説明

試料内のアナライトを検知するための方法およびキット

本発明は、固形または半固形試料の収集およびアナライトの存在、不在または量に対する解析のためのデバイス、方法およびキットを提供する。本発明は、テスト要素、結果ウィンドウ、および試料収集スライドを受けかつそれと係合するためのドッキング領域を備えるハウジングを有する検定デバイスを提供する。ドッキング領域は、1つまたは複数の流体移送構造体を備える試料受けオリフィスを有する。一実施形態では、収集スライドおよびデバイスが、大便試料内の便潜血(ヒトヘモグロビン)の存在を検知するために使用されることができる。他の多くの実施形態が、本明細書で開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形また半固形の生物学的試料の収集のためのデバイス、およびアナライトの存在についてのそれらの解析を目的とする。
【背景技術】
【0002】
本発明の以下の背景は、読者が本発明を理解することを助けるように意図されており、従来技術であることに入らない。
【0003】
大便試料内の潜血の検知は、結腸ガンの検知の初歩的な方法である。グアヤクベースの化学的方法などの、大便試料内のヘモグロビンを検知する従来の方法は、食事から(すなわち食事内の肉から)派生するヘモグロビンとヒトヘモグロビンの間を区別することが不可能であることによって妨げられており、このことは、大量の擬陽性のテスト結果に至る。この困難を克服するために、ヒトヘモグロビン(hHb)を特定する免疫学的検定が、開発された。これらの検定で使用される抗体は、ヒト派生のヘモグロビンと別の動物派生のヘモグロビンを区別することができる。
【0004】
潜血試料の収集および解析は、試料収集および解析の不快さの問題を呈する。現在入手可能なデバイスは、これらの問題を十分に解決することができない。したがって、患者およびテストオペレータの試料との相互作用を減少させる一方で、試料内のhHbの存在を正確に検知するデバイスに対する、明確でありかつ絶え間ない要求がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、生物学的試料の収集、および試料内のアナライトの検知のためのデバイス、方法およびキットを提供する。一実施形態では、生物学的試料が、大便試料であり、アナライトが、ヘモグロビンである。試料は、デバイスとともに使用されることができる収集スライド上に収集される。デバイスは、アナライトを検知するための試薬を有するテストストリップなどのテスト要素を含む。デバイスはまた、収集スライドを受けるためのドッキング領域を含む。ドッキング領域は、試料収集カードからデバイスへの流体の移送を容易にする、1つまたは複数の流体移送構造体(たとえば、オリフィスを横切って延びるクロスバー)を備える試料受けオリフィスを含む。流体移送構造体は、流体がテスト要素に付着し、テスト要素へ下向きに移動するための表面を提供することによって、カードからデバイスへの流体の運動を容易にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本発明は、試料内のアナライトを検知するためのデバイスを提供する。デバイスは、テスト要素と、外部の収集スライドを受け、かつそれを係合するためのドッキング領域とを含むハウジングを有する。ドッキング領域は、試料受けオリフィスの円周内に1つまたは複数の流体移送構造体を有する試料受けオリフィスを有する。テスト結果を観察するための結果ウィンドウもまた、ハウジング上に設けられている。
【0007】
一実施形態では、試料受けオリフィスが、デバイスのハウジング内のウェルである。別の実施形態では、流体移送構造体がクロスバーであり、これは、ドッキング領域の平面の下に、同じ高さに、または上方に突き出してもよい。クロスバーは、係合された収集スライドと流体連通している。別の実施形態では、ドッキング領域が、外部の試料収集スライドを試料受けオリフィスの上方の位置に固定するための1つまたは複数の突起部を有する。1つまたは複数の突起部は、スナップロックであってよい。別の実施形態では、ドッキング領域が、ハウジング内のくぼみである。くぼみは、ハウジングの隆起した領域によって少なくとも部分的に外接されてもよい。
【0008】
