説明

記録材料

【課題】長期不安定性である色前駆体と顕色剤との反応に基づく、多くの場合高価な方法を使用することなく、熱、圧力またはこれらの組み合わせの使用によって、長期に渡って安定な画像を形成できる記録材料を提供する。
【解決手段】特定の担体およびその上に配置された少なくとも1つの層を含む記録材料であって、40℃〜80℃の計算Tgを有する外側第1ポリマーシェル、および40℃〜130℃の計算Tgを有する内側第1ポリマーシェルと−55℃〜50℃の計算Tgを有する外側第2ポリマーシェルとを有する粒子を含み、前記粒子が乾燥時に少なくとも1つの空隙を有する、記録材料が提供される。この記録シートを使用して画像を提供する方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録材料に関する。より具体的には、本発明はa)少なくとも1つの着色表面を有する担体;およびその上に配置されたb)層;を含む記録材料であって、当該層はコア/シェル構造を有する特定のポリマー粒子を含み、当該粒子は乾燥時に少なくとも1つの空隙を含む;記録材料に関する。本発明は、a)担体;およびその上に配置されたb)層;を含む記録材料であって;当該層は永続的着色剤とコア/シェル構造を有する特定のポリマー粒子とを含み、当該粒子は乾燥時に少なくとも1つの空隙を含む;記録材料にも関する。本発明は、この記録材料を使用して画像を提供する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
記録材料、例えば、画像を提供するために使用される記録シートなどは当該技術分野において周知である。記録シートの選択された部分を熱、圧力、光、超音波放射、またはこれらの組み合わせのようなエネルギーに曝露することによる画像の発現は広く実施されてきた。本発明の記録材料を使用する画像の形成は典型的には熱、圧力またはこれらの組み合わせの使用を通じて達成される。
【0003】
米国特許第5,378,534号は、分散した内部空隙を体現するポリマー粒子の水性懸濁物を水性コーティング物質と混合することにより製造される不透明化化合物で、着色シートを覆うことにより形成される記録シートを開示する。
【0004】
米国特許第5,932,515号は、現像剤、色前駆体、および中空微小球状プラスチック顔料を組み込んでいる記録シートを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,378,534号明細書
【特許文献2】米国特許第5,932,515号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
記録材料の性能の向上は依然として望まれている。本発明は、本質的に長期不安定性である色前駆体と顕色剤との反応に基づく、多くの場合高価な方法を使用することなく形成されうる画像の種類および方法における多用途性および配合の簡潔さを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の形態においては、a)少なくとも1つの着色表面を含む担体;並びに、その上に配置されたb)層;を含む記録材料であって;前記層はコア/シェル構造を有するポリマー粒子を含み;前記粒子は(i)40℃〜80℃の計算Tgを有する外側ポリマーシェルを有する粒子、および(ii)40℃〜130℃の計算Tgを有する内側ポリマーシェルと−55℃〜50℃の計算Tgを有する外側ポリマーシェルとを有する粒子からなる群から選択され;前記外側ポリマーシェルの計算Tgは前記内側ポリマーシェルの計算Tgより低く;前記粒子は乾燥時に少なくとも1つの空隙を含む;記録材料が提供される。
本発明の第2の形態においては、a)3.0ミクロン未満の表面粗さを有する少なくとも1つの着色表面を含む担体;並びに、その上に配置されたb)層;を含む記録材料であって;前記層はコア/シェル構造を有するポリマー粒子を含み、前記粒子は40℃〜130℃の計算Tgを有する外側第1ポリマーシェルを有し;および、前記粒子は乾燥時に少なくとも1つの空隙を含む;記録材料が提供される。
本発明の第3の形態においては、a)担体;並びに、その上に配置されたb)層;を含む記録材料であって;前記層は永続的着色剤とコア/シェル構造を有するポリマー粒子とを含み;前記粒子は40℃〜130℃の計算Tgを有する外側第1ポリマーシェルを有し;および、前記粒子は乾燥時に少なくとも1つの空隙を含む;記録材料が提供される。
本発明の第4の形態においては、本発明の第1の、第2のもしくは第3の形態の記録材料を形成し;並びに、前記記録材料の選択された部分を、前記選択された部分の不透明性を低減させるのに充分な熱、圧力およびこれらの組み合わせからなる群から選択される手段にさらす;ことを含む、画像を提供する方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の記録材料は担体を含む。典型的には、担体はシート状構造の形態で、例えば、紙、合成紙、板、ビニルもしくはポリエステルのようなプラスチック膜、皮革、ベニヤ板、金属、および不織シートなどでありうる。本発明の特定の形態においては、担体は少なくとも1つの着色表面を有するが、両面が着色されていても良い。本明細書においては、「着色表面」とは、表面が、その上に配置される後の層の表面に対して目に見えて対比的であるのに充分な色密度を有することを意味する;色は、例えば、顔料、染料、または担体の固有の色によって付与されることができ、そして着色表面を提供するために担体に着色剤を含浸させることができ、または担体は着色したコーティングで覆われることができる。着色表面では色密度が均一であるかもしくは変化することができ、または望まれる場合には着色表面はパターン形成されうる。
【0009】
本発明の記録材料層を含み、この層はコア/シェル構造を有する特定のポリマー粒子を含み、この粒子は乾燥時に少なくとも1つの空隙を含む。コア/シェル構造を有し、乾燥時に1以上の空隙を含む様々なポリマー粒子には、ローパック(ROPAQUE商標)不透明ポリマー、並びに米国特許第4,427,835号;第4,920,160号;第4,594,363号;第4,469,825号;第4,468,498号;第4,880,842号;第4,985,064号;第5,157,084号;第5,041,464号;第5,036,109号;第5,409,776号;第5,510,422号;第5,494,971号;第5,510,422号;第6,139,961号;第6,632,531号;および第6,896,905号;欧州特許出願公開第267,726号、第331,421号、および第915,108号;並びにジョンウイリーアンドサンズ(John Wiley and Sons,Inc.)により出版のJournal of Polymer Science PartA、第39巻、1435−1449ページ(2001)に開示されるような中空およびベシクル化ポリマー粒子が挙げられる。
【0010】
コア−シェルポリマー粒子のコアは、乾燥時に、可視光を散乱させることができる、すなわち、それが含まれる組成物に不透明性を提供できる少なくとも1つの空隙を含む。コアポリマーの完全なもしくは部分的な加水分解および溶解、コアポリマーの酸、塩基もしくは非イオン性有機薬剤での膨潤とその粒子のその後の限定的な崩壊によるなどして空隙が形成された、乾燥時に1以上の空隙を含むコア−シェル粒子が開示されてきた。好ましい実施形態においては、コア−シェル粒子は水性多段階乳化重合と、その後の塩基での膨潤によって形成される。
【0011】
本発明に使用される多段階ポリマーの段階は、コア段階ポリマー、第1シェル段階ポリマー、および場合によっては、第2シェル段階ポリマーを含む。コアおよびシェルはそれぞれ独立して1より多い段階を含むことができる。これらは1以上の中間段階が存在していてもよい。中間段階ポリマーは、存在する場合には、部分的にもしくは完全にコアを封入し、そしてそれ自体は部分的にもしくは完全に第1シェルで封入される。本明細書において「タイコート」と称される中間段階は、コアの存在下で乳化重合を行うことにより製造されうる。第1シェルポリマーは部分的にまたは完全にコアポリマー、および存在する場合にはタイコートポリマーを封入する。ある実施形態においては、第1シェルポリマーは外側シェルであり得る。外側第2シェルポリマーは、存在する場合には、部分的にもしくは完全に第1シェルを封入する。「部分的に封入する」とは、本明細書においては、表面積の少なくとも50%が後のポリマーで覆われることを意味する。
【0012】
ポリマー粒子は、上記文献に記載されるような様々なエチレン性不飽和モノマーを用いて重合されうる。非イオン性モノエチレン性不飽和モノマーの例には、スチレン、ビニルトルエン、エチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸の様々な(C−C20)アルキルもしくは(C−C20)アルケニルエステル、例えば、アクリル酸メチル(MA)、メタクリル酸メチル(MMA)、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸パルミチル、および(メタ)アクリル酸ステアリルが挙げられる。(メタ)アクリル酸の表現は、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を含む。(メタ)アクリラートもしくは(メタ)アクリルアミドのような別の用語が後に続く用語「(メタ)」の使用は、本開示を通じて使用される場合、それぞれ、アクリラートおよびメタクリラートの双方、アクリルアミドおよびメタクリルアミドの双方をそれぞれ意味する。典型的には、MMA、EA、BAのようなアクリルエステル、およびスチレンが、ポリマー粒子のシェルを重合し形成するのに好ましいモノマーである。二官能性ビニルモノマー、例えば、ジビニルベンゼン、メタクリル酸アリル、エチレングリコールジメタクリラート、1,3−ブタン−ジオールジメタクリラート、ジエチレングリコールジメタクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラートなどは、米国特許出願公開第2003−0176535A1号に教示されるような架橋外側シェルを形成するために共重合されることもできる。
【0013】
ポリマー粒子の様々なシェルの計算ガラス転移温度(Tg)は当該技術分野において周知であるように、所望のポリマーTgを達成するモノマーおよびモノマーの量の選択によって達成される。本明細書においては、ポリマーのTgはフォックス式(T.G.Fox,Bull.Am.Physics Soc.,第1巻、第3号、123ページ(1956))を使用することにより計算される。すなわち、モノマーM1およびM2のコポリマーのTgを計算するためには、
【数1】

