記録/再生装置およびディスクカートリッジ
【課題】ディスク面上の任意半径方向の直線上における全域において良好なディスク面振れ特性を得ることができ、しかも空気力学的な作用力を発生させるための構成を簡略化する。
【解決手段】可撓性を有する記録ディスクである光ディスク1に対して光走査を行う光ピックアップ4の設置側とは反対側に、光ディスク1の面をディスク半径方向に傾けるような第一の空気力学的な作用力を発生する第一の安定化部材31と、この第一の安定化部材31と一体に形成され、かつ光ディスク1の中心を通る直線Aに対して光ディスク1を平行にさせる第二の作用力を発生する第二の安定化部材32と、光ピックアップ4と光ディスク1を挟んで対向し、かつ第三の空気力学的な作用力を前記ディスク面に作用させる第四の安定化部材30とを設置する。
【解決手段】可撓性を有する記録ディスクである光ディスク1に対して光走査を行う光ピックアップ4の設置側とは反対側に、光ディスク1の面をディスク半径方向に傾けるような第一の空気力学的な作用力を発生する第一の安定化部材31と、この第一の安定化部材31と一体に形成され、かつ光ディスク1の中心を通る直線Aに対して光ディスク1を平行にさせる第二の作用力を発生する第二の安定化部材32と、光ピックアップ4と光ディスク1を挟んで対向し、かつ第三の空気力学的な作用力を前記ディスク面に作用させる第四の安定化部材30とを設置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性を有する記録ディスクに対して記録および/または再生処理を行う記録/再生装置、およびその記録ディスクを収納するディスクカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ放送のデジタル化が始まるなど、大容量のデジタルデータを記録することが情報記録媒体に求められている。例えば、光ディスクの分野においては、記録/再生のために光ディスクに集光される光スポット径を小さくすることが、高密度化のための基本的な方法の一つに挙げられる(以下、光ディスクを代表として説明するが、本発明が対象とする記録/再生装置に用いられる記録ディスクは、相変化メモリ,光磁気メモリ,ホログラムメモリなどのディスク状の記録ディスクで活用するものすべてを対象にし、特に光ディスクに限定するものではない)。
【0003】
このため、光ディスクの高密度化においては、記録/再生のために用いられる光の波長を短く、かつ対物レンズの開口数NAを大きくすることが有効である。光の波長についてはCD(compact disk)では近赤外光の780nm、DVD(digital versatile disk)では赤色光の650nm近傍の波長が用いられている。最近、青紫光の半導体レーザが開発され、今後は400nm近傍のレーザ光が使用されると予想される。
【0004】
また、対物レンズについては、CD用はNA0.5未満であったが、DVD用はNA0.6程度である。今後、さらに開口数(NA)を大きくしてNA0.7以上とすることが求められる。しかし、対物レンズのNAを大きくすること、および光の波長を短くすることは、光を絞るときに収差の影響が大きくなることでもある。したがって、光ディスクのチルトに対するマージンが減ることになる。また、NAを大きくすることによって焦点深度が小さくなるため、フォーカスサーボ精度を上げなくてはならない。
【0005】
さらに、高NAの対物レンズを使用することによって、対物レンズと光ディスクの記録面との距離が小さくなってしまうため、光ディスクの面振れを小さくしておかないと、始動時のフォーカスサーボを引き込む直前、対物レンズと光ディスクとが衝突することがあり、ピックアップの故障の原因となる。
【0006】
短波長,高NAの大容量光ディスクとして、例えば非特許文献1に記載されているように、CDと同程度に厚く、かつ剛性の大きい基板に記録膜を成膜し、記録/再生用の光を基板を通さずに、薄いカバー層内を通して記録膜に対して記録/再生する構成のシステムが提案されている。
【0007】
また、特許文献1〜3あるいは非特許文献1,2には、ベルヌーイの法則による空気力学的作用力を利用して光ディスクにおける面振れを安定化させるため、安定化部材に対向させて可撓性を有する光ディスクを回転させる構成の記録/再生装置、あるいは可撓性を有する光ディスクの構成などについての記載がある。
【特許文献1】特開平7−105657号公報
【特許文献2】特開平10−308059号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/0186636号明細書
【非特許文献1】オー・プラス・イー(O PLUS E)第20巻,第2号,P.183ページ
【非特許文献2】「オプティカル・リードアウト・オブ・ビデオディスク」 アイイーイーイー・トランザクション・オン・コンシューマー・エレクトロニクス(“OPTICAL READOUT OF VIDEODISC”,IEEE TRANSACTION ON CONSUMER ELECTRONICS),1976年11月、P.304−308
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の技術において、光ディスクの基板を剛体で形成すると、回転する光ディスクにおける面振れ,チルトを小さくするためには、きわめて正確な成形をし、かつ熱変形が生じないように低温で記録膜を成膜しなければならない。このことは、光ディスク製造に係るタクトタイムを長くすることになり、コストを上げる原因となる。
【0009】
また、特許文献1,2に記載されている、可撓性を有する光ディスクを安定板上で回転させる方法では、光ディスクと安定化板が接して摺動する危険性が高く、ディスク面あるいは安定化板面が傷ついてしまうという問題がある。この摺動により、発塵を引き起こして、その塵埃などがエラーを発生させる原因となる。
【0010】
また、単に平面状の安定化板を用いただけでは、ディスク面振れの低減効果にも限界があり、高NAの対物レンズを使用する際に、対物レンズとディスクが衝突する危険性は未だ問題として残されたままである。
【0011】
安定化板を用いる方法の一つとして、非特許文献2に記載されているような方法もある。この構成においては、U-shaped stabilizerなる2つの安定化部材から構成される部材により形成した狭いギャップに、フレシキブルディスクを挟んで回転させることにより、飛躍的に小さなディスク面振れに抑えることを実現できるものの、非特許文献2にも記載されているように、フレキシブルディスクと安定化部材の間のギャップが片側25μmと小さいため、安定化部材とディスク間にゴミなどを巻き込んで、記録膜を損傷し、直接エラーを引き起こす危険性がある。特に、この構成においては、安定化部材がディスクの表裏で必ず近接するため、情報記録部をディスクの表裏のいずれに形成した場合にも、この問題は避けることができない。
【0012】
これらの問題を解決するための1つの手段として、本件出願人は、特許文献3などにおいて、光ディスクとの対向面が円弧状をなす円柱状の安定化ガイド部材を用い、光ディスクにおける安定化ガイド部材による空気圧の作用による面振れが安定する部位において、ディスク回転方向上流側と下流側とに空気圧の作用を生じさせない領域(安定化ガイド部材がない空間部)を設けて、面振れを安定化させた部位の前後位置に光ディスクに「逃げ」となる部分を存在させ、面ぶれを安定化させた部位での光ディスクにおける反発力を小さくすることにより、空気力による安定化力の効果を増大させるようにした発明を提案した。
【0013】
特許文献3の発明によれば、可撓性光ディスクの面振れを確実に抑制し、高密度の記録を可能にし、また対物レンズとの摺接などの不具合の発生を防ぐことが可能となるが、反面、実際には、安定化ガイド部材と記録/再生ヘッドとの複雑な位置調整制御が必要となるため、ドライブ制御系の負荷が大きくなるばかりでなく、装置コストがかなり高価なものになってしまう。
【0014】
本発明の目的は、前記課題を解決し、ディスク面上の任意半径方向の直線上における全域において良好なディスク面振れ特性を得ることができ、しかも空気力学的な作用力を発生させるための構成を簡略化することができる記録/再生装置およびディスクカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、可撓性を有する記録ディスクの面内を、記録/再生手段が走査する動線に近接し、かつ前記記録ディスクの中心付近を通る直線によって2つの領域に分け、前記記録ディスク回転時に、前記領域の少なくとも一方に空気力学的な作用力を発生させる空気力学的作用手段を備えた記録/再生装置において、前記作用力として、前記記録ディスク面をディスク半径方向に傾ける第一の作用力と、前記記録ディスク面を前記直線に対して平行にさせる第二の作用力を発生させることを特徴とし、この構成によって、第一の作用力のみを作用させた場合と比べて、記録/再生手段が走査するディスク半径方向全域のディスク面振れを飛躍的に安定化できると共に、このディスク面振れを安定化した領域を略直線上に配置することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の記録/再生装置において、第一の作用力と第二の作用力との発生側に対して記録ディスクを挟んで反対側に第三の作用力を発生させることを特徴とし、この構成によって、請求項1に記載の領域において、空気力学的な第三の作用力を作用させるだけで、容易に極めて小さなディスク面振れ特性を、ディスク半径方向の直線上において得ることができるようになる。また、第三の作用力は記録ディスクの片面に作用させるだけで十分な効果が得られ、特に記録ディスクの両面でディスクを挟み込むなどの構造が必要なくなるため、記録層を第三の作用力の作用面とは逆側に形成する構成にすれば、第三の作用力を発生させる手段と記録ディスクとの衝突により、記録情報が欠落してエラーが増大するなどの不具合の発生を避けることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の記録/再生装置において、空気力学的作用手段における第一の作用力と第二の作用力を発生させる部位を一体化したことを特徴とし、この構成によって、第一,第二の作用力の相対位置を確実に固定することが可能となり、調整などが不要になり、また、作用力を発生させるための部品点数の削減,生産プロセスの簡易化により、コスト削減を図ることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3いずれか1項記載の記録/再生装置において、空気力学的作用手段を、第一の作用力を発生させる第一の安定化部材と、該第一の安定化部材以外の領域において第二の作用力を発生させる第二の安定化部材とによって構成し、第一の安定化部材を記録ディスクに対して反発力を発生させる構造とし、第二の安定化部材において、ディスク対向面の記録/再生手段の動線方向における断面の主形状を略直線状、かつこれに垂直な方向における断面の主形状を凹面形状としたことを特徴とし、この構成によって、効果的に、記録ディスク面をディスク半径方向に傾ける第一の作用力と、記録ディスク面を前記直線に対して平行にさせる第二の作用力を得ることができる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の記録/再生装置において、第一の安定化部材と第二の安定化部材との設置側に対して記録ディスクを挟んで反対側に第四の作用力を発生させる第三の安定化部材を設置し、該第三の安定化部材において、ディスク対向面の記録/再生手段の動線方向における断面の主形状を略直線状、かつこれに垂直な方向における断面の主形状を凸面形状としたことを特徴とし、この構成によって、ディスク面全体の形状の安定性を得ることができると共に、前記直線付近の記録ディスク面の直線化効果を向上させることが可能となる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項4または5記載の記録/再生装置において、第一の安定化部材と第二の安定化部材とを一体化したことを特徴とし、この構成によって、部品設計の段階で、第一の安定化部材と第二の安定化部材との相対位置を固定することが可能となり、装置組み付け時の調整などが不要になる。