説明

記録装置

【課題】より小型化し、視認性を良くして、使い勝手をより良くした記録装置を提供する。
【解決手段】本体11は、用紙を搬送するローラー32、ローラー33、ローラー37、ローラー38、ローラー39、アーム40、軸41、中間ローラー42、ローラー43、またはローラー44および搬送される用紙に記録するキャリッジ34、記録ヘッド35、および媒体支持部36を格納する。手差しトレイ12は、手差し供給された用紙を、ローラー32およびローラー33が搬送可能に支持する。本体11の天面側であって、本体11の後方側に設けられている手差しトレイ12は、使用状態において本体11の背面側に非突出状態となる。本発明は記録装置に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録装置に関し、特に、被記録媒体に記録する記録装置に関する。
記録装置には、インクジェットプリンター、複写機、ファクシミリ等の装置が含まれる。
【背景技術】
【0002】
従来のインクジェットプリンターの構成では、背面側に手差しトレイが設けられたものがある。使用時に手差しトレイが開けられるか、または引き抜かれ、使用後には手差しトレイが閉じられて、本体に収納されるという構成が一般的である。
【0003】
図7は、従来の手差しトレイの構成を示す図である。インクジェットプリンターの本体201の背面側に手差しトレイ202が設けられ、前面側にスタッカー203が設けられている。使用前および使用後には、手差しトレイ202が閉じられているので、奥行き寸法は、Xとなる。使用時に手差しトレイ202が開けられるので、奥行き寸法は、Xに比較して、Yだけ増え、Xとなる。
【0004】
ところで従来、装置本体と係合し、装置本体に対して回動可能に設けられた媒体載置基体と、媒体載置基体と係合し、媒体載置基体と共に媒体を積載する第1の変位状態と前記媒体載置基体に重なる第2の変位状態とを取りえる第1補助トレイと、媒体載置基体と第1補助トレイの境界部に配置され、一端側に備えた回動支点を媒体載置基体側に備え、回動可能に設けられた補助載置板とを有することを特徴とする媒体搬送装置もある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−136842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、手差し使用時に奥行き寸法が増大したり、製品設置スペースが拡大してしまうという課題が発生した。また、手差しトレイが背面にあることで視認性も悪く、使い勝手という観点でも課題を抱えていた。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、奥行き寸法を変化させないことにより、より小型化し、視認性を良くして、使い勝手をより良くした記録装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様の記録装置は、被記録媒体を搬送する搬送手段および搬送される前記被記録媒体に記録する記録手段を格納する本体と、前記搬送手段に向けて手差し供給される被記録媒体を案内する手差しトレイと、を備え、前記本体の天面側であって、前記本体の後方側に設けられている前記手差しトレイは、使用状態において前記本体の背面側に非突出状態となることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、手差しトレイは、使用状態において本体の背面側に非突出状態となるので、手差しトレイの使用時でも、奥行き寸法が変化することがなく、より小型化することができる。また、背面を壁などに寄せて配置できるので、設置時の実質的な奥行きをより短くすることができる。さらに、本体の天面側に手差しトレイが設けられるので、手差しトレイを上側から目視することができ、視認性が良くなり、使い勝手がより良くなる。
【0010】
本発明の第2の態様の記録装置は、第1の態様において、前記手差しトレイは、収納状態と使用状態とに切り替え可能とされており、前記収納状態においても前記本体の背面側に非突出状態となることを特徴とする。本態様によれば収納状態において、手差しトレイが本体に収納されるので、手差しトレイが邪魔にならず、また、収納状態において手差しトレイが手差し供給口を閉じれば、本体内に埃や塵が入ってしまうことを防止できる。また、手差しトレイは収納状態においても、本体の背面側に非突出状態となるので、装置の奥行き寸法に変化を生じさせない。
【0011】