式中、
Tg(calc.)はコポリマーについて計算されるガラス転移温度である;
w(M1)はコポリマー中のモノマーM1の重量分率である;
w(M2)はコポリマー中のモノマーM2の重量分率である;
Tg(M1)はM1のホモポリマーのガラス転移温度である;
Tg(M2)はM2のホモポリマーのガラス転移温度である;
全ての温度は°K単位である。
【0014】
ホモポリマーのガラス転移温度は、例えば、インターサイエンスパブリッシャーズ(Interscience Publishers)の編集J.BrandrupおよびE.H.Immergutによる「ポリマーハンドブック(Polymer Handbook)」に認められうる。2種以上の異なるポリマー粒子が使用される実施形態においては、特定のシェルの計算Tgは、例えば、シェルポリマーの全組成に基づいて計算されるものとする。
【0015】
ある形態においては、本発明は、コア、第1シェル、および第2シェルを含むコア/シェルポリマー粒子を含む層を含む記録材料に関し;コアは乾燥時に少なくとも1つの空隙を含み;第1シェルポリマーは40℃〜130℃の計算ガラス転移温度(Tg)を有し;および第2シェルポリマーは−55℃〜50℃のTgを有し;前記外側ポリマーシェルの計算Tgは前記内側ポリマーシェルの計算Tgよりも低く;および第2シェルポリマー:ポリマー粒子の全ての他の構造の合計の重量比は0.15:1〜3:1である。第2シェルポリマーは第1シェルポリマーの組成とは異なる組成を有する。第1および第2シェルは複数の段階、組成に基づくことができ、かつ非対称モノマー添加に基づくことができ;第2シェルの計算Tgは第1シェルポリマーが形成された後に形成される全てのポリマーの合計に基づいて計算される。本明細書においては、「ポリマー粒子の全ての他の構造の合計」とは、任意成分のシードポリマー、コアポリマー、任意成分のタイコート、および第1段階ポリマーの合計を意味し、それぞれは、場合によっては複数の段階または組成を含む。
【0016】
本発明において使用されるコア/シェル構造を有するポリマー粒子は、典型的には、200nm〜1500nm、好ましくは250nm〜1000nmの外側直径、および150nm〜1000nm、好ましくは200nm〜800nmの内側(空隙)直径を有する。本発明の記録材料は異なるキャビティーサイズを有する2種以上の中空微小球ポリマーのブレンドを含むことができる。
【0017】
コア/シェル構造を有するポリマー粒子を含む本発明の記録材料の層は、場合によってはポリマーバインダーを含むことができる。本明細書においては「ポリマーバインダー」とは、乾燥時に空隙を含むコア/シェルポリマー粒子を明確に除くポリマーを意味する。ポリマーバインダーには、粒子状ポリマー、例えば、樹脂として一般的に知られている様なエマルションポリマーおよび可溶性ポリマーなどを挙げることができる。ポリマーバインダーは、乾燥時に空隙を含むポリマーコア/シェル粒子およびポリマーバインダーの乾燥重量を基準にして0重量%〜40重量%、好ましくは0重量%〜30重量%の量で存在することができる。ある実施形態においては、ポリマーバインダーはポリマーエマルションポリマーバインダーを含む。コア/シェル構造を有するポリマー粒子の外側シェルの計算Tgが50℃未満である場合には、ポリマーバインダーの使用は必須ではない場合があるが、膜の一体化を容易にするために造膜助剤または可塑剤を使用することが可能である。
【0018】
本発明において使用されるポリマーエマルションポリマーバインダーは、少なくとも1種の共重合されたエチレン性不飽和モノマー、例えば、(メタ)アクリルエステルモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、ウレイド官能性(メタ)アクリラート、および(メタ)アクリル酸のアセトアセタート、アセトアミドもしくはシアノアセタート;スチレンもしくは置換スチレン;ビニルトルエン;ブタジエン;酢酸ビニルもしくは他のビニルエステル;ビニルモノマー、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、N−ビニルピロリドン;(メタ)アクリロニトリル;並びに、架橋性モノマー、例えば、N−アルキロール(メタ)アクリルアミドなどを含む。ある実施形態においては、エマルションポリマーは、ポリマーの重量を基準にして3重量%未満、好ましくは0.1重量%未満の共重合された多エチレン性不飽和モノマーを含む。多エチレン性不飽和モノマーには、例えば、(メタ)アクリル酸アリル、フタル酸ジアリル、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリラート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリラート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリラート、およびジビニルベンゼンが挙げられる。
【0019】
ポリマーエマルションポリマーバインダーは、共重合されたモノエチレン性不飽和酸モノマーを含むことができる。酸モノマーには、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸モノメチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノブチル、および無水マレイン酸、メタクリル酸ホスホエチルおよびメタクリル酸スルホエチルが挙げられる。
【0020】
ポリマーエマルションポリマーバインダーを製造するのに使用される乳化重合技術は当該技術分野において、例えば、米国特許第4,325,856号;第4,654,397号;および第4,814,373号などに開示されるように周知である。従来の界面活性剤、例えば、アニオン性および/または非イオン性乳化剤、例えば、アルキル硫酸アルカリ金属もしくはアンモニウム、アルキルスルホン酸、脂肪酸およびオキシエチル化アルキルフェノールなどが使用されうる。使用される界面活性剤の量は、通常、全モノマーの重量を基準にして0.1重量%〜6重量%である。熱またはレドックス開始プロセスが使用されうる。従来のフリーラジカル開始剤、例えば、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−アミルヒドロペルオキシド、アンモニウムおよび/またはアルカリ過硫酸塩などが、典型的には、全モノマーの重量を基準にして0.01重量%〜3.0重量%の量で使用されうる。好適な還元剤、例えば、スルホキシル酸ナトリウム、ホルムアルデヒド、ヒドロ亜硫酸ナトリウム、イソアスコルビン酸、硫酸ヒドロキシルアミン、および亜硫酸水素ナトリウムなどと共に同じ開始剤を使用するレドックスシステムが同様の量で、場合によっては、金属イオン、例えば、鉄および銅などと共に、場合によっては、金属のための錯化剤もさらに含んで使用されうる。ポリマーの分子量を低減させるために、メルカプタンのような連鎖移動剤が使用されうる。モノマー混合物はそのままでまたは水中のエマルションとして添加されうる。モノマー混合物は、単回の添加で、または複数回の添加で、または均一なもしくは変動する組成を用いて反応期間にわたって継続的に添加されうる。フリーラジカル開始剤、酸化剤、還元剤、連鎖移動剤、中和剤、界面活性剤および分散剤のような追加の成分がいずれかの段階の前に、段階中に、または段階の後で添加されうる。例えば、米国特許第4,384,056号および第4,539,361号に開示されるプロセスのような、多モード粒子サイズ分布を生じさせるプロセスが使用されうる。