また部品点数の削減、生産プロセスの簡易化によりコスト削減を図ることができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項4記載の記録/再生装置において、記録/再生手段の設置側に対して記録ディスクを挟んだ反対側に、第三の作用力を発生させる第四の安定化部材を設置したことを特徴とし、この構成によって、第三の作用力をディスク面に作用させることにより、ディスク面振れを飛躍的に低減することができる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項4記載の記録/再生装置において、記録/再生手段に記録ディスクに対して第三の作用力を発生させる第五の安定化部材を設けたことを特徴とし、この構成によって、第三の作用力をディスク面に作用させることにより、ディスク面振れを飛躍的に低減することができる。
【0023】
請求項9に記載の発明は、可撓性を有する記録ディスクを収納し、該記録ディスクの面内を、記録/再生手段が走査する動線に近接し、かつ前記記録ディスクの中心付近を通る直線によって2つの領域に分け、前記記録ディスク回転時に、前記領域の少なくとも一方に空気力学的な作用力を発生させる空気力学的作用手段を備えたディスクカートリッジにおいて、前記空気力学的作用手段として、前記記録ディスク面をディスク半径方向に傾ける第一の作用力を発生させる第一の安定化部材と、該第一の安定化部材以外の領域において前記第二の作用力を発生させる第二の安定化部材とを備えたことを特徴とし、この構成によって、前記各請求項の作用効果を、記録/再生装置側の構成を簡略化して得ることができる。また、ディスクカートリッジごとに前記第一の安定化部材および第二の安定化部材を個別に設定することができることから、様々なディスク仕様ごとに第一の安定部材および第二の安定部材を個々に設計することが容易になって、ディスク仕様のばらつきによる安定化条件のずれを補正することが容易になる。
【0024】
請求項10に記載の発明は、請求項9記載のディスクカートリッジにおいて、第一の安定化部材を記録ディスクに対して反発力を発生させる構造とし、第二の安定化部材において、ディスク対向面の記録/再生手段の動線方向における断面の主形状を略直線状、かつこれに垂直な方向における断面の主形状を凹面形状としたことを特徴とし、この構成によって、効果的に、記録ディスク面をディスク半径方向に傾ける第一の作用力と、記録ディスク面を前記直線に対して平行にさせる第二の作用力を得ることができる。
【0025】
請求項11に記載の発明は、請求項9または10記載のディスクカートリッジにおいて、第一の安定化部材と第二の安定化部材との設置側に対して記録ディスクを挟んで反対側に第四の作用力を発生させる第三の安定化部材を設置し、該第三の安定化部材において、ディスク対向面の記録/再生手段の動線方向における断面の主形状を略直線状、かつこれに垂直な方向における断面の主形状を凸面形状としたことを特徴とし、この構成によって、ディスク面全体の形状の安定性を得ることができると共に、前記直線付近の記録ディスク面の直線化効果を向上させることが可能となる。
【0026】
請求項12に記載の発明は、請求項9〜11いずれか1項記載のディスクカートリッジにおいて、前記第一の安定化部材と第二の安定化部材とを一体化したことを特徴とし、この構成によって、部品設計の段階で、第一の安定化部材と第二の安定化部材との相対位置を固定することが可能となり、装置組み付け時の調整などが不要になる。また部品点数の削減、生産プロセスの簡易化によりコスト削減を図ることができる。
【0027】
請求項13に記載の発明は、請求項9または10記載のディスクカートリッジにおいて、記録/再生手段の設置側に対して記録ディスクを挟んだ反対側に、第三の作用力を発生させる第四の安定化部材を設置したことを特徴とし、この構成によって、第三の作用力をディスク面に作用させることにより、ディスク面振れを飛躍的に低減することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る記録/再生装置およびディスクカートリッジによれば、記録ディスクの面内を、記録/再生手段が走査する動線に近接し、かつ前記記録ディスクの中心付近を通る直線Aによって2つの領域に分け、前記記録ディスク回転時に、該領域の少なくとも一方に、空気力学的な作用力を発生させる機構を有する記録/再生装置において、前記作用力が、前記記録ディスク面をディスク半径方向に傾ける第一の作用力と、前記記録ディスク面を前記直線Aに対して平行にさせる第二の作用力からなるようにしたことにより、第一の作用力のみを作用させた場合と比べて、記録/再生手段が走査するディスク半径方向全域のディスク面振れを飛躍的に安定化できると共に、このディスク面振れを安定化した領域を略直線上に配置することができた。この領域においては、簡単な構成により空気力学的な第三の作用力を作用させるだけで、容易に極めて小さなディスク面振れ特性を、ディスク半径方向の直線上において得ることができるようになった。これにより、ディスク面上の任意半径方向の直線上全域において良好なディスク面振れ特性を得ることができる、空気力学的な作用の構成動作を簡略化した記録/再生装置およびディスクカートリッジの提供を実現することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の概要について説明する。
【0030】
本発明に係る記録/再生装置における基本である、回転する記録ディスクに対して空気力学的な力を作用させた場合の現象に関して、各種実験を行い考察を行ったところ、記録ディスク面上の任意の部位に、記録ディスク面をディスク半径方向に傾けるような空気力学的な力(第一の作用力)を作用させた際には、作用させた部位からディスク回転方向の上下流側に約±90度離れた付近の記録ディスク面に半径方向に向かう直線化力が付与されると共に、記録ディスク面の剛性が上がり、かつ記録ディスク面付近のディスク面振れが安定する現象を捕らえた。この現象を利用した記録/再生装置を試作して、各種実験を行い考察を行った。
【0031】
図1は前記試作した記録/再生装置の要部の平面図、図2は図1に示す装置の正面図であり、1は可撓性を有する記録ディスクである光ディスク、2は光ディスク1の回転中心(中央)部分に装着された光ディスク1を回転させるために保持する一方の保持部材のハブ、3は他方の保持部材であるチャッキング部をハブ2に嵌合して光ディスク1を回転駆動するスピンドルモータ、4は、光ディスク1の半径方向に移動して光ディスク1に対して光ビームを集光させ、情報の記録/再生処理を行うため光ディスク1に対して光走査(動線R方向)を行う記録/再生手段である光ピックアップである。
【0032】
さらに、31は前記第一の作用力をディスク面に作用させるための第一の安定化部材である。本試作機においては、光ピックアップ4の動線Rに近接し、光ディスク1の中心付近を通る直線Aにより2つに分けたディスク面の領域S1,S2に、それぞれ空気力学的な力を作用させる構成とした。
【0033】
この試作機により、前記直線A付近の光ディスク面全域(光ピックアップ動線R付近に限らず、動線Rから180度ずれた位置も含む)において、ディスク面振れが安定化する現象が実証された。さらに検討を重ねた結果、光ディスク面を前記直線Aに対して平行にさせる第二の作用力を作用させることにより、ディスク面の直線化効果と面振れ抑制効果が向上することが新たに判明した。
【0034】
前記第一の作用力と第二の作用力とを複合させて作用させることにより奏される前記直線A付近の記録ディスク面の直線化効果,剛性向上効果、および面振れ抑制効果により、前記直線A付近のディスク面において、ディスク面振れを安定させた直線状領域が得られるようになり、前記直線A付近における第三の作用力による効果的なディスク面振れの安定化を、何ら複雑な制御機構を用いることなく、容易に前記直線A付近の直線上において実現することができた。
【0035】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0036】
図3は本発明の実施形態1を説明するための記録/再生装置の要部の正面図である。なお、以下の説明において、既に説明した部材に対応する部材には同一符号を付して説明する。
【0037】
図3において、1は可撓性を有する記録ディスクである光ディスク、2は光ディスク1の回転中心(中央)部分に装着された光ディスク1を回転させるために保持する一方の保持部材であるハブ、3は他方の保持部材であるチャッキング部をハブ2に嵌合して光ディスク1を回転駆動するスピンドルモータ、4は、光ディスク1の半径方向に移動して光ディスク1に対して光ビームを集光させ、情報の記録/再生処理を行うため光ディスク1に対して光走査(動線R方向)を行う記録/再生手段である光ピックアップ、10は記録/再生装置における装置本体の筐体である。
【0038】
さらに、31は第一の空気力学的な作用力をディスク面に作用させるための第一の安定化部材、32は、第一の安定化部材31と一体に形成され、第二の空気力学的な作用力をディスク面に作用させるための第二の安定化部材、30は、光ピックアップ4と光ディスク1を挟んで対向設置され、第三の空気力学的な作用力をディスク面に作用させるための第四の安定化部材である。
【0039】
図3に示す記録/再生装置の構成では装置本体の筺体10に、第一の安定化部材31と第二の安定化部材32を設けた構成について説明したが、図4に示す記録/再生装置の断面図のように、第一の安定化部材31と第二の安定化部材32をディスクカートリッジ11に設けてもよい。また、図5,図6は図4におけるカートリッジの構成を示す図であって、図5はカートリッジの平面図、図6は図5におけるA−A一部断面図である。
【0040】
図5,図6において、12は第四の安定化部材30が挿入され、ディスク半径方向に移動可能にするための第1の通孔部、13は光ピックアップ4およびスピンドルモータ3の一部が挿入され、かつ光ピックアップ4をディスク半径方向に移動可能にするための第2の通孔部である。なお、前記通孔部12,13を開閉するためのシャッタ、あるいはカートリッジ内で光ディスク1を固定するための機構、さらにカートリッジをスピンドルモータ3に設置する際に必要なその他の機構などに関しては図示していない。
【0041】
