記録媒体搬送用トレイおよび記録装置
【課題】簡単な構成で記録位置の精度を向上させること。
【解決手段】複数のレンズを有する記録媒体が載置され、該記録媒体を記録装置内において搬送する記録媒体搬送用トレイであって、前記記録媒体の所定ピッチで並ぶレンズに接触するための接触部であって、格子状に配置された接触部と、前記記録装置に設けられるガイド部に対して接触することによって案内される被ガイド部と、を備える記録媒体搬送用トレイ。
【解決手段】複数のレンズを有する記録媒体が載置され、該記録媒体を記録装置内において搬送する記録媒体搬送用トレイであって、前記記録媒体の所定ピッチで並ぶレンズに接触するための接触部であって、格子状に配置された接触部と、前記記録装置に設けられるガイド部に対して接触することによって案内される被ガイド部と、を備える記録媒体搬送用トレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンチキュラーレンズなどのレンズを有する記録媒体を記録装置に装填する際に用いる記録媒体搬送用トレイおよびこの記録媒体搬送用トレイを備える記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録層に重ねてレンチキュラーレンズなどのレンズを有し、記録層に記録された画像をレンチキュラーレンズを介して、立体画像あるいは見る角度によって見える画像の形態等が変わる変り絵画像として見ることができる記録媒体が従来から知られている。かかる記録媒体に記録された画像を所定の立体画像あるいは変り絵画像として見ることができるようにするためには、記録層への記録位置をレンチキュラーレンズのレンズ配列に精度良く対応させて行う必要がある。そのため、例えば、特許文献1には、センサーを用いてレンチキュラーレンズの位置を検出し、この検出結果に基づいて所望の位置に記録を行う手段が開示されている。また、特許文献2には、搬送用トレイに載置された記録媒体がトレイ上で位置ずれしない対策を施し、記録位置の精度を高める手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3471930号
【特許文献2】特開2007−130769号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の手段による場合は、センサーを備える必要がありコスト高
を招くと言う問題がある。また、特許文献2の手段による場合は、記録媒体の搬送用トレ
イに対する位置ずれを防止することはできるが、搬送用トレイが搬送方向に対して傾斜し
た状態で搬送されてしまう場合には、記録位置の精度を高めることができない。
【0005】
そこで、本発明は、簡単な構成で記録位置の精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、
複数のレンズを有する記録媒体が載置され、該記録媒体を記録装置内において搬送する記録媒体搬送用トレイであって、
前記記録媒体の所定ピッチで並ぶレンズに接触するための接触部であって、格子状に配置された接触部と、
前記記録装置に設けられるガイド部に対して接触することによって案内される被ガイド部と、
を備える記録媒体搬送用トレイである。
【0007】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施の形態に係る記録装置の後方斜視図である。
【図2】第1の実施の形態に係るトレイの構成を示す斜視図である。
【図3】検査用画像の記録内容を示す図である。
【図4】検査用画像をレンチキュラーレンズの側から見たときの画像を示す図である。
【図5】第2の実施の形態に係るトレイ300の構成を示す斜視図である。
【図6】第1の変形例に係る記録装置およびトレイの後方斜視図である。
【図7】図6に示すトレイの変形例を示す後方斜視図である。
【図8】図6の部分Aの拡大図である。
【図9】係合部、ガイド部、被ガイド部の形状の変形例を示す図である。
【図10】トレイの構成を示す断面図である。
【図11】搬送トレイ520に対するレンズシート530と搬送面510を示す図である。
【図12】搬送トレイ520の上面図である。
【図13】最小構成の搬送トレイ520’の上面図である。
【図14】横レンズの載置について説明する図である。
【図15】縦レンズの載置について説明する図である。
【図16】斜めレンズの載置について説明する図である。
【図17】図17Aは、鋭利な頂部を有する凸状ガイド512を示す図であり、図17Bは、半球型の凸状ガイド5121を示す図であり、図17Cは、三角形型の凸状ガイド5122を示す図であり、図17Dは、矩形型の凸状ガイド5123を示す図であり、図17Eは、複数の半球型の凸状ガイド5124を示す図である。
【図18】トレイ520’の概略断面図を示す図である。
【図19】球形レンズ540が並ぶ球形レンズアレイの載置について説明する図である。
【図20】第1の六角形状レンズ550が並ぶ六角形状レンズアレイの載置について説明する図である。
【図21】第2の六角形状レンズ560が並ぶ六角形状レンズアレイの載置について説明する図である。
【図22】正六角形状レンズ570にあわせて設けられた凸状配列を示す図である。
【図23】正六角形状レンズにあわせて設けられた凸部配列に対する縦レンズの配置を説明する図である。
【図24】六角形状レンズにあわせて設けられた凸部配列に対する横レンズの配置を説明する図である。
【図25】CDトレイ420上のCD−R630に印刷を行うプリンタ600を説明する図である。
【図26】CDトレイ620とCD630との関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0010】
複数のレンズを有する記録媒体が載置され、該記録媒体を記録装置内において搬送する記録媒体搬送用トレイであって、
前記記録媒体の所定ピッチで並ぶレンズに接触するための接触部であって、格子状に配置された接触部と、
前記記録装置に設けられるガイド部に対して接触することによって案内される被ガイド部と、
を備える記録媒体搬送用トレイ。
このようにすることで、簡単な構成で記録位置の精度を向上させることができる。
【0011】
かかる記録媒体搬送用トレイであって、前記接触部は、複数の突起物からなることが望ましい。また、前記接触部は、正方格子状に配置されることが望ましい。また、前記接触部は、半球状の突起物であることが望ましい。また、前記接触部は、前記記録媒体が搬送される方向において前記レンズの所定ピッチの倍数で配置されることが望ましい。
また、前記接触部は、前記記録媒体が搬送される方向に交差する方向において前記レンズの所定ピッチの倍数で配置されることが望ましい。また、前記被ガイド部は、前記記録媒体を搬送する方向に延びる凹形状からなることが望ましい。
このようにすることで、簡単な構成で記録位置の精度を向上させることができる。
【0012】
また、上記の記録媒体搬送用トレイを備える記録装置を設けることとしてもよい。
このような記録装置であっても、簡単な構成で記録位置の精度を向上させることができる。
【0013】
(第1の実施の形態)
以下に、第1の実施の形態に係る記録媒体搬送用トレイ(以下、単にトレイと記載する。)100と記録装置200について、図1および図2を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、第1の実施の形態に係る記録装置200の後方斜視図である。図には、記録装置200の概略の構成を示す概略構成図が示されている。図1に示す記録装置200は、トレイ100を利用して他の記録媒体としてのレンズシートL1が記録装置200に装填された状態を示している。図2は、第1の実施の形態に係るトレイの構成を示す斜視図である。図には、トレイ100の構成を解り易くするために、トレイ100、レンズシートL1および記録装置200を別々に分けて描いた分解斜視図が示されている。なお、図1において、記録装置200に装填されたレンズシートL1が進行する方向である矢印Xの方向を前方(前側)とし、この反対方向を後方(後側)とする。また、後方から前方に向かって右手方向となる矢印Yの方向を右方(右側)とし、この反対方向である左手方向を左方(左側)とする。
【0015】
そして、矢印Zの方向を上方(上側)とし、この反対方向を下方(下側)として、以下の説明を行うこととする。
【0016】
記録装置200は、外装体である筐体1と、レンズシートL1を載置するトレイ100と、このトレイ100を下側から支持するトレイ支持ガイド2と、トレイ支持ガイド2の上に載置されたトレイ100を後方から前方に向けて搬送する給紙ローラ3および排紙ローラ4と、レンズシートL1に対して記録を行う記録ヘッド5等を有する。
【0017】
レンズシートL1は、透明な樹脂シートの一方の面に他のレンチキュラーレンズとしてのレンチキュラーレンズ6が形成され、他方の面に画像形成層7が形成されている。このレンズシートL1は、画像形成層7に記録された画像を、レンチキュラーレンズ6を介して視認することができるように構成されている。したがって、例えば、画像形成層7に、レンチキュラーレンズ6の配設ピッチや焦点距離等に対応させて視差のある画像を記録し、この画像をレンチキュラーレンズ6の側から視認すると、立体感のある画像として、あるいは見る角度によって異なる画像として視認することができるというものである。なお、レンズシートL1は画像形成層7を形成することなく、レンチキュラーレンズ6が形成される側と反対の面の樹脂部に直接記録を行う構成のものとしてもよい。
【0018】
筐体1の後側の側面には、レンズシートL1が載置されたトレイ100を筐体1内に供給するための給紙開口部8が形成され、また、前側の側面には、給紙開口部8から供給されたレンズシートL1が載置されているトレイ100を排出する排紙開口部9が形成されている。給紙開口部8から記録装置200に供給されたトレイ100は、レンズシートL1を載置したまま給紙ローラ3および排紙ローラ4により前方に向かって搬送され、記録ヘッド5により記録が行われた後、排紙開口部9から記録装置200の外部に排出される。
【0019】
トレイ支持ガイド2は、その上面であるトレイガイド面10が、給紙ローラ3と排紙ローラ4の上部と略同一の高さとなる位置に配設されている。トレイ支持ガイド2は、全体として矩形の板状体を呈し、前後方向が、給紙開口部8の後方に突出した位置から給紙ローラ3の手前の位置に亘って備えられている。また、左右の幅方向については、載置されるトレイ100を全幅に亘って支持できる幅となっている。トレイ支持ガイド2は、筐体1、または内部のフレーム等の構造体に対して図示を省略する構成により取り付けられている。
【0020】
トレイ支持ガイド2は、樹脂等から形成される板状体から形成され、トレイガイド面10は、このトレイガイド面10に載置されるトレイ100の搬送方向をガイドするガイド部11として形成されている。ガイド部11は、複数の凸条部12から構成されている。凸条部12は、レンズシートL1のレンチキュラーレンズ6と異なる所定ピッチのレンチキュラーレンズを有する所定の記録媒体としてのガイド部用レンズシート(不図示)のレンチキュラーレンズと同一形状に形成されている。つまり、凸条部12は、トレイ100に換えてトレイ支持ガイド2に載置され搬送されるレンズシートであるガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズと同一形状に形成されている。すなわち、ガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズを形成するレンズ要素と同一形状である凸条部12が、ガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズの配設ピッチと同一ピッチでトレイ100の幅と同一かまたはその幅よりも広い幅に亘って並設されている。つまり、凸条部12は、ガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズの線状方向に沿ってこのレンチキュラーレンズに係合可能な係合部となっている。
【0021】
本実施の形態では、ガイド部用レンズシートとレンズシートL1とは、ガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズの配設ピッチが、レンズシートL1のレンチキュラーレンズ6よりも大きなピッチのものとなっている。また、凸条部12の長手方向、すなわち、凸条部12の母線(稜線)方向は、レンズシートL1の所定の搬送方向、すなわち、主走査方向に直交する方向に沿って形成されている。
【0022】
本実施の形態では、ガイド部用レンズシートをこのガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズの側を上方に向けてトレイ支持ガイド2の上面に貼り付けることで、ガイド部11を構成することとしている。このように、ガイド部11を、ガイド部用レンズシートをトレイ支持ガイド2に貼り付けることで形成するようにしたため、容易にトレイ支持ガイド2にガイド部11を設けることができる。なお、トレイ支持ガイド2を樹脂成形により作成する場合には、成形金型に予めガイド部11に対応する型面を形成して、ガイド部11をトレイ支持ガイド2と一体に成形するようにしてもよい。また、トレイ支持ガイド2を金属板により形成してもよい。この場合には、金属板を切削加工することによりガイド部11を形成することができる。
【0023】
