説明

記録装置

【課題】中間転写体から記録媒体への硬化性溶液層の密着性と、画像乱れの抑制と、の双方の実現された記録装置を提供する。
【解決手段】外部からの刺激により硬化する硬化性樹脂を少なくとも含む硬化性溶液を中間転写体上に供給する供給手段と、供給手段によって硬化性溶液が中間転写体上に供給されることにより中間転写体上に形成された硬化性溶液層にインクを吐出する第1の吐出手段と、硬化性溶液層に硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出する第2の吐出手段を備え、インク滴を吐出されることで記録されたドットにより形成された画像領域以外の非画像領域に、硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを利用した画像やデータ等を記録の一つとして、インクジェット記録方式がある。このインクジェット記録方式も含め、インクを利用した記録方式では、浸透媒体や非浸透媒体などの多様な記録媒体に対し高画質で記録を行うために、中間転写体に記録した後、記録媒体に転写する方式が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、飛翔インク滴が中間転写体に転写されるのに先だって、中間転写体の表面に液体を付着させ、その液体上にインクを付着させてから、中間転写体上のインクを液体とともに被印刷体に転写することを特徴とする記録方法について開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、中間体上に、紫外線照射により効果する物質を含むインクを吐出して画像層を形成し、この画像層に紫外線を照射して部分的に硬化させた後に、記録媒体と中間体上の画像層とを接触させて転写する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平2001−212956号公報
【特許文献2】特開2007−152945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、中間転写体から記録媒体への硬化性溶液層の転写における密着性と、画像乱れの抑制と、の双方の実現された記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、中間転写体と、外部からの刺激により硬化する硬化性樹脂を少なくとも含む硬化性溶液を前記中間転写体上に供給する供給手段と、前記供給手段によって前記硬化性溶液が前記中間転写体上に供給されることにより該中間転写体上に形成された硬化性溶液層にインクを吐出する第1の吐出手段と、前記硬化性溶液層に硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出する第2の吐出手段と、前記インク及び前記硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出された前記硬化性溶液層を記録媒体に接触させ、前記中間転写体から前記記録媒体に前記硬化性溶液層を転写する転写手段と、前記硬化性溶液層を硬化させる前記刺激を前記硬化性溶液層に供給する刺激供給手段と、画像データに基づいて、該画像データの画像の各画素に応じたドットを記録するためのインクを吐出するように前記第1の吐出手段を制御すると共に、該インクの吐出によって前記硬化性溶液層上に形成される画像領域以外の非画像領域に前記硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出するように前記第2の吐出手段を制御する制御手段と、を備えた記録装置である。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記制御手段は、前記画像データに基づいて、前記画像データの画像の各画素に応じたドットを記録するためのインクの最大吐出量を算出する算出手段を含み、前記非画像領域の各画素に対応する領域に、0を超え且つ前記最大吐出量以下の前記硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出するように前記第2の吐出手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の記録装置である。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記制御手段は、前記硬化性溶液層上の、前記非画像領域及び前記画像領域の双方に前記硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出するように前記第2の吐出手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の記録装置である。
【0010】
請求項4に係る発明は、前記制御手段は、前記画像データに基づいて、前記画像データの画像の各画素に応じたドットを記録するためのインクの最大吐出量を算出する算出手段を含み、前記画像領域の各画素に応じたドットを記録するために吐出される前記インクの吐出量と、該ドットが記録される領域に吐出される硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量と、の総量が前記最大吐出量となるように、該画像領域の各画素に対応する領域に吐出される前記硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量を画素毎に定め、該定めた吐出量の硬化性溶液層表面凹凸調整液を対応する各画素に対応する領域に吐出するように前記第2の吐出手段を制御すると共に、前記非画像領域の各画素に対応する領域に、0を超え且つ前記最大吐出量以下の前記硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出するように前記第2の吐出手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の記録装置である。
【0011】
請求項5に係る発明は、前記制御手段は、前記硬化性溶液層上に形成される前記画像領域の外縁に沿った領域を前記非画像領域として定め、該非画像領域に前記硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出するように前記第2の吐出手段を制御する請求項1に記載の記録装置である。
【0012】
請求項6に係る発明は、前記制御手段は、前記非画像領域として定めた画像領域の外縁に沿った領域について、該画像領域と非画像領域との境界から離れるほど前記硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量が少なくなるように、前記第2の吐出手段を制御する請求項5に記載の記録装置である。
【0013】
請求項7に係る発明は、前記制御手段は、前記画像データに基づいて、前記画像データの画像の各画素に応じたドットを記録するためのインクの最大吐出量を算出する算出手段を含み、前記非画像領域として定めた画像領域の外縁に沿った領域の画素の内の、該画像領域と非画像領域との境界に連続する画素に対応する領域に0を超え且つ前記最大吐出量以下の硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出し、該境界から離れるほど前記硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量が小さくなるように、前記第2の吐出手段を制御することを特徴とする請求項6に記載の記録装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、非画像領域に硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出しない場合に比べて、中間転写体から記録媒体への硬化性溶液層の密着性と、画像乱れの抑制と、の双方が実現される、という効果を奏する。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量を調整しない場合に比べて、中間転写体から記録媒体への硬化性溶液層の密着性と、画像乱れの抑制と、の双方が更に効果的に実現される、という効果を奏する。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、非画像領域にのみ硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出する場合に比べて、更に、中間転写体から記録媒体への硬化性溶液層の密着性と、画像乱れの抑制と、の双方が更に効果的に実現される、という効果を奏する。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量を調整しない場合に比べて、中間転写体から記録媒体への硬化性溶液層の密着性が更に向上される、という効果を奏する。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、画像領域の外縁に沿った領域以外にも硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出する場合に比べて、少ない硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出により効果的に、中間転写体から記録媒体への硬化性溶液層の密着性と、画像乱れの抑制と、の双方が更に効果的に実現される、という効果を奏する。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量を調整しない場合に比べて、中間転写体から記録媒体への硬化性溶液層の密着性と、画像乱れの抑制と、の双方が更に効果的に実現される、という効果を奏する。
【0020】
請求項7に係る発明によれば、硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量を0を超え且つ最大吐出量以下としない場合に比べて、中間転写体から記録媒体への硬化性溶液層の密着性と、画像乱れの抑制と、の双方が更に効果的に実現される、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、実質的に同じ機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
【0022】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態に係る記録装置を示す構成図である。
【0023】
第1の実施の形態に係る記録装置101は、図1に示すように、例えば、無端ベルト状の中間転写ベルト10の周囲に、中間転写ベルト10の移動方向(矢印方向)における上流側から順に、中間転写ベルト10上に離型剤層24B(詳細後述)を形成する離型剤塗布装置24、該離型剤層24B上に硬化性溶液12A(詳細後述)を供給し被硬化層12Bを形成する溶液供給装置12、中間転写ベルト10上に形成された被硬化層12Bに形成対象の画像の各画素に応じてインク滴14Aを吐出してドットを形成することにより該被硬化層12B上に画像を形成するインクジェット記録ヘッド14、被硬化層12B上に硬化性溶液層表面凹凸調整液(詳細後述)15Aを吐出する硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド15、インク滴14A及び硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出された被硬化層12Bを記録媒体Pに接触させ圧力を加えることにより該被硬化層12Bを記録媒体P上に転写する転写装置16、及び中間転写ベルト10表面に残留する被硬化層12Bの残留物や付着した異物(記録媒体Pの紙粉等)等を除去するクリーニング装置20が配置されている。
【0024】
また、中間転写ベルト10の内側には、被硬化層12B及び記録媒体Pの接触中に被硬化層12Bを硬化させる刺激を被硬化層12Bに供給する刺激供給装置18(刺激供給手段)が設けられている。すなわち、被硬化層12Bが記録媒体Pと接触している領域に対向して刺激供給装置18を設置している。
【0025】
また、記録装置101には、記録装置101に設けられた装置各部を制御するためのメインコントローラ30が設けられており、図示は省略するが装置各部に信号授受可能に接続されている。
【0026】
なお、記録装置101が本発明の記録装置に相当し、中間転写ベルト10が本発明の記録装置の中間転写体に相当する。また、硬化性溶液供給装置12が本発明の記録装置の供給手段に相当し、インクジェット記録ヘッド14が本発明の記録装置の第1の吐出手段に相当する。また、硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド15が本発明の記録装置の第2の吐出手段に相当する。転写装置16は本発明の記録装置の転写手段に相当し、刺激供給装置18は本発明の記録装置の刺激供給手段に相当する。また、メインコントローラ30が本発明の記録装置の制御手段に相当し、メインコントローラ30に設けられた後述する算出部39Aが本発明の記録装置の算出手段に相当する。
【0027】
中間転写ベルト10は、例えば、3つの支持ロール10Aから10C、及び加圧ロール16Bにより内周面側から張力を掛けつつ回転するように支持されて配設されている。また中間転写ベルト10は、記録媒体Pの幅と同等又はそれ以上の幅(軸方向長さ)を有している。
【0028】
中間転写ベルト10の材料としては、一般に中間転写ベルトとして用いられている公知の材料、例えば、各種の樹脂(例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、フッ素系樹脂等)、各種のゴム(例えば、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等)等、ステンレス等の金属材料等が挙げられる。中間転写ベルト10は、単層構成でもよいし、積層構成でもよい。
【0029】
上記の通り、本実施形態においては、刺激供給装置18が中間転写ベルト10の内側に設けられているため、刺激は中間転写ベルト10を透過した後に被硬化層12Bに供給される。したがって、中間転写ベルト10は、被硬化層12Bに効率よく刺激を供給させるため、刺激透過性の高いものが望ましい。また、中間転写ベルト10は、耐刺激性の高いものが望ましい。
【0030】
例えば、刺激供給装置18が紫外線照射装置である場合、中間転写ベルト10は、紫外線透過性が高く、紫外線に対する耐久性が高いものが望ましい。具体的には、例えば、中間転写ベルト10の紫外線透過率が70%以上であることが望ましい。中間転写ベルト10の紫外線透過率が上記範囲であることにより、被硬化層12Bの硬化反応に必要な紫外線エネルギーが効率よく被硬化層12Bに供給されると共に、中間転写ベルト10が紫外線を吸収すること等による熱の発生が抑制される。
このような中間転写ベルト10を形成する材料としては、具体的には、例えば、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリオレフィン系フィルム等が挙げられる。
【0031】
また、本実施形態においては、被硬化層12Bに接する表面における中間転写ベルト10の表面自由エネルギー(γ)が低いことが望ましい。特に、表面自由エネルギー(γ)は、被硬化層12Bに接する表面における記録媒体Pの表面自由エネルギー(γ)よりも低いことが望ましく、下記式が成り立つ条件であることがより望ましい。
式:γ−γ>10
【0032】
表面自由エネルギーの値は、例えば、以下の方法により求められる。
具体的には、接触角計CAM−200(KSV社製)を用い、Zisman法を用いた装置内臓のプログラム計算にて算出した。
【0033】
離型剤塗布装置24は、中間転写ベルト10の移動方向において、溶液供給装置12よりもさらに上流側に配置されている。すなわち離型剤塗布装置24は、中間転写ベルト10の周囲において、溶液供給装置12とクリーニング装置20との間に配置されている。
離型剤塗布装置24は、例えば、離型剤24Aを収納する筐体24C内に、離型剤24Aを中間転写ベルト10へ供給する供給ローラ24Dと、供給された離型剤24Aにより形成された離型剤層24Bの層厚を規定するブレード24Eと、を含んで構成され、必要に応じて、離型剤24Aを加熱溶融させる加熱手段(図示せず)を含んでもよい。
【0034】
離型剤塗布装置24は、供給ローラ24Dが中間転写ベルト10に連続的に接触するようにしてもよいし、中間転写ベルト10から離間する構成としてもよい。また離型剤塗布装置24は、上記構成に限られず、公知の塗布法(例えば、バーコーター塗布、スプレー方式の塗布、インクジェット方式の塗布、エアーナイフ方式の塗布、ブレード方式の塗布、ロール方式の塗布等)などを利用した装置が適用される。
【0035】
離型剤24Aとしては、具体的には、シリコーン系オイル、フッ素系オイル、炭化水素系・ポリアルキレングリコール、脂肪酸エステル、フェニルエーテル、リン酸エステル等が挙げられ、これらの中でもシリコーン系オイル、フッ素系オイル、ポリアルキレングリコールが望ましい。
【0036】
シリコーン系オイルとしては、例えば、ストレートシリコーンオイル、変性シリコーンオイルが挙げられる。
ストレートシリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルが挙げられる。
変性シリコーンオイルとしては、例えばメチルスチリル変性オイル、アルキル変性オイル、高級脂肪酸エステル変性オイル、フッ素変性オイル、アミノ変性オイルが挙げられる。
【0037】
ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、ポリブチレングリコールが挙げられ、これらの中でも、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールが望ましい。
【0038】
なお、本実施の形態では、中間転写ベルト10上に離型剤24Aを塗布する場合を説明するが、中間転写ベルト10として、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)のような表面離型性の良好な材料を用いた場合には、離型剤24Aの塗布は必要無い。
【0039】
本実施形態に係る記録装置101では、溶液供給装置12により中間転写ベルト10表面に硬化性溶液12Aを供給する前に、予め、離型剤塗布装置24により中間転写ベルト10表面に離型剤24Aを塗布し離型剤層24Bが形成される。次に、溶液供給装置12により、中間転写ベルト10上の離型剤層24Bに硬化性溶液12Aが供給される。
【0040】
溶液供給装置12は、例えば、硬化性溶液12Aを収納する筐体12C内に、当該硬化性溶液12Aを中間転写ベルト10へ供給する供給ローラ12Dと、供給された硬化性溶液12Aにより形成された被硬化層12Bの層厚を規定するブレード12Eと、を含んで構成されている。
【0041】
溶液供給装置12は、その供給ローラ12Dが中間転写ベルト10に連続的に接触するようにしてもよいし、中間転写ベルト10から離間する構成としてもよい。また、溶液供給装置12は、独立した溶液供給システム(図示せず)より硬化性溶液12Aを筐体12Cへ供給させ、硬化性溶液12Aの供給がとぎれないようにしてもよい。硬化性溶液12Aの詳細については後述する。
【0042】
溶液供給装置12は、上記構成に限られず、公知の供給法(塗布法:例えば、ダイコータ、バーコーター塗布、スプレー方式の塗布、インクジェット方式の塗布、エアーナイフ方式の塗布、ブレード方式の塗布、ロール方式の塗布等)などを利用した装置が適用される。
【0043】
インクジェット記録ヘッド14は、中間転写ベルト10の外周面側に向かってインク滴を吐出する。このインクジェット記録ヘッド14としては、例えば、中間転写ベルト10の移動方向上流側から、ブラックインク滴を吐出するためのインクジェット記録ヘッド14Kと、シアンインク滴を吐出するためのインクジェット記録ヘッド14Cと、マゼンタインク滴を吐出するためのインクジェット記録ヘッド14Mと、イエローインク滴を吐出するためのインクジェット記録ヘッド14Yと、の各色のインクジェット記録ヘッドを含んで構成されている。無論、インクジェット記録ヘッド14の構成は上記構成に限られず、例えば、インクジェット記録ヘッド14Kのみで構成してもよいし、インクジェット記録ヘッド14C、インクジェット記録ヘッド14M、及びインクジェット記録ヘッド14Yのみで構成してもよい。
【0044】
各インクジェット記録ヘッド14は、張力が掛けられて回転支持された中間転写ベルト10における非屈曲領域上で、且つ中間転写ベルト10表面とインクジェット記録ヘッド14のノズル面との距離が例えば0.7から1.5mmに調整されて配置されている。
【0045】
また、各インクジェット記録ヘッド14は、例えば、記録媒体Pの幅と同等又はそれ以上の幅を持つライン型インクジェット記録ヘッドが望ましいが、従来のスキャン型のインクジェット記録ヘッドを用いてもよい。
各インクジェット記録ヘッド14によるインク吐出方式は、インク滴を吐出可能な構成であればよく、圧電素子駆動型、発熱素子駆動型等、インク滴の吐出可能な方式であれば制限はない。なお、インクの詳細については後述する。
【0046】
硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド15は、中間転写ベルト10の外周面側に向かって硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出する。
この硬化性溶液層表面凹凸調整液は、インク液14Aによって形成される画像領域Tの色相に影響を与えない色相であり(例えば、白色や透明等)被硬化層12Bに吐出することで該被硬化層12Bの表面凹凸状態を調整する液体である。この硬化性溶液層表面凹凸調整液の詳細な組成は後述する。なお、「透明」とは、可視領域の波長の光に対する透過率が50%以上であることを示す。