【0021】
本発明の別の実施形態においては、ポリマーエマルションポリマーバインダーは、乾燥時に空隙を明確に含まず、組成およびTgが異なる少なくとも2つの段階が逐次的な様式で重合される多段階乳化重合プロセスによって製造されうる。このようなプロセスは通常、少なくとも2つの互いに非相溶性のポリマー組成物の形成をもたらし、それにより、ポリマー粒子内で少なくとも2つの層の形成をもたらす。このような粒子は、様々な形態、例えば、コア/シェルもしくはコア/シース粒子、シェル層が不完全にコアを封入しているコア/シェル粒子、複数のコアを有するコア/シェル粒子、および相互侵入網目粒子などの2以上の層からなる。多段階エマルションポリマーの段階のそれぞれは、エマルションポリマーについて上述したのと同じモノマー、界面活性剤、連鎖移動剤などを含むことができる。このような多段階エマルションポリマーを製造するのに使用される重合技術は例えば、米国特許第4,325,856号;第4,654,397号;および第4,814,373号など当該技術分野において周知である。
【0022】
エマルションポリマーバインダーの計算ガラス転移温度(Tg)は典型的には−65℃〜105℃、または−25℃〜35℃である。エマルションポリマーバインダー粒子の平均粒子直径は典型的には1nm〜500nm、好ましくは10nm〜400nm、より好ましくは15nm〜250nmである。
【0023】
ポリマーバインダーはエマルションポリマー以外の樹脂、例えば、熱可塑性樹脂および架橋性樹脂であることができるか、またはこれらを含むことができる。有用な樹脂成分には、ポリビニルアルコール;タンパク質、例えば、カゼイン、デンプン、ゼラチンなど、アクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルのコポリマー、スチレンおよびアクリルもしくはメタクリル酸エステルのコポリマー、スチレンおよびアクリル酸のコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、酢酸ビニルと他のアクリルもしくはメタクリル酸エステルとのコポリマーなどが挙げられる。
【0024】
本発明の層は水性媒体中で、すなわち、主として水を含む媒体中で、従来の低剪断混合装置におけるブレンディングによって配合されることができる。他の周知の混合技術が本発明の層を製造するのに使用されうる。
【0025】
特定の性能特性をもたらすように層配合物に添加剤が組み込まれうる。層配合物は、コア/シェルエマルションポリマー並びに、任意の顔料、例えば、炭酸カルシウムおよびシリカなどに加えて、アジュバント、例えば、乳化剤、界面活性剤、滑剤、造膜助剤、可塑剤、凍結防止剤、硬化剤、緩衝剤、中和剤、増粘剤、レオロジー改変剤、保湿剤、湿潤剤、殺生物剤、可塑剤、消泡剤、UV吸収剤、蛍光増白剤、光もしくは熱安定剤、殺生物剤、キレート化剤、分散剤、着色剤、ワックス、撥水剤、および酸化防止剤などを含むことができる。本発明の層配合物に組み込まれうる典型的な塩基には、アンモニア;不揮発性塩基、例えば、NaOH、KOHおよびLiOHなど;アミン、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびpHを制御するための何らかの他の既知の塩基が挙げられる。層は、当該技術分野で知られている従来のコーティング手段によって担体に適用され、典型的には、分離したシートであるかロール形態であるかにかかわらず、コア/シェルポリマー粒子内の空隙の時期尚早の崩壊を回避しつつ、記録材料の取り扱いを容易にすることができる最小限の熱で最小限の時間で乾燥させられる。
【0026】
本発明の第2の形態においては、パーカー(Parker)印刷表面粗さ試験装置で測定して、3.0ミクロン未満、あるいは0.5〜3.0ミクロン、あるいは0.5〜2.5ミクロン未満の表面粗さを有する少なくとも1つの着色表面を含む担体が使用される。この表面の滑らかさは印刷高品質をもたらすのに重要である。
【0027】
印刷された画像品質に影響する他の要因には、担体の硬度および多孔度が挙げられる。両方の特性は担体とサーマルヘッドとの間の効果的な接触に作用することができ、これはひいては、熱印刷中に担体が受ける圧力、および、担体とサーマルヘッドとの間の熱伝導に影響を及ぼす。担体の硬度はハンドルオーメーター(Handle−O−Meter)(スイングアルバートインスツルメントカンパニー;Thwing−Albert Instrument Company)によって評価されることができ、これはシート物質の可とう性と表面摩擦とを合わせた影響を測定する。TAPPI試験方法T−535およびT543に記載されているもののような担体の剛性/硬度を測定するほかの方法も使用されうる。本明細書においては、基体の多孔度はパーカー印刷表面粗さ試験装置によって「多孔度」モードを使用して評価された。
【0028】
例えば、同様の表面粗さおよび多孔度に関して、堅いビニル担体(ハンドオーメーター値141.3)は柔らかい紙担体(ハンドオーメーター値61.6)よりもかなり高い動的印刷感度を有する。下地の黒色コーティングの硬度が動的印刷感度にも影響しうることも想定される。例えば、着色コーティング層が印刷条件下で変形しうる非常に軟質のバインダーまたは中空ポリマー球体を含む場合には、相対的に堅いバインダーまたは顔料を含む着色コーティング層と比較して画像品質はより悪くなるであろう。
【0029】
多孔度の効果は、合成紙(ユーポ(YUPO))および規格コピー用紙(ボイス アスペン(Boise ASPEN商標)30)を比較することにより観察されうる。同様の表面粗さ(3.0ミクロン)および低いハンドオーメーター値(43.0)を有する非多孔性合成紙(パーカー表面多孔度値15.24mL/分)は、ボイス アスペン商標30コピー用紙(パーカー表面多孔度値155.5mL/分)と比較して、かなり高い動的印刷感度を示す。低い粗さ(例えば、0.9ミクロン)および低い多孔度値(例えば、5.0ml/分)の双方を有する基体、例えば、マイラー(Mylar商標)ポリエステルシートは優れた印刷性をもたらす。
【0030】
本発明のある実施形態においては、(a)暗い着色剤層;(b)乾燥時に空隙を含むコア/シェルポリマー粒子と明るい着色剤とを含む層、ただし場合によってはその上にバインダー層を伴う;並びに、(c)場合によって、その上に、乾燥時に空隙を含むコア/シェルポリマー粒子(および任意成分のバインダー)の層;を含む、2色記録材料が提供される。2色記録材料は白色であり、場合によって、その上に層(c)を有する。2色記録材料は感熱性および/または感圧性である。低い熱または圧力を適用すると、2色記録材料は上側の着色剤の鮮やかな色を示す。より高い熱もしくは圧力を適用すると、2色記録材料は下側の着色剤の鮮やかな色を示す。
