説明

記録装置

【課題】駆動装置により記録媒体を駆動して記録する記録装置であって、記録時の騒音がユーザの就寝等の妨げとなるのを回避することができる記録装置を提供する。
【解決手段】本発明の記録装置は、記録部と、計時部と、記録部に対して再生情報の記録を行う記録処理部とを備えている。記録部は、物理動作により情報を記録する第一記録媒体と、物理動作を用いずに電気により情報を記録する第二記録媒体とを備えている。また本発明の記録装置は、第二記録媒体を用いて再生情報の記録を行う時間帯の指定を受け付ける設定部を備えている。また、現在時刻が上記時間帯である状態において再生情報の記録指示を検知した場合に、第二記録媒体を用いて再生情報を記録するよう記録処理部を制御する記録制御部を備える。現在時刻が上記時間帯の範囲外となった場合、第二記録媒体に記録されている再生情報を第一記録媒体へ記録し、第二記録媒体より消去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像または音声を含む再生情報の記録を行う記録装置に関するものであり、特に駆動装置により駆動する記録媒体を備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル技術の多機能化、多様化により、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダやHDD(Hard Disk Drive)レコーダ等の様々な記録装置が普及している。これらの記録装置は、放送波に含まれる映像や音声を、磁気記録媒体であるHDDや、光学記録媒体であるDVD等に記録する。
【0003】
しかしながら、HDDやDVDドライブ等の記録装置は、アクチュエータ等の駆動装置の駆動を行いながら記録を実施する。このため、駆動音が騒音となり、ユーザに不快感を与える可能性があった。例えば深夜等において、ユーザが記録装置の近傍で就寝している場合、この騒音が睡眠の妨げになる可能性があった。
【0004】
上記に関連して特許文献1においては、ユーザの鑑賞時において、内蔵する駆動モータを停止させることにより雑音を発生することがない再生装置が開示されている。この再生装置は、ディスク系デバイスの再生操作がなされた場合に、ディスクに記録されているデジタル再生データを半導体メモリにコピーする。そしてディスク系デバイスの停止を指示した後に、半導体メモリの再生処理を実行させる。
【0005】
また上記に関連して特許文献2においては、ディスク装置と不揮発性半導体メモリとを備えた情報処理装置であって、使用する記録媒体の切り換えをユーザ指定、或いは環境条件に従って行い、切り換え時にデータの一貫性と処理の継続を保証する制御を行う情報処理装置が開示されている。
【0006】
この情報処理装置は、使用する記録媒体を決定する際に、以下の判定条件を用いる。温度、振動、衝撃、気圧、バッテリの残量、音圧または暗騒音に対する回転型記録装置の相対発生音、ディスク装置の発生音、装置の電源投入状態。これにより、情報処理装置の稼働状況に応じて、複数の記録媒体の中からより好適な記録媒体を使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−243300号公報
【特許文献2】特開2004−164193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献1及び特許文献2においては、再生処理時や所定の情報処理時における騒音低減に関する技術は開示されているが、HDDレコーダ等の記録装置において録画時の騒音を低減する技術については開示も示唆もなされていない。
【0009】
例えばユーザが就寝している深夜等において、予約録画時刻が到来したことにより録画処理が自動的に開始されると、その騒音がユーザの睡眠の妨げとなる。特に記録装置として一般に普及しているHDDレコーダやDVDレコーダは、内部にアクチュエータ等の駆動装置を含んでいるため、この駆動音が騒音となる可能性が高かった。
【0010】
本発明は、HDDレコーダやDVDレコーダのように、駆動装置を含む記録媒体を駆動して録画データ等の再生情報を記録する記録装置であって、記録時の騒音がユーザに不快感を与えることのない記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の記録装置は、情報を記録する記録部と、映像または音声を含む再生情報を前記記録部へ記録する記録処理を行う記録処理部と、時刻の計時を行う計時部とを備えた記録装置において、前記記録部は、物理動作により情報を記録する第一記録媒体と、物理動作を用いず電気により情報を記録する第二記録媒体とを備え、前記記録装置は、前記第二記録媒体を用いて前記再生情報の記録を行う時間帯の指定を受け付ける設定部と、前記計時部が計時する時刻が前記時間帯である状態において前記記録処理部による記録処理の開始を検知した場合に、前記第二記録媒体を用いて前記再生情報を記録するよう前記記録処理部を制御する記録制御部とを備えることを特徴とする。
