説明

設定値管理装置、設定値管理方法、およびプログラム

【課題】画像形成装置には様々な機種が存在し、機種ごとにコンフィグデータの設定範囲が異なることが多くある。したがって上位機種のコンフィグデータを下位機種へインポートさせた場合、設定できない事象が発生する。
【解決手段】前記複数の画像形成装置の機種ごとまたは画像形成装置ごとに定義されたコンフィグデータを保持する保持手段と、第一の画像形成装置のコンフィグデータを前記保持手段から取得する取得手段と、取得した前記第一の画像形成装置のコンフィグデータに定義された値が、第二の画像形成装置の機能に対して設定可能な範囲を超えるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により設定可能な範囲を超えると判定された場合、前記第一の画像形成装置のコンフィグデータにて定義された値に基づいて実行される動作を、前記第二の画像形成装置が実行可能な1つ以上の別の機能を組み合わせて実現するようにコンフィグデータを新たに生成する生成手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定値管理装置、設定値管理方法、およびプログラムに関する。特に画像形成装置の動作を切り替える設定値であるコンフィグデータを別の画像形成装置へ反映させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、動作を切り替える設定値であるコンフィグデータを記憶するものがある。コンフィグデータは各画像形成装置が備える記憶装置に記憶されているため、全画像形成装置のコンフィグデータを変更するには画像形成装置の台数だけ設定を行う必要があった。この手間を省くため、ある情報処理装置から複数の画像形成装置にコンフィグデータの一括設定を行う技術が存在する。
【0003】
また、コンフィグデータをネットワーク参照可能な場所に配置し、複数の画像形成装置が同じコンフィグデータを参照することで、コンフィグデータの一括管理を行う技術が存在する(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、画像形成装置には設定値を予め記憶しておくプリセットボタンを備えるものあるが、このプリセットボタンの設定データもコンフィグデータの一部である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−130838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画像形成装置には様々な機種が存在し、機種ごとにコンフィグデータの設定範囲が異なることが多くある。例えば物理的にメモリ量を多く保持する上位機種は設定可能範囲が広く、これに対して、メモリ量が少ない下位機種は設定可能範囲が狭い、などの状況がある。したがって、コンフィグデータを機種ごとに用意し、ある機種からある機種へコンフィグデータを反映させる場合は、設定範囲を超えるコンフィグデータをその都度管理者が変更・削除する必要がある。
【0007】
また変更・削除を行わずにそのままネットワーク上に配置した場合、参照する画像形成装置側では範囲を超えた設定を拒否、もしくは設定範囲内まで設定するだけとなり同等の設定を反映させることができない。例えばScanToSendのプリセットボタンに登録される送信宛先数において、上位機種は宛先が100件まで可能で、下位機種は50件までの登録が可能であるケースがある。これは、送信中に障害が発生した場合に備えてStatic RAMのようなメモリ上に未送信データを保存することが多いが、Static RAMは一般的に高価なためこのような制限が設けられることが多い。このような場合、例えば、上位機種の70件宛先登録されたScanToSendのプリセットボタンの設定を下位機種に反映させることができない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本願発明は、以下の構成を有する。すなわち、複数の画像形成装置のコンフィグデータを管理する設定値管理装置であって、前記複数の画像形成装置の機種ごとまたは画像形成装置ごとに定義されたコンフィグデータを保持する保持手段と、第一の画像形成装置のコンフィグデータを前記保持手段から取得する取得手段と、取得した前記第一の画像形成装置のコンフィグデータに定義された値が、第二の画像形成装置の機能に対して設定可能な範囲を超えるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により設定可能な範囲を超えると判定された場合、前記第一の画像形成装置のコンフィグデータにて定義された値に基づいて実行される動作を、前記第二の画像形成装置が実行可能な1つ以上の別の機能を組み合わせて実現するようにコンフィグデータを新たに生成する生成手段とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、ある機種の画像形成装置のコンフィグデータを、異なる機種の画像形成装置へインポートした際に、設定可能範囲をオーバした場合でも同一の振る舞いを行うように設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ネットワーク構成を示す図。
【図2】ハードウェア構成を示す図。
【図3】ソフトウェア構成を示す図。
【図4】機種別設定値スキーマの例を示す図。
【図5】仮想コンフィグデータの例を示す図。
【図6】機器構成データの例を示す図。
【図7】仮想コンフィグデータの例を示す図。
【図8】仮想コンフィグデータの例を示す図。
【図9】仮想コンフィグデータの例を示す図。
【図10】画像形成装置の処理を説明するフローチャート。
【図11】設定値管理サービスの処理を説明するフローチャート。
【図12】設定値管理サービスの処理を説明するフローチャート。
【図13】設定値管理サービスの処理を説明するフローチャート。
【図14】設定値管理サービスの処理を説明するフローチャート。
【図15】設定値管理サービスの処理を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[用語の定義]
まず、本明細書における用語の定義を行う。
【0012】
コンフィグデータとは、画像形成装置の動作を切り替えるための設定値情報である。つまり、コンフィグデータには、画像形成装置における各種動作の設定値が含まれている。例えば、コピージョブの面付けのデフォルト値などが該当する。面付けが「1in1」に設定されていれば、コピーを行った結果、用紙一枚に1ページが印刷される。また、面付けが「2in1」に設定されていれば、コピーを行った結果、用紙一枚に2ページが印刷される。
