説明

記録材冷却装置および画像形成装置

【課題】記録材を搬送する搬送手段とこの搬送手段に接触する放熱手段とを備えた構成において、搬送手段と放熱手段との接触によって生じる摩耗粉を除去する。
【解決手段】搬送ベルト401がヒートシンク403に接触しつつ、ヒートシンクに対して搬送ベルト401が移動する構造において、ヒートシンク402の両側にエアーダクト501と502を配置する。ヒートシンク402に気流を流すファンの機能を利用して、エアーダクト501、502内に気流を導き、ヒートシンク402の縁と搬送ベルト401との接触により発生する搬送ベルト401の摩耗粉を、ヒートシンク403に流す気流によって、吹き飛ばして除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材冷却装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、定着ベルトに接触する冷却部材を備えたベルト定着装置が示されている。特許文献2には、表面が粘着性を有するクリーニング部材により、定着ベルトに付着した付着物を除去する定着装置が示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−270987号公報
【特許文献2】特開2005−17807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、記録材を搬送する搬送手段とこの搬送手段に接触する放熱手段とを備えた構成において、搬送手段と放熱手段との接触によって生じる摩耗粉を除去する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、記録材を搬送する搬送手段と、前記搬送手段に接触し、前記搬送手段を介して前記記録材の熱を放熱する放熱手段と、前記放熱手段に流れる気流を生成する気流生成手段と、前記搬送手段と前記放熱手段とが接触する区間の前後の部分であって前記放熱手段の外側に形成された前記気流の一部を流すための通路とを備えることを特徴とする記録材冷却装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記通路内を流れる気流に乱流を形成するための凸部が前記通路内に設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記通路の断面積が一様でないことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、前記通路に流れる気流の風量には、第1の風量と、この第1の風量とは異なる第2の風量があることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記搬送手段は、端のない帯状の部材であり、前記端のない帯状の部材の外側の面が前記記録材に接触し、前記端のない帯状の部材の内側の面に突出部が設けられ、前記端のない帯状の部材の内側の面が前記放熱手段に接触することを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、記録材に画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段の下流側に配置された請求項5に記載の記録材冷却装置と、前記記録材冷却装置に向けて前記記録材を送る送り手段と、前記突出部と前記記録材とが重ならないように前記送り手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0011】
請求項7に記載の発明は、記録材に画像を形成する画像形成手段と、前記記録材に熱を加え、前記画像を定着させる定着手段と、前記定着手段の下流側に配置された請求項1〜5のいずれか一項に記載の記録材冷却装置とを備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、搬送手段と放熱手段との接触によって生じる摩耗粉を除去する技術が提供される。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、摩耗粉を除去する効率が向上する。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、場所による摩耗粉の発生状態に応じた気流の流量を設定できる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、放熱手段の冷却に適した気流と、摩耗粉の除去に適した気流とを選択できる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、放熱手段の縁に付着した摩耗粉を除去する能力が向上する。