説明

証明証読取装置

【課題】帳票の片面のみが載る載置面であっても、帳票が安定して載置できる小型化した読取装置を提供する。
【解決手段】上部が広い略台形状の外観の読取装置が、上面に設けた載置面4に帳票が載置され、装置上面の一の辺の近傍に設けた載置面4と、台形の対角線に配置される撮像部があり、載置面4に載置された帳票の光学情報面の像を撮像部に導くミラー38が載置面4に対して45度より小さい角度である読取装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免許証、パスポートなどの帳票を読取り、真贋判定を行なう読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パスポートを載置面蓋状のカバーで圧接させて載置し、写真、氏名、国名、パスポート番号等を撮影し、パスポートに内蔵されたRFIDの情報とともに読取る読取装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−515086号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の読取装置においては、パスポートなどの帳票を読取装置の上部に開いて載置して撮像するため、読取装置の上部に見開きの帳票を載置する部分が存在し、読取装置の小型化が図れなかった。
【0005】
また読取装置の高さ方向は内蔵するカメラの性能を確保するため撮像面までの光路長を垂直水平方向の光路の組み合わせで構成していたため読取装置の容積を使い切ることができず、全体の小型化に限界があった。
【0006】
このため、読取装置全体を小型にするため帳票の載置面を帳票お片面のみ載置する大きさに小さくと、帳票が閉じようとする力で位置が不安定になりやすい。また載置されず読取装置側面に下がる帳票の他の片面の重量により、帳票には載置面からずれ落ちる力が働いてしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の読取装置は、長方形の上面を有し前期上面より狭い底面の台形状の断面である読取装置が、前記上面の一辺の近傍に帳票の光学情報面が載置される長方形の載置面を設け、読取装置の内部で前記一辺に平行な他の辺の近傍に配置される撮像部と前記載置面に載置された前記帳票の光学情報面の像を前記撮像部に導く前記載置面に対して45度より小さい角度に設置されたミラーとを有し前記撮像部から前記載置面への光路が台形状の断面の略対角線としている。
この構成により読取装置の対角線を光路に用いることができるため、全体の小型化が図れる。特に高さ方向の縮減をすることができる。
【0008】
また、本発明の読取装置は、前記帳票を開いたときの前記載置面に載置されない面が接する読取装置の側面と前記載置面とが前記一の辺において90度以下の角度を構成する。
【0009】
この構成により帳票を載置面に安定させることができる。
【0010】
また本発明の読取装置は、映像処理部が載置面での内部反射による帳票画像の映り込みを除去する処理をおこなうものである。
この構成により、小型化した光学系でも安定して情報を読取ることができる。
【発明の効果】
【0011】
読取装置全体を小型にすることができ、帳票の片面のみが載る載置面であっても、帳票が安定して載置できる読取装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態における読取装置、帳票、証明証の斜視図
【図2】読取装置に帳票をセットしたときの斜視図
【図3】読取装置の構成部を示す図
【図4】読取装置の断面を示す図
【図5】読取装置の動作フローを示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態の読取装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、図1に示すように、パスポート、銀行の通帳等の複数の紙を綴じた帳票3、または免許証やクレジットカード等の証明証2カードを載置面4に置き、手でカードや帳票等を固定して読み取る。パスポート等は載置面4の周に設けたストッパ32に押し当てて固定する。このストッパ32には「読み取り中」「読取終了」などの作業の状況を示す表示ラン44がもうけてある。また免許証等は小さいので載置面の任意の場所に押し当てて固定する。
読取装置は、載置面4とストッパ32を有して装置の上部を構成する上部筐体31と、一体で成型されて塵、ゴミが内部に入りにくい下部筐体42とで筐体を構成している。たとえば、パスポートを読む場合、多数のパスポートから発生するステープラーの針、クリップ等が読取装置内に入るのを未然に防止している。
載置面4は帳票をコーナに押し当てて読取るため、筐体上部の一辺に寄せて設けてあり、この一辺に連なる筐体の側面である読取側面5は帳票の光学的に読取らない面が当たるため、帳票により発生する載置面からずれる力を軽減するため、下に行くほど窄まった形にしてある。このため図4に示すように読みより装置は下面が小さい台形状の形状をしている。この形状は光路長が長く被写界深度が深いカメラを上部に設置するのにも好適である。
帳票3は図2に示すように光学情報面6を載置面4に密着するようにして置かれる。このため帳票3の自重、また帳票3の綴部の帳票を閉めようとする力で読取装置1の読取側面5が押されて、載置面4から帳票3が外れようとする力が働く。このため載置面4と読取側面5とは90度以下の角度で構成されている。この角度はできる限り小さいほうが望ましいが、図4に示す内部構成、特に帳票の綴じ部近傍まで帳票の光学情報面6を読取る目的からあまり小さくもできない。帳票3は重量が軽く、このような小さな力でも容易に載置面からズレてしまうが、帳票を綴じようとする力も小さいため本実施例の場合では載置面4と読取側面5とが85度から70度程度でも、帳票を載置面4押し付ければ十分な効果が得られる。
