説明

試料を調製及び分析するシステム並びに方法

本発明は、目的の微生物の試料(例えば、粘液試料)を調製及び分析するシステム並びに方法に関する。特に、システム及び方法は、病原菌、特に、黄色ブドウ球菌の特徴である細胞壁の成分などの、目的の微生物(すなわち、病原菌)の1つ以上の検体の特徴を検知するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、それらの全てが2006年11月22日に申請された米国仮特許出願番号第60/867,093号明細書、60/867,012号明細書、60/867,102号明細書、60/860,763号明細書の利益を請求し、それらの全てが参照として本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
通常使用される抗生物質への耐性を有する細菌の出現により、感染者の治療に重大な影響をもたらす問題が増えつつある。したがって、そのような細菌の存在を初期段階に比較的迅速な方法で判定し、そのような細菌についてより良い制御を得ることへの重要性が増しつつある。これは種々の他の病原菌にも適用される。
【0003】
重大な関心を有するそのような病原菌の1つは、黄色ブドウ球菌(「S.アウレウス(aureus)」)である。黄色ブドウ球菌は、小さな皮下膿瘍及び創傷感染などの表面型病変、心内膜炎、肺炎及び敗血症などの全身性でかつ生命に脅威となる状態、並びに食中毒及び中毒性ショック症候群などの中毒症を含めた広範な感染症を引き起こす病原菌である。いくつかの菌株(例えば、メチシリン耐性S.アウレウス)は、選択された少しの抗生物質を除いて、全てに耐性がある。
【0004】
病原菌、特に抗生物質に耐性のある細菌の検出に関する現在の技術は、一般に時間を要し、典型的に純粋な形態で細菌を培養することを要する。急性伝染病に関連する病原ブドウ状球菌、すなわち、人間及び動物のS.アウレウス、動物のS.インターメジウス(intermedius)及びS.ヒイカス(hyicus)と同定の技術の一例は、血漿を凝固する病原菌の能力に基づいている。少なくとも2つの異なるコアグラーゼ試験、遊離コアグラーゼの試験管試験及び「細胞結合コアグラーゼ」又はクランピング因子のスライド試験が記載されている。チューブコアグラーゼ試験は、典型的に脳心臓浸出物ブロスでの一夜培養に再構成血漿を混合し、混合物を4時間培養し、凝固形成用チューブをゆっくり傾けながら凝固形成用チューブを観察することを包含する。少数の菌株は凝固形成に4時間を越える場合があるため、S.アウレウスが一夜試験培養に薦められている。スライドコアグラーゼ試験は、典型的により速くより経済的であるが、S.アウレウス菌株の10%〜15%は陰性の結果をもたらす場合があり、分離したものを試験管試験で再試験する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
当該技術分野においてS.アウレウス並びに他の病原菌を検出する方法が記載されているが、試料の調製及び分析(例えば、検出)の改善された方法が有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、例えば、目的の微生物の試料を調製及び分析するシステム並びに方法を提供する。特に、このシステム及び方法は、病原菌、特に黄色ブドウ球菌の特徴である細胞壁の成分などの、目的の微生物(すなわち、病原菌)の1つ以上の検体の特徴を検出するのに有用である。
【0007】
1つの実施形態では、本発明は、細菌の試料を分析する方法を提供し、この方法は、特定の細菌の1つ以上の検体の特徴を含む疑いがある試料を提供する工程と、特定の細菌の2つ以上の異なる検体の特徴に対して抗原特異性を有する2つ以上の抗体を含む検体結合部材を提供する工程と、試料捕獲領域を含む免疫クロマトグラフィーデバイス(好ましくは横流式デバイス)を提供する工程であって、試料捕獲領域が特定の細菌の2つ以上の異なる検体の特徴に対して抗原特異性を有する2つ以上の抗体の混合物を含む工程と、試料、検体結合部材、及び免疫クロマトグラフィーデバイスの試料捕獲領域を接触させる工程であって、存在する検体毎に試料捕獲領域内の抗体の抗原特異性の少なくとも1つが、検体がそれらに結合した状態で、異なる抗原特異性を有する検体結合部材によりその検体に結合することが機能上ブロックされない工程と、特定の細菌の有無を分析する工程とを含む。
【0008】
好ましくは、上記方法において、試料、検体結合部材、及び免疫クロマトグラフィーデバイスの試料捕獲領域を接触させる工程は、試料を検体結合部材と接触させる工程と、それらの中に検体結合部材を有する試料を免疫クロマトグラフィーデバイスの試料捕獲領域と接触させる工程とを含む。別の方法としては、試料、検体結合部材、及び免疫クロマトグラフィーデバイスの試料捕獲領域を接触させる工程は、試料を免疫クロマトグラフィーデバイス内に配置する工程と、続いてデバイス内の試料を検体結合部材と接触させる工程とを含む。
【0009】
ある実施形態では、試料を提供する工程は、試料を、第1試薬を含むバイアル瓶(すなわち、チューブ)内に配置し、試料の1つ以上の成分と第1試薬の間の反応に十分な条件下で試料と第1試薬の接触を維持する工程と、続いて第2試薬を含むキャップをバイアル瓶上に配置し、バイアル瓶内の1つ以上の成分と第2試薬の間の反応に十分な条件下でバイアル瓶の内容物と第2試薬を混合する工程とを含む。好ましくは、反応前、バイアル瓶(すなわち、チューブ)内の第1試薬、キャップ内の第2試薬、又はそれらの両方は、固体又は半固体形態である。ある実施形態では、キャップは第1キャップであり、第1キャップをバイアル瓶上に配置する工程の後、この方法は、第1キャップを取り除く工程と、それを第3試薬を含む第2キャップと交換する工程と、バイアル瓶内の1つ以上の成分と第3試薬の間の反応に十分な条件下でバイアル瓶の内容物と第3試薬を混合する工程とを更に含む。ある実施形態では、この方法は、第1キャップを取り除いた後、バイアル瓶の内容物に希釈剤を添加する工程と、それを第2キャップと交換する工程とを更に含む。
【0010】
本発明は、試料流路と、試料流路内部の多孔質物質上又は内に形成された試料捕獲領域であって、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、及びそれらの組合わせからなる群から選択される抗体を含む試料捕獲領域とを含む免疫クロマトグラフィーデバイスも提供する。ある実施形態では、多孔質物質は、膜(例えば、ニトロセルロース又はナイロンの膜)を含む。ある実施形態では、試料捕獲領域は、別の検体に結合する少なくとも2つの抗体を含む。
【0011】
本発明は、試料流路と、試料流路内部の多孔質物質上又は内に形成された試料捕獲領域とを含む免疫クロマトグラフィーデバイスを備えるシステムも提供し、試料捕獲領域は1つ以上の抗体を含む。このシステムは、それらの上に配置された1つ以上の抗体を含む粒子状物質を更に包含する。このシステムでは、試料捕獲領域の、又は粒子状物質上に配置された、若しくは双方の、1つ以上の抗体が、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、及びそれらの組合わせからなる群から選択される。ある実施形態では、抗体は、粒子状物質上に配置された1:1の比率の抗体MAb−76とアフィニティー精製RxClf40である(他の比率も可能である)。ある実施形態では、粒子状物質の各粒子は、それらの上に配置された異なる検体を結合する少なくとも2つの抗体を有する。ある実施形態では、粒子状物質は、ポリスチレン及び/又はラテックスビーズを含む。ある実施形態では、試料捕獲領域は、異なる検体を結合する少なくとも2つの抗体を含む。
【0012】
本発明は、少なくとも1つのバイアル瓶及びそのようなバイアル瓶用の少なくとも1つのキャップであって、バイアル瓶及びキャップの各々が目標検体分析用試料の順次処理のためにそれらの中に配置された異なる試料調製試薬を有し、試料調製試薬の少なくとも1つが固体支持材料、固体支持材料上に配置される抗体を含み、抗体が、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、及びそれらの組合わせからなる群から選択され、更に任意の検知可能マーカーを含み、試料流路、及び試料流路内部の多孔質物質上又は内に形成された試料捕獲領域を含む免疫クロマトグラフィーデバイスであって、その試料捕獲領域が、特定の細菌の2つ以上の異なる検体の特徴に対して抗原特異性を有する2つ以上の抗体の混合物を含み、任意に、少なくとも1つの試料移動デバイスと、任意に、キャップ又はバイアル瓶内に無い少なくとも1つの他の試料調製試薬とを含む、試料調製システムも提供する。
【0013】
他の実施形態では、試料調製システムは、少なくとも1つのバイアル瓶及びそのようなバイアル瓶用の少なくとも1つのキャップであって、バイアル瓶及びキャップの各々が、目標検体分析用試料の順次処理のためにそれらの中に配置された異なる試料調製試薬であり、試料調製試薬の少なくとも1つが、固体支持材料、固体支持材料上に配置される2つ以上の抗体を含み、それら2つ以上の抗体が、特定の細菌の2つ以上の異なる検体の特徴に対する抗原特異性を有し、更に任意の検知可能マーカーを含み、試料流路、試料流路内部の多孔質物質上又は内に形成された試料捕獲領域を備える免疫クロマトグラフィーデバイスであって、その試料捕獲領域が、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、及びそれらの組合わせからなる群から選択される抗体を含み、任意に、少なくとも1つの試料移動デバイスと、任意に、キャップ又はバイアル瓶内に無い少なくとも1つの他の試料調製試薬とを含む。
【0014】
本発明は、粘液試験試料を調製する方法も提供する。そのような方法では、微生物を含有する疑いがある粘液試料(例えば、鼻粘液試料)は、酵素溶菌剤と組合わされる。酵素溶菌剤としては、例えば、リソスタフィン、ペプシン、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、リゾチーム、アクロモペプチダーゼ、エンドペプチダーゼ、N−アセチルムラニル(acetylmuranyl)−L−アラニンアミダーゼ、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ、ALE−1、及びそれらの組合わせからなる群の少なくとも1つの部材を挙げることができる。好ましい実施形態では、酵素溶菌剤としては、リソスタフィンが挙げられる。
【0015】
粘液試験試料と酵素溶菌剤は、酵素溶菌剤とは異なる粘液溶解剤と順次組合わされ、それによって粘液試験試料を形成する。ある実施形態では粘液試料と酵素溶菌剤が組合わされ、その後、試料と酵素溶菌剤が粘液溶解剤と組合わされる。例えば、粘液試料と酵素溶菌剤は、試料と酵素溶菌剤を粘液溶解剤と組合わせる前に、微生物を溶菌させ、微生物の少なくともいくつかの抗原成分を放出させるのに十分な時間培養することができる。
【0016】
粘液溶解剤としては、例えば、酵素、塩、還元剤、酸、及びそれらの組合わせからなる群の少なくとも1つの部材を挙げることができる。例えば、粘液溶解剤としては、β−メルカプトエタノール(BME)、ジチオトレオトール(dithiotreotol)(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)、システイン、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(イリノイ州ロックフォード(Rockford)のピアス・ケミカル社(Pierce Chemical Company))、n−アセチルシステイン、又はそれらの組合わせなどの還元剤を挙げることができる。好ましい実施形態では、還元剤としては、n−アセチルシステインが挙げられる。還元剤は、3未満のpHを有することができる。
【0017】
本発明の他の実施形態では、粘液試験試料は界面活性剤又は洗剤と組合わされ、その後若しくは同時に、試料と酵素溶菌剤を粘液溶解剤と組合わせる。界面活性剤としては、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)又はラウリル硫酸ナトリウム(SLS)などのアニオン性界面活性剤を挙げることができる。粘液試験試料と界面活性剤は、粘液試験試料と界面活性剤のpHを5〜8の範囲に調節するのに十分である緩衝剤などの中和緩衝剤と更に順次組合わされてもよい。
【0018】
