説明

記録装置

【課題】 記録実行中における乾燥効率を向上させ、高画質な記録を実行することができる記録装置を提供すること。
【解決手段】 記録装置(1)は、被記録媒体(P)に対してインクを吐出して記録を実行するインクヘッドユニット(21、23)と、該インクヘッドユニット(21、23)と対向し、被記録媒体(P)を支持する媒体支持部(27)と、該媒体支持部(27)に設けられ、被記録媒体上のインクを乾燥する乾燥手段(28)と、前記インクヘッドユニット(23)に搭載され、空気中の水分が結露する結露部(32)と、前記インクヘッドユニット(23)に搭載され、前記結露部(32)を冷却する冷却手段(31)と、前記結露部(32)において結露した水滴Wを回収する水滴回収手段34と、を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録媒体に対してインクを吐出して記録を実行するインクヘッドユニットと、該インクヘッドユニットと対向し、被記録媒体を支持する媒体支持部と、被記録媒体上のインクを乾燥する乾燥手段と、空気中の水分が結露する結露部と、前記結露部を冷却する冷却手段と、前記結露部において結露した水滴を回収する水滴回収手段と、を備えた記録装置に関する。
本願において、記録装置には、インクジェットプリンタ、ワイヤドットプリンタ、レーザープリンタ、ラインプリンタ、複写機、ファクシミリ等の種類が含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
従来では、特許文献1に示す如く、記録装置は、インクヘッドと、乾燥手段としての加熱板と、除湿手段の結露部としての放熱フィンと、水滴回収手段としてのパン、廃液パイプおよび廃液タンクとを備えていた。
このうち、前記インクヘッドは、被記録媒体に対してインクを吐出することができるように構成されていた。また、前記加熱板は、記録後において被記録媒体と面接触して被記録媒体を加熱することができるように設けられていた。またさらに、前記放熱フィンは、前記加熱板の上方に設けられ、前記加熱板の加熱によって生じた水蒸気を水滴にすることができるように構成されていた。また、前記パンは、前記放熱フィンの下方に配設され、前記放熱フィンで生じた水滴を受けることができるように設けられていた。そして、受けた水滴は、前記廃液パイプを通って下方に配設された前記廃液タンクに回収されるように構成されていた。
従って、被記録媒体が排出され、排出部に被記録媒体が積層されたとき、該被記録媒体の表面のインクが、他の被記録媒体の裏面に付着する虞がない。
【特許文献1】特開平11−14258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来技術の構成は、記録後における乾燥を目的としたものであって、記録実行中における乾燥を目的としたものではなかった。そのため、記録実行中における空気の除湿およびインクの乾燥が十分ではなかった。そして、インクを重ねて吐出する記録装置の場合、後に重ねてインクを吐出する前に、先に吐出したインクの水分が規定量乾燥していない虞がある。係る場合、吐出されたインクについて、凝集、にじみである所謂、ブリードといった不具合が発生し、画質の低下を招くことになる。
【0004】
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、記録実行中における乾燥効率を向上させ、高画質な記録を実行することができる記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様の記録装置は、被記録媒体に対してインクを吐出して記録を実行するインクヘッドユニットと、該インクヘッドユニットと対向し、被記録媒体を支持する媒体支持部と、該媒体支持部に設けられ、被記録媒体上のインクを乾燥する乾燥手段と、前記インクヘッドユニットに搭載され、空気中の水分が結露する結露部と、前記インクヘッドユニットに搭載され、前記結露部を冷却する冷却手段と、前記結露部において結露した水滴を回収する水滴回収手段と、を備えていることを特徴とする。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、前記記録装置において、前記結露部および前記冷却手段は、前記インクヘッドユニットに搭載されている。
