説明

記録媒体解析装置、記録媒体再生装置、記録媒体解析方法、及び、記録媒体解析プログラム

【課題】コピープロテクトの影響を受けることなく、記録媒体の追記にも対応する。
【解決手段】第1判定手段P2によって記録媒体20に先頭で記録されたセッション21の記録領域22から管理情報が取得されると、第1判定手段P2によって該管理情報に次のセッションが関連付けられているか否かが判定される。そして、管理情報に次のセッション21が関連付けられていると判定されたときは、第2判定手段P3によって当該管理情報の種別データに基づいて、先頭のセッション21の情報領域23に記録された情報にROM情報が存在するか否かが判定される。そして、ROM情報が存在すると判定されると、第2管理情報取得手段P4によって先頭のセッション21の次のセッション21以降から管理情報が取得され、解析手段P5によって全てのセッション21から取得された複数の管理情報が解析される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばマルチセッション方式の記録媒体の管理情報を解析する記録媒体解析装置、記録媒体再生装置、記録媒体解析方法、記録媒体解析プログラム、等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大容量の情報を記録することが可能な記録媒体として、CD(Compact Disk)とDVD(Digital Video Disk又はDigital Versatile Disk)とBD(Blu-ray Disc)などが知られている。該記録媒体のデータ記録形式の1つとして、複数回の追記が可能なマルチセッションが知られている。
【0003】
マルチセッションの記録媒体は、データの記録単位であるセッションが複数連なった構造となっている。該セッションは、公知であるように、記録開始の目印であるリードイン領域と、プログラム領域と、記録終了の目印であるリードアウト領域と、を有している。リードイン領域は、セッションの再生に必要なトラック数、各トラックの開始時間、各トラックの種類、等のTOC(Table Of Contents)情報を記録する。プログラム領域は、音楽データ、画像データなどのデータ本体を記録する。リードアウト領域は、セッションのデータが終了したことを示す情報を記録する。
【0004】
マルチセッション方式の記録媒体の情報を処理する場合、まず、記録媒体からTOC情報を読み取り、該記録媒体がCD−DA(Compact Disc Digital Audio)かCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)かを判断する。さらに、セッションが1つしかないシングルセッション方式か、複数設けられたマルチセッション方式かを判断する。そして、マルチセッション方式であると判断した場合、セッションに記録された情報の性状、即ち音楽データかフォトデータかなどの選択情報を取得し、該選択情報に基づいて情報を出力可能に処理するための所定の再生プログラムを起動させ、情報を処理する。
【0005】
そして、マルチセッション方式で記録された記録媒体から情報を取得する方法としては、特許文献1に記載された構成が知られている。該特許文献1は、2ndセッション以降のTOC情報を取得して、TOCの異常を検知した場合に、2ndセッション以降を無効とする技術思想が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3934070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非圧縮方式の音楽データを記録媒体に記録する場合、通常シングルセッションで記録されることが多いが、コピープロテクトされた記録媒体の一部には、マルチセッションで記録し、2ndセッションに異常なデータを記録することで、パーソナルコンピュータ(パソコン)での再生ができないようにしたものが存在していた。また、パソコンで、圧縮方式の音楽データ等をCD/DVDへ追記する場合に、該追記がマルチセッション方式で行われるようになっていた。
【0008】
コピープロテクトされた記録媒体は、1stセッションのリードインエリアのTOC情報には正常なデータが組み込まれているが、2ndセッション以降のリードインエリアのTOC情報に異常なデータが組み込まれているため、上述した先行文献1では、2ndセッション以降のTOC情報を取得した上で、2ndセッション以降の有効/無効を判断していた。このため、2ndセッション以降のTOC情報を取得するのに時間を要してしまうという問題があった。
【0009】
一方、コピープロテクトの影響を受けないように、マルチセッションを非対応とすると、圧縮方式の音楽データの追記部分の再生ができなくなるという問題が生じる。しかしながら、追記に対応するマルチセッション対応とすると、今度はコピープロテクトの影響を受ける可能性が生じるという問題がある。このように本発明が解決しようとする課題は、上記した問題が一例として挙げられる。