本発明の方法は、粘液試験試料を検体認識要素と組合わせ、それによって微生物の検体の特徴の存在が検出され得る工程を更に含むことができる。ある実施形態では、微生物は、黄色ブドウ球菌を含む。これらの実施形態では、検体認識要素は、酵素系溶菌剤(例えば、リソスタフィン)との組合わせで必然的に起こる溶菌と同時に放出される黄色ブドウ球菌の抗原成分を結合する少なくとも1つの抗体を含むことができる。検体認識要素は、直接的又は間接的のいずれかにより検出可能マーカーで標識され、標識された認識要素を形成することができ、粘液試験試料内の抗原要素の存在とは関係なく固体支持体への検体認識要素の接合をもたらすことができる成分を含んでもよい。ある好ましい実施形態では、検体認識要素(及び好ましくは標識された検体認識要素)は、少なくとも2つの抗体を含み、それによって、抗体が、溶菌により生成された黄色ブドウ球菌の異なる抗原成分を独立して結合し、又は溶菌により生成された通常の抗原成分の異なるエピトープを独立して結合する。黄色ブドウ球菌の抗原成分に結合する代表的な抗体としては、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、及びそれらの組合わせが挙げられる。
【0019】
本発明の試料調製方法は、目的の微生物(すなわち、病原菌)の特徴の1つ以上の抗原成分を放出及び/又は接触させるのに有用である。その方法は、病原菌に特有の細胞壁の成分などの病原菌内からの抗原成分の放出ばかりではなく、粘液を離解させ、検体認識要素、特に標識された認識要素(例えば、標識された抗体)で目的の抗原成分の量を増やし、混合物の粘度を減少させて抗原成分と検体認識要素、特に標識された認識要素(例えば、標識された抗体)がより自由に移動し、それにより結合するのを可能にする。
【0020】
好ましい実施形態では、本発明は、黄色ブドウ球菌の鼻粘液試料をリソスタフィンと組合わせる工程と、続いて鼻粘液試料並びにリソスタフィンを3未満のpHを有するn−アセチルシステイン及びドデシル硫酸ナトリウムと組合わせる工程と、pHを5〜8の範囲に中和することにより組合わされた鼻粘液試料、リソスタフィン、n−アセチルシステイン及びドデシル硫酸ナトリウムを不活性化して、中和された試験試料を形成する工程と、中和された試験試料をMAb−76、MAb−107、RxCLF40、及びそれらの組合わせからなる群から選択される少なくとも2つの抗体を含む標識された認識要素と組合わせる工程とを含む、鼻粘液試験試料を調製する方法を提供する。そのような方法では、鼻粘液試料とリソスタフィンは、黄色ブドウ球菌を溶菌させ、その抗原成分の少なくともいくつかを放出させるのに十分な時間培養される。
【0021】
本発明は、試料調製システム及び方法も提供する。例えば、1つの実施形態では、試料調製システムは、少なくとも1つのバイアル瓶(例えば、チューブ)及びそのようなバイアル瓶の少なくとも1つのキャップであって、バイアル瓶及びキャップの各々が目標検体の分析用試料の順次処理のためにそれらの中に配置された異なる試料調製試薬を有し、任意に、少なくとも1つの試料移動デバイスと、任意に、キャップ又はバイアル瓶内に無い少なくとも1つの他の試料調製試薬とを含む。
【0022】
他の実施形態では、試料調製システムは、少なくとも1つのバイアル瓶及びそのようなバイアル瓶の2つ以上のキャップであって、キャップの各々が目標検体の分析用試料の順次処理のためにそれらの中に配置された異なる試料調製試薬を有し、任意に、少なくとも1つの試料移動デバイスと、任意に、キャップ内に無い少なくとも1つの他の試料調製試薬とを含む。
【0023】
そのような試料調製システムは、次の例示の方法で使用することができる。すなわち、試料を、第1試薬を含むバイアル瓶内に配置し、試料の1つ以上の成分と第1試薬の間の反応に十分な条件下で試料と第1試薬の接触を維持し、続いて第2試薬を含むキャップをバイアル瓶上に配置し、バイアル瓶内の1つ以上の成分と第2試薬の間の反応に十分な条件下でバイアル瓶の内容物と第2試薬を混合する。バイアル瓶内の第1試薬、キャップ内の第2試薬、又はそれらの両方(反応前)は、固体又は半固体形態(例えば、乾燥コーティングされた又は配置された形態)であることができる。1つの実施形態では、上記で参照したキャップは、第1キャップであることができ、第1キャップをバイアル瓶上に配置する工程の後、その方法は、第1キャップを取り除く工程と、それを第3試薬を含む第2キャップと交換する工程と、バイアル瓶内の1つ以上の成分と第3試薬の間の反応に十分な条件下でバイアル瓶の内容物と第3試薬を混合する工程とを更に含む。
【0024】
他の選択は、バイアル瓶内に試薬が無い場合及び全ての試薬が試薬を含有するキャップの付加により添加される場合である。
【0025】
他の実施形態では、本発明は、少なくとも1つのバイアル瓶及びそのようなバイアル瓶の2つ以上のキャップを提供する工程であって、キャップの各々が目標検体の分析用試料の順次処理のためにそれらの中に配置された異なる試料調製試薬を有し、試料をバイアル瓶内に配置する工程と、各キャップを所望の順序でバイアル瓶上に配置し、バイアル瓶内の1つ以上の成分と各試料調製試薬の間の反応に十分な条件下でバイアル瓶と各キャップの内容物を混合する工程とを含む試料調製の方法を提供する。
【0026】
定義
本明細書における用語「免疫クロマトグラフィーデバイス」は、流体が物質を通って流れるのを可能にする多孔質物質(好ましくは膜の形態(例えば、多層物質))を含有する非酵素検出測定器を指す。非酵素検出は、検出可能マーカー(例えば、蛍光タグ又は標識)の構造的立体配座変化を包含しない。
【0027】
用語「不活性にする」、「不活性の」又は「不活性」は、試薬の活性を停止すること又は反応を停止することを指し、例えば、それは、例えば、ブロッキング、希釈、阻害、変性、競合等を含む様々な機構により行うことができる。
【0028】
用語「検体」及び「抗原」は、交換可能に使用され、目的の微生物(すなわち、病原菌)の特徴である種々の分子(例えば、プロテインA)、分子のエピトープ(例えば、プロテインAの異なる結合部位)、又は微生物の全細胞を指す。これらには、細胞壁の成分(例えば、プロテインA、及びS.アウレウス中に見出される細胞壁関連フィブリノゲン受容体であるクランピング因子などの細胞壁タンパク質)、細胞外成分(例えば、カプセル状多糖類及び細胞壁炭水化物)、細胞内成分(例えば、細胞質膜タンパク質)等が挙げられる。
【0029】
用語「粘液含有試料」又は「粘液試験試料」は、粘液膜及び粘液組織を含む、又はこれらに由来する試料を指し、それらは交換可能に使用され、鼻の表面(前鼻孔、鼻咽頭腔等を含む)、口腔(例えば、口)、外耳、中耳、膣腔、及び他の類似の組織を指す。例としては、頬、歯肉、鼻、眼球、気管、気管支、胃腸、直腸、尿道口、尿管、膣、頚部、及び子宮粘膜のような粘膜が挙げられる。
【0030】
「好ましい」及び「好ましくは」という語は、特定の状況下で特定の利点をもたらし得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同様又は他の環境において、他の実施形態が好まれるかもしれない。更に、1つ以上の好ましい実施形態の詳細説明は、他の実施形態が有用でないことを示すものではなく、本発明の範囲内から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0031】
用語「含む」及びこの変形は、これらの用語が現れる説明及び請求項を制限することを意図しない。
【0032】
本明細書で使用する時、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つ」及び「1つ以上」は同義的に使用される。したがって、例えば、「an」抗体を含む検体結合部材は、検体結合部材が別の検体を結合する「1つ以上の」抗体を含むことを意味すると解釈することができる。
【0033】
用語「及び/又は」は、挙げられた要素の1つ若しくは全て、又は挙げられた要素の任意の2つ以上の組合わせを意味する。
【0034】
また本明細書において、端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に包含されるすべての数(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等)が包含される。
【0035】
本発明の上述の「課題を解決するための手段」は、本発明の開示された各実施形態もあらゆる実施も記載しようと意図していない。以下の説明は、説明に役立つ実施形態をより詳細に例示する。明細書全体にわたっていくつかの箇所で、実施例の一覧を通して説明を提供するが、実施例は各種組合わせにて使用することが可能である。それぞれの事例において、列挙される一覧は代表的な群としてのみ与えられるのであって、排他的な一覧として解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】それらの中に試薬を有するキャップとバイアル瓶を使用した代表的な試料調製システム及び方法の概略。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、試料を調製する、特に目的の微生物の1つ以上の検体の特徴に基づき、目的の微生物(すなわち、病原菌)の試料を分析する種々のシステム及び方法に関する。本発明のシステム及び方法は、目的の微生物の検体の特徴の存在を検出するだけではなく、好ましくは、そのような検体を同定することを包含し、検体が特徴的であることによって病原菌を同定することに至ることができる。ある実施形態では、試料の分析は、目的の微生物検体の特徴の定量化を含む。
【0038】
好ましくは、本発明の方法は、特定の微生物(好ましくは、細菌)の2つ以上の異なる検体の特徴に対して抗原特異性を有する2つ以上の抗体の第1組の使用、特定の微生物の2つ以上の異なる検体の特徴に対して抗原特異性を有する2つ以上の抗体の第2組の使用を含み、存在する検体毎に、第2組の抗体の抗原特異性の少なくとも1つは、検体がそれらに結合した状態で、異なる抗原特異性を有する第1組の抗体によりその検体に結合するのを機能上ブロックされない。そのような抗体は、好ましくは、それらの結合特性において協同する。すなわち、それらは、目標検体(複数)の異なる領域に同時に結合することができ、又は最適には補足的結合であることが見い出されており、それによって1つの抗体の組によるそれらの異なる検体の結合は、1つ以上の他の抗体の組の結合により強化される。
【0039】
特に目的の病原菌(すなわち、微生物)としては、原核生物及び真核生物、特にグラム陽性細菌、グラム陰性細菌、菌類、原生動物、マイコプラズマ、酵母菌、ウイルス、及び脂質エンベロープウイルスが挙げられる。特に関連のある生物としては、多数の腸内細菌又はミクロコッカス若しくはブドウ球菌属、連鎖球菌、シュードモナス、腸球菌、サルモネラ菌、レジオネラ菌、赤痢菌、エルシニア菌、エンテロバクター菌、エシェリキア菌、バチルス菌、リステリア菌、ビブリオ菌、コリネバクテリウム菌、並びにヘルペスウイルス、アスペルギルス菌、フザリウム菌、及びカンジダ菌が挙げられる。特に伝染しやすい生物としては、黄色ブドウ球菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などの耐性菌株を含む)、S.エピデルミディス、肺炎球菌、S.アガラクチア、化膿レンサ球菌、エンテロコッカス フィカリス、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)、バンコマイシン中間体−耐性黄色ブドウ球菌(VISA)、炭疽菌、緑膿菌、大腸菌、アスペルギルスニガー、A.フミガタス、A.クラバタス、フザリウム ソラニ、F.オキシスポラム、F.クラミドスポラム、リステリア モノサイトゲネス、リステリア イバノビ、コレラ菌、V.パラヘモリティカス、サルモネラ コレレスイス(cholerasuis)、チフス菌、ネズミチフス菌、カンジダ アルビカンス、C.グラブラタ、C.クルセイ、エンテロバクター サカザキ、大腸菌0157及び多剤耐性グラム陰性桿菌(MDR)が挙げられる。
【0040】
グラム陽性及びグラム陰性細菌は、特に関心が持たれている。更により関心が持たれているのは、黄色ブドウ球菌などのグラム陽性細菌である。典型的に、これらは、細胞壁タンパク質などの細菌に特有の細胞壁成分の存在を検知することにより検出することができる。また、特に関心が持たれているのは、MRSA、VRSA、VISA、VRE、及びMDRを含む抗生物質耐性菌である。典型的に、これらは、抗生物質耐性の原因である膜タンパク質、輸送たんぱく質、酵素等の細胞内成分の存在を更に検知することにより検出することができる。
【0041】
本発明は、病原菌の検体(例えば、細胞外関連成分及び/又は細胞内部分からの細胞マーカー)の特徴に対するシグナルが強化されるため、そのような病原菌の試料を分析する従来の技術と比較して有利である。本発明の方法は、別の分子(例えば、プロテインAのような分子と黄色ブドウ球菌分析のためのクランピング因子)又は同じ分子(例えば、タンパク質)の2つの異なるエピトープに関して試料を分析するために使用することができる。
【0042】
そのような検体としては、例えば、プロテインAなどの細胞壁タンパク質、並びにフィブリノゲン結合タンパク質(例えば、クランピング因子)、フィブロネクチン結合タンパク質、コラーゲン結合タンパク質、ヘパリン関連多糖類結合タンパク質、及びその類などの接着性マトリックス分子(MSCRAMM)を認識する病原菌表面成分が挙げられる。プロテインAとフィブリノゲン結合タンパク質並びにクランピング因子A、B、及びEfbなどのクランピング因子も、黄色ブドウ球菌の存在を検出する方法に特に有用である。目的の他の細胞壁成分としては、カプセル状多糖類及び細胞壁炭水化物(例えば、タイコ酸及びリポタイコ酸)が挙げられる。
