記録装置および搬送制御方法
【課題】記録装置において、搬送制御で用いる検知用スケールのパターンにおける隙間部分のようなスケールの不連続部分が存在しても、間欠送りにおける停止精度の低下を防止する。
【解決手段】複数回の間歇搬送のうちm回目の間歇搬送の停止位置が不連続領域内にあると判定される場合は(S804)、この停止位置を不連続領域外にずらす調整を行う。その後、記録を開始する(S805)。ここで、(m−1)回目の間歇搬送の停止位置B(m−1)とm回目の間歇搬送の停止位置B(m)との間の搬送量よりも不連続領域の長さは短く設定してあることから、上記調整後でも停止位置B(m−1)が不連続領域内に入ることはない。このように、複数回の間歇搬送全体のセンサに対する位置を調整することにより、不連続領域にセンサが停止することを回避できる。その結果、間欠送りにおける停止精度の低下を防止することが可能となる。
【解決手段】複数回の間歇搬送のうちm回目の間歇搬送の停止位置が不連続領域内にあると判定される場合は(S804)、この停止位置を不連続領域外にずらす調整を行う。その後、記録を開始する(S805)。ここで、(m−1)回目の間歇搬送の停止位置B(m−1)とm回目の間歇搬送の停止位置B(m)との間の搬送量よりも不連続領域の長さは短く設定してあることから、上記調整後でも停止位置B(m−1)が不連続領域内に入ることはない。このように、複数回の間歇搬送全体のセンサに対する位置を調整することにより、不連続領域にセンサが停止することを回避できる。その結果、間欠送りにおける停止精度の低下を防止することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置および搬送制御方法に関し、詳しくは、記録媒体などの搬送において、スケールパターンを検出して搬送量などの制御を行う技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
記録装置における搬送機構の一例として、搬送方向に間隔を置いて配置されたローラ間に無端状のベルトを掛け回し、その搬送ベルトの表面にシートなどの記録媒体を密着させて搬送ベルトを駆動し記録媒体を搬送するものがある。そして、このようなベルトを用いた搬送機構における搬送量などを制御する構成として、搬送ベルト自体の移動量を直接検出し、それに基づいて搬送量の制御を行うものが知られている。例えば、搬送ベルトの面に間隔を置いた複数のスケールを設け、これら複数のスケールを搬送ベルトの移動に伴って順次センサによって検出することにより、搬送ベルトの移動量などを知るものである。
【0003】
無端状のベルトに対する複数のスケールを配列したパターンの設定は、一般には、そのスケールパターンを形成した部材をベルトに貼付することによって行われる。この場合、ベルトの周長とスケールパターンを形成した部材の全長との公差などを考慮して、スケールパターン部材の両端部の継ぎ目部分にはある程度の隙間が生じさせている。この隙間によって、その隙間の両側のスケールの間隔は他のスケールの間隔よりも長くなり、それが正確な搬送量制の障害となることがある。
【0004】
この隙間部分に起因した搬送量制御の不都合を回避する方法が特許文献1に記載されている。同文献には、スケールパターンの移動方向における上流側と下流側それぞれにパターンを検出するセンサを設けることが記載されている。そして、上流側センサが上述の隙間部分を検出した後、その隙間部分が下流側センサの検出位置に到達する前に、上流側センサによる検出に切り替えるものである。これによれば、制御に使用するパターン検出結果に隙間部分の影響が及ばないようにすることができ、ベルト移動の等速度制御が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−154162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている構成では、センサを複数設ける必要があり、装置のコストアップとなる。また、下流側のセンサでスケールを検出している間も、隙間部分を検出するために上流側のセンサによる検出動作が必要となり、常に二つのセンサを動作させることによる処理負荷増大という問題がある。
【0007】
特許文献1に記載のベルト搬送制御は、このような基本的な問題の他に、いわゆるシリアルプリンタのような、記録媒体の間欠搬送を行い高い搬送精度が求められる記録装置では、上述したスケールの隙間部分に係わる別の問題がある。すなわち、間欠搬送ではセンサの検出領域に対して隙間部分が停止する可能性があるが、その隙間部分にはスケールが存在しないため、スケールを検出することによる精度の高い搬送制御ができず、正確な位置に記録媒体を停止させることができないという問題がある。そして、このような間欠搬送における停止精度の低下の問題は、特許文献1に記載の2つのセンサを用いる構成に特有なものでは無い。すなわち、広く、搬送ベルトに設けられたスケールをセンサによって検出しその検出結果に基づいて搬送制御を行う構成において生じ得る問題である。
【0008】
本発明の目的は、搬送制御で用いる検知用スケールのパターンにおける隙間部分のようなスケールの不連続部分が存在しても、間欠送りにおける停止精度の低下を防止することが可能な記録装置および搬送制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのために本発明では、搬送ベルトによって搬送される記録媒体に対して記録を行う記録装置であって、前記搬送ベルトに設けられた、複数のスケールを当該搬送ベルトの移動方向に配列した検知パターンであって、隣接するスケール間の距離が前記複数のスケールの配列におけるそれぞれの隣接するスケール間の距離より大きい不連続領域を有した検知パターンと、前記搬送ベルトの移動経路に面して設けられセンサを備え、前記搬送ベルトの検知パターンにおけるスケールを検知する検知手段と、前記搬送ベルトを当該搬送方向に移動させるとともに、該搬送ベルトの移動に伴って前記検知手段が前記スケールを検知するごとに出力する検知信号に基づいて記録媒体の間歇搬送を行う搬送手段と、前記間歇搬送される記録媒体に対して記録を行う記録手段と、を具え、前記搬送手段は、連続する間歇搬送の間の搬送停止時に前記センサが前記検知パターンの不連続領域を検知しないように当該間歇搬送を行うとともに、前記間歇搬送の搬送量は前記不連続領域の前記距離より大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上の構成によれば、連続する間歇搬送の間の搬送停止時にセンサが検知パターンの不連続領域を検知しないようにその間歇搬送を行うとともに、間歇搬送の搬送量が不連続領域の搬送方向の距離より大きくすることができる。これにより、搬送制御で用いる検知用スケールのパターンにおける隙間部分のようなスケールの不連続部分が存在しても、間欠送りにおける停止精度の低下を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示したベルト搬送部と記録部の概略を示す断面図である。
【図3】図2に示した記録ヘッドを用紙P側からみた平面図である。
【図4】図1〜図3に示した本実施形態のインクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る搬送ベルト101の裏面を示す平面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係り、搬送ベルトの位置調整を行うための不連続領域の特定処理を説明する図である。
【図7】検知パターンの不連続領域を特定するための処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態の記録装置における記録動作の、特に、搬送ベルト駆動における間欠搬送の停止位置の調整処理を示すフローチャートである。
【図9】図8に示す処理によって実行される搬送位置調整を示す概念図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る検知パターンの不連続領域前後の搬送動作(停止位置)および使用ノズル数を示す概念図である。
【図11】図10に示す搬送制御を伴う記録動作に係る処理を示すフローチャートである。
【図12】第2の実施形態に係る、搬送量と記録ヘッドの使用ノズル数、使用ノズル位置との関係を説明する図であり、調整搬送量Qaで搬送する前の状態を示す図である。
【図13】(a)〜(d)は、第2の実施形態に係る、搬送量と記録ヘッドの使用ノズル数、使用ノズル位置との関係を説明する図であり、調整搬送量Qaによる搬送およびそれ以後の工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成を示す斜視図である。
【0014】
図1において、用紙Pは記録装置本体1の背面に設けられた背面給紙部300および底面に配置されたカセット500の双方に積載することができる。背面給紙部300に積載された用紙Pは給紙ローラ301と図示しない分離機構とにより1枚ずつ分離され、ベルト搬送部100へと給紙される。また、カセット500に積載された用紙Pも同様に1枚ずつ背面方向に搬送された後、反転給送部400により前面方向に反転され、ベルト搬送部100に給紙される。
【0015】
ベルト搬送部100は、駆動モータ105の駆動力がタイミングベルト106を介して伝えられる駆動ローラ102、用紙Pの搬送方向Aにおける下流側に設けられた従動ローラ103、これらのローラに掛け回された無端状の搬送ベルト101、および搬送ベルト101の裏面に対向するよう配置されたプラテン108などを有して構成されている。搬送ベルト101は、例えばポリイミドやETFEといった弾性を有する材質で形成されており、従動ローラ103をばね104によって付勢することにより、搬送ベルト101に張力を与えて、その緩みを防止している。
【0016】
搬送ベルト101の上方、プラテン108に対応する位置には記録部200が配置されている。記録部200は、インクを収納するインクタンク202、インクタンク202から供給されたインクを用紙Pに滴状に吐出して記録を行うための記録ヘッド(不図示)、それらを搭載したキャリッジ201などを有して構成されている。キャリッジ201は図示しない駆動モータにより用紙Pの搬送方向Aと直交する方向に、ガイドシャフト204に沿って往復移動を行うことができる。
【0017】
記録部200による用紙Pへの記録動作は、用紙Pを一定量搬送して停止する、いわゆる間欠搬送を行うベルト搬送部100の動作、記録部200の往復動作およびそれと同時に行われる記録ヘッド203からのインク吐出動作、とを繰り返すことにより行われる。
【0018】
