説明

記録媒体製作方法、記録媒体及び記録媒体の再生装置

【課題】本発明は、記録媒体に格納すべきデータに対する著作権管理を容易に実行できるようにする。
【解決手段】複数の中から所望の静止画データSD2、SD4を選択し、その選択された静止画データSD2、SD4については当該静止画データSD2、SD4を用いてn秒間の動画データを生成し、それを暗号化することにより暗号化動画データに変換し、その暗号化動画データと、選択されなかった静止画データSD1、SD3との間を遷移するためのページ遷移制御情報を生成し、ブルーレイディスク5のフォーマットに従って、静止画データSD1、SD3、暗号化動画データ及びページ遷移制御情報をブルーレイディスク5に記録するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体製作方法、記録媒体及び記録媒体の再生装置に関し、例えば記録媒体であるブルーレイディスク(登録商標)に出版物と同じ内容のコンテンツを記録する場合に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、DVD(Digital Versatile Disc)やブルーレイディスク等の記録媒体において、動画と音声とを非同期再生することが可能な再生装置が提案されている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
また、新聞、雑誌等の出版物の紙面画像を読み込み、Webブラウザで表示可能なファイル形式にして配信する電子出版物発行配信システムが提案されている(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3334795号公報
【特許文献2】特許第4228767号公報
【特許文献3】特開2006-293939公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで上述した特許文献3においては、紙面画像をデジタルのファイル形式にして配信した場合、その紙面画像が悪意のユーザによって勝手にコピーされて不正に使用された場合、著作権が保護されないという問題があった。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、記録媒体に格納すべきデータに対するセキュリティ管理を大幅なデータ容量の増大なしに実現し得る記録媒体製作方法、記録媒体及び記録媒体の再生装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明の記録媒体製作方法においては、複数の中から所望の静止画データを選択手段により選択する選択ステップと、選択ステップで選択された静止画データについては、変換手段により当該静止画データを用いてn秒間の動画データを生成し、それを暗号化することにより暗号化動画データに変換する変換ステップと、変換ステップにより変換された暗号化動画データと、選択ステップにより選択されなかった静止画データとの間を遷移するための遷移制御情報を遷移制御情報生成手段によって生成する遷移制御情報生成ステップと、所定の記録媒体のフォーマットに従って、選択されなかった静止画データと、暗号化動画データと、遷移制御情報とを記録手段により記録媒体に記録する記録ステップとを有するようにする。
【0008】
これにより、著作権保護したい静止画データについては暗号化動画データに変換して記録媒体に記録することが出来ると共に、著作権保護する必要のない静止画データについてはそのまま記録媒体に記録すれば良いので、著作権保護を実現しながら記録媒体に記録すべきデータ容量を効率的に抑制しつつ、この記録媒体が再生されたとき、遷移制御情報に従って暗号化動画データと静止画データとの間を容易に遷移することができる。
【0009】
また本発明の記録媒体においては、複数の中から選択された所望の静止画データについて、当該静止画データを用いてn秒間の動画データを生成した後、それを暗号化することにより変換された暗号化動画データと、選択されなかった静止画データと、暗号化動画データ及び選択されなかった静止画データの間を遷移するために生成された遷移制御情報とが記録されている。
【0010】
これにより、記録媒体が再生されたとき、製作者が著作権保護したい静止画データについてのみ暗号化動画データとして記録されているので、効率良く不正複写されることを防止しつつ、遷移制御情報に従って暗号化動画データと静止画データとの間を容易に遷移することができる。
【0011】
さらに本発明における記録媒体の再生装置においては、複数の中から選択された所望の静止画データについて、当該静止画データを用いてn秒間の動画データを生成した後、それを暗号化することにより変換された暗号化動画データと、選択されなかった静止画データと、暗号化動画データ及び選択されなかった静止画データの間を遷移するために生成された遷移制御情報とが記録されてなる記録媒体を再生対象として再生する再生手段と、暗号化動画データと選択されなかった静止画データとの間を遷移制御情報に基づいて遷移する遷移制御手段とを設けるようにする。
【0012】
これにより、この記録媒体には製作者が著作権保護したい静止画データについてのみ暗号化動画データとして記録されているので、当該記録媒体の再生時に不正複写されることを防止しつつ、遷移制御情報に従って暗号化動画データと静止画データとの間を容易に遷移することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、著作権保護したい静止画データについては暗号化動画データに変換して記録媒体に記録することが出来ると共に、著作権保護する必要のない静止画データについてはそのまま記録媒体に記録すれば良いので、著作権保護を実現しながら記録媒体に記録すべきデータ容量を効率的に抑制しつつ、この記録媒体が再生されたとき、遷移制御情報に従って暗号化動画データと静止画データとの間を容易に遷移することができ、かくして記録媒体に格納すべきデータに対するセキュリティ管理を大幅なデータ容量の増大なしに実現し得る記録媒体製作方法を実現することができる。
【0014】
また本発明によれば、記録媒体が再生されたとき、製作者が著作権保護したい静止画データについてのみ暗号化動画データとして記録されているので、効率良く不正複写されることを防止しつつ、遷移制御情報に従って暗号化動画データと静止画データとの間を容易に遷移することができ、かくして格納されているデータに対するセキュリティ管理を大幅なデータ容量の増大なしに実現し得る記録媒体を実現することができる。
【0015】
さらに本発明によれば、この記録媒体には製作者が著作権保護したい静止画データについてのみ暗号化動画データとして記録されているので、当該記録媒体の再生時に不正複写されることを防止しつつ、遷移制御情報に従って暗号化動画データと静止画データとの間を容易に遷移することができ、かくして記録媒体に格納すべきデータに対するセキュリティ管理を大幅なデータ容量の増大なしに実現し得る再生装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態におけるディスク製作装置の構成を示す略線的ブロック図である。
【図2】出版物コンテンツの見開きページを示す略線図である。
【図3】出版物コンテンツの動画ページへリンクしたときの表示内容を示す略線図である。
【図4】出版物コンテンツの別のページへリンクしたときの表示内容を示す略線図である。
【図5】ネットワーク上のサイトへリンクしたときの表示内容を示す略線図である。
【図6】ズーム操作に応じて一部を拡大したときの表示内容を示す略線図である。
【図7】BDに収録すべきコンテンツデータの製作過程(1)を示す略線図である。
【図8】BDに収録すべきコンテンツデータの製作過程(2)を示す略線図である。
【図9】データ変換処理手順を示すフローチャートである。
【図10】全ての静止画を動画に変換して暗号化する例の説明に供する略線図である。
【図11】3ページ目表示中のページ遷移例を示す略線図である。
【図12】一部の静止画だけを動画に変換して暗号化する例の説明に供する略線図である。
【図13】3ページ目表示中のボタン操作に応じたページ遷移例を示す略線図である。
【図14】記録媒体内の素材情報を示す略線図である。
【図15】素材毎に規定されるチャプタ・ページ情報を示す略線図である。
【図16】素材毎に規定されるリンク情報を示す略線図である。
【図17】暗号化選択及びデータ記録処理手順を示すフローチャートである。
【図18】暗号化対象選択画面を示す略線図である。
【図19】記録媒体のデータ格納例を示す略線図である。
【図20】BD再生システムの全体構成を示す略線図である。
【図21】BDレコーダの回路構成を示す略線的ブロック図である。
【図22】BDレコーダによるソフトウェア構成を示す略線図である。
【図23】再生処理手順を示すフローチャートである。
【図24】ボタン操作に応じた再生処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明を実施するための形態について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.他の実施の形態
【0018】
<1.実施の形態>
[1−1.ディスク製作装置の構成]
図1において、1は本発明の一実施の形態におけるディスク製作装置を示し、印刷物8の内容を表した出版物コンテンツデータC1をブルーレイディスク5に記録して市販用ディスク(BD−ROM)を作成するために用いられるものである。
