説明

記録媒体及び画像形成装置

【課題】本発明における赤外吸収画像上に本発明における散乱画像を形成しない場合に比べて、赤外吸収画像における400nm以上500nm以下の波長領域の色の遮蔽性が向上された記録媒体を提供する。
【解決手段】記録媒体10は、基材12上に、基材12上に設けられ、カーボンブラックを除く有機赤外吸収色材を含む第1記録材料によって形成された赤外吸収画像14と、該赤外吸収画像14を覆うように設けられ、体積平均粒径100nm以上400nm以下の散乱体16Bを含む第2記録材料によって形成された散乱画像16と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、600nm〜1000nmの光の透過率が60%以上である基材上に、カーボンブラックからなるブラックインキからなるブラックインキ層と、該ブラックインキ層を覆うように形成されたホワイトインキ層とからなり、3層が重なる部分の600〜1000nmの光の透過率が20〜50%の記録媒体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−95968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、本発明における赤外吸収画像上に本発明における散乱画像を形成しない場合に比べて、赤外吸収画像における400nm以上500nm以下の波長領域の色の遮蔽性が向上された記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、基材と、前記基材上に設けられ、カーボンブラックを除く有機赤外吸収色材を含む第1記録材料によって形成された赤外吸収画像と、前記赤外吸収画像を覆うように設けられ、体積平均粒径200nm以上400nm以下の散乱体を含む第2記録材料によって形成された散乱画像と、を備えた記録媒体である。
【0006】
請求項2に係る発明は、前記基材が、白色である請求項1に記載の記録媒体である。
請求項3に係る発明は、前記散乱画像が白色である請求項1または請求項2に記載の記録媒体である。
請求項4に係る発明は、前記有機赤外吸収色材が、下記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素である請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の記録媒体である。
【0007】
【化1】

【0008】
請求項5に係る発明は、前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素が、Cuターゲットで波長1.5405ÅのX線照射により測定される粉末X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が少なくとも17.7°,19.9°,22.1°,23.2°,24.9°に回折ピークを示す請求項4に記載の記録媒体である。
【0009】
請求項6に係る発明は、基材上に、カーボンブラックを除く有機赤外吸収色材を含む第1記録材料によって赤外吸収画像を記録する第1の記録装置と、前記赤外吸収画像を覆うように、体積平均粒径200nm以上400nm以下の散乱体を含む第2記録材料によって散乱画像を記録する第2の記録装置と、を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、本発明における赤外吸収画像上に本発明における散乱画像を形成しない場合に比べて、赤外吸収画像における400nm以上500nm以下の波長領域の色の遮蔽性が向上される。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、基材が白色ではない場合に比べて、赤外吸収画像の不可視性が向上される。
請求項3に係る発明によれば、散乱画像が白色ではない場合に比べて、赤外吸収画像の不可視性が更に向上される。
【0012】
請求項4に係る発明によれば、有機赤外吸収色材が、本発明におけるペリミジン系スクアリリウム色素ではない場合に比べて、赤外吸収画像の耐光性が向上される。
【0013】
請求項5に係る発明によれば、有機赤外吸収色材が、本発明におけるペリミジン系スクアリリウム色素ではない場合に比べて、赤外吸収画像の耐光性がさらに向上される。
【0014】
請求項6に係る発明によれば、本発明における赤外吸収画像上に本発明における散乱画像を形成しない場合に比べて、赤外吸収画像における400nm以上500nm以下の波長領域の色の遮蔽性が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態に係る記録媒体の一例を示す模式図である。
【図2】本実施の形態に係る記録媒体における、積層画像の形成された領域の断面の一例を示す模式図である。
【図3】本実施の形態に係る記録媒体における、積層画像の形成された領域の断面の一例を示す模式図である。
【図4】本実施の形態の画像形成装置の一例を示す模式図である。
【図5】本実施の形態に係る画像形成装置における画像処理装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図6】画像形成装置で実行される処理を示すフローチャートである。
【図7】実施例において、赤外吸収色材1として調製した、構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素のテトラヒドロフラン溶液中の可視近赤外吸収スペクトルを示す線図である。
【図8】実施例において調製した、赤外吸収色材1の粒子((A)粒子)及び原料のX線回折スペクトルを示す線図である。
【図9】実施例において、赤外吸収色材1の粒子として調製した(A)粒子、及び赤外吸収色材2の粒子として調製した(B)粒子の、X線回折スペクトルを示す線図である。
【図10】実施例において、赤外吸収色材として調製した、(A)粒子、(B)粒子、(C)粒子、及び(D)粒子のラテックスパッチの可視近赤外吸収スペクトルを示す線図である。
【図11】実施例において、赤外吸収色材として調製した、(A)粒子、(B)粒子、(C)粒子、及び(D)粒子のラテックスパッチの耐光性を示す線図であり、照射時間と、反射率との関係を示す線図である。
【図12】実施例において、赤外吸収色材として調製した各色材の、400nm以上1100nm以下の波長領域の光に対する反射率を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
(記録媒体)
図1に示すように、本実施の形態の記録媒体10は、基材12上に、積層画像18が形成されている。この積層画像18は、図2に示すように、基材12上に設けられた赤外吸収画像14上に、該赤外吸収画像14を覆うように散乱画像16の設けられた構成とされている。
【0018】
なお、本実施の形態における記録媒体10が、本発明の記録媒体に相当し、赤外吸収画像14が、本発明の記録媒体における赤外吸収画像に相当する。また、散乱画像16が、本発明の記録媒体における散乱画像に相当する。
【0019】
基材12は、積層画像18の形成される部材であればよく、例えば、記録用紙、プラスチック板、OHPシート(オーバーヘッド用プロジェクター用のフィルム)等が挙げられる。中でも、積層画像18における、詳細を後述する赤外吸収画像14の不可視性の向上の観点から、白色の基材12を用いることが望ましい。
【0020】
基材12上に形成される赤外吸収画像14は、赤外吸収性を有する画像であり、カーボンブラックを除く有機赤外吸収色材を含む第1記録材料によって形成されている(詳細後述)。
【0021】
なお、本実施の形態では、「赤外吸収性を有する」とは、該第1記録材料によって印字被覆率100%の画像を形成したときの赤外吸収画像14(散乱画像16によって被覆されていない状態)に対して、赤外光(700nm以上900nm以下の波長領域の光)を照射したときの反射率が、該赤外光の波長領域の内の少なくとも何れかの波長において80%以下であることを示している。
【0022】
この赤外吸収画像14は、赤外光を照射してその反射光を受光することで読取られる。具体的には、赤外吸収画像14は、赤外光を照射する半導体レーザまたは発光ダイオードを光学読取り用の光源として用い、赤外光に対して高い分光感度を有する汎用の受光素子を使用することによって読み出される。受光素子としては、例えばシリコンによる受光素子(CCD(Charge Coupled Device)等)が挙げられる。
【0023】
なお、この赤外吸収画像14は、赤外光によって読取られる画像であればよく、所定の情報を符号化して2値画像化したコードパターンや、文字、数字、及び記号(三角印や星印等)等であってもよい。また、このコードパターンとしては、ドットの集合体や、バーコードや、QRコード(マトリックス型二次元バーコード)等が挙げられる。
【0024】
なお、本実施の形態では、赤外吸収画像14は、図1に示すように、基材12の全領域のうちの一部の領域にのみ形成されている場合を説明するが、基材12上に形成されていればよく、このような形態に限られない。例えば、赤外吸収画像14は、基材12の全領域に渡って形成されていてもよく、形成される基材12上の位置、領域、及び範囲は限定されない。
【0025】
ここで、この赤外吸収画像14は、「不可視」の画像であることが望ましい。なお、「不可視」とは、可視光において、目視により認識されにくい、理想的には視認されない(即ち、不可視である)ことを意味する。具体的には、基材12上に形成された赤外吸収画像14と、基材12との色差ΔEが、16未満とされていることを不可視であるとする。
【0026】
この赤外吸収画像14の形成に用いられる、第1記録材料に含まれる、カーボンブラックを除く有機赤外吸収色材の含有量や、第1記録材料によって形成される赤外吸収画像14の印字被覆率等によって、可視の状態となる場合がある。すなわち、第1記録材料に含まれる、該有機赤外吸収色材の含有量が多くなるほど、また、赤外吸収画像14の印字被覆率が高くなるほど、可視の状態となりやすくなる場合があると考えられる。
なお、「可視」とは、可視光において目視により色または形状等が認識されることを示している。具体的には、可視の画像とは、基材12上に形成された赤外吸収画像14と、基材12との色差ΔEが16以上であることを示している。
【0027】
特に、第1記録材料に含まれる色材として、カーボンブラックを除く有機赤外吸収色材を用いた場合に、該第1記録材料に含まれる色材の含有量や、該第1記録材料によって形成される画像の印字被覆率によっては、基材12として、白色の基材12が用いた場合には特に、波長400nm以上500nm以下の波長領域の色が視認される場合があった。
【0028】
そこで、本実施の形態の記録媒体10では、基材12上に形成された赤外吸収画像14を覆うように、散乱画像16が形成されている。この散乱画像16は、図3に示すように、体積平均粒径200nm以上400nm以下の散乱体16Aを含む第2記録材料によって形成された画像である。
【0029】
本実施の形態の記録媒体10では、赤外吸収画像14が、この散乱画像16によって覆われていることから、波長400nm以上500nm以下の波長領域の光(図3中、矢印L参照)が、この散乱画像16における散乱体16Aによって散乱されると考えられる。すなわち、散乱体16Aの体積平均粒径が200nm以上であることから、波長400nm以上500nm以下の波長領域の光が散乱されると考えられる。このため、散乱画像16によって、散乱画像16より基材12側に設けられた赤外吸収画像14における、波長400nm以上500nm以下の波長領域の色が遮蔽されると考えられる。
また、散乱画像16に含まれる散乱体16Aの体積平均粒径は、400nm以下であることから、赤外光(図3中、矢印L参照)は、散乱画像16を透過して赤外吸収画像14に到るため、赤外吸収画像14の赤外光による読取り精度の低下も抑制されると考えられる。
そして、さらに、基材12として白色の基材12を用いれば、散乱画像16によって、赤外吸収画像14の不可視性が向上すると考えられる。
また、さらに、散乱画像16が白色であれば、赤外吸収画像14の不可視性が更に向上すると考えられる。なお、「散乱画像16が白色である」とは、散乱画像16における可視領域の波長の光に対する最低反射率が90%以上であることを示す。
【0030】