【0010】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、コピープロテクトの影響を受けることなく、記録媒体に対する追記にも対応することができる記録媒体解析装置、記録媒体再生装置、記録媒体解析方法、記録媒体解析プログラム、等を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載の記録媒体解析装置は、オーディオ情報又はROM情報が記録される情報領域と、前記情報領域に記録された情報の種別データを有する管理情報が記録される記録領域と、を有するセッションが複数記録された記録媒体の前記記録領域を解析する記録媒体解析装置において、前記記録媒体に先頭で記録された前記セッションから前記管理情報を取得する第1管理情報取得手段と、前記第1管理情報取得手段が取得した管理情報に次のセッションが関連付けられているか否かを判定する第1判定手段と、前記第1判定手段が次のセッションが関連付けられていると判定したときに、前記取得した管理情報の種別データに基づいて、先頭のセッションの情報領域に記録された情報に前記ROM情報が存在するか否かを判定する第2判定手段と、前記第2判定手段が、前記ROM情報が存在すると判定したときに、前記次のセッションから前記管理情報を取得する第2管理情報取得手段と、前記第1管理情報取得手段及び前記第2管理情報取得手段が取得した複数の管理情報に基づいて、前記記録媒体に記録された前記管理情報を解析する解析手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項3記載の記録媒体再生装置は、請求項1又は2に記載の記録媒体解析装置と、前記記録媒体解析装置が解析した解析結果に基づいて、正常な前記セッションの情報領域から情報を取得して再生する情報再生装置と、を有することを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項4記載の記録媒体解析方法は、オーディオ情報又はROM情報が記録される情報領域と、前記情報領域に記録された情報の種別データを有する管理情報が記録される記録領域と、を有するセッションが複数記録された記録媒体の前記記録領域を解析する記録媒体解析方法において、前記記録媒体に先頭で記録された前記セッションから前記管理情報を取得する過程と、前記取得した管理情報に次のセッションが関連付けられているか否かを判定する過程と、前記取得した管理情報に次のセッションが関連付けられていると判定したときに、前記取得した管理情報の種別データに基づいて、先頭のセッションの情報領域に記録された情報に前記ROM情報が存在するか否かを判定する過程と、前記ROM情報が存在すると判定したときに、前記次のセッションから前記管理情報を取得する過程と、前記記録媒体から取得した複数の管理情報に基づいて、前記記録媒体に記録された前記管理情報を解析する過程と、を有することを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項5記載の記録媒体解析プログラムは、オーディオ情報又はROM情報が記録される情報領域と、前記情報領域に記録された情報の種別データを有する管理情報が記録される記録領域と、を有するセッションが複数記録された記録媒体の前記記録領域を解析する記録媒体解析装置のコンピュータを、前記記録媒体に先頭で記録された前記セッションから前記管理情報を取得する第1管理情報取得手段と、前記第1管理情報取得手段が取得した管理情報に次のセッションが関連付けられているか否かを判定する第1判定手段と、前記第1判定手段が次のセッションが関連付けられていると判定したときに、前記取得した管理情報の種別データに基づいて、先頭のセッションの情報領域に記録された情報に前記ROM情報が存在するか否かを判定する第2判定手段と、前記第2判定手段が、前記ROM情報が存在すると判定したときに、前記次のセッションから前記管理情報を取得する第2管理情報取得手段と、前記第1管理情報取得手段及び前記第2管理情報取得手段が取得した複数の管理情報に基づいて、前記記録媒体に記録された前記管理情報を解析する解析手段と、して機能させるための記録媒体解析プログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る記録媒体解析装置を有する記録媒体再生装置の基本構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施例に係る光ディスク再生装置の概略構成を示す構成図である。
【図3】光ディスクの概略構成とTOC情報解析部と再生制御部との関係を説明するための図である。
【図4】図2に示されたマイコンが実行する解析処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る記録媒体解析装置、記録媒体再生装置、記録媒体解析方法、及び記録媒体解析プログラムの一実施の形態を、図1の基本構成図を参照して以下に説明する。
【0017】