トレイ100は、図2に示すように、全体として矩形の板状体を呈し、載置されるレンズシートL1と同一形状もしくはそれより大きな大きさであり、レンズシートL1の全面を載置できる大きさとなっている。トレイ100の上側の面、すなわち、レンズシートL1を載置する載置面13は、レンズシートL1のレンチキュラーレンズ6に係合し、レンズシートL1の位置決めを行うための複数の凸条部14を有する係合部15として形成されている。一方、トレイ100の下側の面には、前述したトレイ支持ガイド2に設けられるガイド部11に係合する複数の凸条部16を有する被ガイド部17が設けられている。
【0024】
係合部15は、レンズシートL1のレンチキュラーレンズ6と同一形状に形成されている。すなわち、凸条部14は、レンチキュラーレンズ6を形成するレンズ要素18と同一形状の線条体を呈し、レンチキュラーレンズ6の配設ピッチと同一ピッチでレンズシートL1の幅よりも広い幅に亘って並設されている。凸条部14の長手方向、すなわち、凸条部14の母線(稜線)方向は、レンズシートL1の所定の搬送方向、すなわち、主走査方向に直交する方向に沿って形成されている。
【0025】
被ガイド部17は、ガイド部11と同一形状に形成されている。すなわち、凸条部16は、ガイド部11の凸条部12と同一形状の線条体を呈し、凸条部12の配設ピッチと同一ピッチでトレイ100の下面の幅全体に亘って並設されている。なお、凸条部16の長手方向、すなわち、凸条部16の母線(稜線)方向は、係合部15の凸条部14と同一の方向、すなわち、主走査方向に直交する方向に沿って形成されている。
【0026】
ところで、トレイ100の係合部15は、本実施の形態では、レンチキュラーレンズ6を上面に向けたレンズシートL1をトレイ100の上面に貼り付けることで構成することとしている。このように、係合部15をレンズシートL1により形成することで、容易にトレイ100に係合部15を設けることができる。また、被ガイド部17についても、係合部15と同様に、ガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズの側を下方に向けて下面に貼り付けることで構成することとしている。なお、トレイ100を樹脂成形により作成する場合には、成形金型に予め係合部15と被ガイド部17に対応する型面を形成して、係合部15と被ガイド部17をトレイ100と一体に成形するようにしてもよい。また、トレイ100を金属板により形成してもよい。この場合、金属板を切削加工することにより係合部15および被ガイド部17を切削加工することにより係合部15および被ガイド部17を形成することができる。
【0027】
記録ヘッド5の前後には、給紙ローラ3と排紙ローラ4が配設されている。給紙ローラ3と排紙ローラ4は、それぞれ給紙用モータ19と排紙用モータ20により回転駆動される。給紙ローラ3の上側には、給紙ローラ3の回転に追従して回転する給紙側従動ローラ21が左右方向に例えば3つ備えられている。また、排紙ローラ4の上側には、排紙ローラ4に追従して回転する排紙側従動ローラ22が左右方向に例えば3つ備えられている。したがって、給紙開口部8から記録装置200に供給されたレンズシートL1は、これを載置するトレイ100と共に給紙ローラ3と給紙側従動ローラ21との間、および排紙ローラ4と排紙側従動ローラ22との間に挟まれて、給紙ローラ3と排紙ローラ4の回転を受けて、後方から前方に向かって搬送される。そして、搬送されるレンズシートL1に対して記録ヘッド5により記録が行われた後、排紙開口部9から記録装置200の外部に排出される。
【0028】
排紙ローラ4の前方には、記録ヘッド5により記録が行われ排紙開口部9から排出されるトレイ100の下面を支持する排紙側トレイ支持ガイド23が設けられている。この排紙側トレイ支持ガイド23は、排紙ローラ4から送り出された搬送用トレイ100が下方に撓み被ガイド部17の凸条部14がガイド部11の凸条部12から外れてしまわないように、その上面24がトレイ支持ガイド2の載置面13と同一の高さかまたはやや低い高さとされ、また前後方向の長さについても十分長く設定されている。
【0029】
給紙ローラ3と排紙ローラ4との間の上方には、記録ヘッド5が配設されている。記録ヘッド5は、キャリッジ25の下面に取り付けられ、本実施の形態では、インクを吐出するインクジェット型の記録ヘッドとして構成されている。キャリッジ25は、左右方向に延設されるキャリッジガイド26に移動可能に支持され、また、キャリッジ用モータ27により駆動されるタイミングベルト28に取り付けられている。このため、キャリッジ用モータ27によりタイミングベルト28を左右方向に回転駆動すると、キャリッジ25と共に記録ヘッド5はキャリッジガイド26に沿って左右方向に移動することができる。
【0030】
したがって、給紙ローラ3と排紙ローラ4によるレンズシートL1の搬送方向である副走査方向への搬送を制御すると共に、記録ヘッド5の移動方向である主走査方向、すなわち左右方向への移動についても制御することで、記録ヘッド5をレンズシートL1の所定位置に移動することができ、レンズシートL1の所望の位置に画像を記録することができる。なお、レンズシートL1は、画像形成層7の側を記録ヘッド5に対向され、レンチキュラーレンズ6の側がガイド部11に接触するようにトレイ支持ガイド2に載置する。つまり、記録ヘッド5は画像形成層7に対して記録を行い、レンチキュラーレンズ6の側から画像形成層7に記録された画像を視認することができる記録物が製作されることになる。
【0031】
上述したように構成される記録装置200によるレンズシートL1への記録は次のように行う。先ず、レンズシートL1を、レンチキュラーレンズ6の側をトレイ100の上に向けて載置する。係合部15とレンチキュラーレンズ6とは同一形状であるため、トレイ100に載置されたレンズシートL1は、レンチキュラーレンズ6が係合部15に噛み合う。そのため、レンズシートL1は、係合部15により左右方向(主走査方向)の位置決めが行われた状態となる。すなわち、係合部15は、トレイ100に載置されたレンズシートL1のレンチキュラーレンズ6の線状方向に沿ってレンチキュラーレンズ6に係合する係合部を構成している。つまり、レンズシートL1は、係合部15によりトレイ100の上で回転してしまったり左右に動いてしまわないように位置決めされることになる。
【0032】
そしてレンズシートL1が載置されたトレイ100を、被ガイド部17がトレイ支持ガイド2に設けられたガイド部11に係合するように、トレイ支持ガイド2上に載置する。ガイド部11と被ガイド部17とは、同一形状の凸条部12と凸条部16とが、互いに同一の配設ピッチで並設されている。そのため、凸条部12と凸条部16は左右方向においてがたつくことなく、かつ、前後方向への移動が可能な状態で係合し合うことになる。このようにガイド部11の凸条部12に被ガイド部17の凸条部16を嵌合させるようにトレイ100をトレイ支持ガイド2に載置することで、トレイ100は、トレイ支持ガイド2に対して左右方向に位置決めされるとともにトレイ支持ガイド2の上で回転してしまうことを防止される。
【0033】
したがって、給紙ローラ3および排紙ローラ4により搬送されるトレイ100は、主走査方向に直交する方向、すなわち副走査方向に沿って一定の搬送方向が維持された状態で搬送されることになる。また、上述したように、トレイ100に載置されているレンズシートL1は、係合部15によりトレイ100の上で左右方向に移動したり回転してしまうことのないように位置決めされている。そのため、レンズシートL1は、一定の決まった方向に搬送されることになり、記録ヘッド5によるレンズシートL1への記録を所定の位置に行うことができる。
【0034】
ところで、トレイ支持ガイド2に設けられるガイド部11はレンズシートL1のレンチキュラーレンズ6よりも大きなピッチのレンチキュラーレンズを有するガイド部用シートレンズのレンチキュラーレンズと同一の形状に形成されている。したがって、トレイ100に替えて、ガイド部用シートレンズをレンチキュラーレンズの側のガイド部11に向けてトレイ支持ガイド2の上に載置すると、ガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズとガイド部11とは互いに噛み合い、ガイド部用レンズシートはガイド部11により左右方向(主走査方向)の位置決めが行われた状態となる。つまり、ガイド部用シートレンズを給紙ローラ3と排紙ローラ4によって搬送すると、ガイド部11によりガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズが主走査方向に直交する方向(副走査方向)にガイドされた状態で搬送される。そのため、ガイド部用レンズシートをトレイ支持ガイド2に直接載置し搬送し、記録ヘッド5により記録を行う場合にも、ガイド部用レンズシートへの記録を所定の位置に行うことができる。
【0035】
このように、記録装置200においては、ガイド部11の凸条部12をガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズと同一形状とすることで、ガイド部11を利用してガイド部用レンズシートを所定の搬送方向に沿って搬送することができ、ガイド部用レンズシートへの記録を所定の位置に行うことができる。
【0036】
また、トレイ100の係合部15をガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズと異なるピッチのレンチキュラーレンズに係合するように構成することで、ガイド部用レンズシートとは異なるピッチのレンチキュラーレンズを有するレンズシートについては、トレイ100に載置して搬送することで、ガイド部用レンズシートと異なるピッチのレンチキュラーレンズを有するレンズシートについても所定の搬送方向に沿って搬送することができ、所定の位置に記録を行うことができる。つまり、一台の記録装置200で、異なるピッチのレンチキュラーレンズを有するレンズシートをそれぞれ所定の搬送方向に搬送させながら記録を行うことができる。
【0037】
具体的には、例えば、ガイド部用レンズシートを、1インチ毎に60本のレンズ要素が配設される60LPI(Lens Per Inch)のレンチキュラーレンズを有するレンズシートとし、ガイド部11を60LPIのレンチキュラーレンズに対応させ、また、被ガイド部17についてもこのガイド部11に対応したものとする。そして、係合部15について、100LPIのレンチキュラーレンズを有するレンズシートL1のレンチキュラーレンズ6に対応したものとする。これにより、60LPIのレンズシートに対して記録を行う場合には、トレイ支持ガイド2に直接レンズシートをガイドさせることで、記録位置精度の高い記録を行うことができる。また、100LPIのレンズシートに対して記録を行う場合には、トレイ100に該レンズシートを載置して記録を行うことで記録位置精度の高い記録を行うことができる。したがって、トレイ100を被ガイド部17については、60LPIとし、係合部15については、記録を希望するピッチのレンチキュラーレンズに対応したものを、レンチキュラーレンズのピッチ毎に準備しておくことで、一台の記録装置200で、複数のピッチのレンチキュラーレンズのレンズシートに記録を行うことができる。
【0038】
また、レンズシートL1をトレイ100に載置して搬送することで、レンズシートL1と記録ヘッド5のインク吐出部との距離が短くなる。あるいは、レンズシートL1の厚さに応じてトレイ100の厚さを所定の厚さとすることで、記録ヘッド5のインク吐出部とのレンズシートL1との距離を所定の距離とすることができる。そのため、記録ヘッド5から吐出されたインクがレンズシートL1に付着するまでに生じる位置ずれを小さく抑えることができる。
【0039】
なお、係合部15のピッチをガイド部11と同一ピッチとしてもよい。すなわち、係合部15のピッチをガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズと同一のピッチに構成してもよい。この場合にであっても、トレイ100に載置されたレンズシートを所定の搬送方向に沿って搬送することができ、所定の位置に記録を行うことができる。また、また、レンズシートと記録ヘッド5のインク吐出部との距離が短くでき、記録ヘッド5から吐出されたインクがレンズシートに付着するまでに生じる位置ずれを小さく抑えることができる。
【0040】
(搬送角度の検出)
ところで、ガイド部11、被ガイド部17、係合部15が、レンズシートL1の所定の搬送方向に正確に沿うように、すなわちガイド部1、被ガイド部17、係合部15が主走査方向(給紙ローラ3および排紙ローラ4とに直交する方向)に対して直交するように設けられている場合には、レンズシートL1の所定の位置に記録を行うことができる。一方、ガイド部11等が主走査方向に対して直交していない状態で設けられている場合には、レンズシートL1は所定の搬送方向に対して斜行して搬送されてしまうことになる。その結果、レンズシートL1は搬送されるにつれて、斜行方向に応じて左右いずれかに変位しながら搬送されることになり、レンズシートL1の所定の位置に記録を行うことができない。しかしながら、レンズシートL1は、ガイド部11にガイドされた状態で搬送されるため、一定の斜行状態が維持されたまま搬送される。つまり、レンズシートL1が搬送された距離とレンズシートL1が左方または右方に変位する量とは比例する。したがって、ガイド部11のガイド方向と所定の搬送方向との傾斜角を予め測定し、記録を行うための記録用画像データを、この傾斜角に対応して補正することで、レンズシートL1が斜行して搬送されても、レンズシートL1の所定位置に記録を行うことができる。