【0047】
この硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド15は、上記インクジェット記録ヘッド14と同様に、張力が掛けられて回転支持された中間転写ベルト10における非屈曲領域上で、且つ中間転写ベルト10表面と硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド15のノズル面との距離が例えば0.7から1.5mmに調整されて配置されている。
【0048】
また、硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド15は、例えば、記録媒体Pの幅と同等又はそれ以上の幅を持つライン型インクジェット記録ヘッドの吐出する液体をインクから硬化性溶液層表面凹凸調整液に替えたものを用いる事が望ましいが、従来のスキャン型のインクジェット記録ヘッドの吐出する液体をインクから硬化性溶液層表面凹凸調整液に替えたものを用いてもよい。
硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド15による硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出方式は、硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出可能な構成であればよく、圧電素子駆動型、発熱素子駆動型等、硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出可能な方式であれば制限はない。
【0049】
転写装置16は、以下のように構成されている。具体的には、例えば、加圧ロール16B及び支持ロール10Cにより中間転写ベルト10を張架し、非屈曲領域を形成している。中間転写ベルト10の非屈曲領域において、加圧ロール16B及び支持ロール10Cに対向する位置には、記録媒体Pを支持する支持体22が設けられている。また、加圧ロール16Aは、中間転写ベルト10の加圧ロール16Bと対向する位置に配置され、支持体22に設けられた開口部(図示せず)を通して記録媒体Pに接触する。
すなわち、中間転写ベルト10及び記録媒体Pが加圧ロール16A及び16Bにより挟み込まれた位置(以下、「接触開始位置」と称する場合がある)から、支持ロール10C及び支持体22により挟み込まれた位置(以下、「剥離位置」と称する場合がある)までの転写領域においては、被硬化層12Bは中間転写ベルト10及び記録媒体Pの両方に接触した状態となっている。
【0050】
刺激供給装置18は、中間転写ベルト10の内側に設けられ、転写領域の中間転写ベルト10を介して、中間転写ベルト10及び記録媒体Pの両方に接触した状態の被硬化層12Bに刺激を供給する。
【0051】
刺激供給装置18の種類は、適用する硬化性溶液12Aに含まれる硬化性樹脂の種類に応じて選択される。具体的には、例えば、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化性樹脂を適用する場合、刺激供給装置18としては硬化性溶液12A(これにより形成された被硬化層12B)に紫外線を照射する紫外線照射装置を適用する。また、電子線の照射により硬化する電子線硬化性樹脂を適用する場合、刺激供給装置18として硬化性溶液12A(これにより形成された被硬化層12B)に電子線を照射する電子線照射装置を適用する。また、熱の付与により硬化する熱硬化性樹脂を適用する場合、刺激供給装置18として硬化性溶液12A(これにより形成された被硬化層12B)に熱を付与する熱付与装置を適用する。
【0052】
ここで、紫外線照射装置としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、デイープ紫外線ランプ、マイクロ波を用い外部から無電極で水銀灯を励起するランプ、紫外線レーザー、キセノンランプ、UV−LEDなどが適用される。
【0053】
ここで、紫外線の照射条件としては、特に制限はなく、紫外線硬化性樹脂種、被硬化層12Bの厚みなどに応じて選択し得るが、例えば、メタルハライドランプを用いた場合で、積算光量20から1000mJ/cm等である。
【0054】
また、電子線照射装置としては、例えば、走査型/カーテン型等があり、カーテン型はフィラメントで生じた熱電子を、真空チャンバー内のグリッドによって引き出し、さらに高電圧(例えば70乃至300kV)によって、一気に加速させ、電子流となり、窓箔を通過して、大気側に放出する装置である。電子線の波長は一般的に1nmより小さく、またエネルギーは大きいもので数MeVに及ぶが、電子線の波長数がpmのオーダーでエネルギーが数十乃至数百keVが適用される。
【0055】
ここで、電子線の照射条件としては、特に制限はなく、電子線硬化性樹脂種、被硬化層12Bの厚みなどに応じて選択し得るが、例えば、電子線量は5乃至100kGyレベル等である。
【0056】
また、熱付与装置としては、例えば、ハロゲンランプ、セラミックヒータ、ニクロム線ヒータ、マイクロ波加熱、赤外線ランプなどが適用される。また、熱付与装置としては、電磁誘導方式の加熱装置も適用される。
【0057】
ここで、熱の付与条件としては、特に制限はなく、熱硬化性樹脂種、被硬化層12Bの厚みなどに応じて選択し得るが、例えば、空気中において、200℃環境で5min等である。
【0058】
記録媒体Pとしては、浸透媒体(例えば、普通紙や、コート紙等)、非浸透媒体(例えば、アート紙、樹脂フィルムなど)、いずれも適用される。記録媒体Pは、これらに限られず、その他、鋼板や半導体基板など工業製品も含まれる。
【0059】
このような全体構成とされた記録装置101においては、中間転写ベルト10が回転駆動され、まず、離型剤塗布装置24により中間転写ベルト10表面に離型剤層24Bが形成され、この離型剤層24B上に、溶液供給装置12により硬化性溶液12Aが供給されて、被硬化層12Bが形成される。
【0060】
ここで、被硬化層12Bの層厚(平均膜厚)は、特に制限はないが、画像形成性と転写性とを両立させる観点から、1μm以上50μm以下が望ましく、3μm以上20μm以下がより望ましい。
【0061】
また、例えば、被硬化層12Bの厚みをインク滴14Aが被硬化層12Bの最下層まで到達しない程度とすれば、記録媒体Pへの転写後では被硬化層12Bのうちインク滴14Aが存在する領域が露出せず、インク滴14Aが存在しない領域が硬化後には保護層として機能する。
【0062】
次に、インクジェット記録ヘッド14により、後述するメインコントローラ30の制御によって該被硬化層12B上へ、形成対象の画像データの画像の各画素に応じたドットを記録するためのインク滴14Aが吐出される。これによって、この被硬化層12Bには、吐出されたインク滴により記録されたドットにより画像領域が形成される。なお、本実施の形態では、この被硬化層12B上にインク滴14Aが吐出されることで記録されたドットの形成された領域を、「画像領域」と称して説明する。ここで被硬化層12Bは、インクを付与されたときにインク色材を固定化する特性を有することが好ましい。
【0063】
そして、さらに、被硬化層12B上には、硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド15によって硬化性溶液層表面凹凸調整液が吐出されて、該被硬化層12Bの少なくとも非画像領域に硬化性溶液層表面凹凸調整液が吐出される(詳細後述)。本実施の形態では、この「非画像領域」とは、被硬化層12B上の上記画像領域以外の領域である。この非画像領域は、詳細には、記録装置101において画像を記録する対象の記録媒体Pに対応する、被硬化層12B上の領域内において、該領域内における上記画像領域以外の領域を示している。
【0064】
なお、このインクジェット記録ヘッド14によるインク滴14Aの吐出、及び硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド15による硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出は、張力の掛けられた状態で回転支持された中間転写ベルト10における非屈曲領域上で行われる。つまり、ベルト表面がたわみのない状態で被硬化層12Bにインク滴14A及び硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aが吐出される。
【0065】
なお、本実施の形態では、被硬化層12B上にインクジェット記録ヘッド14によってインク滴14Aが吐出された後に、硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド15によって硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出が行われる場合を説明するが、硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド15によって被硬化層12Bへの硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出が行われた後に、インクジェット記録ヘッド14によって被硬化層12Bへのインク滴14Aの吐出が行われる構成であってもよい。この場合には、インクジェット記録ヘッド14より中間転写ベルト10の搬送方向上流側で且つ溶液供給装置12より搬送方向加硫側に硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド15を設けた構成とすればよい。
しかし、インク滴14Aの吐出された後に硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aを吐出する構成である方が、被硬化層表面での着弾インクの広がりに影響を与えにくいと言う理由から好ましい。
【0066】
次に、転写装置16の加圧ロール16A及び16Bにより記録媒体Pと中間転写ベルト10とを挟み込んで圧力をかける。このとき、中間転写ベルト10上の被硬化層12Bが記録媒体Pに接触する(接触開始位置)。その後、支持ロール10C及び支持体22によって挟まれた位置(剥離位置)までは、被硬化層12Bが中間転写ベルト10及び記録媒体Pの両方に接触した状態が維持される。
【0067】
次に、刺激供給装置18によって、中間転写ベルト10及び記録媒体Pの両方に接触した状態の(接触中の)被硬化層12Bに、中間転写ベルト10を介して刺激が供給されることで、被硬化層12Bが硬化する。具体的には、中間転写ベルト10上の被硬化層12Bが記録媒体Pに接触した後(接触開始位置を通過した後)に刺激供給を開始し、被硬化層12Bが中間転写ベルト10から剥離される前(剥離位置に到達する前)に刺激供給を終了する。
【0068】
刺激供給量としては、被硬化層12Bが、完全に硬化する量であることが望ましい。具体的には、例えば刺激が紫外線である場合、転写効率及び発熱抑制の観点から、積算光量で10mJ/cm以上1000mJ/cm以下範囲が望ましい。
また、被硬化層12Bが、中間転写ベルト10から剥離可能な程度に硬化する量の刺激供給量を与える場合には、転写/剥離後に被硬化層12Bが完全に硬化する為の、刺激量を供給すれば良い。
なお、本実施の形態では、刺激供給装置18によって、中間転写ベルト10及び記録媒体Pの両方に接触した状態の被硬化層12Bに中間転写ベルト10を介して刺激を供給することで、被硬化層12Bを硬化させる場合を説明するが、さらに、記録媒体Pに転写された後の被硬化層12Bを完全に硬化させるための、転写後の完全硬化用刺激供給装置(図示省略)を更に備えた構成とし、記録媒体Pに転写された被硬化層12Bを更に硬化させてもよい。
【0069】
次に、剥離位置において被硬化層12Bが中間転写ベルト10から剥離されることにより、インク滴14Aによる画像領域Tの形成された硬化性樹脂層(画像層)が記録媒体Pに形成される。
【0070】
そして、被硬化層12Bが記録媒体Pへ転写された後の中間転写ベルト10表面に残った被硬化層12Bの残留物や異物をクリーニング装置20により除去し、再び、中間転写ベルト10上に、溶液供給装置12により硬化性溶液12Aを供給して被硬化層12Bを形成し、画像記録プロセスが繰り返される。
【0071】
以上のようにして、本実施形態に係る記録装置101では、画像記録が行われる。
【0072】
図2には、メインコントローラ30の概略ブロック図を示した。図2に示すように、メインコントローラ30は、制御部32、色変換部34、画像処理部36、記録データ作成部38、及び画像記録部40を含んで構成されている。
なお、メインコントローラ30は、記録装置101に設けられた図示を省略する入出力装置を介して外部装置から無線回線または有線回線を介して、記録装置101で記録する対象の画像データを取得するものとする。この画像データは、後述する色変換部34に入力される。
なお、色変換部34に入力される画像データには、画像形成対象の記録媒体Pの全領域の各画素のデータが含まれているものとする。すなわち、該画像データには、画像領域及び非画像領域の双方に対応する画素のデータが含まれているものとする。
この各画素のデータには、各画素の記録媒体P上の位置(例えば、行方向の位置、列方向の位置)、各画素の色を示す情報(例えば、RGBデータ)が含まれているものとする。
【0073】
制御部32は、色変換部34、画像処理部36、記録データ作成部38、及び画像記録部40を統括制御する。なお、画像記録部40は、図1を参照して説明した記録装置101のうち画像の記録に関する構成要素を含むものである。
【0074】
ここで、本実施の形態では、インクジェット記録ヘッド14には、Y、M、C、Kの4色のインク滴各々を吐出するインクジェット記録ヘッド14Y、14M、14C、及び14Kの各々が設けられている。
このため、色変換部34は、例えば記録媒体Pやインクの特性に応じた色補正や濃度補正を行うと共に、入力された形成対象の画像の画像データがRGBデータの場合は、記録装置101に設けられたインクジェット記録ヘッド14から吐出されるインク滴の色の種類に応じて、該RGBデータをCMYKデータに変換する処理を画素毎に行う。
なお、色補正処理は、一般にLUT(Look Up Table)と呼ばれる補正テーブルを用いて行う。
【0075】
画像処理部36は、画素毎に、所謂ハーフトーン処理を実行する。すなわち256階調等の比較的高階調のデータから、画像記録部40で記録可能な階調数の画像データに変換する。この処理は、各画素のYMCKの色毎に行われる。
【0076】
なお、記録装置101のインクジェット記録ヘッド14で記録可能な階調数は一般的には2〜8階調であるが、本実施形態では一例として、説明を簡略化するために、YMCKの各色共2階調、すなわち各色のインクジェット記録ヘッド14(インクジェット記録ヘッド14Y、14M、14C、及び14K)の各々のノズルから吐出されるインク滴14Aの種類が2階調(すなわち、吐出無し、または通常量吐出)の場合について説明する。
【0077】
また、詳細は後述するが、本実施の形態では、硬化性溶液層表面凹凸調整液については、インクジェット記録ヘッド14から吐出されるインクの種類に応じて、5階調の場合について説明する。このため、硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド15からは、硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出無しと、硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量が各色インクジェット記録ヘッド14の内の1色のインクジェット記録ヘッド14の1つのノズルから1回に吐出されるインク量と同量(すなわち通常量)の場合と、該通常量の2倍の場合(2色分)と、該通常量の3倍の場合(3色分)と、及び該通常量の4倍の場合(4色分)と、の5種類と、である場合について説明する。
【0078】
なお、本実施の形態では、各色のインクジェット記録ヘッド14の各々のノズルから吐出されるインク滴14Aの種類が上記2階調であり、硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド15から吐出される硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの量は、上記5階調である場合を説明するが、これらの階調に限られないことはいうまでもない。
【0079】
記録データ作成部38は、画像処理部36で各画素の各YMCKの色毎に2値化された画像データを画像記録部40が解読可能なデータ構造に変換し、記録順序(転送順序)にデータを並び替えて画像記録部40へ出力する。このとき、インクジェット記録ヘッドやノズルの配列にマッピングさせた吐出タイミングやデータ配列も考慮して記録データを作成する。
【0080】
また、本実施形態に係る記録データ作成部38では、YMCKの4色のインクを吐出するだけでなく、形成対象の画像データの各画素値に基づいて、被硬化層12B上にインク滴14Aが吐出されることで記録されたドットにより形成された画像領域以外の非画像領域に硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出するための硬化性溶液層表面凹凸調整液データを作成する。この硬化性溶液層表面凹凸調整液データは、記録データ作成部38に設けられた硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部39で作成される(詳細は後述)。
【0081】
画像記録部40は、記録データ作成部38で作成されたYMCKの記録データに従って、各色インクジェット記録ヘッド14のノズルからインク滴14Aを吐出させると共に、記録データ作成部38に設けられた硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部39で作成された硬化性溶液層表面凹凸調整液データに従って、硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド15のノズルから硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aを吐出させる。
これにより、被硬化層12B上にインク滴14Aが吐出されて、該被硬化層12B上に形成対象の画像の画素に応じたドットが形成されて画像領域が形成されると共に、該被硬化層12B上の画像領域以外の非画像領域に硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aが吐出される。
【0082】
次に、本実施の形態の作用として、硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部39で実行される硬化性溶液層表面凹凸調整液データの作成について、図3を用いて説明する。
【0083】
まず、ステップ100では、被硬化層12B上に形成される画像領域T中のインク最大吐出量Mを算出する。
ステップ100の処理は、上記画像処理部36で各画素の各YMCKの色毎に2値化された画像データに基づいて被硬化層12B上に形成される画像領域を構成する各ドットの内の、最も多量にインク滴14Aを吐出されることによって形成されるドットを検索し、該検索したドットを記録するための吐出されるYMCKのインク滴14Aの総量を算出する処理である。
【0084】
本実施の形態では、画像処理部36において各画素の各YMCKの色毎に2値化(吐出無し、または通常量吐出)がなされるとして説明している。
【0085】
例えば、被硬化層12B上に形成される画像領域を構成するドットの中で最もインク滴を多量に吐出されるドットが、YMCKの各色のインク滴14Aの内の3色のインクが各々通常量吐出されることで形成されるドットである場合には、該通常量を100%とすると、その3倍である300%の吐出量(通常量の3倍(3色分))が、インク最大吐出量Mとして算出される。本実施の形態では、同一ドットに打ち込まれるインク滴14Aの最大量は、300%の吐出量であるとして説明する。
【0086】
なお、このステップ100におけるインク最大吐出量Mの算出処理は、硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部39に設けられた算出部39Aによって行われる。
【0087】
次のステップ102では、上記ステップ100で算出したインク最大吐出量Mを示す情報をメモリ39Bに記憶する。
【0088】
次のステップ104では、メモリ39Bに記憶されていた硬化性溶液層表面凹凸調整液データを初期化する。この硬化性溶液層表面凹凸調整液データは、中間転写ベルト10上に形成された被硬化層12B上の、形成対象の記録媒体Pに対応する領域内の各画素に応じた各領域について硬化性溶液層表面凹凸調整液の量が定義されたデータである。
本実施の形態では、硬化性溶液層表面凹凸調整液の量としては、通常量の3倍、通常量の2倍、通常量の1倍(通常量)、及びなし、の4種類(4階調)が設定され、各々‘3’、‘2’、‘1’、‘0’として表されるものとする。
このステップ104では、被硬化層12B上の記録媒体Pに対応する領域内の各画素に応じたドット毎の硬化性溶液層表面凹凸調整液データを全て‘0’とすることで初期化する。これにより、記録装置101において画像形成対象の記録媒体Pに対応する全領域における各画素の各ドットについて、硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出が無しに設定される。
【0089】
ステップ106では、色変換部34に入力され、上記画像処理部36で二値化された画像データの各画素の内の、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量算出のための選択のなされていない1の画素(例えば、画像データのi行j列の画素)を選択する。