図2は、ベルト搬送部100と記録部200の概略を示す断面図である。図2に示すように、駆動ローラ102に対して搬送ベルト101を押圧するように給電ローラ109が設けられ、これにより、駆動ローラ102によって搬送ベルト101を搬送駆動することができるとともに、搬送ベルト表面を帯電させることができる。給電ローラ109への電圧の付加は高圧電源110により行われる。用紙Pが搬送ベルト101に到達する時点で搬送ベルト101は帯電されており、静電気力によって用紙Pは搬送ベルト101に密着させられる。
【0019】
プラテン108には、搬送ベルトの移動経路に面してセンサ111が配置され、このセンサによって搬送ベルト101の裏面に設けられた検知用パターン112のスケールを検知し、検知するごとに検知信号を出力する。装置制御部(図4)は、センサ111による検知用パターン112の検出結果に基づいて駆動モータ105の駆動を制御し、それによって搬送ベルト101の搬送の速度や位置を制御することができる。なお、駆動モータ105は、このようなセンサを用意しその検出に基づくフィードバック制御によらない、定電流による定速駆動も可能なものである。
【0020】
また、記録部200の用紙Pに対向する部位には記録ヘッド203が配置されている。この記録ヘッドの往復走査によって、記録媒体としての用紙Pにインクを吐出して記録を行うことができる。
【0021】
図3は、記録ヘッドを用紙P側からみた平面図である。詳細には、キャリッジ201に、用紙搬送方向Aに沿って、互いに平行にブラック(BK)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)のインクを吐出するそれぞれの記録ヘッド203BK、203C、203M、203Yが装着されている。それぞれの記録ヘッド203には複数の吐出口203aが長さLの範囲に配列されている。この場合、用紙Pの搬送量をL以下とすることにより、インクを隙間なく用紙Pに着弾させることができる。
【0022】
図4は、図1〜図3を参照して説明した構成を有する本実施形態のインクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図である。記録装置600は、外部入力機器617とI/F部605を介してデータの入出力を行い、受信したデータに基づいて制御部601による処理によって記録用データを生成する。また、制御部601はモータドライバ609、610を介して搬送部駆動モータ105、記録部駆動モータ614を駆動するとともに、記録部200を制御して用紙への記録を実行する。
【0023】
記憶部606のEEPROM607は、後述する、検知パターン部材に配列するスケールの本数Xと、不連続領域のスケール数換算値Dsを格納される。また、減算パルスカウンタ604は、後述されるように、センサ111からのパルス数をカウントして検知パターン部材の不連続領域の位置を特定するために用いられる。
【0024】
図5は、本発明の一実施形態に係る搬送ベルト101の裏面を示す平面図である。搬送ベルト101の裏面には複数のスケールが搬送ベルトの移動方向に配列するよう印刷された検知パターン部材112が貼り付けられている。無端の搬送ベルト101の周長とこれに貼り付けられる検知パターン部材112の全長とは、図5に示すように検知パターン部材112の両端部112b、112cの継ぎ目に隙間112dができるように、公差も含めて設定されている。これを避けて、例えば、検知パターン部材112の両端部112b、112cを互いに重ね合わせるとすると、搬送ベルト101単体、搬送ベルト101と検知パターン部材112の貼付部、重ね合わせ部と三種類の厚み部ができる。その結果、搬送ベルト101が変形するおそれがある。搬送ベルト101の変形は、記録ヘッド203との距離を不安定とし、画質への影響が懸念される。また、重ね合わせ部周辺では検知パターン部材112の高さが変化する領域が増えるため、センサ111での読み取り誤差が発生するおそれもある。隙間112dが生じるように検知パターン部材の長さを決めることにより、このような不具合を防止することができる。
【0025】
検知パターン部材112は、搬送ベルト101と同色の基材と、この基材に印刷された基材とは反射率の異なる色のスケール112a(以下、スケールを代表的に「112a」で参照する)を有して構成されている。複数のスケール112aは、それぞれ幅Wを有し、ピッチPで基材上に配列されている。スケール112aの数は、検知パターン部材112全体でX本である。この値Xは後述されるように装置の記憶部に格納されている。本実施形態では、スケール112aのピッチPはスケール幅Wの2倍である。従って、隣接するスケール112a間の空白部112eの幅はスケールの幅と同じ値Wとなる。
【0026】
検知パターン部材112の両端部112b、112cと、それぞれに最も近いそれぞれのスケール112f、112gとの距離は上述のスケール幅Wの2倍である2W以上に設定する。これにより、センサを用いた検出の際に、仮に隙間112dがゼロであっても、スケール112fとスケール112gの間の空白部112eの長さが他のスケール間とは異なる4W以上となって検知パターン部材112の継ぎ目であることを特定することができる。
【0027】
検知パターン部材112の継ぎ目の隙間112dを挟んだスケール112fとスケール112gとの間の領域である、パターンの不連続領域112hの長さDは、間欠送りの搬送量よりも短く設定されている。この長さDは、搬送ベルト101に検知パターン部材112を貼付した後、記録装置への組み込み前に予め測定され、記憶部に格納されている。この格納される値は、上記長さDを、後述されるように搬送ベルトの移動に伴いセンサがスケールを検出する数に換算した値Dsである。
【0028】
ところで、このような不連続領域112hでは、スケール間隔が他の領域のスケール間隔より長いにも関わらず、センサ111で検出するときは、単に、連続した2つのスケールとして検出される。その結果、他の領域におけるスケール間の空白部の幅と同じ幅Wと認識され、スケールの検出信号をフィードバックする搬送制御に誤差が生じる。換言すれば、不連続領域では、空白部の幅Wの間隔でスケールが存在しないため、センサでスケールを検出することに基づいたフィードバック制御を正確に行うことができない。その結果、間欠搬送の停止制御は、センサが不連続領域112h内に対向するような状態では正確に行うことができない。
【0029】
そこで、本実施形態は、第1に、検知パターン部材112の不連続領域112h近傍における間欠送りの搬送量Fを、不連続領域112hの長さDよりも長くする。換言すれば、不連続領域112hの長さDを搬送量Fよりも短く設定する。そして、第2に、図8等で後述されるように、複数回の間欠搬送によって用紙に所定の記録を行う場合に、間欠搬送の搬送停止時にセンサの位置が不連続領域112h内に位置しないように、予め上記複数回の間欠搬送のセンサに対する位置調整を行う。以上により、たとえ継ぎ目が存在しても、継ぎ目を避けて正確な位置に搬送ベルト101を停止させることが可能となる。
【0030】
図6および図7は、上記位置調整を行うための不連続領域の特定処理を説明する図である。図6は、搬送ベルト101を駆動する駆動モータ105を定電流駆動した時の、検知パターン部材112の不連続領域112h前後におけるセンサ111の出力状態を示している。また、減算パルスカウンタの値の変化についても、同時に示している。印加する電流値は、スケール幅W通過時の時間が概ねtになるように負荷変動に起因する速度誤差を考慮してあらかじめ設定され、記憶部606のEEPROM607に格納されているものを使用する。
【0031】
センサ111は、反射型光学センサであり、検知パターン部材112に照射した光の反射光量を検出し、それに応じてHighとLowの信号を出力する。ここではスケール112a部においてHigh、空白部112eにおいてLowの信号を出力する。
【0032】
搬送ベルト101は位置検知用スケール112の基材と同色であるため、位置検知用スケール112の不連続領域112h、つまり搬送ベルト101からの反射光は空白部112eと同じLow信号が、時間にして4t以上出力される。従って、設定された電流値により定電流で搬送ベルト101を駆動すると、検知パターン部材112の不連続領域112hでは、センサ111からの出力として前述した4t以上のLow信号が検出される。
【0033】
図7は、検知パターンの不連続領域を特定するための不連続領域特定処理を示すフローチャートである。
【0034】
最初に、ステップS701で、EEPROM607に格納されている電流値Jで搬送ベルト101の駆動モータ105を定電流駆動し、センサ11に対して搬送ベルト、つまり検知パターン部材112を移動させる。上述の通り、この電流値Jで駆動した際にはスケール112aを通過する時間は概ねtに設定されている。なお、この移動の際には、センサ111によるスケール検知に伴う減算カウンタ値の減算は行わない。
【0035】
この駆動の間に、ステップS702で、センサ111の出力が、Low信号を2t以上発生したか否かを判定する。すなわち、センサ111(の位置)が検知パターン部材112の不連続領域112hに到達したか否かを判定する。図6で示したように、センサ111の出力は、定電流駆動で検知パターン部材112の不連続領域112hを通過する際には少なくとも4t以上のLow信号が発生するが、マージンを考慮してここでは閾値を2tと設定している。このステップS703でセンサ111の出力のLow信号が2t以上発生することを判定するまでベルと移動のための駆動が行われる。
【0036】
ステップS702でLow信号が2t以上検出されたことが判断されると、次のステップS703で、減算パルスカウンタ604の値YをEEPROM607に記憶されているスケール本数Xに基づく2X−1の値を入力して、カウンタのセットを行う。ここで、スケール本数Xの2倍である2Xを用いるのは、分解能を上げるべく、センサ111によりスケールの両エッジを検出するためである。また最終的に値をゼロとするために、2Xから1を引いた値としている(図6のY値を参照のこと)。
【0037】
ステップS704では、ステップS703で減算パルスカウンタ値を設定した後、停電流駆動によるベルトの移動に伴ってセンサ111がスケールを検出するごとに減算パルスカウンタ604のカウンタ値を減算する。すなわち、減算パルスカウンタ604はセンサ111の出力でLow信号からHigh信号への立ち上り信号またはHigh信号からLow信号への立下り信号のどちらかが確認されると、カウンタ値Yから1を減算し、以後、信号が確認されるごとに減算を繰り返す。
【0038】
そして、ステップS705で、搬送ベルト101の初期位置などの所定位置で駆動モータ105を停止して搬送ベルト101を停止する。そして、ステップS706で停止したときの減算パルスカウンタ604の値をRAM608に格納して、不連続領域112hの位置を特定する処理を終了する。
【0039】