【0019】
ここでディスク製作装置1では、出版物コンテンツデータC1を記録する際、ブルーレイディスク−Java(登録商標)アプリケーション(以下、これをBD−Jアプリと呼ぶ。)についてもブルーレイディスク5に記録するようになされており、当該BD−JアプリによってインタラクティブなGUI(Graphical User Interface)表示を実行し得るようになされている。
【0020】
ここでBD−Jアプリとは、Java(登録商標)言語によって記述されたアプリケーションプログラムであって、インターネット等のネットワークへ接続することが可能であり、ブルーレイディスク5に収録されているリンク先にアクセスして情報をダウンロードすることができるようになされている。
【0021】
ここで、ブルーレイディスク5に記録される出版物コンテンツデータC1の内容を、当該ブルーレイディスク5が実際に再生されたときの図2乃至図6に示す再生結果表示例を用いて具体的に説明する。
【0022】
図2では、BDレコーダ101が市販用ディスクであるブルーレイディスク5を再生することにより、出版物コンテンツデータC1の内容として例えば最初の1頁及び2頁を見開いた状態の見開きページP1を表示する。
【0023】
この見開きページP1では、その動画へリンクするためのリンク画像LG1、別ページへリンクするための下線で示されたアンカーANK1、ネットワーク上の他のサイトへリンクするためのリンク画像LG2が設けられている。
【0024】
このリンク画像LG1、LG2及びアンカーANK1の何れかが、BDレコーダ101のリモートコントローラ(図示せず)を介して選択されると、BDレコーダ101は当該見開きページP1からそれぞれのリンクで定義されているリンク先へ遷移してテレビジョン受像機103に表示するようになされている。
【0025】
実際上、見開きページP1においてリンク画像LG1が選択された場合、BDレコーダ101は、図3に示すように、当該リンク画像LG1のリンクで定義されているリンク先の動画ページP2へ遷移して表示するようになされている。
【0026】
また見開きページP1においてアンカーANK1が選択された場合、BDレコーダ101は、図4に示すように、当該アンカーANK1のリンクで定義されているリンク先の別のページP3へ遷移して表示するようになされている。
【0027】
さらに見開きページP1(図2)においてリンク画像LG2が選択された場合、BDレコーダ101は、図5に示すように、BD−Jアプリに従って、当該リンク画像LG2のリンクで定義されているネットワーク上のサイトへアクセスし、見開きページP1から当該サイトのトップページP4へ遷移して表示するようになされている。
【0028】
なお、見開きページP1(図2)において所定のエリアにカーソルが合わせられた状態で、ズーム操作が行われた場合、BDレコーダ101は、図6に示すように、当該カーソルが位置する所定領域に対応付けられたリンクで定義されている拡大画像ページP5へ遷移し、それを見開きページP1に重ねて表示するようになされている。
【0029】
因みにBDレコーダ101は、見開きページP1(図2)においてリモートコントローラにより次ボタンが押下操作された場合、次の2ページ目に遷移して表示し、当該2ページ目を表示中に、前ボタンが押下操作された場合、一つ前の見開きページP1に遷移して表示し得るようになされている。
【0030】
勿論BDレコーダ101は、見開きページP1(図2)においてリモートコントローラにより例えば5ページ目が指定された場合、当該5ページ目に遷移して表示し得るようにもなされている。
【0031】
実際上、このディスク製作装置1(図1)において、システムバス7に接続された制御部2は、CPU(Central Processing Unit)2A、ROM(Read Only Memory)2B及びRAM(Random Access Memory)2Cによって構成されている。
【0032】
制御部2のCPU2Aは、ROM2B又はハードディスクドライブ3から読み出してRAM2Cに立ち上げた基本プログラム及びアプリケーションプログラムに従って当該ディスク製作装置1としての基本的な処理等を実行すべく、各部を制御するようになされている。
【0033】
ここで図7に示すように、出版社等がDTP(Desktop publishing)ソフトウェアを用いて作成したDTPデータD1は、通常、印刷会社へ渡されて、本、雑誌、新聞、チラシ、漫画等の印刷物8になる。
【0034】
実際上、制御部2のCPU2Aは、外部入力インタフェース9を介して所謂DTPデータD1を取り込み、一度ハードディスクドライブ3に格納する。
【0035】
その後、制御部2のCPU2Aは、アプリケーションプログラムであるデータ制御プログラムPrg1に従い、製作者から指定された所定の変換条件や種々のパラメータに基づき、DTPデータD1を出版物コンテンツデータC1Aに変換する。
【0036】
そして制御部2のCPU2A(図1)は、その出版物コンテンツデータC1Aを記録部4によりブルーレイディスクBDに記録し得るようになされている。このとき制御部2のCPU2Aは、モニタ10を介して製作者に処理過程を目視確認させ得るようになされている。
【0037】
因みに、DTPデータD1は、DTPソフトウェア固有のデータである場合だけでなく、PDF(Portable Document Format)等の汎用なデータの場合も存在する。
【0038】
一方、図8に示すように、制御部2のCPU2Aは、DTPデータD1が存在せず印刷物8だけが存在している場合、スキャナ6(図1)を介して印刷物8の原稿をキャプチャすることにより得られた静止画データIMG1を、一度ハードディスクドライブ3に格納する。
【0039】
その後、制御部2のCPU2Aは、データ制御プログラムPrg1に従い、製作者から指定された所定の変換条件や種々のパラメータに基づき静止画データIMG1を出版物コンテンツデータC1Bに変換する。
【0040】
そして制御部2のCPU2A(図1)は、その出版物コンテンツデータC1Bを記録部4によりブルーレイディスク5に記録し、そのときの処理過程をモニタ10により製作者に対して目視確認させ得るようになされている。
【0041】
[1−2.データ変換処理手順]
上述したように、印刷物8の内容をブルーレイディスク5に記録すべき出版物コンテンツデータC1(C1A及びC1B)へ変換するデータ変換処理手順について、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0042】
制御部2のCPU2Aは、ルーチンRT1の開始ステップから入って次のステップSP1へ移り、外部入力インタフェース9を介して取り込んだDTPデータD1、又はスキャナ6を介して取り込んだ静止画データIMG1を入力原稿データとして読み込み、次のステップSP2へ移る。
【0043】
ステップSP2において制御部2のCPU2Aは、製作者から指定された所定の変換条件や種々のパラメータを認識し、次のステップSP3へ移る。
【0044】
ステップSP3において制御部2のCPU2Aは、入力原稿データが静止画データIMG1であるか否かを判定する。ここで、否定結果が得られると、このことは入力原稿データが静止画データIMG1そのものではなく、DTPデータD1であることを表しており、このとき制御部2のCPU2Aは次のステップSP4へ移る。
【0045】
ステップSP4において制御部2のCPU2Aは、DTPデータD1をデコードし、見開きページ単位で静止画データを切り出し、その切り出した静止画データに対して、ページ遷移制御情報(後述する)で用いられる見開きページ単位のページ番号を割り振り、次のステップSP6へ移る。
【0046】
実際上、制御部2のCPU2Aは、図2に示したように、出版物コンテンツデータC1の左右ページで構成される見開きページ単位で静止画データを順次切り出していき、その切り出した静止画データに対し、ページ遷移制御情報(後述する)で用いられる新たなページ番号を割り振っていくようになされている。
【0047】
すなわち、出版物コンテンツデータC1における最初の1頁及び2頁を見開いた状態の見開きページP1全体が、ページ番号「1」の新たな1ページ目として割り振られることになる。
【0048】
これに対してステップSP3で肯定結果が得られると、このことは入力原稿データが静止画データIMG1そのものであり、このとき制御部2のCPU2Aは次のステップSP5へ移る。
【0049】
ステップSP5において制御部2のCPU2Aは、ステップSP4と同様、製作者から指定された順番で静止画データIMG1に見開きページ単位の新たなページ番号を割り振り、次のステップSP6へ移る。
【0050】
ステップSP6において制御部2のCPU2Aは、新たなページ番号の割り振られた静止画データにおける予め4分割されたそれぞれの領域を所定倍率で拡大することにより拡大画像ページP5(図6)に対応した拡大静止画データを生成し、次のステップSP7へ移って処理を終了する。
【0051】
これにより制御部2のCPU2Aは、入力原稿データを、新たなページ番号の割り振られた静止画データ及び拡大静止画データからなる出版物コンテンツデータC1(C1A及びC1B)に変換し得るようになされている。
【0052】
[1−3.著作権保護を考慮した暗号化処理]