本発明の第3の態様は、第2の態様において、手差しトレイは、回動することにより、収納状態と使用状態とに切り替え可能とされていることを特徴とする。本態様によれば、第2の態様と同様の作用効果に加え、簡単に収納状態と使用状態とを切り替えることができる。
【0012】
本発明の第4の態様は、手差しトレイの上端は、使用状態において、本体の背面と略面一とされていることを特徴とする。本態様によれば、より小型化すると同時に、記録装置を壁などに寄せて設置すれば、誤って手差しトレイに大きな力を掛けた場合でも、背面の壁によって手差しトレイが支えられることになり、手差しトレイの破損を防止できる。
【0013】
尚、「略面一」とは、本体の奥行き方向における手差しトレイの上端位置と本体の背面位置とがほぼ同じであることを意味し、手差しトレイの上端位置と本体の背面位置とが本体の奥行き方向において完全に同じ位置である状態のほか、設計上、或いは製品の組立誤差等の理由により、手差しトレイの上端位置が本体の背面位置より僅かに本体手前側である状態も含むものである。そしてその略面一の範囲は、手差しトレイに大きな力が加わった際に、手差しトレイやその周辺部材の破損が生じる前に手差しトレイの上端が背面の壁に接触可能な範囲で、適宜設定し或いは適宜許容されるものである。
【0014】
本発明の第5の態様は、複数枚の被記録媒体を収容可能な被記録媒体カセットが、前記本体の前方側から着脱可能に設けられ、前記被記録媒体カセットから前記本体の後方側に向けて送り出される被記録媒体は、被記録媒体の搬送方向を反転させる反転ローラーによって反転させられた後、前記被記録媒体カセットより上方に位置する前記搬送手段に向けて搬送される構成を備え、前記反転ローラーの軸芯位置が、前記記録手段を構成する記録ヘッドと対向する被記録媒体の記録面に対して上側に設けられ、前記本体の内部において前記反転ローラーが前記記録ヘッドを備えるキャリッジの背面側に位置していることを特徴とする。
【0015】
反転ローラーによって被記録媒体カセットから送り出された被記録媒体を反転させる構成において、反転ローラーは被記録媒体を反転させるローラーであるので大径化し易く、記録装置内部において大きな設置スペースを必要とし易い。しかしながら本態様によれば、反転ローラーの軸芯位置が、記録ヘッドと対向する被記録媒体の記録面に対して上側に設けられ、前記本体の内部において前記反転ローラーがキャリッジ背面側に位置しているので、記録装置本体の高さ方向においてキャリッジ配置領域と前記反転ローラーの配置領域が重なり、これにより記録装置本体の高さ寸法増加を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態のプリンターの外観を示す前方斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態のプリンターの外観を示す前方斜視図である。
【図3】プリンターの外観を示す側面図である。
【図4】プリンターの外観を示す側面図である。
【図5】プリンターの内部の構成の概略を示す側断面図である。
【図6】手差しトレイの他の実施形態を示す側面図である。
【図7】従来の手差しトレイの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1および図2は、本発明の実施の形態のプリンター1の外観を示す前方斜視図である。図3および図4は、プリンター1の外観を示す側面図である。図1および図3は、手差しトレイ12が閉じられているプリンター1の外観を示し、図2および図4は、手差しトレイ12が開かれているプリンター1の外観を示す。また図6は、他の実施形態に係る手差しトレイ120(プリンター100)の側面図である。
【0018】
なお、プリンター1に対して前後の方向をY軸で図示し、上下の方向(重力方向)をZ軸で図示し、左右の方向をX軸で図示する。また、以下、X軸方向のうち、図1中の左側を単に左側と称し、X軸方向のうち、図1中の右側を単に右側と称する。さらに、以下、Y軸方向のうち、図1中の手前側を単に前側と称し、Y軸方向のうち、図1中の奥側を単に後側(後方側)と称する。さらにまた、以下、Z軸方向のうち、図1中の上側を単に上側と称し、Z軸方向のうち、図1中の下側を単に下側と称する。
【0019】
プリンター1は、記録装置の一例である印刷装置であり、被記録媒体の一例である用紙に記録する。プリンター1は、本体11に、手差しトレイ12および排紙トレイ13を備え、カセット14が装着される。
【0020】
なお、プリンター1の側面のうち、排紙トレイ13が設けられ、カセット14が装着される側がプリンター1の前側、すなわち、正面である。また、プリンター1の側面のうち、手差しトレイ12が設けられている側がプリンター1の上側、すなわち、天面(上面)である。