【0043】
必要に応じて、本発明の方法は、細胞内成分に対して試料を分析する工程を更に含むことができ、それは、目的の検体として細胞膜と関連付けられてもよいし又は関連付けられなくてもよい。細胞内成分は、MRSA、VRSA、VISA、VRE、及びMDRなどの抗生物質耐性菌を分析するのに特に有用である。そのような病原菌に特徴的であることができる細胞内成分としては、膜タンパク質が挙げられる。そのような膜タンパク質の例としては、細胞質膜タンパク質、外膜タンパク質、及び細胞膜タンパク質が挙げられる。ペニシリン結合タンパク質(PBP)(例えば、PBP2’又はPBP2a)などの細胞質膜タンパク質は、特に抗生物質耐性菌に特徴的であることができる。例えば、細胞質膜タンパク質PBP2’は、MRSAに特徴的である。
【0044】
目的の種は、例えば、血液、唾液、眼球レンズ液、滑液、脳脊髄液、膿、汗、排出物、尿、粘液、母乳等などの幅広い供給源に由来し得る試験試料で分析することができる。更に、試験試料は、例えば、創傷、皮膚、鼻孔、頭皮、爪等の体部位に由来し得る。
【0045】
特に目的の試料としては、鼻からの試料(例えば、前鼻孔、鼻咽頭腔、鼻腔、前鼻孔前庭等)などの粘液含有試料、並びに外耳、中耳、口、直腸、膣又は他の類似の組織からの試料が挙げられる。特定の粘液組織の例としては、頬側、歯肉、鼻、眼球、気管、気管支、胃腸、直腸、尿道口、尿管、膣、頚、及び子宮粘液膜が挙げられる。
【0046】
生理学的な液に加え、他の試験試料としては、他の液体並びに液体媒質に溶解される固体を挙げることが可能である。目的の試料としては、プロセス流、水、土壌、植物又はその他の植生、空気、表面(例えば、汚染された表面)等を挙げることが可能である。
【0047】
現状の技術は、S.アウレウスなどの病原菌検出のための種々な患者サンプリング技術を記載している。そのようなサンプリング技術は、本発明の方法にも好適である。例えば、患者の鼻孔を拭くことにより試料を得るのが一般的である。特に好ましいサンプリング技術としては、対象(例えば、患者)の前鼻孔を無菌綿棒又はサンプリングデバイスで採取することが挙げられる。サンプリングは、例えば、乾燥した又は適切な溶液で予め湿らせた綿棒を対象鼻の前部先端に挿入し、鼻の粘液表面に沿って綿棒を2回完全に旋回させることにより行うことができる。
【0048】
種々の綿棒又は他の試料収集デバイスが、例えば、商品表記ピュアーラップス(PURE-WRAPS)としてメイン州ギルフォード(Guilford)のピューリタン・メディカル・プロダクツ社(Puritan Medical Products Co. LLC)及び商品表記マイクロレオロジックス・ナイロン・フロック綿棒(microRheologics nylon flocked swab)、イースワブ・コレクション(ESwab Collection)及びトランスポート・システム(Transport System)としてカリフォルニア州ムリエッタ(Murrietta)のコパン・ダイアノスティック社(Copan Diagnostics, Inc.)から市販されている。例えば、米国特許第5,879,635号(ネイソン(Nason))明細書に開示されたもののような試料収集手段も必要に応じて使用できる。綿棒は、綿、レーヨン、アルギン酸カルシウム、ダクロン、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン等を含む様々な材料であることができる。
【0049】
次に、試料収集デバイス(例えば、綿棒)は、じかに培養、じかに分析、又は適切な溶液で抽出することができる。そのような抽出(すなわち、溶出)溶液は、典型的に水を含み、任意に、緩衝剤及び少なくとも1つの界面活性剤を含むことができる。溶出緩衝剤の例としては、例えば、ツイン(TWEEN)20又はプルロニック(PLURONIC)L−64を含むリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。他の抽出溶液は、試料収集部位から試料分析部位へ輸送時の被検査物の安定性を維持する機能を果たす。これらの種類の抽出溶液の例としては、エイミス(Amies)及びスチュアート(Stuart)の輸送媒質が挙げられる。
【0050】
試験試料(例えば、液体)は、更なる分析に先立ち処理され得る。これには、濃縮、沈殿、濾過、遠心分離、蒸留、透析、希釈、天然成分の不活性化、試薬の添加、化学処理等が挙げられる。
【0051】
すなわち、試験試料は、当業者に周知の様々な手段を使用して調製することができる。例えば、試料は、物理的手段(例えば、音波処理、加圧、煮沸又はその他の加熱処理、ガラスビーズでの攪拌等)を使用し目的の特定の微生物の検体の特徴が、分析に供されるように構造を変化させることができる。別の方法としては、試料は、1つ以上の成分を含むことができる種々の化学試薬を使用して目的の特定の微生物の検体の特徴が分析に供されるように、構造を変化させることができる。
【0052】
ある実施形態では、本発明の方法は、試験試料内の細胞を溶菌する工程を含む。本発明の方法では、溶菌として、細胞を溶菌剤と接触させる工程又は物理的に細胞を溶菌する工程を挙げることができる。溶菌は、例えば、5℃〜42℃(おそらく50℃の高さ)の温度、好ましくは15℃〜25℃の温度などの従来の条件下で行うことができる。溶菌は、培養細胞も使用することができるが、未培養細胞、すなわち、直接試験試料を使用して有意に行うことができる。
【0053】
溶菌は、物理的に細胞を溶菌することによって行うことができる。物理的溶菌は、ガラスビーズで試験試料を攪拌する、音波処理する、加熱及び煮沸する、又は例えば、フレンチ・プレス(French press)を使用することによって行われるような、試験試料を高圧にする際に、行うことができる。
【0054】
溶菌は、溶菌剤を使用して行うこともできる。好適な溶菌剤としては、例えば、酵素(例えば、プロテアーゼ、グリコシダーゼ、ヌクレアーゼ)が挙げられる。溶菌のための代表的な酵素(すなわち、酵素溶菌剤)としては、リソスタフィン、ペプシン、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、リゾチーム、アクロモペプチダーゼ、エンドペプチダーゼ、N−アセチルムラミル−L−アラニンアミダーゼ、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ、ALE−1、DNアーゼ、及びRNアーゼが挙げられる。必要に応じて、酵素の種々の組合わせを使用することができる。好ましい酵素は、リソスタフィン、ペプシン、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、リゾチーム、アクロモペプチダーゼ、エンドペプチダーゼ、N−アセチルムラミル−L−アラニンアミダーゼ、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ、ALE−1、及びそれらの組合わせからなる群から選択される。リソスタフィンは、黄色ブドウ球菌の存在を検出する方法に特に有用である。
【0055】
その他の溶菌剤としては、塩(例えば、カオトロピック塩(chaotrophic salts))、可溶化剤(例えば、洗剤)、還元剤(例えば、β−メルカプトエタノール(BME)、ジチオトレイトール(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)、システイン、TCEP、n−アセチルシステイン)、酸(例えば、HCl)、及び塩基(例えば、NaOH)が挙げられる。そのような溶菌剤は、他のものよりも特定の生物に好適な場合があり、例えば、それらは、グラム陽性細菌よりもグラム陰性細菌と共に使用されるとより好適であり得る。
【0056】
必要に応じて、そのような溶菌剤と方法の種々の組合わせを使用できる。
【0057】
溶菌の方法は、米国特許出願公開第2005/0153370 A1号明細書で更に議論されている。特に、そのような溶菌法は、目的の種(例えば、目的の病原菌)に特徴的である細胞壁の1つ以上の成分、任意に、目的の種(例えば、目的の抗生物質耐性菌)に更に特徴的である1つ以上の細胞内成分を検出する工程を包含する。分析された細胞壁フラグメントは細胞壁の固体片であると考えられている。すなわち、それらは溶菌によって可溶化されるのではなく、むしろ細胞壁が単に個々の片に壊れるにすぎないと考えられている。更に、分析される細胞壁成分は、依然として細胞壁フラグメントの一部(すなわち、内又は上)である。すなわち、それらは、溶菌と同時に可溶化されない。これは、未溶解細胞内の同じ成分に対して細胞壁成分のシグナルを有意に強化する。
【0058】
更に、必要に応じて、試料は、粘液含有試料であり、それは、粘液溶解剤を含むことができる少なくとも1つの試薬で溶解前又は後のどちらかで更に処理することができる。粘液溶解剤による粘液含有試料の処理は、分析時の粘液の存在に起因する干渉を減少させることができる。
【0059】
粘液溶解剤の例としては、酵素(例えば、ペプシン、DNアーゼ、RNアーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グリコシダーゼ)、塩(例えば、カオトロピック塩(chaotrophic salts))、可溶化剤(例えば、界面活性剤、洗剤)、還元剤(例えば、β−メルカプトエタノール(BME)、ジチオトレイトール(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)、システイン、TCEP、n−アセチルシステイン)、及び酸(例えば、HCl)が挙げられる。そのような粘液溶解剤の種々の組合わせが、必要に応じて使用できる。当業者は、例えば、全ての溶菌剤が必ずしも粘液溶解剤ではないが、溶菌剤と粘液溶解剤は重なり合うことができることを理解するであろう。
【0060】
ある実施形態では、粘液試料及び酵素溶菌剤は、微生物を溶解し、微生物の少なくともいくつかの抗原成分を放出させるのに十分な時間、組合わされ、続いて、試料と酵素溶菌剤は、酵素溶菌剤と異なる粘液溶解剤と組合わされる。
【0061】
好ましい実施形態において、試料が粘液含有試料であれば、溶解後、試料は、粘液含有試料の1つ以上の成分と第1試薬の間の反応に十分な条件下で第1試薬と接触されて、組成物を形成することができる。そのような実施形態では、第1試薬は、好ましくは酸化された(例えば、3未満のpHを有する)1つ以上の還元剤を含むことができる。そのような還元剤の例としては、β−メルカプトエタノール(BME)、ジチオトレイトール(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)、システイン、TCEP、及びn−アセチルシステインを挙げることができる。好ましい還元剤は、n−アセチルシステインであり、それは、比較的安定で容易に酸化できるため好ましい。還元剤は、無機酸(例えば、HCl)又は有機酸(例えば、乳酸、クエン酸)などの種々の酸を使用して酸化できる。あるいは、十分高濃度で使用される場合、還元剤のpHは酸で調節される必要はない。また、別の方法として、粘液溶解剤として酸(例えば、HCl)だけを使用することができる。
【0062】