ここで、前記インクヘッドユニットから被記録媒体へ吐出されたインクは、前記媒体支持部に設けられた乾燥手段によって乾燥される。具体的には、インク成分中の水分は蒸発して蒸気となり上方へ拡散しながら移動する。
【0007】
そこで、水分を多く含んだ蒸気の発生源である被記録媒体上の前記インクヘッドユニットから吐出されたインクの近傍である前記インクヘッドユニットに前記結露部が設けられている。従って、前記結露部は、結露部がインクヘッドユニットに搭載されていない構成と比較して、上方へ拡散する前の水分を多く含んだ蒸気と多く接触することができる。即ち、水分を多く含んだ蒸気との接触効率がよい。そして、蒸気中に含まれた多くの水分を結露させて水分を回収することができる。即ち、効率よく除湿することができる。その結果、記録装置内部の湿度が高くなる虞がない。特に、前記インクヘッドユニット近傍の空気の湿度が高くなる虞がない。
【0008】
また、除湿効率をよくすることにより、記録実行中において、吐出されたインクを前記乾燥手段によって効率よく乾燥することができる。即ち、空気中の水分が飽和状態となる虞がないので、乾燥手段によって熱を加えたとき、インクを効率よく乾燥することができる。従って、インクが凝集することや、インクが滲む所謂、ブリードの発生を低減することができる。その結果、その上からさらにインクを吐出して高画質な記録を実行することできる。
【0009】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記インクヘッドユニットは、被記録媒体の送り方向および該送り方向に対する幅方向の少なくとも一の方向へ移動する構成であることを特徴とする。
本発明の第2の態様によれば、第1の態様と同様の作用効果に加え、前記インクヘッドユニットは、被記録媒体の送り方向および該送り方向に対する幅方向の少なくとも一の方向へ移動する構成である。従って、前記結露部は、移動する分、広範囲で水分を多く含んだ蒸気と接触することができる。その結果、水分を多く含んだ蒸気との接触効率をより高めることができる。
【0010】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様において、前記水滴回収手段は、前記結露部の鉛直方向下側において水滴を受け止める水滴受け部を有し、該水滴受け部には、空気が通過する貫通穴が設けられていることを特徴とする。
本発明の第3の態様によれば、第1または第2の態様と同様の作用効果に加え、前記水滴受け部には、空気が通過する貫通穴が設けられている。従って、前記乾燥手段により熱を受けて発生した蒸気は、鉛直方向上方へ移動し、前記貫通穴を介して前記結露部と接触することができる。即ち、前記水滴受け部が、蒸気の前記結露部への移動を妨げる虞がない。その結果、前記結露部が水分を多く含んだ蒸気と接触する接触効率をより一層高めることができる。
【0011】
本発明の第4の態様は、第1から第3のいずれか一の態様において、前記媒体支持部に支持された被記録媒体の表面側の空気を前記結露部へ送る送風手段を有することを特徴とする。
本発明の第4の態様によれば、第1から第3のいずれか一の態様と同様の作用効果に加え、前記媒体支持部に支持された被記録媒体の表面側の空気を前記結露部へ送る送風手段を有する。即ち、強制的に前記表面側の蒸気を前記結露部へ送る構成である。従って、より一層前記接触効率と高めることができる。
【0012】
本発明の第5の態様は、第1から第4のいずれか一の態様において、前記インクヘッドユニットは、複数設けられ、該複数のインクヘッドユニットの間において、前記媒体支持部に支持された被記録媒体の表面側の空気を前記結露部へ案内する案内部が形成されていることを特徴とする。
本発明の第5の態様によれば、第1から第4のいずれか一の態様と同様の作用効果に加え、前記複数のインクヘッドユニットの間において、前記媒体支持部に支持された被記録媒体の表面側の空気を前記結露部へ案内する案内部が形成されている。従って、一のインクヘッドユニットによって先に吐出されたインクを、他のインクヘッドユニットによって後にインクが吐出される前に、乾燥させることができる。
【0013】