【0012】
この構成によると、本発明の記録装置は、録画データ等の再生情報を記録する記録部と、時刻の計時を行う計時部と、記録部に対して再生情報の記録を行う記録処理部とを備えている。記録部は、物理動作により情報を記録する第一記録媒体、例えばHDDと、物理動作を用いずに電気により情報を記録する第二記録媒体、例えば半導体メモリとを備えている。また本発明の記録装置は、第二記録媒体を用いて再生情報の記録を行う時間帯の指定を受け付ける設定部を備えている。また、現在時刻が上記時間帯である状態において再生情報の記録指示を検知した場合に、第二記録媒体を用いて再生情報を記録するよう記録処理部を制御する記録制御部を備える。
【0013】
また、上記目的を達成するために本発明の記録装置が備える記録制御部は、前記計時部が計時する時刻が前記時間帯の範囲外となった場合に、前記第二記録媒体に記録されている前記再生情報を前記第一記録媒体へ記録し、該再生情報を前記第二記録媒体より消去することを特徴とする
【0014】
この構成によると、記録制御部は、現在時刻が上記時間帯の範囲外となった場合に、第二記録媒体に記録されている再生情報を第一記録媒体へ記録する、いわゆる複製処理を行う。そして複製が完了した再生情報を、第二記録媒体より消去する。
【0015】
また、上記目的を達成するために本発明の記録装置は、前記記録装置の周辺環境を検知する検知部を備え、前記記録制御部は、前記検知部に含まれる音波センサにより検知される音量が予め定められた閾値を下回る状態において、前記記録処理部による記録処理の開始を検知した場合に、前記第二記録媒体を用いて前記再生情報を記録するよう前記記録処理部を制御し、該音量が該閾値を上回ることが検知された場合に、前記第二記録媒体に記録されている前記再生情報を前記第一記録媒体へ記録することを特徴とする。
【0016】
この構成によると、本発明の記録装置は、周辺環境を検知する検知部を備えている。記録制御部は、前記検知部に含まれる音波センサにより検知される音量が所定の閾値を下回る状態において記録処理部が記録を開始した場合に、第二記録媒体を用いて再生情報を記録するよう、記録処理部を制御する。また記録制御部は、音波センサにより検知される音量が閾値を上回ることが検知された場合に、第二記録媒体に記録されている再生情報を第一記録媒体へ複製する。
【0017】
また、上記目的を達成するために本発明の記録装置が備える前記記録制御部は、前記検知部に含まれる移動体センサにより移動体が検知されている状態において、前記記録処理部による記録処理の開始を検知した場合に、前記第二記録媒体を用いて前記再生情報を記録するよう前記記録処理部を制御し、前記移動体センサにより移動体が検知されていない場合に、前記第二記録媒体に記録されている前記再生情報を前記第一記録媒体へ記録することを特徴とする。
【0018】
この構成によると、記録制御部は、検知部に含まれる移動体センサにより移動体が検知されている状態において記録処理部が記録を開始した場合に、第二記録媒体を用いて再生情報を記録するよう記録処理部を制御する。また記録制御部は、移動体センサにより移動体が検知されていない場合に、第二記録媒体に記録されている再生情報を第一記録媒体へ複製する。
【0019】
また、上記目的を達成するために本発明の記録装置が備える前記記録制御部は、前記検知部に含まれる照度センサにより検知される照度が予め定められた閾値を下回る状態において、前記記録処理部による記録処理の開始を検知した場合に、前記第二記録媒体を用いて前記再生情報を記録するよう前記記録処理部を制御し、該照度が該閾値を上回ることが検知された場合に、前記第二記録媒体に記録されている前記再生情報を前記第一記録媒体へ記録することを特徴とする。
【0020】
この構成によると、記録制御部は、前記検知部に含まれる照度センサにより検知される照度が所定の閾値を下回る状態において記録処理部が記録を開始した場合に、第二記録媒体を用いて再生情報を記録するよう記録処理部を制御する。また記録制御部は、照度が閾値を上回ることが検知された場合に、第二記録媒体に記録されている再生情報を第一記録媒体へ複製する。
【0021】