典型的であるが、任意に、還元剤を添加後、試料の調製は、組成物中の還元剤を不活性にする工程を含む。このことは、例えば、競合的基質(例えば、n−アセチルシステイン用のウシ血清蛋白)を付与することにより行うことができる。還元剤を不活性にする試薬の他の例としては、中和緩衝剤を含む希釈剤が挙げられる。中和緩衝剤の代表的な成分としては、例えば、緩衝剤(複数)(例えば、リン酸塩)、塩(複数)(例えば、NaCl)、タンパク質安定化剤(複数)(例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン、血清)高分子(複数)、糖、及び/又は洗剤(複数)若しくは界面活性剤(複数)(例えば、商標名及び通常の入手可能な供給源により一覧表示された1つ以上の下記剤:ニネイト(NINATE)411(アルキルベンゼンスルホン酸アミン、イリノイ州ノースフィールド(Northfield)のステパン社(Stepan Co.)から入手可能)、ゾニル(ZONYL)FSN100(ポリエチレングリコールを有するテロマーBモノエーテル、E.I.デュポン・デ・ネマーズ社(E.I. DuPont de Nemours Co.)から入手可能)、エアゾール(Aerosol)OT100%(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、アメリカン・シアナミド社(American Cyanamide Co.)から入手可能)、ゲロポン(GEROPON)T−77(N−オレイル−N−メチルタウリンナトリウム、ローディア・ノバケア(Rhodia Novacare)から入手可能)、バイオ−ターゲ(BIO-TERGE)AS−40(オレフィン(C14〜C16)スルホン酸ナトリウム、ステパン社(Stepan Co.)から入手可能)、スタンダポル(STANDAPOL)ES−1(ポリオキシエチレン(1)ラウリル硫酸ナトリウム、ペンシルベニア州アムブラー(Ambler)のコグニス社(Cognis Corp.)から入手可能)、テトロニック(TETRONIC)1307(エチレンジアミンアルコキシレートブロックコポリマー、BASF社(BASF Corp.)から入手可能)、サーフィノール(SURFYNOL)465、485、及び104PG−50(全てエア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社(Air Products and Chemicals, Inc.)から入手可能)、イゲパル(IGEPAL)CA210(オクチルフェノールエトキシレート、ステパン社(Stepan Co.)から入手可能)、トライトン(TRITON)X−45、X−100、及びX−305(オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、全てダウケ・ミカル社(The Dow Chemical Co.)から入手可能、シルウェット(SILWET)L−7600(ポリジメチルシロキサンメチルエトキシレート、コネティカット州ウィルトン(Wilton)、モメンティブ・パフォーメンス・マテリアルズ社(Momentive Performance Materials, Inc.)から入手可能)、ロダサーフ(RHODASURF)ON−870(ポリエトキシル化(2)オレイルアルコール、ローディア・ノバケア(Rhodia Novacare)から入手可能)、クレモフォール(CREMOPHOR)EL(ポリエトキシル化ヒマシ油、BASF社(BASF Corp.)から入手可能)、ツイン(TWEEN)20及びツイン(TWEEN)80(モノラウリン酸及びモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、両方ともシグマ−アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Corp.)から入手可能)、BRIJ35(ポリオキシエチレン(23)ドデシルエーテル、シグマ−アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Corp.)から入手可能)、ケマル(CHEMAL)LA−9(ポリオキシエチレン(9)ラウリルアルコール、サウスカロライナ州ピドモント(Piedmont)のPCCケマックス(Chemax)から入手可能)、プルロニック(PLURONIC)L64(ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)ブロックコポリマー、BASF社(BASF Corp.)から入手可能)、サーファクタント(SURFACTANT)10G(p−ノニルフェノキシポリ(グリシドール)、コネティカット州ノーウオーク(Norwalk)のアークケミカルズ社(Arch Chemicals Inc.)から入手可能)、スパン(SPAN)60(モノステアリン酸ソルビタン、シグマ−アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Corp.)から入手可能)、クレモフォール(CREMOPHOR)EL(ポリエトキシル化ヒマシ油、シグマ−アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Corp.)から入手可能)を挙げることができる。必要に応じて、中和緩衝剤は、試料のpHを調節するために使用することもできる。
【0063】
中和緩衝剤の例は、ミオグロビン希釈剤(122mMリン酸塩緩衝剤、100mM NaCl、3.3%BSA、1.1%クレモフォール(CREMOPHOR)EL、0.05%プロクリン(ProClin)300防腐剤(シグマ・アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Corp.)から入手可能、pH7.2)、アンスラックス(anthrax)希釈剤(138mMリン酸塩緩衝剤、138mM NaCl、3.6%BSA、0.84%サーファクタント10G、0.6%カゼイン、0.05%高粘度メチルセルロース、0.05%プロクリン(ProClin)300、pH7.2)、CKMB希釈剤(115mMリン酸塩緩衝剤、115mM NaCl、2.3%BSA、0.25%サーフィノール(SURFYNOL)104 PG−50、0.3%カゼイン、40mMフェニルアラニン、0.5%ヒツジ血清、0.05%プロクリン(ProClin)300防腐剤、pH7.2)、及びTnI希釈剤(124mMリン酸塩、124mM NaCl、3.24%BSA、0.76%サーファクタント10G、0.54%カゼイン、405mM GHCl、40mMフェニルアラニン、10%ヤギ血清、pH7.2)として参照され、米国特許出願公開第2003/0199004号明細書に開示されたものである。好ましい希釈剤としては、スタフ(Staph)A希釈剤(138mMリン酸塩緩衝剤、138mM NaCl、3.5%BSA、0.82%サーファクタント10G、0.92%カゼイン、90,000モレキュル(PVP−k90)の0.6%ポリビニルピロリドン、0.1%v/vプロクリン(ProClin)300防腐剤、0.1%v/vプロクリン(ProClin)950防腐剤、pH7.2)が挙げられる。
【0064】
還元剤に加え、又は代わりに粘液含有試料の試料調製では、1つ以上の界面活性剤又は洗剤の使用(例えば、試料と酵素溶菌剤を粘液溶解剤と組合わせた後、又は同時に)を含むことができる。
【0065】
例えば、酸性にされた還元剤を含む試薬は、試料と組合わせることができ、得られた組成物は、界面活性剤と接触させることができる。別の方法として、酸性にされた還元剤を含む試薬は、界面活性剤を含むこともできる。
【0066】
好適な界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、又は双性イオン性であることができる。好適な例としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及びラウリル硫酸ナトリウム(SLS)が挙げられる。好ましくは、界面活性剤はアニオン性界面活性剤である。より好ましくは、界面活性剤はSDS及び/又はSLSである。必要に応じて、界面活性剤の種々の組合わせを使用することができる。
【0067】
任意に、試料調製方法は、続いて界面活性剤を不活性にする工程を含むことができる。これは、例えば、競合的基質を付与することにより行うことができる。
【0068】
界面活性剤を不活性にする他の例としては、粘液溶解剤試験試料及び界面活性剤のpHを少なくとも5のpHに調節するのに十分である緩衝剤などの試薬中和緩衝剤の使用が挙げられる。好ましくは、緩衝剤はpHを8以下に調節するだけで十分である。
【0069】
更に、試料調製試薬の1つ以上が酸性であれば、目的の検体を含む後続の組成物は、好ましくは7〜7.5又はほぼ7.2のpHに中和される。これは、例えば、上述した種類の緩衝剤及び/又は希釈剤を付与することにより行うことができる。希釈剤が使用される場合、不活性化及び中和工程は、実質的に同時に行うことができる(例えば、同じ試薬の追加と同時に)。
【0070】
任意に、界面活性剤を不活性化する工程は、還元剤を不活性化する工程及び/又は得られた組成物を中和する工程と実質的に同時に行うことができる。これは、例えば、上述の種類の緩衝剤及び/又は希釈剤を使用することにより行うことができる。
【0071】
本発明の追加の実施形態では、その方法は、(微生物又は微生物の抗原成分などの)検体の存在が検出され、好ましくは定量的に分析され得るように粘液試験試料を標識された認識要素と組合わせる工程を更に含むことができる。代表的な標識された認識要素は、検体結合用の反応分子(例えば、細菌認識試薬などの微生物認識試薬を含む検体結合部材)を含むことができる。そのような反応分子としては、抗体、レクチン、酵素、受容体及び他の対として結合させる技術、並びに代謝副生成物(例えば、pH変化、検出可能な酵素の産生)を認識する他の反応分子が挙げられる。例えば、1つの実施形態において、試料は、1つ以上のの抗体と接触することができる。そのような抗体は、粒子状物質、膜、又は他の固体支持材料に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、S.アウレウス抗体などの1つ以上の抗体は、S.アウレウス反応体として使用される。「S.アウレウス抗体」は、それらの抗原結合フラグメントを含めて所定の抗原を特異的に結合する能力を有する免疫グロブリンを指す。
【0072】
上述したように、目標検体(すなわち、目的の検体又は成分)は、反応分子(例えば、S.アウレウス反応分子又はS.アウレウスの細菌認識試薬)により検出することができる。いくつかの実施形態では、S.アウレウス抗体などの1つ以上の抗体は、S.アウレウス反応体として使用される。「S.アウレウス抗体」は、それらの抗原結合フラグメントを含めて所定の抗原を特異的に結合する能力を有する免疫グロブリンを指す。用語「抗体」は、脊椎動物、例えば、哺乳類からの広範囲な様々なアイソタイプの全部の抗体(例えば、IgG、IgA、IgM、IgE等)及びそれらのフラグメントを含むことが意図され、それらはまた、非自己の化合物、例えば、タンパク質と特異的に反応する。
【0073】
抗体は、モノクローナル、ポリクローナル、又はそれらの組合わせであることができる。抗体は、従来の技術を使用してフラグメントにすることができ、フラグメントは全抗体と同じ様に使用するため選別される。したがって、これらの用語は、選択的にあるタンパク質と反応することができる抗体分子のタンパク質分解的に解裂又は組み換え的に調製された部分のセグメントを含む。そのようなタンパク質分解及び/又は組み換えフラグメントの非限定的な例としては、Fab、F(ab’)、Fv、及びペプチドリンカーにより接合されたVL及び/又はVH領域を含有する1本鎖抗体(scFv)が挙げられる。scFv’sは、共有結合又は非共有結合的に結合され、2つ以上の結合部位を有する抗体を形成することができる。抗体は、当業者に周知の様々な検出可能マーカー(すなわち、検出可能部分)で標識することができる。いくつかの態様では、測定したい検体に結合する抗体(一次抗体)は標識されないが、代わりに標識された二次抗体又は特異的に一次抗体に結合する他の試薬の結合により間接的に検出される。
【0074】
ある好ましい実施形態では、本発明の方法は、微生物の特徴である2つ以上の異なる抗原成分、又は通常の抗原成分の異なるエピトープの抗原特異性を有する2つ以上の抗体の組を利用し、抗原成分(又は抗原成分のエピトープ)毎に、抗体の抗原特異性の少なくとも1つは、検体がそれらに結合された状態で、異なる抗原特異性を有する第1の組の抗体によりその検体への結合から機能的にブロックされない。そのような抗体は、好ましくはそれらの結合特性において協同である。すなわち、それらは、目標検体(複数)の抗原成分の異なる領域若しくはエピトープに同時に結合でき、又は最適には補足的な結合であることが見出されており、それにより、1つの抗体の組によるそれらの異なる抗原の結合は、1つ以上の他の抗体の結合により強化される。
【0075】
ある実施形態では、方法は、例えば酵素溶菌剤(例えば、リソスタフィン)を有する粘液試料の組合わせで必然的に起こる溶菌と同時に放出されるS.アウレウスの抗原成分に結合する少なくとも1つの抗体を利用する。
【0076】
種々のS.アウレウス抗体が当該技術分野において既知である。例えば、S.アウレウス抗体は、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich)及びアキュレイト・ケミカル(Accurate Chemical)から市販されている。更に、モノクローナル抗体Mab 12−19などの他のS.アウレウス抗体が米国特許第6,979,446号明細書に記載されている。ある好ましい実施形態では、抗体は、本明細書に記載されたもの(例えば、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、アフィニティー精製GxClf40、Mab 12−9からなる群から選択される)、それらのフラグメント、及びそれらの組合わせから選択される。そのような抗体は、米国特許出願番号第11/562,759号明細書(2006年11月22日申請)、PCT国際公開特許番号US 第07/84,736号明細書、両方が「プロテインA選択性を持つ抗体(ANTIBODY WITH PROTEIN A SELECTIVITY)」という名称、及び米国特許出願番号第11/562,747明細書(2006年11月22日申請)、PCT国際公開特許番号US 第07/84,739号明細書、両方が「プロテインA選択性を持つ抗体(ANTIBODY WITH PROTEIN A SELECTIVITY)という名称、並びに米国特許出願番号第60/867,089号明細書(2006年11月22日申請)、米国特許出願番号______(代理人整理番号第62611US005号明細書)(ここに記載された同日に申請)、その両方が「選択的溶出条件による特異的な抗体の選択(SPECIFIC ANTIBODY SELECTION BY SELECTIVE ELUTION CONDITIONS)という名称、にも開示されている。
