説明

記録/再生装置およびディスクカートリッジ

【課題】簡単な構成にて、可撓性を有する記録ディスクにおける記録/再生部分における主安定化部材による面振れ抑制と、同部分でのディスク傾きを抑制することを実現することを可能にする。
【解決手段】可撓性を有する光ディスク1に対して空気力学的な力を作用させる安定化手段として、光ピックアップによる記録/再生位置のディスク面振れを抑制するための主安定化部材3と、前記記録/再生位置以外のディスク面を安定化させる補助安定化部材4とを備え、該補助安定化部材4を、前記光ディスク1のディスク面を該光ディスク1の回転軸に垂直な面から傾けるように該光ディスク1に作用させ、また前記主安定化部材3を、前記光ディスク回転方向に正圧または負圧を発生させ、かつ前記光ディスク1の記録/再生面における傾きを打ち消す方向に該光ディスク1に作用させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性を有する記録ディスクに対して記録および/または再生処理を行う記録/再生装置、およびその記録ディスクを収納するディスクカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ放送のデジタル化が始まるなど、大容量のデジタルデータを記録することが情報記録媒体に求められている。例えば、光ディスクの分野においては、記録/再生のために光ディスクに集光される光スポット径を小さくすることが、高密度化のための基本的な方法の一つに挙げられる(以下、光ディスクを代表として説明するが、本発明が対象とする記録/再生装置に用いられる記録ディスクは、相変化メモリ,光磁気メモリ,ホログラムメモリなどのディスク状の記録ディスクで活用するものすべてを対象にし、特に光ディスクに限定するものではない)。
【0003】
このため、光ディスクの高密度化においては、記録/再生のために用いられる光の波長を短く、かつ対物レンズの開口数NAを大きくすることが有効である。光の波長についてはCD(compact disk)では近赤外光の780nm、DVD(digital versatile disk)では赤色光の650nm近傍の波長が用いられている。最近、青紫光の半導体レーザが開発され、今後は400nm近傍のレーザ光が使用されると予想される。
【0004】
また、対物レンズについては、CD用はNA0.5未満であったが、DVD用はNA0.6程度である。今後、さらに開口数(NA)を大きくしてNA0.7以上とすることが求められる。しかし、対物レンズのNAを大きくすること、および光の波長を短くすることは、光を絞るときに収差の影響が大きくなることでもある。したがって、光ディスクのチルトに対するマージンが減ることになる。また、NAを大きくすることによって焦点深度が小さくなるため、フォーカスサーボ精度を上げなくてはならない。
【0005】
さらに、高NAの対物レンズを使用することによって、対物レンズと光ディスクの記録面との距離が小さくなってしまうため、光ディスクの面振れを小さくしておかないと、始動時のフォーカスサーボを引き込む直前、対物レンズと光ディスクとが衝突することがあり、ピックアップの故障の原因となる。このように、ディスク面振れが大きいと、高密度記録における大きな障害となる。これは、光ディスクに限らず、ディスク媒体を回転させて記録/再生を行う記録媒体において共通の課題である。
【0006】
この対策のため、特許文献1,2あるいは非特許文献1には、空気力学的作用力を利用して光ディスクにおける面振れを安定化させるため、安定化部材に対向させて可撓性を有する光ディスクを回転させる構成の記録/再生装置、あるいは可撓性を有する光ディスクの構成などについての記載がある。
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0186636号明細書
【特許文献2】特開2003−91970号公報
【非特許文献1】「オプティカル・リードアウト・オブ・ビデオディスク」 アイイーイーイー・トランザクション・オン・コンシューマー・エレクトロニクス(“OPTICAL READOUT OF VIDEODISC”,IEEE TRANSACTION ON CONSUMER ELECTRONICS),1976年11月、P.304−308
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記課題を解決する方法として、本件出願人は、特許文献1などにおいて、光ディスクとの対向面が円弧状をなす円柱状の安定化部材を用い、光ディスクにおける安定化部材による空気圧の作用による面振れが安定する部位におけるディスク回転方向上流側と下流側とに空気圧の作用を生じさせない領域(安定化部材がない空間部)を設けて、面振れを安定化させた部位の前後位置に光ディスクに「逃げ」となる部分を存在させ、面振れを安定化させた部位での光ディスクにおける反発力を小さくすることにより、空気力による安定化力の効果を増大させる発明を提案した。
【0008】
特許文献1の発明によれば、可撓性光ディスクの面振れを抑制し、高密度の記録を可能にし、また対物レンズとの摺接などの不具合の発生を防ぐことが可能となる。しかしながら、この発明においては、以下(1),(2)の理由により、ディスク面振れ抑制時に、面振れ抑制部のディスク面が理想平面(ディスクが平坦と仮定した場合の平面)から傾いた状態となることを避けられなかった。この傾きに対応するため、安定化部材および記録/再生ヘッドに、特許文献2などに示すような複雑な制御機構が必須であった。
(1)ディスク面振れを抑制する空気力学的な作用力により、ディスク面をねじる(ディスク円周接線方向に傾ける)力が発生し、ディスク面振れを抑制した部位のディスク面が、理想ディスク平面(ディスクが平坦と仮定した場合の平面、以下、理想ディスク平面と称する)から、ディスク円周接線方向に傾く。
(2)ディスク面振れを抑制するためには、安定化部材をディスクに対して大きく押し込む必要があり、この際、ディスク面振れを抑制した部位のディスク面がディスク半径方向にも傾く。
【0009】
すなわち、特許文献1の発明においては、安定化部材および記録/再生ヘッドに複雑な制御機構が必要になるため、ドライブ制御系の負荷が大きくなるばかりでなく、装置コストがかなり高価なものになってしまう。
【0010】
また本件出願人は、特願2003−416580号などにおいて、可撓性を有する記録ディスクを回転させ、ベルヌーイ効果を利用して少なくとも記録/再生位置付近における前記記録ディスクの面振れを抑制する主安定化部材と、前記記録ディスクの主たるベルヌーイ効果の作用面とは逆の面において記録および/または再生を行う記録/再生手段とを備えた記録/再生装置において、前記記録ディスクの面内を、前記記録/再生手段が走査する動線に近接し、かつ該記録ディスクの中心付近を通る直線Aによって2つの領域に分け、該領域の少なくとも一方に、空気力学的な作用力を発生させて、前記主安定化部材が位置する前記記録ディスク面において前記主安定化部材を作用させた場合に発生するディスク面の対抗力が大きくなるように、補助安定化部材を配設した記録/再生装置を提案した。
【0011】
特願2003−416580号にて提案した装置によれば、主安定化部材をディスク面に対して深く押し込まずとも、ディスク面振れの抑制効果を得ることができるようになり、前記(2)におけるディスク面の傾きはなくすことができるが、前記(1)におけるディスク面の傾きに関する問題は、未だ解決されていない。
【0012】
また、安定化板を用いる方法の一つとして、非特許文献1に記載されているような方法もある。この構成においては、U-shaped stabilizerなる2つの安定化部材から構成される部材により形成した狭いギャップに、フレシキブルディスクを挟んで回転させることにより、飛躍的に小さなディスク面振れに抑えることができる。また、ディスクを挟み込む構成により、ディスク面と記録/再生ヘッドの対応関係を垂直に保つことができ、原理的に前記(1),(2)の問題が発生しない。しかしながら、ディスクを挟み込む構成故に、フレキシブルディスクと安定化部材の間のギャップが片側25μmと小さいため、安定化部材とディスク間にゴミなどを巻き込んで記録膜を損傷し、直接エラーを引き起こす危険性がある。特に、この構成においては、安定化部材がディスクの表裏で必ず近接するため、情報記録部をディスクの表裏のいずれに形成した場合にも、この問題は避けることができない。
【0013】
