説明

記録物および記録物生成装置

【課題】コンパクトかつ柔軟に使用できる記録物を提供する。
【解決手段】記録物1は、一の読取装置によって読み取られる第1の表示体を表示する表示領域10と、前記一の読取装置によって読み取られない第2の表示体を表示する表示領域20とを有し、前記第2の表示体の表示領域20の少なくとも一部は、前記第1の表示体の表示領域10と重なっていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録物および記録物生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、物品等に印刷又は貼付される識別子として、1次元バーコード、2次元バーコード(2次元コードとも称する)が利用されている。1次元バーコード、2次元バーコードは、デジタル情報として物品管理などに広く利用されている。例えば、カートリッジの情報(測定値、使用回数等)などの管理に利用される2次元バーコードが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
1次元バーコードは、太さを変えた複数の線を縞模様状に配列したものである。一般に、1次元バーコードは、人の視覚で感知できない光(赤外線、紫外線等)を照射する読取装置によって読み取られる。
【0004】
また、1次元バーコード(縞模様状に配列した複数の線)の下部には、該1次元バーコードにて表された情報が、人間が見て分かるように文字や数字などで表示されている。従って、例えば、読取装置が1次元バーコードを読み取れなかった場合には、文字や数字などから1次元バーコードにて表された情報を知ることができる。
【0005】
2次元バーコードは、多数のドットを2次元的に配置したものである。2次元バーコードは、1次元バーコードに比べ単位面積あたりに保持する情報量が多いという特長がある。換言すれば、2次元バーコードは、情報量に比してコンパクトな表示が可能であるという特長がある。2次元バーコードは、1次元バーコードと同様、人の視覚で感知できない光を照射する読取装置によって読み取られる。
【0006】
現在、2次元バーコードは、種々のものが知られている。例えば、2次元バーコードを編成するモジュールが写真、イラスト等の画像である2次元バーコード、および、有彩色の任意数量のモジュールが2次元バーコード上に任意の形若しくはパターンを編成する2次元バーコードが提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、紙媒体に印刷される2次元バーコードであってデザインの自由度を高めたものも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
2次元バーコードの場合も、2次元バーコードのコード情報の一部が文字や数字などによって表示されていることがある。しかし、2次元バーコードのコード情報の一部を文字や数字などによって表示されていない場合、人間が、2次元バーコードのコード情報を解釈するのはほぼ不可能であるため、2次元バーコードのコード情報を確認するために、常に、読取装置を用いる必要があるため面倒である。例えば、外見上の区別が困難な対象物A、B、Cの夫々に、夫々を識別できる2次元バーコードが付されている場合に、読取装置を用いて、各対象物A、B、Cに付された2次元バーコードを読み取って全てを同一場所に置いた後に、各対象物A、B、Cを区別するときには、人間が各対象物A、B,Cの2次元バーコードのコード情報を解釈するのはほぼ不可能であるため、結局、再度読取装置を用いて確認する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2005−502858号公報
【特許文献2】特開2006−18782号公報
【特許文献3】特開2006−309287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、2次元バーコードにおいて、コード情報の一部を文字や数字などによって表示する場合、文字や数字の表示領域が必要であるため、情報量に比してコンパクトな表示が可能であるという2次元バーコードの本来の利便性を損なうという問題がある。仮に、2次元バーコードにおいて、1次元バーコードのように、コード情報の全てを表示するようにした場合、2次元バーコードに格納できる情報量が非常に多いため、非常におおきなものになってしまう。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、コンパクトかつ柔軟に使用できるバーコードを提供する。即ち、情報量に比してコンパクトな表示ができるという利便性を確保しつつ、例えば、読取装置において確認済みの複数の対象物のなかから、ある対象物を探し出す場合、再度同じ読取装置において読取をしなくても対象物を特定できるバーコードを提供する。
【0011】
なお、特許文献2に記載の2次元バーコードは、2次元バーコードを構成する各ドットが画像である2次元バーコード、および、ドット全体で色彩や形を表現する2次元バーコードであるが、前者の2次元バーコードをコンパクトに表示した場合、ドットが微細になるため画像が認識できなくなる。また、後者の2次元バーコードをコンパクトに表示した場合も、ドットが微細になるため、全体として何を表現しているのか認識できなくなる。また、後者の2次元バーコードでは、ドット全体で表現する色彩や形が、本来表示するべきコード情報を2次元バーコードの仕様に基づいて表示される各ドットの位置、大きさの制約内において表現されるものであるため、本来表示するべきコード情報の一部を、ドット全体の色彩や形を用いて体系的に表現するのは、容易ではない。また、特許文献3に記載の2次元バーコードは、そもそも、デザインを重視したものであって、コンパクトかつ柔軟に使用できるバーコードではない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記問題を解決するために、本発明の一態様である記録物は、確認対象に関する情報が記録され、当該確認対象に付される記録物であって、一の読取装置によって読み取られる第1の表示体を表示する表示領域と、前記一の読取装置によって読み取られない第2の表示体を表示する表示領域とを有し、前記第2の表示体の表示領域の少なくとも一部は、前記第1の表示体の表示領域と重なっている
ことを特徴とする。
【0013】
前記一の読取装置は、光学読取装置であって、前記第2の表示体は、前記一の読取装置によって照射される光と同色の色によって表示されるものであってもよい。
【0014】