ところでディスク製作装置1において、上述した出版物コンテンツデータC1(C1A及びC1B)の静止画データ及び拡大静止画データを、そのままブルーレイディスク5に記録した場合、次のような不都合が生じる。
【0053】
例えば、このブルーレイディスク5がパーソナルコンピュータで再生されると、静止画データ及び拡大静止画データについては、ブルーレイディスクの規格上、暗号化されていないため当該パーソナルコンピュータのハードディスクに簡単に取り込まれてしまう。
【0054】
特に、ブルーレイディスク5のBD−ROMフォーマットでは、動画の映像音声ストリームについてのみ暗号化による保護の仕組みが規定されているだけで、静止画データについては暗号化する仕組みが存在しない。
【0055】
そうなると、ブルーレイディスク5に記録された静止画データ及び拡大静止画データが悪意のユーザによって不正に複写されて著作権保護が図れなくなってしまう。
【0056】
因みに、ブルーレイディスク5に記録されたBD−Jアプリに対して暗号化処理を記述することも可能ではあるが、特に、BD−ROMではJava(登録商標)によりデコンパイルして処理内容が容易に可視化できてしまうため、暗号化処理の内容が解読されてしまって意味がない。
【0057】
[1−3−1.全ての静止画を動画に変換して暗号化処理するケース]
そこでディスク製作装置1では、図10に示すように、1つの出版物コンテンツデータC1における1ページ目の静止画データSD1から順番に全てを、例えば5秒間づつ順番に表示するためフレーム周波数が60[Hz]の動画データにそれぞれ変換し、例えばAACS(Advanced Access Content System)により暗号化した後にブルーレイディスク5に記録することが考えられる。
【0058】
実際上、制御部2のCPU2Aは、出版物コンテンツデータC1における1ページ目の静止画データSD1について、当該静止画データSD1を5秒間動画として表示するため、静止画データSD1を合計300フレームほど生成し、1ページ目に対応したチャプタ1の動画部分として暗号化するようになされている。
【0059】
同様に、制御部2のCPU2Aは、出版物コンテンツデータC1における2ページ目の静止画データSD2についても、当該静止画データSD2を5秒間動画として表示するため、静止画データSD2を合計300フレームほど生成し、2ページ目に対応したチャプタ2の動画部分として暗号化するようになされている。
【0060】
このように制御部2のCPU2Aは、出版物コンテンツデータC1における3ページ目、4ページ目以降についても、静止画データSD3、SD4、……、を合計300フレームほど生成し、3ページ目、4ページ目以降に対応したチャプタ3、チャプタ4の動画部分として暗号化するようになされている。
【0061】
なお制御部2のCPU2Aは、出版物コンテンツデータC1における例えば3ページ目の拡大静止画データSD3Aについては、当該拡大静止画データSD3Aを5秒間動画として表示するため、拡大静止画データSD3Aを合計300フレームほど生成し、3ページ目の拡大静止画に対応した例えばチャプタ10の動画部分として暗号化するようになされている。
【0062】
このように制御部2のCPU2Aは、出版物コンテンツデータC1の全ページの静止画データSD1〜SD4、……、SD3A、……、を動画データに変換して暗号化することにより、出版物コンテンツデータC1を動画データからなる新たな出版物コンテンツデータC2に変換することができる。
【0063】
そして制御部2のCPU2Aは、動画変換後の新たな出版物コンテンツデータC2をブルーレイディスク5に記録することにより、静止画データの形式を一切残すことなく全ページを著作権保護対象とした状態で収録し得るようになされている。
【0064】
続いて図11に示すように、このブルーレイディスク5がBDレコーダ101(図2)によって再生されたときの、当該BDレコーダ101が行うページ遷移について説明する。
【0065】
BDレコーダ101は、ブルーレイディスク5を再生し、新たな出版物コンテンツデータC2を構成している例えば3ページ目の動画部分(チャプタ3)をテレビジョン受像機103に表示中、リモートコントローラ(図示せず)を介して次ボタンが押下操作されると、4ページ目の動画部分(チャプタ4)の先頭から動画再生を開始する。
【0066】
またBDレコーダ101は、3ページ目の動画部分(チャプタ3)をテレビジョン受像機103に表示中、リモートコントローラ(図示せず)を介して前ボタンが押下操作されると、2ページ目の動画部分(チャプタ2)の先頭から動画再生を開始する。
【0067】
さらにBDレコーダ101は、3ページ目の動画部分(チャプタ3)をテレビジョン受像機103に表示中、リモートコントローラ(図示せず)を介して1ページを指定するための「1」ボタンが押下操作されると、1ページ目の動画部分(チャプタ1)の先頭から動画再生を開始する。
【0068】
さらにBDレコーダ101は、3ページ目の動画部分(チャプタ3)をテレビジョン受像機103に表示中、リモートコントローラ(図示せず)を介してズームボタンが押下操作されると、予め作成しておいた3ページ目における拡大静止画の動画部分(チャプタ20)の先頭から動画再生を開始する。
【0069】
因みにBDレコーダ101は、このとき動画再生を開始するが、全て同一内容の300フレームを60[Hz]のフレーム周波数で繰り返し再生するので、動画として表示しているものの、ユーザの見た目には、あくまで静止画像として目視確認させ得るようになされている。
【0070】
ところで制御部2のCPU2Aは、出版物コンテンツデータC1における全ページの静止画データSD1〜SD4、……、SD3A、……、を暗号化するため動画データに変換したのでは、ブルーレイディスク5に格納するデータ容量が膨大になってしまい、収録し切れない事態も生じ得る。
【0071】
[1−3−2.一部の静止画だけを動画に変換して暗号化処理するケース]
そこで制御部2のCPU2Aでは、図12に示すように、出版物コンテンツデータC1における全ページのうち、製作者からの指示に従って、例えば2ページ目の静止画データSD2及び4ページ目の静止画データSD4だけを暗号化対象として選択し、動画データに変換するようになされている。
【0072】
すなわち制御部2のCPU2Aは、出版物コンテンツデータC1における2ページ目及び4ページ目以外の1ページ目の静止画データSD1、3ページ目の静止画データSD3、及び3ページ目の拡大静止画データSD3Aについては暗号化対象とはせずに動画データに変換しないようになされている。
【0073】
これにより制御部2のCPU2Aは、1つ素材である出版物コンテンツデータC1から、2ページ目及び4ページ目の動画部分からなる素材1、……、1ページ目の静止画からなる素材10、3ページ目の静止画からなる素材11、……、3ページ目の拡大静止画からなる素材XX、……、に分割することにより、新たな出版物コンテンツデータC3を生成し得るようになされている。
【0074】
ここで制御部2のCPU2Aは、素材1が2ページ目の動画部分と4ページ目の動画部分とから構成されていることから、2ページ目の動画部分をチャプタ1として設定し、4ページ目の動画部分をチャプタ2として設定するようになされている。
【0075】
なお制御部2のCPU2Aは、1ページ目の静止画からなる素材10については当該素材10の中に1ページ目の静止画しか存在しないため、これをチャプタ1として設定する。制御部2のCPU2Aは、3ページ目の静止画からなる素材11や、3ページ目の拡大静止画からなる素材XXについても同様にチャプタ1として設定する。
【0076】
すなわち制御部2のCPU2Aは、新たな出版物コンテンツデータC3については、動画部分と静止画部分とが混在することになるので、出版物コンテンツデータC1を素材1、……、素材10、素材11、……、素材XX、……、からなる新たな出版物コンテンツデータC3に分割すると共に、その素材単位でチャプタ番号を「1」から付け直すようになされている。
【0077】
続いて、図13に示すように、このような素材1、……、素材10、素材11、……、素材XX、……、からなる新たな出版物コンテンツデータC3を記録したブルーレイディスク5がBDレコーダ101(図2)によって再生されたときの、ページ遷移について説明する。
【0078】
BDレコーダ101は、ブルーレイディスク5を再生し、例えば素材11における3ページ目の静止画(チャプタ1)をテレビジョン受像機103に表示中、リモートコントローラ(図示せず)を介して次ボタンが押下操作されると、素材1における4ページ目の動画部分(チャプタ2)の先頭から動画再生を開始する。
【0079】
またBDレコーダ101は、素材11における3ページ目の静止画をテレビジョン受像機103に表示中、リモートコントローラ(図示せず)を介して前ボタンが押下操作されると、素材1における2ページ目の動画部分(チャプタ1)の先頭から動画再生を開始する。
【0080】
因みにBDレコーダ101は、このとき素材1における2ページ目の動画部分(チャプタ1)、4ページ目の動画部分(チャプタ2)の先頭から動画再生を開始するが、全て同一内容の300フレームを60[Hz]のフレーム周波数で繰り返し再生するので、ユーザの見た目には、あくまで動画ではなく静止画像として目視確認させ得るようになされている。
【0081】
さらにBDレコーダ101は、素材11における3ページ目の静止画をテレビジョン受像機103に表示中、リモートコントローラ(図示せず)を介して1ページを指定するための「1」ボタンが押下操作されると、素材10における1ページ目の静止画(チャプタ1)に対する静止画再生を開始する。
