説明

診断デバイス用崩壊性フィルム

本発明は診断検査デバイス用の崩壊性フィルム組成物を提供する。該フィルムは十分なフィルム強度と所期の崩壊プロフィールをもつフィルムを生じる成分の組合せで製造されている。本発明による崩壊性フィルムは水溶性の高分子量の成分、水溶性の低分子量の成分、および診断デバイスに使用するための一つまたはそれ以上の試薬を含有している。場合によっては、フィルムはさらに、デンプン成分、グルコース成分、可塑剤および/または湿潤剤、および/または充填剤を含有している。本発明はさらに、本発明の態様によるフィルムを含んでいる診断検査デバイス、およびかかるデバイスを使用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(クロスリファレンス)
本件特許出願は2003年10月24日に「医薬剤または化粧剤送達用急速溶解性フィルム(RAPIDLY DISSOLVING FILMS FOR DELIVERY OF PHARMACEUTICAL OR COSMETIC AGENTS)」と題して出願された米国仮特許出願60/513547号の利益を主張する。この米国仮特許出願60/513547号はその全体が本明細書の中に組み入れられる。
【0002】
本発明は崩壊性フィルム、かかるフィルムを含有する診断デバイス、およびそれらの使用の方法に関する。特に、本発明は一態様においては、診断検定デバイスに使用するための可溶性の又は分散された試薬を含有している水溶性フィルムを提供する。
【背景技術】
【0003】
生体外診断デバイス(in-vitro diagnostic devices)は広く使用されている。有用な診断検定デバイスは細胞、タンパク質、細菌、ウイルス、核酸配列およびその他の様々な関心のある物質または化合物を検出、単離および/または分離するための生体特異性親和反応(biospecific affinity reactions)にたよっている。多数の医用診断検査は血液や唾液や尿のような生物学的流体の中に存在する特異化合物の検出、単離および/または測定を必要とする。
【0004】
診断検査は様々なデバイス、たとえば、中でも、電子デバイス、バイオセンサー、ラテラルフローデバイス(lateral flow devices)、テストストリップ(test strips)、およびテストカード(test cards)、を使用して行うことができる。検査を行うのに必要な物質はしばしば、具体的検査デバイスを含めてのテストキット(test kit)の形態で付与される。或る検査デバイスは具体的検査を行うのに必要な試薬(単数または複数)を含んでいる。別の検査デバイスでは、試薬(単数または複数)が別に得られそして検査デバイスと接続して使用される。
【0005】
生体外診断デバイスを使用して検出、測定および/または単離され得る物質は次のものが挙げられる:中でも、たとえば、グルコース;コレステロール;タンパク質、たとえば、様々な酵素、たとえば、アミラーゼおよびクレアチンキナーゼ;乱用物質(substances-of-abuse)、たとえば、法律で所有および使用を規制されている薬物、たとえば、メタンフェタミン;細胞;細菌;ウイルス;および核酸配列。たとえば、妊娠検査はヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(human chorionic gonadotropin)(hCG)を検出するためのテストストリップを使用して行うことができる。かかる検査は米国特許第6,403,298号および第4,496,654号明細書の中に記載されている。また、糖尿病患者や医療専門家は血糖値(blood glucose levels)を測定するのにテストストリップを使用する。米国特許第6,270,637号明細書には電気化学的バイオセンサー血糖テストストリップが記載されている。米国特許第5,846,751号明細書に記載されているような診断検査は胃疾患や十二指腸潰瘍を診断するのにヒトの胃の中のヘリコバクターピロリ菌を検出するのに使用される。米国特許第6,645,731号明細書には、生化学マトリックスからのガン細胞の単離が記載されている。
【0006】
ラテラルフロー検査デバイスは普通に使用されている。代表的には、ラテラルフローデバイスは一つまたはそれ以上の試薬がその上に存在しているところのテストストリップを含んでいる。ラテラルフロー検査デバイスを使用するには、流体サンプルがストリップ上に付着され毛管作用によってストリップに沿って移動し、そこで被検体(analyte)の有無に依存して現場で化学反応が起こる。しばしば、少なくとも一つの試薬が含まれており、それは関心のある被検体の微量の存在において検出可能シグナルたとえば色変化を現わす。
【0007】
テストストリップを製造するには、試薬たとえば酵素または抗体を含有する水溶液が、膜支持体、電気化学センサー、セルロースまたは紙のような固体材料である支持層の上に、局在化されている。試薬は問題の被検体の検出に必要なもの又は検出を助けるものとして選択される。代表的には、試薬は膜の上に吹き付け(spraying)、塗布(coating)または縞模様付け(striping)によって置かれ、そして次いで乾燥される。
【0008】
他の診断検査デバイスは様々な水性試薬の使用を必要とする。試薬は代表的にはピペットによって直接に、検査すべきサンプルに適用される。
【0009】
試薬は高価であることがある。従って、試薬の浪費は望ましくない。テストストリップにとっての従来の製造技術たとえば吹き付け、塗布または縞模様付けは結果として試薬の損失を生じさせることがある。加えて、従来技術を使用してテストストリップ上の試薬量をコントロールすることは難しい。さらに、水性試薬は取扱が面倒であることがある。試薬によっては水性形態では不安定であり、冷蔵のような特別の目的に合った貯蔵を必要とするかも知れない。