図7は本発明の実施形態2を説明するための記録/再生装置の要部の正面図である。実施形態2において実施形態1と異なる構成は、前記第一の安定化部材31と第二の安定化部材32に光ディスク1を介して対向配設されて、第四の空気力学的な作用力をディスク面に作用させるための第三の安定化部材33を設けた点である。
【0042】
実施形態2において、図7に示す記録/再生装置の構成では装置本体の筺体10内に、第一の安定化部材31と第二の安定化部材32と第三の安定化部材33とを設けた構成について説明したが、図8に示す記録/再生装置の断面図のように、第一の安定化部材31と第二の安定化部材32と第三の安定化部材33とをディスクカートリッジ11に設けるようにしてもよい。また、図9,図10は図8におけるカートリッジの構成を示す図であって、図9はカートリッジの平面図、図10は図9におけるA−A一部断面図である。
【0043】
前記各実施形態について具体的に説明する。
【0044】
図3〜図6に示す実施形態1に係る構成では、第一の安定部材31と、第二の安定化部材32の作用により、光ピックアップ4が走査するディスク半径方向全域のディスク面振れを安定化することができると共に、このディスク面振れを安定化した領域を略直線上に配置することができた。これにより、第四の安定化部材30などの簡単な構成の機構により空気力学的な第三の作用力を光ディスク1に作用させるだけで、容易に極めて小さなディスク面振れ特性を、ディスク半径方向の直線A上において得ることができるようになった。
【0045】
また、図7〜図10に示す実施形態2に係る構成では、第一の安定部材31と、第二の安定化部材32の作用により、光ピックアップ4が走査するディスク半径方向全域のディスク面振れを安定化させることができると共に、このディスク面振れが安定化した領域を略直線A上に配置することができ、さらに第三の安定化部材33の光ディスク1に対する作用により、ディスク面全体の形状安定性を得ることができると共に、ディスク面振れを安定化した前記領域の直線化効果を向上させることができた。これにより、実施形態1の効果をさらに向上させることができた。
【0046】
以下、実施形態2に係るディスクカートリッジの変形例について説明する。しかし、以下に説明する変形例の構成は、第三の安定化部材33を具備しない実施形態1においても適用できる構成であり、また、ディスクカートリッジを使用しない記録/再生装置においても適用可能である。
【0047】
図11に示す実施形態2の変形例1では、第三の作用力を発生させるための第五の安定化部材35を、第三の安定化部材33に形成した移動用溝33a内で、かつ第一の安定部材31と第二の安定化部材32に対して光ディスク1を介して対向設置される光ピックアップ4の上面側に形成している。
【0048】
図12,図13は図11の変形例1におけるディスクカートリッジ11の構成を示す図であって、図12はカートリッジの平面図、図13は図12におけるA−A一部断面図であり、第五の安定化部材35が上面に形成された光ピックアップ4のディスク半径方向への移動を可能にするため、第三の安定化部材33に移動用溝33aを形成している。
【0049】
図14,図15は実施形態2の変形例2におけるディスクカートリッジ11の構成を示す図であって、図14はカートリッジの平面図、図15は図14におけるA−A一部断面図であり、変形例2においては、第一の安定化部材31と第二の安定化部材32を光ディスク1の半面のみに配置した構成を採用している。
【0050】
図16,図17は実施形態2の変形例3におけるディスクカートリッジ11の構成を示す図であって、図16はカートリッジの平面図、図17は図16におけるA−A一部断面図であり、変形例3においては、第四の安定化部材30として、光ディスク1の対向面の光ピックアップ4の動線方向断面の主形状を直線状、かつこれに垂直な方向の断面を凸曲面形状として、ディスク半径方向に延在させた構成を採用している。
【0051】
図18,図19は実施形態2の変形例4におけるディスクカートリッジ11の構成を示す図であって、図18はカートリッジの平面図、図19は図18におけるA−A一部断面図であり、変形例4においては、光ディスク1の面内を、光ピックアップ4が走査する動線に近接し、かつ光ディスク1の中心O付近を通る直線Aを起点として、略45度間隔で8つの領域(A,B,C,D,E,F,G,H)に分け、前記起点から略45度〜略90度の領域B内、および前記起点から略90度〜略135度の領域C内、および前記起点から略225度〜略270度の領域F内、および前記起点から略270度〜略315度の領域G内における前記記録ディスクが可撓性を呈する部位に、それぞれ第一の安定化部材31を1つ存在させる構成としたものである。
【0052】
図20は実施形態2の変形例5における記録/再生装置の構成を示す断面図であって、第五の安定化部材35を端面に形成した光ピックアップ4を、第一の安定化部材31と第二の安定化部材32の設置側と同じ側に、ディスク半径方向に移動可能に設けたものである。
【0053】
なお、変形例を含む、前記全ての実施形態においては、第一の安定化部材31と第二の安定化部材32とを一体化して1つの安定化部材として構成することが可能であり、また、第四の安定化部材30を、第一の安定化部材31と第二の安定化部材32の設置側に対して、光ディスク1を挟んで逆側に配置してもよい。
【0054】
図21〜図23は実施形態2の変形例6を示す図であって、図21は記録/再生装置の断面図、図22は該記録/再生装置で用いているディスクカートリッジの平面図、図23は図22におけるA−A一部断面図である。
【0055】
変形例6では、図8〜図10に示す実施形態2において第二の安定化部材32に突出させて設けた第一の安定化部材31をなくして、第二の安定化部材32の下面(光ディスク1側)を単純な湾曲面32aの形状とし、この湾曲面32aの傾斜部において第一の作用力と第二の作用力の両方の発生機能を担わせている。変形例6における安定化部材は、既述した第二の安定化部材32がベースとなっていることから、第二の安定化部材と称す。
【0056】
図24〜図26は実施形態2の変形例7を示す図であって、図24は記録/再生装置の断面図、図25は該記録/再生装置で用いているディスクカートリッジの平面図、図26は図25におけるA−A一部断面図である。
【0057】
変形例7では、変形例6と同様に第二の安定化部材32の下面を単純な湾曲面32aの形状とし、この湾曲面32aの傾斜部に第一の作用力と第二の作用力の両方の発生機能を担わせ、さらに第三の作用力の発生機能を、湾曲面32aの稜線部分(第二の安定化部材32の中心孔)に担わせている。変形例7においても、安定化部材は既述した第二の安定化部材32がベースとなっていることから、第二の安定化部材と称す。
【0058】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいてより具体的に説明する。
【0059】
(実施例1)
実施例1において、図4〜図6に示す構成を採用した。第一,第二の安定化部材31,32を複合させた形状は3次元の複雑形状であり、その面形状を厳密には言い表せないが、本発明の効果を奏するための主な形状要素は以下の通りである。
【0060】
まず、第一の安定化部材31は光ディスク(直径120mm)1に対向する面を曲率半径200mmとし、光ディスク1に対向する面の形状を直径25mmの略円状とした。また、第二の安定化部材32は、光ディスク1の対向面の光ピックアップ4の動線方向断面の主形状を直線状、かつこれに垂直な方向の断面が曲率半径(250mm)の凹面形状とした。
【0061】
また、実施例1では、ディスク基板として直径120mm,厚さ75μmのポリカーボネイト製シートを用いた。ディスクを準備するにあたっては、まず、前記シートに、熱転写でスタンパのピッチ0.6μm、幅0.3μmのグルーブを転写し、その後、スパッタリングでシート/Ag反射層 120nm/(ZrO2−Y2O3)−SiO2 7nm/AgInSbTeGe 10nm/ZnS−SiO2 25nm/Si3N4 10nmの順番に成膜した。情報記録領域は内周直径40mmから外周直径118mmまで(半径20mm〜58mm)の範囲に設定した。その後、UV樹脂をスピンコートし、紫外線照射で硬化させて厚さ5μmの透明保護膜を形成した。また、逆側の面には10μm厚のハードコートを施した。なお、このディスク中心部には外形直径30mm,内径直径15mm、厚み0.3mmのハブ2を取り付けた。このディスクの仕上がり状態はハードコート側に僅かに反った形状となった。
【0062】
前記光ディスク1を、15m/secのディスク回転数で回転させ、第一,第二の安定化部材31,32を光ディスク1に作用させた。この状態で第四の安定化部材30をディスク半径方向に走査(半径25mm,40mm,55mmの3水準)させ、光ピックアップ4の位置にレーザ変位計を配置してディスク面振れを評価した。この際、第四の安定化部材30のディスク回転軸方向の位置は、光ディスク基準面(光ディスクが平坦と仮定した場合の第四の安定化部材側の面)に固定した。
【0063】
(実施例2)
実施例2において、図8〜図10に示す構成を採用した。第一,第二の安定化部材31,32については実施例1と同様とした。第三の安定化部材33については、光ディスク1の対向面の光ピックアップ4の動線方向断面の主形状を直線状、かつこれに垂直な方向の断面が曲率半径(250mm)の凸面形状とした。
【0064】
光ディスク1は実施例1と同様のものを用い、光ディスク1を、15m/secのディスク回転数で回転させ、第一〜第三の安定化部材31〜33を光ディスク1に作用させた。この状態で第四の安定化部材30をディスク半径方向に走査(半径25mm,40mm,55mmの3水準)させ、光ピックアップ4の位置にレーザ変位計を配置してディスク面振れを評価した。この際、第四の安定化部材30のディスク回転軸方向の位置は、光ディスク基準面(光ディスクが平坦と仮定した場合の第四の安定化部材側の面)に固定した。
【0065】
(実施例3)
実施例3において、図11〜図13に示す構成を採用した。第一〜第三の安定化部材31〜33については実施例2と同様とした。
【0066】
光ディスク1は実施例1と同様のものを用いた。光ディスク1を15m/secのディスク回転数で回転させ、第一〜第三の安定化部材31〜33を光ディスク1に作用させた。この状態で第五の安定化部材35を形成した光ピックアップ4を、フォーカスサーボをかけた状態でディスク半径方向に走査(半径25mm,40mm,55mmの3水準)させ、フォーカス位置でのディスク面振れをレーザ変位計により計測した。なお、レーザ変位計による計測のため、ディスクカートリッジ11を透明部材により作製し、ディスク面振れ計測はディスクカートリッジ11を透過することにより実施した。この際、第五の安定化部材35のディスク回転軸方向の位置は、光ディスク基準面(光ディスクが平坦と仮定した場合の第五の安定化部材側の面)に固定した。
【0067】
(実施例4)
実施例4において、図21〜図23に示す構成を採用した。第二の安定化部材32は、光ディスク1の対向面の光ピックアップ4の動線方向断面の主形状を直線状、かつこれに垂直な方向の断面が曲率半径(1000mm)の凹面形状とした。また、第三の安定化部材33は、光ディスク1の対向面の光ピックアップ4の動線方向断面の主形状を直線状、かつこれに垂直な方向の断面が曲率半径(1000mm)の凸面形状とした。
【0068】