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の効果を記録材の冷却効果を損なわずに得られる画像形成装置が得られる。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1〜5に記載の発明の効果を有する画像形成装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、発明を利用した一実施形態を説明する。
(画像形成装置の構成)
図1には、実施形態である画像形成装置100が示されている。画像形成装置100は、記録材収納装置101を備えている。この例では、記録材収納装置101に、記録材の一例である印刷用紙102が収納されている。記録材としては、紙以外にもOHP用紙等の樹脂製のもの等を利用可能である。
【0020】
符号16は、本実施形態における送り手段として利用した送り出しロールである。送り出しロール16は、記録材収納装置101から印刷用紙102を下流側に送り出す。記録材収納装置101の下流側には、記録材収納装置101から排出された印刷用紙を搬送する搬送ローラ機構104が配置されている。搬送ローラ機構104の下流側には、本実施形態における画像形成手段として利用した画像形成部10が配置されている。画像形成部10は、印刷用紙上にトナー像を形成する。なお、ここで下流側というのは、時系列的に見た場合における処理の流れの後工程側のことをいう。また上流側は、これとは逆に処理の流れの前工程側のことをいう。
【0021】
画像形成部10の下流側には、本実施形態における定着手段として利用した加熱定着装置105が配置されている。加熱定着装置105は、印刷用紙上に形成されたトナー像を印刷用紙に加熱定着させる。加熱定着装置105の下流側には、加熱定着装置105から排出された印刷用紙を冷却する冷却装置107が配置されている。冷却装置107において冷却された印刷用紙は、図示省略した排出部に排出される。
【0022】
(画像形成部の構成)
以下、図1の画像形成部10の構成を説明する。画像形成部10は、YMCKの各基本色のトナー像を印刷用紙に形成するための4つの画像形成ユニット10Y〜10Mを備えている。
【0023】
画像形成ユニット10Y〜10Mの基本構造は同じであるので、以下代表して画像形成ユニット10Yの構成を説明する。画像形成ユニット10Yは、感光体ドラム11を備えている。感光体ドラム11は、図の矢印の方向(反時計回り方向)に回転する。感光体ドラム11には、感光体ドラム11の表面に残存するトナーを除去するためのクリーニングロール12が配置されている。クリーニングロール12の下流側(図の反時計回転方向側)における感光体ドラム11の表面には、露光装置13から静電潜像を形成するためのレーザ光が走査されつつ照射される。なお、この露光が行われる部分とクリーニングロール12との間に感光体ドラム11を帯電させるための帯電装置(図示省略)が配置されている。
【0024】
感光体ドラム11の露光される部分の下流側には、露光され潜像が形成された感光体ドラム11の表面にトナーを供給するためのトナー供給装置14が配置されている。さらにその下流側には、感光体ドラム11に対向して、転写ロール15が配置されている。以上が画像形成ユニット10Yの構成である。画像形成ユニット10M〜10Kも使用するトナーが異なるだけで、基本構造は同じである。
【0025】
(画像形成部の動作)
以下、画像形成ユニット10Y〜10Kの動作について説明する。なお、画像形成ユニット10Y〜10Kの動作は、トナーの色以外は基本的に同じであるので、ここでは、代表して画像形成ユニット10Yの動作について説明する。
【0026】
感光体ドラム11が図の反時計回り方向に回転している状態において、その表面に残存しているトナーが、クリーニングロール12により除去される。そして、この残存トナーが除去された部分に図示省略した帯電装置からの電荷の帯電が行われ、さらにそこに露光装置13からのレーザ光が走査されつつ照射される。このレーザ光の照射が行われることで、感光体ドラム11の表面が形成する画像のパターンに応じた状態で感光し、静電潜像が形成される。
【0027】