ステップ106の選択は、例えば、メモリ39Bに、上記画像処理部36で二値化された画像データの各画素の内の、硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量を示すデータが対応づけて記憶させていない画素の内の1つを選択することで可能である。
【0090】
次のステップ108では、上記ステップ106で選択した画素が、被硬化層12Bに形成されたときに画像領域Tを形成するドットに対応する画素であるか否かを判別する。ステップ108の判断は、例えば、上記画像処理部36で各画素の各YMCKの色毎に2値化された画像データの内の、上記ステップ106で選択した画素に対応するドットを記録する、YMCK各色インク滴14Aの吐出量の内の少なくとも1つが通常量吐出を示す“1”であるか否かを判別し、少なくとも1つが通常量吐出を示す‘1’である場合には、画像領域Tに対応する画素であると判別すればよい。また、上記ステップ106で選択した画素に対応するドットを記録するYMCK各色インク滴14Aの吐出量が全て吐出無を示す“0”である場合には、非画像領域であると判別すればよい。
【0091】
上記ステップ108で肯定されて、上記ステップ106またはステップ116の内の直前に選択した画素が、被硬化層12Bに形成されたときに画像領域Tを形成するドットに対応する画素である場合にはステップ110へ進む。
ステップ110では、該選択した画素に対応する領域に吐出する硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量Tとして、吐出無を示す‘0’を設定する。
【0092】
次のステップ112では、上記ステップ110で設定した硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量Tと、対応する選択した画素を示す情報(例えば、i行j列)と、を対応づけてメモリ39Bへ記憶する。
【0093】
ステップ108、ステップ110、及びステップ112の処理によって、被硬化層12B上の画像領域の各画素に対応するドットには硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出を行わない事を示す硬化性溶液層表面凹凸調整液データが作成されたこととなる。
【0094】
次のステップ114では、上記画像処理部36で二値化された画像データの各画素の内の全ての画素について、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量Tの設定が終了したか否かを判別し、肯定されると本ルーチンを終了し、否定されると、上記ステップ106へ戻る。
【0095】
一方、上記ステップ108で否定されて、選択した画素が非画像領域である場合には、ステップ118へ進む。
ステップ118では、該選択した画素に対応する領域に吐出する硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量Tとして、上記ステップ100で算出したインク最大吐出量Mに基づいて、該インク最大吐出量Mに対応する吐出量Xをメモリ39Bから読み取り、読み取った該。値“X”を、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量Tとして設定する。
【0096】
次のステップ120では、上記ステップ118で設定した硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量Tと、対応する選択した画素を示す情報(例えば、i行j列)と、を対応づけてメモリ39Bへ記憶した後に、上記ステップ114へ進む。
【0097】
このステップ118で設定する硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量である“X”は、インク滴14Aの吐出によって被硬化層12Bに形成される画像領域Tと、該画像領域T以外の非画像領域Bとの凹凸が抑制される量であればよい。このため、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量である“X”は、ステップ100で算出したインク最大吐出量Mに応じて定めればよい。
具体的には、上記吐出量“X”は、ステップ100で算出したインク最大吐出量M以下の値であって、該インク最大吐出量Mに対応する吐出量Xを予めメモリ39Bに記憶しておいて、上記ステップ100で算出したインク最大吐出量Mに対応する吐出量Xの値を読み取ることによって設定すればよい。
【0098】
例えば、ステップ100で算出したインク最大吐出量Mとして、通常量(100%の吐出量)を示す情報に対応づけて、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量である“X”として通常量(100%)を示す‘1’を予め対応づけてメモリ39Bに記憶する。
また、ステップ100で算出したインク最大吐出量Mとして、通常量の2倍(200%の吐出量)を示す情報に対応づけて、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量である“X”として、通常量の2倍を示す‘2’、または通常量(100%)を示す‘1’を予め対応づけてメモリ39B記憶する。
また、ステップ100で算出したインク最大吐出量Mとして、通常量の3倍(300%の吐出量)を示す情報に対応づけて、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量である“X”として、通常量の2倍を示す‘2’を予め対応づけてメモリ39B記憶する。
【0099】
上述のように、インク最大吐出量Mに対応する‘X’の値をメモリ39Bに記憶しておけば、例えば、ステップ100で算出したインク最大吐出量Mが通常量‘1’である場合には、該インク最大吐出量Mに対応する通常量を示す‘1’または吐出無しを示す‘0’がメモリ39Bから読み取られて、インク最大吐出量Mに応じた、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量である“X”が適宜定められる。
【0100】
ステップ108、ステップ118、及びステップ120の処理によって、被硬化層12B上の非画像領域の各画素に対応する領域に、上記値Xの吐出量の硬化性溶液層表面凹凸調整液15A吐出を示す硬化性溶液層表面凹凸調整液データが作成されたこととなる。
【0101】
硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部39において上記ステップ100〜ステップ120の処理が実行されることで硬化性溶液層表面凹凸調整液データが作成される。
そして、上述のように、画像記録部40において、記録データ作成部38で作成されたYMCKの記録データに従って、各色インクジェット記録ヘッド14のノズルからインク滴14Aが吐出されることで、被硬化層12B上には形成対象の画像の画素に応じたドットが形成されて画像領域Tが形成される。
そして、該被硬化層12B上の画像領域T以外の非画像領域には、記録データ作成部38に設けられた硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部39で作成された硬化性溶液層表面凹凸調整液データに従って、硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド15のノズルから硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aが、上記ステップ118で設定された吐出量X吐出される。
このため、図4に示すように中間転写ベルト10上に形成された被硬化層12B上の、インク滴14Aの吐出によって形成された画像領域T以外の非画像領域Bには、各画素に対応する領域に吐出量Xの硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aが吐出された状態となる。
【0102】
この被硬化層12Bのインク滴14A及び硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出された領域は、中間転写ベルト10の回動によって転写装置16の設けられた位置に達すると、上述のように、加圧ロール16A及び16Bによって挟み込んで圧力をかけられて、その後、支持ロール10C及び支持体22によって挟まれた位置(剥離位置)までは、被硬化層12Bが中間転写ベルト10及び記録媒体Pの両方に接触した状態が維持される。そして、刺激供給装置18によって、中間転写ベルト10及び記録媒体Pの両方に接触した状態の被硬化層12Bに、中間転写ベルト10を介して刺激が供給されることで、被硬化層12Bが硬化する。そして、剥離位置において被硬化層12Bが中間転写ベルト10から剥離されることにより、インク滴14Aによる画像領域Tの形成された硬化性樹脂層(画像層)が記録媒体Pに形成される。
【0103】
ここで、被硬化層12B上にインクジェット記録ヘッド14によってインク滴14Aが吐出されると、被硬化層12B中の後述する吸液樹脂がインクを吸液することによって、被硬化層12Bの体積が増加する。このため、被硬化層12B上のインク滴14Aを吐出された領域の厚みは、インク滴14Aの吐出されていない領域に比べて厚くなる。
このため、被硬化層12B上に画像に応じたインク滴14Aの吐出により被硬化層12B上には画像領域Tが形成されるが、本実施の形態の記録装置101のような硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aが吐出されない場合には、図5に示すように、中間転写ベルト10上の被硬化層12Bの画像領域Tと非画像領域Bとの厚みの差が、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出がなされる場合に比べて大きく、表面に凹凸が形成されたような状態となると考えられる。
このように被硬化層12Bの表面に凹凸の形成された状態では、加圧ロール16A及び16Bによって記録媒体Pへ転写される時の被硬化層12Bと記録媒体Pとの密着性が該凹凸により阻害される場合がある。
【0104】
一方、本実施の形態の記録装置101によれば、被硬化層12B上にインク滴14Aを吐出されることで記録されたドットにより形成された画像領域T以外の非画像領域Bには、被硬化層12B上に形成される画像領域T中のインク最大量Mに応じた量の、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aが吐出されることから、被硬化層12Bの非画像領域Bにおける吸液樹脂が硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aを吸液することによって、被硬化層12Bが膨潤して体積が増加する。そして、画像領域Tについても、被硬化層12Bの画像領域Tにおける吸液樹脂がインク滴14Aを吸液することによって、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aが膨潤して体積が増加する。このため、インク滴14Aを吸液した画像領域Tと同様に、非画像領域Bについても、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吸収によって、吸収前に比べて層厚が厚くなる。このため、この非画像領域Bへの硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出がなされない場合に比べて、被硬化層12B表面の画像領域T及び非画像領域B間の厚みの差が抑制される。
従って、被硬化層12Bが加圧ロール16A及び16Bによって記録媒体Pへ転写される時の被硬化層12Bと記録媒体Pとの密着性が向上する。
【0105】
また、非画像領域Bに硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aが吐出されない場合には、加圧ロール16A及び16Bによって挟み込んで圧力をかけることで記録媒体Pに被硬化層12Bを転写するために、画像領域Tと非画像領域Bとの間の層厚の差を考慮して高い圧力(例えば、10kPa以上(50kPa以下))をかける必要があった。しかし、圧力を高くするほど、被硬化層12Bと記録媒体Pとの密着性は向上するものの、被硬化層12Bに形成された画像領域Tを構成する各ドットのインクが画像領域T外へとはみ出し、画像乱れが発生する場合があった。
【0106】
一方、本実施の形態の記録装置101においては、非画像領域Bに硬化性溶液層表面凹凸調整液15Bを吐出することから、被硬化層12B上の画像領域Tと非画像領域Bとの層厚の差が、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出がなされない場合に比べて抑制される。このため、加圧ロール16A及び16Bによって加える圧力を、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aを吐出しない場合に比べて低くすることが可能と考えられる。従って、本実施の形態の記録装置101においては、記録媒体Pと被硬化層12Bとの密着性の向上と共に、画像乱れの抑制の双方が実現される。
【0107】
また、被硬化層12Bの非画像領域Bの各画素に対応する領域には、0を超えて、且つ画像領域T中のインク最大吐出量M以下の硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aが吐出されることから、非画像領域Bに硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aが吐出されない場合に比べて、効果的に画像領域Tと非画像領域Bとの厚みの差が抑制され、記録媒体Pと被硬化層12Bとの密着性の向上が効果的に図れる。
【0108】
なお、本実施形態においては、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のインクジェット記録ヘッド14から画像データに基づいて選択的にインク滴14Aが付与されてフルカラーの画像が記録媒体Pに記録されるようになっているが、記録媒体P上への文字や画像の記録に限定されるものではない。すなわち、工業的に用いられる液滴付与(噴射)装置全般、また版を用いた転写による画像を形成する方法、スクリーン印刷による画像形成方法などにも本発明に係る装置を適用される。
【0109】
―硬化性溶液―
以下、硬化性溶液12Aの詳細について説明する。
【0110】
硬化性溶液12Aは、外部からの刺激(エネルギー)により硬化する硬化性樹脂を少なくとも含んでいる。ここで、硬化性溶液12Aに含有される「外部からの刺激(エネルギー)により硬化する硬化性樹脂」とは、外部からの刺激によって硬化し、「硬化性樹脂」となる材料を意味する。具体的には、例えば、硬化性のモノマー、硬化性のマクロマー、硬化性のオリゴマー、硬化性のプレポリマー等が挙げられる。
【0111】
硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。紫外線硬化性樹脂は、硬化がし易く、他のものに比べ硬化速度も速く、取り扱いやすいため、最も望ましい。電子線硬化性樹脂は、重合開始剤が不要であり、硬化後の層の着色制御が実施しやすい。熱硬化性樹脂は、大掛りな装置を必要とすることなく硬化される。なお、硬化性樹脂は、これらに限られず、例えば湿気、酸素等により硬化する硬化性樹脂も適用される。
【0112】
紫外線硬化性樹脂を硬化することにより得られる「紫外線硬化性樹脂」としては、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイミド樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニルエーテル樹脂などが挙げられる。そして、その硬化性溶液12Aは、紫外線硬化性のモノマー、紫外線硬化性のマクロマー、紫外線硬化性のオリゴマー、及び紫外線硬化性のプレポリマーの少なくとも1種を含んでいる。また、硬化性溶液12Aは、紫外線硬化反応を進行させるための紫外線重合開始剤を含んでいることが望ましい。さらに硬化性溶液12Aは、必要に応じて、重合反応をより進行させるための、反応助剤、重合促進剤等を含んでいてもよい。
【0113】
ここで、紫外線硬化性のモノマーとしては、例えば、アルコール/多価アルコール/アミノアルコール類のアクリル酸エステル、アルコール/多価アルコール類のメタクリル酸エステル、アクリル脂肪族アミド、アクリル脂環アミド、アクリル芳香族アミド類等のラジカル硬化性樹脂;エポキシモノマー、オキセタンモノマー、ビニルエーテルモノマー等のカチオン硬化性樹脂;などが挙げられる。上記紫外線硬化性のマクロマー、紫外線硬化性のオリゴマー、紫外線硬化性のプレポリマーとしては、これらモノマーを所定の重合度で重合させたものの他、エポキシ、ウレタン、ポリエステル、ポリエーテル骨格に、アクリロイル基やメタクリロイル基の付加した、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエステルメタクリレート等のラジカル硬化性樹脂が挙げられる。
【0114】
硬化反応がラジカル反応により進行するタイプである場合、紫外線重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、チオキサントン系、ベンジルジメチルケタール、α-ヒドロキシケトン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、 α-アミノケトン、α-アミノアルキルフェノン、モノアシルフォスフィンオキサイド、ビスアシルフォスフィンオキサイド、ヒドロキシベンゾフェノン、アミノベンゾフェノン、チタノセン型、オキシムエステル型、オキシフェニル酢酸エステル型などが挙げられる。
また硬化反応がカチオン反応により進行するタイプである場合、紫外線重合開始剤としては、例えば、アリールスルホニウム塩、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、アレン-イオン錯体誘導体、トリアジン系開始剤等が挙げられる。
【0115】
電子線硬化性樹脂を硬化することにより得られる「電子線硬化性樹脂」としては、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。そして、その硬化性溶液12Aは、電子線硬化性のモノマー、電子線硬化性のマクロマー、電子線硬化性のオリゴマー、及び電子線硬化性のプレポリマーの少なくとも1種を含んでいる。
【0116】
ここで、電子線硬化性のモノマー、電子線硬化性のマクロマー、電子線硬化性のオリゴマー、電子線硬化性のプレポリマーとしては、紫外線硬化性の材料と同様のものが挙げられる。
【0117】
熱硬化性樹脂を硬化することにより得られる「熱硬化性樹脂」としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。そして、その硬化性溶液12Aは、熱硬化性のモノマー、熱硬化性のマクロマー、熱硬化性のオリゴマー、及び熱硬化性のプレポリマーの少なくとも1種を含んでいる。また重合の際に硬化剤を添加してもよい。また、硬化性溶液12Aは、熱硬化反応を進行させるための熱重合開始剤を含んでもよい。
【0118】
ここで、熱硬化性のモノマーとしては、例えば、フェノール、ホルムアルデヒド、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン、シアヌリル酸アミド、尿素、グリセリン等のポリアルコール、無水フタル酸、無水マレイン酸、アジピン酸等の酸などが挙げられる。熱硬化性のマクロマー、熱硬化性のオリゴマー、熱硬化性のプレポリマーとしては、これらのモノマーを所定の重合度で重合させたものや、エポキシプレポリマー、ポリエステルプレポリマーなどが挙げられる。
【0119】
熱重合開始剤としては、例えば、プロトン酸/ルイス酸等の酸、アルカリ触媒、金属触媒などが挙げられる。
【0120】
以上のように、硬化性樹脂は、紫外線、電子線、熱等の外部エネルギーにより硬化(例えば、重合反応が進行することによる硬化)するものであれば何でもよい。
上記硬化性樹脂の中でも、画像記録の高速化という観点を考慮すると、硬化速度の速い材料(例えば、重合の反応速度が速い材料)が望ましい。このような硬化性樹脂としては、例えば、放射線硬化型の硬化性樹脂(上記紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等)が挙げられる。
【0121】
硬化性樹脂は、中間転写体等との濡れ性を考慮して、Siやフッ素等による変性がされていてもよい。また硬化性樹脂は、硬化速度と硬化度を考慮すると、多官能のプレポリマーを含有するのが望ましい。
【0122】
また、硬化性溶液には、上記硬化反応に寄与する主成分(モノマー、マクロマー、オリゴマー、及びプレポリマー、重合開始剤等)を溶解又は分散するための水や有機溶媒を含んでいてもよい。但し、当該主成分の比率が例えば30質量%以上、望ましくは60質量%以上、より望ましくは90質量%以上の範囲が挙げられる。
【0123】
また、硬化性溶液は、硬化後の層の着色制御を行う目的で各種色材を含んでいてもよい。
【0124】
また、硬化性溶液の粘度は、5mPa・s以上10000mPa・s以下、望ましくは10mPa・s以上1000mPa・s以下、より望ましくは15mPa・s以上500mPa・s以下の範囲が挙げられる。また、硬化性溶液の粘度は、インクの粘度よりも高いことがよい。
【0125】
上記硬化性溶液12Aは、インク中の着色剤を固定化する材料を含むことが望ましい。
また、これらの材料としては、インクに対して吸液性を有する材料(吸液性材料)が好ましい。吸液性材料とは、吸液性材料とインクを重量比30:100で24時間混合した後、混合液中からフィルターにより吸液性材料を取り出した時、吸液性材料の重量がインク混合前に対して5%以上増加するものである。