【0013】
機器構成データとは、画像形成装置が備える機器の構成を示すデータである。例えば、ファクスユニットを装着しているかを表すデータなどが該当する。さらに、画像形成装置の機種を一意に識別するための機種コード、動作しているファームウェアバージョンなどを含む。
【0014】
機種別設定値スキーマとは、画像形成装置が特定の機種で保持するコンフィグデータのスキーマを定義するデータである。スキーマとは、コンフィグデータについての規約や位置づけを定義するデータである。例えば、コンフィグデータ各々の設定値識別子、デフォルト値、値域、およびデータが有効になるための条件が、機種別設定値スキーマに含まれる。画像形成装置それぞれの機種に応じて実現可能な機能が異なるため、これにより機種によって保持するコンフィグデータには差分がある。そのため、設定値スキーマは機種別に用意されることを前提とする。
【0015】
仮想デバイスとは、サーバコンピュータ群が保持する実デバイスのデータ群である。具体的には、仮想デバイスには、機器構成データ、コンフィグデータが少なくとも含まれる。これに対し、実デバイスとは、物理的なデバイス(画像形成装置等)が対応する。
【0016】
仮想デバイスに含まれるデータと、実デバイスが保持するデータとを区別して呼ぶために、以下のように定義する。
【0017】
仮想デバイスに含まれる機器構成データを仮想機器構成データと呼び、仮想デバイスに含まれるコンフィグデータを仮想コンフィグデータと呼ぶ。
【0018】
実デバイスが保持する機器構成データを実機器構成データと呼び、実デバイスが保持するコンフィグデータを実コンフィグデータと呼ぶ。
【0019】
<第一実施形態>
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0020】
[ネットワーク構成]
図1は、本実施形態に係るシステムのネットワーク構成の一例を示す図である。画像形成装置101A、101B、101Cは、本発明に係る管理される画像形成装置である。ユーザ環境100内の各画像形成装置は、ネットワーク106を介してインターネット104にアクセス可能である。
【0021】
端末装置102Dは、ユーザ環境100のユーザが操作可能なコンピュータであって、ネットワーク106を介してインターネット104にアクセス可能である。端末装置102Eは、画像形成装置101A、101B、101Cを管理するサービスマンが操作可能なコンピュータであって、インターネット104にアクセス可能である。端末装置102Fは、画像形成装置のベンダに所属する管理担当者が操作可能なコンピュータであって、インターネット104にアクセス可能である。
【0022】
端末装置102D、画像形成装置101A、101B、101Cはユーザ環境100に属し、互いにネットワーク106を介して接続されている。
【0023】
インターネット104は、公衆回線上のデジタル通信が可能なネットワークである。サーバコンピュータ群105は、インターネット104を介してサービスを提供するサーバ群である。ネットワーク106は、ユーザ環境100において各装置間を接続し、デジタル通信を可能とするネットワークである。
【0024】
サービスマン環境110は、画像形成装置に対するサービスマンが端末装置102Eを使って、例えばユーザ環境100に属する画像形成装置の管理を行う環境である。画像形成装置のベンダ環境120は、画像形成装置を生産するベンダの管理担当者が、端末装置102Fを使って、例えばユーザ環境100に属する画像形成装置の管理に必要なデータのメンテナンスを行う環境である。
【0025】
[ハードウェア構成]
図2は、本実施形態に係るハードウェア構成の一例を示す図である。サーバコンピュータ211Hは、サーバコンピュータ211Gと同じハードウェア構成であるため、ここではまとめて説明を行う。
【0026】
CPU201は、記憶装置に格納されたプログラムの実行や、搭載された装置内の様々な処理の制御を行う。不揮発性メモリ202は、ROM(Read Only Memory)から構成され、機器の起動処理において初期段階に必要なプログラムやデータが格納されている。揮発性メモリ203は、RAM(Random Access Memory)から構成され、プログラム、データの一時的な格納場所として利用される。
【0027】
補助記憶装置204は、ハードディスクやRAMドライブ等の大容量記憶装置から構成され、大容量データの保管、プログラムの実行コードの保持を行う。補助記憶装置204には、揮発性メモリ203と比較して、長時間保持する必要があるデータを記憶する。補助記憶装置204は不揮発性の記憶装置であるため、電源が切られてもデータを記憶し続けることができる。
【0028】
ディスプレイ205は、利用者に情報を提示するための表示部である。なお、本明細書における利用者とは、ユーザとサービスマンを想定する。入力装置206は、利用者の選択指示を受け付け、内部バス210を介してプログラムに伝達するための装置である。
【0029】
ネットワーク通信装置207は、別の情報処理装置とネットワークを介して通信するための装置である。ファクスユニット208は、画像形成装置101が形成した画像データ、もしくは補助記憶装置204に記憶された画像データを、ネットワーク106を介して別の情報機器に送付するためのハードウェアユニットである。なお、ファクスユニット208はオプションであり、個体によって装着されてない構成もありうる。
【0030】
プリンタエンジン209は、画像形成装置101が形成した画像データ、もしくは補助記憶装置204に記憶された画像データを、紙媒体に印刷する手段である。
【0031】
内部バス210は、CPU201、不揮発性メモリ202、揮発性メモリ203、補助記憶装置204、ディスプレイ205、入力装置206、およびネットワーク通信装置207を画像形成装置101内で通信可能な状態に接続する通信バスである。
【0032】
サーバコンピュータ211Gは、サーバコンピュータ群105を構成する複数のサーバコンピュータの内の1つである。内部バス210Gは、サーバコンピュータ211Gの備えるCPU201G、不揮発性メモリ202G、揮発性メモリ203G、補助記憶装置204G、およびネットワーク通信装置207Gを、サーバコンピュータ211G内で通信可能に接続する通信バスである。
【0033】
ネットワーク220は、サーバコンピュータ群105を構成する複数のサーバコンピュータ同士を接続し、互いに高速通信を可能とするネットワークである。
【0034】
[ソフトウェア構成]
(画像形成装置)
図3は、本実施形態に係るソフトウェア構成の一例を示す図である。まず、画像形成装置101が備える各手段について説明する。
【0035】