また、上記目的を達成するために本発明の記録装置が備える前記記録処理部は、前記計時部により計時される時刻と前記設定部により予め受け付けられた記録実行時刻とが一致した場合に、前記記録部に対して前記再生情報の記録を開始することを特徴としている。
【0022】
この構成によると、記録処理部は、設定部により予め受け付けられた予約録画時刻(=記録実行時刻)が到来した場合に、記録部に対して再生情報の記録を行う。
【0023】
また、上記目的を達成するために本発明の記録装置は放送波の受信を行う受信部を備え、前記記録処理部は、前記放送波に含まれる映像情報または音声情報を前記再生情報として前記第一記録媒体または前記第二記録媒体に記録することを特徴とする。
【0024】
この構成によると、本発明の記録装置は、放送波の受信を行う受信部を備えている。記録処理部は、放送波に含まれる映像情報または音声情報を再生情報として前記第一記録媒体または第二記録媒体に記録する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、録画データ等の再生情報の記録時において、比較的容量が大きいが駆動装置による騒音が発生する第一記録媒体と、比較的容量が小さいが騒音が発生しない第二記録媒体とを、状況に応じて使い分けることが可能である。このため例えば、ユーザが記録装置の近傍に存在し、且つ深夜の就寝時間等において記録処理が行われる場合に、第一記録媒体の発する騒音がユーザの睡眠の妨げとなるのを回避することができる。
【0026】
また本発明によれば、第一記録媒体が発する騒音がユーザに影響を与えない時間帯、例えばユーザが不在の時間帯や、第一記録媒体が発する騒音よりも大きな音量が検知されている時間帯等において、第一記録媒体に記録されている再生情報を第二記録媒体に移動させる。これにより、第二記録媒体の空き容量を効率的に活用できるとともに、移動処理中に第一記録媒体が発する騒音がユーザに不快感を与えることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る機能部の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係る記録装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係る録画制御処理を示すフロー図である。
【図4】本発明の第二の実施形態に係る機能部の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第二の実施形態に係る記録装置の内部構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第二の実施形態に係る録画制御処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
〈1−1.内部構成について〉
【0029】
図2は、本発明の第一の実施形態に係るHDDレコーダ1(=記録装置)の内部構成を示すブロック図である。なお、図2における矢印線は映像/音声データの流れを示している。また、矢印のない直線は、制御部11が各装置に対する制御信号等を送受信するための通信バスを示している。
【0030】
HDDレコーダ1は少なくとも、制御部11、メモリ12、操作部13、HDD14(=第一記録媒体)、SSD(Solid State Drive)15(=第二記録媒体)、光ディスクドライブ16、放送受信部17(=受信部)、信号処理部18、OSD(On-Screen Display)処理部19、及び外部接続端子20を含むように構成されている。なお外部接続端子20により接続される表示装置として、ディスプレイ2が存在する。
【0031】
制御部11は、HDDレコーダ1の各部材の駆動を制御することにより、映像/音声の再生処理、記録処理、出力処理等を統括制御するためのものである。制御部11は例えば、複数のマイクロプロセッサから構成されている。また制御部11は、制御部11が備える演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現される機能部として、後述する録画処理部11a〜録画制御部11d(図1)を備えている。
【0032】
メモリ12は、HDDレコーダ1が保持する各種データを一時的に記録する媒体であり、例えば書き込み可能なRAM(Random Access Memory)等により構成されている。メモリ12は、例えば制御部11によって各種情報処理が行われる際の処理データや、ユーザから受けた指示命令等を一時的に記録しておくためのバッファメモリとしての役割を持つ。
【0033】
