説明

試料と対照との物理的に測定可能な特性の差異の高感度の検出方法

本発明は、試料Pと対照試料Rとの物理的に測定可能な特性の差異を検出する方法において、(i)試料Pを提供し、(ii)対照試料Rを提供し、(iii)平面対照フィールドRFを提供し、(iv)この対照試料Rの領域及び対照フィールドRFから第1のパターンを生じさせ、そして試料Pの領域及び対照フィールドRFから第2のパターンを生じさせ、その際、第1のパターン及び第2のパターンを位置依存性及び波長依存性のパターン関数M(x,y,λ)により表し、(v)第1のパターンについては、自由に選択可能な時点t0において、かつ第2のパターンについては時点tにおいて、検出器により第1のパターン及び第2のパターンによる分析放射線の透過、反射又は散乱をそれぞれ、第1のパターン及び第2のパターンの位置座標(x,y)並びに分析放射線の波長λの関数として検出し、こうして、物理的に分離された対照応答関数R0(x,y,λt0)及び第1の対照フィールド応答関数RF0(x,y,λ,t0)の領域を含有する第1のパターン応答関数M0(x,y,λ,t0)を第1のパターンについて決定し、物理的に分離された試料応答関数Pt(x,y,λ,t)及び第2の対照フィールド応答関数RFt(x,y,λ,t)を含有する第2のパターン応答関数Mt(x,y,λ,t)を第2のパターンについて決定し、その際、これらの関数M0及びMtは、それぞれ、透過、反射又は散乱された分析放射線の強度を、第1のパターンもしくは第2のパターンの位置座標(x,y)及び波長λに応じて、異なる検出の時点t0もしくはtで表し、(vi)試料応答関数Ptの補正を、第1の対照フィールド応答関数RF0及び第2の対照フィールド応答関数RFtにより、検出器により誘導された位置依存性及び時間依存性の変動を試料応答関数Ptから排除することにより行い、その際、補正試料応答関数Pt,korrが得られ、(vii)この補正試料応答関数Pt,korr及び対照応答関数R0から、物理的に測定可能な特性の変化を決定する、試料Pと対照試料Rとの物理的に測定可能な特性の差異を検出する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料と対照との物理的に測定可能な特性の差異の高感度の検出方法に関する。
【0002】
本発明は特に、試料の物理的に測定可能な特性の環境変化により生ずる変化の検出方法に関する。
【0003】
着色剤、顔料、塗料、UV安定剤及び日焼け止め剤の工業製品にとって、これらの製品の耐光性は決定的に重要である。現在、製品の耐光性は、これらの製品に、スペクトル分布が地表上の日光のスペクトル分布に相当する光を照射することにより測定される。この照射後に、変色を、対照系を用いて定量する。この方法様式の欠点は、多くの製品において変色を認識可能にするために必要な、部分的に極めて長い照射時間である。これと関連するDIN規格によれば、照射時間は1000時間以上である。高度に耐光性を示す試料については、これは10〜50年である。次いで、カラースケール、例えばブルーウールスケールと比較対照される。この手順の欠点は、更に、人間が評価を行わなければならず、ひいてはこの評価は主観的な印象により決定されることである。
【0004】
特に長い露光時間が必要な試料の例は、ファサードペイント、高速道路の標識、建築物用シーリング材料、電気絶縁体、屋根瓦及び安全板(Sicherheitsscheibe)である。更なる試料は、露光もしくは曝露についての以下の規格に挙げられる。
【0005】
人工日光での曝露に関連する規格は、プラスチックについてのISO4892(1994年)、塗料及び塗装剤についてのISO11341(1994年)、装置内での被覆についてのISO11507(1997年)、道路車両安全板についてのISO3917(1999年)、高層建築物ジョイントシーリング材についてのISO11431(2002年)、織物色堅ろう度試験についてのISO105B02(1994年)及び織物色堅ろう度曝露についてのISO105B04(1994年)である。
【0006】
直接的な曝露について関連する規格は、ASTM G7、ISO877、ISO2810、ASTM D4141C(ブラックボックス)及びASTM G24(アンダーグラス露光)である。
【0007】
必要な露光時間を減らす目的のために、製品をしばしば太陽の数倍の強度で照射する。しかしながら、高められた照射強度で測定された耐光性は、しばしば、天然の条件下で存在する耐光性と一致しないことが示された。換言すると、照射された試料中で生じる変色ΔFは、強度I及び照射時間Δtからなる放射線量Sと称される積だけでなく、放射の強度Iにも依存することは明らかである、ΔF=f(S,I)。
【0008】
本発明の課題は、光により誘導される試料の変色を、短時間の照射時間後においても測定することができるが、但し自然条件から逸脱する照射強度を適用しなくてよい測定法を提供することである。
【0009】
前記課題は、試料Pと対照試料Rとの物理的に測定可能な特性の差異を検出する方法において、
(i)試料Pを提供し、
(ii)対照試料Rを提供し、
(iii)平面対照フィールドRFを提供し、
(iv)この対照試料R及び対照フィールドRFの領域から第1の平面パターンを生じさせ、かつ試料P及び対照フィールドRFの領域から第2の平面パターンを生じさせ、その際、第1のパターン及び第2のパターンを位置依存性及び波長依存性のパターン関数M(x,y,λ)により表し、
(v)第1のパターンについては自由に選択可能な時点t0において、かつ第2のパターンについては時点tにおいて、検出器により第1のパターン及び第2のパターンによる分析放射線の透過、反射又は散乱を、それぞれ、第1のパターン及び第2のパターンの位置座標(x,y)並びに分析放射線の波長λに応じて検出し、こうして、
第1のパターンについて、空間的に分離された対照応答関数R0(x,y,λ,t0)及び第1の対照フィールド応答関数RF0(x,y,λ,t0)の領域を含有する第1のパターン応答関数M0(x,y,λ,t0)を決定し、
第2のパターンについて、空間的に分離された試料応答関数Pt(x,y,λ,t)及び第2の対照フィールド応答関数RFt(x,y,λ,t)を含有する第2のパターン応答関数Mt(x,y,λ,t)を決定し、その際、これらの関数M0及びMtは、それぞれ、透過、反射又は散乱された分析放射線の強度を、第1のパターンもしくは第2のパターンの位置座標(x,y)及び波長λに応じて、異なる検出の時点t0もしくはtで表し、
(vi)試料応答関数Ptの補正を、第1の対照フィールド応答関数RF0及び第2の対照フィールド応答関数RFtにより、検出器により誘導された位置依存性、時間依存性及び波長依存性の変動を試料応答関数Ptから排除することにより行い、その際、補正試料応答関数Pt,korrを得て、
(vii)この補正試料応答関数Pt,korr及び対照応答関数R0から、物理的に測定可能な特性の変化を決定する、試料Pと対照試料Rとの物理的に測定可能な特性の差異を検出する方法方法により解決される。
【0010】
本発明によれば、試料の試料応答関数の補正は、検出器、例えばスキャナの存在する時間依存性及び位置依存性の変動を排除するために実施する。この方法工程は、以下、対照フィールド補正とも称する。このために、工程(v)において、付加的に、試料もしくは対照試料を包囲するか又は貫通する対照フィールドによる分析放射線の透過、反射もしくは散乱を検出し、こうして対照フィールド応答関数を決定する。対照フィールドは、空間的に均一であり、かつ時間的に一定であると仮定される。この対照フィールド応答関数の位置依存性、時間依存性及び波長依存性の変動から、検出器の位置依存性、時間依存性及び波長依存性の変動を算出し、そして応答関数を適切に補正する。このように、時点tで決定された試料応答関数Ptから、対照フィールド応答関数の時点t0もしくはtでの使用下で位置的、時間的及び空間的な補正により、補正試料応答関数Pt,korrが得られる。