光ディスク1は実施例1と同様のものを用い、光ディスク1を、15m/secのディスク回転数で回転させ、第二,第三の安定化部材32,33を光ディスク1に作用させた。この状態で第四の安定化部材30をディスク半径方向に走査(半径25mm,40mm,55mmの3水準)させ、光ピックアップ4の位置にレーザ変位計を配置してディスク面振れを評価した。この際、第四の安定化部材30のディスク回転軸方向の位置は、光ディスク基準面(光ディスクが平坦と仮定した場合の第四の安定化部材側の面)に固定した。
【0069】
(実施例5)
実施例5において、図24〜図26に示す構成を採用した。第二の安定化部材32は、光ディスク1の対向面の光ピックアップ4の動線方向断面の主形状を直線状、かつこれに垂直な方向の断面が曲率半径(1000mm)の凹面形状とした。また、第三の安定化部材33は、光ディスク1の対向面の光ピックアップ4の動線方向断面の主形状を直線状、かつこれに垂直な方向の断面が曲率半径(1000mm)の凸面形状とした。
【0070】
光ディスク1は実施例1と同様のものを用い、光ディスク1を、15m/secのディスク回転数で回転させ、第二,第三の安定化部材32,33を光ディスク1に作用させた。この状態で光ピックアップ4の位置にレーザ変位計を配置してディスク面振れを評価した。評価半径位置は半径25mm,40mm,55mmの3水準とした。この際、第二の安定化部材32のディスク回転軸方向の位置は、第二の安定化部材32の稜線が光ディスク基準面(光ディスクが平坦と仮定した場合の第二の安定化部材側の面)から100μm離れた位置となるように設定した。
【0071】
(比較例)
比較例の構成は図27の平面図,図28の正面図に示す構成のものであって、円筒状の安定化部材36を1つだけ用いた構成である。安定化部材36は、光ディスク1に対向する端面を曲率半径100mmとし、平面視直径10mmの円柱状の形状とした。
【0072】
なお、ここでは説明するための必要最小限の構成を図示するに留め、制御系などの詳細については図示しないが、安定化部材36にはディスク半径方向の移動機構を具備させた。
【0073】
前記構成の比較例において、実施例1と同様のディスクを15m/secのディスク回転数で回転させた。その後、安定化部材36を、その作用面がディスク基準面近傍となるように配置して、ディスク半径方向を移動させ、25mm,40mm,55mmの各ディスク半径位置において、光ピックアップ4の位置に配置したレーザ変位計によってディスク面振れを計測した。
【0074】
なお、図27,図28においては、安定化部材36をディスク基準面に対して押し込んだ例を示してあるが、本比較例はこの押し込み量を零とした。
【0075】
前記各実施例と比較例において、各半径位置でのディスク面振れの測定結果は、図29に示す通りとなった。この結果に示すように、本実施例では、ディスク面上の任意半径方向の直線上全域において良好なディスク面振れ特性を得ることができた。この良好なディスク面振れを得るにあたっては、第三の作用力を発生させる第四の安定化部材30あるいは第五の安定化部材35に、複雑な機構を持たせ、また何ら複雑な動作を行わせるような必要はなかった。すなわち、極めて簡略化した構成動作による空気力学的な力の作用のみで、前記の良好なディスク面振れ特性を得ることができた。比較例と比べると、その差は顕著であり、本発明の効果が絶大であることが理解できる。
【0076】
また、本実施例で示すように、光ピックアップ4の設置側に対して光ディスク1を挟んで反対側に安定化部材を配置して、光ディスク1における記録/再生部分のディスク面振れを抑制する構成の記録/再生装置、光ピックアップ4自体に安定化部材を具備させて、記録/再生部分のディスク面振れを抑制する構成の記録/再生装置などに適用して有効であったが、これに限るものではなく、空気力学的な作用力により記録/再生位置のディスク面振れを安定化して記録/再生を行う構成の記録/再生装置全般において適用可能であり、その適用範囲を何ら制限するものではない。
【0077】
このように、本実施形態,本実施例では、簡略化した空気力学的な作用力の構成・動作により、ディスク面上の任意半径方向の直線上全域において良好なディスク面振れ特性を得ることのできる記録/再生装置,ディスクカートリッジを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、可撓性を有する記録ディスクに対して記録および/または再生処理を行う記録/再生装置、およびその記録ディスクを収納するディスクカートリッジに適用され、本発明が対象とする記録ディスクとしては、相変化メモリ,光磁気メモリ,ホログラムメモリなどのディスク状の記録ディスクで活用するものすべてを対象とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の概略を説明するための記録/再生装置の要部の平面図
【図2】図1に示す記録/再生装置の正面図
【図3】本発明の実施形態1を説明するための記録/再生装置の要部の正面図
【図4】第一の安定化部材と第二の安定化部材を設けた本発明の実施形態1に係るディスクカートリッジを説明するための断面図
【図5】図4のカートリッジの構成を示す平面図
【図6】図5のカートリッジにおけるA−A一部断面図
【図7】本発明の実施形態2を説明するための記録/再生装置の要部の正面図
【図8】第一〜第三の安定化部材を設けた本発明の実施形態2に係るディスクカートリッジを説明するための断面図
【図9】図8のカートリッジの構成を示す平面図
【図10】図9のカートリッジにおけるA−A一部断面図
【図11】実施形態2の記録/再生装置の変形例1における要部を示す断面図
【図12】図11の変形例1におけるディスクカートリッジの平面図
【図13】図12のカートリッジにおけるA−A一部断面図
【図14】実施形態2の変形例2におけるディスクカートリッジの構成を示す平面図
【図15】図14のカートリッジにおけるA−A一部断面図
【図16】実施形態2の変形例3におけるディスクカートリッジの構成を示す平面図
【図17】図16のカートリッジにおけるA−A一部断面図
【図18】実施形態2の変形例4におけるディスクカートリッジの構成を示す平面図
【図19】図18のカートリッジにおけるA−A一部断面図
【図20】実施形態2の変形例5における記録/再生装置の構成を示す断面図
【図21】実施形態2の変形例6を示す記録/再生装置の断面図
【図22】変形例6の記録/再生装置で用いているディスクカートリッジの平面図
【図23】図22のカートリッジにおけるA−A一部断面図
【図24】実施形態2の変形例7を示す記録/再生装置の断面図
【図25】変形例7の記録/再生装置で用いているディスクカートリッジの平面図
【図26】図25のカートリッジにおけるA−A一部断面図
【図27】本発明の比較例の構成を示す平面図
【図28】図27の比較例の正面図
【図29】本発明に係る実施例と比較例とにおける各半径位置でのディスク面振れの測定結果を示す図
【符号の説明】
【0080】
1 可撓性を有する光ディスク(記録ディスク)
3 スピンドルモータ
4 光ピックアップ(記録/再生手段)
30 第四の安定化部材
31 第一の安定化部材
32 第二の安定化部材
33 第三の安定化部材
35 第五の安定化部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性を有する記録ディスクに対して記録および/または再生処理を行う記録/再生装置、およびその記録ディスクを収納するディスクカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ放送のデジタル化が始まるなど、大容量のデジタルデータを記録することが情報記録媒体に求められている。例えば、光ディスクの分野においては、記録/再生のために光ディスクに集光される光スポット径を小さくすることが、高密度化のための基本的な方法の一つに挙げられる(以下、光ディスクを代表として説明するが、本発明が対象とする記録/再生装置に用いられる記録ディスクは、相変化メモリ,光磁気メモリ,ホログラムメモリなどのディスク状の記録ディスクで活用するものすべてを対象にし、特に光ディスクに限定するものではない)。
【0003】
このため、光ディスクの高密度化においては、記録/再生のために用いられる光の波長を短く、かつ対物レンズの開口数NAを大きくすることが有効である。光の波長についてはCD(compact disk)では近赤外光の780nm、DVD(digital versatile disk)では赤色光の650nm近傍の波長が用いられている。最近、青紫光の半導体レーザが開発され、今後は400nm近傍のレーザ光が使用されると予想される。
【0004】
また、対物レンズについては、CD用はNA0.5未満であったが、DVD用はNA0.6程度である。今後、さらに開口数(NA)を大きくしてNA0.7以上とすることが求められる。しかし、対物レンズのNAを大きくすること、および光の波長を短くすることは、光を絞るときに収差の影響が大きくなることでもある。したがって、光ディスクのチルトに対するマージンが減ることになる。また、NAを大きくすることによって焦点深度が小さくなるため、フォーカスサーボ精度を上げなくてはならない。
【0005】
さらに、高NAの対物レンズを使用することによって、対物レンズと光ディスクの記録面との距離が小さくなってしまうため、光ディスクの面振れを小さくしておかないと、始動時のフォーカスサーボを引き込む直前、対物レンズと光ディスクとが衝突することがあり、ピックアップの故障の原因となる。
【0006】
短波長,高NAの大容量光ディスクとして、例えば非特許文献1に記載されているように、CDと同程度に厚く、かつ剛性の大きい基板に記録膜を成膜し、記録/再生用の光を基板を通さずに、薄いカバー層内を通して記録膜に対して記録/再生する構成のシステムが提案されている。
【0007】
また、特許文献1〜3あるいは非特許文献1,2には、ベルヌーイの法則による空気力学的作用力を利用して光ディスクにおける面振れを安定化させるため、安定化部材に対向させて可撓性を有する光ディスクを回転させる構成の記録/再生装置、あるいは可撓性を有する光ディスクの構成などについての記載がある。
【特許文献1】特開平7−105657号公報
【特許文献2】特開平10−308059号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/0186636号明細書
【非特許文献1】オー・プラス・イー(O PLUS E)第20巻,第2号,P.183ページ
【非特許文献2】「オプティカル・リードアウト・オブ・ビデオディスク」 アイイーイーイー・トランザクション・オン・コンシューマー・エレクトロニクス(“OPTICAL READOUT OF VIDEODISC”,IEEE TRANSACTION ON CONSUMER ELECTRONICS),1976年11月、P.304−308
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の技術において、光ディスクの基板を剛体で形成すると、回転する光ディスクにおける面振れ,チルトを小さくするためには、きわめて正確な成形をし、かつ熱変形が生じないように低温で記録膜を成膜しなければならない。このことは、光ディスク製造に係るタクトタイムを長くすることになり、コストを上げる原因となる。
【0009】
