説明

記録ヘッド、記録ヘッドの製造方法、及び情報記録再生装置

【課題】小型化を図った上で、十分な光量を確保することができる記録ヘッド、記録ヘッドの製造方法、及び情報記録再生装置を提供する。
【解決手段】近接場光発生素子26は、レーザ光Lを反射させながらディスクの方向に導くコア23と、コア23を内部に閉じ込めるクラッド24と、を有し、コア23におけるレーザ光の入射側端面の長手方向及び短手方向の長さT1,T2が、コア23に入射するレーザ光の長軸方向及び短軸方向の長さに合わせて形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を集光したスポット光、若しくは、近接場光を利用して磁気記録媒体に各種の情報を記録する記録ヘッド、記録ヘッドの製造方法、及び情報記録再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ機器におけるハードディスク等の磁気記録媒体(以下、ディスクという)は、より大量且つ高密度情報の記録再生を行いたい等のニーズを受けて、さらなる高密度化が求められている。そのため、隣り合う磁区同士の影響や、熱揺らぎを最小限に抑えるために、保磁力の強いものがディスクとして採用され始めている。そのため、ディスクに情報を記録することが困難になっていた。
【0003】
そこで、上述した不具合を解消するために、光を集光したスポット光、若しくは、光を集光した近接場光を利用して磁区を局所的に加熱して一時的に保磁力を低下させ、その間にディスクへの書き込みを行うハイブリッド磁気記録方式の情報記録再生装置が提供されている。
特に、近接場光を利用する場合には、従来の光学系において限界とされていた光の波長以下となる領域における光学情報を扱うことが可能となる。よって、従来の光情報記録再生装置等を超える記録ビットの高密度化を図ることができる。
【0004】
ハイブリッド磁気記録方式による記録ヘッドとしては、各種のものが提供されているが、その1つとして近接場光を利用して加熱を行う記録ヘッドが知られている(特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の記録ヘッドは、スライダと、スライダ上に配置された主磁極及び補助磁極を有する記録素子と、照射されたレーザ光から近接場光を発生させる近接場光発生素子と、レーザ光源から発せられたレーザ光を近接場光発生素子まで導く光導波路と、を主に備えている。
【0005】
近接場光発生素子は、レーザ光を反射させながら伝播させるコア、及びコアに密着してコアを封止するクラッドを有する光束伝播素子と、コア及びクラッド間に配置されてレーザ光から近接場光を発生させる金属膜と、を有している。コアは、一端側から他端側に向かう長手方向(レーザ光の伝播方向)に直交する断面が三角形状に形成されるとともに、その断面積が長手方向に沿って漸次縮小するように絞り形成されている。
【0006】
このように構成された記録ヘッドを利用する場合には、近接場光を発生させると同時に記録磁界を印加することで、ディスクに各種の情報を記録している。具体的に、近接場光発生素子では、レーザ光源から照射されたレーザ光が光導波路を通ってコアの一端側からコアの内部に入射する。そして、コアに入射したレーザ光は、一端側から他端側に向かって集光しながら伝播し、コアの他端側においてレーザ光が金属膜によって近接場光に変換され、その近接場光によってディスクが加熱される。その結果、ディスクの磁気記録層は、近接場光によって局所的に加熱され、一時的に保磁力が低下する。また、レーザ光の照射と同時に、記録素子に駆動電流を供給することで、主磁極に近接するディスクの磁気記録層に対して記録磁界を局所的に印加する。
これにより、保磁力が一時的に低下した磁気記録層に各種の情報を記録することができる。つまり、近接場光の熱アシストと磁場との協働により、ディスクへの記録を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−217961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、近時では、上述した記録ヘッドにおいて、例えばレーザ光源をスライダに直接搭載し、レーザ光源から出射されるレーザ光を近接場光発生素子のコア内に直接入射させる構成が検討されている。
【0009】
しかしながら、上述した構成を採用するにあたって、以下のような問題が発生する。
すなわち、スライダに搭載するレーザ光源としては、例えば薄膜の半導体レーザチップ(以下、半導体レーザという)等を用いることが考えられる。この場合、半導体レーザから出射されるレーザ光のスポット形状は、楕円形状の拡散光線であるため、半導体レーザから出射されるレーザ光を全てコア内に入射させるには、コアの入射側端面の断面積を大型化しなければならない。
一方で、記録ヘッドの小型化を図るためには、コアの断面積を可能な限り小さくすることが好ましい。ところが、この場合にはレーザ光がコアに全て入射しきらず、レーザ光の損失が大きくなるため、十分な光量を得られないという問題がある。その結果、近接場光の発生効率が低下する。
【0010】
そこで、本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、小型化を図った上で、十分な光量を確保することができる記録ヘッド、記録ヘッドの製造方法、及び情報記録再生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述した課題を解決するために以下の手段を提供する。
本発明に係る記録ヘッドは、一定方向に回転する磁気記録媒体の表面に対向配置されるスライダと、前記スライダに保持され、光源から出射された光束を前記磁気記録媒体の表面に向けて集光しながら伝播させる光束伝播素子と、前記磁気記録媒体に対して記録磁界を与える記録素子と、を備えた記録ヘッドにおいて、前記光束伝播素子は、前記光束を反射させながら前記磁気記録媒体の方向に導くコアと、前記コアを内部に閉じ込めるクラッドと、を有し、前記コアにおける前記光束の入射側端面の長手方向及び短手方向の長さが、前記コアに入射する光束の長軸方向及び短軸方向の長さに合わせて形成されていることを特徴としている。
【0012】
この構成によれば、例えば半導体レーザ等、スポット形状が楕円形状の光束を導入させる場合であっても、光源から出射される光束を漏れなく導入できる。また、従来のコア形状(例えば、三角形状等)から相似形状で単に大きくする場合と異なり、コアの入射側端面における長手方向及び短手方向の長さを可能な限り小さくすることができる。
その結果、光束伝播素子の小型化を図った上で、十分な光量を確保することができる。
【0013】
また、前記光源は、前記スライダに直接搭載されていることを特徴としている。
この構成によれば、スライダに直接光源を搭載することで、例えば光源から出射される光束を直接光束伝播素子に導入することができる。これにより、例えば光源を記録ヘッドの外部に設置した場合に比べて、光束を光束伝播素子まで導くための光導波路等を用いる必要がないので、光導波路等における光束の損失を考慮することがない。したがって、より十分な光量を光束電波素子に導入させることができる。
また、光導波路を設ける分のコスト及び製造工数を削減できる。
【0014】
また、前記コアの前記入射側端面の形状は、多角形状に形成されていることを特徴としている。
また、前記コアの前記入射側端面の形状は、台形状に形成されていることを特徴としている。
また、前記コアの前記入射側端面の形状は台形状に形成される一方、出射側端面の形状は三角形状に形成されていることを特徴としている。
また、前記コアの前記入射側端面は、湾曲部を有していることを特徴としている。
この構成によれば、コアの入射側端面の形状を単に大きくする場合と異なり、小型化を図った上で、十分な光量を確保することができる。
【0015】