例えば、被記録媒体の送り方向上流側から順に第1インクヘッドユニット、前記案内部および第2インクヘッドユニットが設けられている場合を考える。係る場合、上流側の第1インクヘッドユニットによって先に吐出されたインクを、下流側の第2インクヘッドユニットによって後にインクが吐出される前に、乾燥させることができる。前記案内部によって、先に吐出されたインクから発生する蒸気を前記結露部へ案内することができ、先に吐出されたインクを効率よく乾燥させることができるからである。そして、乾燥したインクの上に、第2インクヘッドユニットによって重ねてインクを吐出して記録を実行することができる。
インクを重ねて記録する高画質の記録装置の場合に特に有効である。
【0014】
本発明の第6の態様は、第1から第5のいずれか一の態様において、前記冷却手段は、通電により熱勾配が生じて熱が移動する構成であることを特徴とする。
本発明の第6の態様によれば、第1から第5のいずれか一の態様と同様の作用効果に加え、前記冷却手段は、通電により熱勾配が生じて熱が移動する構成である。従って、前記結露部の温度を、室温よりも下げることができ確実に結露させることができる。
例えば、前記冷却手段として、公知技術であるペルチェ素子を用いることができる。係る場合、前記冷却手段を小型化することができる。
【0015】
本発明の第7の態様は、第1から第6のいずれか一の態様において、湿度検出手段と、該湿度検出手段により得られる湿度の値が低くなるに従って前記冷却手段の出力が小さくなるように制御する制御部とを有することを特徴とする。
本発明の第7の態様によれば、第1から第6のいずれか一の態様と同様の作用効果に加え、湿度検出手段と、該湿度検出手段により得られる湿度の値が低くなるに従って前記冷却手段の出力が小さくなるように制御する制御部とを有する。従って、湿度が比較的低い場合、前記冷却手段の出力を小さくすることができ、消費電力を低減することができる。即ち、省エネを図ることができる。
尚、前記湿度検出手段を設ける位置は、蒸気の発生源に近傍である前記インクヘッドユニットに設けることが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すのは、本発明に係る「記録装置」或いは「液体噴射装置」の一例としてのインクジェットプリンタ(以下「プリンタ」と言う)1の全体の概略を示す側面図である。
ここで、液体噴射装置とは、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッドから記録紙等の被記録材へインクを噴射して被記録材への記録を実行するインクジェット式記録装置、複写機及びファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えて特定の用途に対応する液体を前述した記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから、被記録材に相当する被噴射材に噴射して、液体を被噴射材に付着させる装置を含む意味で用いる。
【0017】
またさらに、液体噴射ヘッドとしては、前述した記録ヘッド以外に、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタ製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイや面発光ディスプレイ(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料を噴射する試料噴射ヘッド等が挙げられる。
【0018】
図1に示す如く、プリンタ1は、筐体2の内部に給送部(図示せず)と、紙揃え部(図示せず)と、プレヒート部10と、記録部20と、ポストヒート部50と、排出部(図示せず)と、を備えている。このうち、給送部(図示せず)は、ローラおよびベルトを備え、用紙Pを送り方向下流側(Y軸の矢印の方向)へ給送することができるように構成されている。また、紙揃え部(図示せず)は、ローラと、ベルトと、用紙Pの側端と当接するガイド部(図示せず)とを備えている。
【0019】
そして、紙揃え部(図示せず)は、給送された用紙Pの姿勢を正しながら用紙Pを送り方向下流側へ送ることができるように構成されている。
また、プレヒート部10は、紙揃え部から送られた用紙Pを、記録部20へ送る前の段階において、予め熱を加えて温めてから送り方向下流側の記録部20へ送ることができるように構成されている。具体的には、プレヒート部10は、加熱されたヒートローラ対11を有している。
【0020】
