体領域66についてはトラック方向で分断されているが連続した非磁性体領域であってもよい。
【0072】
ここで磁気ディスクは、記憶媒体面のトラック方向に一定間隔でサーボセクタが形成されており、サーボセクタの数は例えばM個であり、このため図6にあっては、サーボセクタのセクタ番号=0からセクタ番号=M−1までの一回転分のトラックを示している。
【0073】
このような記憶媒体につきヘッド位置測定のため、まずトラック78−Nを目標トラックとして測定パタン92の書込みを行う。測定パタン92の書込みはヘッド22に設けている再生ヘッド76を目標とするトラック78−Nにシークしてオントラックした状態で、再生ヘッド76で読取っているサーボセクタのセクタ番号=0を検出した時に、再生開始点84−1への到達を判別し、記録開始点86−1から記録ヘッド74による測定パタン92の書込みを開始する。
【0074】
そして再生開始点84−1からトラック1回転分のセクタ(M−1)に対するまでの間、サーボセクタを検出するごとにヘッド22を半径方向、すなわちトラック78−(N+1)方向に1トラック幅のM分の1ずつシフトさせていくことで、図5(B)に示したスパイラル状のヘッド軌跡82、すなわち図6の直線化した場合には再生ヘッド76については再生開始点84−1から再生終了点84−2に至る直線で示す再生軌跡88が得られる。
【0075】
同時に記録ヘッド74については、記録開始点86−1から記録終了点86−2に至る直線の記録軌跡90が得られ、測定パタン92は記録ヘッド74による記録軌跡90に沿ってトラック78−Nからトラック78−(N+1)を通ってトラック78−(N+2)に向けて直線的に、実際にはスパイラル状に記録される。
【0076】
この測定パタン92の記録において、本実施形態にあっては、ディスクリートトラックであることからトラック領域の境界部に非磁性体領域66が配置されているが、記録パターン92をトラック方向に対し1回転でトラックピッチ分だけ横断するようにスパイラル状に記録することで、トラック境界部分に非磁性体領域66が存在しても測定パタン92は必ず磁性体領域64を1トラック回転の間に横切るように記録できる。
【0077】
図7は本実施形態における記憶媒体から測定パタンを読み出す再生処理を示した説明図である。図6のようにしてトラック78−Nからトラック78−(N+1)に向けてスパイラル状に記録された測定パターン92の読出しは、記録時の再生ヘッド76の再生開始点84を中心に、半径方向に所定のオフセット値+P、−Pを持つ走査範囲94を設定する。
【0078】
そして、走査範囲94について、再生ヘッド76の再生開始点を順次一定方向に叙々に移動する走査を行いながら、トラック方向にスパイラル状に走査して測定パタン92の読出しを行う。
【0079】
具体的には、まず記録時の再生開始点84に対し−Pだけオフセットした再生開始点84(−P)に再生ヘッド76をシークしてオントラックし、この状態でサーボセクタのセクタ番号=0を検出したときに読取を開始し、その後、サーボセクタを検出するごとに1トラック幅のM分の1だけプラス側にシフトしながら読み出すことで、再生軌跡88(−P)に沿って再生ヘッド76を移動する。即ち図5(B)のように、スパイラル状のヘッド軌跡80に沿って再生ヘッド76を移動する。
【0080】
この再生軌跡88(−P)に沿った再生ヘッド76の移動で得られた再生信号をサンプリングして1トラック回転分のサンプル値をメモリ30に記憶する。
【0081】
続いて再生開始点84(−P)からプラス側に一定間隔で再生開始点84(+P)まで叙々にずらしながら、各操作開始点で再生ヘッド76をスパイラル状に移動して測定パタン92の1トラック回転分の再生信号振幅をサンプリングしてメモリ30に記憶する。
【0082】
このようにして走査範囲94の順次走査による再生処理が終了したら、信号評価値として図8(A)に示す再生信号振幅のリード位置に対する信号分布であるプロファイル96を生成する。
【0083】
このプロファイル96は、図8(B)のように、測定パタンの再生処理で得られたピーク時の再生信号振幅104と、1/2ピークの再生信号振幅106を例にとると、1回転分のサンプリングした値の平均値あるいは積算値として求めた値である。
【0084】
図8(A)のリード位置に対する再生信号振幅のプロファイル96は、図7の記録軌跡に示すように、走査範囲94を再生開始点とした複数回のスパイラル状の軌跡に沿った再生ヘッド76の移動で得られた値であり、その中には、測定パタン92の中心を通る記録軌跡90に沿った再生が行なわれている。
【0085】
このため、セクタ0及びセクタM−1側では図8(B)の再生信号振幅104のように再生信号振幅が小さいが、測定パターンが磁性体領域64に存在する中央部分では再生信号振幅104のように十分な振幅値が得られ、平均値あるいは積算値として得られるプロファイル96につき再生ピーク点101を正確に捉えることができる。
【0086】
プロファイル96のピーク点101が検出できれば、図6の測定記録時のライト位置98からピーク点101までのオフセット値102を、トラック78−Nにおける記録ヘッド74と再生ヘッド76の半径方向におけるずれ量として正確に検出することができる。
【0087】
ここで走査範囲94は、ヘッドの製造プロセス上考えられる記録ヘッドと再生ヘッドの位置ずれの最大値に基づいて+P、−Pの値を定めればよい。
【0088】
図9は本実施形態によるヘッド位置ずれ測定の処理手順を示したフローチャートであり、図1を参照して説明すると次のようになる。
【0089】
図9において、ステップS1で試験設備に使用しているホスト11から測定ファームウェアを磁気ディスク装置10のメモリ30にダウンロードしてMPU26により実行する。これによりMPU26に設けている測定記録部46、測定再生処理部48及び位置ずれ検出部50の機能が有効となる。
【0090】
続いてステップS2で測定トラック位置を目標トラック位置Xとして取り出す。具体的にはメモリ30に配置した制御テーブル52からヘッド番号とシリンダアドレスを順次取り出す。この段階では、制御テーブル52は図4に示したヘッド番号、シリンダアドレスだけが設定され、位置ずれ量は空き領域となっている。
【0091】
次にステップS3で測定記録部46により、図6に示したように、目標トラック位置Xにヘッド22をシークしてオントラックし、1トラックの回転の間にトラック間を横断させることで測定パタンをスパイラル状に書込む。
【0092】
次にステップS4で、図7に示したように、スパイラル状に書き込んだ測定パタン92に対し、半径方向に走査範囲94を設定して順次移動させながらトラック1回転につき1トラック分横断させることでスパイラル状のヘッド軌跡により測定パタンを読出す。
【0093】
続いてステップS5で位置ずれ検出部50により、例えば図8(A)に示したように、リード位置に対する再生信号振幅のプロファイル96を求め、プロファイル96におけるピーク101のリード位置からオフセット値102を求め、これを対応する図4の制御テーブルの位置ずれ量として格納する。
【0094】
ステップS5における図8(A)のプロファイル96のピーク点101の検出は、プロファイル96の波形からピーク点101を特定することが困難な場合には、例えばピーク点101の振幅Aに対し半分の振幅であるA/2を横切る点108、110のリード位置を求め、この2つのリード位置の1/2のリード位置をピーク点101のオフセット値102としてを求める。
【0095】
続いてステップS6で制御テーブル52に設定している全測定トラックの測定が終了したか否かチェックし、未終了であればステップS2に戻り、次の測定トラックを目標トラックXとして取り出して同様な処理を繰り返す。
【0096】
ステップS6で全測定トラックの処理終了を判別すると、ステップS7で制御テーブル52を磁気ディスクのシステム領域に保存する。尚、不揮発メモリ32に十分な容量がある場合には、制御テーブル52を不揮発メモリ32に保存しても良い。
【0097】
続いてステップS8でヘッド位置ずれ測定が済んで不要となった測定ファームウェアをメモリ30から削除し、一連の処理を終了する。
【0098】
尚、ステップS8の測定ファームウェアの削除は行わずに測定ファームウェアを磁気ディスクに保存したまま、磁気ディスク装置10をユーザに引き渡すことも可能である。このような場合には、ユーザが磁気ディスク装置10を使用している状態でヘッド位置ずれ量に起因した障害が発生したような場合、インストールしている測定ファームウェアを実行し、ユーザ側でヘッド位置ずれ量の制御テーブル52を改めて作成することも可能である。
【0099】
図10は図9のステップS3における測定記録処理の詳細を示したフローチャートであり、図6を参照して説明すると次のようになる。
【0100】
図10において、測定記録処理は、ステップS1で目標トラック位置Xを取得し、続いてステップS2で目標トラック位置Xにシークする。この目標トラック位置Xは例えば図6のトラック78−Nを再生開始点84−1を通るトラックセンタに再生ヘッド76を位置決めした状態である。
【0101】
続いてステップS3でサーボセクタカウンタmと目標シフト量δをそれぞれゼロにリセットする。続いてステップS4で測定記録の開始点への到達の有無を判別している。具体的には図6において、ヘッド22の再生ヘッド76がトラック78−Nのトラックセンタに位置決めしたオントラック状態で、サーボセクタ番号=0を検出して再生開始点84−1への到達を判別した時である。このとき位置ずれした記録ヘッド74はトラック78−(N+1)側の記録開始点84−1に位置している。
【0102】
ステップS4で測定記録の開始点への到達が判別されると、ステップS5に進んで記録ヘッド74により記録信号を媒体記録面に記録して測定パタン92を書き込む。測定パタン92の記録を開始すると、ステップS6で次のサーボセクタの検出の有無をチェックしている。
【0103】
次のサーボセクタを検出するとステップS7に進み、サーボセクタカウンタmを1つカウントアップし、同時に目標シフト量δをトラックピッチTpをサーボセクタ数Mで割った(Tp/M)だけ増加させる。
【0104】
次にステップS8で目標トラック位置XをステップS7で更新した目標シフト量δ分だけ増加させ、ヘッド22をトラック78−(N+1)側にシフトする。続いてステップS10でサーボセクタカウンタのmの値がサーボセクタ数Mに達したか否か判別し、達していなければステップS5からの処理を繰り返す。
【0105】
このようなステップS5〜S9の処理の繰り返しによりサーボセクタを検出するごとにヘッド22を目標シフト量δずつ内径方向に順次移動し、トラック1回転で1トラックピッチ分移動し、その結果、図5(B)に示したようにスパイラル状のヘッド軌跡82に沿って測定パタン92を記録することができる。ステップS9でサーボセクタカウンタmの値がサーボセクタ数Mに達すると一連の測定記録処理を終了する。
【0106】
図11は図9のステップS4における測定再生処理の詳細を示したフローチャートであり、図2を参照して説明すると次のようになる。
【0107】
図11において、測定再生処理は、ステップS1でオフセットWを初期値−PにセットしW=−Pとする。これは図7における測定読取のための走査範囲94における再生開始点84(−P)へのオフセットを与える。
【0108】
続いてステップS2で目標トラック位置XとしてX=X+Wにシークする。即ち図7の走査範囲94の走査開始点84(−P)が通る位置にヘッドをシークする。続いてステップS4でサーボセクタカウンタmと目標シフト量δをそれぞれゼロにリセットする。
【0109】
続いてステップS5でサーボセクタのセクタ番号を監視し、セクタ番号=0となる再生開始点84(−P)に達したかか否かチェックする。再生開始点への到達を判別するとステップS5に進んで再生ヘッド76による測定パタンの再生を行う。
【0110】
続いてステップS6でサーボセクタの検出の有無をチェックしており、サーボセクタを検出するとステップS7でサーボセクタカウンタmを1つカウントアップすると同時に、目標シフト量δをトラックピッチTpをサーボセクタ数Mで割った(Tp/M)分だけ増加させ、ステップS8で目標トラック位置をX=X+δに更新する。このステップS5〜S8の処理をステップS9でサーボセクタカウンタmがサーボセクタ数Mに達するまで繰り返す。
【0111】
このテップS5〜S9の処理は、図10に示した測定記録処理におけるステップS5〜S9の処理と同じであり、その結果、図5(B)に示すように、再生開始点を通るトラックから1トラック分移動したスパイラル状のヘッド軌跡82を描くことができ、この結果、図7においては、再生軌跡88(−P)に沿った再生ヘッド76の移動で記録パタン92を読み取り、メモリにサーボセクタ=0からM−1までの再生信号振幅をサンプリングした値を保存する。
