説明

設定可能なロックされたプリンティング

【課題】ロックされたプリントデータの生成と更新の技術を提供する。
【解決手段】本装置は、第1デバイスから、プリントされるべき電子文書を識別する文書識別データを受信する。プリントされるべき電子文書を識別する文書識別データを受信することに応じて、電子文書のプリントプレビューと解除コードとが生成される。本装置は、第1デバイスに、プリントプレビューと解除コードとを送信する。本装置は、プリンティングデバイスから、プリントされるべき電子文書の1つ以上の部分を表す、解除コードとプリント基準を受信する。その電子文書の1つ以上の部分は、その電子文書の全体より小さいものからなる。プリンティングデバイスから解除コードとプリント基準を受信することに応じて、本装置は、そのプリンティングデバイスに、電子文書の1つ以上の部分を含むプリントデータを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示は、一般的にはロックされたプリンティングに関し、さらに詳しくは、ロックされたプリントデータの設定に関する。
【背景技術】
【0002】
この節で説明するアプローチは、達成することが可能なものであるが、必ずしも以前に考案されたり達成されたものではない。従って、特に示されない限り、この節で説明する如何なるアプローチも、単にこの節に含まれるという理由で、先行技術を構成するものとして仮定されるべきではない。
【0003】
データをスキャンしたり、プリントしたり、又は処理するための多機能周辺機器(MFP)を用いる従来の技術は、しばしば、MFPが特定の要求を実行し完了する前に、ユーザにMFPへの認証を要求する。例えば、ユーザは、保留中のプリント要求にアクセスするために、ユーザ名、パスワード、及び/又はジョブ解除コードをMFPのインターフェースを介して供給するよう要求されることがある。MFPでのユーザ認証プロセスは、様々な理由から間違いを起こしやすく、煩わしく、時間がかかることがある。
【0004】
例えば、保留中のプリント要求を解除するために解除コードが要求されると、ユーザは、解除コードに関連する文書について少ししか又は全く知識を有していないかもしれない。この問題は、ユーザが異なるプリント要求の複数の解除コードを管理する必要があるときに深刻になることがある。さらに、一旦プリントジョブの解除コードが作られてしまうと、ユーザはプリントする文書の特定部分を選ぶ余地がない。ユーザは一般的にはMFPで解除コードを入力し、MFPに全体の文書を印刷させるが、これは不必要にプリンティングリソースとユーザの時間とを浪費することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プリントされる保留中のロックされたプリントデータの1つ以上の部分を、ユーザが選択することができる技術が提案される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、プリントサーバのようなシステムが、第1のデバイスから、プリントされるべき電子文書を識別する文書識別データを受信する。プリントされるべき電子文書を識別する文書識別データを受信することに応じて、そのシステムは、電子文書のプリントプレビューと、電子文書の解除コードとを生成する。そのシステムは、プリントプレビューと解除コードとを第1のデバイスに送信する。そのシステムは、プリンティングデバイスから、解除コードと1つ以上のプリント基準とを受信する。その1つ以上のプリント基準は、プリントされるべき電子文書の1つ以上の部分を表す。その1つ以上の部分は全体の電子文書より小さいものを含む。プリンティングデバイスから解除コードと1つ以上のプリント基準とを受信することに応じて、そのシステムは、プリンティングデバイスに、電子文書の1つ以上の部分を含むプリントデータを供給する。

【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に従った、ロックされたプリントデータを処理するシステム構成の一例を示すブロックダイアグラムである。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に従った、クライアントデバイス、ネットワーク内の1つ以上のデバイス、及びプリンティングデバイスの間で交信される通信を表すフローダイアグラムである。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に従った、ロックされたプリントデータを構成するアプローチを表すフローダイアグラムである。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に従った、MFPの例示的なパネルを示す。
【図5】図5は、本発明の一実施形態が実施されるコンピュータシステムを表すブロックダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明において、説明目的のため、多数の特定の詳細が、本発明の完全な理解を提供するためになされる。しかしながら、本発明は、そうした特定の詳細がなくとも実施されることがあるのは明らかだろう。他の例では、周知の構造とデバイス群が、本発明を不必要に分かり難くすることを回避するため、ブロックダイアグラムの形式で示される。
【0009】
1.0 一般的概要
2.0 構成的概要
3.0 ロックされたプリントデータの生成と設定
3.1 ロックされたプリントデータのプリント、プレビューデータの生成
3.2 プリント用に文書の部分を選択
3.3 解除コードの生成と使用
3.4 便利なロックされたプリンティングのための電子メールの使用
4.0 ロックされたプリントデータを解除するプリンティングデバイスの使用
5.0 実施のメカニズム

1.0 一般的概要
解除コードとサムネール画像を生成するためのアプローチが提案され、その解除コードとサムネール画像はプリンティングデバイスでプリントするプリントデータを設定し、ロックを解除するために使用される。本明細書で説明する実施形態によれば、解除コードとサムネール画像は、ロックされたプリントデータの一部だけを選択し、プリントするために使用される。
【0010】
2.0 システム構成
図1は、一実施形態に従った、ロックされたプリントデータを処理する、例示的なシステム構成100を表すブロックダイアグラムである。構成100は、プリンティングデバイス110とクライアントデバイス130とを含み、ネットワーク120のネットワークサービスに通信可能に接続される。ネットワーク120のネットワークサービスは、文書コンバータ122、アプリケーションサーバ124及びストレージ126を含む。ネットワーク120の要素、プリンティングデバイス110の各々、クライアントデバイス130の間の通信リンクは、これらの各要素間でデータ交換を提供する如何なるメディア又はメカニズムによっても実施されてもよい。そうしたリンクの例には、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、イーサーネットやインターネット、又は1つ以上の地上波、衛星、無線リンクといったネットワークを含むが、これらに限定されない。代替的に又は追加的に、クライアントデバイス130とプリンティングデバイス110は、通信リンクを介して直接的に接続されてもよい。