【0082】
さらにBDレコーダ101は、素材11における3ページ目の静止画をテレビジョン受像機103に表示中、リモートコントローラ(図示せず)を介してズームボタンが押下操作されると、予め作成しておいた素材XXにおける3ページ目の拡大静止画に対する静止画再生を開始する。
【0083】
このようにBDレコーダ101では、新たな出版物コンテンツデータC3においてページ遷移する場合、素材1、……、素材10、素材11、……、素材XX、……、の素材番号を用いるのではなく、元の出版物コンテンツデータC1におけるページ番号を基準にしてページ遷移する。
【0084】
これによりBDレコーダ101では、元の出版物コンテンツデータC1における順番通りに出版物コンテンツデータC3の静止画及び動画部分のページを切り替え得るようになされている。
【0085】
[1−4.ページ遷移制御情報]
ディスク製作装置1において制御部2のCPU2Aは、上述したような素材1のチャプタ1、チャプタ2、……、素材10のチャプタ1、素材11のチャプタ1、……、素材XXのチャプタ1、……、の間を自由に遷移するためのページ遷移制御情報を予め生成し、ブルーレイディスク5に記録しておく必要がある。
【0086】
そのページ遷移制御情報は、後述するように、記録媒体内の素材情報、素材ごとに規定されるチャプタ・ページ情報、素材毎に定義されるリンク情報によって構成されている。
【0087】
[1−4−1.素材情報]
図14に示すように、記録媒体(ブルーレイディスク5)内の素材情報Miとしては、素材1、……、素材XX、……、の素材番号にそれぞれ対応した保存場所が記載されている。
【0088】
例えば、素材情報Miにおいて、素材番号「1」で示される素材1(図12)の動画データ(2ページ目及び4ページ目の動画部分)は、ブルーレイディスク5の「/movie/001」で示される領域に保存されている。素材情報Miにおいて、素材番号「2」で示される素材2の動画データ(図示せず)は、ブルーレイディスク5の「/movie/002」で示される領域に保存されている。
【0089】
素材情報Miにおいて、素材番号「4」で示される素材4の例えばHTML(Hyper Text Markup Language)ファイルは、ネットワーク上の「http://www.absdbcdaed.com/Index.html」で示されるURL(Uniform Resource Locator)に存在することが示されている。
【0090】
また素材情報Miにおいて、素材番号「10」で示される素材10(図12)の1ページ目の静止画(チャプタ1)は、ブルーレイディスク5の「/picture/page001」で示される領域に保存され、素材番号「11」で示される素材11(図12)の3ページ目の静止画(チャプタ1)は、ブルーレイディスク5の「/picture/page003」で示される領域に保存されている。
【0091】
さらに素材情報Miにおいて、素材番号「XX」で示される素材XX(図12)の3ページ目の拡大静止画(チャプタ1)は、ブルーレイディスク5の「/picture/page003zoom01」で示される領域に保存されている。
【0092】
これによりブルーレイディスク5の再生側であるBDレコーダ101では、素材番号により特定される素材1、……、素材10、素材11、……、素材XX、……、の保存場所を認識し得、これらの素材1、……、素材10、素材11、……、素材XX、……、の動画データや静止画データを取得し、テレビジョン受像機103に出力し得るようになされている。
【0093】
[1−4−2.チャプタ・ページ情報]
また、図15に示すように、素材毎に規定されるチャプタ・ページ情報CPiとしては、素材番号「1」〜「XX」〜に対応した素材1、……、素材10、素材11、……、素材XX、……、毎に「チャプタ番号」、「対応ページ番号」及び「ページの入口か」の3項目が対応付けられている。
【0094】
素材番号「1」用の素材1(図12)では、「チャプタ番号:1」に対応するページ番号が、「対応ページ番号:2」で示される2ページ目の動画部分(チャプタ1)であり、それが「ページの入口か:true」によって2ページ目の入口であり、拡大静止画ではないことが示されている。
【0095】
また素材番号「1」用の素材1(図12)では、「チャプタ番号:2」に対応するページ番号が、「対応ページ番号:4」で示される4ページ目の動画部分(チャプタ2)であり、それが「ページの入口か:true」によって4ページ目の入口であり、拡大静止画ではないことが示されている。
【0096】
さらに素材番号「10」用の素材10(図12)では、「チャプタ番号:1」に対応するページ番号が、「対応ページ番号:1」で示される1ページ目の静止画(チャプタ1)であり、それが「ページの入口か:true」によって1ページ目の入口であり、拡大静止画ではないことが示されている。
【0097】
さらに素材番号「11」用の素材11(図12)では、「チャプタ番号:1」に対応するページ番号が、「対応ページ番号:3」で示される3ページ目の静止画(チャプタ1)であり、それが「ページの入口か:true」によって3ページ目の入口であり、拡大静止画ではないことが示されている。
【0098】
さらに素材番号「XX」用の素材XX(図12)では、「チャプタ番号:1」に対応するページ番号が、「対応ページ番号:3」で示される3ページ目の静止画(チャプタ1)であり、それが「ページの入口か:false」によって3ページ目の入口ではなく、拡大静止画であることが示されている。
【0099】
このように素材毎に規定されるチャプタ・ページ情報CPiでは、静止画又は動画に拘わらず、元の出版物コンテンツデータC1を構成している静止画データSD1〜SD4、……、SD3A、……、のページ単位でチャプタ番号が新たに付され、そのチャプタ番号に対応する対応ページ番号と、それがページの入口に該当するか否かについて規定されている。
【0100】
[1−4−3.リンク情報]
さらに、図16(A)〜(C)に示すように、素材毎に定義されるリンク情報Liとしては、「リンク番号」に対応したリンク元情報LSと、リンク先情報LGとから構成されている。
【0101】
特に、リンク情報Liは、素材内で一意に割り当てられた「リンク番号」、リンクの存在する「チャプタ番号」、リンクの「x座標」、「y座標」、「幅」、「高さ」、そのリンクが選択された際の「遷移先の素材番号」及び「遷移先のページ番号」が示される。
【0102】
ここで素材番号「1」用の素材1(図12)では、「リンク番号」毎に、リンク元情報LS1と、リンク先情報LG1とが対応付けられ、素材番号「10」用の素材10(図12)では、「リンク番号」毎に、リンク元情報LS10と、リンク先情報LG10とが対応付けられている。
【0103】
同様に、素材番号「11」用の素材11(図12)では、「リンク番号:1」に、リンク元情報LS11と、リンク先情報LG11とが対応付けられている。なお、ここでは、素材番号「XX」用の素材XX(図12)については、便宜上その説明を省略している。
【0104】
例えば、素材番号「1」用の素材1(図12)において「リンク番号:1」では、リンク元情報LS1として、「チャプタ番号:1」に対応した2ページ目の「x座標:310」、「y座標:130」、「幅:130」、「高さ:30」で示される領域がクリックされたとき、リンク先情報LG1として、「遷移先の素材番号:5」及び「遷移先のページ番号:10」へリンクするように紐付けられている。
【0105】
また、素材番号「1」用の素材1(図12)において「リンク番号:2」では、リンク元情報LS1として、「チャプタ番号:2」に対応した4ページ目の「x座標:230」、「y座標:20」、「幅:150」、「高さ:80」で示される領域がクリックされたとき、リンク先情報LG1として、「遷移先の素材番号:6」及び「遷移先のページ番号:12」へリンクするように紐付けられている。
【0106】
例えば、素材番号「10」用の素材10(図12)において「リンク番号:1」では、リンク元情報LS10として、「チャプタ番号:1」に対応した1ページ目の「x座標:20」、「y座標:250」、「幅:150」、「高さ:50」で示される領域がクリックされたとき、リンク先情報LG10として、「遷移先の素材番号:13」及び「遷移先のページ番号:15」へリンクするように紐付けられている。
【0107】
また、素材番号「10」用の素材10(図12)において「リンク番号:2」では、リンク元情報LS10として、「チャプタ番号:1」に対応した1ページ目の「x座標:50」、「y座標:200」、「幅:30」、「高さ:20」で示される領域がクリックされたとき、リンク先情報LG10として、「遷移先の素材番号:XX」及び「遷移先のページ番号:3」へリンクするように紐付けられている。
【0108】
さらに、素材番号「10」用の素材10(図12)において「リンク番号:3」では、リンク元情報LS10として、「チャプタ番号:1」に対応した1ページ目の「x座標:250」、「y座標:300」、「幅:100」、「高さ:30」で示される領域がクリックされたとき、リンク先情報LG10として、「遷移先の素材番号:4」及び「遷移先のページ番号:―」へリンクするように紐付けられている。
【0109】
ここで、「遷移先のページ番号:―」としてページ番号が示されていないのは、「遷移先の素材番号:4」で示される素材4が、ネットワーク上のサイトのページだからである。
