記録装置
【課題】記録媒体の間欠搬送における搬送誤差を軽減することができる、記録媒体の搬送方法を提供する。
【解決手段】記録装置には、ロール状の記録媒体を保持する給紙部と、記録媒体の幅方向に走査する記録ヘッドが設けられており、記録ヘッドからのインク吐出で記録媒体に記録を行う記録部と、が設けられている。給紙部と記録部との間に設けた搬送ローラによる記録媒体の間欠搬送と記録ヘッドからのインク吐出とを繰り返すことで記録媒体への記録が行われる。この記録の際に、間欠搬送における搬送ローラによる記録媒体の搬送量に応じて、記録媒体にかかる張力を張力付与機構によって調整しながら、記録媒体を記録部に搬送する。
【解決手段】記録装置には、ロール状の記録媒体を保持する給紙部と、記録媒体の幅方向に走査する記録ヘッドが設けられており、記録ヘッドからのインク吐出で記録媒体に記録を行う記録部と、が設けられている。給紙部と記録部との間に設けた搬送ローラによる記録媒体の間欠搬送と記録ヘッドからのインク吐出とを繰り返すことで記録媒体への記録が行われる。この記録の際に、間欠搬送における搬送ローラによる記録媒体の搬送量に応じて、記録媒体にかかる張力を張力付与機構によって調整しながら、記録媒体を記録部に搬送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間欠搬送をしながら記録を行う記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録装置には、A2以上の大判サイズの記録媒体に画像などを記録可能なものがある。この記録装置においては、記録媒体として、ロール紙(以下、ロール紙が巻き回されたロール部分を「ロール部」とし、ロール部から引き出された部分を「用紙部」とする)が利用されることが多い。ロール部からの用紙部の引き出しは、現状、搬送ローラによって行われている。しかしながら、このような記録装置で使用されるロール紙はロール状に巻き回されているため、単票紙に比べて重量が大きく、ロール部から用紙部を引き出すときの搬送ローラにかかる負荷は大きなものとなっている。そのため、搬送ローラを駆動する搬送モータの駆動力のみでは、ロール部が回転せず、ロール紙が破断する等の可能性がある。そこで、ロール部を回転させるためのロールモータを設け、搬送モータと共にロールモータを駆動させながら、ロール部から用紙部を引き出すようにする記録装置が開発されている。
【0003】
この種の記録装置としては、例えば特許文献1に開示されているものが知られている。この記録装置は、搬送ローラと、ロールモータと、搬送モータと、ロール紙に生じる張力を測定する張力測定手段と、張力の測定結果に基づいて、ロールモータか搬送モータの少なくとも一方の駆動を制御するモータ制御部と、を有し、ロール紙を間欠搬送する。この構成では、張力測定手段によって精度よく測定された張力に基づいてモータがフィードバック制御され、ロール紙の搬送量を決定するので、ロール紙に作用する張力を適切なものに制御可能となり、ロール紙の巻径の変化による張力の変動を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−263044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1では、用紙部に常に張力が与えられているため、該張力によって用紙部が搬送ローラ上をすべり、制御部から指令された搬送量より実際の搬送量が少なくなることがあり、搬送精度に影響を与える恐れがある。また、搬送量に関わらず、1回の搬送時にかかる張力は同じであるので、単位長さ(例えば、記録ヘッド1個の長さ)を複数回に分けて搬送する場合には、張力に基づく搬送量の誤差は大きくなる。さらに、1回の搬送時の搬送量が小さい場合には、搬送ローラがトップスピードまで加速される前に減速するので、すべりの影響の受け方も変わる。
【0006】
なお、このような搬送形態の違いを表す指標として、一般に「パス数」が用いられる。このパス数とは、記録ヘッドの、記録媒体搬送方向の長さを単位長さとして、この単位長さを何回に分けて記録媒体を搬送するかを示す。そして、記録媒体を1回搬送するごとに記録ヘッドは1往復走査するので、パス数が多いほど記録が高密度になる。したがって、記録の高密度化のためにパス数を多くすると、前記したように搬送量の誤差が大きくなる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、記録媒体の間欠搬送における搬送誤差を軽減することができる、記録媒体の搬送方法および記録装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ロール状の記録媒体を保持する給紙部と、記録媒体の幅方向に走査する記録ヘッドが設けられており、記録ヘッドからのインク吐出で記録媒体に記録を行う記録部と、を有する記録装置における記録媒体の搬送方法についてである。
【0009】
給紙部と記録部との間に設けた搬送ローラによる記録媒体の間欠搬送と記録ヘッドからのインク吐出とを繰り返すことで記録媒体への記録が行われる。本発明では、この記録の際に、間欠搬送における搬送ローラによる記録媒体の搬送量に応じて、記録媒体にかかる張力を張力付与機構によって調整しながら、記録媒体を記録部に搬送する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、間欠搬送における搬送ローラの搬送量やパス数に応じて、記録媒体にかかる張力を調整できるため、搬送誤差を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る記録装置の一実施形態の概略斜視図である。
【図2】図1に示す記録装置の概略側面図である。
【図3】スプールユニットの概略構成図である。
【図4】張力付与機構の概略構成図である。
【図5】搬送ローラ駆動機構の概略構成図である。
【図6】制御部とその周辺を示したブロック図である。
【図7】用紙部の搬送状態を示す概略図である。
【図8】時間と用紙部の搬送を制御する制御パラメータとの関係を示した図である。
【図9】用紙部が斜行した様子を示す平面図である。
【図10】記録ヘッドによる画像形成と、用紙部の搬送のタイミングを示したタイミングチャートである。
【図11】パス数の変化による搬送誤差の変化を示す図であり、張力が一定の場合である。
【図12】パス数の変化による搬送誤差の変化を示す図であり、4パスにおいて張力が図11に示す場合に比べて小さい場合である。
【図13】第1の実施形態における記録動作の流れを示したフローチャートである。
【図14】第2の実施形態における記録動作の流れを示すフローチャートである。
【図15】第3の実施形態における記録動作の流れを示すフローチャートである。
【図16】第4の実施形態における時間と用紙部の搬送を制御する制御パラメータとの関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態を説明する。なお、同一の機能を有する構成には添付図面中、同一の番号を付与し、その説明を省略することがある。
【0013】
[実施形態1]
図1は本発明に係る記録装置の一実施形態の概略斜視図である。図2は、図1に示す記録装置の概略側面図である。なお、図1、2において、記録装置の内部構造を分かりやすくするために、外枠の一部を省略して図示している。
【0014】
本実施形態の記録装置1では、記録媒体として、例えばJIS規格のA2サイズ以上の幅を有する大きなロール紙を使用し、そのロール紙に記録を行うことができる。
【0015】
本発明の記録装置1は、記録媒体であるロール紙6が配置される給紙部と、ロール紙6の搬送方向で給紙部の下流側に、ロール紙6に記録を行う記録部と、記録部の下流側に、記録部で記録されたロール紙6を排紙する排紙部と、を有する。
【0016】
給紙部には、ロール状に巻き回されたロール紙6がスプール軸5によって固定されている。なお、ロール紙6の、ロール状に巻き回された部分を「ロール部6a」、ロール紙6の、ロール部6aから引き出された部分を「用紙部6b」とする。
【0017】
記録部には、インク吐出をする記録ヘッド2と、記録ヘッド2を載置するキャリッジ3とが備えられており、キャリッジ3はキャリッジシャフト4に沿って、方向D1、つまり用紙部6bの幅方向に往復走査が可能となっている。また、キャリッジ3の側面には、用紙部6bの有無、および用紙部6bの幅方向の端部が検出できる用紙センサ13が配設されている。したがって、キャリッジ3を往復走査させる事により、用紙センサ13によって用紙部6bの幅を検出することができる。また、所定量(例えば、300mm)を搬送させて搬送の前後で用紙部6bの幅方向の端部の位置を検出する事で、用紙部6bの斜行量を検出することができる。
【0018】
排紙部には排紙カバー14が設けられており、記録部から排出される用紙部6bは、排紙カバー14上をすべり、不図示の排紙バスケットに収納されるようになっている。
【0019】
給紙部と記録部の間には、給紙部から搬送されるロール紙6の用紙部6bを記録部へガイドするための搬送路が外ガイド7と内ガイド8とで形成されている。搬送路の下流には、一方の端部に搬送ロールギア22(図5参照)が設けられた搬送ローラ10と搬送ローラ10に対向しているピンチローラ11とからなるローラ対が設けられている。給紙部から搬送されたロール紙6の用紙部6bはこのローラ対で挟持され記録部に搬送される。
【0020】
記録部には、ロール紙6の用紙部6bを支持するプラテン12が設けられており、記録ヘッド2を搭載したキャリッジ3は、プラテン12と間隔をおいて対向するように位置している。