実コンフィグデータ保持手段301は、画像形成装置101がコンフィグデータを記憶部である補助記憶装置204Aに保持する。画像形成装置101は、実コンフィグデータ保持手段301によって保持された実コンフィグデータに基づいて動作の振る舞いを切り替える。
【0036】
実コンフィグデータ更新手段302は、実コンフィグデータ保持手段301が保持する実コンフィグデータを更新する。実コンフィグデータ更新手段302は、仮想コンフィグデータ受信手段303によって取得した仮想コンフィグデータによって更新を行う。なお、実コンフィグデータ更新手段302は、仮想コンフィグデータ更新確認手段319によって仮想コンフィグデータが更新されている場合のみ実コンフィグデータの更新を行う。
【0037】
仮想コンフィグデータ受信手段303は、後述する設定値管理サービス310の仮想コンフィグデータ取得手段318を呼び出して仮想コンフィグデータを受信する。本実施形態において、仮想コンフィグデータ取得手段318を呼び出すためのアドレスは、実コンフィグデータ保持手段301に保持されるアドレスが用いられる。具体例として、図4(A)を例に挙げると、設定値識別子402が「device_settings.cloud_address」の場合、対応するデフォルト値403には、実コンフィグデータとして「http://canon.com/config」が設定されている。従って、仮想コンフィグデータ取得手段318は、この「http://canon.com/config」に対してアクセスする。
【0038】
(設定値管理サービス)
次に、設定値管理サービス310が備える各手段について説明する。設定値管理サービス310は、画像形成装置101のコンフィグデータを管理する機能を提供するサービスである。前述のサーバコンピュータ群105上で提供される。なお、図2のサーバコンピュータ群105内には、2台のサーバコンピュータ211G、211Hがネットワーク220にて接続された構成を示しているが、これに限定するものではない。例えば、1台のサーバコンピュータにて設定値管理サービス310を提供しても構わないし、3台以上の構成としても構わない。設定値管理サービス310は複数の手段を保持しており、以下はその各手段を説明する。
【0039】
仮想デバイス保持手段311は、仮想デバイスが保持するデータを記憶する。仮想デバイスが保持するデータには、仮想機器構成データと、仮想コンフィグデータとが含まれる。また、複数の仮想デバイスから1つを特定するために、仮想デバイス保持手段311は、仮想デバイスのデバイス識別子を各データに対応付けて記憶する。さらに、所定のテナントが保持する画像形成装置を特定するために、仮想デバイス保持手段311は、テナント識別子を各データに対応付けて記憶する。このテナント識別子は、テナントを一意に識別できるように構成される。これらの情報は、サーバコンピュータ211G内の補助記憶装置204Cに記憶される。
【0040】
機種別設定値スキーマ保持手段312は、機種別設定値スキーマを記憶する。画像形成装置の各機種に対応して1つの機種別設定値スキーマが用意される。
【0041】
仮想コンフィグデータ変換生成手段313は、ある特定の画像形成装置が使用する仮想コンフィグデータを、別の画像形成装置が使用する仮想コンフィグデータに変換して生成する。仮想コンフィグデータ変換生成手段313は、反映元となる仮想コンフィグデータと、反映先の機種別設定値スキーマと、仮想機器構成データとを用いて仮想コンフィグデータを生成する。
【0042】
仮想コンフィグデータ更新手段317は、仮想コンフィグデータ変換生成手段313で生成された仮想コンフィグデータを、仮想デバイス保持手段311に登録する。仮想コンフィグデータ更新手段317は、仮想デバイス保持手段311が保持する仮想デバイスの中からデバイス識別子が一致する仮想デバイスを探索し、仮想コンフィグデータを更新する。さらに、仮想コンフィグデータ更新手段317は、仮想デバイスの通知フラグ505が「済」であれば、「未」に設定する。通知フラグ505は、図5を用いて後述するが、仮想コンフィグデータの更新が行われてから画像形成装置101に通知したか否かを示すフラグである。本実施形態において、更新された仮想コンフィグデータの値が通知済みの場合には、通知フラグ505には「済」が設定し、通知されていない場合には、「未」の値を設定するものとする。
【0043】
仮想コンフィグデータ取得手段318は、インターネット104を介して要求を受け、仮想コンフィグデータを取得する。ここで受け付ける要求は、少なくとも仮想デバイスを特定するためのデバイス識別子を含んでおり、仮想コンフィグデータ取得手段318は、デバイス識別子が一致する仮想デバイスを探索する。そして、仮想コンフィグデータ取得手段318は、探索された仮想デバイスが保持する仮想コンフィグデータを探索し、仮想コンフィグデータを要求元に渡す。
【0044】
仮想コンフィグデータ更新確認手段319は、仮想コンフィグデータが更新されているか確認する。画像形成装置101の仮想コンフィグデータ受信手段303は、インターネット104を介して仮想コンフィグデータ更新確認手段319にデバイス識別子を送信する。仮想コンフィグデータ更新確認手段319は、仮想デバイス保持手段311が保持する仮想デバイスの中から、受信したデバイス識別子に一致する仮想デバイスを探索する。探索された仮想デバイスの通知フラグ505が「未」であれば、仮想コンフィグデータ更新確認手段319は、前回の探索以降に仮想コンフィグデータの更新があったと判定する。逆に、通知フラグ505が「済」であれば、仮想コンフィグデータ更新確認手段319は、仮想コンフィグデータの更新はないと判定する。
【0045】
ここで、本実施形態に係る機種別設定値スキーマの一例を図4に示す。図4(A)は、機種コードが「0x01」の機種別設定値スキーマ401Aの例である。また、図4(B)は、機種コードが「0x02」の機種別設定値スキーマ401Bの例である。
【0046】
設定値識別子402は、設定値を一意に識別するための識別子である。例えば、「copy_settings.nup」は、コピー設定の面付けに関する設定であることを示す。この設定値識別子402が同じであれば、違う機種であっても同じ種類の設定値を扱うことができることを示す。
【0047】
デフォルト値403は、その機種の設定値識別子におけるデフォルト設定値の定義である。値域404は、その機種の設定値識別子において設定しうる値の範囲の定義である。例えば、設定値識別子が「copy_settings.nup」に対応する値域404であれば、「1in1,2in1,4in1」の3種類から設定値を選択できることを示す。なお、デフォルト値403は、通常、値域404の範囲の中から特定されている。
【0048】