【0041】
図3は、検査用画像の記録内容を示す図である。傾斜角の測定の測定は次のようにして行うことができる。記録装置200により、図に示すように、レンズシートL1に対して検査用の画像である複数本のラインLnから構成される検査用画像CMを記録する。これらのラインLnは、画像データ上では、ラインLnの中の中心のラインLAを所定の搬送方向に沿ったラインとし、このラインLAを中心に、このラインLAの左右に有るラインLnを左右で異なる方向に同一角度ずつ順に傾斜を累積させたものとする。
【0042】
例えば、ラインLAよりも右側のラインLnは、搬送方向に向かって時計回りに0.01度刻みで順に傾斜角を増すように設定し、ラインLAよりも左側のラインLnは、搬送方向に向かって反時計回りに0.01度刻みで順に傾斜角を増すように設定する。このような検査用の画像データに基づいて、ガイド部11にガイドされながら搬送されるレンズシートL1に検査用画像CMを記録する。
【0043】
図4は、検査用画像をレンチキュラーレンズの側から見たときの画像を示す図である。レンズシートL1に記録された検査用画像CMをレンチキュラーレンズ6の側から見ると、図に示すように、ラインLnの中でレンチキュラーレンズ6のレンズ要素18の母線(稜線)に沿って記録されているラインLBについては、連続した1本のラインとして視認することができる。他方、レンズ要素13の母線(稜線)に沿って記録されていないラインLnについては複数のレンズ要素18にまたがって記録されるため、例えば、ラインLC等のように不連続に左右のいずれかの方向に分断されたラインとなる。
【0044】
したがって、ラインLnの中で、レンチキュラーレンズ6を介して1本のラインで見ることができるラインLBに対応するラインLnの傾斜角を、ガイド部11のガイド方向と所定の搬送方向との傾斜角として測定できる。そして、この測定された傾斜角に基づいて記録用画像データを回転させた補正画像データを生成する。レンズシートL1への画像の記録をこの補正画像データに基づいて行うことで、レンズシートL1が斜行して搬送される場合も所定位置に画像を記録することができる。
【0045】
なお、上述のガイド部11のガイド方向の傾斜角の測定は、0.01度刻みの傾斜角でラインが形成された1種類の検査用画像を用いて行ったが、傾斜角の変化量が違う2種類の検査用画像を用いてガイド部11のガイド方向の傾斜角を測定してもよい。例えば、0.05度刻みの傾斜角でラインが形成された第1の検査用画像をレンズシートL1に記録し、この検査用画像をレンチキュラーレンズ6を介して見たときに最も1ラインの長さが長いラインを特定する。次いで、別のレンズシートL1にこのラインの傾斜角を中心にして左右に0.01度刻みの傾斜角でラインが形成される第2の検査用画像を記録する。そして、第2の検査用画像をレンチキュラーレンズ6を介して見たときに最も1ラインの長さが長いラインを特定する。このラインの傾斜角を、ガイド部11のガイド方向と所定の搬送方向との傾斜角として測定することができる。
【0046】
このように、2種類の検査用画像を用いてガイド部11のガイド方向の傾斜角を測定することで、測定できる傾斜角の範囲を広げるとともに、精度の高い測定を行うことができる。つまり、0.01度刻みの傾斜角でラインが形成される検査用画像だけの場合は、中心のラインの両側に0.01度刻みのラインの本数倍までしか傾斜角の測定を行うことができない。しかしながら、0.05度刻みの傾斜角でラインが形成される検査用画像を使用することで、広い範囲の傾斜角を測定でき、さらにその次に、0.01度刻みの傾斜角でラインが形成される検査用画像を使用することで、精度の高い傾斜角の測定を行うことができる。検査用画像の種類を増やすことで、さらに広い範囲でかつ精度の高い搬送傾斜角の測定を行うことができる。
【0047】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態に係るトレイ300について、図5を参照しながら説明する。
図5は、第2の実施の形態に係るトレイ300の構成を示す斜視図である。図には、トレイ300の構成を解り易くするために、トレイ300、レンズシートL2および記録装置200を別々に分けて描いた分解斜視図が示されている。なお、上述の第1の実施の形態で説明したのと同様の構成については、同一の符号を付すこととし、その説明を省略する。
【0048】
第2の実施の形態に係るトレイ300は、いわゆる斜めレンズシートと言われるレンズシートL2を載置するためのものである。斜めレンズシートとは、レンチキュラーレンズがその線条方向をレンズシートの側辺に傾斜させて配設されているものである。つまり、本実施の形態のレンズシートL2は矩形を呈し、そして、レンチキュラーレンズ30は、レンズ要素31がレンズシートL2の側辺に対して傾斜した角度で設けられている斜めレンチキュラーレンズとなっている。
【0049】
このようなレンズシートL2を所定の搬送方向に沿って凸条部12が形成されるガイド部11にガイドさせて搬送させる場合には、図5に点線部分Rで示すように、レンズ要素31がガイド部11に係合するように、レンズシートL2を斜めにトレイ支持ガイド2に載置する必要がある。このようにレンズシートL2を斜めにトレイ支持ガイド2に載置すると、レンズシートL2が記録装置200に占める左右方向および前後方向の長さが長くなるため、トレイ支持ガイド2からレンズシートL2がはみ出てしまったり、記録ヘッド5の記録領域からレンズシートL2がはみ出てしまう問題が発生する場合がある。
【0050】
そのため、レンズシートL2がはみ出ないようにはみ出てしまうことのないようにレンズシートL2を小さく裁断する等して加工する必要があり、大きな面積のレンズシートL2に記録を行うことが出来なかったり、裁断の工数を要するという問題がある。そこで、トレイ300においては係合部32がレンチキュラーレンズ30と同一の形状で、かつ、レンズ要素31と同一の角度で傾斜した状態で設けられている。すなわち、係合部32を、レンチキュラーレンズ30と同一の形状で、かつ、レンズ要素31と同一の角度で傾斜した凸条部33により構成する。つまり、係合部32の凸条部33は、レンズシートL2をその側辺が所定の搬送方向に沿う向きでトレイ300に載置したときに、レンチキュラーレンズ30が係合する角度で備えられている。
【0051】
したがって、レンズシートL2を、そのレンチキュラーレンズ30が係合部32に係合するようにトレイ300に載置すると、レンズシートL2は、トレイ300の側辺にレンズシートL2の側辺が平行になるように配置されてトレイ300に載置されることになる。つまり、レンズシートL2は、トレイ300からはみ出ることなくトレイ300に載置される。したがって、レンズシートL2の面積を有効使って記録を行うことができる。なお、斜めレンズシートであるレンズシートL2についてもトレイ300に載置して搬送することで所定の搬送方向に沿って搬送することができ、所定の位置に記録を行うことができる。
【0052】
なお、凸条部33をトレイ支持ガイド2の凸条部12と左右方向に直交する角度、すなわち主走査方向に沿う方向に形成してもよい。トレイ300をこのような構成とした場合には、搬送方向に対して直交する方向にレンチキュラーレンズの線条方向が形成されているレンズシートを、係合部32にレンチキュラーレンズを係合させた状態で搬送することができる。
【0053】
(変形例)
次に、第1の実施の形態に係るトレイ100の変形例であるトレイ400について、図6から図8を参照しながら説明する。図6は、第1の変形例に係る記録装置およびトレイの後方斜視図である。図7は、図6に示すトレイの変形例を示す後方斜視図である。図8は、図6の部分Aの拡大図である。
なお、上述の第1の実施の形態で説明したのと同様の構成については、同一の符号を付すこととし、その説明を省略する。
【0054】
上述した第1の実施の形態に係る記録装置200において、レンズシートL1に換えてレンチキュラーレンズの設けられていないコピー用紙や写真用紙等のいわゆる普通紙を載置した場合であっても、これら普通紙が載置面13の上で回転してしまわないようにすることで、普通紙に対しても所定位置に記録を行うことができる。そこで、図6に示すようにトレイ100においては、その後端縁40に、レンズシートL1を載置した場合にレンズシートL1の後端の側縁に当接する当接手段として左右方向に長い凸条のガイド体41を設けている。普通紙Pをこのガイド体41に沿わせてトレイ400に載置することで、普通紙Pはガイド体41により載置面13上で回転してしまうことを防止され、トレイ400に載置された状態で搬送される。そのため、普通紙Pは、一定の決まった方向に搬送されることになり、記録ヘッド5による普通紙Pへの記録を所定の位置に行うことができる。普通紙Pに換えてレンズシートL1をこのガイド体41に沿わせてトレイ400に載置した場合には、レンズシートL1は係合部15による位置決めに加えてこのガイド体41によっても位置決めされるため、より確実な位置決めが行われることになる。
【0055】
なお、図7に示すようにガイド体41の取り付け位置を普通紙Pのサイズに応じて換えるようにしてもよい。この場合、ガイド体41に差込ボス42を設け、トレイ400の側に差込ボス42が嵌るボス穴43を普通紙Pのサイズに応じて設けることで、ガイド体41の取り付け位置を載置される普通紙Pのサイズに応じて簡単に変えることができる。図8は、図7に示す部分Aの拡大図であり、ボス穴43が形成される部分の様子を示す。ボス穴43は、係合部15の一部を欠いて形成する平面部分44に形成されている。
【0056】
また、ガイド体41は載置される普通紙Pの一辺だけでなく複数の辺に対応するように複数のガイド部を設けることで、普通紙Pの搬送用トレイ1上での位置決めを確実に行うことができる。また、ガイド体41は普通紙Pの外周の形状が例えば曲線であればこの曲線に合う形状とすることで、普通紙Pの形状に応じた確実な位置決めが行を行うことができる。
【0057】
上述の各実施の形態において、ガイド部11はトレイ支持ガイド2の左右方向の幅全域に亘って形成され、また、被ガイド部17もトレイ100(トレイ300,トレイ400)の左右方向の幅全域に亘って形成されている。しかしながら、被ガイド部17がガイド部11にガイドされるためには、少なくともいずれか一方を2本、そして他方を1本とし、これらの凸条部12と凸条部16とが左方向と右方向の両方向で係合し合うようにすれば足りる。凸条部12と凸条部16との本数を増やし、互いに係合する部分を増やすことで、トレイ100(トレイ300,トレイ400)のガイド部11によるガイドは確実なものとなる。
【0058】
なお、ガイド部11を複数本の凸条部12により構成する場合には、凸条12の間隔は、ガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズの配設ピッチの整数倍とする。これにより、ガイド部11にガイド部用レンズシートを載置したときに、ガイド部用レンズシートの下側に位置する複数の凸条部12を全てガイド部用レンズシートに係合させることができ、ガイド部用レンズシートとガイド部11との係合状態を確実なものとすることができる。
【0059】
また、上述の第1の実施の形態においては、係合部15はレンズシートL1の左右方向の幅全域に亘って形成したが、少なくとも1本または数本の凸条部14により構成してもよい。係合部15を複数本の凸条部14により構成する場合には、凸条部14の間隔は、レンズシートL1のレンチキュラーレンズ6の配設ピッチの整数倍とする。これにより、トレイ100にレンズシートL1を載置したときに、レンズシートL1の下側に位置する複数の凸条部14を全てレンズシートL1に係合させることができ、レンズシートL1と係合部15との係合状態を確実なものとすることができる。
【0060】
また、上述の第2の実施の形態においては、係合部32はレンズシートL2の全面に亘って形成したが、少なくとも1本または数本の凸条部33により構成してもよい。係合部32を複数本の凸条部33により構成する場合には、凸条部33の間隔は、レンズシートL2のレンチキュラーレンズ30の配設ピッチの整数倍とする。これにより、トレイ300にレンズシートL2を載置したときに、レンズシートL2の下側に位置する複数の凸条部33を全てレンズシートL2に係合させることができ、レンズシートL2と係合部32との係合状態を確実なものとすることができる。
【0061】
図9は、係合部、ガイド部、被ガイド部の形状の変形例を示す図である。各実施の形態において、係合部15は、凸形状の凸条部14とし、また、係合部32についても、凸形状の凸条部33としたが、図9に示すように、レンチキュラーレンズL1あるいはレンチキュラーレンズL2と同一の形状の凹条50を係合部14あるいは係合部32としてもよい。また、ガイド部11と被ガイド部17についはいずれか一方を凹部としてもよい。
【0062】
上述したトレイ100には、図2に示すように、トレイ100の載置面13にシリコーン接着剤等の再粘着性を有する粘着剤を塗布し粘着面29を形成し、載置面13に載置されるレンズシートL1がこの粘着面29に貼着されるようにすることで、レンズシートL1の位置決めをより確実となるようにしてもよい。また、係る粘着面29は、トレイ300、あるいはトレイ400についても設けてもよい。特に、トレイ400においては、普通紙Pが載置された場合には、普通紙Pは係合部10に係合しないため、ガイド体41による位置決めに併せて粘着面29によって固定することで、普通紙Pをより確実に位置決めすることができる。