【0010】
免疫検定における試薬としての使用には、特異な化学反応性成分によって機能化されている磁性粒子も知られている。これら検定デバイスにおいては、生化学的錯体が磁気的性質に基づいて分離および単離される。米国特許第6,120,856号明細書には、免疫検定、細胞分離、毒性検査、食物検査および環境分析を含めての診断技術にフェロ流体(ferro fluid)を使用することが言及されている。米国特許第6,672,458号明細書には、増幅法(amplification techniques)からの核酸(DNAおよびRNA)の分離および単離に適する機能化された常磁性粒子の使用が記載されている。増幅に続いて、細胞を溶解しそして特異核酸配列を機能化常磁性粒子に錯体化する。核酸と結合した常磁性粒子は錯体の磁性粒子を使用して残留溶液から分離される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、通常の診断技法に使用されるガラス容器やプラスチック容器に対する静電効果(static effect)のせいで磁性粒子の濃度をコントロールすることが難しかった。ポリスチレンやポリプロピレンからつくられたプラスチック容器は静電荷を保留することが知られている。試験管やその他部品の上の静電荷はプラスチックやガラスの表面への粒子吸引のせいで粒子の定量的量の分配に問題を生じる。
【0012】
従って、上記問題を最少にする又は解消する試薬組成物および診断デバイスを提供することは有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の概要)
本発明は診断検査に使用するための十分なフィルム強度と望ましい崩壊性プロフィールをもつフィルムを生じる成分の組合せによって調製された崩壊性フィルム試薬組成物を提供する。本発明による崩壊性フィルムは高分子量と低分子量の水溶性成分の混合物を含有している。フィルムが特定の診断検査に使用できるように、さらに、フィルムは関心のある被検体または他の試薬と反応することを目標とした一つまたはそれ以上の試薬を含有している。場合によっては、フィルムはさらに、デンプン成分、グルコース成分、可塑剤および/または湿潤剤(humectant)を含有していてもよい。さらに、場合によっては、フィルムはフィルムの崩壊プロフィールを変更するためにフィルム内の分散された相または粒子である充填剤を含有することができる。
【0014】
「被検体」によって意味するところはサンプルの中の検出されるべき分子またはその他物質である。ここで使用されるときには、たとえば、被検体はモノ−もしくはポリエピトープ性、抗原性またはハプテン性である配位子であってもよい;それは単一化合物、たとえば、絨毛性性腺刺激ホルモン、グルコース、前立腺特異性抗原(prostate specific antigen)であってもよいし、又は少なくとも一つの共通エピトープ性サイトを共有する複数の化合物であってもよい;それはウイルス、細菌またはその他の病原体のエピトープ性サイトであってもよい;それはまた、関心のあるサンプルの中に存在していることが疑われる受容体もしくは抗体、またはその他のいずれかの化学的もしくは生物学的な物質、化合物もしくは材料であってもよく、限定されるものではないが、毒性物質、たとえば、汚染物質、または生物兵器もしくは化学兵器の薬剤も包含される。
【0015】
限定されるものではないが、「試薬」の例は、特異性抗体または特異性受容体、様々な鉄酸化物粒子、磁性、強磁性もしくは常磁性粒子、および、関心のある被検体たとえば病原体(たとえば、細菌、ウイルス、または真菌類);タンパク質(たとえば、成長因子、リンフォカイン(lymphokine)、毒素、またはホルモン);細胞表面(たとえば、細胞接着分子、ラミニン、フィブロネクチン、インテグリン、またはレクチン);様々な薬物;代謝物;農薬;または毒素と対になってときにそれ自体で又は他の因子との組合せで検出可能シグナルまたは応答を生じさせるいずれかの物質、を包含する。
【0016】
本発明の例示的態様によるフィルムは好ましくは単層の形態にある。単層は診断検査用途に使用するためのいずれか所望のサイズまたは形状にカットすることができる。
【0017】
本発明はさらに、本発明の態様に従うフィルムを含んでいる診断検査デバイス、およびそれらを関心のある被検体の存在の検出に使用する方法を提供する。
【0018】
本発明のこれら及びその他の利点および特徴は以下の詳細な記載からより容易に理解されるであろう。
【0019】
本発明の上記の及びその他の利点および特徴は図面を参照して以下に提供された例示態様の詳細な説明から更に明らかになろう。
【0020】
図1は本発明の例示態様による診断検査デバイスを図解している。
【0021】
図2は本発明の別の例示態様による検査デバイスのブロック図である。
【0022】
(発明の詳細)
次に、後続の実施例と共に本発明の原理の説明に役立つ本発明の現時点での好ましい態様について詳細に言及する。これら態様は当業者が本発明を実施するのを可能にするように十分に詳細に記載されており、そしてその他の態様が利用されてもよいということ及び本発明の精神および範囲を逸脱せずに様々な構造的、生物学的、物理的および化学的な変更がなされてもよいということが理解されるはずである。
【0023】
本発明は乾いた崩壊性フィルムの中に検査薬およびその他の化学的成分を組み込んである。フィルムを打ち抜き、そして様々な診断技法(限定されるものではないが、免疫検定、細胞分離、毒性検査、食物検査、環境分析および救急応答テストキットが挙げられる)に使用される検査デバイスまたはテストストリップの中に置くことができる。単一の試薬または複数の試薬をもった崩壊性フィルムを使用することができる。代わりに、複数の崩壊性フィルムが単一または複数の試薬をもって診断検査デバイスに使用されてもよい。