条件405は、その機種の設定値識別子において設定値を利用するために必要な条件の定義である。例えば、設定値識別子が「fax_settings.received_print」に対応する条件405には「ファクスユニット」とある。そのため、この設定値識別子はファクスユニットの装着が確認できた場合のみ有効な設定値(設定可能)であることを示している。また、利用できないときに他の機能を使って変換設定手段316において変換可能か否かの情報も付与している。図4(A)および図4(B)の例では、以下の設定値識別子が変更可能であることを示している。
bt(n).1.copy.copies
bt(n).1.scan_to_send.adresses
bt(n).1.scan_to_box.boxno
bt(n).1.box_to_print.copies
【0049】
仮想コンフィグデータ取得手段318は、インターネット104を介して要求を受け、受信した要求に応じて仮想コンフィグデータを取得する。ここで受信する要求は、少なくとも仮想デバイスを特定するためのデバイス識別子を含んでおり、仮想コンフィグデータ取得手段318は、デバイス識別子が一致する仮想デバイスを探索する。仮想コンフィグデータ取得手段318は、探索された仮想デバイスが保持する仮想コンフィグデータを取得し、当該仮想コンフィグデータを要求元に渡す。
【0050】
ここで、仮想デバイス保持手段311が記憶する仮想デバイスリスト501の例を、図5に示す。仮想デバイスリスト501は、仮想デバイス保持手段311が保持する仮想デバイス全体を示す。
【0051】
デバイス識別子502は、仮想デバイスリスト501に含まれる複数の仮想デバイスから仮想デバイスを一意に特定するための識別子である。仮想機器構成データ503は、仮想デバイスに対応する仮想機器構成データの識別子を示している。仮想コンフィグデータ504は、仮想デバイスに対応する仮想コンフィグデータの識別子を示している。通知フラグ505は、仮想デバイスに対応する仮想コンフィグデータが更新された後、画像形成装置に対して通知されたか否かを示すフラグである。また、本実施形態において、仮想機器構成データ503および仮想コンフィグデータ504は、参照すべきデータを一意に示す識別子である。
【0052】
仮想機器構成データの例を図6に示す。図6(A)〜(C)にそれぞれ仮想機器構成データ601A〜601Cを示している。仮想機器構成データにおいて、データ種別602と、値603とが対応付けられて記憶される。ここでは、データ種別の構成の例として、機種を識別するための機種コードや、ファームウェアバージョン、デバイスを識別するためのデバイス識別子、ファクスユニットの有無、HDDの容量などが挙げられる。なお、ここに示す構成は一例であり、他のデータ種別を追加しても構わない。
【0053】
仮想コンフィグデータの一例を図7に示す。図7(A)は、デバイス識別子が「010001」の画像形成装置に対する仮想コンフィグデータの一部であり、プリセットボタンの設定の例を示している。この定義されたプリセットボタンはコピー機能の例を示していて、設定値識別子702の「bt1.1.copy.copies」に対応する値703が「120」と設定されている。これは、ボタン1に対して登録された機能がコピー機能であり、設定部数が120部である例となる。このデータを、仮想コンフィグデータ変換生成手段313により変換生成したものが図7(B)である。
【0054】
このとき、図7(A)にて定義されたコピー機能を、図7(B)に示す別の機能を組み合わせて定義したとしても、いずれもボタン1に対応付けられている。つまり、ユーザに提示されるボタン(ここではボタン1)は変換前後のいずれの場合にも単一のボタンとなり、ユーザが動作の実行を指示する際の操作性には変更は生じないこととなる。言い換えると、ユーザは、変換生成されたコンフィグデータであっても、ボタン1を指定するのみで、動作の実行を指示することができる。
【0055】
[処理フロー(設定値管理サービス)]
図11〜図15を用いて本実施形態に係る設定値管理サービス310の処理フローを説明する。各図に示されたフローチャートの各処理を実行する各手段は、サーバコンピュータ211Gが備える不揮発性メモリ202G、揮発性メモリ203G、補助記憶装置204Gのいずれかの記憶手段に記憶され、CPU201Gにより実行される。
【0056】
図11は、設定値管理サービス310に外部から要求がなされた場合に実行する要求処理を表すフローチャートである。
【0057】
設定値管理サービス310は、S1101で設定値管理サービス310に要求された要求種別を判別する。要求種別が仮想コンフィグデータインポート要求の場合は、S1110へ遷移する。このとき、仮想コンフィグデータインポート要求は、インポート元の仮想デバイス1(第一の画像形成装置)とインポート先の仮想デバイス2(第二の画像形成装置)とを指定するものとする。
【0058】
S1110では、仮想コンフィグデータ変換生成手段313は、仮想コンフィグデータインポート処理を実行する。このS1110における処理は、指定された仮想デバイス1の仮想コンフィグデータ1を元に仮想デバイス2に使用する仮想コンフィグデータ2を生成し、仮想デバイス保持手段311に保存するものである。この処理については、図12を用いて詳述する。その後、本処理フローを終了する。
【0059】
設定値管理サービス310は、S1101にて要求種別が仮想コンフィグデータ取得要求の場合はS1120へ遷移する。S1120では、仮想コンフィグデータ取得手段318は、要求で指定された仮想デバイスを仮想デバイス保持手段311から検索し、検索されたデータを要求元へ送信する。その後、本処理フローを終了する。
【0060】
設定値管理サービス310は、S1101にて要求種別が仮想コンフィグデータ更新確認要求の場合はS1130へ遷移する。S1130では、仮想コンフィグデータ更新確認手段319は、要求で指定された仮想デバイスを仮想デバイス保持手段311から検索し、該当する仮想コンフィグデータの更新の有無の情報を要求元へ送信する。このとき、図5に示すように通知フラグ505が「未」である場合には更新があった旨を通知し、通知フラグ505が「済」である場合には更新が無い旨を通知する。その後、本処理フローを終了する。
【0061】
S1101にて要求種別がその他の要求の場合は、S1190にて設定値管理サービス310は要求に従った処理を行い、必要に応じて要求元へ処理結果を通知する。その後、本処理フローを終了する。
【0062】
[仮想コンフィグデータインポート処理]
図12は、設定値管理サービス310の仮想コンフィグデータ変換生成手段313が行う図11のS1110の詳細を示したフローチャートである。
【0063】