別の実施形態では、テスト要素は、試料付着ゾーン(1つまたは複数の流体移送構造体と流体連通している)、試薬ゾーン(検定を行うための試薬を含む)および検知ゾーンを有する吸収性基質で作成されている。検知ゾーンは、テストラインでのアナライトの存在または不在を視覚的に検知するためのテストラインを含む。テストラインは、基質上で不動である、アナライトのための特定の結合分子を含む。いくつかの実施形態では、特定の結合分子が、抗体である。他の実施形態では、テストライン上の特定の結合分子がヒトヘモグロビンと結合する。さらに別の実施形態では、試薬ゾーンが、アナライトのための標識付きの特定の結合分子を含む。
【0009】
別の態様では、本発明は、試料収集スライド内に含まれる試料内でのアナライトの存在または不在を検知する方法を提供する。方法は、本明細書で説明されるように、試料を含む収集スライドを、試料内のアナライトを検知するためのデバイスのドッキング領域内に配置するステップを含む。一実施形態では、収集スライドが、溶離液オリフィスを備える第1の耐水性カードと、第1のカードとヒンジで接続され、かつ溶媒オリフィスを有する第2の耐水性カードとを有する。収集スライドは、開位置および閉位置の両方を有してもよく、収集スライドが閉位置にあるとき、試料収集表面が、溶媒と溶離液オリフィスの間に存在する。方法は、収集スライドの溶媒オリフィスに抽出バッファを付着させるステップと、抽出バッファが試料領域を通って、および試料受けオリフィスおよびテスト要素を通って通過することを許すステップと、結果ウィンドウ内のテスト結果を観察するステップとをさらに含む。
【0010】
一実施形態では、テスト要素が、1つまたは複数の流体移送構造体と流体連通している試料付着ゾーンと、検定を行うための試薬を含む試薬ゾーンと、アナライトの存在または不在を検知するためのテストラインを有する検知ゾーンとを有する吸収性基質である。テストラインはまた、アナライトのための特定の結合分子を備えてもよい。別の実施形態では、テストラインは、化学的テストを行うための試薬を含む。
【0011】
別の態様では、本発明が、生物学的試料を収集するためのキットを提供する。キットは、本明細書で説明されるように、パッケージ内に提供された、本発明のテストデバイス、収集カードおよび試料コレクタを含む。さらなる実施形態では、キットは、バッファを含む1つまたは複数のビンを備える。バッファは、使用説明書に従って検定を行うためのものである。
【0012】
上記で説明された本発明の要約は、限定するものではなく、本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部分を形成する添付の図面が参照され、その中で、本発明が実行される特定の実施形態が一例として示されている。本開示を参照して、他の実施形態が使用されることができ、構造的な変更が、本発明の範囲から逸脱することなく行われることができることが理解される。
【0014】
収集スライド
本発明は、固形または半固形の試料を収集するための収集スライドを提供する。いくつかの実施形態では、試料は、大便試料などの生物学的試料である。本発明はまた、試料内でのアナライトの存在を検知するためのデバイスおよび試料を収集するための方法を提供する。
【0015】
本発明のテストデバイスは、外部収集スライド110とともに使用されることができる。図1〜図5を参照すると、収集スライド110は、第1のカード114および第2のカード112を有する。第1のおよび第2のカードは、いかなる適切な材料で作製されてもよい。たとえば、カードは、弾力性のある、プラスチック、コートされた厚紙、金属またはガラスなどの、耐水性または不透水性材料で作製されることができる。一例では、カードは、たとえばヒンジ224によって、互いにヒンジで接続されている(図2)。「ヒンジで接続される」によって、2つのカードがそれらの第1の端部で互いに接続され、かつヒンジの周りの運動によって互いに近づいたり遠ざかったりして運動可能な自由端を有することが意味されている。多種多様なヒンジ接続部が、有利には使用されてもよい。図に示されている例では、収集スライドが、射出成形されたプラスチックで製造され、かつ2つのカードが、図2に示すように、一体ヒンジによって接続される。他の例では、ヒンジが、2つのカードを互いに結合し、かつ一方のカードが他方のカードの上に折りたたまれることを許す材料の1つまたは複数のフラップであってもよい。別の例では、カードが、たとえばロッキング機構によって互いに固定されることができる、別個のカードとして表されている。第2のカードは、それを通って、抽出バッファ510、512が収集された試料へ付着されることができる、バッファまたは溶媒オリフィス116を備える(図1および図5)。