前記記録物において、前記第1の表示体は、前記確認対象に関する情報を表わすものであって、前記第2の表示体は、当該記録物が付された前記確認対象を含む複数の前記確認対象に関する情報を記録したもののなかから、当該記録物を付した前記確認対象に関する情報を特定する情報を表すものであってもよい。
【0015】
前記記録物において、前記確認対象に関する情報は、前記確認対象を分類する、階層化された分類情報であって、前記第1の表示体は、一の項目の分類における一の階層内の分類情報を表したものであって、前記第2の表示体は、当該項目の分類における他の階層内の分類情報を表したものであってもよい。
【0016】
前記記録物において、前記第2の表示体は、人によって解釈される表示態様で表示されるものであってもよい。
【0017】
前記記録物において、前記第2の表示体は、前記一の読取装置が照射する光の波長とは異なる波長の光を照射する他の読取装置によって読み取られるものであってもよい。
【0018】
上記問題を解決するために、本発明の他の態様である記録物生成装置は、確認対象に関する情報が記録され、当該確認対象に付される記録物を生成する記録物生成装置であって、印刷媒体に2次元バーコードを印刷する第1の印刷手段と、前記印刷媒体に文字、記号、図形又は画像を前記2次元バーコードの少なくとも一部と重なるように印刷する第2の印刷手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
上記記録物生成装置において、前記第2の印刷手段は、前記2次元バーコードを読み取る読取装置によって照射される光と同色の色によって前記文字、記号、図形又は画像を印刷してもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る記録物は、コンパクトかつ柔軟に使用できる。即ち、本発明に係る記録物によれば、第2の表示体(例えば、文字や数字)の表示領域の少なくとも一部は、第1の表示体(例えば、2次元バーコード)の表示領域と重なっているため、全体としてコンパクトになる。また、第2の表示体(例えば、文字や数字)が存在するため、第1の表示体(例えば、2次元バーコード)を読み取る読取装置(例えば、2次元バーコード用の読取装置)によって読み取らなくても、ある程度、確認対象に係る情報を知ることができる。
【0021】
つまり、本発明に係る記録物は、コンパクトであるため小さな確認対象にも付すことが可能である。また、本発明に係る記録物を確認対象に付した場合、第2の表示体(例えば、文字や数字)から、確認対象に係る簡便な情報を得ることができるため、柔軟に確認作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態である記録物の一例である。
【図2】本発明の第1の実施形態である記録物を説明するための説明図である。
【図3】本発明の第1の実施形態である記録物を説明するための説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態である記録物を説明するための説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態である記録物生成装置の一例である。
【図6】本発明の第2の実施形態である記録物生成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態である記録物の使用例を説明するための説明図である。
【図8】本発明の第1の実施形態である記録物の使用例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態である記録物の一例である。図2から図4は、本発明の第1の実施形態である記録物を説明するための説明図である。本発明の第1の実施形態に係る記録物は、確認対象(例えば、物品)に付される記録物(例えば、物品に貼付するシール)であって、当該確認対象に関する情報(例えば、物品名、諸元、取扱内容)を記録する記録物である。図1(a)(b)は、本発明の第1の実施形態に係る記録物の一例であるシール1である。
【0024】
本発明の一態様である記録物は、一の読取装置によって読み取られる第1の表示体を表示する表示領域と、当該一の読取装置によって読み取られない第2の表示体を表示する表示領域とを有し、かつ、第2の表示体の表示領域の少なくとも一部は、第1の表示体の表示領域と重なっている。
【0025】
図1(a)は、シール1(記録物)は、2次元バーコード読取装置(一の読取装置)によって読み取られる第1の表示体(2次元バーコード)を表示する表示領域10と、一の読取装置(2次元バーコード読取装置)によって読み取られない第2の表示体(文字)を表示する表示領域20とを有し、第2の表示体(文字)の表示領域20の全部が、第1の表示体(2次元バーコード)の表示領域10と重なっている例である。図1(b)は、図1(a)において、第1の表示体である2次元バーコードが表示領域10に表示され、第2の表示体である文字「A」が表示領域20に表示された例である。
【0026】
図1(c)は、シール1(記録物)は、2次元バーコード読取装置(一の読取装置)によって読み取られる第1の表示体(2次元バーコード)を表示する表示領域10と、一の読取装置(2次元バーコード読取装置)によって読み取られない第2の表示体(文字)を表示する表示領域20−1、20−2、20−3、20−4とを有し、各表示領域20−1、20−2、20−3、20−4の少なくとも一部が、第1の表示体の表示領域と重なっている例である。図1(d)は、図1(c)において、第1の表示体である2次元バーコードが表示領域10に表示され、第2の表示体である文字「A」「3」「δ」「B」が表示領域20−1、20−2、20−3、20−4に表示された例である。なお、図1(b)(d)では、説明の便宜上、第2の表示体の輪郭を破線で表している。他の図面についても同様である。
【0027】
上述の如く、第2の表示体の表示領域の少なくとも一部は、第1の表示体の表示領域と重なっているため、第2の表示体の存在が、上記読取装置による第1の表示体の読み取りに支障を与えないようにする工夫が必要である。例えば、第1の表示体を読み取る読取装置が、ある色(例えば、赤)の光を照射して第1の表示体を読み取る読取装置である場合、第2の表示体を、当該読取装置が照射する光(例えば、赤)によって表示するようにする。これにより、上記読取装置は、第2の表示体の一部または全部が第1の表示体と重なっていても、当該読取装置は、第2の表示体からの反射光を認識することなく、第1の表示体からの反射光のみを認識するため、第1の表示体を正しく読み取ることができる。
【0028】