【0021】
記録部と排紙部との間には、カッター29が配置されており、カッター29で用紙部6bの、画像などが記録された部分の後端を切断するようになっている。なお、記録装置1の本体には搬送モータ24が設けられているが、詳しくは後述する。
【0022】
図3に、ロール紙6の取り付けユニットの概略構成図を示す。本発明においては、ロール紙6のロール部6aは、図3に示す取り付けユニットであるスプールユニット16によって記録装置1の本体に取り付けられている。スプールユニット16は、スプール軸5と、スプール軸5に固定された基準側フランジ26と、スプール軸5に通すことができる非基準側フランジ27と、を有する。基準側フランジ26には、スプール軸5とは反対の面にロールギア17が設けられている。
【0023】
ロール紙6の芯である中空の紙管15にスプール軸5を差し込むことで、ロール部6aの一端が基準側フランジ26によって保持される。次に、ロール部6aの他端側から、非基準側フランジ27を、紙筒15を介してスプール軸5に通すことで、ロール部6aの他端が非基準側フランジ27によって保持される。
【0024】
基準側フランジ26と非基準側フランジ27は、記録装置1の本体に回転可能に保持されている。そのため、スプール軸5も回転可能であり、同様にロール部6aも回転可能となっている。
【0025】
図4に、張力付与機構の概略構成図を示す。張力付与機構40は、スプールユニット16と、記録装置1の本体内に設けられた、ギア19aを有するロールモータ19およびロールモータ19の駆動力を、ギア19aからスプールユニット16のロールギア17に伝達するロール入力ギア18と、を有する。また、ロール入力ギア18にはエンコーダフィルム20が取り付けられており、エンコーダフィルム20の回転動作をエンコーダセンサ21で検出可能となっている。
【0026】
ロール入力ギア18の回転速度は、エンコーダフィルム20の回転速度と同じであるため、エンコーダフィルム20の回転速度をエンコーダセンサ21によって検知する。そして、検知したデータを基にロールモータ19の駆動制御が行なわれる。ロールモータ19はロールモータ6aを回転駆動させるためのものであり、主に、無負荷駆動、所定力による励磁駆動、ロール紙逆転駆動を行う。所定力による励磁駆動では、張力を与えながら用紙部6bを搬送することで、ロール紙6を給紙部にセットしたときに生じる斜行の補正やたるみを取ることができる。なお、張力の負荷調整は、ロールモータ19に流れる電流を調整することでロールモータ19の発生トルクを制御して行う。
【0027】
図5に、搬送ローラ駆動機構の概略構成図を示す。搬送ローラ駆動機構50は、搬送ローラ10の搬送ロールギア22と、記録装置1の本体内に設けられた、ギア24aを有する搬送モータ24と搬送モータ24の駆動力を、ギア24aから搬送ロールギア22に伝達する搬送入力ギア23と、を有する。また、搬送入力ギア23には、エンコーダフィルム20が取り付けられており、エンコーダフィルム20の回転動作をエンコーダセンサ25で検出可能となっている。
【0028】
搬送入力ギア23の回転速度は、エンコーダフィルム20の回転速度と同じであるため、エンコーダフィルム20の回転速度をエンコーダセンサ25によって検知する。そして、検知したデータを基に搬送モータ24の駆動制御が行なわれる。
【0029】
次に、ロール紙6の用紙部6bが給紙部から記録部に供給されて排紙部に排紙されるまでの流れを説明する。給紙部に固定されているロール紙6のロール部6aから用紙部6bがユーザによって引き出される。引き出されたロール紙6、つまり用紙部6bはユーザによってさらに搬送され、外ガイド7と内ガイド8とで形成される搬送路を経由して、互いに間隔をあけて位置している搬送ローラ10とピンチローラ11の間に向かう。なお、搬送ローラ10とピンチローラ11とからなるローラ対の上流には、不図示の用紙検出手段が設けられている。この用紙検出手段によって用紙部6bが検知されると、互いに間隔を有していた搬送ローラ10とピンチローラ11とが近接し、用紙部6bを挟持する。これ以降は、搬送ローラ10の回転によって、用紙部6bは給紙部から自動で送り出される。
【0030】
用紙部6bは搬送ローラ10によって、記録ヘッド2と対向する記録位置に設けられたプラテン12まで搬送される。そして、間欠搬送の停止中に用紙部6b上に記録ヘッド2によって記録が行われる。記録が終了すると、搬送ローラ10によって、用紙部6bの、記録が行われた部分の後端が、用紙カッター29による切断位置に位置するまで用紙部6bが搬送され、用紙カッター29にて切断される。記録部分を有する用紙部6bは、排紙カバー14上をすべり、不図示の排紙バスケットに収納される。
【0031】
図6は、制御部とその周辺を示したブロック図である。制御部100は、ロールモータ19および搬送モータ24の制御を実現し、張力付与機構40や搬送ローラ駆動機構50の制御を実現するための部分である。制御部100は不図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、モータドライバ等で構成されている。そして、制御部100は、主制御部110、ロールモータ制御部120、および搬送モータ制御部130を有している。主制御部110は、ロールモータ19と搬送モータ24との相関駆動を実現するため、ロールモータ制御部120と、搬送モータ制御部130との両方に対して指令を与える。ロールモータ制御部120は、用紙部6bに異なる張力を付与するために、制御パラメータ1と制御パラメータ2の少なくとも2つの制御パラメータを持ち、画像を形成するパス数に応じて制御パラメータの切り替えを行う。なお、ここでいうパス数とは単位領域の記録を完成させるために記録ヘッドを走査させる回数のことである。例えば単位長さを記録ヘッド2の長さとし、記録ヘッド2の長さの記録を行うときに、記録ヘッド2が主走査方向に何回往復するか、つまり、何回に分けて搬送するのかのことである。1パスであれば、記録ヘッド1が1往復走査すると、用紙部6bは記録ヘッド2の長さだけ搬送される。4パスであれば、記録ヘッド2が主走査方向に4往復して記録ヘッド2の長さの記録が行われる。そのため、用紙部6bは、記録ヘッド2の長さを4回に分けて搬送される。また、制御パラメータとは、ロールモータ19や搬送モータ24を制御するための速度やタイミングあるいは供給される電流の情報である。
【0032】
ロールモータ19の動きは、ロール入力ギア18に取り付けられたエンコーダフィルム20の動きをエンコーダセンサ21で検知し、その結果をロールモータ制御部120にフィードバックさせることで制御されている。同様に、搬送モータ24の動きは、搬送入力ギア23に取り付けられたエンコーダフェイルム20の動きをエンコーダセンサ25で検知し、検知結果を搬送モータ制御部130にフィードバックさせることで制御されている。
【0033】
図7は、用紙部6bの搬送状態を示す概略図である。搬送ローラ10とロール部6aの間の用紙部6bにかかる張力をTpap、搬送ローラ10の搬送速度(搬送ローラ10の断面の円周上の速度)をVlf、ロール部6aからの用紙部6bの送り速度(ロール部6aの断面の円周上の速度)をVrollとする。また、搬送ローラ10とロール紙6aの間のロール紙6bの弛み量をSpap、用紙部6bの実際の搬送速度をVpapとする。Vlf、Vroll、Vpapについては図中矢印の方向、つまり用紙部6bが送り出される方向が正となる。ここで、用紙部6bの搬送速度は搬送ローラ10の速度で決定されるので、Vpap=Vlfとなる。弛み量Spapについては、弛みが無い状態を弛み量0とし、弛んだ量を絶対値で表示する。以降に示す波形図の力関係においては、図7に示す方向をそれぞれ基準として説明する。
【0034】
次に、本実施形態における搬送ローラ10とロール部6aの動作関係について図8を用いて説明する。図8は、時間と用紙部6bの搬送を制御する制御パラメータとの関係を示した図である。なお、(a)は、縦軸に搬送ローラ10の搬送速度Vlf、横軸に時間Tを取ったものである。(b)は、縦軸に用紙部6bの送り速度Vroll、横軸に時間Tを取ったものである。(c)は、縦軸に用紙部6bの弛み量Spap、横軸に時間Tを取ったものである。(d)は、縦軸に用紙部6bにかかる張力Tpap、横軸に時間Tを取ったものである。(e)は、縦軸にロールモータ19に通電される電流I、横軸に時間Tを取ったものである。なお、電流Iが正の値のときは、張力付与機構40によって、ロール部6aは、用紙部6bを送り出す方向に回転し、電流Iが負の値の時にはロール部6aは、用紙部6bを巻き取る方向に回転する。
【0035】
搬送ローラ10の搬送速度Vlfは、加速領域(時間Ta‐Tc間)、定速領域(時間Tc‐Te間)、および減速領域(時間Te‐Tf間)の3つの領域をもつ動作波形となる。
【0036】
時間Tbは、搬送ローラ10による用紙部6bの搬送速度Vlfよりも、ロール部6aの送り速度Vrollのほうが大きくなる時点である。したがって、時間Ta‐Tb間では、用紙部6bに張力Tpapがかかる張力発生領域となる。この領域(時間Ta‐Tb間)では、用紙部6bは、搬送ローラ10によって搬送された状態となっている。搬送ローラ10が加速していくと、搬送方向と逆方向に用紙部6bの慣性力が発生して張力Tpapが上昇する。そこで、ロールモータ19に正方向の所定の電流IAを流して、ロール部6aから用紙部6bを送り出す方向にロールモータ19を加速させる。ただし、この所定電流IAによる用紙部6bの送り速度が、搬送ローラ10による用紙部6bの搬送速度よりも小さくなる範囲で、ロールモータ19を加速させる。搬送ローラ10とロール部6aはともに用紙部6bを搬送しようとするため、張力Tpapは、所定張力TpapAで一定となる。また、用紙部6bには張力が生じているため、弛み量Spapは発生しない。