【0112】
続いてステップS10でスパイラル状の1トラック回転分の走査で得られた再生信号から信号評価値として、例えば図8(B)に示したような1トラック回転分の再生信号振幅の平均値あるいは積算値を算出する。
【0113】
続いてステップS11でオフセットWをシフト量δpだけ加算した値に更新した後、ステップS12でオフセットWが走査範囲の反対側のオフセット値+Pを超えてなければステップS2に戻り、走査範囲92の次の再生開始点での目標トラック値Xを取得してシークし、同様にしてスパイラル状のトラック状の範囲につき測定パタンの読取を行って信号評価値をを算出する。
【0114】
なお、シフト量δpは、走査範囲92を走査する際の刻み幅であり、ヘッド位置ずれ補正に十分な精度となる値を指定すれば良い。
【0115】
ステップS12でオフセットWが走査範囲94の反対側の限界値を示すオフセット値+Pを超えると、図9のメインルーチンにリターンし、ステップS5で評価値プロファイル、例えば再生信号振幅のプロフアァイルからヘッド位置ずれを検出してテーブル登録することになる。
【0116】
また本発明は磁気ディスク装置を設けたMPU26で実行されるヘッド位置ずれ測定のためのプログラムを提供する。本実施形態のプログラムは図9〜図11のフローチャートに示した内容を持つ。
【0117】
また本発明はヘッド位置ずれ測定のために磁気ディスク装置のMPUで実行される測定プログラムを格納した記憶媒体を提供する。ここで記憶媒体とはCD−ROM、フロッピーディスク(RR)、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの簡易型記憶媒体やコンピュータシステムの内外に備えられたハードディスクドライブなどの記憶媒体のほか、回線などを介してデータプログラムを保持するデータベース、あるいは他のコンピュータシステム並びにそのデータベースや更に回線上の伝送媒体を含むものである。
【0118】
尚、上記の実施形態にあっては、測定記録及び測定再生の際に、ヘッドを1トラック回転の間に少なくても1トラック分半径方向に移動させることでスパイラル状のヘッド軌跡を描いて測定パターンの記録と測定パターンの再生を例にとっているが、1トラック回転における半径方向のヘッドの移動量を1トラック幅以上とすることで、複数トラックを斜めに横切るヘッド軌跡により測定パターンの記録と再生を行うようにしてもよい。
【0119】
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【0120】
ここで本発明の特徴をまとめて列挙すると次の付記のようになる。
(付記)
(付記1)(記憶装置)
磁気記憶可能な磁性体で形成された複数のトラックを有し、その個々のトラック間は磁気記録不可能な非磁性体で分断された構造をもつ記憶媒体と、
前記トラックに記録された磁気記憶情報を読み出すための再生ヘッドと、前記トラックに磁気記憶情報を書き込むための記録ヘッドとを有するヘッドと、
前記ヘッドを、前記記憶媒体の所定の半径位置及びトラック位置を記録開始点としてトラック1周の間に少なくとも1トラック以上の所定量だけ横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら前記記憶媒体に測定データを書き込む測定データ記録部と、
前記ヘッドを、前記測定データ記録部による記録開始点を含む内周側から外周側の所定の走査範囲で再生開始点を走査しながら、前記再生開始点毎に前記測定データ記録部における所定量だけ前記トラックを横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら前記記憶媒体から測定データを読み出す測定データ再生部と、
前記測定データ再生部で得られた測定データ読取信号から前記所定の走査範囲における評価値の分布を求め、前記評価値の分布から前記再生ヘッドと前記記録ヘッドとの前記記憶媒体における半径方向の位置ずれ量を検出して保存するヘッド位置ずれ検出部と、
を備えたことを特徴とする記憶装置。(1)
【0121】
(付記2)(測定データ記録の詳細)
付記1記載の記憶装置に於いて、前記測定データ記録部は、トラック幅をトラック周方向に一定間隔で記録しているサーボセクタの数で割った目標シフト量を予め設定し、前記記録開始点から書込みを開始した後、サーボセクタを検出する毎に前記目標シフト量ずつ前記磁気ヘッドを半径方向に移動させることにより、トラック1周の間に少なくとも1トラックだけ横断させながら前記記憶媒体に測定データを書き込むことを特徴とする記憶装置。(2)
【0122】
(付記3)(測定データ再生の詳細)
付記2記載の記憶装置に於いて、前記測定データ再生部は、前記所定の走査範囲で走査する読出開始点から読出しを開始した後、サーボセクタを検出する毎に前記目標シフト量ずつ前記磁気ヘッドを半径方向に移動させることにより、トラック1周の間に少なくとも1トラックだけ横断させながら前記記憶媒体から測定データを読み出すことを特徴とする記憶装置。(3)
【0123】
(付記4)(振幅分布によるヘッド位置ずれ検出)
付記1記載の記憶装置に於いて、前記ヘッド位置ずれ検出部は、前記評価値として前記測定データ再生部により得られた読出信号の振幅を検出し、前記振幅の分布におけるピーク値から前記位置ずれ量を検出することを特徴とする記憶装置。(4)
【0124】
(付記5)(振幅分布によるヘッド位置ずれ検出)
付記4記載の記憶装置に於いて、前記ヘッド位置ずれ検出部は、前記読出信号の振幅として、1スパイラル状の軌跡の読出しで得られた読取信号振幅の平均値または積算値を検出することを特徴とする記憶装置。
【0125】
(付記6)(エラーレート分布によるヘッド位置ずれ検出)
付記1記載の記憶装置に於いて、前記ヘッド位置ずれ検出部は、前記評価値として前記測定データ再生部により得られた読取信号のエラーレートを検出し、前記エラーレートの分布におけるボトムピーク値から前記位置ずれ量を検出することを特徴とする記憶装置。(5)
【0126】
(付記7)(全トラックのヘッド位置ずれ検出)
付記1記載の記憶装置に於いて、前記測定データ記録部、測定データ再生部及びヘッド位置ずれ検出部により、前記記憶媒体の全てのトラック位置毎に前記位置ずれ量を検出して保存することを特徴とする記憶装置。
【0127】
(付記8)(離散的なトラックのヘッド位置ずれ検出と補間)
付記1記載の記憶装置に於いて、前記測定データ記録部、測定データ再生部及びヘッド位置ずれ検出部により、前記記憶媒体の半径方向の複数の測定個所で前記位置ずれ量を検出して保存し、前記測定箇所以外の箇所の位置ずれ量については、両側に位置する測定箇所の位置ずれ量から補間計算により求めることを特徴とする記憶装置。(6)
【0128】
(付記9)(記憶制御回路)
磁気記憶可能な磁性体で形成された複数のトラックを有し、その個々のトラック間は磁気記録不可能な非磁性体で分断された構造をもつ記憶媒体と、
前記トラックに記録された磁気記憶情報を読み出すための再生ヘッドと、前記トラックに磁気記憶情報を書き込むための記録ヘッドとを有するヘッドと、
を備えた記憶装置の記憶制御回路に於いて
前記磁気ヘッドを、前記記憶媒体の所定の半径位置及びトラック位置を記録開始点としてトラック1周の間に少なくとも1トラック以上の所定量だけ横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら前記記憶媒体に測定データを書き込む測定データ記録部と、
前記ヘッドを、前記測定データ記録部による記録開始点を含む内周側から外周側の所定の走査範囲で再生開始点を走査しながら、前記再生開始点毎に前記測定データ記録部における所定量だけ前記トラックを横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら前記記憶媒体から測定データを読み出す測定データ再生部と、
前記測定データ再生部で得られた測定データ読取信号から前記所定の走査範囲における評価値の分布を求め、前記評価値の分布から前記再生ヘッドと前記記録ヘッドとの前記記憶媒体における半径方向の位置ずれ量を検出して保存するヘッド位置ずれ検出部と、
を備えたことを特徴とする記憶制御回路。(7)
【0129】
(付記10)(測定データ記録の詳細)
付記9記載の記憶制御回路に於いて、前記測定データ記録部は、トラック幅をトラック周方向に一定間隔で記録しているサーボセクタの数で割った目標シフト量を予め設定し、前記記録開始点から書込みを開始した後、サーボセクタを検出する毎に前記目標シフト量ずつ前記磁気ヘッドを半径方向に移動させることにより、トラック1周の間に少なくとも1トラックだけ横断させながら前記記憶媒体に測定データを書き込むことを特徴とする記憶制御回路。
【0130】
(付記11)(測定データ再生の詳細)
付記10記載の記憶制御回路に於いて、前記測定データ再生部は、前記所定の走査範囲で走査する読出開始点から読出しを開始した後、サーボセクタを検出する毎に前記目標シフト量ずつ前記磁気ヘッドを半径方向に移動させることにより、トラック1周の間に少なくとも1トラックだけ横断させながら前記記憶媒体から測定データを読み出すことを特徴とする記憶制御回路。
【0131】
(付記12)(振幅分布によるヘッド位置ずれ検出)
付記9記載の記憶制御回路に於いて、前記ヘッド位置ずれ検出部は、前記評価値として前記測定データ再生部により得られた読出信号の振幅を検出し、前記振幅の分布におけるピーク値から前記位置ずれ量を検出することを特徴とする記憶制御回路。
【0132】
(付記13)(振幅分布によるヘッド位置ずれ検出)
付記12記載の記憶制御回路に於いて、前記ヘッド位置ずれ検出部は、前記読出信号の振幅として、1スパイラル状の軌跡の読出しで得られた読取信号振幅の平均値または積算値を検出することを特徴とする記憶制御回路。
【0133】
(付記14)(エラーレート分布によるヘッド位置ずれ検出)
付記9記載の記憶制御回路に於いて、前記ヘッド位置ずれ検出部は、前記評価値として前記測定データ再生部により得られた読取信号のエラーレートを検出し、前記エラーレートの分布におけるボトムピーク値から前記位置ずれ量を検出することを特徴とする記憶制御回路。
【0134】
(付記15)(全トラックのヘッド位置ずれ検出)
付記9記載の記憶制御回路に於いて、前記測定データ記録部、測定データ再生部及びヘッド位置ずれ検出部により、前記記憶媒体の全てのトラック位置毎に前記位置ずれ量を検出して保存することを特徴とする記憶制御回路。
【0135】
(付記16)(離散的なトラックのヘッド位置ずれ検出と補間)
付記9記載の記憶制御回路に於いて、前記測定データ記録部、測定データ再生部及びヘッド位置ずれ検出部により、前記記憶媒体の半径方向の複数の測定個所で前記位置ずれ量を検出して保存し、前記測定箇所以外の箇所の位置ずれ量については、両側に位置する測定箇所の位置ずれ量から補間計算により求めることを特徴とする記憶制御回路。
【0136】
(付記17)(ヘッド位置ずれ測定方法)
磁気記憶可能な磁性体で形成された複数のトラックを有し、その個々のトラック間は磁気記録不可能な非磁性体で分断された構造をもつ記憶媒体と、
前記トラックに記録された磁気記憶情報を読み出すための再生ヘッドと、前記トラックに磁気記憶情報を書き込むための記録ヘッドとを有するヘッドと、
を備えた記憶装置のヘッド位置ずれ測定方法に於いて、
前記ヘッドを、前記記憶媒体の所定の半径位置及びトラック位置を記録開始点としてトラック1周の間に少なくとも1トラック以上の所定量だけ横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら前記記憶媒体に測定データを書き込む測定データ記録ステップと、
前記ヘッドを、前記測定データ記録ステップによる記録開始点を含む内周側から外周側の所定の走査範囲で再生開始点を走査しながら、前記再生開始点毎に前記測定データ記録ステップにおける所定量だけ前記トラックを横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら前記記憶媒体から測定データを読み出す測定データ再生ステップと、
前記測定データ再生ステップで得られた測定データ読取信号から前記所定範囲における評価値の分布を求め、前記評価値の分布から前記再生ヘッドと前記記録ヘッドとの前記記憶媒体における半径方向の位置ずれ量を検出して保存するヘッド位置ずれ検出ステップと、
を備えたことを特徴とするヘッド位置ずれ測定方法。(7)
【0137】
(付記18)(測定データ記録の詳細)