この静電潜像が形成された部分にトナー供給装置14からY色のトナーが供給され、静電潜像を構成する電荷分布に応じてY色のトナーが感光体ドラム11の表面に付着する。こうしてY色のトナー像が感光体ドラム11上に形成される。このトナー像の形成のタイミングに合わせて、感光体ドラム11と転写ロール15との間に記録材収納装置101から排出された印刷用紙が搬送され、両者の間に印刷用紙が挟まれることで、感光体ドラム11上のトナー像が印刷用紙上に転写される。トナー像の転写が行われた感光体ドラム11の表面は、クリーニングロール12によりクリーニングが行われる。以上の動作が繰り返されることで、Y色のトナー像が搬送経路103上を搬送されてくる印刷用紙の上に形成される。
【0028】
以上は、画像形成ユニット10YにおけるY色のトナー像の形成動作であるが、画像形成ユニット10M〜10Kにおいても同様な動作により、各基本色のトナー像の形成が行われる。こうして、搬送経路103を図の右方向に向かって搬送される印刷用紙上に、YMCKの基本色のトナー像が順次重ねられてカラーのトナー像が形成される。
【0029】
(加熱定着装置の構成)
次に、加熱定着装置105の構成について説明する。加熱定着装置105は、ヒートロール201と、ヒートロール201に対向するプレッシャーロール202を備えている。ヒートロール201は、内部にヒータを備え、発熱する。符号203は、定着ベルトであり、ヒートロール201と駆動ロール204との間に掛け渡されている。定着ベルト203には、定着ベルト203の表面を清掃するベルト清掃ロール205が接触している。また、定着ベルト203は、ヒートロール201の部分でプレッシャーロール202から圧力を受けた状態とされている。
【0030】
(加熱定着装置の動作)
次に、加熱定着装置105の動作について説明する。駆動ロール204が図の反時計回り方向に回転すると、定着ベルト203が反時計回り方向に回転し、この過程で図の左方向から搬送経路103を搬送されてきた印刷用紙が定着ベルト203とプレッシャーロール202との間に挟まれる。この際、印刷用紙に形成されたトナー像が定着ベルト203によって加熱され、同時に加圧される。この加熱されつつの加圧が行われることで、印刷用紙に形成されたトナー像の定着が行われる。
【0031】
(冷却装置の構成)
次に、冷却装置107について説明する。図1に示すように冷却装置107は、本実施形態における搬送手段として利用した搬送ベルト401と、搬送ベルト401に対向する搬送ベルト402を備えている。搬送ベルト401と搬送ベルト402は印刷用紙の搬送方向と直交する方向に関しては均一に接触し、接触する部分としない部分という差が生じない構成となっている。搬送ベルト401は、端のない帯状の部材の一例であり、印刷用紙に接触する側と反対側の面が本実施形態における放熱手段として使用したヒートシンク403に接触している。ヒートシンク403は、金属製(この例では、アルミニウム製)であり、複数のフィンが隙間を空けて配置され、その隙間を後述するファンの作用によって空気が流れることで放熱が行われる構成とされている。搬送ベルト401は、テンションロール405によって張力が与えられた状態において、駆動ロール404によって駆動されて回転する。
【0032】
搬送ベルト402は、印刷用紙に接触する側と反対側の面が、押し付けロール群406によって押され、テンションロール408によって張力が与えられ、さらに駆動ロール407によって駆動されて回転する。押し付けロール群406は、バネの反発力により、複数のロールを上方(ヒートシンク403の方向)に向かって押し付けることで、搬送ベルト402を搬送ベルト401側に押し付ける。
【0033】
図2は、冷却装置107の概要を示す斜視図であり、図3は、図3に示す状態から冷却ファンを取り外した状態を示す斜視図である。なお、図2および3において、図1に示す駆動ロール404等の駆動系の機構は、記載を省略している。
【0034】
図2および3には、ヒートシンク403が示されている。図2に示すように、ヒートシンク403の用紙搬送方向の右側(図の手前側)には、気流生成手段の一例であるファン510〜513が配置されている。ファン510〜513は、軸流ファンであり、図では羽根の記載は省略されている。ファン510〜513は、ヒートシンク403側から空気を吸い込み、図の手前側に気流を排気する。なお気流の流れの方向は、逆であってもよい。
【0035】