なお、この散乱画像16による、赤外吸収画像14における400nm以上500nm以下の波長領域の色の遮蔽性を、本実施の形態における構成を用いない場合に比べて向上させつつ、且つ赤外吸収画像14の赤外光による読取り精度の低下を防止するには、散乱体16Aの体積平均粒径を上記範囲内で調整したり、散乱画像16における散乱体16Aの濃度や、散乱体16Aの種類や、散乱画像16による画像被覆率(印字率)等を調整したり、これらを組み合わせて調製したりすることで実現される。
【0031】
散乱画像16に含まれる散乱体16Aの体積平均粒径は、上述のように、200nm以上400nm以下であることが必須であるが、波長400nm以上500nm以下の波長領域の光に対する十分な散乱能力の観点から、望ましくは、200nm以上300nm以下の範囲が挙げられ、更に望ましくは、210nm以上265nm以下の範囲が挙げられる。
【0032】
なお、散乱体16Aの体積平均粒径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700:堀場製作所製)を用いて測定される。測定法としては分散液となっている状態の試料を固形分で約2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、約40mlにする。これをセルに適当な濃度になるまで投入し、約2分待って、セル内の濃度がほぼ安定になったところで測定する。得られたチャンネルごとの体積平均粒径を、体積平均粒径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒径(体積平均粒径D50)とする。
【0033】
この散乱体16Aとしては、酸化チタン、亜鉛華、鉛白、硫化亜鉛等の無機顔料や、ポリメタクリル酸メチル系架橋物やアルキレンビスメラミン誘導体N−N’−ビス(4,6ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)エチレンジアミン等の微粒子である有機の白色顔料や、気泡等が挙げられる。
【0034】
これらの中でも、屈折率が高く、少量でも散乱能力が高い理由から、散乱体16Aとしては、酸化チタンを用いることが望ましい。
【0035】
なお、散乱体16Aの体積平均粒径を、上記範囲に調整するためには、散乱体16Aとして無機顔料を用いた場合には、ビーズミルやアトライター等の粉砕加工条件を変えることによって調整すればよい。また、散乱体16Aとして、有機の白色顔料を用いた場合には、乳化重合などの一般的な微粒子高分子の造粒手段を取り、その反応条件を変えることによって体積平均粒径を上記範囲に調整すればよい。また、散乱体16Aとして、気泡を用いる場合には、媒体中で発泡作用させる試薬の量を変えることによって、体積平均粒径を上記範囲に調整すればよい。
【0036】
この散乱画像16中に含まれる散乱体16Aの含有量は、目視で白色が確認される含有量であればよく、散乱体16Aの種類や体積平均粒径によっても異なるが、例えば、第2記録材料の全質量(100質量%)に対して、5質量%以上40質量%以下が望ましく、20質量%以上35質量%以下が更に望ましい。
【0037】
第2記録材料に含まれるその他の材料としては、紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤の総含有量は、第2記録材料によって形成された赤外吸収画像の上述した波長400nm以上500nm以下の波長領域の光の散乱効果が損なわれない範囲であればよく、具体的には、第2記録材料の全質量(100質量%)に対して、5質量%以上40質量%以下が挙げられる。
【0038】
この第2記録材料は、電子写真方式の画像形成装置に用いられるトナーとして構成されてもよいし、インクジェットプリンターのインク(液滴)として構成されていてもよい。
【0039】
第2記録材料が、電子写真方式の画像形成装置に用いられるトナーである場合には、本実施の形態に係る第2記録材料は、1成分現像剤として単独で用いても、あるいはキャリアと組み合わせた2成分現像剤として用いてもよい。キャリアとしては、公知のキャリアが用いられ、例えば、芯材上に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリアが挙げられる。この樹脂被覆層には導電粉等が分散されていてもよい。
【0040】
また、第2記録材料が、電子写真方式の画像形成装置に用いられるトナーである場合、第2記録材料には結着樹脂が含有される。使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体あるいは共重合体が例示され、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等も結着樹脂として使用される。
【0041】
また、第2記録材料が、電子写真方式の画像形成装置に用いられるトナーである場合、第2記録材料には、帯電制御剤や、オフセット防止剤等を更に含有してもよい。帯電制御剤としては正帯電用のものと負帯電用のものがあり、正帯電用には、第4級アンモニウム系化合物がある。また、負帯電用には、アルキルサリチル酸の金属錯体、極性基を含有したレジンタイプの帯電制御剤等が挙げられる。オフセット防止剤としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等が挙げられる。
【0042】
また、第2記録材料が、電子写真方式の画像形成装置に用いられるトナーである場合、流動性、粉体保存性の向上、摩擦帯電制御、転写性能、クリーニング性能向上等のために、無機粒子あるいは有機粒子を外添剤としてトナー表面に添加してもよい。無機粒子としては、公知のもの、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、酸化セリウム等が挙げられる。また目的に応じて無機粒子に公知の表面処理を施してもよい。また、有機粒子としては、フッ化ビニリデン、メチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート等を構成成分とする乳化重合体、あるいはソープフリー重合体等が挙げられる。
【0043】
一方、第2記録材料が、インクジェットプリンターで用いられるインクである場合、第2記録材料としては、水を含有する水性インクとしての態様が挙げられる。また、本実施の形態の第2記録材料には、インクの乾燥防止及び浸透性を向上させるために、水溶性の有機溶剤を更に含有させてもよい。水としては、イオン交換水、限外濾過水、純水等が挙げられる。また、有機溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、N−アルキルピロリドン類、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール類、メタノール、ブタノール、フェノールのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物等のグリコールエーテル類等が挙げられる。使用される有機溶媒は1種類でも2種類以上でもよい。インクジェットプリンターで用いられるインク中の有機溶媒の含有率としては、1質量%以上60質量%以下が挙げられる。
【0044】
また、本実施の形態に係る第2記録材料が、インクジェットプリンターで用いられるインクである場合、インクジェットプリンターのシステムに要求される諸条件を満たすために、第2記録材料には、インクの成分として従来知られている添加物が含有される。この添加物としては、pH調製剤、比抵抗調製剤、酸化防止剤、防腐剤、防カビ剤、金属封鎖剤等が挙げられる。pH調整剤としては、アルコールアミン類、アンモニウム塩類、金属水酸化物等が挙げられる。また、比抵抗調製剤としては、有機塩類、無機塩類が挙げられる。金属封鎖剤としては、キレート剤等が挙げられる。
【0045】
本実施の形態に係る第2記録材料が、インクジェットプリンターで用いられるインクである場合、噴封ノズル部の閉塞やインク吐出方向の変化等が生じない程度に、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、スチレン−アクリル酸樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂等の水溶性樹脂を含有させてもよい。
【0046】
また、本実施の形態に係る第2記録材料が、活版印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、又はシルク印刷用のインクである場合、第2記録材料は、ポリマーや有機溶剤を含有する油性インクの態様とすればよい。ポリマーとしては、一般的には、蛋白質、ゴム、セルロース類、シエラック、コパル、でん粉、ロジン等の天然樹脂;ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等の熱可塑性樹脂;レゾール型フェノール樹脂尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。また、有機溶媒としては、上記インクジェットプリンター用インクの説明において例示された有機溶媒が挙げられる。
【0047】
また、本実施の形態に係る第2記録材料が、活版印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、又はシルク印刷用のインクである場合、第2記録材料は、印刷皮膜の柔軟性や強度を向上させるための可塑剤、粘度調整、乾燥性向上のための溶剤、乾燥剤、粘度調整剤、分散剤、各種反応剤等の添加剤を更に含有させてもよい。
【0048】
すなわち、散乱画像16は、上記第2記録材料から構成されたトナーによって形成された画像であってもよいし、該第2記録材料から構成された液滴によって形成された画像であってもよい。この第2記録材料から構成されたトナーによって散乱画像16を形成する場合には、散乱画像16を形成する画像形成装置としては、例えば、トナーを用いて画像形成を形成する、電子写真方式の画像形成装置が挙げられる。一方、第2記録材料から構成された液滴によって散乱画像16を形成する場合には、散乱画像16を形成する画像形成装置としては、液滴を吐出することで画像を形成する、インクジェット方式の画像形成装置が挙げられる。
【0049】
一方、赤外吸収画像14を形成する第1記録材料としては、色材として、カーボンブラックを除く有機赤外吸収色材を含む構成であればよい。
この有機赤外吸収色材としては、赤外吸収性を有し、かつカーボンブラックを除く有機赤外吸収色材であればよいが、例えば、ナフタロシアニンや、下記構造式(1)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素が挙げられる。
【0050】
これらの中でも、散乱画像16が赤外吸収画像14における波長400nm以上500nm以下の領域の色を遮蔽し、且つ散乱画像16の薄膜化が実現される観点から、該赤外吸収画像14を形成する第1記録材料に含まれる有機赤外吸収色材としては、下記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を用いることが、望ましい。
【0051】
【化2】



【0052】
前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、他の不可視の画像に用いられる色素に比べて耐光性が高い。この理由としては、前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は他の不可視の画像に用いられる色素に比べて結晶性が高く、バインダー樹脂への溶解性が低い。このため、光の照射によって光エネルギーを吸収することによる分子内の結合の切断が抑制されると考えられる。
【0053】
上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、上述のように、従来用いられていた赤外吸収画像に用いられる色素に比べて結晶性が高いが、具体的には、Cuターゲットで波長1.5405ÅのX線照射により測定される粉末X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、少なくとも9.9°,13.2°,19.9°,20.8°,23.0°に回折ピークを示すものや、少なくとも17.7°、19.9°、22.1°、23.2°、24.9°に回折ピーク示すもの、8.9,17.1,18.4,22.6,24.2に回折ピークを示すもの等が挙げられる。
中でも、上記17.7°、19.9°、22.1°、23.2°、24.9°に回折ピーク示すものが、耐光性の観点から良い。
【0054】