【0016】
収集スライドは、開位置および閉位置を有する(図1および図2を比較)。図2に示すように、第1のカードは、溶離液オリフィス210を有し、第2のカードは、溶媒オリフィス116を有する。溶媒および溶離液オリフィスは、収集スライドが閉位置にあるとき、2つのオリフィスが並ぶように、カード上で位置調整されている。オリフィスが「位置合わせされる」または「位置合わせされた状態である」ことによって、十分な量で第2の(すなわち上部の)カード内の溶媒オリフィスに加えられた液体が、試料収集領域をおよび溶離液オリフィスを通過することになる。
【0017】
図2を参照すると、カバーパッド218が、第2のカードの内側表面上に存在し、バッファオリフィス116と重なる。カバーパッドおよび試料収集パッドは、試料を保持し、かつ流体の通過を許すいかなる適切な材料で作製されてもよい。カバーパッドおよび/または試料収集パッドのために適した材料の例は、ポリエステルメッシュ、繊維状のまたは吸収性材料、紙または紙ベースの材料、合成繊維、メッシュおよびウール、コートされたまたは支持された紙、ポリエステル、ナイロン膜、ニトロセルロース、ガラスウール、表面加工紙、吸収紙、またはセルロースベース製の材料である。示されている例では、カバーパッド218が、ガスケット220によって外接されている。本開示を参照すれば、カバーパッドおよび/または試料付着パッドのために適した他の多くの材料を当業者なら理解されよう。
【0018】
第1のカードの上に、試料収集パッド216がかぶせられている溶離液オリフィス210が存在する。試料収集パッド216は、試料を保持し、流体の通過を許すいかなる適切な材料で作製されてもよい。様々な例では、試料収集パッド216は、カバーパッドと同じタイプの材料で作製されている。試料収集パッドは、隆起部214および溝212によって、または一連の隆起部および溝によって外接されてもよい。カバーパッドおよび収集パッドは、試料を保持し、流体の通過を許すいかなる適切な材料で作製されてもよい。例が、カバーパッドのための材料に関して上記に提供されている。材料はまた、試料付着の機械的圧力に耐えるのに十分な弾力性を有するべきである。好ましくは、材料は、濡れたとき、劣化または裂開をしない。
【0019】
大便試料収集での共通する困難は、患者が試料を収集スライドに付着させすぎる傾向があり、そのことが、検定が免疫学的検定であるとき、干渉を生じさせる可能性があることを含む。本発明のテストデバイスとともに使用される収集スライドは、テストを行う技術者による直接の試料操作を必要としない一方、スライドに付着させることができる試料の量を望ましく制限することができる。このようなスライドを使用すると、スライドが閉位置にあるとき、カバーパッドおよび試料収集パッドが密封構造(たとえば、ガスケットおよび溝)によって外接されるため、収集された試料の量が、試料収集領域に制限される。収集スライドが閉位置へ移動されるとき、密封構造の相互作用(たとえば、ガスケットの溝および隆起部との相互作用)が、試料付着領域内の試料を試料領域の外側に付着された試料から分離する。試料が試料収集領域に付着された後、収集スライドが閉鎖されて、ロックされた位置に保持され、それによって、2つのカードが互いに押圧されるとき過度の試料が搾り出されるため、試料領域内に保持される試料の量を制限する。密封構造は、ガスケット、隆起部、および溝以外の構造であってもよい。たとえば、構造は、試料収集パッドおよび/またはカバーパッドの上または周囲に存在する圧力感受性の接着材またはワックスビード(または複数のビード)であってよい。これは、2つのカードが閉鎖されて互いに押圧されるとき、試料収集パッドを密封する。「密封」は、緊密な密封である必要はなく、収集スライドが閉位置にあるとき、試料収集領域の内外への試料の通過を概して妨げるだけである。本開示を参照すると、当業者なら収集カードの他の例での使用を見出す多くの他の構造を理解されよう。
【0020】