【0011】
クライアントデバイス130は、電子文書を処理することを要求する如何なるネットワークデバイスでもよく、例えば、ワークステーション、電子メールサーバ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、携帯電話、タブレットコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)又は他の携帯型デバイスでもよい。一実施形態では、クライアントデバイス130は、ネットワーク120内の1つ以上のネットワークサービスと通信するよう構成される。例えば、クライアントデバイス130は、電子文書をプリントする要求を送信するように構成され、更に、ネットワーク120内のネットワークサービスからの対応する応答を処理するように構成される。
【0012】
プリンティングデバイス110は、ネットワーク120の1つ以上のネットワークサービスと通信するよう構成され、各種の文書データを処理しプリントする。プリンティングデバイス110は、一般的には、ユーザインターフェース112、ジョブ検索器114、プリントプロセス116といった複数のコンポーネントを含んでもよい。プリンティングデバイス110は、簡潔のため図1には図示しない他のモジュールやプロセスを含んでもよい。
【0013】
ユーザインターフェース112は情報をユーザに表示し、ユーザの入力を受けとるように構成される。ユーザインターフェース112の実施は、プリンティングデバイス110の構造によって変化してもよい。一実施形態では、ユーザインターフェース112は、タッチスクリーン部分を有するディスプレイを含むことができ、その上にグラフィカルユーザインターフェース(GUI)が表示される。タッチスクリーンは、ユーザにアイコン及び/又は他のGUIオブジェクトを選択することを可能にし、ジョブ識別データを入力し、プリント基準を選択し、及び、プリンティングデバイス110の操作をコントロールする。代替的に又は追加的に、ユーザインターフェース112は、こうした機能を実行するためのコントロールボタンやテンキーを含んでもよい。例示的なユーザインターフェースが図4に示され、以下でより詳細に述べられる。
【0014】
一実施形態では、ユーザインターフェース112は、1つ以上のユーザインターフェース要素をアプリケーションサーバ124から検索するため、プリンティングデバイス110で実行されるアプリケーションを含む。例えば、ユーザインターフェース112は、アプリケーションサーバ124から受信するハイパーマークアップ言語(HTML)要素を表示するブラウザアプリケーションであってもよい。ユーザは、プリンティングデバイス110によって表示されるHTML要素と情報をやりとりし、プリントプロセス116の操作をコントロールする。代替的に、ユーザインターフェース112をコントロールするアプリケーションはプリンティングデバイス110に完全に組み込まれてもよく、そして、プリンティングデバイス110の揮発性又は不揮発性ストレージに保存されてもよい。
【0015】
ジョブ検索器114は、ネットワーク120内の1つ以上のネットワークサービスからプリントデータを検索するよう構成される。例えば、ジョブ検索器114は、プリントデータを要求するため、ユーザインターフェース112を介して受信した解除コードをアプリケーションサーバ124に供給してもよい。一実施形態では、ジョブ検索器114はまた、ネットワーク120内の1つ以上のネットワークサービスにプリント基準を供給するよう構成され、プリンティングの前にプリントデータを設定する。例えば、ジョブ検索器は、プリントする文書の一部を識別するアプリケーションサーバ124に、データを送信してもよい。
【0016】
本明細書で使用されるように、プリントデータは、電子文書をプリントするプリンティングデバイス110によって使用され得る如何なるデータを含んでもよい。例示のプリントデータには、次の例を含むがこれに限定されない。即ち、電子文書のプリント可能な又はプリント不可能なフォーマット、電子文書のプリンタコマンド言語(PCL)データ、又は、電子文書の他のページ記述言語(PDL)データ、及び、プリンティングデバイス110が電子文書をプリントするのに使用すべきプリントオプションを識別するプリントオプションデータである。
【0017】
プリントプロセス116は、1つ以上の文書(ドキュメント)が、対応するプリントデータに基づいて、プリンティングデバイス110によってプリントされるよう構成される。例えば、プリントプロセス116は、ユーザが選択するプリント開始ボタン及び/又はユーザがプリンティングデバイス110に入力する解除コードに応じて、初期化されてもよい。
【0018】
ネットワーク120は、プリントデータを処理し設定するために使用される1つ以上のネットワークサービスを含む。ネットワーク120は、一般的には、文書コンバータ122やアプリケーションサーバ124、ストレージ126といった複数のコンポーネントを含む。ネットワーク120は、簡潔性のため図1には示されない他のモジュールやプロセスを含んでもよい。文書コンバータ122とアプリケーションサーバ124は、ソフトウェアでも、ネットワーク120内部の1つ以上のデバイスで実行されるソフトウェアとハードウェアとの組合せでもよい。一実施形態では、これらの要素の1つ以上はプリントサーバ上で実行される。他の実施形態では、アプリケーションサーバ124のような1つ以上の要素(群)は、プリンティングデバイス110又はクライアントデバイス130によって実行されるファームウェアのようなソフトウェアでもよい。
【0019】
文書コンバータ122は、クライアントデバイス130から文書識別データを受信し、その文書識別データの受信に応じて、プリントデータを生成するよう構成される。一実施形態では、文書コンバータ122は、要求されるプリントジョブの解除コードとプレビューデータを生成するよう構成される。代替的に、ネットワーク120内の他のコンポーネント(群)(図示せず)が、プリントデータの解除コード及び/又はプレビューデータを生成してもよい。文書コンバータ122は、ストレージ126に、要求されたプリントジョブのプリントデータ127、解除コードデータ128、及びプレビューデータ129を保存する。
【0020】
アプリケーションサーバ124は、プリンティングデバイス110から要求を受信し、応答するように構成される。一実施形態では、アプリケーションサーバ124は受信解除コードに関連するプリントデータを検索するよう構成される。例えば、アプリケーションサーバ124は、ストレージ126からプリントデータを直接検索してもよく、又は、ネットワーク120内の他のネットワークサービス、例えば文書コンバータからプリントデータを要求してもよい。一実施形態では、アプリケーションサーバ124はプリンティングデバイス110からプリント基準を受信し、そのプリント基準に基づいて、特定のプリントデータを更新するよう構成される。プリントデータを更新する例は、更に以下で説明する。
【0021】