なお、上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、400nm以上750nm以下の可視光波長領域における吸光能力が十分に低く、かつ、750nm以上1000nm以下の近赤外光波長領域における吸光能力が十分に高いものである。
【0055】
この「吸光能力が十分に低い」とは、400nm以上450nmまでの可視光波長領域における溶液のモル吸光係数が少なくとも8100M−1cm−1以下であり、450nm以上650nmまでの可視光波長領域における溶液のモル吸光係数が少なくとも3400M−1cm−1以下であり、650nm以上690nmまでの可視光波長領域における溶液のモル吸光係数が少なくとも8800M−1cm−1以下であり、690nm以上750nmまでの可視光波長領域における溶液のモル吸光係数が少なくとも37000M−1cm−1以下であることを示している。
【0056】
また、「吸光能力が十分に高い」とは、750nm以上1000nm以下の近赤外光波長領域の全領域における溶液のモル吸光係数の極大値が少なくとも1.5×10−1cm−1以上であることを示している。
【0057】
このため、上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を含有する第1記録材料によって形成された赤外吸収画像14は、可視光による不可視性と、赤外光による読み取りやすさとが両立されていると考えられる。
【0058】
なお、本実施の形態に係る赤外吸収画像14を形成する第1記録材料は、下記式(II)及び(III)で表される条件を満たすことが良い。
【0059】
0≦ΔE≦16 式(II)
(100−R)≧75 式(III)
【0060】
上記式(II)中、ΔEは下記式(IV)で表されるCIE1976L*a*b*表色系における色差を示し、式(III)中、R(単位:%)は赤外吸収画像14における波長850nmの赤外線反射率を示す。
【0061】
【数1】



【0062】
上記式(II)及び(III)で表される条件を満たすことで、第1記録材料の色味によらず、赤外吸収画像14の不可視性と赤外光による取りやすさとが両立されると考えられる。また、耐光性の高さから、赤外吸収画像14の長期の信頼性が期待される。
【0063】
なお、上記式(IV)中、L、a、bは、各種画像の形成されていない基材12の表面のL値、a値、およびb値を示し、L、a、bは、それぞれ上記の第1記録材料を用いて付着量4g/mの赤外吸収画像14を基材12上に形成した時の、該赤外吸収画像におけるL値、a値、およびb値を示す。
【0064】
なお、上記式(IV)中、L、a、b、L、a、bは、反射分光濃度計を用いて得られる。本実施の形態においては、L、a、b、L、a、bは、反射分光濃度計としてエックスライト株式会社製、x−rite939を用いて測定された値である。
【0065】
上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、例えば以下の反応スキームに従って得られる。
【0066】
【化3】



【0067】
より具体的には、触媒の存在下で、1,8−ジアミノナフタレンと、3,5−ジメチルシクロヘキサノンとを、溶媒中で共沸還流の条件で反応させることにより、ペリミジン中間体(a)が得られる((A−1)工程)。
【0068】
前記(A−1)工程に使用する触媒としては、p−トルエンスルホン酸一水和物、ベンゼンスルホン酸一水和物、4−クロロベンゼンスルホン酸水和物、ピリジン−3−スルホン酸、エタンスルホン酸、硫酸、硝酸、酢酸などが挙げられる。また、前記(A−1)工程に使用する溶媒としては、アルコール、芳香族炭化水素などが挙げられる。ペリミジン中間体(a)は高速カラムクロマトグラフィーまたは再結晶により精製される。
【0069】
次に、ペリミジン中間体(a)と、3,4−ジヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオン(「スクアリン酸」又は「四角酸」とも呼ばれる)と、を、溶媒中で共沸還流の条件で反応させることにより、前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素が得られる((A−2)工程)。該(A−2)工程は、窒素ガス雰囲気で行うことが望ましい。
【0070】
前記(A−2)工程に使用する溶媒としては、1−プロパノ−ル、1−ブタノール、1−ペンタノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン等の芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類が用いられる。また、アルコール類は単独で使用してもよいが、芳香族炭化水素、エーテル類、ハロゲン化炭化水素またはアミド類などの溶媒はアルコール類溶媒と混合して使用することが望ましい。溶媒としては、具体的には、1−プロパノ−ル、2−プロパノ−ル、1−ブタノール、2−ブタノール、1−プロパノ−ルとベンゼンの混合溶媒、1−プロパノ−ルとトルエンの混合溶媒、1−プロパノ−ルとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒、2−プロパノ−ルとベンゼンの混合溶媒、2−プロパノ−ルとトルエンの混合溶媒、2−プロパノ−ルとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒、1−ブタノールとベンゼンの混合溶媒、1−ブタノールとトルエンの混合溶媒、1−ブタノ−ルとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒、2−ブタノールとベンゼンの混合溶媒、2−ブタノールとトルエンの混合溶媒、2−ブタノ−ルとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒が挙げられる。混合溶媒を使う場合、アルコール類溶媒の濃度は、1容量%以上、または5容量%以上75容量%以下が望ましい。
【0071】
また、前記(A−2)工程において、3,4−ジヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオンに対するペリミジン誘導体(a)のモル比(ペリミジン誘導体(a)のモル数/3,4−ジヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオンのモル数)は、1以上4以下、または1.5以上3以下が挙げられる。当該モル比が1未満の場合には前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の収率が低下する場合があり、また、4を超えるとペリミジン誘導体(a)の利用効率が悪くなって、前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の分離・精製が困難となる場合がある。
【0072】
更に、前記(A−2)工程は、脱水剤を用いると反応時間が短縮し、また、前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の収率が向上する傾向にある。脱水剤としては、ペリミジン中間体(a)及び3,4−ジヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオンと反応しないものであれば特に制限されないが、オルト蟻酸トリメチル、オルト蟻酸トリエチル、オルト蟻酸トリプロピル、オルト蟻酸トリブチルなどのオルト蟻酸エステル、モレキュラーシーブ等が挙げられる。
【0073】
前記(A−2)工程における反応温度は使用する溶媒の種類によって異なるが、反応液の温度としては60℃以上、または75℃以上である。例えば、1−ブタノールとトルエンの混合溶媒を用いる場合には、反応液の温度が75℃以上105℃であることが良い。
【0074】
また、前記(A−2)工程における反応時間は、溶媒の種類又は反応液の温度によって異なるが、例えば1−ブタノールとトルエンの混合溶媒を用いて反応液の温度を90℃以上105℃以下として反応させる場合、反応時間は2時間以上4時間以下が挙げられる。
【0075】
前記(A−2)工程で生成した前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、溶媒洗浄、高速カラムクロマトグラフィーまたは再結晶により精製される。
【0076】
本実施の形態の記録媒体10において、上記赤外吸収画像14を記録する第1記録材料に含まれる、前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、顔料化処理を行うことが良いが、顔料化処理を行うと結晶系が変化しやすいと考えられる。
そのため、顔料化処理の方法及び処理条件は、顔料化処理前のペリミジン系スクアリリウム色素粒子(原料)の結晶系の変換が抑制されるように調整することが望ましい。すなわち、ペリミジン系スクアリリウム色素粒子のX線回折ピークを示すように調整されることが望ましい。具体的には、ペリミジン系スクアリリウム色素では、Cuターゲットで波長1.5405ÅのX線照射により測定される粉末X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、少なくとも17.7°、19.9°、22.1°、23.2°、24.9°に回折ピークを示すものが良いため、顔料化処理後のペリミジン系スクアリリウム色素が、該回折ピークを示すように調整されることが、耐光性向上の観点から望ましい。
【0077】
顔料化方法としては、例えば、構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液とを混合し、その混合液について顔料化処理を行う方法が挙げられる。混合液には、必要に応じて水を加えて濃度を調節してもよい。また、顔料化処理に使用する装置としては、ビーズミル加工装置が挙げられる。
【0078】
本実施の形態において、赤外吸収画像14を構成する第1記録材料は、上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を、粒子として含有することがよい。該構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、従来用いられていた不可視画像に用いられる色素に比べて、分子間相互作用が大きく、また、それらの粒子は結晶性が高い。このため、粒子状の上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を第1記録材料に含有させることで、従来用いられていた不可視の画像に用いられる色素に比べて、赤外発色能力及び耐光性がより高められると考えられる。
【0079】
上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の粒子は、例えば(A−2)工程後の精製物をテトラヒドロフランに溶かして、その溶液を、注射器等を用いて、氷冷した蒸留水に撹拌しながら注入して沈殿物を生成させ、その沈殿物を吸引濾過により濾取し、蒸留水で洗浄した後、真空乾燥することによって得られる。このとき、溶液中における上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の濃度、溶液の注入速度、蒸留水の量又は温度、撹拌速度等を調整することにより、得られる沈殿物の粒子径が調整される。
【0080】
上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の粒子のメジアン径d50としては、10nm以上300nm以下や、20nm以上200nm以下が挙げられる。
上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の粒子のメジアン径d50が上記範囲内であると、耐光性の低下が抑制され、且つ赤外発色能力が向上すると考えられる。
【0081】
なお、粒子化およびメヂアン径の制御のための上記処理は、上記顔料化処理の前後のいずれで行ってもよい。
【0082】
本実施の形態において、赤外吸収画像14を構成する第1記録材料には、該第1記録材料及び該第1記録材料によって形成される不可視の赤外吸収画像14が「不可視」であれば、上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素以外の成分が更に含有されていてもよいが、該第1記録材料に含まれる上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の含有量は、例えば、第1記録材料の全質量(100質量%)に対して、0.05質量%以上3質量%以下、または0.1質量%以上2質量%以下である。