付記17記載のヘッド位置ずれ測定方法に於いて、前記測定データ記録ステップは、トラック幅をトラック周方向に一定間隔で記録しているサーボセクタの数で割った目標シフト量を予め設定し、前記記録開始点から書込みを開始した後、サーボセクタを検出する毎に前記目標シフト量ずつ前記磁気ヘッドを半径方向に移動させることにより、トラック1周の間に少なくとも1トラックだけ横断させながら前記記憶媒体に測定データを書き込むことを特徴とするヘッド位置ずれ測定方法。
【0138】
(付記19)(測定データ再生の詳細)
付記18記載のヘッド位置ずれ測定方法に於いて、前記測定データ再生ステップは、前記所定の走査範囲で走査する読出開始点から読出しを開始した後、サーボセクタを検出する毎に前記目標シフト量ずつ前記磁気ヘッドを半径方向に移動させることにより、トラック1周の間に少なくとも1トラックだけ横断させながら前記記憶媒体から測定データを読み出すことを特徴とするヘッド位置ずれ測定方法。
【0139】
(付記20)(振幅分布によるヘッド位置ずれ検出)
付記18記載のヘッド位置ずれ測定方法に於いて、前記ヘッド位置ずれ検出ステップは、前記評価値として前記測定データ再生ステップにより得られた読出信号の振幅を検出し、前記振幅の分布におけるピーク値から前記位置ずれ量を検出することを特徴とするヘッド位置ずれ測定方法。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明による記憶装置の一実施形態を示した磁気ディスク装置のブロック図
【図2】本実施形態による磁気ディスク装置の機構構造の説明図
【図3】磁気ディスクに対しヘッドを移動した場合のヘッド位置ずれの様子を示した説明図
【図4】本実施形態による位置ずれ測定結果を格納する図1の制御テーブルの内容を示した説明図
【図5】本実施形態における通常の記録再生時と測定記録再生時のヘッド軌跡を示した説明図
【図6】本実施形態における記憶媒体に対する測定パタンの記録処理を示した説明図
【図7】本実施形態における記憶媒体からの測定パタンの再生処理を示した説明図
【図8】図7の測定パタンの再生処理で生成される再生信号振幅のリード位置に対するプロファイルと1トラック分の再生信号振幅を示した説明図
【図9】本実施形態によるヘッド位置ずれ測定の処理手順を示したフローチャート
【図10】図9のステップS3における測定記録処理の詳細を示したフローチャート
【図11】図9のステップS4における測定再生処理の詳細を示したフローチャート
【図12】従来のヘッド位置ずれ測定処理における測定パタンの記録と再生を示した説明図
【図13】図12の測定パタンの再生処理で生成される再生信号振幅のリード位置に対するプロファイルと1トラック分の再生信号振幅を示した説明図
【図14】ディスクリートトラックの記憶媒体を対象とした従来のヘッド位置ずれ測定処理における測定パタンの記録と再生を示した説明図
【図15】ディスクリートトラックの記憶媒体の非磁性体領域に測定パタンを記録した場合の説明図
【図16】図15の測定パタンの再生処理で生成される再生信号振幅のリード位置に対するプロファイルと1トラック分の再生信号振幅を示した説明図
【符号の説明】
【0141】
10:磁気ディスク装置
11:ホスト
12:制御ボード
14:ディスクエンクロージャ
15:記憶制御回路
16:スピンドルモータ
18:ボイスコイルモータ
20−1,20−2:磁気ディスク
22−1〜22−4:ヘッド
24:ヘッドIC
26:MPU
28:バス
30:メモリ
32:不揮発メモリ
34:ホストインタフェース制御部
36:バッファメモリ制御部
38:バッファメモリ
40:ハードディスクコントローラ
42:リードチャネル
44:モータ駆動制御部
46:測定記録部
48:測定再生部
50:位置ずれ検出部
52:制御テーブル
54:ベース
56:アクチュエータ
58:軸部
60:ヨーク
62:ディスクリートトラック
64,70:磁性体領域
66,72:非磁性体領域
68:パターンドメディア
74:記録ヘッド
76:再生ヘッド
78−N,78−(N+1),78−(N+2):トラック
80,82:ヘッド軌跡
84,84−1,84(−P),84(+P),84(i):再生開始点
86−1:記録開始点
88,88(−P),88(+P),88(i):再生軌跡
90:記録軌跡
92:測定パタン
94:走査範囲
96:プロファイル
98:測定パタン記録位置
101:再生ピーク点
102:オフセット値
104,106:再生信号振幅
110:ハーフピーク点
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドに設けた記録ヘッドと再生ヘッドとのヘッド位置ずれを検出して記憶媒体の再生時に再生ヘッドの位置ずれ量を補正するための記憶装置、記憶制御回路及びヘッド位置ずれ測定方法に関し、特に、トラック間に非磁性領域を設けた記憶媒体を対象としてヘッド位置ずれを測定するための記憶装置、記憶制御回路及びヘッド位置ずれ測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の磁気ディスク装置においては、トンネル効果型磁気抵抗効果(TMR)等を利用した高感度の再生ヘッドを、記録ヘッドから独立させた、複合型ヘッド構造が採用されている。このような構造のヘッドでは、ヘッド製造プロセスにおいて発生する記録ヘッドと再生ヘッドの位置ずれを完全に取り除くことができないため、あるトラックを記録した時の記録ヘッドと再生ヘッドが通過する軌跡は異なったものとなる。したがって、このずれ量を製造検査工程などで予め測定して記憶しておき、目標トラックに記録したときの半径位置から、そのずれ分だけ補正して、目標トラックを再生する必要がある。
【0003】
近年は隣接トラック間隔が200nm程度となってきており、記録ヘッドと再生ヘッドとの位置ずれが数μmあると、数トラック分に相当するだけの位置ずれ補正が必要になってくる。この傾向は、高密度化によって隣接トラック間隔が狭まってくればそれだけ重要な問題となってくる。
【0004】
また近年、磁気ディスク装置は、小型化の流れが顕著であり、これに伴い高密度記録が可能なディスク媒体の開発が求められている。しかし、磁気ディスク装置の記録密度を向上させていく上で、隣接する記録ビットからの干渉を如何に防ぐかが課題となっている。
【0005】
そのような課題の認識のもとで、従来、磁気ディスク媒体の径方向の干渉に対して、磁気ディスク媒体を記録トラック毎に物理的に分断して、隣接するトラックからの干渉を低減させるディスクリートトラック記録という技術が提案されている。
【0006】
さらに記録密度化に対応して隣接する記録ビットからの干渉を防ぐという同じ課題の認識のもとで、従来、磁気ディスク媒体の周方向に対しても、媒体の物理的な分断を行なう、すなわち、記録ビット単位のパターニングを行なうことで、隣接ビットからの干渉を低減させるパターンドメディアという技術も提案されている。
【0007】
したがって、ディスクリートトラックやパターンドメディアといった技術を用いた記憶媒体に対しても、記録ヘッドと再生ヘッドの位置ずれ補正を正確に行なうことで、高密度記録再生を実現することが求められている。
【0008】
図12は従来のヘッド位置ずれの測定処理における記憶媒体の1トラック長を直線化して示しており、サーボセクタ数Mでトラック1回転となる。
【0009】
複合型のヘッド200に設けた記録ヘッド202と再生ヘッド204との位置ずれを補正するには、まず記録ヘッド202をある半径位置のトラック204−Nに、再生ヘッド204によるサーボセクタの読出で得られたヘッド位置信号を用いて位置決めした状態で、トラック一周分の測定信号を測定パタン206に示すように記録する。
【0010】
このとき再生ヘッド204と記録ヘッド202との間に位置ずれがあるため、再生ヘッド202はトラック204−Nに一致する軌跡208となるが、記録へッド202はトラック204−Nからずれた位置の軌跡210となり、その位置に測定パタン206が書き込まれる。
【0011】
位置ずれ量の検出は、測定パタン206の書込み後に、再生ヘッド204を位置決めする半径方向のリード位置を、測定パタン206を書き込んだ位置から再生ヘッド204のリード位置を徐々にずらしながら読み出し、例えば再生信号振幅のプロファイル(分布)を求めると、図13(A)が得られる。
【0012】
図13(A)において、測定パタンのライト位置212では再生信号振幅は低く、リード位置を徐々にずらしながら測定パタンを読み出していくと再生信号振幅が増加し、ピーク点214に達した後、再び低下していくプロファイル(信号分布)216が得られる。この再生信号振幅216のプロファイル216で再生信号振幅が最大となるピーク点214までのオフセット値218を再生ヘッドと記録ヘッドの位置ずれ量として検出する。
【0013】
ここで図13(A)の再生信号振幅の値は、1トラックに亘り読み出した再生信号振幅の平均値をあらわしており、ピーク点214及び1/2ピーク点220の再生信号振幅は図13(B)のように1トラックに亘り読み出した再生信号振幅222,224の平均値である。
【0014】
例えば、この位置ずれ検出方法を利用して、記憶媒体上にトラックずれ測定のための領域を設けておき、記録ヘッドと再生ヘッドの位置ずれの経時変化を測定する方法が提案されている(特許文献1)。
【0015】
しかしながら、このような位置ずれ検出方法では、磁性体の存在しない場所に位置決めする可能性のあるディスクリートトラックやパターンドメディアに対応できない。
【0016】
例えば図14のように、ディスクリートトラックの場合には、磁性体領域226でなるトラックの両側に非磁性体領域228が存在しており、トラック204−Nに再生ヘッド204を位置決めさせたときの記録ヘッド202の軌跡210がちょうど磁性体領域226上にある場合は、位置ずれ検出のために再生ヘッド204をオフセットさせて測定パタン206を検索したときのプロファイルは図13(A)と同様になる。
【0017】
しかしながら、図15のように、記録ヘッド202の軌跡210が非磁性体領域228上にある場合、測定パタン206を正確に記録することができず、再生ヘッド204のリード位置を徐々にずらしながら測定パタン206を読み出した場合の再生信号振幅のプロファイルは図16(A)のプロファイル216−1のようになり、再生信号振幅が最大となるピーク点214−1のオフセット値を特定することが難しくなる。なお、図16(B)はピーク点214−1及び1/2ピーク点220−1のリード位置における再生信号振幅を1トラックに亘り読み出した再生信号振幅222−1,224−1として示している。
【0018】
このような問題を解消するため、記憶媒体のサーボセクタとデータセクタの間に、媒体の半径方向に磁性体が連続して形成されている領域を設けた記憶媒体および磁気記憶装置も提案されている。(特許文献2、3)。
【特許文献1】特開平9−45025号公報
【特許文献2】特2005−166115号公報
【特許文献3】特2005−166116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、特許文献2のようなサーボセクタとデータセクタの間に媒体の半径方向に磁性体が連続して形成されている領域を、記録ヘッドと再生ヘッドの位置ずれ補正測定を行うための特別な領域に使用した場合、その領域にはユーザデータを書くことができないため、記録容量がその分低下する問題がある。
【0020】
また正確に位置ずれ補正量を測定するためには、測定パタンの再生信号を平均化してノイズを除去するために、例えばトラック一周分といったある程度長い測定領域が必要になり、ユーザーデータフォーマット効率が悪化する問題がある。
【0021】
本発明は、径方向に磁性体が分断された記憶媒体であっても、特別な領域を設けることなく、記録ヘッドと再生ヘッドの位置ずれを正確に測定する記憶装置、記憶制御回路及びヘッド位置ずれ測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
(記憶装置)
本発明は記憶装置を提供する。本発明の記憶装置は、
磁気記憶可能な磁性体で形成された複数のトラックを有し、その個々のトラック間は磁気記録不可能な非磁性体で分断された構造をもつ記憶媒体と、
トラックに記録された磁気記憶情報を読み出すための再生ヘッドと、トラックに磁気記憶情報を書き込むための記録ヘッドとを有する複合型のヘッドと、
ヘッドを、記憶媒体の所定の半径位置及びトラック位置を記録開始点としてトラック1周の間に少なくとも1トラック以上の所定量だけ横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら記憶媒体に測定データを書き込む測定データ記録部と、