ストレージ126は、プリンティングデバイス110で使用されるデータを保存する揮発性又は不揮発性の如何なる種類のストレージとして実施されてもよく、そのプリンティングデバイスはプリンティング操作を実行する。図1で示されるように、ストレージ126で保存されるデータは、プリントデータ127、解除コードデータ128、及びプレビューデータ129を含む。プリントデータ127は、プリントプロセス116によって電子文書をプリントするのに使用される、電子文書のデータを含む。解除コードデータ128は、プリントデータ127に保存されるロックされたプリントデータの1つ以上の解除コードを含む。プレビューデータ129は、プリントデータ127の1つ以上のプリントプレビューを含み、1つ以上のプリント要求に関連する1つ以上の電子文書のプリントプレビューを含んでもよい。
【0022】
3.0 ロックされたプリントデータの生成と設定
クライアントデバイス130のユーザが電子文書のプリントを望むとき、そのユーザは、クライアントデバイス130に、ネットワーク120内の1つ以上のコンポーネントへ電子文書の文書識別データを送信させる。それに応じて、解除コードとプレビューデータがプリント要求用に生成され、その後、ユーザはそれらを使用して、プリンティングデバイスで、電子文書の1つ以上の部分を選択的に解除しプリントする。
【0023】
図2は、一実施形態に従って、クライアントデバイス、ネットワーク内の1つ以上のデバイス、及びプリンティングデバイスの間で交信される例示的な通信を示すフローダイアグラムである。
【0024】
ステップ202では、クライアントデバイス130が文書識別データ202を、ネットワーク内の1つ以上のネットワークサービス、例えば文書コンバータ122に送信する。その文書識別データは、エンドユーザがプリントを望む文書を識別する。文書識別データのフォーマットとコンテンツは、実施態様毎に異なってもよい。一実施形態では、クライアントデバイス130によって送信される文書識別データは、暗号化又は非暗号化フォーマットで電子文書自体を含む。他の実施形態では、文書識別データは、ユニバーサルリソースロケーター(URL)のような、電子文書への参照を含む。
【0025】
ステップ204では、文書識別データを受信すると、ネットワーク120内の1つ以上のネットワークサービスが、電子文書のプリントデータ、解除コード及びプレビューデータを生成する。一実施形態では、このステップは、文書コンバータ122によって実行される。代替的に、解除コード及び/又はプレビューデータは、別個のネットワークサービス(図示せず)又はネットワーク120内のアプリケーションサーバ124によって生成されてもよい。
【0026】
ステップ206では、ネットワーク120内の1つ以上のネットワークサービスが、解除コードとプレビューデータをクライアントデバイス130に送信する。そのプレビューデータは、画像データ、非画像データ、又は画像データと非画像データの如何なる組合せをも含んでよく、更に以下で説明する。
【0027】
ステップ208では、ユーザは、プリンティングデバイス110のユーザインターフェース112を用いて、解除コードとプリント基準を入力する。ユーザは、図4で示したのと同様に、MFPの操作パネルを用いて、この情報を入力してもよい。
【0028】
ステップ210では、プリンティングデバイス110は、解除コードとプリント基準を、ネットワーク120内の1つ以上のネットワークサービスに送信する。一実施形態では、プリンティングデバイス110のジョブ検索器114は、アプリケーションサーバ124との接続を構築する。ユーザインターフェース112を介して解除コードとプリント基準を受信することに応じて、ジョブ検索器114はアプリケーションサーバ124にその情報を送信する。
【0029】
ステップ212では、解除コードとプリント基準を受信するとすぐに、ネットワーク120内の1つ以上のネットワークサービスが解除コードに関連するプリントデータを検索する。例えば、アプリケーションサーバ124は、ジョブ検索器114によって送信された解除コードに基づいて、ストレージ126からプリントデータを検索してもよい。代替的に、アプリケーションサーバ124が、例えば文書コンバータ122のような他のネットワークサービスからプリントデータを要求することにより、プリントデータを検索してもよく、そのネットワークサービスはストレージ126にアクセスし、プリントデータを検索する。一実施形態では、プリントデータを検索することには、解除コードに関連する電子文書のプリント可能なフォーマットを検索することを含む。
【0030】
ステップ214では、ネットワーク120内の1つ以上のネットワークサービスが、プリンティングデバイスから受信されたプリント基準に基づいて、プリントデータを更新する。一実施形態では、アプリケーションサーバ124が、プリント基準を解除コードに関連する電子文書に適応して、新規の電子文書を生成することにより、プリントデータを更新する。
【0031】
ステップ216では、ネットワーク120内の1つ以上のネットワークサービスが、更新されたプリントデータをプリンティングデバイス110に送信する。一実施形態では、このステップは、アプリケーションサーバ124が新規の電子文書のプリントデータをジョブ検索器114に送信すること含む。例えば、アプリケーションサーバ124は、新規の電子文書のプリント可能なフォーマットをプリンティングデバイス110に送信してもよい。
【0032】
ステップ218では、プリンティングデバイス110が、更新されたプリントデータに基づいて、文書をプリントする。一実施形態では、ジョブ検索器114は、アプリケーションサーバ124から新規の電子文書のプリントデータを受信する。ジョブ検索器114は、この更新されたプリントデータをプリントプロセス116に供給する。これに対応して、プリントプロセス116は、更新されたプリントデータを処理して、新規の電子文書をプリントする。
【0033】
他の実施形態では、ネットワーク120内のネットワーク上のネットワークサービスによって実行されるように、図2で示される1つ以上のステップは、プリンティングデバイス110、クライアントデバイス130、又は図1に明示的には示されていない他のデバイスやモジュールによって実行されてもよい。例えば、プリントデータ、プレビューデータ、及び/又は解除コードの生成は、アプリケーションによって実行されてもよく、保存され、プリンティングデバイス110、クライアントデバイス130、又はプリンティングデバイス110とクライアントデバイス130とに通信可能に接続される他の如何なるネットワークデバイスによって実行されてもよい。
【0034】
3.1 ロックされたプリントデータのプレビューと他のデータの生成
ユーザがクライアントデバイス130から文書識別データを送信すると、プリントデータとプレビューデータが新規のプリント要求用に生成される。一実施形態では、文書コンバータ122が、文書識別データに関連した電子文書をポータブルドキュメントフォーマット(PDF)のようなプリント可能なフォーマットに変換することにより、プリントデータを生成する。他の実施形態では、プリントデータは電子文書をラスター化することにより生成される。ラスター化は、2次元画像が、ベクトルベースのフォーマットから、プリンティングデバイス110のようなプリンティングデバイスでの出力用の画素又はドットへ変換されるプロセスである。