【0063】
図10は、トレイの構成を示す断面図である。トレイ100,300,400は、図10(A)に示すように、例えば、2枚のレンズシートL3,L4を接着層51を挟んで互いに貼り合わされることで構成することができる。しかしながら、貼り合わされるレンズシートが薄く剛性が小さい場合には、トレイ支持ガイド2上を搬送される際に撓みを生じ、記録ヘッド5による記録位置を正確なものとすることができない問題が発生することがある。そこで、図10(B)に示すように、2枚のレンズシートL3,L4の間に、接着層51を介してステンレス等の金属、アクリル、PET(ポリエチレンテレフタラート)あるいはPETG(非結晶性PETコポリマー)等の樹脂より形成される薄板52を補強部材として挟んでトレイ100,300,400を構成するようにしてもよい。このようにトレイ100,300,400を構成することで、トレイ100,300,400の撓みを抑えることができ、記録ヘッド5による記録位置を正確なものとすることができる。
【0064】
なお、ガイド部11と被ガイド部17の少なくとも一方の表面にフッ素樹脂等の低摩擦材をコーティングすることで、トレイ100(トレイ300、トレイ400)とガイド部11との間の摩擦が低くなり、トレイ100(トレイ300、トレイ400)の搬送をスムーズに行うことができ、また、ガイド部11および被ガイド部17の耐摩耗性を向上することができる。
【0065】
上述の各実施の形態に説明した記録装置200は、記録ヘッド5がレンズシートL1,L2の搬送方向と直交する方向に移動する形式のものであるが、記録ヘッドが移動しないいわゆるラインヘッドを用いた記録装置についても本実施形態を用いることができる。この場合、記録ヘッド6の移動方向である主走査方向は、ラインヘッドの長手方向の方向に対応する方向となる。
【0066】
(その他の変形例)
図11は、トレイ520に対するレンズシート530と搬送面510を示す図である。図には、搬送面510に載置されるトレイ520と、トレイ520上に載置されるレンズシート530が示されている。図において、紙面に向かう方向がトレイ520の搬送方向である。トレイ520は、記録装置のガイド部512に対して係合し、搬送方向に案内されるための被ガイド部524を備える。また、トレイ520上面には、レンズシート530におけるレンチキュラーレンズ531に係合するための複数の凸部522(接触部に相当)を有する。
【0067】
図12は、トレイ520の上面図である。図には、トレイ520の上部に、複数の半球形状の凸部522が格子状に配置されている様子が示されている。ここでは、レンチキュラーレンズ531が並ぶ方向、及び、トレイ520の搬送方向において、0.423mmの間隔で凸部522が並ぶように配置されている。また、レンチキュラーレンズ531の凸部522の高さが0.212mmであるのに対し、トレイ520の凸部522の高さは約0.150mmとされ、互いの凸部が凹部に係合可能となっている。
【0068】
図13は、最小構成のトレイ520’の上面図である。前述の図12では、トレイ520のほぼ全面において凸部522が配置されることとしていたが、レンズシート530の搬送方向の位置を正確に位置決めするためには、図13に示すように少なくとも4つの凸部522が形成されていればよい。
【0069】
図14は、横レンズの載置について説明する図である。図には、トレイ520上に形成された複数の凸部522と、これら凸部522に係合するレンチキュラーレンズ531のレンズの谷532が破線で示されている。図に示されるように、レンチキュラーレンズ531のレンズの谷532の母線方向がトレイの搬送方向と交差する方向になるように、レンズシート530を載置することもできる。
【0070】
図15は、縦レンズの載置について説明する図である。図には、トレイ520上に形成された複数の凸部522と、これら凸部522に係合するレンチキュラーレンズ531のレンズの谷532が破線で示されている。図に示されるように、レンチキュラーレンズ531のレンズの谷532の母線方向がトレイの搬送方向と一致する方向になるように、レンズシート530を載置することもできる。
【0071】
図16は、斜めレンズの載置について説明する図である。ここでも、トレイ520上に形成された複数の凸部522と、これら凸部522に係合するレンチキュラーレンズ531のレンズの谷532が破線で示されている。図に示されているように、レンズシート530において、所定角度傾くようなレンチキュラーレンズ531を備える場合において、レンチキュラーレンズ531のレンズの谷532の母線方向がトレイ520の搬送方向から所定の角度を有する方向となるように、レンズシート530を載置することもできる。
【0072】
図17Aは、鋭利な頂部を有する凸状ガイド512を示す図である。図17Bは、半球型の凸状ガイド5121を示す図である。図17Cは、三角形型の凸状ガイド5122を示す図である。図17Dは、矩形型の凸状ガイド5123を示す図である。図17Eは、複数の半球型の凸状ガイド5124を示す図である。
記録装置の載置面においてガイド部が設けられる。ガイド部512は、図11に示したような断面形状が搬送方向に延びるようにして形成されるが、断面形状はこれに限られず、図17B〜図17Eに示すようなものであってもよい。尚、その際、トレイ520の下部に形成される被ガイド部524の形状も、これらのそれぞれに係合するような、凸状ガイドとほぼ同様の形状で形成されることになる。
【0073】
図18は、トレイ520’の概略断面図を示す図である。図には、トレイ520’の下部に2つの被ガイド部513が形成されている様子が示されている。このように、搬送方向に延びる被ガイド部513を複数有することとしてもよい。尚、これら複数の被ガイド部513を有する際には、両者は離れて形成されることで搬送角度精度の高い搬送を行うことができる。
【0074】
図19は、球形レンズ540が並ぶ球形レンズアレイの載置について説明する図である。これまでは、レンズの凸部及び凹部が直線上に延びるレンチキュラーレンズについて説明を行ったが、レンズの形状はこれに限られず、例えば、図19に示すような球形レンズ540を複数有するレンズアレイであってもよい。
図には、前述と同様のトレイ上に設けられた複数の凸部522が実線で示されており、さらに、半球状のレンズが規則正しく並ぶ球形レンズアレイが破線で示されている。このようなレンズアレイであっても、トレイ上の4つの凸部522の中央に球形レンズ540の中央が嵌り込むように係合することが可能である。よって、このような球形レンズアレイをトレイ上に載置することによっても、搬送方向に交差する方向の動きが確実に制限されるようになるので、搬送角度精度の高い搬送を行うことができる。
【0075】
図20は、第1の六角形状レンズ550が並ぶ六角形状レンズアレイの載置について説明する図である。図には、トレイ上に設けられた複数の凸部522が実線で示されており、これらの凸部522は搬送方向について0.423mmのピッチで並び、また、搬送方向と交差する方向について0.423mmと0.846mmのピッチが交互になるように配置されている。また、図には、六角形状レンズ550が規則正しく並ぶレンズアレイが破線で示されている。このようなレンズアレイであっても、トレイ上の4つの凸部522の中央に六角形状レンズ550の中央が嵌り込むように係合することが可能である。このような六角形状レンズアレイをトレイ上に載置することによっても、搬送方向に交差する方向の動きが確実に制限されるようになるので、搬送角度精度の高い搬送を行うことができる。
【0076】
尚、トレイ上に設けられた凸部522は、搬送方向と交差する方向について0.423mmと0.846mmのピッチが交互になるように配置され、搬送方向について0.423mmのピッチで並ぶように配置されることとしてもよい。
【0077】
図21は、第2の六角形状レンズ560が並ぶ六角形状レンズアレイの載置について説明する図である。図には、トレイ上に設けられた複数の凸部522が実線で示されており、これらの凸部522は搬送方向について0.846mmのピッチで並び、また、搬送方向と交差する方向について0.423mmと0.846mmのピッチが交互になるように配置されている。また、図には、六角形状レンズ560が規則正しく並ぶレンズアレイが破線で示されている。ここでは、搬送方向の凸部522のピッチが図20に示すものの倍になっている。
このような場合であっても、トレイ上の4つの凸部522の中央に六角形状のレンズの中央が嵌り込むように係合することが可能である。このような六角形状レンズアレイをトレイ上に載置することによっても、搬送方向、及び、搬送方向に交差する方向の動きが確実に制限されるようになるので、搬送角度精度の高い搬送を行うことができる。
【0078】
図22は、正六角形状レンズ570にあわせて設けられた凸部配列を示す図である。図には、トレイ上に設けられた複数の凸部522が実線で示されている。これらの凸部522は、搬送方向について0.732mmのピッチで並び、また、搬送方向と交差する方向について0.423mmと0.846mmのピッチが交互になるように配置されている。また、図には、正六角形状レンズ570が規則正しく並ぶレンズアレイが破線で示されている。
このように、正六角形状レンズ570に併せて設けられた凸部配列であっても、トレイ上の4つの凸部の中央に六角形状のレンズの中央が嵌り込むように係合することが可能である。このような正六角形状レンズアレイをトレイ上に載置することによっても、搬送方向、及び、搬送方向に交差する方向の動きが確実に制限されるようになるので、搬送角度精度の高い搬送を行うことができる。
【0079】
図23は、正六角形状レンズにあわせて設けられた凸部配列に対する縦レンズの配置を説明する図である。図における凸部522の配列は、図22におけるものと同様である。このような場合であっても、凸部522の搬送方向と交差する方向のピッチは、0.423mm又はその倍の0.846mmとなっているので、ピッチが0.423mmのレンチキュラーレンズを、母線が搬送方向と一致する方向に載置することができる。
【0080】
図24は、正六角形状レンズにあわせて設けられた凸部配列に対する横レンズの配置を説明する図である。図における凸部522の配列は、図22におけるものと同様である。このような場合、凸部522の搬送方向についてのピッチは、0.732mmであるので、ピッチが0.732mmのレンチキュラーレンズを、母線が搬送方向と交差する方向に載置することができる。
【0081】
図25は、CDトレイ420上のCD−R630に印刷を行うプリンタ600を説明する図である。図に示すようなプリンタ600は、CD−Rの上面に印刷を行うことができるようにするために、CDトレイ620を用いる。CDトレイ620は、トレイ上にCD−R630を載置され、プリンタ600のヘッド下面に搬送され印刷される。その際、プリンタ600に対して印刷されるCD−R630を正確に位置決めする必要がある。
【0082】
図26は、CDトレイ620とCD630との関係を説明する図である。図には、CDトレイ620に4個の凸部522が設けられている様子が示されている。凸部522は、CD−R630の内側孔に接するように配置される。このようにすることで、CDトレイ620に対してCD−R630の位置決めを正確に行うことができるようになる。
【0083】
また、CDトレイ620には、前述のような被ガイド部を設けることとして、高い搬送角度精度で記録装置としてのプリンタ600内で搬送することもできる。尚、ここでは、搬送対象物をCD−Rとして説明したが、DVD−Rなどの媒体であってもよい。
【0084】
===その他の実施の形態===
一実施形態としてヘッドを用いた記録装置を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0085】
6,30,531 レンチキュラーレンズ
11 ガイド部
15,32 係合部
17 被ガイド部
29 粘着部
52 薄板
41 ガイド体
100,300,520 トレイ(記録媒体搬送用トレイ)
200 記録装置
530,L1,L2 レンズシート
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンチキュラーレンズなどのレンズを有する記録媒体を記録装置に装填する際に用いる記録媒体搬送用トレイおよびこの記録媒体搬送用トレイを備える記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録層に重ねてレンチキュラーレンズなどのレンズを有し、記録層に記録された画像をレンチキュラーレンズを介して、立体画像あるいは見る角度によって見える画像の形態等が変わる変り絵画像として見ることができる記録媒体が従来から知られている。かかる記録媒体に記録された画像を所定の立体画像あるいは変り絵画像として見ることができるようにするためには、記録層への記録位置をレンチキュラーレンズのレンズ配列に精度良く対応させて行う必要がある。そのため、例えば、特許文献1には、センサーを用いてレンチキュラーレンズの位置を検出し、この検出結果に基づいて所望の位置に記録を行う手段が開示されている。また、特許文献2には、搬送用トレイに載置された記録媒体がトレイ上で位置ずれしない対策を施し、記録位置の精度を高める手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3471930号
【特許文献2】特開2007−130769号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の手段による場合は、センサーを備える必要がありコスト高