【0077】
好ましい抗体は、モノクローナル抗体である。特に好ましいのは黄色ブドウ球菌(本明細書では「S.アウレウス」又は「スタフ(Staph)A」とも呼ばれる)のプロテインAに結合するモノクローナル抗体である。
【0078】
特に、1つの実施形態では、好適なモノクローナル抗体、及びそれらの抗原結合フラグメントは、ハイブリドーマ細胞株358A76.1により産生されるようなモノクローナル抗体76の免疫結合特性を示すものである。マウスモノクローナル抗体76は、プロテインAで免疫されたマウスから分離されたマウスIgG2A、κ抗体である。ブダペスト条約により、モノクローナル抗体76を産生するハイブリドーマ358A76.1は、2006年10月18日にアメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC)(the American Type Culture Collection(ATCC)Depository)、10801ユニバーシティ・ブルバード(University Boulevard)、バージニア州マナサス(Manassas)20110−2209に寄託され、特許寄託指定(Patent Deposit Designation)PTA−7938(本明細書では受入番号PTA−7938とも呼ばれる)が与えられた。ハイブリドーマ358A76.1は、本明細書で「Mab 76」と呼ばれる抗体を産生し、Mab 76は、本明細書では「Mab 76」、「Mab−76」、「MAb−76」、「モノクローナル76」、「モノクローナル抗体76」、「76」、「M 76」、又は「M 76」とも呼ばれ、本明細書では全てが同義的に使用され、2006年10月18日アメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC)に寄託され、受入番号PTA−7938と指定されたハイブリドーマ細胞株358A76.1により産生された免疫グロブリンを指す。
【0079】
他の実施形態では、好適なモノクローナル抗体、及びそれらの抗原結合フラグメントは、ハイブリドーマ細胞株358A107.2により産生されたモノクローナル抗体107の免疫結合特性を示すものである。マウスモノクローナル抗体107は、プロテインAで免疫されたマウスから分離されたマウスIgG2A、κ抗体である。ブダペスト条約により、モノクローナル抗体107を産生するハイブリドーマ358A107.2は、2006年10月18日にアメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC)、10801ユニバーシティ・ブルバード(University Boulevard)、バージニア州マナサス(Manassas)20110−2209に寄託され、特許寄託指定(Patent Deposit Designation)PTA−7937(本明細書では受入番号PTA−7937とも呼ばれる)が与えられた。ハイブリドーマ358A107.2は、本明細書で「Mab 107」と呼ばれる抗体を産生し、Mab 107は、本明細書では「Mab 107」、「Mab−107」、「MAb−107」、「モノクローナル107」、「モノクローナル抗体107」、「107」、「M 107」、又は「M 107」とも呼ばれ、本明細書では全てが同義的に使用され、2006年10月18日アメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC)に寄託され、受入番号PTA−7937を与えられたハイブリドーマ細胞株により産生される免疫グロブリンを指す。
【0080】
好適なモノクローナル抗体は、モノクローナル抗体MAb−76をS.アウレウスのプロテインAに結合するのを抑えるものでもある。本発明は、モノクローナル抗体MAb−76により認識されるS.アウレウスのプロテインAの同じエピトープに結合するモノクローナル抗体を利用することができる。モノクローナル抗体が、S.アウレウスのプロテインAへのモノクローナル抗体MAb−76の結合を抑えるかどうかを確認する、及びモノクローナル抗体が、モノクローナル抗体MAb−76により認識されるS.アウレウスのプロテインAの同じエピトープに結合するかどうかを確認する方法は、免疫学の当業者に周知である。
【0081】
好適なモノクローナル抗体は、モノクローナル抗体MAb−107がS.アウレウスのプロテインAに結合するのを抑えるものでもある。本発明は、モノクローナル抗体MAb−107により認識されるS.アウレウスのプロテインAの同じエピトープに結合するモノクローナル抗体を利用することができる。モノクローナル抗体がS.アウレウスのプロテインAへのモノクローナル抗体MAb−107の結合を抑えるかどうかを確認する、及びモノクローナル抗体がモノクローナル抗体MAb−107により認識されるS.アウレウスのプロテインAの同じエピトープに結合するかどうかを確認する方法は、免疫学の当業者に周知である。
【0082】
好適なモノクローナル抗体は、このハイブリドーマの子孫又は誘導体により産生されるもの及び同等又は類似のハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体である。
【0083】
また、本発明に有用なのは、抗原結合フラグメントとも呼ばれる種々の抗体フラグメントであり、それらは完全な抗体の一部だけを含み、一般に完全な抗体の抗原結合部位を含み、それにより抗原を結合する能力を保持する。抗体フラグメントの例としては、例えば、タンパク質分解消化及び/又はジスルフィド架橋の還元により産生されるFab、Fab’、Fd、Fd’、Fv、dAB、及びF(ab’)フラグメント、並びにFab発現ライブラリーから産生されるフラグメントが挙げられる。そのような抗体フラグメントは、当該技術分野において周知の技術により生成することができる。
【0084】
本発明に有用なモノクローナル抗体としては、ヒト化抗体、キメラ抗体、1本鎖抗体、1本鎖Fvs(scFv)、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、F(ab’)フラグメント、Fvフラグメント、ダイアボディ(diabodies)、Fab発現ライブラリーにより産生される線状抗体フラグメント、VL又はVH領域のいずれかを含むフラグメント、細胞内産生抗体(すなわち、体内)、及びそれらの抗原結合抗体フラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
本発明に有用なモノクローナル抗体は、様々なアイソタイプであり得る。本発明に有用なモノクローナル抗体は、例えば、マウスIgM、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgA、IgD、又はIgEであってもよい。本発明に有用なモノクローナル抗体は、例えば、ヒトIgM、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、又はIgEであってもよい。いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、マウスIgG2a、IgG1、又はIgG3であってもよい。本発明によって、所定の重鎖がκ又はλのいずれかの形態の軽鎖の対であってもよい。
【0086】
本発明に有用なモノクローナル抗体は、動物(ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、ヤギ、ウマ、ニワトリ、又はターキーを含むが、これらに限定されない)により産生され、化学的に合成され、又は遺伝子組換的に発現させることができる。本発明に有用なモノクローナル抗体は、免疫グロブリン分子の精製に関する当該技術分野において既知の様々な方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、及びサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、又はタンパク質の精製のための他の標準的な技術により精製することができる。
【0087】
好適な抗体は、好ましくはミリリットル当たり少なくとも1ピコグラム(pg/mL)、より好ましくは100pg/mLまでの濃度でS.アウレウスの遺伝子組換クランピング因子(rClf40)タンパク質を検出する高結合活性抗黄色ブドウ球菌クランピング因子タンパク質ポリクローナル抗体製剤も含む。好適な抗体は、黄色ブドウ球菌クランピング因子タンパク質抗血清と比較し、少なくとも4倍高い検出感度を示す高結合活性抗黄色ブドウ球菌クランピング因子タンパク質ポリクローナル抗体製剤も含む。
【0088】
ある実施形態では、高結合活性抗黄色ブドウ球菌クランピング因子タンパク質ポリクローナル抗体製剤が有用であり、高結合活性抗黄色ブドウ球菌クランピング因子タンパク質ポリクローナル抗体製剤は、S.アウレウスの遺伝子組換クランピング因子(rClf40)タンパク質で免疫された動物から抗血清を得る工程と、抗血清をS.アウレウスクランピング因子(Clf40)タンパク質アフィニティーカラムに結合する工程と、カラムを0.5Mの塩とpH4を有する洗浄緩衝液で洗浄する工程と、高結合活性抗S.アウレウスクランピング因子タンパク質ポリクローナル抗体製剤をpH2で溶出緩衝液でカラムから溶出する工程とを含む方法により調製される。いくつかの実施形態では、高結合活性抗黄色ブドウ球菌クランピング因子タンパク質ポリクローナル抗体製剤は、抗血清をS.アウレウスクランピング因子(Clf40)タンパク質アフィニティーカラムに結合する前に、抗体のIgGクラスに対して抗血清を濃縮する工程を更に含む方法により得ることが可能である。そのような濃縮は、製剤から非免疫グロブリンを除去してもよく及び/又は試料内の抗体のIgGクラスを濃縮してもよい。
【0089】
本明細書で使用するとき、抗血清は、凝固したタンパク質及び赤血球(RBCs)が取り除かれた免疫された宿主動物からの血液を指す。目標抗原の抗血清は、種々の宿主動物を免疫することにより得ることが可能である。種々の免疫付与プロトコルが使用されてもい。
【0090】
抗体結合活性は、ポリクローナル抗体製剤の機能的親和性の尺度である。結合活性は、複数の抗体/抗原相互作用の化合物親和性である。すなわち、結合活性は、抗原/抗体結合の見掛けの親和性であって、真の親和性ではない。ほとんどの抗血清の親和性が不均質であるにもかかわらず、平均の親和性(K)を決めることによりそのような母集団を特徴づけることができる。
【0091】
本発明の方法に有用な検体結合部材は、典型的に固体支持材料を含む。固体支持材料としては、粒子状物質、膜、ゲル(例えば、アガロース)、又は他の固体支持材料を挙げることができる。代表的な固体支持体としては、ニトロセルロース、ポリスチレン、ポリプロピレン、ナイロン、金ゾル、及び/又はラテックス粒子等の材料を挙げることができる。ある実施形態の場合、粒子状物質及び膜が好ましい。好ましくは、ある実施形態の場合、検体結合部材は、粒子状物質(例えば、1μm未満、好ましくは約0.3μmの平均粒子サイズを有するポリスチレン及び/又はラテックスビーズ)である。
【0092】
典型的に、免疫クロマトグラフィーデバイス内は試料流路であり、試料流路内に試料捕獲領域がある。試料捕獲領域は、試料流路内の多孔質物質上又は内に形成される。そのような多孔質物質は、本明細書では通常検体結合部材とも呼ばれる。膜(例えば、多層物質)の形態が好ましい。そのような多孔質物質(好ましくは膜)は、流体が物質を通って流れるのを可能にする。この流体流は、必要に応じて免疫クロマトグラフィーデバイス内で試料と試薬の混合をもたらすこともできる。
【0093】
検体結合部材は、固体支持体上に配置される1つ以上の抗体を有する固体支持材料を含むことができる。ある実施形態では、粒子状物質の各粒子は、それらの上に配置された別の検体を結合する少なくとも2つの抗体を有する。例えば、ある実施形態では、検体結合部材は、それらの上に配置された抗体MAb−76及びアフィニティー精製RxClf40(例えば、1:1、2:1、1:2、3:1、又は1:3の比率)を有する固体支持材料(好ましくは粒子状物質)(認識要素)、及び検出可能マーカーを含む。
【0094】
抗体を固体支持体に付着する好適な方法としては、例えば、脱脂乳中のシアノ水素化ほう素化学を使用した米国特許出願公開第2003/0162236号明細書に開示されたような共有結合付着法が挙げられる。他の共有結合付着法も既知であり、使用することができ、加えて非共有結合付着法(例えば、受動的吸収又は吸着)を使用することができる。
【0095】
検体結合部材は、所望の検出システムに適した種々の検出可能マーカーを含むことができる。例えば、そのような検出可能マーカー(すなわち、リポーター、検出可能部分又は標識)として、蛍光標識(例えば、米国特許出願公開第2003/0162236号明細書に記載され、それは蛍光染料を挿入したラテックス粒子を開示している)を挙げることができる。他の検出可能マーカーとしては、発光標識、磁気標識、発色標識、ラマン活性標識等を挙げることができる。
