説明

記録媒体の包装体

【課題】本発明の目的は、貯蔵安定性に優れる、特に温度、湿度の変化により記録媒体の水分量を均一に適正な範囲の水分量を保持できる包装体を提供することにある。
【解決手段】本発明に係る包装体は、記録媒体の保存領域を有する包装容器の内部に、吸放湿部材と、該吸放湿部材と前記記録媒体との直接的な接触を遮断する非透湿性のシールド部材と、からなる吸放湿シールド部材を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流環境及び保存環境を経過において記録媒体の性能を維持するための包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式は、インクの微小液滴を種々の動作原理により飛翔させて、紙等の記録媒体に付着させ、画像、文字等の記録を行うものである。このようなインクジェット記録方式において、画像を記録される媒体として、従来、基材とその上にシリカやアルミナ等の無機顔料で細孔を形成したインク受容層とを有する吸収型記録媒体が一般に使用されている。近年、記録装置の性能の向上による記録の高速化、多色カラー化、記録データのデジタル化に伴い、一般家庭で写真、絵画等の画像をインクジェット記録方式で記録を行うようになってきた。また、印字品位の向上に伴い、記録媒体には、搬送性能に関ることとして、カール性や貼り付き防止性等の形状安定性、色彩性能に関わることとしては、高精彩や色再現性等の各種性能が要求されている。そこで、記録媒体のそれらの性能を保持するための包装体に関する検討がなされている。
【0003】
例えば、記録媒体の包装体として、アルミニウム蒸着フィルムが使用されている。アルミニウム蒸着フィルムは、水分の蒸発を抑制する効果があり、また包装体内の保湿効果に有効であり、さらに外部からのガスを遮蔽する効果が高い。
【0004】
ところが、アルミニウム蒸着フィルムを使用した包装体であっても、一度開封して外部環境に内部を開放してしまうと、その包装体内の環境は外部環境と同じ状態になってしまい、記録媒体の状態が変化してしまう。
【0005】
また、包装材料に関して、環境問題の観点から、アルミニウムを蒸着したフィルム材の廃止が望まれてきている。アルミニウム蒸着フィルムは、再利用性の優れたアルミニウムが使用されているにもかかわらず、アルミニウムと樹脂を分離する事が難しいため、ほとんど廃棄することとなり、資源の無駄になっている。
【0006】
一方、特許文献1では、記録媒体と調湿材とを交互に重ね合わせて、記録媒体の記録特性の劣化を防ぐ方法が提案されている。しかし、調湿材が記録媒体と同枚数必要であることから、記録媒体の入り数が増大している現在は、調湿材のコストが高くなってしまう。また、調湿材と記録媒体とを重ね合わせる加工費等でもコストがかかり、包装体全体の総重量・総体積が増大してしまう問題もある。さらに、調湿材が紙類であった場合、消費者が間違ってその調湿材を記録媒体として使用してしまい、記録装置を汚す等の不具合が発生することを避けるために、調湿材であることを印刷等で表示しておく必要がある。また、近年の状況から、調湿材は最終的に廃棄物となるため、ごみの増大という環境上の問題にもなってしまう。
【0007】
特許文献2では、膨潤型記録媒体において、調湿紙、調湿シート、調湿剤等の調湿手段の存在下に包装材内に密封することで水分量を保つ方法を提案されている。しかし、この方法は、膨潤型の記録媒体に限定的に採用されており、その本文には、吸収型の記録媒体は乾燥剤を使用し乾燥される方が好まれると記載されている。また、調湿剤を水がしみ出しにくいような適当なパッケージ、例えば、不透水性だが透湿性のある布等の袋に入れてシート状につぶす等して加工した調湿手段が記載されているが、調湿手段と接触している記録媒体と非接触の記録媒体では同一の状態に保つことができない。
【特許文献1】特開昭60−253582号公報
【特許文献2】特開2001−180757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
記録装置の性能の向上により記録媒体には、種々の性能が要求されている。研究の結果、記録媒体はこれらの要求を満足する性能を備えてきた。