ヒートシンク403の下面は、搬送ベルト401に接触している(図2では図示省略)。搬送ベルト401は、ヒートシンク403に接触した状態で、図の左から右の方向に移動する。ヒートシンク403の上流側および下流側には、エアーダクト501および502が設けられている。エアーダクト501と502は、金属板を図示する形状に折り曲げた外板503および504をヒートシンク403に固定した構造とされている。
【0036】
より詳細にいうと、エアーダクト501では、外板503、ヒートシンク403および搬送ベルト401によって囲まれる空間が本実施形態における通路として利用する通路505とされている。通路505は、ヒートシンク403の上流側において、搬送ベルト401と接触するヒートシンク403の縁の部分に沿って搬送ベルト401を横断する方向に延長している。外板503の縁は、搬送ベルト401に接触せず、その隙間は、隙間塞ぎ部材の一例である樹脂板507(この例ではPETフィルム)によって塞がれている。樹脂板507は、外板503の縁の下流側に固定されている。
【0037】
エアーダクト502では、外板504、ヒートシンク403および搬送ベルト401によって囲まれる空間が本実施形態における通路として利用する通路506とされている。通路506は、ヒートシンク403の下流側において、搬送ベルト401と接触するヒートシンク403の縁の部分に沿って搬送ベルト401を横断する方向に延長している。外板504の縁は、搬送ベルト401に接触せず、その隙間は、隙間塞ぎ部材である樹脂板508(この例ではPETフィルム)によって塞がれている。樹脂板508は、外板503の縁の下流側に固定されている。
【0038】
樹脂板507および508は、力が加わり湾曲した状態で搬送ベルト401に接触する状態とされ、樹脂板と搬送ベルトとの間からの気流の漏れを防ぐ構造とされている。また、樹脂板507および508の搬送ベルト401に接触する縁の部分は、角を取った丸みの形状に加工(面取り加工)が施され、搬送ベルト401への負荷や摩耗粉の発生を抑える工夫が施されている。
【0039】
(冷却装置の動作)
図1に示す構成において、まず、搬送ベルト401を図の反時計回り方向に回転させ、搬送ベルト402を図の時計回り方向に回転させる。この状態において、加熱定着装置105から搬送されてきた印刷用紙が搬送ベルト401と402との間に挟まれ、印刷用紙は、図の右方向に搬送される。
【0040】
この際、押し付けロール群406の機能により、印刷用紙は、搬送ベルト401に押し付けられ、搬送ベルト401は、ヒートシンク403に押し付けられる。これにより、印刷用紙の印刷面(画像が形成された面)の熱が、搬送ベルト401を介してヒートシンク403に逃げ、加熱定着装置105における加熱により温度が上昇した印刷用紙が冷却される。冷却された印刷用紙は、冷却装置107から図の右方向に排出される。
【0041】
また、ヒートシンク403の隣接するフィンの間には、ファン510〜512の機能により、空気が流れ、ヒートシンク403からの放熱が行われる。ファン510〜512の機能による気流の一部は、通路505および506にも流れる。また、通路505および506内を空気が流れることで、この空気に触れるヒートシンク403の部分が空冷される。
【0042】
(ヒートシンクにおける摩耗粉の除去機能)
上記の冷却作用において、搬送ベルト401は、ヒートシンク403に押し付けられ、ヒートシンク403に接触しつつ、ヒートシンク403に対して移動する。この際、搬送ベルト401の表面が、ヒートシンク403の縁によって擦られ、搬送ベルト401の摩耗粉が発生する。この摩耗粉の発生は、ヒートシンク403の上流側の縁と下流側の縁の両方で発生するが、上流側での方がより顕著となる。
【0043】
この摩耗粉は、通路505と506を流れる気流により吹き飛ばされ、ファン510〜512に吸い込まれる。なお、ファン510〜512の排気側には、塵等を捕獲するためのエアーフィルタが配置されており、上記の摩耗粉は、このエアーフィルタに捕獲される。
【0044】
(変形例1)
図4は、図3とは異なる構造のエアーダクトを備えた構成の一例を示す斜視図である。図4において、図2および図3と同じ符号の部分は、図2および図3に関連して説明したものと同じである。
【0045】
この例では、エアーダクト501および502を構成する外板521および522を樹脂(例えば、ポリアセタール)により構成し、その縁を搬送ベルト401に接触させた構造としている。また、外板521および522が、搬送ベルト401に接触する縁の部分は、面取りをし、角を丸めた形状としている。他は、図1〜3に関連して説明を行った実施形態と同じである。