【0096】
本発明のある実施形態では、本明細書で論じたような種々の試薬(例えば、溶菌剤、粘液溶解剤、標識剤)は、容器(例えば、キャップ、バイアル瓶、又はピペットチップ)内に乾燥形態で配置することができる。そのような試薬は、真空乾燥などの種々の技術、並びに対流式オーブン及び凍結乾燥などの機器を使用して乾燥することができる。得られた乾燥試薬の所望量を提供するために、より少ない容量が典型的に必要であるので、対流式オーブ乾燥の使用は、特定の状況では好ましい。
【0097】
試薬を乾燥するため、必要に応じて乾燥希釈剤を使用することができる。代表的な乾燥希釈剤としては、例えば、リン酸塩緩衝剤、二糖類(例えば、トレハロース、ショ糖)、任意に、接合に特有である多糖類(例えば、グリセロール)、及び防腐剤(例えば、アジ化ナトリウム)を挙げることができる。より速い乾燥が所望である場合及び/又は対流式オーブンが使用される場合、好ましくは、グリセロール(すなわち、グリセリン)は使用されない。リン酸塩緩衝剤は、好ましくは少なくとも5ミリモル(mM)、より好ましくは少なくとも10mMの量で存在する。それは、好ましくは500mM以下、より好ましくは50mM以下の量で存在する。二糖類は、好ましくは少なくとも0.1重量パーセント(重量%)、より好ましくは少なくとも0.5重量%の量で存在する。二糖類は、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、更により好ましくは1重量%以下の量で存在する。使用される場合、多糖類は、好ましくは少なくとも1重量%の量で存在する。使用される場合、多糖類は、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下の量で存在する。防腐剤は、好ましくは少なくとも0.01重量%、より好ましくは少なくとも0.2重量%の量で存在する。それは、好ましくは0.8重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、更により好ましくは0.1重量%以下の量で存在する。
【0098】
それらの中に試薬(特に、それらの中の試薬を固体又は半固体形態に乾燥した)を有するバイアル瓶及びそのようなバイアル瓶用のキャップは、より高い効率、より少ない汚染、移動によるより少ない試料損失、よりよい安定性、より長い貯蔵寿命等を提供することができる。バイアル瓶は、任意の形状の容器であることができ、典型的にチューブの形状である。
【0099】
ある実施形態では、試料調製は、少なくとも1つのバイアル瓶及びそのようなバイアル瓶用の少なくとも1つのキャップであって、バイアル瓶及びキャップの各々が目標検体分析用試料の順次処理のためにそれらの中に配置された異なる試料調製試薬を有し、任意に、少なくとも1つの試料移動デバイスと、任意に、キャップ又はバイアル瓶内に無い少なくとも1つの他の試料調製試薬とを含む試料調製システムを使用して行うことができる。
【0100】
ある別の実施形態では、試料調製は、少なくとも1つのバイアル瓶及びそのようなバイアル瓶の2つ以上のキャップであって、キャップの各々が目標検体の分析用試料の順次処理のためにそれらの中に配置された異なる試料調製試薬(例えば、酵素溶菌剤、粘液溶解剤)を有し、任意に、少なくとも1つの試料移動デバイスと、任意に、キャップ内に無い少なくとも1つの他の試料調製試薬とを含む試料調製システムを使用して行うことができる。
【0101】
そのような試料調製システムは、以下の例示の方法を使用して行うことができる。すなわち、試料を第1試薬(例えば、酵素溶菌剤)を含むバイアル瓶内に配置し、試料の1つ以上の成分と第1試薬の間の反応に十分な条件下(例えば、微生物を溶菌させ、微生物の少なくともいくつかの抗原成分を放出させるのに十分な時間)で試料と第1試薬の接触を維持し、続いてキャップをバイアル瓶上に配置し、キャップは、キャップ縁部に接して配置され乾燥されるのが好ましい第2試薬(例えば、粘液溶解剤)を含み、バイアル瓶を反転させ、バイアル瓶内の1つ以上の成分と第2試薬の間の反応に十分な条件下でバイアル瓶の内容物と第2試薬を混合する。
【0102】
バイアル瓶内の第1試薬、キャップ内の第2試薬、又はそれらの両方(反応前)は、固体又は半固体形態(例えば、乾燥しコーティングされた又は配置された形態)であることができる。1つの実施形態では、上記で参照したキャップは、第1キャップであることができ、第1キャップをバイアル瓶上に配置する工程の後、その方法は更に、第1キャップを取り除き、それを第3試薬(例えば、界面活性剤)を含む第2キャップと交換し、バイアル瓶内の1つ以上の成分と第3試薬の間の反応に十分な条件下でバイアル瓶の内容物と第3試薬を混合する工程を含むことができる。
【0103】
他の選択は、バイアル瓶内に試薬が無い場合及び全ての試薬が試薬を含有するキャップの付加により添加される場合である。好ましい実施形態では、その方法は、第1キャップを取り除いた後、バイアル瓶の内容物に(例えば、上述した種類の)希釈剤を添加し、それを第2キャップと交換する工程を更に含むことができる。
【0104】
本発明の試料調製システム及び方法の代表的な実施形態が図1に略図で示されている。好ましいシステム及び方法は、バイアル瓶内に溶菌剤(例えば、リストスタフィン(lystostaphin)、キャップ1内に粘液溶解剤と界面活性剤(例えば、n−アセチルシステインとSDSの混合物)、及びキャップ2内に抗体がコーティングされたラテックス粒子を含む。本明細書に記載されたバイアル瓶とキャップの種々の組合わせは例示であり、本発明のシステム及び方法に限定するものではない。
【0105】
前処理(例えば、それらの中に試薬を有するバイアル瓶及びそのようなバイアル瓶用キャップの使用、細胞壁フラグメントを形成するための細胞の溶菌、粘液の存在により生じる干渉を減少させるための粘液含有試料の処理)のシステム及び方法の結果として、比較的低い濃度の目的の種を有する試料を評価することができる。したがって、本発明の方法は、有利に感度が改善されている。例えば、ある実施形態の場合、試験試料は、比較的低い濃度の病原菌、特に黄色ブドウ球菌を含む場合がある。そのような比較的低い濃度としては、例えば、ミリリットル当たり5×10コロニー形成単位(「cfu」)(cfu/mL)未満の病原菌、5×10cfu/mL未満、1000cfu/mL未満、更には500cfu/mLの低さの濃度さえ、含まれる。S.アウレウスなどの病原菌は、例えば、5×10cfu/mLまでの範囲の高レベルでも検出できる。
【0106】
本発明の方法に使用される分析技術にもよるが、比較的小さい容量の試験試料が使用できる。2ミリリットル(mL)もの試験試料容量が利用されてもよいが、特定の方法には10マイクロリットル(μL)程度の試験試料で十分であり、ある実施形態では50〜100マイクロリットルが好ましい。
【0107】
本発明の方法に使用される分析技術にもよるが、検出時間を比較的短くすることができる。例えば、検出時間は、300分未満、250分未満、200分未満、150分未満、100分未満、60分未満、更に20分の短さでも、できる。
【0108】
本発明の方法に使用される分析技術としては、蛍光検出免疫クロマトグラフィー(例えば、米国特許第5,753,517号明細書、米国特許第6,509,196号明細書、米国特許出願公開第2003/0162236号明細書及び同第2003/0199004号明細書に記載されたものなどの迅速検体測定方法)の使用が挙げられる。
【0109】
好ましくは、本発明の方法の検体の分析には、免疫クロマトグラフィーデバイス、好ましくは横流式デバイスの使用が挙げられる。例えば、好ましい実施形態では、試料調製後、本発明の方法は、特定の微生物(好ましくは、細菌)の2つ以上の異なる検体の特徴(例えば、プロテインA及びクランピング因子又は同じ分子の2つの異なるエピトープのような異なる分子)に対して抗原特異性を有する2つ以上の抗体を有する検体結合部材(好ましくは粒子状物質)を提供する工程と、(好ましくは、膜内又は上に)試料捕獲領域を含む免疫クロマトグラフィーデバイス(好ましくは、横流式デバイス)を提供する工程であって、試料捕獲領域が、特定の微生物の2つ以上の異なる検体の特徴に対して抗原特異性を有する2つ以上の抗体の混合物を含み、試料、検体結合部材、及び免疫クロマトグラフィーデバイスの試料捕獲領域を接触させる工程と、特定の微生物の有無を分析する工程とを含む。そのような方法では、存在する検体毎に、試料捕獲領域内の抗体の抗原特異性の少なくとも1つは、検体がそられに結合した状態で、異なる抗原特異性を有する検体結合部材によりその検体に結合するのを機能上ブロックされない。
【0110】
1つの特定の実施形態では、試料、検体結合部材、及び免疫クロマトグラフィーデバイスの試料捕獲領域を接触させる工程は、試料を検体結合部材と接触させる工程(この接触は、例えば、デバイス上の接触領域内で又は試料がデバイスに入る前に行われてよい)と、それらの中に検体結合部材を有する試料を免疫クロマトグラフィーデバイスの試料捕獲領域と接触させる工程とを含むことができる。
【0111】
別の特定の実施形態では、試料、検体結合部材、及び免疫クロマトグラフィーデバイスの試料捕獲領域を接触させる工程は、試料を免疫クロマトグラフィーデバイス内に配置する工程と、続いてデバイス内の試料を検体結合部材と接触させる工程とを含むことができる。免疫クロマトグラフィーデバイスは、米国特許出願公開第2003/0199004号明細書に記載されたこれらのデバイスと類似の試料捕獲領域内に配置された抗体(例えば、MAb 107及びアフィニティー精製RxClf40)を有する膜(好ましくは、マイラー(Mylar)裏材に取り付けられたニトロセルロース膜)内又は上の試料捕獲領域を含む横流式デバイスであることができる。好ましくは、ニトロセルロース膜は、ポリビニルアルコールを使用することにより非特異的結合に対してブロックされている。
【0112】
任意に、免疫クロマトグラフィーデバイスは、米国特許出願公開第2003/0199004号に記載されたこれらのデバイスと類似の制御捕獲領域を更に含むことができる。1つの実施形態では、アフィニティー精製RxClf40は、制御捕獲領域内で使用することができる。
【0113】
特定の微生物(好ましくは、細菌)の有無の分析は、1つ以上の検体の存在又は全ての検体の不存在の検出から結果付けることができる。そのような分析は、蛍光定量的に行うことができる。
【0114】
本発明の方法及びデバイスを使用することにより、微生物、特にS.アウレウスなどの細菌の従来の検出方法において改善された感度(すなわち、より低いレベルの検出)及び特異性が有意に実現できる。例えば、87%の臨床感度を実現することができる(すなわち、5000cfu/綿棒以上を有したS.アウレウスキャリアの87%は、本発明の方法及びデバイスを使用することにより陽性であった)。例えば、92%の臨床感度を実現することができる(すなわち、非キャリア被検査物の92%は、S.アウレウスに対して陰性であった)。
【実施例】
【0115】
ここで、本発明は、できる限り可能な説明のため、発明者により予見されたいくつかの具体的な実施形態を参照にして記載している。現在予見されていない修正を含む、本発明の実体のない修正は、仮定的であっても、それらと同等のものを構成し得る。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載された詳細及び構造によって限定されず、むしろ以下の請求項及びそれと同等のものによってのみ限定されるべきである。
【0116】
(実施例1)
試料処理試薬キャップとチューブの調製
スクリューキャップチューブ(0.5mLスクリューキャップ、マイクロット(MICROT)サーステッド社(Sarstedt, Inc.))は、VWR社(VWR, Inc.)(ペンシルベニア州ウェストチェスター(West Chester))から入手することができる。キャップは、試薬を添加する前にチューブから外される。共重合体ラテックス粒子を除いて、全ての試薬は、0.003Mのアジ化ナトリウムを含有する0.01Mのリン酸ナトリウム緩衝剤(pH7.2±0.05)を用いて調製し、最終濃度を表1に示した。リソスタフィン、トレハロース、及びN−アセチルシステインは、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich)(ミズリー州セントルイス(St. Louis))から得ることができる。ドデシル硫酸ナトリウムは、カリフォルニア州ハーキュレス(Hercules)のBIORADから得ることができる。
【0117】