を招くと言う問題がある。また、特許文献2の手段による場合は、記録媒体の搬送用トレ
イに対する位置ずれを防止することはできるが、搬送用トレイが搬送方向に対して傾斜し
た状態で搬送されてしまう場合には、記録位置の精度を高めることができない。
【0005】
そこで、本発明は、簡単な構成で記録位置の精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、
複数のレンズを有する記録媒体が載置され、該記録媒体を記録装置内において搬送する記録媒体搬送用トレイであって、
前記記録媒体の所定ピッチで並ぶレンズに接触するための接触部であって、格子状に配置された接触部と、
前記記録装置に設けられるガイド部に対して接触することによって案内される被ガイド部と、
を備える記録媒体搬送用トレイである。
【0007】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施の形態に係る記録装置の後方斜視図である。
【図2】第1の実施の形態に係るトレイの構成を示す斜視図である。
【図3】検査用画像の記録内容を示す図である。
【図4】検査用画像をレンチキュラーレンズの側から見たときの画像を示す図である。
【図5】第2の実施の形態に係るトレイ300の構成を示す斜視図である。
【図6】第1の変形例に係る記録装置およびトレイの後方斜視図である。
【図7】図6に示すトレイの変形例を示す後方斜視図である。
【図8】図6の部分Aの拡大図である。
【図9】係合部、ガイド部、被ガイド部の形状の変形例を示す図である。
【図10】トレイの構成を示す断面図である。
【図11】搬送トレイ520に対するレンズシート530と搬送面510を示す図である。
【図12】搬送トレイ520の上面図である。
【図13】最小構成の搬送トレイ520’の上面図である。
【図14】横レンズの載置について説明する図である。
【図15】縦レンズの載置について説明する図である。
【図16】斜めレンズの載置について説明する図である。
【図17】図17Aは、鋭利な頂部を有する凸状ガイド512を示す図であり、図17Bは、半球型の凸状ガイド5121を示す図であり、図17Cは、三角形型の凸状ガイド5122を示す図であり、図17Dは、矩形型の凸状ガイド5123を示す図であり、図17Eは、複数の半球型の凸状ガイド5124を示す図である。
【図18】トレイ520’の概略断面図を示す図である。
【図19】球形レンズ540が並ぶ球形レンズアレイの載置について説明する図である。
【図20】第1の六角形状レンズ550が並ぶ六角形状レンズアレイの載置について説明する図である。
【図21】第2の六角形状レンズ560が並ぶ六角形状レンズアレイの載置について説明する図である。
【図22】正六角形状レンズ570にあわせて設けられた凸状配列を示す図である。
【図23】正六角形状レンズにあわせて設けられた凸部配列に対する縦レンズの配置を説明する図である。
【図24】六角形状レンズにあわせて設けられた凸部配列に対する横レンズの配置を説明する図である。
【図25】CDトレイ420上のCD−R630に印刷を行うプリンタ600を説明する図である。
【図26】CDトレイ620とCD630との関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0010】
複数のレンズを有する記録媒体が載置され、該記録媒体を記録装置内において搬送する記録媒体搬送用トレイであって、
前記記録媒体の所定ピッチで並ぶレンズに接触するための接触部であって、格子状に配置された接触部と、
前記記録装置に設けられるガイド部に対して接触することによって案内される被ガイド部と、
を備える記録媒体搬送用トレイ。
このようにすることで、簡単な構成で記録位置の精度を向上させることができる。
【0011】
かかる記録媒体搬送用トレイであって、前記接触部は、複数の突起物からなることが望ましい。また、前記接触部は、正方格子状に配置されることが望ましい。また、前記接触部は、半球状の突起物であることが望ましい。また、前記接触部は、前記記録媒体が搬送される方向において前記レンズの所定ピッチの倍数で配置されることが望ましい。
また、前記接触部は、前記記録媒体が搬送される方向に交差する方向において前記レンズの所定ピッチの倍数で配置されることが望ましい。また、前記被ガイド部は、前記記録媒体を搬送する方向に延びる凹形状からなることが望ましい。
このようにすることで、簡単な構成で記録位置の精度を向上させることができる。
【0012】
また、上記の記録媒体搬送用トレイを備える記録装置を設けることとしてもよい。
このような記録装置であっても、簡単な構成で記録位置の精度を向上させることができる。
【0013】
(第1の実施の形態)
以下に、第1の実施の形態に係る記録媒体搬送用トレイ(以下、単にトレイと記載する。)100と記録装置200について、図1および図2を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、第1の実施の形態に係る記録装置200の後方斜視図である。図には、記録装置200の概略の構成を示す概略構成図が示されている。図1に示す記録装置200は、トレイ100を利用して他の記録媒体としてのレンズシートL1が記録装置200に装填された状態を示している。図2は、第1の実施の形態に係るトレイの構成を示す斜視図である。図には、トレイ100の構成を解り易くするために、トレイ100、レンズシートL1および記録装置200を別々に分けて描いた分解斜視図が示されている。なお、図1において、記録装置200に装填されたレンズシートL1が進行する方向である矢印Xの方向を前方(前側)とし、この反対方向を後方(後側)とする。また、後方から前方に向かって右手方向となる矢印Yの方向を右方(右側)とし、この反対方向である左手方向を左方(左側)とする。
【0015】
そして、矢印Zの方向を上方(上側)とし、この反対方向を下方(下側)として、以下の説明を行うこととする。
【0016】
記録装置200は、外装体である筐体1と、レンズシートL1を載置するトレイ100と、このトレイ100を下側から支持するトレイ支持ガイド2と、トレイ支持ガイド2の上に載置されたトレイ100を後方から前方に向けて搬送する給紙ローラ3および排紙ローラ4と、レンズシートL1に対して記録を行う記録ヘッド5等を有する。
【0017】
レンズシートL1は、透明な樹脂シートの一方の面に他のレンチキュラーレンズとしてのレンチキュラーレンズ6が形成され、他方の面に画像形成層7が形成されている。このレンズシートL1は、画像形成層7に記録された画像を、レンチキュラーレンズ6を介して視認することができるように構成されている。したがって、例えば、画像形成層7に、レンチキュラーレンズ6の配設ピッチや焦点距離等に対応させて視差のある画像を記録し、この画像をレンチキュラーレンズ6の側から視認すると、立体感のある画像として、あるいは見る角度によって異なる画像として視認することができるというものである。なお、レンズシートL1は画像形成層7を形成することなく、レンチキュラーレンズ6が形成される側と反対の面の樹脂部に直接記録を行う構成のものとしてもよい。
【0018】
筐体1の後側の側面には、レンズシートL1が載置されたトレイ100を筐体1内に供給するための給紙開口部8が形成され、また、前側の側面には、給紙開口部8から供給されたレンズシートL1が載置されているトレイ100を排出する排紙開口部9が形成されている。給紙開口部8から記録装置200に供給されたトレイ100は、レンズシートL1を載置したまま給紙ローラ3および排紙ローラ4により前方に向かって搬送され、記録ヘッド5により記録が行われた後、排紙開口部9から記録装置200の外部に排出される。
【0019】
トレイ支持ガイド2は、その上面であるトレイガイド面10が、給紙ローラ3と排紙ローラ4の上部と略同一の高さとなる位置に配設されている。トレイ支持ガイド2は、全体として矩形の板状体を呈し、前後方向が、給紙開口部8の後方に突出した位置から給紙ローラ3の手前の位置に亘って備えられている。また、左右の幅方向については、載置されるトレイ100を全幅に亘って支持できる幅となっている。トレイ支持ガイド2は、筐体1、または内部のフレーム等の構造体に対して図示を省略する構成により取り付けられている。
【0020】
トレイ支持ガイド2は、樹脂等から形成される板状体から形成され、トレイガイド面10は、このトレイガイド面10に載置されるトレイ100の搬送方向をガイドするガイド部11として形成されている。ガイド部11は、複数の凸条部12から構成されている。凸条部12は、レンズシートL1のレンチキュラーレンズ6と異なる所定ピッチのレンチキュラーレンズを有する所定の記録媒体としてのガイド部用レンズシート(不図示)のレンチキュラーレンズと同一形状に形成されている。つまり、凸条部12は、トレイ100に換えてトレイ支持ガイド2に載置され搬送されるレンズシートであるガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズと同一形状に形成されている。すなわち、ガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズを形成するレンズ要素と同一形状である凸条部12が、ガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズの配設ピッチと同一ピッチでトレイ100の幅と同一かまたはその幅よりも広い幅に亘って並設されている。つまり、凸条部12は、ガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズの線状方向に沿ってこのレンチキュラーレンズに係合可能な係合部となっている。
【0021】
本実施の形態では、ガイド部用レンズシートとレンズシートL1とは、ガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズの配設ピッチが、レンズシートL1のレンチキュラーレンズ6よりも大きなピッチのものとなっている。また、凸条部12の長手方向、すなわち、凸条部12の母線(稜線)方向は、レンズシートL1の所定の搬送方向、すなわち、主走査方向に直交する方向に沿って形成されている。
【0022】
本実施の形態では、ガイド部用レンズシートをこのガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズの側を上方に向けてトレイ支持ガイド2の上面に貼り付けることで、ガイド部11を構成することとしている。このように、ガイド部11を、ガイド部用レンズシートをトレイ支持ガイド2に貼り付けることで形成するようにしたため、容易にトレイ支持ガイド2にガイド部11を設けることができる。なお、トレイ支持ガイド2を樹脂成形により作成する場合には、成形金型に予めガイド部11に対応する型面を形成して、ガイド部11をトレイ支持ガイド2と一体に成形するようにしてもよい。また、トレイ支持ガイド2を金属板により形成してもよい。この場合には、金属板を切削加工することによりガイド部11を形成することができる。
【0023】
トレイ100は、図2に示すように、全体として矩形の板状体を呈し、載置されるレンズシートL1と同一形状もしくはそれより大きな大きさであり、レンズシートL1の全面を載置できる大きさとなっている。トレイ100の上側の面、すなわち、レンズシートL1を載置する載置面13は、レンズシートL1のレンチキュラーレンズ6に係合し、レンズシートL1の位置決めを行うための複数の凸条部14を有する係合部15として形成されている。一方、トレイ100の下側の面には、前述したトレイ支持ガイド2に設けられるガイド部11に係合する複数の凸条部16を有する被ガイド部17が設けられている。
【0024】
係合部15は、レンズシートL1のレンチキュラーレンズ6と同一形状に形成されている。すなわち、凸条部14は、レンチキュラーレンズ6を形成するレンズ要素18と同一形状の線条体を呈し、レンチキュラーレンズ6の配設ピッチと同一ピッチでレンズシートL1の幅よりも広い幅に亘って並設されている。凸条部14の長手方向、すなわち、凸条部14の母線(稜線)方向は、レンズシートL1の所定の搬送方向、すなわち、主走査方向に直交する方向に沿って形成されている。
【0025】
被ガイド部17は、ガイド部11と同一形状に形成されている。すなわち、凸条部16は、ガイド部11の凸条部12と同一形状の線条体を呈し、凸条部12の配設ピッチと同一ピッチでトレイ100の下面の幅全体に亘って並設されている。なお、凸条部16の長手方向、すなわち、凸条部16の母線(稜線)方向は、係合部15の凸条部14と同一の方向、すなわち、主走査方向に直交する方向に沿って形成されている。
【0026】
ところで、トレイ100の係合部15は、本実施の形態では、レンチキュラーレンズ6を上面に向けたレンズシートL1をトレイ100の上面に貼り付けることで構成することとしている。このように、係合部15をレンズシートL1により形成することで、容易にトレイ100に係合部15を設けることができる。また、被ガイド部17についても、係合部15と同様に、ガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズの側を下方に向けて下面に貼り付けることで構成することとしている。なお、トレイ100を樹脂成形により作成する場合には、成形金型に予め係合部15と被ガイド部17に対応する型面を形成して、係合部15と被ガイド部17をトレイ100と一体に成形するようにしてもよい。また、トレイ100を金属板により形成してもよい。この場合、金属板を切削加工することにより係合部15および被ガイド部17を切削加工することにより係合部15および被ガイド部17を形成することができる。