このように、先ず、センサ111が検知パターン部材112の不連続領域112h内に位置する初期位置を求め(S702)、この位置から搬送ベルトの所定位置まで搬送ベルトが移動する距離を、減算パルスカウンタ604の値Yによって求める(S706)。これにより、搬送ベルトの駆動を開始する所定位置から検知パターン部材112の不連続領域112hまでの、センサ111に対する、スケール数に換算した距離を知ることができる。なお、搬送ベルト101が1周し、減算パルスカウンタ604の値Yがゼロとなった場合には、減算パルスカウンタ604の値Yに再度2X−1を入力する。これにより、常にセンサ111から検知パターン部材112の不連続領域112hまでのスケール数を把握することが可能となる。
【0040】
なお、本実施形態では、減算パルスカウンタ604の値YがRAM608に格納されているため、装置の電源オフによって消失する。そのため、電源オン時には、常に、図7に示す処理を行う。その他、電源オンの間は減算パルスカウンタ604を常時起動しているので、特に行う必要はないが、必要に応じて動作させるようにしてもよい。
【0041】
図8は、本実施形態の記録装置における記録動作の、特に、搬送ベルト駆動における間欠搬送の停止位置の調整処理を示すフローチャートである。
【0042】
本処理は、外部入力機器617からI/F部605を介してデータを受信することにより開始される。先ず、ステップS801で、受信データから記録用データを作成してRAM608に格納する。前述の通り、本実施形態の記録装置はベルト搬送部100による用紙Pの間欠搬送と、記録部200による用紙Pへの記録とを繰り返すものである。従ってここで言う記録用データとは、ベルト搬送部100による搬送量、キャリッジ201の動作量、記録ヘッド203によるインクの吐出タイミング、記録ヘッド203の使用ノズル位置などを言う。
【0043】
次に、ステップS802で、記録用データのうち、記録終了までの各間欠搬送でその搬送が停止するまでのスケール数を算出する。詳しくは、以下のように、センサ111の位置を基準として、搬送ベルトの所定位置からそれぞれの間欠搬送の停止位置までのスケール数換算距離が求められる。ここで、括弧内の数字は搬送駆動開始から何回目の停止かを示している。
B(1):搬送ベルトの所定位置から1回目の記録のための停止位置までの搬送スケール数
B(2):搬送ベルトの所定位置から2回目の記録のための停止位置までの搬送スケール数
B(3):搬送ベルトの所定位置から3回目の記録のための停止位置までの搬送スケール数
・
・
B(n):搬送ベルトの所定位置からn回目の記録のための停止位置(最終行)までの搬送スケール数
B(n+1):搬送ベルトの所定位置から用紙排紙後の停止位置までの搬送スケール数
次のステップS803では、以上のように求めたB(1)〜B(n+1)の値を、図7に示す処理で求めた減算パルスカウンタ604の値Yと比較し、値Yより大きい値となるものがあるか否かの判定を行う。すなわち、記録中にセンサ111の検出領域(位置)に不連続領域112hが到達するか否かを判定する。ここで、値Yより大きい値が存在しないと判定される場合は、ステップS806に移行して記録を開始する。
【0044】
値Yよりも大きい値が存在する場合、次のステップS804で、その中で最も値Yに近い値B(m)によるm回目の停止位置が不連続領域112h内か否かを判定する。具体的には、スケール数に換算した距離で、B(m)がYと不連続領域の距離Dsとの和より小さい場合は、停止位置が不連続領域112h内であると判断する。ここで、停止位置が不連続領域112h内に存在しない場合は、ステップS806に移行して記録を開始する。
【0045】
ステップS804で、m回目の停止位置が不連続領域112h内にあると判定された場合は、この停止位置を不連続領域112h外にずらす調整を行う。すなわち、ステップS805で、駆動モータ105を駆動して搬送ベルト101を、
調整搬送量:Y+DsーB(m) [scale]
だけ正転させる。その後、ステップS806に移行して記録を開始する。
【0046】
なお、ここで説明したステップS801からS805までの調整判断および調整動作は、用紙を搬送ベルトに密着させる前に、搬送ベルトだけを駆動して行うものである。
【0047】
図9は、図8を参照して上述した処理によって実行される調整を示す概念図である。図9は、センサ111と検知パターン部材112との相対的な位置関係として示されている。すなわち、センサ111を停止位置Bに置き換え、この停止位置Bが検知パターン部材112に対して動くように表現されている。
【0048】
図9の左端は記録動作において搬送ベルトの駆動を開始する所定位置に対応し、この位置は、上述したように不連続領域112h(本例では、不連続領域の左端)から減算カウンタ値Yに対応する距離にある。そして、調整前の停止位置について、m回目の記録動作のための停止位置が、不連続領域112h内に存在していることを示している。
【0049】
これに対し、本実施形態は、図8のステップS805で、停止位置の調整を行い、不連続領域112h内に存在していた停止位置B(m)を、不連続領域112hの後方(本例では、不連続領域の右端)に移動させる。ここで、前述したように、停止位置B(m−1)と停止位置B(m)との間の搬送量よりも不連続領域112hの長さDは短く設定してあることから、この調整後でも停止位置B(m−1)が不連続領域112h内に入ることはない。
【0050】
なお、以上説明した例は、不連続領域を越えてスケールが再び現れる位置(図6に示すスケール112gの左端)に停止位置B(m)を移動するようにしたものである。スケール幅の誤差、スケール間ピッチの誤差、また、停止精度のさらなる向上のためにスケールを検出しつつ停止させることなどを考慮すると、停止位置B(m)は、マージンをもってさらに後方(図6で右方向)に位置させることが好ましい。また、検知パターンの継ぎ目部分は、搬送ベルトだけが存在している。環境の変化による搬送ベルトの伸縮を考慮して、環境センサ603(図4)によって記録装置の使用環境を検出して、継ぎ目部分のスケール数補正を行っても良い。
【0051】
以上説明したように、検知パターンに継ぎ目などの不連続領域が存在していても、不連続領域の長さを、センサが同部近傍にある場合の間欠送りの搬送量よりも短く設定する。また、これとともに、複数回の間歇搬送全体のセンサに対する位置を調整する。これにより、不連続領域にセンサが停止することを回避でき、その結果、間欠送りにおける停止精度の低下を防止することが可能となる。
【0052】
(第2実施形態)
上述した第1の実施形態は、記録前にデータを確認し、センサが検知パターンの不連続領域に停止すると予測される場合は、その停止位置を不連続領域を越えた後方位置に移動する調整動作を行うものである。これに対し、本発明の第2の実施形態は、記録途中にセンサと検知パターンの不連続領域との距離が、所定距離より小さくなった時点から搬送量を調整し、停止位置を不連続領域手前の指定した領域内に停止させるものである。これにより、不連続領域内での停止を回避する。また、第2実施形態は、いわゆるマルチパス記録方式による3パス記録の例に関する。この3パス記録は、用紙の一定領域の記録を、記録ヘッドの3回の走査とこれら走査の間に上記一定領域に対応した量の用紙の間歇搬送を行うことによって完成する方式である。これにより、例えば、特殊紙などのインク受容量の高い用紙に階調性の高い写真品位の記録を行うことができる。なお、以下の説明では、記録ヘッドのノズル数を512、ノズル配列長さをL(ノズル配列ピッチ×ノズル数)として説明を行う。また、本発明の第2の実施形態に係る装置構成は特に説明のない限り第1の実施形態について上述したものと同じである。
【0053】
図10は、本発明の第2の実施形態に係る検知パターンの不連続領域前後の搬送動作(停止位置)および使用ノズル数を示す概念図である。
【0054】
図10において、Qは、間歇搬送の搬送量を示しており、Q1、Q2、Q3、Q4はあらかじめ設定された搬送量を示している。また、Qaは、不連続領域までの距離Fに基づいて調整された結果得られる搬送量を示している。この調整搬送により、センサ111を不連続領域112hの手前の所定領域G内に停止させることができる。
【0055】
調整搬送開始位置Eに到達するまでは、通常記録として全てのノズル(512ノズル)を使用して3パス記録を行う。ノズル全長Lに対して、5L/16または6L/16のいずれかを搬送量とし、搬送量を5L/16、6L/16、5L/16を1組とすることにより、合計をノズル全長列Lに等しくすることができる。ここでは、Q1=5L/16、Q2=6L/16としている。Q3、Q4、Qaの詳細については後述する。
【0056】
図11は、上記搬送制御を伴う記録動作に係る処理を示すフローチャートである。本処理は、外部入力装置617からI/F部605を介してデータを受信することによって起動される。以下、図10を併せて参照して説明する。
【0057】
ステップS901で、図7に示した処理によって求めた、センサ111と不連続領域112hとの距離Yが、調整搬送可否判定位置C(図10)と不連続領域112hとの距離Cs(図10)よりも小さいか否かを判定する。現在位置における不連続領域までのスケール数Yと調整搬送可否判定スケール数Csとを比較して、小さいと判定(Y<Cs)すると、ステップS902で、Cs<Yとなるように駆動モータ105を駆動して搬送ベルト101を移動する。すなわち、Y<Csの場合には、センサ111に対応する、記録開始時の搬送ベルトの所定位置まで搬送ベルトを移動させる。この場合、例えば、搬送ベルトを正転して上記位置を不連続領域112hの先に移動してよいし、搬送ベルトを逆転して現在位置を調整搬送可否判断位置Cの手前に移動してもよい。これにより、最初の搬送後の停止位置が後述の調整搬送開始位置Eを越えて不連続領域112hに近づきすぎて調整搬送が行えない状態を回避することができる。
【0058】
以上の処理の後、ステップS903で記録を開始し、記録中はステップS904で調整搬送開始位置Eにセンサ111が到達したかどうかを判断する。到達していな間は、ステップS911で記録が終了したか否かを判定して記録が終了していれば、本処理を終了する。
【0059】
ステップS904で、調整搬送開始位置Eにセンサ111が到達した判断すると、ステップS905で、センサの搬送ベルトに対する現在位置から不連続領域までのスケール数Yの値を、Q3により除し、その余りの値に基づいて調整搬送量Qaを決定する。Q3およびQaは、図12等でそれらの詳細が説明される。
【0060】
ステップS906〜S909およびS911は、上記搬送量Q3およびQaに基づく搬送調整処理である。まず、ステップS906で、図10に示すように搬送量Q3の搬送と記録動作を3回行う。この3回の記録動作では、記録ヘッド203の使用するノズル数を毎回削減してゆき、最終的に全ノズル数の3/4(384ノズル)まで削減する。
【0061】
ステップS907では、ステップS905で決定された調整搬送量Qa(図10)の搬送と記録動作を行う。このときの記録で使用するノズル数はステップS906で削減された最終のノズル数と同じであるが、使用するノズル範囲を変更する。