ヘッドを、測定データ記録部による記録開始点を含む内周側から外周側の所定の走査範囲で再生開始点を走査しながら、再生開始点毎に測定データ記録部における所定量だけトラックを横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら記憶媒体から測定データを読み出す測定データ再生部と、
測定データ再生部で得られた測定データ読取信号から所定の走査範囲における評価値の分布を求め、評価値の分布から再生ヘッドと記録ヘッドとの記憶媒体における半径方向の位置ずれ量を検出して保存するヘッド位置ずれ検出部と、
を備えたことを特徴とする。
【0023】
ここで、測定データ記録部は、トラック幅をトラック周方向に一定間隔で形成されているサーボセクタの数で割った目標シフト量を予め設定し、記録開始点から書込みを開始した後、サーボセクタを検出する毎に目標シフト量ずつ磁気ヘッドを半径方向に移動させることにより、トラック1周の間に少なくとも1トラックだけ横断させながら記憶媒体に測定データを書き込む。
【0024】
測定データ再生部は、所定の走査範囲で走査する読出開始点から読出しを開始した後、サーボセクタを検出する毎に目標シフト量ずつ磁気ヘッドを半径方向に移動させることにより、トラック1周の間に少なくとも1トラックだけ横断させながら記憶媒体から測定データを読み出す。
【0025】
ヘッド位置ずれ検出部は、評価値として測定データ再生部により得られた読出信号の振幅を検出し、振幅の分布におけるピーク値から位置ずれ量を検出する。この場合、ヘッド位置ずれ検出部は、読出信号の振幅として、1スパイラル状の軌跡の読出しで得られた読取信号振幅の平均値または積算値を検出する。
【0026】
ヘッド位置ずれ検出部は、評価値として測定データ再生部により得られた読取信号のエラーレートを検出し、エラーレートの分布におけるボトムピーク値から位置ずれ量を検出するよいにしても良い。
【0027】
本発明の記憶装置は、測定データ記録部、測定データ再生部及びヘッド位置ずれ検出部により、記憶媒体の全てのトラック位置毎にヘッド位置ずれ量を検出して保存する。
【0028】
本発明の記憶装置は、測定データ記録部、測定データ再生部及びヘッド位置ずれ検出部により、記憶媒体の半径方向の複数の測定個所で位置ずれ量を検出して保存し、測定箇所以外の箇所の位置ずれ量については、両側に位置する測定箇所の位置ずれ量から補間計算により求めるようにしても良い。
【0029】
(記憶制御回路)
本発明は記憶装置の記憶制御回路を提供する。本発明は、
磁気記憶可能な磁性体で形成された複数のトラックを有し、その個々のトラック間は磁気記録不可能な非磁性体で分断された構造をもつ記憶媒体と、
トラックに記録された磁気記憶情報を読み出すための再生ヘッドと、前記トラックに磁気記憶情報を書き込むための記録ヘッドとを有するヘッドと、
を備えた記憶装置の記憶制御回路に於いて
ヘッドを、記憶媒体の所定の半径位置及びトラック位置を記録開始点としてトラック1周の間に少なくとも1トラック以上の所定量だけ横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら記憶媒体に測定データを書き込む測定データ記録部と、
ヘッドを、測定データ記録部による記録開始点を含む内周側から外周側の所定の走査範囲で再生開始点を走査しながら、再生開始点毎に測定データ記録部における所定量だけトラックを横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら記憶媒体から測定データを読み出す測定データ再生部と、
測定データ再生部で得られた測定データ読取信号から所定の走査範囲における評価値の分布を求め、この評価値の分布から再生ヘッドと記録ヘッドとの記憶媒体における半径方向の位置ずれ量を検出して保存するヘッド位置ずれ検出部と、
を備えたことを特徴とする。
【0030】
(測定方法)
本発明は記憶装置のヘッド位置ずれ測定方法を提供する。本発明は、
磁気記憶可能な磁性体で形成された複数のトラックを有し、その個々のトラック間は磁気記録不可能な非磁性体で分断された構造をもつ記憶媒体と、
トラックに記録された磁気記憶情報を読み出すための再生ヘッドと、前記トラックに磁気記憶情報を書き込むための記録ヘッドとを有するヘッドと、
を備えた記憶装置のヘッド位置ずれ測定方法に於いて、
ヘッドを、記憶媒体の所定の半径位置及びトラック位置を記録開始点としてトラック1周の間に少なくとも1トラック以上の所定量だけ横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら記憶媒体に測定データを書き込む測定データ記録ステップと、
ヘッドを、測定データ記録ステップによる記録開始点を含む内周側から外周側の所定の走査範囲で再生開始点を走査しながら、再生開始点毎に測定データ記録ステップにおける所定量だけトラックを横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら記憶媒体から測定データを読み出す測定データ再生ステップと、
測定データ再生ステップで得られた測定データ読取信号から記所定の走査範囲における評価値の分布を求め、評価値の分布から再生ヘッドと記録ヘッドとの記憶媒体における半径方向の位置ずれ量を検出して保存するヘッド位置ずれ検出ステップと、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、ディスクリートトラックあるいはパターンドメディアといった径方向に磁性体が分断された記憶媒体であっても、記録ヘッドの軌跡をスパイラル上に変化させて測定パタンを記録した後に、半径方向の所定の走査範囲で再生開始点を叙々に変えながら、記録時と同様に再生ヘッドの軌跡をスパイラル状に変化させて測定パタンを読み出すため、測定パタンは必ず磁性体の領域を通って記録されて読み出されることとなり、ヘッド位置ずれ検出のための特別な特別な領域を設けることなく、記録ヘッドと再生ヘッドの位置ずれを正確に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1は本発明のヘッド位置ずれ測定処理が適用される記憶装置の実施形態となる磁気ディスク装置を示したブロック図である。
【0033】
図1において、ハードディスクドライブ(HDD)として知られた磁気ディスク装置10は、制御ボード12とディスクエンクロージャ14で構成される。ディスクエンクロージャ12にはスピンドルモータ16が設けられ、スピンドルモータ16の回転軸に磁気ディスク20−1,20−2を装着し、一定速度例えば4200rpmで回転させる。
【0034】
本実施形態の磁気ディスク20−1,20−2は、磁性体で形成された複数のトラックの間を磁気記録不可能な非磁性体で分断された構造をもつディスクリートトラック媒体またはパターンドメディアを使用している。
【0035】
ディスクエンクロージャ14にはボイスコイルモータ18が設けられ、ボイスコイルモータ18はヘッドアクチュエータのアーム先端にヘッド22−1〜22−4を搭載しており、磁気ディスク20−1,20−2の媒体記録面に対するヘッドの位置決めを行う。
【0036】
ヘッド22−1〜22−4には記録ヘッドと再生ヘッドが一体化された複合型のヘッドである。記録ヘッドには長手磁気記録型の記録ヘッドまたは垂直磁気記録型の記録ヘッドが使用される。垂直磁気記録型の記録ヘッドの場合、磁気ディスク20−1,20−2には、記録層と軟磁性体裏打ち層を備えた垂直記憶媒体を使用する。再生ヘッドにはGMR素子やTMR素を使用する。
【0037】
ヘッド22−1〜22−4はヘッドIC24に対し信号線接続されており、ヘッドIC24は上位装置となるホスト11からのライトコマンドまたはリードコマンドに基づくヘッドセレクト信号で書込みまたは読出しを行ういずれか1つのヘッドを選択する。またヘッドIC24には、ライト系についてはライトアンプが設けられ、リード系についてはプリアンプが設けられている。
【0038】
制御ボード12にはMPU26が設けられ、MPU26のバス28に対し、RAMを用いた制御プログラム及び制御データを格納するメモリ30、FROM等を用いた制御プログラムを格納する不揮発メモリ32が設けられている。
【0039】
またMPU26のバス28には、ホストインタフェース制御部34、バッファメモリ38を制御するバッファメモリ制御部36、フォーマッタとして機能するハードディスクコントローラ40、ライト変調部及びリード復調部として機能するリードチャネル42、ボイスコイルモータ18及びスピンドルモータ16を制御するモータ駆動制御部44が設けられている。
【0040】
更に、制御ボード12に設けたMPU26、メモリ30、不揮発メモリ32、ホストインタフェース制御部34、バッファメモリ制御部36、ハードディスクコントローラ40及びリードチャネル42は記憶制御回路15を構成しており、記憶制御回路15は1つのLSI回路として実現されている。
【0041】
磁気ディスク装置10は、ホスト11からのコマンドに基づき記録処理及び再生処理を行う。ここで、磁気ディスク装置における通常の動作を説明すると次のようになる。
【0042】
ホスト11からのライトコマンドとライトデータをホストインタフェース制御部34で受けると、ライトコマンドをMPU26で解読し、受信したライトデータを必要に応じてバッファメモリ38に格納した後、ハードディスクコントローラ40で所定のデータ形式に変換すると共にECC符号化処理によりECC符号を付加し、リードチャネル42におけるライト変調系でスクランブル、RLL符号変換、更に書込補償を行った後、ライトアンプからヘッドIC24を介して選択した例えばヘッド22−1の記録ヘッドから磁気ディスク20−1に書き込む。
【0043】
このときMPU26からモータ駆動制御部44にヘッド位置決め信号が与えられており、ボイスコイルモータ18によりヘッドをコマンドで指示された目標トラックにシークした後にオントラック制御を行っている。
【0044】
一方、ホストからのリードコマンドをホストインタフェース制御部34で受けると、リードコマンドをMPU26で解読し、ヘッドIC24のヘッドセレクトで選択された再生ヘッドから読み出された読出信号をプリアンプで増幅した後に、リードチャネル42のリード復調系に入力し、パーシャルレスポンス最尤検出(PRML)などによりリードデータを復調し、ハードディスクコントローラ40でECC復号処理を行ってエラーを訂正した後、バッフメモリ38にバッファリングし、ホストインタフェース制御部34からリードデータをホストに転送する。
【0045】
このリード処理の際には、目標トラックにシークした後のオントラック追従制御において、制御テーブル52から読み出したヘッド位置ずれ量により、再生ヘッドの位置ずれを補正し、再生ヘッドを最大再生振幅が得られるトラック位置に位置決めする位置補正制御を行っている。
【0046】
このような本実施形態の磁気ディスク装置10は、装置の組立が完了した段階で試験設備等により、ヘッド22−1〜22−4に設けている記録ヘッドと再生ヘッドの位置ずれ量を測定して制御テーブル52に保存するヘッド位置ずれ測定処理を行う。
【0047】
試験設備のホスト11は磁気ディスク装置10を接続した状態で、ヘッド位置ずれを測定するための測定ファームウェア(プログラム)を例えばメモリ30にダウンロードし、MPU26はメモリ30にダウンロードした測定ファームウェアを実行することにより、測定記録部46、測定再生部48及び位置ずれ検出部50の機能を実現し、ヘッド位置ずれ量を検出して制御テーブル52に保存する処理を実行する。
【0048】
測定記録部46は、ヘッド22−1〜22−4のをそれぞれについて、磁気ディスク20−1、20−2の各記憶媒体面における所定の半径位置及びトラック位置(例えばインデックスを持つサーボセクタ=0)を記録開始点として、トラックの1周の間に少なくとも1トラック以上の所定量だけ半径方向に横断させることでスパイラル状の軌跡を描きながら測定データを書き込む。
【0049】
測定再生部48は、ヘッド22−1〜22−4のそれぞれについて、測定記録部46による記録開始点を含む内周から外周側の所定の走査範囲について、再生開始点を半径方向に順次ずらしながら、各再生開始点ごとに測定記録部46におけると同じ所定量だけトラックを半径方向に横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら磁気ディスク20−1、20−2に書き込んでいる測定パターンを測定データとして読み出す。
【0050】