このように、硬化性溶液12Aがインク吸液性材料を含有することによって、速やかにインク液体成分(例えば、水、水性溶媒)が、樹脂層に取り込まれ画像が固定化するため、インク間の境界部での混色や、画像均一性、さらには転写時の圧力によるインクの不均一な転写が軽減される。
【0126】
吸液性材料は、例えば樹脂(以下、吸液樹脂と称する場合がある)や、表面親インク性を持たせた無機粒子(例えば、シリカ、アルミナ、ゼオライトなど)等があげられ、用いるインクに応じて適宜選択される。
具体的には、インクとして水性インクを用いる場合は、吸液性材料として吸水材料を用いることが望ましい。また、インクとして油性インクを用いる場合は、吸液性材料として吸油材料を用いることが望ましい。
【0127】
吸水材料としては、具体的には、例えば、ポリアクリル酸及びその塩、ポリメタクリル酸及びその塩、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸及びその塩構造を有する脂肪族又は芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸およびその塩構造を有する脂肪族又は芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸およびその塩から構成される共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸およびその塩構造を有する脂肪族又は芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、ポリマレイン酸およびその塩、スチレン−マレイン酸及びその塩から構成される共重合体等、前記それぞれの樹脂のスルホン酸変性体、それぞれの樹脂のリン酸変性体等、等が挙げられ、望ましくは、ポリアクリル酸およびその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸およびその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸およびその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸およびその塩構造を有する脂肪族又は芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸およびその塩から構成される共重合体、が挙げられる。これら樹脂は、未架橋でも架橋されていてもよい。
【0128】
また吸油材料としては、具体的には、例えば、ヒドロキシステアリン酸、コレステロール誘導体、ベンジリデンソルビトールといった低分子ゲル化剤や、ポリノルボルネン、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエン共重合体、各種ロジン類等が挙げられ、望ましくは、ポリノルボルネン、ポリプロピレン、ロジン類が挙げられる。
【0129】
吸液性材料が粒子状である場合には、硬化性溶液12Aの安定性と画質との両立といった観点から、体積平均粒径が0.05μm以上25μmの範囲であることが望ましく、0.05μm以上5μm以下がより望ましい。
【0130】
この吸液性材料の硬化性溶液12A全体に対する比率は、例えば質量比で10%以上望ましくは20%以上であり、より望ましくは25%以上70%以下の範囲が挙げられる。
【0131】
次に、硬化性溶液12Aに含まれる、その他の添加剤について説明する。
硬化性溶液12Aは、インクの成分を凝集又は増粘させる成分を含んでもよい。
【0132】
この機能を有する成分は、上記吸液樹脂粒子を構成する樹脂(樹脂吸水性樹脂)の官能基として含んでもよいし、化合物として含んでもよい。当該官能基としては、例えば、カルボン酸、多価金属カチオン、ポリアミン類等などが挙げられる。
【0133】
また、当該化合物としては、無機電解質、有機酸、無機酸、有機アミンなどの凝集剤が好適に挙げられる。
【0134】
無機電解質としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン及び、アルミニウムイオン、バリウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン、ニッケルイオン、スズイオン、チタンイオン、亜鉛イオン等の多価金属イオンと、塩酸、臭酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、チオシアン酸、及び、酢酸、蓚酸、乳酸、フマル酸、フマル酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸等の有機カルボン酸及び、有機スルホン酸の塩等が挙げられる。
【0135】
有機酸としては、具体的にはアルギニン酸、クエン酸、グリシン、グルタミン酸、コハク酸、酒石酸、システイン、シュウ酸、フマル酸、フタル酸、マレイン酸、マロン酸、リシン、リンゴ酸、及び、一般式(1)で表される化合物、これら化合物の誘導体などが挙げられる。
【0136】
【化1】

【0137】
ここで、式中、Xは、O、CO、NH、NR、S、又はSOを表す。Rはアルキル基を表し、Rとして望ましくは、CH,C、COHである。Rはアルキル基を表し、Rとして望ましくは、CH,C、COHである。なお、Rは式中に含んでいてもよいし、含んでいなくても構わない。Xとして望ましくは、CO、NH、NR,Oであり、より望ましくは、CO、NH、Oである。Mは、水素原子、アルカリ金属又はアミン類を表す。Mとして望ましくは、H、Li、Na、K、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等であり、より望ましくは、H、Na,Kであり、更に望ましくは、水素原子である。nは、3以上7以下の整数である。nとして望ましくは、複素環が6員環又は5員環となる場合であり、より望ましくは、5員環の場合である。mは、1又は2である。一般式(1)で表される化合物は、複素環であれば、飽和環であっても不飽和環であってもよい。lは、1以上5以下の整数である。
【0138】
有機アミン化合物としては、1級、2級、3級及び4級アミン及びそれらの塩のいずれであっても構わない。
【0139】
より望ましくは、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、エタノールアミン、プロパンジアミン、プロピルアミンなどが使用される。
【0140】
これら凝集剤の中でも、多価金属塩(Ca(NO)、Mg(NO)、Al(OH)、ポリ塩化アルミニウム等)が好適に用いられる。
【0141】
凝集剤は単独で使用しても、あるいは2種類以上を混合して使用しても構わない。また、凝集剤の含有量としては、0.01質量%以上30質量%以下であることが望ましい。より望ましくは、0.1質量%以上15質量%以下であり、更に望ましくは、1質量%以上15質量%以下である。
【0142】
―インク―
以下、インクの詳細について説明する。
【0143】
インクとしては、溶媒として水性溶媒を含む水性インク、溶媒として油性溶媒を含む油性インク、紫外線硬化型インク、相変化型のワックスインクなどが挙げられる。本実施形態においては、水性インク又は油性インクを用い、記録媒体として非浸透媒体を用いた場合でも、ヒーター等により溶媒を揮発させることなく良い画像定着性が得られる。
【0144】
水性インクとしては、例えば、記録材として水溶性染料又は顔料を水性溶媒に分散又は溶解したインクが挙げられる。また、油性インクとしては、例えば、記録材として油溶性染料を油性溶媒に溶解したインク、記録材として染料又は顔料を逆ミセル化して分散したインクが挙げられる。
【0145】
油性インクを用いる場合は、低揮発性又は不揮発性の溶媒を用いた油性インクを用いることが望ましい。油性インクの溶媒が低揮発性又は不揮発性であることにより、ヘッドノズル端部において、溶媒揮発によるインク状態変化が起きにくいため、ヘッドノズル耐目詰まり性が良い。また油性インクの溶媒が低揮発性又は不揮発性であることにより、インク滴を受容した被硬化層が記録媒体に転写された後に、油性インクの溶媒が記録媒体に浸透しても、カール・カックルが生じにくい。さらに油性インクの溶媒は、カチオン硬化性のものであってもよい。
【0146】
本実施形態においては、インクとして水性インクを用いることが望ましい。水性インクを用いることで、紫外線硬化型インクや相変化型インクなどに比べ、インクジェットヘッドやメンテナンス時、長期保管時の信頼性を向上することができる。この場合、上記硬化性溶液12Aに含まれる吸液性材料としては、吸水材料を用いることが望ましい。
【0147】
まず、記録材について説明する。記録材としては、主に色材が挙げられる。色材としては、染料、顔料のいずれも用いられるが、耐久性の点で顔料であること望ましい。顔料としては有機顔料、無機顔料のいずれも使用でき、黒色顔料ではファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料等が挙げられる。黒色とシアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色又は淡色の体質顔料、プラスチックピグメント等を使用してもよい。また、本発明のために、新規に合成した顔料でも構わない。
【0148】
また、シリカ、アルミナ、又は、ポリマービード等をコアとして、その表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等を顔料として使用する方法もある。
【0149】
黒色顔料の具体例としては、Raven7000(コロンビアン・カーボン社製)、Regal400R(キャボット社製)、Color Black FW1(デグッサ社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0150】
シアン色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Blue−1,−2,−3,−15,−15:1,−15:2,−15:3,−15:4,−16,−22,−60等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0151】
マゼンタ色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Red−5,−7,−12,−48,−48:1,−57,−112,−122,−123,−146,−168,−177,−184,−202, C.I.Pigment Violet −19等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0152】
黄色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Yellow−1,−2,−3,−12,−13,−14,−16,−17,−73,−74,−75,−83,−93,−95,−97,−98,−114,−128,−129,−138,−151,−154,−180等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0153】
ここで、色材として顔料を使用した場合には、併せて顔料分散剤を用いることが望ましい。使用される顔料分散剤としては、高分子分散剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0154】
高分子分散剤としては、親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体が好適に用いられる。親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体としては、縮合系重合体と付加重合体とが使用される。縮合系重合体としては、公知のポリエステル系分散剤が挙げられる。付加重合体としては、α,β−エチレン性不飽和基を有する単量体の付加重合体が挙げられる。親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体と疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体を組み合わせて共重合することにより目的の高分子分散剤が得られる。また、親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体の単独重合体も用いられる。
【0155】
親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、りん酸基等を有する単量体、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロオキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
【0156】
疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等が挙げられる。
【0157】
高分子分散剤として用いられる、望ましい共重合体の例としては、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。また、これらの重合体に、ポリオキシエチレン基、水酸基を有する単量体を共重合させてもよい。
【0158】
上記高分子分散剤としては、例えば重量平均分子量で2000乃至50000のものが挙げられる。
【0159】
これら顔料分散剤は、単独で用いても、二種類以上を併用しても構わない。顔料分散剤の添加量は、顔料により大きく異なるため一概には言えないが、一般に顔料に対し、合計で0.1乃至100質量%が挙げられる。
【0160】
色材として水に自己分散可能な顔料も用いられる。水に自己分散可能な顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を数多く有し、高分子分散剤が存在しなくとも水中で分散する顔料のことを指す。具体的には、通常のいわゆる顔料に対して酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理等を施すことにより、水に自己分散可能な顔料が得られる。
【0161】
また、水に自己分散可能な顔料としては、上記顔料に対して表面改質処理を施した顔料の他、キャボット社製のCab−o−jet−200、Cab−o−jet−300、IJX−157、IJX−253、IJX−266、IJX−273、IJX−444、IJX−55、Cab−o−jet−260M、Cab−o−jet−250C、Cab−o−jet−270Y、Cab−o−jet−1027R、Cab−o−jet−554B、オリエント化学社製のMicrojet Black CW−1、CW−2等の市販の自己分散顔料等も使用される。
【0162】
自己分散顔料としては、その表面に官能基として少なくともスルホン酸、スルホン酸塩、カルボン酸、又はカルボン酸塩を有する顔料であることが望ましい。より望ましくは、表面に官能基として少なくともカルボン酸、又はカルボン酸塩を有する顔料である。
【0163】
更に、樹脂により被覆された顔料等も使用される。これは、マイクロカプセル顔料と呼ばれ、大日本インキ化学工業社製、東洋インキ社製などの市販のマイクロカプセル顔料だけでなく、本発明のために試作されたマイクロカプセル顔料等も使用される。
【0164】
また、高分子物質を上記顔料に物理的に吸着又は化学的に結合させた樹脂分散型顔料も用いられる。
【0165】
記録材としては、その他、親水性のアニオン染料、直接染料、カチオン染料、反応性染料、高分子染料等や油溶性染料等の染料類、染料で着色したワックス粉・樹脂粉類やエマルション類、蛍光染料や蛍光顔料、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、フェライトやマグネタイトに代表される強磁性体等の磁性体類、酸化チタン、酸化亜鉛に代表される半導体や光触媒類、その他有機、無機の電子材料粒子類などが挙げられる。
【0166】
記録材の含有量(濃度)は、例えばインクに対して5乃至30質量%の範囲が挙げられる。
【0167】
記録材の体積平均粒径は、例えば10nm以上1000nm以下の範囲が挙げられる。
【0168】
記録材の体積平均粒径とは、記録材そのものの粒径、又は記録材に分散剤等の添加物が付着している場合には、添加物が付着した粒径をいう。体積平均粒径の測定装置には、マイクロトラックUPA粒度分析計 9340 (Leeds&Northrup社製)を用いた。その測定は、インク4mlを測定セルに入れ、所定の測定法に従って行った。なお、測定時の入力値として、粘度にはインクの粘度を、分散粒子の密度は記録材の密度とした。
【0169】
次に水性溶媒について説明する。水性溶媒としては、水が挙げられ、特にイオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水を使用することがよい。また、水性溶媒と共に、水溶性有機溶媒を用いてもよい。水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が使用される。
【0170】
水溶性有機溶媒の具体例としては、多価アルコール類では、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2−へキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、キシリトールなどの糖アルコール類、キシロース、グルコース、ガラクトースなどの糖類等が挙げられる。
【0171】
多価アルコール類誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0172】
含窒素溶媒としては、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が、アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類が挙げられる。
含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0173】
水溶性有機溶媒としては、その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等も用いられる。
【0174】
水溶性有機溶媒は、少なくとも1種類以上使用してもよい。水溶性有機溶媒の含有量としては、例えば1質量%以上70質量%以下の範囲が挙げられる。
【0175】
次に、油性溶媒について説明する。油性溶媒としては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、グリコール類、含窒素溶媒、植物油等の有機溶媒が使用される。脂肪族炭化水素の例として、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルヘキサン、n−オクタン、メチルヘプタン、ジメチルヘキサン、ノナン、デカン等が挙げられ、アイソパーなどのn−パラフィン系溶剤、iso−パラフィン系溶剤、シクロパラフィン系溶剤などのパラフィン系溶剤でも構わない。また、芳香族炭化水素としては、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等が挙げられる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、ヘキサノン、ヘプタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル等が挙げられる。エーテル類としては、ジエチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロピルエータル等が挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。その他、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル等のグリコール誘導体を溶媒として用いても良い。植物油としては、乾性油、半乾性油、不乾性油などが挙げられる。乾性油としては、荏の油、アマニ油、桐油、ケシ油、くるみ油、紅花油、ひまわり油などが挙げられ、半乾性油としては菜種油、不乾性油としては、ヤシ油が挙げられる。上記溶媒は単独もしくは二種以上併用しても良い。
【0176】
次に、その他の添加剤について説明する。インクには、その他、必要に応じて、界面活性材が添加される。
【0177】
これら界面活性剤の種類としては、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、望ましくは、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が用いられる。
【0178】
これらの界面活性剤は単独で使用しても混合して使用してもよい。また界面活性剤の親水性/疎水性バランス(HLB)は、溶解性等を考慮すると例えば3乃至20の範囲が挙げられる。
【0179】
これらの界面活性剤の添加量は、例えば0.001乃至5質量%、望ましくは0.01乃至3質量%の範囲が挙げられる。
【0180】
また、インクには、その他、浸透性を調整する目的で浸透剤、インク吐出性改善等の特性制御を目的でポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等や、導電率、pHを調整するために水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属類の化合物等、その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、及びキレート化剤等も添加される。
【0181】