第2の表示体は、図1(b)(d)の例では、アルファベット、ギリシャ文字、数字であるが、少なくとも、第1の表示体を読み取る読取装置によって読み取られないものであればよい。例えば、第2の表示体は、人によって解釈される表示態様で表示されるものであってもよい。具体的には、第2の表示体は、仮名文字、漢字などの他の文字、郵便マークなどの記号、丸や三角などの図形、画像などである。第2の表示体が人によって解釈される表示態様で表示されるものであれば、第2の表示体の意味を、読取装置を使用しなくてもすぐに理解することができる。なお、図1(b)(d)の例では、1つの表示領域に表示する第2の表示体は、「A」「3」など何れも1文字であるが、複数の文字(例えば、「A3」)、複数の図形、複数の画像を1つの表示領域に表示してもよいし、文字、図形、画像を組み合わせたものを1つの表示領域に表示してもよい。
【0029】
また、第2の表示体は、第1の表示体を読み取る読取装置が照射する光の波長とは異なる波長の光を照射する他の読取装置によって読み取られるものであってもよい。第2の表示体が上記の他の読取装置によって読み取られるものであれば、多くの情報を第2の表示体にて表現することができる。
【0030】
続いて、第1の表示体によって表される情報、および、第2の表示体によって表される情報について説明する。
【0031】
第1の表示体は、確認対象に関する情報を表わすものであって、第2の表示体は、当該記録物を付した確認対象を含む複数の確認対象に関する情報を記録したもののなかから、当該記録物を付した当該確認対象に関する情報を特定する情報を表すものである。
【0032】
具体的には、例えば、図2に示すように、第1の表示体である2次元バーコードは、当該2次元バーコードを貼付する、確認対象(外観から成分、試験方法、試験期限、試験に係る備考などを認識不能な液体を収容した容器)に関する情報(例えば、当該容器に収容されている液体の成分、試験方法、試験期限、試験に係る備考などの情報)を表わすものである。
【0033】
図2において、第2の表示体であるアルファベットは、2次元バーコードを貼付した複数の確認対象(容器)を他の複数の確認対象から識別する識別情報を表すものである。そして、識別情報であるアルファベットは、バックアップとして予め用意した一覧情報(識別情報をキーとし、各容器に収容されている液体の成分、試験方法、試験期限、試験に係る備考など記憶した情報)から、当該2次元バーコードを貼付した確認対象に関する情報(識別情報をキーとし、各容器に収容されている液体の成分、試験方法、試験期限、試験に係る備考などの情報)を特定することができる。なお、一覧情報は、電子データであってもよいし、紙媒体に印刷したものであってもよい。例えば、有料のコンサートやイベントの場にて、本発明の記録物を使用する態様の場合(後述)、イベントスタッフが使用する端末上に一覧情報を表示させるようにしてもよいし、イベントスタッフのしおりに一覧情報を印刷してもよい。
【0034】
換言すれば、図2に示すように、第2の表示体(アルファベット)によって表される情報(識別情報)は、第1の表示体(2次元バーコード)によって表される情報(当該容器に収容されている液体の成分、試験方法、試験期限、試験に係る備考などの情報)を特定するために用いられる。
【0035】
また、第2の表示体は、図3に示すように、確認対象(外観から成分、試験方法、試験期限、試験に係る備考などを認識不能な液体を収容した容器)に関する各情報(例えば、当該容器に収容されている液体の成分、試験方法、試験期限、試験に係る備考などのそれぞれの情報)を表わすものであってもよい。これにより、第1の表示体の意味を使用者が分からなくても、また、第1の表示体の一部が欠損するなどして読取装置によって読み取ることができなくても、使用者は、第2の表示体を見ることによって確認対象に関する各情報を把握することができる。なお、図3においては、個々の表示領域に表示された個々の第2の表示体と、確認対象に関する個々の情報とを対応付ける態様を説明したが、第2の表示体と、確認対象に関する情報との対応付けはこれに限定されない。具体的には、複数の表示領域に表示された複数の第2の表示体と、確認対象に関する一の情報とを対応付ける態様としもよい。例えば、図3の一覧情報において、第2の表示体(左上)および第2の表示体(右上)と、液体の成分とを対応付けてもよい。また、逆に、一の表示領域に表示された一の第2の表示体と、確認対象に関する複数の情報を対応付ける態様としてもよい。例えば、図3の一覧情報において、第2の表示体(左上)と、液体の成分および試験方法とを対応付けてもよい。
【0036】
また、確認対象に関する情報が、確認対象を分類する、階層化された分類情報である場合において、第1の表示体は、一の項目の分類における一の階層内の分類情報を表したものであって、第2の表示体は、当該項目の分類における他の階層内の分類情報を表したものであってもよい。
【0037】
具体的には、例えば、図4(a)に示すように、確認対象に関する情報が、商品(確認対象)を分類する、
階層化された分類情報である場合において、第1の表示体は、商品カテゴリ(一の項目)の分類における大分類(一の階層)内の分類情報(大分類コード)を表したものであって、第2の表示体は、当該商品カテゴリの分類における中分類および小分類(他の階層)内の分類情報(中分類および小分類コード)を表したものであってもよい。
【0038】
また、例えば、図4(b)に示すように、確認対象に関する情報が、確認対象(会員)を分類する、階層化された分類情報である場合において、第1の表示体は、会員の住所区分(一の項目)の分類における都道府県市町村(上位階層および下位階層)内の分類情報(市町村コード)を表したものであって、第2の表示体は、当該住所区分の分類における都道府県(上位階層)内の分類情報(都道府県コード)を表したものであってもよい。
【0039】
以上、第1の実施形態に係るシール1によれば、第2の表示体(例えば、文字や数字)の表示領域の少なくとも一部は、第1の表示体(例えば、2次元バーコード)の表示領域と重なっているため、全体としてコンパクトになる。また、第2の表示体が、文字や数字などである場合、第1の表示体(例えば、2次元バーコード)を読み取る読取装置(例えば、2次元バーコード用の読取装置)によって読み取らなくても、確認対象に係る情報を知ることができる。
【0040】
つまり、シール1は、コンパクトであるため小さな確認対象にも付すことが可能である。また、シール1を確認対象に付した場合、第2の表示体(例えば、文字や数字)から、確認対象に係る簡便な情報を得ることができるため、柔軟に確認作業を行うことができる。