また、特許文献1,2に記載されている、可撓性を有する光ディスクを安定板上で回転させる方法では、光ディスクと安定化板が接して摺動する危険性が高く、ディスク面あるいは安定化板面が傷ついてしまうという問題がある。この摺動により、発塵を引き起こして、その塵埃などがエラーを発生させる原因となる。
【0010】
また、単に平面状の安定化板を用いただけでは、ディスク面振れの低減効果にも限界があり、高NAの対物レンズを使用する際に、対物レンズとディスクが衝突する危険性は未だ問題として残されたままである。
【0011】
安定化板を用いる方法の一つとして、非特許文献2に記載されているような方法もある。この構成においては、U-shaped stabilizerなる2つの安定化部材から構成される部材により形成した狭いギャップに、フレシキブルディスクを挟んで回転させることにより、飛躍的に小さなディスク面振れに抑えることを実現できるものの、非特許文献2にも記載されているように、フレキシブルディスクと安定化部材の間のギャップが片側25μmと小さいため、安定化部材とディスク間にゴミなどを巻き込んで、記録膜を損傷し、直接エラーを引き起こす危険性がある。特に、この構成においては、安定化部材がディスクの表裏で必ず近接するため、情報記録部をディスクの表裏のいずれに形成した場合にも、この問題は避けることができない。
【0012】
これらの問題を解決するための1つの手段として、本件出願人は、特許文献3などにおいて、光ディスクとの対向面が円弧状をなす円柱状の安定化ガイド部材を用い、光ディスクにおける安定化ガイド部材による空気圧の作用による面振れが安定する部位において、ディスク回転方向上流側と下流側とに空気圧の作用を生じさせない領域(安定化ガイド部材がない空間部)を設けて、面振れを安定化させた部位の前後位置に光ディスクに「逃げ」となる部分を存在させ、面ぶれを安定化させた部位での光ディスクにおける反発力を小さくすることにより、空気力による安定化力の効果を増大させるようにした発明を提案した。
【0013】
特許文献3の発明によれば、可撓性光ディスクの面振れを確実に抑制し、高密度の記録を可能にし、また対物レンズとの摺接などの不具合の発生を防ぐことが可能となるが、反面、実際には、安定化ガイド部材と記録/再生ヘッドとの複雑な位置調整制御が必要となるため、ドライブ制御系の負荷が大きくなるばかりでなく、装置コストがかなり高価なものになってしまう。
【0014】
本発明の目的は、前記課題を解決し、ディスク面上の任意半径方向の直線上における全域において良好なディスク面振れ特性を得ることができ、しかも空気力学的な作用力を発生させるための構成を簡略化することができる記録/再生装置およびディスクカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、可撓性を有する記録ディスクの面内を、記録/再生手段が走査する動線に近接し、かつ前記記録ディスクの中心付近を通る直線によって2つの領域に分け、前記記録ディスク回転時に、前記領域の少なくとも一方に空気力学的な作用力を発生させる空気力学的作用手段を備えた記録/再生装置において、前記作用力として、前記記録ディスク面をディスク半径方向に傾ける第一の作用力と、前記記録ディスク面を前記直線に対して平行にさせる第二の作用力を発生させることを特徴とし、この構成によって、第一の作用力のみを作用させた場合と比べて、記録/再生手段が走査するディスク半径方向全域のディスク面振れを飛躍的に安定化できると共に、このディスク面振れを安定化した領域を略直線上に配置することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の記録/再生装置において、第一の作用力と第二の作用力との発生側に対して記録ディスクを挟んで反対側に第三の作用力を発生させることを特徴とし、この構成によって、請求項1に記載の領域において、空気力学的な第三の作用力を作用させるだけで、容易に極めて小さなディスク面振れ特性を、ディスク半径方向の直線上において得ることができるようになる。また、第三の作用力は記録ディスクの片面に作用させるだけで十分な効果が得られ、特に記録ディスクの両面でディスクを挟み込むなどの構造が必要なくなるため、記録層を第三の作用力の作用面とは逆側に形成する構成にすれば、第三の作用力を発生させる手段と記録ディスクとの衝突により、記録情報が欠落してエラーが増大するなどの不具合の発生を避けることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の記録/再生装置において、空気力学的作用手段における第一の作用力と第二の作用力を発生させる部位を一体化したことを特徴とし、この構成によって、第一,第二の作用力の相対位置を確実に固定することが可能となり、調整などが不要になり、また、作用力を発生させるための部品点数の削減,生産プロセスの簡易化により、コスト削減を図ることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3いずれか1項記載の記録/再生装置において、空気力学的作用手段を、第一の作用力を発生させる第一の安定化部材と、該第一の安定化部材以外の領域において第二の作用力を発生させる第二の安定化部材とによって構成し、第一の安定化部材を記録ディスクに対して反発力を発生させる構造とし、第二の安定化部材において、ディスク対向面の記録/再生手段の動線方向における断面の主形状を略直線状、かつこれに垂直な方向における断面の主形状を凹面形状としたことを特徴とし、この構成によって、効果的に、記録ディスク面をディスク半径方向に傾ける第一の作用力と、記録ディスク面を前記直線に対して平行にさせる第二の作用力を得ることができる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の記録/再生装置において、第一の安定化部材と第二の安定化部材との設置側に対して記録ディスクを挟んで反対側に第四の作用力を発生させる第三の安定化部材を設置し、該第三の安定化部材において、ディスク対向面の記録/再生手段の動線方向における断面の主形状を略直線状、かつこれに垂直な方向における断面の主形状を凸面形状としたことを特徴とし、この構成によって、ディスク面全体の形状の安定性を得ることができると共に、前記直線付近の記録ディスク面の直線化効果を向上させることが可能となる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項4または5記載の記録/再生装置において、第一の安定化部材と第二の安定化部材とを一体化したことを特徴とし、この構成によって、部品設計の段階で、第一の安定化部材と第二の安定化部材との相対位置を固定することが可能となり、装置組み付け時の調整などが不要になる。また部品点数の削減、生産プロセスの簡易化によりコスト削減を図ることができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項4記載の記録/再生装置において、記録/再生手段の設置側に対して記録ディスクを挟んだ反対側に、第三の作用力を発生させる第四の安定化部材を設置したことを特徴とし、この構成によって、第三の作用力をディスク面に作用させることにより、ディスク面振れを飛躍的に低減することができる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項4記載の記録/再生装置において、記録/再生手段に記録ディスクに対して第三の作用力を発生させる第五の安定化部材を設けたことを特徴とし、この構成によって、第三の作用力をディスク面に作用させることにより、ディスク面振れを飛躍的に低減することができる。
【0023】
請求項9に記載の発明は、可撓性を有する記録ディスクを収納し、該記録ディスクの面内を、記録/再生手段が走査する動線に近接し、かつ前記記録ディスクの中心付近を通る直線によって2つの領域に分け、前記記録ディスク回転時に、前記領域の少なくとも一方に空気力学的な作用力を発生させる空気力学的作用手段を備えたディスクカートリッジにおいて、前記空気力学的作用手段として、前記記録ディスク面をディスク半径方向に傾ける第一の作用力を発生させる第一の安定化部材と、該第一の安定化部材以外の領域において前記第二の作用力を発生させる第二の安定化部材とを備えたことを特徴とし、この構成によって、前記各請求項の作用効果を、記録/再生装置側の構成を簡略化して得ることができる。また、ディスクカートリッジごとに前記第一の安定化部材および第二の安定化部材を個別に設定することができることから、様々なディスク仕様ごとに第一の安定部材および第二の安定部材を個々に設計することが容易になって、ディスク仕様のばらつきによる安定化条件のずれを補正することが容易になる。
【0024】
請求項10に記載の発明は、請求項9記載のディスクカートリッジにおいて、第一の安定化部材を記録ディスクに対して反発力を発生させる構造とし、第二の安定化部材において、ディスク対向面の記録/再生手段の動線方向における断面の主形状を略直線状、かつこれに垂直な方向における断面の主形状を凹面形状としたことを特徴とし、この構成によって、効果的に、記録ディスク面をディスク半径方向に傾ける第一の作用力と、記録ディスク面を前記直線に対して平行にさせる第二の作用力を得ることができる。
【0025】
請求項11に記載の発明は、請求項9または10記載のディスクカートリッジにおいて、第一の安定化部材と第二の安定化部材との設置側に対して記録ディスクを挟んで反対側に第四の作用力を発生させる第三の安定化部材を設置し、該第三の安定化部材において、ディスク対向面の記録/再生手段の動線方向における断面の主形状を略直線状、かつこれに垂直な方向における断面の主形状を凸面形状としたことを特徴とし、この構成によって、ディスク面全体の形状の安定性を得ることができると共に、前記直線付近の記録ディスク面の直線化効果を向上させることが可能となる。
【0026】
請求項12に記載の発明は、請求項9〜11いずれか1項記載のディスクカートリッジにおいて、前記第一の安定化部材と第二の安定化部材とを一体化したことを特徴とし、この構成によって、部品設計の段階で、第一の安定化部材と第二の安定化部材との相対位置を固定することが可能となり、装置組み付け時の調整などが不要になる。また部品点数の削減、生産プロセスの簡易化によりコスト削減を図ることができる。
【0027】
請求項13に記載の発明は、請求項9または10記載のディスクカートリッジにおいて、記録/再生手段の設置側に対して記録ディスクを挟んだ反対側に、第三の作用力を発生させる第四の安定化部材を設置したことを特徴とし、この構成によって、第三の作用力をディスク面に作用させることにより、ディスク面振れを飛躍的に低減することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る記録/再生装置およびディスクカートリッジによれば、記録ディスクの面内を、記録/再生手段が走査する動線に近接し、かつ前記記録ディスクの中心付近を通る直線Aによって2つの領域に分け、前記記録ディスク回転時に、該領域の少なくとも一方に、空気力学的な作用力を発生させる機構を有する記録/再生装置において、前記作用力が、前記記録ディスク面をディスク半径方向に傾ける第一の作用力と、前記記録ディスク面を前記直線Aに対して平行にさせる第二の作用力からなるようにしたことにより、第一の作用力のみを作用させた場合と比べて、記録/再生手段が走査するディスク半径方向全域のディスク面振れを飛躍的に安定化できると共に、このディスク面振れを安定化した領域を略直線上に配置することができた。この領域においては、簡単な構成により空気力学的な第三の作用力を作用させるだけで、容易に極めて小さなディスク面振れ特性を、ディスク半径方向の直線上において得ることができるようになった。これにより、ディスク面上の任意半径方向の直線上全域において良好なディスク面振れ特性を得ることができる、空気力学的な作用の構成動作を簡略化した記録/再生装置およびディスクカートリッジの提供を実現することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の概要について説明する。