また、本発明に係る記録ヘッドの製造方法は、上記本発明の記録ヘッドの製造方法であって、前記スライダ上に前記クラッドのうち、第1クラッドを形成する第1クラッド形成工程と、前記第1クラッド上に前記コアの母材を形成するコア形成工程と、前記コアの母材をパターニングするパターニング工程と、前記第1クラッドとの間で前記コアを挟み込むように、前記クラッドのうち、第2クラッドを形成する第2クラッド形成工程と、を有し、前記パターニング工程では、前記コアにおける前記光束の入射側端面の長手方向及び短手方向の長さを、前記コアに入射する光束の長軸方向及び短軸方向の長さに合せてパターニングすることを特徴としている。
【0016】
この構成によれば、コアにおける入射側端面の長手方向及び短手方向の長さを、光束の長軸方向及び短軸方向の長さに合わせて形成することで、光源から出射される光束を漏れなく導入できる。また、従来のコア形状(例えば、三角形状等)から相似形状で単に大きくする場合と異なり、コアの入射側端面における長手方向及び短手方向の長さを可能な限り小さくすることができる。
その結果、光束伝播素子の小型化を図った上で、十分な光量を確保することができる。
【0017】
また、本発明に係る情報記録再生装置は、上記本発明の記録ヘッドと、前記磁気記録媒体の表面に平行な方向に移動可能とされ、前記磁気記録媒体の表面に平行で且つ互いに直交する2軸回りに回動自在な状態で前記記録ヘッドを先端側で支持するサスペンションと、前記サスペンションの基端側を支持するとともに、前記サスペンションを前記磁気記録媒体の表面に平行な方向に向けて移動させるアクチュエータと、前記磁気記録媒体を前記一定方向に回転させる回転駆動部と、前記記録素子及び前記光源の作動を制御する制御部と、を備えていることを特徴としている。
この構成によれば、上記本発明の記録ヘッドを備えているので、上述した熱揺らぎ現象等の影響を抑制して、安定した記録を行うことができる。よって、記録ヘッド自体の書き込みの信頼性を高めることができ、高品質化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る記録ヘッド、及びその製造方法によれば、光束伝播素子の小型化を図った上で、十分な光量を確保することができる。
本発明に係る情報記録再生装置によれば、上述した熱揺らぎ現象等の影響を抑制して、安定した記録を行うことができる。よって、書き込みの信頼性が高く、高密度記録化に対応することができ、高品質化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態における情報記録再生装置の構成図である。
【図2】図1に示すヘッドジンバルアセンブリの斜視図である。
【図3】図2に示すジンバルの平面図である。
【図4】図3に示すA−A線に沿った断面図である。
【図5】記録再生ヘッドの拡大断面図である。
【図6】記録再生ヘッドの流出端側(前側)の側面を拡大した断面図である。
【図7】図6の断面図であり、(a)はB−B線、(b)はC−C線、(c)はD−D線に沿う断面図である。
【図8】図8はコアの斜視図である。
【図9】情報記録再生装置により情報を記録再生する際の説明図であって、図6に相当する拡大断面図である。
【図10】図7に相当する図であって、近接場光発生素子の製造方法を説明するための工程図である。
【図11】図7に相当する図であって、近接場光発生素子の製造方法を説明するための工程図である。
【図12】図7に相当する図であって、近接場光発生素子の製造方法を説明するための工程図である。
【図13】図7に相当する図であって、近接場光発生素子の製造方法を説明するための工程図である。
【図14】第2実施形態における記録再生ヘッドの流出端側(前側)を拡大した断面図である。
【図15】第3実施形態における記録再生ヘッドの流出端側(前側)を拡大した断面図である。
【図16】図15のE矢視図である。
【図17】第4実施形態における記録再生ヘッドの流出端側(前側)を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態の情報記録再生装置1は、垂直記録層d2を有するディスク(磁気記録媒体)Dに対して、近接場光Rと記録磁界とを協働させたハイブリッド磁気記録方式によりディスクDに記録再生を行う装置である(図5参照)。
【0021】
(第1実施形態)
(情報記録再生装置)
図1は情報記録再生装置の構成図である。
本実施形態の情報記録再生装置1は、図1に示すように、キャリッジ11と、キャリッジ11の先端側に支持されたヘッドジンバルアセンブリ(HGA)12と、ヘッドジンバルアセンブリ12をディスク面D1(ディスクDの表面)に平行なXY方向に向けてスキャン移動させるアクチュエータ5と、ディスクDを所定の方向に向けて回転させるスピンドルモータ6と、情報に応じて変調した電流をヘッドジンバルアセンブリ12の記録再生ヘッド(記録ヘッド)2に対して供給する制御部8と、これら各構成品を内部に収容するハウジング9と、を備えている。
【0022】
ハウジング9は、アルミニウム等の金属材料により、上面視四角形状に形成されているとともに、内側に各構成品を収容する凹部9aが形成されている。また、このハウジング9には、凹部9aの開口を塞ぐように図示しない蓋が着脱可能に固定されるようになっている。凹部9aの略中心には、スピンドルモータ6が取り付けられ、スピンドルモータ6に中心孔を嵌め込むことでディスクDが着脱自在に固定される。
【0023】
凹部9aの隅角部には、アクチュエータ5が取り付けられている。このアクチュエータ5には、ピボット軸10を介してキャリッジ11が取り付けられている。キャリッジ11は、基端部から先端部に向けてディスク面D1に沿って延設されたアーム部14と、基端部を介してアーム部14を片持ち状に支持する基部15とが、削り出し加工等により一体形成されたものである。
基部15は、直方体形状に形成されたものであり、ピボット軸10まわりを回動可能に支持されている。つまり、基部15はピボット軸10を介してアクチュエータ5に連結されており、このピボット軸10がキャリッジ11の回転中心となっている。
【0024】
アーム部14は、基部15におけるアクチュエータ5が取り付けられた側面15aと反対側の側面(隅角部の反対側の側面)15bにおいて、基部15の上面の面方向(XY方向)と平行に延出する平板状のものであり、基部15の高さ方向(Z方向)に沿って3枚延出している。具体的には、アーム部14は、基端部から先端部に向かうにつれ先細るテーパ形状に形成され、各アーム部14間に、ディスクDが挟み込まれるように配置されている。つまり、アーム部14とディスクDとが、互い違いになるように配されており、アクチュエータ5の駆動によってアーム部14がディスクDの表面に平行な方向(XY方向)に移動可能とされている。なお、キャリッジ11及びヘッドジンバルアセンブリ12は、ディスクDの回転停止時にアクチュエータ5の駆動によって、ディスクD上から退避するようになっている。
【0025】
(ヘッドジンバルアセンブリ)
ヘッドジンバルアセンブリ12は、後述する近接場光発生素子(光束伝播素子)26を有する近接場光ヘッドである記録再生ヘッド2を支持するものである。
【0026】
図2は、記録再生ヘッドを上向きにした状態でサスペンションを記録再生ヘッド側から見た斜視図である。図3は、記録再生ヘッドを上向きにした状態でジンバルを見た平面図である。図4は図3のA−A’線に沿う断面図であり、図5は記録再生ヘッドの拡大断面図である。
図2〜図5に示すように、本実施形態のヘッドジンバルアセンブリ12は、上述した記録再生ヘッド2をディスクDから浮上させる機能を有しており、記録再生ヘッド2と、金属性材料により薄い板状に形成され、ディスク面D1に平行なXY方向に移動可能なサスペンション3と、記録再生ヘッド2を、ディスク面D1に平行で且つ互いに直交する2軸(X軸、Y軸)回りに回動自在な状態、すなわち2軸を中心として捻れることができるようにサスペンション3の下面に固定させるジンバル手段16と、を備えている。
【0027】