【0009】
しかし、製造時には、その性能を満足しているが、製造から消費者の手元に製品が届くまで、様々な物流環境を経過する。そのため、環境の変化、特に温度、湿度の変化により記録媒体の性状が変化し、性能が低下してしまうことが判明した。例えば、記録媒体の水分量変化により、包装体から取り出した後、記録媒体のカール挙動が異常になり、記録装置での搬送トラブルが発生したり、受容層のインクの吸収性が変化して印字後の色相に振れが生じたりする。
【0010】
また最近は、記録媒体の購入枚数の増大から、一パッケージの入り数も多くなってきており、消費者の手下でも包装体を開封してから長期保管されることが多くなり様々な保管状態により性能の低下が見られることがある。そこで、製造時から使用時までの貯蔵安定性が必要とされている。
【0011】
そこで、本発明の目的は、貯蔵安定性に優れる、特に温度、湿度の変化により記録媒体の水分量を適正な範囲に均一に保持できる包装体を提供することにある。
【0012】
また、近年環境問題から、包装の簡易化が望まれている。しかし、一般的なラップ材・紙材での簡易包装は開封時又は開封後に破損してしまう。破損後は保管用の包装として機能しないため、記録媒体が直接外部環境に曝されることとなり、記録媒体の性能劣化を生じる。
【0013】
そこで、本発明の他の目的は、廃棄物削減及び簡易包装の対策として、再利用可能な構造を有し、別途簡易包装で包装されていた記録媒体を補充して保管できる包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る包装体は、
記録媒体の保存領域を有する包装容器の内部に、
吸放湿部材と、該吸放湿部材と前記記録媒体との直接的な接触を遮断する非透湿性のシールド部材と、を有する吸放湿シールド部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る包装体は、吸放湿部材と記録媒体の間に非透湿性のシールド部材が存在することにより記録媒体が直接吸放湿部材と接触せず、包装体の内部雰囲気を均一に調整できる。したがって、記録媒体中の吸放湿部材と接触している部分と接触していない部分における不均一な湿度具合を解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の包装体は、
記録媒体の保存領域を有する包装容器の内部に、
吸放湿部材と、該吸放湿部材と前記記録媒体との直接的な接触を遮断する非透湿性のシールド部材と、を有する吸放湿シールド部材を有することを特徴とする。
【0017】
本発明は、記録媒体を保存するための包装体であって、吸放湿部材及び非透湿性のシールド部材からなる吸放湿シールド部材を同梱していることを特徴とする包装体である。吸放湿部材と記録媒体の間に非透湿性のシールド部材が存在することにより記録媒体が直接吸放湿部材と接触包装体の内部雰囲気を均一に調整できる。したがって、記録媒体中の吸放湿部材と接触している部分と接触していない部分における不均一な湿度具合を解消することができる。
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明しつつ、本発明について詳細に説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る包装体を示す概念図である。包装体を構成する包装容器1の内部に吸放湿シールド部材5が配置されている。吸放湿シールド部材5は、吸放湿部材4及び非透湿性のシールド部材3を有する。この例では、吸放湿部材4及び非透湿性のシールド部材3が一体化されている。
【0020】
また、図2は、本発明に係る包装体に記録媒体を保存した状態を示す概念断面図である。記録媒体(積層体)2とともに、吸放湿部材4及びシールド部材3を有する吸放湿シールド部材5が同梱されている。この例でも、吸放湿部材4及び非透湿性のシールド部材3が一体化されている。また、記録媒体2は、シールド部材3と接しているが、吸放湿部材4とは接していない。
【0021】