次に、インクの好適な特性について説明する。まず、インクの表面張力は、例えば20乃至45mN/mの範囲が挙げられる。
【0182】
ここで、表面張力としては、ウイルヘルミー型表面張力計(協和界面科学株式会社製)を用い、23℃、55%RHの環境において測定した値を採用した。
【0183】
インクの粘度は、1.5mPa・s以上30mPa・s以下、望ましくは1.5mPa・s以上20mPa・s以下の範囲が挙げられる。ヘッド吐出性の観点からは、インクの粘度は20mPa・s以下が望ましい。また、インクの粘度は、上記硬化性溶液の粘度に比べ低いことがよい。
【0184】
ここで、粘度としては、レオマット115(Contraves製)を測定装置として用いて、測定温度は23℃、せん断速度は1400s−1の条件で測定した値を採用した。
【0185】
なお、インクは、上記構成に限定されるものではない。記録材以外に、例えば、液晶材料、電子材料など機能性材料を含むものであってもよい。
【0186】
―硬化性溶液層表面凹凸調整液―
以下、硬化性溶液層表面凹凸調整液の詳細について説明する。
硬化性溶液層表面凹凸調整液としては、上述のように、インク液14Aによって形成される画像領域Tの色相に影響を与えない色相であり(例えば、白色や透明等)被硬化層12Bに吐出することで該被硬化層12Bの表面凹凸状態を調整する液体であればよいが、好ましくは、被硬化層12Bの硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aに対する膨潤度が、被硬化層12Bのインク滴14Aに対する膨潤度と、同じであることが好ましい。
【0187】
なお、膨潤度が同じであるとは、一方の膨潤度を100%としたときの膨潤度の差が、±20%以下である事を意味している。
【0188】
この被硬化層12Bの膨潤度とは、インク滴14Aまたは硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aが吐出される前後における、該被硬化層12Bの層厚の変化率であって、膨潤前の測定値を層厚1、膨潤後の測定値を膜厚2として、次式(1)により算出される値をいう。なお、この膨潤度測定のためのインク滴14A及び硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量は、同量であればよい。
【0189】
(膨潤度)=(膜厚2)/(膜厚1)×100[単位:%]・・・式(1)
【0190】
このような硬化性溶液層表面凹凸調整液としては、上記インク中の記録材(顔料や染料)を含まない形態が挙げられる。
【0191】
なお、記録装置101のインクジェット記録ヘッド14から吐出されるインク滴14Bとして水性インクを用いる場合には、水性の硬化性溶液層表面凹凸調整液を用いることが好ましい。また、インクジェット記録ヘッド14から吐出されるインクジェット記録ヘッド14Bが油性インクである場合には、透油性の硬化性溶液層表面凹凸調整液を用いることが好ましい。
【0192】
具体的には、水性の硬化性溶液層表面凹凸調整液としては、水性溶媒が挙げられる。また、油性の硬化性溶液層表面凹凸調整液としては、油性溶媒が挙げられる。
この水性溶媒としては、上記水性インクの組成として説明した水性溶媒が挙げられる。また、油性溶媒としては、上記油性インクの組成として説明した油性溶媒が挙げられる。
なお、インク滴との間で、被硬化層12Bの吸液による膨潤の度合いに差が生じることを抑制するために、硬化性溶液層表面凹凸調整液に用いられる溶媒(水性溶媒または油性溶媒)は、同じ記録装置101に設けられたインクジェット記録ヘッド14から吐出されるインク滴14Aに含まれる溶媒と同じ溶媒を用いることが好ましい。
【0193】
これらの水性溶媒または油性溶媒には、インクと同様に、添加剤として界面活性剤や、浸透性を調整する目的で浸透剤、吐出性改善等の特性制御を目的でポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等や、導電率、pHを調整するために水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属類の化合物等、その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、及びキレート化剤等を添加してもよい。界面活性剤としては、インク滴14Aに添加される添加剤として挙げた界面活性剤が挙げられる。
なお、インク滴との間で、被硬化層12Bの吸液による膨潤の度合いに差が生じることを抑制するために、硬化性溶液層表面凹凸調整液に用いられる添加剤は、インク滴14Aに含まれる添加剤と同じ種類の添加剤を同じ含有量で用いることが好ましい。
【0194】
この硬化性溶液層表面凹凸調整液の表面張力、及び粘度等の特性は、同じ記録装置101のインクジェット記録ヘッド14から吐出されるインク滴14Aと同じまたは±20%の範囲内で同じ値であることが、被硬化層12Bの吸液による膨潤の度合いに差が生じることを抑制する観点から好ましい。
【0195】
具体的には、硬化性溶液層表面凹凸調整液の表面張力は、例えば20乃至45mN/mの範囲が挙げられる。この表面張力は、インクと同じ方法で測定した値である。
また、硬化性溶液層表面凹凸調整液の粘度は、1.5mPa・s以上30mPa・s以下、望ましくは1.5mPa・s以上20mPa・s以下の範囲が挙げられる。ヘッド吐出性の観点からは、硬化性溶液層表面凹凸調整液の粘度は20mPa・s以下が望ましい。また、硬化性溶液層表面凹凸調整液の粘度は、上記硬化性溶液の粘度に比べ低いことがよい。この粘度は、インクと同じ方法で測定した値である。
【0196】
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、被硬化層12B上の非画像領域Bに硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aを吐出する場合を説明した。本実施の形態では、被硬化層12B上の非画像領域Bと共に、画像領域Tについても硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aを吐出する形態を説明する。
【0197】
第2の実施の形態に係る記録装置102は、図6に示すように、中間転写ベルト10、離型剤塗布装置24、硬化性溶液12A(詳細後述)を供給し被硬化層12Bを形成する溶液供給装置12、中間転写ベルト10上に形成された被硬化層12Bに形成対象の画像の各画素に応じてインク滴14Aを吐出してドットを形成することにより該被硬化層12B上に画像を形成するインクジェット記録ヘッド14、被硬化層12B上に硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aを吐出する硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド15、転写装置16、刺激供給装置18、クリーニング装置20、及びメインコントローラ31が設けられている。
【0198】
なお、本実施の形態の記録装置102は、第1の実施の形態で説明した記録装置101の、メインコントローラ30に替えてメインコントローラ31が設けられている以外は、記録装置101と同一の構成であるため、同一機能を有する部分には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。
【0199】
メインコントローラ31は、記録装置102に設けられた装置各部を制御し、図示は省略するが装置各部に信号授受可能に接続されている。
【0200】
なお、記録装置102が本発明の記録装置に相当し、中間転写ベルト10が本発明の記録装置の中間転写体に相当する。また、溶液供給装置12が本発明の記録装置の供給手段に相当し、インクジェット記録ヘッド14が本発明の記録装置の第1の吐出手段に相当する。また、硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド15が本発明の記録装置の第2の吐出手段に相当する。転写装置16は本発明の記録装置の転写手段に相当し、刺激供給装置18は本発明の記録装置の刺激供給手段に相当する。また、メインコントローラ31が本発明の記録装置の制御手段に相当し、メインコントローラ31に設けられた後述する算出部41Aが本発明の記録装置の算出手段に相当する。
【0201】
図7には、メインコントローラ31の概略ブロック図を示した。図7に示すように、メインコントローラ31は、制御部32、色変換部34、画像処理部36、記録データ作成部42、及び画像記録部40を含んで構成される。
この記録データ作成部42には、第1の実施の形態で説明した硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部39に替えて、硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部41が設けられている。この硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部41は、算出部41A及び各種データを記憶するメモリ41Bを含んで構成されている。
【0202】
なお、メインコントローラ31は、記録装置102に設けられた図示を省略する入出力装置を介して外部装置から無線回線または有線回線を介して、記録装置102で記録する対象の画像データを取得するものとする。この画像データは、後述する色変換部34に入力される。なお、第1の実施の形態と同様に、色変換部34に入力される画像データには、画像形成対象の記録媒体Pの全領域の各画素のデータが含まれているものとする。すなわち、該画像データには、画像領域及び非画像領域の双方に対応する画素のデータが含まれているものとする。この各画素のデータには、各画素の記録媒体P上の位置(例えば、行方向の位置、列方向の位置)、各画素の色を示す情報(例えば、RGBデータ)が含まれているものとする。
【0203】
制御部32は、色変換部34、画像処理部36、記録データ作成部42、及び画像記録部40を統括制御する。なお、画像記録部40は、本実施の形態では、図6を参照して説明した記録装置102のうち画像の記録に関する構成要素を含むものである。
【0204】
メインコントローラ31の構成についても、第1の実施の形態で説明した硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部39に替えて、硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部41が設けられている以外は、同じ構成であるため、同一部分には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。
【0205】
なお、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、一例として、説明を簡略化するために、YMCKの各色共2階調、すなわち各色のインクジェット記録ヘッド14(インクジェット記録ヘッド14Y、14M、14C、及び14K)の各々のノズルから吐出されるインク滴の種類が2階調(すなわち、吐出無し、または通常量吐出)の場合について説明する。
【0206】
また、硬化性溶液層表面凹凸調整液についても、第1の実施の形態と同様に、本実施の形態では、インクジェット記録ヘッド14から吐出されるインクの種類に応じて、4階調の場合について説明する。
すなわち、本実施の形態では、硬化性溶液層表面凹凸調整液の量としては、通常量の3倍、通常量の2倍、通常量の1倍(通常量)、及びなし、の4種類(4階調)である場合について説明する。
【0207】
記録データ作成部42は、画像処理部36で各画素の各YMCKの色毎に2値化された画像データを画像記録部40が解読可能なデータ構造に変換し、記録順序(転送順序)にデータを並び替えて画像記録部40へ出力する。このとき、インクジェット記録ヘッドやノズルの配列にマッピングさせた吐出タイミングやデータ配列も考慮して記録データを作成する。
【0208】
また、本実施形態に係る記録データ作成部42では、YMCKの4色のインクを吐出するだけでなく、形成対象の画像データの各画素値に基づいて、被硬化層12B上にインク滴14Aが吐出されることで記録されたドットにより形成された画像領域Tと、該画像領域以外の非画像領域Bと、の双方に硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出するための硬化性溶液層表面凹凸調整液データを作成する。
この硬化性溶液層表面凹凸調整液データは、記録データ作成部42に設けられた硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部41で作成される(詳細は後述)。
【0209】
画像記録部40は、記録データ作成部42で作成されたYMCKの記録データに従って、各色インクジェット記録ヘッド14のノズルからインク滴14Aを吐出させると共に、記録データ作成部42に設けられた硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部41で作成された硬化性溶液層表面凹凸調整液データに従って、硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド15のノズルから硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aを吐出させる。
これにより、被硬化層12B上にインク滴14Aが吐出されて、該被硬化層12B上に形成対象の画像の画素に応じたドットが形成されて画像領域Tが形成されると共に、該画像領域Tと、画像領域T以外の非画像領域Bと、の双方に硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aが吐出される。
【0210】
次に、本実施の形態の作用として、硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部41で実行される硬化性溶液層表面凹凸調整液データの作成について、図8を用いて説明する。
【0211】
まず、ステップ200では、被硬化層12B上に形成される画像領域T中のインク最大吐出量Mを算出する。
ステップ200の処理は、上記画像処理部36で各画素の各YMCKの色毎に2値化された画像データに基づいて被硬化層12B上に形成される画像領域を構成する各ドットの内の、最も多量にインク滴14Aを吐出されることによって形成されるドットに、吐出されるインク滴14Aの総量を算出する処理である。
【0212】
本実施の形態では、画像処理部36において各画素の各YMCKの色毎に2値化(吐出無し、または通常量吐出)がなされる。
例えば、被硬化層12B上に形成される画像領域を構成するドットの中で最もインク滴を多量に吐出されるドットが、YMCKの各色のインク滴14Aの内の3色のインクが各々通常量吐出されることで形成されるドットである場合には、該通常量を100%とすると、その3倍である300%の吐出量(通常量の3倍(3色分))が、インク最大吐出量Mとして算出される。本実施の形態では、同一ドットに打ち込まれるインク滴14Aの最大量は、300%の吐出量であるとして説明する。
【0213】
なお、このステップ200におけるインク最大吐出量Mの算出処理は、硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部41に設けられた算出部41Aによって行われる。
【0214】
次のステップ202では、上記ステップ200で算出したインク最大吐出量Mを示す情報をメモリ41Bに記憶する。
【0215】
次のステップ204では、メモリ41Bに記憶されていた硬化性溶液層表面凹凸調整液データを初期化する。
この硬化性溶液層表面凹凸調整液データは、中間転写ベルト10上に形成された被硬化層12B上の、形成対象の記録媒体Pに対応する領域内の各画素に応じた各領域について硬化性溶液層表面凹凸調整液の量が定義されたデータである。
なお、この画像データには、画像形成対象の記録媒体Pに対応する全領域の各画素を示すデータから構成されていることから、画像領域及び非画像領域の双方に対応する画素のデータが含まれている。
【0216】
本実施の形態では、硬化性溶液層表面凹凸調整液の量としては、通常量の3倍、通常量の2倍、通常量の1倍(通常量)、及びなし、の4種類(4階調)が設定され、各々‘3’、‘2’、‘1’、‘0’として表されるものとする。
このステップ204では、被硬化層12B上の記録媒体Pに対応する領域内の各画素に応じたドット毎の硬化性溶液層表面凹凸調整液データを全て‘0’とすることで初期化する。これにより、記録装置102において画像形成対象の記録媒体Pに対応する全領域における各画素の各ドットについて、硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出が無しに設定される。
【0217】
ステップ206では、色変換部34に入力され、上記画像処理部36で二値化された画像データの各画素の内の、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量算出のための選択のなされていない1の画素を選択する。
ステップ106の選択は、例えば、メモリ39Bに、上記画像処理部36で二値化された画像データの各画素の内の、硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量を示すデータが対応づけて記憶させていない画素の内の1つ(例えば、画像データのi行j列の画素)を選択することで可能である。
【0218】
次のステップ208では、画像処理部36で二値化された画像データに基づいて、上記ステップ206で選択した画素に応じたドットを記録するために吐出されるインク滴14Aの総量としての、インク吐出量Sを読み取る。このインク吐出量Sは、具体的には、画像処理部36で二値化された画像データの、該ステップ206で選択した画素の、各YMCKの色毎の二値化データを読取り、該画素に対応するドットを記録するために吐出される各色のインク滴14Aの吐出量の総量を算出し、この算出結果を読み取ることによって得られる。
【0219】
例えば、上記ステップ206で選択した画素に対応するドットが、YMCKの4色の内の3色のインク滴14Aを各々通常量吐出することで形成される場合には、該通常量を100%とすると、その3倍である300%の吐出量(通常量の3倍(3色分))が、インク吐出量Sとして読み取られる。
【0220】
次のステップ210では、上記ステップ200で算出したインク最大吐出量Mと、ステップ208で読み取られたインク吐出量と、が同じであるか否かを判別する。
【0221】
ステップ210で肯定され、インク最大吐出量Mと、硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量の算出対象の画素に対応するドットを記録するために吐出されるインク滴14Aの総量であるインク吐出量Sと、が同じである場合には、ステップ212へ進む。
ステップ212では、硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量算出対象として選択した画素に対応する領域に吐出する硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量Tとして、吐出無を示す‘0’を設定する。
【0222】
次のステップ214では、上記ステップ212で設定した硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量Tと、対応する、硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量算出対象として選択した画素を示す情報(例えば、i行j列)と、を対応づけてメモリ41Bへ記憶する。
【0223】
上記ステップ210及びステップ212の処理によって、被硬化層12B上に形成される画像領域Tを構成する各ドット中の、インク滴14Aの吐出量が、画像領域T中のインク最大吐出量Mであるドットには、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出がなされないように、硬化性溶液層表面凹凸調整液データが作成される。
【0224】
次のステップ216では、上記画像処理部36で二値化された画像データの各画素の内の全ての画素について、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量Tの設定が終了したか否かを判別し、肯定されると本ルーチンを終了し、否定されると、上記ステップ206へ戻る。
【0225】
一方、ステップ210で否定され、インク最大吐出量Mと、硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量の算出対象の画素に対応するドットを記録するために吐出されるインク滴14Aの総量であるインク吐出量Sと、が異なる場合には、ステップ222へ進む。
【0226】
ステップ222では、硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量算出対象として選択した画素に対応する領域に吐出する硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量Tとして、上記ステップ200で算出したインク最大吐出量Mから、ステップ208で読み取ったインク吐出量Sを減算した値を、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量Tとして設定する。
【0227】
次のステップ224では、上記ステップ222で設定した硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量Tと、対応する、硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量算出対象として選択した画素を示す情報(例えば、i行j列)と、を対応づけてメモリ41Bへ記憶する。