カバーパッドおよび/または収集パッドは、それらを通る水溶性の液体の流れを改善する試薬によって処理されることができる。さらに、これらの処理はまた、試料領域内の乾燥した試料からの当該アナライトの溶離を改善する。一例では、蛋白質がパッドに付着することを阻止するため、および蛋白質の可溶化を促進するために、パッドが界面活性剤によって処理される。多種多様な一般に使用されている陰イオン(cationic)および非イオン界面活性剤が、様々な濃度で有利には使用されてもよい。いくつかの陽イオン(anionic)および両性の界面活性剤もまた、本発明での使用が見出される。パッドを処理するために使用されることができる界面活性剤のいくつかの例は、ラウリル、セチル、ステアリルおよびオレイルアルコール派生のポリオキシエチレン脂肪エーテルを含むが、それに限定されない(たとえば、BRIJ(登録商標)(ICI US,Inc.)シリーズの界面活性剤)。他の有用な界面活性剤は、オクチルフェノールエトキシレート界面活性剤(たとえば、ポリエチレングリコールモノ−p−イソ−オクチルフェニルエーテル、およびその他のTriton(登録商標)(Rohm&Haas、フィラデルフィア、ペンシルベニア州)シリーズの界面活性剤)、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン派生体(たとえば、Tween(登録商標)(ICI Americas,Inc.)シリーズの界面活性剤)および酸化エチレンおよび酸化プロピレンベースの、およびHO(CO)(CO)(CO)Hによって表されるブロックコポリマー(たとえばPluronic(登録商標)(BASF)シリーズの界面活性剤)を含む。本開示を参照すると、界面活性剤は、市販されている界面活性剤ツールキットを使用することによって、たとえば、Reagent Developer's Surfactant Took Kit(Pragmatics,Inc.、エルクハート、インディアナ州)、または類似のキットなどを使用することによって、知られている界面活性剤選択技術を使用して便利に選択されることができる。これらのキットは、蛋白質の抽出および流動を最適化するために、特定の用途に対して大量の界面活性剤をテストする便利な方法を提供する。
【0021】
いくつかの実施形態では、パッドは、アナライトの安定性を改善する構成要素を含むバッファによって処理される。バッファは、また検定で使用されることができる、アナライトと特定の結合試薬(たとえば、抗体または抗体の断片)の間の最適な結合を促進するために、試料を状態調整する。このことは、たとえば、アナライトのpHを調節することによって行われることができる。これらの有用な品質を有するバッファは、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンバッファ、リン酸塩バッファ、ホウ酸塩バッファ、酒石酸塩バッファおよびフタル酸バッファを含むがそれに限定されない。
【0022】
カバーパッドおよび/または試料付着パッドはまた、アナライトの安定性および溶離を改善する特性を有することもできる1つまたは複数のポリマーで処理されてもよい。蛋白質の浄化のために時々使用されるポリマーは、この目的のために有用であることがある。有用なポリマーの例は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(メチルビニルエーテル−コ−マレイン酸無水物、酸化ポリエチレン(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、メチルビニルエーテルおよびマレイン酸無水物のコポリマー(たとえば、ポリ(メチルビニルエーテル−コ−マレイン酸無水物)、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルピロリドン/ビニルアセテート、小骨の多い魚のゼラチン(Osteichthyes類の魚由来の)、架橋されたポリアクリル酸ポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(CMC)、ナトリウムポリスチレンスルフォネート、ナトリウムカラゲニン、アクリル酸ラテックス、およびヒドロキシエチルセルロース(HEC))を含むが、それに限定されない。これらのポリマーは、(たとえば、インディアナ州、エルクハートのPragmatics,Inc.から)市販されており、ポリマーツールキット内で便利に形成される。したがって、これらは、特定の用途での特定のポリマーの利点を決定するために、系統立てて使用されることができる。