【0110】
例えば、素材番号「11」用の素材11(図12)において「リンク番号:1」では、リンク元情報LS11として、「チャプタ番号:1」に対応した3ページ目の「x座標:40」、「y座標:280」、「幅:220」、「高さ:70」で示される領域がクリックされたとき、リンク先情報LG11として、「遷移先の素材番号:19」及び「遷移先のページ番号:22」へリンクするように紐付けられている。
【0111】
このように素材毎に規定されるリンク情報Liでは、チャプタ番号に対応したページ中の領域に応じたリンク先が遷移先の素材番号及びページ番号によって特定されるようになされている。
【0112】
従って制御部2のCPU2Aは、記録媒体内の素材情報Mi、素材ごとに規定されるチャプタ・ページ情報CPi、素材毎に定義されるリンク情報Liからなるページ遷移制御情報をブルーレイディスク5に記録しておくことにより、当該ブルーレイディスク5の再生時、新たな出版物コンテンツデータC3において静止画及び動画部分に拘わらず自在にページ遷移させ得るようになされている。
【0113】
[1−5.データ記録処理手順]
次に、ディスク製作装置1において制御部2のCPU2Aが、元の出版物コンテンツデータC1を新たな出版物コンテンツデータC3に変換した後、ブルーレイディスク5に記録して市販用ディスクを作成するまでのデータ記録処理手順について、図17のフローチャートに従って説明する。
【0114】
制御部2のCPU2Aは、ルーチンRT2の開始ステップから入って、次のステップSP11へ移り、ブルーレイディスク5に記録すべき出版物コンテンツデータC1を構成している複数の静止画データSD1〜SD4、……、SD3A、……、を順番に認識し、次のステップSP12へ移る。
【0115】
ステップSP12において制御部2のCPU2Aは、その静止画データSDが暗号化対象となっているか否かを判定する。ここで、否定結果が得られると、このことは、その静止画データSDについては暗号化する指示が与えられておらず、すなわち著作権保護の対象とする必要がないと製作者が認識していることを表しており、このとき制御部2のCPU2Aは次のステップSP14へ移る。
【0116】
これに対してステップSP12で肯定結果が得られると、このことは、その静止画データSDについては暗号化する指示が与えられており、すなわち著作権保護の対象とする必要があると製作者が認識していることを表しており、このとき制御部2のCPU2Aは次のステップSP13へ移る。
【0117】
ここで制御部2のCPU2Aは、所定のオーサリングソフトウェアに従って、図18に示すような暗号化対象選択画面G1をモニタ10に表示することにより、製作者に何れの静止画データSDを暗号化対象として設定するかを選択させるようになされている。
【0118】
この暗号化対象選択画面G1では、左側に記録対象の静止画データSD1〜SD4、……、が並べて表示され、その中から現在選択されている例えば2ページ目の静止画データSD2の枠が強調表示されると共に、当該静止画データSD2の表示画像SD2IMGが所定の大きさで表示されている。
【0119】
また暗号化対象選択画面G1では、表示画像SD2IMGの下方に、当該静止画データSD2を暗号化するか否かを選択するためのタブTABが設けられており、その中のチェックボックスCBXにチェックマークが付されるようになされている。
【0120】
従って製作者は、暗号化対象選択画面G1の表示画像SD2IMGを介して当該静止画データSD2を著作権保護すべき対象であると考えた場合、タブTABの中のチェックボックスにチェックマークを付することにより、静止画データSD2を暗号化対象として設定し得るようになされている。
【0121】
ステップSP13において制御部2のCPU2Aは、ステップSP11で認識した静止画データSDが暗号化対象選択画面G1を介して暗号化対象として設定されていた場合、その静止画データSDをn秒間の動画データに変換した後、所定の暗号化方法に従って暗号化処理を施し、次のステップSP14へ移る。
【0122】
ステップSP14において制御部2のCPU2Aは、暗号化対象であるか否かに拘わらず、出版物コンテンツデータC1を構成している静止画データSDに基づき、チャプタ番号に対応したページ単位でチャプタ・ページ情報CPi及びリンク情報Liの一要素を作成し、次のステップSP15へ移る。
【0123】
ステップSP15において制御部2のCPU2Aは、出版物コンテンツデータC1を構成している全ての静止画データSDについて、チャプタ番号に対応したページ単位でチャプタ・ページ情報CPi及びリンク情報Liの一要素を作成し終えたか否かを判定する。
【0124】
ここで否定結果が得られると、このことは出版物コンテンツデータC1を構成している全ての静止画データSDについて、チャプタ番号に対応したページ単位でチャプタ・ページ情報CPi及びリンク情報Liの一要素を作成し終えてはいないことを表しており、このとき制御部2のCPU2AはステップSP11へ戻って上述した処理を繰り返す。
【0125】
これに対してステップSP15において肯定結果が得られると、このことは出版物コンテンツデータC1を構成している全ての静止画データSDについて、チャプタ番号に対応したページ単位でチャプタ・ページ情報CPi及びリンク情報Liの一要素を作成し終わったことを表しており、このとき制御部2のCPU2Aは次のステップSP16へ移る。
【0126】
ステップSP16において制御部2のCPU2Aは、静止画データSD毎にチャプタ番号に対応したページ単位で作成したチャプタ・ページ情報CPiの一要素を全てマージすると共に、静止画データSD毎にチャプタ番号に対応したページ単位で作成したリンク情報Liの一要素を全てマージすることにより、チャプタ・ページ情報CPi及びリンク情報Liを生成し、次のステップSP17へ移る。
【0127】
ステップSP17において制御部2のCPU2Aは、出版物コンテンツデータC1を構成している全ての静止画データSDについて、暗号化対象については動画データに変換すし、非暗号化対象については静止画データSDのまま、その全てをチャプタ化して素材1、……、素材10、素材11、……素材XX、……、(図12)を生成したので、上述した素材番号と保存場所とが対応付けられた素材情報Mi(図14)を生成し、次のステップSP18へ移る。
【0128】
ステップSP18において制御部2のCPU2Aは、素材情報Mi、チャプタ・ページ情報CPi及びリンク情報Liからなるページ遷移制御情報に基づいてページ遷移制御を実行するようにプログラムされたBD−Jアプリを用意し、次のステップSP19へ移る。
【0129】
ステップSP19において制御部2のCPU2Aは、ブルーレイディスク5のフォーマットに従って素材1の動画データ、素材10、素材11、……、素材XX、……、の静止画データSDを配置し、BD−Jアプリ及びページ遷移制御情報と共に当該ブルーレイディスク5に記録した後、次のステップSP20へ移って処理を終了する。
【0130】
これにより制御部2のCPU2Aは、動画データ及び静止画データSDを全てチャプタ化することにより生成した素材1、……、素材10、素材11、……、素材XX、……、からなる新たな出版物コンテンツデータC3を、再生側のBDレコーダ101によりページ遷移制御可能な状態でブルーレイディスク5に記録し得るようになされている。
【0131】
[1−6.記録媒体のデータ格納例]
このようにして市販用ディスクとして製作されたブルーレイディスク5のデータ格納例について、図19を用いて説明する。
【0132】
このブルーレイディスク5には、元の出版物コンテンツデータC1からデータ変換した新たな出版物コンテンツデータC3が格納されている。
【0133】
この新たな出版物コンテンツデータC3には、新たな出版物コンテンツデータC3からなる暗号化動画データ及びそれに対応した音声データからなる映像音声ストリーム301、ブルーレイディスク5の再生中に動作するBD−Jアプリ302、当該BD−Jアプリ302によってページ遷移制御される静止画SD1、SD3、SD3A等の静止画データ303、当該BD−Jアプリ302によって表示される画面上で所定の効果音を出力するための効果音データ304、当該ディスクの価格等の各種情報だけでなく上述したページ遷移制御情報からなるメタデータ305が含まれている。
【0134】
またブルーレイディスク5には、映像音声ストリーム301のうち暗号化動画データの解読に必要な鍵データを生成するための記録シード401、新たな出版物コンテンツデータC3に対応するコピー制限情報や再生制御情報等からなるコンテンツ利用制御情報402が格納されている。
【0135】
さらにブルーレイディスク5には、新たな出版物コンテンツデータC3の正当性を検証するためのハッシュ値やルート証明書404のハッシュ値等を含むコンテンツ証明書403、第三者機関が発行する公開鍵証明書でなるルート証明書404が格納されている。
【0136】
加えてブルーレイディスク5には、新たな出版物コンテンツデータC3の再生順序等を定義したインデックステーブル411、及び映像音声ストリーム301を再生側で復号するために必要な復号化情報412が格納されている。
【0137】
なおブルーレイディスク5には、ディスク種別を判別するためのディスク種別識別情報413、当該ブルーレイディスク5を個別に識別するため、新たな出版物コンテンツデータC3を生成した組織を示す組織ID(Identification)414、製造パッケージを識別するためのパッケージID415が格納されている。