【0041】
なお、本発明の一態様であるシール1においては、第1の表示体としては2次元バーコードの例を説明したが、第1の表示体は、他の形式のバーコードであってもよい。また、第1の表示体および第2の表示体は、少なくとも同一の読取部によって読取られるものでなければよく、第2の表示体についても、任意のものを使用できる。例えば、第1の実施形態に係るシール1の場合、第1の表示体を無彩色の2次元バーコード、第2の表示体を有彩色(赤色)のアルファベットであったが、第1の表示体を有彩色のバーコード、第2の表示体を無彩色のアルファベットとしてもよい。また、第1の表示体と第2の表示体との位置関係は、図1に示すように、第2の表示体の表示領域の少なくとも一部が、第1の表示体の表示領域と重なっていればよい。つまり、シール1の設計においては、貼付する場所、読取装置の性能(解像度、照射色等)、第1の表示体および第2の表示体のデザイン(コントラスト、解像度等)、第2の表示体の認識性などを総合的に勘案して決定する。
【0042】
例えば、第2の表示体の認識性の向上の為、第2の表示体は、第1の表示体の彩色部分の少ない位置に表示されるものであってもよい。具体的には、第1表示体を表示する表示領域を複数のブロックに区分し、各ブロック内のイメージデータのドットの合計面積が一番少ないブロックに第2の表示体を表示する。また、例えば、予め定められた第2の表示体を表示する表示領域を複数のブロックに区分し、各ブロック内のイメージデータのドットの合計面積が一番少ないブロックに第2の表示体を表示してもよい。なお、読取装置は、画像認識機能(パターンマッチング、OCR機能等)を備えるものであってもよい。
【0043】
また、第1の表示体および第2の表示体は、少なくとも読取時点において読取可能であればよく、印刷時においては読取不能であってもよい。換言すれば、第1の表示体および第2の表示体は、何らかの作用によって表示状況が変化するものであってもよい。例えば、水に濡らすと表示が変わる(または表示しはじめる)。体温など温度、或いは、紫外線(ブラックライト)を感知して表示が変わる(または表示しはじめる)。時間が経過すると表示が変わる(または表示しはじめる)。蛍光色素、或いは、発色剤などの化学的な変化によって表示が変わる(または表示しはじめる)。加工された冶具・フィルムなどと組み合わせると表示が変わる(または表示しはじめる)。つまり、第1の表示体および第2の表示体に、偽造防止や隠し文字などの技術を適用してもよい。
【0044】
例えば、第2の表示体の一部又は全部の色が変化し、変化後に第1の表示体の一部を構成するようにしてもよい。また、例えば、第1の表示体の一部の色が変化し、第2の表示体を構成するようにしてもよい。変色後の第2の表示体は、目視によっては第2の表示体として認識されないようにしてもよい。例えば、特殊な光を照射したときに限り変色後の第2の表示体を認識できるようにしてもよい。変色後の第1の表示体についても同様である。
【0045】
また、第1の実施形態では、少なくとも第1の表示体は、光を用いた読取手段によって読み取られるものとして説明したが、他の人間が認知することのできない読取手段(例えば、電磁波(可視光波長を含む))によって読み取られるものであってもよい。
【0046】
また、第1の実施形態では、第2の表示体は、人によって解釈されるもの、または、第1の表示体を読み取る読取装置と異なる他の読取装置によって読み取られるものであると説明したが、第1の表示体を読み取る読取装置が光を用いた読取手段によって読み取られるものである場合、当該他の読取装置は、光を用いた読取手段以外の人間が認知することのできない読取手段(例えば、電磁波(可視光波長を含む))によって読み取られるものであってもよい。
【0047】
また、第1の実施形態では、記録物の一例としてシールの例を説明したが、本発明の一態様である記録物は、一の読取装置によって読み取られる第1の表示体を表示する表示領域と、当該一の読取装置によって読み取られない第2の表示体を表示する表示領域とを有し、かつ、第2の表示体の表示領域の少なくとも一部は、第1の表示体の表示領域と重なっていればよく、例えば、ホルダなどに挿入されるカード(紙、プラスチック)、紐などによって確認対象に付される物、磁力によって確認対象に付される物などであってもよい。
【0048】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図5は、本発明の第2の実施形態である記録物生成装置の機能ブロック図の一例である。本発明の第2の実施形態に係る記録物生成装置100は、確認対象(例えば、物品)に付される記録物(例えば、物品に貼付するシール)であって当該確認対象に関する情報を記録する記録物を生成する。即ち、記録物生成装置100は、本発明の第1の実施形態に係る記録物を生成する。なお、第2の実施形態においては、第1の表示体として2次元バーコードを用い、第2の表示体として文字、記号、図形又は画像を用いる例を説明する。
【0049】
記録物生成装置100は、図5に示すように、出力対象情報入力受付部110、2次元バーコード化情報取得部120、2次元バーコード生成部130、文字記号等情報取得部140、シール出力部150および一覧帳票出力部160を備える。シール出力部150は、2次元バーコード印刷部152(第1の印刷手段)および文字記号等情報印刷部154(第2の印刷手段)を備える。覧帳票出力部160は、2次元バーコード化情報印刷部162および文字記号等情報印刷部164を備える。また、記録物生成装置100は、ユーザからの操作を受け付ける操作受付部(非図示)を備える。
【0050】
出力対象情報入力受付部110は、記録物(例えば、シール)に出力する出力対象情報の入力を受け付ける。即ち、出力対象情報入力受付部110は、第1の表示体として表示する情報、第2の表示体として表示する情報の入力を受け付ける。出力対象情報入力受付110は、該出力対象情報を2次元バーコード化情報取得部120および2次元バーコード生成部130に供給する。
【0051】
なお、第1の表示体として表示する情報に基づいて第2の表示体として表示する情報が得られる場合には、出力対象情報入力受付部110は、第1の表示体として表示する情報のみの入力を受け付ければよい。第1の表示体として表示する情報に基づいて第2の表示体として表示する情報が得られる場合とは、例えば、第1の表示体として表示する情報の一部が第2の表示体として表示する情報である場合である。
【0052】
2次元バーコード化情報取得部120は、出力対象情報入力受付部110から第1の表示体として表示する情報を取得し、2次元バーコード生成部130および一覧表出力部160(2次元バーコード化情報印刷部162)に供給する。