【0030】
本発明に係る記録/再生装置における基本である、回転する記録ディスクに対して空気力学的な力を作用させた場合の現象に関して、各種実験を行い考察を行ったところ、記録ディスク面上の任意の部位に、記録ディスク面をディスク半径方向に傾けるような空気力学的な力(第一の作用力)を作用させた際には、作用させた部位からディスク回転方向の上下流側に約±90度離れた付近の記録ディスク面に半径方向に向かう直線化力が付与されると共に、記録ディスク面の剛性が上がり、かつ記録ディスク面付近のディスク面振れが安定する現象を捕らえた。この現象を利用した記録/再生装置を試作して、各種実験を行い考察を行った。
【0031】
図1は前記試作した記録/再生装置の要部の平面図、図2は図1に示す装置の正面図であり、1は可撓性を有する記録ディスクである光ディスク、2は光ディスク1の回転中心(中央)部分に装着された光ディスク1を回転させるために保持する一方の保持部材のハブ、3は他方の保持部材であるチャッキング部をハブ2に嵌合して光ディスク1を回転駆動するスピンドルモータ、4は、光ディスク1の半径方向に移動して光ディスク1に対して光ビームを集光させ、情報の記録/再生処理を行うため光ディスク1に対して光走査(動線R方向)を行う記録/再生手段である光ピックアップである。
【0032】
さらに、31は前記第一の作用力をディスク面に作用させるための第一の安定化部材である。本試作機においては、光ピックアップ4の動線Rに近接し、光ディスク1の中心付近を通る直線Aにより2つに分けたディスク面の領域S1,S2に、それぞれ空気力学的な力を作用させる構成とした。
【0033】
この試作機により、前記直線A付近の光ディスク面全域(光ピックアップ動線R付近に限らず、動線Rから180度ずれた位置も含む)において、ディスク面振れが安定化する現象が実証された。さらに検討を重ねた結果、光ディスク面を前記直線Aに対して平行にさせる第二の作用力を作用させることにより、ディスク面の直線化効果と面振れ抑制効果が向上することが新たに判明した。
【0034】
前記第一の作用力と第二の作用力とを複合させて作用させることにより奏される前記直線A付近の記録ディスク面の直線化効果,剛性向上効果、および面振れ抑制効果により、前記直線A付近のディスク面において、ディスク面振れを安定させた直線状領域が得られるようになり、前記直線A付近における第三の作用力による効果的なディスク面振れの安定化を、何ら複雑な制御機構を用いることなく、容易に前記直線A付近の直線上において実現することができた。
【0035】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0036】
図3は本発明の実施形態1を説明するための記録/再生装置の要部の正面図である。なお、以下の説明において、既に説明した部材に対応する部材には同一符号を付して説明する。
【0037】
図3において、1は可撓性を有する記録ディスクである光ディスク、2は光ディスク1の回転中心(中央)部分に装着された光ディスク1を回転させるために保持する一方の保持部材であるハブ、3は他方の保持部材であるチャッキング部をハブ2に嵌合して光ディスク1を回転駆動するスピンドルモータ、4は、光ディスク1の半径方向に移動して光ディスク1に対して光ビームを集光させ、情報の記録/再生処理を行うため光ディスク1に対して光走査(動線R方向)を行う記録/再生手段である光ピックアップ、10は記録/再生装置における装置本体の筐体である。
【0038】
さらに、31は第一の空気力学的な作用力をディスク面に作用させるための第一の安定化部材、32は、第一の安定化部材31と一体に形成され、第二の空気力学的な作用力をディスク面に作用させるための第二の安定化部材、30は、光ピックアップ4と光ディスク1を挟んで対向設置され、第三の空気力学的な作用力をディスク面に作用させるための第四の安定化部材である。
【0039】
図3に示す記録/再生装置の構成では装置本体の筺体10に、第一の安定化部材31と第二の安定化部材32を設けた構成について説明したが、図4に示す記録/再生装置の断面図のように、第一の安定化部材31と第二の安定化部材32をディスクカートリッジ11に設けてもよい。また、図5,図6は図4におけるカートリッジの構成を示す図であって、図5はカートリッジの平面図、図6は図5におけるA−A一部断面図である。
【0040】
図5,図6において、12は第四の安定化部材30が挿入され、ディスク半径方向に移動可能にするための第1の通孔部、13は光ピックアップ4およびスピンドルモータ3の一部が挿入され、かつ光ピックアップ4をディスク半径方向に移動可能にするための第2の通孔部である。なお、前記通孔部12,13を開閉するためのシャッタ、あるいはカートリッジ内で光ディスク1を固定するための機構、さらにカートリッジをスピンドルモータ3に設置する際に必要なその他の機構などに関しては図示していない。
【0041】
図7は本発明の実施形態2を説明するための記録/再生装置の要部の正面図である。実施形態2において実施形態1と異なる構成は、前記第一の安定化部材31と第二の安定化部材32に光ディスク1を介して対向配設されて、第四の空気力学的な作用力をディスク面に作用させるための第三の安定化部材33を設けた点である。
【0042】
実施形態2において、図7に示す記録/再生装置の構成では装置本体の筺体10内に、第一の安定化部材31と第二の安定化部材32と第三の安定化部材33とを設けた構成について説明したが、図8に示す記録/再生装置の断面図のように、第一の安定化部材31と第二の安定化部材32と第三の安定化部材33とをディスクカートリッジ11に設けるようにしてもよい。また、図9,図10は図8におけるカートリッジの構成を示す図であって、図9はカートリッジの平面図、図10は図9におけるA−A一部断面図である。
【0043】
前記各実施形態について具体的に説明する。
【0044】
図3〜図6に示す実施形態1に係る構成では、第一の安定部材31と、第二の安定化部材32の作用により、光ピックアップ4が走査するディスク半径方向全域のディスク面振れを安定化することができると共に、このディスク面振れを安定化した領域を略直線上に配置することができた。これにより、第四の安定化部材30などの簡単な構成の機構により空気力学的な第三の作用力を光ディスク1に作用させるだけで、容易に極めて小さなディスク面振れ特性を、ディスク半径方向の直線A上において得ることができるようになった。
【0045】
また、図7〜図10に示す実施形態2に係る構成では、第一の安定部材31と、第二の安定化部材32の作用により、光ピックアップ4が走査するディスク半径方向全域のディスク面振れを安定化させることができると共に、このディスク面振れが安定化した領域を略直線A上に配置することができ、さらに第三の安定化部材33の光ディスク1に対する作用により、ディスク面全体の形状安定性を得ることができると共に、ディスク面振れを安定化した前記領域の直線化効果を向上させることができた。これにより、実施形態1の効果をさらに向上させることができた。
【0046】
以下、実施形態2に係るディスクカートリッジの変形例について説明する。しかし、以下に説明する変形例の構成は、第三の安定化部材33を具備しない実施形態1においても適用できる構成であり、また、ディスクカートリッジを使用しない記録/再生装置においても適用可能である。
【0047】
図11に示す実施形態2の変形例1では、第三の作用力を発生させるための第五の安定化部材35を、第三の安定化部材33に形成した移動用溝33a内で、かつ第一の安定部材31と第二の安定化部材32に対して光ディスク1を介して対向設置される光ピックアップ4の上面側に形成している。
【0048】
図12,図13は図11の変形例1におけるディスクカートリッジ11の構成を示す図であって、図12はカートリッジの平面図、図13は図12におけるA−A一部断面図であり、第五の安定化部材35が上面に形成された光ピックアップ4のディスク半径方向への移動を可能にするため、第三の安定化部材33に移動用溝33aを形成している。
【0049】
図14,図15は実施形態2の変形例2におけるディスクカートリッジ11の構成を示す図であって、図14はカートリッジの平面図、図15は図14におけるA−A一部断面図であり、変形例2においては、第一の安定化部材31と第二の安定化部材32を光ディスク1の半面のみに配置した構成を採用している。
【0050】
図16,図17は実施形態2の変形例3におけるディスクカートリッジ11の構成を示す図であって、図16はカートリッジの平面図、図17は図16におけるA−A一部断面図であり、変形例3においては、第四の安定化部材30として、光ディスク1の対向面の光ピックアップ4の動線方向断面の主形状を直線状、かつこれに垂直な方向の断面を凸曲面形状として、ディスク半径方向に延在させた構成を採用している。
【0051】
図18,図19は実施形態2の変形例4におけるディスクカートリッジ11の構成を示す図であって、図18はカートリッジの平面図、図19は図18におけるA−A一部断面図であり、変形例4においては、光ディスク1の面内を、光ピックアップ4が走査する動線に近接し、かつ光ディスク1の中心O付近を通る直線Aを起点として、略45度間隔で8つの領域(A,B,C,D,E,F,G,H)に分け、前記起点から略45度〜略90度の領域B内、および前記起点から略90度〜略135度の領域C内、および前記起点から略225度〜略270度の領域F内、および前記起点から略270度〜略315度の領域G内における前記記録ディスクが可撓性を呈する部位に、それぞれ第一の安定化部材31を1つ存在させる構成としたものである。
【0052】
図20は実施形態2の変形例5における記録/再生装置の構成を示す断面図であって、第五の安定化部材35を端面に形成した光ピックアップ4を、第一の安定化部材31と第二の安定化部材32の設置側と同じ側に、ディスク半径方向に移動可能に設けたものである。
【0053】
なお、変形例を含む、前記全ての実施形態においては、第一の安定化部材31と第二の安定化部材32とを一体化して1つの安定化部材として構成することが可能であり、また、第四の安定化部材30を、第一の安定化部材31と第二の安定化部材32の設置側に対して、光ディスク1を挟んで逆側に配置してもよい。
【0054】
図21〜図23は実施形態2の変形例6を示す図であって、図21は記録/再生装置の断面図、図22は該記録/再生装置で用いているディスクカートリッジの平面図、図23は図22におけるA−A一部断面図である。
【0055】