操作部13は、ユーザがHDDレコーダ1に対して、映像/音声の記録指示や予約録画指示等を行うためのものである。操作部13は、例えばHDDレコーダ1のハウジングに設けられた複数のボタンや、図示しないリモコン及びリモコン信号受信部等を含む。操作部13はこれらの装置により、ユーザ操作を受け付ける。ユーザ操作が受け付けられると、制御部11は、操作内容に基づいて再生処理や記録処理等を行う。
【0034】
HDD14は、デジタルデータを記録する磁気記録媒体である。HDD14は、複数の磁気ディスクを回転させつつ、アクチュエータによりヘッドを移動させることにより、データの記録や読み出しを行う。本実施形態では主に、放送波に含まれる映像/音声データから生成される録画データ(=再生情報)を記録するのに用いられる。
【0035】
SSD15は、不揮発性の半導体記録素子であるフラッシュメモリを使用した記録装置の一種である。SSD15は、回路基板に電気的に接続した状態で書き込み、消去ができる。このため、利用時に書き換えが必要な用途、例えば装置の動作設定データや、利用者固有の情報等を保存するのに用いられる。また本実施形態では、HDD14の代替記録媒体として、録画データを一時的に記録するのに用いられる。
【0036】
光ディスクドライブ16は、CD(Compact Disc)メディア、或いはDVD(Digital Versatile Disc)メディア等の光ディスクに対して光学的に各種データの読み取りを行うための光学装置である。光ディスクドライブ16は、光ピックアップ(不図示)の制御を行うことにより、光ディスクに光ビームを照射して、光ディスクに記録された音声情報、映像情報等の各種情報の読み取りを行う。この際、光ピックアップの駆動制御やフォーカス制御、或いはチルト制御等の各種制御を行う。
【0037】
放送受信部17は、外部のアンテナ(不図示)に接続されてデジタル/アナログ放送の選局、受信、周波数変換、増幅、復調等を行う。放送受信部17は、アナログ方式であればアナログチューナ、映像中間周波増幅回路、復調回路、及び増幅回路等を含むように構成されている。またデジタル方式であれば、デジタルチューナ、及び誤り訂正部等を含むように構成されている。
【0038】
例えばデジタル放送を受信する場合、放送受信部17に含まれるデジタルチューナが、中間周波信号の増幅及び検波を行う。これにより、MPEG2方式のデジタル信号であるTS(=Transport Stream)の取得を行う。なおTSとは、複数の番組の音声PES(Packetized Elementary Stream)、映像PES、及び付加情報を固定長のTSパケットに分割してつなぎ合わせたものである。信号処理部18へ与えられて映像/音声信号に変換される。なお、TSを変換せずHDD14またはSSD15へ記録することも可能である。この場合、信号処理部18はTSのスルーのみを行う。
【0039】
信号処理部18は、放送受信部17が生成したTSや、光ディスクドライブ16が光ディスクより読み出したデジタルデータを入力し、音声情報を含む音声デジタル信号と、映像情報を含む映像デジタル信号とに分離する多重分離部である。具体的には例えば、放送受信部17より生成されたTSを、TSパケットに分割する。そしてTSパケットを再結合することにより、音声/映像のPESを生成する。
【0040】
そしてPESを結合することにより、ES(Elementary Stream=符号化された音声/映像データ)を生成する。さらに信号処理部18はESの復号を行い、各種デジタル信号に変換する。復号により得られたデジタル信号は、記録する場合はHDD14またはSSD15へ与えられる。またディスプレイ2等に出力する場合は、外部接続端子20へ与えられる。
【0041】
OSD処理部19は、映像信号を生成する機能部である。OSD処理部19は、HDDレコーダ1が出力すべき情報をユーザが視認できる映像データに変換し、変換した映像データをディスプレイ2に表示するための映像信号を生成する。生成された映像信号は、外部接続端子20より出力される。
【0042】
外部接続端子20は、例えばHDMI(High Definition Multimedia Interface)端子やUSB(Universal Serial Bus)端子等を含む、複数の入出力端子からなるインタフェースである。外部接続端子20はこれらの入出力端子を用いて、HDDレコーダ1と外部の装置、例えばディスプレイ2を接続し、デジタル信号またアナログ信号の入出力を行う。
【0043】