【0035】
プレビューデータはプリントプレビューを含み、そのプリントプレビューは、どの電子文書が所定のプリント要求に対してプリントされるかを示す。プリントプレビューは、解除コードと共にユーザに返され、ユーザが、解除コードがプリンティングデバイスで入力されたとき、どの電子文書がプリントされるかを容易に識別することが可能になり、また、ユーザが、プリントを望むかもしれない電子文書の部分を見ることを可能にする。
【0036】
一実施形態では、プリントプレビューは画像データを含む。例えば、プレビューデータは、電子文書の1つ以上のサムネール画像を含んでもよい。各サムネール画像は、電子文書の異なるページに対応してもよい。サムネール画像は、電子文書を、如何なる適切なラスターフォーマットにラスター化することにより生成されてもよい。例えば、ラスター画像を含むPDFや、JPEG,TIFF,GIF,RAW,PNG、BMPファイルを含むが、これらに限定されない。1つ以上のサムネールを含む画像ファイルは、プリントプレビューとしてユーザに返される。
【0037】
他の実施形態において、プリントプレビューは非画像データを含む。例えば、電子文書は、テキストベースのファイルに変換されてもよく、そのテキストベースのファイルの各ページはその文書のプリントされるページに対応する。テキスト文書は、ユーザにプリントプレビューとして返される。そのテキスト文書は、テキストベースのファイルに埋め込まれる画像のような画像データを含んでもよい。
【0038】
プリントプレビューが返されると、クライアントデバイスは、解除コードをプリントプレビューに関連づけるデータを保存してもよい。このデータは、如何なる適切な構造をとってもよく、その構造は、ユーザが、どのプリントプレビューが所定の解除コードに関連しているかを識別することを可能にする。一実施形態においては、解除コードとプリントプレビューは、同じ電子メールメッセージの中で返され、それをクライアントデバイスが保存する。ユーザは、どの電子文書が解除コードに関連しているかを、例えば、プリント要求の電子メールメッセージの返信応答にアクセスすることにより、容易に識別することができる。ロックされたプリントデータを設定する電子メールの使用プロセスは、図3に示され、更に以下で説明される。他の例では、クライアントデバイスは、プリントプレビューデータを管理し表示するよう構成されるアプリケーションを実行する。そのアプリケーションは、例えば、携帯電話や他の携帯デバイスでの使用のために設計される携帯端末用アプリケーションである。一実施形態では、クライアントデバイスは、解除コードに合致するプリントプレビューをサーチするよう構成される。例えば、ユーザは解除コードを入力してもよく、それに応じて、クライアントデバイス130は、その解除コードに関連するプリントプレビューを検索し、ユーザに対してそのプリントプレビューを表示させる。
【0039】
3.2 プリント用に文書の部分を選択
一実施形態では、プリント基準は、プリントされるべき電子文書の1つ以上の部分を識別する。例えば、プリント基準は、ユーザがプリントを望む電子文書の個々のページ及び/又はページの範囲を特定してもよい。
【0040】
一実施形態では、ユーザインターフェース112は、ユーザが、ロックされたプリントデータのプリントされるべきページを入力できるよう構成される。再び図2を参照すると、ステップ208では、ユーザは、ユーザインターフェース112を用いて、ユーザがプリントを望むページを入力してもよい。このステップの間、ユーザは、アシスタントとしてプリントプレビューを使用して、どのページがプリントするのに望ましいかを決定する。例えば、ユーザはプリントプレビューのサムネール画像をブラウジングしてもよく、ユーザがプリントしたいページを識別する。ユーザが所望のページを選択した後、プリンティングデバイス110は、ステップ210で、所望のページを識別するプリント基準を、アプリケーションサーバ124のような1つ以上のネットワークサービスに送信する。
【0041】
ステップ214では、アプリケーションサーバ124は、プリント基準を電子文書に適用することにより、ロックされるプリントデータを設定し、プリント基準によって識別される電子文書の部分だけを含む新規な電子文書を生成する。一実施形態では、アプリケーションサーバ124は、新規な電子文書のプリントデータを生成する。代替的な実施形態では、文書コンバータ122が、その新規な電子文書のプリントデータを生成してもよい。ステップ216では、アプリケーションサーバ124は、新規な電子文書のプリントデータをプリンティングデバイス110に供給し、ステップ218では、プリンティングデバイス110に、プリント基準によって識別される電子文書の部分だけをプリントさせる。
【0042】
3.3 解除コードの生成と使用
一実施形態では、クライアントデバイスが、或る電子文書がプリントされるべきと要求すると、プリントデータが生成され保存されるか、又は、ユーザがプリンティングデバイスで解除コードを入力するまで「ロックされる」。これは、プリントデータがアクセスされる前に、ユーザが適切に認証されて、非認証の電子文書のプリントを回避することを確実にする。プリントデータは、任意的に、ユーザ名やパスワードと関連付けられてもよい。従って、プリントデータのロックを解除するため、ユーザは、解除コードに加えて、プリンティングデバイスでユーザ名とパスワードを入力するよう要求されてもよい。
【0043】
解除コードは、所定のプリントデータを識別する如何なるデータでもよい。従って、解除コードは、様々な方法で表されることができる。例えば、解除コードは、文字、数字、及び特殊文字を含む唯一の英数字列によって表すことが可能である。その列は、固定の又は変化する長さを有することができる。他の例によれば、ジョブ識別子が、16進数、2進数、又は、如何なる記数法で表示される数であってもよい。解除コードは、乱数発生器のようなランダムベースで生成されてもよく、又は、シーケンシャルカウンタのようなオーダーベースで生成されてもよい。例示の解除コードは、下の表1に示される。
【0044】
ユーザがロックされるプリントデータを設定し実行することを望むとき、ユーザはプリンティングデバイスで解除コードとプリント基準とを入力する。一実施形態では、ユーザは、解除コードの修正版を用いて、解除コードとプリント基準の両方を特定してもよい。例えば、その修正された解除コードは、最初の解除コード(即ち、ステップ206で、クライアントデバイス130に最初に返される解除コード)とプリント基準を特定する追加情報を含んでもよい。その追加の情報は、最初の解除コードへのプレフィックス又はサフィックスとして加えられてもよい。解除コードの修正とその対応する機能の例は下の表1に示される。
【0045】
ユーザは、プリンティングデバイス110で、ユーザインターフェース112を介して、修正された解除コードを手動で入力してもよい。代替的に、プリンティングデバイス110は、ユーザが他のユーザインターフェース要素を介して選択するプリント基準に応じて、修正された解除コードを自動的に生成してもよい。
【0046】