【0037】
なお、このロールモータ19に通電する電流の量を変化させることで、用紙部6bの張力Tpapを変化させることが可能である。所定電流IAよりも電流を大きくすれば、ロールモータ19が、ロール部6aから用紙部6bを送り出す方向にさらに加速するため、用紙部6bにかかる張力Tpapは所定張力TpapAよりも小さくなる。所定電流IAよりも電流を小さくすれば、逆に張力Tpapは所定張力TpapAよりも大きくなる。なお、本実施形態ではロールモータ19に正方向の電流を加えているが、場合によっては負方向の電流を加えて、慣性力による張力に加算してロールモータ19による張力を発生させても良い。また、ロール紙6の状態(坪量、幅サイズ、巻径)によって用紙部6bの慣性力は変化する為、ロール紙6の状態によって所定電流IAを変化させる必要がある。
【0038】
次に、時間Tbになる前に、ロールモータ19への電流Iを増加させていくと、時間Tb‐Tcの間では、用紙部6bの送り速度Vrollが、搬送ローラ10による用紙部6bの搬送速度Vlfを上回る。そのため弛み量Spap>0、張力Tpap=0となる。搬送ローラ10の加速領域(時間Ta‐Tc)後、定速領域(時間Tc‐Te)および減速領域(時間Te‐Tf)では、搬送ローラ10による用紙部6bの搬送速度Vlfと用紙部6bの送り速度Vrollとが一致する状態(Vlf=Vroll)で動作する。そのため、弛み量Spapが所定弛み量SpapA、張力Tpapが0にて維持されることになる。搬送ローラ10の動作終了後(時間Tf)にはロールモータ19を、用紙部6bを巻き取る方向(用紙部6bの搬送方向とは逆)に回転させ、用紙部6bの弛み量がSpap=0(時間Tg)となるまで弛み取りを行う。用紙部6bの弛み取りは、搬送ローラ10の動作停止(時間Tf)から次の用紙部6bの供給動作開始(時間Ta’)までの間に完了する。以上の動作は、搬送ローラ10の間欠搬送が行われるたびに、毎回実施される。
【0039】
上述した張力発生領域(時間Ta−Tb)において、所定張力TpapAを発生させるのは、用紙部6bに発生した斜行を補正するためである。ここで図9を用いて、用紙部6bの斜行が補正されるメカニズムについて説明する。図9は、用紙部が斜行した様子を示す平面図であり、(a)は用紙部6bが斜行状態で搬送されているときの搬送力Hと張力Tpapの状態を示す平面図であり、(b)は斜行状態で搬送されている用紙部6bに実際に作用する有効搬送力Fを示す平面図である。図9(a)に示すように、用紙部6bが一方の側方であるP2側端部側に斜行した状態で搬送されると、用紙部6bの他方の側方であるP1側端部が張り、P2側端部が緩む。このため張力Tpapとしては、P1側端部で強く、P2側端部で弱くなる。搬送ローラ10とピンチローラ11とのローラ対によって発生する搬送力Hは、斜行の有無に関わらず、P1側端部およびP2側端部とも、均等な搬送力Hとなる。一方、用紙部6bに対して実際に作用する有効搬送力Fは搬送力Hと張力Tpapとの差である。したがって、図9(b)に示すように、実際に作用する有効搬送力FはP2側端部で強く、P1側端部で弱くなり、用紙部6bはP2側端部からP1側端部へ斜行が補正されることになる。つまり、斜行補正は張力Tpapが大きいほど、P2側端部とP1側端部の張力の差も大きくなって、斜行補正の効果が大きくなる。なお、張力Tpapは搬送ローラ10によって用紙部6bに加速度が与えられているとき、用紙部6b自身の慣性力が張力を増やす方向に働くため、最も効果的に張力Tpapを発生させることが可能である。
【0040】
一方で、この張力Tpapが働いている間は、搬送ローラ10では用紙部6bにスリップが発生しやすくなる。そこで、本実施形態では、張力発生領域(時間Ta−Tb間)以降の領域(時間Tb−Tf間)では、用紙部6bに張力Tpapを発生させないようにし、搬送精度を保つようにしている。
【0041】
図10は、記録ヘッド2による画像形成と、用紙部6bの搬送のタイミングを示したタイミングチャートである。(a)はパス数が小さい場合(例えば4パス以下)の挙動、(b)はパス数が大きい場合(例えば4パスより大きい)の挙動である。Vcrはキャリッジ3の走査速度、Vlfは搬送ローラ10の搬送速度を表す。時間tb‐tcの間の領域にて画像の形成を行い、時間tdでのキャリッジ3の走査の終了とほぼ同時に、用紙部6bの搬送を開始する。時間td‐teの間の領域にて搬送ローラ10の加速が完了後、時間te‐tfの領域にて用紙部6bの等速搬送を行う。なお、この時の搬送速度Vlf=LFtopを「トップスピード」と呼ぶ。トップスピードLFtopは、一定以上の搬送精度を維持しつつ、画像形成のスループットを重視し高速で搬送を行う。そのため、搬送時の滑りが相対的に大きくなる。
【0042】
ここで、さらに図11および図12を用いて、画像を形成するパス数が異なることによる搬送誤差の変化について説明する。
【0043】
初めに、図11と図12の説明をする。図11および図12は、代表的なパス数(N)として1、2、4、8、および16パスの搬送誤差の傾向を示したものである。図11は、どのパス数でも張力Tpapを一定とした場合、図12は4パスにおいて張力Tpapを小さくした場合を示している。図の横軸は画像を形成するパス数(N)を表している。例えば4パスによる画像形成の場合、記録ヘッド2の長さに対して搬送を4回に分け、搬送と画像形成をそれぞれ4回ずつ繰り返すことで記録ヘッド2の長さの画像を完成させる。また、(a)は1回の間欠搬送(1回の搬送工程)で用紙部6bが滑る量、(b)は記録ヘッド長と同一距離を搬送するために必要な搬送回数(すなわち、パス数と同一)、(c)は、記録ヘッド長と同一距離を搬送した際に、理想搬送長に対する搬送誤差を示す。なお、(c)の搬送誤差は、縦軸の下側に向かうほど、用紙部6bの滑りが発生していることを示す。これは、(a)に示す滑り量に(b)に示す搬送回数を掛けると求まる。
【0044】
本実施形態の場合、4パスまでは図10(a)のように間欠搬送時に、搬送速度VlfがトップスピードLFtopに達するため、1、2、4パスでの滑り量はほぼ同じとなっている。一方、8パス以上は図10(b)のように間欠搬送時に搬送速度VlfがトップスピードLFtopに達しないため、1回の搬送工程あたりの滑り量は相対的に小さくなっている。すなわち、パス数が小さい場合、搬送速度Vlfが大きいため1搬送工程あたりの滑り量が大きくなるが、間欠搬送の頻度が少ないため、単位搬送長(例えば記録ヘッド長)あたりの搬送誤差は相対的に小さくなる。一方、パス数が大きい場合、間欠搬送の頻度が多いため頻繁に滑りが発生するが、搬送速度が遅いため1搬送工程当たりの滑り量が小さくなる。よって、単位搬送長あたりの搬送誤差は相対的に小さくなる。
【0045】
本実施形態では、4パスが最も搬送誤差が発生するパス数であった。このように、搬送精度は搬送速度と搬送回数によって影響を受ける。
【0046】
4パスにおいて張力Tpapを小さくした例である図12に示すように、張力Tpapを小さくすることで、1搬送工程あたりの滑り量が小さくなるので、パス数の違いによる単位搬送長あたりの搬送誤差を小さくすることが出来る。張力Tpapを小さくすることで、1搬送工程当たりの斜行の補正能力は低下する。しかし、4パスの場合は搬送回数が4回なので、1パスの場合と比較し、斜行補正を行う回数は単位搬送長あたりで4倍確保できている。よって、張力Tpapを小さくしても1パスと比較し、同等以上の斜行補正能力が確保できている。
【0047】
以上説明したように、搬送速度と間欠搬送の頻度に応じて、張力付与機構40を制御することが望ましい。また、搬送速度と間欠搬送の頻度に影響がある要因としては、パス数や、用紙部6b内に記録(画像形成)を行わない領域(白紙部分)が存在する場合など、が挙げられる。そのため、これらの場合に応じて、張力付与機構40を制御することが望ましい。
【0048】
なお、図11、図12で示したパス毎の傾向は紙種、紙幅等の条件により変化するものであることを補足しておく。従って紙種、紙幅、および装置固有の特性に応じ、搬送誤差が大きくなるパス数は変わる。これを制御に取り入れるには、予め実験等により搬送誤差が大きくなるパス数を所定のパス数として特定しておき、所定のパス数(複数の場合もある)のときに張力Tpapを小さくするように制御する。
【0049】
図13は、本実施形態における記録動作の流れを示したフローチャートである。記録動作が開始すると(S01)、画像を形成するパス数を判断し(S02)、画像を形成するパス数が所定のパス数(本実施形態では4パス)の場合は制御パラメータ1を参照し(S03)、記録を行う(S04)。一方、画像を形成するパス数が4以外の場合は制御パラメータ2で記録を行う(S07)。制御パラメータ1は、制御パラメータ2と比較し、用紙部6bに付与する張力Tpapを小さくする。これは、張力による滑りの影響を軽減するためである。どちらの制御パラメータにおいても1画像の記録が終了したら(S05、S08)、次画像の記録を行うかどうかの判断をする(S09)。次画像の記録を行う場合は、パス数を判断するステップ(S02)に戻り、同様の動作を繰り返す。そして、次画像がないと判断した場合には記録動作が終了する(S10)。
【0050】
なお、本実施形態では張力Tpapの大きさを制御することで張力を管理したが、張力Tpapが働く時間を制御することで張力を管理しても良い。