【0031】
本発明の第3の形態においては、特定のコア/シェル粒子および永続的着色剤を含む層を担体上に配置した担体は着色されていても良く、または着色されていなくても良い。本明細書においては、「永続的着色剤」とは、例えば、層の適用もしくは乾燥中、貯蔵中、およびこの記録材料を使用する画像の形成中に、実質的に不変の目に見える色を生じさせる1種以上の染料、顔料、またはこれらの混合物などの着色剤を意味する。永続的着色剤から明確に除かれるものは、材料量の色前駆体、例えば、ロイコ染料など、および顕色剤、例えば、ビスフェノールAおよびビスフェノールSなどであり、これらは層の適用もしくは乾燥中、貯蔵中、および記録材料を使用する画像の形成中に着色剤を形成する。好ましくは、層は実質的に色前駆体および顕色剤を含まない。色前駆体および顕色剤は合計で、層中の着色剤の全重量を基準にして、典型的には5重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満で含まれる。あるいは記録材料は、着色されていてもされていなくても良い担体、担体上に配置された層であって特定のコア/シェル粒子と永続的着色剤とを含む層;および追加的に、場合によって、その上の層であって、乾燥時に空隙を含むコア/シェルポリマー粒子(および任意成分のバインダー)の層を含むことが意図される。
【0032】
本発明の方法においては、本発明の形態のうちの1つの記録材料が形成され、その記録材料の選択された部分が、例えば、直接熱印刷によって達成されるような、熱、圧力またはこれらの組み合わせにかけられる。本明細書においては、「圧力」は、例えば、浸蝕または削り取りによってコア/シェルポリマー粒子を含む層の一部分または全ての除去を生じさせうる方法、並びに基体に対して実質的に垂直に適用される圧力を含むと理解される。
【0033】
ここで、本発明の実施形態のいくつかにおける本発明が、以下の実施例を参照することによりさらに説明される:
【実施例】
【0034】
コア/シェル構造を有するポリマー粒子の製造
サンプル1−2および4−9は米国特許第6,252,004号の実施例17の教示に従って製造された。
サンプル1−2は101℃の計算Tgを有する内側シェルおよび59.5℃の計算Tgを有する外側シェルを有していた。シェル全体の計算Tgは77.1℃であった。
サンプル4−6は101℃の計算Tgを有する外側シェル(単一シェル)を有する。サンプル7は54.9℃の計算Tgを有する外側シェル(単一シェル)を有する。
サンプル8は78.4℃の計算Tgを有する内側シェルおよび38.8℃の計算Tgを有する外側シェルを有していた。シェル全体の計算Tgは54.9℃であった。
サンプル9は86.5℃の計算Tgを有する内側シェルおよび49.5℃の計算Tgを有する外側シェルを有していた。シェル全体の計算Tgは61.7℃であった。
サンプル3は米国特許第6,139,961号の実施例1の教示に従って製造された。サンプル3は100℃の計算Tgを有する内側シェルおよび−33℃の外側シェルを有する。
【0035】
装置:
ベース基体(担体)として、A4セルロースコピー用紙(アスペン商標30)およびユーポ合成紙。
様々な色のインク層を印刷するために、HPカラーレーザージェット4600PS。
ハンドドローダウンのために#18および#22WWR。
熱印刷試験のためにゼブラXillプラス感熱式プリンター。
明度計:テクニダインコーポレーション(Technidyne Corp.)からのモデルS4−M。
【0036】
表面粗さ測定:
担体シートの粗さはパーカー印刷表面粗さ試験装置(モデルNo.M590、メスマーインスツルメンツリミテッド(Messmer Instruments Ltd.))によって、TAPPI公式試験方法T555を用いて測定された。この方法は試験表面とそれに接触している金属バンドとの間の空気の流れを測定する。空気の流れの流速が紙の表面粗さと関連づけられる。5つの測定値の平均がその標本の粗さとして記録された。
【0037】
実施例1:記録材料の製造および評価
(他に示されない限りは、化学物質はニッショー工業(Nissho Kogyo)からの化学物質)
配合物A:
250mlのプラスチックジャーに、24.64gの水、2.00gのCaCO、2.00gのシリカおよび1滴の分散剤が入れられた。この混合物を5分間攪拌した。次いで、10%PVA溶液40.0gをこの混合物に攪拌しつつ添加し、次いで、36.36gのサンプル1(27.5%固形分)および5.0gのユーデルム(EUDERM商標)グリーン(40.0%、バイエル)を添加した。最後に、2.00gの滑剤および1滴の脱泡剤を添加した。
【0038】
配合物B:
250mlのプラスチックジャーに、53.20gの水、1.00gのCaCO、1.00gのシリカおよび1滴の分散剤が入れられた。この混合物を5分間攪拌した。次いで、50.0%ロープレックス(RHOPLEX商標)P−308エマルション(ザダウケミカルカンパニーの製品)の8.00gをこの混合物に攪拌しつつ添加し、次いで、46.82gのサンプル2(29.9%固形分)を添加した。15%NaOHでこの混合物をpH=8.60に中和し、ロープレックスRM−232D(ザダウケミカルカンパニーの製品)で粘度=486cps(20rpm、スピンドル63)にした。最後に、6.00gの滑剤および1滴の脱泡剤を添加した。
上記2つの配合物は以下のハンドドローダウンに使用された。
【0039】
実施例1a:
75g/mのA4紙上に、5−10g/mのインク密度の黒色インク層を印刷した。その上に、20%のポリマーバインダーおよび80%のサンプル2を含む層がコーティングされ(配合物B)、コーティング重量は7−10g/mであり、より高いコーティング重量は下地黒色層のさらに良好な隠蔽をもたらした。印刷の前に、この層は不透明であって、この層は下地黒色層の隠蔽をもたらし、基体全体は白色に見えた。印刷中に、サーマルヘッドによって熱および圧力が適用された領域において、空隙を含むポリマー粒子はつぶれたと考えられ、層のこのつぶれた部分は透明になり、印刷された場所で下地の黒色を示した。
【0040】
実施例1b:
75g/mのA4紙上に、5−10g/mのインク密度の青色インク層を印刷した。その上に、20%のポリマーバインダーおよび80%のサンプル2を含む層がコーティングされ(配合物B)、コーティング重量は7−10g/mであり、より高いコーティング重量は下地青色層のさらに良好な隠蔽をもたらした。印刷の前に、この層は不透明であって、この層は下地青色層の隠蔽をもたらし、基体全体は白色に見えた。印刷中に、サーマルヘッドによって熱および圧力が適用された領域において、空隙を含むポリマー粒子はつぶれたと考えられ、層のこのつぶれた部分は透明になり、印刷された場所で下地の青色を示した。
【0041】
実施例1c:
75g/mのA4紙上に、5−10g/mのインク密度の緑色インク層を印刷した。その上に、20%のポリマーバインダーおよび80%のサンプル2を含む層がコーティングされ(配合物B)、コーティング重量は7−10g/mであり、より高いコーティング重量は下地緑色層のさらに良好な隠蔽をもたらした。印刷の前に、この層は不透明であって、この層は下地緑色層の隠蔽をもたらし、基体全体は白色に見えた。印刷中に、サーマルヘッドによって熱および圧力が適用された領域において、空隙を含むポリマー粒子はつぶれたと考えられ、層のこのつぶれた部分は透明になり、印刷された場所で下地の緑色を示した。