【0138】
[1−7.BD再生システムの全体構成]
次に、この市販用ディスクであるブルーレイディスク5を再生するBD再生システムの全体構成について、図20を用いて説明する。
【0139】
図20において、100は全体としてBD(ブルーレイディスク)再生システムを示し、家庭内に設置されたBDレコーダ101によってブルーレイディスク5を再生すると、例えばHDMI(High Definition Multimedia Interface)ケーブル等により接続されたテレビジョン受像機103にその再生結果を表示するようになされている。
【0140】
また、BDレコーダ101は、ブルーレイディスク5に記録されているBD−Jアプリ302(図19)を介してオンラインショッピングも可能であり、その際、ネットワーク104上のダウンロードサーバ105と相互に通信するようになされている。
【0141】
ダウンロードサーバ105は、出版物コンテンツデータC1の情報(映像、写真、価格、在庫数等)を保持するコンテンツデータベース(以下、これをコンテンツDBと呼ぶ)106と、顧客情報(名前、住所、クレジットカード情報)を保持する顧客データベース(以下、これを顧客DBと呼ぶ)107を有している。
【0142】
BDレコーダ101は、出版物コンテンツデータC1をダウンロードしたような場合、その決済について、他のオンラインショッピング事業者と共通で利用されるネットワーク104上の決済サーバ108を介して決済処理を実行するようになされている。
【0143】
なおBDレコーダ101は、リモートコントローラ(以下、これを単にリモコンと呼ぶ)109を介してブルーレイディスク5の再生制御や、BD−Jアプリ302によって提供されるGUIの制御を行うようになされている。
【0144】
[1−7−1.BDレコーダのハードウェア回路構成]
図21に示すように、BDレコーダ101は、CPU207がROM201に記憶された基本プログラム及びハードディスクドライブ205に記憶された各種アプリケーションプログラムをRAM218上で起動し、当該基本プログラム及び各種アプリケーションプログラムに従って各部を制御し記録再生処理等を実行するようになされている。
【0145】
実際上、BDレコーダ101のCPU207は、ブルーレイディスク5が光ディスクドライブ204に挿入されると、当該ブルーレイディスク5に記録されている映像音声ストリーム301、BD−Jアプリ302、静止画データ303、効果音データ304及びメタデータ305をスイッチャ209経由で読み出す。
【0146】
BDレコーダ101のCPU207は、その映像音声ストリーム301をメモリバス217経由でストリームプロセッサ211へ送信し、そこで暗号化の解読処理等を施し、その結果得られる動画データをビデオデコーダ213へ送出すると共に、音声データをオーディオプロセッサ212へ送出する。
【0147】
ビデオデコーダ213は、動画データをデコードすることにより得られる再生映像を、グラフィックエンジン214及びビデオ出力部215を介してテレビジョン受像機103に表示させる。
【0148】
オーディオプロセッサ212は、音声データをデコードすることにより得られる再生音声を、オーディオ出力部216を介してテレビジョン受像機103のスピーカから出力させる。
【0149】
なおBDレコーダ101のCPU207は、ブルーレイディスク5に記録されているBD−Jアプリ302を用いてネットワーク104上のサイトから種々のコンテンツをダウンロードしたとき、それを例えば半導体メモリ等でなる内蔵記憶メモリ202や、外部インタフェース203を介して接続された例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリ(図示せず)に記憶し得るようになされている。
【0150】
因みにBDレコーダ101のCPU207は、コンテンツのデータ容量が大きいときは、内蔵記憶メモリ202やUSBメモリではなく、スイッチヤ209経由でハードディスクドライブ205に記憶することも可能である。
【0151】
[1−7−2.BDレコーダのソフトウェア構成]
続いて、図22に示すように、BDレコーダ101のCPU207がアプリケーションプログラムに従って実現するソフトウェア構成を説明する。
【0152】
実際上、オペレーティングシステム231は、当該BDレコーダ101のハードウェアからの入出力をドライバ230経由で行うと共に、上位プログラムのリソース管理についても行う。
【0153】
オペレーティングシステム231の上位にある画面表示制御モジュール232は、描画要求に合わせてタイトルやテキストの表示等を行う際、実際にどのような画像として描画するかを決定した後に描画するようになされている。
【0154】
画面表示制御モジュール232の上位にあるタイトル再生モジュール233は、内蔵アプリケーション235によって提供されるGUIのタイトルを再生する際の制御を司り、テキスト表示モジュール234は、内蔵アプリケーション235からのテキスト描画指示に対する制御を司る。
【0155】
また、オペレーティングシステム231の上位にあるネットワーク管理モジュール237は、ネットワーク104を利用してダウンロードサーバ105や決済サーバ108とアクセスする際の制御を行う。
【0156】
タイトル管理モジュール238は、ファイル管理モジュール236を介してオペレーティングシステム231上に存在するファイルを操作することにより、当該ファイルのタイトルを管理するようになされている。
【0157】
ブルーレイディスク5から読み出した外部アプリケーションに相当するBD−Jアプリ302は、例えばJava(登録商標)のVirtual Machineに相当する外部アプリ実行管理モジュール239を介して、BDレコーダ101の本体プログラムとやりとりを行うようになされている。
【0158】
[1−8.再生処理手順]
次に、BDレコーダ101がブルーレイディスク5を再生する際の再生処理手順について、図23のフローチャートを用いて説明する。
【0159】
BDレコーダ101のCPU207は、ルーチンRT3の開始ステップから入って次のステップSP31へ移り、記録媒体であるブルーレイディスク5が光ディスクドライブ204に挿入されたことを認識すると、次のステップSP32へ移る。
【0160】
ステップSP32においてBDレコーダ101のCPU207は、ブルーレイディスク5に記録されているインデックステーブル411(図19)を参照し、最初に再生すべき素材1(図12)を特定した後、次のステップSP33へ移る。
【0161】
ステップSP33においてBDレコーダ101のCPU207は、素材1の再生と同時に実行すべきBD−Jアプリ302がブルーレイディスク5に存在するか否かを判定する。
【0162】
ここで否定結果が得られると、このことは当該ブルーレイディスク5に素材1と同時に実行すべきBD−Jアプリ302が存在せず、当該素材1を通常通り再生すれば良いことを表しており、このときBDレコーダ101のCPU207は次のステップSP40へ移り、素材1を通常再生した後、ステップSP41へ移って処理を終了する。
【0163】
これに対してステップSP33で肯定結果が得られると、このことは素材1の再生と同時に実行すべきBD−Jアプリ302がブルーレイディスク5に存在することを表しており、このときDレコーダ101のCPU207は次のステップSP34へ移る。
【0164】
ステップSP34においてBDレコーダ101のCPU207は、ブルーレイディスク5に予め記録されているBD−Jアプリ302を起動し、次のステップSP35へ移る。
【0165】
ステップSP35においてBDレコーダ101のCPU207は、ブルーレイディスク5に記録されている素材情報Mi、チャプタ・ページ情報CPi及びリンク情報Liを読み出し、次のステップSP36へ移る。
【0166】
ステップSP36においてBDレコーダ101のCPU207は、前回、最後に開いていたページ番号を内蔵記憶メモリ202(図21)、又は外部インタフェース203を介して接続されているUSBメモリ(図示せず)から読み出し、次のステップSP37へ移る。
【0167】
ステップSP37においてBDレコーダ101のCPU207は、ステップSP36で読み出したページ番号に該当するページのチャプタの先頭から再生を開始し、次のステップSP38へ移る。
【0168】
ステップSP38においてBDレコーダ101のCPU207は、現在再生中であるページのチャプタの最後まで来たら、再生状態を一時停止して、最後のフレーム画像(ここで再生対象が静止画の場合は最初のフレーム画像)に対する表示状態を保持した後、次のステップSP39へ移る。
【0169】
ステップSP39においてBDレコーダ101のCPU207は、最後のフレーム画像に対する表示状態を保持したまま、一定時間(例えば10秒間)が経過したか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは一定時間が未だ経過していないことを表しており、このときBDレコーダ101のCPU207は一定時間が経過するまで待ち受ける。
【0170】
これに対してステップSP39で肯定結果が得られると、このことはステップSP38の表示状態を保持したまま、一定時間が既に経過したことを表しており、このときBDレコーダ101のCPU207はステップSP37へ移る。
【0171】