【0053】
2次元バーコード生成部130は、2次元バーコード化情報取得部120から第1の表示体として表示する情報を取得し、該第1の表示体として表示する情報に基づいて、2次元バーコードのイメージデータを生成し、シール出力部150(2次元バーコード印刷部152)に供給する。
【0054】
文字記号等情報取得部140は、出力対象情報入力受付部110から第2の表示体として表示する情報を取得し、該第2の表示体として表示する情報をシール出力部150(文字記号等情報印刷部154)および一覧表出力部160(文字記号等情報印刷部164)に供給する。
【0055】
シール出力部150の2次元バーコード印刷部152は、2次元バーコード生成部130から2次元バーコードのイメージデータを取得し、該2次元バーコードのイメージデータを、印刷媒体(2次元バーコードを印刷する前のシール)に印刷する。
【0056】
シール出力部150の文字記号等情報印刷部154は、文字記号等情報取得部140から第2の表示体として表示する情報を取得し、第2の表示体を、2次元バーコード印刷部152によって印刷された2次元バーコードのイメージデータと重なるように、シールに印刷する。
【0057】
なお、文字記号等情報印刷部154は、2次元バーコードのイメージデータを読み取る読取装置によって照射される光と同色の色によって該第2の表示体を印刷する。例えば、読取装置が赤い光を照射して2次元バーコードのイメージデータを読み取る場合、文字記号等情報印刷部154は、赤色によって第2の表示体を印刷する。
【0058】
一覧帳票出力部160の2次元バーコード化情報印刷部162は、2次元バーコード化情報取得部120から第1の表示体として表示する情報を取得し、該第1の表示体として表示する情報を一覧帳票用紙の内容欄に印刷する。
【0059】
一覧帳票出力部160の文字記号等情報印刷部164は、文字記号等情報取得部140から第2の表示体として表示する情報を取得し、該第2の表示体として表示する情報を一覧帳票用紙のインデックス欄(識別情報欄)に、第1の表示体として表示する情報に対応付けて印刷する。
【0060】
以上のように、記録物生成装置100は、2次元バーコードのイメージデータおよび第2の表示体を表示したシールを生成するとともに、第2の表示体として表示する情報と第1の表示体として表示する情報とを対応付けて表示した一覧帳票を生成する。なお、当該シールは、確認対象(例えば、物品)に貼付される。従って、確認対象に貼付された2次元バーコードのイメージデータを読取装置によって読み取れば、2次元バーコードとして表示した情報を取得することができる。また、仮に、確認対象に貼付された2次元バーコードのイメージデータを読取装置によって読み取れない場合にも、シール上の第2の表示体を確認し、当該第2の表示体を目印として一覧帳票を参照することによって、2次元バーコードとして表示した情報を取得することができる。
【0061】
なお、図5に示す記録物生成装置100は、2次元バーコードのイメージデータを生成する構成であるが、記録物生成装置100は、外部に接続されている装置又は記憶媒体から2次元バーコードのイメージデータを取得してもよい。
【0062】
例えば、記録物生成装置100は、外部から2次元バーコードのイメージデータを取得して該2次元バーコードのイメージデータを、印刷媒体(2次元バーコードのイメージデータを印刷する前のシール)に印刷する2次元バーコード印刷部152と、外部から第2の表示体として表示する情報を取得して第2の表示体を2次元バーコードのイメージデータと重なるように、印刷媒体(2次元バーコードのイメージデータを印刷した後のシール)に印刷する文字記号等情報印刷部154と、外部から第1の表示体として表示する情報を取得して一覧帳票用紙の内容欄に印刷する2次元バーコード化情報印刷部162と、外部から第2の表示体として表示する情報を取得して一覧帳票用紙のインデックス欄(識別情報欄)に第1の表示体として表示する情報に対応付けて印刷する文字記号等情報印刷部164とを備える構成であってもよい。
【0063】
また、図5に示す記録物生成装置100は、一覧帳票を出力する態様であるが、記録物生成装置100は、一覧帳票を出力しない態様であってもよい。即ち、記録物生成装置100は、一覧帳票出力部160を備えなくてもよい。予め、第2の表示体として表示する情報と第1の表示体として表示する情報との一覧帳票を用意している場合、或いは、例えば、第1の表示体として表示する情報の種類が少なく、第2の表示体として表示する情報と第1の表示体として表示する情報との関係をユーザ(記録物を付した確認対象を確認する立場にある者)が暗記している場合などは、一覧帳票を出力しなくてもよいからである。
【0064】
以下、記録物生成装置100の処理の流れを説明する。図6は、図5に示す記録物生成装置100の動作の一例を示すフローチャートである。図6において、出力対象情報入力受付部110は、シールに出力する出力対象情報の入力を受け付ける(ステップS10)。即ち、出力対象情報入力受付部110は、第1の表示体として表示する情報、第2の表示体として表示する情報の入力を受け付ける。出力対象情報入力受付110は、該出力対象情報を2次元バーコード化情報取得部120および2次元バーコード生成部130に供給する。
【0065】
2次元バーコード化情報取得部120は、出力対象情報入力受付部110から第1の表示体として表示する情報を取得する(ステップS12)。2次元バーコード化情報取得部120は、該第1の表示体として表示する情報を2次元バーコード生成部130および2次元バーコード化情報印刷部162に供給する。
【0066】
2次元バーコード化情報取得部120から第1の表示体として表示する情報を取得した2次元バーコード生成部130は、該第1の表示体として表示する情報に基づいて、2次元バーコードのイメージデータを生成する(ステップS14)。2次元バーコード生成部130は、生成した2次元バーコードのイメージデータを2次元バーコード印刷部152に供給する。
【0067】
文字記号等情報取得部140は、出力対象情報入力受付部110から第2の表示体として表示する情報を取得する(ステップS16)。文字記号等情報取得部140は、該第2の表示体として表示する情報を文字記号等情報印刷部154および文字記号等情報印刷部164に供給する。
【0068】
2次元バーコード生成部130から2次元バーコードのイメージデータを取得した2次元バーコード印刷部152は、該2次元バーコードのイメージデータを、印刷媒体(2次元バーコードを印刷する前のシール)に印刷する(ステップS18)。