【0228】
上記ステップ210、ステップ222、及びステップ224の処理によって、被硬化層12B上に形成される画像領域Tを構成する各ドット中の、インク滴14Aの吐出量が、画像領域T中のインク最大吐出量Mより少ないドットには、同一ドットに吐出されるインク滴14A及び硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの総量が、インク最大吐出量Mと同量となるように、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量が定められる。
また、上記ステップ210、ステップ222、及びステップ224の処理によって、被硬化層12B上に形成される画像領域T以外の非画像領域Bには、該非画像領域Bの各画素に対応する領域には、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量として、インク最大吐出量Mと同量の吐出量が定められる。
【0229】
硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部41において上記ステップ200〜ステップ224の処理が実行されることで硬化性溶液層表面凹凸調整液データが作成される。
そして、上述のように、画像記録部40において、記録データ作成部42で作成されたYMCKの記録データに従って、各色インクジェット記録ヘッド14のノズルからインク滴14Aが吐出されることで、被硬化層12B上には形成対象の画像の画素に応じたドットが形成されて画像領域Tが形成される。
そして、該被硬化層12B上の画像領域T、及び画像領域T以外の非画像領域Bの双方に、記録データ作成部42に設けられた硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部41で作成された硬化性溶液層表面凹凸調整液データに従って、硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド15のノズルから硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aが、上記ステップ222で設定された吐出量X吐出される。
【0230】
このため、図9に示すように中間転写ベルト10上に形成された被硬化層12B上の、インク滴14Aの吐出によって形成された画像領域T及び非画像領域Bの各々の各画素に対応する各領域には、吐出されるインク滴14A及び硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの総量が画像領域Tのインク最大吐出量Mとなるように、インク滴14A、またはインク滴14A及び硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aが吐出されることとなる。
【0231】
この被硬化層12Bのインク滴14A及び硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出された領域は、中間転写ベルト10の回動によって転写装置16の設けられた位置に達すると、上述のように、加圧ロール16A及び16Bによって挟み込んで圧力をかけられて、その後、支持ロール10C及び支持体22によって挟まれた位置(剥離位置)までは、被硬化層12Bが中間転写ベルト10及び記録媒体Pの両方に接触した状態が維持される。そして、刺激供給装置18によって、中間転写ベルト10及び記録媒体Pの両方に接触した状態の被硬化層12Bに、中間転写ベルト10を介して刺激が供給されることで、被硬化層12Bが硬化する。そして、剥離位置において被硬化層12Bが中間転写ベルト10から剥離されることにより、インク滴14Aによる画像領域Tの形成された硬化性樹脂層(画像層)が記録媒体Pに形成される。
【0232】
このように、本実施の形態の記録装置102によれば、被硬化層12B上のインク滴14A及び硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量が、形成対象の画像の各画素に対応する領域間で同じになるように調整される。このため、被硬化層12B上の画像領域T及び非画像領域B間の吸液による被硬化層12Bの膨潤度合いが均一とされ、非画像領域Bへの硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出がなされない場合に比べて、被硬化層12Bにおける画像領域Tと非画像領域Bとの層厚の差が抑制される。
従って、被硬化層12Bが加圧ロール16A及び16Bによって記録媒体Pへ転写される時の被硬化層12Bと記録媒体Pとの密着性が向上する。
【0233】
本実施の形態の記録装置102においては、画像領域Tと非画像領域Bとの双方に硬化性溶液層表面凹凸調整液15Bを吐出することで、被硬化層12Bの画像領域Tと非画像領域Bとの間の吸液量の差による層厚の差の発生が抑制されることから、被硬化層12Bと記録媒体Pとの密着性を維持しつつ、且つ加圧ロール16A及び16Bによって加える圧力を、非画像領域Bに硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aを吐出しない場合に比べて低くすることが可能となる。このため、本実施の形態の記録装置102においては、記録媒体Pと被硬化層12Bとの密着性の向上と共に、画像乱れの抑制の双方が実現される。
【0234】
また、本実施の形態の記録装置102においては、非画像領域Bのみならず、画像領域Tについても硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aを吐出し、被硬化層12Bの非画像領域B及び画像領域Tの吸液による膨潤の度合いを調整することから、非画像領域Bにのみ硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aを吐出する場合に比べて、更に、被硬化層12Bにおける画像領域T及び非画像領域B全体の厚みのばらつき(すなわち凹凸)が抑制され、記録媒体Pと被硬化層12Bとの密着性の更なる向上が図れる、と考えられる。
【0235】
<第3の実施の形態>
第1の実施の形態では、被硬化層12B上の非画像領域B全体に硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aを吐出する場合を説明した。本実施の形態では、被硬化層12B上の非画像領域Bの内の、画像領域Tの外縁に沿った領域のみを硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aを吐出する対象の非画像領域B’とし、該非画像領域B’に硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aを吐出する形態を説明する。
【0236】
第3の実施の形態に係る記録装置103は、図10に示すように、中間転写ベルト10、離型剤塗布装置24、硬化性溶液12A(詳細後述)を供給し被硬化層12Bを形成する溶液供給装置12、中間転写ベルト10上に形成された被硬化層12Bに形成対象の画像の各画素に応じてインク滴14Aを吐出してドットを形成することにより該被硬化層12B上に画像を形成するインクジェット記録ヘッド14、被硬化層12B上に硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aを吐出する硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド15、転写装置16、刺激供給装置18、クリーニング装置20、及びメインコントローラ33が設けられている。
【0237】
なお、本実施の形態の記録装置103は、第1の実施の形態で説明した記録装置101の、メインコントローラ30に替えてメインコントローラ33が設けられている以外は、記録装置101と同一の構成であるため、同一機能を有する部分には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。
【0238】
メインコントローラ33は、記録装置103に設けられた装置各部を制御し、図示は省略するが装置各部に信号授受可能に接続されている。
【0239】
なお、記録装置103が本発明の記録装置に相当し、中間転写ベルト10が本発明の記録装置の中間転写体に相当する。また、溶液供給装置12が本発明の記録装置の供給手段に相当し、インクジェット記録ヘッド14が本発明の記録装置の第1の吐出手段に相当する。また、硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド15が本発明の記録装置の第2の吐出手段に相当する。転写装置16は本発明の記録装置の転写手段に相当し、刺激供給装置18は本発明の記録装置の刺激供給手段に相当する。また、メインコントローラ33が本発明の記録装置の制御手段に相当し、メインコントローラ33に設けられた後述する算出部46Aが本発明の記録装置の算出手段に相当する。
【0240】
図11には、メインコントローラ33の概略ブロック図を示した。図11に示すように、メインコントローラ32は、制御部32、色変換部34、画像処理部36、記録データ作成部44、及び画像記録部40を含んで構成される。
この記録データ作成部44には、第1の実施の形態で説明した硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部39に替えて、硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部46が設けられている。この硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部46は、算出部46A及び各種データを記憶するメモリ46Bを含んで構成されている。
【0241】
なお、メインコントローラ33は、記録装置103に設けられた図示を省略する入出力装置を介して外部装置から無線回線または有線回線を介して、記録装置103で記録する対象の画像データを取得するものとする。この画像データは、後述する色変換部34に入力される。なお、第1の実施の形態と同様に、色変換部34に入力される画像データには、画像形成対象の記録媒体Pの全領域の各画素のデータが含まれているものとする。すなわち、該画像データには、画像領域及び非画像領域の双方に対応する画素のデータが含まれているものとする。この各画素のデータには、各画素の記録媒体P上の位置(例えば、行方向の位置、列方向の位置)、各画素の色を示す情報(例えば、RGBデータ)が含まれているものとする。
【0242】
制御部32は、色変換部34、画像処理部36、記録データ作成部44、及び画像記録部40を統括制御する。なお、画像記録部40は、本実施の形態では、図10を参照して説明した記録装置103のうち画像の記録に関する構成要素を含むものである。
【0243】
メインコントローラ33の構成についても、第1の実施の形態で説明した硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部39に替えて、硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部46が設けられている以外は、同じ構成であるため、同一部分には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。
【0244】
なお、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、一例として、説明を簡略化するために、YMCKの各色共2階調、すなわち各色のインクジェット記録ヘッド14(インクジェット記録ヘッド14Y、14M、14C、及び14K)の各々のノズルから吐出されるインク滴の種類が2階調(すなわち、吐出無し、または通常量吐出)の場合について説明する。
【0245】
また、硬化性溶液層表面凹凸調整液についても、第1の実施の形態と同様に、本実施の形態では、インクジェット記録ヘッド14から吐出されるインクの種類に応じて、5階調の場合について説明する。このため、硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド15からは、硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出無しと、硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量が各色インクジェット記録ヘッド14の内の1色のインクジェット記録ヘッド14の1つのノズルから1回に吐出されるインク量と同量(すなわち通常量)の場合と、該通常量の2倍の場合(2色分)と、該通常量の3倍の場合(3色分)と、及び該通常量の4倍の場合(4色分)と、の5種類と、である場合について説明する。
【0246】
記録データ作成部44は、画像処理部36で各画素の各YMCKの色毎に2値化された画像データを画像記録部40が解読可能なデータ構造に変換し、記録順序(転送順序)にデータを並び替えて画像記録部40へ出力する。このとき、インクジェット記録ヘッドやノズルの配列にマッピングさせた吐出タイミングやデータ配列も考慮して記録データを作成する。
【0247】
また、本実施形態に係る記録データ作成部44では、YMCKの4色のインクを吐出するだけでなく、形成対象の画像データの各画素値に基づいて、被硬化層12B上にインク滴14Aが吐出されることで記録されたドットにより形成された画像領域Tの外縁に沿った領域のみを硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aを吐出する対象の非画像領域B’とし、該非画像領域B’に硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aを吐出するための硬化性溶液層表面凹凸調整液データを作成する。
この硬化性溶液層表面凹凸調整液データは、記録データ作成部44に設けられた硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部46で作成される(詳細は後述)。
【0248】
画像記録部40は、記録データ作成部44で作成されたYMCKの記録データに従って、各色インクジェット記録ヘッド14のノズルからインク滴14Aを吐出させると共に、記録データ作成部44に設けられた硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部46で作成された硬化性溶液層表面凹凸調整液データに従って、硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド15のノズルから硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aを吐出させる。
これにより、被硬化層12B上にインク滴14Aが吐出されて、該被硬化層12B上に形成対象の画像の画素に応じたドットが形成されて画像領域Tが形成されると共に、該画像領域Tの外縁に沿った領域のみを硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aを吐出する対象の非画像領域B’とし、該非画像領域B’に硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aが吐出される。
【0249】
次に、本実施の形態の作用として、硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部46で実行される硬化性溶液層表面凹凸調整液データの作成について、図12を用いて説明する。
【0250】
まずステップ300では、上記画像処理部36で各画素の各YMCKの色毎に2値化された画像データに基づいて、被硬化層12B上に形成される画像領域Tを構成する各ドットの内の、画像領域Tの縁を構成する各ドットに対応する画素の各々について、各ドットを記録するための吐出するインク滴14Aの吐出量の総量mを算出する処理である。

本実施の形態では、画像処理部36において各画素の各YMCKの色毎に2値化(吐出無し、または通常量吐出)がなされる。このため、例えば、被硬化層12B上に形成される画像領域Tを構成するドットの内の、画像領域Tの縁を構成する各ドットが、例えば、YMCKの4色内の2色のインク滴14Aが各々通常量吐出されることで形成されるドットである場合には、該通常量を100%とすると、その2倍である200%の吐出量(通常量の2倍(2色分))が、対応するドットを記録するために吐出されるインク滴14Aの吐出量mとして算出される。
【0251】
次のステップ302では、上記ステップ300の処理によって算出された、画像領域Tの縁を構成する各ドットを記録するために吐出されるインク滴14Aの吐出量mを示す情報を、対応する画素を示すデータに対応づけてメモリ46Bに記憶する。
【0252】
次のステップ304では、メモリ46Bに記憶されていた硬化性溶液層表面凹凸調整液データを初期化する。この硬化性溶液層表面凹凸調整液データは、中間転写ベルト10上に形成された被硬化層12B上の、形成対象の記録媒体Pに対応する領域内の各画素に応じた各領域について硬化性溶液層表面凹凸調整液の量が定義されたデータである。
なお、この画像データには、画像形成対象の記録媒体Pに対応する全領域の各画素を示すデータから構成されていることから、画像領域及び非画像領域の双方に対応する画素のデータが含まれている。
【0253】
本実施の形態では、硬化性溶液層表面凹凸調整液の量としては、通常量の3倍、通常量の2倍、通常量、及びなし、の4種類が設定され、各々‘3’、‘2’、‘1’、‘0’として表されるものとする。
このステップ304では、被硬化層12B上の記録媒体Pに対応する領域内の各画素に応じたドット毎の硬化性溶液層表面凹凸調整液データを全て‘0’とすることで初期化する。これにより、記録装置103において画像形成対象の記録媒体Pに対応する全領域における各画素の各ドットについて、硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出が無しに設定される。
【0254】
ステップ305では、上記画像処理部36で各画素の各YMCKの色毎に2値化された画像データに基づいて、被硬化層12B上の非画像領域Bの内の、画像領域Tの外縁に沿った領域を、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aを吐出する対象の非画像領域B’として設定する。
ステップ305の処理は、例えば、該画像データに基づいて、被硬化層12B上の画像領域Tの縁(周縁)に相当する領域を構成する各画素について、各画素から非画像領域B側に連続する3画素の群から構成される領域を、非画像領域B’として設定する。
【0255】
ステップ305の処理によって、被硬化層12B上の画像領域T以外の非画像領域B中の、画像領域Tの外縁に沿った領域が、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aを吐出する対象の非画像領域B’として設定される。なお、本実施の形態では、説明を簡略化するために、非画像領域B中の、画像領域Tの外縁に向かって3画素分の領域を、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aを吐出する対象の非画像領域B’として設定する場合を説明するが、3画素分に限られない。
【0256】
次のステップ306では、上記ステップ300でインク滴14Bの吐出量mを算出した、画像領域Tの縁(周縁)を構成する複数の画素の内の、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量算出のための選択のなされていない1の画素を選択する。
【0257】
ステップ306の選択は、例えば、上記ステップ300でインク滴14Bの吐出量mを算出した、画像領域Tの縁(周縁)を構成する複数の画素の内の、非画像領域B’側に連続する画素の硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量が未設定の1の画素(例えば、画像データのi行j列の画素)を選択することで可能である。
【0258】
次のステップ308では、上記ステップ306で選択した画素に対応するドットを記録するためのインク吐出量mをメモリ46Bから読み取る。ステップ308の処理は、上記ステップ300の処理によってメモリ46Bに記憶された、上記ステップ306で選択した画素を示すデータに対応して記憶されているインク吐出量mを読み取ることによって可能である。
【0259】
次のステップ310では、上記ステップ305で設定した非画像領域B’内の、上記ステップ306で選択した画素から、非画像領域B’側に連続する画素を読み取る。本実施の形態では、該連続する画素として、該選択した画素から非画像領域B’側に連続する3つの画素を読み取るものとして説明する。
【0260】
なお、本実施の形態では、3つの画素を読み取るものとして説明するが、1画素以上であればよく、1画素、2画素、4画素等であってもよい。この場合には、上記ステップ305において、各々非画像領域B’として、画像領域Tから非画像領域B側に連続する画素として、各々1画素、2画素、4画素の領域を定めればよい。
【0261】
次のステップ312では、上記ステップ310で選択した3画素の内の、上記ステップ306で選択した画素に一番目に連続する画素(すなわち、隣接する画素)を選択する。
次のステップ314では、上記ステップ312で選択した画素への硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量Tとして、上記ステップ308で読みとったインク吐出量mを設定する。
【0262】
次のステップ316では、上記設定したインク吐出量mと、上記ステップ312で選択した画素を示すデータと、を対応づけて46Bへ記憶する。
