説明

記録機器および再生機器

【課題】記録機器によるタイトルメニューデータの作成および記録を不要にしつつ、コンテンツの一覧表示やタイトルメニューの表示を、記録機器自身においてもまたはプレーヤやレコーダ等の他の機器においても高速に実施可能にするための動作の仕組みを提供する。
【解決手段】データ処理装置は、メモリと記録部とを備えている。メモリは、コンピュータが読み出し可能なコンピュータプログラムを格納している。このコンピュータプログラムは、コンピュータに、記録媒体に記録されたコンテンツを検索する処理、検索によって発見されたコンテンツ情報をメニューに表示する処理、および、コンテンツ情報を利用してコンテンツの選択を可能にする処理を実行させる。記録部は、少なくとも1つのコンテンツを所与の記録媒体に記録するとともに、メモリに格納されたプログラムをその記録媒体に記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に記録されたデータ(たとえば動画データ)を一覧表示する際に、簡易な一覧表示および高度な一覧表示を提供するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DVD等の光ディスク、ハードディスク等の磁気ディスク、半導体メモリ等のメディアにコンテンツのデジタルデータを書き込み、保存できるデジタル機器(光ディスクレコーダ、カムコーダ等)の普及が進んでいる。このようなコンテンツは、例えば、放送された番組やカムコーダ等によって撮影された映像および音声である。
【0003】
DVDプレーヤは広く普及しているため、上述のデジタル機器によって作成された光ディスクをDVDプレーヤで再生できると便利である。上述のデジタル機器を用いて一部の光ディスク、例えばDVD−RまたはDVD−RWに対してDVD−Videoフォーマットでデータを書き込み、最後にファイナライズ処理を行うことにより、ユーザはDVDプレーヤでコンテンツを視聴できるようになる。
【0004】
さらにファイナライズ処理においては、上述したデジタル機器はタイトルメニューを作成し、そのメニューの記録処理も行う。ファイナライズ処理時にDVD−Videoフォーマットのタイトルメニューを追記しておくことにより、全てのDVDプレーヤで、タイトルメニュー付きでコンテンツを再生できる。たとえば特許文献1には、DVDレコーダでタイトルメニュー(同文献では「DVDメニュー」と記載されている)付きのDVD−Rが作成される例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−109585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、タイトルメニューの作成および記録はファイナライズ時に限定して行われることが前提となっているため、種々の不便な点が存在していた。
【0007】
たとえば、DVD−RWディスクにDVD−Videoフォーマットでデータを記録するカムコーダを想定する。ユーザが撮影した動画をDVDプレーヤで視聴しようとすると、カムコーダからディスクを取り出す度に、カムコーダを用いてコンテンツ全体に関するタイトルメニューを作成し、ディスクにそのメニューのデータを書き込み、その後ファイナライズ処理を行わなければならない。これらの処理は、ディスクに空き容量が存在するか否かにかかわらず行う必要がある。
【0008】
しかも、そのタイトルメニュー作成処理を含むファイナライズ処理には最大10分程度の時間を要する。たとえばタイトルメニュー作成処理では、動画ストリームのサムネイル画像を作成し、それを各ページの画面上の所定の位置に配置し、MPEG−2ビデオ符号をつかって圧縮処理等を実施してDVD−Videoフォーマットに符号化する。続いて、ファイルシステムのファイル管理データを書き込む処理や合計1ギガバイト以上のデータでディスクを埋める処理などの一連の処理を行う必要がある。これらは、光ディスクとしてDVD−Rを使う場合でも同様である。
【0009】
なお、DVDプレーヤでの視聴後に再度カムコーダで動画データをDVD−RWディスクに追記する際には、まずファイナライズ解除処理を行う必要があり、やはり煩わしい。特に、動画データの削除や編集等の変更を加える場合には常にファイナライズ解除処理が必要であり、また変更後の動画について、再びタイトルメニューを作成する必要も生じる。
【0010】
一方、近年ハイビジョンコンテンツを記録可能なBlu−rayディスク(以下「BD」と記述する)が登場し、BD−REディスクやBD−ROMディスク用の物理/ファイルシステム/アプリケーションの各フォーマットが策定されてきている。BDプレーヤにおいてタイトルメニューを表示してコンテンツをわかりやすく表示するためには、やはりBDにタイトルメニューデータを作成し、書き込んでおく必要がある。この点はDVDメディアと変わらない。ただし、BD−ROM規格ではファイナライズ処理は必ずしも要求されないため、ファイナライズ処理の時間は不要である。
【0011】
本発明の目的は、空き容量がまだある時点または空き容量がなくなった時点で記録媒体が記録機器から取り出される際、記録機器によるタイトルメニューデータの作成および記録媒体への書き込みを不要とするコンテンツ作成環境を提供することである。本発明の他の目的は、そのような記録媒体を利用して、タイトルメニュー付きコンテンツをどの再生機器においても同じように表示されることを可能とするコンテンツ再生環境を提供することである。また本発明のさらに他の目的は、タイトルメニューの高速な表示を可能にすることである。
【0012】
換言すると、本発明の目的は、コンテンツの追加や削除が行われた場合であっても、記録機器によるタイトルメニューデータの再作成および再記録を不要にしつつ、コンテンツの一覧表示やタイトルメニューの表示を、記録機器自身においてもまたはプレーヤやレコーダ等の他の機器においても高速に実施可能にするための動作の仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による記録機器は、コンピュータが読み出し可能なコンピュータプログラムを格納したメモリであって、前記コンピュータプログラムは、コンピュータに、記録媒体に記録されたコンテンツのデータストリームを検索する処理、検索によって発見されたデータストリームに関するコンテンツ情報をメニューに表示する処理、および、前記コンテンツ情報を利用して前記データストリームの選択を可能にする処理を実行させる、メモリと、少なくとも1つのデータストリームを所与の記録媒体に記録する記録部とを備えており、前記記録部は、前記メモリに格納されたプログラムを前記所与の記録媒体に記録する。
【0014】
前記プログラムは、前記所与の記録媒体が装填された機器によって読み出され、前記機器のコンピュータに処理を実行させてもよい。