【0069】
文字記号等情報取得部140から第2の表示体として表示する情報を取得した文字記号等情報印刷部154は、該第2の表示体として表示する情報に基づいて該第2の表示体を、2次元バーコードのイメージデータと重なるように、印刷媒体(2次元バーコードのイメージデータを印刷した後のシール)に印刷する(ステップS20)。なお、文字記号等情報印刷部154は、2次元バーコードのイメージデータを読み取る読取装置によって照射される光と同色の色によって該第2の表示体を印刷する。
【0070】
2次元バーコード化情報取得部120から第1の表示体として表示する情報を取得した2次元バーコード化情報印刷部162は、該第1の表示体として表示する情報を一時記憶する(ステップS22)。
【0071】
文字記号等情報取得部140から第2の表示体として表示する情報を取得した文字記号等情報印刷部164は、該第2の表示体として表示する情報を、第1の表示体として表示する情報に対応付けて一時記憶する(ステップS24)。
【0072】
操作受付部(非図示)は、ユーザによるシール生成を終了する旨の操作があったか否かを判断する(ステップS26)。操作受付部(非図示)がユーザによるシール生成を終了する旨の操作がなかったと判断した場合(ステップS26:No)、ステップS10に戻る。ユーザによるシール生成を終了する旨の操作があったと判断する迄、ステップS10からステップS26を繰り返し実行し、第1の表示体および第2の表示体を印刷したシールを生成する。
【0073】
ユーザによるシール生成を終了する旨の操作があったと判断した場合(ステップS26:Yes)、2次元バーコード化情報印刷部162は、ステップS22において一時記憶した第1の表示体として表示する情報を一覧帳票用紙の内容欄に印刷する(ステップS28)。
【0074】
ステップS28に続いて、文字記号等情報印刷部164は、ステップS24において一時記憶した第2の表示体として表示する情報を、第1の表示体として表示する情報に対応付けて、一覧帳票用紙のインデックス欄(識別情報欄)に印刷する(ステップS30)。そして、本フローチャートは終了する。なお、一覧帳票は、上述の如く電子データであってもよく、一覧帳票を電子データとする場合、一覧帳票用紙への印刷(ステップS28、S30)は不要となる。また、一覧帳票を電子データとする場合、記録物生成装置100は、必要に応じて、一覧帳票を生成し表示するようにしてもよし、外部からの問い合わせ情報(文字、記号等情報を含む)に応じて、当該文字、記号等情報に対応する2次元バーコード化情報を応答するようにしてもよい。
【0075】
なお、上記フローチャートのステップS18において、2次元バーコード印刷部152は2次元バーコードのイメージデータを印刷情報一時記憶部(非図示)に出力し、ステップS20において、文字記号等情報印刷部154は、上記印刷情報一時記憶部のイメージデータを参照し、イメージデータのドットの比較的少ない領域に第2の表示体が印刷されるように、第2の表示体として表示する情報を上記印刷情報一時記憶部に出力するようにしてもよい。
【0076】
例えば、文字記号等情報印刷部154は、第1表示体を表示する表示領域を複数のブロックに区分し、各ブロック内のイメージデータのドットの合計面積が一番少ないブロックを第2の表示体を表示する表示領域として選択し、選択した領域に第2の表示体が印刷されるように、第2の表示体として表示する情報を上記印刷情報一時記憶部に出力するようにしてもよい。
【0077】
また、例えば、文字記号等情報印刷部154は、予め定められた第2の表示体を表示する表示領域を複数のブロックに区分し、各ブロック内のイメージデータのドットの合計面積が一番少ないブロックを選択し、選択した領域に第2の表示体が印刷されるように、第2の表示体として表示する情報を上記印刷情報一時記憶部に出力するようにしてもよい。
【0078】
また、例えば、文字記号等情報印刷部154は、第1表示体を表示する表示領域または予め定められた第2の表示体を表示する表示領域から、ドット占める割合が所定値以下となる領域を該領域の面積および位置を変えながら抽出し、抽出した領域に第2の表示体が印刷されるように、第2の表示体として表示する情報を上記印刷情報一時記憶部に出力するようにしてもよい。
【0079】
以上、第2の実施形態に係る記録物生成装置100によれば、第1の実施形態に係る記録物(シール1)を簡便に生成することができる。
【0080】
なお、上記実施形態では、記録物生成装置100は、第1の表示体および第2の表示が印刷されたシールを記録物として生成するが、記録物生成装置100は、第1の表示体および第2の表示体が書き換え可能である記録物(例えばインクが消去できるカード)を生成してもよい。第1の表示体が書き換え可能である記録物を生成する場合には、記録物生成装置100は、書き換え前の第1の表示体として表示している情報を含む情報を、書き換え後の第1の表示体として表示する情報とすることによって、第1の表示体の履歴情報を記録物に保持させるようにしてもよい。
【0081】
また、第1の表示体が書き換え不能である記録物であっても、記憶装置(記録物生成装置100又は記録物生成装置100からアクセス可能な外部装置のメモリ)に第1の表示体に表示した情報を蓄積しておくことによって、新たな第1の表示体として表示する情報として、時間軸情報(前回迄に第1の表示体として表示した履歴情報)を持たせてもよい。なお、第1の表示体が書き換え可能である記録物であっても、第1の表示体に表示した情報を記憶装置に蓄積しておき、第1の表示体の履歴情報を記録物に保持させるようにしてもよい。
【0082】
また、第2の実施形態では、記録物生成装置100が、第1の表示体に係る表示情報(例えば、2次元バーコードのイメージデータ)、および、第2の表示体に係る表示情報(例えば、文字情報等)を発生(生成または取得)する処理(図6のステップS14、S16に相当)、第1、第2の表示体を1組ずつ印刷媒体(例えば、シール)に印刷する処理(図6のステップS18、S20に相当)、第1、第2の表示体の対応関係を他の媒体(例えば、一覧帳票用紙)に印刷(または電子データとして出力)する処理(図6のステップS28、S30に相当)などを全て行う態様であるが、記録物生成装置100による各処理を複数の装置に分散させる態様としてもよい。例えば、第1、第2の表示体に係る表示情報を発生させる装置、発生させた表示情報を記憶する装置、第1、第2の表示体を1組ずつ印刷媒体に印刷する装置、第1、第2の表示体の対応関係を他の媒体に印刷(または電子データとして出力)する装置をネットワーク上(例えば、インターネット、LAN上)に分散配置させるようにしてもよい。これにより、例えば、インターネット上に本発明の記録物に係るサービスを会員に提供するサービスサーバを設置し、会員の端末を介して本発明の記録物をプリンタに印刷、または、会員の端末上に本発明の記録物を表示させることができる。当該場合、第1、第2の表示体の対応関係を他の媒体に印刷(または電子データとして出力)する装置は、上記会員の端末であってもよいし、会員の属する組織に設置したサーバでもよいし、サービス提供者側のサーバ(上記サービスサーバと同一でも別体でもよい)であってもよく、会員若しくは会員が貼付した記録物を見た者自身、又は、これらの者からの問い合わせに応じる者が、必要に応じて、第1、第2の表示体の対応関係を容易に確認できればよい。