本発明の目的は、前記課題を解決し、簡単な構成にて、可撓性を有する記録ディスクにおける記録/再生部分における主安定化部材による面振れ抑制と、同部分でのディスク傾きを抑制することを実現することを可能にする記録/再生装置およびディスクカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、可撓性を有する記録ディスクの回転軸を中心に該記録ディスクを駆動手段により回転させ、前記記録ディスクに対して空気力学的な力を作用させる安定化手段により、前記記録ディスクのディスク面振れを抑制して安定化させ、記録/再生手段の走査により該記録ディスクに情報の記録および/または再生を行う記録/再生装置において、前記安定化手段として、前記記録/再生手段による記録/再生位置のディスク面振れを抑制するための主安定化部材と、前記記録/再生位置以外のディスク面を安定化させる補助安定化部材とを備えた記録/再生装置であって、前記補助安定化部材を、前記記録ディスクのディスク面を該記録ディスクの回転軸に垂直な面から傾けるように該記録ディスクに作用させ、前記主安定化部材を、前記記録ディスク回転方向に正圧または負圧を発生させ、前記記録ディスクの記録/再生面における傾きを打ち消す方向に該記録ディスクに作用させることを特徴とし、この構成によって、主安定化部材によって発生する正負の圧力と、ディスク面が傾斜したままでいようとする力のバランスとにより、ディスク面振れを容易に抑制することが可能となる。
【0015】
また、ディスク面が傾斜する力と主安定化部材の作用力を適正に調整することにより、記録/再生位置のディスク面振れを抑制すると共に、同位置のディスク円周接線方向の傾斜をゼロ近傍(理想ディスク平面を基準として)に調整することができる。この調整は主安定化部材のディスク回転軸方向の移動制御のみで容易に達成でき、また、同制御のみで主安定化部材のチルト制御に類似した効果も同時に得られるため、主安定化部材のディスク円周接線方向のチルト制御が不要となり、さらに記録/再生手段のディスク円周接線方向のチルト制御も不要となる。すなわち、記録/再生手段および主安定化部材に、ディスク円周接線方向のチルト制御を具備させずとも、記録/再生手段とディスク面のディスク円周接線方向の角度を垂直に保つことが可能となる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、可撓性を有する記録ディスクの回転軸を中心に該記録ディスクを駆動手段により回転させ、前記記録ディスクに対して空気力学的な力を作用させる安定化手段により、前記記録ディスクのディスク面振れを抑制して安定化させ、記録/再生手段の走査により該記録ディスクに情報の記録および/または再生を行う記録/再生装置において、前記安定化手段として、前記記録/再生手段による記録/再生位置のディスク面振れを抑制するための主安定化部材と、前記記録/再生位置以外のディスク面を安定化させる補助安定化部材とを備えた記録/再生装置であって、前記補助安定化部材を、前記記録ディスクのディスク面を該記録ディスクの回転軸に垂直な面から傾けるように該記録ディスクに作用させ、前記主安定化部材を、前記記録ディスク面の前記傾きによって前記記録ディスク上に形成される稜線部分の近傍にて、前記記録ディスク回転方向に正圧または負圧を発生させ、前記記録ディスクの記録/再生面における傾きを打ち消す方向に該記録ディスクに作用させることを特徴とし、この構成によって、請求項1に係る発明と同様の作用を奏するのに加え、剛性の高いディスク領域で主安定化部材を作用させることが可能となり、主安定化部材をディスク面に対して大きく押し込まずとも、ディスク面振れを抑制できるようになる。これにより、主安定化部材のディスク半径方向のチルト制御が不要となり、さらに、記録/再生手段のディスク半径方向のチルト制御も不要となる。すなわち、記録/再生手段及び主安定化部材に、ディスク半径方向のチルト制御を具備させずとも、記録/再生手段とディスク面のディスク半径方向の角度を垂直に保つことが可能となる。これらの効果により、記録/再生手段および主安定化部材に、チルト制御を何ら具備させずとも、記録/再生手段とディスク面の角度を垂直に保つことが可能となる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の記録/再生装置において、主安定化部材により記録ディスクの回転方向上流側で正圧を発生させ、また下流側で負圧を発生させ、主安定化部材の作用面における記録ディスク回転軸方向の速度ベクトル成分の向きと、主安定化部材によって発生させる正圧の向きが同じになる向きから主安定化部材を作用させることを特徴とし、この構成によって、主安定化部材の作用面における記録ディスクの傾きを打ち消す方向に主安定化部材を作用させることが可能となる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2記載の記録/再生装置において、主安定化部材により記録ディスクの回転方向上流側で負圧を発生させ、また下流側で正圧を発生させ、主安定化部材の作用面における記録ディスク回転軸方向の速度ベクトル成分の向きと、主安定化部材によって発生させる正圧の向きが逆になる向きから主安定化部材を作用させることを特徴とし、この構成によって、主安定化部材の作用面における記録ディスクの傾きを打ち消す方向に主安定化部材を作用させることが可能となる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項1または2記載の記録/再生装置において、主安定化部材に対する記録ディスクに対する対向面が、該記録ディスクの回転方向に対して上昇するように傾く部位において、前記回転方向の上流側に正圧を発生させ、前記回転方向の下流側に負圧を発生させるように主安定化部材を作用させることを特徴とし、この構成によって、主安定化部材により記録ディスクが傾く方向に対応した正負の圧力を作用させることができ、主安定化部材の作用面における記録ディスクの傾きを打ち消す方向に主安定化部材を作用させることが可能となる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項1または2記載の記録/再生装置において、主安定化部材に対する記録ディスクに対する対向面が、該記録ディスクの回転方向に対して下降するように傾く部位において、前記回転方向の上流側に負圧を発生させ、前記回転方向の下流側に正圧を発生させるように主安定化部材を作用させることを特徴とし、この構成によって、主安定化部材により記録ディスクが傾く方向に対応した正負の圧力を作用させることができ、主安定化部材の作用面における記録ディスクの傾きを打ち消す方向に主安定化部材を作用させることが可能となる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項2記載の記録/再生装置において、稜線から任意角度ずれた記録ディスクにおける回転半径上の近傍に、主安定化部材を作用させることを特徴とし、この構成によって、請求項2に係る発明の要件を満足する条件で主安定化部材を作用させることが可能な記録/再生装置を実現できる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項2記載の記録/再生装置において、稜線から任意距離離れた平行線上の近傍に、主安定化部材を作用させることを特徴とし、この構成によって、請求項2の要件を満足する条件で主安定化部材を作用させることが可能な記録/再生装置を実現できる。
【0023】
請求項9に記載の発明は、可撓性を有する記録ディスクの回転軸を中心に該記録ディスクを駆動手段により回転させ、前記記録ディスクに対して空気力学的な力を作用させる安定化手段により、前記記録ディスクのディスク面振れを抑制して安定化させ、記録/再生手段の走査により該記録ディスクに情報の記録および/または再生を行う記録/再生装置において、前記安定化手段として、前記記録/再生手段による記録/再生位置のディスク面振れを抑制するための主安定化部材と、前記記録/再生位置以外のディスク面を安定化させる補助安定化部材とを備えた記録/再生装置であって、前記補助安定化部材を、前記記録ディスクの中心付近を通る任意直線によって分けた前記記録ディスク面内の2つの領域の少なくとも一方に作用させ、前記記録ディスクのディスク面を該記録ディスクの回転軸に垂直な面から傾けるように該記録ディスクに作用させ、前記補助安定化部材の作用により前記記録ディスク上に形成される稜線から任意角度ずれたディスク半径上の近傍において前記主安定化部材を作用させる構成にしたことを特徴とし、この構成によって、主安定化部材によって発生する正負の圧力と、ディスク面が傾斜したままでいようとする力のバランスによりディスク面振れを容易に抑制することが可能となる。
