説明

記憶装置

【課題】追記型のファイルシステムを記憶装置に適用する。
【解決手段】記憶装置は、異なる規格で論理フォーマットされた第1および第2の論理領域41,42を有し、かつ不揮発性半導体メモリから構成される記憶領域40を含む。第1の論理領域41は、第2の論理領域42をアクセスするための第1のプログラムを格納する第1のプログラム格納領域41Bを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶装置に係り、例えば不揮発性半導体メモリを備えた記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、音楽データや映像データの記録メディアとして、不揮発性半導体メモリの一種であるフラッシュメモリを用いたメモリカードが使われている。このメモリカードのファイルシステムとしては、例えばFAT(File Allocation Table)に準拠したファイルシステムが用いられている。
【0003】
また、非汎用転送プロトコルのデータ転送接続環境をユーザの手間をかけずに実現する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−310118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、追記型のファイルシステムを適用することが可能な記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一視点に係る記憶装置は、異なる規格で論理フォーマットされた第1および第2の論理領域を有し、かつ不揮発性半導体メモリから構成される記憶領域を具備する。前記第1の論理領域は、前記第2の論理領域をアクセスするための第1のプログラムを格納する第1のプログラム格納領域を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、追記型のファイルシステムを適用することが可能な記憶装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るUSBメモリ20の構成を示すブロック図である。本実施形態では、メモリカードの一例として、USB(Universal Serial Bus)メモリを用いている。
【0009】
USBメモリ20は、通常、ホスト装置10に装着されて使用され、ホスト装置10に対して一種の外部記憶媒体として用いられる。USBメモリ20は、ホスト装置10に装着可能なように構成されている。具体的には、USBメモリ20は、USBコネクタ30を備えており、このUSBコネクタがホスト装置10に設けられたUSBポート11に接続される。これにより、ホスト装置10は、リムーバブルディスクドライブとしてUSBメモリ20を認識し、このUSBメモリ20に対してアクセスが可能となる。
【0010】
USBメモリ20は、不揮発性半導体メモリを備えている。具体的には、USBメモリ20は、データの書き込みおよび消去を電気的に行うEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)の一種であるNAND型フラッシュメモリ22を備えている。図1には、NAND型フラッシュメモリ22が1個よりなる構成を示しているが、2つ以上のNAND型フラッシュメモリ22が配置されていてもよい。
【0011】
NAND型フラッシュメモリ22を構成する各フラッシュメモリセル(メモリセルトランジスタ)は、半導体基板上にトンネル絶縁膜を介して電荷蓄積を目的とする浮遊ゲート電極、ゲート間絶縁膜、制御ゲート電極が積層形成されたスタックゲート構造を有している。そして、複数個のメモリセルトランジスタを、隣接するもの同士でソース領域若しくはドレイン領域を共有するような形で列方向に直列接続させ、その両端に選択ゲートトランジスタを配置して、NANDセルユニットが構成される。
【0012】
このユニットが行方向(ワード線WLの延在方向)に複数個配列されてブロックが構成される。このブロックがデータ消去単位となる。1個のブロックのうち同じワード線WLに接続された複数のメモリセルは1ページとして取り扱われ、このページごとにデータの書き込みおよびデータの読み出しが行われる。
【0013】
USBメモリ20は、ホスト装置10とフラッシュメモリ22との間に設けられ、かつホスト装置10の指示に基づいてフラッシュメモリ22を制御するコントローラ21を備えている。コントローラ21は、USBインターフェース回路23、MPU(Micro Processing Unit)24、データバッファ25、ROM(Read Only Memory)26、RAM(Random Access Memory)27、メモリインターフェース回路28、およびバス29を備えている。
【0014】
USBインターフェース回路23は、USBコネクタ30を介してホスト装置10と接続されており、データ転送規格であるUSB規格に基づいてホスト装置10との間でデータの送受を制御する。