【0011】
この対照フィールドは、試料もしくは対照試料を包囲するか又は通ってよい。例えば、試料は、小さい矩形として、これより大きい矩形の対照フィールド内に配置してよい。対照フィールドは、試料をバーコードパターンとしてか又はチェス板パターンとして貫通することができる。このバーコードパターン又はチェス板パターンは、付加的に、小さい矩形として、これより大きい矩形の対照フィールド内に配置してよい。更なる任意の配置が考えられる。対照フィールド及び試料もしくは対照試料の配置は、位置依存性及び波長依存性のパターン関数M(x,y,λ)により表す。対照試料及び対照フィールドもしくは試料及び対照フィールドの応答関数は、測定された第1のパターン応答関数もしくは第2のパターン応答関数に含まれる。この測定されたパターン応答関数は、好適な数学的操作により試料応答関数の補正を実施し、こうして位置依存性、時間依存性及び波長依存性の検出器変動を排除するために用いる。
【0012】
好ましくは、対照試料は、応答関数R0が時点t0で決定される処理されていない試料である。試料は、応答関数Ptが時点tで決定される処理された試料である。処理された試料についての複数の応答関数が複数の異なる時点tで決定される場合には、複数の(時間依存性の)応答関数Ptiが得られ、そしてそれぞれの時点tについての上述の補正を実施する。
【0013】
第1の工程(i)においては、試料Pを提供する。試料Pは、対照試料Rと異なってよく、その際、この試料Pと対照試料Rとの物理的に測定可能な特性の差異は明確である。本発明にかかる方法の目的は、この差異の存在又は不存在を検出すること、及び/又はこの差異を定量的に記録することである。例えば、本発明にかかる方法を用いて塗料試料の耐候性を確定することができる。
【0014】
好ましくは、第1の工程(i)において試料Pの提供は試料の処理を含み、その際、この処理は試料を環境の影響に曝すことである。この試料は、特に基体表面である。この場合、試験されるべき基体表面を環境の影響に曝す。環境の影響は、本発明の意味においては、物理的に測定可能な特性を変化させるのに好適な、試料への任意の外部作用である。環境の影響は、本発明の意味においては、基体表面上への光又は(より一般的には放射線)、機械力、化学薬品、ガス、微生物、放射能線、音(例えば、超音波)及び熱の作用を含む。この環境の影響は、例えば、基体表面の照射又は曝露によるか又は基体表面上への化学薬品の塗布により作用させることができる、この場合、「化学薬品」は、基体表面もしくはその内容物質と反応することができる全ての物質又は物質混合物(例えば、化粧品配合物)を意味する。この環境の影響は、上述に例示した複数の外部作用の相互作用をも含んでよい。光酸化の場合には、光及び大気酸素が相互作用する。屋外曝露試験の場合には、曝露される試料は一般的に、光、化学薬品(水、酸素等)、ガス、微生物、熱並びに機械的作用(風、雨)の作用に曝す。
【0015】
基体表面の特性は、それを試料と試料上及び試料中に照射された分析放射線との相互作用により記録できるのであれば、本発明の意味において物理的に測定可能である。分析放射線は、それぞれ、試料と相互作用し、かつそれにより透過し、反射し又は散乱することができる任意の放射線であってよい。例は、電磁放射線、粒子放射線(中性子、アルファ放射能線又はベータ放射能線)又は音響放射線(例えば、超音波)である。
【0016】
試料の概念は極めて広義に捉えられ、かつ一般的に、故意に特定の環境の影響に曝されることができる対象物を含む。例えば、試料は、顔料層の耐光性を試験するためにUV放射線に曝される顔料層で被覆された基体であってよい。試料は用地であってよく、これを除草剤又は殺カビ剤の作用を試験するために、これらで処理し、そして後で空中から撮影する。ファサード被覆の耐摩耗性又は耐候性が検査されるのが望ましい場合には、試料は、自然曝露されたか又はサンドブラストに曝された建物壁であってよい。
【0017】
単に表面的な特性変化は、環境の影響により誘導させ、次いで検出することができる。しかしまた試料の内部での特性変化も、環境の影響により誘導させ、次いで検出することができる。後者は、環境の影響及び使用される分析放射線についての試料の透過性にも依存する。放射線は、例えば表面的に反射又は散乱されることができるか、又はしかし試料を完全に貫通することもできる。放射線は、好適な装置により試料の内部の平面上へ焦点合わせし、ひいてはこの平面の特性変化を検出することもできる。
【0018】
本発明にかかる方法の一実施態様においては、試料の表面を試験する。以下に、「基体表面」という概念はまた、試料の試験されるべき表面にも使用する。その場合、この概念は、試料の幾何学的に理解される表面だけでなく、試料のこの幾何学的表面の下方に存在するより深い層も含み、これらの層はさらに、選択された物理的方法を用いる測定に利用可能である。
【0019】
この環境の影響は、一般的に、空間的に一定の強度で試料もしくは基体表面上に作用する。作用する環境の影響が、所定の波長又は所定のスペクトル分布を有する光である場合には、この強度は、W/cm2で測定される放射線強度で同一視することができる。作用する環境の影響が、例えば基体表面がサンドブラストに曝されることにより引き起こされる機械力の作用である場合には、この環境の影響の強度は、単位時間及び単位面積当たり基体表面上へ衝突する砂粒子の数と同一視することができる。作用する環境の影響が化学薬品又はガスの作用である場合には、この環境の影響の強度は、基体表面の位置での所定の物質の濃度と同一視することができる。作用する環境の影響が微生物の作用である場合には、この環境の影響の強度は、単位面積当たりの微生物の数と同一視することができる。
【0020】
試料は特定の作用時間Δtの間に環境の影響に曝す。この作用時間Δtは、環境の影響の種類及び強度に依存し、かつ秒、分、時間又は日、例えば1秒ないし10日間であってよい。
【0021】
第2の工程(ii)においては、対照試料を提供する。この対照試料は、試料と一致又は不一致が確定されることが望ましい任意の試料であってよい。環境の影響により誘導された特性の変化を確定することが望ましい場合には、この対照試料は処理されていない試料である。これは、少なくともその表面に、環境の影響に曝される試料と同じ性質を有する、すなわち、この試料及び対照試料は、試料を環境の影響に曝す前はそれらの表面特性については実質的に同一である。この対照試料は、環境の影響には曝さない。
【0022】
この対照試料は、環境の影響に曝される前には試料それ自体であってよく、これは対照試料が処理されていない試料であってよいことを意味する。好ましくは、対照試料は処理されていない試料である。このことは、(未処理)試料及び対照試料が実質的に同じ特性を有することを確保する。
【0023】
第3の工程(iii)においては、対照フィールドを提供する。好ましくは、この対照フィールドの表面は、対照試料と同じ特性を有する。
【0024】
第4の工程(iv)においては、対照試料R及び対照フィールドRFの領域から第1の平面パターンを生じさせ、そして試料P及び対照フィールドRFの領域から第2の平面パターンを生じさせ、その際、これらの第1のパターン及び第2のパターンは、位置依存性及び波長依存性のパターン関数M(x,y,λ)により表す。このパターン関数Mは、明確な波長依存性を有してよいが、有さなくてもよい。