【0024】
本発明による崩壊性フィルムは高分子量と低分子量の水溶性化合物の混合物から構成されている。好ましい態様においては、高分子量および低分子量の水溶性化合物は水溶性ポリマーである。フィルムはまた、フィルムが特定の診断検査に使用できるように、一つまたはそれ以上の試薬を含んでいる。場合によっては、フィルムはさらに、デンプン成分、グルコース成分、可塑剤および/または湿潤剤;および/またはその他の添加剤(excipients)を、下記のような適切な量で、含有していてもよく、それは実施例によって与えられた指針およびここでの教示に従って当業者によって決定されるであろう。好ましくは、フィルムは約0.4ミル〜約10ミルの範囲の厚さ、そしてより好ましくは、約0.4ミル〜約2ミルの範囲の厚さ、を有するであろうが、以下に更に詳細に記載されているように具体的用途に望まれるときにはその他の様々な厚さも適する。
【0025】
各フィルムはそのフィルム強度および崩壊プロフィール(フィルムが唾液のような水性媒体の中で崩壊する速度)によって特徴付けることができる。既知の溶解性フィルムにおいては、崩壊速度に影響を与えそして完全なフィルム崩壊に必要な時間を減少させるのに界面活性剤が使用されてきた。本発明は、崩壊用流体たとえば限定されるものではないが血液、唾液、尿およびその他の水性の生物学的な及び環境上の流体が適用されたときに急速に崩壊し且つ同時に十分なフィルム強度を有する崩壊性フィルム組成物を、何ら界面活性剤の使用を必要とせずに、提供する。界面活性剤は以下に記述されているように本発明の或る種の態様においては使用されるが、他の態様は界面活性剤を含有しないか又は実質的に界面活性剤を含有しない。用語「本質的に界面活性剤を含有しない」は極微量を称しているか又はもっと高い量でも崩壊用流体との接触時にフィルム組成物の崩壊速度を実質的に増大させない十分に低い界面活性剤の量を称している。
【0026】
一つまたはそれ以上の試薬を含有する崩壊性フィルムは試薬の安定性を改善できる。加えて、試薬をより有効かつ効率的に使用できる、何故ならば、フィルムは検査デバイス内の特定域に局在化させることができ、そして水溶液に比べて容易に取り扱うことができるからである。さらに、フィルム形態での試薬の付与は効率的使用を促進しそして試薬の浪費を最小にする、何故ならば、フィルムは所期量の試薬を有する個々のセグメントに分割することができ、従って望むならば試薬の吹き付け、塗布または縞模様付けの必要性を無くすことができるからである。
【0027】
本発明による崩壊性フィルムの高分子量のおよび低分子量の水溶性成分は次のものが挙げられるであろう:水溶性ポリマー、限定されるものではないが、中でも、水溶性ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(sodium carboxy methyl cellulose)、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、トラガカント(tragacantha)、グアーガム、アカシアガム、アラビアガム、カラゲナン(carrageenan)、ポリアクリル酸、メチルメタクリレートコポリマー、カルボキシビニルコポリマー、および上記ポリマーと他の既知の水溶性ポリマーとの様々な混合物、セルロース誘導体、および/またはガム。
【0028】
本発明者らは、水溶性成分が低分子量ポリマー(たとえば、約5,000ダルトン未満から約60,000ダルトンまでのもの)と高分子量ポリマー(たとえば、約60,000ダルトンから約150,000ダルトンまでのもの、および約500,000ダルトンまでのもの又はそれ以上のもの)との組合せを含むときにはフィルム強度と崩壊プロフィールの特に有益な性質が得られるということを見いだした。たとえば、ヒドロキシプロピルセルロース(たとえば、ハーキュリーズ社アクアロン部門(Hercules Inc., Aqualon Division)によるクルセル(Klucel)銘柄)とヒドロキシプロピルメチルセルロース(たとえば、ダウケミカル(Dow Chemical)によるメトセル(Methocel)銘柄E5、E50、E4MおよびSG A16M)の組合せが適する。これら水溶性セルロース誘導体ポリマーは、それぞれ、約140,000ダルトンの分子量;30,000ダルトンの分子量;90,000ダルトンの分子量;400,000ダルトンの分子量;約100,000ダルトンより大きい分子量を有する。
【0029】
追加の水溶性ポリマーとしては次のものが挙げられる:ポリビニルピロリドン(PVP)、たとえば、ISP社によるプラスドン(Plasdone)K−29/32、それは約58,000ダルトンの分子量を有する;ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールコポリマー、たとえば、BASFファーマによるコリコート(Kollicoat)、それは約49,000ダルトンの分子量を有する;および、アクリルポリマーナトリウム塩、たとえば、ローム・アンド・ハースによるアクリゾル(Acrysol)、それは異なる分子量を有する様々な等級で入手できる。更に、水溶性ポリマーは追加の任意的成分の機能に貢献してもよい。たとえば、ポリエチレンオキシド、たとえば、約200,000ダルトンの分子量を有するポリオックス(Polyox)(ダウケミカル)は以下に論じる通り高分子量水溶性ポリマーおよび可塑剤として役立つことができる。
【0030】