【0015】
MPU24は、バス29を介してUSBメモリ20全体の動作を統括的に制御するものである。MPU24は、例えばUSBメモリ20が電源供給を受けたときに、ROM26等に格納されたファームウェアに基づいてUSBメモリ20の基本的な制御を実行する。また、MPU24は、ホスト装置10からライトコマンド、リードコマンド、或いは消去コマンド等を受け取り、フラッシュメモリ22に対してデータ転送処理を実行する。
【0016】
データバッファ25は、フラッシュメモリ22から読み出されたデータ、およびフラッシュメモリ22に書き込むデータを一時的に保持する機能ブロックである。すなわち、フラッシュメモリ22から読み出されたデータは、ホスト装置10の受け取り準備ができるまでデータバッファ25に保持され、フラッシュメモリ22に書き込むデータは、フラッシュメモリ22の書き込み準備ができるまでデータバッファ25に保持される。
【0017】
メモリインターフェース回路28は、バスを介してフラッシュメモリ22に接続されており、フラッシュメモリ22のアクセスに必要な一連のメモリアクセス制御を実行する。具体的には、メモリインターフェース回路28は、MPU24の制御に基づいて、フラッシュメモリ22に対する、ページ書き込み動作、ページ読み出し動作、或いはブロック消去動作などを実行する。
【0018】
ROM26は、ファームウェア(制御プログラム)を格納する。このファームウェアは、USBメモリ20の基本的な制御を行うためのプログラムである。RAM27は、MPU24の作業エリアとして使用され、制御プログラムや各種のテーブルを記憶する。
【0019】
ホスト装置10は、装着されるUSBメモリ20に対してアクセスを行うためのハードウェアおよびソフトウェア(システム)を備えている。ホスト装置10としては、画像データ、音楽データ或いはIDデータなどの各種データを処理するパーソナルコンピュータ(PC)、デジタルカメラ、或いは携帯電話端末等を含む情報処理装置が挙げられる。
【0020】
次に、ホスト装置10が認識しているUSBメモリ20の記憶領域の構成について説明する。図2は、ホスト装置10が認識しているUSBメモリ20の記憶領域40の構成を示す図である。
【0021】
USBメモリ20の記憶領域40は、2つの論理ドライブ(第1の論理ドライブ41、および第2の論理ドライブ42)から構成されている。すなわち、ホスト装置10は、USBメモリ20を2つの論理ドライブとして認識している。ホスト装置10と論理ドライブとのインターフェース規格としては、例えばSCSI(Small Computer System Interface)が用いられる。
【0022】
第2の論理ドライブ42は、UDF(Universal Disk Format)形式でフォーマットされている。すなわち、第2の論理ドライブ42には、追記型のファイルシステムとしての、UDFに準拠したファイルシステムが適用される。第2の論理ドライブ42は、記憶領域としてのユーザーデータ領域42Aを備えている。このユーザーデータ領域は、USBメモリ20を使用するユーザが自由にアクセスおよび使用することが可能な領域であり、ユーザーデータを格納する。ホスト装置10は、UDFに準拠したファイルシステムに基づいて、ユーザーデータ領域42Aにデータを追記する。
【0023】
第1の論理ドライブ41は、CD−ROMの汎用の論理フォーマット規格であるISO9660によりフォーマットされている。したがって、ホスト装置10は、この第1の論理ドライブ41をCD−ROMドライブとして認識する。
【0024】
第1の論理ドライブ41は、自動起動プログラムを格納する自動起動プログラム格納領域41A、およびUDFアクセスプログラムを格納するUDFアクセスプログラム格納領域41Bを備えている。自動起動プログラムは、USBメモリ20のUSBコネクタ30がUSBポート11に接続されたことをホスト装置10が検出したときに、その検出信号に基づき自動的に起動されるプログラムである。また、自動起動プログラムには、ホスト装置10がUDFアクセスプログラムをインストール(或いは起動)するための内容が記述されている。
【0025】
UDFアクセスプログラムは、UDFに準拠したファイルシステムが適用された論理ドライブに対して、ファイルのアクセス(ファイルの書き込み、ファイルの読み出し)を行うためのプログラムである。ホスト装置10は、UDFアクセスプログラムをインストール(或いは、起動)することで、UDFに準拠したファイルシステムが適用された第2の論理ドライブ42のファイルにアクセスすることが可能となる。
【0026】
このように構成されたUSBメモリ20およびホスト装置10の動作について説明する。図3は、ホスト装置10におけるUSBメモリ20へのアクセス動作を示すフローチャートである。
【0027】