【0025】
無論、工程(i)〜(iv)の実施は、特定の順序に限定されるものではない。それぞれ合理的な順序が可能である。
【0026】
この対照フィールドは、例えば孔を有するマスク又はステンシルであってよい。この孔は、任意の幾何学形を有してよく、かつ任意に配置されてよい。好ましくは、この孔は、幾何学的に規則的な孔を有し、かつ規則的に配置されている。例は、チェス板パターン又はバーコードパターンである。対照フィールド及び試料もしくは対照試料からの領域を有するパターンは、このマスクの孔の後方に又は孔の中に(対照)試料の領域を配置することにより生じさせる。例えば、(対照)試料を対照フィールドのマスクの後方に配置してよく、その際、この後方に配置された(対照)試料はマスクの孔を通して視認できる。この(対照)試料は、孔の中にも配置してよく、又はマスクの孔に相補的で、ひいてはマスクの孔に固定される隆起を有してよく、その際、この隆起の高さは、好ましくはマスクの厚さに相当し、これによりマスクと(対照)試料とが形状的に合致して互いに結合することができ、そして平坦な表面を有するパターンが得られる。
【0027】
無論、(対照)試料は、孔を有するマスクとして形成されていてもよく、かつ対照フィールドの領域はこの孔の中に配置されてよい。
【0028】
好ましくは、ステンシル又はマスクは、バーコードマスク、すなわち規則的に配置された矩形の孔を有するマスクである。
【0029】
対照フィールド、対照試料、試料もしくはパターンは、以下のように生じさせることができる:試験されるべき試料の未処理の表面を、孔を有するマスクで部分的に被覆し、次いでこのマスクの孔を環境の影響に曝す。例えば、この表面を、透明及び不透明の領域を有するフィルムを通して照射してよい。この表面の被覆された領域は、(照射により変化しない)対照フィールドである一方、被覆されていない領域は、対照試料(照射前)もしくは試料(照射後)の領域である。この対照フィールド及び対照試料もしくは試料の領域から生じたパターンは、被覆に使用されたマスクのパターンに相当し、かつ適当なパターン関数により表される。このパターンは、例えば、簡単な縞パターン又は矩形パターンであってよい。
【0030】
従って、より一般的に換言すると、第1の平面パターン及び第2の平面パターンは、表面を環境の影響に透過性及び不透過性の領域を有するマスクで被覆し、そして環境の影響をマスクを通して表面上に作用させることにより生じさせることができ、その際、このマスクの不透過性の領域で被覆された表面の領域は対照フィールドを形成し、かつ環境の影響に曝された表面の領域は対照試料(環境の影響の作用前)及び試料(環境の影響の作用後)を形成する。
【0031】
第5の工程(v)においては、第1のパターンについては時間t0で、かつ第2のパターンについては時間tで、検出器により、第1のパターンもしくは第2のパターンによる分析放射線の透過、反射又は散乱を、第1のパターンもしくは第2のパターンの位置座標(x,y)及び分析放射線の波長λに応じて検出し、こうして
第1のパターンについて、対照応答関数R0(x,y,λ,t0)及び第1の対照フィールド応答関数RF0(x,y,λ,t0)の空間的に分離された領域を含有する第1のパターン応答関数M0(x,y,λ,t0)を決定し、
第2のパターンについて、試料応答関数Pt(x,y,λ,t)及び第2の対照フィールド応答関数RFt(x,y,λ,t)の空間的に分離された領域を含有する第2のパターン応答関数Mt(x,y,λ,t)を決定し、
その際、これらの関数M0及びMtはそれぞれ、分析放射線の透過、反射又は散乱の強度を、第1のパターン及び第2のパターンの位置座標(x,y)及び波長λに応じて検出の異なる時間t0及びtで表す。
【0032】
第1のパターンもしくは第2のパターンの分析のために、第1のパターンもしくは第2のパターンによる分析放射線の透過、反射又は散乱を位置座標(x,y)に応じて検出する。分析放射線は、離散した波長、例えば5.8μm(1720cm-1に相当)でのCO−バンドの波長を有していてよいか、又はしかし波長領域、例えば400〜800nmの全可視スペクトル領域を含んでいてよい。
【0033】
試料による分析放射線の透過、反射又は散乱は一般的に分析放射線の波長に依存する。従って、透過、反射又は散乱された分析光の強度を位置座標(x,y)及び波長λに応じて表す応答関数が得られる。この応答関数は、離散した波長λについて又は1つ以上の波長領域Δλ(例えば可視光線の赤色領域、緑色領域及び青色領域)について決定することができる。
【0034】
分析放射線の波長又はそのスペクトル組成は、試験される試料及び当該課題に依存する。しばしば、該スペクトルのUV−VIS及び/又はNIR領域内の分析光が該当する。例えば、着色剤の耐光性、すなわち人間の眼で知覚可能である試料の着色の変化が試験されるべき場合には、分析光は実質的に日光のスペクトル組成を有するか又は日光である。例えば、プラスチックのCO数の決定によりプラスチックの光により誘導された劣化が試験されるべきである場合には、分析光は波長5.8μmのNIR光である。紫外線吸収剤の安定性が検査されるべきである場合には、分析放射線はUVA光及び/又はUVB光を含む。
【0035】
使用される測定構成も試験される試料及び課題に依存する。基体表面、例えば塗料表面の光沢挙動が分析されるべきであるような場合には、このためには試料のより深い層からの散乱の影響を大幅に排除するテレセントリック光学測定装置の使用が好適である。これに対して、着色剤の耐光性が試験されるべきである場合には、このためには光沢の妨げとなる影響を大幅に抑制する共焦点の測色系の使用が好適である。
【0036】
本発明にかかる方法の一実施態様においては、基体表面による分析光の反射を測定する。この場合、好ましくはテレセントリック光学測定装置を使用する。本発明にかかる方法の一実施態様においては、基体表面による分析光の散乱を検出する。この場合、好ましくは共焦点の測色系を使用する。
【0037】
基体表面による分析放射の反射又は散乱は、位置座標(x,y)及び波長λに応じて、カラースキャナ又はデジタルカメラを用いて検出することもできる。
【0038】
放射線又は音響放射線(超音波)の検出は、医学的診断学から公知のイメージング法を用いて実施することができる。熱赤外放射線は、熱画像カメラ(Waermebildkamera)を用いて検出することができる。
【0039】
環境の影響により誘導される試料の変化をより良好に検出可能にするために、試料を後処理に付してよい。試料の親水性又は疎水性の変化は、例えば、試料を水蒸気でスチーミングすることによって、より良好に検出可能にすることができる。
【0040】
検出された強度値から、適当な応答関数を一般的にデジタル画像評価系を用いて決定する。
【0041】
第6の工程(vi)においては、第1の対照フィールド応答関数RF0及び第2の対照フィールド応答関数RFtにより、検出器により誘導される位置依存性、時間依存性及び波長依存性の変動を試料応答関数Ptから排除することにより試料応答関数Ptの補正を行い、その際、補正試料応答関数Pt,korrが得られる。
【0042】