【0062】
ステップS908で、Yの値により所定領域G内にセンサ111が到達したか否かを判断する。所定領域G内に入っていないときは、ステップS911で、搬送量Q3で搬送を行う。そして、ステップS907と同一のノズル数およびノズル位置にて記録を行う。その後、再度ステップS908の判断を行う。
【0063】
ステップS908で、センサ111が所定領域G内に入ったことを確認すると、次のステップS909で、所定の搬送量Q4で搬送を行う。この搬送における記録時には、使用ノズル数はステップS907、S908と同一であるが、使用するノズル範囲をステップS908の範囲からさらに移動する。
【0064】
なおベルトの長さ、用紙の長さの関係によっては、記録中に検知パターンの不連続領域の通過が複数回発生する可能性がある。その場合は本処理のステップS904以降を複数回繰り返すことによって対応する。
【0065】
図12は、搬送量と記録ヘッドの使用ノズル数、使用ノズル位置との関係を説明する図であり、調整搬送量Qaで搬送する前の状態を示している。なお、図12は、用紙(=搬送ベルト)と記録ヘッドとの相対関係を示しており、図示および説明を簡略化するため、用紙が固定され記録ヘッドが用紙搬送方向と逆方向に移動するように表している。また、図中のカッコを付した数字は用紙搬送工程の順序を示している。さらに、縦長の四角が(記録ヘッドの)ノズル列を示し、縦方向の長辺がノズル全長Lである。ここでは、ノズル列を16のブロックに分割していることを示しており、グレーで示される領域が使用ノズル領域を、空白の領域が未使用ノズル領域を示している。また、下方向が用紙搬送方向と逆方向を示す。さらに、便宜上、図中ではノズル列下端をセンサ111の位置として表している。つまり、この下端が搬送ベルト(検知パターン)における位置Eに到達する搬送の、次の搬送から調整工程であることを示している。
【0066】
図12において、搬送工程(1)〜(3)は通常の3パス記録の工程であり、全てのノズルを使用して、搬送量5L/16(Q1)、6L/16(Q2)、5L/16(Q1)を繰り返して記録を行う。ここで、工程(1)および(3)の搬送量が5L/16(Q1)、工程(2)が6L/16(Q2)である。
【0067】
センサ位置が調整搬送開始位置Eを越えると、搬送量をL/4(Q3)に変更し、ノズル数を徐々に減らしてゆく。3回の搬送動作において1回目はL/16(4)、2回目は3L/16(5)、3回目はL/4(6)だけ搬送方向下流側のノズルを未使用ノズルとする。この結果、3回の動作を終了した時点で使用ノズル数は3/4L(384ノズル)となり、以後の搬送量は上述したL/4(Q3)としているので、3回の搬送および記録動作で使用ノズル数と等しくなり、調整後でも3パス記録が可能となる。なお、上述した工程(4)および(5)のノズル削減量は一例である。この工程に入る直前の搬送量が5L/16、6L/16のいずれか、また同じ5L/16でも6L/16の前か後かによって異なるものであるが、同様の考え方で容易に算出することができる。いずれの場合においても、3回の搬送後には同値L/4になる。
【0068】
図13(a)〜(d)は、搬送量と記録ヘッドの使用ノズル数、使用ノズル位置との関係を説明する図であり、調整搬送量Qaによる搬送およびそれ以後の工程を示している。図中のカッコを付した数字は図12示す搬送工程から続く搬送工程を示している。
【0069】
上述した通り、調整搬送量Qaは、Yの値をL/4(Q3)により除算した余りkの値に基づいて決定される。除算した余りkの値は、搬送量L/4で搬送し続けた場合に不連続領域112hのからどれだけ離れた位置に停止するかということを示しており、余りであるからその距離はL/4未満となる。つまり、調整搬送とは、不連続領域直前の停止位置を、できるだけ不連続領域に近い領域内にする動作である。
【0070】
本実施形態では所定領域Gの長さをqとしている。従って、調整搬送量Qaと余りの関係は以下の通りとなる。
余りk 調整搬送量Qa
0≦k≦q L/4
q<k≦2q L/4+q
2q<k≦3q L/4+2q
3q<k<4q L/4+3q
この調整搬送を行うことにより、全ての場合において不連続領域112hの手前の長さqの所定領域G内に停止させることができる。
【0071】
図13(a)〜(d)は、調整搬送量Qaが上記の「L/4」、「L/4+q」、「L/4+2q」、「L/4+3q」である場合にそれぞれ対応している。また、それぞれの図中、工程(7)は、調整搬送量Qaによる調整搬送工程、工程(8)はその後の所定領域Gに到達するまでの搬送工程、工程(9)は不連続領域を越える搬送工程、工程(10)はその次の工程をそれぞれ示している。なお、工程(8)は同じ工程として複数回繰り返される場合もあるが、ここでは1回として示している。
【0072】
搬送工程(7)は上述の通り、それぞれの搬送量Qaで搬送を行う。このときの記録ヘッドにおける使用ノズル範囲は、図13(a)の場合は移動しない。図13(b)〜(d)の場合は、調整搬送量QaがL/16ずつ増えるので、使用ノズル位置についてもその増加分だけ下流側にずらす。
【0073】
次に、工程(8)の搬送量は、図10に示すように全てQ3=「L/4」である。ただし、使用ノズル範囲はそれぞれ工程(7)で移動した位置のノズル範囲となる。
【0074】
工程(9)は、不連続領域を越える工程であり、図11の処理で説明したように、工程(8)の搬送後、センサが所定領域Gに到達した後に行われる。本実施形態では、搬送量Q4は「L/4+q」に設定している。このとき、全ての場合において、搬送量がL/16だけ増えるため、前述の考え方と同様、使用ノズル位置を工程(8)の使用ノズル範囲に対して、それぞれL/16だけ下流側に移動する。ここで、不連続領域の長さD(スケール数Ds)をこの値Q4(L/4+L/16)よりも小さく設定しておくことにより、不連続領域を越えることが可能である。
【0075】
次に、工程(10)では、搬送量は、図10に示すように全てQ3=「L/4」である。使用ノズル位置はそれぞれ工程(9)で移動した位置のノズル範囲となる。以降、工程(10)の搬送を続けることにより、3パス記録が繰り返される。
【0076】
以上説明したように、記録中にセンサが不連続領域まで一定距離に到達した時点で、不連続領域までの距離に基づいて、不連続領域の直前の停止位置を不連続領域の手前の一定領域内に停止させるように搬送量調整を行う。これにより、センサが確実に不連続領域を越えることが可能となり、間歇搬送における停止精度の低下を防止することができる。
【0077】
また、搬送量調整において、記録ヘッドの使用ノズル数と使用ノズル範囲とを変更する制御を行うことにより、3パス記録のような高階調の記録でも破綻のない記録が可能となる。また、ベルトの長さ、用紙の長さの関係により、記録中に検知パターンの不連続領域の通過が複数回発生する場合にも対応することができる。
【0078】
(他の実施形態)
以上説明した実施形態は、インクジェット方式によって記録を行う記録装置に関するものであるが、本発明の適用は、このようなインクジェット方式の記録装置に限られないことはもちろんである。搬送ベルトによって搬送される記録媒体に対して記録を行う装置であれば本発明を適用できることは以上の説明からも明らかである。
【符号の説明】
【0079】
100 ベルト搬送部
101 搬送ベルト
111 センサ
112 検知パターン部材
112a スケール
112d 検知パターンの隙間
112h 検知パターンの不連続領域
200 記録部
203 記録ヘッド
604 減算パルスカウンタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置および搬送制御方法に関し、詳しくは、記録媒体などの搬送において、スケールパターンを検出して搬送量などの制御を行う技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
記録装置における搬送機構の一例として、搬送方向に間隔を置いて配置されたローラ間に無端状のベルトを掛け回し、その搬送ベルトの表面にシートなどの記録媒体を密着させて搬送ベルトを駆動し記録媒体を搬送するものがある。そして、このようなベルトを用いた搬送機構における搬送量などを制御する構成として、搬送ベルト自体の移動量を直接検出し、それに基づいて搬送量の制御を行うものが知られている。例えば、搬送ベルトの面に間隔を置いた複数のスケールを設け、これら複数のスケールを搬送ベルトの移動に伴って順次センサによって検出することにより、搬送ベルトの移動量などを知るものである。
【0003】
無端状のベルトに対する複数のスケールを配列したパターンの設定は、一般には、そのスケールパターンを形成した部材をベルトに貼付することによって行われる。この場合、ベルトの周長とスケールパターンを形成した部材の全長との公差などを考慮して、スケールパターン部材の両端部の継ぎ目部分にはある程度の隙間が生じさせている。この隙間によって、その隙間の両側のスケールの間隔は他のスケールの間隔よりも長くなり、それが正確な搬送量制の障害となることがある。
【0004】
この隙間部分に起因した搬送量制御の不都合を回避する方法が特許文献1に記載されている。同文献には、スケールパターンの移動方向における上流側と下流側それぞれにパターンを検出するセンサを設けることが記載されている。そして、上流側センサが上述の隙間部分を検出した後、その隙間部分が下流側センサの検出位置に到達する前に、上流側センサによる検出に切り替えるものである。これによれば、制御に使用するパターン検出結果に隙間部分の影響が及ばないようにすることができ、ベルト移動の等速度制御が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−154162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている構成では、センサを複数設ける必要があり、装置のコストアップとなる。また、下流側のセンサでスケールを検出している間も、隙間部分を検出するために上流側のセンサによる検出動作が必要となり、常に二つのセンサを動作させることによる処理負荷増大という問題がある。
【0007】
特許文献1に記載のベルト搬送制御は、このような基本的な問題の他に、いわゆるシリアルプリンタのような、記録媒体の間欠搬送を行い高い搬送精度が求められる記録装置では、上述したスケールの隙間部分に係わる別の問題がある。すなわち、間欠搬送ではセンサの検出領域に対して隙間部分が停止する可能性があるが、その隙間部分にはスケールが存在しないため、スケールを検出することによる精度の高い搬送制御ができず、正確な位置に記録媒体を停止させることができないという問題がある。そして、このような間欠搬送における停止精度の低下の問題は、特許文献1に記載の2つのセンサを用いる構成に特有なものでは無い。すなわち、広く、搬送ベルトに設けられたスケールをセンサによって検出しその検出結果に基づいて搬送制御を行う構成において生じ得る問題である。