リソスタフィンとNAC/SDSの溶液は、表1に示したように調製される。バイオドット(BioDot)分注機(型式番号AD3200、バイオドット(BioDot)、カリフォルニア州アービン(Irvine))又はギルソン(Gilson)402ダイリューター・ディスペンサー(Diluter Dispenser)(カナダ、オンタリオ州、グエルフ(Guelph)マンデル(Mandel)GF−F410515)を使用し、溶液をバイアル瓶の中心又はキャップ内部の周辺に配置することができる。表1に示された成分濃度は、それぞれの試薬容器内に配置され、乾燥される溶液の最終濃度である。キャップ及びチューブは、表1に示された時間、40℃で対流式オーブン(VRC2−19、デスパッチ(Despatch)、ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis))内で乾燥できる。別の方法としては、キャップ及びチューブは、ドウラ−ストップMPトレイ・ドライヤー凍結乾燥機(Dura-Stop MP Tray Dryer lyophilizer)(FTSシステムズ(FTS Systems)、ニューヨーク州ストンリッジ(Stone Ridge))を使用し、真空設定値0Pa(0mTorr)20℃で真空オーブン内で乾燥することができる。
【0118】
【表1】

【0119】
(実施例2)
免疫クロマトグラフィー分析用の鼻からの試料を調製する方法におけるキャップ及びチューブの使用
実施例1からの試料処理試薬キャップ及びバイアル瓶をこの実施例で使用することができる。試料収集用綿棒デバイスは、メディカル・パッケージング社(Medical Packaging, Inc.)(カリフォルニア州カマリロ(Camarillo))から得ることができる。綿棒デバイスは、バルブデバイスを含み、試料溶出緩衝剤(0.010Mリン酸ナトリウム、0.15M塩化ナトリウム、pH8.4〜8.6)を(米国特許第5,879,635号明細書に記載されたような)綿棒チューブに接続された容器から供給することができる。チューブのバルブ(bulb)は、ボリディアン(VORIDIAN)ポリエチレン樹脂(イーストマンケミカル社(Eastman Chemical Company)、テネシー州キングスポーツ(Kingsport))を使用し射出成型される。バルブは、プロ−ファックス(Pro-fax)ポリプロピレンホモポリマー(バーゼルポリオレフィンズ(Basell Polyolefins)、メリーランド州エルクトン(Elkton))から作製される。綿棒は、紡がれた接着剤結合レーヨン繊維(ケルヘイム・ファイバーズ(Kelheim Fibres)、デラウェア州ケルヘイム(Kelheim))を有するチューブのポリスチレン中空円筒部から構成される。綿棒が収納されるシースは、押出ポリプロピレン(アムコ(Amoco))から形成することができる。綿棒デバイス全体は、20〜25kGyの線量暴露範囲及び20kGyの暴露目標でE−ビームプロセスを使用して殺菌することができる。試料溶出緩衝剤がチューブ内で殺菌され、綿棒のポリスチレン中空円筒部を通り、シース内に促された後、溶液のpHは典型的に7〜8である。
【0120】
外鼻孔試料は、綿棒の先端を中隔上皮に対して2.5cm未満の深さに押し付け、綿棒デバイスを1〜4回しっかり回転させることにより、一方又は両方の鼻孔から収集される。試料を収集後、綿棒は、その運搬チューブ内に再度挿入され、0.65ミリリットルのPBS試料溶出緩衝液(0.01Mリン酸ナトリウム(pH7.0〜8.0)/0.15M塩化ナトリウム)が綿棒の先端を洗い流し、デバイスは30秒間激しく攪拌され、綿棒から試料を放出させる。試料は、乾燥リソスタフィン試薬を含有するチューブに移され、室温で5分間保持される。
【0121】
粘液溶解剤を含有するスクリューキャップが、試料チューブ上に固定され、チューブは反転され、30秒間攪拌される。チューブは右側を上にして配置され、チューブの底部は堅い表面上に軽く打ち付けられ、液体内容物をチューブの底部に移動する。スクリューキャップは廃棄される。液体試料は、上記及び米国特許出願公開第2003/0199004号に開示された中和剤の1つを4滴(80〜120μL)添加することにより中和される。乾燥抗体共重合蛍光ラテックス粒子を含有するキャップが、チューブに固定される。チューブは反転され、30秒間攪拌され、試料溶液中に粒子を再懸濁する。液体試料とラテックス粒子を混合後30秒以内に、生じた懸濁液100μLは、PCT国際公開特許WO第03/087822 A2号明細書に記載された試験と類似の横流式免疫クロマトグラフィー試験を使用して分析される。
【0122】
本明細書に引用される全ての特許、特許出願、出版物、及び例えば遺伝子銀行(GenBank)登録番号を含む核酸及びタンパク質データベース入力の全部の開示は、あたかも個別に組み込まれたかのように、本明細書に参照として組み込まれる。本発明の範囲及び意図から逸脱することなく、本発明の様々な変更及び変化が当業者には明らかであり、本明細書に記載の説明的実施例に本発明が不当に制限されないことは理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細菌の試料を分析する方法であって、
特定の細菌の1つ以上の検体の特徴を含む疑いがある試料を提供する工程と、
前記特定の細菌の2つ以上の異なる検体の特徴に対して抗原特異性を有する2つ以上の抗体を含む検体結合部材を提供する工程と、
試料捕獲領域を含む免疫クロマトグラフィーデバイスを提供する工程であって、前記試料捕獲領域が前記特定の細菌の2つ以上の異なる検体の特徴に対して抗原特異性を有する2つ以上の抗体の混合物を含む工程と、
試料、前記検体結合部材、及び前記免疫クロマトグラフィーデバイスの試料捕獲領域を接触させる工程であって、
存在する検体毎に、前記試料捕獲領域内の抗体の抗原特異性の少なくとも1つは、その検体が結合した状態で、異なる抗原特異性を有する検体結合部材によりそれらの検体に結合することが機能上ブロックされない工程と、
前記特定の細菌の有無を分析する工程とを含む方法。
【請求項2】
試料、検体結合部材、及び免疫クロマトグラフィーデバイスの試料捕獲領域を接触させる工程が、
前記試料を前記検体結合部材と接触させる工程と、
それらの中に検体結合部材を有する前記試料を前記免疫クロマトグラフィーデバイスの試料捕獲領域と接触させる工程とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
試料、検体結合部材、及び免疫クロマトグラフィーデバイスの試料捕獲領域を接触させる工程が、
前記試料を前記免疫クロマトグラフィーデバイス内に配置する工程と、
続いて前記デバイス内の試料を前記検体結合部材と接触させる工程とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記抗体が、モノクローナル、ポリクローナル、又はそれらの組合わせである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記抗体が、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、アフィニティー精製GxClf40、それらのフラグメント、及びそれらの組合わせからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記検体結合部材が、固体支持材料と、
固体支持体上に配置される抗体MAb−76及びアフィニティー精製RxClf40と、
検出可能マーカーとを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記試料捕獲領域が、抗体MAb−107及びアフィニティー精製RxClf40を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記免疫クロマトグラフィーデバイスが、横流式デバイスである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記免疫クロマトグラフィーデバイスが、制御捕獲領域を更に含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記特定の細菌が、グラム陽性細菌を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記特定の細菌が、黄色ブドウ球菌を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記試料が、粘液含有試料を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記特定の細菌の有無を分析する工程が、蛍光定量的に分析する工程を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
試料を提供する工程が、
第1試薬を含むバイアル瓶内に試料を配置し、試料の1つ以上の成分と第1試薬の間の反応に十分な条件下で試料と第1試薬の接触を維持する工程と、
続いてバイアル瓶上に第2試薬を含むキャップを配置し、バイアル瓶内の1つ以上の成分と第2試薬の間の反応に十分な条件下でバイアル瓶の内容物と第2試薬を混合する工程とを含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
反応前にバイアル瓶内の第1試薬、キャップ内の第2試薬、又は両方が、固体若しくは半固体形態である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記キャップは第1キャップであり、第1キャップをバイアル瓶上に配置する工程の後、前記方法が、第1キャップを取り除く工程と、それを第3試薬を含む第2キャップと交換する工程と、バイアル瓶内の1つ以上の成分と第3試薬の間の反応に十分な条件下でバイアル瓶の内容物と第3試薬を混合する工程とを更に含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
第1キャップを取り除き、それを第2キャップと交換後、希釈剤をバイアル瓶の内容物に添加する工程を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記試料が、鼻からの試料である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記試薬の少なくとも1つが、酵素を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記試薬の少なくとも1つが、粘液溶解剤を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記試薬の少なくとも1つが、粘液溶解剤の後に添加される検体結合部材を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記検体結合部材が、黄色ブドウ球菌の細菌認識試薬を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記検体結合部材が、
固体支持材料と、
前記固体支持体上に配置された抗体であって、前記抗体がMAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、及びそれらの組合わせからなる群から選択される抗体と、
検知可能なマーカーとを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
試料を提供する工程が、
粘液含有試料の1つ以上の成分と第1試薬の間の反応に十分な条件下で粘液含有試料を第1試薬と接触させ組成物を形成する工程であって、第1試薬が3未満のpHを有する酸性化された還元剤を含む工程と、
前記組成物内の前記還元剤を不活性にする工程と、
前記組成物のpHを7〜7.5のpHに中和する工程とを含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記不活性化及び中和工程が、実質的に同時に行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記不活性化及び中和工程が、連続して行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物を界面活性剤と接触させる工程を更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記酸性化された還元剤を含む第1試薬が、界面活性剤も含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記粘液含有試料が、鼻からの試料である、請求項24〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
試料流路と、
前記試料流路内部の多孔質物質上又は内に形成された試料捕獲領域であって、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、及びそれらの組合わせからなる群から選択される抗体を含む試料捕獲領域とを含む、免疫クロマトグラフィーデバイス。
【請求項31】
前記多孔質物質が、膜を含む、請求項30に記載の免疫クロマトグラフィーデバイス。
【請求項32】
前記膜が、ニトロセルロース又はナイロンを含む、請求項31に記載の免疫クロマトグラフィーデバイス。
【請求項33】