ディスプレイ2は、図示しない表示部、操作部、制御部、及び接続部を備える表示装置である。ディスプレイ2は例えば、接続部に含まれるHDMI端子に接続されたHDMIケーブルを介して、映像/音声を含むデジタル信号を受け付ける。そしてデジタル信号の複合化を行い、映像/音声の出力を行う。
〈1−2.機能部の構成について〉
【0044】
ここで、本発明の第一の実施形態に係るHDDレコーダ1が録画制御処理を実施するための各機能部の関係を、図1のブロック図を用いながら説明する。なお、図1における破線矢印線は、制御信号の流れを示している。
【0045】
図1に示すように本発明の録画制御処理は、制御部11が備える録画処理部11a(=記録処理部)、設定部11b、計時部11c、及び録画制御部11d(=記録制御部)により実施される。
【0046】
録画処理部11aはHDD14またはSSD15に対して録画データを記録する。いずれの記録媒体に記録するかは、次の録画制御部11dからの指示に従う。また録画処理部11aは、後述する設定部11bが受け付けた設定内容に基づき、予約録画処理を行う。具体的には、設定部11bが受け付けた予約録画時刻が到来した場合に、ユーザ操作を必要とすることなく、指定された放送番組の録画を行う。
【0047】
設定部11bは、録画処理部11aが録画処理を行うための各種設定をユーザより受け付ける。設定部11bは、録画処理部11aが予約録画処理を行うために必要な各種指定、例えば録画時刻や録画チャンネル等の指定を、操作部13を介して受け付ける。
【0048】
また設定部11bは、ユーザがHDDレコーダ1の近傍にいない時間帯(以下、「不在時間」という)や、ユーザがHDDレコーダ1の近傍で就寝する時間帯(以下、「就寝時間」という)の指定を、操作部13を介して受け付ける。受け付けた各種指定は、HDD14等に記録される。
【0049】
計時部11cは、現在時刻を計時するための機能部であり、例えば放送波に含まれるデータ情報より時刻情報を抽出することにより時刻設定を行う。また計時部11cは、時刻情報に加え、現在の月日や曜日といった暦に関連する暦情報の管理を行うことも可能である。
【0050】
録画制御部11dは、録画処理部11aが録画処理を行う際に、録画処理に用いる記録媒体の決定を行う。そして決定した記録媒体を用いて録画処理を行うよう、録画処理部11aに指示する。
【0051】
具体的な決定方法としては、設定部11bが予め受け付けている就寝時間と、計時部11cが計時する現在時刻とを比較することにより行う。現在時刻が就寝時間である場合、SSD15を用いて録画を行うよう、録画処理部11aに指示する。就寝時間ではない場合、HDD14を用いて録画を行うよう、録画処理部11aに指示する。
【0052】
また録画制御部11dは、計時部11cが計時する現在時刻が不在時間になった場合に、SSD15に録画データが記録されているか否かを判定する。録画データが記録されている場合、SSD15に記録されている録画データをHDD14へ移動させる処理(以下、「データ移動処理」という)を行う。なおデータ移動処理が完了すると、移動元の録画データはSSD15より消去される。
【0053】
また録画制御部11dは、就寝時間において録画処理を実施する場合に、HDD14とSSD15との両方に同じ録画データを記録したり、或いは録画データを途中でHDD14とSSD15とに分割して記録したりするよう、録画処理部11aを制御する形態でもよい。
〈1−3.録画制御処理について〉
【0054】
ここで、本発明の第一の実施形態に係るHDDレコーダ1が実施する録画制御処理を、図3のフロー図を用いながら説明する。図3に示す処理は、HDDレコーダ1が通電されている状態において、任意のタイミングで開始可能である。
【0055】
本処理の開始後、録画処理部11aはステップS110において、計時部11cが計時する現在時刻が、予約録画の開始時刻と一致するか否かを判定する。開始時刻と一致する場合、録画制御部11dはステップS121において、計時部11cが計時する現在時刻が、就寝時間に該当するか否かを判定する。
【0056】
就寝時間に該当しない場合、録画制御部11dはステップS131において、駆動装置が含まれる通常の記録媒体、つまりHDD14へ録画データを記録するよう、録画処理部11aに指示する。就寝時間に該当する場合、録画制御部11dはステップS132において、駆動装置が含まれない記録媒体(以下、「静音記録媒体」という)であるSSD15へ録画データを記録するよう、録画処理部11aに指示する。
【0057】
なおこの際、SSD15に録画データを記録するために必要な空き容量がない場合、HDD14に記録する。上記のステップS131またはステップS132が完了すると、再びステップS110へ移行する。