【0051】
以上、説明した方法を適用することにより、画像を形成するパス数に応じて、用紙部6bにかける張力を管理できるため、搬送誤差を軽減することが出来る。
【0052】
[実施形態2]
次に、本発明に係る記録装置の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、第1の実施形態とは記録動作の流れが異なる。それ以外は、第1の実施形態と同一であるので、違いのみを図14を用いて説明する。
【0053】
図14は、本実施形態における記録動作の流れを示すフローチャートである。記録動作が開始すると(S21)、画像を形成するパス数が何パスであるかを確認し(S22)、主制御部110に予め格納された、パスごとに定められた制御パラメータを参照する(S23)。そして、参照した制御パラメータを基に記録を開始する(S24)。1画像の記録が終了したら(S25)、次画像の記録を行うかどうかの判断をする(S26)。次画像の記録を行う場合は、パス数を確認するステップ(S22)に戻り、同様の動作を繰り返す。そして、次画像がないと判断した場合には記録動作が終了する(S27)。
【0054】
以上、説明した方法を適用することにより、画像を形成するパス数に応じて、用紙部6bにかける張力を管理できるため、搬送誤差を軽減することが出来る。
【0055】
[実施形態3]
次に、本発明に係る記録装置の第3の実施形態について説明する。本実施形態は、第1の実施形態とは記録動作の流れが異なる。それ以外は、第1の実施形態と同一であるので、違いのみを図15を用いて説明する。
【0056】
図15は、本実施形態における記録動作の流れを示すフローチャートである。本実施形態では、制御パラメータの切り替えを毎回の間欠搬送ごと(1搬送工程ごと)に行う。例えば、1つの画像内に記録を行わないエリア(白紙部分)が存在し、間欠搬送が長くなる場合、制御パラメータを切り替えて搬送を行う。
【0057】
記録動作が開始すると(S31)、搬送量が記録ヘッド長よりも大きいか確認する(S32)。搬送量が記録ヘッド長よりも大きい、例えば白紙部分を搬送する場合、制御パラメータ33を参照する(S33)。そして、制御パラメータ33を基に用紙部6bを搬送し(S34)、記録を行う(S35)。この場合、用紙部6bを、記録ヘッド長と同一の距離を搬送する間、搬送ローラ10による加減速は行われない。そのため、用紙部6bが滑りにくいので大きめの張力を付与する。
【0058】
搬送量が記録ヘッド長よりも小さい場合、搬送量が記録ヘッド長の1/2より小さく、かつ1/8よりも大きいか確認する(S36)。該当する場合は、制御パラメータ31を参照する(S37)。この搬送量は、図11で示した4パスのときに近い挙動となるため用紙部6bが滑りやすい。そのため、小さめの張力を付与する。そして、制御パラメータ32を基に用紙部6bを搬送し(S34)、記録を行う(S38)。
【0059】
搬送量が1/8以下の場合は、制御パラメータ32を参照する(S40)。この搬送量は図11で示した4パスより大きいときの状態に近い挙動となるので、制御パラメータ31よりも大きい張力を付与する。そして、制御パラメータ32を基に用紙部6bを搬送し(S41)、記録を行う(S42)。
【0060】
1回の間欠搬送に対応した記録(S35、S39、S42)の終了後、1画像の記録が完了したかを判断し(S43)、1画像の記録が終了していない場合は、搬送量と記録ヘッド長とを比較するステップ(S32)に戻り、以下同様の動作を繰り返す。1画像の記録が終了した場合は、記録動作が完了する(S44)。なお、次画像がある場合は、搬送量と記録ヘッド長とを比較するステップ(S32)に戻る。
【0061】
これにより、1つの画像内に記録を行わない領域を備えていても、用紙部6bにかける張力を最適に管理できるため、搬送量による搬送誤差を軽減することが出来る。
【0062】
[実施形態4]
次に、本発明に係る記録装置の第4の実施形態について説明する。本実施形態は、図8にて示した時間と用紙部6bの搬送を制御する制御パラメータとの関係が第1の実施形態と異なる。それ以外は第1の実施形態と同一であるので、ここではその違いのみ、図16を用いて説明する。本実施形態では、用紙部6bの弛み量Spapを記録中においても常にほぼ0となるようにした。等速で用紙部6bが搬送されるときには、ロールモータ19に負の電流を与えて、ロール部6aに用紙部6bを巻き取るような力を与えれば、用紙部6bの等速搬送時にも用紙部6bに張力を付与することができ、弛み量Spapを0にすることができる。また、第1の実施形態では時間Tbになる前にロールモータ19に与える正の電流を大きくしていたが、本実施形態では用紙部6bに張力を付与し続けるため、その必要がない。
【0063】
この制御パラメータを適用することで、用紙部6bに張力Tpapを長時間付与し、用紙部6bの斜行を軽減させることができる。さらに、パス数に応じて、ロールモータ19に通電される電流Iを制御し、張力Tpapを調整する。例えば、1パスでの記録時には大きい張力Tpapcを付与し、4パスでの記録は小さい張力Tpapdを付与する。そのために、実線で示した1パスでの電流I’と、点線で示した4パスでの電流I’’との間にΔIのオフセットを備える。これにより、図11で示したパス数ごとに異なる滑り量を調整し、軽減することができる。以上、説明した方法を適用することにより、画像を形成するパス数に応じて、用紙部6bにかける張力を管理できるため、パス数による搬送誤差を軽減することが出来る。
【符号の説明】
【0064】
1 記録装置
2 記録ヘッド
6 ロール紙(記録媒体)
10搬送ローラ
40張力付与機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、間欠搬送をしながら記録を行う記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録装置には、A2以上の大判サイズの記録媒体に画像などを記録可能なものがある。この記録装置においては、記録媒体として、ロール紙(以下、ロール紙が巻き回されたロール部分を「ロール部」とし、ロール部から引き出された部分を「用紙部」とする)が利用されることが多い。ロール部からの用紙部の引き出しは、現状、搬送ローラによって行われている。しかしながら、このような記録装置で使用されるロール紙はロール状に巻き回されているため、単票紙に比べて重量が大きく、ロール部から用紙部を引き出すときの搬送ローラにかかる負荷は大きなものとなっている。そのため、搬送ローラを駆動する搬送モータの駆動力のみでは、ロール部が回転せず、ロール紙が破断する等の可能性がある。そこで、ロール部を回転させるためのロールモータを設け、搬送モータと共にロールモータを駆動させながら、ロール部から用紙部を引き出すようにする記録装置が開発されている。
【0003】
この種の記録装置としては、例えば特許文献1に開示されているものが知られている。この記録装置は、搬送ローラと、ロールモータと、搬送モータと、ロール紙に生じる張力を測定する張力測定手段と、張力の測定結果に基づいて、ロールモータか搬送モータの少なくとも一方の駆動を制御するモータ制御部と、を有し、ロール紙を間欠搬送する。この構成では、張力測定手段によって精度よく測定された張力に基づいてモータがフィードバック制御され、ロール紙の搬送量を決定するので、ロール紙に作用する張力を適切なものに制御可能となり、ロール紙の巻径の変化による張力の変動を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−263044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1では、用紙部に常に張力が与えられているため、該張力によって用紙部が搬送ローラ上をすべり、制御部から指令された搬送量より実際の搬送量が少なくなることがあり、搬送精度に影響を与える恐れがある。また、搬送量に関わらず、1回の搬送時にかかる張力は同じであるので、単位長さ(例えば、記録ヘッド1個の長さ)を複数回に分けて搬送する場合には、張力に基づく搬送量の誤差は大きくなる。さらに、1回の搬送時の搬送量が小さい場合には、搬送ローラがトップスピードまで加速される前に減速するので、すべりの影響の受け方も変わる。
【0006】
なお、このような搬送形態の違いを表す指標として、一般に「パス数」が用いられる。このパス数とは、記録ヘッドの、記録媒体搬送方向の長さを単位長さとして、この単位長さを何回に分けて記録媒体を搬送するかを示す。そして、記録媒体を1回搬送するごとに記録ヘッドは1往復走査するので、パス数が多いほど記録が高密度になる。したがって、記録の高密度化のためにパス数を多くすると、前記したように搬送量の誤差が大きくなる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、記録媒体の間欠搬送における搬送誤差を軽減することができる、記録媒体の搬送方法および記録装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ロール状の記録媒体を保持する給紙部と、記録媒体の幅方向に走査する記録ヘッドが設けられており、記録ヘッドからのインク吐出で記録媒体に記録を行う記録部と、を有する記録装置における記録媒体の搬送方法についてである。
【0009】