水溶性ポリマーの分子量は、本明細書の中に組み込まれる、Keary, "Characterization of METHOCEL Cellulose Ethers by Aqueous SEC with Multiple Detectors", Carbohydrate Polymers Vol. 45, pp. 293-303 (2001) の中に記載されている通りに測定することができる。
【0031】
ここにおける教示を与えられた当業者がその他の様々なポリマーを選択することは、ポリマーが水溶性であり、そして好ましくは十分なフィルム強度を与えるのに十分な量の高分子量成分と急速崩壊プロフィールの所期フィルム性質を促進するのに十分な量の低分子量成分を含有する限り、可能である。各ポリマーの様々な濃度が利用されてもよい。かかる濃度は代表的には、乾燥フィルムの総重量に基づいて約2%〜約35%の範囲にあろう。一態様においては、高分子量ポリマーの濃度は乾燥フィルムの約5%〜10%であり、そして低分子量ポリマーの濃度は約5%〜10%である。
【0032】
本発明の別の例示態様によれば、水溶性低分子量成分は水溶性ポリマーである必要がない。代わりに、低分子量成分は低分子量モノマーであってもよいし又は様々な低分子量モノマーの組合せであってもよい。低分子量成分は追加の任意的成分の機能に貢献することもある。たとえば、低分子量成分は試薬、グルコース成分、可塑剤、デンプン、増粘剤、緩衝剤、安定剤、および/または添加剤として役立つこともできるし、そして以下に列挙された特定化合物のいずれか又は水溶性であり約60,000ダルトン未満の分子量を有するその他の適する化合物を包含してもよい。低分子量成分は急速崩壊を促進するのに役立つが、加工および分配に十分なフィルム強度になるような量で存在する。低分子量成分の様々な濃度が利用できる。かかる濃度は代表的には、乾燥フィルムの総重量に基づいて約2%〜約80%またはそれ以上の範囲にあるであろう。一態様においては、高分子量ポリマーの濃度は乾燥フィルムの約5%〜10%であり、そして低分子量成分の濃度は約30%〜80%である。
【0033】
高分子量成分の量および低分子量成分の量はフィルムの所期崩壊プロフィールを達成するように調節することができる。より遅い崩壊が望まれる場合には、高分子量成分の濃度を低分子量成分の濃度に比べて増加させることができる。より速い崩壊が望まれる場合には、低分子量成分の濃度を高分子量成分の濃度に比べて増加させることができる。加えて、フィルムの厚さは所期崩壊プロフィールを達成するように調節することができる。崩壊時間を増加させるには、フィルム厚さを増加させる。フィルムの加工を可能にするのに十分なフィルム強度を維持すべきである。
【0034】
所期崩壊時間に加えて、本発明のフィルムは包装し所期診断デバイスまたは診断用途に使用するのに先立つ加工および通常の取扱の間に物理的損傷(たとえば、破壊、破損またはその他)を伴わない加工、包装および管理に十分な強度を有する。フィルム強度、特に、フィルムレジリエンス、弾力性および破裂強さは、テキスチャー・テクノロジーズ社(Texture Technologies Corp.)によるTA.XT2iテキスチャー・アナライザーと、試験方法ASTM D3763"High Speed Puncture Properties of Plastics Using Load and Displacement Sensors"を使用して測定できる。フィルム強度と急速崩壊のこれら性質はここに記載した成分の特有な組合せの結果である。本発明者らが「急速崩壊」によって意味するところは、おおよそ数分未満に試薬がフィルムマトリックスから放出されることである。崩壊時間は(USP) 24, Disintegration <701>によって規定された試験を使用して測定できる。本明細書の中に組み入れられる米薬局方(United State Pharmacopoeia)第24版第701章第1941頁(2000)を参照されたい。
【0035】
本発明による薄いフィルムの任意的グルコース成分は、崩壊用流体と接触したときのフィルムの崩壊を促進させるために、添加することができる。好ましくは、グルコース成分はD−グルコース単位を有する水溶性ポリマーまたはかかるポリマーの混合物からなる。グルコース成分のデキストロース当量(dextrose equivalent)(DE)は好ましくは約10〜約25、または約15〜約20の範囲内であるが、その他の様々なDE範囲も使用できる。グルコース成分はたとえばD−グルコースポリマー混合物を生じるデンプンの部分加水分解によって製造できる。適する商業的に入手可能なグルコース成分はたとえば、マルトデキストリン、トウモロコシシロップ固形分(corn syrup solids)、スクロース、およびデキストロースを包含する。約16.5〜19.5のDEを有するマルトデキストリン、たとえば、グレイン・プロセッシング社(Grain Processing Corp.)(GPC)から「マルトリン(Maltrin)M180」の商品名で商業的に入手可能なものが特に適するが、その他の様々なグルコース含有ポリマーおよび混合物、たとえば、その他の等級の「マルトリン」、「ライカタブ(Lycatab)DH」(ロケッテ・フレアーズ(Roquette Freres))、および「スター−ドリ(Star-Dri)」(エー・イー・スターレイ(A. E. Staley))も利用できる。乾燥フィルム成分の重量パーセントとしての適切な濃度は代表的には約2%〜20%、または約3%〜約15%の範囲にあるであろうが、その他の濃度も、他成分の選択および所期フィルム性質に依存して、使用されてもよい。
【0036】