(サスペンション)
図2〜図4に示すように、上述したサスペンション3は、上面視略四角状に形成されたベースプレート51と、ベースプレート51の先端側にヒンジ板52を介して連結された平面視略三角状のロードビーム53と、で構成されている。
【0028】
ベースプレート51は、ステンレス等の厚みの薄い金属材料によって構成されており、基端側には厚さ方向に貫通する開口51aが形成されている。そして、この開口51aを介してベースプレート51がアーム部14の先端に固定されている。
ベースプレート51の下面には、ステンレス等の金属材料により構成されたシート状のヒンジ板52が配置されている。このヒンジ板52は、ベースプレート51の下面の全面に亘って形成された平板状の板材であり、その先端部分はベースプレート51の先端からベースプレート51の長手方向に沿って延出する延出部52aとして形成されている。この延出部52aは、ヒンジ板52の幅方向両端部から2本延出しており、その先端部分にロードビーム53が連結されている。
【0029】
ロードビーム53は、ベースプレート51と同様にステンレス等の厚みの薄い金属材料によって形成されており、その基端がベースプレート51の先端との間に間隙を有した状態でヒンジ板52に連結されている。
これにより、サスペンション3は、ベースプレート51とロードビーム53との間を中心に屈曲して、ディスク面D1に垂直なZ方向に向けて撓み易くなっている。
【0030】
また、サスペンション3上には、フレクシャ54が設けられている。
このフレクシャ54は、ステンレス等の金属材料により形成されたシート状のものであり、シート状に形成されることで厚さ方向に撓み変形可能に構成されている。また、このフレクシャ54は、ロードビーム53の先端側に固定され、外形が上面視略五角形状に形成されたジンバル17と、ジンバル17より幅狭に形成され、ジンバル17の基端からサスペンション3上に沿って延在する支持体18とで構成されている。
【0031】
ジンバル17は、中間付近から先端にかけてディスク面D1に向けて厚さ方向に僅かながら反るように形成されている。そして、この反りが加わった先端側がロードビーム53に接触しないように、基端側から略中間付近にかけてロードビーム53に固定されている。また、この浮いた状態のジンバル17の先端側には、周囲がコ形状に刳り貫かれた切欠部59が形成され、この切欠部59に囲まれた部分には連結部17aによって片持ち状に支持されたパッド部17bが形成されている。
つまり、このパッド部17bは、連結部17aによってジンバル17の先端側から基端側に向けて張出し形成されており、その周囲に切欠部59を備えている。
【0032】
これにより、パッド部17bはジンバル17の厚さ方向に撓みやすくなっており、このパッド部17bのみがサスペンション3の下面と平行になるように角度調整されている。そして、このパッド部17b上に上述した記録再生ヘッド2が載置固定されている。つまり、記録再生ヘッド2は、パッド部17bを介してロードビーム53にぶら下がった状態となっている。
【0033】
また、図3,図4に示すように、ロードビーム53の先端には、パッド部17b及び記録再生ヘッド2の略中心に向かって突出する突起部19が形成されている。この突起部19の先端は、丸みを帯びた状態となっている。そして突起部19は、記録再生ヘッド2がディスクDから受ける風圧によりロードビーム53側に浮上したときに、パッド部17bの表面(上面)に点接触するようになっている。
つまり、突起部19は、ジンバル17のパッド部17bを介して、記録再生ヘッド2を支持するとともに、ディスク面D1に向けて(Z方向に向けて)記録再生ヘッド2に荷重を付与するようになっている。
なお、これら突起部19とパッド部17bを有するジンバル17とが、ジンバル手段16を構成している。
【0034】
図2に示す支持体18は、ジンバル17に一体形成されたシート状のものであり、サスペンション3上をアーム部14に向かって延設されている。つまり、支持体18は、サスペンション3が変形した際にサスペンション3の変形に追従するように構成されている。また、この支持体18は、アーム部14上から側面に回りこんで、キャリッジ11の基部15に至るまで引き回されている。
【0035】
(記録再生ヘッド)
図6は記録再生ヘッドの流出端側の側面を拡大した断面図である。
記録再生ヘッド2は、ディスクDとサスペンション3との間に配置された状態で、サスペンション3の下面に後述するジンバル17を挟んで支持されている。
具体的に、記録再生ヘッド2は、図5,図6に示すように、レーザ光Lから生成した近接場光Rを利用して回転するディスクDに各種の情報を記録再生するヘッドである。記録再生ヘッド2は、ディスク面D1から所定距離Hだけ浮上した状態でディスクDに対向配置されたスライダ20と、ディスクDに情報を記録する記録素子21と、ディスクDに記録されている情報を再生する再生素子22と、レーザ光Lを集光しながら伝播するとともに、近接場光Rに生成した後に外部に発する近接場光発生素子26と、近接場光発生素子26に向けてレーザ光Lを出射するレーザ光源29と、を備えている。
【0036】
スライダ20は、石英ガラス等の光透過性材料や、AlTiC(アルチック)等のセラミック等によって直方体状に形成されている。このスライダ20は、ディスクDに対向する対向面20aを有しており、後述するレーザマウント43を介して上述したパッド部17bに支持されている。
【0037】
また対向面20aには、回転するディスクDによって生じた空気流の粘性から、浮上するための圧力を発生させる凸条部20bが形成されている。この凸条部20bは、長手方向(X方向)に沿って延びるように形成されており、レール状に並ぶように間隔を空けて左右(Y方向)に2つ形成されている。但し、凸条部20bはこの場合に限定されるものではなく、スライダ20をディスク面D1から離そうとする正圧と、スライダ20をディスク面D1に引き付けようとする負圧と、を調整して、スライダ20を最適な状態で浮上させるように設計されていれば、どのような凹凸形状でも構わない。なお、この凸条部20bの表面はABS(AIR BEARING SURFACE)20cと呼ばれている。
【0038】
そしてスライダ20は、この2つの凸条部20bによってディスク面D1から浮上する力を受けている。一方、サスペンション3はディスク面D1に垂直なZ方向に撓むようになっており、スライダ20の浮上力を吸収している。つまり、スライダ20は、浮上した際にサスペンション3によってディスク面D1側に押さえ付けられる力を受けている。よってスライダ20は、この両者の力のバランスによって、上述したようにディスク面D1から所定距離H離間した状態で浮上するようになっている。しかもスライダ20は、ジンバル手段16によってX軸回り及びY軸回りに回動するようになっているので、常に姿勢が安定した状態で浮上するようになっている。
なお、ディスクDの回転に伴って生じる空気流は、スライダ20の流入端側(サスペンション3のX方向基端側)から流入した後、ABS20cに沿って流れ、スライダ20の流出端側(サスペンション3のX方向先端側)から抜けている。
以下、スライダ20の流入端側(リーディングエッジ側)、つまり図5におけるX方向右側を「後方」とし、スライダ20の流出端側(トレイリングエッジ側)、つまり図5におけるX方向左側を「前方」とする。また、記録再生ヘッド2に対してディスク面D1側、つまり図5におけるZ方向下側を「下方」とし、その反対側、つまり図5におけるZ方向上側を「上方」とする。
【0039】
記録素子21は、図5に示すディスク面D1に対向する対向面21aから記録磁界を発生させ、その記録磁界をディスクDに作用させて情報を記録する素子であり、図6に示すように、スライダ20の前方の端部に保持されている。この記録素子21には、スライダ20の前方の端面(前端面)に固定された補助磁極31と、補助磁極31の前方に配設されて磁気回路32を介して補助磁極31に接続された主磁極33と、磁気回路32を中心として磁気回路32の周囲を螺旋状に巻回するコイル34と、が備えられている。