読取装置の構成を図3に示す。載置面4は平坦度の高いガラス板でできておりカメラユニット36はカメラ30と画像処理回路とで構成される。カメラ30周辺には余分な光をカットするカメラフード41がある。光源35は白色LED、赤外LED、紫外LEDをそれぞれ光源ごとに横一列に配設した光源基板34と載置面4全面に光を配光する拡散器33とで構成される。波長ごとに横一列とし、設置する高さを拡散器33から相対的に変化させれば、波長による屈折率の変化を吸収してそれぞれの波長でまんべんなく載置面を照明するkとができる。
また、カメラユニット36の下に光源35を設けて載置面4を照明すると、光源が帳票への入射する角度と同じ角度で帳票から反射し、「てかり」元凶となる正反射光がカメラに入ってこないため、好適である。
カメラユニット36は図4に示すように、読取装置の上部コーナ内側に設置する。この位置にカメラユニット36を設けると、載置面4の画像をカメラに反射するミラー38の角度が45度より水平に近づくため読取装置1の高さを低くすることができる。また、ミラーへの入射角が深くなる結果、浅い角度で帳票の光学情報面6をカメラが見込むため同じ焦点距離のカメラでも、ミラーを45に設置した場合と比較し、帳票3の綴じ部付近が撮影しやすくなる。
カメラ30が撮影した信号はカメラユニット36内の回路で画像信号として形成される。カメラの近くで画像をデジタル化処理したほうが、ノイズの影響を軽減できるからである。その後この画像信号を画像処理部39で歪を補正する。このときミラー38と載置面4との間の反射で写り込んでしまった帳票3あるいは証明証2のゴースト画像を除き、真の画像をホスト機器に送出すれば、証明証2、帳票3に描かれた光学情報の認識率を上げることができる。ゴースト画像は載置面への反射防止コーティングによっても防止することができる。
カメラユニット36、ミラー38および光源35は図3に示す黒色のミラー取付部材37に一体に取付けけられる。このため光学部分が一体となり外部からの塵や埃の進入を防いでいるとともに光軸の狂いを最小限となりように構成している。下部筐体42を一体成型としているのも読取装置内部への埃の進入を防ぐことを目的の一つとしている。
次に図5に画像の取り込みのフローを示す。読取装置の電源を入れる(S1)と光学読取(S2)を開始する。この光学読取(S2)は帳票の有無を検出するもので載置面を4箇所のブロックにわけ、各ブロックの明暗を判別する(S3)。4分割の一箇所でも明(帳票からの反射がある)である状態が所定時間、たとえば0.5秒続くと帳票が差し入れられたと判定し(S4)次にパスポート、免許証等の読取装置として読むべき帳票か否かの判定を行なう(S5)。この判定には可視光のみを投射して行なう。
この判定は帳票の特徴的な印刷、たとえば写真の有無等で一次判定を行い、パスポート番号の有無等の詳細な判定を最終的に行なって帳票か、証明証か、免許証か、を判定する。
フローには示していないが、この判定に当たっては赤外光、可視光、紫外光の各波長の光源をそれぞれオン、オフして行なっても良い(S7)。
この判定(S5)で読取るべき帳票が決定すると、読取るべきデータの位置、範囲が決まるので所定の画像をカメラユニット36からの画像データから切り出す。ついで切り出した画像を画像処理部で信号線43で接続されたコンピュータ等のホスト機器外部機器が認識しやすいように2値化して送信する(S8)。
ホスト機器がデータを受信する(S9)と、真贋判定、ブラックリストとの照合等の所定の処理を行い処理の完了を読取装置に返す(S8、S9)。
読取装置はホストから処理終了の信号を機器が受信すると帳票のストッパ32に設けた処理終了ランプを点灯する(S10)。その後S2の光学読取開始の処理に戻り、次の帳票が来るのを待つ。
また、載置面には外光を防ぐ、帳票が差し入れられる一辺が開口した簡単なカバーがその上部に設置されると好適である。
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0014】
以上のように、本発明にかかる読取装置は小型化、特に高さ方向を小型化することにより作業の効率が向上することができるという効果を有し、パスポート等の証明証を読取る装置として有用である。
【符号の説明】
【0015】
1 読取装置
2 証明証
3 帳票
4 載置面
5 読取側面
6 光学情報面
30 カメラ
31 上部筐体
35 光源
37 ミラー取付部材
38 ミラー
39 画像処理部
42 下部筐体
43 信号線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形の上面を有し前記上面より狭い底面の台形状の断面である読取装置が、
前記上面の一辺の近傍に帳票の光学情報面が載置される長方形の載置面を設け、
読取装置の内部で前記一辺に平行な他の辺の近傍に配置される撮像部と、
前記載置面に載置された前記帳票の光学情報面の像を前記撮像部に導く前記載置面に対して45度より小さい角度に設置されたミラーとを有し、
前記撮像部から前記載置面への光路が台形状の断面の略対角線上である読取装置。
【請求項2】
前記帳票の前記載置面に載置されない面が接する読取装置の側面と前記載置面とが前記一の辺において90度以下の角度を構成する
請求項1に記載の前記読取装置。
【請求項3】
載置面に起因する内部反射で生じる画像の映り込みを除去する処理をおこなう映像処理部を有する請求項1、請求項2に記載の読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−84128(P2013−84128A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223739(P2011−223739)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】