S1201にて、仮想コンフィグデータ入力手段314は、指定されたコンフィグデータのインポート元である仮想デバイス1に対応する仮想コンフィグデータ1を仮想デバイス保持手段311から検索して取得する。次にS1202にて、設定範囲判定手段315は、指定されたインポート先である仮想デバイス2に対応する仮想コンフィグデータ2および仮想機器構成データを、仮想デバイス保持手段311から検索して取得する。また設定範囲判定手段315は、取得した仮想機器構成データから機種コードを判別し、該当する機種別設定値スキーマを機種別設定値スキーマ保持手段312から取得する。
【0064】
S1203にて、設定範囲判定手段315は、仮想コンフィグデータ1の各設定値識別子に対応する値を、S1202にて取得した仮想デバイス2の仮想機器構成データと機種別設定値スキーマとを合わせて比較する。そして、設定範囲判定手段315は、各設定値識別子のうち、仮想デバイス2の設定範囲を超えているものがあるか否かを判定する。設定範囲を超えている場合は(S1203にてYES)、S1210へ進む。設定可能な範囲内である場合は(S1203にてNO)、S1250へ進む。
【0065】
S1210にて、設定範囲判定手段315は、範囲が超えている設定値識別子について、変換設定手段316による処理が可能か否かを、機種別設定値スキーマの条件405に基づいて判定する。本実施形態において、変更可能である場合とは、図4に示す機種別設定値スキーマの条件405にて「変更可能」と指定されているものを指す。変換可能であれば(S1210にてYES)、S1220へ進み、変換不可であれば(S1210にてNO)S1230へ進む。
【0066】
S1220は変換処理であり、ここでの処理は図13を用いて詳述する。S1230にて、変換設定手段316は、該当する機種別設定値スキーマのMAX値を仮想コンフィグデータ2へ設定する。S1220、S1230の後、S1221へ遷移する。S1221にて、仮想コンフィグデータ変換生成手段313は、仮想コンフィグデータ1に記載されている全設定値識別子に対して、S1203以降の処理を行ったか否かを判定する。全設定値識別子について行った場合は(S1221にてYES)、S1222へ進む。未処理の設定値識別子がある場合は(S1221にてNO)、S1223へ進み、仮想コンフィグデータ変換生成手段313は、処理の対象を次の設定値識別子に移動し、S1203へ戻る。
【0067】
S1250では、変換する必要がないため、仮想コンフィグデータ変換生成手段313は、対象となる設定値識別子について仮想コンフィグデータ1の値を仮想コンフィグデータ2へ上書きする。そして、S1221へ進む。
【0068】
S1222にて、仮想コンフィグデータ更新手段317は、S1220、1230、1250にて設定した仮想コンフィグデータ2を、仮想デバイス保持手段311に保存する。次にS1224にて、設定値管理サービス310は、仮想コンフィグデータインポート要求にて即時に実デバイスへ反映することが要求されているか否かを判定する。要求されている場合は(S1224にてYES)、S1240へ進む。S1240にて、設定値管理サービス310は、画像形成装置101へ仮想コンフィグデータ更新取得要求指示を送信し、本処理フローを終了する。即時反映が要求されていない場合は(S1224にてNO)、本処理フローを終了する。
【0069】
[変更処理(コピー処理の場合)]
図13は、仮想コンフィグデータ変換生成手段313が図12のS1220で行う変換動作を表したフローチャートである。ここでは、図4に示す設定値識別子bt(n).1.copy.copiesの値が機種別設定値スキーマの値域を超える場合を例にとって説明する。なお、仮想コンフィグデータの例は図7に示した構成とし、変換前の構成が図7(A)であり、変換後の構成が図7(B)とする。
【0070】
また、インポート元の機種別設定値スキーマは図4(A)に示した構成とし、インポート先の機種別設定値スキーマは図4(B)に示した構成とする。図4はプリセットボタンの設定値の一例であり、設定値識別子の構成例として例えば、図7(A)の「bt1.1.copy」はボタン1の1番目の機能がcopyであることを表している。また、そのcopy機能の詳細設定が、
bt1.1.copy.collor:「collor」でカラー設定、
bt1.1.copy.copies:「120」で部数が120、
bt1.1.copy.nup:「2in1」で2in1設定、
bt1.1.copy.2sided:「1−2」で片面原稿を両面にコピーする、
ということを表している一例となる。
【0071】
また図4(B)では、コピー部数の最大値を表す設定値識別子「copy_settings_copies」の最大値が「99」である。つまり図7(A)の仮想コンフィグデータは、プリセットボタンのコピーが部数「120」に設定されていて、図4(B)のスキーマに該当する画像形成装置にインポートされる場合は値域を超える。
【0072】
ここで、仮想コンフィグデータ変換生成手段313は、インポートされたプリセットデータのコピー機能を、ScanToBox機能とBoxPrint機能の2つを組み合わせ、インポート先のプリセットボタン1に設定することにより同等の振る舞いを実現する。ScanToBox機能は、スキャンデータをストレージに保存する機能であり、BoxPrint機能はストレージに保存された文書データを用いて印刷処理を実行する機能である。なお、コンフィグデータのインポート先の画像形成装置は、ScanToBox機能とBoxPrint機能の2つを実行可能であるものとする。
【0073】
S1301で、変換設定手段316は、ScanToBox機能の設定を行う。図7(B)は、
bt1.1.scan_to_box.collor:collor
bt1.1.scan_to_box.boxno:00
bt1.1.scan_to_box.filename:111122223333
となる。これは、スキャンの設定として、カラースキャン、保存する場所は「00」、ファイル名が「111122223333」として設定された例を示している。
【0074】
次にS1302にて、変換設定手段316は、繰り返し処理に使用される変数を初期化する。この例では、変数Nに設定値識別子「bt1.copy.copies」の値を代入し、変数xに「2」を代入する。ここで、変数Nは残りの設定部数を示し、変数xはプリセットボタンに設定される機能の順番を示す番号である。図7(B)の例ではxの値は1〜3であり、x=1にはScanToBox機能、x=2およびx=3にはBoxPrint機能がそれぞれ設定される。S1303以降に、2回以上繰り返されるBoxPrint機能の設定が行われる。S1303では、変換設定手段316が各回行われるBoxPrint機能の共通設定を行う。図7(B)では、設定値識別子として、