図1において、記録媒体解析装置11Aは、オーディオ情報又はROM情報が記録される情報領域23と、前記情報領域23に記録された情報の種別データを有する管理情報が記録される記録領域22と、を有するセッション21が複数記録された記録媒体20の前記記録領域22を解析する記録媒体解析装置11Aにおいて、前記記録媒体20に先頭で記録された前記セッション21から前記管理情報を取得する第1管理情報取得手段P1と、前記第1管理情報取得手段P1が取得した管理情報に次のセッション21が関連付けられているか否かを判定する第1判定手段P2と、前記第1判定手段P2が次のセッション21が関連付けられていると判定したときに、前記取得した管理情報の種別データに基づいて、先頭のセッション21の情報領域23に記録された情報に前記ROM情報が存在するか否かを判定する第2判定手段P3と、前記第2判定手段P3が、前記ROM情報が存在すると判定したときに、前記次のセッション21から前記管理情報を取得する第2管理情報取得手段P4と、前記第1管理情報取得手段P1及び前記第2管理情報取得手段P4が取得した複数の管理情報に基づいて、前記記録媒体20に記録された前記管理情報を解析する解析手段P5と、を有している。
【0018】
また、記録媒体解析方法は、オーディオ情報又はROM情報が記録される情報領域と、前記情報領域に記録された情報の種別データを有する管理情報が記録される記録領域と、を有するセッションが複数記録された記録媒体の前記記録領域を解析する記録媒体解析方法において、前記記録媒体に先頭で記録された前記セッションから前記管理情報を取得する過程と、前記取得した管理情報に次のセッションが関連付けられているか否かを判定する過程と、前記取得した管理情報に次のセッションが関連付けられていると判定したときに、前記取得した管理情報の種別データに基づいて、先頭のセッションの情報領域に記録された情報に前記ROM情報が存在するか否かを判定する過程と、前記ROM情報が存在すると判定したときに、前記次のセッションから前記管理情報を取得する過程と、前記記録媒体から取得した複数の管理情報に基づいて、前記記録媒体に記録された前記管理情報を解析する過程と、を有している。
【0019】
さらに、記録媒体解析プログラムは、オーディオ情報又はROM情報が記録される情報領域23と、前記情報領域23に記録された情報の種別データを有する管理情報が記録される記録領域22と、を有するセッション21が複数記録された記録媒体20の前記記録領域22を解析する記録媒体解析装置11Aのコンピュータを、前記記録媒体20に先頭で記録された前記セッション21から前記管理情報を取得する第1管理情報取得手段P1と、前記第1管理情報取得手段P1が取得した管理情報に次のセッション21が関連付けられているか否かを判定する第1判定手段P2と、前記第1判定手段P2が次のセッション21が関連付けられていると判定したときに、前記取得した管理情報の種別データに基づいて、先頭のセッション21の情報領域23に記録された情報に前記ROM情報が存在するか否かを判定する第2判定手段P3と、前記第2判定手段P3が、前記ROM情報が存在すると判定したときに、前記次のセッション21から前記管理情報を取得する第2管理情報取得手段P4と、前記第1管理情報取得手段P1及び前記第2管理情報取得手段P4が取得した複数の管理情報に基づいて、前記記録媒体20に記録された前記管理情報を解析する解析手段P5として機能させるための記録媒体解析プログラムとなっている。
【0020】
このような記録媒体解析装置11Aによれば、第1判定手段P2によって記録媒体20に先頭で記録されたセッション21の記録領域22から管理情報が取得されると、第1判定手段P2によって該管理情報に次のセッションが関連付けられているか否かが判定される。この判定方法の一例としては、管理情報にシングルセッション方式かマルチセッション方式かを識別する識別情報が設定されているか、次のセッションのアドレスが設定されているか、等に基づいて判定される。そして、管理情報に次のセッション21が関連付けられていると判定されたときは、第2判定手段P3によって当該管理情報の種別データに基づいて、先頭のセッション21の情報領域23に記録された情報にROM情報が存在するか否かが判定される。そして、ROM情報が存在すると判定されると、第2管理情報取得手段P4によって先頭のセッション21の次のセッション21以降から管理情報が取得され、解析手段P5によって全てのセッション21から取得された複数の管理情報が解析される。
【0021】
よって、記録媒体解析装置11Aは、記録媒体20の先頭のセッション21の記録領域22に記録された管理情報に次のセッション21が関連付けられている、即ち、記録媒体20がマルチセッション方式であり、且つ先頭のセッション21の情報領域23に記録している情報にROM情報が存在するときに、次のセッション21以降の管理情報を取得して解析するようにしたことから、コピープロテクトされた記録媒体の先頭セッション21の情報領域23にオーディオ情報のみが記録されているときに、次のセッション21以降の管理情報の取得を防止できる。そして、コピープロテクトされたマルチセッション方式の記録媒体において、次のセッション21の管理情報に異常なデータが記録されていても、本発明の記録媒体解析装置11Aは該管理情報を解析しないため、コピープロテクトの影響を排除して解析精度の向上を図ることができる。従って、コピープロテクトの影響を受けることなく、記録媒体の追記にも対応することができる。