位置ずれ検出部50は、測定再生部48で得られた測定パターンの読出しによる再生信号から、再生開始点を設定した所定の走査範囲における再生信号から得られた評価値、例えば再生信号振幅またはエラーレートの分布であるプロファイルを求め、この評価値のプロファイルから再生ヘッドと記録ヘッドとの記憶媒体面上における半径方向の位置ずれ量を検出して制御テーブル52に格納している。
【0051】
このようなヘッド位置ずれの検出は、4つのヘッド22−1〜22−4を順次選択しながら、各ヘッドごとに対応する磁気ディスク20−1、20−2の記憶媒体面における全トラックあるいは予め定めた複数のトラックを目標トラックとして測定処理を実行する。
【0052】
ここでヘッド位置ずれ量の測定を記憶媒体面の一部のトラックについて行った場合には、測定された位置ずれヘッドの補間計算により、測定しないトラックの位置ずれを算出して制御テーブル52に格納するか、あるいは後述するヘッド位置ずれ補正時にその都度、補間計算をすることになる。
【0053】
このようなヘッド位置ずれの測定処理が終了すると、メモリ30にホスト11からダウンロードされた測定ファームウェアが削除され、従ってMPU26による測定記録部46、測定再生部48及び位置ずれ検出部50の機能は削除され、装置の停止終了処理に伴い、メモリ30のヘッド位置ずれ量を検出した制御テーブル52は例えば磁気ディスク20−1をヘッド22−1に対応した媒体記録面の最アウターのシステム領域に書き込まれ、不揮発的に記憶する。
【0054】
その後、ユーザのホスト11に接続した状態で電源を投入すると、磁気ディスク装置10が起動し、起動時の初期化処理の際に、ヘッド22−1により磁気ディスク20−1の記憶媒体面のシステム領域から制御テーブル52が読み出されて、メモリ30に図示のように配置され、MPU26においてホスト11からリードコマンドを受信した際のリード処理において、目標トラックにヘッド22−1をシークしてオントラック追従制御した際に、メモリ32の制御テーブル52から目標トラックに対応したヘッド位置ずれ量を読出し、ヘッド位置ずれ量をなくすようにVCM18を駆動して位置ずれ補正を行い、ヘッドを目標トラックの記録パターンに対し再生信号が最大となる位置、又はエラーレートが最小となる位置に位置決め制御する。
【0055】
図2は本実施形態における磁気ディスク装置の内部構成の説明図である。図2において、本実施形態の磁気ディスク装置はベース54上にスピンドルモータ16により一定速度で回転する磁気ディスク20−1、20−2を配置している。
【0056】
磁気ディスク20−1、20−2に対しては軸部58により回転自在に支持されたアクチュエータ56が配置されている。アクチュエータ56はアーム先端にヘッド22−1を配置し、アームの反対側に設けたコイルを、ベース54に固定して永久磁石を装着した上下に配置したヨーク60の間に回動自在に配置している。
【0057】
スピンドルモータ16により回転される磁気ディスク20−1、20−2は、その記憶媒体面を取り出して外部に拡大して示すように、ディスクリートトラック62またはパターンメディア68の構造を持っている。
【0058】
ディスクリートトラック62はトラック部分を磁性体領域64としており、この磁性体領域64となるトラックの両側に非磁性体領域66を配置している。一方、パターンドメディア68の場合には、トラック境界部分及びトラック方向のそれぞれを分断する領域に磁性体領域70を配置し、トラック方向及びトラック幅方向に分担した非磁性体領域72を配置している。
【0059】
図3は本実施形態において磁気ディスクに対しヘッドを移動した場合のヘッド位置ずれの様子を示した説明図である。図3において、磁気ディスク20に対しては図2に示したように、軸部58を中心にアクチュエータ56が回動自在に設けられ、アクチュエータ56の先端にヘッド22を装着している。
【0060】
ヘッド22には記録ヘッド74と再生ヘッド76が設けられているが、両者は製造プロセスにおける誤差などによりトラック半径方向に位置ずれを起こしている。このような位置ずれをもった記録ヘッド74と再生ヘッド76を備えたヘッド22を、アクチュエータ56により磁気ディスク20の記憶媒体面に対し半径方向に移動させると、アクチュエータ56の軸方向がトラック方向となる中央位置でヨー角θ=0となり、このθ=0の位置で記録ヘッド74と再生ヘッド76のトラック半径方向に対する位置ずれ(製造プロセス時の誤差は含まない)は最小となる。
【0061】
これに対しアクチュエータ56によりヘッド74を最アウター側のヘッド22−11または最インナー側のヘッド22−12の位置に移動したヨー角θmaxまたは+θmaxとなる位置では、トラック半径方向に対する記録ヘッド74と再生ヘッド76の位置ずれ(製造プロセス時の誤差は含まない)が最大となる。
【0062】
従って本実施形態のヘッド位置ずれ量の測定にあっては、少なくとも最アウターのヘッド22−11の位置と最インナーのヘッド22−12の2箇所でヘッド位置ずれ量を測定し、その間については補間計算で求める必要がある。
【0063】
なお、最インナーのヘッド位置ずれ量と最インナーのヘッド位置ずれ量は、ヨー角θ=0の中央位置でのヘッドの位置ずれ量に対し、プラス側とマイナス側の逆方向に変化する値となる。
【0064】
図4は本実施形態における位置ずれ測定結果を格納する図1の制御テーブル52を示した説明図である。図4において、制御テーブル52は、ヘッド番号、シリンダアドレス及び位置ずれ量が設定されている。
【0065】
ヘッド番号は図1の4つのヘッド22−1〜22−4に対応して、HH01〜HH04が設定される。シリンダアドレスはヘッド22−1〜22−4が位置するトラックアドレスに対応しており、トラック総数をn本とするとシリンダアドレスはそれぞれCC1〜CCnとなる。
【0066】
そして本実施形態にあっては、ヘッド番号及びシリンダアドレスで指定される目標トラックのヘッド位置ずれ量としてOFF1〜OFF4nを、ヘッド位置ずれ測定処理により取得して図示のように制御テーブル52に格納している。
【0067】
もちろん、制御テーブル52に格納する位置ずれ量の値は、最アウターと最インナーを含む複数の半径方向のトラック位置で測定した値を登録した後に、その間については両側の測定値については補間計算で求めたずれ量を格納してもよいし、全トラックにつきずれ量を測定して格納しても良い。
【0068】
図5は本実施形態における通常の記録再生時とヘッド位置ずれ測定のための記録再生時のヘッド軌跡を示した説明図である。図5(A)は通常の記録再生時のヘッド軌跡であり、例えばトラック78−Nにデータを書き込んだ場合には、トラック方向に一定間隔で設定されているサーボセクタを再生ヘッドにより読み取って位置信号を復調し、読み取ったトラック78−Nの位置にシークしてオントラックすることで、トラック78−Nに沿った円形のヘッド軌跡80を描きながら、記憶媒体面に対しデータの記録または再生を行うことになる。
【0069】
図5(B)は本実施形態のヘッド位置測定の際のリード軌跡を示している。本実施形態にあっては、磁気ディスク20のトラック78−Nを目標トラックとしてシークしてオントラックした状態で、インデックスが得られるセクタ番号=0のサーボセクタを記録又は再生の開始点85−1とし、磁気ディスク20が一回転する間に例えば内側のトラック78−(N+1)まで横断させるように制御することで、トラック78−Nの開始点85−1からトラック78−(N+1)の終了点85−1に至るスパイラル状のヘッド軌跡82を描くようにしている。
【0070】
図6は本実施形態における記憶媒体に対する測定パターンの記録処理を、記憶媒体面上のトラックを直線化して示した説明図である。図6にあっては、記憶媒体としてディスクリートトラックを例にとっており、トラック78−N、78−(N+1)、78−(N+2)の3トラックをディスク1回転につき取り出している。
【0071】
トラック記録領域には磁性体領域64が配置され、トラック境界部分には非磁性体領域66が配置されている。なお、非磁性体領域66についてはトラック方向で分断されているが連続した非磁性体領域であってもよい。
【0072】
ここで磁気ディスクは、記憶媒体面のトラック方向に一定間隔でサーボセクタが形成されており、サーボセクタの数は例えばM個であり、このため図6にあっては、サーボセクタのセクタ番号=0からセクタ番号=M−1までの一回転分のトラックを示している。
【0073】
このような記憶媒体につきヘッド位置測定のため、まずトラック78−Nを目標トラックとして測定パタン92の書込みを行う。測定パタン92の書込みはヘッド22に設けている再生ヘッド76を目標とするトラック78−Nにシークしてオントラックした状態で、再生ヘッド76で読取っているサーボセクタのセクタ番号=0を検出した時に、再生開始点84−1への到達を判別し、記録開始点86−1から記録ヘッド74による測定パタン92の書込みを開始する。
【0074】
そして再生開始点84−1からトラック1回転分のセクタ(M−1)に対するまでの間、サーボセクタを検出するごとにヘッド22を半径方向、すなわちトラック78−(N+1)方向に1トラック幅のM分の1ずつシフトさせていくことで、図5(B)に示したスパイラル状のヘッド軌跡82、すなわち図6の直線化した場合には再生ヘッド76については再生開始点84−1から再生終了点84−2に至る直線で示す再生軌跡88が得られる。
【0075】
同時に記録ヘッド74については、記録開始点86−1から記録終了点86−2に至る直線の記録軌跡90が得られ、測定パタン92は記録ヘッド74による記録軌跡90に沿ってトラック78−Nからトラック78−(N+1)を通ってトラック78−(N+2)に向けて直線的に、実際にはスパイラル状に記録される。
【0076】
この測定パタン92の記録において、本実施形態にあっては、ディスクリートトラックであることからトラック領域の境界部に非磁性体領域66が配置されているが、記録パターン92をトラック方向に対し1回転でトラックピッチ分だけ横断するようにスパイラル状に記録することで、トラック境界部分に非磁性体領域66が存在しても測定パタン92は必ず磁性体領域64を1トラック回転の間に横切るように記録できる。
【0077】
図7は本実施形態における記憶媒体から測定パタンを読み出す再生処理を示した説明図である。図6のようにしてトラック78−Nからトラック78−(N+1)に向けてスパイラル状に記録された測定パターン92の読出しは、記録時の再生ヘッド76の再生開始点84を中心に、半径方向に所定のオフセット値+P、−Pを持つ走査範囲94を設定する。
【0078】
そして、走査範囲94について、再生ヘッド76の再生開始点を順次一定方向に叙々に移動する走査を行いながら、トラック方向にスパイラル状に走査して測定パタン92の読出しを行う。
【0079】
具体的には、まず記録時の再生開始点84に対し−Pだけオフセットした再生開始点84(−P)に再生ヘッド76をシークしてオントラックし、この状態でサーボセクタのセクタ番号=0を検出したときに読取を開始し、その後、サーボセクタを検出するごとに1トラック幅のM分の1だけプラス側にシフトしながら読み出すことで、再生軌跡88(−P)に沿って再生ヘッド76を移動する。即ち図5(B)のように、スパイラル状のヘッド軌跡80に沿って再生ヘッド76を移動する。
【0080】
この再生軌跡88(−P)に沿った再生ヘッド76の移動で得られた再生信号をサンプリングして1トラック回転分のサンプル値をメモリ30に記憶する。
【0081】
続いて再生開始点84(−P)からプラス側に一定間隔で再生開始点84(+P)まで叙々にずらしながら、各操作開始点で再生ヘッド76をスパイラル状に移動して測定パタン92の1トラック回転分の再生信号振幅をサンプリングしてメモリ30に記憶する。
【0082】
このようにして走査範囲94の順次走査による再生処理が終了したら、信号評価値として図8(A)に示す再生信号振幅のリード位置に対する信号分布であるプロファイル96を生成する。
【0083】
このプロファイル96は、図8(B)のように、測定パタンの再生処理で得られたピーク時の再生信号振幅104と、1/2ピークの再生信号振幅106を例にとると、1回転分のサンプリングした値の平均値あるいは積算値として求めた値である。
【0084】
図8(A)のリード位置に対する再生信号振幅のプロファイル96は、図7の記録軌跡に示すように、走査範囲94を再生開始点とした複数回のスパイラル状の軌跡に沿った再生ヘッド76の移動で得られた値であり、その中には、測定パタン92の中心を通る記録軌跡90に沿った再生が行なわれている。
【0085】