【0008】
本発明の目的は、搬送制御で用いる検知用スケールのパターンにおける隙間部分のようなスケールの不連続部分が存在しても、間欠送りにおける停止精度の低下を防止することが可能な記録装置および搬送制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのために本発明では、搬送ベルトによって搬送される記録媒体に対して記録を行う記録装置であって、前記搬送ベルトに設けられた、複数のスケールを当該搬送ベルトの移動方向に配列した検知パターンであって、隣接するスケール間の距離が前記複数のスケールの配列におけるそれぞれの隣接するスケール間の距離より大きい不連続領域を有した検知パターンと、前記搬送ベルトの移動経路に面して設けられセンサを備え、前記搬送ベルトの検知パターンにおけるスケールを検知する検知手段と、前記搬送ベルトを当該搬送方向に移動させるとともに、該搬送ベルトの移動に伴って前記検知手段が前記スケールを検知するごとに出力する検知信号に基づいて記録媒体の間歇搬送を行う搬送手段と、前記間歇搬送される記録媒体に対して記録を行う記録手段と、を具え、前記搬送手段は、連続する間歇搬送の間の搬送停止時に前記センサが前記検知パターンの不連続領域を検知しないように当該間歇搬送を行うとともに、前記間歇搬送の搬送量は前記不連続領域の前記距離より大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上の構成によれば、連続する間歇搬送の間の搬送停止時にセンサが検知パターンの不連続領域を検知しないようにその間歇搬送を行うとともに、間歇搬送の搬送量が不連続領域の搬送方向の距離より大きくすることができる。これにより、搬送制御で用いる検知用スケールのパターンにおける隙間部分のようなスケールの不連続部分が存在しても、間欠送りにおける停止精度の低下を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示したベルト搬送部と記録部の概略を示す断面図である。
【図3】図2に示した記録ヘッドを用紙P側からみた平面図である。
【図4】図1〜図3に示した本実施形態のインクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る搬送ベルト101の裏面を示す平面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係り、搬送ベルトの位置調整を行うための不連続領域の特定処理を説明する図である。
【図7】検知パターンの不連続領域を特定するための処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態の記録装置における記録動作の、特に、搬送ベルト駆動における間欠搬送の停止位置の調整処理を示すフローチャートである。
【図9】図8に示す処理によって実行される搬送位置調整を示す概念図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る検知パターンの不連続領域前後の搬送動作(停止位置)および使用ノズル数を示す概念図である。
【図11】図10に示す搬送制御を伴う記録動作に係る処理を示すフローチャートである。
【図12】第2の実施形態に係る、搬送量と記録ヘッドの使用ノズル数、使用ノズル位置との関係を説明する図であり、調整搬送量Qaで搬送する前の状態を示す図である。
【図13】(a)〜(d)は、第2の実施形態に係る、搬送量と記録ヘッドの使用ノズル数、使用ノズル位置との関係を説明する図であり、調整搬送量Qaによる搬送およびそれ以後の工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成を示す斜視図である。
【0014】
図1において、用紙Pは記録装置本体1の背面に設けられた背面給紙部300および底面に配置されたカセット500の双方に積載することができる。背面給紙部300に積載された用紙Pは給紙ローラ301と図示しない分離機構とにより1枚ずつ分離され、ベルト搬送部100へと給紙される。また、カセット500に積載された用紙Pも同様に1枚ずつ背面方向に搬送された後、反転給送部400により前面方向に反転され、ベルト搬送部100に給紙される。
【0015】
ベルト搬送部100は、駆動モータ105の駆動力がタイミングベルト106を介して伝えられる駆動ローラ102、用紙Pの搬送方向Aにおける下流側に設けられた従動ローラ103、これらのローラに掛け回された無端状の搬送ベルト101、および搬送ベルト101の裏面に対向するよう配置されたプラテン108などを有して構成されている。搬送ベルト101は、例えばポリイミドやETFEといった弾性を有する材質で形成されており、従動ローラ103をばね104によって付勢することにより、搬送ベルト101に張力を与えて、その緩みを防止している。
【0016】
搬送ベルト101の上方、プラテン108に対応する位置には記録部200が配置されている。記録部200は、インクを収納するインクタンク202、インクタンク202から供給されたインクを用紙Pに滴状に吐出して記録を行うための記録ヘッド(不図示)、それらを搭載したキャリッジ201などを有して構成されている。キャリッジ201は図示しない駆動モータにより用紙Pの搬送方向Aと直交する方向に、ガイドシャフト204に沿って往復移動を行うことができる。
【0017】
記録部200による用紙Pへの記録動作は、用紙Pを一定量搬送して停止する、いわゆる間欠搬送を行うベルト搬送部100の動作、記録部200の往復動作およびそれと同時に行われる記録ヘッド203からのインク吐出動作、とを繰り返すことにより行われる。
【0018】
図2は、ベルト搬送部100と記録部200の概略を示す断面図である。図2に示すように、駆動ローラ102に対して搬送ベルト101を押圧するように給電ローラ109が設けられ、これにより、駆動ローラ102によって搬送ベルト101を搬送駆動することができるとともに、搬送ベルト表面を帯電させることができる。給電ローラ109への電圧の付加は高圧電源110により行われる。用紙Pが搬送ベルト101に到達する時点で搬送ベルト101は帯電されており、静電気力によって用紙Pは搬送ベルト101に密着させられる。
【0019】
プラテン108には、搬送ベルトの移動経路に面してセンサ111が配置され、このセンサによって搬送ベルト101の裏面に設けられた検知用パターン112のスケールを検知し、検知するごとに検知信号を出力する。装置制御部(図4)は、センサ111による検知用パターン112の検出結果に基づいて駆動モータ105の駆動を制御し、それによって搬送ベルト101の搬送の速度や位置を制御することができる。なお、駆動モータ105は、このようなセンサを用意しその検出に基づくフィードバック制御によらない、定電流による定速駆動も可能なものである。
【0020】
また、記録部200の用紙Pに対向する部位には記録ヘッド203が配置されている。この記録ヘッドの往復走査によって、記録媒体としての用紙Pにインクを吐出して記録を行うことができる。
【0021】
図3は、記録ヘッドを用紙P側からみた平面図である。詳細には、キャリッジ201に、用紙搬送方向Aに沿って、互いに平行にブラック(BK)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)のインクを吐出するそれぞれの記録ヘッド203BK、203C、203M、203Yが装着されている。それぞれの記録ヘッド203には複数の吐出口203aが長さLの範囲に配列されている。この場合、用紙Pの搬送量をL以下とすることにより、インクを隙間なく用紙Pに着弾させることができる。
【0022】
図4は、図1〜図3を参照して説明した構成を有する本実施形態のインクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図である。記録装置600は、外部入力機器617とI/F部605を介してデータの入出力を行い、受信したデータに基づいて制御部601による処理によって記録用データを生成する。また、制御部601はモータドライバ609、610を介して搬送部駆動モータ105、記録部駆動モータ614を駆動するとともに、記録部200を制御して用紙への記録を実行する。
【0023】
記憶部606のEEPROM607は、後述する、検知パターン部材に配列するスケールの本数Xと、不連続領域のスケール数換算値Dsを格納される。また、減算パルスカウンタ604は、後述されるように、センサ111からのパルス数をカウントして検知パターン部材の不連続領域の位置を特定するために用いられる。
【0024】
図5は、本発明の一実施形態に係る搬送ベルト101の裏面を示す平面図である。搬送ベルト101の裏面には複数のスケールが搬送ベルトの移動方向に配列するよう印刷された検知パターン部材112が貼り付けられている。無端の搬送ベルト101の周長とこれに貼り付けられる検知パターン部材112の全長とは、図5に示すように検知パターン部材112の両端部112b、112cの継ぎ目に隙間112dができるように、公差も含めて設定されている。これを避けて、例えば、検知パターン部材112の両端部112b、112cを互いに重ね合わせるとすると、搬送ベルト101単体、搬送ベルト101と検知パターン部材112の貼付部、重ね合わせ部と三種類の厚み部ができる。その結果、搬送ベルト101が変形するおそれがある。搬送ベルト101の変形は、記録ヘッド203との距離を不安定とし、画質への影響が懸念される。また、重ね合わせ部周辺では検知パターン部材112の高さが変化する領域が増えるため、センサ111での読み取り誤差が発生するおそれもある。隙間112dが生じるように検知パターン部材の長さを決めることにより、このような不具合を防止することができる。
【0025】
検知パターン部材112は、搬送ベルト101と同色の基材と、この基材に印刷された基材とは反射率の異なる色のスケール112a(以下、スケールを代表的に「112a」で参照する)を有して構成されている。複数のスケール112aは、それぞれ幅Wを有し、ピッチPで基材上に配列されている。スケール112aの数は、検知パターン部材112全体でX本である。この値Xは後述されるように装置の記憶部に格納されている。本実施形態では、スケール112aのピッチPはスケール幅Wの2倍である。従って、隣接するスケール112a間の空白部112eの幅はスケールの幅と同じ値Wとなる。
【0026】
検知パターン部材112の両端部112b、112cと、それぞれに最も近いそれぞれのスケール112f、112gとの距離は上述のスケール幅Wの2倍である2W以上に設定する。これにより、センサを用いた検出の際に、仮に隙間112dがゼロであっても、スケール112fとスケール112gの間の空白部112eの長さが他のスケール間とは異なる4W以上となって検知パターン部材112の継ぎ目であることを特定することができる。