【0015】
前記プログラムは、前記機器のコンピュータに、前記所与の記録媒体に記録されたデータストリームを検索する処理を実行させてもよい。
【0016】
前記記録機器は、前記少なくとも1つのデータストリームに対応する代表画像を生成する画像生成部をさらに備え、前記記録部は、前記代表画像のデータを、前記コンテンツ情報として前記所与の記録媒体に記録してもよい。
【0017】
前記プログラムは、前記機器のコンピュータに、前記代表画像のデータを前記メニューに表示する処理を実行させてもよい。
【0018】
前記記録部は、前記データストリームと前記代表画像のデータとを関連付けた管理ファイルを前記所与の記録媒体にさらに記録してもよい。
【0019】
前記少なくとも1つのデータストリームが複数存在するときにおいて、前記記録部は、各々がデータストリームを格納した複数のストリームファイル、および、各代表画像のデータを格納した1つのデータファイルを前記所与の記録媒体に記録し、さらに、各ストリームファイルのファイル名と前記1つのデータファイル内の各代表画像のデータ位置とを関連付けた管理ファイルを、前記所与の記録媒体に記録してもよい。
【0020】
前記記録部は、前記少なくとも1つのデータストリームを特定する文字情報を、前記コンテンツ情報として前記所与の記録媒体に記録してもよい。
【0021】
前記記録部は、コンテンツのタイトルおよび記録時刻の少なくとも一方の文字情報を前記所与の記録媒体に記録してもよい。
【0022】
前記プログラムは、前記機器のコンピュータに、前記文字情報を前記メニューに表示する処理を実行させてもよい。
【0023】
前記記録部は、前記少なくとも1つのデータストリームを記録するよりも前に、前記プログラムを前記所与の記録媒体に記録してもよい。
【0024】
前記少なくとも1つのデータストリームが複数存在するときにおいて、前記記録部は、最後のデータストリームを記録するよりも前に、前記プログラムを前記所与の記録媒体に記録してもよい。
【0025】
本発明による記録機器は、コンピュータが読み出し可能なコンピュータプログラムを格納したメモリであって、前記コンピュータプログラムは、コンピュータに、記録媒体に記録されたコンテンツのデータストリームを検索する処理、検索によって発見されたデータストリームに関するコンテンツ情報をメニューに表示する処理、および、前記コンテンツ情報を利用して前記データストリームの選択を可能にする処理を実行させる、メモリと、データを所与の記録媒体に記録することが可能な記録部とを備えており、前記記録部は、前記メモリに格納されたプログラムを前記所与の記録媒体に記録する。
【0026】
本発明による再生機器は、記録媒体に記録されたコンテンツを再生する。前記記録媒体には、前記コンテンツのデータストリームと、前記データストリームに関するコンテンツ情報と、コンピュータが読み出し可能なコンピュータプログラムとが書き込まれている。前記再生機器は、前記コンピュータプログラム、前記コンテンツ情報および前記データストリームを前記記録媒体から読み出す再生部と、前記コンピュータプログラムを実行可能なプロセッサとを備えており、前記プロセッサは前記コンピュータプログラムを実行することによって、前記記録媒体に記録されたデータストリームを検索し、検索によって発見された前記データストリームに関するコンテンツ情報をメニューに表示し、前記コンテンツ情報に基づく前記データストリームの選択を受け付ける。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、記録機能を有するデータ処理装置は、記録媒体に記録されたコンテンツのデータストリームを検索する処理、発見されたデータストリームに関するコンテンツ情報をメニューに表示する処理、および、コンテンツ情報を利用してデータストリームの選択を可能にする処理を実行させるコンピュータプログラムを、データストリームが記録された記録媒体に記録する。これにより、記録媒体上のコンテンツのメニューに関するデータの作成処理が不要となり、たとえばディスクの取り出しに要する時間が大幅に短縮される。また、記録媒体上のデータストリームを削除したり、編集したり、データストリームに変更を加えた場合であっても同様にタイトルメニューを作成する処理は不要となるため、やはり同様の効果を有する。
【0028】
一方、再生機能を有するデータ処理装置にそのような記録媒体が装填されると、データ処理装置がその記録媒体上のコンピュータプログラムを実行することにより、データ処理装置は記録媒体に記録されたコンテンツのデータストリームを検索し、発見されたデータストリームに関するコンテンツ情報(代表画像、文字情報など)をメニューに表示し、および、メニュー上のコンテンツ情報を利用したデータストリームの選択を可能にする。タイトルメニュー画面が動的に生成されるため、そのための表示データを記録媒体に記録しておく必要はない。さらに、記録媒体に記録された代表静止画像(例えば所定の映像フレームを縮小したサムネイル画像)等を使うことにより、タイトルメニュー画面を高速に表示可能である。データストリームの最新の状態を反映した代表静止画像を記録することにより、その代表静止画像だけ利用すると、高速かつ容易にデータストリームの一覧表示を行うことが可能である。
【0029】
これにより、代表静止画像等を使ったコンテンツの一覧表示が可能になるとともに、プログラムの処理速度に応じた表示の高速化も実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明によるデータ処理装置の種々の実施形態を示す図である。
【図2】本実施形態によるカムコーダ10の構成を示す図である。
【図3】カムコーダ10の記録処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】記録処理終了後の光ディスク141のディレクトリ構造を示す図である。
【図5】図4に示したサムネイル管理ファイル21およびサムネイルデータファイル22のデータ構造を示す図である。
【図6】メニュー表示プログラムの記録処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】Javaプログラムによるタイトルメニューの表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】Javaプログラムによって表示されるタイトルメニュー画面の例を示す図である。
【図9】(a)はJavaプログラムの実行によって表示されたタイトルメニュー画面を示す図であり、(b)は選択されたサムネイル画像に対応する動画の再生画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるデータ処理装置の実施形態を説明する。