bt1.(x).box_to_print.collor
bt1.(x).box_to_print.boxno
bt1.(x).box_to_print.filename
bt1.(x).box_to_print.nup
bt1.(x).box_to_print.2sided
が指定されている(本例において、xは2および3)。このうち、〜.collor、〜.nup、〜.2sidedは、図7(A)に示すbt1.1.copy.collor、bt1.1.copy.nup、およびbt1.1.copy.2sidedの値を元に指定される。
【0075】
S1304にて、変換設定手段316は、Nと設定値スキーマにおける設定値識別子「bt(n).1.copy.copies」の値域404にて指定された最大値と比較する。Nが大きければ(S1304にてYES)S1310へ進み、それ以外であれば(S1304にてNO)S1320へ進む。S1310にて、変換設定手段316は、部数を最大値としたBoxPrint機能を設定する。図7(B)の例では、bt1.2.box_to_print.copies:99と設定される。S1311にて、変換設定手段316は、変数N、変数xをプリセットボタンの次機能を設定するために更新し、その後、S1303へ戻る。
【0076】
S1320以降では、プリセットボタンの最後の機能を設定する。まずS1320にて、変換設定手段316は残りの部数を設定する。図7(B)の例では、bt1.3.box_to_print.copies:21と設定される。その後、S1321にて、変換設定手段316は、使用したファイルを消去する設定を行う。図7(B)の例では、bt1.3.box_to_print.delete:111122223333と設定される。S1321を実行後、本処理フローを終了する。
【0077】
以上の処理により生成された仮想コンフィグデータである図7(B)の例では、インポート先のデバイスに対応するために、ボタン1に3つの処理を行うように設定されることになる。この設定された設定値識別子に基づいて、まず、b1.1.scan_to_boxの設定を用いて原稿がスキャンされ、そのデータはストレージに保存される。次にbt1.2.box_to_printの設定を用いて、保存されたスキャンデータが99部、印刷される。その後、bt1.3.box_to_printの設定を用いて21部が印刷される。これにより、図7(A)の120部のコピーを行うというプリセットボタン1の同等の振る舞いを、印刷最大部数99の画像形成装置で実現することができる。
【0078】
[変換処理(送信処理の場合)]
図14は、設定値識別子「bt(n).1.scan_to_send.addresses」が機種別設定値スキーマの値域を超える場合に、仮想コンフィグデータ変換生成手段313が行う図12のS1220の詳細動作を表したフローチャートである。なお、仮想コンフィグデータの一例は図8に示した構成とし、変換前の構成が図8(A)に示した構成とし、変換後の構成が図8(B)に示した構成とする。
【0079】
また、インポート元の機種別設定値スキーマの一例は図4(A)に示した構成とし、インポート先の機種別設定値スキーマは図4(B)に示した構成とする。ここでは、インポート先の送信宛先数の最大値を表す設定値識別子「scan_to_send_addresses」の最大値が「50」であり、値域を超えている例である。インポートされるプリセットボタンの設定値識別子「bt5.1.scan_to_send.addresses」の値は「70」に設定されていて、これも値域を超えている。この変換処理では、スキャンデータをストレージに保存するScanToBox機能と、ストレージに保存された文書データの送信処理を実行するBoxSend機能の2つを組み合わせ、同等の振る舞いを実現している。なお、インポート先の画像形成装置は、ScanToBox機能とBoxSend機能の2つを実行可能であるものとする。
【0080】
S1401は図13のS1301と同等である。次にS1402にて、変換設定手段316は、繰り返し処理に使用される変数を初期化する。変数Nに「bt5.1.scan_to_send.addresses」の値を代入し、変数xに2を代入し、変数pに1を代入する。ここで、変数Nは残りの宛先数を示し、変数xはプリセットボタンに設定される機能の順番を示す番号である。また、変数pは設定される複数の宛先のうち、1つを指定するポインタを意味する。
【0081】
S1403以降に、2回以上繰り返されるBoxPrint機能の設定が行われる。S1403にて、変換設定手段316は各回行われるBoxSend機能の共通設定を行う。図8(B)では、設定値識別子として、bt5.(x).box_to_send.boxno、bt5.(x).box_to_send.filename、およびbt5.(x).box_to_send.resolutionが指定されている。このうち、〜.resolutionは図8(A)の設定値識別子「bt5.1.scan_to_send.resolution」を元に指定される。
【0082】
次のS1404にて変換設定手段316は、Nと設定値スキーマにおける設定値識別子「bt(n).1.scan_to_send.addresses」の値域404にて指定された最大値とを比較する。Nが大きければ(S1404にてYES)、S1410へ進み、それ以外であれば(S1404にてNO)S1420へ進む。S1410にて、変換設定手段316は、宛先数を最大値としたBoxSend機能を設定する。図8(B)の例では、設定値識別子としてbt5.2.box_to_send.addresses:50、bt5.2.box_to_send.ad1〜bt5.2.box_to_send.ad50が設定される。S1411にて、変換設定手段316は、変数N、変数xをプリセットボタンの次機能を設定するために更新し、その後、S1403へ戻る。
【0083】
S1420以降では、プリセットボタンの最後の機能を設定する。まずS1420にて、変換設定手段316は残りの宛先を設定する。図8(B)の例では、bt5.3.box_to_send.addresses:20、およびbt5.2.box_to_send.ad1〜box_to_send.ad20が設定される。その後、S1421にて、変換設定手段316は使用したファイル(テンポラリファイル)を消去する設定を行う。ここで使用したファイルとは、例えば、コンフィグデータに定義された処理を実行する途中でScanToBox機能等によって作成され、ストレージ内に保持されたデータなどが該当する。図8(B)の例では、bt1.3.box_to_send.delete:file111と設定されている。S1421の実行後、本処理フローを終了する。