【0023】
アナライト抽出を改善するために、パッドはまた、遮断薬として機能する非特異性の蛋白質で処理されてもよい。ウシ血清アルブミン、卵白アルブミン、およびカゼインを含むがそれに限定されないいかなる蛋白質が、この目的のために使用されてもよい。
【0024】
カバーパッドおよび試料付着パッドはまた、収集スライドの有効期限を増加させるために防腐剤で処理されてもよい。「防腐剤」は、微生物の成長または望ましくない化学変化を阻止するために加えられる、天然でまたは人工的に作成された化学物質である。防腐効果を提供し、かつ検定に干渉しないいかなる防腐剤が、使用されてもよい。有用な防腐剤の例は、5−クロロ−2−メチル−イソチアゾル−3−ワン(たとえば、ProClin(商標)300(Supelco,Inc.、ベルフォンテ、ペンシルベニア州)およびアジ化ナトリウムを含むがそれに限定されない。本開示を参照すると、本発明での使用が見出される他の多くの防腐剤を当業者なら理解されよう。
【0025】
カバーパッドおよび収集パッドが、試料収集領域の上部壁および底部壁を形成し、かつ過度の試料を試料収集領域から除去するために働く。カード上の構造がガスケット、隆起部、または溝であるとき、これらはまた、上記で説明されたような反対側のカード上に配置されてもよい。
【0026】
ある試料収集スライドでは、収集スライドのカードの1つが、第1のおよび第2のカードを閉位置に固定するための構造を備える。一例では、短いピン316(図3B)が、1つのカードの内部表面上に存在する。反対側のカードは、ピンと対合する孔318を備える。収集スライドが閉鎖されるとき、ピンが、孔内に挿入され、かつ収集スライドを閉位置すなわち「ロックされた」位置に保持するために十分な抵抗を有して収容される。一例では、この動作が、有利には、スナッピングノイズを生じさせ、患者に収集スライドが適切に閉鎖されたことを告げる。収集スライドを閉位置に固定する他の方法が、スライドに組み込まれてもよい。たとえば、2つのカードの外側に嵌合し、かつそれらを一緒に保持するクリップが、一例では使用され、2つのカードの内側表面上に存在するスナップが、別の例で使用されてもよい。収集スライドを閉位置に保持するための他の構造が、本開示を参照すると、当業者なら理解されよう。
【0027】
試料コレクタ
本発明はまた、図1に示されている実施形態などの試料コレクタ134を提供する。試料コレクタは、ハンドル314(図3B)および試料を移動させるためのへら312を備える。一実施形態では、へらが、複数の孔を開けられ、このことが、試料の液体含有量を減少させ、かつ、過度の試料の試料収集パッドへの付着を減少させる働きをする。様々な実施形態では、デバイスのへら部分が、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれ以上の孔を開けられている。コレクタのへら部分は、一般に平坦であることが可能であり、または凹状または曲がった(スプーン様の)形状を有することが可能である。このデバイスは、いかなる適切な材料(たとえば、プラスチック)で作製されてもよい。一実施形態では、デバイスのへら部分が、軟かいプラスチックで作製されて、ハンドルがより硬いプラスチックで作製される。このことは、試料が試料収集パッドに付着され、パッド上に並べられるとき、へらが曲がることを可能にするであろう。へら部分の穿孔はまた、平らな試料をパッドに付着させる助けとして働く。
【0028】
収集の方法
別の態様では、本発明は、試料を収集するための方法を提供する。一実施形態では、試料は、大便試料である。試料収集、および収集スライドおよび検定デバイスの操作の方法の一実施形態が、図3A〜図3Cに示されている。図3Aを参照すると、患者が、第1のおよび第2のスライドの内側表面を露出させるために収集スライドを開放し、カバーパッドおよび試料収集パッドを露出させる。少量の大便試料が、試料収集パッド216に付着される。収集スライドが次に、閉鎖される(図3C)。本収集スライドは、試料収集領域内の試料のみが、検定に組み込まれるような設計を有する試料収集領域を提供することによって、過度の試料を除去する。収集スライドが閉鎖されると、構造第1のカードが構造第2のカードと係合し、試料収集領域に外接する壁を形成する。