前記吸放湿シールド部材は、前記包装容器と分離可能に構成されていてもよいし、包装容器に接着などにより固定されていてもよく、特に限定されるものではない。分離可能に構成される場合、記録媒体を保存する際には、図2に示すように、シールド部材3が記録媒体2の側にくるように吸放湿シールド部材は同梱される。また、包装容器に吸放湿シールド部材が固定された包装体とする場合は、図3に示すように、シールド部材3が記録媒体を保存する保存領域1’側になるように、吸放湿シールド部材を包装容器に固定する。
【0022】
本発明に係る包装体は、いわゆる紙等の記録媒体の保存に用いられる。特にインクジェット記録方式に用いられる用紙の保存に適している。インクジェット方式用の用紙としては、例えばいわゆる隙間型吸収記録媒体が挙げられる。隙間吸収型記録媒体とは、その表面にインク受容層を有する専用紙であって、主体としてシリカ、アルミナ等の顔料を水溶性バインダーからなる多孔質のコート層によってインクを吸収・固定する用紙である。
【0023】
包装容器は、袋または箱の形態である。また、包装容器の材質は、包装容器として公知のものを用いることができるが、水分の透過性が低い材質が好適である。このような材質としては、特に制限されるものではないが、アルミニウムやポリプロピレン等の樹脂を含む材質製のものが好ましい。また、防湿性に特に優れることから、SiO2あるいはAl23もしくはSiO2及びAl23の複合体を蒸着した樹脂材質であることがより好ましい。また、包装容器には、記録媒体等を出し入れする開口部があり、その開口部は開閉できる構造となっている。例えば開口部にファスナー等を有するチャック式のもの等が好ましく用いられる。
【0024】
吸放湿部材とは、湿度が高い場合は吸湿し、湿度が低い場合には吸着していた水分を放出して、環境の湿度を一定に保つ性質(吸放湿性)を有するものである。このような吸放湿部材を有する吸放湿シールド部材を同梱しているため、包装体内の湿度は、物流環境及び保管環境に置かれても、常に一定の範囲に保たれ、記録媒体の水分量の変化を抑制することができる。
【0025】
この吸放湿部材としては、特に制限されるものではなく、吸放湿性を有する公知の材料を用いることができる。吸放湿部材の材料としては、例えば、木材、木炭、繊維、無機多孔質材料、無機粉末、潮解性のある物質、又は吸水性ポリマー等、またはそれらを加工した部材を用いることができる。このような吸放湿部材としては、市販品が各種利用可能であり、例えば、特殊製紙社のSHCペーパー(商品名)、帝人ファイバー社のベルサニー(商品名)、東洋紡社のモイスファイン(商品名)、ハイウッド社のRHCパルフォーム(商品名)を使用することができる。無機多孔質材料としては、具体的には、例えば、珪藻土、活性白土、セピオライト、アルミナケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、塩化カルシウム、シリカゲル、シリカアルミナゲル、活性アルミナ、合成ゼオライト、天然ゼオライト、ケイ酸カルシウム等の多孔質金属酸化物等が挙げられる。これらの材料を2種以上用いてもよい。
【0026】
シールド部材は、保存する記録媒体と吸放湿部材とが直接接触するのを防ぐ部材である。一般に、吸放湿部材は近いところから湿気を与えたり吸収したりするので、記録媒体が吸放湿部材に接触していると、その接触部分が特に吸放湿部材の影響を受けやすい。したがって、シールド部材により、吸放湿部材と記録媒体との接触を避けることで、吸放湿部材の調湿機能を包装体内部の記録媒体全体に均一に及ばせることができる。
【0027】
シールド部材の材料としては、防水性、防湿性に優れる非透湿性の材料が好適である。したがって、シールド部材の材料としては、例えば、プラスチック、耐水加工した紙類等を挙げることができる。また、プラスチックとしては例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィンのホモポリマーもしくはエチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンの2つ以上からなる共重合体あるいはこれらの混合物、またはポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、セロハン、セルロイドを挙げることができ、防水性、防湿性の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエステル樹脂等を用いることが好ましい。