【0084】
以上の処理により、生成された仮想コンフィグデータである図8(B)の例は、インポート先のデバイスに対応するために、ボタン5に3つの処理を行うように設定されることになる。b5.1.scan_to_boxの設定を用いて原稿がスキャンされ、そのデータはストレージに保存される。次にbt5.2.box_to_sendの設定を用いて保存されスキャンデータは宛先50個に送信される。その後、bt5.3.box_to_sendの設定を用いて保存されたスキャンデータは残りの宛先20個に送信される。これにより、図8(A)の宛先70個にScanToSend機能を実行するというプリセットボタン5と同等の振る舞いを、最大宛先指定可能の数が50である画像形成装置で実現することができる。
【0085】
[変換処理(保存処理において、スキーマが対応しない場合)]
図15は、設定値識別子「bt(n).1.scan_to_box.boxno」が機種別設定値スキーマに当てはまらない場合に、仮想コンフィグデータ変換生成手段313が行う図12のS1220の詳細動作を表したフローチャートである。なお、仮想コンフィグデータの一例は図9に示した構成とし、変換前の構成が図9(A)に示した構成とし、変換後の構成が図9(B)に示した構成とする。
【0086】
また、インポート元の機種別設定値スキーマの一例は図4(A)に示した構成とし、インポート先の機種別設定値スキーマは図4(B)に示した構成とする。また、インポート元の仮想機器構成データの構成の例は図6(A)に示した構成とし、インポート先の構成の例は図6(C)に示した構成とする。図4(B)に示す設定値識別子「bt(n).1.scan_to_box.boxno」に対する条件は「HDD」であるが、図6(C)に示すHDDは容量が0Gであり、画像形成装置のストレージ機能は無い。したがって、当該画像形成装置は、HDDに保存可能でない。そのため、本処理では、ネットワーク上のサーバに保存するようにデータの格納先を変換する。
【0087】
S1501にて、変換設定手段316は、図9(B)では、図9(A)に示された設定値識別子「bt1.1.scan_to_box.boxno」を削除する。そして、変換設定手段316は、設定値識別子「bt1.1.scan_to_box.srv」を加え、仮想コンフィグデータの設定値識別子「box_settings.server_address」の値を設定する。S1501を実行後、本処理フローを終了する。
【0088】
以上の処理により、生成された仮想コンフィグデータである図9(B)の例は、ボタン1にネットワーク上のサーバに対してスキャンデータを保存するように設定されることになる。これにより図8(A)のScanToBox機能を実行するというプリセットボタン1と同等の振る舞いを、HDDを持たない画像形成装置で実現することができる。
【0089】
[処理フロー(画像形成装置)]
図10は、画像形成装置101での本実施形態に係るフローチャートである。フローチャートの各処理を実行する各手段は、画像形成装置101が備える不揮発性メモリ202A、揮発性メモリ203A、補助記憶装置204Aのいずれかの記憶手段に記憶され、CPU201Aにより実行される。
【0090】
ディスプレイ205Aと入力装置206Aを備えたUIパネルやネットワーク上の端末装置102から画像形成装置101に対して要求がなされると本処理が実行される。
【0091】
S1001にて、画像形成装置101は、入力された要求を判別する。設定値管理サービス310へ仮想コンフィグデータインポート要求の送信要求がされた場合は、S1010へ進む。仮想コンフィグデータ取得要求の送信要求がされた場合は、S1020へ進む。仮想コンフィグデータ更新確認要求の送信要求であった場合は、S1050へ進む。その他の要求であった場合は、S1090へ進む。
【0092】
S1010にて、仮想コンフィグデータ受信手段303は、設定値管理サービス310へ仮想コンフィグデータインポート要求を送信する。その後、S1011にて仮想コンフィグデータ受信手段303は、設定値管理サービス310から要求が成功して正常に処理が終了した旨を受信した場合(S1011にてYES)はS1020へ進む。エラー応答の場合は(S1011にてNO)S1040へ進む。
【0093】
S1020にて、仮想コンフィグデータ受信手段303は、設定値管理サービス310へ仮想コンフィグデータ取得要求を送信する。その後、仮想コンフィグデータ受信手段303は、設定値管理サービス310からの応答を受信し、要求が成功して正常に仮想コンフィグデータを受信した場合は(S1021にてNO)S1030へ進む。エラー応答を受信した場合は(S1021にてYES)S1040へ進む。S1030にて、実コンフィグデータ更新手段302は、受信した仮想コンフィグデータから、実コンフィグデータ保持手段301に保持している実コンフィグデータを更新する。そして、本処理フローを終了する。
【0094】
S1050にて、仮想コンフィグデータ受信手段303は、仮想コンフィグデータ更新確認要求を送信する。その後、仮想コンフィグデータ受信手段303は、設定値管理サービス310からの応答を受信し、要求が成功して正常に仮想コンフィグデータを受信した場合は(S1051にてYES)S1052へ進む。エラー応答を受信した場合は(S1051にてNO)S1040へ進む。S1052にて、仮想コンフィグデータ受信手段303は、UIパネルまたはネットワーク上の端末に対して更新の有無を表示する。
【0095】
S1040にて、画像形成装置101はエラー処理を行い、その後本処理フローを終了する。S1090にて、画像形成装置101は、要求された処理を行い、本処理フローを終了する。
【0096】
なお、本実施形態において、図10、図11の処理の起因となる要求は、例えばサービスマン、管理者、ユーザ等の操作によって行われる。例えばサービスマンは、画像形成装置101A、101B、101C、端末装置102D、102E、102Fのいずれかを使用して要求を行うことが想定される。また、管理者は、画像形成装置101A、101A、101B、101C、端末装置102D、102Eのいずれかを使用して要求を行うことが想定される。また、ユーザは、画像形成装置101A、101A、101B、101C、端末装置102Dのいずれかを使用して要求を行うことが想定される。本実施形態において、画像形成装置を使用した場合の図11の要求は、ユーザはまず画像形成装置に要求を行い、画像形成装置が設定値管理サービスに対して要求を送信することによって行われる。
【0097】