変形例6では、図8〜図10に示す実施形態2において第二の安定化部材32に突出させて設けた第一の安定化部材31をなくして、第二の安定化部材32の下面(光ディスク1側)を単純な湾曲面32aの形状とし、この湾曲面32aの傾斜部において第一の作用力と第二の作用力の両方の発生機能を担わせている。変形例6における安定化部材は、既述した第二の安定化部材32がベースとなっていることから、第二の安定化部材と称す。
【0056】
図24〜図26は実施形態2の変形例7を示す図であって、図24は記録/再生装置の断面図、図25は該記録/再生装置で用いているディスクカートリッジの平面図、図26は図25におけるA−A一部断面図である。
【0057】
変形例7では、変形例6と同様に第二の安定化部材32の下面を単純な湾曲面32aの形状とし、この湾曲面32aの傾斜部に第一の作用力と第二の作用力の両方の発生機能を担わせ、さらに第三の作用力の発生機能を、湾曲面32aの稜線部分(第二の安定化部材32の中心孔)に担わせている。変形例7においても、安定化部材は既述した第二の安定化部材32がベースとなっていることから、第二の安定化部材と称す。
【0058】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいてより具体的に説明する。
【0059】
(実施例1)
実施例1において、図4〜図6に示す構成を採用した。第一,第二の安定化部材31,32を複合させた形状は3次元の複雑形状であり、その面形状を厳密には言い表せないが、本発明の効果を奏するための主な形状要素は以下の通りである。
【0060】
まず、第一の安定化部材31は光ディスク(直径120mm)1に対向する面を曲率半径200mmとし、光ディスク1に対向する面の形状を直径25mmの略円状とした。また、第二の安定化部材32は、光ディスク1の対向面の光ピックアップ4の動線方向断面の主形状を直線状、かつこれに垂直な方向の断面が曲率半径(250mm)の凹面形状とした。
【0061】
また、実施例1では、ディスク基板として直径120mm,厚さ75μmのポリカーボネイト製シートを用いた。ディスクを準備するにあたっては、まず、前記シートに、熱転写でスタンパのピッチ0.6μm、幅0.3μmのグルーブを転写し、その後、スパッタリングでシート/Ag反射層 120nm/(ZrO2−Y2O3)−SiO2 7nm/AgInSbTeGe 10nm/ZnS−SiO2 25nm/Si3N4 10nmの順番に成膜した。情報記録領域は内周直径40mmから外周直径118mmまで(半径20mm〜58mm)の範囲に設定した。その後、UV樹脂をスピンコートし、紫外線照射で硬化させて厚さ5μmの透明保護膜を形成した。また、逆側の面には10μm厚のハードコートを施した。なお、このディスク中心部には外形直径30mm,内径直径15mm、厚み0.3mmのハブ2を取り付けた。このディスクの仕上がり状態はハードコート側に僅かに反った形状となった。
【0062】
前記光ディスク1を、15m/secのディスク回転数で回転させ、第一,第二の安定化部材31,32を光ディスク1に作用させた。この状態で第四の安定化部材30をディスク半径方向に走査(半径25mm,40mm,55mmの3水準)させ、光ピックアップ4の位置にレーザ変位計を配置してディスク面振れを評価した。この際、第四の安定化部材30のディスク回転軸方向の位置は、光ディスク基準面(光ディスクが平坦と仮定した場合の第四の安定化部材側の面)に固定した。
【0063】
(実施例2)
実施例2において、図8〜図10に示す構成を採用した。第一,第二の安定化部材31,32については実施例1と同様とした。第三の安定化部材33については、光ディスク1の対向面の光ピックアップ4の動線方向断面の主形状を直線状、かつこれに垂直な方向の断面が曲率半径(250mm)の凸面形状とした。
【0064】
光ディスク1は実施例1と同様のものを用い、光ディスク1を、15m/secのディスク回転数で回転させ、第一〜第三の安定化部材31〜33を光ディスク1に作用させた。この状態で第四の安定化部材30をディスク半径方向に走査(半径25mm,40mm,55mmの3水準)させ、光ピックアップ4の位置にレーザ変位計を配置してディスク面振れを評価した。この際、第四の安定化部材30のディスク回転軸方向の位置は、光ディスク基準面(光ディスクが平坦と仮定した場合の第四の安定化部材側の面)に固定した。
【0065】
(実施例3)
実施例3において、図11〜図13に示す構成を採用した。第一〜第三の安定化部材31〜33については実施例2と同様とした。
【0066】
光ディスク1は実施例1と同様のものを用いた。光ディスク1を15m/secのディスク回転数で回転させ、第一〜第三の安定化部材31〜33を光ディスク1に作用させた。この状態で第五の安定化部材35を形成した光ピックアップ4を、フォーカスサーボをかけた状態でディスク半径方向に走査(半径25mm,40mm,55mmの3水準)させ、フォーカス位置でのディスク面振れをレーザ変位計により計測した。なお、レーザ変位計による計測のため、ディスクカートリッジ11を透明部材により作製し、ディスク面振れ計測はディスクカートリッジ11を透過することにより実施した。この際、第五の安定化部材35のディスク回転軸方向の位置は、光ディスク基準面(光ディスクが平坦と仮定した場合の第五の安定化部材側の面)に固定した。
【0067】
(実施例4)
実施例4において、図21〜図23に示す構成を採用した。第二の安定化部材32は、光ディスク1の対向面の光ピックアップ4の動線方向断面の主形状を直線状、かつこれに垂直な方向の断面が曲率半径(1000mm)の凹面形状とした。また、第三の安定化部材33は、光ディスク1の対向面の光ピックアップ4の動線方向断面の主形状を直線状、かつこれに垂直な方向の断面が曲率半径(1000mm)の凸面形状とした。
【0068】
光ディスク1は実施例1と同様のものを用い、光ディスク1を、15m/secのディスク回転数で回転させ、第二,第三の安定化部材32,33を光ディスク1に作用させた。この状態で第四の安定化部材30をディスク半径方向に走査(半径25mm,40mm,55mmの3水準)させ、光ピックアップ4の位置にレーザ変位計を配置してディスク面振れを評価した。この際、第四の安定化部材30のディスク回転軸方向の位置は、光ディスク基準面(光ディスクが平坦と仮定した場合の第四の安定化部材側の面)に固定した。
【0069】
(実施例5)
実施例5において、図24〜図26に示す構成を採用した。第二の安定化部材32は、光ディスク1の対向面の光ピックアップ4の動線方向断面の主形状を直線状、かつこれに垂直な方向の断面が曲率半径(1000mm)の凹面形状とした。また、第三の安定化部材33は、光ディスク1の対向面の光ピックアップ4の動線方向断面の主形状を直線状、かつこれに垂直な方向の断面が曲率半径(1000mm)の凸面形状とした。
【0070】
光ディスク1は実施例1と同様のものを用い、光ディスク1を、15m/secのディスク回転数で回転させ、第二,第三の安定化部材32,33を光ディスク1に作用させた。この状態で光ピックアップ4の位置にレーザ変位計を配置してディスク面振れを評価した。評価半径位置は半径25mm,40mm,55mmの3水準とした。この際、第二の安定化部材32のディスク回転軸方向の位置は、第二の安定化部材32の稜線が光ディスク基準面(光ディスクが平坦と仮定した場合の第二の安定化部材側の面)から100μm離れた位置となるように設定した。
【0071】
(比較例)
比較例の構成は図27の平面図,図28の正面図に示す構成のものであって、円筒状の安定化部材36を1つだけ用いた構成である。安定化部材36は、光ディスク1に対向する端面を曲率半径100mmとし、平面視直径10mmの円柱状の形状とした。
【0072】
なお、ここでは説明するための必要最小限の構成を図示するに留め、制御系などの詳細については図示しないが、安定化部材36にはディスク半径方向の移動機構を具備させた。
【0073】
前記構成の比較例において、実施例1と同様のディスクを15m/secのディスク回転数で回転させた。その後、安定化部材36を、その作用面がディスク基準面近傍となるように配置して、ディスク半径方向を移動させ、25mm,40mm,55mmの各ディスク半径位置において、光ピックアップ4の位置に配置したレーザ変位計によってディスク面振れを計測した。
【0074】
なお、図27,図28においては、安定化部材36をディスク基準面に対して押し込んだ例を示してあるが、本比較例はこの押し込み量を零とした。
【0075】
前記各実施例と比較例において、各半径位置でのディスク面振れの測定結果は、図29に示す通りとなった。この結果に示すように、本実施例では、ディスク面上の任意半径方向の直線上全域において良好なディスク面振れ特性を得ることができた。この良好なディスク面振れを得るにあたっては、第三の作用力を発生させる第四の安定化部材30あるいは第五の安定化部材35に、複雑な機構を持たせ、また何ら複雑な動作を行わせるような必要はなかった。すなわち、極めて簡略化した構成動作による空気力学的な力の作用のみで、前記の良好なディスク面振れ特性を得ることができた。比較例と比べると、その差は顕著であり、本発明の効果が絶大であることが理解できる。
【0076】
また、本実施例で示すように、光ピックアップ4の設置側に対して光ディスク1を挟んで反対側に安定化部材を配置して、光ディスク1における記録/再生部分のディスク面振れを抑制する構成の記録/再生装置、光ピックアップ4自体に安定化部材を具備させて、記録/再生部分のディスク面振れを抑制する構成の記録/再生装置などに適用して有効であったが、これに限るものではなく、空気力学的な作用力により記録/再生位置のディスク面振れを安定化して記録/再生を行う構成の記録/再生装置全般において適用可能であり、その適用範囲を何ら制限するものではない。
【0077】
このように、本実施形態,本実施例では、簡略化した空気力学的な作用力の構成・動作により、ディスク面上の任意半径方向の直線上全域において良好なディスク面振れ特性を得ることのできる記録/再生装置,ディスクカートリッジを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、可撓性を有する記録ディスクに対して記録および/または再生処理を行う記録/再生装置、およびその記録ディスクを収納するディスクカートリッジに適用され、本発明が対象とする記録ディスクとしては、相変化メモリ,光磁気メモリ,ホログラムメモリなどのディスク状の記録ディスクで活用するものすべてを対象とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の概略を説明するための記録/再生装置の要部の平面図
【図2】図1に示す記録/再生装置の正面図
【図3】本発明の実施形態1を説明するための記録/再生装置の要部の正面図
【図4】第一の安定化部材と第二の安定化部材を設けた本発明の実施形態1に係るディスクカートリッジを説明するための断面図
【図5】図4のカートリッジの構成を示す平面図
【図6】図5のカートリッジにおけるA−A一部断面図
【図7】本発明の実施形態2を説明するための記録/再生装置の要部の正面図
【図8】第一〜第三の安定化部材を設けた本発明の実施形態2に係るディスクカートリッジを説明するための断面図
【図9】図8のカートリッジの構成を示す平面図
【図10】図9のカートリッジにおけるA−A一部断面図
【図11】実施形態2の記録/再生装置の変形例1における要部を示す断面図
【図12】図11の変形例1におけるディスクカートリッジの平面図