このときもステップSP37においてBDレコーダ101のCPU207は、一定時間が経過したので、「次へ」の指示が与えられたときと同様、ページ遷移制御情報に基づいて次ページを探し出し、その次ページのチャプタの先頭から再生処理を開始し、以降の処理を繰り返す。
【0172】
[1−9.ボタン操作に応じた再生処理手順]
次に、BDレコーダ101がブルーレイディスク5を再生する際のユーザのボタン操作に応じた再生処理手順について、図24のフローチャートを用いて説明する。
【0173】
BDレコーダ101のCPU207は、ルーチンRT4の開始ステップから入って次のステップSP51へ移り、ページの再生表示中に何らかのボタンが押下操作されたか否かを判定する。
【0174】
ここで否定結果が得られると、このことはページの再生表示中に何れのボタンについても押下操作されていないことを表しており、何らかのボタンが押下操作されるまで待ち受ける。
【0175】
これに対してステップSP51で肯定結果が得られると、このことはページの再生表示中に何らかのボタンが押下操作されたので、BDレコーダ101のCPU207は次のステップSP52へ移る。
【0176】
ステップSP52においてBDレコーダ101のCPU207は、押下操作されたボタンの種類が次ボタンであるか否かを判定し、肯定結果が得られると次のステップSP53へ移る。
【0177】
ステップSP53においてBDレコーダ101のCPU207は、ページ遷移制御情報のうちチャプタ・ページ情報CPi(図15)に従って、現在のチャプタに対応するページ番号から、その次の対応ページ番号に相当する素材番号のチャプタ番号を遷移先チャプタとして設定し、次のステップSP58へ移る。
【0178】
例えばCPU207は、現在のチャプタに対応する対応ページ番号が3ページ目である場合、チャプタ・ページ情報CPiを参照することにより、次の対応ページ番号が4ページ目である素材1のチャプタ番号「2」のチャプタ2が遷移先チャプタであることを認識し、その素材1のチャプタ2を遷移先チャプタとして設定する。
【0179】
ステップSP58においてBDレコーダ101のCPU207は、遷移先チャプタの先頭から再生処理を開始し、次のステップSP59へ移る。このときCPU207は、遷移先チャプタが動画部分でなる素材1のチャプタ2であれば、その先頭から動画再生を開始するが、遷移先チャプタが静止画データである素材XXのチャプタ1であれば、その静止画データSD3Aに対する静止画再生を行う。
【0180】
ステップSP59においてBDレコーダ101のCPU207は、現在再生中であるページのチャプタの最後まで来たら、再生状態を一時停止して、最後のフレーム画像に対する表示状態を保持した後、ステップSP51へ戻る。
【0181】
このときCPU207は、遷移先チャプタが動画部分でなる素材1のチャプタ2であれば、最後のフレーム画像に対する表示状態を保持するが、遷移先チャプタが静止画データである素材XXのチャプタ1であれば、その静止画データSD3Aに対する静止画再生の表示状態を保持する。
【0182】
これに対してステップSP52で否定結果が得られると、このことは押下操作されたボタンの種類が次ボタンではないことを表しており、このときBDレコーダ101のCPU207は次のステップSP54へ移る。
【0183】
ステップSP54においてBDレコーダ101のCPU207は、押下操作されたボタンの種類が前ボタンであるか否かを判定し、肯定結果が得られると次のステップSP55へ移る。
【0184】
ステップSP55においてBDレコーダ101のCPU207は、ページ遷移制御情報のうちチャプタ・ページ情報CPi(図15)に従って、現在のチャプタに対応するページ番号から、その前の対応ページ番号に相当する素材番号のチャプタ番号を遷移先チャプタとして設定し、次のステップSP58へ移る。
【0185】
例えばCPU207は、現在のチャプタに対応する対応ページ番号が3ページ目である場合、チャプタ・ページ情報CPiを参照することにより、前の対応ページ番号が2ページ目である素材1のチャプタ番号「1」のチャプタ1が遷移先チャプタであることを認識し、その素材1のチャプタ1を遷移先チャプタとして設定する。
【0186】
ステップSP58においてBDレコーダ101のCPU207は、遷移先チャプタの先頭から再生処理を開始し、次のステップSP59へ移り、現在再生中であるページのチャプタの最後まで来たら、再生状態を一時停止して、最後のフレーム画像に対する表示状態を保持した後、再度ステップSP51へ戻る。
【0187】
これに対してステップSP54で否定結果が得られると、このことは押下操作されたボタンの種類が次ボタンでも、前ボタンの何れでもないことを表しており、このときBDレコーダ101のCPU207は次のステップSP56へ移る。
【0188】
ステップSP56においてBDレコーダ101のCPU207は、現在のチャプタに対応するページに設けられているリンク上にカーソルが合わせられた状態で決定ボタンが押下操作されたか否かを判定する。
【0189】
ここで否定結果が得られると、このことは押下操作されたボタンが次ボタン、前ボタン又は決定ボタンの何れでもないことを表しており、このときBDレコーダ101のCPU207は次のステップSP59へ移る。
【0190】
ステップSP59においてBDレコーダ101のCPU207は、ページを遷移させる指示が与えられていないので、現在再生中であるページのチャプタの最後まで来たら、再生状態を一時停止して、最後のフレーム画像に対する表示状態を保持した後、再度ステップSP51へ戻る。
【0191】
これに対してステップSP56で肯定結果が得られると、このことは現在のチャプタに対応するページに設けられているリンク上で決定ボタンが押下操作されたことを表しており、このときBDレコーダ101のCPU207は次のステップSP57へ移る。
【0192】
ステップSP57においてBDレコーダ101のCPU207は、ページ遷移制御情報のリンク情報Li(図16)を参照し、次に遷移する遷移先の素材番号と遷移先のページ番号を取得し、その入口を遷移先チャプタとして設定した後、次のステップSP58へ移る。
【0193】
ステップSP58においてBDレコーダ101のCPU207は、遷移先チャプタの先頭から再生処理を開始し、次のステップSP59へ移り、現在再生中であるページのチャプタの最後まで来たら、再生状態を一時停止して、最後のフレーム画像に対する表示状態を保持した後、再度ステップSP51へ戻る。
【0194】
[1−10.動作及び効果]
以上の構成において、ディスク製作装置1の制御部2は、出版物コンテンツデータC1の静止画データSD1〜SD4、……、拡大静止画データSD3A、……、のうち、製作者からの指示による著作権保護の対象としたい静止画データSD2、SD4だけを選択し、これを動画データに変換した後に暗号化する。
【0195】
そしてディスク製作装置1の制御部2は、静止画データSD2、SD4を基に生成した動画部分と、他の静止画データSD1、SD3、SD3A等の静止画部分とを混在した状態でBD−Jアプリ302と共にブルーレイディスク5に記録することができる。
【0196】
これによりディスク製作装置1の制御部2は、著作権保護したい静止画データSD2、SD4だけを動画変換して暗号化した後に記録することができるので、全ての静止画データSD1〜SD4、……、拡大静止画データSD3A、……、を動画変換して暗号化する場合に比べて、データ容量の増大を抑えながら著作権保護したい静止画データSD2、SD4についてはセキュリティ強化を図ることができる。
【0197】
またディスク製作装置1の制御部2は、動画変換して生成した新たな出版物コンテンツデータC3における素材1のチャプタ1、チャプタ2、……、素材10のチャプタ1、素材11のチャプタ1、……、素材XXのチャプタ1等の間を自由に遷移するためのページ遷移制御情報(素材情報Mi、チャプタ・ページ情報CPi、リンク情報Li)を生成し、ブルーレイディスク5に記録しておく。
【0198】
これにより再生側であるBDレコーダ101では、ブルーレイディスク5の再生時、例えば素材11で示される3ページ目の静止画(チャプタ1)を表示中に次ボタンが押下操作された場合、ページ遷移制御情報に従って、素材1で示される4ページ目の動画部分(チャプタ2)へ遷移することができる。
【0199】
同様にBDレコーダ101では、素材11で示される3ページ目の静止画(チャプタ1)を表示中に前ボタンが押下操作された場合、ページ遷移制御情報に従って、素材1で示される2ページ目の動画部分(チャプタ1)へ遷移することができる。
【0200】
このようにBDレコーダ101では、新たな出版物コンテンツデータC3においてページ遷移する場合、ページ遷移制御情報に従い、素材番号に拘わらず、元の出版物コンテンツデータC1におけるページ番号を基準にしてページ遷移することにより、ユーザに対して違和感を生じさせること無くページを切り替えることができる。
【0201】
またBDレコーダ101では、ページ遷移制御情報に従い、出版物コンテンツC3から離れて、ネットワーク14上にあるリンク先のダウンロードサーバ105のコンテンツDB106にアクセスし、他の情報へ遷移することもできる。
【0202】
以上の構成によれば、ディスク製作装置1の制御部2は、雑誌、新聞、写真集、カタログ等の印刷物の内容をブルーレイディスク5のBD−ROMフォーマットにデータ変換して記録する際、製作者が著作権保護の対象とすることを希望する静止画データSD2、SD4だけを動画変換して暗号化することができる。