【0058】
ステップS110へ戻って説明を行うと、現在時刻が予約録画の開始時刻と一致しない場合、録画制御部11dはステップS120において、現在時刻が不在時間に該当するか否かを判定する。
【0059】
不在時間に該当しない場合、再びステップS110へ移行する。不在時間に該当する場合、録画制御部11dはステップS130において、SSD15に記録されている録画データをHDD14へ移動させる、データ移動処理を実施する。データ移動処理が完了すると、移動元の録画データ、つまりSSD15に記録している録画データを消去した後、再びステップS110へ移行する。なおSSD15に録画データが存在しない場合、データ移動処理は行わない。
【0060】
以上に説明した本実施形態によれば、ユーザの就寝時間において録画が開始された場合に、静音記録媒体であるSSD15に記録し、ユーザの不在時間においてSSD15からHDD14への移動を行う。これにより、HDD14が発する騒音によりユーザの睡眠を妨げることがない。また、比較的記録容量の少ないSSD15の記録容量が満杯となり、録画不可となるのを回避できる。
[実施の形態2]
【0061】
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。
〈2−1.内部構成について〉
【0062】
本実施形態のHDDレコーダ1は、図5に示すように、第一の実施形態の構成(図2)に加えセンサ部21(=検知部)を備えている。
【0063】
センサ部21は、HDDレコーダ1の周辺環境を検知するためのセンサを含み、例えば赤外線により人体を検知する人体検知センサ(=移動体センサ)、受光素子により周辺の明るさを検知する照度センサ、マイクロフォンにより音声を検知する音波センサ等を含む。センサ部21により検知された検知結果は、図4に示すように、録画制御部11dに与えられる。
〈2−2.機能部の構成について〉
【0064】
第一の実施形態と同じ構成であるが、録画制御部11dの機能が一部異なる。本実施形態の録画制御部11dは、就寝時間の録画処理において、照度センサにより閾値を越える照度が検知されず、且つ音波センサにより閾値を越える音量の音声が検知されなかった場合に、静音記録媒体であるSSD15に記録を行うよう、録画処理部11aを制御する。
【0065】
なお音声用の閾値の一例としては、HDD15が記録時に発する駆動音の最大値を装置製造時等において予め調査しておき、この最大値を閾値として用いる。或いは、複数のマイクロフォンを用いてHDD15の駆動音と外部の騒音とを検知し、HDD15の駆動音の検知結果を閾値とする形態でもよい。
【0066】
また本実施形態の録画制御部11dは、不在時間の到来が検知された場合、人体検知センサにより人体が検知されなかった場合、及び音波センサにより閾値を超える音声が検知された場合に、データ移動処理を実施する。
〈2−3.録画制御処理について〉
【0067】
ここで、本発明の第二の実施形態に係るHDDレコーダ1が実施する録画制御処理を、図6のフロー図を用いながら説明する。なお、第一の実施形態の図3と同内容の処理については、同じステップ番号を付加することにより説明を省略するものとする。
【0068】
ステップS110及びステップS120については、実施の形態1と同様である。ステップS120において現在時刻が不在時間であると判定された場合、録画制御部11dはステップS130へ移行し、データ移動処理を行う。不在時間ではない場合、録画制御部11dはステップS122において、センサ部21が含む人体検知センサにより、人体が検知されたか否かを判定する。
【0069】
人体が検知されていない場合、ステップS130へ移行し、データ移動処理を行う。人体が検知された場合、録画制御部11dはステップS123において、センサ部21が含む音波センサにより、閾値を超える音声が検知されたか否かを判定する。閾値を超える音声が検知された場合、ステップS130へ移行し、データ移動処理を行う。検知されていない場合、再びステップS110へ移行する。
【0070】
また本実施形態では、ステップS121において現在時刻が就寝時間であると判定された場合、録画制御部11dはステップS124において、センサ部21が含む照度センサにより、閾値を超える照度が検知されたか否かを判定する。
【0071】
閾値を超える照度が検知された場合、つまり就寝時間にも関わらずユーザが起きている場合、ステップS131へ移行する。閾値を超える照度が検知されなかった場合、録画制御部11dはステップS125において、センサ部21が含む音波センサにより、閾値を超える音声が検知されたか否かを判定する。