【0263】
次のステップ318では、上記ステップ310で選択した3画素の内の、上記ステップ306で選択した画素に2番目に連続する画素を選択する。
次のステップ320では、上記ステップ318で選択した画素への硬化性溶液層表面凹凸調整液15A吐出量Tとして、上記ステップ308で読みとったインク吐出量mの1/2の量である1/2mを設定する。
【0264】
次のステップ322では、上記設定したインク吐出量1/2mと、上記ステップ318で選択した画素を示すデータと、を対応づけて46Bへ記憶する。
【0265】
次のステップ324では、上記ステップ310で選択した3画素の内の、上記ステップ306で選択した画素に3番目に連続する画素を選択する。
次のステップ326では、該ステップ324で選択した画素への硬化性溶液層表面凹凸調整液15A吐出量Tとして、上記ステップ308で読みとったインク吐出量mの1/3の量である1/3mを設定する。
【0266】
次のステップ328では、上記設定したインク吐出量1/3mと、上記ステップ318で選択した画素を示すデータと、を対応づけて46Bへ記憶する。
【0267】
次のステップ330では、上記ステップ305で設定した非画像領域B’の全画素について、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量Tの設定が終了したか否かを判別し、肯定されると本ルーチンを終了し、否定されると、上記ステップ306へ戻る。
【0268】
硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部46において上記ステップ300〜ステップ330の処理が実行されることで硬化性溶液層表面凹凸調整液データが作成される。
この硬化性溶液層表面凹凸調整液データは、上記ステップ300〜ステップ330の処理によって作成されたものであることから、被硬化層12B上の画像領域Tの外縁の画像領域B’に吐出される硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの量が、該画像領域Tの縁から非画像領域B側へ向かって段階滴に吐出量が少なくなるように設定されている。
【0269】
画像記録部40においては、記録データ作成部44で作成されたYMCKの記録データに従って、各色インクジェット記録ヘッド14のノズルからインク滴14Aが吐出されることで、被硬化層12B上には形成対象の画像の画素に応じたドットが形成されて画像領域Tが形成される。
また、画像記録部40においては、硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部46において作成された硬化性溶液層表面凹凸調整液データに従って、硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド15のノズルから硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aが吐出されることで、該被硬化層12B上の画像領域Tの外縁に沿った領域である非画像領域B’に、画像領域Tから非画像領域Bに向かって段階的に少ない吐出量となるように硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aが吐出される。
【0270】
このため、例えば、図13に示すように、被硬化層12B上の画像領域Tの外縁の画像領域B’において、該画像領域Tの縁から非画像領域B側へ向かって段階滴に吐出量が少なくなるように、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aが吐出される。例えば、図13に示すように、被硬化層12Bの画像領域Tの外側に隣接する領域である非画像領域B1には、画像領域Tの縁部を構成するドットを記録するために吐出されるインク滴14Aの量と同量の硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aが吐出される。そして、該非画像領域B1の更に非画像領域B側に隣接する領域である非画像領域B2には、画像領域Tの縁部を構成するドットを記録するために吐出されるインク滴14Aの量の1/2の量の硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aが吐出され、さらに外側の非画像領域B3には、該インク滴14Aの量の1/3の量の硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aが吐出される。
【0271】
このため、被硬化層12Bの画像領域T以外の非画像領域Bの内の、画像領域Tの外側に沿った非画像領域B’に、画像領域Tに近い位置から離れるに従って少ない量の硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aが吐出されることとなる。
【0272】
この被硬化層12Bのインク滴14A及び硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出された領域は、中間転写ベルト10の回動によって転写装置16の設けられた位置に達すると、上述のように、加圧ロール16A及び16Bによって挟み込んで圧力をかけられて、その後、支持ロール10C及び支持体22によって挟まれた位置(剥離位置)までは、被硬化層12Bが中間転写ベルト10及び記録媒体Pの両方に接触した状態が維持される。そして、刺激供給装置18によって、中間転写ベルト10及び記録媒体Pの両方に接触した状態の被硬化層12Bに、中間転写ベルト10を介して刺激が供給されることで、被硬化層12Bが硬化する。そして、剥離位置において被硬化層12Bが中間転写ベルト10から剥離されることにより、インク滴14Aによる画像領域Tの形成された硬化性樹脂層(画像層)が記録媒体Pに形成される。
【0273】
上述のように、本実施の形態の記録装置103によれば、被硬化層12Bの画像領域T以外の非画像領域Bの内の、画像領域Tの外側に沿った非画像領域B’に、画像領域Tに近い位置から離れるに従って少ない量の硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aが吐出される。このため、被硬化層12B上の画像領域Tと、該画像領域T以外の非画像領域Bとの境界から非画像領域Bに向かって硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aが段階的に少なくなるように吐出されることから、被硬化層12Bにおける、画像領域Tと非画像領域Bとの境界の層厚の差が抑制される。
従って、被硬化層12Bが加圧ロール16A及び16Bによって記録媒体Pへ転写される時の被硬化層12Bと記録媒体Pとの密着性が向上する。
【0274】
また、本実施の形態の記録装置103においては、画像領域Tと非画像領域Bとの境界から非画像領域Bに向かって硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aが段階的に少なくなるように吐出されることで、被硬化層12Bにおける画像領域Tと非画像領域Bとの間の層厚の差が抑制されることから、被硬化層12Bと記録媒体Pとの密着性を維持しつつ、且つ加圧ロール16A及び16Bによって加える圧力を、非画像領域Bに硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aを吐出しない場合に比べて低くすることが可能となる。このため、本実施の形態の記録装置103においては、記録媒体Pと被硬化層12Bとの密着性の向上と共に、画像乱れの抑制の双方が実現される。
【0275】
また、本実施の形態の記録装置103においては、画像領域Tの占める面積が非画像領域Bの占める面積に比べて少ない場合、例えば、画像領域Tが1または複数の文字による文章領域である場合に特に有効であり、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量が抑制される。
【0276】
なお、本実施の形態の記録装置103においては、画像領域Tと非画像領域B’との境界から非画像領域Bに向かって硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量が段階的に少なくなるように吐出される場合を説明したが、画像領域Tの外周に沿った非画像領域B’内に、画像領域Tの外縁を構成する画素に対応するドットを記録するために吐出されるインク滴14Aの吐出量mと同量の硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aを吐出するようにしてもよい(図15参照)。
【0277】
また、本実施の形態の記録装置103においては、画像領域Tと非画像領域B’との境界から非画像領域Bに向かって、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量が段階的に少なくなるように吐出される場合を説明したが、該境界から非画像領域Bに向かって、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aのカバレッジ(網点面積率)が少なくなるように、一定の吐出量の硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aを吐出してもよい(図14参照)。
【0278】
また、本実施の形態の記録装置103においては、画像領域Tと非画像領域B’との境界から非画像領域Bに向かって、硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量が1倍、1/2倍、1/3倍と段階的に少なくなるように吐出される場合を説明したが、画像領域Tと非画像領域B’との境界から離れるほど硬化性溶液層表面凹凸調整液15Aの吐出量が少なくなれば良く、このような倍率に限られない。
【実施例】
【0279】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
【0280】
(実施例1)
上記第1の実施の形態と同様な構成の記録装置(図1参照)を用いて、溶液供給装置により硬化性溶液を中間転写ベルトに供給して被硬化層を形成し、その被硬化層にインクジェット記録ヘッドにより各色インクを吐出して、該被硬化層上に画像領域を形成した。また、被硬化層上の該画像領域以外の非画像領域には、硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出した。
なお、画像領域は、各ドットについて、2色分のインク滴を吐出することで、各ドットに2pl×2=4plのインク滴を吐出することで形成した。
また、非画像領域には、各画素に対応する領域に2plのインク滴を吐出した。この非画像領域に硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出するための硬化性溶液層表面凹凸調整液データは、図3に示す処理ルーチンを硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部で実行することにより行った。なお、図3中のインク最大吐出量Mは、上述のように4plとし、ステップ118における非画像領域の各画素に対応する領域に吐出する硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量であるXは、2plに設定した。
そして、このインク滴及び硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出された被硬化層を、転写装置により記録媒体へ被硬化層を接触させながら刺激供給手段により刺激を供給し被硬化層を硬化させて中間転写ベルトから剥離し、評価を行った。条件は以下の通りである。なお、下記紫外線照射強度及び積算光量は、中間転写ベルトを透過した後の紫外線照射強度及び積算光量である。
【0281】
・中間転写ベルト:厚さ0.1mm、ベルト幅350mm、外径Φ168mmのETFE製無端ベルト(プロセス速度:400mm/s)
・溶液供給装置:グラビアロールコーター(被硬化層の層厚15μm)
・各インクジェット記録ヘッド:ピエゾ方式のインクジェット記録ヘッド(解像度解像度1200×1200dpi(dpi:1インチ当たりのドット数、以下同様である)、ドロップサイズ2pL)
・硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド:ピエゾ方式のインクジェット記録ヘッド(解像度解像度1200×1200dpi(dpi:1インチ当たりのドット数、以下同様である)、ドロップサイズ2pL)
・転写装置(加圧ロール):径30mmの鋼製パイプにシリコーンゴムを被覆したもの(中間転写ベルトに対する押し当て圧力:5kPa)
・刺激供給装置:メタルハライドランプ(紫外線照射強度240W/cmを積算光量で100mJ/cm照射)
・記録媒体:アート紙(OK金藤)
【0282】
また、硬化性溶液、及び各色のインク、及び硬化性溶液層表面凹凸調整液は、以下のように作製したものを用いた。
【0283】
−硬化性溶液(ラジカル硬化性樹脂)−
・ポリウレタンアクリレート:40重量部
・アクリロイルモルホリン(UV硬化モノマー):20.0重量部
・ポリアクリル酸ナトリウム(吸液樹脂、ボールミル粉砕により数平均粒子径2.5μmとしたもの):35.0重量部
・メチルベンゾイルベンゾエート(光重合開始剤):5重量部
【0284】
−ブラックインク−
Cab−o−jet−300(キャボット社製)を超音波ホモジナイザーで30分間処理した後、遠心分離処理(7000r.p.m.,20分間)して顔料分散液(カーボン濃度12.8%)を得た。
【0285】
次に、下記の各成分を十分混合し、1μmフィルターで加圧ろ過し、インクを調製した
・上記顔料分散液:40重量部
・グリセリン:20重量部
・サーフィノール465:1.5重量部
・純水:35重量部
【0286】
−インク作成方法1−
顔料30重量部に、スチレン−マレイン酸共重合体のナトリウム中和塩を3重量部加え、さらにイオン交換水を加えて、総量を300重量部とした。この液を超音波ホモジナイ
ザーを用いて分散した。この液を遠心分離装置で、遠心分離をし、残部分100重量部を除去した。この上澄み液を1μmのフィルターに通過させて、分散液を得た。適量の前記分散液に、グリセリン10重量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル5重量部、界面活性剤0.03重量部、イソプロピルアルコール3重量部、イオン交換水及び水酸化ナトリウムを適量加え、総量が100重量部、顔料濃度が5重量%となるように調整した。これを、混合し、1μmのフィルターを通過させることにより、目的とするインクを得た。
【0287】
−シアンインク−
上記インク作成方法1に従い以下に示す組成のインクを得た
・C.I.アシッドブルー199:5重量部
・スチレン−マレイン酸−マレイン酸ナトリウム共重合体:0.3重量部
・グリセリン:15重量部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル:5重量部
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学社製):1.0重量部
・イソプロピルアルコール:3重量部
・イオン交換水:残部
計100重量部
【0288】
−マゼンタインク−
上記インク作成方法1に従い以下に示す組成のインクを得た
・C.I.アシッドレッド52:3.5重量部
・スチレン−マレイン酸−マレイン酸ナトリウム共重合体:0.3重量部
・グリセリン:15重量部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル:5重量部
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学社製):1.0重量部
・イオン交換水:残部
計100重量部
【0289】
−イエローインク−
上記インク作成方法1に従い以下に示す組成のインクを得た
・C.I.ダイレクトイエロ86:4.0重量部
・スチレン−マレイン酸−マレイン酸ナトリウム共重合体:0.4重量部
・グリセリン:15重量部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル:10重量部
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学社製):1.0重量部
・イオン交換水:残部
計100重量部
【0290】
−硬化性溶液層表面凹凸調整液作成方法−
上記インク作成方法1において、顔料を用いなかった以外は同様にして、以下に示す組成の硬化性溶液層表面凹凸調整液を得た
・スチレン−マレイン酸−マレイン酸ナトリウム共重合体:0.3重量部
・グリセリン:20重量部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル:5重量部
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学社製):1.0重量部
・イソプロピルアルコール:3重量部
・イオン交換水:残部
計100重量部
【0291】
<評価>
上記溶液供給装置によって形成された層厚15μmの被硬化層上に、4plのインク滴(上記マゼンタインク、イエローインク、シアンインク)の各々を、各々1回吐出する毎に場所を変えて吐出し、被硬化層12B上に形成された複数のドットの内の任意の
20点を選択し、4plのインク滴の吐出によって被硬化層上に形成された凸部の高さの最大値を測定したところ、9μmであった。
この凸部の高さは、レーザー3次元形状測定装置(キーエンス株式会社製 VK−8700)にて、被硬化層表面の画像部と非画像部のプロファイルを測定することによって測定した。
【0292】
また、同様にして、上記溶液供給装置によって中間転写体上に形成された層厚15μmの被硬化層上に、2plの硬化性溶液層表面凹凸調整液を各々1回吐出する毎に場所を変えて吐出し、被硬化層上に硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出された複数の領域の内の任意の20点を選択し、2plの硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出によって被硬化層上に形成された凸部の高さの最大値を測定したところ、4.5μmであった。この凸部の高さは、上記インク滴による凸部の高さと同じ方法を用いて測定した。
【0293】
このため、上記条件で記録装置において被硬化層上にインク滴及び硬化性溶液層表面凹凸調整液が吐出されると、被硬化層上のインク滴の吐出によって形成された画像領域と、硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出された非画像領域との層厚の差は、4.5μmであるといえる。ここで、被硬化層上に硬化性溶液層表面凹凸調整液が吐出されない場合には、インク滴の吐出によって形成された画像領域と、硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出されない非画像領域と、の層厚の差は9.5μmである。
このため、被硬化層上の画像領域と非画像領域との厚みの差が抑制されたといえる。
【0294】
<中間転写体から記録媒体への被硬化層の密着性の評価>
アート紙(OK金藤 王子製紙社製)を記録媒体として、5枚連続で印字テストを実施。テスト後のアート紙上の転写被硬化層の画像部と非画像部の境界部を拡大観察を行い、境界部が浮いているか(空気が残留しているか)否かで、密着性を評価した。境界部の浮きが、観察境界部総長さの10%未満である場合には密着性良好と判断し、10%以上である場合には密着性不良と判断した。
【0295】
実施例1においては、アート紙上の画像部と非画像部の境界部の浮きが3%未満の結果が得られ、良好な密着性が得られた。
【0296】
<画像乱れの評価>
―画像乱れ評価―
中間転写ベルト上に形成された被硬化層に、上記と同様に2ポイントから10ポイントまでの文字を構成する画素に応じたドットを形成することで画像領域とし、該画像領域以外の非画像領域には硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出させた。
なお、画像領域については、各画素に対応するドットを形成するためには、マゼンタインク2pl及びシアンインク2plを吐出することで、4plインク画像を形成した。また、非画像領域については、非画像領域の各画素に対応する領域に2plのインク滴を吐出した。
このインク滴及び硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出された被硬化層について、転写装置により記録媒体へ被硬化層を転写した。このときの転写装置(加圧ロール)における、中間転写ベルトに対する押し当て圧力は、上述のように、5kPaとした。
そして、上記画像について、記録媒体に100枚連続で印字する印字テストを実施した。100枚目の印刷画像について、評価を行った。
【0297】
―評価基準―
以下の評価基準で評価を行った。
G1:線画像に、局地的な太りは見られず、また文字が鮮明である。
G2:線画像に、部分的な太りが見られて、つぶれた文字が確認される。
G3:線画像に、ほぼ全域に太りが見られて、文字もほぼ全部つぶれが確認される。
【0298】
実施例1においては、全ての文字画像についてG1の結果が得られた。
【0299】
このため、実施例1においては、記録媒体への良好な密着性と画像乱れの防止の双方が実現されたといえる。
【0300】
(実施例2)