前記試料捕獲領域が、異なる検体に結合する少なくとも2つの抗体を含む、請求項30〜32のいずれか一項に記載の免疫クロマトグラフィーデバイス。
【請求項34】
試料流路及び
前記試料流路内部の多孔質物質上又は内に形成された1つ以上の抗体を含む試料捕獲領域を備える免疫クロマトグラフィーデバイスと、
それらの上に配置された1つ以上の抗体を含む粒子状物質とを備え、
前記試料捕獲領域の、又は前記粒子状物質に配置された、あるいはそれらの両方の1つ以上の抗体が、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、及びそれらの組合わせからなる群から選択される、システム。
【請求項35】
前記粒子状物質の各粒子が、それらの上に配置された別の検体を結合する少なくとも2つの抗体を有する、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記粒子状物質が、ポリスチレン及び/又はラテックスビーズを含む、請求項34又は35に記載のシステム。
【請求項37】
前記試料捕獲領域が、異なる検体を結合する少なくとも2つの抗体を含む、請求項34〜36のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項38】
前記粒子状物質が、1:1の比率の抗体MAb−76とアフィニティー精製RxClf40を含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項39】
少なくとも1つのバイアル瓶及びそのようなバイアル瓶用の少なくとも1つのキャップを含み、バイアル瓶及びキャップの各々が目標検体分析用試料の順次処理のためにそれらの中に配置された異なる試料調製試薬を有し、前記試料調製試薬の少なくとも1つが、
固体支持材料、
前記固体支持材料に配置される抗体であって、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、及びそれらの組合わせからなる群から選択される抗体、及び
任意の検知可能マーカーを含む検体結合部材と、
試料流路及び
前記試料流路内部の多孔質物質上又は内に形成された試料捕獲領域であって、前記試料捕獲領域が特定の細菌の2つ以上の異なる検体の特徴に対して抗原特異性を有する2つ以上の抗体を含む試料捕獲領域を含む免疫クロマトグラフィーデバイスと、
任意に、少なくとも1つの試料移動デバイスと、
任意に、キャップ又はバイアル瓶内に無い、少なくとも1つの他の試料調製試薬とを備える試料調製システム。
【請求項40】
少なくとも1つのバイアル瓶及びそのようなバイアル瓶の少なくとも1つのキャップを含み、バイアル瓶及びキャップの各々が目標検体の分析用試料の順次処理のためにそれらの中に配置された異なる試料調製試薬を有し、前記試料調製試薬の少なくとも1つが、
固体支持材料、
前記固体支持材料に配置される2つ以上の抗体であって、前記2つ以上の抗体が特定の細菌の2つ以上の異なる検体の特徴に対して抗原特異性を有する抗体、及び
任意の検知可能なマーカーを含む検体結合部材と、
試料流路、
前記試料流路内部の試料捕獲領域であって、前記試料捕獲領域がMAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、及びそれらの組合わせからなる群から選択される抗体を含む試料捕獲領域、及び
任意に、少なくとも1つの試料移動デバイスを含む免疫クロマトグラフィーデバイスと、
任意に、キャップ又はバイアル瓶内に無い、少なくとも1つの他の試料調製試薬とを備える試料調製システム。
【請求項41】
微生物を含有する疑いがある粘液試験試料を酵素溶菌剤と組合わせる工程と、
続いて前記試料及び酵素溶菌剤を前記酵素溶菌剤とは異なる粘液溶解剤と組合わせて粘液試験試料を形成する工程とを含む、粘液試験試料を調製する方法。
【請求項42】
前記粘液試料と酵素溶菌剤が、微生物を溶菌させ、微生物の少なくともいくつかの抗原成分を放出させるのに十分な時間培養される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記酵素溶菌剤が、リソスタフィン、ペプシン、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、リゾチーム、アクロモペプチダーゼ、エンドペプチダーゼ、N−アセチルムラニル−L−アラニンアミダーゼ、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ、ALE−1、及びそれらの組合わせからなる群から選択される少なくとも1つの部材である、請求項41又は42に記載の方法。
【請求項44】
前記酵素溶菌剤が、リソスタフィンを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記粘液溶解剤が、酵素、塩、還元剤、酸、及びそれらの組合わせからなる群から選択される少なくとも1つの部材である、請求項41〜44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記粘液溶解剤が、還元剤である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記還元剤が、β−メルカプトエタノール、ジチオトレオトール、ジチオエリトリトール、システイン、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩、n−アセチルシステイン、及びそれらの組合わせからなる群から選択される少なくとも1つの部材である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記還元剤が、n−アセチルシステインを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記還元剤が、3未満のpHを有する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
酸で前記還元剤のpHを調節し、3未満のpHを得る工程を更に含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記粘液試験試料を界面活性剤と組合わせ、続いて、又は同時に、前記試料及び酵素溶菌剤を粘液溶解剤と組合わせる工程を更に含む、請求項41〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記界面活性剤が、アニオン性界面活性剤である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及びラウリル硫酸ナトリウム(SLS)の少なくとも1つを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記粘液試験試料及び界面活性剤を中和緩衝剤と組合わせる工程を更に含む、請求項51〜53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記中和緩衝剤が、前記粘液試験試料及び界面活性剤のpHを5〜8の範囲に調節するのに十分である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記微生物が、黄色ブドウ球菌である、請求項41〜55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記粘液試験試料を検体認識要素と組合わせ、それによって前記微生物の1つ以上の検体の特徴の存在が検出され得る工程を更に含む、請求項41〜56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記検体認識要素が、リソスタフィンとの組合わせで必然的に起こる溶菌と同時に放出される黄色ブドウ球菌の抗原成分を結合する少なくとも1つの抗体を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記検体認識要素が、検出可能マーカーで標識される、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記検体認識要素が少なくとも2つの抗体を含み、それによって抗体が、溶菌により生成された黄色ブドウ球菌の異なる抗原成分を独立して結合、又は溶菌により生成された通常の抗原成分の異なるエピトープを独立して結合する、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
前記抗体が、MAb−76、MAb−107、RXCLF40、及びそれらの組合わせからなる群から選択される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記粘液試料が、鼻からの試料である、請求項41〜61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
黄色ブドウ球菌の鼻粘液試料をリソスタフィンと組合わせる工程と、
続いて前記鼻粘液試料及びリソスタフィンを3未満のpHを有するn−アセチルシステイン、及びドデシル硫酸ナトリウムと組合わせる工程と、
組合わされた鼻粘液試料、リソスタフィン、n−アセチルシステイン及びドデシル硫酸ナトリウムをpHを5〜8の範囲に中和することにより不活性化し、それにより中和された試験試料を形成する工程と、
前記中和された試験試料をMAb−76、MAb−107、RXCLF 40、及びそれらの組合わせからなる群から選択される少なくとも2つの抗体を含む標識された認識要素と組合わせる工程とを含む、鼻粘液試験試料を調製する方法。
【請求項64】
前記鼻粘液試料及びリソスタフィンが、黄色ブドウ球菌を溶菌させ、その抗原成分の少なくともいくらかを放出させるのに十分な時間培養される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
少なくとも1つのバイアル瓶及びそのようなバイアル瓶の少なくとも1つのキャップであって、バイアル瓶及びキャップの各々が目標検体の分析用試料の順次処理のためにそれらの中に配置された異なる試料調製試薬を有するバイアル瓶及びキャップと、
任意に、少なくとも1つの試料移動デバイスと、
任意に、キャップ又はバイアル瓶内に無い、少なくとも1つの他の試料調製試薬とを含む、試料調製システム。
【請求項66】
少なくとも1つのバイアル瓶及びそのようなバイアル瓶の2つ以上のキャップであって、キャップの各々が目標検体の分析用試料の順次処理のためにそれらの中に配置された異なる試料調製試薬を有するバイアル瓶及びキャップと、
任意に、少なくとも1つの試料移動デバイスと、
任意に、キャップ内に無い、少なくとも1つの他の試料調製試薬とを含む、試料調製システム。
【請求項67】
試料を第1試薬を含むバイアル瓶内に配置し、前記試料の1つ以上の成分と第1試薬の間の反応に十分な条件下で前記試料と第1試薬の接触を維持する工程と、
続いて第2試薬を含むキャップをバイアル瓶上に配置し、バイアル瓶内の1つ以上の成分と第2試薬の間の反応に十分な条件下でバイアル瓶の内容物と第2試薬を混合する工程とを含む、試料調製の方法。
【請求項68】
反応前にバイアル瓶内の第1試薬、キャップ内の第2試薬、又はそれらの両方が、固体若しくは半固体形態である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記キャップが第1キャップであり、第1キャップをバイアル瓶上に配置する工程の後に、第1キャップを取り除き、それを第3試薬を含む第2キャップと取り換え、バイアル瓶内の1つ以上の成分と第3試薬の間の反応に十分な条件下でバイアル瓶の内容物と第3試薬を混合する工程を含む、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
少なくとも1つのバイアル瓶及びそのようなバイアル瓶の2つ以上のキャップを提供する工程であって、キャップの各々が目標検体の分析用試料の順次処理のためにそれらの中に配置された異なる試料調製試薬を有する工程と、
試料をバイアル瓶内に配置する工程と、
各キャップを所望の順序でバイアル瓶上に配置し、バイアル瓶内の1つ以上の成分と各試料調製試薬の間の反応に十分な条件下でバイアル瓶と各キャップの内容物を混合する工程とを含む、試料調製の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−510524(P2010−510524A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538489(P2009−538489)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/085242
【国際公開番号】WO2008/140581
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【出願人】(509144513)レスポンス バイオメディカル コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】