【0083】
第1記録材料が、電子写真方式の画像形成装置に用いられるトナーである場合には、本実施の形態に係る記録材料は、1成分現像剤として単独で用いても、あるいはキャリアと組み合わせた2成分現像剤として用いてもよい。キャリアとしては、公知のキャリアが用いられ、例えば、芯材上に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリアが挙げられる。この樹脂被覆層には導電粉等が分散されていてもよい。
【0084】
また、第1記録材料が、電子写真方式の画像形成装置に用いられるトナーである場合、記録材料には結着樹脂が含有される。使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体あるいは共重合体が例示され、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等も結着樹脂として使用される。
【0085】
また、第1記録材料が、電子写真方式の画像形成装置に用いられるトナーである場合、記録材料には、帯電制御剤や、オフセット防止剤等を更に含有してもよい。帯電制御剤としては正帯電用のものと負帯電用のものがあり、正帯電用には、第4級アンモニウム系化合物がある。また、負帯電用には、アルキルサリチル酸の金属錯体、極性基を含有したレジンタイプの帯電制御剤等が挙げられる。オフセット防止剤としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等が挙げられる。
【0086】
また、第1記録材料が、電子写真方式の画像形成装置に用いられるトナーである場合、流動性、粉体保存性の向上、摩擦帯電制御、転写性能、クリーニング性能向上等のために、無機粒子あるいは有機粒子を外添剤としてトナー表面に添加してもよい。無機粒子としては、公知のもの、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、酸化セリウム等が挙げられる。また目的に応じて無機粒子に公知の表面処理を施してもよい。また、有機粒子としては、フッ化ビニリデン、メチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート等を構成成分とする乳化重合体、あるいはソープフリー重合体等が挙げられる。
【0087】
一方、第1記録材料が、インクジェットプリンターで用いられるインクである場合、記録材料としては、水を含有する水性インクとしての態様が挙げられる。また、本実施の形態の記録材料には、インクの乾燥防止及び浸透性を向上させるために、水溶性の有機溶剤を更に含有させてもよい。水としては、イオン交換水、限外濾過水、純水等が挙げられる。また、有機溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、N−アルキルピロリドン類、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール類、メタノール、ブタノール、フェノールのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物等のグリコールエーテル類等が挙げられる。使用される有機溶媒は1種類でも2種類以上でもよい。有機溶媒は、吸湿性、保湿性、本実施形態に係るペリミジン系スクアリリウム色素の溶解度、浸透性、インクの粘度、氷点等を考慮して適宜選択される。インクジェットプリンターで用いられるインク中の有機溶媒の含有率としては、1質量%以上60質量%以下が挙げられる。
【0088】
また、本実施の形態に係る第1記録材料が、インクジェットプリンターで用いられるインクである場合、インクジェットプリンターのシステムに要求される諸条件を満たすために、記録材料には、インクの成分として従来知られている添加物が含有される。この添加物としては、pH調製剤、比抵抗調製剤、酸化防止剤、防腐剤、防カビ剤、金属封鎖剤等が挙げられる。pH調整剤としては、アルコールアミン類、アンモニウム塩類、金属水酸化物等が挙げられる。また、比抵抗調製剤としては、有機塩類、無機塩類が挙げられる。金属封鎖剤としては、キレート剤等が挙げられる。
【0089】
本実施の形態に係る第1記録材料が、インクジェットプリンターで用いられるインクである場合、噴封ノズル部の閉塞やインク吐出方向の変化等が生じない程度に、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、スチレン−アクリル酸樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂等の水溶性樹脂を含有させてもよい。
【0090】
また、本実施の形態に係る第1記録材料が、活版印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、又はシルク印刷用のインクである場合、記録材料は、ポリマーや有機溶剤を含有する油性インクの態様とすればよい。ポリマーとしては、一般的には、蛋白質、ゴム、セルロース類、シエラック、コパル、でん粉、ロジン等の天然樹脂;ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等の熱可塑性樹脂;レゾール型フェノール樹脂尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。また、有機溶媒としては、上記インクジェットプリンター用インクの説明において例示された有機溶媒が挙げられる。
【0091】
また、本実施の形態に係る第1記録材料が、活版印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、又はシルク印刷用のインクである場合、第1記録材料は、印刷皮膜の柔軟性や強度を向上させるための可塑剤、粘度調整、乾燥性向上のための溶剤、乾燥剤、粘度調整剤、分散剤、各種反応剤等の添加剤を更に含有させてもよい。
【0092】
なお、上記構造式(I)で示されるペリミジン系スクアリリウム色素は、上述のように、耐光性に優れた色素であるため、該色素を含む第1記録材料は、耐光性に優れている。この第1記録材料の耐光性をより向上させる観点から、安定化剤を更に含有した構成としてもよい。安定化剤としては、励起状態の有機近赤外吸収色素からエネルギーを受け取る必要があり、近赤外吸収色素の吸収帯よりも長波長側に吸収帯を有するものが用いられる。また、安定化剤は、一重項酸素による分解が起こり難く、上記構造式(I)で示されるペリミジン系スクアリリウム色素と相溶性が高いものを用いることがよい。この特性を有する安定化剤としては、有機金属錯体化合物が挙げられる。中でも、下記一般式(V)で表される化合物が挙げられる。
【0093】
【化4】

【0094】
一般式(V)中、R,R,R,Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ置換又は未置換のフェニル基を示す。R,R,R,Rで示されるフェニル基が置換基を有する場合、当該置換基としては、H、NH、OH、N(C2h+1、OC2h+1、C2h−1、C2h+1、C2hOH又はC2hOC2i+1(hは1から18の整数を示し、iは1から6の整数を示す)などが挙げられる。また、X,X,X,Xは、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ、O、S、Seを示し、YはNi、Co、Mn、Pd、Cu、Pt等の遷移金属を示す。
【0095】
上記一般式(V)で表される化合物の中でも、下記構造式(VI)で表される化合物が特に望ましい。
【0096】
【化5】



【0097】
第1記録材料に含まれる安定化剤の濃度は、上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の質量に対して、1/10倍以上2倍以下が挙げられる。
【0098】
赤外吸収画像14は、上記第1記録材料から構成されたトナーによって形成された画像であってもよいし、該第1記録材料から構成された液滴によって形成された画像であってもよい。この第1記録材料から構成されたトナーによって赤外吸収画像14を形成する場合には、赤外吸収画像14を形成する画像形成装置としては、例えば、トナーを用いて画像形成を形成する、電子写真方式の画像形成装置が挙げられる。一方、第1記録材料から構成された液滴によって赤外吸収画像14を形成する場合には、赤外吸収画像14を形成する画像形成装置としては、液滴を吐出することで画像を形成する、インクジェット方式の画像形成装置が挙げられる。
【0099】
(画像形成装置)
以下、基材12上に、上記の赤外吸収画像14及び散乱画像16の積層画像18を形成する装置として、トナーによって画像を形成する電子写真方式の画像形成装置を用いた形態を一例として挙げて説明する。
【0100】
図4に示すように、本実施の形態の画像形成装置11は、積層画像記録部15、可視画像記録部14A、図中矢印Aの方向に回転される中間転写体17、給紙装置27、用紙搬送路31、定着器19、画像処理装置20、像形成制御装置21、排紙装置22、及び入出力装置23を備えている。積層画像記録部15は、赤外吸収画像14を形成する赤外吸収画像記録部15Aと、散乱画像16を形成する散乱画像記録部15Bと、を含んで構成されている。
【0101】
なお、画像形成装置11が、本発明の画像形成装置に相当し、赤外吸収画像記録部15Aが、本発明の画像形成装置の第1の記録装置に相当し、散乱画像記録部15Bが、本発明の画像形成装置の第2の記録装置に相当する。
【0102】
画像形成装置11の概略を説明すると、画像処理装置20は、ネットワーク回線や無線回線等を介してパーソナルコンピュータ等の外部から入力された画像データに対して画像処理を施し、像形成制御装置21に対して出力する。
【0103】
像形成制御装置21は、画像処理を施された画像データ(後述する、第1の印刷データ、第2の印刷データ、及び第3の印刷データ)に基づいて、散乱画像記録部15B、赤外吸収画像記録部15A、及び可視画像記録部14Aを制御する。なお、像形成制御装置21は、画像処理装置20の一部として、画像処理装置20に含まれてもよい。
【0104】
画像形成装置11の外面には、例えばタッチパネルなどの入出力装置23が設けられている。入出力装置23は、画像形成装置11の制御情報や指示情報などを表示すると共に、指示情報などのユーザによる入力を受入れる。即ち、ユーザは、入出力装置23を介して画像形成装置11を操作する。なお、入出力装置23は、スイッチなどの入力のみを受入れるものであってもよいし、表示などの出力のみを行うものであってもよく、これらを組み合わせたものであってもよい。
【0105】
画像形成装置11の内部には、積層画像を記録する積層画像記録部15と、可視画像を記録する可視画像記録部14Aと、が設けられている。積層画像記録部15は、上述のように、赤外吸収画像記録部15Aと、散乱画像記録部15Bと、を含んで構成されている。
赤外吸収画像記録部15Aは、上記第1記録材料から構成されたトナーを用いて、赤外吸収画像14(図2参照)を記録する。一方、散乱画像記録部15Bは、基材12上に積層画像18が形成されたときに、基材12上の赤外吸収画像14を覆うように散乱画像16が設けられた状態となるように、散乱画像16を記録する。
【0106】
可視画像記録部14Aは、カラー画像を構成する色に対応する複数の可視画像記録部を含んだ構成とされている。本実施の形態では、可視画像記録部14Aは、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色に対応して可視画像記録部14K、可視画像記録部14Y、可視画像記録部14M、可視画像記録部14Cを含んだ構成とされている。
これらの、散乱画像記録部15B、赤外吸収画像記録部15A、可視画像記録部14K、可視画像記録部14Y、可視画像記録部14M、可視画像記録部14Cは、中間転写体17に沿って間隔を空けて配列されている。
【0107】
なお、本実施の形態では、積層画像記録部15は、可視画像記録部14Aより中間転写体17の搬送方向上流側に設けられている形態を説明するが、積層画像記録部15が、可視画像記録部14Aより下流側に設けられていてもよい。
また、本実施の形態では、可視画像記録部14Aに含まれる、可視画像記録部14K、可視画像記録部14Y、可視画像記録部14M、可視画像記録部14Cは、中間転写体17の搬送方向上流側から下流側に向かって、この順に設けられている場合を説明するが、このような並びに限られない。