このため、セクタ0及びセクタM−1側では図8(B)の再生信号振幅104のように再生信号振幅が小さいが、測定パターンが磁性体領域64に存在する中央部分では再生信号振幅104のように十分な振幅値が得られ、平均値あるいは積算値として得られるプロファイル96につき再生ピーク点101を正確に捉えることができる。
【0086】
プロファイル96のピーク点101が検出できれば、図6の測定記録時のライト位置98からピーク点101までのオフセット値102を、トラック78−Nにおける記録ヘッド74と再生ヘッド76の半径方向におけるずれ量として正確に検出することができる。
【0087】
ここで走査範囲94は、ヘッドの製造プロセス上考えられる記録ヘッドと再生ヘッドの位置ずれの最大値に基づいて+P、−Pの値を定めればよい。
【0088】
図9は本実施形態によるヘッド位置ずれ測定の処理手順を示したフローチャートであり、図1を参照して説明すると次のようになる。
【0089】
図9において、ステップS1で試験設備に使用しているホスト11から測定ファームウェアを磁気ディスク装置10のメモリ30にダウンロードしてMPU26により実行する。これによりMPU26に設けている測定記録部46、測定再生処理部48及び位置ずれ検出部50の機能が有効となる。
【0090】
続いてステップS2で測定トラック位置を目標トラック位置Xとして取り出す。具体的にはメモリ30に配置した制御テーブル52からヘッド番号とシリンダアドレスを順次取り出す。この段階では、制御テーブル52は図4に示したヘッド番号、シリンダアドレスだけが設定され、位置ずれ量は空き領域となっている。
【0091】
次にステップS3で測定記録部46により、図6に示したように、目標トラック位置Xにヘッド22をシークしてオントラックし、1トラックの回転の間にトラック間を横断させることで測定パタンをスパイラル状に書込む。
【0092】
次にステップS4で、図7に示したように、スパイラル状に書き込んだ測定パタン92に対し、半径方向に走査範囲94を設定して順次移動させながらトラック1回転につき1トラック分横断させることでスパイラル状のヘッド軌跡により測定パタンを読出す。
【0093】
続いてステップS5で位置ずれ検出部50により、例えば図8(A)に示したように、リード位置に対する再生信号振幅のプロファイル96を求め、プロファイル96におけるピーク101のリード位置からオフセット値102を求め、これを対応する図4の制御テーブルの位置ずれ量として格納する。
【0094】
ステップS5における図8(A)のプロファイル96のピーク点101の検出は、プロファイル96の波形からピーク点101を特定することが困難な場合には、例えばピーク点101の振幅Aに対し半分の振幅であるA/2を横切る点108、110のリード位置を求め、この2つのリード位置の1/2のリード位置をピーク点101のオフセット値102としてを求める。
【0095】
続いてステップS6で制御テーブル52に設定している全測定トラックの測定が終了したか否かチェックし、未終了であればステップS2に戻り、次の測定トラックを目標トラックXとして取り出して同様な処理を繰り返す。
【0096】
ステップS6で全測定トラックの処理終了を判別すると、ステップS7で制御テーブル52を磁気ディスクのシステム領域に保存する。尚、不揮発メモリ32に十分な容量がある場合には、制御テーブル52を不揮発メモリ32に保存しても良い。
【0097】
続いてステップS8でヘッド位置ずれ測定が済んで不要となった測定ファームウェアをメモリ30から削除し、一連の処理を終了する。
【0098】
尚、ステップS8の測定ファームウェアの削除は行わずに測定ファームウェアを磁気ディスクに保存したまま、磁気ディスク装置10をユーザに引き渡すことも可能である。このような場合には、ユーザが磁気ディスク装置10を使用している状態でヘッド位置ずれ量に起因した障害が発生したような場合、インストールしている測定ファームウェアを実行し、ユーザ側でヘッド位置ずれ量の制御テーブル52を改めて作成することも可能である。
【0099】
図10は図9のステップS3における測定記録処理の詳細を示したフローチャートであり、図6を参照して説明すると次のようになる。
【0100】
図10において、測定記録処理は、ステップS1で目標トラック位置Xを取得し、続いてステップS2で目標トラック位置Xにシークする。この目標トラック位置Xは例えば図6のトラック78−Nを再生開始点84−1を通るトラックセンタに再生ヘッド76を位置決めした状態である。
【0101】
続いてステップS3でサーボセクタカウンタmと目標シフト量δをそれぞれゼロにリセットする。続いてステップS4で測定記録の開始点への到達の有無を判別している。具体的には図6において、ヘッド22の再生ヘッド76がトラック78−Nのトラックセンタに位置決めしたオントラック状態で、サーボセクタ番号=0を検出して再生開始点84−1への到達を判別した時である。このとき位置ずれした記録ヘッド74はトラック78−(N+1)側の記録開始点84−1に位置している。
【0102】
ステップS4で測定記録の開始点への到達が判別されると、ステップS5に進んで記録ヘッド74により記録信号を媒体記録面に記録して測定パタン92を書き込む。測定パタン92の記録を開始すると、ステップS6で次のサーボセクタの検出の有無をチェックしている。
【0103】
次のサーボセクタを検出するとステップS7に進み、サーボセクタカウンタmを1つカウントアップし、同時に目標シフト量δをトラックピッチTpをサーボセクタ数Mで割った(Tp/M)だけ増加させる。
【0104】
次にステップS8で目標トラック位置XをステップS7で更新した目標シフト量δ分だけ増加させ、ヘッド22をトラック78−(N+1)側にシフトする。続いてステップS10でサーボセクタカウンタのmの値がサーボセクタ数Mに達したか否か判別し、達していなければステップS5からの処理を繰り返す。
【0105】
このようなステップS5〜S9の処理の繰り返しによりサーボセクタを検出するごとにヘッド22を目標シフト量δずつ内径方向に順次移動し、トラック1回転で1トラックピッチ分移動し、その結果、図5(B)に示したようにスパイラル状のヘッド軌跡82に沿って測定パタン92を記録することができる。ステップS9でサーボセクタカウンタmの値がサーボセクタ数Mに達すると一連の測定記録処理を終了する。
【0106】
図11は図9のステップS4における測定再生処理の詳細を示したフローチャートであり、図2を参照して説明すると次のようになる。
【0107】
図11において、測定再生処理は、ステップS1でオフセットWを初期値−PにセットしW=−Pとする。これは図7における測定読取のための走査範囲94における再生開始点84(−P)へのオフセットを与える。
【0108】
続いてステップS2で目標トラック位置XとしてX=X+Wにシークする。即ち図7の走査範囲94の走査開始点84(−P)が通る位置にヘッドをシークする。続いてステップS4でサーボセクタカウンタmと目標シフト量δをそれぞれゼロにリセットする。
【0109】
続いてステップS5でサーボセクタのセクタ番号を監視し、セクタ番号=0となる再生開始点84(−P)に達したかか否かチェックする。再生開始点への到達を判別するとステップS5に進んで再生ヘッド76による測定パタンの再生を行う。
【0110】
続いてステップS6でサーボセクタの検出の有無をチェックしており、サーボセクタを検出するとステップS7でサーボセクタカウンタmを1つカウントアップすると同時に、目標シフト量δをトラックピッチTpをサーボセクタ数Mで割った(Tp/M)分だけ増加させ、ステップS8で目標トラック位置をX=X+δに更新する。このステップS5〜S8の処理をステップS9でサーボセクタカウンタmがサーボセクタ数Mに達するまで繰り返す。
【0111】
このテップS5〜S9の処理は、図10に示した測定記録処理におけるステップS5〜S9の処理と同じであり、その結果、図5(B)に示すように、再生開始点を通るトラックから1トラック分移動したスパイラル状のヘッド軌跡82を描くことができ、この結果、図7においては、再生軌跡88(−P)に沿った再生ヘッド76の移動で記録パタン92を読み取り、メモリにサーボセクタ=0からM−1までの再生信号振幅をサンプリングした値を保存する。
【0112】
続いてステップS10でスパイラル状の1トラック回転分の走査で得られた再生信号から信号評価値として、例えば図8(B)に示したような1トラック回転分の再生信号振幅の平均値あるいは積算値を算出する。
【0113】
続いてステップS11でオフセットWをシフト量δpだけ加算した値に更新した後、ステップS12でオフセットWが走査範囲の反対側のオフセット値+Pを超えてなければステップS2に戻り、走査範囲92の次の再生開始点での目標トラック値Xを取得してシークし、同様にしてスパイラル状のトラック状の範囲につき測定パタンの読取を行って信号評価値をを算出する。
【0114】
なお、シフト量δpは、走査範囲92を走査する際の刻み幅であり、ヘッド位置ずれ補正に十分な精度となる値を指定すれば良い。
【0115】
ステップS12でオフセットWが走査範囲94の反対側の限界値を示すオフセット値+Pを超えると、図9のメインルーチンにリターンし、ステップS5で評価値プロファイル、例えば再生信号振幅のプロフアァイルからヘッド位置ずれを検出してテーブル登録することになる。
【0116】
また本発明は磁気ディスク装置を設けたMPU26で実行されるヘッド位置ずれ測定のためのプログラムを提供する。本実施形態のプログラムは図9〜図11のフローチャートに示した内容を持つ。
【0117】
また本発明はヘッド位置ずれ測定のために磁気ディスク装置のMPUで実行される測定プログラムを格納した記憶媒体を提供する。ここで記憶媒体とはCD−ROM、フロッピーディスク(RR)、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの簡易型記憶媒体やコンピュータシステムの内外に備えられたハードディスクドライブなどの記憶媒体のほか、回線などを介してデータプログラムを保持するデータベース、あるいは他のコンピュータシステム並びにそのデータベースや更に回線上の伝送媒体を含むものである。
【0118】
尚、上記の実施形態にあっては、測定記録及び測定再生の際に、ヘッドを1トラック回転の間に少なくても1トラック分半径方向に移動させることでスパイラル状のヘッド軌跡を描いて測定パターンの記録と測定パターンの再生を例にとっているが、1トラック回転における半径方向のヘッドの移動量を1トラック幅以上とすることで、複数トラックを斜めに横切るヘッド軌跡により測定パターンの記録と再生を行うようにしてもよい。
【0119】
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【0120】
ここで本発明の特徴をまとめて列挙すると次の付記のようになる。
(付記)
(付記1)(記憶装置)
磁気記憶可能な磁性体で形成された複数のトラックを有し、その個々のトラック間は磁気記録不可能な非磁性体で分断された構造をもつ記憶媒体と、
前記トラックに記録された磁気記憶情報を読み出すための再生ヘッドと、前記トラックに磁気記憶情報を書き込むための記録ヘッドとを有するヘッドと、
前記ヘッドを、前記記憶媒体の所定の半径位置及びトラック位置を記録開始点としてトラック1周の間に少なくとも1トラック以上の所定量だけ横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら前記記憶媒体に測定データを書き込む測定データ記録部と、
前記ヘッドを、前記測定データ記録部による記録開始点を含む内周側から外周側の所定の走査範囲で再生開始点を走査しながら、前記再生開始点毎に前記測定データ記録部における所定量だけ前記トラックを横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら前記記憶媒体から測定データを読み出す測定データ再生部と、
前記測定データ再生部で得られた測定データ読取信号から前記所定の走査範囲における評価値の分布を求め、前記評価値の分布から前記再生ヘッドと前記記録ヘッドとの前記記憶媒体における半径方向の位置ずれ量を検出して保存するヘッド位置ずれ検出部と、
を備えたことを特徴とする記憶装置。(1)
【0121】
(付記2)(測定データ記録の詳細)
付記1記載の記憶装置に於いて、前記測定データ記録部は、トラック幅をトラック周方向に一定間隔で記録しているサーボセクタの数で割った目標シフト量を予め設定し、前記記録開始点から書込みを開始した後、サーボセクタを検出する毎に前記目標シフト量ずつ前記磁気ヘッドを半径方向に移動させることにより、トラック1周の間に少なくとも1トラックだけ横断させながら前記記憶媒体に測定データを書き込むことを特徴とする記憶装置。(2)