【0027】
検知パターン部材112の継ぎ目の隙間112dを挟んだスケール112fとスケール112gとの間の領域である、パターンの不連続領域112hの長さDは、間欠送りの搬送量よりも短く設定されている。この長さDは、搬送ベルト101に検知パターン部材112を貼付した後、記録装置への組み込み前に予め測定され、記憶部に格納されている。この格納される値は、上記長さDを、後述されるように搬送ベルトの移動に伴いセンサがスケールを検出する数に換算した値Dsである。
【0028】
ところで、このような不連続領域112hでは、スケール間隔が他の領域のスケール間隔より長いにも関わらず、センサ111で検出するときは、単に、連続した2つのスケールとして検出される。その結果、他の領域におけるスケール間の空白部の幅と同じ幅Wと認識され、スケールの検出信号をフィードバックする搬送制御に誤差が生じる。換言すれば、不連続領域では、空白部の幅Wの間隔でスケールが存在しないため、センサでスケールを検出することに基づいたフィードバック制御を正確に行うことができない。その結果、間欠搬送の停止制御は、センサが不連続領域112h内に対向するような状態では正確に行うことができない。
【0029】
そこで、本実施形態は、第1に、検知パターン部材112の不連続領域112h近傍における間欠送りの搬送量Fを、不連続領域112hの長さDよりも長くする。換言すれば、不連続領域112hの長さDを搬送量Fよりも短く設定する。そして、第2に、図8等で後述されるように、複数回の間欠搬送によって用紙に所定の記録を行う場合に、間欠搬送の搬送停止時にセンサの位置が不連続領域112h内に位置しないように、予め上記複数回の間欠搬送のセンサに対する位置調整を行う。以上により、たとえ継ぎ目が存在しても、継ぎ目を避けて正確な位置に搬送ベルト101を停止させることが可能となる。
【0030】
図6および図7は、上記位置調整を行うための不連続領域の特定処理を説明する図である。図6は、搬送ベルト101を駆動する駆動モータ105を定電流駆動した時の、検知パターン部材112の不連続領域112h前後におけるセンサ111の出力状態を示している。また、減算パルスカウンタの値の変化についても、同時に示している。印加する電流値は、スケール幅W通過時の時間が概ねtになるように負荷変動に起因する速度誤差を考慮してあらかじめ設定され、記憶部606のEEPROM607に格納されているものを使用する。
【0031】
センサ111は、反射型光学センサであり、検知パターン部材112に照射した光の反射光量を検出し、それに応じてHighとLowの信号を出力する。ここではスケール112a部においてHigh、空白部112eにおいてLowの信号を出力する。
【0032】
搬送ベルト101は位置検知用スケール112の基材と同色であるため、位置検知用スケール112の不連続領域112h、つまり搬送ベルト101からの反射光は空白部112eと同じLow信号が、時間にして4t以上出力される。従って、設定された電流値により定電流で搬送ベルト101を駆動すると、検知パターン部材112の不連続領域112hでは、センサ111からの出力として前述した4t以上のLow信号が検出される。
【0033】
図7は、検知パターンの不連続領域を特定するための不連続領域特定処理を示すフローチャートである。
【0034】
最初に、ステップS701で、EEPROM607に格納されている電流値Jで搬送ベルト101の駆動モータ105を定電流駆動し、センサ11に対して搬送ベルト、つまり検知パターン部材112を移動させる。上述の通り、この電流値Jで駆動した際にはスケール112aを通過する時間は概ねtに設定されている。なお、この移動の際には、センサ111によるスケール検知に伴う減算カウンタ値の減算は行わない。
【0035】
この駆動の間に、ステップS702で、センサ111の出力が、Low信号を2t以上発生したか否かを判定する。すなわち、センサ111(の位置)が検知パターン部材112の不連続領域112hに到達したか否かを判定する。図6で示したように、センサ111の出力は、定電流駆動で検知パターン部材112の不連続領域112hを通過する際には少なくとも4t以上のLow信号が発生するが、マージンを考慮してここでは閾値を2tと設定している。このステップS703でセンサ111の出力のLow信号が2t以上発生することを判定するまでベルと移動のための駆動が行われる。
【0036】
ステップS702でLow信号が2t以上検出されたことが判断されると、次のステップS703で、減算パルスカウンタ604の値YをEEPROM607に記憶されているスケール本数Xに基づく2X−1の値を入力して、カウンタのセットを行う。ここで、スケール本数Xの2倍である2Xを用いるのは、分解能を上げるべく、センサ111によりスケールの両エッジを検出するためである。また最終的に値をゼロとするために、2Xから1を引いた値としている(図6のY値を参照のこと)。
【0037】
ステップS704では、ステップS703で減算パルスカウンタ値を設定した後、停電流駆動によるベルトの移動に伴ってセンサ111がスケールを検出するごとに減算パルスカウンタ604のカウンタ値を減算する。すなわち、減算パルスカウンタ604はセンサ111の出力でLow信号からHigh信号への立ち上り信号またはHigh信号からLow信号への立下り信号のどちらかが確認されると、カウンタ値Yから1を減算し、以後、信号が確認されるごとに減算を繰り返す。
【0038】
そして、ステップS705で、搬送ベルト101の初期位置などの所定位置で駆動モータ105を停止して搬送ベルト101を停止する。そして、ステップS706で停止したときの減算パルスカウンタ604の値をRAM608に格納して、不連続領域112hの位置を特定する処理を終了する。
【0039】
このように、先ず、センサ111が検知パターン部材112の不連続領域112h内に位置する初期位置を求め(S702)、この位置から搬送ベルトの所定位置まで搬送ベルトが移動する距離を、減算パルスカウンタ604の値Yによって求める(S706)。これにより、搬送ベルトの駆動を開始する所定位置から検知パターン部材112の不連続領域112hまでの、センサ111に対する、スケール数に換算した距離を知ることができる。なお、搬送ベルト101が1周し、減算パルスカウンタ604の値Yがゼロとなった場合には、減算パルスカウンタ604の値Yに再度2X−1を入力する。これにより、常にセンサ111から検知パターン部材112の不連続領域112hまでのスケール数を把握することが可能となる。
【0040】
なお、本実施形態では、減算パルスカウンタ604の値YがRAM608に格納されているため、装置の電源オフによって消失する。そのため、電源オン時には、常に、図7に示す処理を行う。その他、電源オンの間は減算パルスカウンタ604を常時起動しているので、特に行う必要はないが、必要に応じて動作させるようにしてもよい。
【0041】
図8は、本実施形態の記録装置における記録動作の、特に、搬送ベルト駆動における間欠搬送の停止位置の調整処理を示すフローチャートである。
【0042】
本処理は、外部入力機器617からI/F部605を介してデータを受信することにより開始される。先ず、ステップS801で、受信データから記録用データを作成してRAM608に格納する。前述の通り、本実施形態の記録装置はベルト搬送部100による用紙Pの間欠搬送と、記録部200による用紙Pへの記録とを繰り返すものである。従ってここで言う記録用データとは、ベルト搬送部100による搬送量、キャリッジ201の動作量、記録ヘッド203によるインクの吐出タイミング、記録ヘッド203の使用ノズル位置などを言う。
【0043】
次に、ステップS802で、記録用データのうち、記録終了までの各間欠搬送でその搬送が停止するまでのスケール数を算出する。詳しくは、以下のように、センサ111の位置を基準として、搬送ベルトの所定位置からそれぞれの間欠搬送の停止位置までのスケール数換算距離が求められる。ここで、括弧内の数字は搬送駆動開始から何回目の停止かを示している。
B(1):搬送ベルトの所定位置から1回目の記録のための停止位置までの搬送スケール数
B(2):搬送ベルトの所定位置から2回目の記録のための停止位置までの搬送スケール数
B(3):搬送ベルトの所定位置から3回目の記録のための停止位置までの搬送スケール数
・
・
B(n):搬送ベルトの所定位置からn回目の記録のための停止位置(最終行)までの搬送スケール数
B(n+1):搬送ベルトの所定位置から用紙排紙後の停止位置までの搬送スケール数
次のステップS803では、以上のように求めたB(1)〜B(n+1)の値を、図7に示す処理で求めた減算パルスカウンタ604の値Yと比較し、値Yより大きい値となるものがあるか否かの判定を行う。すなわち、記録中にセンサ111の検出領域(位置)に不連続領域112hが到達するか否かを判定する。ここで、値Yより大きい値が存在しないと判定される場合は、ステップS806に移行して記録を開始する。
【0044】
値Yよりも大きい値が存在する場合、次のステップS804で、その中で最も値Yに近い値B(m)によるm回目の停止位置が不連続領域112h内か否かを判定する。具体的には、スケール数に換算した距離で、B(m)がYと不連続領域の距離Dsとの和より小さい場合は、停止位置が不連続領域112h内であると判断する。ここで、停止位置が不連続領域112h内に存在しない場合は、ステップS806に移行して記録を開始する。
【0045】
ステップS804で、m回目の停止位置が不連続領域112h内にあると判定された場合は、この停止位置を不連続領域112h外にずらす調整を行う。すなわち、ステップS805で、駆動モータ105を駆動して搬送ベルト101を、
調整搬送量:Y+DsーB(m) [scale]
だけ正転させる。その後、ステップS806に移行して記録を開始する。
【0046】
なお、ここで説明したステップS801からS805までの調整判断および調整動作は、用紙を搬送ベルトに密着させる前に、搬送ベルトだけを駆動して行うものである。
【0047】
図9は、図8を参照して上述した処理によって実行される調整を示す概念図である。図9は、センサ111と検知パターン部材112との相対的な位置関係として示されている。すなわち、センサ111を停止位置Bに置き換え、この停止位置Bが検知パターン部材112に対して動くように表現されている。
【0048】
図9の左端は記録動作において搬送ベルトの駆動を開始する所定位置に対応し、この位置は、上述したように不連続領域112h(本例では、不連続領域の左端)から減算カウンタ値Yに対応する距離にある。そして、調整前の停止位置について、m回目の記録動作のための停止位置が、不連続領域112h内に存在していることを示している。
【0049】