給紙部と記録部との間に設けた搬送ローラによる記録媒体の間欠搬送と記録ヘッドからのインク吐出とを繰り返すことで記録媒体への記録が行われる。本発明では、この記録の際に、間欠搬送における搬送ローラによる記録媒体の搬送量に応じて、記録媒体にかかる張力を張力付与機構によって調整しながら、記録媒体を記録部に搬送する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、間欠搬送における搬送ローラの搬送量やパス数に応じて、記録媒体にかかる張力を調整できるため、搬送誤差を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る記録装置の一実施形態の概略斜視図である。
【図2】図1に示す記録装置の概略側面図である。
【図3】スプールユニットの概略構成図である。
【図4】張力付与機構の概略構成図である。
【図5】搬送ローラ駆動機構の概略構成図である。
【図6】制御部とその周辺を示したブロック図である。
【図7】用紙部の搬送状態を示す概略図である。
【図8】時間と用紙部の搬送を制御する制御パラメータとの関係を示した図である。
【図9】用紙部が斜行した様子を示す平面図である。
【図10】記録ヘッドによる画像形成と、用紙部の搬送のタイミングを示したタイミングチャートである。
【図11】パス数の変化による搬送誤差の変化を示す図であり、張力が一定の場合である。
【図12】パス数の変化による搬送誤差の変化を示す図であり、4パスにおいて張力が図11に示す場合に比べて小さい場合である。
【図13】第1の実施形態における記録動作の流れを示したフローチャートである。
【図14】第2の実施形態における記録動作の流れを示すフローチャートである。
【図15】第3の実施形態における記録動作の流れを示すフローチャートである。
【図16】第4の実施形態における時間と用紙部の搬送を制御する制御パラメータとの関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態を説明する。なお、同一の機能を有する構成には添付図面中、同一の番号を付与し、その説明を省略することがある。
【0013】
[実施形態1]
図1は本発明に係る記録装置の一実施形態の概略斜視図である。図2は、図1に示す記録装置の概略側面図である。なお、図1、2において、記録装置の内部構造を分かりやすくするために、外枠の一部を省略して図示している。
【0014】
本実施形態の記録装置1では、記録媒体として、例えばJIS規格のA2サイズ以上の幅を有する大きなロール紙を使用し、そのロール紙に記録を行うことができる。
【0015】
本発明の記録装置1は、記録媒体であるロール紙6が配置される給紙部と、ロール紙6の搬送方向で給紙部の下流側に、ロール紙6に記録を行う記録部と、記録部の下流側に、記録部で記録されたロール紙6を排紙する排紙部と、を有する。
【0016】
給紙部には、ロール状に巻き回されたロール紙6がスプール軸5によって固定されている。なお、ロール紙6の、ロール状に巻き回された部分を「ロール部6a」、ロール紙6の、ロール部6aから引き出された部分を「用紙部6b」とする。
【0017】
記録部には、インク吐出をする記録ヘッド2と、記録ヘッド2を載置するキャリッジ3とが備えられており、キャリッジ3はキャリッジシャフト4に沿って、方向D1、つまり用紙部6bの幅方向に往復走査が可能となっている。また、キャリッジ3の側面には、用紙部6bの有無、および用紙部6bの幅方向の端部が検出できる用紙センサ13が配設されている。したがって、キャリッジ3を往復走査させる事により、用紙センサ13によって用紙部6bの幅を検出することができる。また、所定量(例えば、300mm)を搬送させて搬送の前後で用紙部6bの幅方向の端部の位置を検出する事で、用紙部6bの斜行量を検出することができる。
【0018】
排紙部には排紙カバー14が設けられており、記録部から排出される用紙部6bは、排紙カバー14上をすべり、不図示の排紙バスケットに収納されるようになっている。
【0019】
給紙部と記録部の間には、給紙部から搬送されるロール紙6の用紙部6bを記録部へガイドするための搬送路が外ガイド7と内ガイド8とで形成されている。搬送路の下流には、一方の端部に搬送ロールギア22(図5参照)が設けられた搬送ローラ10と搬送ローラ10に対向しているピンチローラ11とからなるローラ対が設けられている。給紙部から搬送されたロール紙6の用紙部6bはこのローラ対で挟持され記録部に搬送される。
【0020】
記録部には、ロール紙6の用紙部6bを支持するプラテン12が設けられており、記録ヘッド2を搭載したキャリッジ3は、プラテン12と間隔をおいて対向するように位置している。
【0021】
記録部と排紙部との間には、カッター29が配置されており、カッター29で用紙部6bの、画像などが記録された部分の後端を切断するようになっている。なお、記録装置1の本体には搬送モータ24が設けられているが、詳しくは後述する。
【0022】
図3に、ロール紙6の取り付けユニットの概略構成図を示す。本発明においては、ロール紙6のロール部6aは、図3に示す取り付けユニットであるスプールユニット16によって記録装置1の本体に取り付けられている。スプールユニット16は、スプール軸5と、スプール軸5に固定された基準側フランジ26と、スプール軸5に通すことができる非基準側フランジ27と、を有する。基準側フランジ26には、スプール軸5とは反対の面にロールギア17が設けられている。
【0023】
ロール紙6の芯である中空の紙管15にスプール軸5を差し込むことで、ロール部6aの一端が基準側フランジ26によって保持される。次に、ロール部6aの他端側から、非基準側フランジ27を、紙筒15を介してスプール軸5に通すことで、ロール部6aの他端が非基準側フランジ27によって保持される。
【0024】
基準側フランジ26と非基準側フランジ27は、記録装置1の本体に回転可能に保持されている。そのため、スプール軸5も回転可能であり、同様にロール部6aも回転可能となっている。
【0025】
図4に、張力付与機構の概略構成図を示す。張力付与機構40は、スプールユニット16と、記録装置1の本体内に設けられた、ギア19aを有するロールモータ19およびロールモータ19の駆動力を、ギア19aからスプールユニット16のロールギア17に伝達するロール入力ギア18と、を有する。また、ロール入力ギア18にはエンコーダフィルム20が取り付けられており、エンコーダフィルム20の回転動作をエンコーダセンサ21で検出可能となっている。
【0026】
ロール入力ギア18の回転速度は、エンコーダフィルム20の回転速度と同じであるため、エンコーダフィルム20の回転速度をエンコーダセンサ21によって検知する。そして、検知したデータを基にロールモータ19の駆動制御が行なわれる。ロールモータ19はロールモータ6aを回転駆動させるためのものであり、主に、無負荷駆動、所定力による励磁駆動、ロール紙逆転駆動を行う。所定力による励磁駆動では、張力を与えながら用紙部6bを搬送することで、ロール紙6を給紙部にセットしたときに生じる斜行の補正やたるみを取ることができる。なお、張力の負荷調整は、ロールモータ19に流れる電流を調整することでロールモータ19の発生トルクを制御して行う。
【0027】
図5に、搬送ローラ駆動機構の概略構成図を示す。搬送ローラ駆動機構50は、搬送ローラ10の搬送ロールギア22と、記録装置1の本体内に設けられた、ギア24aを有する搬送モータ24と搬送モータ24の駆動力を、ギア24aから搬送ロールギア22に伝達する搬送入力ギア23と、を有する。また、搬送入力ギア23には、エンコーダフィルム20が取り付けられており、エンコーダフィルム20の回転動作をエンコーダセンサ25で検出可能となっている。
【0028】
搬送入力ギア23の回転速度は、エンコーダフィルム20の回転速度と同じであるため、エンコーダフィルム20の回転速度をエンコーダセンサ25によって検知する。そして、検知したデータを基に搬送モータ24の駆動制御が行なわれる。
【0029】
次に、ロール紙6の用紙部6bが給紙部から記録部に供給されて排紙部に排紙されるまでの流れを説明する。給紙部に固定されているロール紙6のロール部6aから用紙部6bがユーザによって引き出される。引き出されたロール紙6、つまり用紙部6bはユーザによってさらに搬送され、外ガイド7と内ガイド8とで形成される搬送路を経由して、互いに間隔をあけて位置している搬送ローラ10とピンチローラ11の間に向かう。なお、搬送ローラ10とピンチローラ11とからなるローラ対の上流には、不図示の用紙検出手段が設けられている。この用紙検出手段によって用紙部6bが検知されると、互いに間隔を有していた搬送ローラ10とピンチローラ11とが近接し、用紙部6bを挟持する。これ以降は、搬送ローラ10の回転によって、用紙部6bは給紙部から自動で送り出される。
【0030】
用紙部6bは搬送ローラ10によって、記録ヘッド2と対向する記録位置に設けられたプラテン12まで搬送される。そして、間欠搬送の停止中に用紙部6b上に記録ヘッド2によって記録が行われる。記録が終了すると、搬送ローラ10によって、用紙部6bの、記録が行われた部分の後端が、用紙カッター29による切断位置に位置するまで用紙部6bが搬送され、用紙カッター29にて切断される。記録部分を有する用紙部6bは、排紙カバー14上をすべり、不図示の排紙バスケットに収納される。
【0031】