【0027】
記録ヘッド5の前後には、給紙ローラ3と排紙ローラ4が配設されている。給紙ローラ3と排紙ローラ4は、それぞれ給紙用モータ19と排紙用モータ20により回転駆動される。給紙ローラ3の上側には、給紙ローラ3の回転に追従して回転する給紙側従動ローラ21が左右方向に例えば3つ備えられている。また、排紙ローラ4の上側には、排紙ローラ4に追従して回転する排紙側従動ローラ22が左右方向に例えば3つ備えられている。したがって、給紙開口部8から記録装置200に供給されたレンズシートL1は、これを載置するトレイ100と共に給紙ローラ3と給紙側従動ローラ21との間、および排紙ローラ4と排紙側従動ローラ22との間に挟まれて、給紙ローラ3と排紙ローラ4の回転を受けて、後方から前方に向かって搬送される。そして、搬送されるレンズシートL1に対して記録ヘッド5により記録が行われた後、排紙開口部9から記録装置200の外部に排出される。
【0028】
排紙ローラ4の前方には、記録ヘッド5により記録が行われ排紙開口部9から排出されるトレイ100の下面を支持する排紙側トレイ支持ガイド23が設けられている。この排紙側トレイ支持ガイド23は、排紙ローラ4から送り出された搬送用トレイ100が下方に撓み被ガイド部17の凸条部14がガイド部11の凸条部12から外れてしまわないように、その上面24がトレイ支持ガイド2の載置面13と同一の高さかまたはやや低い高さとされ、また前後方向の長さについても十分長く設定されている。
【0029】
給紙ローラ3と排紙ローラ4との間の上方には、記録ヘッド5が配設されている。記録ヘッド5は、キャリッジ25の下面に取り付けられ、本実施の形態では、インクを吐出するインクジェット型の記録ヘッドとして構成されている。キャリッジ25は、左右方向に延設されるキャリッジガイド26に移動可能に支持され、また、キャリッジ用モータ27により駆動されるタイミングベルト28に取り付けられている。このため、キャリッジ用モータ27によりタイミングベルト28を左右方向に回転駆動すると、キャリッジ25と共に記録ヘッド5はキャリッジガイド26に沿って左右方向に移動することができる。
【0030】
したがって、給紙ローラ3と排紙ローラ4によるレンズシートL1の搬送方向である副走査方向への搬送を制御すると共に、記録ヘッド5の移動方向である主走査方向、すなわち左右方向への移動についても制御することで、記録ヘッド5をレンズシートL1の所定位置に移動することができ、レンズシートL1の所望の位置に画像を記録することができる。なお、レンズシートL1は、画像形成層7の側を記録ヘッド5に対向され、レンチキュラーレンズ6の側がガイド部11に接触するようにトレイ支持ガイド2に載置する。つまり、記録ヘッド5は画像形成層7に対して記録を行い、レンチキュラーレンズ6の側から画像形成層7に記録された画像を視認することができる記録物が製作されることになる。
【0031】
上述したように構成される記録装置200によるレンズシートL1への記録は次のように行う。先ず、レンズシートL1を、レンチキュラーレンズ6の側をトレイ100の上に向けて載置する。係合部15とレンチキュラーレンズ6とは同一形状であるため、トレイ100に載置されたレンズシートL1は、レンチキュラーレンズ6が係合部15に噛み合う。そのため、レンズシートL1は、係合部15により左右方向(主走査方向)の位置決めが行われた状態となる。すなわち、係合部15は、トレイ100に載置されたレンズシートL1のレンチキュラーレンズ6の線状方向に沿ってレンチキュラーレンズ6に係合する係合部を構成している。つまり、レンズシートL1は、係合部15によりトレイ100の上で回転してしまったり左右に動いてしまわないように位置決めされることになる。
【0032】
そしてレンズシートL1が載置されたトレイ100を、被ガイド部17がトレイ支持ガイド2に設けられたガイド部11に係合するように、トレイ支持ガイド2上に載置する。ガイド部11と被ガイド部17とは、同一形状の凸条部12と凸条部16とが、互いに同一の配設ピッチで並設されている。そのため、凸条部12と凸条部16は左右方向においてがたつくことなく、かつ、前後方向への移動が可能な状態で係合し合うことになる。このようにガイド部11の凸条部12に被ガイド部17の凸条部16を嵌合させるようにトレイ100をトレイ支持ガイド2に載置することで、トレイ100は、トレイ支持ガイド2に対して左右方向に位置決めされるとともにトレイ支持ガイド2の上で回転してしまうことを防止される。
【0033】
したがって、給紙ローラ3および排紙ローラ4により搬送されるトレイ100は、主走査方向に直交する方向、すなわち副走査方向に沿って一定の搬送方向が維持された状態で搬送されることになる。また、上述したように、トレイ100に載置されているレンズシートL1は、係合部15によりトレイ100の上で左右方向に移動したり回転してしまうことのないように位置決めされている。そのため、レンズシートL1は、一定の決まった方向に搬送されることになり、記録ヘッド5によるレンズシートL1への記録を所定の位置に行うことができる。
【0034】
ところで、トレイ支持ガイド2に設けられるガイド部11はレンズシートL1のレンチキュラーレンズ6よりも大きなピッチのレンチキュラーレンズを有するガイド部用シートレンズのレンチキュラーレンズと同一の形状に形成されている。したがって、トレイ100に替えて、ガイド部用シートレンズをレンチキュラーレンズの側のガイド部11に向けてトレイ支持ガイド2の上に載置すると、ガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズとガイド部11とは互いに噛み合い、ガイド部用レンズシートはガイド部11により左右方向(主走査方向)の位置決めが行われた状態となる。つまり、ガイド部用シートレンズを給紙ローラ3と排紙ローラ4によって搬送すると、ガイド部11によりガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズが主走査方向に直交する方向(副走査方向)にガイドされた状態で搬送される。そのため、ガイド部用レンズシートをトレイ支持ガイド2に直接載置し搬送し、記録ヘッド5により記録を行う場合にも、ガイド部用レンズシートへの記録を所定の位置に行うことができる。
【0035】
このように、記録装置200においては、ガイド部11の凸条部12をガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズと同一形状とすることで、ガイド部11を利用してガイド部用レンズシートを所定の搬送方向に沿って搬送することができ、ガイド部用レンズシートへの記録を所定の位置に行うことができる。
【0036】
また、トレイ100の係合部15をガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズと異なるピッチのレンチキュラーレンズに係合するように構成することで、ガイド部用レンズシートとは異なるピッチのレンチキュラーレンズを有するレンズシートについては、トレイ100に載置して搬送することで、ガイド部用レンズシートと異なるピッチのレンチキュラーレンズを有するレンズシートについても所定の搬送方向に沿って搬送することができ、所定の位置に記録を行うことができる。つまり、一台の記録装置200で、異なるピッチのレンチキュラーレンズを有するレンズシートをそれぞれ所定の搬送方向に搬送させながら記録を行うことができる。
【0037】
具体的には、例えば、ガイド部用レンズシートを、1インチ毎に60本のレンズ要素が配設される60LPI(Lens Per Inch)のレンチキュラーレンズを有するレンズシートとし、ガイド部11を60LPIのレンチキュラーレンズに対応させ、また、被ガイド部17についてもこのガイド部11に対応したものとする。そして、係合部15について、100LPIのレンチキュラーレンズを有するレンズシートL1のレンチキュラーレンズ6に対応したものとする。これにより、60LPIのレンズシートに対して記録を行う場合には、トレイ支持ガイド2に直接レンズシートをガイドさせることで、記録位置精度の高い記録を行うことができる。また、100LPIのレンズシートに対して記録を行う場合には、トレイ100に該レンズシートを載置して記録を行うことで記録位置精度の高い記録を行うことができる。したがって、トレイ100を被ガイド部17については、60LPIとし、係合部15については、記録を希望するピッチのレンチキュラーレンズに対応したものを、レンチキュラーレンズのピッチ毎に準備しておくことで、一台の記録装置200で、複数のピッチのレンチキュラーレンズのレンズシートに記録を行うことができる。
【0038】
また、レンズシートL1をトレイ100に載置して搬送することで、レンズシートL1と記録ヘッド5のインク吐出部との距離が短くなる。あるいは、レンズシートL1の厚さに応じてトレイ100の厚さを所定の厚さとすることで、記録ヘッド5のインク吐出部とのレンズシートL1との距離を所定の距離とすることができる。そのため、記録ヘッド5から吐出されたインクがレンズシートL1に付着するまでに生じる位置ずれを小さく抑えることができる。
【0039】
なお、係合部15のピッチをガイド部11と同一ピッチとしてもよい。すなわち、係合部15のピッチをガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズと同一のピッチに構成してもよい。この場合にであっても、トレイ100に載置されたレンズシートを所定の搬送方向に沿って搬送することができ、所定の位置に記録を行うことができる。また、また、レンズシートと記録ヘッド5のインク吐出部との距離が短くでき、記録ヘッド5から吐出されたインクがレンズシートに付着するまでに生じる位置ずれを小さく抑えることができる。
【0040】
(搬送角度の検出)
ところで、ガイド部11、被ガイド部17、係合部15が、レンズシートL1の所定の搬送方向に正確に沿うように、すなわちガイド部1、被ガイド部17、係合部15が主走査方向(給紙ローラ3および排紙ローラ4とに直交する方向)に対して直交するように設けられている場合には、レンズシートL1の所定の位置に記録を行うことができる。一方、ガイド部11等が主走査方向に対して直交していない状態で設けられている場合には、レンズシートL1は所定の搬送方向に対して斜行して搬送されてしまうことになる。その結果、レンズシートL1は搬送されるにつれて、斜行方向に応じて左右いずれかに変位しながら搬送されることになり、レンズシートL1の所定の位置に記録を行うことができない。しかしながら、レンズシートL1は、ガイド部11にガイドされた状態で搬送されるため、一定の斜行状態が維持されたまま搬送される。つまり、レンズシートL1が搬送された距離とレンズシートL1が左方または右方に変位する量とは比例する。したがって、ガイド部11のガイド方向と所定の搬送方向との傾斜角を予め測定し、記録を行うための記録用画像データを、この傾斜角に対応して補正することで、レンズシートL1が斜行して搬送されても、レンズシートL1の所定位置に記録を行うことができる。
【0041】
図3は、検査用画像の記録内容を示す図である。傾斜角の測定の測定は次のようにして行うことができる。記録装置200により、図に示すように、レンズシートL1に対して検査用の画像である複数本のラインLnから構成される検査用画像CMを記録する。これらのラインLnは、画像データ上では、ラインLnの中の中心のラインLAを所定の搬送方向に沿ったラインとし、このラインLAを中心に、このラインLAの左右に有るラインLnを左右で異なる方向に同一角度ずつ順に傾斜を累積させたものとする。
【0042】
例えば、ラインLAよりも右側のラインLnは、搬送方向に向かって時計回りに0.01度刻みで順に傾斜角を増すように設定し、ラインLAよりも左側のラインLnは、搬送方向に向かって反時計回りに0.01度刻みで順に傾斜角を増すように設定する。このような検査用の画像データに基づいて、ガイド部11にガイドされながら搬送されるレンズシートL1に検査用画像CMを記録する。
【0043】
図4は、検査用画像をレンチキュラーレンズの側から見たときの画像を示す図である。レンズシートL1に記録された検査用画像CMをレンチキュラーレンズ6の側から見ると、図に示すように、ラインLnの中でレンチキュラーレンズ6のレンズ要素18の母線(稜線)に沿って記録されているラインLBについては、連続した1本のラインとして視認することができる。他方、レンズ要素13の母線(稜線)に沿って記録されていないラインLnについては複数のレンズ要素18にまたがって記録されるため、例えば、ラインLC等のように不連続に左右のいずれかの方向に分断されたラインとなる。
【0044】
したがって、ラインLnの中で、レンチキュラーレンズ6を介して1本のラインで見ることができるラインLBに対応するラインLnの傾斜角を、ガイド部11のガイド方向と所定の搬送方向との傾斜角として測定できる。そして、この測定された傾斜角に基づいて記録用画像データを回転させた補正画像データを生成する。レンズシートL1への画像の記録をこの補正画像データに基づいて行うことで、レンズシートL1が斜行して搬送される場合も所定位置に画像を記録することができる。
【0045】