本発明によるフィルムの任意的デンプン成分は、崩壊用流体と接触したときのフィルムの崩壊を促進させるのに、添加することができる。デンプン成分はフィルムの固形分を増加させるのにも及び嵩を加えるのにも役立つことができる。好ましくは、デンプン成分はアミロースおよび/またはアミロペクチンを含有する水溶性多糖成分である。かかる組成物はたとえば、トウモロコシ、コムギ、コメ、ジャガイモまたはタピオカデンプンのような天然デンプンを変性して低温水溶性インスタントスターチ(cold water soluble instant starches)を提供することによって製造されてもよい。アミロースおよび/またはアミロペクチン多糖類の様々な水溶性組成物が使用できる。代表的には、これらは天然デンプンを水蒸気によって加熱して天然デンプン製品を変性してそれが低温水溶性になるようにすることによって製造できる。
【0037】
GPC(IA州マスカチン(Muscatine))から「インスタント・ピュア・コート(Instant Pure Cote)B792」(IPC B792)として商業的に入手可能なインスタントスターチは本発明の目的に向く例示のデンプン成分である。他の適する商業的に入手可能なインスタントスターチはカルギル社(Cargill Inc.)から入手可能な「ポーラーテックス・インスタント(Polartex Instant)12640」を包含し、また、その他の様々なものが利用されてもよい。デンプン成分は代表的には、アミロース対アミロペクチン比がたとえば約0〜約2.5の範囲にあろう。デンプンは湿潤フィルム組成物の中に、限定されるものではないが、乾燥フィルムに基づいて約2重量%〜約50重量%、または約3重量%〜約35重量%を含めて、いずれか適切な量で組み込むことができる。
【0038】
本発明の崩壊性フィルム組成物は場合によっては、フィルムの可撓性を増大させるために、可塑剤または湿潤剤、たとえば、ポリアルコール、ソルビタンエステルおよびクエン酸エステル、を含有してもよい。製造中に配合物に直接に可塑剤を添加することができる。適する化合物は次のものを包含する:ポリエチレングリコール(PEG)、たとえば、BASFファームによるルトロール(Lutrol)E400;ポリエチレンオキシド、たとえば、ダウによるポリオックス;ポリオキサマー、たとえば、BASFファームによるルトロールF;ポリビニルアルコール;ポリビニルメチルエーテル、たとえば、BASFによるルタノール(Lutanol);またはかかるポリマーの混合物;トリアセチン(triacetin);グリセリン;マンニトール;キシリトール;および、可塑剤および/または湿潤剤の性質を有する様々なその他ポリアルコールおよびその他化合物が満足に使用できる。ソルビトールおよびPEG400は特に適する;しかしながら、PEG400より高い分子量を有する化合物(たとえば、ポリオックスN80)はそれらがソルビトールやPEG400よりも一般的に低揮発性であるので或る種の用途には望ましいことがある。任意的な可塑剤および/または湿潤剤は、たとえば、乾燥フィルムの約3重量%〜30重量%、10重量%〜20重量%、または15重量%〜18重量%を含めて、いずれか適切な範囲で存在してもよい。
【0039】
所期の諸性質を有するフィルムを提供するために、本発明によるフィルム配合物には、さらに、増粘剤、緩衝剤、安定剤、添加剤および/またはその他の成分を添加することができる。たとえば、場合によっては、異なる崩壊時間を示す又は異なる条件下たとえば高いpHで崩壊するフィルムを使用することが望ましいかも知れない。たとえば、フィルムを幾分は崩壊用流体のpHレベルに基づいて崩壊するように適合させるのに、増粘剤たとえばネベオン社(Neveon, Inc.)によるカルボポル(Carbopol)940を添加することができる。
【0040】
上記の通り、一つの例示態様によれば、本発明のフィルムは分散された相または粒子である充填剤を含有することができる。充填剤はフィルムに嵩を加えることができ;フィルムの固形分部分を増大させることができ、それによって被覆を助けることができ;そして/または、フィルムを、崩壊用流体、すなわち、関心のある被検体を含有することが疑われている生物学的サンプルまたはその他の水性材料、と接触させたときに、より速く崩壊させることができる。
【0041】
充填剤は試薬であることもできるし又は任意的な追加成分であることもできる。充填剤は任意的な非活性成分であることができる。かかる成分の例としては、中でも、酸化チタンや、アビセル(Avicel)の名で入手可能である微結晶性セルロースが挙げられる。本発明によれば、充填剤として空気やその他のガスも使用できる。空気が充填剤として用いられる場合は、フィルム配合物の中に界面活性剤(たとえば、ステパノール(Stepanol)、ポリソルベート(Polysorbate)80またはプルラケア(Pluracare)F87プリル(Pril)NFの名で入手可能なラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate)(SLS))を含有させてもよい。界面活性剤はそれ自体がフィルムの崩壊速度を有意に増加させるのに役立つことはない。代わりに、界面活性剤はフィルムの加工および形成を助ける。特に、界面活性剤は溶液内の分散相としての気泡を安定化させて以下に詳述する通りガスまたは空気を分散相充填剤として含有するフィルムを形成するように溶液が加工されることを可能にさせる。
【0042】
フィルムの具体的成分は、望まれる通りにそして具体的検査スキームに適合する通りに、選択できる。たとえば、任意的なグルコース成分は一般に血糖検査デバイスに使用すべきフィルムからは排除されるであろう。
【0043】