【0022】
また、上述した記録媒体解析装置11Aは、前記管理情報が前記記録媒体20の再生に利用されるTOC情報となっている。
【0023】
このような記録媒体解析装置11Aによれば、記録媒体20の記録領域22に記録されるTOC情報を用いるようにしたことから、記録領域22に新たな管理情報を記録する必要がないため、記録処理等には変更を施す必要がなく、簡単な構成で容易に実現することができる。また、次のセッション以降に音楽データが存在しないCD−ExtraやEnhanced CD等の記録媒体に対しては、次のセッション21以降のTOC情報を取得しないため、再生開始までの時間を短縮することができる。
【0024】
図1において、記録媒体再生装置1は、上述した記録媒体解析装置11Aと、前記記録媒体解析装置11Aが解析した解析結果に基づいて、正常な前記セッションの情報領域から情報を取得して再生する情報再生装置11Bと、を有している。
【0025】
このような記録媒体再生装置1によれば、記録媒体20の先頭のセッション21の記録領域22に記録された管理情報に次のセッション21が関連付けられ、且つ先頭のセッション21の情報領域23に記録している情報にROM情報が存在するときに、記録媒体解析装置11Aは次のセッション21以降の管理情報を取得して解析し、該解析結果に基づいて情報再生装置11Bが正常なセッションの情報領域から情報を取得して再生するようにした。これにより、コピープロテクトされた記録媒体の先頭セッション21の情報領域23にオーディオ情報のみが記憶されているときは、記録媒体解析装置11Aが次のセッション21の管理情報を取得することを防止できる。そして、次のセッション21の管理情報に異常なデータが記録されていても、該管理情報を解析しないため、コピープロテクトの影響を排除して解析精度の向上を図ることができるともに、情報再生装置11Bの再生に悪影響を及ぼすことを防止できる。従って、コピープロテクトの影響を受けることなく、記録媒体の追記にも対応することができる。
【実施例】
【0026】
以下、上述した本発明の記録媒体再生装置としての光ディスク再生装置を、図2乃至図4の図面を参照して以下に説明する。なお、上述した図1に示す基本構成のところで説明したものと同一あるいは相当する部分には同一符号を付して説明する。
【0027】
図2において、光ディスク再生装置1は、ディスクモータ2と、前記読み取り手段としての光ピックアップ3と、キャリッジモータ4と、リードスクリュー5と、RFアンプ6と、サーボ信号処理部7と、ドライバ8と、音声/映像信号処理部9と、バッファ10と、マイクロコンピュータ(以下マイコンともいう)11と、を有して構成している。
【0028】
ディスクモータ2は、光ディスク再生装置1にセットされた、記録媒体としての光ディスク20を回転させるためのモータであり、スピンドルモータなどで構成されている。なお、本実施例では、光ディスク20がCD−Rである場合について説明する。
【0029】
光ピックアップ3は、光ディスク20に照射するレーザ光を発生させるレーザダイオードや、光ディスク20上にレーザダイオードからのレーザ光を集光するための対物レンズ、サーボ信号処理部7からの信号によりフォーカス方向やトラッキング方向に対物レンズを移動するためのアクチュエータおよび光ディスク20から反射された反射光を受けるフォトダイオードや、レーザ光を対物レンズへ導いたり、反射光を受光器へ導く光学系などを備えている。光ピックアップ3は、フォトダイオードの出力から光ディスク20に記録されている映像や音楽などのトラックデータを含むRF信号やフォーカスエラー信号およびトラッキングエラー信号などを生成して、RFアンプ6へ出力する。
【0030】
キャリッジモータ4は、後述するリードスクリュー5を通じて光ピックアップ3を、光ディスク20の径方向と平行に設置されている。リードスクリュー5は、キャリッジモータ4の回転軸と機械的に接続されており、キャリッジモータ4の回転に合わせて回転する。リードスクリュー5のネジ溝やネジ山は光ピックアップ3に形成されたネジ山やネジ溝と噛み合っており、リードスクリュー5が回転することで、光ピックアップ3が光ディスク20の径方向に沿って移動する。
【0031】
RFアンプ6は、高周波を増幅する回路またはその素子である。RFアンプ6は、光ピックアップ3から入力される信号を所定の値に増幅し、サーボ信号処理部7に出力する。
【0032】