なお、上述のガイド部11のガイド方向の傾斜角の測定は、0.01度刻みの傾斜角でラインが形成された1種類の検査用画像を用いて行ったが、傾斜角の変化量が違う2種類の検査用画像を用いてガイド部11のガイド方向の傾斜角を測定してもよい。例えば、0.05度刻みの傾斜角でラインが形成された第1の検査用画像をレンズシートL1に記録し、この検査用画像をレンチキュラーレンズ6を介して見たときに最も1ラインの長さが長いラインを特定する。次いで、別のレンズシートL1にこのラインの傾斜角を中心にして左右に0.01度刻みの傾斜角でラインが形成される第2の検査用画像を記録する。そして、第2の検査用画像をレンチキュラーレンズ6を介して見たときに最も1ラインの長さが長いラインを特定する。このラインの傾斜角を、ガイド部11のガイド方向と所定の搬送方向との傾斜角として測定することができる。
【0046】
このように、2種類の検査用画像を用いてガイド部11のガイド方向の傾斜角を測定することで、測定できる傾斜角の範囲を広げるとともに、精度の高い測定を行うことができる。つまり、0.01度刻みの傾斜角でラインが形成される検査用画像だけの場合は、中心のラインの両側に0.01度刻みのラインの本数倍までしか傾斜角の測定を行うことができない。しかしながら、0.05度刻みの傾斜角でラインが形成される検査用画像を使用することで、広い範囲の傾斜角を測定でき、さらにその次に、0.01度刻みの傾斜角でラインが形成される検査用画像を使用することで、精度の高い傾斜角の測定を行うことができる。検査用画像の種類を増やすことで、さらに広い範囲でかつ精度の高い搬送傾斜角の測定を行うことができる。
【0047】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態に係るトレイ300について、図5を参照しながら説明する。
図5は、第2の実施の形態に係るトレイ300の構成を示す斜視図である。図には、トレイ300の構成を解り易くするために、トレイ300、レンズシートL2および記録装置200を別々に分けて描いた分解斜視図が示されている。なお、上述の第1の実施の形態で説明したのと同様の構成については、同一の符号を付すこととし、その説明を省略する。
【0048】
第2の実施の形態に係るトレイ300は、いわゆる斜めレンズシートと言われるレンズシートL2を載置するためのものである。斜めレンズシートとは、レンチキュラーレンズがその線条方向をレンズシートの側辺に傾斜させて配設されているものである。つまり、本実施の形態のレンズシートL2は矩形を呈し、そして、レンチキュラーレンズ30は、レンズ要素31がレンズシートL2の側辺に対して傾斜した角度で設けられている斜めレンチキュラーレンズとなっている。
【0049】
このようなレンズシートL2を所定の搬送方向に沿って凸条部12が形成されるガイド部11にガイドさせて搬送させる場合には、図5に点線部分Rで示すように、レンズ要素31がガイド部11に係合するように、レンズシートL2を斜めにトレイ支持ガイド2に載置する必要がある。このようにレンズシートL2を斜めにトレイ支持ガイド2に載置すると、レンズシートL2が記録装置200に占める左右方向および前後方向の長さが長くなるため、トレイ支持ガイド2からレンズシートL2がはみ出てしまったり、記録ヘッド5の記録領域からレンズシートL2がはみ出てしまう問題が発生する場合がある。
【0050】
そのため、レンズシートL2がはみ出ないようにはみ出てしまうことのないようにレンズシートL2を小さく裁断する等して加工する必要があり、大きな面積のレンズシートL2に記録を行うことが出来なかったり、裁断の工数を要するという問題がある。そこで、トレイ300においては係合部32がレンチキュラーレンズ30と同一の形状で、かつ、レンズ要素31と同一の角度で傾斜した状態で設けられている。すなわち、係合部32を、レンチキュラーレンズ30と同一の形状で、かつ、レンズ要素31と同一の角度で傾斜した凸条部33により構成する。つまり、係合部32の凸条部33は、レンズシートL2をその側辺が所定の搬送方向に沿う向きでトレイ300に載置したときに、レンチキュラーレンズ30が係合する角度で備えられている。
【0051】
したがって、レンズシートL2を、そのレンチキュラーレンズ30が係合部32に係合するようにトレイ300に載置すると、レンズシートL2は、トレイ300の側辺にレンズシートL2の側辺が平行になるように配置されてトレイ300に載置されることになる。つまり、レンズシートL2は、トレイ300からはみ出ることなくトレイ300に載置される。したがって、レンズシートL2の面積を有効使って記録を行うことができる。なお、斜めレンズシートであるレンズシートL2についてもトレイ300に載置して搬送することで所定の搬送方向に沿って搬送することができ、所定の位置に記録を行うことができる。
【0052】
なお、凸条部33をトレイ支持ガイド2の凸条部12と左右方向に直交する角度、すなわち主走査方向に沿う方向に形成してもよい。トレイ300をこのような構成とした場合には、搬送方向に対して直交する方向にレンチキュラーレンズの線条方向が形成されているレンズシートを、係合部32にレンチキュラーレンズを係合させた状態で搬送することができる。
【0053】
(変形例)
次に、第1の実施の形態に係るトレイ100の変形例であるトレイ400について、図6から図8を参照しながら説明する。図6は、第1の変形例に係る記録装置およびトレイの後方斜視図である。図7は、図6に示すトレイの変形例を示す後方斜視図である。図8は、図6の部分Aの拡大図である。
なお、上述の第1の実施の形態で説明したのと同様の構成については、同一の符号を付すこととし、その説明を省略する。
【0054】
上述した第1の実施の形態に係る記録装置200において、レンズシートL1に換えてレンチキュラーレンズの設けられていないコピー用紙や写真用紙等のいわゆる普通紙を載置した場合であっても、これら普通紙が載置面13の上で回転してしまわないようにすることで、普通紙に対しても所定位置に記録を行うことができる。そこで、図6に示すようにトレイ100においては、その後端縁40に、レンズシートL1を載置した場合にレンズシートL1の後端の側縁に当接する当接手段として左右方向に長い凸条のガイド体41を設けている。普通紙Pをこのガイド体41に沿わせてトレイ400に載置することで、普通紙Pはガイド体41により載置面13上で回転してしまうことを防止され、トレイ400に載置された状態で搬送される。そのため、普通紙Pは、一定の決まった方向に搬送されることになり、記録ヘッド5による普通紙Pへの記録を所定の位置に行うことができる。普通紙Pに換えてレンズシートL1をこのガイド体41に沿わせてトレイ400に載置した場合には、レンズシートL1は係合部15による位置決めに加えてこのガイド体41によっても位置決めされるため、より確実な位置決めが行われることになる。
【0055】
なお、図7に示すようにガイド体41の取り付け位置を普通紙Pのサイズに応じて換えるようにしてもよい。この場合、ガイド体41に差込ボス42を設け、トレイ400の側に差込ボス42が嵌るボス穴43を普通紙Pのサイズに応じて設けることで、ガイド体41の取り付け位置を載置される普通紙Pのサイズに応じて簡単に変えることができる。図8は、図7に示す部分Aの拡大図であり、ボス穴43が形成される部分の様子を示す。ボス穴43は、係合部15の一部を欠いて形成する平面部分44に形成されている。
【0056】
また、ガイド体41は載置される普通紙Pの一辺だけでなく複数の辺に対応するように複数のガイド部を設けることで、普通紙Pの搬送用トレイ1上での位置決めを確実に行うことができる。また、ガイド体41は普通紙Pの外周の形状が例えば曲線であればこの曲線に合う形状とすることで、普通紙Pの形状に応じた確実な位置決めが行を行うことができる。
【0057】
上述の各実施の形態において、ガイド部11はトレイ支持ガイド2の左右方向の幅全域に亘って形成され、また、被ガイド部17もトレイ100(トレイ300,トレイ400)の左右方向の幅全域に亘って形成されている。しかしながら、被ガイド部17がガイド部11にガイドされるためには、少なくともいずれか一方を2本、そして他方を1本とし、これらの凸条部12と凸条部16とが左方向と右方向の両方向で係合し合うようにすれば足りる。凸条部12と凸条部16との本数を増やし、互いに係合する部分を増やすことで、トレイ100(トレイ300,トレイ400)のガイド部11によるガイドは確実なものとなる。
【0058】
なお、ガイド部11を複数本の凸条部12により構成する場合には、凸条12の間隔は、ガイド部用レンズシートのレンチキュラーレンズの配設ピッチの整数倍とする。これにより、ガイド部11にガイド部用レンズシートを載置したときに、ガイド部用レンズシートの下側に位置する複数の凸条部12を全てガイド部用レンズシートに係合させることができ、ガイド部用レンズシートとガイド部11との係合状態を確実なものとすることができる。
【0059】
また、上述の第1の実施の形態においては、係合部15はレンズシートL1の左右方向の幅全域に亘って形成したが、少なくとも1本または数本の凸条部14により構成してもよい。係合部15を複数本の凸条部14により構成する場合には、凸条部14の間隔は、レンズシートL1のレンチキュラーレンズ6の配設ピッチの整数倍とする。これにより、トレイ100にレンズシートL1を載置したときに、レンズシートL1の下側に位置する複数の凸条部14を全てレンズシートL1に係合させることができ、レンズシートL1と係合部15との係合状態を確実なものとすることができる。
【0060】
また、上述の第2の実施の形態においては、係合部32はレンズシートL2の全面に亘って形成したが、少なくとも1本または数本の凸条部33により構成してもよい。係合部32を複数本の凸条部33により構成する場合には、凸条部33の間隔は、レンズシートL2のレンチキュラーレンズ30の配設ピッチの整数倍とする。これにより、トレイ300にレンズシートL2を載置したときに、レンズシートL2の下側に位置する複数の凸条部33を全てレンズシートL2に係合させることができ、レンズシートL2と係合部32との係合状態を確実なものとすることができる。
【0061】
図9は、係合部、ガイド部、被ガイド部の形状の変形例を示す図である。各実施の形態において、係合部15は、凸形状の凸条部14とし、また、係合部32についても、凸形状の凸条部33としたが、図9に示すように、レンチキュラーレンズL1あるいはレンチキュラーレンズL2と同一の形状の凹条50を係合部14あるいは係合部32としてもよい。また、ガイド部11と被ガイド部17についはいずれか一方を凹部としてもよい。
【0062】
上述したトレイ100には、図2に示すように、トレイ100の載置面13にシリコーン接着剤等の再粘着性を有する粘着剤を塗布し粘着面29を形成し、載置面13に載置されるレンズシートL1がこの粘着面29に貼着されるようにすることで、レンズシートL1の位置決めをより確実となるようにしてもよい。また、係る粘着面29は、トレイ300、あるいはトレイ400についても設けてもよい。特に、トレイ400においては、普通紙Pが載置された場合には、普通紙Pは係合部10に係合しないため、ガイド体41による位置決めに併せて粘着面29によって固定することで、普通紙Pをより確実に位置決めすることができる。
【0063】
図10は、トレイの構成を示す断面図である。トレイ100,300,400は、図10(A)に示すように、例えば、2枚のレンズシートL3,L4を接着層51を挟んで互いに貼り合わされることで構成することができる。しかしながら、貼り合わされるレンズシートが薄く剛性が小さい場合には、トレイ支持ガイド2上を搬送される際に撓みを生じ、記録ヘッド5による記録位置を正確なものとすることができない問題が発生することがある。そこで、図10(B)に示すように、2枚のレンズシートL3,L4の間に、接着層51を介してステンレス等の金属、アクリル、PET(ポリエチレンテレフタラート)あるいはPETG(非結晶性PETコポリマー)等の樹脂より形成される薄板52を補強部材として挟んでトレイ100,300,400を構成するようにしてもよい。このようにトレイ100,300,400を構成することで、トレイ100,300,400の撓みを抑えることができ、記録ヘッド5による記録位置を正確なものとすることができる。
【0064】
なお、ガイド部11と被ガイド部17の少なくとも一方の表面にフッ素樹脂等の低摩擦材をコーティングすることで、トレイ100(トレイ300、トレイ400)とガイド部11との間の摩擦が低くなり、トレイ100(トレイ300、トレイ400)の搬送をスムーズに行うことができ、また、ガイド部11および被ガイド部17の耐摩耗性を向上することができる。
【0065】
上述の各実施の形態に説明した記録装置200は、記録ヘッド5がレンズシートL1,L2の搬送方向と直交する方向に移動する形式のものであるが、記録ヘッドが移動しないいわゆるラインヘッドを用いた記録装置についても本実施形態を用いることができる。この場合、記録ヘッド6の移動方向である主走査方向は、ラインヘッドの長手方向の方向に対応する方向となる。
【0066】
(その他の変形例)
図11は、トレイ520に対するレンズシート530と搬送面510を示す図である。図には、搬送面510に載置されるトレイ520と、トレイ520上に載置されるレンズシート530が示されている。図において、紙面に向かう方向がトレイ520の搬送方向である。トレイ520は、記録装置のガイド部512に対して係合し、搬送方向に案内されるための被ガイド部524を備える。また、トレイ520上面には、レンズシート530におけるレンチキュラーレンズ531に係合するための複数の凸部522(接触部に相当)を有する。