一実施形態では、一方のカード上の構造がガスケットであり、反対側のカード上の構造が、溝および隆起部である。収集スライドが閉位置にあるとき、溶媒またはバッファオリフィス、試料領域および溶離液オリフィスがすべて垂直方向に並べられる。この位置では、バッファがバッファオリフィスに付着されるとき、バッファは、カバーパッドを通って試料収集領域内へ、およびその後溶離液オリフィスから外へ流れ、それによって処理中の試料を洗滌し、かつ試料内に含まれる当該アナライトを溶解する。また、バッファが、試料を溶出させ、テスト要素上の特殊な結合試薬によって、アナライトの最適な結合のために状態調整する。溶離液オリフィスを通過した後、液化された試料が次に、デバイスの流体移送構造体に沿って試料受けオリフィスを通り、デバイスのテスト要素へ通過する。
【0029】
ヒトヘモグロビンは、濡れた試料内に残されたとき、迅速に崩壊する。アナライトの劣化を防止するために、方法は、試料を乾燥させるステップを組み込んでもよい。このステップは、収集カードを、空気乾燥させるために、ある時間の間空気に曝露されたままにすること、または試料を45℃のオーブン内で乾燥させることを含んでもよい。ステップはまた、閉鎖された収集スライドを乾燥剤の入った容器内へ配置することを含んでもよい。容器は、密封可能なパウチ(たとえば、メーリングパウチ)であってよい。乾燥した(収集スライドを乾燥剤の入った密封可能なパウチ内に配置した)後、収集スライドが、解析のために医療施設に送られてもよい。
【0030】
検定デバイス
本発明は、試料内でのアナライトの存在を検知するためのデバイス、および試料を収集するための方法を提供する。本発明のデバイスは、固形または半固形の試料を収集するための収集スライドとともに使用されることができる。本発明のいくつかの実施形態では、試料が、大便試料などの生物学的試料である。
【0031】
図1および図2を参照すると、本実施形態の検定デバイスは、互いに係合し、かつ一緒にロックする上部部分122および底部部分124から成るハウジングを有する。ハウジングは、たとえば、プラスチック、プレス加工されたハードボード、金属、セラミック、ポリマー(たとえば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、シクロオレフィン)、およびその他の材料などのいかなる適切な材料で構成されてもよい。図に示されている実施形態では、ハウジングが、成形プラスチックで作製されている。上部および底部部分は、互いにスナップ結合する部品、糊、マイクロ溶接およびその他の手段などの、いずれかの便利な手段によって互いに係合することができる。図2に示されている実施形態では、上部部分が、底部部分の内側表面230上の対応する一連の隆起したリング228内にぴったりとスナップ嵌合し、それによって検定デバイスの上部および底部部分をロック位置に固定する、内側表面上の一連のピン(図示せず)を有する。
【0032】
収集スライドを受けかつそれと係合するためのドッキング領域126が、検定デバイス上に配置されている。収集スライドは、解析される試料を含むことを意味する「装填」をされてもよい。ドッキング領域はいかなる形状でもよく、試料収集領域を担持している収集スライドの一部分と対合することができる。一実施形態では、ドッキング領域が、外部の収集スライドを受けかつそれと係合することができる。外部収集スライドは、検定デバイスとは別々に装填されることができるものであり、試料装填のときにデバイスと物理的に接続されていない。「受けかつ係合する」ことによって、収集スライドは、検定デバイスおよび収集スライドが「テスト位置」に配置されることを意味される。「テスト位置」は、試料付着パッドおよび流体移送構造体132が液体連通しているときである