【0028】
また、シールド部材の厚さとしては、材料によっても変わってくるが、例えば、0.01〜10mmであり、0.5〜5mmがより好ましい。
【0029】
吸放湿シールド部材は、前述のように、前記シールド部材と前記吸放湿部材とから構成される。例えば、シールド部材と吸放湿部材とを接合して一体化することにより作製できる。接合は、例えば超音波溶着、熱溶着又は接着剤等により行うことができる。また、シールド部材に、吸放湿部材の材料を塗布して、吸放湿シールド部材とすることもできる。また、吸放湿部材に、シールド部材の材料を塗布して、吸放湿シールド部材とすることもできる。
【0030】
吸放湿シールド部材の形状は、特に限定されるものではなく、包装容器や記録媒体の形状に合わせて適宜選択することができる。例えば、平板状とすることができ、例えば記録媒体と同面積とすることが好ましい。
【0031】
また、本発明に係る包装体は、吸放湿シールド部材により、保存される記録媒体(特にインクジェット記録方式用の紙)は、包装体の内部環境を、30〜90%RH、特に40〜70%RHに維持することが好ましい。
【0032】
以上のような包装体とすることにより、包装容器1内の湿度が一定に保たれ、同梱されている記録媒体全体の水分量を一定に、且つ均一に保持できる。
【0033】
なお、本発明の包装体は、記録媒体を使い終わった後も別の記録媒体の保管用包装として利用してもよい。吸放湿材は、湿度が高い場合には吸湿し、湿度が低い場合には加湿する材質の部材であるので、ある環境に放置されても性能が失効する事がない。したがって、別途簡易包装で包装されていた記録媒体を、本発明に係る包装体に移し替えて保管することができ、再利用可能であることから、廃棄物削減の効果がある。
【0034】
(第2の実施形態)
次に、図4を参照して、第2の実施形態について詳細に説明する。
【0035】
包装容器は第1の実施形態の包装体と同様である。
【0036】
図4は、2つの吸放湿シールド部材5が、記録媒体の積層体2を2方向(上下方向)から挟み込み、記録媒体2を包装容器1に同梱している概略断面図である。吸放湿部材5は、吸放湿部材4と非透湿性のシールド部材3で構成されていて、シールド部材3と接触していない吸放湿部材4の大部分もしくは一部分が開放されている構造をしている。また、シールド部材3が記録媒体2側になるように吸放湿シールド部材5を配置する。
【0037】
(第3の実施形態)
第3の実施形態として、吸放湿シールド部材の形態について説明する。
【0038】
図5は、吸放湿シールド部材5が、2つの吸放湿性の異なる第1の吸放湿部材4Aと第2の吸放湿材4Bを使用している構成を、詳細に説明するための解体図である。
【0039】
吸放湿性が異なる吸放湿部材とは、例えば吸放湿部材4Aは吸放湿部材4Bよりも吸湿性が高い場合や、逆に吸放湿部材4Bは吸放湿部材4Aよりも放湿性が高い場合等がある。
【0040】
ここで、吸放湿部材は、水分の吸着脱着を行う部材であって、適当な湿度での変曲点を有し、その変曲点よりも高い湿度では吸湿し、それよりも低い湿度では放湿する。したがって、吸放湿性の異なる2つの吸放湿部材を用いた材吸放湿シールド部材とする場合は、変曲点の異なる吸放湿部材を用いることが好ましい。
【0041】
変曲点の異なる2つの吸放湿部材の材料の組み合わせとしては、SHCペーパーと珪藻土、SHCペーパーとシリカゲル、SHCペーパーとRHCパルフォーム、又はシリカゲルと珪藻土等が挙げられる。これらの中でも、SHCペーパーとRHCパルフォームの組み合わせが好ましい。
【0042】
吸放湿性の異なる2つの吸放湿部材を用いた材吸放湿シールド部材は、図5に示すように、吸放湿部材4Aと吸放湿部材4Bの間に隔壁部材6を設ける。隔壁部材6は、吸放湿部材4Aと吸放湿部材4Bの間における湿気の移動を遮断する部材である。隔壁部材を設ける理由は、異なる吸放湿部材を使用するので吸放湿部材間で湿気が移動しやすいめ、吸放湿部材間での湿気の移動を防ぐためである。
【0043】
隔壁部材の材料としては、例えば、プラスチック樹脂、耐水加工した紙類等を挙げることができ、シールド部材の材料と同じ材料を挙げることができる。また、シールド部材と同じ材料を用いて構成されることが好ましい。