【0067】
図12は、トレイ520の上面図である。図には、トレイ520の上部に、複数の半球形状の凸部522が格子状に配置されている様子が示されている。ここでは、レンチキュラーレンズ531が並ぶ方向、及び、トレイ520の搬送方向において、0.423mmの間隔で凸部522が並ぶように配置されている。また、レンチキュラーレンズ531の凸部522の高さが0.212mmであるのに対し、トレイ520の凸部522の高さは約0.150mmとされ、互いの凸部が凹部に係合可能となっている。
【0068】
図13は、最小構成のトレイ520’の上面図である。前述の図12では、トレイ520のほぼ全面において凸部522が配置されることとしていたが、レンズシート530の搬送方向の位置を正確に位置決めするためには、図13に示すように少なくとも4つの凸部522が形成されていればよい。
【0069】
図14は、横レンズの載置について説明する図である。図には、トレイ520上に形成された複数の凸部522と、これら凸部522に係合するレンチキュラーレンズ531のレンズの谷532が破線で示されている。図に示されるように、レンチキュラーレンズ531のレンズの谷532の母線方向がトレイの搬送方向と交差する方向になるように、レンズシート530を載置することもできる。
【0070】
図15は、縦レンズの載置について説明する図である。図には、トレイ520上に形成された複数の凸部522と、これら凸部522に係合するレンチキュラーレンズ531のレンズの谷532が破線で示されている。図に示されるように、レンチキュラーレンズ531のレンズの谷532の母線方向がトレイの搬送方向と一致する方向になるように、レンズシート530を載置することもできる。
【0071】
図16は、斜めレンズの載置について説明する図である。ここでも、トレイ520上に形成された複数の凸部522と、これら凸部522に係合するレンチキュラーレンズ531のレンズの谷532が破線で示されている。図に示されているように、レンズシート530において、所定角度傾くようなレンチキュラーレンズ531を備える場合において、レンチキュラーレンズ531のレンズの谷532の母線方向がトレイ520の搬送方向から所定の角度を有する方向となるように、レンズシート530を載置することもできる。
【0072】
図17Aは、鋭利な頂部を有する凸状ガイド512を示す図である。図17Bは、半球型の凸状ガイド5121を示す図である。図17Cは、三角形型の凸状ガイド5122を示す図である。図17Dは、矩形型の凸状ガイド5123を示す図である。図17Eは、複数の半球型の凸状ガイド5124を示す図である。
記録装置の載置面においてガイド部が設けられる。ガイド部512は、図11に示したような断面形状が搬送方向に延びるようにして形成されるが、断面形状はこれに限られず、図17B〜図17Eに示すようなものであってもよい。尚、その際、トレイ520の下部に形成される被ガイド部524の形状も、これらのそれぞれに係合するような、凸状ガイドとほぼ同様の形状で形成されることになる。
【0073】
図18は、トレイ520’の概略断面図を示す図である。図には、トレイ520’の下部に2つの被ガイド部513が形成されている様子が示されている。このように、搬送方向に延びる被ガイド部513を複数有することとしてもよい。尚、これら複数の被ガイド部513を有する際には、両者は離れて形成されることで搬送角度精度の高い搬送を行うことができる。
【0074】
図19は、球形レンズ540が並ぶ球形レンズアレイの載置について説明する図である。これまでは、レンズの凸部及び凹部が直線上に延びるレンチキュラーレンズについて説明を行ったが、レンズの形状はこれに限られず、例えば、図19に示すような球形レンズ540を複数有するレンズアレイであってもよい。
図には、前述と同様のトレイ上に設けられた複数の凸部522が実線で示されており、さらに、半球状のレンズが規則正しく並ぶ球形レンズアレイが破線で示されている。このようなレンズアレイであっても、トレイ上の4つの凸部522の中央に球形レンズ540の中央が嵌り込むように係合することが可能である。よって、このような球形レンズアレイをトレイ上に載置することによっても、搬送方向に交差する方向の動きが確実に制限されるようになるので、搬送角度精度の高い搬送を行うことができる。
【0075】
図20は、第1の六角形状レンズ550が並ぶ六角形状レンズアレイの載置について説明する図である。図には、トレイ上に設けられた複数の凸部522が実線で示されており、これらの凸部522は搬送方向について0.423mmのピッチで並び、また、搬送方向と交差する方向について0.423mmと0.846mmのピッチが交互になるように配置されている。また、図には、六角形状レンズ550が規則正しく並ぶレンズアレイが破線で示されている。このようなレンズアレイであっても、トレイ上の4つの凸部522の中央に六角形状レンズ550の中央が嵌り込むように係合することが可能である。このような六角形状レンズアレイをトレイ上に載置することによっても、搬送方向に交差する方向の動きが確実に制限されるようになるので、搬送角度精度の高い搬送を行うことができる。
【0076】
尚、トレイ上に設けられた凸部522は、搬送方向と交差する方向について0.423mmと0.846mmのピッチが交互になるように配置され、搬送方向について0.423mmのピッチで並ぶように配置されることとしてもよい。
【0077】
図21は、第2の六角形状レンズ560が並ぶ六角形状レンズアレイの載置について説明する図である。図には、トレイ上に設けられた複数の凸部522が実線で示されており、これらの凸部522は搬送方向について0.846mmのピッチで並び、また、搬送方向と交差する方向について0.423mmと0.846mmのピッチが交互になるように配置されている。また、図には、六角形状レンズ560が規則正しく並ぶレンズアレイが破線で示されている。ここでは、搬送方向の凸部522のピッチが図20に示すものの倍になっている。
このような場合であっても、トレイ上の4つの凸部522の中央に六角形状のレンズの中央が嵌り込むように係合することが可能である。このような六角形状レンズアレイをトレイ上に載置することによっても、搬送方向、及び、搬送方向に交差する方向の動きが確実に制限されるようになるので、搬送角度精度の高い搬送を行うことができる。
【0078】
図22は、正六角形状レンズ570にあわせて設けられた凸部配列を示す図である。図には、トレイ上に設けられた複数の凸部522が実線で示されている。これらの凸部522は、搬送方向について0.732mmのピッチで並び、また、搬送方向と交差する方向について0.423mmと0.846mmのピッチが交互になるように配置されている。また、図には、正六角形状レンズ570が規則正しく並ぶレンズアレイが破線で示されている。
このように、正六角形状レンズ570に併せて設けられた凸部配列であっても、トレイ上の4つの凸部の中央に六角形状のレンズの中央が嵌り込むように係合することが可能である。このような正六角形状レンズアレイをトレイ上に載置することによっても、搬送方向、及び、搬送方向に交差する方向の動きが確実に制限されるようになるので、搬送角度精度の高い搬送を行うことができる。
【0079】
図23は、正六角形状レンズにあわせて設けられた凸部配列に対する縦レンズの配置を説明する図である。図における凸部522の配列は、図22におけるものと同様である。このような場合であっても、凸部522の搬送方向と交差する方向のピッチは、0.423mm又はその倍の0.846mmとなっているので、ピッチが0.423mmのレンチキュラーレンズを、母線が搬送方向と一致する方向に載置することができる。
【0080】
図24は、正六角形状レンズにあわせて設けられた凸部配列に対する横レンズの配置を説明する図である。図における凸部522の配列は、図22におけるものと同様である。このような場合、凸部522の搬送方向についてのピッチは、0.732mmであるので、ピッチが0.732mmのレンチキュラーレンズを、母線が搬送方向と交差する方向に載置することができる。
【0081】
図25は、CDトレイ420上のCD−R630に印刷を行うプリンタ600を説明する図である。図に示すようなプリンタ600は、CD−Rの上面に印刷を行うことができるようにするために、CDトレイ620を用いる。CDトレイ620は、トレイ上にCD−R630を載置され、プリンタ600のヘッド下面に搬送され印刷される。その際、プリンタ600に対して印刷されるCD−R630を正確に位置決めする必要がある。
【0082】
図26は、CDトレイ620とCD630との関係を説明する図である。図には、CDトレイ620に4個の凸部522が設けられている様子が示されている。凸部522は、CD−R630の内側孔に接するように配置される。このようにすることで、CDトレイ620に対してCD−R630の位置決めを正確に行うことができるようになる。
【0083】
また、CDトレイ620には、前述のような被ガイド部を設けることとして、高い搬送角度精度で記録装置としてのプリンタ600内で搬送することもできる。尚、ここでは、搬送対象物をCD−Rとして説明したが、DVD−Rなどの媒体であってもよい。
【0084】
===その他の実施の形態===
一実施形態としてヘッドを用いた記録装置を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0085】
6,30,531 レンチキュラーレンズ
11 ガイド部
15,32 係合部
17 被ガイド部
29 粘着部
52 薄板
41 ガイド体
100,300,520 トレイ(記録媒体搬送用トレイ)
200 記録装置
530,L1,L2 レンズシート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンズを有する記録媒体が載置され、該記録媒体を記録装置内において搬送する記録媒体搬送用トレイであって、
前記記録媒体の所定ピッチで並ぶレンズに接触するための接触部であって、格子状に配置された接触部と、
前記記録装置に設けられるガイド部に対して接触することによって案内される被ガイド部と、
を備える記録媒体搬送用トレイ。
【請求項2】
前記接触部は、複数の突起物からなる、請求項1に記載の記録媒体搬送用トレイ。
【請求項3】
前記接触部は、正方格子状に配置される、請求項1又は2に記載の記録媒体搬送用トレイ。
【請求項4】
前記接触部は、半球状の突起物である、請求項1〜3のいずれかに記載の記録媒体搬送用トレイ。
【請求項5】
前記接触部は、前記記録媒体が搬送される方向において前記レンズの所定ピッチの倍数で配置される、請求項1〜4のいずれかに記載の記録媒体搬送用トレイ。
【請求項6】
前記接触部は、前記記録媒体が搬送される方向に交差する方向において前記レンズの所定ピッチの倍数で配置される、請求項1〜5のいずれかに記載の記録媒体搬送用トレイ。
【請求項7】
前記被ガイド部は、前記記録媒体を搬送する方向に延びる凹形状からなる、請求項1〜6のいずれかに記載の記録媒体搬送用トレイ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の記録媒体搬送用トレイを備える記録装置。
【請求項1】
複数のレンズを有する記録媒体が載置され、該記録媒体を記録装置内において搬送する記録媒体搬送用トレイであって、
前記記録媒体の所定ピッチで並ぶレンズに接触するための接触部であって、格子状に配置された接触部と、
前記記録装置に設けられるガイド部に対して接触することによって案内される被ガイド部と、
を備える記録媒体搬送用トレイ。
【請求項2】
前記接触部は、複数の突起物からなる、請求項1に記載の記録媒体搬送用トレイ。
【請求項3】
前記接触部は、正方格子状に配置される、請求項1又は2に記載の記録媒体搬送用トレイ。
【請求項4】
前記接触部は、半球状の突起物である、請求項1〜3のいずれかに記載の記録媒体搬送用トレイ。
【請求項5】
前記接触部は、前記記録媒体が搬送される方向において前記レンズの所定ピッチの倍数で配置される、請求項1〜4のいずれかに記載の記録媒体搬送用トレイ。
【請求項6】
前記接触部は、前記記録媒体が搬送される方向に交差する方向において前記レンズの所定ピッチの倍数で配置される、請求項1〜5のいずれかに記載の記録媒体搬送用トレイ。
【請求項7】
前記被ガイド部は、前記記録媒体を搬送する方向に延びる凹形状からなる、請求項1〜6のいずれかに記載の記録媒体搬送用トレイ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の記録媒体搬送用トレイを備える記録装置。
【図3】
【図4】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図1】
【図2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図4】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図1】
【図2】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2010−247962(P2010−247962A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100146(P2009−100146)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]