【0032】
図1は、本発明によるデータ処理装置の種々の実施形態を示す。データ処理装置として、カムコーダ10、光ディスクレコーダ11(以下「レコーダ11」と記述する)およびPC14が示されている。
【0033】
カムコーダ10は、映像および音声のコンテンツを光ディスク141に記録することができる。光ディスク141は、たとえばBD−REディスクである。なお、カムコーダ10は小型のHDD142や半導体メモリカード143を利用することも可能である。
【0034】
また、カムコーダ10は、光ディスク141に記録されたコンテンツを再生することもできる。映像や音声は、カムコーダ10に設けられた液晶表示ディスプレイやスピーカなどから出力される。
【0035】
カムコーダ10の録画機能および再生機能に関する処理は、本体のボタン(図示せず)等を利用してユーザが与えた指示に基づいて行われる。
【0036】
コンテンツが記録された光ディスク141は、カムコーダ10から取り外されて、さらに他のコンテンツを記録するために、または記録されたコンテンツを再生するために他の機器に装填される。
【0037】
図1には、他の機器としてレコーダ11やPC14が示されている。
【0038】
レコーダ11は、アナログ/デジタル放送番組の映像および音声に関するデータストリームを光ディスク141等の記録媒体に記録する録画機能を有する。またレコーダ11は、記録媒体に記録されたデータストリームを読み出して、コンテンツをTV13上に再生する再生機能も有する。これらの機能は、リモコン12等を利用してユーザによって実行される。PC14もまた、レコーダ11と同等の録画機能および再生機能を有する。なお、再生機能のみを有する再生専用機器であっても本発明によるデータ処理装置に含まれる。
【0039】
本実施形態においては、データ処理装置は光ディスクドライブを搭載したカムコーダ10を例として挙げて説明する。ただしこれは例であり、レコーダ11やPC14であってもよい。また、データ処理装置は据え置き型か持ち運び可能型かも問わない。
【0040】
図2は、本実施形態によるカムコーダ10の構成を示す。レコーダは、映像および音声を含む動画のデータストリーム(動画ストリーム)を光ディスク141に書き込む機能(録画機能)、光ディスク141に書き込まれた動画ストリームを読み出して、動画を再生する機能(再生機能)および光ディスク141に書き込まれた動画ストリームを削除し、編集する機能(編集機能)を有する。
【0041】
以下、カムコーダ10の構成要素を説明する。カムコーダ10は、映像信号入力部100と、音声信号入力部102と、映像信号出力部110と、音声信号出力部112と、MPEGエンコーダ170と、MPEGデコーダ171と、サムネイル画像生成部172と、メニュー画面生成部173と、システム制御部180と、CPU181とを有している。
【0042】
カムコーダ10には、光ディスク141が取り外し可能な形態で挿入され、光ディスク141に動画を録画できる。なお、光ディスク141はカムコーダ10の必須の構成要素ではない。
【0043】
まず、動画記録処理に関連する主要な構成要素を説明する。
【0044】
映像信号入力部100および音声信号入力部102は、記録対象となる映像信号および音声信号を取得する。たとえば、映像信号入力部100はCCDカメラであり、音声信号入力部102はマイクである。
【0045】
MPEGエンコーダ170(以下「エンコーダ170」と記述する。)は映像圧縮部101と音声圧縮部103とシステムエンコード部104とを有している。映像圧縮部101は、映像信号入力部100から映像信号を受け取り、MPEG規格に基づいて圧縮符号化する。音声圧縮部103は、音声信号入力部102から映像信号を受け取り、MPEG規格に基づいて(圧縮)符号化する。その結果、ビデオデータおよびオーディオデータが出力される。
【0046】
システムエンコード部104は、ビデオデータおよびオーディオデータをインターリーブして動画ストリームを生成する。より具体的には、システムエンコード部104は、ビデオデータおよびオーディオデータをそれぞれ格納したパケットを生成し、そのパケットを配列して動画ストリームを生成する。このとき、さらに他のデータ(文字データ、管理情報など)もパケット化されて動画ストリームの一部として配列され得る。本実施形態においては、動画ストリームはMPEG2規格に準拠したトランスポートストリームであるとする。トランスポートストリームは、「TSパケット」と呼ばれる固定長のデータ単位から構成される。なお、BDにおいては、このトランスポートストリームは厳密にはクリップAVストリームと呼ばれている。クリップAVストリームは、トランスポートストリームの各TSパケットに固定長の到着タイムスタンプ(Arrival Time Stamp)を付加して構成されている。
【0047】
サムネイル画像生成部172(以下、「画像生成部172」と記述する。)は、入力された映像信号に基づいて録画中のコンテンツのサムネイル画像(代表静止画像)を生成する。たとえば画像生成部172は、入力された映像信号の所定の映像フレーム(たとえば最初の映像フレームまたは1秒目の映像フレームなど)の画像データをJPEG圧縮して1枚のサムネイル画像を生成する。サムネイル画像は、対応する動画ストリーム(コンテンツ)を特定するための情報(コンテンツ情報)として利用される。なお、JPEG圧縮処理は周知の技術であるため、その詳細な説明は省略する。
【0048】
なお、画像生成部172は、後述するCPU181とは別の構成要素として記載されている。これは、画像生成部172が単独のハードウェアとして組み込まれていることを意味する。しかし、この構成は例であり、たとえばCPU181によってソフトウェア的に実現されてもよい。
【0049】
システム制御部180の記録部120は、CPU181の指示に基づいて、トランスポートストリームやサムネイル画像の画像データを、ピックアップ140を介して光ディスク141に書き込む。記録部120はさらに、EEPROM166から読み出されたメニュー表示プログラム167をCPU181から受け取り、光ディスク141に記録する。このメニュー表示プログラム167は、カムコーダ10における再生時にCPU181によって実行され、または、光ディスク141が装填された他の機器での再生時に、その機器のCPUによって実行される。
【0050】
なお、図1では、メニュー表示プログラム167のみがEEPROM166に記載されているが、これは例である。他のプログラムが記録されていてもよい。
【0051】
次に、動画再生処理に関連する主要な構成要素を説明する。
【0052】