これに対し、本実施形態は、図8のステップS805で、停止位置の調整を行い、不連続領域112h内に存在していた停止位置B(m)を、不連続領域112hの後方(本例では、不連続領域の右端)に移動させる。ここで、前述したように、停止位置B(m−1)と停止位置B(m)との間の搬送量よりも不連続領域112hの長さDは短く設定してあることから、この調整後でも停止位置B(m−1)が不連続領域112h内に入ることはない。
【0050】
なお、以上説明した例は、不連続領域を越えてスケールが再び現れる位置(図6に示すスケール112gの左端)に停止位置B(m)を移動するようにしたものである。スケール幅の誤差、スケール間ピッチの誤差、また、停止精度のさらなる向上のためにスケールを検出しつつ停止させることなどを考慮すると、停止位置B(m)は、マージンをもってさらに後方(図6で右方向)に位置させることが好ましい。また、検知パターンの継ぎ目部分は、搬送ベルトだけが存在している。環境の変化による搬送ベルトの伸縮を考慮して、環境センサ603(図4)によって記録装置の使用環境を検出して、継ぎ目部分のスケール数補正を行っても良い。
【0051】
以上説明したように、検知パターンに継ぎ目などの不連続領域が存在していても、不連続領域の長さを、センサが同部近傍にある場合の間欠送りの搬送量よりも短く設定する。また、これとともに、複数回の間歇搬送全体のセンサに対する位置を調整する。これにより、不連続領域にセンサが停止することを回避でき、その結果、間欠送りにおける停止精度の低下を防止することが可能となる。
【0052】
(第2実施形態)
上述した第1の実施形態は、記録前にデータを確認し、センサが検知パターンの不連続領域に停止すると予測される場合は、その停止位置を不連続領域を越えた後方位置に移動する調整動作を行うものである。これに対し、本発明の第2の実施形態は、記録途中にセンサと検知パターンの不連続領域との距離が、所定距離より小さくなった時点から搬送量を調整し、停止位置を不連続領域手前の指定した領域内に停止させるものである。これにより、不連続領域内での停止を回避する。また、第2実施形態は、いわゆるマルチパス記録方式による3パス記録の例に関する。この3パス記録は、用紙の一定領域の記録を、記録ヘッドの3回の走査とこれら走査の間に上記一定領域に対応した量の用紙の間歇搬送を行うことによって完成する方式である。これにより、例えば、特殊紙などのインク受容量の高い用紙に階調性の高い写真品位の記録を行うことができる。なお、以下の説明では、記録ヘッドのノズル数を512、ノズル配列長さをL(ノズル配列ピッチ×ノズル数)として説明を行う。また、本発明の第2の実施形態に係る装置構成は特に説明のない限り第1の実施形態について上述したものと同じである。
【0053】
図10は、本発明の第2の実施形態に係る検知パターンの不連続領域前後の搬送動作(停止位置)および使用ノズル数を示す概念図である。
【0054】
図10において、Qは、間歇搬送の搬送量を示しており、Q1、Q2、Q3、Q4はあらかじめ設定された搬送量を示している。また、Qaは、不連続領域までの距離Fに基づいて調整された結果得られる搬送量を示している。この調整搬送により、センサ111を不連続領域112hの手前の所定領域G内に停止させることができる。
【0055】
調整搬送開始位置Eに到達するまでは、通常記録として全てのノズル(512ノズル)を使用して3パス記録を行う。ノズル全長Lに対して、5L/16または6L/16のいずれかを搬送量とし、搬送量を5L/16、6L/16、5L/16を1組とすることにより、合計をノズル全長列Lに等しくすることができる。ここでは、Q1=5L/16、Q2=6L/16としている。Q3、Q4、Qaの詳細については後述する。
【0056】
図11は、上記搬送制御を伴う記録動作に係る処理を示すフローチャートである。本処理は、外部入力装置617からI/F部605を介してデータを受信することによって起動される。以下、図10を併せて参照して説明する。
【0057】
ステップS901で、図7に示した処理によって求めた、センサ111と不連続領域112hとの距離Yが、調整搬送可否判定位置C(図10)と不連続領域112hとの距離Cs(図10)よりも小さいか否かを判定する。現在位置における不連続領域までのスケール数Yと調整搬送可否判定スケール数Csとを比較して、小さいと判定(Y<Cs)すると、ステップS902で、Cs<Yとなるように駆動モータ105を駆動して搬送ベルト101を移動する。すなわち、Y<Csの場合には、センサ111に対応する、記録開始時の搬送ベルトの所定位置まで搬送ベルトを移動させる。この場合、例えば、搬送ベルトを正転して上記位置を不連続領域112hの先に移動してよいし、搬送ベルトを逆転して現在位置を調整搬送可否判断位置Cの手前に移動してもよい。これにより、最初の搬送後の停止位置が後述の調整搬送開始位置Eを越えて不連続領域112hに近づきすぎて調整搬送が行えない状態を回避することができる。
【0058】
以上の処理の後、ステップS903で記録を開始し、記録中はステップS904で調整搬送開始位置Eにセンサ111が到達したかどうかを判断する。到達していな間は、ステップS911で記録が終了したか否かを判定して記録が終了していれば、本処理を終了する。
【0059】
ステップS904で、調整搬送開始位置Eにセンサ111が到達した判断すると、ステップS905で、センサの搬送ベルトに対する現在位置から不連続領域までのスケール数Yの値を、Q3により除し、その余りの値に基づいて調整搬送量Qaを決定する。Q3およびQaは、図12等でそれらの詳細が説明される。
【0060】
ステップS906〜S909およびS911は、上記搬送量Q3およびQaに基づく搬送調整処理である。まず、ステップS906で、図10に示すように搬送量Q3の搬送と記録動作を3回行う。この3回の記録動作では、記録ヘッド203の使用するノズル数を毎回削減してゆき、最終的に全ノズル数の3/4(384ノズル)まで削減する。
【0061】
ステップS907では、ステップS905で決定された調整搬送量Qa(図10)の搬送と記録動作を行う。このときの記録で使用するノズル数はステップS906で削減された最終のノズル数と同じであるが、使用するノズル範囲を変更する。
【0062】
ステップS908で、Yの値により所定領域G内にセンサ111が到達したか否かを判断する。所定領域G内に入っていないときは、ステップS911で、搬送量Q3で搬送を行う。そして、ステップS907と同一のノズル数およびノズル位置にて記録を行う。その後、再度ステップS908の判断を行う。
【0063】
ステップS908で、センサ111が所定領域G内に入ったことを確認すると、次のステップS909で、所定の搬送量Q4で搬送を行う。この搬送における記録時には、使用ノズル数はステップS907、S908と同一であるが、使用するノズル範囲をステップS908の範囲からさらに移動する。
【0064】
なおベルトの長さ、用紙の長さの関係によっては、記録中に検知パターンの不連続領域の通過が複数回発生する可能性がある。その場合は本処理のステップS904以降を複数回繰り返すことによって対応する。
【0065】
図12は、搬送量と記録ヘッドの使用ノズル数、使用ノズル位置との関係を説明する図であり、調整搬送量Qaで搬送する前の状態を示している。なお、図12は、用紙(=搬送ベルト)と記録ヘッドとの相対関係を示しており、図示および説明を簡略化するため、用紙が固定され記録ヘッドが用紙搬送方向と逆方向に移動するように表している。また、図中のカッコを付した数字は用紙搬送工程の順序を示している。さらに、縦長の四角が(記録ヘッドの)ノズル列を示し、縦方向の長辺がノズル全長Lである。ここでは、ノズル列を16のブロックに分割していることを示しており、グレーで示される領域が使用ノズル領域を、空白の領域が未使用ノズル領域を示している。また、下方向が用紙搬送方向と逆方向を示す。さらに、便宜上、図中ではノズル列下端をセンサ111の位置として表している。つまり、この下端が搬送ベルト(検知パターン)における位置Eに到達する搬送の、次の搬送から調整工程であることを示している。
【0066】
図12において、搬送工程(1)〜(3)は通常の3パス記録の工程であり、全てのノズルを使用して、搬送量5L/16(Q1)、6L/16(Q2)、5L/16(Q1)を繰り返して記録を行う。ここで、工程(1)および(3)の搬送量が5L/16(Q1)、工程(2)が6L/16(Q2)である。
【0067】
センサ位置が調整搬送開始位置Eを越えると、搬送量をL/4(Q3)に変更し、ノズル数を徐々に減らしてゆく。3回の搬送動作において1回目はL/16(4)、2回目は3L/16(5)、3回目はL/4(6)だけ搬送方向下流側のノズルを未使用ノズルとする。この結果、3回の動作を終了した時点で使用ノズル数は3/4L(384ノズル)となり、以後の搬送量は上述したL/4(Q3)としているので、3回の搬送および記録動作で使用ノズル数と等しくなり、調整後でも3パス記録が可能となる。なお、上述した工程(4)および(5)のノズル削減量は一例である。この工程に入る直前の搬送量が5L/16、6L/16のいずれか、また同じ5L/16でも6L/16の前か後かによって異なるものであるが、同様の考え方で容易に算出することができる。いずれの場合においても、3回の搬送後には同値L/4になる。
【0068】
図13(a)〜(d)は、搬送量と記録ヘッドの使用ノズル数、使用ノズル位置との関係を説明する図であり、調整搬送量Qaによる搬送およびそれ以後の工程を示している。図中のカッコを付した数字は図12示す搬送工程から続く搬送工程を示している。
【0069】
上述した通り、調整搬送量Qaは、Yの値をL/4(Q3)により除算した余りkの値に基づいて決定される。除算した余りkの値は、搬送量L/4で搬送し続けた場合に不連続領域112hのからどれだけ離れた位置に停止するかということを示しており、余りであるからその距離はL/4未満となる。つまり、調整搬送とは、不連続領域直前の停止位置を、できるだけ不連続領域に近い領域内にする動作である。
【0070】
本実施形態では所定領域Gの長さをqとしている。従って、調整搬送量Qaと余りの関係は以下の通りとなる。
余りk 調整搬送量Qa
0≦k≦q L/4
q<k≦2q L/4+q
2q<k≦3q L/4+2q
3q<k<4q L/4+3q
この調整搬送を行うことにより、全ての場合において不連続領域112hの手前の長さqの所定領域G内に停止させることができる。
【0071】
図13(a)〜(d)は、調整搬送量Qaが上記の「L/4」、「L/4+q」、「L/4+2q」、「L/4+3q」である場合にそれぞれ対応している。また、それぞれの図中、工程(7)は、調整搬送量Qaによる調整搬送工程、工程(8)はその後の所定領域Gに到達するまでの搬送工程、工程(9)は不連続領域を越える搬送工程、工程(10)はその次の工程をそれぞれ示している。なお、工程(8)は同じ工程として複数回繰り返される場合もあるが、ここでは1回として示している。