サーボ信号処理部7は、RFアンプ6から入力されるフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号などの制御信号に基づいて、光ピックアップ3のアクチュエータを駆動させることで、フォーカスおよびトラッキングの制御などを行い、光ディスク20に記録されたデータを正確に読めるようにする。また、サーボ信号処理部7は、入力されたフォーカスエラー信号のレベルをマイコン11へ出力する。さらに、サーボ信号処理部7は、光ディスク20に記録された映像や音楽などを含むRF信号をアナログ/デジタル変換して音声/映像信号処理部9に出力する。
【0033】
ドライバ8は、サーボ信号処理部7から入力された信号からディスクモータ2および光ピックアップ3のアクチュエータおよびキャリッジモータ4への駆動信号を生成して出力する。
【0034】
音声/映像信号処理部9は、サーボ信号処理部7から入力された信号にエラー訂正などを行った後、復調やデコードを行ってバッファ10に出力する。そして、音声/映像信号処理部9は、マイコン11からの要求に従ってバッファ10から読み出してホストコンピュータ30へ出力する。
【0035】
バッファ10は、振動などによって再生がとぎれないように、音声/映像信号処理部9で再生する映像や音声などのデータを、一次的に格納するメモリとなっている。バッファ10は、光ディスク20から通常の数倍速の再生速度で読み込んだ所定量のデータを格納する。即ち、データを出力するよりも速い速度でピックアップ3が読み取ったデータを格納(バッファリング)する。バッファ10は、格納したデータを通常の再生速度で音声/映像信号処理部9に出力する。
【0036】
マイコン11は、光ディスク再生装置1全体の制御を司る。マイコン11は、公知であるように、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、等を有している。マイコン11は、ホストコンピュータ30からの命令に基づいて、光ディスク20の挿入や排出、再生や停止およびトラックサーチなどの光ディスク再生装置1の各操作に関する制御を行う。
【0037】
マイコン11は、上述した図1に示す第1管理情報取得手段P1、第1判定手段P2、第2判定手段P3、第2管理情報取得手段P4、解析手段P5、等の各種手段として前記CPU(コンピュータ)を機能させるための記録媒体解析プログラム等を前記ROM等に記憶している。
【0038】
次に、光ディスク20は、図1に示す請求項中の記録媒体に相当し、略中央に図示しない略円形のセンタホールを有した円板状に形成され、片面が情報記録面となっている。マルチセッション方式の光ディスク20の情報記録面には、図3に示すように、光ディスク20の内周から、複数のセッション21が連続的に記録される。具体的には、光ディスク20の最内周から1stセッション21A、2ndセッション21B、3rdセッション21C、の順番で、光ディスク20に記録されている。そして、光ディスク20にセション21を追記する場合、新たなセッション21を3rdセッション21Cの次に記録する。
【0039】
セッション21は、光ディスク20の内周から、リードイン領域22とプログラム領域23とリードアウト領域24とを1つのセットとして有して構成している。そして、マルチセッション方式では、該セッション21の数だけ光ディスク20に記録される。そして、本実施例では説明を簡単化するために、3つのセッション21A,21B,21Cの場合について説明する。
【0040】
各リードイン領域22は、セッション21の開始を示す前記記録領域(図1参照)であり、該セッション21の再生に必要なトラック数、各トラックの開始時間、各トラックの種類、等のTOC(Table Of Contents)情報が記録される。そして、TOC情報は、光ディスク20の種別に関する種別情報、プログラム情報のプログラム領域23に記録された位置を示すアドレス情報などである。また、光ディスク20の種別情報としては、例えばCD−DA、CD−ROM、DVD−ROM、DVD−R(Digital Versatile Disc-Recordable)、DVD−RW(Digital Versatile Disc-ReWritable)などの種別や、シングルセッション方式かマルチセッション方式かを識別する情報である。本実施例では、種別がCD−DAかCD−ROMかの場合について説明する。また、アドレス情報は、リードイン領域22に対応するプログラム領域23に記録されたプログラム情報のトラック(Tr)開始時間やフレーム番号などである。
【0041】
各プログラム領域23は、オーディオ情報又はROM情報のプログラム情報が記録される光ディスク20の前記情報領域(図1参照)である。そして、ROM情報は、MP3(MPEG Audio Layer-3)等の圧縮方式の音楽データだけでなく画像データや文書データ等を有しており、パーソナルコンピュータ等で読み取り可能なCD−ROMの情報となっている。また、オーディオ情報は、PCM(Pulse Code Modulation)のデータ形式を有しており、CD−DAの情報となっている。なお、市販されているオーディオCDの場合、シングルセッション方式であってもコピープロテクトされたマルチセッション方式であっても、先頭のセッション21のプログラム領域23はオーディオデータ(CD−DA)のみが記録されていることが多い。