【0024】
また、ディスク面が傾斜する力と主安定化部材の作用力を適正に調整することにより、記録/再生位置のディスク面振れを抑制すると共に、同位置のディスク円周接線方向の傾斜をゼロ近傍(理想ディスク平面を基準として)に調整することができる。この調整は主安定化部材のディスク回転軸方向の移動制御のみで容易に達成でき、また、同制御のみで主安定化部材のチルト制御に類似した効果も同時に得られるため、主安定化部材のディスク円周接線方向のチルト制御が不要となり、さらに、記録/再生手段のディスク円周接線方向のチルト制御も不要となる。すなわち、記録/再生手段および主安定化部材に、ディスク円周接線方向のチルト制御を具備させずとも、記録/再生手段とディスク面のディスク円周接線方向の角度を垂直に保つことが可能となる。
【0025】
請求項10に記載の発明は、可撓性を有する記録ディスクの回転軸を中心に該記録ディスクを駆動手段により回転させ、前記記録ディスクに対して空気力学的な力を作用させる安定化手段により、前記記録ディスクのディスク面振れを抑制して安定化させ、記録/再生手段の走査により該記録ディスクに情報の記録および/または再生を行う記録/再生装置において、前記安定化手段として、前記記録/再生手段による記録/再生位置のディスク面振れを抑制するための主安定化部材と、前記記録/再生位置以外のディスク面を安定化させる補助安定化部材とを備えた記録/再生装置であって、前記補助安定化部材を、前記記録ディスクの中心付近を通る任意直線によって分けた前記記録ディスク面内の2つの領域の少なくとも一方に作用させ、前記記録ディスクのディスク面を該記録ディスクの回転軸に垂直な面から傾けるように該記録ディスクに作用させ、前記補助安定化部材の作用により前記記録ディスク上に形成される稜線から任意距離離れた平行線上の近傍において前記主安定化部材を作用させる構成にしたことを特徴とし、この構成によって、請求項9に係る発明と同様な作用を奏する。
【0026】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10いずれか1項記載の記録/再生装置において、主安定化部材を、記録ディスクに情報の記録および/または再生を行う記録/再生手段の走査動線に沿って延在させたことを特徴とし、この構成によって、記録/再生手段が走査する領域のディスク面振れを一括して抑制することとが可能となる。
【0027】
請求項12に記載の発明は、可撓性を有する記録ディスクが収納され、該記録ディスクの回転時、空気力学的な力を利用して少なくとも記録/再生位置付近における前記記録ディスクの面振れを抑制する主安定化部材が前記記録ディスクに作用することが可能な構成のディスクカートリッジにおいて、前記記録/再生位置以外のディスク面を安定化させ、かつ前記記録ディスクのディスク面を該記録ディスクの回転軸に垂直な面から傾けるように該記録ディスクに作用する補助安定化部材を具備し、前記記録ディスクの回転駆動時、前記主安定化部材により前記記録ディスク回転方向に正圧または負圧を発生させ、前記記録ディスクの記録/再生面における傾きを打ち消すことを可能にしたことを特徴とし、この構成によって、ディスクカートリッジ内において、記録ディスク面を傾け、その傾斜したディスク面において主安定化部材を作用させることが可能となり、ディスクカートリッジに収納した記録ディスクに対して上述した発明と同様の作用を奏し得る。
【0028】
また、ディスクカートリッジごとに補助安定化部材を個別に設定することができることから、様々なディスク仕様ごとに補助安定部材を個々に設計することが容易になって、ディスク仕様のばらつきによる安定化条件のずれを補正することが容易になる。
【0029】
請求項13に記載の発明は、可撓性を有する記録ディスクが収納され、該記録ディスクの回転時、空気力学的な力を利用して少なくとも記録/再生位置付近における前記記録ディスクの面振れを抑制する主安定化部材が前記記録ディスクに作用することが可能な構成のディスクカートリッジにおいて、前記記録/再生位置以外のディスク面を安定化させ、かつ前記記録ディスクの中心付近を通る任意直線によって分けた前記記録ディスク面内の2つの領域の少なくとも一方に作用し、前記記録ディスクのディスク面を該記録ディスクの回転軸に垂直な面から傾けるように該記録ディスクに作用する補助安定化部材を具備し、前記記録ディスクの回転駆動時、前記主安定化部材により前記記録ディスク回転方向に正圧または負圧を発生させ、前記記録ディスクの記録/再生面における傾きを打ち消すことを可能にしたことを特徴とし、この構成によって、ディスクカートリッジ内において、記録ディスク面を傾け、その傾斜したディスク面において主安定化部材を作用させることが可能となり、ディスクカートリッジに収納した記録ディスクに対して上述した発明と同様の作用を奏し得る。
【0030】
また、ディスクカートリッジごとに補助安定化部材を個別に設定することができることから、様々なディスク仕様ごとに補助安定部材を個々に設計することが容易になって、ディスク仕様のばらつきによる安定化条件のずれを補正することが容易になる。
【0031】
請求項14に記載の発明は、請求項12または13記載のディスクカートリッジにおいて、主安定化部材を、記録ディスクに情報の記録および/または再生を行う記録/再生手段の走査動線に沿って延在させて設けたことを特徴とし、この構成によって、記録/再生ヘッドが走査する領域のディスク面振れを一括して抑制することが可能となる。特に、この構成とすることにより、前記した主安定化部材および補助安定化部材が記録/再生装置側に全く必要なくなり、一般的に使用されている記録/再生装置の機構がそのまま使えるようになる。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る記録/再生装置およびディスクカートリッジによれば、安定化部材の作用によって発生する空気力学的な圧力と、これに対向するディスク面の反発力のバランスを容易に調整することが可能となり、良好なディスク面振れ特性が容易に得られるようになる。さらに、前記調整後の少なくとも記録/再生部位のディスク面をディスク回転軸に対して垂直にすることができ、記録/再生手段にチルト制御機構を何ら具備させることなく、記録/再生手段とディスク面の角度を垂直に保った状態で記録/再生動作が実行できるようになり、高品質な記録/再生が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0034】
図1は本発明の記録/再生装置の実施形態1を説明するための要部の概略図であって、(a)は要部を示す平面図、(b)は要部を示す正面図であり、1は可撓性を有する記録ディスクである光ディスク、2は、光ディスク1の回転中心(中央)部分に装着され、光ディスク1を回転させるスピンドルモータ(後述する)に保持されるハブ、3は、光ディスク1方向に凸形状であり、ベルヌーイ効果を利用した空気力学的な作用力を発生して、記録/再生手段(後述する)による記録/再生位置のディスク面振れを抑制する主安定化部材、4は、空気力学的な作用力を発生して、記録/再生位置以外の光ディスク1のディスク面を安定化させ、さらに光ディスク1のディスク面を該光ディスク1の回転軸に垂直な面から傾けるように該光ディスク1に作用する補助安定化部材である。
【0035】
実施形態1では、補助安定化部材4による作用力によって湾曲させることにより生じるディスク面の稜線と、ディスク中心を通る前記稜線の垂線とにより、ディスク面内を4つの領域T1−1,T1−2,T2−1,T2−2(図では左右上下に中心から等角度(90度)の領域)に分け、領域T1−2(あるいはT2−1)に主安定化部材3を作用させる。
【0036】
図1では領域T1−2に作用させる場合を例示した。主安定化部材3の作用位置、および主安定化部材3をディスク面に作用させる方向は、主安定化部材3によって発生する正負の圧力の位置、ディスク回転方向、補助安定化部材4の作用によるディスク面の湾曲方向によって設定される。
【0037】
実施形態1の場合では、光ディスク1に対向する作用面が凸形状をなす主安定化部材3によって発生する圧力を、ディスク回転方向上流側で正圧、下流側で負圧とした場合を想定しており、この前提においては、前記領域T1−2とT2−1において、図示する方向から主安定化部材3を作用させる構成にしている。なお、光ディスク1の湾曲状態が上下反転した場合などにも、主安定化部材3によって発生する正負の圧力の位置、ディスク回転方向、ディスク面の湾曲方向と、主安定化部材3の作用位置および作用方向を考慮して各部を設置する。