【0042】
実施例2:記録材料の製造および評価
75g/mのA4紙上に、5−10%の緑色染料、70−75%のサンプル1および20%のバインダーを含む崩壊性層をコーティングした。(配合物A)コーティング重量は5−10g/mであった。印刷の前に、この基体は淡い緑色を示したが、これは空隙を含むポリマー粒子からの白色と染料からの緑色との組み合わせであると考えられる。印刷中に、サーマルヘッドによって熱および圧力が適用され、透明になった領域において、空隙を含むポリマー粒子はつぶれたと考えられ、この基体は印刷された場所で緑色染料からの鮮やかな緑色を示した。
どのように印刷領域が設定されたかに応じて、明るい背景上の暗い画像、または暗い背景上の明るい画像:の2つの効果が達成された。背景とは異なる色合いを有するあらゆる色を印刷するために、同じコンセプトが使用されることができた。
【0043】
実施例3:記録材料の製造および評価
実施例3a:
75g/mのA4紙上に5−10g/mのインク密度の黒色インク層を印刷した。この上に、約5−10%の緑色染料、70−75%のサンプル1および20%のポリマーバインダーを含む崩壊性層をコーティングした(配合物A)。コーティング重量は5−10g/mであり、より高いコーティング重量は下地黒色層のさらに良好な隠蔽をもたらした。印刷の前に、この基体は淡い緑色を示したが、これは空隙を含むポリマー粒子からの白色と染料からの緑色との組み合わせであると考えられる。最初のパスの低温での印刷中に、サーマルヘッドによって熱および圧力が適用された領域において上層は部分的につぶれ、この部分的につぶれた層は下地の黒色の充分な隠蔽を依然として提供し、そしてこの基体は印刷された場所で鮮やかな緑色を示した。2回目のパスの高温での印刷中に、サーマルヘッドによって熱および圧力が適用された領域において上層は完全につぶれ、このつぶれた層は下地の黒色層の充分な隠蔽を提供できず、そして黒色による緑色の隠蔽のせいで、この基体は印刷された場所で黒色を示した。
ここに示される色の選択に限定されずに、明るい色の背景ロゴ、ブランド画像などの上に暗い色の前景テキストを印刷するために同じコンセプトが使用されうる。
【0044】
実施例3b:
75g/mのA4紙上に5−10g/mのインク密度の黄色インク層を印刷した。この上に、約5−10%の緑色染料、70−75%のサンプル1および20%のポリマーバインダーを含む層をコーティングした(配合物A)。コーティング重量は5−10g/mであり、より高いコーティング重量は下地黄色層のさらに良好な隠蔽をもたらした。印刷の前に、この基体は淡い緑色を示したが、これは空隙を含むポリマー粒子からの白色と染料からの緑色との組み合わせであると考えられる。最初のパスの低温での印刷中に、サーマルヘッドによって熱および圧力が適用された領域において上層は部分的につぶれ、この部分的につぶれた層は下地の黒色の充分な隠蔽を依然として提供し、そしてこの基体は印刷された場所で鮮やかな緑色を示した。2回目のパスの高温での印刷中に、サーマルヘッドによって熱および圧力が適用された領域において上層は完全につぶれ、このつぶれた層は下地の黄色層の充分な隠蔽を提供できず、そして緑色と黄色との組み合わせのせいで、この基体は印刷された場所で黄緑色を示した。
【0045】
実施例4:記録材料の製造および評価
実施例4a:
75g/mのA4ユーポ(YUPO)合成紙上に5−10g/mのインク密度の黒色インク層を印刷した。その上に、20%のポリマーバインダーおよび80%のサンプル2を含む層がコーティングされ(配合物B)、コーティング重量は7−10g/mであり、より高いコーティング重量は下地黒色層のさらに良好な隠蔽をもたらした。印刷の前に、この層は不透明であって下地黒色層の隠蔽をもたらし、基体全体は白色に見えた。印刷中に、サーマルヘッドによって熱および圧力が適用された領域において空隙を含むポリマー粒子はつぶれたと考えられ、層のその部分は透明になって、印刷された場所で下地のグレースケールイメージおよびバーコードを示した。
【0046】
実施例4b:
75g/mのA4紙上に5−10g/mのインク密度の黒色インク層を印刷した。その上に、ポリマーバインダー約20%および空隙を含むポリマー粒子80%を含む崩壊性層がコーティングされ(配合物B)、コーティング重量は7−10g/mであり、より高いコーティング重量は下地黒色層のさらに良好な隠蔽をもたらした。印刷の前に、この層は不透明であって下地黒色層の隠蔽をもたらし、基体全体は白色に見えた。印刷中に、サーマルヘッドによって熱および圧力が適用された領域において空隙を含むポリマー粒子はつぶれたと考えられ、その層は透明になって、印刷された場所で下地のグレースケールイメージおよびバーコードを示した。印刷品質は基体の表面の滑らかさに依存していた。合成紙は多孔質セルロース紙よりも良好な画像品質を提供した。
【0047】
実施例5:記録材料の製造および評価
75g/mのA4紙上に5−10g/mのインク密度の黒色インク第1層を印刷する。5−10%の緑色染料、70−75%のサンプル1および20%のポリマーバインダーを含む層を第2の層としてコーティングする(配合物A)。コーティング重量は5−10g/mである。その上に、約20%のポリマーバインダーおよび80%のサンプル1を含む第3の層がコーティングされ(配合物B)、コーティング重量は3−7g/mの範囲である。印刷の前に、上層は不透明であり、上層は下地層の隠蔽をもたらし、そして基体全体は白色に見える。最初のパスの低温での印刷中に、サーマルヘッドによって熱および圧力が適用される領域において上(第3の)層中の空隙を含むポリマー粒子はつぶれ、そしてこの基体は印刷される場所で緑色(中間(第2の)層の色)を示す。2回目のパスの高温での印刷中に、サーマルヘッドによって熱および圧力が適用される領域において中間層中の空隙を含むポリマー粒子はつぶれると考えられ、つぶれた層は下地の黒色層の充分な隠蔽を提供できず、そして黒色による緑色の隠蔽のせいで、この基体は印刷される場所で黒色を示す。
【0048】
実施例6:記録材料の製造および評価
75g/mのA4紙上に5−10g/mのインク密度の黒色インク層を印刷した。その上に、20%のポリマーバインダーおよび80%のサンプル2を含む崩壊性層がコーティングされ(配合物B)、コーティング重量は7−10g/mの範囲であり、より高いコーティング重量は下地黒色層のさらに良好な隠蔽をもたらした。圧力が適用される前に、この層は不透明であって下地黒色層の隠蔽をもたらし、基体全体は白色に見えた。圧力が適用された後で、空隙を含むポリマー粒子はつぶれたと考えられ、透明になって、圧力が適用された領域で下地の黒色を示した。
上記記録材料は、感圧記録材料として使用されることができ、カーボン/カーボンレス紙に取って代わることができる。
【0049】
実施例7:記録材料の製造および評価
配合物A、BおよびCが表7.1に記載されるように製造された。
【0050】
【表1】