また、図10、図11の処理の起因は、画像形成装置側もしくは設定値管理サービス側のいずれかにおいて、コンフィグデータに含まれる値の更新があった場合としてもよい。この更新された場合において、設定値管理サービスは、コンフィグデータを再生成し、インポート先の画像形成装置へ再度提供することとなる。
【0098】
以上により、ある機種の画像形成装置のコンフィグデータを、異なる機種の画像形成装置へインポートした際に、設定可能範囲をオーバした場合でも同一の振る舞いを行うように設定することができる。また、インポート先の画像形成装置において、能力(設定上限)を超えるジョブに対しても1回の操作(プリセットボタンの指示)でジョブを実行可能なようにするコンフィグデータを生成することができる。
【0099】
なお、本実施形態において、コンフィグデータはボタンの形式でユーザに提供されたが、これに限定されるものではない。例えば、ユーザが動作の実行を指示する際に選択可能なリスト形式に含まれる各項目に対応付けるようにしても構わない。
【0100】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像形成装置のコンフィグデータを管理する設定値管理装置であって、
前記複数の画像形成装置の機種ごとまたは画像形成装置ごとに定義されたコンフィグデータを保持する保持手段と、
第一の画像形成装置のコンフィグデータを前記保持手段から取得する取得手段と、
取得した前記第一の画像形成装置のコンフィグデータに定義された値が、第二の画像形成装置の機能に対して設定可能な範囲を超えるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により設定可能な範囲を超えると判定された場合、前記第一の画像形成装置のコンフィグデータにて定義された値に基づいて実行される動作を、前記第二の画像形成装置が実行可能な1つ以上の別の機能を組み合わせて実現するようにコンフィグデータを新たに生成する生成手段と
を有することを特徴とする設定値管理装置。
【請求項2】
前記生成手段は、新たに生成されるコンフィグデータを前記第二の画像形成装置が実行可能な別の機能で実行する途中で作成されるテンポラリファイルを削除する設定を該新たに生成されるコンフィグデータに含ませることを特徴とする請求項1に記載の設定値管理装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記判定手段により設定可能な範囲内であると判定された場合、前記第一の画像形成装置のコンフィグデータにて定義された値を、前記第二の画像形成装置のコンフィグデータに設定することを特徴とする請求項1または2に記載の設定値管理装置。
【請求項4】
前記生成手段は、前記新たに生成されたコンフィグデータの値が更新された場合、更新された値を用いて、当該コンフィグデータを再生成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の設定値管理装置。
【請求項5】
前記コンフィグデータは、前記第二の画像形成装置が実行する機能のプリセットとして、前記第二の画像形成装置が有する表示部にて提示されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の設定値管理装置。
【請求項6】
前記コンフィグデータは、定義された動作を実行させる際に選択可能な単一のボタンの形式で、前記表示部にて提示されることを特徴とする請求項5に記載の設定値管理装置。
【請求項7】
前記生成手段は、前記第一の画像形成装置のコンフィグデータにて定義されたコピー処理の部数が、前記第二の画像形成装置の機能にて設定可能な部数を超える場合に、ScanToBox機能とBoxPrint機能とを組み合わせて動作を実現するようなコンフィグデータを生成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の設定値管理装置。
【請求項8】
前記生成手段は、前記第一の画像形成装置のコンフィグデータにて定義された送信処理の宛先数が、前記第二の画像形成装置の機能にて設定可能な宛先数を超える場合に、ScanToBox機能とBoxSend機能とを組み合わせて動作を実現するようなコンフィグデータを生成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の設定値管理装置。
【請求項9】
前記生成手段は、前記第一の画像形成装置のコンフィグデータにて定義されたデータの格納先が、前記第二の画像形成装置にて保存可能な格納先でない場合に、前記第二の画像形成装置にて保存可能な格納先を設定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の設定値管理装置。
【請求項10】
複数の画像形成装置のコンフィグデータを管理する設定値管理方法であって、
保持手段が、前記複数の画像形成装置の機種ごとまたは画像形成装置ごとに定義されたコンフィグデータを記憶手段に保持する保持工程と、
取得手段が、第一の画像形成装置のコンフィグデータを前記記憶手段から取得する取得工程と、
判定手段が、取得した前記第一の画像形成装置のコンフィグデータに定義された値が、第二の画像形成装置の機能に対して設定可能な範囲を超えるか否かを判定する判定工程と、
生成手段が、前記判定工程により設定可能な範囲を超えると判定された場合、前記第一の画像形成装置のコンフィグデータにて定義された値に基づいて実行される動作を、前記第二の画像形成装置が実行可能な1つ以上の別の機能を組み合わせて実現するようにコンフィグデータを新たに生成する生成工程と
を有することを特徴とする設定値管理方法。
【請求項11】
コンピュータを、
複数の画像形成装置の機種ごとまたは画像形成装置ごとに定義されたコンフィグデータを保持する保持手段、
第一の画像形成装置のコンフィグデータを前記保持手段から取得する取得手段、
取得した前記第一の画像形成装置のコンフィグデータに定義された値が、第二の画像形成装置の機能に対して設定可能な範囲を超えるか否かを判定する判定手段、
前記判定手段により設定可能な範囲を超えると判定された場合、前記第一の画像形成装置のコンフィグデータにて定義された値に基づいて実行される動作を、前記第二の画像形成装置が実行可能な1つ以上の別の機能を組み合わせて実現するようにコンフィグデータを新たに生成する生成手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−8338(P2013−8338A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142311(P2011−142311)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】