【0038】
なお、主安定化部材3は、光ディスク1の片面に作用させるだけで十分な効果が得られ、特に光ディスク1の両面でディスクを挟持するための構造を備える必要がなく、光ディスク1において記録層を、主安定化部材3の作用面とは逆側に形成する構成にすれば、主安定化部材3と光ディスク1との衝突により記録情報が欠落してエラーが増大するなどの不具合は生じない。
【0039】
図2は本発明の記録/再生装置の実施形態2を説明するための要部の概略図であって、(a)は要部を示す平面図、(b)は要部を示す正面図であり、本実施形態が実施形態1と異なる点は、光ディスク1に対向する作用面が凹形状をなす主安定化部材5によって発生する正負の圧力の位置を、実施形態1とは逆にディスク回転方向上流側で負圧、下流側で正圧となる関係構成にした点にある。
【0040】
実施形態2においては、前記前提条件で領域T2−2あるいはT1−1において、図示する方向から主安定化部材5を作用させる構成にしてある。図2では領域T2−2に作用させる場合を例示した。
【0041】
なお、実施形態1と同様に、実施形態2においても、光ディスク1の湾曲状態が上下反転した場合などにも、主安定化部材5によって発生する正負の圧力の位置、ディスク回転方向、ディスク面の湾曲方向と、主安定化部材5の作用位置および作用方向が前記関係を満たせば、同様の作用効果が得られる。
【0042】
図3は本発明の記録/再生装置の実施形態3を説明するための要部の概略図であって、(a)は要部を示す平面図、(b)は要部を示す正面図であり、本実施形態が実施形態1と異なる点は、光ディスク1に対向する作用面が凸形状をなす主安定化部材3を作用させるディスク面を湾曲させたディスクの凸面側とした点にある。
【0043】
実施形態3では、前記前提条件にて領域T2−2あるいはT1−1において、図示する方向から主安定化部材3を作用させている。図3では領域T2−2に作用させる場合を例示した。
【0044】
なお、実施形態1と同様に、実施形態3においても、光ディスク1の湾曲状態が上下反転した場合などにも、主安定化部材3によって発生する正負の圧力の位置、ディスク回転方向、ディスク面の湾曲方向と、主安定化部材の作用位置および作用方向が前記関係を満たせば、同様の作用効果が得られる。
【0045】
図4は本発明の記録/再生装置の実施形態4を説明するための要部の概略図であって、(a)は要部を示す平面図、(b)は要部を示す正面図であり、本実施形態が実施形態1と異なる点は、光ディスク1に対向する作用面が凹形状をなす主安定化部材5によって発生する正負の圧力の位置を、実施形態1とは逆にディスク回転方向上流側で負圧、下流側で正圧とし、かつ主安定化部材5を作用させるディスク面を湾曲させたディスクの凸面側とした関係構成にした点にある。
【0046】
実施形態4では、前記前提条件にて領域T1−2あるいはT2−1において、図示する方向から主安定化部材5を作用させている。図4では領域T1−2に作用させる場合を例示した。
【0047】
なお、実施形態1と同様に、実施形態4においても、光ディスク1の湾曲状態が上下反転した場合などにも、主安定化部材5によって発生する正負の圧力の位置、ディスク回転方向、ディスク面の湾曲方向と、主安定化部材の作用位置および作用方向が前記関係を満たせば、同様の作用効果が得られる。
【0048】
前記実施形態1〜4において、ディスク面を湾曲させるための方法としては種々考えられるが、その内の1つが既述した補助安定化部材4を用いる構成であり、さらに、図5に示すように、光ディスク1面内を、ディスク中心付近を通る任意の直線Aによって分けた2つの領域T1,T2(領域T1,T2おける少なくとも一方に設置すればよい)、前記補助安定化部材4,4を作用させることが考えられる。
【0049】
図5において、4,4は共に、主安定化部材3,5の作用を受けて面振れが安定化される記録/再生部位以外のディスク面を安定化させるための補助安定化部材である。これにより、ディスク面上に稜線(ディスク中心付近を通る直線A部分)を形成して、その稜線を挟んだ両側に、回転基準面から傾斜したディスク面を形成することができる。
【0050】
補助安定化部材4の設置構造としては、図6に示すように光ディスク1の対向面に対して押し込んだ状態で作用させるもの、あるいは、図7に示すように光ディスク1を引き付けた状態で作用させる構成などが考えられるが、特に限定するものではなく、ディスク回転時において湾曲したディスク面を形成できるものであればよい。
【0051】
なお、図6,図7において、5は、チャッキング部をハブ2に嵌合して光ディスク1を回転駆動するスピンドルモータである。
【0052】
なお、既述した稜線の定義は、光ディスク1を湾曲させた状態でディスク面上に形成される尾根部において、ディスク円周方向のディスク面の傾きがディスク回転軸に対して略垂直となる点を結んだ線のことである。例えば、図1に示すように、光ディスク1を湾曲させた場合には、図中でディスク稜線と記載のある部分が前記稜線となる。また、例えば、図5〜図7に示すような設置構成の補助安定化部材4を用いた場合においては、厳密には、光ディスク1が静止した状態と回転した状態での稜線位置は異なるが、ここでの稜線とは、光ディスク1を回転させた状態で、補助安定化部材4の作用により形成される稜線のことである。
【0053】
次に、各実施形態の動作について説明する。
【0054】
前記各実施形態における基本事項である、回転する記録ディスクに対して安定化部材により空気力学的な力を作用させた場合の現象に関して、各種実験を行い考察を行ったところ、安定化部材を回転するディスク面に作用させた場合には、ディスク回転方向の上下流側で正負の異なる圧力が発生し、この圧力差により、ディスク面が、安定化部材の作用点付近を中心にしてディスク回転方向に傾く現象を捉えた。この際、ディスク面には構造力学的な力と回転時の遠心力によって、この傾きを元に戻そうとする力が働いており、この力と前記正負の圧力の釣り合い条件が、ディスク面が傾斜した状態で保たれていた。
【0055】
前記力学的な作用関係に関して、鋭意検討を重ねたところ、安定化部材を作用させた際にディスク面が傾く方向と逆の方向に、あらかじめディスク面を傾けた状態で安定化部材を作用させる方法がディスク面の安定化において有効であることを見出した。この方法によれば、ディスクの傾きにより、安定化部材により発生する正負の圧力に対抗する方向の力を発生させることができ、ディスク面の安定化において重要な力のバランス条件を管理することができるようになった。
【0056】
図8に示すように、光ディスク1に対して主安定化部材3(5)を作用させたときに、主安定化部材3(5)の作用位置におけるディスク面を円周方向に傾けた場合の主安定化部材3(5)と、ディスク面の力との作用について以下説明する。
【0057】
なお、図8におけるRは、記録/再生手段の走査動線を示す。
【0058】
図9を参照して、ディスク回転方向の上流側で正圧、下流側で負圧を発生させる主安定化部材3を用いた場合において、本発明の効果を奏するために必要な条件について説明する。図9は図8のA−A’部の断面図である。
【0059】
図9において、10は光ディスク1における主安定化部材3による正圧/負圧の作用の分岐点Xにおける速度ベクトル、11はディスク回転軸方向の速度ベクトル成分、12はディスク円周接線方向の速度ベクトル成分である。
【0060】
ここで、速度ベクトルとは、ディスクを回転させた際に、ディスク面の前記分岐点Xが描く軌道の接線方向のベクトルであり、その大きさは分岐点Xの移動速度に相当する。この構成において重要なのは、速度ベクトル10が主安定化部材3から離れる方向に正の速度成分(ディスク回転軸方向の速度ベクトル成分11)を持ち、この速度成分の向きと、主安定化部材3によって発生させる正圧力の向きが同じになる方向から主安定化部材3を作用させることにある。
【0061】
このようにすることにより、主安定化部材3に近づく側のディスク面(図面右側)に正圧(光ディスク1の上側雰囲気の圧より大、ディスクを押す力)、主安定化部材3から遠ざかる側のディスク面(図面左側)に負圧(光ディスク1の上側雰囲気の圧より小、ディスクを引く力)を作用させる構成とし、光ディスク1の傾きの方向を、主安定化部材3の作用力に対抗する方向とすることができる。
【0062】