ドッキング領域はまた、収集スライドを、バッファが付着され、試料が収集スライドから溶出された後収集スライドがデバイスから取り外されることができることを意味する、可逆的な方式で受けることができる。図4に示すように、この実施形態では、収集スライドが、収集スライドのヒンジ付き縁部をタング241の下に嵌合することによって、ドッキング領域にスナップされる(これも図2参照)。収集スライドが次に、ドッキング領域上へ押し下げられ、かつ1つまたは複数の突起部240の下のロック位置にスナップされる。突起部が、収集スライドをドッキング領域と同一平面上に保持する。他の実施形態では、収集スライドが、検定デバイスのドッキング領域内に配置される。一実施形態では、ドッキング領域が、それを定位置に保持するために収集スライドの上に嵌合する部分を有することができる(たとえば、収集スライドの端部を把持するオーバーハング)。定位置にあるとき、試料収集パッドおよび流体移送構造体が、流体連通に配置される。バッファオリフィスが、バッファを受けるために露出され、かつバッファオリフィスに付着されたバッファが、試料収集パッドを通って流体移送構造体へ通過する。一実施形態では、ドッキング領域が、検定デバイスの外部表面と接して収集スライドを受け、それによって試料収集領域および流体移送構造体が液体連通状態にされるように構成されている。ドッキング領域は、収集スライドをテスト位置に固定して保持するための突起部を有してもよい。
【0033】
他の実施形態では、ドッキング領域が、収集スライドをデバイスの内部に受け入れてもよい。たとえば、収集スライドが、試料付着パッドが流体移送構造体と液体連通して配置されるように、デバイスのハウジング内の開口内に滑動されてもよい。別の実施形態では、試料移送オリフィスが、試料または検定流体を受けるための検定デバイス内の唯一のオリフィスであり、かつ試料および検定流体が両方、試料移送オリフィスを通ってデバイスに入る。「検定流体」は、検定中に使用されるバッファまたはその他の試薬を称する。したがって、これらの実施形態では、試料移送オリフィスが、試料および流体をデバイス内へ受けるための唯一のオリフィスである。
【0034】
図1に示すように、一実施形態では、ドッキング領域が、その中に配置された1つまたは複数の流体移送構造体132を有するくぼみまたはウェル130を含む。流体移送構造体は、収集スライドに向かって突き出し、かつ試料収集パッドの外部表面と接触するまたはほぼ接触するいかなる形態をとってもよい。たとえば、流体移送構造体は、ウェルの縁部に取り付けられた1つまたは複数の隆起したバーであってもよい。別の例では、流体移送構造体は、収集スライドの試料付着パッドに向かって延びるいくつかの突起部であってもよい。1または2または4または6または8または10または12、または2〜6または2〜8または2〜10または2〜12または4〜8などのいかなる適切な数の突起部が使用されてもよい。
【0035】
図2に示す実施形態では、流体移送構造体が、試料移送オリフィス226内のハウジングの上部部分内に存在し、ドッキング領域の平面の下方にある、同一平面上にある、またはそれを通ってわずかに突き出している。様々な例では、流体移送構造体が、1mmまたは2mmまたは3mmまたは4mmまたは5mm、またはいずれかの適切な距離だけ突き出してもよい。ドッキング領域の「平面」は、ドッキング領域の表面を覆っておよびウェルを覆って延びるその空間的な平面である。
【0036】
図示された実施形態では、流体移送構造体が、試料受けオリフィスの直径にわたるクロスバーである。2つ以上のバーの場合、バーは、平行にまたは互いに対してある角度で交差して配置されてもよい(たとえば、「X」形、または格子、正方形、三角形、またはハニカムパターンを形成するように)。他の実施形態では、バーが、試料受けオリフィスの円周上のいずれかの2点を接続することができる。他の実施形態では、ウェルの内側に配置された1つまたは複数の垂直方向に突き出した突起もまた、流体移送構造体として使用されることができる。いずれかの形状の直線状または曲線状の壁が、流体移送構造体として使用するように構成されてもよい。
【0037】
流体移送構造体は、試料収集パッドの底部からテスト要素へ現れる溶出液の移送を容易にする。一実施形態では、収集スライドが、ドッキング領域内にスナップされるとき、バッファオリフィス、カバーパッド、試料収集パッド、溶離液オリフィスおよび流体移送構造体が、すべて互いにほぼ垂直方向に並んでいる(図6)。この実施形態では、流体移送構造体および試料収集パッドの外部表面が、溶離液オリフィスを通って流体連通して配置されるように、流体移送構造体が、ドッキング領域の平面に向かって、平面内へ、同じ高さで、またはその上方に突き出している。「流体または液体連通」していることによって、試料収集領域を、および試料収集パッドを通過する流体が、流体移送構造体へ通されることが意味される。試料収集パッドおよび流体移送構造体は、直接物理的に接触してもよい、または互いからわずかに離れていてもよいが、流体連通するように保持される。