なお、積層画像記録部15における、散乱画像記録部15B及び赤外吸収画像記録部15Aの配列は、基材12に積層画像18が形成されたときに、基材12上に形成された赤外吸収画像14を覆うように(すなわち、赤外吸収画像14に対して基材12とは反対側に該赤外吸収画像14を覆うように)、散乱画像16が形成される配列である必要がある。本実施の形態の画像形成装置11としては、図4に示すように、中間転写体17に形成された画像を基材12に転写する方式の画像形成装置の一例を示したので、図4に示す形態の画像形成装置においては、散乱画像記録部15Bは、赤外吸収画像記録部15Aより中間転写体17の搬送方向上流側に設けられている。このため、中間転写体17上に形成されたトナー像が基材12上に転写されたときには、基材12上に、赤外吸収画像14、及び散乱画像16が順に形成された状態となる。
【0108】
中間転写体17は、図中矢印Aの方向に回転される。散乱画像記録部15Bは、詳細は後述するが、画像処理装置20から入力された第3の印刷データに基づいて、上記に説明した散乱体16Aを含有する第2記録材料からなるトナーによる散乱画像16を、中間転写体17上に形成(一次転写)する。
さらに、この散乱画像記録部15Bより中間転写体17の回転方向下流側に設けられた、赤外吸収画像記録部15Aは、画像処理装置20から入力された第2の印刷データに基づいて、上記に説明した第1記録材料からなるトナーによる赤外吸収画像14を、該散乱画像16上に形成(一次転写)する。
【0109】
さらに、可視画像記録部14Aに含まれる可視画像記録部14K、可視画像記録部14Y、可視画像記録部14M、及び可視画像記録部14Cは、画像処理装置20から入力された、後述する第1の印刷データに基づいて、各色の可視のトナーによる可視画像を中間転写体17上に順次形成(一次転写)する。なお、各可視画像記録部14K、可視画像記録部14Y、可視画像記録部14M、及び可視画像記録部14Cの色の順序は、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の順に限定されるものではなく、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順序など、その順序は任意である。
【0110】
給紙装置27から供給された基材12は、用紙搬送路31上を搬送される。そして、この基材12には、上記中間転写体17上に転写された、散乱画像16及び赤外吸収画像14による積層画像18と、可視画像と、が転写(二次転写)される。これによって、基材12上には、可視画像が転写されると共に、基材12上には、赤外吸収画像14及び赤外吸収画像14を覆うように形成された散乱画像16による積層画像18が転写されることとなる。そして、これらの可視画像及び積層画像18(図2参照)は、定着器19によって基材12に定着され、矢印Bに沿って外部に排出される。
【0111】
次に、画像形成装置11の各構成についてより詳細に説明する。
【0112】
画像処理装置20は、ネットワーク回線や無線回線等を介してパーソナルコンピュータ等の外部から入力された画像データに対して、画像処理を施して、第1の印刷データ、第2の印刷データ、及び第3の印刷データを作成し、像形成制御装置21に対して出力する。
なお、本実施の形態では、上記外部から入力された画像データには、基材12に形成する対象の可視画像の可視画像データと、基材12に形成する赤外吸収画像14の赤外吸収画像データと、が含まれているものとして説明する。この可視画像は、基材12上に形成される可視の画像であって、上記に説明した積層画像18とは異なる画像である。
【0113】
この画像データに含まれる可視画像データは、可視画像の各画素の色やドットの大きさ、及び位置(基材12上の位置)を示す情報を含んでおり、例えば、RGB各8bitで表現されたRGB空間に属する画像である。これらの可視画像データは、画像処理装置20による画像処理によって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の印刷データに変換されることで、可視画像記録部14Aで処理される形式の第1の印刷データとされる。すなわち、第1の印刷データとは、基材12上に可視の画像を形成するためのデータである。
【0114】
また、この画像データに含まれる赤外吸収画像データは、基材12上に形成される赤外吸収画像14の各画素の位置やドットの大きさ等を示す情報である。この赤外吸収画像データは、画像処理装置20において、赤外吸収画像記録部15Aで処理される形式のデータに変換されることで、赤外吸収画像14を印刷するための第2の印刷データとされる。すなわち、第2の印刷データとは、基材12上に赤外吸収画像14を形成するためのデータである。
【0115】
また、画像処理装置20では、上記赤外吸収画像データに基づいて、該赤外吸収画像データによって形成される赤外吸収画像14を覆う画像となるように、散乱画像16を形成するための散乱画像データを生成する。この散乱画像データは、基材12上に形成される散乱画像16の各画素の位置やドットの大きさ等を示す情報である。この散乱画像データは、画像処理装置20において、散乱画像記録部15Bで処理される形式のデータに変換されることで、散乱画像16を印刷するための第3の印刷データとされる。すなわち、第3の印刷データとは、基材12上に形成される赤外吸収画像14を覆うように散乱画像16を形成するためのデータである。
【0116】
像形成制御装置21は、上記第1の印刷データに基づいて、可視画像記録部14K、可視画像記録部14Y、可視画像記録部14M、及び可視画像記録部14Cの各々に含まれる、後述する光走査装置140K、光走査装置140Y、光走査装置140M、及び光走査装置140Cの各々に対して、パルス信号を出力する。また、像形成制御装置21は、上記第2の印刷データに基づいて、赤外吸収画像記録部15Aに含まれる光走査装置140Lに対してパルス信号を出力する。また、像形成制御装置21は、上記第3の印刷データに基づいて、散乱画像記録部15Bに含まれる光走査装置140Iに対してパルス信号を出力する。
【0117】
散乱画像記録部15Bは、散乱画像16を形成する装置である。
この散乱画像記録部15Bは、像形成制御装置21から入力された第3の印刷データに応じてレーザ光を走査する光走査装置140Iと、この光走査装置140Iにより走査されたレーザ光により静電潜像が形成される像形成装置150Iとを有する。
【0118】
光走査装置140Iは、半導体レーザ142Iを、第3の印刷データに応じて変調して、この半導体レーザ142Iからレーザ光を該第3の印刷データに応じて出射する。この半導体レーザ142Iから出射されたレーザ光は、第1の反射鏡143I及び第2の反射鏡144Iを介して回転多面鏡146Iに照射され、この回転多面鏡146Iによって偏向走査され、第2の反射鏡144I、第3の反射鏡148I及び第4の反射鏡149Iを介して、像形成装置150Iの像保持体152I上に照射される。
【0119】
像形成装置150Iは、矢印Bの方向に沿って回転する像保持体152Iと、この像保持体152Iの表面を帯電する一次帯電用の帯電装置154Iと、像保持体152I上に形成された静電潜像を現像する現像器156Iと、除去装置158Iと、を備えている。
【0120】
現像器156Iの内部には、本実施の形態における第2記録材料から構成されたトナー、または該トナーと公知のキャリアと、が保持されている。そして、この現像器156Iから像保持体152Iへ、該トナーが供給される。像保持体152Iは、帯電装置154Iにより一様に帯電され、光走査装置140Iにより照射されたレーザ光により静電潜像を形成される。像保持体152Iに形成された静電潜像は、現像器156Iから供給されたトナー(第2記録材料によるトナー)で現像され、中間転写体17に転写される。なお、該転写の後に像保持体152Iに付着しているトナー及び紙粉等は、除去装置158Iによって除去される。
【0121】
このため、散乱画像記録部15Bによって、中間転写体17上に、第2記録材料によるトナーで散乱画像16が形成(一次転写)される。
【0122】
一方、赤外吸収画像記録部15Aは、像形成制御装置21から入力された第2の印刷データに応じてレーザ光を走査する光走査装置140Lと、この光走査装置140Lにより走査されたレーザ光により静電潜像が形成される像形成装置150Lとを有する。
【0123】
光走査装置140Lは、半導体レーザ142Lを、第2の印刷データに応じて変調して、この半導体レーザ142Lからレーザ光を該第2の印刷データに応じて出射する。この半導体レーザ142Lから出射されたレーザ光は、第1の反射鏡143L及び第2の反射鏡144Lを介して回転多面鏡146Lに照射され、この回転多面鏡146Lによって偏向走査され、第2の反射鏡144L、第3の反射鏡148L及び第4の反射鏡149Lを介して、像形成装置150Lの像保持体152L上に照射される。
【0124】
像形成装置150Lは、矢印Bの方向に沿って回転する像保持体152Lと、この像保持体152Lの表面を帯電する一次帯電用の帯電装置154Lと、像保持体152L上に形成された静電潜像を現像する現像器156Lと、除去装置158Lと、を備えている。
【0125】
現像器156Lの内部には、本実施の形態における第1記録材料から構成されたトナー、または該トナーと公知のキャリアと、が保持されている。そして、この現像器156Lから像保持体152Lへ、該トナーが供給される。像保持体152Lは、帯電装置154Lにより一様に帯電され、光走査装置140Lにより照射されたレーザ光により静電潜像を形成される。像保持体152Lに形成された静電潜像は、現像器156Lから供給された該トナー(第1記録材料から構成されたトナー)で現像され、中間転写体17に転写される。なお、該転写の後に像保持体152Lに付着しているトナー及び紙粉等は、除去装置158Lによって除去される。
【0126】
このため、赤外吸収画像記録部15Aによって、中間転写体17上の散乱画像16上に、第1記録材料から構成されたトナーで赤外吸収画像14が形成(一次転写)される。
【0127】
さらに、可視画像記録部14K、可視画像記録部14Y、可視画像記録部14M、及び可視画像記録部14Cは、可視の画像である可視画像を形成する装置である。
【0128】
可視画像記録部14Kは、画像処理装置20から入力された第1の印刷データに応じてレーザ光を走査する光走査装置140Kと、この光走査装置140Kにより走査されたレーザ光により静電潜像が形成される像形成装置150Kとを有する。
【0129】
光走査装置140Kは、半導体レーザ142Kを黒色(K)の第1の印刷データに含まれる黒色の印刷データに応じて変調して、この半導体レーザ142Kからレーザ光LB(K)を印刷データに応じて出射する。この半導体レーザ142Kから出射されたレーザ光LB(K)は、第1の反射鏡143K及び第2の反射鏡144Kを介して回転多面鏡146Kに照射され、この回転多面鏡146Kよって偏向走査され、第2の反射鏡144K、第3の反射鏡148K及び第4の反射鏡149Kを介して、像形成装置150Kの像保持体152K上に照射される。
【0130】
像形成装置150Kは、矢印Aの方向に沿って回転する像保持体152Kと、この像保持体152Kの表面を帯電する帯電装置154Kと、像保持体152K上に形成された静電潜像を現像する現像器156Kと、除去装置158Kと、を備えている。
現像器156Kの内部には、従来公知の黒色のトナー、または該黒色のトナーと公知のキャリアと、が保持されており、該黒色のトナーが像保持体152Kへ供給される。像保持体152Kは、帯電装置154Kにより帯電され、光走査装置140Kにより照射されたレーザ光LB(K)により静電潜像を形成される。像保持体152Kに形成された静電潜像は、現像器156Kから供給された上記黒色のトナーで現像され、中間転写体17に転写される。なお、該転写の後に像保持体152Kに付着しているトナー及び紙粉等は、除去装置158Kによって除去される。
【0131】
可視画像記録部14Y、可視画像記録部14M、及び可視画像記録部14Cについては、可視画像記録部14Kの現像器156Kに含まれる黒色のトナーが、各々、公知のイエローのトナー、公知のマゼンタのトナー、公知のシアンのトナーである以外は、同じ構成であるため詳細な説明を省略する。
なお、図中、可視画像記録部14Y、可視画像記録部14M、及び可視画像記録部14Cの構成部材は、可視画像記録部14Kにおける該当する各構成部材に付与された符号の「K」をそれぞれ「Y」、「M」、「C」で置き換えた符号で示している。