【0046】
(変形例2)
図5は、エアーダクト501の通路の内面に、本実施形態における凸部として利用する円柱状の突起531を設けた例(A)と、同様な機能を有する突起541を設けた例(B)を示す斜視図である。この例では、突起531または541を複数配置することで、エアーダクト510内を流れる空気の流れに乱流を生じさせ、摩耗粉の除去効率を高めている。突起の構造は、円柱状に限定されず、板状等の他の形状であってもよい。
【0047】
(変形例3)
図6には、図2に示す構成の変形例が示されている。図6には、通路の断面積が一様でない場合の一例が示されている。図6は、図2の一部を上方から見た状態が示されている。図6には、ヒートシンク403の一部、エアーダクト501、ファン510および搬送ベルト401が示されている。この例では、エアーダクト601の通路602の断面形状に工夫が施されている。すなわち、通路602の幅(空気の流れる経路の幅)が、通路602への入口の部分では狭く、中央では広く、出口では再び狭くなる構造とされている。つまり、通路602の断面積が、入口の部分では狭く、中央では広く、出口では再び狭くなる構造とされている。
【0048】
図6に示す構造によれば、通路602の入口と出口の付近における流速が、中央の付近に比較して速くなる。摩耗粉の発生は、搬送ベルトの幅方向の両端の方が中央に比較して多い。したがって、通路602の入口と出口の付近における流速を中央付近よりも速くすることで、摩耗粉を吹き飛ばしての除去を、そうでない構成とした場合よりも効率よく行える。
【0049】
(変形例4)
次に、図1および図2に示す構成において、搬送ベルト401のヒートシンク403に接触する面側に突出部を設ける例を説明する。図7は、搬送ベルトの構成の一例を示す概念図である。図7には、図1および図2に示す搬送ベルト401の代わりに利用可能な搬送ベルト541が示されている。
【0050】
搬送ベルト541のヒートシンク403に接触する側の面には、本実施形態における突出部として利用される幅方向に延長する突起542が形成されている。突起542は、高さが例えば1mmであり、その頂部は面取りがされた丸みを有する形状であり、ヒートシンク403に接触する側面は、垂直ではなく、ベルト面に垂直な垂線との間のなす角度が10〜30°程度の傾斜面とされている。突起542の数は限定されないが、突起542と印刷用紙とが重ならないように、印刷用紙の搬送のタイミングを調整する必要がある。突起がヒートシンク403の縁に接触することで、ヒートシンク403の縁に付着した摩耗粉が掻き落とされる。
【0051】
図8は、図7に示す構成を採用した場合における制御系の一例を示す概念図である。図8において、用紙設定部551は、画像を形成する印刷用紙に関する情報を取得する。用紙搬送タイミング制御部552は、搬送手段の突出部と記録材とが重ならないように送り手段を制御する制御手段の一例である。用紙搬送タイミング制御部552は、図1の記録材収納部101から印刷用紙を搬送経路に送り出すタイミングを制御する信号を記録材収納装置101から印刷用紙を送り出す送り出しロール16の駆動機構に出力する。画像形成制御部553は、画像形成部10における画像の形成処理を制御する。ファン制御部554は、ファン510〜512の動作を制御する。
【0052】
(動作)
以下、図8に示す制御系で実行される動作の一例を説明する。図9は、図8に示す制御系で実行される動作の一例を示すフローチャートである。画像形成処理が開始されると(ステップS601)、搬送経路103上において印刷用紙を搬送するのに必要な搬送ローラ等の動作、画像形成部10における感光体ドラムの回転、定着装置105および冷却装置107の動作が開始される(ステップS602)。またファン制御部554の機能により、ファン510〜512の回転が開始される。
【0053】
次に、用紙設定部551において、画像形成の対象となる印刷用紙に関する情報(用紙サイズや紙質)が取得される(ステップS603)。次に、取得された印刷用紙に関する情報に基づいて、どのタイミングで印刷用紙を記録材収納装置101から搬送経路103に送り出すかを算出する演算が、用紙搬送タイミング制御部552において行われる(ステップS604)。この演算では、印刷用紙が冷却装置107に到った段階で、印刷用紙が図7の突起542と重なることがないように、印刷用紙102を記録材収納装置101から冷却装置107に向けて送り出すタイミングが計算される。
【0054】