【0042】
各リードアウト領域24は、セッション21のデータが終了したことを示す情報となっている。なお、該各リードアウト領域24は、セッション21の構成から削除することもできる。
【0043】
光ディスク20がCD−ROMの場合、リードイン領域22のTOC情報には、CD−ROMを示す種別情報が設定される。そして、マルチセッション方式の場合、1stセッション21AのTOC情報には、マルチセッション方式を示す識別情報が設定される。なお、マルチセッション方式の判定方法としては、TOC情報に次の2ndセッション21Bの先頭アドレス等が設定されているか否かに基づいて判定するなどの種々異なる実施形態とすることができる。また、光ディスク20がCD−DAの場合、リードイン領域22のTOC情報には、CD−DAを示す種別情報が設定される。
【0044】
次に、上述したマイコン11は、図3に示すように、TOC情報解析部11Aと、再生制御部11Bと、を有して構成している。そして、TOC情報解析部11Aが図1に示す記録媒体解析装置、再生制御部11Bが情報再生装置にそれぞれ相当した機能となっている。そして、TOC情報解析部11Aは、主に各リードイン領域22に記録されたTOC情報を解析する。なお、詳細な処理については後述する。
【0045】
再生制御部11Bは、プログラム領域23から取得したプログラム情報を再生する再生処理を実行する。この再生処理により、例えば、プログラム情報が音楽データである場合、音楽データを音声/映像信号処理部9に音楽として再生させてホストコンピュータ30に出力させる。また、プログラム情報が画像データの場合、画像データを音声/映像信号処理部9に音楽として再生させてホストコンピュータ30に出力させる。なお、本実施例では、再生した情報をホストコンピュータ30に出力する場合について説明するが、これに代えて、光ディスク再生装置1に出力手段を設けるなど種々異なる実施形態とすることもできる。
【0046】
次に、マイコン11のCPUが前記記録媒体解析プログラムを実行することで行われる解析処理の一例を、図4に示すフローチャートを参照して以下に説明する。そして、この解析処理は、TOC情報解析部11Aで行う処理である。
【0047】
マイコン11は、前記記録媒体解析プログラムを実行すると、ステップS11において、ドライバ8を制御して、ディスクモータ2を駆動させ、光ピックアップ3を1stセッション21Aに対応した位置に移動させる。そして、マイコン11は、光ピックアップ3のアクチュエータを制御して、サーボ信号処理部7から入力された信号に基づいて、1stセッション21Aのリードイン領域22からTOC情報を取得して前記RAM等に記憶し、その後ステップS12の処理に進む。
【0048】
マイコン11は、ステップS12において、前記RAM等に記憶したTOC情報の識別情報に基づいて、光ディスク20がマルチセッション方式であるか否かを判定する。マイコン11は、マルチセッション方式ではないと判定した場合(S12でN)、その後、解析処理を終了する。一方、マイコン11は、マルチセッション方式であると判定した場合(S12でY)、その後ステップS13の処理に進む。
【0049】
マイコン11は、ステップS13において、TOC情報の種別情報が示す1stセッション21Aのプログラム領域23の種別に基づいて、ROMトラックが存在するか否かを判定する。詳細には、プログラム領域23がCD−ROMであるかCD−DAであるかに基づいて判定を行う。なお、プログラム情報の種類だけでなく、ROMトラックの存在を判定することで、より正確な判定を行うことができる。そして、マイコン11は、ROMトラックが存在しないと判定した場合(S13でN)、その後、解析処理を終了する。一方、マイコン11は、ROMトラックが存在すると判定した場合(S13でY)、ステップS14の処理に進む。
【0050】
マイコン11は、ステップS14において、ステップS1の処理と同様に、ドライバ8を制御して、次セッション21以降のリード領域22をサーチして、2ndセッション21B、3rdセッション21CのTOC情報を取得して前記RAM等に記憶し、その後ステップS15の処理に進む。すなわち、マルチセッション方式で1stセッション21AにROMトラックが存在する場合は、光ディスク20がコピープロテクトされたディスクではなく、ユーザが作成したディスクである可能性が高いので、次セッション21以降のTOC情報を取得している。そして、マイコン11は、ステップS15において、前記RAM等に取得した複数のTOC情報を解析し、光ディスク20の再生順番等の該解析結果を前記RAM等に記憶し、その後解析処理を終了する。
【0051】