【0044】
吸放湿性の異なる2つの吸放湿部材を用いた吸放湿部材は、図5に示すように、吸放湿部材4Aと吸放湿部材4Bを平面に並べ、その間をシールド部材3で遮断するように接合することにより作製できる。また、湿気は包装体内全体に循環するため、吸放湿材4Aと吸放湿材4Bはできるだけ隣接しないように隔壁部材6で遮断するよう接合することが好ましい。このように作製した吸放湿部材をシールド部材と接合することにより、吸放湿シールド部材を作製できる。また、このように作製した吸放湿部材を2つのシールド部材で挟み込むように接合することにより、吸放湿部材の上下面にシールド部材が設けられた吸放湿シールド部材とすることもできる。
【0045】
また、吸放湿部材4Aと吸放湿部材4Bの開口部が離れるようにするためには、図6に示すように、吸放湿部材4Aと隔壁部材6と吸放湿部材4Bとを有する吸放湿部材の側面部を、側面壁部材7で覆うことが好ましい。側面壁部材の材料としては、シールド部材に用いることができる材料と同じものを挙げることができる。また、シールド部材と同じ材料で構成されることが好ましい。
【0046】
図6に示すように、隔壁部材6で吸放湿部材4Aと吸放湿部材4Bを遮断し、吸放湿部材4Aと隔壁部材6と吸放湿部材4Bとを有する吸放湿部材の側面部を側面壁部材7で覆う。さらに記録媒体に接しない反対面の吸放湿部材もシールド部材3で蓋をするように遮断することで、それぞれの吸放湿部材の開口部が対面にある部分開放型の吸放湿シールド部材を作製することができる。
【0047】
また、図7は図6で示した吸放湿シールド部材を使用した場合の好ましい積載方法を説明するための構成概略図である。
【0048】
図7(a)は、図6に示した吸放湿シールド部材で記録媒体(積層体)2を上下方向から挟み込む構成を示す斜視図である。図7(b)は、(a)においてX方向からみた場合の側面を示す概念図である。
【0049】
吸放湿シールド部材5は、上述のように、それぞれ異なる吸放湿材4Aと吸放湿材4Bとを有する。また、記録媒体(積層体)2の上下にある2つの吸放湿シールド部材5において、露出開口している吸放湿部材の種類が、上下で異なるように積層されている。つまり、図7(b)によく表されるように、片方の側面に露出する吸放湿部材の種類が、記録媒体2の上下の吸放湿シールド部材5において異なるように(図では4Aと4B)配置されることが好ましい。
【0050】
この配置構成の目的は、まず、上下2箇所に吸放湿部材が存在している事から、1つよりも効率的に包装体内の湿度を均一にする事ができる。また、吸放湿材の吸放湿性の違いを利用して、図8で示す矢印の方向に、放湿性の高い吸放湿部材(図では4B)から吸湿性の高い吸放湿部材(図では4A)へ湿気の循環が起こり、更に効率的に包装体内の湿度を均一にする事ができる。なお、図8は図7(b)に示すYにおける断面図である。したがって、吸放湿性が異なる2種の吸放湿部材を用いた吸放湿シールド部材を図8に示すように配置することで、湿気の循環が起こり、包装体内の均一化が促進される。したがって、製造時から使用時まで、記録媒体の性能を保持する事が可能となる。
【0051】
本発明の包装体は、吸放湿材が存在しているため、包装体内は常に一定湿度に保とうとする。したがって、一度包装体外に取り出した記録媒体でも、再び包装体内に戻すことで、吸放湿部材の効果により記録媒体の水分量を取り出す前の水分量に戻すことができる。
【0052】
また、本発明の包装体は、吸放湿部材の吸放湿性能が失効する事がないので、収納されている記録媒体を使い終わった後も、別包装の記録媒体の保管用包装として再利用できる。例えば、簡易包装、例えばポリエチレン製、ポリ塩化ビニリデン製等のラップ材で包装されている記録媒体を開封後、該記録媒体を本発明の包装体に保管することで、水分量を一定に保つことができる。これにより、簡易包装体と本発明の包装体とで記録媒体の詰め替え方式が可能になり、廃棄物削減効果があり、環境対応型包装体となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明における包装体の概略断面図である。