【0203】
実際上ディスク製作装置1の制御部2は、全ての静止画データSDを動画変換して暗号化してしまうと、データ容量が増大し、ブルーレイディスク5に収録し切れなくなったり、収録できたとしてもネットワーク104経由でダウンロードする際に多大な時間を要することになる。
【0204】
しかしながらディスク製作装置1の制御部2は、著作権保護の対象とすることを希望する静止画データSD2、SD4だけを動画変換して暗号化することにより、ブルーレイディスク5に記録すべき出版物コンテンツデータC3のデータ容量を大幅に削減することができる。
【0205】
またBDレコーダ101では、新たな出版物コンテンツデータC3及びページ遷移制御情報が収録されたブルーレオディスク5を再生したとき、動画部分の素材1、……、と静止画部分の素材10、11、……、XX、……、とが混在しているものの、元の出版物コンテンツデータC1におけるページ番号通りにページの切替制御を実現することができる。
【0206】
さらにBDレコーダ101では、ブルーレイディスク5のページ遷移制御情報に従い、ブルーレイディスク5に収録されている出版物コンテンツC3のぺージから、ネットワーク14上にあるリンク先のダウンロードサーバ105のコンテンツDB106にアクセスし、他の情報へ遷移することもできる。
【0207】
<2.他の実施の形態>
なお上述した実施の形態においては、静止画データSD2、SD4をフレーム周波数が60[Hz]の動画データに変換するようにした場合について述べた。しかしながら、本発明はこれに限らず、例えば24[Hz]の動画データや、30[Hz]の動画データ等のその他種々のフレーム周波数の動画データに変換するようにしても良い。
【0208】
また上述した実施の形態においては、静止画データSD2、SD4を動画データに変換した後、AACSにより暗号化するようにした場合について述べた。しかしながら、本発明はこれに限らず、例えばSAFIA(Security Architecture For Intelligent Attachment device)等のその他種々の暗号化方式により暗号化するようにしても良い。
【0209】
さらに上述した実施の形態においては、静止画データSD2、SD4を5秒間の動画データに変換するようにした場合について述べた。しかしながら、本発明はこれに限らず、静止画データSD2、SD4の内容が文字等であれば、10秒間の動画データに変換し、一目で認識可能な写真等であれば3秒間の動画データに変換するようにしても良い。
【0210】
さらに上述した実施の形態においては、BDレコーダ101が現在再生中であるページのチャプタの最後まで来たとき、再生状態を一時停止して、最後のフレーム画像に対する表示状態を保持しておくようにした場合について述べた。しかしながら、本発明はこれに限らず、最後のフレーム画像に対する表示状態を保持することなく、自動的に次のページに対する再生処理を開始するようにしても良い。
【0211】
さらに上述した実施の形態においては、ブルーレイディスク5を対象として、出版物コンテンツデータC1をデータ変換することにより生成した新たな出版物コンテンツデータC3を記録するようにした場合について述べた。しかしながら、本発明はこれに限らず、DVD等の他のディスク状記録媒体を対象として、出版物コンテンツデータC1をデータ変換することにより生成した新たな出版物コンテンツデータC3を記録するようにしても良い。
【0212】
さらに上述した実施の形態においては、本発明における記録媒体の再生装置をBDレコーダ101に適用するようにした場合について述べた。しかしながら、本発明はこれに限らず、ブルーレイディスク5等のディスク状記録媒体を再生可能な電子機器であれば、ディスク状記録媒体の再生機能付きのテレビジョン受像機、ポータブルのディスク状記録媒体再生表示装置、ディスク状記録媒体の再生機能付きのデスクトップ型及びノートブック型パーソナルコンピュータ、ディスク状記録媒体の再生機能付きのゲーム機等、その他種々の電子機器に適用するようにしても良い。
【0213】
さらに上述した実施の形態においては、再生手段としてのCPU207、ストリームプロセッサ211、ビデオデコーダ213、グラフィックエンジン214及び光ディスクドライブ204、遷移制御手段としてのCPU207、RAM218及びグラフィックエンジン214によって本発明における記録媒体の再生装置としてのBDレコーダ101を構成するようにした場合について述べた。しかしながら、本発明はこれに限らず、その他種々の再生手段及び遷移制御手段によって本発明における記録媒体の再生装置を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0214】
本発明の記録媒体製作方法、記録媒体及び記録媒体の再生装置は、動画データについてのみ暗号化して記録することが定められたBD−ROMフォーマットのブルーレイディスクに適用するようにした場合について述べたが、動画データについてのみ暗号化して記録することが定められたフォーマットを有するブルーレイディスク以外のディスク状記録媒体に適用することができる。
【符号の説明】
【0215】
1……ディスク製作装置、2……制御部、2A……CPU、2B、201……ROM、2C、218……RAM、3……ハードディスクドライブ、4……記録部、5……ブルーレイディスク、6……スキャナ、7、210……バス、8……印刷物、9……外部入力インタフェース、100……BD再生システム、101……BDレコーダ、103……テレビジョン受像機、104……ネットワーク、105……ダウンロードサーバ、106……コンテンツDB、107……顧客DB、108……決済サーバ、109……リモコン、202……内蔵記憶メモリ、203……外部インタフェース、204……光ディスクドライブ、205……ハードディスクドライブ、207……CPU、208……ネットワークコントローラ、209……スイッチャ、211……ストリームプロセッサ、212……オーディオプロセッサ、213……ビデオデコーダ、214……グラフィックエンジン、215……ビデオ出力部、216……オーディオ出力部、217……メモリバス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の中から所望の静止画データを選択手段により選択する選択ステップと、
上記選択ステップで選択された上記静止画データについては、変換手段により当該静止画データを用いてn秒間の動画データを生成し、それを暗号化することにより暗号化動画データに変換する変換ステップと、
上記変換ステップにより変換された上記暗号化動画データと、上記選択ステップにより選択されなかった静止画データとの間を遷移するための遷移制御情報を遷移制御情報生成手段によって生成する遷移情報生成ステップと、
所定の記録媒体のフォーマットに従って、上記選択されなかった静止画データと、上記暗号化動画データと、上記遷移制御情報とを記録手段により上記記録媒体に記録する記録ステップと
を有する記録媒体製作方法。
【請求項2】
上記記録ステップでは、上記暗号化動画データと、上記静止画データとの間を遷移することに加えて、ネットワーク上のコンテンツへ遷移するための所定のアプリケーションプログラムについても上記記録媒体に記録する
請求項1に記載の記録媒体製作方法。
【請求項3】
上記選択ステップの前に、
所定の出版物又は印刷物の電子データからデータ取得手段により上記静止画データを自動的に取得する静止画データ取得ステップと
を有する請求項2に記載の記録媒体製作方法。
【請求項4】
上記静止画データ取得ステップでは、上記静止画データを基に所定サイズの拡大静止画データを生成する
請求項3に記載の記録媒体製作方法。
【請求項5】
上記遷移制御情報生成ステップでは、上記暗号化動画データを生成する前の上記静止画データに付されたページ番号に従って上記暗号化動画データと、上記静止画データとの間を遷移するための上記遷移制御情報を生成する
請求項1に記載の記録媒体製作方法。
【請求項6】
複数の中から選択された所望の静止画データについて、当該静止画データを用いてn秒間の動画データを生成した後、それを暗号化することにより変換された暗号化動画データと、
上記選択されなかった静止画データと、
上記暗号化動画データ及び上記選択されなかった静止画データの間を遷移するために生成された遷移制御情報と
が記録されてなる記録媒体。
【請求項7】
複数の中から選択された所望の静止画データについて、当該静止画データを用いてn秒間の動画データを生成した後、それを暗号化することにより変換された暗号化動画データと、上記選択されなかった静止画データと、上記暗号化動画データ及び上記選択されなかった静止画データの間を遷移するために生成された遷移制御情報とが記録されてなる記録媒体を再生対象として再生する再生手段と、
上記暗号化動画データと上記選択されなかった静止画データとの間を上記遷移制御情報に基づいて遷移する遷移制御手段と
を具える記録媒体の再生装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−34626(P2011−34626A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179241(P2009−179241)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】