次に、図10を参照して、ディスク回転方向上流側で負圧、下流側で正圧を発生させる主安定化部材5を用いた場合において、本発明の効果を奏するために必要な条件について説明する。図10は図8のA−A’部の断面図である。
【0063】
図10に示す構成において重要なことは、速度ベクトル10が主安定化部材5に近づく方向に正の速度成分(ディスク回転軸方向の速度ベクトル成分11)を持ち、この速度成分の向きと、主安定化部材5によって発生させる正圧力の向きが逆になる方向から主安定化部材5を作用させることにある。
【0064】
このようにすることにより、主安定化部材5に近づく側のディスク面(図面右側)に負圧、遠ざかる側のディスク面(図面左側)に正圧を作用させる構成とし、ディスクの傾きの方向をこの作用力に対抗する方向とすることができる。
【0065】
図9,図10に示す構成により、主安定化部材3,5の作用位置、すなわち記録/再生手段による記録/再生位置のディスク円周接線方向の傾斜を、ゼロ近傍(理想ディスク平面を基準として)に調整して、同位置のディスク面振れを効果的に低減することが可能となる。
【0066】
図9,図10に示す構成は実施形態1〜4の構成に適用することができる。実施形態1〜4においては、図5〜図7に示すような補助安定化部材4を用いて光ディスク1を湾曲させる場合を説明したが、光ディスク1に湾曲あるいは傾斜を持たせるためには、前記補助安定化部材4の構成に限定されない。本発明において重要なことは、光ディスク1の傾きと主安定化部材3,5の作用に関する図9,図10に示す構成パターンを実現することである。
【0067】
また、主安定化部材によるディスク面振れの抑制については、主安定化部材によるディスク回転軸方向の作用力(前記正圧と前記負圧を合成した力)と、これに対抗するディスクの反発力の釣り合いも重要な条件となる。特に、ディスク基準面(ディスクを理想平面とした場合の安定化部材側のディスク面)近傍で、ディスクの面振れを抑制するためには、ディスクの反発力を上げる、すなわちディスク面の剛性を上げる必要がある。
【0068】
そこで、さらに各種実験を行い考察を行ったところ、ディスク面上の任意の部位に、ディスク面をディスク半径方向に傾けるような空気力学的な力を作用させた際には、作用させた部位からディスク回転方向の上下流側に約±90度離れた付近のディスク面に、半径方向に向かう直線化力が付与されると共に、ディスク面の剛性が上がる現象を捉え、前記ディスク面の剛性を上げるために応用可能なことを見出した。
【0069】
この現象を応用するための基本的な構成は、ディスク面を湾曲させる方法として既述した図5〜図7の構成と同様であり、この実現においては補助安定化部材4の作用が重要である。補助安定化部材4により湾曲させたディスク面の稜線近傍で、かつ前述した本発明の関連構成,要件を満足する位置(例えば図1〜図4に示す付近の位置)に主安定化部材3,5を作用させることにより、ディスク基準面近傍において主安定化部材3,5によりディスク面の面振れを抑制することが可能となる。また、この際、主安定化部材3,5のディスク回転軸方向の位置を調整することにより、この効果に加え、ディスク半径方向のディスク面の傾斜をゼロ近傍(理想ディスク平面を基準として)に調整することも可能となる。
【0070】
また、ディスク稜線に対する前記主安定化部材3(あるいは主安定化部材5)の作用位置および走査動線には、いくつかのパターンが考えられる。例えば、図11に示すように、ディスク稜線からΔθだけ傾いた位置付近を走査するパターン、図12に示すように、ディスク稜線からΔTだけ離れた平行線上付近を走査するパターン、図13に示すように、ディスク稜線からΔθだけ傾いた位置付近をスイングアーム方式(所定の位置を中心として揺動する方式)で走査するパターン、図14に示すように、ディスク稜線からΔTだけ離れた平行線上付近をスイングアーム方式で走査するパターン。
【0071】
さらに、図15に示すように、ディスク稜線からΔθだけ傾いた位置付近にディスク半径方向に固定して主安定化部材9を延在させるパターン、図16に示すように、ディスク稜線からΔTだけ離れた平行線上付近に固定して主安定化部材9を延在させるパターンなどが考えられる。
【0072】
なお、図11〜図16において、Rは記録/再生手段の走査動線であるが、図11〜図14においては、記録/再生手段と共に移動する主安定化部材3,5の走査動線も兼ねて示している。これらのパターンは実施形態1〜4の全てに適用することができるものである。
【0073】
図17は本発明に係る記録/再生装置の実施形態の概略構成を示す断面図であり、既に説明した部材に対応する部材には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0074】
図17において、7は、光ディスク1の半径方向に移動して光ディスク1に対して光ビームを集光させ、情報の記録/再生処理を行うため光ディスク1に対して光走査(前記走査動線R方向)を行う記録/再生手段である光ピックアップ、8は装置本体の筐体であって、装置本体の筺体8に補助安定化部材4を設置しており、ここでは実施形態3と同様の構成を適用した例を示した。装置本体の筐体8には、図示していないが、主安定化部材3の位置制御機構と光ピックアップ7の位置制御機構とを具備させている。
【0075】
また、主安定化部材3の位置制御機構は、図11〜図16の全ての構成例のものに設置する。また光ピックアップ7の位置制御機構は、設置する構成に応じて個別に設計する。
【0076】
図18は本発明に係るディスクカートリッジの実施形態を記録/再生装置にセットした状態を示す要部の断面図であり、ディスクカートリッジ21内に、補助安定化部材4を設置しており、ここでは実施形態3と同様の構成を適用した例を示した。装置本体の筐体8には、図示していないが、主安定化部材3の位置制御機構と光ピックアップ7の位置制御機構とを具備させている。
【0077】
また、主安定化部材3の位置制御機構は、図11〜図16の全ての構成例のものに設置する。また光ピックアップ7の位置制御機構は、設置する構成に応じて個別に設計する。
【0078】
なお、図18に示す構成例において、図15,図16に示すディスク半径方向に固定して主安定化部材9を延在させる構成を適用する際には、この主安定化部材9をディスクカートリッジ21の内壁に固定することも可能である。
【0079】
図17,18に示す例では、主安定化部材3と光ピックアップ7が同軸上にある場合を基本構成としたが、両者の相対位置をディスク面内でずらすことも可能であり、該ずれは、主安定化部材3によりディスク面振れを抑制した領域において、ディスク面振れとディスク面の傾斜が光ピックアップ7による記録/再生に許容される範囲であればよい。
【0080】
ディスクカートリッジ21の構成例としては、例えば、図19に示すようなものが考えられる。22は前記主安定化部材3を挿入してディスク面上を走査するための第1の通孔部、23は前記光ピックアップ7を挿入し、かつ光ピックアップ7をディスク半径方向に移動可能にするための第2の通孔部である。
【0081】
図19に示す構成例においては、第2の通孔部23は前記スピンドルモータ5の一部を挿入するための通孔部も兼ねている。なお、前記通孔部22,23を開閉するためのシャッタ、あるいはディスクカートリッジ21内で光ディスク1を固定するための機構、さらにディスクカートリッジ1をスピンドルモータ5に設置するために必要な、その他の機構などに関しては省略して図示していない。通孔部22,23が角度を持って形成されている、この構成は、図11,図13あるいは図15に示す主安定化部材3,6,9の構成例(ディスク稜線からΔθ傾斜)を採用する場合に適用できる。
【0082】
また、ディスクカートリッジ21の他の構成例としては、図20に示すようなものも考えられる。図20において、24は、前記スピンドルモータ5の一部が挿入され、光ディスク1をチャックするための第3の通孔部である。通孔部22,23がディスク半径方向に平行でかつ中心部から離れて形成されている。この構成は、図12,図14あるいは16に示す主安定化部材3,6,9の構成例(ディスク稜線からΔTだけ離れた平行線上に設置)を採用する場合に適用できる。
【0083】
また、本発明の実施形態としては、図21に示すように、光ピックアップ7に前記主安定化部材3,5の機能を具備させることも可能である。例えば、この場合には、図19に示すディスクカートリッジ21を使用して、図11に示す構成により光ピックアップ7を走査させるようにする。図20の構成例では、ディスクカートリッジ21を用いる場合を例に挙げたが、ディスクカートリッジ21を使用しない図17に示す記録/再生装置における光ピックアップ7を、前記主安定化部材3,5の機能を具備する構成にすることも考えられる。