以上説明した図4に示す解析処理をマイコン11が実行することで、上述した図1に示す請求項中の第1管理情報取得手段P1、第1判定手段P2、第2判定手段P3、第2管理情報取得手段P4、解析手段P5としてマイコン11が機能することになる。そして、図4に示すフローチャート中のステップS11が第1管理情報取得手段P1、ステップS12が第1判定手段P2、ステップS13が第2判定手段P3、ステップS14が第2管理情報取得手段P4、ステップS15が解析手段P5にそれぞれ相当している。
【0052】
次に、上述した構成の光ディスク再生装置1の動作(作用)の一例を、図3の図面等を参照して以下に説明する。
【0053】
光ディスク再生装置1は、CD−ROMである光ディスク20が装着されると、まず、TOC情報解析部11Aが当該光ディスク20の解析を行う。TOC情報解析部11Aは、1stセッション21Aのリードイン領域22からTOC情報を取得し、該TOC情報に基づいて光ディスク20がマルチセッション方式であるか否かを判定する。TOC情報解析部11Aは、図3に示すように、光ディスク20がマルチセッション方式であると判定すると、2ndセッション21B以降のリードイン領域22をサーチして、各TOC情報を取得する。
【0054】
TOC情報解析部11Aは、全てのセッション21から取得したTOC情報を解析し、該解析結果を前記RAM等に記憶する。再生制御部11Bは、当該解析結果が示す順番、図3中では1stセッション21A、2ndセッション21B、3rdセッション21Cの順でプログラム領域23をサーチして、各プログラム領域23からプログラム情報を取得する。再生制御部11Bは、プログラム領域23から取得したプログラム情報の再生処理を実行して、音声/映像信号処理部9を制御することで、プログラム情報を再生してホストコンピュータ30に出力する。
【0055】
また、光ディスク再生装置1は、CD−DAの光ディスク20が装着されると、まず、TOC情報解析部11Aが当該光ディスク20の解析を行う。TOC情報解析部11Aは、1stセッション21Aのリードイン領域22からTOC情報を取得し、該TOC情報に基づいて光ディスク20がマルチセッション方式であるか否かを判定する。TOC情報解析部11Aは、光ディスク20がマルチセッション方式ではないと判定すると、解析を終了する。そして、再生制御部11Bは、1stセッション21Aのプログラム領域23から取得したプログラム情報の再生処理を実行して、音声/映像信号処理部9を制御することで、プログラム情報を再生してホストコンピュータ30に出力する。
【0056】
さらに、光ディスク再生装置1は、CD−ExtraやEnhanced CD等の光ディスク20が装着されると、該光ディスク20の2ndセッション21B以降に音楽データは存在していない。しかしながら、TOC情報解析部11Aは、1stセッション21AのTOC情報がマルチセッション方式を示していても、プログラム領域23にROMトラックが存在していないと判定するため、2ndセッション21B以降のTOC情報の取得を行わない。よって、再生制御部11Bは、再生開始時間までの時間を短縮して、1stセッション21Aのプログラム領域23から取得したプログラム情報を再生する。
【0057】
以上説明した光ディスク再生装置1は、光ディスク20の1stセッション21Aのリードイン領域22に記録されたTOC情報に2ndセッション21Bが関連付けられている、即ち、光ディスク20がマルチセッション方式であり、且つ1stセッション21Aのプログラム領域23に記録している情報にROM情報が存在するときに、2ndセッション21B以降の管理情報を取得して解析するようにしたことから、コピープロテクトされた光ディスク20の1stセッション21Aの情報領域23にオーディオ情報のみが記録されているときに、2ndセッション21BのTOC情報の取得を防止できる。そして、2ndセッション21Bの管理情報に異常なデータが記録されていても、該TOC情報を解析しないため、コピープロテクトの影響を排除して解析精度の向上を図ることができる。従って、コピープロテクトの影響を受けることなく、光ディスク20に対する追記にも対応することができる。
【0058】
また、上述した光ディスク再生装置1によれば、光ディスク20のリードイン領域22に記録されるTOC情報を用いるようにしたことから、リードイン領域22に新たな管理情報を記録する必要がないため、光ディスク20に対する記録に関する処理等には変更を施す必要がなく、簡単な構成で容易に実現することができる。また、2ndセッション21B以降に音楽データが存在しないCD−ExtraやEnhanced CD等の光ディスク20に対しては、2ndセッション21B以降のTOC情報を取得しないため、再生開始までの時間を短縮することができる。
【0059】
なお、上述した実施例では、本発明の記録媒体解析装置を有する記録媒体再生装置が光ディスク再生装置1である場合について説明した。これに代えて、記録媒体再生装置をホーム/カーオーディオ装置、カーナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ等の各種再生装置によって実現することもできる。
【0060】