またさらに、記録部20は、プレヒート部10から送られた用紙Pの表面に対して、インクを吐出して記録を実行することができるように設けられている。具体的には、記録部20は、第1サクションベルト機構25と、記録時用紙支持部27と、第1インクヘッドユニット21と、第2インクヘッドユニット23と、除湿装置30とを有している。このうち、第1サクションベルト機構25は、三つのローラと、該三つのローラに巻回された複数の穴を有するベルト26と、該複数の穴を介して空気を吸引する吸引手段(図示せず)とを有する。
【0021】
そして、第1サクションベルト機構25の上面側に形成される記録時用紙支持部27が、用紙Pを裏面から支持することができるように設けられている。また、記録時用紙支持部27には、熱伝導式の第1加熱手段28が設けられている。
ここで、「熱伝導式」とは、物体の内部を通って高温部から低温部へ熱を伝える方式をいう。即ち、物体が用紙Pと接触することにより熱を伝導する方式である。
【0022】
例えば、第1加熱手段28の一例としてニクロム線を用いる手段がある。該ニクロム線を通電させることにより、ニクロム線自体が発熱し、記録時用紙支持部27を介して用紙Pの裏面に熱を伝導することができる。また、前述した吸引手段は、ベルト26の複数の穴を介して記録時用紙支持部27の上方の空気を下方へ吸引するように構成されている。
従って、吸引手段は、記録時用紙支持部27上の用紙Pを、記録時用紙支持部27にぴったりと吸着させることができる。その結果、用紙Pを加熱することができる。
【0023】
また、第1インクヘッドユニット21は、インクを吐出する第1ヘッド22を有している。
またさらに、第2インクヘッドユニット23は、第1インクヘッドユニット21より送り方向下流側に設けられている。そして、第2インクヘッドユニット23は、第1インクヘッドユニット21と同様に、インクを吐出する第2ヘッド24を有している。
【0024】
また、第1インクヘッドユニット21と、第2インクヘッドユニット23との間には隙間が設けられ、該隙間には湿度検出手段の一例である湿度センサ41が設けられている。
またさらに、第2インクヘッドユニット23には、除湿装置30が搭載されている。除湿装置30は、第1加熱手段28によって加熱された用紙P上のインクの水分を含んだ蒸気を除湿することができるように設けられている。
【0025】
具体的には、除湿装置30は、結露板32と、冷却ユニット31と、断熱材33と、冷却フィン39と、冷却用ファン40と、水滴回収手段34とを有している。このうち、結露板32は、蒸気の発生源である記録時用紙支持部27上の用紙Pの表面にできるだけ近い位置であって、第1インクヘッドユニット21と第2インクヘッドユニット23との間の隙間の近傍に配設されている。
【0026】
そして、結露板32は、冷却ユニット31によって冷却され、蒸気と接触することにより蒸気中の水分を結露させることができるように設けられている。また、結露板32は、複数の板により構成されている(図2参照)。従って、蒸気との接触面積をできる広くすることができる。その結果、除湿を効率よく行うことができる。
また、冷却ユニット31は、結露板32を冷却することができるように設けられている。冷却ユニット31の一例として、公知技術であるペルチェ素子を用いることができる。
【0027】
ペルチェ素子は、通電することにより熱勾配を発生させ、熱を移動させることができる。本実施形態では、結露板32から冷却フィン39側へ熱を移動させるように設けられている。従って、結露板32の温度を、室温より低くすることができる。その結果、蒸気が結露板32と接触したとき、蒸気中の水分が結露板32の表面で結露する。また、ペルチェ素子を用いることにより、除湿装置30をコンパクトにすることができる。
【0028】
またさらに、断熱材33は、結露板32の一部の表面を覆うように配設されている。具体的には、用紙Pの幅方向Xにおいて、後述する水滴回収手段34の水滴受けパン35に形成された通風穴36、36…と対向する箇所である。従って、通風穴36、36…と対向する箇所において、結露板32の表面に結露した水滴Wが発生することを防止することができる。即ち、結露板32における水滴受けパン35と対向する箇所のみにおいて、水滴Wを発生させることができる。
【0029】