【0084】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいてより具体的に説明する。
【0085】
(実施例1)
実施例1において、図17に示す構成の記録/再生装置を用いて、図3に示す実施形態3に示す各構成部材の位置関係を採用し、かつ主安定化部材3の走査位置(光ピックアップ走査動線Rと同じ)とディスク稜線の位置関係は図11に示すような構成とした。
【0086】
補助安定化部材4は、光ディスク(直径120mm)1に対向する面を曲率半径100mmとした直径30mmの円柱状の形状とし、図示するディスク半径方向に10度傾けた。また、補助安定化部材4は光ディスク1中心を挟んで2つ、作用面の中心位置が半径45mm、かつディスク面に対して5mm押し込んだ位置(ディスクが平坦と仮定した場合のディスク基準面を基準にして)となるように配置した。
【0087】
主安定化部材3は、光ディスク1に対向する面を曲率半径50mmの凸状とした直径10mmの円柱状の形状とした。図示していないが、主安定化部材3には走査方向の移動機構とディスク回転軸方向の位置制御機構を具備させ、その走査動線のディスク稜線からの傾き角Δθは10度とした。また、光ピックアップ7は主安定化部材3の走査に追従してディスク面上を走査するようにした。
【0088】
また、実施例1では、ディスク基板として直径120mm,厚さ75μmのポリカーボネイト製シートを用いた。ディスクを準備するにあたっては、まず、前記シートに、熱転写でスタンパのピッチ0.6μm、幅0.3μmのグルーブを転写し、その後、スパッタリングでシート/Ag反射層 120nm/(ZrO−YO)−SiO 7nm/AgInSbTeGe 10nm/ZnS−SiO 25nm/Si 10nmの順番に成膜した。情報記録領域は内周直径40mmから外周直径118mmまで(半径20mm〜58mm)の範囲に設定した。その後、UV樹脂をスピンコートし、紫外線照射で硬化させて厚さ5μmの透明保護膜を形成した。また、逆側の面には10μm厚のハードコートを施した。なお、このディスク中心部には外形直径30mm,内径直径15mm、厚み0.3mmのハブ2を取り付けた。このディスクの仕上がり状態はハードコート側に僅かに反った形状となった。
【0089】
前記光ディスク1を3180rpmで回転させて、主安定化部材3を半径位置45mmに作用(同位置での線速は15m/sec)させ、光ピックアップ7の位置にレーザ変位計を配置してディスク面ぶれを評価した。また同位置にレーザオートコリメータを配置して、ディスク円周接線方向およびディスク半径方向のディスク面の傾きを評価した。この際、主安定化部材3のディスク回転軸方向の位置は、その作用面中心部が、光ディスク基準面(光ディスク1が平坦と仮定した場合の主安定化部材3側の面)よりもディスク面に対して0.3mm押し込んだ位置となるように固定した。
【0090】
(実施例2)
実施例2において、図17に示す構成の記録/再生装置を用いて、図4に示す実施形態4に示す各構成部材の位置関係を採用し、かつ主安定化部材3の走査位置(光ピックアップ走査動線Rと同じ)とディスク稜線の位置関係は図11に示すような構成とした。
【0091】
補助安定化部材4は、光ディスク(直径120mm)1に対向する面を曲率半径100mmとした直径30mmの円柱状の形状とし、図示するディスク半径方向に10度傾けた。また、補助安定化部材4は、光ディスク1の中心を挟んで2つ、作用面の中心位置が半径45mm、かつディスク面に対して5mm押し込んだ位置(光ディスク1が平坦と仮定した場合のディスク基準面を基準にして)となるように配置した(補助安定化部材4の条件は実施例1と同様)。
【0092】
主安定化部材3は、光ディスク1に対向する面を曲率半径100mmの凹状とした直径10mmの円柱状の形状とした。図示していないが、主安定化部材3には走査方向の移動機構とディスク回転軸方向の位置制御機構を具備させ、その走査動線のディスク稜線からの傾き角Δθは10度とした。
【0093】
光ピックアップ7は主安定化部材3の走査に追従してディスク面上を走査するようにした。また、光ディスク1は実施例1と同様のものを用いた。
【0094】
前記光ディスク1を3180rpmで回転させて、主安定化部材を半径位置45mmに作用(同位置での線速は15m/sec)させ、光ピックアップ4の位置にレーザ変位計を配置してディスク面振れを評価した。また同位置にレーザオートコリメータを配置して、ディスク円周接線方向およびディスク半径方向のディスク面の傾きを評価した。
【0095】
この際、主安定化部材3のディスク回転軸方向の位置は、その作用面中心部が、光ディスク基準面(光ディスク1が平坦と仮定した場合の主安定化部材3側の面)から0.2mm離れた位置となるように固定した。
【0096】
(実施例3)
実施例3において、図18に示すようなディスクカートリッジ21を使用する記録/再生装置を用いて、図1の実施形態1に示す各構成部材の位置関係を採用し、主安定化部材3の走査位置(光ピックアップ7の走査動線Rと同じ)とディスク稜線の位置関係は、図12に示すようなパターンとした。ディスクカートリッジ21には図20に示す形態のものを用いた。なお、各図において、各構成部材の配置位置が異なるが、ディスクの湾曲方向,回転方向、および主安定化部材3の作用位置の関係は、図1に示すような相対位置関係を基準とした。
【0097】
補助安定化部材4は、光ディスク(直径120mm)1に対向する面を曲率半径100mmとした直径30mmの円柱状の形状とし、図示するディスク半径方向に10度傾けてディスクカートリッジ内壁に具備させた。また、補助安定化部材4は光ディスク1中心を挟んで2つ、作用面の中心位置が半径45mm、かつディスク面に対して5mm押し込んだ位置(光ディスク1が平坦と仮定した場合のディスク基準面を基準にして)となるように配置した(補助安定化部材4の基本的な条件は実施例1と同様)。
【0098】
主安定化部材3は、光ディスク1に対向する面を曲率半径50mmの凸状とした直径10mmの円柱状の形状とした。図示していないが、主安定化部材3には走査方向の移動機構とディスク回転軸方向の位置制御機構を具備させ、その走査動線のディスク稜線からのずれ量ΔTは10mmとした。
【0099】
光ピックアップ4は主安定化部材の走査に追従してディスク面上を走査するようにした。また、光ディスク1は実施例1と同様のものを用いた。
【0100】
前記光ディスク1を3180rpmで回転させて、主安定化部材3を半径位置45mmに作用(同位置での線速は15m/sec)させ、光ピックアップ7の位置にレーザ変位計を配置してディスク面振れを評価した。また、同位置にレーザオートコリメータを配置して、ディスク円周接線方向およびディスク半径方向のディスク面の傾きを評価した。この際、主安定化部材3のディスク回転軸方向の位置は、その作用面中心部が、光ディスク基準面(光ディスク1が平坦と仮定した場合の主安定化部材3側の面)よりもディスク面に対して0.3mm押し込んだ位置となるように固定した。
【0101】
(実施例4)
実施例4において、図21に示すようなディスクカートリッジ21を使用する記録/再生装置を用いて、図3に示す実施形態3における各構成部材の位置関係を採用し、主安定化部材3の機能を有する光ピックアップ7とディスク稜線の位置関係は図13に示すような構成とした。ディスクカートリッジには図19に示す形態のものを用いた。
【0102】
補助安定化部材4は、光ディスク(直径120mm)1に対向する面を曲率半径100mmとした直径30mmの円柱状の形状とし、図示するディスク半径方向に10度傾けてディスクカートリッジ21の内壁に具備させた。また、補助安定化部材4は光ディスク1中心を挟んで2つ、作用面の中心位置が半径45mm、かつディスク面に対して5mm押し込んだ位置(光ディスク1が平坦と仮定した場合のディスク基準面を基準にして)となるように配置した(補助安定化部材4の基本的な条件は実施例1と同様)。
【0103】
主安定化部材3の機能を有する光ピックアップ7は、対物レンズを除く面の形状を曲率半径200mmの球面とし、中心に表面直径3mm,表面曲率半径15mm,NA0.85の対物レンズを埋め込んだ形とした。また、光ピックアップ7における光ディスク対向面の大きさは直径15mmとした。
【0104】