【0122】
(付記3)(測定データ再生の詳細)
付記2記載の記憶装置に於いて、前記測定データ再生部は、前記所定の走査範囲で走査する読出開始点から読出しを開始した後、サーボセクタを検出する毎に前記目標シフト量ずつ前記磁気ヘッドを半径方向に移動させることにより、トラック1周の間に少なくとも1トラックだけ横断させながら前記記憶媒体から測定データを読み出すことを特徴とする記憶装置。(3)
【0123】
(付記4)(振幅分布によるヘッド位置ずれ検出)
付記1記載の記憶装置に於いて、前記ヘッド位置ずれ検出部は、前記評価値として前記測定データ再生部により得られた読出信号の振幅を検出し、前記振幅の分布におけるピーク値から前記位置ずれ量を検出することを特徴とする記憶装置。(4)
【0124】
(付記5)(振幅分布によるヘッド位置ずれ検出)
付記4記載の記憶装置に於いて、前記ヘッド位置ずれ検出部は、前記読出信号の振幅として、1スパイラル状の軌跡の読出しで得られた読取信号振幅の平均値または積算値を検出することを特徴とする記憶装置。
【0125】
(付記6)(エラーレート分布によるヘッド位置ずれ検出)
付記1記載の記憶装置に於いて、前記ヘッド位置ずれ検出部は、前記評価値として前記測定データ再生部により得られた読取信号のエラーレートを検出し、前記エラーレートの分布におけるボトムピーク値から前記位置ずれ量を検出することを特徴とする記憶装置。(5)
【0126】
(付記7)(全トラックのヘッド位置ずれ検出)
付記1記載の記憶装置に於いて、前記測定データ記録部、測定データ再生部及びヘッド位置ずれ検出部により、前記記憶媒体の全てのトラック位置毎に前記位置ずれ量を検出して保存することを特徴とする記憶装置。
【0127】
(付記8)(離散的なトラックのヘッド位置ずれ検出と補間)
付記1記載の記憶装置に於いて、前記測定データ記録部、測定データ再生部及びヘッド位置ずれ検出部により、前記記憶媒体の半径方向の複数の測定個所で前記位置ずれ量を検出して保存し、前記測定箇所以外の箇所の位置ずれ量については、両側に位置する測定箇所の位置ずれ量から補間計算により求めることを特徴とする記憶装置。(6)
【0128】
(付記9)(記憶制御回路)
磁気記憶可能な磁性体で形成された複数のトラックを有し、その個々のトラック間は磁気記録不可能な非磁性体で分断された構造をもつ記憶媒体と、
前記トラックに記録された磁気記憶情報を読み出すための再生ヘッドと、前記トラックに磁気記憶情報を書き込むための記録ヘッドとを有するヘッドと、
を備えた記憶装置の記憶制御回路に於いて
前記磁気ヘッドを、前記記憶媒体の所定の半径位置及びトラック位置を記録開始点としてトラック1周の間に少なくとも1トラック以上の所定量だけ横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら前記記憶媒体に測定データを書き込む測定データ記録部と、
前記ヘッドを、前記測定データ記録部による記録開始点を含む内周側から外周側の所定の走査範囲で再生開始点を走査しながら、前記再生開始点毎に前記測定データ記録部における所定量だけ前記トラックを横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら前記記憶媒体から測定データを読み出す測定データ再生部と、
前記測定データ再生部で得られた測定データ読取信号から前記所定の走査範囲における評価値の分布を求め、前記評価値の分布から前記再生ヘッドと前記記録ヘッドとの前記記憶媒体における半径方向の位置ずれ量を検出して保存するヘッド位置ずれ検出部と、
を備えたことを特徴とする記憶制御回路。(7)
【0129】
(付記10)(測定データ記録の詳細)
付記9記載の記憶制御回路に於いて、前記測定データ記録部は、トラック幅をトラック周方向に一定間隔で記録しているサーボセクタの数で割った目標シフト量を予め設定し、前記記録開始点から書込みを開始した後、サーボセクタを検出する毎に前記目標シフト量ずつ前記磁気ヘッドを半径方向に移動させることにより、トラック1周の間に少なくとも1トラックだけ横断させながら前記記憶媒体に測定データを書き込むことを特徴とする記憶制御回路。
【0130】
(付記11)(測定データ再生の詳細)
付記10記載の記憶制御回路に於いて、前記測定データ再生部は、前記所定の走査範囲で走査する読出開始点から読出しを開始した後、サーボセクタを検出する毎に前記目標シフト量ずつ前記磁気ヘッドを半径方向に移動させることにより、トラック1周の間に少なくとも1トラックだけ横断させながら前記記憶媒体から測定データを読み出すことを特徴とする記憶制御回路。
【0131】
(付記12)(振幅分布によるヘッド位置ずれ検出)
付記9記載の記憶制御回路に於いて、前記ヘッド位置ずれ検出部は、前記評価値として前記測定データ再生部により得られた読出信号の振幅を検出し、前記振幅の分布におけるピーク値から前記位置ずれ量を検出することを特徴とする記憶制御回路。
【0132】
(付記13)(振幅分布によるヘッド位置ずれ検出)
付記12記載の記憶制御回路に於いて、前記ヘッド位置ずれ検出部は、前記読出信号の振幅として、1スパイラル状の軌跡の読出しで得られた読取信号振幅の平均値または積算値を検出することを特徴とする記憶制御回路。
【0133】
(付記14)(エラーレート分布によるヘッド位置ずれ検出)
付記9記載の記憶制御回路に於いて、前記ヘッド位置ずれ検出部は、前記評価値として前記測定データ再生部により得られた読取信号のエラーレートを検出し、前記エラーレートの分布におけるボトムピーク値から前記位置ずれ量を検出することを特徴とする記憶制御回路。
【0134】
(付記15)(全トラックのヘッド位置ずれ検出)
付記9記載の記憶制御回路に於いて、前記測定データ記録部、測定データ再生部及びヘッド位置ずれ検出部により、前記記憶媒体の全てのトラック位置毎に前記位置ずれ量を検出して保存することを特徴とする記憶制御回路。
【0135】
(付記16)(離散的なトラックのヘッド位置ずれ検出と補間)
付記9記載の記憶制御回路に於いて、前記測定データ記録部、測定データ再生部及びヘッド位置ずれ検出部により、前記記憶媒体の半径方向の複数の測定個所で前記位置ずれ量を検出して保存し、前記測定箇所以外の箇所の位置ずれ量については、両側に位置する測定箇所の位置ずれ量から補間計算により求めることを特徴とする記憶制御回路。
【0136】
(付記17)(ヘッド位置ずれ測定方法)
磁気記憶可能な磁性体で形成された複数のトラックを有し、その個々のトラック間は磁気記録不可能な非磁性体で分断された構造をもつ記憶媒体と、
前記トラックに記録された磁気記憶情報を読み出すための再生ヘッドと、前記トラックに磁気記憶情報を書き込むための記録ヘッドとを有するヘッドと、
を備えた記憶装置のヘッド位置ずれ測定方法に於いて、
前記ヘッドを、前記記憶媒体の所定の半径位置及びトラック位置を記録開始点としてトラック1周の間に少なくとも1トラック以上の所定量だけ横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら前記記憶媒体に測定データを書き込む測定データ記録ステップと、
前記ヘッドを、前記測定データ記録ステップによる記録開始点を含む内周側から外周側の所定の走査範囲で再生開始点を走査しながら、前記再生開始点毎に前記測定データ記録ステップにおける所定量だけ前記トラックを横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら前記記憶媒体から測定データを読み出す測定データ再生ステップと、
前記測定データ再生ステップで得られた測定データ読取信号から前記所定範囲における評価値の分布を求め、前記評価値の分布から前記再生ヘッドと前記記録ヘッドとの前記記憶媒体における半径方向の位置ずれ量を検出して保存するヘッド位置ずれ検出ステップと、
を備えたことを特徴とするヘッド位置ずれ測定方法。(7)
【0137】
(付記18)(測定データ記録の詳細)
付記17記載のヘッド位置ずれ測定方法に於いて、前記測定データ記録ステップは、トラック幅をトラック周方向に一定間隔で記録しているサーボセクタの数で割った目標シフト量を予め設定し、前記記録開始点から書込みを開始した後、サーボセクタを検出する毎に前記目標シフト量ずつ前記磁気ヘッドを半径方向に移動させることにより、トラック1周の間に少なくとも1トラックだけ横断させながら前記記憶媒体に測定データを書き込むことを特徴とするヘッド位置ずれ測定方法。
【0138】
(付記19)(測定データ再生の詳細)
付記18記載のヘッド位置ずれ測定方法に於いて、前記測定データ再生ステップは、前記所定の走査範囲で走査する読出開始点から読出しを開始した後、サーボセクタを検出する毎に前記目標シフト量ずつ前記磁気ヘッドを半径方向に移動させることにより、トラック1周の間に少なくとも1トラックだけ横断させながら前記記憶媒体から測定データを読み出すことを特徴とするヘッド位置ずれ測定方法。
【0139】
(付記20)(振幅分布によるヘッド位置ずれ検出)
付記18記載のヘッド位置ずれ測定方法に於いて、前記ヘッド位置ずれ検出ステップは、前記評価値として前記測定データ再生ステップにより得られた読出信号の振幅を検出し、前記振幅の分布におけるピーク値から前記位置ずれ量を検出することを特徴とするヘッド位置ずれ測定方法。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明による記憶装置の一実施形態を示した磁気ディスク装置のブロック図
【図2】本実施形態による磁気ディスク装置の機構構造の説明図
【図3】磁気ディスクに対しヘッドを移動した場合のヘッド位置ずれの様子を示した説明図
【図4】本実施形態による位置ずれ測定結果を格納する図1の制御テーブルの内容を示した説明図
【図5】本実施形態における通常の記録再生時と測定記録再生時のヘッド軌跡を示した説明図
【図6】本実施形態における記憶媒体に対する測定パタンの記録処理を示した説明図
【図7】本実施形態における記憶媒体からの測定パタンの再生処理を示した説明図
【図8】図7の測定パタンの再生処理で生成される再生信号振幅のリード位置に対するプロファイルと1トラック分の再生信号振幅を示した説明図
【図9】本実施形態によるヘッド位置ずれ測定の処理手順を示したフローチャート
【図10】図9のステップS3における測定記録処理の詳細を示したフローチャート
【図11】図9のステップS4における測定再生処理の詳細を示したフローチャート
【図12】従来のヘッド位置ずれ測定処理における測定パタンの記録と再生を示した説明図
【図13】図12の測定パタンの再生処理で生成される再生信号振幅のリード位置に対するプロファイルと1トラック分の再生信号振幅を示した説明図
【図14】ディスクリートトラックの記憶媒体を対象とした従来のヘッド位置ずれ測定処理における測定パタンの記録と再生を示した説明図
【図15】ディスクリートトラックの記憶媒体の非磁性体領域に測定パタンを記録した場合の説明図
【図16】図15の測定パタンの再生処理で生成される再生信号振幅のリード位置に対するプロファイルと1トラック分の再生信号振幅を示した説明図
【符号の説明】
【0141】
10:磁気ディスク装置
11:ホスト
12:制御ボード
14:ディスクエンクロージャ
15:記憶制御回路
16:スピンドルモータ
18:ボイスコイルモータ
20−1,20−2:磁気ディスク
22−1〜22−4:ヘッド
24:ヘッドIC
26:MPU
28:バス
30:メモリ
32:不揮発メモリ
34:ホストインタフェース制御部
36:バッファメモリ制御部
38:バッファメモリ
40:ハードディスクコントローラ
42:リードチャネル
44:モータ駆動制御部
46:測定記録部
48:測定再生部
50:位置ずれ検出部
52:制御テーブル
54:ベース
56:アクチュエータ
58:軸部
60:ヨーク
62:ディスクリートトラック
64,70:磁性体領域
66,72:非磁性体領域
68:パターンドメディア
74:記録ヘッド
76:再生ヘッド
78−N,78−(N+1),78−(N+2):トラック
80,82:ヘッド軌跡
84,84−1,84(−P),84(+P),84(i):再生開始点
86−1:記録開始点
88,88(−P),88(+P),88(i):再生軌跡
90:記録軌跡
92:測定パタン
94:走査範囲
96:プロファイル
98:測定パタン記録位置
101:再生ピーク点
102:オフセット値
104,106:再生信号振幅