この対照フィールドの対照フィールド応答関数RFt(x,y,λ,t)及びRF0(x,y,λ,t0)は、時点tで(又は、より一般的には、一連の測定を複数の時点tiで実施する場合には、ti)もしくはt0で、試料応答関数Pt(x,y,λ,t)もしくは対照応答関数R0(x,y,λ,t0)と同時に測定する。この対照フィールド応答関数RFt(x,y,λ,t)及びRF0(x,y,λ,t0)は、目下のところ、好適な数学的方法により、応答関数Pt(x,y,λ,t)及びR0(x,y,λ,t0)の位置領域に続く。これにより、検出器の位置依存性の変動を考慮する。従って、RFtもしくはRF0は、応答関数Pの座標x,yの領域内でも利用することができる。検出器の時間的な変動に基づくPの補正は、計算工程
t,korr(x,y,λ,t)=RF0(x,y,λ,t0)/RFt(x,y,λ,t)×Pt(x,y,λ,t)
又は、より一般的には、
ti,korr(x,y,λ,ti)=RF0(x,y,λ,t0)/RFti(x,y,λ,ti)×Pti(x,y,λ,t)
により実施する。
【0043】
好ましくは、対照試料は、応答関数が時点t=0で決定される未処理の試料である。次いで、時点tで決定された、処理された試料の応答関数についての上述の補正を実施する。
【0044】
工程(i)〜(vi)は無論、それぞれの任意の合理的な順序で実施してもよい。例えば、工程(vi)及び(v)又は(iv)〜(vi)を最初に対照試料について実施し、次いで試料について実施するか又はこの逆を行ってよい。
【0045】
補正試料応答関数Pt,korr及び場合により対照応答関数R0から、物理的に測定可能な特性の変化が検出される。このために、多くの可能性が用いられる。
【0046】
変法A:
工程(vii)において、それぞれ、補正試料応答関数Pt,korr及び対照応答関数R0の値からの平均値を形成し、そしてこの平均値を互いに比較する。これらの平均値の差異が、物理的に測定可能な特性の変化の尺度である。
【0047】
変法B:
工程(vii)において、補正試料応答関数Pt,korr及び第1の対照フィールド応答関数RF0から補正パターン応答関数Mt,korrを形成し、そしてこの補正パターン応答関数Mt,korrを既知の位置依存性及び波長依存性パターン関数M(x,y,λ)と相関付けし、その際、この相関は、特定の数値を有し、物理的に測定可能な特性の変化の尺度である。
【0048】
この変法Bの好ましい実施形態においては、工程(vii)において、付加的に対照応答関数R0及び第1の対照フィールド応答関数RF0からゼロ値パターン応答関数N0(x,y,λ,t0)を決定し、そしてこれを既知の位置依存性及び波長依存性のパターン関数M(x,y,λ)と相関付けし、その際、この相関は、この相関のゼロ値であり、かつこの補正パターン応答関数Mt,korrから得られた相関をこのゼロ値だけ補正する。
【0049】
ゼロ値関数は、対照試料及び対照フィールドからのパターン上で決定する。ゼロ値パターン応答関数もしくはこれから得られる相関は、対照試料と対照フィールドとの差異を表す。ゼロ値パターン応答関数もしくは相関は、対照フィールド及び(対照)試料の領域の配置の種類により生じた人為産物を表し、これは、例えば、(対照)試料が対照フィールドの後方に配置される場合には、影であってよく、かつ対照試料及び試料との差異もしくは試料中で誘導された特性変化に依存しない。
【0050】
厳密に記載すれば、対照フィールド及び対照試料は、正確に同じ性質を有しなくてよい、すなわち、同じ材料からなっていなくてよい。それというのも、この性質の差異は、ゼロ値パターン応答関数及びこれから得られる相関の決定により記録され、かつ適当な補正値(相関のゼロ値)により考慮されるからである。この補正値を可能な限り小さく維持するために、対照試料及び対照フィールドが少なくともその表面で実質的に同じ性質を有することが好ましい。
【0051】
変法C:
工程(vii)において、補正試料応答関数Pt,korrの領域及び対照応答関数R0の領域を混合して仮想パターンを得て、これは位置依存性及び波長依存性の仮想パターン関数Mv(x,y,λ)により表され、その際、この混合により、仮想パターン応答関数Vt(x,y,λ,t)が得られ、これは仮想パターン関数Mvに応じて補正試料応答関数Pt,korrの領域及び対照応答関数R0の領域を含有し、かつ既知の位置依存性及び波長依存性の仮想パターン関数Mv(x,y,λ)と仮想パターン応答関数Vt(x,y,λ,t)との相関を相関分析により決定し、その際、この相関は、物理的に測定可能な特性の変化についての尺度である。
【0052】
この仮想応答関数の生成のために、補正試料応答関数の領域及び対照応答関数の領域を混合して仮想パターンを得て、これは両方の関数P1及びR0の領域を含有する。このパターンは、自由に選択された位置依存性及び波長依存性の仮想パターン関数Mv(x,y,λ)により表される。この仮想パターン関数は、試料応答関数及び対照応答関数の領域の、仮想パターン内での幾何学分布を表す。これは波長λによって変化してよいが、変化しなくてもよい。
【0053】
例えば、この仮想パターンは、応答関数及び対照応答関数の矩形の長方形の領域から構成されるバーコードパターンであってよい。この仮想パターンは、例えば、応答関数及び対照関数の正方形の領域から構成されるチェス板パターンであってよい。この仮想パターンは、完全に不規則であってよい。仮想パターンは、試料応答関数Pt,korrの領域も対照応答関数R0の領域も有することは決定的であり、その際、このパターンは既知の自由に選択されたパターン関数により表される。
【0054】
この仮想パターン関数Mvにより表される仮想パターンは、工程(iv)の(実際の)第1のパターンもしくは第2のパターンとは区別され、かつこれは完全に異なっていてよい。後者のパターンは、対照フィールド及び試料もしくは対照試料からの実際のパターンであり、これは、時間的及び位置的な検出器変動の排除のための上述の対照フィールド補正の実施のために生じさせる。工程(iv)の実際のパターンが比較的簡単なパターン、例えば矩形孔を有するステンシルにより生じたパターンであり、かつかなり実際的な視点(適当なステンシルの製造可能性)に従う一方で、この仮想パターンは完全に任意であってよい。一般的に、仮想パターンはデータ処理装置を用いて生じさせる。
【0055】
上述の変法B及びCの場合には、それぞれ、相関分析を実施する。相関分析に際しては、検出器からの物理的に測定可能な特性の情報を含有するパターン応答関数と、相応のパターン関数とを相関付けする。この場合、工程(iv)の実際のパターンに基づいて補正されたパターン応答関数Mt,korrと相応のパターン関数M(変法B)とを、又は仮想パターン応答関数Vtと相応の仮想パターン関数Mv(変法C)とを相関付けすることができる。
【0056】
相関分析は、特徴的なパターンを識別するためのそれ自体として公知の数学的方法である。相関分析の方法は文献に詳しく記載されている。パターンの応答関数が比較関数とどの程度まで相関するかを試験する。この方法は、変法Cの仮想パターンについて以下に大筋を記載する。これに応じて、このことは変法Bの実際のパターンにも当てはまる。数学的な相関分析の正確な定義は、本発明の本質ではない。
【0057】
このために、一般化された相関関数を計算する:
【数1】

【0058】
α、βは自由に選択可能なスケーリングパラメータであり、x0、y0は自由に選択可能な位置パラメータである。前記方程式は、積分が2つの座標について、しかし、ことによれば1つの座標についてのみ実施されることが理解されるべきである。測定範囲を超える変数のM及びVの値は、0に等しく定められる。
【0059】
この相関関数は、パターン応答関数Vt(x,y,λ,t)とパターン関数(比較関数)M(αx+x0,βy+y0,λ)とがどの程度まで相関関係にあり、かつこの相関が、その変数が変化される場合にどれだけ大きく変わるか、すなわち相関がどれだけ有意であるかについての情報を与える。