また、冷却フィン39は、冷却ユニット31から送られる熱を放散することができるように設けられている。具体的には、冷却ユニット31における結露板32が設けられた側と反対側である上側に設けられている。そして、冷却フィン39の一部は、筐体2から外側へ突出している。また、空気との接触面積を広くするため、複数のフィンを有している。その結果、放熱を効率よく行うことができる。
【0030】
またさらに、冷却用ファン40は、冷却フィン39を冷却することができるように設けられている。具体的には、筐体2の外側に配設され、外側に突出した冷却フィン39に対して送風または吸引して、冷却フィン39による放熱を助長するように構成されている。
また、水滴回収手段34は、結露板32の鉛直方向下方(Z軸の矢印と逆方向)に設けられ、結露板32で生じた水滴Wを、用紙Pに接触させることなく、回収することができるように設けられている。具体的には、水滴回収手段34は、水滴受けパン35と、案内管37と、タンク部38とを有している。
【0031】
このうち、水滴受けパン35は、結露板32の真下に配設され、結露板32から滴る水滴Wを受けることができるように構成されている。また、案内管37は、水滴受けパン35で受けた水滴Wを、鉛直方向下方に設けられたタンク部38へ案内することができるように設けられている。そして、タンク部38は、案内された水滴Wを溜めることができるように設けられている。
【0032】
また、制御部3は、湿度センサ41の値を判断して、冷却ユニット31の出力を調整することができるように構成されている。具体的には、湿度センサ41の値が比較的低く、用紙Pの上面側の湿度が低い場合、冷却ユニット31の出力を下げる調整をする。一方、湿度センサ41の値が比較的高く、用紙Pの上面側の湿度が高い場合、冷却ユニット31の出力を上げる調整をする。従って、確実に湿度を所定の湿度以下にすることができる。また、湿度が低いとき、冷却ユニット31の出力を下げるので、電力の消費量を低減することができる。所謂、省エネである。
【0033】
また、ポストヒート部50は、記録された用紙P上のインクを乾燥することができるように構成されている。具体的には、ポストヒート部50は、第2サクションベルト機構51と、乾燥時用紙支持部52と、第2加熱手段53とを有している。このうち、第2サクションベルト機構51は、前述した第1サクションベルト機構25の構成と同様である。その説明は省略する。
【0034】
また、乾燥時用紙支持部52は、第2サクションベルト機構51の上面側に形成され、用紙Pを裏面から支持することができるように設けられている。またさらに、乾燥時用紙支持部52には、熱伝導式の第2加熱手段53が設けられている。第2加熱手段53の構成については、第1加熱手段28の構成と同様である。その説明は省略する。
尚、熱伝導式の第2加熱手段53を乾燥時用紙支持部52に設けたが、これに限られない。例えば、乾燥時用紙支持部52の上方に、加熱手段の一例である対流式の温風ヘッドを設けてもよい。
【0035】
ここで、「対流式」とは、気体や液体などの流体によって熱を伝える方式をいう。
温風ヘッドは、温めた風を吹出すことができるように構成されている。そして、用紙Pの表面に対して温風を吹出すことによって、用紙Pの表面に着弾したインクを乾燥させることができる。
尚、温風ヘッドの内部構造は、ニクロム線等の熱発生手段と、ファン等の風力発生手段とから構成されているものとする。
【0036】
また、乾燥された用紙Pは、第2サクションベルト機構51によって送り方向下流側の排出部(図示せず)へ送られる。
排出部は、ローラおよびベルトを備え、用紙Pを送り方向下流側へ排出することができるように構成されている。
本実施形態では、第1インクヘッドユニット21および第2インクヘッドユニット23の位置は固定である。そして、用紙Pがヒートローラ、第1サクションベルト機構25および第2サクションベルト機構51によって送り方向下流側へ送られる。これに伴い、第1インクヘッドユニット21および第2インクヘッドユニット23からインクが用紙Pに対して吐出されることにより記録が実行されるように構成されている。
【0037】
また、記録部20において、記録中の用紙Pを加熱して用紙P上のインクを乾燥する。このときに発生する蒸気を、蒸気の発生源の近傍で結露板32と接触させるように構成されている。従って、蒸気が拡散する前に蒸気中の水分を結露させて除湿することができる。その結果、筐体2の内部の湿度を所定の湿度以下に保つことができる。そして、記録中の乾燥を促進することができる。さらに、第1インクヘッドユニット21によって記録した箇所を、すぐに乾燥させることができ、第2インクヘッドユニット23が重ねて記録することができる。即ち、第2インクヘッドユニット23が重ねて記録する際、インクが滲む虞がなく、高品質が記録を実行することができる。