110:ハーフピーク点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気記憶可能な磁性体で形成された複数のトラックを有し、その個々のトラック間は磁気記録不可能な非磁性体で分断された構造をもつ記憶媒体と、
前記トラックに記録された磁気記憶情報を読み出すための再生ヘッドと、前記トラックに磁気記憶情報を書き込むための記録ヘッドとを有するヘッドと、
前記ヘッドを、前記記憶媒体の所定の半径位置及びトラック位置を記録開始点としてトラック1周の間に少なくとも1トラック以上の所定量だけ横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら前記記憶媒体に測定データを書き込む測定データ記録部と、
前記ヘッドを、前記測定データ記録部による記録開始点を含む内周側から外周側の所定の走査範囲で再生開始点を走査しながら、前記再生開始点毎に前記測定データ記録部における所定量だけ前記トラックを横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら前記記憶媒体から測定データを読み出す測定データ再生部と、
前記測定データ再生部で得られた測定データ読取信号から前記所定の走査範囲における評価値の分布を求め、前記評価値の分布から前記再生ヘッドと前記記録ヘッドとの前記記憶媒体における半径方向の位置ずれ量を検出して保存するヘッド位置ずれ検出部と、
を備えたことを特徴とする記憶装置。
【請求項2】
請求項1記載の記憶装置に於いて、前記測定データ記録部は、トラック幅をトラック周方向に一定間隔で記録しているサーボセクタの数で割った目標シフト量を予め設定し、前記記録開始点から書込みを開始した後、サーボセクタを検出する毎に前記目標シフト量ずつ前記磁気ヘッドを半径方向に移動させることにより、トラック1周の間に少なくとも1トラックだけ横断させながら前記記憶媒体に測定データを書き込むことを特徴とする記憶装置。
【請求項3】
請求項2記載の記憶装置に於いて、前記測定データ再生部は、前記所定の走査範囲で走査する読出開始点から読出しを開始した後、サーボセクタを検出する毎に前記目標シフト量ずつ前記磁気ヘッドを半径方向に移動させることにより、トラック1周の間に少なくとも1トラックだけ横断させながら前記記憶媒体から測定データを読み出すことを特徴とする記憶装置。
【請求項4】
請求項1記載の記憶装置に於いて、前記ヘッド位置ずれ検出部は、前記評価値として前記測定データ再生部により得られた読出信号の振幅を検出し、前記振幅の分布におけるピーク値から前記位置ずれ量を検出することを特徴とする記憶装置。
【請求項5】
請求項1記載の記憶装置に於いて、前記ヘッド位置ずれ検出部は、前記評価値として前記測定データ再生部により得られた読取信号のエラーレートを検出し、前記エラーレートの分布におけるボトムピーク値から前記位置ずれ量を検出することを特徴とする記憶装置。
【請求項6】
請求項1記載の記憶装置に於いて、前記測定データ記録部、測定データ再生部及びヘッド位置ずれ検出部により、前記記憶媒体の半径方向の複数の測定個所で前記位置ずれ量を検出して保存し、前記測定箇所以外の箇所の位置ずれ量については、両側に位置する測定箇所の位置ずれ量から補間計算により求めることを特徴とする記憶装置。
【請求項7】
磁気記憶可能な磁性体で形成された複数のトラックを有し、その個々のトラック間は磁気記録不可能な非磁性体で分断された構造をもつ記憶媒体と、
前記トラックに記録された磁気記憶情報を読み出すための再生ヘッドと、前記トラックに磁気記憶情報を書き込むための記録ヘッドとを有するヘッドと、
を備えた記憶装置の記憶制御回路に於いて
前記磁気ヘッドを、前記記憶媒体の所定の半径位置及びトラック位置を記録開始点としてトラック1周の間に少なくとも1トラック以上の所定量だけ横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら前記記憶媒体に測定データを書き込む測定データ記録部と、
前記ヘッドを、前記測定データ記録部による記録開始点を含む内周側から外周側の所定の走査範囲で再生開始点を走査しながら、前記再生開始点毎に前記測定データ記録部における所定量だけ前記トラックを横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら前記記憶媒体から測定データを読み出す測定データ再生部と、
前記測定データ再生部で得られた測定データ読取信号から前記所定の走査範囲における評価値の分布を求め、前記評価値の分布から前記再生ヘッドと前記記録ヘッドとの前記記憶媒体における半径方向の位置ずれ量を検出して保存するヘッド位置ずれ検出部と、
を備えたことを特徴とする記憶制御回路。
【請求項8】
磁気記憶可能な磁性体で形成された複数のトラックを有し、その個々のトラック間は磁気記録不可能な非磁性体で分断された構造をもつ記憶媒体と、
前記トラックに記録された磁気記憶情報を読み出すための再生ヘッドと、前記トラックに磁気記憶情報を書き込むための記録ヘッドとを有するヘッドと、
を備えた記憶装置のヘッド位置ずれ測定方法に於いて、
前記ヘッドを、前記記憶媒体の所定の半径位置及びトラック位置を記録開始点としてトラック1周の間に少なくとも1トラック以上の所定量だけ横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら前記記憶媒体に測定データを書き込む測定データ記録ステップと、
前記ヘッドを、前記測定データ記録ステップによる記録開始点を含む内周側から外周側の所定の走査範囲で再生開始点を走査しながら、前記再生開始点毎に前記測定データ記録ステップにおける所定量だけ前記トラックを横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら前記記憶媒体から測定データを読み出す測定データ再生ステップと、
前記測定データ再生ステップで得られた測定データ読取信号から前記所定範囲における評価値の分布を求め、前記評価値の分布から前記再生ヘッドと前記記録ヘッドとの前記記憶媒体における半径方向の位置ずれ量を検出して保存するヘッド位置ずれ検出ステップと、
を備えたことを特徴とするヘッド位置ずれ測定方法。
【請求項1】
磁気記憶可能な磁性体で形成された複数のトラックを有し、その個々のトラック間は磁気記録不可能な非磁性体で分断された構造をもつ記憶媒体と、
前記トラックに記録された磁気記憶情報を読み出すための再生ヘッドと、前記トラックに磁気記憶情報を書き込むための記録ヘッドとを有するヘッドと、
前記ヘッドを、前記記憶媒体の所定の半径位置及びトラック位置を記録開始点としてトラック1周の間に少なくとも1トラック以上の所定量だけ横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら前記記憶媒体に測定データを書き込む測定データ記録部と、
前記ヘッドを、前記測定データ記録部による記録開始点を含む内周側から外周側の所定の走査範囲で再生開始点を走査しながら、前記再生開始点毎に前記測定データ記録部における所定量だけ前記トラックを横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら前記記憶媒体から測定データを読み出す測定データ再生部と、
前記測定データ再生部で得られた測定データ読取信号から前記所定の走査範囲における評価値の分布を求め、前記評価値の分布から前記再生ヘッドと前記記録ヘッドとの前記記憶媒体における半径方向の位置ずれ量を検出して保存するヘッド位置ずれ検出部と、
を備えたことを特徴とする記憶装置。
【請求項2】
請求項1記載の記憶装置に於いて、前記測定データ記録部は、トラック幅をトラック周方向に一定間隔で記録しているサーボセクタの数で割った目標シフト量を予め設定し、前記記録開始点から書込みを開始した後、サーボセクタを検出する毎に前記目標シフト量ずつ前記磁気ヘッドを半径方向に移動させることにより、トラック1周の間に少なくとも1トラックだけ横断させながら前記記憶媒体に測定データを書き込むことを特徴とする記憶装置。
【請求項3】
請求項2記載の記憶装置に於いて、前記測定データ再生部は、前記所定の走査範囲で走査する読出開始点から読出しを開始した後、サーボセクタを検出する毎に前記目標シフト量ずつ前記磁気ヘッドを半径方向に移動させることにより、トラック1周の間に少なくとも1トラックだけ横断させながら前記記憶媒体から測定データを読み出すことを特徴とする記憶装置。
【請求項4】
請求項1記載の記憶装置に於いて、前記ヘッド位置ずれ検出部は、前記評価値として前記測定データ再生部により得られた読出信号の振幅を検出し、前記振幅の分布におけるピーク値から前記位置ずれ量を検出することを特徴とする記憶装置。
【請求項5】
請求項1記載の記憶装置に於いて、前記ヘッド位置ずれ検出部は、前記評価値として前記測定データ再生部により得られた読取信号のエラーレートを検出し、前記エラーレートの分布におけるボトムピーク値から前記位置ずれ量を検出することを特徴とする記憶装置。
【請求項6】
請求項1記載の記憶装置に於いて、前記測定データ記録部、測定データ再生部及びヘッド位置ずれ検出部により、前記記憶媒体の半径方向の複数の測定個所で前記位置ずれ量を検出して保存し、前記測定箇所以外の箇所の位置ずれ量については、両側に位置する測定箇所の位置ずれ量から補間計算により求めることを特徴とする記憶装置。
【請求項7】
磁気記憶可能な磁性体で形成された複数のトラックを有し、その個々のトラック間は磁気記録不可能な非磁性体で分断された構造をもつ記憶媒体と、
前記トラックに記録された磁気記憶情報を読み出すための再生ヘッドと、前記トラックに磁気記憶情報を書き込むための記録ヘッドとを有するヘッドと、
を備えた記憶装置の記憶制御回路に於いて
前記磁気ヘッドを、前記記憶媒体の所定の半径位置及びトラック位置を記録開始点としてトラック1周の間に少なくとも1トラック以上の所定量だけ横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら前記記憶媒体に測定データを書き込む測定データ記録部と、
前記ヘッドを、前記測定データ記録部による記録開始点を含む内周側から外周側の所定の走査範囲で再生開始点を走査しながら、前記再生開始点毎に前記測定データ記録部における所定量だけ前記トラックを横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら前記記憶媒体から測定データを読み出す測定データ再生部と、
前記測定データ再生部で得られた測定データ読取信号から前記所定の走査範囲における評価値の分布を求め、前記評価値の分布から前記再生ヘッドと前記記録ヘッドとの前記記憶媒体における半径方向の位置ずれ量を検出して保存するヘッド位置ずれ検出部と、
を備えたことを特徴とする記憶制御回路。
【請求項8】
磁気記憶可能な磁性体で形成された複数のトラックを有し、その個々のトラック間は磁気記録不可能な非磁性体で分断された構造をもつ記憶媒体と、
前記トラックに記録された磁気記憶情報を読み出すための再生ヘッドと、前記トラックに磁気記憶情報を書き込むための記録ヘッドとを有するヘッドと、
を備えた記憶装置のヘッド位置ずれ測定方法に於いて、
前記ヘッドを、前記記憶媒体の所定の半径位置及びトラック位置を記録開始点としてトラック1周の間に少なくとも1トラック以上の所定量だけ横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら前記記憶媒体に測定データを書き込む測定データ記録ステップと、
前記ヘッドを、前記測定データ記録ステップによる記録開始点を含む内周側から外周側の所定の走査範囲で再生開始点を走査しながら、前記再生開始点毎に前記測定データ記録ステップにおける所定量だけ前記トラックを横断させることで、スパイラル状の軌跡を描きながら前記記憶媒体から測定データを読み出す測定データ再生ステップと、
前記測定データ再生ステップで得られた測定データ読取信号から前記所定範囲における評価値の分布を求め、前記評価値の分布から前記再生ヘッドと前記記録ヘッドとの前記記憶媒体における半径方向の位置ずれ量を検出して保存するヘッド位置ずれ検出ステップと、
を備えたことを特徴とするヘッド位置ずれ測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−204494(P2008−204494A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−35957(P2007−35957)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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