つまり、スライダ20の前端面から前方に向かって、補助磁極31、磁気回路32及びコイル34、主磁極33の順で並べて配置されている。
【0040】
両磁極31,33及び磁気回路32は、磁束密度が高い高飽和磁束密度(Bs)材料(例えば、CoNiFe合金、CoFe合金等)により形成されている。また、コイル34は、ショートしないように、隣り合うコイル線間、磁気回路32との間、両磁極31,33との間に隙間が空くように配置されており、この状態で絶縁体35によってモールドされている。そして、コイル34は、情報に応じて変調された電流が制御部8(図1参照)から供給されるようになっている。すなわち、磁気回路32及びコイル34は、全体として電磁石を構成している。また、上述した主磁極33、補助磁極31及び絶縁体35のディスク面D1に対向する各対向面33a,31a,35a(Z方向端面)は、スライダ20のABS20cとそれぞれ面一に形成されている。上述した構成の記録素子21では、コイル34に電流が供給されることで、磁力線が主磁極33の対向面33aから出て補助磁極31の対向面31aに入る記録磁界が発生する。
【0041】
図5,図6に示すように、近接場光発生素子26は、ディスク面D1に対向する対向面26aから近接場光Rを発生させる素子であり、記録素子21の前方(図6に示す主磁極33に対する補助磁極31側の反対側)に配設されている。この近接場光発生素子26は、先端をディスク面D1に向けて上下に延設されたコア23と、コア23の下端部における主磁極33側の側面(側面23g)に密着して配置された金属膜25と、コア23の下端部を被覆する遮光膜27と、コア23の側面に密着してコア23を封止するクラッド24と、を備えている。
【0042】
図7は図6の断面図であり、(a)はB−B線、(b)はC−C線、(c)はD−D線に沿う断面図である。また、図8はコアの斜視図である。
図7,図8に示すように、コア23は、上端側(基端側)から入射されたレーザ光Lを下端側(先端側)に向けて集光しながら伝播させる光束伝播部材である。このコア23は、上端側から下端側にかけて漸次絞り成形され、レーザ光Lを内部で徐々に集光させながら伝播させることができるようになっている。具体的に説明すると、コア23は、上側から光束集光部23aと、近接場光生成部23bと、を有している。
【0043】
光束集光部23aは、上端側から下端側に向かうZ方向に直交する断面積(XY方向の断面積)が漸次減少するように絞り成形された部分であり、導入されたレーザ光Lを集光させながら下方に向けて伝播させている。つまり、光束集光部23aに導入されたレーザ光Lのスポットサイズを、徐々に小さいサイズに絞ることができるようになっている。具体的に、光束集光部23aは、上端側においてZ方向から見た断面形状(入射側端面)が台形状に形成された台形部41(図7(c)参照)と、台形部41の下端部に一体的に連結されZ方向から見た断面形状が三角形状に形成された三角形部42(図7(b)参照)と、で構成されている。
【0044】
図7(c),図8に示すように、台形部41は、左右方向を長手方向(Y方向)、前後方向(X方向)を短手方向とした扁平形状に形成されている。具体的に、台形部41は、後側の側面23gと、側面23gの左右両端(Y方向両端)から再生素子22に向かって先細るように延在する一対の側面23kと、側面23gと平行に延在するとともに、一対の側面23k同士を掛け渡す側面23jと、で構成されている。台形部41は、下端側に向けて両底面(後側の側面23g及び前側の側面23j)の長さ(Y方向における幅)が漸次減少するように形成されている。また、台形部41の上端面41a(コア23の上端面)は、スライダ20の上面と面一に形成され、外部に向けて露出している。
【0045】
図7(b),図8に示すように、三角形部42は、底面及び一対の斜面が上述した側面23g及び側面23kにより構成されている。三角形部42は、下端側に向けて底面(側面23g)の長さ、及び斜面(側面23k)の長さが漸次減少するように形成されている。
【0046】
図7(a),図8に示すように、近接場光生成部23bは、光束集光部23aにおける三角形部42の下端部から下方に向けてさらに絞り成形された部分である。近接場光生成部23bはZ方向から見た断面形状(出射側端面)が三角形状に形成されている。具体的に、近接場光生成部23bは、底面が側面23gにより構成され、この側面23gが主磁極33に対向配置されている。近接場光生成部23bは、側面23gの両端(Y方向両端)から再生素子22に向かって(X方向に向かって)一対の側面23dが形成されている。側面23dは、レーザ光Lの光軸(Z方向)に対して傾斜した状態で延在しており、これにより近接場光生成部23bは下端側が尖形した状態となっている。また、近接場光生成部23bの下端側で外部に露出する端面23eが三角形状に形成されている。この端面23eは記録素子21の対向面21a(主磁極33、補助磁極31及び絶縁体35の各対向面33a,31a,35a)や、スライダ20のABS20cと面一に形成されている。すなわち、コア23において、台形部41の上端面41aがレーザ光源29から出射されるレーザ光Lの入射側端面を、近接場光生成部23bの端面23eがレーザ光Lの出射側端面を構成している。
【0047】
クラッド24は、図6,図7に示すように、コア23よりも屈折率が低い材料で形成され、側面23d,23g,23j,23kに密着する一方、コア23の上下両端面41a,23eを外部に露出させた状態でコア23を封止するモールド部材である。具体的に、クラッド24は、コア23と記録素子21(主磁極33)との間でコア23を後側から覆うように形成された第1クラッド24aと、コア23と再生素子22との間でコア23を前側から覆うように形成された第2クラッド24bと、を備えている。このように、第1クラッド24a及び第2クラッド24bがコア23の側面23d,23g,23j,23kに密着しているので、コア23とクラッド24との間に隙間が生じないようになっている。
【0048】
なお、クラッド24及びコア23として使用される材料の組み合わせの一例を記載すると、例えば、石英(SiO2)でコア23を形成し、フッ素をドープした石英でクラッド24を形成する組み合わせが考えられる。この場合には、レーザ光Lの波長が400nmのときに、コア23の屈折率が1.47となり、クラッド24の屈折率が1.47未満となるので好ましい組み合わせである。
また、ゲルマニウムをドープした石英でコア23を形成し、石英(SiO2)でクラッド24を形成する組み合わせも考えられる。この場合には、レーザ光Lの波長が400nmのときに、コア23の屈折率が1.47より大きくなり、クラッド24の屈折率が1.47となるのでやはり好ましい組み合わせである。
特に、コア23とクラッド24との屈折率差が大きいほど、コア23内にレーザ光Lを閉じ込める力が大きくなるので、コア23に酸化タンタル(Ta25:波長が550nmのときに屈折率が2.16)を用い、クラッド24に石英やアルミナ(Al)等を用いて、両者の屈折率差を大きくすることがより好ましい。また、赤外領域のレーザ光Lを利用する場合には、赤外光に対して透明な材料であるシリコン(Si:屈折率が約4)でコア23を形成することも有効である。
【0049】
金属膜25は、図6,図7(a)に示すように、コア23内を伝播してきたレーザ光Lから近接場光R(図9参照)を発生させ、近接場光Rを近接場光発生素子26の対向面26a(図5参照)と図5に示すディスク面D1との間に局在化させるものであり、例えば金(Au)や白金(Pt)等により構成されている。金属膜25は、コア23における下端側(近接場光生成部23b)の側面23g上に配置され、第1クラッド24a及び第1クラッド24aから露出する主磁極33の先端部分33bに接している。
【0050】