【図2】本発明に係る包装体に記録媒体を保存した状態を示す概念断面図である。
【図3】包装容器に吸放湿シールド部材が固定された包装体を表す概略断面図である。
【図4】吸放湿シールド部材を2つ用い、その間に記録媒体を保存した状態を表す概略断面図である。
【図5】吸放湿シールド部材の構成例を表す分解斜視図である。
【図6】吸放湿シールド部材の構成例を表す分解斜視図である。
【図7】図6に示した吸放湿シールド部材で記録媒体(積層体)2を上下方向から挟み込む構成を示す図である((a)斜視図、(b)概略断面図)。
【図8】図7(b)に示すYにおける概略断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 包装容器
1' 保存領域
2 記録媒体(積層体)
3 シールド部材
4 吸放湿部材
5 吸放湿シールド部材
6 隔壁部材
7 側面壁部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の保存領域を有する包装容器の内部に、
吸放湿部材と、該吸放湿部材と前記記録媒体との直接的な接触を遮断する非透湿性のシールド部材と、を有する吸放湿シールド部材を有することを特徴とする包装体。
【請求項2】
前記吸放湿シールド部材は、前記吸放湿部材と前記シールド部材が一体化されていることを特徴とする請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記吸放湿シールド部材は、前記シールド部材が前記保存領域に向くように前記包装容器の内部に固定されていることを特徴とする請求項2に記載の包装体。
【請求項4】
前記シールド部材はプラスチックから構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の包装体。
【請求項5】
前記吸放湿シールド部材は、前記保存領域にある記録媒体を2方向から挟み込む構成を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の包装体。
【請求項6】
前記吸放湿シールド部材は、前記保存領域に面していない反対面にもシールド部材を有することを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の包装体。
【請求項7】
前記吸放湿部材と前記シールド部材の形状は平板状であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の包装体。
【請求項8】
前記吸放湿シールド部材は、吸放湿性の異なる吸放湿部材を少なくとも2種以上と、それらの吸放湿部材の間における湿気の移動を遮断する隔壁部材とを有して構成されていることを特徴とする請求項7に記載の包装体。
【請求項9】
前記吸放湿部材は、各々吸放湿性の異なる第1の吸放湿部材と第2の吸放湿部材とを平面に横並びに配置し、それらの吸放湿部材の間における湿気の移動を前記隔壁部材で遮断する構成を有することを特徴とする請求項8に記載の包装体。
【請求項10】
前記吸放湿シールド部材は、前記吸放湿部材の上下の面に前記シールド部材を設けた構成であることを特徴とする請求項9に記載の包装体。
【請求項11】
前記前記吸放湿シールド部材は、前記第1の吸放湿部材と前記隔壁部材と前記第2の吸放湿部材とからなる側面に側面壁部材を設けた構成を有することを特徴とする請求項10に記載の包装体。
【請求項12】
前記吸放湿シールド部材を2つ有し、
該吸放湿シールド部材は、前記保存領域の上下に、かつ側面に現れる吸放湿部材が2つの吸放湿シールド部材で異なるように配置されていることを特徴とする請求項11に記載の包装体。
【請求項13】
前記記録媒体はインクジェット記録方式用の記録媒体である請求項1乃至12のいずれかに記載の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−6381(P2010−6381A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164487(P2008−164487)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】