【0060】
比較関数M(αx+x0,βy+y0,λ)の選択は、試験されるべき課題に依存する。この比較関数は、一般的に、環境の影響による試料もしくは基体表面の見込まれべきもしくは求められるべき特性変化を記載し、これは(処理された)試料の応答関数の領域から形成された実際のパターンもしくは仮想パターンの領域内に見込まれる通りに現れる。当業者は、この試験されるべき課題に応じて好適な比較関数を選択する。
【0061】
パターン関数Mは、明確な波長依存性を有していなくてよい。しかし、例えば変色を試験すべき場合には、この比較関数は、場合により人間の知覚を考慮して選択される波長依存性を有する。
【0062】
相関関数は、所望の、すなわち環境の影響により引き起こされる試料の変化のみを写し、かつ顕著に妨害する影響、例えばランダム雑音、試料不均質性及び外部光の影響を抑制する。このことから極めて高い感度がもたらされる。
【0063】
一般的な相関分析の好ましい一変法はフーリエ分析である。
【0064】
本発明にかかる方法の実施形態においては、仮想パターンは、周期性のパターンであり、これに応じて、関連するパターン関数は、空間周波数αを有する周期性のパターン関数である。周期性のパターンは、例えばバーコードパターンである。
【0065】
例として、以下に、パターン関数Mv(x,y,λ)と仮想応答関数Vt(x,y,λ,t)との相関を決定するための相関分析の方法を記載する。この相関分析方法は自体公知であり、かつ文献に詳細に記載されている。従って本発明には、かかる数学的方法を提供することは含まれない。この説明は、同様に実際のパターン(変法B)に当てはまる。
【0066】
パターン関数が周期性構造を有する場合には、特に明確な関連をもたらす。例えば、パターン関数
【数2】

を選択し、かつ次いで試料の耐光性を測定することを望む場合には、
【数3】

が当てはまる。
【0067】
従ってこの相関関数は、定数を別として、応答関数の実フーリエ変換である。従ってαは、空間周波数と解してよい。更に、K(α,β,x0,y0,λ)は、固有周波数α0の場合にのみ、照射により引き起こされる寄与を示す。他の全ての空間周波数αがα0でない場合に、相関関数は消失する。従って、無限に高い空間周波数−分解能α0/Δαが得られる。
【0068】
しかしながら実地においては、有限のパターンの大きさxmaxに基づいて、積分が負の無限大から正の無限大まで実施することができないことが考慮されるべきである。更に、この応答関数は、連続的に測定するのではなくて、限定された数の支持点を用いてデジタル化する。この支持点の密度から、なお測定可能な空間周波数の上限がもたらされる。これに対して、有限の試料の大きさから、α0/Δα=α0・xmaxにより与えられている有限の空間周波数−分解能α0/Δαがもたらされる。
【0069】
このことは、統計学的方法(信号雑音)により引き起こされる妨害が、無限に高い空間周波数−分解能の場合よりも、あまり有効に抑制されないことを意味する。しかしながら実地において、これらの制限にもかかわらず本発明にかかる方法が、目視検査と比較して100倍を上回るより高い感度を有することがわかっている。
【0070】
こうして算出された相関は、環境の影響により引き起こされる、試料の物理的に測定可能な性質の変化についての、定量的であり、かつ主観的な評価から独立した尺度である。
【0071】
相関分析を用いるパターン識別から、環境の影響により試料中又は基体表面上に引き起こされる変化の検出の極めて高い感度がもたらされる。この感度は、試料の目視評価(例えば比較試料に基づく)に基づくそれぞれの方法の場合よりも、極めて顕著に高い。
【0072】
本発明にかかる方法の一実施態様においては、散乱又は反射された光の強度値を波長領域Δλにわたって合計し、そして複数の異なる波長領域Δλ1、Δλ2、Δλ3、...について複数の異なる試料応答関数P1(x,y,Δλ1)、P2(x,y,Δλ2)、P3(x,y,Δλ3)、...及び複数の異なる対照応答関数R1(x,y,Δλ1)、R2(x,y,Δλ2)、R3(x,y,Δλ3)を決定し、そして上述の対照フィールド補正及び相関分析(変法B及びC)に付す。こうして、例えば、特定の波長の場合に又は特定の波長領域内で、試料又は基体表面の吸収特性の変化に表れる、試料又は基体表面の特定の性質に環境の影響がどの程度まで作用するのかを決定することができるのに対して、これは他の波長の場合に又は他の波長領域内で、試料又は基体表面の吸収特性に表れるであろう他の性質に関係しないままである。
【0073】
本発明にかかる方法の一実施態様においては、応答関数及び対照応答関数は、それぞれ、赤色光、緑色光及び青色光についてRGB分析により決定する。これは、基体表面により反射又は散乱された光の強度値を赤色、緑色及び青色の波長領域について、すなわち例えば600〜700nm(赤)、500〜600nm(緑)及び400〜500nm(青)の波長領域について合計し、かつ相応する特定の応答関数及び特定の対照応答関数をこれらの波長領域のそれぞれについて算出することにより実施する。例えば、着色剤の耐光性が試験されるべきである場合には、このようにして、着色剤−試料により散乱された光の赤色成分、緑色成分及び青色成分が(例えば太陽光を)照射した後にどれだけ変わり、かつこれにより着色剤の色の印象がどれだけ変わるのかを算出することができる。
【0074】
例えば基体表面は、格子フィルムを通して照射することができる。この格子フィルムの不透明な領域は、対照フィールドをもたらす一方で、透明な領域は(対照)試料をもたらす。照射後に格子フィルムを除去し、そして基体表面をスキャナでスキャンする。次いで、照射された基体表面のR信号、G信号、B信号を、以下に記載された方法により一次元のフーリエ変換に付す。スキャナにより測定された強度はSj(k,m)で示される。この場合、示数jはR色、G色、B色(赤、緑及び青)を示す。これに対して大きさk及びmは、強度が測定された位置を示す。kもしくはmにより示された方向は、以下、画像行もしくは画像列と称する。数学的演算
【数4】

を用いて、それぞれの画像行についてパワースペクトルPj(k′,m)を計算する。こうしてそれぞれの画像行について得られたパワースペクトルは、全ての画像列にわたって平均する。
【0075】
【数5】

次いで、平均したパワースペクトル

を、空間周波数k′についてプロットする。基体表面の色の光化学的に誘導された変化は、チャンネルR、G、B中で、フィルム格子により規定された空間周波数で、平均したパワースペクトルの顕著により高い強度を確認することができることにより、一義的に識別することができる。個々のチャンネルR、G、B中のこの強度の高さは、光化学的に生じる変色の尺度である。
【0076】
試料をより詳細に試験するためには、前記の数学的演算の結果をより正確に考察する。パワースペクトルに加えて、目下、
【数6】

の記号も考慮する。雑音抑制のためには、この場合にまた、測定された全ての画像行にわたって平均化
【数7】

を行う。Vj(k′)は、環境の影響が、スキャナにより測定された信号の増加(Vj(k′)>0)又は減少(Vj(k′)<0)をもたらしたかどうかについての情報を与える。
【0077】
本発明にかかる方法を用いて試験することができる基体表面は、任意の材料の表面、例えばプラスチック、木材、塗料及び紙の表面である。
【0078】
基体材料自体、例えばプラスチックの特性の変化又は基体材料中へ導入されているか又はこれらの上に施与されている物質、例えば着色剤、UV吸収剤、安定剤、化粧品の特性の変化を試験することができる。
【0079】