まずシステム制御部180の再生部120は、CPU181の指示に基づいて、ピックアップ140を介して光ディスク141から必要とされるデータを読み出す。具体的には再生部120は、メニューを表示するためのコンピュータプログラムを光ディスク141から読み出し、そのコンピュータプログラムの実行に伴って、サムネイル画像の画像データを読み出す。そして、ユーザによって選択されたコンテンツに対応するトランスポートストリームを読み出す。
【0053】
MPEGデコーダ171(以下「デコーダ171」と記述する。)は、映像伸長部111と音声伸長部113とシステムデコード部114とを有している。処理の順序で説明すると、システムデコード部114は動画ストリーム、すなわちトランスポートストリームをパケットの種類に応じて分離し、ビデオデータのパケットを映像伸長部111に送り、オーディオデータのパケットを音声伸長部113に送る。映像伸長部111は、ビデオデータをMPEG規格に基づいて伸長し、映像信号出力部110に送る。音声伸長部113は、オーディオデータをMPEG規格等に基づいて伸長し、音声信号出力部112に送る。
【0054】
次に、メニュー画面生成部173は、再生部121によって読み出されたプログラムを実行する。そしてメニュー画面生成部173は、光ディスク141からさらに読み出されたサムネイル画像の画像データを配置したメニュー画面を生成するためのプロセッサ等として実現される。メニュー画面生成部173の処理の詳細は後述する。
【0055】
映像信号出力部110は、メニュー画面や再生映像の映像信号をTV13に出力する端子や液晶表示画面である。また音声信号出力部112は、たとえばスピーカや音声信号を出力する端子である。
【0056】
システム制御部180は、EEPROM166とCPU181とを有し、さらにRAM(図示せず)をも有している。CPU181は、コンピュータプログラムをRAM上に展開して実行することにより、各種の機能を実現できる。たとえばCPU181は、連続データ領域検出部160、データ記録制御部161、再生制御部162、論理ブロック管理部163、編集制御部164、プログラム記録制御部165として機能する。以下では、CPU181によって実現する各機能を独立した構成要素として取り扱う。各構成要素間のデータの授受は、プログラム間のデータの受け渡しに相当する。
【0057】
データ記録制御部161はプログラムストリームの記録を開始する前に、連続データ領域検出部(以下「領域検出部」と記述する。)160を起動して、空き領域を捜させる。領域検出部160はあらかじめ光ディスク140から読み出したスペースビットマップを利用して連続した空き領域を探索する。そしてデータ記録制御部161は、検出された空き領域上にトランスポートストリームの記録を開始する。領域検出部160は、検出した空き領域へのトランスポートストリームの書き込みが終わるまでに、次の空き領域を継続的に探索する。これにより、トランスポートストリームの記録が継続される。そして、UDFファイルシステムのファイル管理情報を書き込み、トランスポートストリームファイル(*.m2tsファイル、すなわち動画ストリームを格納するファイル)の書き込みを完了する。
【0058】
次に、データ記録制御部161は、記録完了したトランスポートストリームに対応するストリーム管理データファイル(*.clpi)を記録し、記録が完了したトランスポートストリームと1:1に対応するプレイリストファイル(*.mpls)を記録する。プレイリストファイルは、トランスポートストリームファイルの中の具体的な再生範囲を指定する情報を含んでいる。本実施形態では、再生範囲はトランスポートストリームの先頭から末尾までとする。
【0059】
さらに、データ記録制御部161は、各トランスポートストリームに対応するサムネイル画像をサムネイル管理ファイル(menu.tidx)に記録し、サムネイルデータ管理ファイル(menu.tdat)を記録する。なお本実施形態においては、サムネイル管理ファイルおよびサムネイルデータ管理ファイルは、光ディスク141に各1つ存在するとしている。よって、これらのファイルがすでに存在していた場合には、それらのファイルを更新する。
【0060】
各ファイル記録後の光ディスク141のディレクトリ構造は、図4および図5を参照しながら後述する。
【0061】
再生時でかつディスク上にタイトルメニューが無い場合、カムコーダ10は機器独自のサムネイル表示(機器が生成したメニュー)をユーザに対して行い、ユーザに再生を開始すべき動画ストリームの選択を求める。
【0062】
ユーザが特定のサムネイル画像を選択して再生すべきコンテンツを選択すると、再生制御部162はコンテンツに対応するトランスポートストリームの管理情報を管理ファイルから読み出すよう指示する。そして、その管理情報に記載されたアドレス情報を参照してトランスポートストリームを読み出す。デコーダ171は、読み出されたトランスポートストリームをシステムデコード部114において映像信号と音声信号に分離し、各々を映像伸長部111及び音声伸長部113で復号化した後、映像信号出力部110及び音声信号出力部112へ出力する。
【0063】
編集時においては、編集制御部164は、たとえば記録済みのコンテンツの削除指示や、記録済みのコンテンツの一部に対する編集指示をユーザから受け取る。このとき編集制御部164は、再生部121に指示して、データストリームの編集対象の部分やその管理データを読み出させる。
【0064】
記録済みのコンテンツに対してユーザから削除が指示された時に、対応するトランスポートストリーム、ストリーム管理データファイル、プレイリストファイルおよび、対応するサムネイル画像を削除する。さらに、実行すべきプレイリストファイルが登録されているインデックスファイルも修正する。
【0065】
コンテンツの一部の削除が指示された時に、編集制御部164は、読み出されたデータ
のうちから削除するべき部分を特定し、その部分を削除する。編集制御部164は削除されずに残されたデータやその管理データを光ディスク141に書き込むよう、記録部120に指示する。
【0066】
プログラム記録制御部165は、光ディスク141への動画ストリームの記録後または記録開始前に、EEPROM166からメニュー表示プログラム167を読み出して光ディスク141に記録するよう、記録部120に指示する。本実施形態においては、メニュー表示プログラム167はJava(登録商標;以下省略する)プログラムであるとする。このJavaプログラムはコンパイル済みのコードであり、参照するクラスライブラリと共に、光ディスク141にtitleMenu.jarファイルとして格納される。このメニュー表示プログラム167の記録先および処理の内容は、図4および図7を参照しながら後に詳述する。
【0067】
次に、図3〜図6を参照しながら、カムコーダ10の記録処理および記録後の光ディスク141のディレクトリ構造を説明する。
【0068】