【0038】
図2に示すのは、本発明に係る除湿装置の概略を示す正面図である。また、図3に示すのは、本発明に係る除湿装置の概略を示す平面図である。
図2および図3に示す如く、水滴受けパン35には、通風穴36、36…が複数設けられている。従って、記録時用紙支持部27上の用紙Pの表面から発生した蒸気を、上方へ向かって真っ直ぐに結露板32へ案内することができる。即ち、蒸気が幅方向Xおよび送り方向Yにおいて水滴受けパン35を迂回して結露板32まで到達する構成ではない。従って、蒸気を拡散させることなく、結露板32と接触させることができる。その結果、さらに効率よく除湿することができる。
【0039】
また、前述したように通風穴36、36…は、結露板32における断熱材33で覆われている箇所と対向するように設けられている。即ち、結露板32の表面が表れている箇所は、水滴受けパン35と対向している。従って、結露板32において蒸気との接触により結露し、該結露によって生じた水滴Wは、必ず水滴受けパン35内に落下する。即ち、通風穴36、36…を設けても、水滴Wが用紙Pに落下する虞がない。
【0040】
本実施形態の記録装置としてのプリンタ1は、被記録媒体の一例である用紙Pに対してインクを吐出して記録を実行するインクヘッドユニットとしての第1インクヘッドユニット21および第2インクヘッドユニット23と、第1インクヘッドユニット21および第2インクヘッドユニット23と対向し、用紙Pを支持する媒体支持部としての記録時用紙支持部27と、記録時用紙支持部27に設けられ、用紙P上のインクを乾燥する乾燥手段としての第1加熱手段28と、第2インクヘッドユニット23に搭載され、空気中の水分が結露する結露部としての結露板32と、第2インクヘッドユニット23に搭載され、結露板32を冷却する冷却手段としての冷却ユニット31と、結露板32において結露した水滴Wを回収する水滴回収手段34と、を備えていることを特徴とする。
【0041】
また、本実施形態において、水滴回収手段34は、結露板32の鉛直方向下側において水滴Wを受け止める水滴受け部としての水滴受けパン35を有し、水滴受けパン35には、鉛直方向Zへ空気が通過する貫通穴としての通風穴36、36…が設けられていることを特徴とする。
またさらに、本実施形態において、冷却ユニット31は、通電により熱勾配が生じて熱が移動する構成であることを特徴とする。
また、本実施形態において、湿度検出手段としての湿度センサ41と、湿度センサ41により得られる湿度の値が低くなるに従って冷却ユニット31の出力が小さくなるように制御する制御部3とを有することを特徴とする。
【0042】
[他の実施形態1]
図4に示すのは、他の実施形態1に係る除湿装置の概略を示す側面図である。
図4に示す如く、他の実施形態1の除湿装置60は、前述した実施形態の除湿装置30に加え、案内路61と、案内用ファン62とを備えている。
尚、特に説明する部材以外は、前述した実施形態と同様であるので、同じ符号を用いると共にその説明は省略する。
【0043】
案内路61は、第1インクヘッドユニット21と第2インクヘッドユニット23との間に設けられ、用紙Pの表面で生じる蒸気を結露板32へ案内することができるように構成されている。従って、蒸気の拡散を防止することができる。
また、案内用ファン62は、案内路61上に設けられ、用紙Pの表面で生じる蒸気を強制的に結露板32へ送るように設けられている。従って、蒸気を積極的に結露板32と接触させることができる。その結果、除湿効率をより一層上げることができる。
【0044】
他の実施形態1において、記録時用紙支持部27に支持された用紙Pの表面側の空気を結露板32へ送る送風手段としての案内用ファン62を有することを特徴とする。
また、他の実施形態1において、インクヘッドユニットは、第1インクヘッドユニット21および第2インクヘッドユニット23の複数設けられ、第1インクヘッドユニット21および第2インクヘッドユニット23の間において、記録時用紙支持部27に支持された用紙Pの表面側の空気を結露板32へ案内する案内部としての案内路61が形成されていることを特徴とする。