【0021】
また、本体11の上側、すなわち天面側であって、本体11の前側(前方側)には、操作部15が設けられている。本体11は、用紙を搬送して、その用紙に文字や画像を記録する。手差しトレイ12は、本体11に対して開閉可能に設けられ、本体11に対して開かれた状態である使用状態において、手差し供給された用紙を、本体11が搬送可能に保持する。
【0022】
排紙トレイ13は、本体11によって記録された用紙を載置する。カセット14は、本体11によって記録しようとする用紙を格納する。操作部15は、プリンター1の状態に関する情報を表示すると共に、ユーザーからの指示を取得する。操作部15は、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)表示パネル、またはLED(Light Emitting Diode)などのランプ等からなり、プリンター1の状態に関する情報を表示する表示部、およびユーザーによって押圧された場合、所定の信号を図示せぬ制御部に出力し、これによりユーザーの指示を取得するボタンを備える。
【0023】
すなわち、ユーザーは、操作部15の表示部によってプリンター1の状態を確認し、操作部15の所望のボタンに押圧する操作を加えることにより、プリンター1の設定条件の変更や、各種実行指示をすることができる。なお、ユーザーとは、エンドユーザーに限られず、プリンター1の組立作業またはアフターメンテナンスを行う人など、プリンター1を扱う全ての人を意味する。
【0024】
プリンター1の手差しトレイ12は、本体11の天面(上側の面)側であって、本体11の後方側(後側)に設けられている。手差しトレイ12は、回動の支点であるヒンジ21を中心に回動可能とされている。手差しトレイ12が、図4の矢印Aに示される回動の方向のうち、反時計方向に開動させられると、手差しトレイ12は、手差しトレイ12の表側の面が本体11の天面と共に一体の面を形成するように、本体11に収納される。すなわち、手差しトレイ12は、閉じられた状態である収納状態とされる。収納状態において、手差しトレイ12が本体11に収納されるので、手差しトレイ12が邪魔にならず、また、手差しトレイ12が手差し供給口を閉塞することで本体11内に埃や塵が入ってしまうことを防止できる。
【0025】
手差しトレイ12が、図4の矢印Aに示される回動の方向のうち、時計方向に開動させられると、手差しトレイ12の裏側の面が本体11の天面側に現れる。手差しトレイ12の表側の面が本体11の天面に当接することで、手差しトレイ12は、その裏面が上側を向いて、本体11の天面に対して後側の斜め上方向に配置される。すなわち、手差しトレイ12は、開かれた状態である使用状態とされる。このように、手差しトレイ12は、収納状態と使用状態とに切り替え可能とされている。手差しトレイ12を回動させることにより、収納状態と使用状態とに切り替え可能とされているので、簡単に収納状態と使用状態とを切り替えることができる。
【0026】
図4の点線Bは、本体11の背面のY軸方向の位置を示す。使用状態の手差しトレイ12の上端、すなわち、ヒンジ21が設けられている側の端部と反対側の端部は、点線B上か、点線Bで示される位置より前側に位置する。言い換えれば、手差しトレイ12は、使用状態において本体11の背面側に非突出状態となる。
【0027】
より詳細には、手差しトレイ12の上端のY軸方向の位置は、使用状態において、本体11の背面のY軸方向の位置とほぼ同じになる。すなわち、手差しトレイ12の上端は、使用状態において、本体の背面と略面一とされている。従って、手差しトレイ12を開いた状態のプリンター1がより小型化すると同時に、プリンター1を壁などに寄せて設置すれば、誤って手差しトレイ12に大きな力を掛けた場合でも、背面の壁などによって手差しトレイ12が支えられることになり、手差しトレイ12やその周辺の構成部材の破損を防止できる。
【0028】
このように、本体11の天面側であって、本体11の後方側に設けられている手差しトレイ12は、使用状態において本体11の背面側に非突出状態となる。手差しトレイ12が開かれた場合、手差しトレイ12を含めた奥行きが本体11の最大奥行を超えない。すなわち、手差しトレイ12は、本体11の背面からある程度前面側に移動させた位置に設置される。従って、使用時でも手差しトレイ12が本体11の背面を飛び出さない。また、本体11の正面から手差しトレイ12が見える為、使い勝手が良い。
【0029】
図5は、プリンター1の内部の構成の概略を示す側断面図である。本体11は、送り経路形成部31、ローラー32、ローラー33、キャリッジ34、記録ヘッド35、媒体支持部36、ローラー37、ローラー38、ローラー39、アーム40、軸41、(反転ローラーとしての)中間ローラー42、ローラー43、ローラー44、および両面印刷経路形成部45を備える。