図6は、制御部とその周辺を示したブロック図である。制御部100は、ロールモータ19および搬送モータ24の制御を実現し、張力付与機構40や搬送ローラ駆動機構50の制御を実現するための部分である。制御部100は不図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、モータドライバ等で構成されている。そして、制御部100は、主制御部110、ロールモータ制御部120、および搬送モータ制御部130を有している。主制御部110は、ロールモータ19と搬送モータ24との相関駆動を実現するため、ロールモータ制御部120と、搬送モータ制御部130との両方に対して指令を与える。ロールモータ制御部120は、用紙部6bに異なる張力を付与するために、制御パラメータ1と制御パラメータ2の少なくとも2つの制御パラメータを持ち、画像を形成するパス数に応じて制御パラメータの切り替えを行う。なお、ここでいうパス数とは単位領域の記録を完成させるために記録ヘッドを走査させる回数のことである。例えば単位長さを記録ヘッド2の長さとし、記録ヘッド2の長さの記録を行うときに、記録ヘッド2が主走査方向に何回往復するか、つまり、何回に分けて搬送するのかのことである。1パスであれば、記録ヘッド1が1往復走査すると、用紙部6bは記録ヘッド2の長さだけ搬送される。4パスであれば、記録ヘッド2が主走査方向に4往復して記録ヘッド2の長さの記録が行われる。そのため、用紙部6bは、記録ヘッド2の長さを4回に分けて搬送される。また、制御パラメータとは、ロールモータ19や搬送モータ24を制御するための速度やタイミングあるいは供給される電流の情報である。
【0032】
ロールモータ19の動きは、ロール入力ギア18に取り付けられたエンコーダフィルム20の動きをエンコーダセンサ21で検知し、その結果をロールモータ制御部120にフィードバックさせることで制御されている。同様に、搬送モータ24の動きは、搬送入力ギア23に取り付けられたエンコーダフェイルム20の動きをエンコーダセンサ25で検知し、検知結果を搬送モータ制御部130にフィードバックさせることで制御されている。
【0033】
図7は、用紙部6bの搬送状態を示す概略図である。搬送ローラ10とロール部6aの間の用紙部6bにかかる張力をTpap、搬送ローラ10の搬送速度(搬送ローラ10の断面の円周上の速度)をVlf、ロール部6aからの用紙部6bの送り速度(ロール部6aの断面の円周上の速度)をVrollとする。また、搬送ローラ10とロール紙6aの間のロール紙6bの弛み量をSpap、用紙部6bの実際の搬送速度をVpapとする。Vlf、Vroll、Vpapについては図中矢印の方向、つまり用紙部6bが送り出される方向が正となる。ここで、用紙部6bの搬送速度は搬送ローラ10の速度で決定されるので、Vpap=Vlfとなる。弛み量Spapについては、弛みが無い状態を弛み量0とし、弛んだ量を絶対値で表示する。以降に示す波形図の力関係においては、図7に示す方向をそれぞれ基準として説明する。
【0034】
次に、本実施形態における搬送ローラ10とロール部6aの動作関係について図8を用いて説明する。図8は、時間と用紙部6bの搬送を制御する制御パラメータとの関係を示した図である。なお、(a)は、縦軸に搬送ローラ10の搬送速度Vlf、横軸に時間Tを取ったものである。(b)は、縦軸に用紙部6bの送り速度Vroll、横軸に時間Tを取ったものである。(c)は、縦軸に用紙部6bの弛み量Spap、横軸に時間Tを取ったものである。(d)は、縦軸に用紙部6bにかかる張力Tpap、横軸に時間Tを取ったものである。(e)は、縦軸にロールモータ19に通電される電流I、横軸に時間Tを取ったものである。なお、電流Iが正の値のときは、張力付与機構40によって、ロール部6aは、用紙部6bを送り出す方向に回転し、電流Iが負の値の時にはロール部6aは、用紙部6bを巻き取る方向に回転する。
【0035】
搬送ローラ10の搬送速度Vlfは、加速領域(時間Ta‐Tc間)、定速領域(時間Tc‐Te間)、および減速領域(時間Te‐Tf間)の3つの領域をもつ動作波形となる。
【0036】
時間Tbは、搬送ローラ10による用紙部6bの搬送速度Vlfよりも、ロール部6aの送り速度Vrollのほうが大きくなる時点である。したがって、時間Ta‐Tb間では、用紙部6bに張力Tpapがかかる張力発生領域となる。この領域(時間Ta‐Tb間)では、用紙部6bは、搬送ローラ10によって搬送された状態となっている。搬送ローラ10が加速していくと、搬送方向と逆方向に用紙部6bの慣性力が発生して張力Tpapが上昇する。そこで、ロールモータ19に正方向の所定の電流IAを流して、ロール部6aから用紙部6bを送り出す方向にロールモータ19を加速させる。ただし、この所定電流IAによる用紙部6bの送り速度が、搬送ローラ10による用紙部6bの搬送速度よりも小さくなる範囲で、ロールモータ19を加速させる。搬送ローラ10とロール部6aはともに用紙部6bを搬送しようとするため、張力Tpapは、所定張力TpapAで一定となる。また、用紙部6bには張力が生じているため、弛み量Spapは発生しない。
【0037】
なお、このロールモータ19に通電する電流の量を変化させることで、用紙部6bの張力Tpapを変化させることが可能である。所定電流IAよりも電流を大きくすれば、ロールモータ19が、ロール部6aから用紙部6bを送り出す方向にさらに加速するため、用紙部6bにかかる張力Tpapは所定張力TpapAよりも小さくなる。所定電流IAよりも電流を小さくすれば、逆に張力Tpapは所定張力TpapAよりも大きくなる。なお、本実施形態ではロールモータ19に正方向の電流を加えているが、場合によっては負方向の電流を加えて、慣性力による張力に加算してロールモータ19による張力を発生させても良い。また、ロール紙6の状態(坪量、幅サイズ、巻径)によって用紙部6bの慣性力は変化する為、ロール紙6の状態によって所定電流IAを変化させる必要がある。
【0038】
次に、時間Tbになる前に、ロールモータ19への電流Iを増加させていくと、時間Tb‐Tcの間では、用紙部6bの送り速度Vrollが、搬送ローラ10による用紙部6bの搬送速度Vlfを上回る。そのため弛み量Spap>0、張力Tpap=0となる。搬送ローラ10の加速領域(時間Ta‐Tc)後、定速領域(時間Tc‐Te)および減速領域(時間Te‐Tf)では、搬送ローラ10による用紙部6bの搬送速度Vlfと用紙部6bの送り速度Vrollとが一致する状態(Vlf=Vroll)で動作する。そのため、弛み量Spapが所定弛み量SpapA、張力Tpapが0にて維持されることになる。搬送ローラ10の動作終了後(時間Tf)にはロールモータ19を、用紙部6bを巻き取る方向(用紙部6bの搬送方向とは逆)に回転させ、用紙部6bの弛み量がSpap=0(時間Tg)となるまで弛み取りを行う。用紙部6bの弛み取りは、搬送ローラ10の動作停止(時間Tf)から次の用紙部6bの供給動作開始(時間Ta’)までの間に完了する。以上の動作は、搬送ローラ10の間欠搬送が行われるたびに、毎回実施される。
【0039】
上述した張力発生領域(時間Ta−Tb)において、所定張力TpapAを発生させるのは、用紙部6bに発生した斜行を補正するためである。ここで図9を用いて、用紙部6bの斜行が補正されるメカニズムについて説明する。図9は、用紙部が斜行した様子を示す平面図であり、(a)は用紙部6bが斜行状態で搬送されているときの搬送力Hと張力Tpapの状態を示す平面図であり、(b)は斜行状態で搬送されている用紙部6bに実際に作用する有効搬送力Fを示す平面図である。図9(a)に示すように、用紙部6bが一方の側方であるP2側端部側に斜行した状態で搬送されると、用紙部6bの他方の側方であるP1側端部が張り、P2側端部が緩む。このため張力Tpapとしては、P1側端部で強く、P2側端部で弱くなる。搬送ローラ10とピンチローラ11とのローラ対によって発生する搬送力Hは、斜行の有無に関わらず、P1側端部およびP2側端部とも、均等な搬送力Hとなる。一方、用紙部6bに対して実際に作用する有効搬送力Fは搬送力Hと張力Tpapとの差である。したがって、図9(b)に示すように、実際に作用する有効搬送力FはP2側端部で強く、P1側端部で弱くなり、用紙部6bはP2側端部からP1側端部へ斜行が補正されることになる。つまり、斜行補正は張力Tpapが大きいほど、P2側端部とP1側端部の張力の差も大きくなって、斜行補正の効果が大きくなる。なお、張力Tpapは搬送ローラ10によって用紙部6bに加速度が与えられているとき、用紙部6b自身の慣性力が張力を増やす方向に働くため、最も効果的に張力Tpapを発生させることが可能である。
【0040】
一方で、この張力Tpapが働いている間は、搬送ローラ10では用紙部6bにスリップが発生しやすくなる。そこで、本実施形態では、張力発生領域(時間Ta−Tb間)以降の領域(時間Tb−Tf間)では、用紙部6bに張力Tpapを発生させないようにし、搬送精度を保つようにしている。
【0041】
図10は、記録ヘッド2による画像形成と、用紙部6bの搬送のタイミングを示したタイミングチャートである。(a)はパス数が小さい場合(例えば4パス以下)の挙動、(b)はパス数が大きい場合(例えば4パスより大きい)の挙動である。Vcrはキャリッジ3の走査速度、Vlfは搬送ローラ10の搬送速度を表す。時間tb‐tcの間の領域にて画像の形成を行い、時間tdでのキャリッジ3の走査の終了とほぼ同時に、用紙部6bの搬送を開始する。時間td‐teの間の領域にて搬送ローラ10の加速が完了後、時間te‐tfの領域にて用紙部6bの等速搬送を行う。なお、この時の搬送速度Vlf=LFtopを「トップスピード」と呼ぶ。トップスピードLFtopは、一定以上の搬送精度を維持しつつ、画像形成のスループットを重視し高速で搬送を行う。そのため、搬送時の滑りが相対的に大きくなる。
【0042】
ここで、さらに図11および図12を用いて、画像を形成するパス数が異なることによる搬送誤差の変化について説明する。
【0043】