【図13】図12のカートリッジにおけるA−A一部断面図
【図14】実施形態2の変形例2におけるディスクカートリッジの構成を示す平面図
【図15】図14のカートリッジにおけるA−A一部断面図
【図16】実施形態2の変形例3におけるディスクカートリッジの構成を示す平面図
【図17】図16のカートリッジにおけるA−A一部断面図
【図18】実施形態2の変形例4におけるディスクカートリッジの構成を示す平面図
【図19】図18のカートリッジにおけるA−A一部断面図
【図20】実施形態2の変形例5における記録/再生装置の構成を示す断面図
【図21】実施形態2の変形例6を示す記録/再生装置の断面図
【図22】変形例6の記録/再生装置で用いているディスクカートリッジの平面図
【図23】図22のカートリッジにおけるA−A一部断面図
【図24】実施形態2の変形例7を示す記録/再生装置の断面図
【図25】変形例7の記録/再生装置で用いているディスクカートリッジの平面図
【図26】図25のカートリッジにおけるA−A一部断面図
【図27】本発明の比較例の構成を示す平面図
【図28】図27の比較例の正面図
【図29】本発明に係る実施例と比較例とにおける各半径位置でのディスク面振れの測定結果を示す図
【符号の説明】
【0080】
1 可撓性を有する光ディスク(記録ディスク)
3 スピンドルモータ
4 光ピックアップ(記録/再生手段)
30 第四の安定化部材
31 第一の安定化部材
32 第二の安定化部材
33 第三の安定化部材
35 第五の安定化部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する記録ディスクの面内を、記録/再生手段が走査する動線に近接し、かつ前記記録ディスクの中心付近を通る直線によって2つの領域に分け、前記記録ディスク回転時に、前記領域の少なくとも一方に空気力学的な作用力を発生させる空気力学的作用手段を備えた記録/再生装置において、前記作用力として、前記記録ディスク面をディスク半径方向に傾ける第一の作用力と、前記記録ディスク面を前記直線に対して平行にさせる第二の作用力を発生させることを特徴とする記録/再生装置。
【請求項2】
前記第一の作用力と前記第二の作用力との発生側に対して前記記録ディスクを挟んで反対側に第三の作用力を発生させることを特徴とする請求項1記載の記録/再生装置。
【請求項3】
前記空気力学的作用手段における前記第一の作用力と前記第二の作用力を発生させる部位を一体化したことを特徴とする請求項1または2記載の記録/再生装置。
【請求項4】
前記空気力学的作用手段を、前記第一の作用力を発生させる第一の安定化部材と、該第一の安定化部材以外の領域において前記第二の作用力を発生させる第二の安定化部材とによって構成し、前記第一の安定化部材を前記記録ディスクに対して反発力を発生させる構造とし、前記第二の安定化部材において、ディスク対向面の前記記録/再生手段の動線方向における断面の主形状を略直線状、かつこれに垂直な方向における断面の主形状を凹面形状としたことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の記録/再生装置。
【請求項5】
前記第一の安定化部材と前記第二の安定化部材との設置側に対して前記記録ディスクを挟んで反対側に第四の作用力を発生させる第三の安定化部材を設置し、該第三の安定化部材において、ディスク対向面の記録/再生手段の動線方向における断面の主形状を略直線状、かつこれに垂直な方向における断面の主形状を凸面形状としたことを特徴とする請求項4記載の記録/再生装置。
【請求項6】
前記第一の安定化部材と前記第二の安定化部材とを一体化したことを特徴とする請求項4または5記載の記録/再生装置。
【請求項7】
前記記録/再生手段の設置側に対して前記記録ディスクを挟んだ反対側に、第三の作用力を発生させる第四の安定化部材を設置したことを特徴とする請求項4記載の記録/再生装置。
【請求項8】
前記記録/再生手段に前記記録ディスクに対して第三の作用力を発生させる第五の安定化部材を設けたことを特徴とする請求項4記載の記録/再生装置。
【請求項9】
可撓性を有する記録ディスクを収納し、該記録ディスクの面内を、記録/再生手段が走査する動線に近接し、かつ前記記録ディスクの中心付近を通る直線によって2つの領域分け、前記記録ディスク回転時に、前記領域の少なくとも一方に空気力学的な作用力を発生させる空気力学的作用手段を備えたディスクカートリッジにおいて、前記空気力学的作用手段として、前記記録ディスク面をディスク半径方向に傾ける第一の作用力を発生させる第一の安定化部材と、該第一の安定化部材以外の領域において前記第二の作用力を発生させる第二の安定化部材とを備えたことを特徴とするディスクカートリッジ。
【請求項10】
前記第一の安定化部材を前記記録ディスクに対して反発力を発生させる構造とし、前記第二の安定化部材において、ディスク対向面の前記記録/再生手段の動線方向における断面の主形状を略直線状、かつこれに垂直な方向における断面の主形状を凹面形状としたことを特徴とする請求項9記載のディスクカートリッジ。
【請求項11】
前記第一の安定化部材と前記第二の安定化部材との設置側に対して前記記録ディスクを挟んで反対側に第四の作用力を発生させる第三の安定化部材を設置し、該第三の安定化部材において、ディスク対向面の記録/再生手段の動線方向における断面の主形状を略直線状、かつこれに垂直な方向における断面の主形状を凸面形状としたことを特徴とする請求項9または10記載のディスクカートリッジ。
【請求項12】
前記第一の安定化部材と前記第二の安定化部材とを一体化したことを特徴とする請求項9〜11いずれか1項記載のディスクカートリッジ。
【請求項13】
前記記録/再生手段の設置側に対して前記記録ディスクを挟んだ反対側に、第三の作用力を発生させる第四の安定化部材を設置したことを特徴とする請求項9または10記載のディスクカートリッジ。
【請求項1】
可撓性を有する記録ディスクの面内を、記録/再生手段が走査する動線に近接し、かつ前記記録ディスクの中心付近を通る直線によって2つの領域に分け、前記記録ディスク回転時に、前記領域の少なくとも一方に空気力学的な作用力を発生させる空気力学的作用手段を備えた記録/再生装置において、前記作用力として、前記記録ディスク面をディスク半径方向に傾ける第一の作用力と、前記記録ディスク面を前記直線に対して平行にさせる第二の作用力を発生させることを特徴とする記録/再生装置。
【請求項2】
前記第一の作用力と前記第二の作用力との発生側に対して前記記録ディスクを挟んで反対側に第三の作用力を発生させることを特徴とする請求項1記載の記録/再生装置。
【請求項3】
前記空気力学的作用手段における前記第一の作用力と前記第二の作用力を発生させる部位を一体化したことを特徴とする請求項1または2記載の記録/再生装置。
【請求項4】
前記空気力学的作用手段を、前記第一の作用力を発生させる第一の安定化部材と、該第一の安定化部材以外の領域において前記第二の作用力を発生させる第二の安定化部材とによって構成し、前記第一の安定化部材を前記記録ディスクに対して反発力を発生させる構造とし、前記第二の安定化部材において、ディスク対向面の前記記録/再生手段の動線方向における断面の主形状を略直線状、かつこれに垂直な方向における断面の主形状を凹面形状としたことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の記録/再生装置。
【請求項5】
前記第一の安定化部材と前記第二の安定化部材との設置側に対して前記記録ディスクを挟んで反対側に第四の作用力を発生させる第三の安定化部材を設置し、該第三の安定化部材において、ディスク対向面の記録/再生手段の動線方向における断面の主形状を略直線状、かつこれに垂直な方向における断面の主形状を凸面形状としたことを特徴とする請求項4記載の記録/再生装置。
【請求項6】
前記第一の安定化部材と前記第二の安定化部材とを一体化したことを特徴とする請求項4または5記載の記録/再生装置。
【請求項7】
前記記録/再生手段の設置側に対して前記記録ディスクを挟んだ反対側に、第三の作用力を発生させる第四の安定化部材を設置したことを特徴とする請求項4記載の記録/再生装置。
【請求項8】
前記記録/再生手段に前記記録ディスクに対して第三の作用力を発生させる第五の安定化部材を設けたことを特徴とする請求項4記載の記録/再生装置。
【請求項9】
可撓性を有する記録ディスクを収納し、該記録ディスクの面内を、記録/再生手段が走査する動線に近接し、かつ前記記録ディスクの中心付近を通る直線によって2つの領域分け、前記記録ディスク回転時に、前記領域の少なくとも一方に空気力学的な作用力を発生させる空気力学的作用手段を備えたディスクカートリッジにおいて、前記空気力学的作用手段として、前記記録ディスク面をディスク半径方向に傾ける第一の作用力を発生させる第一の安定化部材と、該第一の安定化部材以外の領域において前記第二の作用力を発生させる第二の安定化部材とを備えたことを特徴とするディスクカートリッジ。
【請求項10】
前記第一の安定化部材を前記記録ディスクに対して反発力を発生させる構造とし、前記第二の安定化部材において、ディスク対向面の前記記録/再生手段の動線方向における断面の主形状を略直線状、かつこれに垂直な方向における断面の主形状を凹面形状としたことを特徴とする請求項9記載のディスクカートリッジ。
【請求項11】
前記第一の安定化部材と前記第二の安定化部材との設置側に対して前記記録ディスクを挟んで反対側に第四の作用力を発生させる第三の安定化部材を設置し、該第三の安定化部材において、ディスク対向面の記録/再生手段の動線方向における断面の主形状を略直線状、かつこれに垂直な方向における断面の主形状を凸面形状としたことを特徴とする請求項9または10記載のディスクカートリッジ。
【請求項12】
前記第一の安定化部材と前記第二の安定化部材とを一体化したことを特徴とする請求項9〜11いずれか1項記載のディスクカートリッジ。
【請求項13】
前記記録/再生手段の設置側に対して前記記録ディスクを挟んだ反対側に、第三の作用力を発生させる第四の安定化部材を設置したことを特徴とする請求項9または10記載のディスクカートリッジ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
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【図18】
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【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2006−139894(P2006−139894A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−155367(P2005−155367)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(503391577)長太郎エンジニアリング株式会社 (16)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(503391577)長太郎エンジニアリング株式会社 (16)
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