【0030】
使用状態において、手差しトレイ12には、被記録媒体の一例である用紙が載置される。すなわち、手差しトレイ12は、手差し供給される用紙の、本体11に挿入される側の端部が、搬送手段を構成するローラー32およびローラー33に接するよう、用紙を支持する。言い換えれば、手差しトレイ12は、手差し供給された用紙を、ローラー32およびローラー33が搬送可能に保持する。
【0031】
ローラー32、ローラー33、ローラー37、ローラー38、ローラー39、アーム40、軸41、中間ローラー42、ローラー43、またはローラー44は、搬送手段の一例である。ローラー32、ローラー37、ローラー39、アーム40、または中間ローラー42は、モーター、ギア、またはベルトなどからなる駆動部によって駆動される。
【0032】
なお、被記録媒体の一例である用紙は、本体11の下方に着脱可能に設けられたカセット14にも格納される。プリンター1は、手差しトレイ12に載置された用紙またはカセット14に格納された用紙のいずれかを選択して記録できる。
【0033】
送り経路形成部31は、各種のプラスチック材料や金属製の案内部材などによって構成される。送り経路形成部31は、用紙が送られる送り経路であって、手差しトレイ12から、キャリッジ34、記録ヘッド35、および媒体支持部36を介した、排紙トレイ13までの送り経路を形成する。なお、図5中において実線で示される矢印は、送り経路を示す。また、図5において符号Lで示す範囲は、手差しトレイ12上の送り経路であり、即ち手差しトレイ12が用紙を支持する範囲を示している。
【0034】
ローラー32は、図5中の左向きに、送り経路を介して手差しトレイ12に載置された用紙を搬送する場合、駆動部によって図5中の反時計方向に回転させられる。ローラー33は、ローラー32に接するように配置され、図5中の左向きに、送り経路を介して手差しトレイ12に載置された用紙を搬送する場合、ローラー32によって図5中の時計方向に回転させられる。ローラー32およびローラー33は、手差しトレイ12に載置された用紙を挟持して、キャリッジ34、記録ヘッド35、および媒体支持部36を介して、ローラー38およびローラー39に送る。
【0035】
キャリッジ34、記録ヘッド35、および媒体支持部36は、記録手段の一例である記録部であり、ローラー32およびローラー33によって送り経路を介して搬送されてきた用紙にインクを吐出して記録する。すなわち、キャリッジ34および記録ヘッド35は、媒体支持部36によって支持された用紙に対して、用紙の用紙幅で往復運動し、印字または描画を行う。キャリッジ34は、記録を実行する場合、一例として図示しないモーターの動力によってX軸方向、すなわち用紙の幅方向に延設された図示しないガイド部材にガイドされながら移動する。
【0036】
記録ヘッド35は、キャリッジ34における用紙と対向する側に設けられている。記録ヘッド35の面のうち、用紙と対向する面には、インクを吐出するノズル(図示せず)が形成されている。媒体支持部36は、記録ヘッド35と対向する位置に設けられており、用紙と記録ヘッドとの間の距離を所定の長さに保つ。
【0037】
言い換えれば、キャリッジ34には、送り経路を送り方向に搬送されている用紙の部分のうち、送り経路形成部31から露出している部分である露出部分にインクを吐出して記録する記録ヘッド35が設けられ、キャリッジ34は、用紙の送り方向に直交する方向に移動する。
【0038】
ローラー37は、図5中の左向きに、キャリッジ34、記録ヘッド35、および媒体支持部36によって印刷された用紙を搬送する場合、駆動部によって図5中の反時計方向に回転させられる。ローラー38は、ローラー37に接するように配置され、図5中の左向きに、記録ヘッド35によって印刷された用紙を搬送する場合、ローラー37によって図5中の時計方向に回転させられる。ローラー37およびローラー38は、キャリッジ34、記録ヘッド35、および媒体支持部36によって印刷された用紙を挟持して、排紙トレイ13に送る。排紙トレイ13は、ローラー37およびローラー38によって搬送されてきた用紙を載置する。
【0039】
ローラー39は、カセット14に格納されている用紙に対して接離移動可能なアーム40の自由端に設けられ、駆動部によって図5中の反時計方向に回転させられる。アーム40は、軸41を中心に回動する。また、アーム40には、ローラー39を駆動するためのギアなどが設けられている。
【0040】