まず、USBメモリ20がホスト装置10に装着される。すると、ホスト装置10は、USBメモリ20を2つの論理ドライブ(第1の論理ドライブ41、および第2の論理ドライブ42)として認識する(ステップST101)。さらに、ホスト装置10は、CD−ROM形式の第1の論理ドライブ41をCD−ROMドライブとして認識する。
【0028】
次に、ホスト装置10は、第1の論理ドライブ41の自動起動プログラム格納領域41Aに格納された自動起動プログラムを実行する(ステップST102)。この自動起動プログラムには、UDFアクセスプログラムをインストール(或いは起動)するための内容が記述されている。したがって、ホスト装置10は、第1の論理ドライブ41のUDFアクセスプログラム格納領域41Bに格納されたUDFアクセスプログラムをインストール(或いは起動)する(ステップST103)。その後、ホスト装置10は、UDFに準拠したファイルシステムが適用された第2の論理ドライブ42のファイルにアクセスする(ステップST104)。
【0029】
以上詳述したように本実施形態では、CD−ROMの論理フォーマット規格などの汎用規格を用いて、第1の論理ドライブ41をフォーマットする。一方、追記型のファイルシステムとしてのUDF形式などの非汎用ファイルシステムを用いて、第2の論理ドライブ42をフォーマットする。そして、UDFに準拠したファイルシステムが適用されたドライブに対してファイルのアクセスをするためのUDFアクセスプログラムを第1の論理ドライブ41に格納しておく。
【0030】
これにより、ホスト装置10がUDF形式の第2の論理ドライブ42のファイルをアクセスするためのソフトウェアを有していない場合でも、第1の論理ドライブ41に格納されたUDFアクセスプログラムを用いて第2の論理ドライブ42のファイルにアクセスすることが可能となる。この結果、PCなどのデータ交換用メディアとして用いることが可能となる。
【0031】
また、追記型のファイルシステムをNAND型フラッシュメモリを備えたUSBメモリに適用することが可能となる。これにより、フラッシュメモリ22での頻繁なデータの消去、書き換えがなくなる。この結果、効率の良いファイル書き込みおよび書き換えが可能となる。
【0032】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、USBメモリ20の記憶領域を2つのパーティションに分割し、汎用のファイルシステムでフォーマットされた一方のパーティションに、非汎用のファイルシステムでフォーマットされた他方のパーティションにアクセスするためのプログラムを格納するようにしている。
【0033】
図4は、ホスト装置10が認識しているUSBメモリ20の記憶領域40の構成を示す図である。なお、USBメモリ20の回路構成は、図1と同じである。
【0034】
USBメモリ20の記憶領域40は、2つのパーティション(第1のパーティション51、および第2のパーティション52)に分割されている。第2のパーティション52は、UDF形式でフォーマットされている。すなわち、第2のパーティション52には、追記型のファイルシステムとしての、UDFに準拠したファイルシステムが適用される。ホスト装置10は、UDFに準拠したファイルシステムに基づいて、第2のパーティション52にファイルを追記する。
【0035】
第1のパーティション51は、汎用のFAT(File Allocation Table)形式でフォーマットされている。FATファイルシステムは、ハードディスク等の、高速なランダム書き込み(上書き)が可能なメディアを前提としたファイルシステムである。ランダム書き込みとは、セクタ(ファイルシステムが認識する書き込み領域の単位)のアドレスによらずに、空いているセクタにランダムにデータが書き込まれる方式である。
【0036】
また、第1のパーティション51は、UDFアクセスプログラムを格納するUDFアクセスプログラム格納領域51Aを備えている。UDFアクセスプログラムは、UDFに準拠したファイルシステムが適用された論理領域(パーティション)に対して、ファイルのアクセス(ファイルの書き込み、ファイルの読み出し)を行うためのプログラムである。
【0037】
このように構成されたUSBメモリ20およびホスト装置10の動作について説明する。図5は、ホスト装置10におけるUSBメモリ20へのアクセス動作を示すフローチャートである。
【0038】
まず、USBメモリ20がホスト装置10に装着される。すると、ホスト装置10は、USBメモリ20の2つのパーティション(第1のパーティション51、および第2のパーティション52)を認識する(ステップST201)。
【0039】
次に、ホスト装置10は、FATに準拠したファイルシステムによりフォーマットされている第1のパーティション51に対して、FAT形式のファイルをアクセスするための汎用のプログラムを用いてアクセスする。そして、ホスト装置10は、UDFアクセスプログラム格納領域51Aに格納されたUDFアクセスプログラムをインストール(或いは起動)する(ステップST202)。その後、ホスト装置10は、UDFに準拠したファイルシステムが適用された第2のパーティション52のファイルにアクセスする(ステップST203)。