搬送のタイミングを算出する演算の結果が得られたら、この結果に基づいて制御信号が、用紙搬送タイミング制御部552から送り出しロール16の駆動機構に送られ、印刷用紙の搬送が開始される(ステップS605)。そして、画像形成制御部553からの制御信号により、画像形成部10における印刷用紙へのトナー像の形成処理が制御され(ステップS606)、このトナー像が加熱定着装置105において加熱定着される。
【0055】
加熱定着処理が施された印刷用紙は、冷却装置107において冷却され、図の右方向に排出される。この冷却装置107における冷却の際、最初の記録材収納装置101からの印刷用紙102の送り出しのタイミングが、ステップS604において行われた演算の結果を利用して調整されているので、搬送ベルト410に押し付けられた状態の印刷用紙と図7の突起542とが重ならない。
【0056】
ステップS606の後、画像形成の処理を終了するのであれば、ステップS608に進み、処理を終了する。また、画像形成の処理を次の印刷用紙に対して行うのであれば、ステップS604以下の処理を繰り返す。
【0057】
印刷用紙が冷却装置107に到った段階で、印刷用紙が図7の突起542と重ならないようにする方法としては、印刷用紙が冷却装置107に到達する前の段階で、搬送ベルト401の搬送速度を調整し、印刷用紙が来た段階における突起542の位置を調整する方法を挙げることができる。
【0058】
(変形例5)
図1に示す例示において、画像の形成動作時には、記録材の冷却に適した風量がヒートシンク403に流れるようにファン510〜512の回転数を制御し、冷却モードを実行する。そして、処理した記録材の枚数が所定の枚数に達した段階で、図2に示すファン510〜512の回転数を、摩耗粉を吹き飛ばすのに適した風量が得られる値に変更し、クリーニングモードを実行する。これにより、冷却効率、無駄な電力消費の抑制、効果的な摩耗粉の除去をバランス良く実現する。
【0059】
この場合、画像形成を行った記録材の枚数を数える手段を配置し、処理した記録材の枚数をカウントする。また、図8に示す制御系を採用し、ファン制御部554の機能により、冷却モード時とクリーニングモード時とにおけるファン510〜512の回転数の制御を行う。なお、クリーニングモードの実行は、消費した記録材の重量や搬送ベルト401の移動量に基づいて行ってもよい。
【0060】
(変形例6)
以下、ファンへの空気の流れを切り換えることで、冷却モードとクリーニングモードとの切換を行う例を説明する。図10は、冷却装置の一例を示す上面図である。図10(A)には、冷却モードの状態が示され、図10(B)には、クリーニングモードの状態が示されている。
【0061】
図10には、冷却装置700が示されている。冷却装置700は、図1のヒートシンク403と同様なヒートシンク701を備えている。ヒートシンク701の記録材の搬送方向で見た上流側と下流側には、図1に示すのと同様なエアーダクト702と703が配置されている。
【0062】
この例では、ヒートシンク701とファン704〜706との間に通気経路開閉手段707〜709が配置されている。通気経路開閉手段707〜709は、鎧戸構造(ジャロジーと同様な構造)を有し、通気経路を開放あるいは閉鎖するシャッターとして機能する。
【0063】
図10(A)には、エアーダクト702および703と、ファン704〜706との間の通気経路が閉鎖され、ヒートシンク701とファン704〜706との間の通気経路が開放された状態が示されている。この図10(A)の状態が、ヒートシンク701の冷却を行う冷却モードの一例となる。
【0064】
図10(B)には、エアーダクト702および703と、ファン704〜706との間の通気経路が開放され、ヒートシンク701とファン704〜706との間の通気経路が閉鎖された状態が示されている。この図10(B)の状態が、エアーダクト702および703の内部に空気を流し、この空気の流れによって図示省略した搬送ベルト401の摩耗粉を除去するクリーニングモードの一例となる。
【0065】
(その他の変形例)
図1に示す例示では、画像形成部10として、カラー画像を形成する機能を備える場合の例を示したが、モノクロ画像専用の場合は、画像形成ユニットは一つでよい。また画像形成部として、感光体ドラムから記録媒体に直接画像を転写せずに、感光体ドラムから一旦転写ベルトに画像を転写し、それを記録材に転写する構成を採用してもよい。また、冷却手段として、ファン、ペルチェ素子または水冷による強制冷却手段を組み合わせて使用してもよい。また、エアーダクトは、ヒートシンクの上流側だけに配置するのでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、画像形成装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】発明を利用した画像形成装置の一例を示す概念図である。