【0132】
中間転写体17は、支持部材164と、支持部材165と、支持部材166と、支持部材167と、支持部材168と、支持部材169と、によって内側から支持されており、駆動モータ(図示省略)によって何れか1つの支持部材(例えば支持部材164)が回転駆動されることにより、矢印Aの方向に循環駆動される。この中間転写体17としては、例えば、可撓性を有するポリイミド等の合成樹脂フィルムを帯状に形成し、この帯状に形成された合成樹脂フィルムの両端を溶着等によって接続することにより無端ベルト状に形成されたものが用いられる。
【0133】
また、積層画像記録部15(散乱画像記録部15B、赤外吸収画像記録部15A)、可視画像記録部14K、可視画像記録部14Y、可視画像記録部14M、可視画像記録部14Cの各々の、中間転写体17を介して向かい合う位置には、それぞれ、転写部材162I、転写部材162L、転写部材162K、転写部材162Y、転写部材162M、及び転写部材162Cが配設され、像保持体152I、像保持体152L、像保持体152K、像保持体152Y、像保持体152M、像保持体152C上に形成されたトナーによる像は、これらの転写部材162I、転写部材162L、転写部材162K、転写部材162Y、転写部材162M、及び転写部材162Cの各々により中間転写体17上に一次転写される。なお、中間転写体17に付着した残留トナーは、二次転写位置の下流に設けられた除去装置189により除去される。
【0134】
用紙搬送路31には、給紙装置27から基材12を取り出す給紙部材180と、複数の支持部材181、支持部材182、支持部材183と、支持部材184と、が配設されている。
【0135】
また、用紙搬送路31上の二次転写位置には、支持部材168に圧接された支持部材185が配設されており、中間転写体17上に転写された各色のトナーによる像(積層画像18、及び可視画像)は、この支持部材185による圧接力及び静電気力で基材12上に二次転写される。
【0136】
これによって、可視画像、及び積層画像18(赤外吸収画像14及び散乱画像16)が、基材12上に転写され、搬送ベルト186及び搬送ベルト187によって定着器19へと搬送される。
【0137】
定着器19は、基材12に対して加熱処理及び加圧処理を施すことにより、基材12上の可視画像、及び積層画像18(赤外吸収画像14を覆うように散乱画像16の設けられた画像)の各々を構成するトナーを記録媒体10に溶融固着させる。
【0138】
次に、画像処理装置20の機能構成について説明する。
図5に示すように、画像処理装置20は、画像データ受付部200、色空間変換部202、第1のデータ出力部206、変換部210、第2のデータ出力部212、散乱画像データ生成部214、及び第3のデータ出力部216を備えている。
【0139】
画像処理装置20に含まれる上記各構成は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及びプログラムなどによりソフトウェア的に実現されてもよいし、ASIC(Application Specified Integrated Circuit)などによりハードウェア的に実現されてもよい。また、画像処理装置20は、画像形成装置11のみでなく、例えばパーソナルコンピュータなどに含まれてもよい。
【0140】
画像処理装置20において、画像データ受付部200は、外部から画像データを受け付ける。この画像データには、上述のように、基材12に形成する可視画像の可視画像データと、基材12に形成する赤外吸収画像14の赤外吸収画像データと、が含まれている。
【0141】
画像データ受付部200では、外部から受け付けた該画像データに含まれる可視画像データを、色空間変換部202に対して出力する。この可視画像データは、例えば、RGB各8bitで表現されており、RGB空間に属する画像の画像データである。
また、画像データ受付部200では、該画像データに含まれる赤外吸収画像データを、変換部210及び散乱画像データ生成部214の各々へ出力する。
【0142】
可視画像データを受け付けた色空間変換部202では、予め記憶されていた色再現特性を用いて、入力された可視画像データ(RGB)を測色値であるCIELAB(L*,a*,b*)色空間(又はCIEXYZ)に変換する。また、色空間変換部202は、色再現特性を用いて、変換されたCIELAB色空間の可視画像データを印刷処理に適した表色系のYMCK色空間の可視画像データに変換して、可視画像の第1の印刷データとして、データ出力部206へ出力する。ここで、色再現特性とは、画像の色再現特性を示す情報であり、例えば、ICCプロファイルである。なお、色空間変換部202は、予め記憶されている色変換テーブルを用いて、入力されたRGB色空間の画像をYMCK色空間の画像データに変換してもよい。
【0143】
データ出力部206は、色空間変換部202から受け付けた第1の印刷データを、像形成制御装置21に対して出力する。
【0144】
一方、画像データ受付部200から、赤外吸収画像データを受け付けた変換部210では、赤外吸収画像データを、赤外吸収画像記録部15Aで処理される形式のデータである第2の印刷データに変換して、データ出力部212へ出力する。データ出力部212は、変換部210から受け付けた第2の印刷データを、像形成制御装置21に対して出力する。
【0145】
また、画像データ受付部200から、赤外吸収画像データを受け付けた散乱画像データ生成部214では、受け付けた赤外吸収画像データによって示される、基材12上の赤外吸収画像14を構成する各画素の位置やドットの大きさを示す情報に基づいて、この赤外吸収画像14を構成する各画素のドットに重なる位置に、散乱画像16を構成する各画素に対応するドットが形成されるように、散乱画像データを作成する。なお、上述のように、この散乱画像データは、基材12上に形成される散乱画像16の各画素の位置やドットの大きさ等を示す情報である。
なお、本実施の形態では、散乱画像データ生成部214では、赤外吸収画像14を構成する各画素のドットに重なるように、散乱画像16を構成する各画素のドットが形成されるように、散乱画像データを作成する場合を説明するが、基材12上の赤外吸収画像14を覆うように散乱画像16が形成されるように、散乱画像データを作成すればよく、このような形態に限られない。
例えば、散乱画像データ生成部214では、赤外吸収画像14を構成する各画素のドットに重なり、且つ赤外吸収画像14を構成する各画素のドットより大きいドットで、散乱画像16を構成する各画素のドットが形成されるように、散乱画像データを作成してもよい。また、赤外吸収画像14を構成する各画素のドットに重なり、且つ赤外吸収画像14を構成する各画素のドットの周囲を覆うように、散乱画像16を構成する各画素のドットが形成されるように、散乱画像データを作成してもよい。
【0146】
散乱画像データ生成部214では、生成した散乱画像データを、変換部215へ出力する。変換部215では、受け付けた散乱画像データを、散乱画像記録部15Bで処理される形式のデータである第3の印刷データに変換して、データ出力部216へ出力する。データ出力部216は、変換部215から受け付けた第3の印刷データを、像形成制御装置21に対して出力する。
【0147】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置11の作用を説明する。
【0148】
まず、ユーザが、入出力装置23を操作して、画像形成開始を指示すると、画像形成装置11の画像処理装置20において、図6に示す処理ルーチンが実行される。
【0149】
まず、ステップ100において、外部から受け付けた画像データを読取り、次のステップ102において、該画像データに含まれる可視画像データを、第1の印刷データに変換することで、第1の印刷データを作成する。この処理は、上記の色空間変換部202で行われる。
【0150】
次のステップ104では、上記ステップ100で読取った画像データに含まれる、赤外吸収画像データを読取り、次のステップ106において、第2の印刷データを作成する。この処理は、上記変換部210で行われる。
【0151】
次のステップ108では、上記ステップ100で読取った画像データに含まれる、赤外吸収画像データから、散乱画像データを生成する。この処理は、上記散乱画像データ生成部214で行われる。そして、次のステップ110では、上記ステップ108で作成された散乱画像データに基づいて、第3の印刷データを作成する。この処理は、上記変換部215で行われる。
【0152】
次のステップ112では、上記ステップ102で作成された第1の印刷データと、上記ステップ106で作成された第2の印刷データと、上記ステップ110で作成された第3の印刷データと、を像形成制御装置21に対して出力することによって印刷処理を実行する。
第1の印刷データ、第2の印刷データ、及び第3の印刷データを受け付けた像形成制御装置21では、第1の印刷データに基づいて可視画像記録部14Aを制御し、第2の印刷データに基づいて赤外吸収画像記録部15Aを制御し、第3の印刷データに基づいて散乱画像記録部15Bを制御する。これにより、散乱画像記録部15Bで形成された散乱画像16が、中間転写体17上に転写され、赤外吸収画像記録部15Aで形成された赤外吸収画像14が、中間転写体17上の散乱画像16上に転写される。また、可視画像記録部14Aで形成された可視画像が、中間転写体17上に転写される。
そして、結果的に、基材12上に、赤外吸収画像14が形成されると共に、この赤外吸収画像14を覆うように散乱画像16が形成されることとなる。また、基材12上には、可視画像(図示省略)も形成されることとなる。
【0153】
なお、上記の実施の形態では、基材12上に、上述の赤外吸収画像14及び散乱画像16を形成する装置として、電子写真方式の画像形成装置を用いた形態を一例として挙げて説明したが、インクジェットプリンターによって形成されてもよいし、活版印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、またはシルク印刷などの装置によって形成されてもよいことはいうまでもない。
【実施例】
【0154】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0155】
―赤外吸収色材の調整―
赤外吸収性を有する色材として、下記色材を調整した。
<赤外吸収色材1の調整(ペリミジン系スクアリリウム色素)>
1,8−ジアミノナフタレン4.843g(98%,30.0mmol)、3,5−ジメチルシクロヘキサノン3.886g(98%,30.2mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物10mg(0.053mmol)とトルエン45mlの混合液を窒素ガスの雰囲気中に攪拌しながら加熱し、5時間還流させた。反応中にできた水を共沸蒸留により除去した。反応終了後、トルエンを蒸留して得られた暗茶色固体はアセトンで抽出し、アセトンとエタノールの混合溶媒から再結晶することにより精製し、乾燥してから、茶色固体7.48g(収率93.6%)を得た。得られた茶色固体のH−NMRスペクトル(CDCl)による分析結果を以下に示す。
【0156】
H−NMRスペクトル(CDCl): δ=7.25、7.23、7.22、7.20、7.17、7.15(m,4H,Harom);6.54(d×d,J=23.05Hz,J=7.19Hz,2H,Harom);4.62(br s,2H,2×NH);2.11(d,J=12.68Hz,2H,CH);1.75、1.71、1.70、1.69、1.67、1.66(m,3H,2×CH、CH);1.03(t,J=12.68Hz,2H,CH);0.89(d,J=6.34Hz,6H,2×CH);0.63(d,J=11.71Hz,1H,CH
【0157】
上記の茶色固体4.69g(17.6mmol)、3,4−ジヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオン913mg(8.0mmol)、n−ブタノール40mlとトルエン60mlの混合液を窒素ガスの雰囲気中に攪拌しながら加熱し、3時間還流反応させた。反応中にできた水を共沸蒸留により除去した。反応終了後、大部分の溶媒を窒素ガスの雰囲気中に蒸留し、得られた反応混合物を攪拌しながら、120mlのヘキサンを加えた。できた黒茶色沈殿物を吸引濾過し、ヘキサンで洗浄し、乾燥後黒青色固体を得た。この固体を順次にエタノール、アセトン、60%エタノール水溶液、エタノールおよびアセトンで洗浄し、目的の化合物(黒青色固体)4.30g(収率88%)を得た。