【0051】
配合物A(黒色分散物)は#16WWRを用いてA4コピー用紙上にドローダウンされ、80℃で90秒間乾燥させられた。乾燥後、黒色層のコーティング重量が決定され、8−9g/mであった。このコーティングは1.34の光学密度および3.12ミクロンの表面粗さを示した。コーティングされた黒色の紙は異なる表面粗さにカレンダー処理されて;カレンダー処理後の黒色表面の光学密度は1.4−1.5であった。配合物BおよびCがカレンダー処理された黒色インク表面上に、#18および#22WWRを用いてドローダウンされ、80℃で90秒間乾燥させられた。配合物BおよびCについてのコーティング重量は8.5g/平方mであった。不透明層をコーティングすると、光学密度は0.15−0.18に低下した。この記録材料シートは2in/秒の印刷速度で5〜30のプリンター設定(より高い値はより高い温度のサーマルヘッドに対応する)で印刷された。結果は表7.2に示される。
【0052】
【表2】

【0053】
配合物Aの記録シート上の印刷は、カレンダー処理されていない黒色表面担体上では、許容できないほど低品質のものであった。許容可能な印刷結果は、1.5〜2.5ミクロンの表面粗さを有する着色表面を有する担体上に、広範囲の印刷条件にわたって印刷する場合に認められた。
【0054】
実施例8:記録材料の製造および評価
配合物A、B,およびCが表8.1に記載されるように製造され、NaOHの添加によってpH=8.5にされた。配合物の粘度はロープレックスRM−232Dを用いて調節された。
【0055】
【表3】