アーム40が軸41を中心に時計方向に回動することで、アーム40が用紙に接する側に移動すると、ローラー39は、カセット14に格納されている用紙のうち、最も上側に格納されている用紙の奥側の端部と接触する。これにより、ローラー39は、用紙を上側に搬送することで、中間ローラー42に送る。
【0041】
中間ローラー42は、駆動部によって図5中の反時計方向に回転させられる。ローラー43およびローラー44は、中間ローラー42に接するように配置され、中間ローラー42によって図5中の時計方向に回転させられる。中間ローラー42、ローラー43、およびローラー44は、ローラー39によってカセット14から搬送されてきた用紙を挟持して、送り経路を介して、ローラー32およびローラー33に送る。
【0042】
また中間ローラー42は、カセット14から後方側に向けて送り出された用紙を反転させ、搬送方向を前方側に変化させる。カセット14から送り出された用紙は、中間ローラー42によって反転させられた後、カセット14より上方に位置する搬送手段であるローラー32とローラー33とのローラー対に向けて搬送される。
【0043】
また、両面印刷経路形成部45は、各種のプラスチック材料や金属製の案内部材などによって構成され、用紙の裏表を反転させるための経路である両面印刷経路を形成する。なお、図5中において点線の矢印は、両面印刷経路を示す。両面記録モードの場合、用紙の一方の面(表面)に対して記録された後に、駆動部によってローラー37およびローラー38並びにローラー32およびローラー33が逆回転させられる。すなわち、この場合、ローラー32およびローラー37が時計方向に回転させられる。これにより、用紙は、両面印刷経路を介して、中間ローラー42、ローラー43、およびローラー44に送られる。
【0044】
中間ローラー42は、駆動部によって図5中の反時計方向に回転させられ、中間ローラー42、ローラー43、およびローラー44は、両面印刷経路を介して搬送されてきた用紙を挟持して、再び、送り経路を介して、ローラー32およびローラー33に送る。
【0045】
これによって、用紙の面のうち、既に記録された用紙の面(表面)が媒体支持部36側となり、用紙の他方の面(裏面)が記録ヘッド35側となる。そして、ローラー32およびローラー33によって送り経路に送られた用紙の裏面(このとき裏面には、まだ記録されていない)に、記録ヘッド35は、インクを吐出して記録する。
【0046】
ローラー37およびローラー38は、両面が印刷された用紙を挟持して、排紙トレイ13に送る。排紙トレイ13は、両面が印刷され、ローラー37およびローラー38によって搬送されてきた用紙を載置する。
【0047】
ここで、以上の様に中間ローラー42によってカセット14から送り出された用紙を反転させる構成においては、中間ローラー42は用紙を反転させるローラーであるので大径化し易く、装置内部において大きな設置スペースを必要とし易い。しかしながら本実施形態では、中間ローラー42の軸芯位置が、記録ヘッド35と対向する用紙記録面に対して上側に設けられ、これにより本体11の内部において中間ローラー42が、キャリッジ34の背面側に位置した状態となっている。従って、本体11の高さ方向においてキャリッジ34の配置領域と中間ローラー42の配置領域が重なり、本体11の高さ寸法増加を抑えることが可能となっている。
【0048】
加えて、手差しトレイ12から供給された用紙の両面に記録する場合、両面印刷経路形成部45を利用した用紙のスイッチバック時に下方向への湾曲の程度を低減でき、即ち用紙の曲がりをより少なくすることができ、これにより、用紙が詰まってしまうことをより少なくすることができる。
【0049】
以上のように、本体11が、被記録媒体である用紙を搬送する搬送手段であるローラー32、ローラー33、ローラー37、ローラー38、ローラー39、アーム40、軸41、中間ローラー42、ローラー43、またはローラー44並びに搬送される被記録媒体である用紙に記録する記録手段であるキャリッジ34、記録ヘッド35、および媒体支持部36を格納し、手差しトレイ12が、手差し供給された被記録媒体である用紙を、搬送手段であるローラー32およびローラー33が搬送可能に支持する。本体11の天面側であって、本体11の後方側に設けられている手差しトレイ12は、使用状態において本体11の背面側に非突出状態とされる。
【0050】
手差しトレイ12は、使用状態において本体11の背面側に非突出状態となるので、手差しトレイ12の使用時でも、奥行き寸法が変化することがなく、より小型化することができる。また、背面を壁などに寄せて配置できるので、設置時の実質的な奥行きをより短くすることができる。さらに、本体11の天面側に手差しトレイ12が設けられるので、手差しトレイ12を上側から目視することができ、視認性が良くなり、使い勝手がより良くなる。