【0045】
[他の実施形態2]
図5に示すのは、他の実施形態2に係る除湿装置の概略を示す側面図である。また、図6に示すのは、他の実施形態2に係る除湿装置の概略を示す正面図である。
図5および図6に示す如く、他の実施形態2のプリンタ70は、プレヒート部71と、記録部75とを有する。
尚、特に説明する部材以外は、前述した実施形態と同様であるので、同じ符号を用いると共にその説明は省略する。
【0046】
プレヒート部71は、第3サクションベルト機構72と、予備乾燥時用紙支持部73と、第3加熱手段74とを有している。
このうち、第3サクションベルト機構72は、前述した第1サクションベルト機構25の構成と同様である。その説明は省略する。
また、予備乾燥時用紙支持部73は、第3サクションベルト機構72の上面側に形成され、用紙Pを裏面から支持することができるように設けられている。
【0047】
またさらに、予備乾燥時用紙支持部73には、熱伝導式の第3加熱手段74が設けられている。第3加熱手段74の構成については、第1加熱手段28の構成と同様である。その説明は省略する。
尚、熱伝導式の第3加熱手段74を予備乾燥時用紙支持部73に設けたが、これに限られない。例えば、予備乾燥時用紙支持部73の上方に、加熱手段の一例である対流式の温風ヘッドを設けてもよい。
【0048】
またさらに、記録部75は、用紙Pの幅方向Xに移動する第3インクヘッドユニット76を有している。前述した第1インクヘッドユニット21と同様に、インクを吐出する第3ヘッド77を有している。また、第3インクヘッドユニット76には、第3インクヘッドユニット76と一体に幅方向Xへ移動する除湿装置78が設けられている。除湿装置78は、前述した実施形態の除湿装置30と同様に、第1加熱手段28によって加熱された用紙P上のインクの水分を含んだ蒸気を除湿することができるように設けられている。
【0049】
具体的には、除湿装置78は、結露板79と、冷却ユニット31と、前述した実施形態の冷却フィン39に代わる循環冷却チューブ80と、水滴回収手段83とを有している。このうち、結露板79は、前述した実施形態と同様に、記録時用紙支持部27より上方に設けられている。また、冷却ユニット31は、結露板79を冷却することができるように構成されている。
【0050】
またさらに、循環冷却チューブ80は可撓性素材で形成され、内部に冷却効果に優れる液体が流れるように構成されている。そして、循環冷却チューブ80の一方は冷却ユニット31と接触し、他方は筐体2から外側へ突出して設けられている。
ここで、循環冷却チューブ80は前述したように可撓性素材で形成されているので、第3インクヘッドユニット76の幅方向Xへの移動を妨げる虞がない。
【0051】
尚、循環冷却チューブ80は、内部の液体が冷却ユニット31からの熱を筐体2の外側へ運ぶことができるように構成されている。そして、運ばれた熱は冷却用ファン40で放熱され、冷却された液体が冷却ユニット31側へ戻ることにより液体は循環する。
ここで、冷却用ファン40の位置を、循環冷却チューブ80の位置に対して偏倚した位置に設けることが望ましい。偏倚させることにより、循環冷却チューブ80内の冷却された液体を下方へ移動させることができ、一方向へ循環させることができるからである。
【0052】
また、水滴回収手段83は、水滴受けパン81と、案内管82と、タンク部38とを有している。水滴受けパン81は、前述した実施形態と同様に、結露板79の真下に設けられている。また、案内管82は、タンク部38に水滴Wを案内すると共に、第3インクヘッドユニット76の移動方向において伸縮自在に設けられている。従って、案内管82が、第3インクヘッドユニット76の幅方向Xへの移動を妨げる虞はない。
【0053】
以上、説明したように、除湿装置78の結露板79は、第3インクヘッドユニット76と一体に幅方向Xへ移動することができる。従って、結露板79が蒸気と接触することができる範囲を、前述した実施形態と比較して、広げることができる。その結果、より除湿効率を上げることができる。
尚、第3インクヘッドユニット76を、幅方向Xに加え、送り方向Yにも移動するように構成してもよいのは勿論である。係る場合、結露板79の移動範囲をさらに広げることができ、除湿効果をより高めることができる。
【0054】