【0072】
閾値を超える音声が検知された場合、ステップS131へ移行する。閾値を超える音声が検知されなかった場合、ステップS132へ移行し、SSD15による録画処理を行う。
【0073】
なお本実施形態においてステップS131へ移行した場合、録画処理中に照度が閾値を下回ったことが照度センサにより検知され、且つ音量が閾値を下回ったことが音波センサにより検知された時点で、録画データを記録する記録媒体をHDD14からSSD15へ切り換えることがより望ましい。
【0074】
以上に説明した本実施形態によれば、現在時刻だけではなく、照度センサ、人体検知センサ、及び音波センサの検知結果を用いて、録画データの記録先の切り換え、及び録画データの移動を行う。これにより、HDDレコーダ1の周辺状況にあわせた録画処理の切り換え制御を、より望ましい形で行うことができる。
[その他の実施の形態]
【0075】
以上、好ましい実施の形態及び実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0076】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0077】
(A)上記実施形態では、本発明の記録装置の一例としてHDDレコーダ1を例に挙げているが、放送網または通信網に接続して情報を受信可能な記録装置であれば、これ以外の装置において本発明を実施する形態でもよい。例えば、DVDレコーダ、VCR(Video Cassette Recorder)、録画機能付きテレビジョン装置、録画機能付きSTB(Set Top Box)等を用いる形態であってもよい。
【0078】
(B)上記実施形態では、本発明の録画制御処理に関わる各機能部が、マイクロプロセッサ等の演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現されているが、各機能部が複数の回路により実現される形態でもよい。
【0079】
(C)上記実施形態では、本発明の録画制御処理を実施する録画処理の一例として、予約録画処理について説明しているが、通常の手動録画において本発明の録画制御処理を行う形態でもよい。例えば、手動録画による録画が開始され、その後に就寝時間の到来が検知された時点で、使用する記録媒体を変更するよう、録画制御部11dが録画処理部11aを制御する形態でもよい。
【0080】
(D)上記に関連して、手動録画が開始された放送番組の終了時刻を、録画制御部11dがEPGデータ等を用いて取得する形態でもよい。この場合、終了時刻が就寝時間内であるか否かを判定し、就寝時間内である場合に、録画開始の時点からSSD15を用いて録画を行うよう録画処理部11aを制御する。これにより、放送番組の録画データの前半と後半とで記録媒体が異なるといった状況を回避できる。
【0081】
(E)上記実施形態では、静音記録媒体(=第二記録媒体)の一例としてSSD15を例に説明を行っているが、駆動装置を含まず電気的に記録することが可能な記録媒体であれば、これ以外の記録媒体を用いる形態でもよい。例えば、フラッシュメモリ、EEPROM(Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)等を用いる形態でもよい。
【0082】
(F)上記実施形態では、通常時において録画データを記録するための記録媒体(=第一記録媒体)、つまり大容量ではあるが駆動装置による騒音が発生する記録媒体の一例としてHDD14を例に説明を行っているが、これ以外の記録媒体を用いる形態でもよい。例えば、光ディスクドライブ16に装着された光ディスクメディアを、通常時において録画データを記録する記録媒体として用いる形態でもよい。
【0083】
(G)上記実施形態では、静音記録媒体に記録するか否かを判定する条件として、就寝時間、検知照度、検知音量を用いているが、これら以外の条件を用いる形態でもよい。例えばユーザが記録装置の近傍に存在していることが人体検知センサにより検知された場合に、静音記録媒体に記録する形態でもよい。
【0084】
(H)上記に関連して、本実施形態では、静音記録媒体であるSSD15から大容量記録媒体であるHDD14に録画データを移動するか否かを判定する条件として、不在時間、人体検知結果、検知音量を用いているが、これら以外の条件を用いる形態でもよい。例えばユーザが起床している時間である非就寝時間が到来したことが検知された場合に、録画データの移動を行う形態でもよい。
【0085】