【0056】
黒色インク層は実施例7の手順に従って製造され、1.5ミクロンの表面粗さ(パーカー表面粗さ)にカレンダー処理された。配合物A、B、およびCは、カレンダー処理された黒色インク表面上に#16および#18WWRを用いてドローダウンされ、80℃で90秒間乾燥させられた。印刷前(プリンター設定0)および印刷後(プリンター設定5−30)の膜の光学密度が以下に示される。配合物A、B、およびCについてのコーティング重量は以下に示される。この記録材料シートは2in/秒の印刷速度で5〜30のプリンター設定(より高い値はより高い温度のサーマルヘッドに対応する)で印刷された。結果は表8.2に示される。
【0057】
【表4】

【0058】
同じコーティング重量で配合物Aの層を含む本発明の記録シートは、印刷前より低い光学密度として観察される下地黒色層の良好な隠蔽を示す。内側シェルおよび外側シェルを有するポリマー粒子を含む配合物Aの層を含む本発明の記録シートは、配合物Cと比較して実質的により低いコーティング重量で同等の動的印刷感度(dynamic printing sensitivity)を望ましいことに示す。
【0059】
実施例9:記録材料の製造および評価
配合物A−Dが表9.1に記載されるように製造された。
【0060】
【表5】

【0061】
配合物A−Dは#18WWRを用いて、2.99ミクロンのパーカー表面粗さを有する黒色ビニル表面上にドローダウンされ、81℃で90秒間乾燥させられた。次いで、PVA(36%)、滑剤(5%)、シリカ(4%)、炭酸カルシウム(4%)、水(51%)、0.01%未満の脱泡剤のトップコートが適用された。この記録材料シートは2in/秒の印刷速度で5〜30のプリンター設定(より高い値はより高い温度のサーマルヘッドに対応する)で印刷された。印刷(プリンター設定30)後の膜の光学密度が以下に示される。結果は表9.2に示される。
【0062】
【表6】