【0072】
搬送工程(7)は上述の通り、それぞれの搬送量Qaで搬送を行う。このときの記録ヘッドにおける使用ノズル範囲は、図13(a)の場合は移動しない。図13(b)〜(d)の場合は、調整搬送量QaがL/16ずつ増えるので、使用ノズル位置についてもその増加分だけ下流側にずらす。
【0073】
次に、工程(8)の搬送量は、図10に示すように全てQ3=「L/4」である。ただし、使用ノズル範囲はそれぞれ工程(7)で移動した位置のノズル範囲となる。
【0074】
工程(9)は、不連続領域を越える工程であり、図11の処理で説明したように、工程(8)の搬送後、センサが所定領域Gに到達した後に行われる。本実施形態では、搬送量Q4は「L/4+q」に設定している。このとき、全ての場合において、搬送量がL/16だけ増えるため、前述の考え方と同様、使用ノズル位置を工程(8)の使用ノズル範囲に対して、それぞれL/16だけ下流側に移動する。ここで、不連続領域の長さD(スケール数Ds)をこの値Q4(L/4+L/16)よりも小さく設定しておくことにより、不連続領域を越えることが可能である。
【0075】
次に、工程(10)では、搬送量は、図10に示すように全てQ3=「L/4」である。使用ノズル位置はそれぞれ工程(9)で移動した位置のノズル範囲となる。以降、工程(10)の搬送を続けることにより、3パス記録が繰り返される。
【0076】
以上説明したように、記録中にセンサが不連続領域まで一定距離に到達した時点で、不連続領域までの距離に基づいて、不連続領域の直前の停止位置を不連続領域の手前の一定領域内に停止させるように搬送量調整を行う。これにより、センサが確実に不連続領域を越えることが可能となり、間歇搬送における停止精度の低下を防止することができる。
【0077】
また、搬送量調整において、記録ヘッドの使用ノズル数と使用ノズル範囲とを変更する制御を行うことにより、3パス記録のような高階調の記録でも破綻のない記録が可能となる。また、ベルトの長さ、用紙の長さの関係により、記録中に検知パターンの不連続領域の通過が複数回発生する場合にも対応することができる。
【0078】
(他の実施形態)
以上説明した実施形態は、インクジェット方式によって記録を行う記録装置に関するものであるが、本発明の適用は、このようなインクジェット方式の記録装置に限られないことはもちろんである。搬送ベルトによって搬送される記録媒体に対して記録を行う装置であれば本発明を適用できることは以上の説明からも明らかである。
【符号の説明】
【0079】
100 ベルト搬送部
101 搬送ベルト
111 センサ
112 検知パターン部材
112a スケール
112d 検知パターンの隙間
112h 検知パターンの不連続領域
200 記録部
203 記録ヘッド
604 減算パルスカウンタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ベルトによって搬送される記録媒体に対して記録を行う記録装置であって、
前記搬送ベルトに設けられた、複数のスケールを当該搬送ベルトの移動方向に配列した検知パターンであって、隣接するスケール間の距離が前記複数のスケールの配列におけるそれぞれの隣接するスケール間の距離より大きい不連続領域を有した検知パターンと、
前記搬送ベルトの移動経路に面して設けられセンサを備え、前記搬送ベルトの検知パターンにおけるスケールを検知する検知手段と、
前記搬送ベルトを当該搬送方向に移動させるとともに、該搬送ベルトの移動に伴って前記検知手段が前記スケールを検知するごとに出力する検知信号に基づいて記録媒体の間歇搬送を行う搬送手段と、
前記間歇搬送される記録媒体に対して記録を行う記録手段と、
を具え、
前記搬送手段は、連続する間歇搬送の間の搬送停止時に前記センサが前記検知パターンの不連続領域を検知しないように当該間歇搬送を行うとともに、前記間歇搬送の搬送量は前記不連続領域の前記距離より大きいことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記搬送手段は、前記間歇搬送の前に、前記搬送ベルトを当該搬送方向に移動させることにより、前記間歇搬送の前記搬送停止時の、前記センサに対する前記不連続領域の位置を調整することによって、前記センサが前記検知パターンの不連続領域を検知しないようにすることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記センサに対する前記搬送ベルトの所定位置から前記不連続領域までの距離を特定する不連続領域特定手段をさらに具え、前記搬送手段は、前記不連続領域特定手段が検出した距離に基づいて前記センサに対する前記不連続領域の位置を調整することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記不連続領域特定手段は、前記検知手段の前記センサを用いて前記所定位置から前記不連続領域までの距離を検出することを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記搬送手段は、間歇搬送をする間に、前記センサと前記検知パターンの不連続領域との距離が所定距離より小さくなったときから間歇搬送の搬送量を調整することにより、前記間歇搬送の搬送停止時に前記センサが前記検知パターンの不連続領域に至る前の所定の領域内に位置するよう、前記センサに対する前記不連続領域の位置を調整することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の記録装置。
【請求項6】
搬送ベルトによって搬送される記録媒体に対して記録を行う記録装置における搬送制御方法であって、
前記搬送ベルトに設けられた、複数のスケールを当該搬送ベルトの移動方向に配列した検知パターンであって、隣接するスケール間の距離が前記複数のスケールの配列におけるそれぞれの隣接するスケール間の距離より大きい不連続領域を有した検知パターンを用意する工程と、
前記搬送ベルトの移動経路に面して設けられセンサを備え、前記搬送ベルトの検知パターンにおけるスケールを検知する検知工程と、
前記搬送ベルトを当該搬送方向に移動させるとともに、該搬送ベルトの移動に伴って前記検知工程で前記スケールを検知するごとに出力する検知信号に基づいて記録媒体の間歇搬送を行う搬送工程と、
前記間歇搬送される記録媒体に対して記録を行う記録工程と、
を有し、
前記搬送工程では、連続する間歇搬送の間の搬送停止時に前記センサが前記検知パターンの不連続領域を検知しないように当該間歇搬送を行うとともに、前記間歇搬送の搬送量は前記不連続領域の前記距離より大きいことを特徴とする搬送制御方法。
【請求項1】
搬送ベルトによって搬送される記録媒体に対して記録を行う記録装置であって、
前記搬送ベルトに設けられた、複数のスケールを当該搬送ベルトの移動方向に配列した検知パターンであって、隣接するスケール間の距離が前記複数のスケールの配列におけるそれぞれの隣接するスケール間の距離より大きい不連続領域を有した検知パターンと、
前記搬送ベルトの移動経路に面して設けられセンサを備え、前記搬送ベルトの検知パターンにおけるスケールを検知する検知手段と、
前記搬送ベルトを当該搬送方向に移動させるとともに、該搬送ベルトの移動に伴って前記検知手段が前記スケールを検知するごとに出力する検知信号に基づいて記録媒体の間歇搬送を行う搬送手段と、
前記間歇搬送される記録媒体に対して記録を行う記録手段と、
を具え、
前記搬送手段は、連続する間歇搬送の間の搬送停止時に前記センサが前記検知パターンの不連続領域を検知しないように当該間歇搬送を行うとともに、前記間歇搬送の搬送量は前記不連続領域の前記距離より大きいことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記搬送手段は、前記間歇搬送の前に、前記搬送ベルトを当該搬送方向に移動させることにより、前記間歇搬送の前記搬送停止時の、前記センサに対する前記不連続領域の位置を調整することによって、前記センサが前記検知パターンの不連続領域を検知しないようにすることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記センサに対する前記搬送ベルトの所定位置から前記不連続領域までの距離を特定する不連続領域特定手段をさらに具え、前記搬送手段は、前記不連続領域特定手段が検出した距離に基づいて前記センサに対する前記不連続領域の位置を調整することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記不連続領域特定手段は、前記検知手段の前記センサを用いて前記所定位置から前記不連続領域までの距離を検出することを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記搬送手段は、間歇搬送をする間に、前記センサと前記検知パターンの不連続領域との距離が所定距離より小さくなったときから間歇搬送の搬送量を調整することにより、前記間歇搬送の搬送停止時に前記センサが前記検知パターンの不連続領域に至る前の所定の領域内に位置するよう、前記センサに対する前記不連続領域の位置を調整することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の記録装置。
【請求項6】
搬送ベルトによって搬送される記録媒体に対して記録を行う記録装置における搬送制御方法であって、
前記搬送ベルトに設けられた、複数のスケールを当該搬送ベルトの移動方向に配列した検知パターンであって、隣接するスケール間の距離が前記複数のスケールの配列におけるそれぞれの隣接するスケール間の距離より大きい不連続領域を有した検知パターンを用意する工程と、
前記搬送ベルトの移動経路に面して設けられセンサを備え、前記搬送ベルトの検知パターンにおけるスケールを検知する検知工程と、
前記搬送ベルトを当該搬送方向に移動させるとともに、該搬送ベルトの移動に伴って前記検知工程で前記スケールを検知するごとに出力する検知信号に基づいて記録媒体の間歇搬送を行う搬送工程と、
前記間歇搬送される記録媒体に対して記録を行う記録工程と、
を有し、
前記搬送工程では、連続する間歇搬送の間の搬送停止時に前記センサが前記検知パターンの不連続領域を検知しないように当該間歇搬送を行うとともに、前記間歇搬送の搬送量は前記不連続領域の前記距離より大きいことを特徴とする搬送制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−236309(P2012−236309A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106140(P2011−106140)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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