解除コードを受信するとすぐに、アプリケーションサーバ124は修正された解除コードを分析し、最初の解除コードとプリント基準を決定する。アプリケーションサーバ124は、修正された解除コードの最初の解除コード部分を使用して、どのプリントデータが検索されるべきかを決定し、その修正された解除コードのプリント基準を使用して、どのようにしてそのプリントデータが設定されるべきかを決定する。
【0047】
下に示す表1は、一実施形態に従って、解除コードの修正の例と、その解除コードの対応する機能を示す。
【表1】

【0048】
第1の解除コード“87654321”は、修正されていない解除コードであり、そこにはプリント基準は何も加えられていない。この解除コードがユーザによってプリンティングデバイスに入力される場合、そのプリンティングデバイスは、その解除コードに関する電子文書の全体をプリントする。第2の例では、解除コードは、サフィックス“−10”を加えることにより、修正されている。この解除コードは、プリンティングデバイスに、最初の解除コードに関する電子文書の10ページだけをプリントさせる。同様に、解除コードにサフィックス“−12+19”を加えることは、プリンティングデバイスに、その電子文書の12ページと19ページをプリントさせ、“5_9”を加えることは、プリンティングデバイスにその電子文書の5ページから9ページをプリントさせる。
【0049】
表1に示される解除コードと修正の例は、単に例示目的のである。解除コードと修正のシンタックスは、実施態様毎に異なってもよい。例えば、プリント基準は、プレフィックスとして、又は解除コードの他の如何なる部分へ付け加えられてもよい。更に、プリント基準を加えたり、ページを分割したり、ページ範囲を特定するデリミタは、上述のものとは異なる。例えば、ページは、“+”符号の代わりに、コンマ、セミコロン、又は他の文字・符号によって分割されてもよい。同様に、他の文字(群)が、サフィックスを区別するために、“−”の代わりに使用されてもよいし、ページ範囲を特定するために、“_”の代わりに使用されてもよい。
【0050】
3.4 便利なロックされたプリンティングのための電子メールの使用
一実施形態では、電子メールのメッセージが、例えば、文書識別データや解除コード、プリントプレビューの送信といった情報の交換に使用されてもよい。電子メールは、一般的には複数のネットワークデバイスにアクセス可能なので、ユーザが解除コードとプリントプレビューにアクセスするのに柔軟で便利なソリューションを提供する。例えば、ユーザは、デスクトップデバイスから文書識別を電子メールで送信し、プリンティングデバイスの隣に立ちながら、携帯型デバイス上でプリントプレビューと解除コードを見てもよい。送信されると、電子メールは、シンプルメールトランスファープロトコル(SMTP)で特定されるように、電子メールサーバを通ってルートが決められてもよい。これに応じて、プリントサーバは、プリントプレビューと解除コードとを含む返信メールを電子メールサーバに送信する。それ故、ユーザは電子メールサーバにログオンして、如何なる互換性のあるネットワークデバイスからの電子メールの返信もみることができる。
【0051】
図3は、一実施形態に従った、プリントのためユーザに電子文書の部分を選択させるアプローチを示すフローチャートである。
【0052】
ステップ302、310、316及び318は、エンドユーザによって実行されるステップを示す。ステップ302では、ユーザは電子メールに文書を添付する。代替的に、ステップ304では、ユーザは、電子メール本体の中に、プリントする文書を特定するURLを含めてもよい。添付の文書又はURLは、文書コンバータ122に送信される文書識別を含む。ステップ306では、その文書はプリント可能なフォーマットに変換される。一実施形態では、このステップは、電子メールの本体に添付された文書やURLで識別される文書をPDFファイルに変換するステップを含む。ステップ308では、プレビューサムネールがプリントデータ用に生成される。一実施形態では、サムネール画像は、プリントされると各画像がどのように見えるかに基づいて、PDFファイル内のページ毎に生成される。ステップ310では、解除コードがプリントデータのために生成される。ステップ312では、解除コードとプレビューサムネールが、ユーザに送信される。一実施形態では、文書コンバータ122は、解除コードとサムネール画像を含む電子メールを生成し送信する。そのサムネール画像及び/又は解除コードは、電子メール本体に含まれてもよいし、添付されてもよい。
【0053】
エンドユーザによって実施されるステップを再び参照すると、ステップ314では、ユーザは、解除コードとプレビューサムネールを含む確認メールを受信する。一実施形態に従って、ユーザは、電子メールサーバにアクセスする如何なるネットワークデバイスを使っても、解除コードとプレビューサムネールにアクセスしてもよい。ステップ316では、ユーザは、MFP上で解除コードを入力する。ステップ318では、ユーザは、保留中のプリント要求のプリントオプションを選択する。プリントオプションは、電子文書のレイアウト、両面プリントの可否、プリントされるコピー枚数及びプリント文書のステープリングの可否の設定を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0054】
ステップ320及び324から334は、一実施形態に従って、アプリケーションサーバ124によって実行される。ステップ320では、アプリケーションサーバ124は、文書コンバータ122から、解除コードに関連する電子文書を要求する。ステップ322では、文書コンバータ122は要求された文書をアプリケーションサーバ124に送信する。ステップ324では、アプリケーションサーバ124は、電子文書を受信する。ステップ326では、アプリケーションサーバ124は、解除コードを処理し、プリントする電子文書のページを識別する。ステップ328では、アプリケーションサーバ124は、処理された解除コードに基づいて、電子文書の全部をプリントすべきかどうかを決定する。例えば、もし解除コードが修正されていないのなら、ステップ330では、アプリケーションサーバ124は、プリンティングデバイス110に、ユーザが選択したプリントオプションで電子文書の全部をプリントさせる。解除コードが、プリントする電子文書の部分を識別する追加情報を含むように修正された場合、ステップ332では、アプリケーションサーバ124はその識別されたページを新しい文書に変換する。即ち、ユーザに選択されなかったどのページも新しい文書には含まれない。ステップ334では、アプリケーションサーバ124はプリンティングデバイス110に、新しい文書のプリントデータを送ることにより、その新しい文書をプリントさせる。代替的な実施形態では、アプリケーションサーバ124は、全体の電子文書のプリントデータを送信してもよく、プリンティングデバイス110は、そのプリント基準を適用して新しい文書を生成しプリントしてもよい。
【0055】
代替的な実施形態では、文書コンバータ122で実行されるような図3に示される1つ以上のステップは、アプリケーションサーバ124、プリンティングデバイス110、クライアントデバイス130、又は、明示的には示されていない他の要素によって実行されてもよい。同様に、アプリケーションサーバ124で実行されるような図3で示される1つ以上のステップは、文書コンバータ122、プリンティングデバイス110、クライアントデバイス130、又は、明示的には示されていない他の要素によって実行されてもよい。例えば、文書コンバータ122が新しい電子文書のプリントデータを生成してもよい。