さらに、図示していないが、光ピックアップ7にはスイングアーム式(半径50mm)の走査機構とディスク回転軸方向の位置制御機構を具備させ、その走査動線のディスク稜線からの傾き角Δθは略10度とした。また、光ディスク1は実施例1と同様のものを用いた。
【0105】
前記光ディスク1を3180rpmで回転させて、主安定化部材3の機能を有する光ピックアップ7を半径位置45mmに作用(同位置での線速は15m/sec)させ、ディスクを挟んだ逆側にレーザ変位計を配置してディスク面ぶれを評価した。なお、ディスクカートリッジ21にはレーザ変位計による計測用の通孔部を実験用に特別に形成した。また同位置にレーザオートコリメータを配置して、ディスク円周接線方向およびディスク半径方向のディスク面の傾きを評価した。この際、光ピックアップ7のディスク回転軸方向の位置は、その表面中心部が、光ディスク基準面(光ディスク1が平坦と仮定した場合の主安定化部材3側の面)と一致するように固定した。
【0106】
(実施例5)
実施例5において、図18に示すようなディスクカートリッジ21を使用する記録/再生装置を用いて、図3に示す実施形態3の各構成部材における位置関係を採用した。主安定化部材3は光ピックアップ7の動線方向に延在させて固定した構成とし、図16に示す配置構成を採用した。
【0107】
ディスクカートリッジ21には図20に示す構成のものを用いた。なお、本実施例においては、図20に示す第1の通孔部22を塞ぎ、同位置に主安定化部材3を具備させる構成とした。
【0108】
また、補助安定化部材4は、光ディスク(直径120mm)1に対向する面を曲率半径100mmとした直径30mmの円柱状の形状とし、ディスク半径方向に10度傾けてディスクカートリッジ21の内壁に具備させた。また、補助安定化部材31は光ディスク1中心を挟んで2つ、作用面の中心位置が半径45mm、かつディスク面に対して5mm押し込んだ位置(光ディスク1が平坦と仮定した場合のディスク基準面を基準にして)となるように配置した(補助安定化部材4の基本的な条件は実施例1と同様)。
【0109】
主安定化部材3は、光ディスク1に対向させる面のディスク円周接線方向の形状を円状としたディスク半径方向に延在させた形状とし、ディスク内周から外周にかけて、その表面曲率半径と、ディスク円周接線方向の幅を連続的に変化させる形態とした。表面曲率半径は、半径20mmの位置で50mm、また半径60mmの位置で5mmとして、その間を連続的に変化させた。また、ディスク円周接線方向の幅は、半径20mmの位置で12mm、また半径60mmの位置で3mmとして、その間を連続的に変化させた。図示していないが、主安定化部材3にはディスク回転軸方向の位置制御機構を具備させた。また、そのディスク稜線からのずれ量ΔTは10mmとした。
【0110】
光ピックアップ7は主安定化部材の延在方向に沿って走査するようにした。また、光ディスク1は実施例1と同様のものを用いた。
【0111】
前記光ディスク1を3180rpmで回転させて、主安定化部材3を作用させ、光ピックアップ7の位置にレーザ変位計を配置して、半径45mm位置(同位置での線速は15m/sec)のディスク面振れを評価した。また、同位置にレーザオートコリメータを配置して、ディスク円周接線方向およびディスク半径方向のディスク面の傾きを評価した。この際、主安定化部材3のディスク回転軸方向の位置は、その表面中心部が光ディスク基準面と一致するように固定した。
【0112】
(比較例)
本比較例の構成は図22,図23に示すものであって、円筒状の安定化部材30を1つだけ用いた構成である。安定化部材30は、光ディスク1に対向する端面を曲率半径100mmとし、平面視直径10mmの円柱状の形状とした。
【0113】
なお、ここでは説明のための必要最小限の構成を図示するに留め、詳細な諸制御系などは図示しないが、安定化部材30にはディスク半径方向およびディスク回転軸方向の移動機構を具備させた。
【0114】
前記構成の比較例において、実施例1と同様の構成の光ディスク1を3180rpmのディスク回転数で回転させた。その後、安定化部材30を、その作用面がディスク基準面近傍となるように配置して、ディスク半径45mmの位置において、光ピックアップ7の位置に配置したレーザ変位計によってディスク面振れを計測した。また、同位置にレーザオートコリメータを配置して、ディスク円周接線方向およびディスク半径方向のディスク面の傾きを評価した。
【0115】
本実施例と比較例とにおいて、各半径位置でのディスク面振れを測定した結果は図24に示す通りとなった。図24に示すように、本実施例では、良好なディスク面振れ特性を得ることができ、また、ディスク面振れを抑制した部位における、ディスク円周接線方向およびディスク半径方向のディスク面の傾斜角度を0.1deg以下の極めて小さい値とすることができた。また、これらの良好なディスク面振れ特性は、主安定化部材の複雑な制御などを何ら行うことなく、実現することができた。さらに、これらの良好なディスク面振れ特性はディスク基準面近傍において得られた。
【0116】
比較例と比べると、その差は歴然としており、本発明の効果が絶大であることが理解できる。比較例においては、主安定化部材30をディスク基準面近傍に配置した構成では、主安定化部材30に対する光ディスク1の対抗力が足りずに、十分なディスク面振れの安定化力が得られず、かつ、主安定化部材30の上下流域で発生した空気力学的な正負の圧力の影響により、ディスク面がディスク円周接線方向に大きく傾いた。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、可撓性を有する記録ディスクに対して記録および/または再生処理を行う記録/再生装置、およびその記録ディスクを収納するディスクカートリッジに適用され、本発明が対象とする記録ディスクは、相変化メモリ,光磁気メモリ,ホログラムメモリなどのディスク状の記録ディスクで活用するものすべてを対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明の記録/再生装置の実施形態1を説明するための要部の概略図であって、(a)は要部を示す平面図、(b)は要部を示す正面図
【図2】本発明の記録/再生装置の実施形態2を説明するための要部の概略図であって、(a)は要部を示す平面図、(b)は要部を示す正面図
【図3】本発明の記録/再生装置の実施形態3を説明するための要部の概略図であって、(a)は要部を示す平面図、(b)は要部を示す正面図
【図4】本発明の記録/再生装置の実施形態4を説明するための要部の概略図であって、(a)は要部を示す平面図、(b)は要部を示す正面図
【図5】本実施形態の補助安定化部材の設置例を示す平面図
【図6】本実施形態の補助安定化部材の設置例を示す正面図
【図7】本実施形態の補助安定化部材の設置例を示す正面図
【図8】本実施形態の主安定化部材の作用を説明するための平面図
【図9】本実施形態の主安定化部材による正圧/負圧の発生状態の説明図
【図10】本実施形態の主安定化部材による正圧/負圧の発生状態の説明図
【図11】本実施形態の主安定化部材と光ピックアップの走査構成例を示す平面図
【図12】本実施形態の主安定化部材と光ピックアップの走査構成例を示す平面図
【図13】本実施形態の主安定化部材と光ピックアップの走査構成例を示す平面図
【図14】本実施形態の主安定化部材と光ピックアップの走査構成例を示す平面図
【図15】本実施形態の主安定化部材と光ピックアップの走査構成例を示す平面図
【図16】本実施形態の主安定化部材と光ピックアップの走査構成例を示す平面図
【図17】本発明に係る記録/再生装置の実施形態の概略構成を示す断面図
【図18】本発明に係るディスクカートリッジの実施形態を記録/再生装置にセットした状態を示す要部の断面図
【図19】本実施形態のディスクカートリッジの構成例を示す平面図
【図20】本実施形態のディスクカートリッジの構成例を示す平面図
【図21】本実施形態の主安定化部材と光ピックアップとを一体化した構成例を示す断面図
【図22】比較例としての記録/再生装置の要部を示す平面図
【図23】比較例としての記録/再生装置の要部を示す正面図
【図24】本発明の実施例と比較例とにおいて各半径位置でのディスク面振れを測定した結果を示す図
【符号の説明】
【0119】
1 光ディスク
2 ハブ
3,5,9 主安定化部材
4 補助安定化部材
6 スピンドルモータ
7 光ピックアップ
8 装置本体の筺体