図3は、カムコーダ10の記録処理の手順を示す。まずステップS31において、カムコーダ10が光ディスク141の装填を検出する。検出は、たとえばトレイの開閉および光学的特性に基づいて行われる。装填され得る光ディスク141は、データが記録されていないブランクディスクまたは動画ストリーム等のユーザデータが記録された記録済みディスクである。
【0069】
ステップS32において、カムコーダ10のプログラム記録制御部165は、メニュー表示プログラムの記録処理を行い、光ディスク141の所定のディレクトリにメニュー表示プログラムの実行ファイルを書き込む。記録処理の詳細は図6において詳述する。
【0070】
ステップS33において、ユーザの録画開始のボタン操作に応答して、カムコーダ10は動画ストリームの記録処理を行う。
【0071】
ステップS31〜S33の処理の順序から明らかなように、ブランクディスクが装填されると、まずメニュー表示プログラムが記録されて、その後動画ストリームが記録される。換言すれば、動画ストリームを記録するよりも前にメニュー表示プログラムが光ディスク141に記録される。一方、動画がすでに記録されている光ディスク141が装填されると、遅くとも最後の動画ストリームが記録される前に、メニュー表示プログラムが光ディスク141に記録されることが理解される。
【0072】
図4は、記録処理終了後の光ディスク141のディレクトリ構造を示す。光ディスク141はUDFファイルシステムでフォーマットされているものとする。このとき、空き領域の管理単位でもあり、また領域の割り付け単位でもある論理ブロックは、2kバイトであるとする。なお、UDFファイルシステムのバージョンは1.5、2.0、2.01、2.5、2.6のいずれであってもよい。ただし、特にバージョン2.6は、従来DVD−Rディスクに必要だった、ファイナライズ時のファイル管理データのまとめ書き込み処理を不要とする仕組み(仮想書き込み処理)を持つものであり有用である。Javaプログラムとの組み合わせによって、タイトルメニュー作成処理、およびファイル管理データのまとめ書き込み処理の両方が不要になり、ファイナライズ処理を不要にすることができる。UDFファイルシステムと同様のディレクトリ構造を有するファイルシステムであれば、ファイルシステムは任意である。
【0073】
光ディスク141においては、ROOTディレクトリの下にBDMVディレクトリが設けられ、その下にさらに各種のファイルやディレクトリが設けられる。具体的には以下のとおりである。
【0074】
index.bdmvファイルにはタイトルメニューを生成し表示するためのJavaプログラム名、および記録されているプレイリストファイル名が記録されている。
【0075】
Menuディレクトリの下にはタイトルメニューを生成し、表示するためのJavaプログラム20(titleMenu.jar)、サムネイル管理ファイル21(menu.tidx)、およびサムネイルデータファイル22(menu.tdat)が記録される。
【0076】
このうち、サムネイルデータファイル22には、動画ストリーム毎にサムネイル画像がJPEG符号形式で格納されている。サムネイル管理ファイル21には、動画ストリームとサムネイル画像との対応関係を規定する情報が格納されている。具体的には、サムネイル管理ファイル21では、動画ストリームのファイル名と、サムネイル画像のサムネイルデータファイル内での記録先アドレスとが対応付けられている。
【0077】
Javaプログラム20は、サムネイルデータファイル22内のサムネイル画像を参照してタイトルメニューを描画する。そして、ユーザがサムネイル画像を選択すると、選択されたサムネイル画像に対応する動画ストリームの再生を開始する処理を実行する。再生が完了した後、Javaプログラム20の記述に従って再びタイトルメニューを描画し、選択された動画ストリームの再生等を実施する。
【0078】
PLAYLISTディレクトリには動画ストリームに1:1に対応するプレイリストファイル(*.mpls)が格納される。
【0079】
STREAMディレクトリには動画ストリームファイル(*.m2ts)が格納される。動画ストリームはトランスポートストリーム符号形式で格納される。
【0080】
CLIPINFディレクトリには動画ストリームに対応するタイムマップ等の管理データファイル(*.clip)が格納される。
【0081】
図5は、図4に示したサムネイル管理ファイル21およびサムネイルデータファイル22のデータ構造を示す。また図5では、これらのファイルと動画ストリームファイルとの対応関係も示している。
【0082】
サムネイルデータファイル22には、各動画ストリームのサムネイル画像のデータ(サムネイルデータ)がJPEG符号形式で格納される。サムネイル管理ファイル21には、動画ストリームのファイル名と、サムネイル画像のサムネイルデータファイル22における記録位置(格納先のアドレス)が格納されている。
【0083】
動画ストリームファイル#2(ファイル名:01001.m2ts)を例に挙げて説明する。サムネイルデータファイル22を参照すると、動画ストリームファイル#2に対応するサムネイルデータは、サムネイルデータファイル22の先頭から12キロバイト目のアドレス位置以降に記録されている。これを受けて、サムネイル管理ファイル21では、動画ストリームファイル#2のファイル名01001.m2tsと対応するサムネイルデータの格納開始アドレスを示す12kBという情報が対応付けられて格納されていることが理解される。
【0084】
次に、図6を参照しながら、メニュー表示プログラムの記録処理(ステップS32)の詳細を説明する。この処理は、図3に示すとおり光ディスクの装填検出後に行われる。
【0085】
図6は、メニュー表示プログラムの記録処理の手順を示す。ステップS61において、データ記録制御部161は装填された光ディスク141のファイルシステムの内部構成をチェックする。装填された光ディスク141がブランクディスクである場合には、データ記録制御部161はUDFファイルシステムが未構築であると判断する。また、例えば光ディスク141に動画が記録されている場合には、図4に示すROOTディレクトリやBDMVディレクトリを検出することによって、UDFファイルシステムが構築されていることを検出する。
【0086】
ステップS62において、データ記録制御部161は、Menuディレクトリ内にメニュー表示プログラムが存在するか否かを判断する。存在しない場合には処理はステップS63に進み、存在する場合には処理は終了する。このステップS62の処理は、Menuディレクトリが存在するか否か、および、存在する場合には、さらにそのディレクトリの中にメニュー表示プログラムのプログラムファイルが存在するか否かをそれぞれ判断することによって行われる。
【0087】