【0056】
4.0 ロックされたプリントデータを解除するプリンティングデバイスの使用
ユーザが保留中のプリント要求を更新し及び/又は実行するとき、ユーザはプリンティングデバイスで解除コードとプリント基準(もしあれば)を入力する。一実施形態では、プリント要求は、複数の互換性のあるプリンティングデバイスのうちの何れかによって実行されてもよい。互換性のあるプリンティングデバイスのそれぞれは、異なる物理的場所、及び/又は異なるネットワーク又はサブネットワークに存在してもよい。従って、ユーザは、互換性のあるプリンティングデバイスの何れを選択してもよく、解除コードとプリント基準を入力し、プリント要求を実行する。代替的には、ロックされたプリントデータは、1つ以上のプリンタの許可されたセットに制限されてもよい。従って、ユーザは、許可されたプリンタで解除コードを入力することによってのみ、プリント要求を実行してもよい。
【0057】
解除コードとプリント基準を入力するため、ユーザは、図4に示される操作パネルと同様のMFPの操作パネルを使用してもよい。操作パネル400は、解除コード入力フィールド402を含み、そのフィールドで、ユーザは、所定のプリント要求のための解除コード又は修正された解除コードを入力してもよい。例えば、表1に示される何れの解除コードも、ユーザによって解除コードフィールド402に入力されてもよい。
【0058】
ユーザは、操作パネル400を使用して、プリントオプションを選択し、プリンティングデバイスがその解除コードに関連付けられた電子文書をプリントする方法を設定する。例えば、ユーザは、レイアウトコントロール404aを用いて、プリントされる文書のレイアウトを設定してもよく、コピーコントロール404bを用いて、プリンタがプリントするコピー枚数を設定してもよく、両面プリントコントロール404cを用いて、プリントされる文書の両面プリントを設定してもよく、更に、ステープルコントロール404dを用いて、プリントされる文書のステープリングを設定してもよい。
【0059】
ユーザが解除コードとプリント基準を入力すると、ユーザはプリントボタン406を選択し、所定のプリントオプションに従って、解除コードによって識別される電子文書の1つ以上の部分をプリントする。プリントボタン406の選択は、ジョブ検索器114に、設定されるプリントデータを検索させ、そして、上述した技術に従って、プリントプロセス116に、電子文書をプリントさせる。
【0060】
5.0 実施のメカニズム
一実施形態に従って、本明細書で説明した技術は、1つ以上の専用コンピュータデバイスによって実施される。その専用コンピュータデバイスは、本技術を実行するようにハードウェアに組み込まれてもよく、又は、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASICs)やフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAs)のような、本技術を実行するために持続的にプログラムされるデジタルデバイスを含んでもよく、又は、ファームウェア、メモリ、他のストレージ又は組合せのプログラム命令に従って、本技術を実行するようにプログラムされた、1つ以上の汎用ハードウェアプロセッサを含んでもよい。そうした専用コンピュータデバイスは、本技術を実現するため、カスタム配線論理、ASICs又はFPGAsを、カスタムプログラミングと組み合わせてもよい。その専用コンピュータデバイスは、デスクトップコンピュータシステム、ポータブルコンピュータシステム、携帯型デバイス、ネットワーキングデバイス、又は、本技術を実施する、ハードワイヤードの及び/又はプログラムのロジックを組み込む如何なる他のデバイスでもよい。
【0061】
例えば、図5は、本発明の一実施形態が実行されるコンピュータシステム500を示すブロック図である。コンピュータシステム500は、バス502又は情報を通信する他の通信メカニズム、及び、情報を処理するためバス502に接続されるハードウェアプロセッサ504を含む。ハードウェアプロセッサ504は、例えば、汎用目的マイクロプロセッサでもよい。
【0062】
コンピュータシステム500はまた、情報やプロセッサ504に実行されるべき命令を保存するため、バス502に接続される、ランダムアクセスメモリ(RAM)や他のダイナミックストレージデバイスのようなメインメモリ506を含む。メインメモリ506は、また、プロセッサ504によって実行されるべき命令の実行の間に、一時的な変数や他の中間的な情報を保存するために使用されてもよい。そうした命令は、プロセッサ504にアクセス可能な持続性ストレージメディアに保存されると、コンピュータシステム500を、その命令の中で特定される操作を実行するようカスタマイズされた専用マシーンにする。
【0063】
コンピュータシステム500は、更に、バス502に接続されるリードオンリーメモリ(ROM)508や、他のスタティックなストレージデバイスを含み、それによりプロセッサ504のスタティックな情報と命令とを保存する。磁気ディスクや光学ディスクのようなストレージデバイス510が、情報と命令を保存するため、供給され、バス502に接続される。
【0064】
コンピュータシステム500は、バス502を介して、例えばブラウン管(CRT)のようなディスプレイ512に接続されてもよく、情報をコンピュータユーザに表示する。英数字や他のキーを含む入力デバイス514は、バス502に接続され、それによりプロセッサ504に情報とコマンド選択を通信する。他のタイプのユーザ入力デバイスは、カーソルコントロール516であり、例えば、マウス、トラックボール、又はカーソル方向キーであり、方向情報とコマンド選択をプロセッサ504に通信し、ディスプレイ512でカーソルの動きをコントロールする。この入力デバイスは、一般的には、2つの軸内で2つの自由度、第1軸(即ちx)と第2軸(即ちy)とを有し、それよりそのデバイスが平面内の位置を特定することを可能にする。
【0065】
コンピュータシステム500は、カスタマイズされたハードワイヤードロジック、1つ以上のASICs又はFPGAs、ファームウェア及び/又はプログラムロジックを用いて、本明細書で説明する技術を実施してもよく、そのコンピュータシステムとの組合せで、コンピュータシステム500を専用マシーンにするように又はプログラムする。一実施形態によれば、本明細書で説明する技術は、メインメモリ506の中に含まれる1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行するプロセッサ504に応じて、コンピュータシステム500によって実行される。そうした命令は、ストレージデバイス510のような他のストレージメディアから、メインメモリ506へ読み込まれてもよい。メモリ506の中に含まれる命令のシーケンスの実行は、プロセッサ504に本明細書で述べるプロセスステップを実行させる。代替的な実施形態では、ハードワイヤード回路が、ソフトウェア命令の代わりに又はそれと共に用いられてもよい。