本発明の一態様は、5.8μmでのCO−バンドの位置解像された検出による、プラスチックの熱又は光により誘導される劣化を試験するための本発明にかかる方法の使用である。このためには、とりわけDIN53383に記載されているような、プラスチックであるポリエチレンについて例えば4.95μm(2020cm-1に相当)である特定の対照吸光度に対する5.8μmでの吸光度の比を形成する。
【0080】
同じように、任意の別の物質の熱又は光により誘導された(光酸化的な)劣化を試験することができる。従って、本発明の更なる態様は一般に、物質の光誘導されたか又は光酸化的な劣化を試験するための本発明にかかる方法の使用である。試験されるべき物質は、例えば着色剤で着色されたかもしくは未着色のプラスチック、塗料、金属、織物、紙、木製品又は建築材料である。
【0081】
光誘導された劣化の検出は、当該の物質の好適なスペクトルバンドを用いて実施する。これらは、スペクトルのIR領域又はUV−VIS領域内であってよい。
【0082】
本発明の一態様はまた、着色剤の耐光性を測定するための本発明にかかる方法の使用である。着色剤は染料又は顔料であってよい。この場合、着色剤を含有する基体表面に、好ましくは太陽光又はソーラーシミュレータからの光を照射するようにして行うことができる。好適なソーラーシミュレータ及び太陽光に相応する発光スペクトルを有する光源は当業者に公知であり、例えばキセノン−ランプを含む。屋外試験において、試料に太陽光を直接に又は鏡の系を用いて間接的に、好適な耐候性金属マスクを通して照射することもできる。照射強度は、400nmまでの波長領域内のUV光については例えば20〜2000W/m2であり、かつ400〜800nmの可視のスペクトル領域内の光については500〜5000W/m2であり、特にUV光については約50W/m2であり、それゆえ自然の太陽光の放射強度に相当する。照射期間(作用時間Δt)は、数秒間から数年間までであってよい。非常に大きい耐光性又は耐候性を示す試料については、この期間は一般的に1週間ないし数ヶ月間である。着色剤の耐光性を測定するための本発明にかかる方法は、試料の変色を定量的に検出可能にするために、自然の放射強度での比較的短い照射期間で既に十分であることに傑出している。照射後に、照射された基体表面及び対照フィールドをスキャナでスキャンするか又はデジタルカメラで撮影する。更に、未照射の対照試料の表面及び対照フィールドをスキャンするか又はデジタルカメラで撮影する。次いで、画像評価電子技術を用いて、好ましくはRGB分析を実施し、そして応答関数を赤色光、緑色光及び青色光について決定し、そして相応の対照応答関数を照射されていない対照試料について決定し、そして対照フィールド補正を行う。赤色光、緑色光及び青色光についての補正試料応答関数並びに相応の対照応答関数をまとめて既知のパターン関数を有する仮想パターンを得て、その際、赤色、緑色及び青色のそれぞれが仮想応答関数が得られる(変法C)。これらは、最終的に仮想パターンの既知のパターン関数と相関付けし、その際、相関分析として好ましくはフーリエ分析を実施する。このパターンの空間周波数での赤色光、緑色光又は青色光についての相関関数のピークは、照射に起因しうる、基体表面により散乱された光の赤色成分、緑色成分又は青色成分の変化に定量的に相当する。これに応じて、相関分析を、対照フィールド及び(対照)試料からの実際のパターンについて実施してよい(変法B)。この実際のパターンは、上述の変法の1つに応じて、マスクを通しての照射及び曝露により生じさせることができ、その際、被覆された領域が対照フィールドであるか又は、照射されていないもしくは照射された試料を(対照フィールド)ステンシルで被覆することにより生じさせることができる。
【0083】
本発明の別の態様は、基体表面の光沢挙動の変化を測定するための本発明にかかる方法の使用である。試験されるべき基体表面は、例えば塗料表面、好ましくは自動車塗料の表面である。例えば、環境の影響がどの程度まで、基体表面の光沢挙動の変化に表れる基体表面の機械的損傷を招くのかを試験することができる。例えば、塗料層中で割れ又は空洞が形成されうる。かかる変化を検出するために、分析光の反射をテレセントリック照明光学装置及び検出光学装置を用いて測定する。テレセントリック測定装置の使用により、試料が平行な分析光で照らされ、かつ平行な光のみが検出されることが保証される。これにより、専ら試料の光沢挙動の変化が検出され、かつ試料の色の考えられる変化は抑制される。
【0084】
本発明にかかる方法の別の態様は、環境の影響により、例えば化粧品によるか又は一般的にアレルゲン性物質により引き起こされる、ヒト又は動物の皮膚のアレルギー性の皮膚刺激の診断である。本発明にかかる方法により、アレルギー性の皮膚刺激の早期発見が、皮膚刺激が眼で知覚可能になるはるかに前に可能である。
【0085】
本発明にかかる方法の別の態様は、農業において使用される農薬、例えば肥料、殺カビ剤、除草剤及び殺虫剤の有効性の試験である。この場合、基体表面は、有用植物が植えられている地表の一部であり、環境の影響は、土壌への化学薬品の導入又は有用植物への化学薬品の施与である。こうして処理された用地及び処理されていない用地から、航空写真を撮影し、これをデジタル加工し、そして場合によりRGB分析後にまとめて仮想パターンを得る。これらの相関分析を行う。
【0086】
本発明の別の態様は、物質の耐候性、物質の耐化学薬品性又は被覆の耐摩耗性を試験するための本発明にかかる方法の使用である。
【0087】
例えば、本発明にかかる方法は、人工日光を用いる曝露又は直接曝露についての関連規格に記載された方法と組み合わせて使用することができる。関連規格は、例えばプラスチックについてのISO4892(1994年)、塗料及び塗膜についてのISO11341(1994年)、装置内での塗膜についてのISO11507(1997年)、道路車両安全板についてのISO3917(1999年)、高層建築物ジョイントシーリング材についてのISO11431(2002年)、織物色堅ろう度試験についてのISO105−B02(1994年)及び織物色堅ろう度曝露についてのISO105−B04(1994年)並びに直接曝露についてのASTMG7、ISO877、ISO2810、ASTM D4141 C(ブラックボックス)及びASTM G24(アンダーグラス露光)である。
【0088】
簡単に、とりわけ以下の曝露装置もしくは露光装置及びボックスを有利に使用することができる:
− 市販の人工の露光又は曝露用の全ての装置(実施例参照);
− 屋外曝露の場合、例えば「ブラックボックス」(例えばATLAS社製);
− アンダーグラス露光用の露光室(例えばATLAS社製);
− 太陽運行の自動追跡を有する曝露装置、例えばアリゾナ及びフロリダにおけるATLAS社製のIP/DPボックス;
−好適な鏡系による促進された降雨(Beregnung)及び太陽露光を有する屋外曝露設備(例えばATLAS社製のEMMA/EMMAQUA)。
【0089】
本発明を以下の実施例につき詳説する。
【0090】
実施例
実施例1:
BASF AG社のP.R.63:1の1:5の淡色度(Aufhellung)を有する6cm×10cmの寸法の塗料試料を、露光前に、Fa.Mikrotec社のスキャナARTIXSCANの対物ガラス上に下に向けて置き、そして150dpiの解像度で48ビットの色深度でスキャンした。
【0091】
次いで、同じ寸法の透明フィルムに、インクジェットプリンタHP2000Cを用いて、このフィルムの左側3分の1及び右側3分の1にそれぞれ幅2cm及び長さ10cmの黒色の不透明な帯部を印刷した。このフィルムを、塗料試料上に、両方の外側の黒色の縞部が正確にこの塗料試料の3分の2を被覆するように固定した。