初めに、図11と図12の説明をする。図11および図12は、代表的なパス数(N)として1、2、4、8、および16パスの搬送誤差の傾向を示したものである。図11は、どのパス数でも張力Tpapを一定とした場合、図12は4パスにおいて張力Tpapを小さくした場合を示している。図の横軸は画像を形成するパス数(N)を表している。例えば4パスによる画像形成の場合、記録ヘッド2の長さに対して搬送を4回に分け、搬送と画像形成をそれぞれ4回ずつ繰り返すことで記録ヘッド2の長さの画像を完成させる。また、(a)は1回の間欠搬送(1回の搬送工程)で用紙部6bが滑る量、(b)は記録ヘッド長と同一距離を搬送するために必要な搬送回数(すなわち、パス数と同一)、(c)は、記録ヘッド長と同一距離を搬送した際に、理想搬送長に対する搬送誤差を示す。なお、(c)の搬送誤差は、縦軸の下側に向かうほど、用紙部6bの滑りが発生していることを示す。これは、(a)に示す滑り量に(b)に示す搬送回数を掛けると求まる。
【0044】
本実施形態の場合、4パスまでは図10(a)のように間欠搬送時に、搬送速度VlfがトップスピードLFtopに達するため、1、2、4パスでの滑り量はほぼ同じとなっている。一方、8パス以上は図10(b)のように間欠搬送時に搬送速度VlfがトップスピードLFtopに達しないため、1回の搬送工程あたりの滑り量は相対的に小さくなっている。すなわち、パス数が小さい場合、搬送速度Vlfが大きいため1搬送工程あたりの滑り量が大きくなるが、間欠搬送の頻度が少ないため、単位搬送長(例えば記録ヘッド長)あたりの搬送誤差は相対的に小さくなる。一方、パス数が大きい場合、間欠搬送の頻度が多いため頻繁に滑りが発生するが、搬送速度が遅いため1搬送工程当たりの滑り量が小さくなる。よって、単位搬送長あたりの搬送誤差は相対的に小さくなる。
【0045】
本実施形態では、4パスが最も搬送誤差が発生するパス数であった。このように、搬送精度は搬送速度と搬送回数によって影響を受ける。
【0046】
4パスにおいて張力Tpapを小さくした例である図12に示すように、張力Tpapを小さくすることで、1搬送工程あたりの滑り量が小さくなるので、パス数の違いによる単位搬送長あたりの搬送誤差を小さくすることが出来る。張力Tpapを小さくすることで、1搬送工程当たりの斜行の補正能力は低下する。しかし、4パスの場合は搬送回数が4回なので、1パスの場合と比較し、斜行補正を行う回数は単位搬送長あたりで4倍確保できている。よって、張力Tpapを小さくしても1パスと比較し、同等以上の斜行補正能力が確保できている。
【0047】
以上説明したように、搬送速度と間欠搬送の頻度に応じて、張力付与機構40を制御することが望ましい。また、搬送速度と間欠搬送の頻度に影響がある要因としては、パス数や、用紙部6b内に記録(画像形成)を行わない領域(白紙部分)が存在する場合など、が挙げられる。そのため、これらの場合に応じて、張力付与機構40を制御することが望ましい。
【0048】
なお、図11、図12で示したパス毎の傾向は紙種、紙幅等の条件により変化するものであることを補足しておく。従って紙種、紙幅、および装置固有の特性に応じ、搬送誤差が大きくなるパス数は変わる。これを制御に取り入れるには、予め実験等により搬送誤差が大きくなるパス数を所定のパス数として特定しておき、所定のパス数(複数の場合もある)のときに張力Tpapを小さくするように制御する。
【0049】
図13は、本実施形態における記録動作の流れを示したフローチャートである。記録動作が開始すると(S01)、画像を形成するパス数を判断し(S02)、画像を形成するパス数が所定のパス数(本実施形態では4パス)の場合は制御パラメータ1を参照し(S03)、記録を行う(S04)。一方、画像を形成するパス数が4以外の場合は制御パラメータ2で記録を行う(S07)。制御パラメータ1は、制御パラメータ2と比較し、用紙部6bに付与する張力Tpapを小さくする。これは、張力による滑りの影響を軽減するためである。どちらの制御パラメータにおいても1画像の記録が終了したら(S05、S08)、次画像の記録を行うかどうかの判断をする(S09)。次画像の記録を行う場合は、パス数を判断するステップ(S02)に戻り、同様の動作を繰り返す。そして、次画像がないと判断した場合には記録動作が終了する(S10)。
【0050】
なお、本実施形態では張力Tpapの大きさを制御することで張力を管理したが、張力Tpapが働く時間を制御することで張力を管理しても良い。
【0051】
以上、説明した方法を適用することにより、画像を形成するパス数に応じて、用紙部6bにかける張力を管理できるため、搬送誤差を軽減することが出来る。
【0052】
[実施形態2]
次に、本発明に係る記録装置の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、第1の実施形態とは記録動作の流れが異なる。それ以外は、第1の実施形態と同一であるので、違いのみを図14を用いて説明する。
【0053】
図14は、本実施形態における記録動作の流れを示すフローチャートである。記録動作が開始すると(S21)、画像を形成するパス数が何パスであるかを確認し(S22)、主制御部110に予め格納された、パスごとに定められた制御パラメータを参照する(S23)。そして、参照した制御パラメータを基に記録を開始する(S24)。1画像の記録が終了したら(S25)、次画像の記録を行うかどうかの判断をする(S26)。次画像の記録を行う場合は、パス数を確認するステップ(S22)に戻り、同様の動作を繰り返す。そして、次画像がないと判断した場合には記録動作が終了する(S27)。
【0054】
以上、説明した方法を適用することにより、画像を形成するパス数に応じて、用紙部6bにかける張力を管理できるため、搬送誤差を軽減することが出来る。
【0055】
[実施形態3]
次に、本発明に係る記録装置の第3の実施形態について説明する。本実施形態は、第1の実施形態とは記録動作の流れが異なる。それ以外は、第1の実施形態と同一であるので、違いのみを図15を用いて説明する。
【0056】
図15は、本実施形態における記録動作の流れを示すフローチャートである。本実施形態では、制御パラメータの切り替えを毎回の間欠搬送ごと(1搬送工程ごと)に行う。例えば、1つの画像内に記録を行わないエリア(白紙部分)が存在し、間欠搬送が長くなる場合、制御パラメータを切り替えて搬送を行う。
【0057】
記録動作が開始すると(S31)、搬送量が記録ヘッド長よりも大きいか確認する(S32)。搬送量が記録ヘッド長よりも大きい、例えば白紙部分を搬送する場合、制御パラメータ33を参照する(S33)。そして、制御パラメータ33を基に用紙部6bを搬送し(S34)、記録を行う(S35)。この場合、用紙部6bを、記録ヘッド長と同一の距離を搬送する間、搬送ローラ10による加減速は行われない。そのため、用紙部6bが滑りにくいので大きめの張力を付与する。
【0058】
搬送量が記録ヘッド長よりも小さい場合、搬送量が記録ヘッド長の1/2より小さく、かつ1/8よりも大きいか確認する(S36)。該当する場合は、制御パラメータ31を参照する(S37)。この搬送量は、図11で示した4パスのときに近い挙動となるため用紙部6bが滑りやすい。そのため、小さめの張力を付与する。そして、制御パラメータ32を基に用紙部6bを搬送し(S34)、記録を行う(S38)。
【0059】
搬送量が1/8以下の場合は、制御パラメータ32を参照する(S40)。この搬送量は図11で示した4パスより大きいときの状態に近い挙動となるので、制御パラメータ31よりも大きい張力を付与する。そして、制御パラメータ32を基に用紙部6bを搬送し(S41)、記録を行う(S42)。
【0060】
1回の間欠搬送に対応した記録(S35、S39、S42)の終了後、1画像の記録が完了したかを判断し(S43)、1画像の記録が終了していない場合は、搬送量と記録ヘッド長とを比較するステップ(S32)に戻り、以下同様の動作を繰り返す。1画像の記録が終了した場合は、記録動作が完了する(S44)。なお、次画像がある場合は、搬送量と記録ヘッド長とを比較するステップ(S32)に戻る。
【0061】
これにより、1つの画像内に記録を行わない領域を備えていても、用紙部6bにかける張力を最適に管理できるため、搬送量による搬送誤差を軽減することが出来る。
【0062】
[実施形態4]
次に、本発明に係る記録装置の第4の実施形態について説明する。本実施形態は、図8にて示した時間と用紙部6bの搬送を制御する制御パラメータとの関係が第1の実施形態と異なる。それ以外は第1の実施形態と同一であるので、ここではその違いのみ、図16を用いて説明する。本実施形態では、用紙部6bの弛み量Spapを記録中においても常にほぼ0となるようにした。等速で用紙部6bが搬送されるときには、ロールモータ19に負の電流を与えて、ロール部6aに用紙部6bを巻き取るような力を与えれば、用紙部6bの等速搬送時にも用紙部6bに張力を付与することができ、弛み量Spapを0にすることができる。また、第1の実施形態では時間Tbになる前にロールモータ19に与える正の電流を大きくしていたが、本実施形態では用紙部6bに張力を付与し続けるため、その必要がない。
【0063】
この制御パラメータを適用することで、用紙部6bに張力Tpapを長時間付与し、用紙部6bの斜行を軽減させることができる。さらに、パス数に応じて、ロールモータ19に通電される電流Iを制御し、張力Tpapを調整する。例えば、1パスでの記録時には大きい張力Tpapcを付与し、4パスでの記録は小さい張力Tpapdを付与する。そのために、実線で示した1パスでの電流I’と、点線で示した4パスでの電流I’’との間にΔIのオフセットを備える。これにより、図11で示したパス数ごとに異なる滑り量を調整し、軽減することができる。以上、説明した方法を適用することにより、画像を形成するパス数に応じて、用紙部6bにかける張力を管理できるため、パス数による搬送誤差を軽減することが出来る。