【0158】
得られた色素化合物を、赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)、H−NMR(DMSO‐d)、FD−MS、元素分析、可視近赤外吸収スペクトルなどの分光法により同定した。同定データを以下に示す。可視近赤外吸収スペクトルを図7に示す。同定の結果、得られた化合物が上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素であることが確認された。
【0159】
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法):
νmax=3487、3429、3336(NH),3053(=C−H),2947(CH),2914、2902(CH),2864(CH),2360,1618、1599、1558、1541(C=C ring),1450、1421、1363(CH、CH),1315、1223、1201(C−N),1163、1119(C−O−),941,924,822,783,715cm−1
H−NMRスペクトル(DMSO−d): δ=10.52(m,2H,NH);7.80、7.78(d,2H,Harom);7.35、7.33(m,2H,Harom);7.25(m,2H,NH);6.82、6.80、6.78(m,4H,Harom);6.74、6.72、6.52、6.50(m,2H,Harom);2.17(m,5H,CH);1.91(m,3H,CH);1.71(m,2H,CH、CH);1.15、1.12(m,4H,CH);0.92、0.91(m,12H,4×CH);0.66(m,2H,CH
マススペクトル(FD): m/z=610(M,100%),611(M+1,47.5%)
【0160】
元素分析:
C:78.6%(実測値)、78.66%(計算値)
H:6.96%(実測値)、6.93%(計算値)
N:9.02%(実測値)、9.17%(計算値)
O:5.42%(実測値)、5.24%(計算値)
【0161】
可視近赤外吸収スペクトル(図7参照):
λmax=809nm(テトラヒドロフラン溶液中)
εmax=1.68×10−1cm−1(テトラヒドロフラン溶液中)
【0162】
(顔料化処理)
次に、得られたペリミジン系スクアリリウム色素51gと、12質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液25gと、水425gをビーズミル加工装置(アシザワファインテック製・ミニサー)に投入し、0.1mmφビーズ485g、周速12m/sで3時間の運転を行った。回収したベリミジン系スクアリリウム色素(以下、「(A)粒子」という。)の粒度分布を測定したところ、メジアン径は65.9nmであった。
【0163】
<赤外吸収色材2の調整(ペリミジン系スクアリリウム色素)>
上記赤外吸収色材1における顔料化処理前のペリミジン系スクアリリウム色素粒子(以下、「原料」という。)50mgとテトラヒドロフラン(THF)1mL、直径1mmのジルコニアビーズ10gをボールミル用容器に入れ、1時間ミリング処理を行った。ボールミル用容器に水を加え、50nmフィルターでろ過して、ペリミジン系スクアリリウム色素粒子(以下、「(B)粒子」という。)を回収した。
【0164】
(粉末X線回折の測定)
試験例1における顔料化処理前のペリミジン系スクアリリウム色素粒子(以下、「原料」という)、赤外吸収色材1における(A)粒子、および赤外吸収色材2における(B)粒子について、X線回折装置(「D8 DISCOVER」、ブルカー・エイエックスエス株式会社製)を用い、Cuターゲットでλ=1.5405ÅのX線照射による粉末X線回折の測定を行った。得られた粉末X線回折スペクトルを図8及び図9に示した。
【0165】
図8から、(A)粒子は、ブラッグ角(2θ±2°)で、強度が大きい順に22.1°、23.2°、19.9°、24.9°、17.7°に回折ピークを示し、原料と同じ結晶系であることがわかる。一方、図9から、(B)粒子は、ブラッグ角(2θ±2°)で、強度が大きい順に22.6°、24.2°、8.9°、17.1°、18.4°に回折ピークを示し、原料及び(A)粒子とは結晶系が異なることがわかる。
【0166】
<赤外吸収色材3の調整>
下記式(VII)で表される色素化合物について、以下の方法により粒子化処理を行った。
【0167】
【化6】



【0168】
上記式(VII)で表される色素化合物40mgをTHF30mLに溶かし、その溶液を、マイクロシリンジで氷冷した蒸留水2000mLに注入し、再沈を行った。数分後、混合液を室温に戻して沈殿物を50nmフィルターで濾過し、蒸留水で洗浄、真空乾燥し、再沈した色素化合物(以下、「(C)粒子」という。)を回収した。この(C)粒子の粒径は、メジアン径d50が約90nmであった。(C)粒子について、赤外吸収色材2と同様にCuターゲットでλ=1.5405ÅのX線照射により粉末X線回折スペクトルを得たところ、結晶由来の回折ピークはほとんど認められず、再沈法で得られた(C)粒子は非結晶であった。
【0169】
<赤外吸収色材4の調整>
上記赤外吸収色材3において、再沈法で得られた(C)粒子40mgとヘキサン5mL、直径1mmのめのうビーズ10gをボールミル用容器に入れ、8時間ミリング処理を行った。ボールミル用容器に水を加え、50nmフィルターでろ過して、粒子化した色素化合物(以下、「(D)粒子」という。)を回収した。(D)粒子の粒径は、メジアン径d50が約90nmであった。(D)粒子について、赤外吸収色材2と同様にCuターゲットでλ=1.5405ÅのX線照射により測定された粉末X線回折スペクトルを得たところ、ブラッグ角(2θ±0.2°)で、少なくとも11.9°,13.1°,15.4°,19.0°,20.4°,23.0°,23.9°,24.6°,26.4°に回折ピークを示す結果が得られ、(D)粒子が高い結晶性を有していた。
【0170】
――スラリーの調製――
赤外吸収色材1として調整した(A)粒子、赤外吸収色材2として調整した(B)粒子、赤外吸収色材3として調整した(C)粒子、赤外吸収色材4として調整した(D)粒子の各々について、9.2mgを、12質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液46μl及び蒸留水5.52mlと共に超音波分散し、スラリーを調製した(超音波出力:4−5W、1/4インチホーン使用、照射時間30分)。スラリー中の試料濃度は、0.165質量%であった。
【0171】
――読取り性――
赤外吸収色材1として調整した(A)粒子のスラリー(試料濃度0.165質量%)40.4μL、40質量%ラテックス(ポリスチレンアクリル酸n−ブチル)液15μL、及び蒸留水5gの混合液をウルトラタラックスで分散化処理して、混合スラリーとした。得られた混合スラリーにPAC凝集剤を加えて擬似トナー分散液とし、220nmフィルターでろ過、空気乾燥、熱圧着(120℃)して、TMA=4g/m、単位面積当たりの顔料量PMA=0.04g/m(トナー中の顔料含有量1質量%に相当)の評価用ラテックスパッチを作製した。
得られたラテックスパッチの可視近赤外吸収スペクトルを日立製作所製の分光光度計U−4100により測定し、その結果を図10に示した。また、上記式(III)中のR(850nmの初期反射率)を求め、表1に示した。
【0172】
該スラリー中の(A)粒子に代えて、赤外吸収色材2として調整した(B)粒子、赤外吸収色材3として調整した(C)粒子、赤外吸収色材4として調整した(D)粒子の各々を、用いることによって、(A)粒子と同じ方法により混合スラリーを調製して評価用ラテックスパッチを作製し、可視近赤外吸収スペクトルを測り、上記式(III)中のRを求めた。評価結果を図10および表1に示した。
【0173】
――不可視性――
赤外吸収色材1として調整した(A)粒子、赤外吸収色材2として調整した(B)粒子、赤外吸収色材3として調整した(C)粒子、赤外吸収色材4として調整した(D)粒子の各々を用いて作製した上記の評価用ラテックスパッチについて、上記式(II)中のΔEを求めた。評価結果を表1に示した。
なお、このΔEの測定は、反射分光濃度計(エックスライト株式会社製、x−rite939)を用いて測定を行うことによって得た。
【0174】
なお、不可視性の評価基準は、下記基準とした。
A:0≦ΔE≦6
B:6<ΔE≦16
C:ΔE>16
【0175】
――耐光性の評価――
赤外吸収色材1として調整した(A)粒子、赤外吸収色材2として調整した(B)粒子、赤外吸収色材3として調整した(C)粒子、赤外吸収色材4として調整した(D)粒子の各々を用いて作成した評価用ラテックスパッチに対して、36時間、光照射(光源:キセノンランプ、放射照度:540W/m=100kルクス、UVカットフィルタなし)を行った。
そして、12時間経過毎に、850nmの反射率を、日立製作所製の分光光度計U−4100により測定することによって、耐光性を評価した。図11に、この評価用ラテックスパッチの反射率と光照射時間との関係を示した。
なお、読取性および耐光性の評価基準は、下記基準とした。評価結果は表1に示した。
【0176】
読取性の評価基準:
A(読取性が特に良好): R≦25
B(読取性良好) : 25<R≦40
C(読取可能) : R>40
【0177】
耐光性の評価基準:
A(耐光性が特に良好): 光照射24時間後の反射率@850nm(%)≦44
B(耐光性が良好):44<光照射24時間後の反射率@850nm(%)≦66
C(耐光性あり): 光照射24時間後の反射率@850nm(%)>66
【0178】
【表1】

【0179】
以上のように、赤外吸収色材1及び赤外吸収色材2として調整した(A)粒子及び(B)粒子では、赤外吸収色材3〜赤外吸収色材4に比べて、不可視性が維持されたまま、読取性および耐光性が大幅に向上された。
このため、赤外吸収色材1及び赤外吸収色材2を、有機赤外吸収色材として用いて、第1記録材料を調整し、赤外吸収画像を形成すれば、他の赤外吸収色材を用いた場合に比べて、赤外吸収画像自体の不可視性が維持されたまま、赤外光による読取性がさらに向上されるといえる。
【0180】
―散乱体の調整―
散乱画像(第2記録材料)に含まれる散乱体として、下記の散乱体を用意した。
<散乱体1の調整>
散乱体として、酸化チタン(石原産業社製CR60)を用いた。この散乱体1の体積平均粒径D50を測定したところ、210nmであった。

【0181】
〔実施例A,比較例A〕
(実施例A1)
―赤外吸収画像の形成―
基材として、富士ゼロックス社製、C2紙(白色)を用意した。
【0182】
そして、この基材上に、下記方法で赤外吸収画像を形成した。
【0183】
まず、上記に調整した赤外吸収色材1を用いて、該赤外吸収色材1の含有量が1.3質量%のトナーを調整した。
具体的には、加熱乾燥した三口フラスコに、セバシン酸ジメチル98mol%、イソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム2mol%、エチレングリコール100mol%と、触媒としてジブチル錫オキサイド0.3部とを入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気とし、機械攪拌にて180℃で5時間攪拌・還流を行った。その後、減圧下にて230℃まで徐々に昇温を行い2時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、その後乾燥させ結晶性ポリエステル樹脂を合成した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量測定(ポリスチレン換算)で、得られた結晶性ポリエステル樹脂のTg=64℃、Mn=4600、Mw=9700であった。
【0184】
・前記結晶性ポリエステル樹脂・・・・・28部
・非結晶性ポリエステル樹脂・・・・・・59部
(テレフタル酸/ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/シクロヘキサンジメタノールの縮重合による線状ポリエステル Tg=62℃、Mn=4,000、Mw=12,000)
・赤外吸収色材1 ・・・・・・1.3部
・パラフィンワックスHNP9(融点75℃:日本精鑞製)・・・・・・11.7部
【0185】
上記各成分をヘンシェルミキサーで充分予備混合を行い、2軸型ロールミルにより溶融混練し、冷却後ジェットミルにより微粉砕を行い、さらに風力式分級機で2回分級を行い、平均体積粒径6.0μm、濃度1.3%の赤外吸収色材1のトナーを作製した。