【0083】
本発明の記録物自体を識別する識別情報(以下、記録物識別情報という)を各記録物に付与するとともに、各記録物に付与された記録物識別情報と各記録物上に関する情報(第1の表示体によって表示される情報、および、第1の表示体によって表示される情報以外の情報)とをICチップ、ICタグなどに対応付けて記憶するようにしてもよい。なお、記録物識別情報は、記録物上の所定の1以上の表示領域に表示される1以上の第2の表示体の表示情報の全部または一部であってもよいが、第1、第2の表示体の表示領域と異なる領域に表示されるものであってもよい。これにより、例えば、記録物上の記録物識別情報を確認(目視または読取)し、ICチップ等を読み取ることによって、当該記録物上の第1の表示体によって表示される情報に加えて、当該第1の表示体によって表示される情報以外の情報も確認することができる。また、書き換えが必要な情報(動的な情報)をICタグやICチップに格納し、書き換えが不要な情報(静的な情報)を第1、第2の表示体に格納(表示)することができる。動的な情報には経時的な情報を格納し、経時情報を利用することも可能である。
【0084】
また、第2の表示体を表示する表示領域を有するICチップ等(当該ICチップ等には第1の表示体を表示する表示領域は存在しない)内に、第1の表示体によって表示されるべき情報を記憶し、当該ICチップ等が読み取れない場合に、当該ICチップ等に表示された第2の表示体に基づいて、第1の表示体によって表示されるべき情報(即ち、内部に記憶している情報)を確認するようにしてもよい。
【0085】
以下、本発明の記録物の使用例(適用例)について説明する。なお、以下の説明において、各種バーコードやICタグなどに含まれる電子的な情報であって装置による認識を前提として作成される識別子をデジタル識別子という。また、文字、数字、記号、図形のように、人間による認識を前提に作成された識別子をアナログ識別子(特殊な操作を行わないとアナログ識別子として認識されないものも含む)という。デジタル識別子は、アナログ識別子よりもより多くの情報量を有する。従って、保持する情報が少ない項目に第2の表示体として表されるアナログ識別子を使用し、保持する情報が多い項目に第1の表示体として表されるデジタル識別子を使用する。
【0086】
(アナログ識別子をデジタル識別子よりも先に確認する使用態様)
例えば、健康診断の場において、受付にて、被診断者が持参したもの(例えば受診カード)に貼付されたシール上のアナログ識別子を参照し、受診コースを確認し、検査室において、該シール上のデジタル識別子を読み取って、受信コース毎の受診項目、特記事項などの詳細情報を確認することができる。これにより、プライバシーに係る情報の開示を最小限に抑えることができる。
【0087】
また、例えば、食事の場において、お客が持参したもの(例えばチケット)に貼付されたシール上のアナログ識別子を参照し、入口や取口を確認し、座席において、該シール上のデジタル識別子を読み取って、個々の料理内容を確認することができる。これにより、効率的に段取りよくサービスを提供できる。
【0088】
また、例えば、分析装置を用いた分析の場において、分析用カートリッジに貼付されたシール上のアナログ識別子を参照し、分析用カートリッジ内の分析対象を確認し、分析装置が、該シール上のデジタル識別子を読み取って、該分析用カートリッジの分析におけるセッティング、測定条件、有効期間などの情報を取得し、分析を開始する。なお、本使用態様については更に後述する。
【0089】
(デジタル識別子をアナログ識別子よりも先に確認する使用態様)
例えば、有料のコンサートやイベントの場において、入場ゲートにて、来場者が持参したもの(例えばチケット)に貼付されたシール上のデジタル識別子を読み取って、入場権限の有無を確認する本人確認(支払確認、会員確認等)を行うとともに、会場内にて、該シール上のアナログ識別子を参照し、景品の当落および当選景品を確認する。
【0090】
なお、本発明の記録物は、電子情報(例えば、PDF形式のデータ)であってもよい。電子情報である記録物は、例えば、携帯通信端末(例えば、携帯電話、小型パソコン)のメモリ、或いは、携帯通信端末からアクセス可能な外部装置のメモリに記憶する。これにより、記録物をメモリから読み出して、携帯通信端末の表示画面に表示させて用いることができる。
【0091】
以下、図7、8を用いて、上述の分析装置を用いた分析の場における、本発明の記録物の使用例について更に説明する。図7において、200−1、200−2、200−3、200−4、200−5は、試薬カートリッジである。試薬カートリッジは、内部又は凹部に、検査対象物(例えば、血液)と、検査対象物に係る試薬(例えば、血液からDNAを抽出する試薬)とを収納した検査キットである。210は、識別情報であるアルファベットに対応付けて、各試薬カートリッジ200−1〜200−5に関する情報(例えば、プロダクト番号、キットID、使用期限、ロット番号、シリアル番号)を内容とする1次元バーコードを印刷した一覧帳票(バックアップ用紙)である。プロダクト番号およびキットIDは、試験装置の動作条件を決定するために用いられる。使用期限は、当該カートリッジ内の試薬の使用期限を表すものである。ロット番号は製造ロットである。シリアル番号は、製造ロット中の個々に割り振られた番号である。つまり、試薬カートリッジは、ロット番号とシリアル番号とから一意に識別されるものである。
【0092】