(I)上記に関連して、予約録画が設定された時点でSSD15を用いた録画を行うことが決定され、且つSSD15の容量が不足していることが検知された場合に、通常の移動タイミング以外の任意のタイミングで録画データを移動する形態でもよい。この場合、HDD14を通常より低速回転させて移動を行う。これにより、転送速度は低下するが、HDD14が発する騒音を低減することが可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 HDDレコーダ(記録装置)
11 制御部
11a 録画処理部(記録処理部)
11b 設定部
11c 計時部
11d 録画制御部(記録制御部)
12 メモリ
13 操作部
14 HDD(記録部、第一記録媒体)
15 SSD(記録部、第二記録媒体)
16 光ディスクドライブ
17 放送受信部(受信部)
18 信号処理部
19 OSD処理部
20 外部接続端子
21 センサ部(検知部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記録する記録部と、
映像または音声を含む再生情報を前記記録部へ記録する記録処理を行う記録処理部と、
時刻の計時を行う計時部とを備えた記録装置において、
前記記録部は、物理動作により情報を記録する第一記録媒体と、物理動作を用いず電気により情報を記録する第二記録媒体とを備え、
前記記録装置は、前記第二記録媒体を用いて前記再生情報の記録を行う時間帯の指定を受け付ける設定部と、
前記計時部が計時する時刻が前記時間帯である状態において前記記録処理部による記録処理の開始を検知した場合に、前記第二記録媒体を用いて前記再生情報を記録するよう前記記録処理部を制御する記録制御部とを備えること
を特徴とする記録装置。
【請求項2】
記録制御部は、前記計時部が計時する時刻が前記時間帯の範囲外となった場合に、前記第二記録媒体に記録されている前記再生情報を前記第一記録媒体へ記録し、該再生情報を前記第二記録媒体より消去すること
を特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記記録装置の周辺環境を検知する検知部を備え、
前記記録制御部は、前記検知部に含まれる音波センサにより検知される音量が予め定められた閾値を下回る状態において、前記記録処理部による記録処理の開始を検知した場合に、前記第二記録媒体を用いて前記再生情報を記録するよう前記記録処理部を制御し、該音量が該閾値を上回ることが検知された場合に、前記第二記録媒体に記録されている前記再生情報を前記第一記録媒体へ記録すること
を特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記記録制御部は、前記検知部に含まれる移動体センサにより移動体が検知されている状態において、前記記録処理部による記録処理の開始を検知した場合に、前記第二記録媒体を用いて前記再生情報を記録するよう前記記録処理部を制御し、前記移動体センサにより移動体が検知されていない場合に、前記第二記録媒体に記録されている前記再生情報を前記第一記録媒体へ記録すること
を特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記記録制御部は、前記検知部に含まれる照度センサにより検知される照度が予め定められた閾値を下回る状態において、前記記録処理部による記録処理の開始を検知した場合に、前記第二記録媒体を用いて前記再生情報を記録するよう前記記録処理部を制御し、該照度が該閾値を上回ることが検知された場合に、前記第二記録媒体に記録されている前記再生情報を前記第一記録媒体へ記録すること
を特徴とする請求項4に記載の記録装置。
【請求項6】
前記記録処理部は、前記計時部により計時される時刻と前記設定部により予め受け付けられた記録実行時刻とが一致した場合に、前記記録部に対して前記再生情報の記録を開始すること
を特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の記録装置。
【請求項7】
放送波の受信を行う受信部を備え、
前記記録処理部は、前記放送波に含まれる映像情報または音声情報を前記再生情報として前記第一記録媒体または前記第二記録媒体に記録すること
を特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−258279(P2011−258279A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132690(P2010−132690)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】