21 ディスクカートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する記録ディスクの回転軸を中心に該記録ディスクを駆動手段により回転させ、前記記録ディスクに対して空気力学的な力を作用させる安定化手段により、前記記録ディスクのディスク面振れを抑制して安定化させ、記録/再生手段の走査により該記録ディスクに情報の記録および/または再生を行う記録/再生装置において、
前記安定化手段として、前記記録/再生手段による記録/再生位置のディスク面振れを抑制するための主安定化部材と、前記記録/再生位置以外のディスク面を安定化させる補助安定化部材とを備えた記録/再生装置であって、
前記補助安定化部材を、前記記録ディスクのディスク面を該記録ディスクの回転軸に垂直な面から傾けるように該記録ディスクに作用させ、前記主安定化部材を、前記記録ディスク回転方向に正圧または負圧を発生させ、前記記録ディスクの記録/再生面における傾きを打ち消す方向に該記録ディスクに作用させることを特徴とする記録/再生装置。
【請求項2】
可撓性を有する記録ディスクの回転軸を中心に該記録ディスクを駆動手段により回転させ、前記記録ディスクに対して空気力学的な力を作用させる安定化手段により、前記記録ディスクのディスク面振れを抑制して安定化させ、記録/再生手段の走査により該記録ディスクに情報の記録および/または再生を行う記録/再生装置において、
前記安定化手段として、前記記録/再生手段による記録/再生位置のディスク面振れを抑制するための主安定化部材と、前記記録/再生位置以外のディスク面を安定化させる補助安定化部材とを備えた記録/再生装置であって、
前記補助安定化部材を、前記記録ディスクのディスク面を該記録ディスクの回転軸に垂直な面から傾けるように該記録ディスクに作用させ、前記主安定化部材を、前記記録ディスク面の前記傾きによって前記記録ディスク上に形成される稜線部分の近傍にて、前記記録ディスク回転方向に正圧または負圧を発生させ、前記記録ディスクの記録/再生面における傾きを打ち消す方向に該記録ディスクに作用させることを特徴とする記録/再生装置。
【請求項3】
前記主安定化部材により前記記録ディスクの回転方向上流側で正圧を発生させ、また下流側で負圧を発生させ、前記主安定化部材の作用面における前記記録ディスク回転軸方向の速度ベクトル成分の向きと、前記主安定化部材によって発生させる前記正圧の向きが同じになる向きから前記主安定化部材を作用させることを特徴とする請求項1または2記載の記録/再生装置。
【請求項4】
前記主安定化部材により前記記録ディスクの回転方向上流側で負圧を発生させ、また下流側で正圧を発生させ、前記主安定化部材の作用面における前記記録ディスク回転軸方向の速度ベクトル成分の向きと、前記主安定化部材によって発生させる前記正圧の向きが逆になる向きから前記主安定化部材を作用させることを特徴とする請求項1または2記載の記録/再生装置。
【請求項5】
前記主安定化部材に対する前記記録ディスクに対する対向面が、該記録ディスクの回転方向に対して上昇するように傾く部位において、前記回転方向の上流側に正圧を発生させ、前記回転方向の下流側に負圧を発生させるように前記主安定化部材を作用させることを特徴とする請求項1または2記載の記録/再生装置。
【請求項6】
前記主安定化部材に対する前記記録ディスクに対する対向面が、該記録ディスクの回転方向に対して下降するように傾く部位において、前記回転方向の上流側に負圧を発生させ、前記回転方向の下流側に正圧を発生させるように前記主安定化部材を作用させることを特徴とする請求項1または2記載の記録/再生装置。
【請求項7】
前記稜線から任意角度ずれた前記記録ディスクにおける回転半径上の近傍に、前記主安定化部材を作用させることを特徴とする請求項2記載の記録/再生装置。
【請求項8】
前記稜線から任意距離離れた平行線上の近傍に、前記主安定化部材を作用させることを特徴とする請求項2記載の記録/再生装置。
【請求項9】
可撓性を有する記録ディスクの回転軸を中心に該記録ディスクを駆動手段により回転させ、前記記録ディスクに対して空気力学的な力を作用させる安定化手段により、前記記録ディスクのディスク面振れを抑制して安定化させ、記録/再生手段の走査により該記録ディスクに情報の記録および/または再生を行う記録/再生装置において、
前記安定化手段として、前記記録/再生手段による記録/再生位置のディスク面振れを抑制するための主安定化部材と、前記記録/再生位置以外のディスク面を安定化させる補助安定化部材とを備えた記録/再生装置であって、
前記補助安定化部材を、前記記録ディスクの中心付近を通る任意直線によって分けた前記記録ディスク面内の2つの領域の少なくとも一方に作用させ、前記記録ディスクのディスク面を該記録ディスクの回転軸に垂直な面から傾けるように該記録ディスクに作用させ、前記補助安定化部材の作用により前記記録ディスク上に形成される稜線から任意角度ずれたディスク半径上の近傍において前記主安定化部材を作用させる構成にしたことを特徴とする記録/再生装置。
【請求項10】
可撓性を有する記録ディスクの回転軸を中心に該記録ディスクを駆動手段により回転させ、前記記録ディスクに対して空気力学的な力を作用させる安定化手段により、前記記録ディスクのディスク面振れを抑制して安定化させ、記録/再生手段の走査により該記録ディスクに情報の記録および/または再生を行う記録/再生装置において、
前記安定化手段として、前記記録/再生手段による記録/再生位置のディスク面振れを抑制するための主安定化部材と、前記記録/再生位置以外のディスク面を安定化させる補助安定化部材とを備えた記録/再生装置であって、
前記補助安定化部材を、前記記録ディスクの中心付近を通る任意直線によって分けた前記記録ディスク面内の2つの領域の少なくとも一方に作用させ、前記記録ディスクのディスク面を該記録ディスクの回転軸に垂直な面から傾けるように該記録ディスクに作用させ、前記補助安定化部材の作用により前記記録ディスク上に形成される稜線から任意距離離れた平行線上の近傍において前記主安定化部材を作用させる構成にしたことを特徴とする記録/再生装置。
【請求項11】
前記主安定化部材を、前記記録ディスクに情報の記録および/または再生を行う記録/再生ヘッド手段の走査動線に沿って延在させたことを特徴とする請求項1〜10いずれか1項記載の記録/再生装置。
【請求項12】
可撓性を有する記録ディスクが収納され、該記録ディスクの回転時、空気力学的な力を利用して少なくとも記録/再生位置付近における前記記録ディスクの面振れを抑制する主安定化部材が前記記録ディスクに作用することが可能な構成のディスクカートリッジにおいて、
前記記録/再生位置以外のディスク面を安定化させ、かつ前記記録ディスクのディスク面を該記録ディスクの回転軸に垂直な面から傾けるように該記録ディスクに作用する補助安定化部材を具備し、前記記録ディスクの回転駆動時、前記主安定化部材により前記記録ディスク回転方向に正圧または負圧を発生させ、前記記録ディスクの記録/再生面における傾きを打ち消すことを可能にしたことを特徴とするディスクカートリッジ。
【請求項13】
可撓性を有する記録ディスクが収納され、該記録ディスクの回転時、空気力学的な力を利用して少なくとも記録/再生位置付近における前記記録ディスクの面振れを抑制する主安定化部材が前記記録ディスクに作用することが可能な構成のディスクカートリッジにおいて、
前記記録/再生位置以外のディスク面を安定化させ、かつ前記記録ディスクの中心付近を通る任意直線によって分けた前記記録ディスク面内の2つの領域の少なくとも一方に作用し、前記記録ディスクのディスク面を該記録ディスクの回転軸に垂直な面から傾けるように該記録ディスクに作用する補助安定化部材を具備し、前記記録ディスクの回転駆動時、前記主安定化部材により前記記録ディスク回転方向に正圧または負圧を発生させ、前記記録ディスクの記録/再生面における傾きを打ち消すことを可能にしたことを特徴とするディスクカートリッジ。
【請求項14】
前記主安定化部材を、前記記録ディスクに情報の記録および/または再生を行う記録/再生手段の走査動線に沿って延在させて設けたことを特徴とする請求項12または13記載のディスクカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2006−107704(P2006−107704A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−247745(P2005−247745)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(503391577)長太郎エンジニアリング株式会社 (16)