試薬カートリッジ200−1には、試薬カートリッジ200−1に関する情報を内容とする2次元バーコードと、上記の一覧帳票において、試薬カートリッジ200−1に関する情報に対応付けられている識別情報(図7の例において「A」)とが印刷されたシール1が貼付されている。つまり、試薬カートリッジ200−1に貼付されたシール1には、試薬カートリッジ200−1に関する情報を内容とするデジタル識別子と、当該デジタル識別子を識別するアナログ識別子とが印刷されている。試薬カートリッジ200−2には、試薬カートリッジ200−2に関する情報を内容とする2次元バーコードと、上記の一覧帳票において、試薬カートリッジ200−2に関する情報に対応付けられている識別情報(図7の例において「B」)とが印刷されたシール1が貼付されている。つまり、試薬カートリッジ200−2に貼付されたシール1には、試薬カートリッジ200−2に関する情報を内容とするデジタル識別子と、当該デジタル識別子を識別するアナログ識別子とが印刷されている。試薬カートリッジ200−3〜200−5についても同様である。
【0093】
試薬カートリッジ200−1〜200−5および一覧帳票は、1つの試薬カートリッジ箱に収容され、各試薬カートリッジ200−1〜200−5を用いて試験を実施する試験装置が設置された試験機関に送付される。
【0094】
試験機関において、試験担当者は、試薬カートリッジ箱から各試薬カートリッジ200−1〜200−5を取り出して、1つずつ試験装置にセットする。試験装置は、セットされた一の試薬カートリッジに貼付されたシール1上の2次元バーコードを読み取って運転条件であるパラメータを設定し、試験を開始する。ここで、試験装置がシール1上の2次元バーコードを読み取れなかった場合には、試験担当者は、当該シール1上の識別情報を確認し、試薬カートリッジ箱に同封された一覧帳票から、当該識別情報に対応付けられた1次元バーコードを特定する。そして、試験担当者は、一覧帳票から特定した1次元バーコードを1次元バーコード用の読取装置を用いて読み取ることによって、2次元バーコードの読み取りができなかった試薬カートリッジの運転条件を取得し、試験装置に設定する。
【0095】
つまり、シール上の2次元バーコードが読み取れなかった場合でも、当該シール上の識別情報に基づいて、読み取れなかった2次元バーコードによって表される情報と同じ情報を識別情報を手がかりにして一覧帳票を参照することによって取得することができる。なお、試薬カートリッジにおいてシール1を貼付するのに好適な場所(図7に示す場所)は狭いため、シール1を小さくする必要がある。このため、第1の表示体である2次元バーコードを印刷した領域に重畳して、第2の表示体である識別情報を印刷し、シール1を小さくしている。
【0096】
また、解析チップ220(例えば、遺伝子を検査するチップ)にシール1を貼付する場合、図8に示すように、解析チップに貼付するシール1上の識別情報は、当該解析チップに対応する試薬カートリッジに貼付するシール上の識別情報と同一にする。これにより、試薬カートリッジと解析チップとの組合せが一見して分かるようになる。なお、解析チップは、検査時間が長くならないように基本的に小さく作られている。従って、シール1を小さくする必要がある。また、解析チップは、加熱されるが、シール1を小さくした方が、熱の通りがよくなる。
【0097】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
商品又は役務の分類、商品又は役務に係る情報の確認などに利用可能である。
【符号の説明】
【0099】
1…シール1(記録物)
10、20…表示領域
100…記録物生成装置
110…出力対象情報入力受付部
120…2次元バーコード化情報取得部
130…2次元バーコード生成部
140…文字記号等情報取得部
150…シール出力部
152…2次元バーコード印刷部
154…文字記号等情報印刷部
160…一覧帳票出力部
162…2次元バーコード化情報印刷部
164…文字記号等情報印刷部
200…試薬カートリッジ
210…一覧帳票(バックアップ用紙)
220…解析チップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
確認対象に関する情報が記録され、当該確認対象に付される記録物であって、
一の読取装置によって読み取られる第1の表示体を表示する表示領域と、
前記一の読取装置によって読み取られない第2の表示体を表示する表示領域と
を有し、
前記第2の表示体の表示領域の少なくとも一部は、
前記第1の表示体の表示領域と重なっている
ことを特徴とする記録物。
【請求項2】
前記一の読取装置は、
光学読取装置であって、
前記第2の表示体は、
前記一の読取装置によって照射される光と同色の色によって表示されるものであることを特徴とする請求項1に記載の記録物。
【請求項3】
前記第1の表示体は、
前記確認対象に関する情報を表わすものであって、
前記第2の表示体は、
当該記録物が付された前記確認対象を含む複数の前記確認対象に関する情報を記録したもののなかから、当該記録物を付した前記確認対象に関する情報を特定する情報を表すものである
ことを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の記録物。
【請求項4】
前記確認対象に関する情報は、
前記確認対象を分類する、階層化された分類情報であって、
前記第1の表示体は、
一の項目の分類における一の階層内の分類情報を表したものであって、
前記第2の表示体は、
当該項目の分類における他の階層内の分類情報を表したものである
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の記録物。
【請求項5】
前記第2の表示体は、
人によって解釈される表示態様で表示されるものである
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の記録物。
【請求項6】
前記第2の表示体は、
前記一の読取装置が照射する光の波長とは異なる波長の光を照射する他の読取装置によって読み取られるものである
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の記録物。
【請求項7】
確認対象に関する情報が記録され、当該確認対象に付される記録物を生成する記録物生成装置であって、
印刷媒体に2次元バーコードを印刷する第1の印刷手段と、
前記印刷媒体に文字、記号、図形又は画像を前記2次元バーコードの少なくとも一部と重なるように印刷する第2の印刷手段と
を備えることを特徴とする記録物生成装置。
【請求項8】
前記第2の印刷手段は、
前記2次元バーコードを読み取る読取装置によって照射される光と同色の色によって前記文字、記号、図形又は画像を印刷する
ことを特徴とする請求項7に記載の記録物生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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