本発明によるフィルム組成物は幾つかの方法によって調製されてもよく、それら方法は、限定されるものではないが、高分子量と低分子量の水溶性成分の組合せ、任意的なデンプンおよび任意的なグルコース成分を、それらを溶解できる溶剤たとえば水またはエタノールまたはエタノールと水の混合液に添加することを包含する。均質溶液を生成したら、試薬と他の任意的成分のいずれか例えば可塑剤、着色剤および/またはその他成分をブレンドして試薬含有ポリマー溶液にしてもよい。代わりに、フィルム成分の全てを加え同時にブレンドして溶液または分散物を生成してもよい。また、V型ブレンダー(V-blender)によってドライブレンドを処方することもできる。ドライブレンドは次いで溶液または分散物の生成に使用できる。また、ドライブレンドに溶融押出法を受けさせて冷却してフィルムにすることもできる。所期のフィルム組成物を有効に調製するのに必要とされるときを除いて、工程の特定の順序を必要としないということを理解すべきである。たとえば、特定の順序が望ましくない沈殿を生じる場合には、代わりの順序を使用してもよい。
【0044】
試薬は溶液の中に可溶性であってもよいし又は溶液の中に懸濁もしくは分散されてもよい。特定の診断検査に適するいずれかの試薬または試薬の組合せを使用できる。特定の診断検査に適する試薬はこの分野で知られているし、また、発見または創出され続けている。試薬の例は限定されるものではないが、次のものを包含する:タンパク質、酵素、抗体、磁気的性質を示す物質、酸化鉄、および特定の物質や磁場に曝されたときに色変化のような物理的変化を示すその他の化合物または化合物の組合せ。
【0045】
試薬を含有する溶液または分散物は、多数の注型(casting)、絞り成形(drawing)または押出(extruding)の技法のいずれか一つによって更にフィルム状に加工されてもよい。たとえば、溶液または分散物は離型処理されたベルト(release-treated belt)のような支持体の上に吹き付けられてもよい。代わりに、たとえば、溶液または分散物は剥離処理された紙またはフィルム基体の上にロール塗布されてもよい。
【0046】
溶液または分散物を支持体表面の上に塗布した後に、溶剤を輻射エネルギー(たとえば、赤外線)、熱、対流、真空、またはこれらのいずれかの組合せによって除去して試薬を1種以上含有する乾燥フィルムを生じてもよい。得られた乾燥フィルムは特定の診断デバイス用の個々のフィルムにするための更なる加工に先立って貯蔵用にロール状に巻き上げることができる。将来の加工のために貯蔵されているものであろうと又は溶剤の除去後直ぐであろうと、得られたフィルムは支持体表面から除去されそしてその後に様々な最終用途に向けて加工されることができる。
【0047】
乾燥フィルムはいずれか適する技法によって更に加工されることができる: たとえば、いずれか所期の幾何学的サイズまたは形状のセグメントを製造するように、打ち抜きによって又は単一の細いロールの幅を横断しての切断によって、加工される。セグメントはその後包装されそして/または更に加工されそして検査デバイスの中に組み込まれてもよい。通常の方法によって製造されるテストストリップの代わりに、フィルムをデバイスに組み込むときには、製造プロセスの効率を改善できる。特に、試薬を含有するフィルムのロールの連続加工、打ち抜き、および試薬配置は、通常の吹き付け、塗布または縞模様付けプロセスよりも浪費を少なくすることができる。乾燥フィルムに追加成分を適用することは、たとえば、中でも、印刷、吹き付け、散布または蒸気吸着法によって可能である。
【0048】
図1には、本発明の例示態様による崩壊性フィルム10を含んでいる検査デバイス1が示されている。崩壊性フィルム10は血液、唾液または尿のような崩壊用流体(図示されてない)を適用されたときに流体チャンネルを作り出すのに使用される。フィルム10は流体の通路パターンを作り出すようにロールから打ち抜くことができる。フィルムパターンを接着剤被覆12のような隣接層の間に挟むことができる。接着剤被覆12は検査デバイス用の流体のチャンネルを形成するのに使用された両面接着構成であり、たとえば、アドヘッシブ・リサーチ社(Adhesives Research Inc.)のARケア(ARcare)8890、ARケア7840またはARケア7841であることができる。検査デバイス1は単一の崩壊性フィルム10を本発明に従って含んでいるが、検査デバイス1は代わりに1つより多くのフィルムを含むこともできる。代わりに、流体チャンネルはたとえばスクリーン印刷またはジェット印刷された高塗布量インキを使用して作り出すこともできる。
【0049】
本発明の別の態様によれば、崩壊性フィルム20は、図2に示されているように診断検査デバイス2の中の反応性層23または試薬を保護し隔離するのに使用できる。一つまたはそれ以上の試薬を含有する反応性層23と、フィルム20は、流体チャンネル27の内にあり、そして支持体構造25によって支持されている。流体チャンネル27はカバー28によって覆われてもよいし又は覆われなくてもよい。カバー28は好ましくは透明カバーであり、そしてたとえば、支持体構造25に熱接着された接着剤であることができる。
【0050】
図2に示された態様によれば、反応性層23は本発明による崩壊性フィルムである。代わりに、反応性層23は通常の反応性層であることができる。反応性層23はフィルム20が崩壊用流体(図示されてない)によって崩壊させられるまで該フィルムによって隔離されている。このような場合には、フィルム20は試薬を含有する必要がない。フィルム20は反応性層23に対するバリヤとして作用するように構成されている。唾液、血液または尿のような崩壊用流体が流体チャンネル27に適用されると、バリヤフィルム20は崩壊し、流体の中に含有されている被検体(図示されてない)が反応性層23と遭遇するのを可能にさせる。そのため、検査デバイス2の中での反応性成分間の相互作用は崩壊時間および/または条件(たとえば、中でも、pH、温度、イオン強度)の選択によってコントロールすることができる。