このように上述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 記録媒体再生装置(光ディスク再生装置)
11A 記録媒体解析装置
11B 情報再生装置
20 記録媒体(光ディスク)
21 セッション
22 記録領域(リードイン領域)
23 情報領域(プログラム領域)
P1 第1管理情報取得手段
P2 第1判定手段
P3 第2判定手段
P4 第2管理情報取得手段
P5 解析手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオ情報又はROM情報が記録される情報領域と、前記情報領域に記録された情報の種別データを有する管理情報が記録される記録領域と、を有するセッションが複数記録された記録媒体の前記記録領域を解析する記録媒体解析装置において、
前記記録媒体に先頭で記録された前記セッションから前記管理情報を取得する第1管理情報取得手段と、
前記第1管理情報取得手段が取得した管理情報に次のセッションが関連付けられているか否かを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段が次のセッションが関連付けられていると判定したときに、前記取得した管理情報の種別データに基づいて、先頭のセッションの情報領域に記録された情報に前記ROM情報が存在するか否かを判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段が、前記ROM情報が存在すると判定したときに、前記次のセッションから前記管理情報を取得する第2管理情報取得手段と、
前記第1管理情報取得手段及び前記第2管理情報取得手段が取得した複数の管理情報に基づいて、前記記録媒体に記録された前記管理情報を解析する解析手段と、
を有することを特徴とする記録媒体解析装置。
【請求項2】
前記管理情報が、前記記録媒体の再生に利用されるTOC情報であることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体解析装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の記録媒体解析装置と、
前記記録媒体解析装置が解析した解析結果に基づいて、正常な前記セッションの情報領域から情報を取得して再生する情報再生装置と、
を有することを特徴とする記録媒体再生装置。
【請求項4】
オーディオ情報又はROM情報が記録される情報領域と、前記情報領域に記録された情報の種別データを有する管理情報が記録される記録領域と、を有するセッションが複数記録された記録媒体の前記記録領域を解析する記録媒体解析方法において、
前記記録媒体に先頭で記録された前記セッションから前記管理情報を取得する過程と、
前記取得した管理情報に次のセッションが関連付けられているか否かを判定する過程と、
前記取得した管理情報に次のセッションが関連付けられていると判定したときに、前記取得した管理情報の種別データに基づいて、先頭のセッションの情報領域に記録された情報に前記ROM情報が存在するか否かを判定する過程と、
前記ROM情報が存在すると判定したときに、前記次のセッションから前記管理情報を取得する過程と、
前記記録媒体から取得した複数の管理情報に基づいて、前記記録媒体に記録された前記管理情報を解析する過程と、
を有することを特徴とする記録媒体解析方法。
【請求項5】
オーディオ情報又はROM情報が記録される情報領域と、前記情報領域に記録された情報の種別データを有する管理情報が記録される記録領域と、を有するセッションが複数記録された記録媒体の前記記録領域を解析する記録媒体解析装置のコンピュータを、
前記記録媒体に先頭で記録された前記セッションから前記管理情報を取得する第1管理情報取得手段と、
前記第1管理情報取得手段が取得した管理情報に次のセッションが関連付けられているか否かを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段が次のセッションが関連付けられていると判定したときに、前記取得した管理情報の種別データに基づいて、先頭のセッションの情報領域に記録された情報に前記ROM情報が存在するか否かを判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段が、前記ROM情報が存在すると判定したときに、前記次のセッションから前記管理情報を取得する第2管理情報取得手段と、
前記第1管理情報取得手段及び前記第2管理情報取得手段が取得した複数の管理情報に基づいて、前記記録媒体に記録された前記管理情報を解析する解析手段と、
して機能させるための記録媒体解析プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−218620(P2010−218620A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63750(P2009−63750)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】