【0092】
このフィルムを有する塗料試料を、屋外条件下でATLAS社のサンテスタXLS Plus中で合計300分にわたって露光した。この塗料試料を規則的な時間間隔でこの露光装置から取り出し、フィルムを除去し、そしてこの塗料試料を、露光された側を下に向けてスキャナの対物ガラス上に置き、そして露光前のスキャン過程と同じ装置パラメータでスキャンした。
【0093】
次いで、照射された塗料試料のR信号、G信号、B信号を、上述の対照フィールド補正により、塗料試料の第1の露光の前のスキャンについて補正し、その際、この露光の間に黒色で被覆された、塗料試料の両方の外側の3分の1は対照フィールドを形成し、内側の露光されていない縞部は対照試料を形成し、かつ内側の露光された縞部は試料を形成した。
【0094】
このように測定され補正された、塗料試料(試料)の中央部3分の1の反射値を、上述のように、露光前の塗料試料(対照試料)の中央部3分の1の反射値を用いてパーソナルコンピュータにより混合して3/mmの空間周波数を有する仮想応答関数を得た。相を考慮する1次元フーリエ変換は、露光装置により引き起こされた、チャンネルR、G及びBについての反射率の変化を供給した。
【0095】
この分析を、それぞれの露光間隔後に実施した。照射により誘導された、スキャナの変動が補正された試料の反射値の変化を、種々の照射時間tについて測定し、時間に対してプロットした。この結果を図1に示す。その際、横軸上には照射時間(分)を、かつ縦軸上には反射率(%)をプロットした。
【0096】
3つの全てのチャンネルR、G及びBにおいて、照射時間が増大するにつれて反射率が単調増加的に増大することが見られる。このことは、露光された試料の淡色化に相当する。数分後に既に赤色チャンネルの反射率が急激に降下することは、複数の実験において再現された。肉眼で明らかに見ることができる淡色化にとって最小の照射時間は、この実施例では約600分であった。このことは、この方法の極めて大きい感度を示している。個々の測定点は、回帰分析により測定点に合致される曲線から約0.01〜0.03%だけそれるにすぎない。
【0097】
実施例2:
実施例1に記載した方法と同じであるが、但し対照フィールドとして、顔料P.R.63:1で塗装された寸法20×9cmでかつ厚さ2mmの、4つの規則的に配置された寸法2.5×7cmの矩形孔を有する薄板からのステンシルを使用した。このステンシル中に、同じように顔料P.R.63:1で塗装された、対照(試料)と比べて小さい試料薄板を正確に挿入した。
【0098】
4つの試料薄板Pは同一であり、これらを一緒に露光し、そしてそれぞれの時間間隔後にこの孔中に挿入し、そして対照フィールドステンシルと一緒にスキャンした。この目的のために、対照フィールドRを、塗装された側を下に向けてスキャナガラス上にマウントした。このスキャナ信号(R信号、G信号、B信号)の評価を実施例1と同様に実施した。
【0099】
この結果を図2に示す。その際、横軸上には照射時間(分)を、かつ縦軸上には反射率(%)をプロットした。
【0100】
個々の試料薄板は、フィルムを通して露光されないので、青色チャンネル及び緑色チャンネルにおいて幾分強い光誘導性の淡色化が、照射時間が増加するにつれて見られた。しかし、赤色チャンネルにおいては、照射時間の増大につれて反射率の減少(暗色化)が見られ、その際、この測定点は実施例1と比べて顕著に散乱した。しかし、この測定点の散乱は、本方法の感度を妨げない。それというのも、顕著に長い照射時間(300分よりも顕著に長い)の後に初めて視覚的に知覚可能な光誘導性の塗料試料の変色は、実質的に、塗料顔料の吸収の領域内にある青色チャンネル及び緑色チャンネルの領域の反射率の変化に属しうるからである。
【0101】
実施例3:
実施例2の方法と同じであり、かつ実施例2と同じステンシルを対照フィールドとして使用した。これを、P.B.15:3の淡色度を有するBASF社製の試験塗料で塗装した。しかし、4つの小型の塗料試料の代わりに、対照フィールドステンシルの寸法を有する単一の大型の試料薄板を屋外条件下で露光した。それぞれのスキャン過程では、この試料薄板を塗装された側で対照フィールドステンシル上に置いた。スキャナ板からの試料表面の距離は2mmであり、これはステンシルの厚さに相当する。スキャナ板からの対照フィールドと試料との異なる間隔により誘導される効果(人為産物)を排除するために、上述のゼロ値補正を実施した。他の点では、この測定信号の評価は実施例1及び2に相当する。
【0102】
この結果を図3に示す。その際、横軸上には照射時間(時間)を、かつ縦軸上には反射率(1=100%)の相対的変化をプロットした。
【0103】
青色チャンネルの反射率の減少により、露光が増大するにつれて試験塗料の暗色化が実質的に見られる。この暗色化は、約1200時間の照射時間から視覚的にも認識することができる。この方法の高度な測定正確性は、顕著に短い照射時間後でも外挿による視覚的に知覚可能な効果の予想を可能にする。
【0104】
実施例4:
実施例3と同様の方法を行ったが、但し露光の代わりに迅速な曝露を市販の曝露装置(ATLAS社製のW.O.M CI35A)中で試験法SAE1960、CAM180により実施した。
【0105】
曝露により誘導された反射率変化をCIELAB色座標に換算すると、図4に示された結果をもたらした:
横軸上に曝露時間(時間)をプロットした。縦軸上は、以下のものをプロットした:
++++:彩度変化(ΔC)
□□□□:色相変化(ΔH)
○○○○:色差(ΔE76)
ΔΔΔΔ:明度変化(ΔL)。
【0106】
この場合でも、本発明にかかる方法の高度な正確性は、一般的に曝露時間1000〜2000時間後に初めて視覚的に知覚可能な効果の予想を、顕著に短い曝露時間で得られた値の外挿により可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】実施例1の結果について、横軸上には照射時間(分)を、かつ縦軸上には反射率(%)をプロットした図を示す
【図2】実施例2の結果について、横軸上には照射時間(分)を、かつ縦軸上には反射率(%)をプロットした図を示す
【図3】実施例3の結果について、横軸上には照射時間(時間)を、かつ縦軸上には反射率(1=100%)の相対的変化をプロットした図を示す
【図4】実施例4の結果について、横軸上に曝露時間(時間)を、かつ縦軸上に++++:彩度変化(ΔC)□□□□:色相変化(ΔH)○○○○:色差(ΔE76)ΔΔΔΔ:明度変化(ΔL)をプロットした図を示す

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料Pと対照試料Rとの物理的に測定可能な特性の差異を検出する方法において、
(i)試料Pを提供し、
(ii)対照試料Rを提供し、
(iii)平面対照フィールドRFを提供し、
(iv)対照試料R及び対照フィールドRFの領域から第1の平面パターンを生じさせ、そして試料P及び対照フィールドRFの領域から第2の平面パターンを生じさせ、その際、第1のパターン及び第2のパターンを、位置依存性及び波長依存性のパターン関数M(x,y,λ)により表し、
(v)第1のパターンについては自由に選択可能な時点t0において、そして第2のパターンについては時点tにおいて、検出器により第1のパターン及び第2のパターンによる分析放射線の透過、反射又は散乱をそれぞれ、第1のパターン及び第2のパターンの位置座標(x,y)並びに分析放射線の波長λに応じて検出し、こうして、