遮光膜27は、外部から近接場光生成部23bに入射される光を遮断するためのものであり、アルミニウム(Al)等の高反射率の材料からなる。この遮光膜27は、近接場光生成部23bの側面23dを覆うように形成されている。すなわち、近接場光生成部23bは、側面23gが金属膜25に覆われ、側面23dが遮光膜27に覆われている。なお、本実施形態において、遮光膜27は、Z方向における金属膜25よりも広範囲に亘って形成されているが、Z方向において金属膜25と同等以上の範囲で形成されていれば構わない。
【0051】
再生素子22は、ディスクDの垂直記録層d2(図5参照)から漏れ出ている磁界の大きさに応じて電気抵抗が変換する磁気抵抗効果膜であり、近接場光発生素子26を間に挟んで記録素子21とは反対側のクラッド24(第2クラッド24b)の前端面に形成されている。この再生素子22には、後述する電気配線56を介して制御部8からバイアス電流が供給されている。これにより制御部8は、ディスクDから漏れ出た磁界の変化を電圧の変化として検出することでき、この電圧の変化から信号の再生を行うことができるようになっている。
【0052】
上述した記録再生ヘッド2のスライダ20には、レーザ光源29が搭載されている。レーザ光源29は、スライダ20の上面に固定されたレーザマウント43と、レーザマウント43の前端面43aに固定された半導体レーザチップ44と、を有している。
【0053】
レーザマウント43は、例えばスライダ20と同一材料により構成され、XY方向における外形がスライダ20と同等に形成された板状の部材であり、上面側がジンバル17の後述するパッド部17bに固定されている。すなわち、スライダ20は、パッド部17bとの間にレーザマウント43を挟持した状態でパッド部17bに固定されている。なお、図示しないがレーザマウント43には、後述する電気配線56(図5参照)が固定されており、レーザマウント43の前端面43aに形成された図示しない電極パッドに電気的に接続されている。
【0054】
半導体レーザチップ44は、レーザマウント43の前端面43aに形成された図示しない電極パッド上に実装されている。この場合、半導体レーザチップ44は、レーザ光Lの出射側端面44aを下方に向けた状態で、かつコア23の台形部41の上端面41aに対向するように配置されている。なお、本実施形態の半導体レーザチップ44は、スポット形状がX方向を短軸方向、Y方向を長軸方向とした楕円形状のレーザ光Lを出射する。また、半導体レーザチップ44の出射側端面44aと、台形部41の上端面41aとの間に間隔Kを有しているが、この間隔K内にコア23と同等の屈折率を有するオイル等を介在させても構わない。
【0055】
ここで、上述した台形部41の上端面41aの形状は、半導体レーザチップ44から出射されて上端面41aに入射する時点のレーザ光Lのスポット形状に合わせて形成されている。本実施形態では、図7(c)に示すように、上端面41aの短手方向(前後方向)の長さT1(側面23g、23h間の長さ)がレーザ光Lの短軸方向の長さ以上に形成され、前後方向中央部における長手方向(左右方向)の幅T2がレーザ光Lの長軸方向の長さ以上に形成されている。
【0056】
なお、本実施形態のディスクDは、図5に示すように、ディスク面D1に垂直な方向に磁化容易軸を有する垂直記録層d2と、高透磁率材料からなる軟磁性層d3との少なくとも2層で構成される垂直2層膜ディスクDを使用する。このようなディスクDとしては、例えば、基板d1上に、軟磁性層d3と、中間層d4と、垂直記録層d2と、保護層d5と、潤滑層d6とを順に成膜したものを使用する。
基板d1としては、例えば、アルミ基板やガラス基板等である。軟磁性層d3は、高透磁率層である。中間層d4は、垂直記録層d2の結晶制御層である。垂直記録層d2は、垂直異方性磁性層となっており、例えばCoCrPt系合金が使用される。保護層d5は、垂直記録層d2を保護するためのもので、例えばDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)膜が使用される。潤滑層d6は、例えば、フッ素系の液体潤滑材が使用される。
【0057】
ところで、図1に示すように、キャリッジ11の基部15における側面15cには、ターミナル基板55が配置されている。このターミナル基板55は、ハウジング9に設けられた制御部8と記録再生ヘッド2とを電気的に接続する際の中継点となるものであり、その表面には、各種制御回路(不図示)が形成されている。
制御部8とターミナル基板55とは、可撓性を有するフラットケーブル4により電気的に接続されている一方、ターミナル基板55と記録再生ヘッド2とは、電気配線56により接続されている。この電気配線56は、各キャリッジ11毎に設けられた記録再生ヘッド2に対応して3組設けられており、フラットケーブル4を介して制御部8から出力された信号に情報に応じて変調した電流が、電気配線56を介して記録再生ヘッド2に供給されるようになっている。
【0058】
電気配線56は、ターミナル基板55の表面からアーム部14の側面を通って、アーム部14上に引き回されている。具体的には、図2〜図4に示すように、電気配線56は、アーム部14及びサスペンション3上において、フレクシャ54の支持体18上に配置されており、支持体18を間に挟んだ状態でサスペンション3の先端まで引き回されている。
【0059】
そして、電気配線56は、サスペンション3の先端(ジンバル17の中間位置)において再生素子22及び記録素子21に電流を供給するための第1電気配線57と、レーザ光源29に電流を供給するための第2電気配線58と、に分岐している。
具体的に、第1電気配線57は、電気配線56の先端側における分岐地点において、ジンバル17の外周部分に向けて屈曲されており、ジンバル17の外周部分(切欠部59の外側)から引き回されている。そして、切欠部59の外側から引き回された第1電気配線57は、連結部17a上を通って記録再生ヘッド2の前端面側に接続されている。すなわち、第1電気配線57は、スライダ20の前端面側に設けられた再生素子22と記録素子21とのそれぞれに対して、記録再生ヘッド2の外部から直接接続されている。
【0060】
一方、第2電気配線58は、上述した分岐地点からジンバル17の長手方向(X方向)に沿って延在しており、ジンバル17の切欠部59を跨いで記録再生ヘッド2の後端面側から、レーザマウント43に直接接続されている。そして、第2電気配線58は、レーザマウント43の前端面43aに形成された電極パッドに接続され、この電極パッドを介して半導体レーザチップ44に電流を供給するようになっている。また、第2電気配線58は、分岐地点においてジンバル17の下面から離間されており、分岐地点から記録再生ヘッド2の前端面側に向かうにつれ、パッド部17bとジンバル17との間を架け渡すように僅かながら浮いた状態で延在している。つまり、ジンバル17の下面において、第2電気配線58は略直線的(曲率半径が略無限大)に延在した状態で、記録再生ヘッド2の幅方向(Y方向)中央部から記録再生ヘッド2の後側に引き回されている。
【0061】
(情報記録再生方法)
次に、このように構成された情報記録再生装置1により、ディスクDに各種の情報を記録再生する場合について以下に説明する。
まず、図1に示すように、スピンドルモータ6を駆動させてディスクDを一定方向に回転させる。次いで、アクチュエータ5を作動させて、キャリッジ11を介してサスペンション3をXY方向にスキャンさせる。これにより、ディスクD上の所望する位置に記録再生ヘッド2を位置させることができる。この際、記録再生ヘッド2は、スライダ20の対向面20aに形成された2つの凸条部20bによって浮上する力を受けるとともに、サスペンション3等によってディスクD側に所定の力で押さえ付けられる。記録再生ヘッド2は、この両者の力のバランスによって、図2に示すようにディスクD上から所定距離H離間した位置に浮上する。
【0062】