【0051】
すなわち、プリンター1の奥行き寸法が大きくなってしまうことを防止できる。また、手差しトレイ12の視認性が良くなり、用紙を簡単にセットすることができるようになり、用紙セット性が向上する。さらに、用紙を挟持する点がより少なくすることができ、ローラー痕などの用紙ダメージが少なくなる。
【0052】
以上のように、奥行き寸法を変化させないことにより、より小型化し、視認性を良くして、使い勝手をより良くした記録装置を提供することができる。
尚、手差しトレイを、後方に傾斜した姿勢のみならず前方側に傾斜した姿勢を維持可能に設け、その状態で用紙を差し入れることが可能に構成されていても良い。図7はその様な手差しトレイ120を備えたプリンター100を示しており、符号210は手差しトレイ120の回動軸であるヒンジを示している。
【0053】
手差しトレイ120は、既に説明した手差しトレイ12と同様に、後方に傾斜した姿勢において本体11の背面側に非突出状態となるが、符号120’で示す様に、前方に傾斜した姿勢を維持することができる。そして当該手差しトレイ120の背面側から、符号Pで示す様に用紙を装置内部の搬送経路に差し入れることが可能となっているので、長尺の用紙を差し入れる際に適した構成とすることができる。
【0054】
また、プリンター1は、印刷装置であると説明したが、印刷装置、複写機、またはファクシミリ装置その他の装置である記録装置であってもよい。
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0055】
1 プリンター、11 本体、12 手差しトレイ、13 排紙トレイ、14 カセット、15 操作部、21 ヒンジ、31 送り経路形成部、32 ローラー、33 ローラー、34 キャリッジ、35 記録ヘッド、36 媒体支持部、37 ローラー、38 ローラー、39 ローラー、40 アーム、41 軸、42 中間ローラー、43 ローラー、44 ローラー、45 両面印刷経路形成部、201 本体、202 手差しトレイ、203 スタッカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体を搬送する搬送手段および搬送される前記被記録媒体に記録する記録手段を格納する本体と、
前記搬送手段に向けて手差し供給される被記録媒体を案内する手差しトレイと、を備え、
前記本体の天面側であって、前記本体の後方側に設けられている前記手差しトレイは、使用状態において前記本体の背面側に非突出状態となる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、前記手差しトレイは、収納状態と使用状態とに切り替え可能とされており、前記収納状態においても前記本体の背面側に非突出状態となる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記録装置において、前記手差しトレイは、回動することにより、前記収納状態と前記使用状態とに切り替え可能とされていることを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の記録装置において、前記手差しトレイの上端は、前記使用状態において、前記本体の背面と略面一とされていることを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の記録装置において、複数枚の被記録媒体を収容可能な被記録媒体カセットが、前記本体の前方側から着脱可能に設けられ、
前記被記録媒体カセットから前記本体の後方側に向けて送り出される被記録媒体は、被記録媒体の搬送方向を反転させる反転ローラーによって反転させられた後、前記被記録媒体カセットより上方に位置する前記搬送手段に向けて搬送される構成を備え、
前記反転ローラーの軸芯位置が、前記記録手段を構成する記録ヘッドと対向する被記録媒体の記録面に対して上側に設けられ、前記本体の内部において前記反転ローラーが前記記録ヘッドを備えるキャリッジの背面側に位置している、
ことを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−107244(P2013−107244A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252893(P2011−252893)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】