ステップS63の処理は、プログラム記録制御部165によって行われる。プログラム記録制御部165は、EEPROM166からメニュー表示プログラム167を読み出して記録部120に送るとともに、光ディスク141のMenuディレクトリにJavaプログラム20として書き込むよう指示する。
【0088】
なお、図6に示す処理によれば、光ディスク141のMenuディレクトリには必ずJavaプログラム20が書き込まれた状態になる。
【0089】
ユーザが特定の動画ストリームを削除した場合には、削除された動画ストリームおよび対応するサムネイル画像を削除する。また、ユーザが特定の動画ストリームの一部を削除するような編集処理を指示した場合において、対応するサムネイル画像が削除される範囲内の映像に含まれる場合には、サムネイル画像を作り直す。この処理は、たとえば残存する動画ストリームにおいて最初に現れるIピクチャを復号化し、得られたデジタル画像データをJPEG圧縮することによって実現される。このような処理は、たとえばCPU181においてソフトウェア的に行われる。
【0090】
次に、図7を参照しながら、光ディスク141に記録されたJavaプログラムによるメニューの表示処理を説明する。このメニュー表示処理は、光ディスク141に記録された動画を再生する機器(再生装置)に実装されたCPUまたはメニュー画面生成部によって実行される。なお、再生装置は、たとえばBD−ROMプレーヤである。BD−ROMプレーヤは、図2に示すカムコーダ10の再生機能を実現する構成を備えており、タイトルメニュー用Javaプログラムを再生できる機能を有する。
【0091】
以下では、カムコーダ10のメニュー画面生成部173がメニューの表示処理を実行するとして説明する。これは、カムコーダ10が自ら録画した動画の一覧表示メニューを表示する処理に該当する。なお、カムコーダ10から光ディスク141が取り出され、図1に示すレコーダ11やPC14に装填されることによって、それらの機器がJavaプログラムを実行することもできる。換言すれば、光ディスク141が装填可能であり、Javaプログラムを実行可能なコンピュータ(CPU)を有し、かつ動画ストリームを再生可能な機器であれば、図7に示す処理により、メニュー表示が可能である。
【0092】
図7は、Javaプログラムによるタイトルメニューの表示処理の手順を示す。メニュー画面生成部173は、光ディスク141のMenuディレクトリ下に記録されているtitleMenu.jarファイルを読み込み、実行を開始する。
【0093】
まず、ステップS100において、メニュー画面生成部173は、光ディスク141のPLAYLISTディレクトリ下のプレイリストファイル数をカウントする。上述のように、プレイリストファイル数は動画ストリーム(トランスポートストリーム)の数と1:1に対応するため、プレイリストファイル数のカウントは動画ストリーム数の検索を意味する。また、動画ストリームの数とサムネイル画像の数も1:1に対応するため、得られたプレイリストファイル数によって、サムネイル画像の枚数も特定される。
【0094】
次に、ステップS110において、メニュー画面生成部173は全プレイリストの表示に必要な頁総数を算出する。たとえば、1ページのタイトルメニュー画面に12枚(4列×3行)のサムネイル画像を表示するとしたとき、メニュー画面生成部173はサムネイル画像の枚数を12で除算する。そして余りが存在する場合には頁総数は(商の値+1)として算出され、余りが存在しない場合には頁総数は(商の値)として算出される。
【0095】
次のステップS120においてメニュー画面生成部173はタイトルメニューの背景画像を描画し、さらにステップS130において現在のページ番号およびタイトルメニューの頁総数を表示する。そしてステップS140において、1ページ内に12枚(4列×3行)のサムネイル画像を配置してタイトルメニューを描画する。ここまでの処理によって、最初のタイトルメニュー画面が表示される。
【0096】
次のステップS150において、ユーザがタイトルメニューの頁送りを選択すると、メニュー画面生成部173は次のページに対応する動画ストリームのサムネイル画像を使ってステップS120からの処理を繰り返す。これにより、次ページのタイトルメニュー画面が再描画される。タイトルメニューの頁送りが選択されない場合には、処理はステップS160に進む。
【0097】
ステップS160において、ユーザがタイトルメニュー終了を選択すると、メニュー画面生成部173はJavaプログラムの実行を終了する。一方、タイトルメニューの終了が選択されない場合には、メニュー画面生成部173はステップS170に進む。
【0098】
ステップS170においてユーザがサムネイル画像を利用して特定のタイトルを選択すると処理はステップS180に進み、選択しない場合には処理はステップS150に戻る。
【0099】
ステップS180において、メニュー画面生成部173は、図5に示すサムネイル管理ファイル21を参照してそのサムネイル画像に対応する動画ストリームのファイル名を特定し、特定された動画ストリームの再生を開始する。このとき、タイトルメニュー画面は消去され、画面全体を使ってその動画ストリームのコンテンツが表示される。ステップS190において、メニュー画面生成部173は再生終了を示す表示完了の通知がCPU181またはデコーダ171から発せられるのを待ち、通知を受け取るとステップS120に戻り、再びタイトルメニューを再描画する。
【0100】
光ディスク141がカムコーダ10から取り出され、再生機器に装填されると、再生機器はユーザが閲覧するタイミングやタイトルメニューファイルの有無にかかわらず、上述した処理によってタイトルメニューを表示できる。
【0101】
図8は、Javaプログラムによって表示されるタイトルメニュー画面の例を示す。4列×3行で配列されたサムネイル画像(たとえばサムネイル画像31)が背景画像に上書きされて描画される。それぞれのサムネイル画像は、各プレイリストファイル(および動画ストリームファイル)に対応している。さらに、画面の下部中央に、ページ戻しボタン
32/ページ送りボタン33が表示される。さらに、現在のページ番号および総ページ数を示すページ数情報34が表示される。
【0102】
図8から理解されるように、この画面はサムネイル画像付きの一覧を表示しているといえる。なお、サムネイル画像の表示を含まないように表示することも可能である。複数のページにまたがって一覧表示がされている場合でも、サムネイル画像の表示を含ませないことで、ページ切り替え回数をより少なくすることができる。
【0103】
なお、再生装置は、一覧表示のみを実現するプログラムをメモリに保持していてもよい。そのプログラムを実行する際に、光ディスク141に記録されたサムネイルデータファイル22を参照すれば、自らがデータストリームからサムネイル画像を生成する必要はない。よって高速かつ容易に一覧表示を実現することができる。