また、記録再生ヘッド2は、ディスクDのうねりに起因して発生する風圧を受けたとしても、サスペンション3によってZ方向の変位が吸収されるとともに、ジンバル17によってXY軸回りに変位することができるようになっているので、うねりに起因する風圧を吸収することができる。そのため、記録再生ヘッド2を安定した状態で浮上させることができる。
【0063】
図9は情報記録再生装置により情報を記録再生する際の説明図であって、図6に相当する拡大断面図である。
ここで、情報の記録を行う場合、図9に示すように、制御部8はレーザ光源29を作動させてレーザ光Lを出射させるとともに、情報に応じて変調した電流をコイル34に供給して記録素子21を作動させる。
まず、レーザ光源29からレーザ光Lを出射し、このレーザ光Lをコア23の上端面41aからコア23の光束集光部23a内に入射させる。光束集光部23aを伝播するレーザ光Lは、ディスクD側に位置する下端側に向かってコア23とクラッド24との間で全反射を繰り返しながら伝播する。特に、コア23の側面23k,23dにはクラッド24が密着しているので、コア23の外部に光が漏れることはない。よって、導入されたレーザ光Lを無駄にすることなく絞りながら下端側に伝播させて、近接場光生成部23bに入射させることができる。
この際、コア23は、Z方向に直交する断面積が漸次減少するように絞り成形されている。そのため、レーザ光Lは光束集光部23a内を伝播するにしたがって徐々に絞り込まれてスポットサイズが小さくなる。
【0064】
スポットサイズが小さくなったレーザ光Lは、続いて、近接場光生成部23bに入射する。この近接場光生成部23bは、下端側に向けてさらに絞り成形されており、端面23eが光の波長以下のサイズとされている。この場合、近接場光生成部23bの2つの側面23dは、遮光膜27によって遮光されている。よって、近接場光生成部23bに入射したレーザ光Lは、第2クラッド24b側に漏れることなく、遮光膜27と近接場光生成部23bとの界面で反射されながら伝播する。そして、近接場光生成部23bを伝播するレーザ光Lが金属膜25に入射すると、金属膜25には表面プラズモンが励起される。励起された表面プラズモンは、共鳴効果によって増強されながら金属膜25とコア23(近接場光生成部23b)との界面に沿いながら、コア23の下端側に向かって伝播する。そして、下端側に達した時点で、光強度の強い近接場光Rとなって外部に漏れ出す。つまり、近接場光発生素子26の下端側とディスクDとの間に近接場光Rを局在化させることができる。するとディスクDは、この近接場光Rによって局所的に加熱されて一時的に保磁力が低下する。
【0065】
一方、制御部8によってコイル34に電流が供給されると、電磁石の原理により電流磁界が磁気回路32内に磁界を発生させるので、主磁極33と補助磁極31との間にディスクDに対して垂直方向の記録磁界を発生させることができる。すると、主磁極33側から発生した磁束が、ディスクDの垂直記録層d2を真直ぐ通り抜けて軟磁性層d3に達する。これによって、垂直記録層d2の磁化をディスク面D1に対して垂直に向けた状態で記録を行うことができる。また、軟磁性層d3に達した磁束は、軟磁性層d3を経由して補助磁極31に戻る。この際、補助磁極31に戻るときには磁化の方向に影響を与えることはない。これは、ディスク面D1に対向する補助磁極31の面積が、主磁極33よりも大きいので磁束密度が大きく磁化を反転させるほどの力が生じないためである。つまり、主磁極33側でのみ記録を行うことができる。
【0066】
その結果、近接場光Rと両磁極31,33で発生した記録磁界とを協働させたハイブリッド磁気記録方式により情報の記録を行うことができる。しかも垂直記録方式で記録を行うので、熱揺らぎ現象等の影響を受け難く、安定した記録を行うことができる。よって、書き込みの信頼性を高めることができる。
【0067】
また、ディスクDに記録された情報を再生する場合には、ディスクDの保磁力が一時的に低下している時に、再生素子22がディスクDの垂直記録層d2から漏れ出ている磁界を受けて、その大きさに応じて電気抵抗が変化する。よって、再生素子22の電圧が変化する。これにより制御部8は、ディスクDから漏れ出た磁界の変化を電圧の変化として検出することができる。そして制御部8は、この電圧の変化から信号の再生を行うことで、ディスクDに記録されている情報の再生を行うことができる。
【0068】
(記録再生ヘッドの製造方法)
次に、上述した近接場光発生素子26を有する記録再生ヘッド2の製造方法について説明する。図10〜図13は図7に相当する図であって、近接場光発生素子の製造方法を説明するための工程図である。なお、図10〜図13において、(a)は図7(c)に相当し、(b)は図7(a)に相当している。また、以下の説明では、記録再生ヘッド2の製造工程のうち、主として近接場光発生素子の製造工程について具体的に説明する。
本実施形態では、スライダ20となる基板120(例えば、AlTiC(アルチック)等)上に記録素子21、近接場光発生素子26、及び再生素子22を順に形成した後、ダイシングすることで、記録再生ヘッド2を製造する。
【0069】
まず図10に示すように、基板120上に記録素子21(図6参照)を形成し、絶縁体35でモールドする。その後、絶縁体35上に近接場光発生素子26及び金属膜25の母材を成膜する(第1クラッド形成工程、及びコア形成工程)。具体的には、基板120(絶縁体35)上に第1クラッド24a、金属膜25(例えば、20nm程度)、コア23(数μm程度)の順で母材(第1クラッド母材124a、金属膜母材125、及びコア母材123)を成膜する。なお、各母材124a,125,123の成膜後には、CMP(Chemical Mechanical Polishing)等でそれぞれの表面を研磨して、平坦面とする。
【0070】
なお、金属膜母材125は、第1クラッド母材124a上の全面に成膜した後、所定の領域のみ残存するように予めパターニングしておくことが好ましい。本実施形態では、少なくともZ方向において、コア母材123における近接場光生成部23b(図6参照)に相当する領域に残存するように(光束集光部23a(図6参照)に相当する領域の金属膜母材125を除去するように)金属膜母材125をパターニングしている。この場合、図10(b)に示すように、近接場光生成部23bに相当する領域では、コア母材123と第1クラッド母材124aとの間に金属膜母材125が挟持され、図10(a)に示すように、それ以外の領域では、コア母材123と第1クラッド母材124aとが密着することになる。
【0071】
続いて、図11に示すように、コア母材123上にフォトリソグラフィ技術を用いてコア母材123を除去すべき領域が開口したマスクパターン(不図示)を形成し、このマスクパターンを介して反応性イオンエッチング(RIE)を行う(第1パターニング工程)。これにより、マスクパターンが開口した領域のコア母材123が垂直にエッチングされ、Z方向から見て矩形状のコア母材123が形成される。また、コア母材123は、X方向から見て上端側から下端側にかけて先細る台形状に形成される。
【0072】
次に、図12に示すように、アルゴン(Ar)等のプラズマ中でコア母材123及び金属膜母材125をスパッタエッチングする(第2パターニング工程)。第2パターニング工程において、断面矩形状のコア母材123をスパッタエッチングすると、コア母材123の各角部が選択的にエッチングされて斜面が形成される。そして、この状態でさらにエッチングを続けると、斜面が底面(図7中側面23gに相当)に対して一定の角度を保ちながらエッチングされる。
その後、さらにエッチングを続けると、コア母材123は相似形を保ちながら幅(Y方向における幅)、及び高さ(X方向における高さ)が縮小する。
【0073】
なお、この状態でさらにエッチングを続けると、コア23は相似形を保ったままエッチングされるとともに、金属膜母材125がエッチングされる。これにより、コア23の側面23gと同一の幅を有する金属膜25が形成される。