【符号の説明】
【0064】
1 記録装置
2 記録ヘッド
6 ロール紙(記録媒体)
10搬送ローラ
40張力付与機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状の記録媒体を保持する給紙部と、前記記録媒体の幅方向に走査する記録ヘッドが設けられており、前記記録ヘッドからのインク吐出で前記記録媒体に記録を行う記録部と、を有する記録装置における記録媒体の搬送方法であって、
前記給紙部と前記記録部との間に設けた搬送ローラによる前記記録媒体の間欠搬送と前記記録ヘッドからの前記インク吐出とを繰り返すことで前記記録媒体への記録が行われる際に、前記間欠搬送における前記搬送ローラによる前記記録媒体の搬送量に応じて、前記記録媒体にかかる張力を張力付与機構によって調整しながら、前記記録媒体を前記記録部に搬送する、記録媒体の搬送方法。
【請求項2】
ロール状の記録媒体を保持する給紙部と、前記記録媒体の幅方向に走査する記録ヘッドが設けられており、前記記録ヘッドからのインク吐出で前記記録媒体に記録を行う記録部と、を有する記録装置における記録媒体の搬送方法であって、
前記給紙部と前記記録部との間に設けた搬送ローラによる前記記録媒体の間欠搬送と前記記録ヘッドからの前記インク吐出とを繰り返すことで前記記録媒体への記録が行われる際に、パス数に応じて、前記記録媒体にかかる張力を張力付与機構によって調整しながら、前記記録媒体を前記記録部に搬送する、記録媒体の搬送方法。
【請求項3】
前記間欠搬送において、前記搬送ローラが加速している間の一部では、前記記録媒体にかかる前記張力を一定となるようにして、前記搬送ローラが減速しているときや加速していないときには、前記記録媒体に前記張力をかけないようにする、請求項1または2に記載の記録媒体の搬送方法。
【請求項4】
前記間欠搬送において、常に前記記録媒体に一定の前記張力がかかるようにする、請求項1または2に記載の記録媒体の搬送方法。
【請求項5】
前記パス数が4のときには、前記記録部に搬送する前記記録媒体にかかる前記張力を、前記パス数が4以外のときに、前記記録部に搬送する前記記録媒体にかかる前記張力よりも小さくする、請求項2に記載の記録媒体の搬送方法。
【請求項6】
前記記録媒体の間欠搬送時の1回の搬送工程あたりの搬送量が、前記記録ヘッドの長さよりも大きいときには、前記搬送量が前記記録ヘッドの長さよりも小さいときに比べて、前記記録部に搬送する前記記録媒体にかかる前記張力を大きくし、
前記搬送量が、前記記録ヘッドの長さの1/2よりも小さく、前記記録ヘッドの長さの1/8よりも大きいときには、前記記録ヘッドの長さの1/8以下のときに比べて、前記記録部に搬送する前記記録媒体にかかる張力を小さくする、請求項1に記載の記録媒体の搬送方法。
【請求項7】
ロール状の記録媒体を保持する給紙部と、前記記録媒体の幅方向に走査する記録ヘッドが設けられており、前記記録ヘッドからのインク吐出で前記記録媒体に記録を行う記録部と、を有する記録装置であって、
前記給紙部に保持された前記記録媒体を、前記記録媒体を送り出す方向および巻き取る方向に回転可能に保持する張力付与機構と、
前記給紙部と前記記録部の間に設けられ、前記給紙部から搬送された前記記録媒体を前記記録部に搬送する、搬送ローラと、
前記記録装置の本体に設けられ、前記張力付与機構と前記搬送ローラとを制御する制御部と、を有し、
前記張力付与機構は記録時の前記搬送ローラによる前記記録媒体の間欠搬送において、前記記録媒体にかかる張力を調整する、記録装置。
【請求項8】
ロール状の記録媒体のロール部を回転可能に保持する給紙部と、前記ロール部から引き出された記録媒体を搬送と停止が繰り返されるように間欠搬送する搬送ローラを有する搬送装置であって、
前記ロール部を回転駆動するロールモータと、
前記ロール部と前記搬送ローラの間の記録媒体に生じる張力が、前記搬送ローラによる各回の搬送時の搬送量に応じて変化するように前記ロールモータを制御する制御手段を有する、搬送装置。
【請求項9】
請求項8に記載の搬送装置を有し、間欠搬送における停止中の記録媒体に記録ヘッドを用いて記録を行う記録装置であって、前記制御手段は単位領域の記録を完成させるために記録ヘッドを走査させる回数であるパス数に応じて前記張力が変化するように前記ロールモータを制御する、記録装置。
【請求項10】
前記制御手段は所定のパス数のときに前記張力が最も小さくなるように前記ロールモータを制御する、請求項9に記載の記録装置。
【請求項1】
ロール状の記録媒体を保持する給紙部と、前記記録媒体の幅方向に走査する記録ヘッドが設けられており、前記記録ヘッドからのインク吐出で前記記録媒体に記録を行う記録部と、を有する記録装置における記録媒体の搬送方法であって、
前記給紙部と前記記録部との間に設けた搬送ローラによる前記記録媒体の間欠搬送と前記記録ヘッドからの前記インク吐出とを繰り返すことで前記記録媒体への記録が行われる際に、前記間欠搬送における前記搬送ローラによる前記記録媒体の搬送量に応じて、前記記録媒体にかかる張力を張力付与機構によって調整しながら、前記記録媒体を前記記録部に搬送する、記録媒体の搬送方法。
【請求項2】
ロール状の記録媒体を保持する給紙部と、前記記録媒体の幅方向に走査する記録ヘッドが設けられており、前記記録ヘッドからのインク吐出で前記記録媒体に記録を行う記録部と、を有する記録装置における記録媒体の搬送方法であって、
前記給紙部と前記記録部との間に設けた搬送ローラによる前記記録媒体の間欠搬送と前記記録ヘッドからの前記インク吐出とを繰り返すことで前記記録媒体への記録が行われる際に、パス数に応じて、前記記録媒体にかかる張力を張力付与機構によって調整しながら、前記記録媒体を前記記録部に搬送する、記録媒体の搬送方法。
【請求項3】
前記間欠搬送において、前記搬送ローラが加速している間の一部では、前記記録媒体にかかる前記張力を一定となるようにして、前記搬送ローラが減速しているときや加速していないときには、前記記録媒体に前記張力をかけないようにする、請求項1または2に記載の記録媒体の搬送方法。
【請求項4】
前記間欠搬送において、常に前記記録媒体に一定の前記張力がかかるようにする、請求項1または2に記載の記録媒体の搬送方法。
【請求項5】
前記パス数が4のときには、前記記録部に搬送する前記記録媒体にかかる前記張力を、前記パス数が4以外のときに、前記記録部に搬送する前記記録媒体にかかる前記張力よりも小さくする、請求項2に記載の記録媒体の搬送方法。
【請求項6】
前記記録媒体の間欠搬送時の1回の搬送工程あたりの搬送量が、前記記録ヘッドの長さよりも大きいときには、前記搬送量が前記記録ヘッドの長さよりも小さいときに比べて、前記記録部に搬送する前記記録媒体にかかる前記張力を大きくし、
前記搬送量が、前記記録ヘッドの長さの1/2よりも小さく、前記記録ヘッドの長さの1/8よりも大きいときには、前記記録ヘッドの長さの1/8以下のときに比べて、前記記録部に搬送する前記記録媒体にかかる張力を小さくする、請求項1に記載の記録媒体の搬送方法。
【請求項7】
ロール状の記録媒体を保持する給紙部と、前記記録媒体の幅方向に走査する記録ヘッドが設けられており、前記記録ヘッドからのインク吐出で前記記録媒体に記録を行う記録部と、を有する記録装置であって、
前記給紙部に保持された前記記録媒体を、前記記録媒体を送り出す方向および巻き取る方向に回転可能に保持する張力付与機構と、
前記給紙部と前記記録部の間に設けられ、前記給紙部から搬送された前記記録媒体を前記記録部に搬送する、搬送ローラと、
前記記録装置の本体に設けられ、前記張力付与機構と前記搬送ローラとを制御する制御部と、を有し、
前記張力付与機構は記録時の前記搬送ローラによる前記記録媒体の間欠搬送において、前記記録媒体にかかる張力を調整する、記録装置。
【請求項8】
ロール状の記録媒体のロール部を回転可能に保持する給紙部と、前記ロール部から引き出された記録媒体を搬送と停止が繰り返されるように間欠搬送する搬送ローラを有する搬送装置であって、
前記ロール部を回転駆動するロールモータと、
前記ロール部と前記搬送ローラの間の記録媒体に生じる張力が、前記搬送ローラによる各回の搬送時の搬送量に応じて変化するように前記ロールモータを制御する制御手段を有する、搬送装置。
【請求項9】
請求項8に記載の搬送装置を有し、間欠搬送における停止中の記録媒体に記録ヘッドを用いて記録を行う記録装置であって、前記制御手段は単位領域の記録を完成させるために記録ヘッドを走査させる回数であるパス数に応じて前記張力が変化するように前記ロールモータを制御する、記録装置。
【請求項10】
前記制御手段は所定のパス数のときに前記張力が最も小さくなるように前記ロールモータを制御する、請求項9に記載の記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−28111(P2013−28111A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166615(P2011−166615)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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