【0051】
図1および2の検査デバイスは単なる例示であり、そしてその他の検査デバイス、たとえば、中でも、電子デバイス、バイオセンサー、様々なラテラルフローデバイス、およびテストカード、の中に本発明によるフィルムを含有させることもできる。フィルムは包装されそしてテストキットの部分として提供されてもよい
【0052】
以下の例示的実施例は本発明の範囲内の多数の具体的配合物を提供する。これら実施例は単なる例証であり、そして如何なる仕方でも限定するつもりはない。ここの教示があれば、様々な代替の成分、濃度および任意的添加剤(可塑剤、湿潤剤、充填剤、保存料など)を利用して適切なフィルム強度と崩壊プロフィールをもつ薄いフィルムを生じることができるであろう。
【0053】
本発明の特定の態様は下記実施例に例証されている。実施例は限定することを意味しない。従って、本発明による更なる配合物がここでの教示に従って可能である。添加剤の濃度は100部当りのおおよその部数として表わされている。
【0054】
実施例1〜3はヒトの妊娠検査に使用するのに適するフィルムを例証している。従来知られている通り、妊娠検査はたとえば尿または血液サンプルの中のヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)を検出することによって行われる。かかる検査はたとえば米国特許第6,403,298号;第5,712,172号;および第4,496,654号明細書に記載されており、それらは本明細書の中に組み入れられる。実施例1〜3に列挙された試薬、特に、有機塩、有機塩基、無機塩基、有機酸、およびタンパク質、はサンプルの中のhCGの検出を可能にするのに適する既知であるもの、たとえば、米国特許第4,496,654号および第5,712,172号明細書の中に開示されているもの、であることができる。さらに、試薬の各々は個々の成分の組合せであってもよい。たとえば、タンパク質は抗体の組合せであってもよい。
【0055】
実施例1は本発明の例示態様に従ったhCGテストストリップに使用するのに適するフィルムのための組成物である。実施例1の複数フィルムは単一のテストストリップの中に一緒に使用することができる。第一フィルムは2つの試薬、有機酸と無機塩基を含有しており、そして第二フィルムは2つの試薬、有機塩と有機アミンを含有している。フィルムの各々は共通の基本溶液を含んでいる。
【0056】
【表1】

【実施例1】
【0057】
【表2】

【0058】
実施例2および3は本発明の追加の例示態様に従ったhCGテストストリップに使用するのに適する単一フィルムのための組成物を例証している、実施例2および実施例3のフィルムの各々は4つの試薬を含んでいる。
【実施例2】
【0059】
【表3】

【実施例3】
【0060】
【表4】

【0061】
実施例4および5は本発明の追加の例示態様に従った酸化鉄含有フィルム組成物を例証している。
【実施例4】
【0062】
【表5】

【0063】
メトセルE5、メトセルE50、マルトリンM180およびピュア−コートを沸騰水の中に一定攪拌を伴って添加する。混合物を可溶化させる攪拌下でほぼ室温に冷却する。酸化鉄を、酸化鉄が湿るまで、トリアセチン、ポリソルベート80およびエタノールと混合する。水溶液を酸化鉄混合物に加え、そして攪拌して均質混合物にする。混合物を脱泡した後に離型ライナーの上に塗布する。塗膜を約120℃で約5分間乾燥する。
【実施例5】
【0064】
【表6】

【0065】
実施例6〜9は本発明による例示のフィルム配合物を例証する想定例(prophetic examples)である。試薬(単数または複数)は特定試薬であるとしては記載されていない。いずれかの適する試薬が使用できる。実施例6〜9のフィルムは実質的に界面活性剤を含有していない。
【実施例6】
【0066】
【表7】

【実施例7】
【0067】
【表8】

【実施例8】
【0068】
【表9】

【実施例9】
【0069】
【表10】

【0070】
上記の実施例は唾液や尿や血液のような生物学的流体の中で崩壊する崩壊性フィルム配合物を例証している。上記実施例は限定であることを意味しない。従って、特許請求の範囲によって規定されている及びその均等物である本発明の範囲内で、多数の追加のフィルム組成物が可能である。
【0071】
上記の記述は本発明の目的、特徴および利益を達成する好ましい態様の単なる例証である。本発明を例示態様に限定することを意図していない。特許請求の範囲の精神および範囲によって生まれる本発明のいずれの態様も本発明の一部とみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の例示態様による診断検査デバイスの図解である。
【図2】本発明の別の例示態様による検査デバイスのブロック図である。
【符号の説明】
【0073】
10 崩壊性フィルム
12 接着剤被覆
20 崩壊性フィルム
23 反応性層
25 支持体構造
27 流体チャンネル
28 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約60,000ダルトンより小さい分子量を有する第一の水溶性成分;
約60,000ダルトンより大きい分子量を有する第二の水溶性成分;および
少なくとも一つの試薬;
を含んでいる診断デバイス用崩壊性フィルムであって、水性流体との接触時に崩壊して試薬を放出するのに十分な厚さの単層の形態にある前記フィルム。
【請求項2】
第一および第二の水溶性成分が水溶性ポリマーである、請求項1のフィルム。
【請求項3】
水溶性成分の少なくとも一つがセルロース誘導体ポリマーを含む、請求項1のフィルム。
【請求項4】
フィルムの中に存在する第一および第二の水溶性成分の濃度がフィルムの重量の約2%〜80%である、請求項1のフィルム。