このように、第1パターニング工程で矩形状に形成したコア母材123に対してスパッタエッチングを行うことで、Z方向から見て任意の幅や高さにコア23を形成することができる。この際、図12(a)に示すように、コア母材123において、光束集光部23aの上端部に相当する領域で頂面(側面23j)を残存させることで、コア23の上端側をZ方向から見た断面形状が台形状に形成された台形部41を形成できる。
【0074】
次に、図13に示すように、コア23を覆うように遮光膜27を形成する(遮光膜形成工程)。具体的には、コア23の側面23dにおける近接場光生成部23bに相当する領域に、遮光膜27が残存するようにパターニングする。
そして、コア23及び遮光膜27を覆うように、第2クラッド24bを形成する(第2クラッド形成工程)。その後、CMP等で第2クラッド24bの表面を研磨して、平坦面に形成する。そして、第2クラッド24b上に再生素子22を形成する。これにより、基板120上に記録素子21、近接場光発生素子26、及び再生素子22が形成される。
【0075】
続いて、基板120を短冊状にダイシングして、一方向(Y方向)に沿って複数のスライダ20が連なった状態のバー(不図示)を形成する。その後、ダイシングしたバーの側面(切断面)を研磨する(研磨工程)。
【0076】
その後、各スライダ20ごとの大きさになるようにバーを切断する(スライダ工程)。
最後に、スライダ20の上面にレーザ光源29を搭載する。具体的には、半導体レーザチップ44が、レーザ光Lの出射側端面を下方に向けた状態で、かつコア23の台形部41の上端面41aに対向するように配置する。
以上により、上述した近接場光発生素子26を有する記録再生ヘッド2が完成する。
【0077】
このように、本実施形態では、コア23の上端面41aの長手方向及び短手方向の長さを、コア23に入射するレーザ光Lの長軸方向及び短軸方向の長さに合わせて形成する構成とした。
この構成によれば、例えば半導体レーザ等、スポット形状が楕円形状のレーザ光Lを導入させる場合であっても、レーザ光源29から出射されるレーザ光Lを漏れなく導入できる。また、単に従来のコア形状(例えば、三角形状等)を大きくする場合と異なり、コア23の上端面41aにおける長手方向及び短手方向の長さを可能な限り小さくすることができる。
その結果、コア23の小型化を図った上で、十分な光量を確保することができ、近接場光Rの発生効率を向上させることができる
【0078】
また、スライダ20に直接レーザ光源29を搭載することで、レーザ光源29から出射されるレーザ光Lを直接コア23に導入することができる。これにより、例えばレーザ光源を記録再生ヘッドの外部に設置した場合と異なり、レーザ光Lをコア23まで導くための光導波路等を用いる必要がないので、光導波路等におけるレーザ光の損失を考慮することがない。したがって、より十分な光量をコア23に導入させることができる。また、光導波路を設ける分のコスト及び製造工数を削減できる。
【0079】
そして、本発明の情報記録再生装置1は、上述した記録再生ヘッド2を備えているので、上述した熱揺らぎ現象等の影響を抑制して、安定した記録を行うことができる。よって、情報の記録再生を正確且つ高密度に行うことができ、高品質化を図ることができる。
【0080】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図14は、第2実施形態における記録再生ヘッドの前側を拡大した断面図である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明は省略する。本実施形態では、コア23の下端側を2層構造とした点で上述した第1実施形態と相違している。
図14に示すように、本実施形態の記録再生ヘッド2は、スライダ20の前端面上にX方向に沿って近接場光発生素子26、記録素子21、及び再生素子22が順に配置されている。
【0081】
近接場光発生素子26のコア23の下端側は、Z方向から見て三角形状の第1コア64と、第1コア64を覆うように形成された第2コア65と、で構成されている。この場合、第1コア64は、Z方向において、スライダ20の前端面の全域に形成され、コア23の全体(上述した光束集光部23aから近接場光生成部23b)を構成している。一方、第2コア65は、Z方向において、第1コア64の下端側を覆うように形成され、光束集光部23aの下端側から近接場光生成部23bを構成している。なお、第2コア65の形成領域は、上述した範囲に限られず、第1コア64全体を覆うように形成しても構わない。
【0082】
また、記録素子21は、第2クラッド24b内にモールドされるとともに、主磁極33の先端部分33bは、コア23の側面23d(図7(a)参照)を覆うように配置されている。すなわち、本実施形態の主磁極33の先端部分33bは、上述した遮光膜27(図7参照)と同様の役割も兼ねている。
【0083】
この構成によれば、スライダ20の側面上において、ディスクDの回転方向に沿って近接場光発生素子26、記録素子21、及び再生素子22が配置されることになる。この場合、ディスクDは、先に近接場光発生素子26から発生した近接場光Rにより加熱された後、保持力が確実に低下した状態で、記録素子21の下方を通過するため、ディスクDへの記録をスムーズ、かつ高精度に行うことができる。
【0084】
特に、本実施形態では、第1コア64を覆うように第2コア65を形成することで、第1コア64に合わせて形成される金属膜25の幅がコア23全体(第1コア64及び第2コア65)の側面23gの幅に比べて狭く形成されることになる。そのため、コア23内を伝播するレーザ光Lの伝播効率の低下を抑制した上で、近接場光Rのスポットサイズの縮小化を図ることができる。これにより、光量を確保した上で、近接場光Rのスポットサイズを縮小できるので、ディスクDをより局所的に加熱することができる。
【0085】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図15は、第3実施形態における記録再生ヘッドの前側を拡大した断面図であり、図16は図15のE矢視図である。
図15,図16に示すように、本実施形態の記録再生ヘッド2は、記録素子21におけるコイル34と主磁極33との間に近接場光発生素子26が配置されている。本実施形態における記録素子21は、第1クラッド24a内にモールドされた補助磁極31及びコイル34と、第2クラッド24b内にモールドされた主磁極33と、補助磁極31及び主磁極33の間に配置されたヨーク135と、を備えている。
【0086】
補助磁極31は、再生素子22上に配置されるとともに、X方向に沿って延在するヨーク135の一端側が接続されている。コイル34は、ヨーク135を中心としてヨーク135の周囲に螺旋状に形成されている。また、ヨーク135には、Z方向に貫通する貫通孔135aが形成され、この貫通孔135a内を貫通するようにコア23が配置されている。そして、ヨーク135の下端(コア23を間に挟んで補助磁極31の反対側)には、主磁極33が接続されている。
【0087】
ところで、上述したようにディスクDの回転時において、記録再生ヘッド2が凸条部20bによって浮上する力を受けると、ディスクD上から所定距離H離間した位置に浮上する(図2参照)。このとき、浮上時のスライダ20の姿勢についてより詳細に説明すると、スライダ20はディスク面D1に対して水平ではなく、僅かに傾いている。具体的には、スライダ20の流出端側がディスクDに最も接近した状態で、ディスク面D1とスライダ20のABS20cとのなす角度が微小角度を保つように傾いている。
【0088】
そこで、本実施形態によれば、スライダ20における最も前端側に、近接場光発生素子26と主磁極33とを配置できるので、近接場光発生素子26による近接場光Rと、主磁極33による磁界をディスクDに最も接近した状態で発生させることができる。これにより、ディスクDへの記録をスムーズ、かつ高精度に行うことができる。