このトナーを画像形成装置11で出力し、画像面積率100%の画像(TMA=3.5g/m)を形成した。
【0186】
―散乱画像の形成―
この形成した赤外吸収画像上に、該赤外吸収画像を覆うように、散乱体1を用いて、散乱画像を形成した。
【0187】
まず、上記に調整した散乱体1を用いて、該散乱体1の含有量が30質量%のトナーを調整した。
具体的には、加熱乾燥した三口フラスコに、セバシン酸ジメチル98mol%、イソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム2mol%、エチレングリコール100mol%と、触媒としてジブチル錫オキサイド0.3部とを入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気とし、機械攪拌にて180℃で5時間攪拌・還流を行った。その後、減圧下にて230℃まで徐々に昇温を行い2時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、その後乾燥させ結晶性ポリエステル樹脂を合成した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量測定(ポリスチレン換算)で、得られた結晶性ポリエステル樹脂のTg=64℃、Mn=4600、Mw=9700であった。
【0188】
・前記結晶性ポリエステル樹脂・・・・・・20部
・非結晶性ポリエステル樹脂・・・・・・42部
(テレフタル酸/ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/シクロヘキサンジメタノールの縮重合による線状ポリエステル Tg=62℃、Mn=4,000、Mw=12,000)
・酸化チタン・・・・・・30部
・パラフィンワックスHNP9(融点75℃:日本精鑞製)・・・・・・8部
【0189】
上記各成分をヘンシェルミキサーで充分予備混合を行い、2軸型ロールミルにより溶融混練し、冷却後ジェットミルにより微粉砕を行い、さらに風力式分級機で2回分級を行い、平均体積粒径7.0μm、着色剤濃度30%の白トナーを作製した。
次に、この散乱体1を用いて調整したトナーを用いて、上記赤外吸収画像を覆うように、画像面積率100%の散乱画像(TMA=14.7g/m)を形成した。
【0190】
<評価>
―反射率評価―
実施例A1において、赤外吸収画像及び散乱画像がこの順に形成されることで、上記基材上に形成された積層画像について、散乱画像側から、400nm以上500nm以下の波長領域の光を照射したときの反射率を、HITACHI社製、U−4100スペクトロフォトメーターを用いて測定した。測定結果を図12に示した。
【0191】
―400nm以上500nm以下の波長領域の色の遮蔽性評価―
まず、本実施例A1において形成した積層画像における、散乱画像の形成されていない状態の赤外吸収画像(後述の比較例A1)について、400nm以上500nm以下の波長領域の光に対する反射率を、HITACHI社製、U−4100スペクトロフォトメーターを用いて測定し、その吸収ピーク波長(〜420nm)における反射率を求めたところ、48%であった(赤外吸収画像の最低反射率)。
【0192】
次に、本実施例A1において形成した積層画像について、散乱画像側から光を照射し、400nm以上500nm以下の波長領域の光に対する反射率を、HITACHI社製、U−4100スペクトロフォトメーターを用いて測定し、その吸収ピーク波長(〜420nm)における反射率を求めたところ、86%であった(積層画像の最低反射率)。
そして、400nm以上500nm以下の波長領域の色の遮蔽率を、下記式(1)を用いて算出した。結果を表2に示した。
【0193】
式(1)
400nm以上500nm以下の波長領域の色の遮蔽率(%)
=100−(100−400nm以上500nm以下の波長領域の光に対する積層画像の最低反射率)/(100−400nm以上500nm以下の波長領域の光に対する赤外吸収画像の最低反射率)
【0194】
―赤外光(700nm以上900nm以下の波長領域)による読取り評価―
まず、本実施例A1において形成した積層画像における、散乱画像の形成されていない状態の赤外吸収画像(後述の比較例A1)について、700nm以上900nm以下の波長領域の光に対する反射率を、HITACHI社製、U−4100スペクトロフォトメーターを用いて測定し、その吸収ピーク波長における反射率を求めたところ、16%であった(赤外吸収画像の最低反射率)。
【0195】
次に、本実施例A1において形成した積層画像について、散乱画像側から光を照射し、700nm以上900nm以下の波長領域の光に対する反射率を、HITACHI社製、U−4100スペクトロフォトメーターを用いて測定し、その吸収ピーク波長における反射率を求めたところ、40%であった(積層画像の最低反射率)。
そして、700nm以上900nm以下の波長領域の色の遮蔽率を、下記式(2)を用いて算出した。結果を表2に示した。
【0196】
式(2)
700nm以上900nm以下の波長領域の色の遮蔽率
=100−(100−700nm以上900nm以下の波長領域の光に対する積層画像の最低反射率)/(100−700nm以上900nm以下の波長領域の光に対する赤外吸収画像の最低反射率)
【0197】
表2に示されるように、400nm以上500nm以下の波長領域の色の遮蔽率は73%で、この値は、700nm以上900nm以下の波長領域の色の遮蔽率の29%よりも高いことから、400nm以上500nm以下の波長領域がより効果的に遮蔽されていることが分る。
【0198】
―積層画像の不可視性の評価―
本実施例A1において用いた白色の基材の可視領域における色濃度と、該基材上に形成した積層画像の可視領域における色濃度と、を、X−Rite939分光濃度計(X−Rite社製)を用いて測定した。(以下、「OD値」と称する)測定値を表2に示した。
【0199】
また、x−rite939分光濃度計(X−Rite社製)を用いて、積層画像の色座標(L*、a*、b*)を測定した。また、彩度c*=((a*)の2乗+(b*)の2乗)の平方根を算出した。結果を表2に示した。
【0200】
上記測定値に基づいて、積層画像の不可視性を、下記評価基準で評価した。評価結果を表2に示した。
G1:OD<1.0、c*<2.0である場合。
G2:OD<1.2、c*<5.0である場合。
G3:OD<1.3、c*<9.0である場合。
【0201】
(実施例A2〜実施例A4)
上記実施例A1で形成した積層画像における散乱画像について、形成される散乱画像のTMAを、7.8g/m,5.2g/m,2.8g/mの各々とした以外は、実施例A1と同じ条件で基材上に、赤外吸収画像及び散乱画像をこの順に重ねて形成し、実施例A1と同様にして評価を行った。
なお、反射率の評価結果については図12に示し、その他の評価結果については、表2に示した。
【0202】
(比較例A1)
上記実施例A1で調整した積層画像における散乱画像を形成しなかった以外は(すなわち、散乱画像のTMAを、0.0g/mとした以外は)、実施例A1と同じ条件で基材上に、赤外吸収画像を形成し、実施例A1と同様にして評価を行った。評価結果を表2に示した。
【0203】
【表2】

【0204】
表2に示すように、積層画像あり(実施例A1−A4)では、積層画像なし(比較例A1)に比べて不可視性(評価基準値あるいはc*)が向上する、という結果が得られた。同時に700nm以上900nm以下の波長領域の色の遮蔽率が、400nm以上500nm以下の波長領域の色の遮蔽率よりも低いため、以下の実施例B及び比較例Bに示すように、赤外吸収画像によるコード信号の読み取り性が維持される、という結果が得られた。
【0205】
〔実施例B,比較例B〕
(実施例B1)
―赤外吸収画像の形成―
基材として、富士ゼロックス社製、C2紙(白色)を用意した。
【0206】
そして、この基材上に、下記方法で赤外吸収画像を形成した。
【0207】
該基材上に、実施例A1で示したトナーを画像形成装置11で出力して、赤外吸収画像(TMA=3.5g/m)でQRコードを形成した。
【0208】
―散乱画像の形成―
この形成した赤外吸収画像上に、該赤外吸収画像を覆うように、散乱体1を用いて、実施例A1と同様にして、散乱画像を形成した。なお、この散乱画像のTMAは、13.4g/mであった。
【0209】
―赤外読コード取り性評価―
実施例B1において、赤外吸収画像及び散乱画像がこの順に形成されることで、上記基材上に形成された積層画像について、散乱画像側から、700nm以上900nm以下の波長領域で感度を持つ赤外線フラットベッドスキャナ(アイメジャー有限会社製、IR−6000)を用いて、赤外吸収画像(QRコード)の読取りを行った。そして、この読取った画像データの読取り性能を、QRコード読取り評価ソフト(デンソーウェーブ社製、QRチェッカー)を用いて評価した。デコードグレード(AからFの6段階中、最も良好なものはA)の評価結果を表3に示した。
【0210】
(実施例B2〜実施例B3)
上記実施例B1で形成した積層画像における散乱画像について、形成される散乱画像のTMAを、7.9g/m,3.3g/mの各々とした以外は、実施例B1と同じ条件で基材上に、赤外吸収画像(QRコード)及び散乱画像をこの順に重ねて形成し、実施例B1と同様にして評価を行った。評価結果を表3に示した。
【0211】
(比較例B1)
上記実施例B1で形成した積層画像における散乱画像を形成しなかった(すなわち、散乱画像のTMAを0.0g/mとした)以外は、実施例B1と同じ条件で基材上に、赤外吸収画像(QRコード)を形成し、実施例B1と同様にして評価を行った。評価結果を表3に示した。
【0212】
【表3】

【0213】
表3に示すように、積層画像ありの実施例Bは、積層画像なしの比較例Bと同様に赤外吸収画像で打たれたQRコードの読み取り(デコード)性を保つ、という結果が得られた。これは、積層画像層による400nm以上500nm以下の波長領域の色の遮蔽で不可視性が向上しているのと同時に、700nm以上900nm以下の赤外吸収画像によるコード信号の読み取り性も維持していることを示している。
【符号の説明】
【0214】
10 記録媒体、11 画像形成装置、12 基材、14 赤外吸収画像、16 散乱画像、15A 赤外吸収画像記録部、15B 散乱画像記録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材上に設けられ、カーボンブラックを除く有機赤外吸収色材を含む第1記録材料によって形成された赤外吸収画像と、
前記赤外吸収画像を覆うように設けられ、体積平均粒径200nm以上400nm以下の散乱体を含む第2記録材料によって形成された散乱画像と、
を備えた記録媒体。
【請求項2】
前記基材が白色である請求項1に記載の記録媒体。
【請求項3】
前記散乱画像が白色である請求項1または請求項2に記載の記録媒体。
【請求項4】
前記有機赤外吸収色材が、下記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素である請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の記録媒体。
【化1】



【請求項5】
前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素が、Cuターゲットで波長1.5405ÅのX線照射により測定される粉末X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が少なくとも17.7°,19.9°,22.1°,23.2°,24.9°に回折ピークを示す請求項4に記載の記録媒体。
【請求項6】
基材上に、カーボンブラックを除く有機赤外吸収色材を含む第1記録材料によって赤外吸収画像を記録する第1の記録装置と、
前記赤外吸収画像を覆うように、体積平均粒径200nm以上400nm以下の散乱体を含む第2記録材料によって散乱画像を記録する第2の記録装置と、
を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−45762(P2012−45762A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188350(P2010−188350)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】