【0104】
図9(a)はJavaプログラムの実行によって表示されたタイトルメニュー画面を示し、図9(b)は選択されたサムネイル画像に対応する動画の再生画面の表示例を示す。
【0105】
カムコーダ10のボタン(またはリモコン)を使って、ユーザが例えばプレイリスト01000.mplsに対応するサムネイル画像を選択し確定すると、CPU181は、サムネイル管理ファイル21を参照してそのサムネイル画像に対応する動画ストリーム01000.m2tsの再生表示を開始する。終了すると再びタイトルメニューが表示される。
【0106】
なお、各サムネイル画像の表示とともに、または各サムネイル画像の表示に代えて、各動画ストリームを格納したファイルのファイル名、ファイル作成日時、またはユーザが入力した任意のタイトルを表示してもよい。
【0107】
本実施形態においては、記録機器が、サムネイルデータとそのサムネイルデータを使ってタイトルメニューを表示するプログラムとを記録媒体に記録することにより、従来毎回必要であった、タイトルメニューを作成して記録する時間が不要になる。よって、記録機器側の処理の負荷が軽減され、記録媒体の取り出し時の処理時間が大幅に短縮される。さらに、ユーザは、タイトルメニューを作成するか否かの判断や手間をかける必要がないため、煩わしさから開放される。その記録媒体が装填された再生機器は、記録媒体に記録されている動画ストリームを検索してサムネイル画像と対応付けて表示するため、その時点で記録されている動画ストリームをもれなく表示することができる。
【0108】
上述の説明は、再生機器が、タイトルメニューを表示するJavaプログラムを高速に処理できることを前提としていた。しかしながら、Javaプログラムを高速に処理できない機器も考えられる。
【0109】
そこで、後者の機器(比較的低速な処理を行う再生装置)での再生を考慮して、記録機器(たとえばカムコーダ10)のCPU181は、Javaプログラムで記述されたタイトルメニューを1画面毎に映像圧縮処理を行ったタイトルメニューへ変換し、変換されたタイトルメニューデータを光ディスク141に記録してもよい。
【0110】
変換されたタイトルメニューデータを利用した一覧表示画面は図8に示すように表示される。また、その一覧表示画面によれば、図9に示すように任意のサムネイル画像の選択によって希望する動画を再生できる。たとえば市販されている映画のDVD−ROMでは、サムネイル画像(映像)を利用して任意のチャプター選択が可能である。変換されたタイトルメニューデータによればそのような既存のメニュー表示と同じ機能が実現され、従来の再生機器における動作を保証できる。
【0111】
なお、上述の説明では、複数のサムネイルデータをサムネイルデータファイルに格納したが、個別のサムネイルデータファイルであってもよい。サムネイルデータファイル、およびサムネイル管理ファイルはtitleMenu.jarファイルとは独立して設けたが、titleMenu.jarファイルに含まれていてもよい。また、動画ストリーム毎に個別のサムネイルデータファイルを記録する場合であっても同様である。
【0112】
また、データストリーム等を格納する光ディスク141はリムーバブルであるとしたが、非可換メディア、例えば記録機器に内蔵されたHDDであってもよい。ただし、この場合、記録機器がネットワーク接続されている必要がある。そしてネットワーク接続された他の再生機器からタイトルメニューを描画するJavaプログラムが参照され、その再生機器においてそのプログラムが実行されることになる。再生機器は、記録機器に内蔵されたHDD内の動画ストリームを検索し、再生可能な動画ストリームをサムネイル表示すればよい。
【0113】
上述の実施形態において、記憶媒体は光ディスクであるものとしたが、特にこれに限定するものではない。例えばメモリカード、フラッシュメモリ、FeRAM、MRAM等の半導体メモリであってもよい。また、光ディスクはDVD−RAM、MO、DVD−R、DVD−RW、DVD+RW、DVD+R、CD−R、CD−RW、BD−RE、BD−R、HD−DVD等の光ディスクであってもよい。
【0114】
システム制御部180は、EEPROM166等のプログラムROMに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより、本明細書に記載した機能を実現することができる。
【0115】
なお、図2の各機能ブロックは典型的には半導体集積回路(Large Scale Integrated Circuit;LSI)のチップとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0116】
例えば、図2においては、エンコーダ170、画像生成部172、メニュー画面生成部173およびシステム制御部180とは別個の機能ブロックとして示されている。これらはそれぞれ別個のコンピュータチップとして実装されてもよいし、物理的に同一のコンピュータチップによって実現してもよい。また、システム制御部180、エンコーダ170、デコーダ171、画像生成部172およびメニュー画面生成部173の各機能を集積化して、1つのチップ回路として実現してもよい。ただし、例えば符号化または復号化の対象となるデータを格納するメモリのみを集積化の対象から除外してもよい。
【0117】
上述の「LSI」は、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
【0118】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。例えば、バイオテクノロジーを利用したいわゆるバイオ素子として集積化を行ってもよい。
【0119】
また、上述の実施形態において、データストリームはトランスポートパケット毎に到着タイムスタンプ(Arrival Time Stamp)を付加したトランスポートストリームを想定したが、プログラムストリーム、PESストリーム、QuickTimeストリーム、MP4ストリーム、AVIストリーム、ASFストリーム、MotionJPEGストリーム等の他のビットストリームであってもよい。
【0120】
また、映像はMPEG−2ビデオストリームを例としたが、MPEG−4ビデオストリームやMPEG−4AVC(H.264)ストリームであってもよい。また、音声もリニアPCMオーディオストリームやAC−3ストリーム等であってもよい。また、映像や音声以外の他の種類(グラフィックス情報や文字情報等)のマルチメディア情報を含んでいてもよい。
【0121】
また、動画ストリームの映像圧縮符号はMPEG−2ビデオ、MPEG−4AVC、MPEG−4ビジュアル、VC−1等の、プレーヤで再生可能な符号であれば任意である。