【0089】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図17は、第4実施形態における記録再生ヘッドの前側を拡大した断面図である。上述した各実施形態では半導体レーザチップ44から下方に向けてレーザ光Lを出射する構成について説明したが、本実施形態では、レーザ光Lを前方に向けて出射する構成について説明する。
図17に示すように、本実施形態のレーザ光源129は、スライダ20の上面に搭載された半導体レーザチップ144を備えている。半導体レーザチップ144は、レーザ光Lの出射側端面を前方に向けた状態で配置されている。なお、本実施形態の半導体レーザチップ144は、スポット形状がY方向を長軸方向、Z方向を短軸方向とした楕円形状のレーザ光Lを出射する。
【0090】
また、半導体レーザチップ44の出射端面側には、マイクロミラー150が設けられている。そのため、半導体レーザチップ44から出射されたレーザ光Lは、マイクロミラー150で90度反射されてコア23内に導入されるようになっている。この場合、上端面41aの短手方向(前後方向)の長さT1(側面23g、23h間の長さ)がスポット形状の短軸方向の長さ以上に形成され、前後方向中央部における長手方向の幅T2がスポット形状の長軸方向の長さ以上に形成されている(図7(c)参照)。
【0091】
このように、半導体レーザチップ44から出射されるレーザ光Lの出射方向を前方に向けることで、従来のように出射方向を下方に向けて配置する場合に比べ記録再生ヘッド2の上下方向(Z方向)の幅を縮小できる。
【0092】
なお、本発明の技術範囲は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、上述した実施形態で挙げた構成等はほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
例えば、上述の実施形態では、記録再生ヘッドを浮上させた空気浮上タイプの情報記録再生装置を例に挙げて説明したが、この場合に限られず、ディスク面に対向配置されていればディスクと記録再生ヘッドとが接触していても構わない。つまり、本発明の記録再生ヘッドは、コンタクトスライダタイプの記録再生ヘッドであっても構わない。この場合であっても、同様の作用効果を奏することができる。
また、各実施形態を適宜組み合わせても構わない。
【0093】
また、上述した実施形態では、本発明の記録再生ヘッド2をディスクDに対して垂直な記録磁界を与える垂直磁気記録方式に採用する場合について説明したが、これに限らず、ディスクDに対して水平な記録磁界を与える面内記録方式に採用しても構わない。
【0094】
また、上述した実施形態では、第1パターニング工程においてコア母材123に対して垂直エッチングを行い、第2パターニング工程においてコア母材123の角部を除去する傾斜エッチングを行うことで、本実施形態のコア23を形成した。しかしながら、これに限らず基板120上に形成されたコア母材123に対して一回のエッチングでコア23を形成しても構わない。
【0095】
さらに、金属膜25と第1クラッド24aとの間にも遮光膜27を形成しても構わない。すなわち、コア23の全周に亘って遮光膜27を形成しても構わない。この場合には、金属膜25でプラズモン共鳴を起こさずに、金属膜25を透過してしまったレーザ光Lを反射させてコア23内に戻すことで、再び金属膜25に入射させることができる。これにより、近接場光Rの発生効率をより向上できる。
【0096】
また、本実施形態のコア23(台形部41)の上端面41aの形状は、レーザ光Lのスポット径に合わせて適宜設計変更が可能である。さらに、上端面41aの形成は、台形状に限らず、矩形状や五角形状、六角形状等の多角形状、若しくは円形状や楕円形状、扇形状等の湾曲部を有する形状等、適宜設計変更が可能である。
また、スライダ20の上面側にレーザ光源29を直接搭載せずに、レーザ光源29から出射されるレーザ光Lを光導波路を介して近接場光発生素子26する構成にしても構わない。
【符号の説明】
【0097】
1…情報記録再生装置 2…記録再生ヘッド(記録ヘッド) 3…サスペンション 5…アクチュエータ 6…スピンドルモータ(回転駆動部) 8…制御部 20…スライダ 21…記録素子 23…コア 24…クラッド 24a…第1クラッド 24b…第2クラッド 26…近接場光発生素子(光束伝播素子) 43…レーザ光源(光源) D…ディスク(磁気記録媒体) 123…コア母材 124a…第1クラッド母材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定方向に回転する磁気記録媒体の表面に対向配置されるスライダと、
前記スライダに保持され、光源から出射された光束を前記磁気記録媒体の表面に向けて集光しながら伝播させる光束伝播素子と、
前記磁気記録媒体に対して記録磁界を与える記録素子と、を備えた記録ヘッドにおいて、
前記光束伝播素子は、前記光束を反射させながら前記磁気記録媒体の方向に導くコアと、前記コアを内部に閉じ込めるクラッドと、を有し、
前記コアにおける前記光束の入射側端面の長手方向及び短手方向の長さが、前記コアに入射する光束の長軸方向及び短軸方向の長さに合わせて形成されていることを特徴とする記録ヘッド。
【請求項2】
前記光源は、前記スライダに直接搭載されていることを特徴とする請求項1記載の記録ヘッド。
【請求項3】
前記コアの前記入射側端面の形状は、多角形状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の記録ヘッド。
【請求項4】
前記コアの前記入射側端面の形状は、台形状に形成されていることを特徴とする請求項3記載の記録ヘッド。
【請求項5】
前記コアの前記入射側端面の形状は台形状に形成される一方、出射側端面の形状は三角形状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の記録ヘッド。
【請求項6】
前記コアの前記入射側端面は、湾曲部を有していることを特徴とする請求項1または請求項2記載の記録ヘッド。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の記録ヘッドの製造方法であって、
前記スライダ上に前記クラッドのうち、第1クラッドを形成する第1クラッド形成工程と、
前記第1クラッド上に前記コアの母材を形成するコア形成工程と、
前記コアの母材をパターニングするパターニング工程と、
前記第1クラッドとの間で前記コアを挟み込むように、前記クラッドのうち、第2クラッドを形成する第2クラッド形成工程と、を有し、
前記パターニング工程では、
前記コアにおける前記光束の入射側端面の長手方向及び短手方向の長さを、前記コアに入射する光束の長軸方向及び短軸方向の長さに合せてパターニングすることを特徴とする記録ヘッドの製造方法。
【請求項8】
請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の記録ヘッドと、
前記磁気記録媒体の表面に平行な方向に移動可能とされ、前記磁気記録媒体の表面に平行で且つ互いに直交する2軸回りに回動自在な状態で前記記録ヘッドを先端側で支持するサスペンションと、
前記サスペンションの基端側を支持するとともに、前記サスペンションを前記磁気記録媒体の表面に平行な方向に向けて移動させるアクチュエータと、
前記磁気記録媒体を前記一定方向に回転させる回転駆動部と、
前記記録素子及び前記光源の作動を制御する制御部と、を備えていることを特徴とする情報記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−104171(P2012−104171A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249964(P2010−249964)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】