他の実施形態2のプリンタ70において、インクヘッドユニットとしての第3インクヘッドユニット76は、用紙Pの送り方向Yおよび該送り方向Yに対する幅方向Xの少なくとも一の方向へ移動する構成であることを特徴とする。
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係るプリンタ全体の概略を示す側面図。
【図2】本発明に係る除湿装置の概略を示す正面図。
【図3】本発明に係る除湿装置の概略を示す平面図。
【図4】他の実施形態1に係る除湿装置の概略を示す側面図。
【図5】他の実施形態2に係る除湿装置の概略を示す側面図。
【図6】他の実施形態2に係る除湿装置の概略を示す正面図。
【符号の説明】
【0056】
1 プリンタ、2 筐体、3 制御部、10 プレヒート部、11 ヒートローラ対、
20 記録部、21 第1インクヘッドユニット、22 第1ヘッド、
23 第2インクヘッドユニット、24 第2ヘッド、
25 第1サクションベルト機構、26 ベルト部、27 記録時用紙支持部、
28 第1加熱手段、30 除湿装置、31 冷却ユニット、32 結露板、
33 断熱材、34 水滴回収手段、35 水滴受けパン、36 通風穴、
37 案内管、38 タンク部、39 冷却フィン、40 冷却用ファン、
41 湿度センサ、50 ポストヒート部、51 第2サクションベルト機構、
52 乾燥時用紙支持部、53 第2加熱手段、60 (他の実施形態1の)除湿装置、
61 案内路、62 案内用ファン、70 (他の実施形態2の)プリンタ、
71 プレヒート部、72 第3サクションベルト機構、73 予備乾燥時用紙支持部、
74 第3加熱手段、75 記録部、76 第3インクヘッドユニット、
77 第3ヘッド、78 除湿装置、79 結露板、80 循環冷却チューブ、
81 水滴受けパン、82 案内管、83 水滴回収手段、P 用紙、W 水滴、
X 幅方向、Y 送り方向、Z 鉛直方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体に対してインクを吐出して記録を実行するインクヘッドユニットと、
該インクヘッドユニットと対向し、被記録媒体を支持する媒体支持部と、
該媒体支持部に設けられ、被記録媒体上のインクを乾燥する乾燥手段と、
前記インクヘッドユニットに搭載され、空気中の水分が結露する結露部と、
前記インクヘッドユニットに搭載され、前記結露部を冷却する冷却手段と、
前記結露部において結露した水滴を回収する水滴回収手段と、を備えた記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、前記インクヘッドユニットは、被記録媒体の送り方向および該送り方向に対する幅方向の少なくとも一の方向へ移動する構成である記録装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の記録装置において、前記水滴回収手段は、前記結露部の鉛直方向下側において水滴を受け止める水滴受け部を有し、
該水滴受け部には、空気が通過する貫通穴が設けられている記録装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の記録装置において、前記媒体支持部に支持された被記録媒体の表面側の空気を前記結露部へ送る送風手段を有する記録装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の記録装置において、前記インクヘッドユニットは、複数設けられ、
該複数のインクヘッドユニットの間において、前記媒体支持部に支持された被記録媒体の表面側の空気を前記結露部へ案内する案内部が形成されている記録装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の記録装置において、前記冷却手段は、通電により熱勾配が生じて熱が移動する構成である記録装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の記録装置において、湿度検出手段と、該湿度検出手段により得られる湿度の値が低くなるに従って前記冷却手段の出力が小さくなるように制御する制御部とを有する記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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