第1のパターンについて、物理的に分離された対照応答関数R0(x,y,λ,t0)及び第1の対照フィールド応答関数RF0(x,y,λ,t0)の領域を含有する第1のパターン応答関数M0(x,y,λ,t0)を決定し、
第2のパターンについて、物理的に分離された試料応答関数Pt(x,y,λ,t)及び第2の対照フィールド応答関数RFt(x,y,λ,t)の領域を含有する第2のパターン応答関数Mt((x,y,λ,t)を決定し、その際、これらの関数M0及びMtは、それぞれ、透過、反射又は散乱された分析放射線の強度を、第1のパターンもしくは第2のパターンの位置座標(x,y)及び波長λに応じて、異なる検出の時点t0もしくはtで表し、
(vi)試料応答関数Ptの補正を、第1の対照フィールド応答関数RF0及び第2の対照フィールド応答関数RFtにより、検出器により誘導された位置依存性、時間依存性及び波長依存性の変動を試料応答関数Ptから排除することにより行い、その際、補正試料応答関数Pt,korrが得られ、
(vii)この補正試料応答関数Pt,korr及び対照応答関数R0から、物理的に測定可能な特性の変化を決定する、試料Pと対照試料Rとの物理的に測定可能な特性の差異を検出する方法。
【請求項2】
工程(vii)において、補正試料応答関数Pt,korr及び対照応答関数R0の値からの平均値をそれぞれ形成し、そして互いに比較することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(vii)において、補正試料応答関数Pt,korr及び第1の対照フィールド応答関数RF0から補正パターン応答関数Mt,korrを形成し、そしてこの補正パターン応答関数Mt,korrと既知の位置依存性及び波長依存性のパターン関数M(x,y,λ)とを相関付けし、その際、この相関は、物理的に測定可能な特性の変化の尺度であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(vii)において、付加的に、対照応答関数R0及び第1の対照フィールド応答関数RF0からゼロ値パターン応答関数N0(x,y,λ,t0)を決定し、そしてこれと既知の位置依存性及び波長依存性のパターン関数M(x,y,λ)とを相関付けし、その際、この相関は、この相関のゼロ値であり、かつ補正パターン応答関数Mt,korrから得られた相関をこのゼロ値だけ補正することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程(vii)において、補正試料応答関数Pt,korrの領域及び対照応答関数R0の領域を混合して仮想パターンを得て、これを位置依存性及び波長依存性の仮想パターン関数Mv(x,y,λ)により表し、その際、この混合により、仮想パターン応答関数Vt(x,y,λ,t)を得て、これは仮想パターン関数Mvに応じて補正試料応答関数Pt,korrの領域及び対照応答関数R0の領域を含有し、かつ既知の位置依存性及び波長依存性の仮想パターン関数Mv(x,y,λ)と仮想パターン応答関数Vt(x,y,λ,t)との相関を相関分析により決定し、その際、この相関は、物理的に測定可能な特性の変化の尺度であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
対照フィールドが試料もしくは対照試料を包囲するか又は貫通することを特徴とする、請求項1から5までの何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
試料Pと対照試料Rとの物理的に測定可能な特性の差異を、試料Pを環境の影響に曝すこと(処理された試料)、及び対照試料が環境の影響に曝されない相応の試料であること(処理されていない対照試料)によりもたらすことを特徴とする、請求項1から6までの何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
環境の影響を、機械力の作用、化学薬品の作用、ガスの作用、微生物の作用、放射能線の作用、音波の作用及び熱の作用から選択することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
環境の影響を試料の曝露により作用させることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
対照フィールドを、少なくとも1つの孔を有するステンシルとして構成し、かつ対照試料Rもしくは試料Pをこのステンシルの少なくとも1つの孔の後方に又は少なくとも1つの孔の中に配置させることにより、第1の平面パターンを対照試料R及び対照フィールドRFの領域から生じさせ、そして第2の平面パターンを試料P及び対照フィールドRFの領域から生じさせることを特徴とする、請求項1から9までの何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
第1の平面パターン及び第2の平面パターンを、表面を環境の影響に透過性及び不透過性の領域を有するマスクで被覆することにより生じさせ、かつこの環境の影響をこのマスクを通してこの表面上に作用させ、その際、このマスクの不透過性の領域で被覆された表面の領域は対照フィールドを形成し、かつ環境の影響に曝される表面の領域は対照試料(環境の影響の作用前)及び試料(環境の影響の作用後)を形成することを特徴とする、請求項1から10までの何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
工程(iv)において、UV−VIS及び/又はNIR領域の分析光の透過、反射又は散乱を測定することを特徴とする、請求項1から12までの何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
分析放射線の透過、反射又は散乱を複数の波長領域Δλについて測定し、そしてそれぞれの波長領域Δλについて波長特異性の応答関数を決定することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項14】
位置座標(x,y)に依存する分析光の反射又は散乱を、カラースキャナを用いて検出することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
位置座標(x,y)に依存する分析光の反射又は散乱を、デジタルカメラを用いて検出することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
第1のパターン及び第2のパターン又は仮想パターンは、空間周波数αを有する周期性のパターンであることを特徴とする、請求項1から15までの何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1から7までの何れか1項に記載の方法の、基体上の被覆の耐摩耗性を試験するための使用。
【請求項18】
請求項1から7までの何れか1項に記載の方法の、品質管理において試料と対照試料との差異を検出するための使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−525765(P2008−525765A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547334(P2007−547334)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013775
【国際公開番号】WO2006/069695
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】