【0122】
さらに、1個のトランスポートストリームを1個のデータストリームファイルに格納するとしたが、複数のトランスポートストリームを1個のデータストリームファイルに格納してもよい。
【0123】
また、タイトルメニューを描画するJavaプログラムは光ディスクが挿入された時点で記録されるとしたが、光ディスクのフォーマットが完了した時点であってもよい。また、ユーザが指定した任意の時点で記録されてもよい。
【0124】
なお、上述の説明では、動画ストリームを記録するカムコーダやレコーダがタイトルメニューを表示するJavaプログラムを記録するとしたが、光ディスク上に動画ストリームを記録する機器とは異なる機器(レコーダ、カムコーダ、もしくはパソコン等)がJavaプログラムのみを記録してもよい。また他の機器によってタイトルメニューデータが記録されることも妨げられない。
【0125】
なお、本実施形態の説明では、タイトルメニューは図8および図9に示した比較的簡単な例を示したが、あらかじめAVデータ処理装置のROMに記録されたグラフィックスデータや動画データを利用するJavaプログラムを光ディスクに記録することにより、より上質で個性的なタイトルメニューを作成することも可能である。
【0126】
なお、上述の説明では、プレーヤはBD−ROM規格に準拠したクラスライブラリを必ず再生できるものとし、JavaプログラムはBD−ROM規格で規定されるクラスを使うものとしたが、プレーヤが対応していればPCで実現されているSwing等のGUIライブラリを使えるものとしてもよい。また、BD−ROM規格に含まれるインターネットアクセスが可能なクラスライブラリ、またはそれと同等のモジュールプログラムを別途使えるものとしてもよい。
【0127】
なお、上述の説明ではタイトルメニューはプレーヤでJavaプログラムが実行されて表示されるものとしたが、同じ機能を実行するプログラムであれば、例えばXML言語やXHTML言語で記述されたプログラムであってもよい。
【0128】
なお、本実施形態においては、タイトルメニューを実現するJavaプログラムがディスクに記録されている場合は、メニュー画面生成部173がタイトルメニューを生成するものとした。しかし、Javaプログラムが記録されている場合であっても、そのプログラムを参照しないで、その機器独自の形式のタイトルメニューを生成し、表示してもよい。これにより、メニュー画面の生成を簡易に実施できる。なお、機器独自の形式のタイトルメニューを生成するか否かは、Javaプログラムが記録されているか否かに基づいてその機器が判断すればよい。
【0129】
なお、DVD−RやDVD−RWに関してDVD−ROMドライブによる再生互換性を重視する場合は、DVD−RやDVD−RWに記録されたデータの総量が1Gバイト以上である必要がある。したがって、総量が1Gバイトに満たない場合には、ファイナライズ処理の際にパディングデータを追記する処理を行ってデータの総量を1Gバイトまたはそれ以上にしなければならない。本発明を適用したとしても、その処理の時間は必要となる点に留意する必要がある。
【0130】
なお、DVD−ROMドライブを利用する場合の再生互換性を重視しないで、記録型DVDドライブを利用する場合の再生互換性(親和性)だけを重視する場合は、パディングデータで埋める処理を想定する必要はない。また、DVD−RAMやSDカードに関しては、ファイナライズ処理が本来必要ないため、これらの時間を想定する必要はない。また、BD−REディスクやBD−Rディスクに関しても同様である。
【0131】
なお、本実施形態ではサムネイルファイルを生成して記録するとしたが、記録しておかなくてもよい。タイトルメニューを生成して表示する際に、動画ストリーム中の1フレームまたはフィールドを切り出して、縮小してサムネイル画像として用いてもよい。ただし、この場合、表示終了までの遅延時間が発生する点に留意する必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明にかかるデータ処理装置、方法、およびプログラムによれば、プレーヤやレコーダ等の機器でコンテンツを試聴する際に必ず用意しておかなければならなかったタイトルメニューを用意する必要がなくなる。よって、コンテンツの記録に関連して必要であったタイトルメニューの作成処理時間を省くことが可能になる。よって、光ディスクカムコーダ、光ディスクレコーダ等のコンテンツの記録機器に実装することは非常に有用である。
【符号の説明】
【0133】
10 カムコーダ
11 レコーダ
14 PC
100 映像信号入力部
101 映像圧縮部
102 音声信号入力部
103 音声圧縮部
104 システムエンコード部
110 映像信号出力部
111 映像伸長部
112 音声信号出力部
113 音声伸長部
114 システムデコード部
120 記録部
121 再生部
160 連続データ領域検出部
161 データ記録制御部
162 再生制御部
163 論理ブロック管理部
164 編集制御部
165 プログラム記録制御部
166 EEPROM
167 メニュー表示プログラム
170 MPEGエンコーダ
171 MPEGデコーダ
172 サムネイル画像生成部
173 メニュー画面生成部
175 メディア制御部
180 システム制御部
181 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが読み出し可能なコンピュータプログラムを格納したメモリであって、前記コンピュータプログラムは、コンピュータに、記録媒体に記録されたコンテンツを検索する処理、検索によって発見されたコンテンツに関するコンテンツ情報をメニューに表示する処理、および、前記コンテンツ情報を利用して前記コンテンツの選択を可能にする処理を実行させる、メモリと、
少なくとも1つのコンテンツを所与の記録媒体に記録する記録部と
を備えた記録機器であって、前記記録部は、前記メモリに格納されたプログラムを前記所与の記録媒体に記録する記録機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−190540(P2012−190540A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−132975(P2012−132975)
【出願日】平成24年6月12日(2012.6.12)
【分割の表示】特願2007−526907(P2007−526907)の分割
【原出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Blu−ray
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】