【0040】
以上詳述したように本実施形態では、FATなどの汎用のファイルシステムを用いて、第1のパーティション51をフォーマットする。一方、追記型のファイルシステムとしてUDF形式などの非汎用のファイルシステムを用いて、第2のパーティション52をフォーマットする。そして、UDFに準拠したファイルシステムが適用されたパーティションに対してファイルのアクセスをするためのUDFアクセスプログラムを第1のパーティション51に格納しておく。
【0041】
これにより、ホスト装置10がUDF形式の第2のパーティション52をアクセスするためのソフトウェアを有していない場合でも、第1のパーティション51に格納されたUDFアクセスプログラムを用いて第2のパーティション52のファイルにアクセスすることが可能となる。その他の効果は、上記第1の実施形態と同じである。
【0042】
なお、上記各実施形態では、UDFに準拠したファイルシステムについて説明したが、他の追記型のファイルシステムに適用することも可能である。また、上記各実施形態では、メモリカードとしてUSBメモリを用いて説明したが、SDTMカードなど他の様々な種類のメモリカードに適用することも可能である。
【0043】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、構成要素を変形して具体化できる。また、実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を構成することができる。例えば、実施形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るUSBメモリ20の構成を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態に係るホスト装置10が認識しているUSBメモリ20の記憶領域40の構成を示す図。
【図3】第1の実施形態に係るホスト装置10のUSBメモリ20へのアクセス動作を示すフローチャート。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るホスト装置10が認識しているUSBメモリ20の記憶領域40の構成を示す図。
【図5】第2の実施形態に係るホスト装置10のUSBメモリ20へのアクセス動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0045】
10…ホスト装置、11…USBポート、20…USBメモリ、21…コントローラ、22…NAND型フラッシュメモリ、23…USBインターフェース回路、24…MPU、25…データバッファ、26…ROM、27…RAM、28…メモリインターフェース回路、29…バス、30…USBコネクタ、40…記憶領域、41…第1の論理ドライブ、41A…自動起動プログラム格納領域、41B…UDFアクセスプログラム格納領域、42…第2の論理ドライブ、42A…ユーザーデータ領域、51…第1のパーティション、51A…UDFアクセスプログラム格納領域、52…第2のパーティション。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる規格で論理フォーマットされた第1および第2の論理領域を有し、かつ不揮発性半導体メモリから構成される記憶領域を具備し、
前記第1の論理領域は、前記第2の論理領域をアクセスするための第1のプログラムを格納する第1のプログラム格納領域を含むことを特徴とする記憶装置。
【請求項2】
前記第2の論理領域は、追記型のファイルシステムに基づいて論理フォーマットされることを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項3】
前記第1の論理領域は、ランダム書き込み型のファイルシステムに基づいて論理フォーマットされることを特徴とする請求項1又は2に記載の記憶装置。
【請求項4】
前記第1の論理領域は、当該記憶装置がホスト装置に接続された際に、前記第1のプログラムを自動的に起動するための第2のプログラムを格納する第2のプログラム格納領域を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の記憶装置。
【請求項5】
前記第1の論理領域は、CD−ROMドライブとして機能するための規格で論理フォーマットされることを特徴とする請求項4に記載の記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−97342(P2008−97342A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−278691(P2006−278691)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】