【0063】
67℃の計算Tgを有するコア/シェル粒子を含む配合物Dの層を含む本発明の記録シートは、101℃の計算Tgを有するコア/シェル粒子を含む配合物A−Cの層を含む記録シートよりも優れた性能特性を示す。
【0064】
実施例10:記録材料の製造および評価
配合物AおよびBは表10.1に記載されるように製造され、NaOHの添加によってpH=8.5にされた。配合物の粘度は、ロープレックス商標RM−232Dを用いて500cpsに調節された。
【0065】
【表7】

【0066】
黒色インク層が実施例7の手順に従って製造され、1.5ミクロンの表面粗さ(パーカー表面粗さ)にカレンダー処理された。配合物A、およびBは、カレンダー処理された黒色インク表面上に#18WWRを用いてドローダウンされ、80℃で90秒間乾燥させられた。印刷前(プリンター設定0)および印刷後(プリンター設定5−25)の膜の光学密度が以下に示される。この記録材料シートは2in/秒の印刷速度で0〜25のプリンター設定(より高い値はより高い温度のサーマルヘッドに対応する)で印刷された。結果は表10.2に示される。
【0067】
【表8】

【0068】
サンプル7および8は全シェル組成について同じ計算Tg(54.9℃)を有する。配合物Bはサンプル8を含んでおり、サンプル8は78.4℃の計算Tgを有する内側シェルと38.8℃の計算Tgを有する外側シェルを有していた。配合物Aはサンプル7を含んでおり、サンプル7は54.9℃の計算Tgを有する外側シェル(単一シェル)を有していた。配合物Bの本発明の記録材料は、配合物Bよりも、10〜20の臨界プリンター設定範囲において優れた明度および印刷結果を示した。
【0069】
実施例11:記録材料の製造および評価
配合物AおよびBは表11.1に記載されるように製造され、NaOHの添加によってpH=8.5にされた。配合物の粘度は、ロープレックス商標RM−232Dを用いて500cpsに調節された。
【0070】
【表9】

【0071】
配合物AおよびBは#16WWRを用いて、A4コピー用紙上にドローダウンされ、50℃で3分間乾燥させられた。黒色インク層が製造され、1.5ミクロンの表面粗さ(パーカー表面粗さ)にカレンダー処理された。これらは1.50−1.67の範囲の光学密度を有していた。
配合物CおよびDは表11.2に記載されるように製造され、NaOHの添加によってpH=8.5にされた。配合物の粘度は、ロープレックス商標RM−232Dを用いて500cpsに調節された。
【0072】
【表10】

【0073】
配合物CおよびDは#18WWRを用いて、カレンダー処理された黒色層上にドローダウンされ、50℃で3分間乾燥させられた。配合物CおよびDの乾燥コーティング重量は8.5g/mであった。
【0074】
印刷前(プリンター設定0)および印刷後(プリンター設定5−25)の膜の光学密度が以下に示される。この記録材料シートは2in/秒の印刷速度で0〜25のプリンター設定(より高い値はより高い温度のサーマルヘッドに対応する)で印刷された。結果は表11.3に示される。
【0075】
【表11】

【0076】
黒色配合物Aのベースコーティングは配合物Bのよりも優れた性能を提供する。黒色配合物Aについては、15を超える暗度(darkness)を印刷する場合に印刷領域の有意に高い光学密度が観察された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つの着色表面を含む担体;並びに、その上に配置された
b)層;
を含む記録材料であって;
前記層はコア/シェル構造を有するポリマー粒子を含み;前記粒子は(i)40℃〜80℃の計算Tgを有する外側第1ポリマーシェルを有する粒子、および(ii)40℃〜130℃の計算Tgを有する内側第1ポリマーシェルと−55℃〜50℃の計算Tgを有する外側第2ポリマーシェルとを有する粒子:からなる群から選択され;前記外側ポリマーシェルの計算Tgは前記内側ポリマーシェルの計算Tgよりも低く;前記粒子は乾燥時に少なくとも1つの空隙を含む;
記録材料。
【請求項2】
a)3.0ミクロン未満の表面粗さを有する少なくとも1つの着色表面を含む担体;並びに、その上に配置された
b)層;
を含む記録材料であって;
前記層はコア/シェル構造を有するポリマー粒子を含み;前記粒子は40℃〜130℃の計算Tgを有する外側第1ポリマーシェルを有し;および、前記粒子は乾燥時に少なくとも1つの空隙を含む;
記録材料。
【請求項3】
少なくとも1つの着色表面を含む前記担体が80ml/分未満の多孔度をさらに有する、請求項2に記載の記録材料。
【請求項4】
a)担体;並びに、その上に配置された
b)層;
を含む記録材料であって;
前記層は永続的着色剤とコア/シェル構造を有するポリマー粒子とを含み;前記粒子は40℃〜130℃の計算Tgを有する外側第1ポリマーシェルを有し;および、前記粒子は乾燥時に少なくとも1つの空隙を含む;
記録材料。
【請求項5】
−55℃〜50℃の計算Tgを有する外側第2ポリマーシェルを前記ポリマー粒子がさらに含む、請求項2、3または4に記載の記録材料。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の記録材料を形成し;並びに、
前記記録材料の選択された部分を、前記選択された部分の不透明性を低減させるのに充分な熱、圧力およびこれらの組み合わせからなる群から選択される手段にさらす;
ことを含む、画像を提供する方法。

【公開番号】特開2011−168045(P2011−168045A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−276969(P2010−276969)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】