上記第2の実施の形態と同様な構成の記録装置(図6参照)を用いて、溶液供給装置により硬化性溶液を中間転写ベルトに供給して被硬化層を形成し、その被硬化層にインクジェット記録ヘッドにより各色インクを吐出して、該被硬化層上に画像領域を形成した。また、被硬化層上の画像領域及び該画像領域以外の非画像領域の双方に、硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出した。
なお、画像領域は、各ドットについて、2色分のインク滴を吐出することで、各ドットに2pl×2=4plのインク滴を吐出した領域と、1色分のインク滴を吐出することで、各ドットに2plのインク滴を吐出した領域を、を有するものとした。
そして、画像領域中の、2plのインク滴の吐出された領域には2plの硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出し、非画像領域には、各画素に対応する領域に4plのインク滴を吐出した。この非画像領域に硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出するための硬化性溶液層表面凹凸調整液データは、図8に示す処理ルーチンを硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部で実行することにより行った。なお、図8中のインク最大吐出量Mは、上述のように4plとし、ステップ222におけるSは、画像領域の各ドットに4plのインク滴の吐出される画素については4plとし、画像領域のドットに2plのインク滴の吐出される画素については2plとした。また、Sは、非画像領域の各画素については0plとした。
【0301】
そして、この画像領域にインク滴、及び画像領域と非画像領域の双方に硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出された被硬化層を、転写装置により記録媒体へ被硬化層を接触させながら刺激供給手段により刺激を供給し被硬化層を硬化させて中間転写ベルトから剥離し、実施例1と同様にして評価を行った。なお、本実施例2では、転写装置(加圧ロール)における、中間転写ベルトに対する押し当て圧力を2kPaとした以外の画像記録条件は実施例1と同じ条件とした。
【0302】
<評価>
溶液供給装置によって形成された層厚15μmの被硬化層上に、4plのインク滴(上記マゼンタインク、イエローインク、シアンインク)の各々を、各々1回吐出する毎に場所を変えて吐出し、被硬化層12B上に形成された複数のドットの内の任意の20点を選択し、4plのインク滴の吐出によって被硬化層上に形成された凸部の高さの最大値を実施例1と同様にして測定したところ、9μmであった。
【0303】
また、同様にして、上記溶液供給装置によって中間転写体上に形成された層厚15μmの被硬化層上に、4plの硬化性溶液層表面凹凸調整液を各々1回吐出する毎に場所を変えて吐出し、被硬化層上に硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出された複数の領域の内の任意の20点を選択し、4plの硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出によって被硬化層上に形成された凸部の高さの最大値を測定したところ、9μmであった。この凸部の高さは、上記インク滴による凸部の高さと同じ方法を用いて測定した。
【0304】
また、溶液供給装置によって形成された層厚15μmの被硬化層上に、2plのインク滴(上記マゼンタインク、イエローインク、シアンインク)の各々を、各々1回吐出する毎に場所を変えて吐出した後に、各ドットに対応する位置の各々に、2plの硬化性溶液層表面凹凸調整液を各々吐出した。そして、被硬化層12B上に形成された複数のドットの内の任意の20点を選択し、2plのインク滴と2plの硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出によって被硬化層上に形成された凸部の高さの最大値を測定したところ、9μmであった。
【0305】
このため、上記条件で記録装置において被硬化層上にインク滴及び硬化性溶液層表面凹凸調整液が吐出されると、被硬化層上のインク滴の吐出によって形成された画像領域の全領域の層厚が均一とされていると共に、画像領域と非画像領域との層厚の差が抑制されて均一となっているといえる。
このため、被硬化層上の画像領域内、及び画像領域と非画像領域との厚みの差が抑制されたといえる。
【0306】
<中間転写体から記録媒体への被硬化層の密着性の評価>
実施例1と同じ評価方法により、密着性の評価を行ったところ、アート紙上の画像部と非画像部の境界部の浮きが1%未満の結果が得られ、良好な密着性が得られた。
【0307】
<画像乱れの評価>
インク滴及び硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量を変更した以外は、実施例1と同じ評価方法により画像乱れの評価を行った。
具体的には、実施例2では、画像領域については、各画素に対応するドットを形成するためには、マゼンタインク2pl及びシアンインク2plを吐出することで、4plインク滴の吐出により記録されたドットと、マゼンタインク2plのみを吐出することで2plのインク滴の吐出により記録されたドットと、が混在するようにした。また、画像領域内の上記2plのインク滴の吐出により記録されたドットの領域の各々には、さらに2plの硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出した。また、非画像領域については、非画像領域の各画素に対応する領域に4plのインク滴を吐出した。
このインク滴及び硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出された被硬化層について、転写装置により記録媒体へ被硬化層を転写した。このときの転写装置(加圧ロール)における、中間転写ベルトに対する押し当て圧力は、2kPaとした。
そして、上記画像について、記録媒体に100枚連続で印字する印字テストを実施した。100枚目の印刷画像について、評価を行った。
【0308】
実施例2においても、全ての文字画像についてG1の結果が得られた。
このため、実施例2においても、記録媒体への良好な密着性と画像乱れの防止の双方が実現されたといえる。
【0309】
(実施例3)
上記第3の実施の形態と同様な構成の記録装置(図10参照)を用いて、溶液供給装置により硬化性溶液を中間転写ベルトに供給して被硬化層を形成し、その被硬化層にインクジェット記録ヘッドにより各色インクを吐出して、該被硬化層上に画像領域を形成した。また、被硬化層上の画像領域及び該画像領域以外の非画像領域の双方に、硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出した。
なお、画像領域は、各ドットについて、1色分のインク滴を吐出することで、各ドットに2pl×2=4plのインク滴を吐出した。
実施例3では、硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出対象の非画像領域として、画像領域の外縁に沿った3画素分の領域を定めた。そして、画像領域と非画像領域との境界から離れるほど、硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量が4pl、2pl、0plとなるように吐出した。この非画像領域に硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出するための硬化性溶液層表面凹凸調整液データは、図12に示す処理ルーチンを硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部で実行することにより行った。なお、図12中の画像領域中の画像縁部のインク吐出量mは、上述のように4plとし、ステップ314において設定される硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出量Tは4plとし、ステップ320で設定される硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出量は2plとし、ステップ326で設定される硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出量は0plとした。
【0310】
そして、この画像領域にインク滴、及び画像領域と非画像領域の双方に硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出された被硬化層を、転写装置により記録媒体へ被硬化層を接触させながら刺激供給手段により刺激を供給し被硬化層を硬化させて中間転写ベルトから剥離し、実施例1と同様にして評価を行った。なお、本実施例3では、転写装置(加圧ロール)における、中間転写ベルトに対する押し当て圧力を5kPaとした以外の画像記録条件は実施例1と同じ条件とした。
【0311】
<評価>
溶液供給装置によって形成された層厚15μmの被硬化層上に、4plのインク滴(上記マゼンタインク、イエローインク、シアンインク)の各々を、各々1回吐出する毎に場所を変えて吐出し、被硬化層12B上に形成された複数のドットの内の任意の
20点を選択し、4plのインク滴の吐出によって被硬化層上に形成された凸部の高さの最大値を測定したところ、9μmであった。
【0312】
また、同様にして、上記溶液供給装置によって中間転写体上に形成された層厚15μmの被硬化層上に、4plの硬化性溶液層表面凹凸調整液を各々1回吐出する毎に場所を変えて吐出し、被硬化層上に硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出された複数の領域の内の任意の20点を選択し、4plの硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出によって被硬化層上に形成された凸部の高さの最大値を測定したところ、9μmであった。この凸部の高さは、上記インク滴による凸部の高さと同じ方法を用いて測定した。
【0313】
また、溶液供給装置によって形成された層厚15μmの被硬化層上に、2plのインク滴(上記マゼンタインク、イエローインク、シアンインク)の各々を、各々1回吐出する毎に場所を変えて吐出した。そして、被硬化層12B上に形成された複数のドットの内の任意の20点を選択し、2plの硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出によって被硬化層上に形成された凸部の高さの最大値を測定したところ、4.5μmであった。
【0314】
このため、上記条件で記録装置において被硬化層上にインク滴及び硬化性溶液層表面凹凸調整液が吐出されると、被硬化層上のインク滴の吐出によって形成された画像領域の端部から離れるほど、インク滴または硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出により形成された凸部の高さが9μmから4.5μm、0μmと段階的に低くなっているといえる。このため、画像領域と非画像領域との境界における層厚の差が抑制されたといえる。
このため、被硬化層上の画像領域内、及び画像領域と非画像領域との境界における厚みの差が抑制されたといえる。
【0315】
<中間転写体から記録媒体への被硬化層の密着性の評価>
実施例1と同じ評価方法により、密着性の評価を行ったところ、アート紙上の画像部と非画像部の境界部の浮き3%未満の結果が得られ、良好な密着性が得られた。
【0316】
<画像乱れの評価>
インク滴及び硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量を変更した以外は、実施例1と同じ評価方法により画像乱れの評価を行った。
具体的には、実施例3では、画像領域については、各画素に対応するドットを形成するためには、マゼンタインク2pl及びシアンインク2plを吐出することで、4plインク滴の吐出を行った。また、非画像領域については、画像領域との境界から離れるほど4pl、2pl、0plと段階的に硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量が少なくなるようにした。
このインク滴及び硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出された被硬化層について、転写装置により記録媒体へ被硬化層を転写した。このときの転写装置(加圧ロール)における、中間転写ベルトに対する押し当て力は、線圧50kPa/cmとした。
そして、上記画像について、記録媒体に100枚連続で印字する印字テストを実施した。100枚目の印刷画像について、評価を行った。
【0317】
実施例3においても、全ての文字画像についてG1の結果が得られた。
このため、実施例3においても、記録媒体への良好な密着性と画像乱れの防止の双方が実現されたといえる。
【0318】
(比較例1)
実施例1において、硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出を行わなかった以外は実施例1と同じ条件で、中間転写体から記録媒体への被硬化層の密着性の評価、及び画像乱れの評価を行った。
【0319】
密着性の評価については、実施例1と同じ評価方法により、密着性の評価を行ったところ、アート紙上の画像部と非画像部の境界部の浮きが50%以上の結果が得られ、実施例1に比べて密着性が低下した。
【0320】
画像乱れの評価については、転写装置(加圧ロール)における、中間転写ベルトに対する押し当て圧力を、5kPaとした場合には、印字テストにおける100枚目の印刷画像の評価結果としては、G2であり、線画像に、部分的な太りが見られて、つぶれた文字が確認された。
【0321】
そこで、中間転写ベルトに対する押し当て圧力を、20kPaとすると、密着性の評価については、アート紙上の画像部と非画像部の境界部の浮きが8%未満の結果が得られ、実施例1と同等の良好な評価結果が得られたが、画像乱れの評価としてはG3であり、線画像に、ほぼ全域に太りが見られて、文字もほぼ全部つぶれが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0322】
【図1】第1の実施の形態に係る記録装置を示す構成図である。
【図2】第1の実施の形態に係る記録装置のメインコントローラを示す概略ブロック図である。
【図3】第1の実施の形態に係る記録装置の硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部で実行される硬化性溶液層表面凹凸調整液データの作成を示すフローチャートである。
【図4】中間転写ベルト上に形成された被硬化層上の、インク滴の吐出によって形成された画像領域と、画像領域以外の非画像領域と、を示す模式図である。
【図5】中間転写ベルト上の被硬化層の画像領域と非画像領域が記録媒体Pに転写される工程を示す模式図である。
【図6】第2の実施の形態に係る記録装置を示す構成図である。
【図7】第2の実施の形態に係る記録装置のメインコントローラを示す概略ブロック図である。
【図8】第2の実施の形態に係る記録装置の硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部で実行される硬化性溶液層表面凹凸調整液データの作成を示すフローチャートである。
【図9】中間転写ベルト上に形成された被硬化層上の、インク滴の吐出によって形成された画像領域と、画像領域以外の非画像領域と、を示す模式図である。
【図10】第3の実施の形態に係る記録装置を示す構成図である。
【図11】第3の実施の形態に係る記録装置のメインコントローラを示す概略ブロック図である。
【図12】第3の実施の形態に係る記録装置の硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部で実行される硬化性溶液層表面凹凸調整液データの作成を示すフローチャートである。
【図13】中間転写ベルト上に形成された被硬化層上の、インク滴の吐出によって形成された画像領域と、画像領域以外の非画像領域と、を示す模式図である。
【図14】中間転写ベルト上に形成された被硬化層上の、インク滴の吐出によって形成された画像領域と、画像領域以外の非画像領域と、を示す模式図である。
【図15】中間転写ベルト上に形成された被硬化層上の、インク滴の吐出によって形成された画像領域と、画像領域以外の非画像領域と、を示す模式図である。
【符号の説明】
【0323】
10 中間転写ベルト
12 溶液供給装置
12A 硬化性溶液
12B 被硬化層
14 インクジェット記録ヘッド
15 硬化性溶液層表面凹凸調整液吐出ヘッド
14A インク滴
15A 硬化性溶液層表面凹凸調整液
16 転写装置
18 刺激供給装置
26 中間転写ドラム
28 刺激供給装置
30、31、33 メインコントローラ
39、41、46 硬化性溶液層表面凹凸調整液データ作成部
39A、41A、46A 算出部
101、102、103 記録装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間転写体と、
外部からの刺激により硬化する硬化性樹脂を少なくとも含む硬化性溶液を前記中間転写体上に供給する供給手段と、
前記供給手段によって前記硬化性溶液が前記中間転写体上に供給されることにより該中間転写体上に形成された硬化性溶液層にインクを吐出する第1の吐出手段と、
前記硬化性溶液層に硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出する第2の吐出手段と、
前記インク及び前記硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出された前記硬化性溶液層を記録媒体に接触させ、前記中間転写体から前記記録媒体に前記硬化性溶液層を転写する転写手段と、
前記硬化性溶液層を硬化させる前記刺激を前記硬化性溶液層に供給する刺激供給手段と、
画像データに基づいて、該画像データの画像の各画素に応じたドットを記録するためのインクを吐出するように前記第1の吐出手段を制御すると共に、該インクの吐出によって前記硬化性溶液層上に形成される画像領域以外の非画像領域に前記硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出するように前記第2の吐出手段を制御する制御手段と、
を備えた記録装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記画像データに基づいて、前記画像データの画像の各画素に応じたドットを記録するためのインクの最大吐出量を算出する算出手段を含み、
前記非画像領域の各画素に対応する領域に、0を超え且つ前記最大吐出量以下の前記硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出するように前記第2の吐出手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記硬化性溶液層上の、前記非画像領域及び前記画像領域の双方に前記硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出するように前記第2の吐出手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記画像データに基づいて、前記画像データの画像の各画素に応じたドットを記録するためのインクの最大吐出量を算出する算出手段を含み、
前記画像領域の各画素に応じたドットを記録するために吐出される前記インクの吐出量と、該ドットが記録される領域に吐出される硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量と、の総量が前記最大吐出量となるように、該画像領域の各画素に対応する領域に吐出される前記硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量を画素毎に定め、該定めた吐出量の硬化性溶液層表面凹凸調整液を対応する各画素に対応する領域に吐出するように前記第2の吐出手段を制御すると共に、
前記非画像領域の各画素に対応する領域に、0を超え且つ前記最大吐出量以下の前記硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出するように前記第2の吐出手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記硬化性溶液層上に形成される前記画像領域の外縁に沿った領域を前記非画像領域として定め、該非画像領域に前記硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出するように前記第2の吐出手段を制御する請求項1に記載の記録装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記非画像領域として定めた画像領域の外縁に沿った領域について、該画像領域と非画像領域との境界から離れるほど前記硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量が少なくなるように、前記第2の吐出手段を制御する請求項5に記載の記録装置。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記画像データに基づいて、前記画像データの画像の各画素に応じたドットを記録するためのインクの最大吐出量を算出する算出手段を含み、
前記非画像領域として定めた画像領域の外縁に沿った領域の画素の内の、該画像領域と非画像領域との境界に連続する画素に対応する領域に0を超え且つ前記最大吐出量以下の硬化性溶液層表面凹凸調整液を吐出し、該境界から離れるほど前記硬化性溶液層表面凹凸調整液の吐出量が小さくなるように、前記第2の吐出手段を制御することを特徴とする請求項6に記載の記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate