説明

記録装置

【課題】装置本体に増設ユニットが取り付けられた状態で装置本体と増設ユニットとの間に安定した隙間を形成する記録装置を提供する。
【解決手段】用紙へ記録を施す記録部20が設けられた装置本体12と、装置本体の重力方向側となる下部14dへ着脱自在に取り付けられる用紙の収納部を有する増設ユニット30と、装置本体の下部に設けられ、装置本体が載置面上に載置されたときに当該載置面と当接する本体脚部と、増設ユニットに設けられ、本体脚部よりも圧縮変形量が少ない高い剛性を有するとともに、装置本体の下部に当接することにより、下部と増設ユニットの間に隙間GPを形成する当接部65a,65b,65c,65dと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関し、特に装置本体に増設ユニットが取り付けられる記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被記録媒体の一例としての用紙を積層して収容する給紙カセットと、この給紙カセットからから送り出され搬送経路に沿って搬送される用紙に対して、例えば液体噴射ヘッドから液体を噴射して文字や図形を含む画像を記録する記録部と、を備えた記録装置が実用化されている。
【0003】
この種の記録装置には、装置本体とは別体のユニットで構成された例えば増設容器である増設ユニット(オプションユニット)が、装置本体に対して着脱可能とされる装置がある。例えば、特許文献1に開示されているように、増設ユニットの一つとして、装置本体の重力方向側に位置する下部に着脱可能に取り付けられ、内部に収容された用紙を装置本体内の搬送経路に送り出すユニットなどがある。
【0004】
また、記録装置は、増設ユニットが取り付けられない装置本体のみの状態で載置面に載置された場合に、載置面と当接する本体脚部が装置本体の下部の下面に設けられる。本体脚部は、装置本体が載置される際の載置面との当接による衝撃を緩和するため、通常、弾性材料(ゴムやエラストマーなど)で形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−26438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、記録装置では、被記録媒体への記録処理に伴う記録部における発熱などによって装置内の温度が上昇し、この温度上昇によって液体噴射ヘッドから噴射される液体の液量が変化するなどの現象により画像が正しく記録されないことがある。従って、記録装置において、装置(装置本体)の下部から装置内に空気(外気)を流入させて装置内で暖められた空気を装置外へ排出させることによって、記録装置を冷却(空冷)させることが必要である。
【0007】
そこで、記録装置では、装置本体が載置面に載置された状態において、本体脚部によって下部下面と載置面との間に隙間が形成されるように、装置本体が形成されている。この隙間を介して空気(外気)が下部下面へ流入し、装置内において暖められた空気の上昇に伴って、例えば装置本体の筐体に形成される隙間を通って、下部から装置内へ外気が流入するように構成されている。
【0008】
一方、増設ユニットが装置本体の下部に取り付けられた状態では、本体脚部は載置面ではなく増設ユニットの反重力方向側に位置する上部上面に当接する。このとき本体脚部によって増設ユニットの上部上面と装置本体の下部下面との間には隙間が形成される。
【0009】
しかしながら、弾性材料からなる本体脚部は、初期的には所定の隙間を形成していても、増設ユニットの上部上面との当接時間が長くなると、圧縮による経時変化によってその変形量(つぶれ量)が次第に大きくなる。この結果、増設ユニットの上部上面と装置本体の下部下面との間の隙間が初期状態に比べて狭くなり下部から装置本体内へ流入する空気の流入量が少なくなってしまうという課題がある。また、装置本体と増設ユニットとの間の隙間が狭くなることで、増設ユニットから送り出される用紙の搬送経路長が短くなるように変化して搬送条件が変動するため搬送が不安定になるという課題もある。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、装置本体に増設ユニットが取り付けられた状態で装置本体と増設ユニットとの間に安定した隙間の形成が可能な記録装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の記録装置は、被記録媒体へ記録を施す記録部が設けられた装置本体と、前記装置本体の重力方向側となる下部へ着脱自在に取り付けられる被記録媒体の収納部を有する増設ユニットと、前記装置本体の下部に設けられ、当該装置本体が載置面上に載置されたときに当該載置面と当接する本体脚部と、前記増設ユニットに設けられ、前記本体脚部よりも圧縮変形量が少ない高い剛性を有するとともに、前記装置本体の下部に当接することにより、前記下部と前記増設ユニットの間に隙間を形成する隙間形成部材と、を備える。
【0012】
この構成によれば、装置本体に増設ユニットを取り付けた場合、高い剛性を有する隙間形成部材によって、経時変化により間隔が狭くなることが抑制された隙間を装置本体の下部と増設ユニットとの間に安定して形成することができる。従って、装置本体の下部から確実に装置内へ外気が流入する。
【0013】
本発明の記録装置において、前記装置本体の前記本体脚部は、前記増設ユニットに対して非当接状態である。
この構成によれば、隙間形成部材によって、確実に本体脚部が増設ユニットに当接しない状態を維持できるので、本体脚部の圧縮によるつぶれを抑制することができる。従って、その後、増設ユニットが取り外され装置本体が載置面に載置された状態において、下部と載置面との間の隙間の減少が抑制される。
【0014】
本発明の記録装置において、前記装置本体には、前記下部に前記装置本体内部に連通するダクトが形成されている。
この構成によれば、下部から装置本体内に流入する外気によって、例えば記録部における温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0015】
本発明の記録装置において、前記増設ユニットには、前記装置本体の前記下部と対向する対向部位に一方の開口部を有し、前記対向部位以外の部位に他方の開口部を有するダクトが設けられている。
【0016】
この構成によれば、装置本体に増設ユニットが取り付けられた状態で、増設ユニット側から装置本体の下部に外気を流入させることができるので、装置本体の下部に流入する外気の総量が多くなる。
【0017】
本発明の記録装置において、前記装置本体の前記下部の全周に渡り、前記下部と前記増設ユニットの間に隙間が形成される。
この構成によれば、装置本体の下部に流入する外気の総量が多くなるので、装置本体の下部から確実に装置本体内へ外気が流入する。
【0018】
本発明の記録装置において、前記隙間形成部材は前記増設ユニットが前記装置本体に取り付けられたときに前記本体脚部に対して水平方向あるいはその近傍となる位置に設けられている。
【0019】
この構成によれば、隙間形成部材によって、確実に本体脚部が増設ユニットに当接しない状態を維持できるので、本体脚部の圧縮によるつぶれを抑制することができる。従って、その後、増設ユニットが取り外され装置本体が載置面に載置された状態において、底面部と載置面との間の隙間の減少が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態である記録装置を前方左斜め上方から見た斜視図。
【図2】実施形態の記録装置が備えるダクトおよび用紙の搬送経路の部分断面図。
【図3】装置本体の下部を下方から見た状態で示した模式図。
【図4】(a)は増設ユニットの構造を示す斜視図、(b)は増設ユニットに設けられた凸形状部、装置本体と当接する当接部、本体脚部の逃げ形状部を示す構造図。
【図5】装置本体のダクトを介して外気が流入する状態を示す記録装置の正面図。
【図6】(a)(b)は、変形例で、増設ユニットに設けられたダクトの構造図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を具体化した一実施形態として、画像を読み取る画像読取装置と、液体を噴射する液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置とが一体化した複合機であって、被記録媒体に液体を噴射して画像を記録する記録装置について、図を参照して説明する。なお、以降の説明を容易にするため、図1に示したように、鉛直方向における重力方向を下方向、反重力方向を上方向とする。また、これと交差する方向であって、被記録媒体の一種である用紙Pが画像の記録時において搬送される搬送方向を前方向、搬送方向と反対方向を後方向とする。さらに鉛直方向および搬送方向の双方と交差する方向であって液体噴射ヘッド25が往復移動する方向を、前方から見て、それぞれ右方向、左方向と呼ぶことにする。
【0022】
図1に示すように、記録装置11は、装置本体12と、記録装置11において装置本体12に対する増設容器である増設ユニット30と、によって構成されている。装置本体12には、液体噴射装置の一例としてのインクジェット式プリンター(単に「プリンター」とも呼ぶ)として機能する記録部20と、装置本体12の上部に配設され画像読取装置として機能する画像読取部13と、が備えられている。そして、装置本体12は、複数の部材で構成された筐体としての装置ケース14によって、記録部20が内装されるとともに画像読取部13と一体化されている。
【0023】
この装置ケース14において、その前面の上部側には、記録部20及び画像読取部13を操作するための操作パネル15が配置されている。操作パネル15はメニュー画面等を表示するための表示部15a(例えば液晶ディスプレイ)と、表示部15aの左右両側に設けられた操作部15bとを備えている。
【0024】
また、装置ケース14において、操作パネル15の下方には前面カバー18が開閉可能に取り付けられている。前面カバーは図示しない前面カバーの下方に設けたヒンジにより手前に開く。なお、前面カバー18には、前面カバー18を開閉するときにユーザーが手をかけるための把持部18aが凹設されている。また、装置ケース14において、前面カバー18の下方には、記録部20から排出される用紙Pを装置本体12外へ排出する排紙口19が開口している。なお、排紙口19の下側は排紙台59が配設されている。
【0025】
プリンターとして機能する記録部20は、用紙Pに対して液体を噴射して画像を記録する。すなわち、装置ケース14内において左右方向(これを「主走査方向」とも呼ぶ)に沿って延びるガイド軸23が架設されている。また、ガイド軸23には主走査方向に沿って移動可能な状態でキャリッジ24が支持されている。キャリッジ24は、図示しないキャリッジモーターの駆動に伴って、主走査方向に沿って往復移動する。また、キャリッジ24の下面側には、用紙Pに対して液体の一例としてのインクを噴射して記録(印刷)を施す液体噴射ヘッド25が支持されている。そして、キャリッジ24を移動させることで液体噴射ヘッド25を移動させるとともに、移動する液体噴射ヘッドからインクを噴射させるように駆動する駆動回路を有する基板ユニット26が、キャリッジ24の主走査方向に沿う移動領域の右側端部に配設されている。
【0026】
一方、キャリッジ24の主走査方向に沿う移動領域の左側端部には、インクを液体噴射ヘッド25に供給するインクを収容した複数(本実施形態では4つ)のインクカートリッジ27が配設されている。またインクカートリッジ27を着脱可能に装着するためのカートリッジホルダー28と、カートリッジホルダー28側からキャリッジ24側に向けてインクを供給するためのインク供給チューブ29と、を備えている。そして、装置ケース14の前面カバー18を開いた状態でカートリッジホルダー28に対してインクカートリッジ27を着脱することが可能である。
【0027】
さらに、記録装置11には、このように構成された記録部20において記録が施される用紙Pが、装置本体12および増設ユニット30の双方から、装置本体12において形成された搬送経路を通って供給される。この用紙Pの記録部20への供給について、その構成を図1および図2を参照して説明する。
【0028】
図1および図2に示すように、まず、装置本体12では、排紙台59の下側において用紙Pを積層収容する給紙カセット21が備えられ、収容された積層最上位の用紙Pが一枚ずつ搬送経路に送り出されたのち搬送経路に沿って搬送されて記録部20へ供給される。給紙カセット21は、装置本体12に対して挿抜可能であって、その前面側に給紙カセット21を装置本体12から抜き出す際に作業者が手をかけるための庇状の把持部21aが形成され、装置本体12から前方への給紙カセット21の抜き出しが容易とされている。また、装置本体12には、装置ケース14の後側において用紙Pを載置する載置トレイ17が設けられ、載置トレイ17上に載置された用紙Pが、給紙カセット21から記録部20に至る搬送経路の途中位置から、その搬送経路に沿って搬送されることにより記録部20へ供給される。
【0029】
一方、増設ユニット30は下側ケース32と上側ケース33,34,38とが組み合わされて箱状に形成される。そして増設ユニット30では、左右で対をなす2つの上側ケース33,34の間に位置する中央の上側ケース38の下側において用紙Pを積層収容する給紙カセット31が用紙Pの収納部として備えられ、収容された積層最上位の用紙Pが一枚ずつ搬送経路に送り出されることで記録部20へ給紙される。給紙カセット31は、増設ユニット30に対して前後方向での挿抜が可能であって、その前面側に給紙カセット31を増設ユニット30から抜き出す際に作業者が手をかけるための庇状の把持部31aが形成され、増設ユニット30から前方への給紙カセット31の抜き出しが容易とされている。なお、増設ユニット30(下側ケース32)の下部32dの下面には、載置面Tと当接するユニット脚部89が取り付けられている。
【0030】
本実施形態の記録装置11には、図2に示すように装置ケース14の後側において反転ユニット50が備えられ、この反転ユニット50が記録部20に供給される用紙Pの搬送経路の主要部を構成している。反転ユニット50は、記録部20へ供給される用紙Pについて用紙Pの両面に記録を施すために、搬送経路において用紙Pの表裏を反転つまり被記録面を反転させる。すなわち、反転ユニット50は、その後面が装置ケース14とともに記録装置11の筐体として機能するユニットフレーム51(図中ハッチング線部分)と、反転ローラー52、およびリタードローラー53とを備えている。反転ローラー52は、ユニットフレーム51に不図示の駆動源からの駆動力に基づき左右方向に沿う軸線を中心として回転可能に軸支され、同じくユニットフレーム51に左右方向に沿う軸線を中心として回転自在に軸支されたリタードローラー53との間で用紙Pを挟持して搬送する。なお、リタードローラー53は反転ローラー52によって用紙Pが一枚ずつ搬送されるように機能するローラーである。
【0031】
記録装置11には、装置本体12において、この反転ユニット50を主体に用紙Pが搬送される搬送経路としての搬送路55,56,57,58が構成される。搬送路55は、増設ユニット30の給紙カセット31に収容された用紙Pが給紙カセット31から送り出される搬送経路になる。すなわち、増設ユニット30には、後方上側に設けられた固定フレーム37において揺動自在に軸支された給紙ローラー36を備えている。この給紙ローラー36によって、給紙カセット31に積層載置されて収容された用紙Pが、増設ユニット30の後部上側に開口する開口部35から搬送路55に送り出される。
【0032】
搬送路56は搬送路55に続いて形成され、反転ローラー52の外周面形状に対応した湾曲形状となっている。搬送路56は、搬送路55に沿って搬送される増設ユニット30の用紙Pに加え、装置本体12の給紙カセット21に収容された用紙Pが送り出される搬送経路になる。すなわち、装置本体12に形成された搬送路構成部材43に揺動自在に軸支された給紙ローラー46によって、給紙カセット21に積層収容された用紙Pが搬送路56へ送り出される。
【0033】
搬送路57は、湾曲形状の搬送路56に続いて形成され、搬送路56に沿って搬送される用紙Pに加え、載置トレイ17に載置され給紙ローラー45によって一枚ずつ搬送される用紙Pが送り出される。なお、この搬送路57に送り出された用紙Pは、装置本体12に回転可能に軸支された紙送りローラー対41によって挟持され、記録部20へ搬送される。そして記録部20において記録面への記録が完了した用紙Pは、装置本体12に回転可能に軸支された排紙ローラー対42によって挟持され、記録部20から排紙台59(排紙口19)へ排出される。
【0034】
本実施形態では、紙送りローラー対41ないし排紙ローラー対42は、不図示の駆動源によって正逆両方向に回転される。この回転によって、用紙Pは、記録部20において液体噴射ヘッド25とその下方に配設された用紙Pを支持する支持台40との間を搬送方向(ここでは前方向)に搬送されるとともに、片面(表面)に記録が施された後、後方に戻されて搬送路58に沿って搬送される。
【0035】
搬送路58は搬送路57の下方に形成され、例えば両面印刷など用紙Pの表裏両面に記録を施す際に用紙Pが前方から後方へ搬送される。すなわち、搬送路58を搬送された用紙Pは、搬送路56に送り出され、反転ローラー52の回転によって湾曲形状となっている搬送路56を移動する。この搬送路56における移動によって用紙Pは移動方向が後方から前方へ反転し、再び搬送路57へ送り出されるときには表裏が反転した状態になっている。以上のように、装置本体12に形成される用紙Pの搬送経路において、反転ユニット50は用紙Pの表裏を反転させる反転経路としての搬送路56〜58を構成する。
【0036】
このように装置本体12および増設ユニット30の双方から用紙Pが供給される記録装置11において、増設ユニット30は装置本体12に対して着脱可能な構成を有している。すなわち、本実施形態では、作業者が装置本体12を増設ユニット30に対して上方から重力方向に移動させる、すなわち持ち上げた装置本体12の高さ位置を増設ユニット30の上側から下げることで、装置本体の下側すなわち重力方向側に積層された状態で増設ユニット30が取り付けられる。また、増設ユニット30が取り付けられた状態で装置本体12を上方すなわち反重力方向に持ち上げることによって装置本体12から増設ユニット30が取り外される。
【0037】
この取り付けおよび取り外しの作業において作業者が手を掛けるための手掛部が一対設けられている。すなわち、図1に示すように、装置本体12における装置ケース14の下端部の左右両側と、増設ユニット30における上側ケース34の上部左側および上側ケース33の上部右側と、においてそれぞれ内側に窪んだ空間領域が、手掛部として凹設されている。
【0038】
具体的に、装置本体12における装置ケース14の下端部の左側には、下方向と左方向との両方向に開口する手掛構成部14aが設けられている。一方、増設ユニット30における左右一対の上側ケース33,34のうちで左側の上側ケース34の上部左側には、上方向と左方向に開口する手掛構成部34aが設けられている。そして、手掛構成部14aと手掛構成部34aとは、互いの空間領域が上下方向において重なるように設けられ、それらの空間領域が連続した手掛部を構成する。
【0039】
また、装置本体12における装置ケース14の下端部の右側には、下方向と右方向との両方向に開口する手掛構成部14b(図3参照)が設けられている。一方、増設ユニット30における右側の上側ケース33の上部右側には、上方向と右方向に開口する手掛構成部33a(図4参照)が設けられている。そして、手掛構成部14bと手掛構成部33aとは互いの空間領域が上下方向において重なるように設けられ、それらの空間領域が連続した手掛部を構成する。こうして記録装置11には、左右一対の手掛部が設けられる。
【0040】
加えて、本実施形態の記録装置11では、図1に示すように、増設ユニット30の下端部の左側に左方と下方の両方向に開口する手掛構成部32aが設けられている。また、増設ユニット30の下端部の右側に右方と下方の両方向に開口する手掛構成部32b(図4(a)参照)が手掛構成部14bと同形状で設けられている。手掛構成部32aおよび手掛構成部32bは、装置本体12に増設ユニット30が取り付けられた状態のまま記録装置11全体を持ち上げるための手掛部となる空間領域を形成する。
【0041】
さて、記録装置11では、給紙カセット21,31あるいは載置トレイ17から供給される用紙Pに対して記録部20において記録が施されるとき、記録部20の構成部品の発熱による温度上昇が生ずる。例えば、キャリッジ24の移動とともに主走査方向に移動する液体噴射ヘッド25からのインクの噴射動作に伴って液体噴射ヘッド25が発熱したり、キャリッジ24の移動動作やインクの噴射動作に伴って、これらを駆動制御する基板ユニット26が発熱したりすることによって、装置本体12内の記録部20における空気が温められる。
【0042】
本実施形態の記録装置11では、この温められた空気が上昇して装置本体12外へ排出されるのに伴って、装置本体12外の大気である外気を装置本体12内に流入させるダクトが配設されている。すなわち、装置本体12の装置ケース14内において、左側端部にダクト71が、また右側端部にダクト72が、それぞれ設けられている。各ダクト71,72は、上側に複数のスリット状の開口部で形成された上側開口71a,72aが、また下側に下側開口71b,72bが、それぞれ設けられ、下側開口71bと上側開口71aとの間を空気が流動する管路が形成されている。
【0043】
すなわち、図2に示すように、ダクト72の下側開口72bは装置ケース14の下部14dの下方の空間と連通する一方、上側開口72aは装置ケース14内の記録部20が設けられた空間と連通する。また、図2では図示を省略しているが、ダクト71についても、ダクト72とほぼ同様に構成され、ダクト71の下側開口71bは装置ケース14の下部14dの下方の空間と連通する一方、上側開口71aは装置ケース14内の記録部20が設けられた空間と連通する。
【0044】
ところで、記録装置11は前述するように増設ユニット30が装置本体12に対して着脱可能な構成を有している。本実施形態では、図2に示すように、増設ユニット30に上側へ突出する凸形状部61,62が設けられ、この凸形状部61,62が装置本体12において増設ユニット30が取り付けられる部位となる装置ケース14の下部14dに貫通孔あるいは有底の穴などで設けられた凹形状部16a,16b(図3参照)に挿入されて嵌合する。この嵌合によって、装置本体12の下側すなわち重力方向側に積層された状態で増設ユニット30が装置本体12に取り付けられる。そして、装置本体12の下側に増設ユニット30が取り付けられた状態で、装置本体12の下部14dの下面と増設ユニット30の上面(より詳しくは上側ケース33,34の各上面)との間に所定の寸法を有する隙間GPが形成される。
【0045】
次に、このように隙間GPが形成される装置本体12と増設ユニット30との間の取り付け構造について、図3および図4を参照して説明する。なお、図3および図4において既に上記で説明した構成要素については同じ符号を付し、それらの説明を省略する。
【0046】
図3に示すように、装置本体12において、増設ユニット30が取り付けられる部位となる下部14dは、下方から見て略矩形の形状を有し、その左右両端部において前後方向の略中央位置には手掛構成部14a,14bがそれぞれ形成されている。そして、手掛構成部14aの右側近傍に凹形状部16bが設けられ、手掛構成部14bの左側近傍に凹形状部16aが設けられている。
【0047】
また、増設ユニット30を取り付けない状態で装置本体12を載置する際の脚部となる本体脚部69(図中ハッチング線)が、下部14dの下面に複数(ここでは6個)取り付けられている。本体脚部69は、上下方向に所定の厚みを有する弾性材料(例えばエラストマーやゴムなど)で形成され、装置本体12を載置面Tに載置する際の衝撃を圧縮変形によって吸収するとともに、摩擦力によって記録装置11(装置本体12)が載置面Tに安定して載置されるように機能する。
【0048】
また、下部14dには、その前方左側の角部近傍にダクト71の下側開口71bが略T字形で設けられるとともに、その前方右側の角部近傍にダクト72の下側開口72bが略L字形で設けられる。なお、本実施形態では、下側開口71bと上下方向で開口領域が重なるように上側開口71aが形成され、下側開口72bと上下方向で開口領域が重なるように上側開口72aが形成されている。
【0049】
なお、本実施形態の記録装置11では、増設ユニット30が取り付けられるのと同時に、増設ユニット30に設けられた接続端子64a(図4(a)参照)が装置本体12に挿入され、増設ユニット30と装置本体12との間での電気的な導通がとられる。この電気的な導通によって、増設ユニット30における給紙カセット31からの搬送路55への用紙Pの送り出し動作が可能になる。このため、装置本体12の下部14dにおける前方右側の角部近傍には、増設ユニット30に設けられた接続端子64aが装置本体12に挿入される際に貫通する開口孔64hが設けられている。さらに、下部14dには、増設ユニット30に設けられた接続端子64aを位置決めするための案内突起部63(図4(a)参照)が挿入される案内孔16cが、開口孔64hの近傍に設けられている。
【0050】
この装置本体12における下部14dに対して、図3において二点鎖線で示したように、増設ユニット30に設けられた隙間形成部材としての当接部65a,65b,65c,65dが当接して隙間GPを形成する。すなわち、図4(a)に示すように、増設ユニット30には、上部において給紙カセット31の内部を視認可能な開口部30hを挟んで、その右側および左側に、上面が上下方向において同じ高さを有する上側ケース33および上側ケース34がそれぞれ配置されている。上側ケース33および上側ケース34には、手掛構成部33aの水平方向(ここでは左方向)および手掛構成部34aの水平方向(ここでは右方向)の近傍において上方に突出する凸形状部61および凸形状部62がそれぞれ形成されている。同じく、増設ユニット30には、装置本体12における装置ケース14の下部14dの下面に当接する4つの当接部65a,65b,65c,65dが分散配置態様で形成されている。なお、当接部65dは当接面が長円形状を有し、他の当接部65a,65b,65cは当接面が円形状となっている。
【0051】
本実施形態では、当接部65b,65cが下側ケース32と一体で形成されるとともに、それらと個別対応するように右側の上側ケース33に形成された不図示の貫通孔を通して上側ケース33の上面から所定量上方に飛び出すように形成されている。また、当接部65a,65dが下側ケース32と一体で形成されるとともに、それらと個別対応するように左側の上側ケース34に形成された不図示の貫通孔を通して上側ケース34の上面から所定量上方に飛び出すように形成されている。
【0052】
すなわち、図4(b)に示すように、当接部65c(65a,65b,65d)は、上側ケース33(34)の上面よりも上方に高く飛び出すように形成されている。そして、凸形状部61(62)が、それらと個別対応するように装置本体12における装置ケース14の下部14dに設けられた凹形状部16a(16b)に挿入されて嵌合する。なお、本実施形態における嵌合とは、増設ユニット30に対して装置本体12が、記録装置11において用紙Pへの記録処理に支障がない範囲において水平方向に相対移動を許容する隙間を凸形状部61(62)と凹形状部16a(16b)との間で有している状態を含む。
【0053】
凸形状部61(62)と凹形状部16a(16b)とがこのように勘合した状態で、当接部65c(65a,65b,65d)は隙間形成部材として機能することにより、装置本体12の下部14dと上側ケース33(34)の上部との間で隙間GPを形成する。当接部65a,65b,65c,65dは、本体脚部69よりも圧縮変形量が少ない高い剛性を有する材料(例えばABS樹脂など)で形成される。
【0054】
また、本実施形態では、当接部65c(65a,65b,65d)が下部14dの下面と当接した状態において、本体脚部69が増設ユニット30(上側ケース33,34)と当接しないように逃げる(すなわち、非当接状態となる)逃げ形状部39が上側ケース33,34の上面に凹設されている。逃げ形状部39は、上側ケース33,34においてそれぞれ3つの本体脚部69のそれぞれに対応して設けられる。また、本実施形態では、増設ユニット30に設けられた当接部65a,65b,65c,65dは増設ユニット30が装置本体12に取り付けられたときに本体脚部69に対して水平方向あるいはその近傍となる位置に設けられている。このため、本体脚部69の位置に対応して設けられた逃げ形状部39は、当接部65a,65b,65c,65dの水平方向における近傍に位置する。
【0055】
以上のように構成された記録装置11における作用、すなわち、記録部20において温められた空気の上昇に伴い、装置本体12外から温められた空気よりも相対的に冷たい外気を装置本体12内の記録部20へ流入させる作用について、図5を参照して説明する。
【0056】
図5に示すように、記録装置11では、装置本体12が増設ユニット30上に積み重ねられた状態で、少なくとも右側の上側ケース33と装置本体12(下部14d)との間において、当接部65b,65cによって隙間GPが形成される。また、少なくとも左側の上側ケース34と装置本体12(下部14d)との間において、当接部65a,65dによって隙間GPが形成される。従って、記録部20において温められた空気の上昇に伴って、それぞれの隙間GPから流入した外気がダクト71,72を通して記録部20へ流入する。
【0057】
例えば、記録装置11の右側において形成される隙間GPから装置本体12と増設ユニット30との間に流入した外気は、装置本体12の下部14dの下方空間と連通するダクト72の下側開口72bからダクト72の管路に流入して上昇し、さらに上側開口72aを通過して記録部20の配設空間へ流入する(図中矢印)。この外気の流入によって、例えば上側開口72aの上部近傍に配設された基板ユニット26や、右側において移動する液体噴射ヘッド25を空冷する。
【0058】
あるいは、記録装置11の左側において形成される隙間GPから装置本体12と増設ユニット30との間に流入した外気は、装置本体12の下部14dの下方空間と連通するダクト71の下側開口71bからダクト71の管路に流入して上昇し、さらに上側開口71aを通過して記録部20の配設空間へ流入する(図中矢印)。この外気の流入によって、例えば上側開口71aの上部近傍に配設されたカートリッジホルダー28や、左側において移動する液体噴射ヘッド25を空冷する。なお、記録部20において温められた空気は、装置ケース14に設けられるケース接合部や搬送経路などの隙間、あるいは装置ケース14に設けられた排気口などを通して装置本体12外へ排出される。
【0059】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)装置本体12に増設ユニット30を取り付けた場合、高い剛性を有する当接部65a,65b,65c,65dによって経時変化による間隔の減少が抑制された隙間GPが装置本体12の下部14dと増設ユニット30との間に安定して形成される。従って、装置本体12の下部14dから確実に装置本体12内へ外気が流入する。また、増設ユニット30の給紙カセット31に収容された用紙Pを記録部20へ搬送する際、装置本体12内の搬送経路(搬送路55)に送り出される用紙Pの搬送経路長が短くならないように抑制される。従って搬送条件の変動が回避され、用紙Pは安定して搬送経路に沿って搬送される。
【0060】
(2)当接部65a,65b,65c,65dおよび逃げ形状部39によって、確実に本体脚部69が増設ユニット30に当接しない状態を維持できるので、本体脚部69の圧縮によるつぶれを抑制することができる。従って、その後、増設ユニット30が取り外され装置本体12が載置面Tに載置された状態において、下部14dと載置面Tとの間の隙間の減少が抑制される。
【0061】
(3)下部14dから装置本体12内に流入する外気によって、記録部20における温度上昇を効果的に抑制することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0062】
・上記実施形態において、増設ユニット30には、装置本体12に取り付けられた状態で下部14dと対向する対向部位に一方の開口部を有し、対向部位以外の部位に他方の開口部を有するダクトが設けられていてもよい。本変形例について、図6(a)(b)を参照して説明する。なお、本変形例において上記実施形態と同じ機能要素については同符号を付し、それらの説明は省略する。
【0063】
図6(a)に示すように、本変形例では、増設ユニット30において、左側にダクト81を右側にダクト82をそれぞれ設けるようにしてもよい。すなわち、ダクト81は、下部14dと対向する対向部位である増設ユニット30の上部に一方の開口部である上側開口81aが設けられ、装置本体12と増設ユニット30との間の隙間と連通するように形成される。このとき、上側開口81aがダクト71の下側開口71bと上下方向において少なくとも一部が重なるように形成されてもよい。一方、他方の開口部である下側開口81bは、増設ユニット30において上部以外の部位である下部32dに設けられ、ユニット脚部89によって増設ユニット30の下部32dと載置面Tとの間に形成される隙間と連通するように形成される。
【0064】
同様に、ダクト82は、増設ユニット30の上部上面に一方の開口部である上側開口82aが設けられ、装置本体12と増設ユニット30との間の隙間と連通するように形成される。このとき、上側開口82aがダクト72の下側開口72bと上下方向において少なくとも一部が重なるように形成されてもよい。一方、他方の開口部である下側開口82bは、下側開口81bと同様に、増設ユニット30において下部32dに設けられ、ユニット脚部89によって増設ユニット30の下部32dと載置面Tとの間に形成される隙間(空間)と連通するように形成される。
【0065】
この結果、装置本体12と増設ユニット30との間の隙間に加えて、増設ユニット30と載置面Tとの間の隙間に対して外気が流入する。従って、図6(a)において矢印で示したように、増設ユニット30の下部32dから外気が装置本体12内へ流入するように作用する。
【0066】
あるいは、図6(b)に示すように、増設ユニット30において、途中で管路が曲がったダクト83およびダクト84を、左側および右側にそれぞれ設けるようにしてもよい。すなわち、ダクト83は、一方の開口部である上側開口83aが装置本体12と増設ユニット30との間の隙間と連通するように形成される。このとき、上側開口83aがダクト71の下側開口71bと上下方向において少なくとも一部が重なるように形成されてもよい。一方、他方の開口部である下側開口83bは、増設ユニット30の下側ケース32の左側面下端部に形成される。このとき、下側開口83bは、増設ユニット30の下部32dに設けられた手掛構成部32a(図1参照)と連通して形成されてもよい。
【0067】
同様に、ダクト84は、一方の開口部である上側開口84aが装置本体12と増設ユニット30との間の隙間と連通するように形成される。このとき、上側開口84aがダクト72の下側開口72bと上下方向において少なくとも一部が重なるように形成されてもよい。一方、他方の開口部である下側開口84bは、増設ユニット30の下側ケース32の右側面の中央に形成される。
【0068】
この結果、装置本体12と増設ユニット30との間の隙間に対して、図6(b)において矢印で示したように、増設ユニット30の側面からも外気が装置本体12内へ流入するように作用する。もとより、下側開口83b,84bは下側ケース32の側面であればどの位置に形成されていてもよい。
【0069】
本変形例によれば、上記実施形態における効果(1)〜(3)に加えて、以下の効果を奏する。
(4)装置本体12に増設ユニット30が取り付けられた状態で、増設ユニット30側から装置本体12の下部14dに外気を流入させることができるので、装置本体12の下部14dに流入する外気の総量が多くなる。
【0070】
・上記実施形態において、装置本体12に増設ユニット30が取り付けられた状態で、下部14dの全周に渡り、装置本体12の下部14dと増設ユニット30の間に隙間GPが形成されることが好ましい。すなわち、上側ケース38、固定フレーム37、および下側ケース32の各上面の位置が、上側ケース33,34の上面位置よりも高くならないように形成する(図4(a)参照)。
【0071】
本変形例によれば、上記実施形態における効果(1)〜(3)に加えて、以下の効果を奏する。
(5)装置本体12の下部14dに流入する外気の総量が多くなるので、装置本体12の下部14dから確実に装置本体12内へ外気が流入する。
【0072】
・上記実施形態において、ダクト71の下側開口71bは、手掛構成部14aと連通するように形成されてもよい。同様に、ダクト72の下側開口72bは、手掛構成部14bと連通するように形成されてもよい。こうすれば、手掛構成部14a,14bの空間領域を介して、より多量の外気を下部14dに流入させることができる。
【0073】
・上記実施形態において、ダクト71,72は、必ずしも下側開口71b,72bと上下方向で開口領域が重なるように上側開口71a,72aがそれぞれ形成されなくてもよい。例えば、基板ユニット26を効果的に空冷するため、上側開口72aを基板ユニット26の鉛直方向下側に位置させることで下側開口72bとは上下方向においてずれた位置になっても差し支えない。もとより、この場合は、管路を折り曲げることで、下側開口72bと上側開口72aとを連通させればよい。
【0074】
・上記実施形態において、装置本体12には、下部14dから記録部20まで連通するダクト71,72が必ずしも形成されていなくても差し支えない。ダクト71,72以外に装置ケース14の隙間や搬送経路などを通して隙間GPに流入した外気が装置本体12内に流入する場合は、ダクト71,72を設けなくてもよい。
【0075】
・上記実施形態において、本体脚部69と当接部65a,65b,65c,65dとは水平方向において必ずしも隣接して設けられなくてもよい。下部14dにおいて、そりなどの変形が少ない場合や、増設ユニット30の上側ケース33,34において、逃げ形状部39を大きく(深く)形成できる場合は、このようにすることができる。
【0076】
・上記実施形態において、装置本体12の本体脚部69と、増設ユニット30のユニット脚部89とは、同一部材であってもよい。こうすれば、本体脚部69とユニット脚部89とを共通使用することができ、部材の種類の増加を抑制できる。
【0077】
・上記実施形態において、媒体は用紙Pに限るものでなく、金属板、樹脂板、布などを材料とする板状部材であってもよい。すなわち、搬送可能な部材であれば、媒体として採用できる。
【0078】
・上記実施形態において、記録部20は、インクカートリッジ27がキャリッジ24上に搭載されるオンキャリッジタイプであってもよい。あるいは、キャリッジ24が主走査方向に移動するシリアル式のプリンターに限らず、液体噴射ヘッド25を固定したままでも用紙最大幅範囲の印字が可能なラインヘッド式のプリンターであってもよい。
【0079】
・上記実施形態において、記録装置11は画像読取部13を備えない装置であってもよいし、記録部20とともにFAX装置やコピー装置などの機能を備えた複合機であってもよい。また、記録装置11は反転ユニット50を備えない用紙Pの片面のみに記録を行う装置であってもよい。
【0080】
・上記実施形態では、記録装置11において、記録部20を液体としてのインクを噴射するインクジェット式のプリンターとして機能する液体噴射装置として具体化したが、記録部20をインク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置として具体化してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置を流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置がある。あるいは、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0081】
11…記録装置、12…装置本体、14d…下部、20…記録部、30…増設ユニット、30h…開口部、32d…下部、35…開口部、69…本体脚部、65a,65b,65c,65d…当接部(隙間形成部材)、71,72,81,82,83,84…ダクト、GP…隙間、T…載置面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体へ記録を施す記録部が設けられた装置本体と、
前記装置本体の重力方向側となる下部へ着脱自在に取り付けられる被記録媒体の収納部を有する増設ユニットと、
前記装置本体の下部に設けられ、当該装置本体が載置面上に載置されたときに当該載置面と当接する本体脚部と、
前記増設ユニットに設けられ、前記本体脚部よりも圧縮変形量が少ない高い剛性を有するとともに、前記装置本体の下部に当接することにより、前記下部と前記増設ユニットの間に隙間を形成する隙間形成部材と、
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、
前記装置本体の前記本体脚部は、前記増設ユニットに対して非当接状態であることを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の記録装置において、
前記装置本体には、前記下部に前記装置本体内部に連通するダクトが形成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の記録装置において、
前記増設ユニットには、前記装置本体の前記下部と対向する対向部位に一方の開口部を有し、前記対向部位以外の部位に他方の開口部を有するダクトが設けられていることを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−43776(P2013−43776A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184952(P2011−184952)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】