【図2】冷却装置の一例を示す斜視図である。
【図3】冷却装置の一例を示す斜視図である。
【図4】冷却装置の一例を示す斜視図である。
【図5】乱流を発生させる構成の例を示す斜視図である。
【図6】冷却装置の一例を示す概念図である。
【図7】搬送ベルトの構成の一例を示す概念図である。
【図8】制御系の一例を示す概念図である。
【図9】制御系で実行される動作の一例を示すフローチャートである。
【図10】冷却装置の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0068】
10…画像形成部、10Y…画像形成ユニット、10M…画像形成ユニット、10C…画像形成ユニット、10K…画像形成ユニット、11…感光体ドラム、12…クリーニングロール、13…露光装置、14…トナー供給装置、15…転写ロール、16…送り出しロール、100…画像形成装置、101…記録材収納装置、102…印刷用紙、103…搬送経路、104…搬送ローラ機構、105…加熱定着装置、106…搬送装置、107…冷却装置、201…ヒートロール、202…プレッシャーロール、203…定着ベルト、204…駆動ロール、205…ベルト清掃ロール、401…搬送ベルト、402…搬送ベルト、403…ヒートシンク、404…駆動ロール、405…テンションロール、406…押し付けロール群、407…駆動ロール、408…テンションロール、501…エアーダクト、502…エアーダクト、503…外板、504…外板、505…通路、506…通路、507…樹脂板、508…樹脂板、510…ファン、511…ファン、512…ファン、521…外板、522…外板、531…突起、541…突起、700…冷却装置、701ヒートシンク、702…ファン、703…ファン、704…ファン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段に接触し、前記搬送手段を介して前記記録材の熱を放熱する放熱手段と、
前記放熱手段に流れる気流を生成する気流生成手段と、
前記搬送手段と前記放熱手段とが接触する区間の前後の部分であって前記放熱手段の外側に形成された前記気流の一部を流すための通路と
を備えることを特徴とする記録材冷却装置。
【請求項2】
前記通路内を流れる気流に乱流を形成するための凸部が前記通路内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の記録材冷却装置。
【請求項3】
前記通路の断面積が一様でないことを特徴とする請求項1または2に記載の記録材冷却装置。
【請求項4】
前記通路に流れる気流の風量には、第1の風量と、この第1の風量とは異なる第2の風量があることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の記録材冷却装置。
【請求項5】
前記搬送手段は、端のない帯状の部材であり、
前記端のない帯状の部材の外側の面が前記記録材に接触し、
前記端のない帯状の部材の内側の面に突出部が設けられ、
前記端のない帯状の部材の内側の面が前記放熱手段に接触することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の記録材冷却装置。
【請求項6】
記録材に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段の下流側に配置された請求項5に記載の記録材冷却装置と、
前記記録材冷却装置に向けて前記記録材を送る送り手段と、
前記突出部と前記記録材とが重ならないように前記送り手段を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
記録材に画像を形成する画像形成手段と、
前記記録材に熱を加え、前記画像を定着させる定着手段と、
前記定着手段の下流側に配置された請求項1〜5のいずれか一項に記載の記録材冷却装置と
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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