【請求項5】
第二の水溶性成分が約60,000〜約500,000ダルトンの分子量を有する、請求項1のフィルム。
【請求項6】
第一および第二の水溶性成分の少なくとも一つがヒドロキシプロピルセルロースを含む、請求項1のフィルム。
【請求項7】
第一および第二の水溶性成分の少なくとも一つがヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項1のフィルム。
【請求項8】
第一および第二の水溶性成分の少なくとも一つが異なるポリマーの混合物を含む、請求項1のフィルム。
【請求項9】
フィルムが水性流体との接触後約60秒未満に崩壊する、請求項1のフィルム。
【請求項10】
フィルムが約0.4〜約10ミルの厚さを有する、請求項1のフィルム。
【請求項11】
フィルムが多層デバイスの一部である、請求項1のフィルム。
【請求項12】
少なくとも一つの試薬が磁気的性質を示す、請求項1のフィルム。
【請求項13】
少なくとも一つの試薬が絨毛性性腺刺激ホルモンと反応する、請求項1のフィルム。
【請求項14】
フィルムが本質的に界面活性剤を含有していない、請求項1のフィルム。
【請求項15】
第一および第二の水溶性成分がそれぞれ第一および第二のポリマーを含む、請求項1のフィルム。
【請求項16】
さらに、第三の水溶性ポリマーを含む、請求項15のフィルム。
【請求項17】
第二水溶性ポリマーが約60,000〜約500,000ダルトンの範囲の分子量を有するセルロース誘導体ポリマーを含み、そして第一水溶性ポリマーが約5,000〜約60,000ダルトンの分子量を有するセルロース誘導体ポリマーを含む、請求項15のフィルム。
【請求項18】
第一水溶性ポリマーの濃度がフィルムの重量の約2%〜10%であり、そして第二水溶性ポリマーの濃度がフィルムの重量の約2%〜10%である、請求項15のフィルム。
【請求項19】
さらに、デンプン成分を含んでいる、請求項1のフィルム。
【請求項20】
デンプン成分の濃度がフィルムの重量の約2%〜50%である、請求項19のフィルム。
【請求項21】
デンプン成分がインスタントスターチを含む、請求項19のフィルム。
【請求項22】
さらに、グルコース成分を含んでいる、請求項1のフィルム。
【請求項23】
グルコース成分の濃度がフィルムの重量の約2%〜20%である、請求項22のフィルム。
【請求項24】
グルコース成分がマルトデキストリンを含む、請求項22のフィルム。
【請求項25】
さらに、可塑剤および/または湿潤剤を含んでいる、請求項1のフィルム。
【請求項26】
可塑剤および/または湿潤剤の濃度がフィルムの重量の約3%〜30%である、請求項25のフィルム。
【請求項27】
可塑剤がトリアセチンを含む、請求項25のフィルム。
【請求項28】
さらに、充填剤を含んでいる、請求項1のフィルム。
【請求項29】
充填剤が分散粒子である、請求項28のフィルム。
【請求項30】
充填剤が分散相である、請求項28のフィルム。
【請求項31】
請求項1の組成物を使用して診断検査を行う方法であって、フィルムを崩壊させそして少なくとも一つの試薬を放出させるのに十分な時間にわたって組成物をサンプルと接触した状態に置く、前記方法。
【請求項32】
支持体構造;および
支持体構造によって支持された少なくとも一つの崩壊性フィルム
を含んでいる検査デバイスであって、前記崩壊性フィルムが
約5,000ダルトン〜約60,000ダルトンの分子量を有する第一水溶性ポリマー;
約60,000ダルトンより大きい分子量を有する第二水溶性ポリマー;および
少なくとも一つの試薬
を含んでおり該フィルムが崩壊用流体と接触したときに崩壊することが可能である、前記検査デバイス。
【請求項33】
少なくとも一つの試薬が磁気的性質を示す、請求項32の検査デバイス。
【請求項34】
さらに、崩壊用流体の中のヒト絨毛性性腺刺激ホルモンの存在を検出するための試薬を含んでいる、請求項32の検査デバイス。
【請求項35】
さらに、複数のフィルムを含んでいる、請求項32の検査デバイス。
【請求項36】
少なくとも一つの試薬がフィルム内に存在している、請求項32の検査デバイス。
【請求項37】
フィルムはデバイス内において少なくとも一つの試薬を隔離するように構成されている、請求項32の検査デバイス。
【請求項38】
フィルムは崩壊用流体のpHに幾分基づいて崩壊するように構成されている、請求項32の検査デバイス。
【請求項39】
ラテラルフローデバイスである、請求項32の検査デバイス。
【請求項40】
支持体構造が接着剤被覆である、請求項32の検査デバイス。
【請求項41】
検査デバイス31を使用して診断検査を行う方法であって、少なくとも一つの崩壊性フィルムを、崩壊しそして1以上の試薬を放出するのに十分な時間にわたって、サンプルと接触した状態に置く、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−514135(P2007−514135A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536864(P2006−536864)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/035206
【国際公開番号】WO2005/040228
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(596037426)アドヒーシブズ・リサーチ・インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】Adhesives Research, Inc.
【Fターム(参考)】