【0066】
本明細書で使用される“ストレージメディア”の語は、マシーンを所定の方法で操作するデータ及び/又は命令を保存する如何なる持続性メディアにも言及する。そうしたストレージメディアは、不揮発性メディア及び/又は揮発性メディアを含んでもよい。不揮発性メディアは、例えば、ストレージデバイス510のような光学的又は磁気ディスクを含む。揮発性メディアにはメインメモリ506のようなダイナミックメモリを含む。ストレージメディアの一般的な形態には、例えば、以下のものを含む。即ち、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ、又は、他の如何なる磁気データストレージメディア、CD−ROM,他の如何なる光学的データストレージメディア、ホールパターンを備えた如何なる物理メディア、RAM,PROM、EPROM,フラッシュEPROM、NVRAM、他の如何なるメモリチップ又はカートリッジである。
【0067】
ストレージメディアは、伝送メディアとは区別されるが、これと接続して用いられてもよい。伝送メディアはストレージメディア間の情報を伝送するのに関与する。例えば、伝送メディアは、同軸ケーブル、銅線及び光ファイバーを含み、バス502を有するワイヤを含む。伝送メディアは、また、ラジオ波及び赤外線データ通信の間に生成されるような、音波又は光波の形態をとってもよい。
【0068】
各種のメディア形態を用いて、1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを、実行のためプロセッサ504に伝送してもよい。例えば、命令は、始めに、磁気ディスク又はリモートコンピュータのソリッドステートドライブ上で伝えられてもよい。そのリモートコンピュータは、命令をダイナミックメモリへロードし、モデムを使用して電話回線で命令を送信することができる。コンピュータシステム500にローカルなモデムは、電話回線でデータを受信することができ、赤外線送信機を使用してデータを赤外線信号に変換する。赤外線検出器は、赤外線信号の中に伝送されるデータを受信することができ、適切な回路がそのデータをバス502に置くことができる。バス502は、データをメインメモリ506に伝送し、そのメインメモリから、プロセッサ504は命令を検索し実行する。メインメモリ506によって受信される命令は、任意的に、ストレージデバイス510に保存されてもよく、それはプロセッサ504の実行の前又は後のどちらかである。
【0069】
コンピュータシステム500は、また、バス502に接続される通信インターフェース518を含む。通信インターフェース518は、双方向のデータ通信を供給し、ローカルネットワーク522に接続するネットワークリンク520と結合する。例えば、通信インターフェース518は、統合サービスデジタル通信網(ISDN)カード、ケーブルモデム、衛星モデム、又は、モデムであってもよく、電話回線の対応するタイプにデータ通信接続を供給する。他の例として、通信インターフェース518は、ローカルエリアネットワーク(LAN)カードでよく、データ通信接続を互換性のあるLANに供給する。無線リンクが使用されてもよい。そうした何れの実施態様においても、通信インターフェース518は、電気的、電磁的、又は光学的信号を送受信し、それらの信号は情報の様々な種類を表すデジタルデータストリームを搬送する。
【0070】
ネットワークリンク520は、一般的には、1つ以上のネットワークを通じて、他のデータデバイスにデータ通信を供給する。例えば、ネットワークリンク520は、ホストコンピュータ524又はインターネットサービスプロバイダ(ISP)526によって操作されるデータ装置に、ローカルネットワーク522を通じて、通信接続される。ISP526は、入れ替わりに、現在”インターネット“528と一般に呼ばれるワールドワイドパケットデータ通信ネットワークを通じて、データ通信サービスを供給する。ローカルネットワーク522とインターネット528の両方とも、デジタルデータストリームを搬送する電気的、電磁的又は光学的信号を使用する。各種のネットワークを通じた信号と、ネットワークリンク520上の及び通信インターフェース518を通じた信号は、伝送メディアの例示的形態であり、それらの信号はデジタル信号をコンピュータシステム500へ及びそこから搬送される。
【0071】
コンピュータシステム500は、ネットワーク(群)、ネットワークリンク520、及び通信インターフェース518を通じて、メッセージを送信したり、プログラムコードを含むデータを受信することができる。インターネットの例では、サーバ530が、インターネット528、ISP526、ローカルネットワーク522、及び通信インターフェース518を通じて、アプリケーションプログラムの要求されたコードを送信してもよい。
【0072】
受信されるコードは、それが受信され、及び/又は、後の実行のためストレージデバイス510又は他の不揮発性ストレージに保存されるとき、プロセッサ504によって実行されてもよい。
【0073】
前記の明細書では、本発明の実施形態群は、実施態様毎に異なる多数の特定の詳細を参照して説明した。従って、本明細書と図面は、制限的な意味ではなく、例示的な意味として考えられるべきである。本発明の範囲の精神と独占的な指標、並びに、本発明の範囲として何が本出願人によって意図されるかは、本出願から特定の形式で発行されるクレームセットの文言的及び均等的な範囲により規定され、その形式には後の訂正を含む。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置は:
1つ以上のプロセッサと;
命令を保存する1つ以上のコンピュータ読み取り可能なメディアと;を含み、
前記命令は前記1つ以上のプロセッサによって処理されるとき、次のステップを生ずる:
第1デバイスから、プリントされるべき電子文書を識別する文書識別データを受信するステップ、
前記プリントされるべき電子文書を識別する文書識別データを受信することに応じて、次のことを生成するステップ、即ち:
(a)前記電子文書のプリントプレビュー及び
(b)前記電子文書の解除コード;
前記第1デバイスに前記プリントプレビューと前記解除コードとを送信するステップ;
プリンティングデバイスから前記解除コードと1つ以上のプリント基準とを受信するステップであって、該1つ以上のプリント基準はプリントされるべき電子文書の1つ以上の部分を表し、該電子文書の1つ以上の部分は前記電子文書の全体よりも小さいものを含み;
前記プリンティングデバイスから前記解除コードと前記1つ以上のプリント基準とを受信することに応じて、前記プリンティングデバイスに、前記電子文書の前記1つ以上の部分を含むプリントデータを供給するステップ、を有する装置。
【請求項2】
前記プリント基準は、ユーザがプリントを望む電子文書の1つ以上のページを識別するものであって、前記プリンティングデバイスに、前記電子文書の1つ以上の部分を含むプリントデータを供給するステップには、前記プリンティングデバイスに、前記電子文書から前記プリント基準によって識別されるページだけをプリントさせるステップを含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記文書識別データは、前記電子文書と、前記電子文書の場所を表すユニバーサルリソースロケーター(URL)とのうちの1つ以上である、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記プリンティングデバイスから受信された前記解除コード及び前記1つ以上のプリント基準は、修正された解除コードを有し、該修正された解除コードは、前記第1デバイスに送信された前記解除コード及び、プリントされるべき前記電子文書の前記1つ以上の部分を表す追加情報を含む、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記修正された解除コードは、前記解除コードと、前記電子文書の前記1つ以上の部分を識別するサフィックスとを含む、請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記プリントプレビューは、1つ以上のサムネール画像又は非画像データを含む、請求項1記載の装置。
【請求項7】
請求項1記載の装置であって、前記命令は更に以下のステップを生ずる:
プリントされるべき電子文書を識別する文書識別データを受信することに応じて、前記プリントプレビューと前記解除コードとを含む電子メールメッセージを生成するステップ;と、
前記電子メールメッセージを前記第1デバイスに送信するステップ。
【請求項8】
命令を保存する1つ以上の持続性保存メディアであって、1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、次のステップを生じる:
第1デバイスから、プリントされるべき電子文書を識別する文書識別データを受信するステップと;
前記プリントされるべき電子文書を識別する文書識別データを受信することに応じて、以下を生成するステップ:即ち、
(a)前記電子文書のプリントプレビュー及び
(b)前記電子文書の解除コード;
前記プリントプレビューと前記解除コードとを前記第1デバイスに送信するステップと;
前記解除コードと1つ以上のプリント基準を、プリンティングデバイスから受信するステップであり、前記1つ以上のプリント基準はプリントされるべき電子文書の1つ以上の部分を表し、前記電子文書の前記1つ以上の部分は、前記電子文書全体よりも小さいものを含み;
前記解除コードと前記1つ以上のプリント基準を前記プリンティングデバイスから受信するのに応じて、前記プリンティングデバイスに、前記電子文書の前記1つ以上の部分を含むプリントデータを供給するステップ、を含む保存メディア。
【請求項9】
前記プリント基準は、ユーザがプリントを望む電子文書の1つ以上のページを識別し、前記プリンティングデバイスに、前記電子文書の前記1つ以上の部分を含むプリントデータを供給することは、前記第プリンティングデバイスに、前記電子文書から前記プリント基準によって識別されるページだけをプリントさせることを含む、請求項8記載の1つ以上の持続性保存メディア。
【請求項10】
前記文書識別データは、前記電子文書と、該電子文書の場所を表すユニバーサルリソースロケーター(URL)とのうちの1つ以上である、請求項8記載の1つ以上の持続性保存メディア。
【請求項11】
前記プリンティングデバイスから受信された前記解除コード及び前記1つ以上のプリント基準は、修正された解除コードを有し、該修正された解除コードは、前記第1デバイスに送信された前記解除コード及び、プリントされるべき前記電子文書の前記1つ以上の部分を表す追加情報を含む、請求項8記載の1つ以上の持続性保存メディア。
【請求項12】
前記修正された解除コードは、前記解除コードと、前記電子文書の前記1つ以上の部分を識別するサフィックスとを含む、請求項11記載の1つ以上の持続性保存メディア。
【請求項13】
前記プリントプレビューは、1つ以上のサムネール画像又は非画像データを含む、請求項8記載の1つ以上の持続性保存メディア。
【請求項14】
請求項8記載の1つ以上の持続性保存メディアであって、前記命令は以下のステップを生ずる:
プリントされるべき電子文書を識別する文書識別データを受信することに応じて、前記プリントプレビューと前記解除コードとを含む電子メールメッセージを生成するステップと;
前記電子メールメッセージを前記第1デバイスに送信するステップ。
【請求項15】
方法は:
第1デバイスから、プリントされるべき電子文書を識別する文書識別データを受信するステップ;
前記プリントされるべき電子文書を識別する文書識別データを受信することに応じて、次のことを生成するステップ、即ち:
(a)前記電子文書のプリントプレビュー及び
(b)前記電子文書の解除コード;
前記第1デバイスに前記プリントプレビューと前記解除コードとを送信するステップ;
プリンティングデバイスから前記解除コードと1つ以上のプリント基準とを受信するステップであって、該1つ以上のプリント基準はプリントされるべき電子文書の1つ以上の部分を表し、該電子文書の1つ以上の部分は前記電子文書の全体よりも小さいものを含む、ステップ;
前記プリンティングデバイスから前記解除コードと前記1つ以上のプリント基準とを受信することに応じて、前記プリンティングデバイスに、前記電子文書の前記1つ以上の部分を含むプリントデータを供給するステップ、を有する方法。
【請求項16】
前記プリント基準は、ユーザがプリントを望む電子文書の1つ以上のページを識別し、前記プリンティングデバイスに、前記電子文書の前記1つ以上の部分を含むプリントデータを供給するステップには、前記プリンティングデバイスに、前記プリント基準によって識別されるページだけを前記電子文書からプリントさせるステップを含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記文書識別データは、前記電子文書と、該電子文書の場所を表すユニバーサルリソースロケーター(URL)とのうちの1つ以上である、請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記プリンティングデバイスから受信された前記解除コード及び前記1つ以上のプリント基準は、修正された解除コードを有し、該修正された解除コードは、前記第1デバイスに送信された前記解除コード及び、プリントされるべき前記電子文書の前記1つ以上の部分を表す追加情報を含む、請求項15記載の方法。
【請求項19】
前記プリントプレビューは1つ以上のサムネール画像又は非画像データを含む、請求項15記載の方法。
【請求項20】
プリントされるべき電子文書を識別する文書識別データを受信することに応じて、前記プリントプレビューと前記解除コードとを含む電子メールメッセージを生成するステップと、
前記電子メールメッセージを前記第1デバイスに送信するステップと、を更に含む、請求項15記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−37690(P2013−37690A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−173676(P2012−173676)
【出願日】平成24年8月6日(2012.8.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】