【0038】
凝集は、水素結合の結果から生じるある水分子の別の分子に対する引力を称する。凝着は、凝着が水分子の、表面などの非水分子に対する引力を含むことを除いて、凝集と同様である。本発明での流体移送構造体は、水分子が凝着によって引き付けられるための表面を提供することによって、試料移送パッドの外部表面上で収集された溶出液の運動を容易にする。流体移送構造体が溶出液の表面張力を破壊するとき、溶出液が、流体移送構造体の表面に凝着する。溶出液の流体移送構造体への凝着が、溶出液の重量と組み合わせて、溶出液をテストストリップの試料パッドのほうへ移動させる。このようにして、溶出液が、流体移送構造体に沿った凝着力を使用してテストストリップへ流れる。溶出液がテストストリップの試料パッドと接触したとき、溶出液が、毛管現象によって試料パッドへ引き出される。十分な溶離バッファが、テストカードバッファオリフィスに付着されるため、十分な溶出液が、毛管現象によって、試料パッドの反対側のテストストリップの端部へ流れるように作成され、テストストリップ上で行われるテストが正確に機能することができる。
【0039】
図2および図6に示すように、テスト要素222は、ハウジングを備え、かつこの実施形態では、ハウジング内に含まれる。この実施形態では、テスト要素が、デバイスのハウジング内に恒久的に配置される。このことは、検定中、ハウジングから取り外れること、または挿入されることができないが、検定デバイスの一体部品であることを意味している。図6を参照すると、流体移送構造体が、テスト要素と流体連通している。一実施形態では、テスト要素が、横方向流の検定を行うために適した吸収性テストストリップである。様々なテストストリップが、検定デバイスで使用するために適している。一実施形態では、テストストリップが、たとえば、ニトロセルロースなどの吸収性基質、および/またはその他の適切な材料から成る。基質は、試料装填ゾーン、試薬または標識(label)ゾーン、および検知ゾーンを有してもよい。他の様々なテストストリップもまた、本発明での使用が見出される。いくつかの実施形態では、試料装填ゾーンが、テストストリップへの試料の付着のためにテストストリップの一端部に存在する。試料装填ゾーンが、移送材料と液体連通しているテストストリップの部分である。検定を行うためまたは試料を状態調整するための試薬もまた、試料装填ゾーンに存在してもよい、または別個の試薬または標識ゾーン内に存在してもよい。これらの試薬は、たとえば、特定の結合分子との最適な結合のための試料を準備すること、または当該アナライトの安定性を改善することなど様々な目的にかなうことができる。試料を「状態調整する」ことによって、アナライトの存在を検知する反応を促進または改善するように、試料の特性を調節することが意味される。たとえば、バッファが、試料のpHを調節するために備えられてもよい。試料が検定で使用される特定の結合分子との結合を競合する物質を含む場合、第2のブロッキング抗体が、物質と結合するために含まれてもよい、またはアナライトに対する特定の結合分子を劣化させる可能性がある酵素が試料内に存在する場合、1つまたは複数の酵素阻害剤が試薬ゾーンに追加されてもよい。
【0040】
試料装填ゾーンが、テストストリップの上流端部232に存在してもよい。テストストリップ234の下流端部に向かって試薬ゾーンがあり、試薬ゾーンが検知ゾーンによって追従される。試薬ゾーンが、試料を状態調整するための試薬、アナライトをラベリングするための試薬(たとえば、検定がサンドイッチフォーマット免疫学的検定である場合特定の結合分子)または標識付きのアナライト類似物質(たとえば、検定が競合フォーマット免疫学的検定である場合)を備えてもよい。いくつかの実施形態では、試薬ゾーンが、乾燥形態で基質上に存在するアナライトのための標識付きの特定の結合分子を含み、結合分子は、それが基質に沿って通過するときに試料流体によって溶解されることができる。一実施形態では、特定の結合分子が、抗体またはその断片である。一実施形態では、アナライトが、ヒトヘモグロビン(hHb)であり、標識付きの特定の結合分子が、hHbと結合する抗体である。抗体は、たとえば、金属ゾル、着色されたラテックスビード、および染料などの、いかなる適切な方法によって標識付けされてもよい。いくつかの実施形態では、試料装填ゾーンおよび試薬ゾーンが重なる。他の実施形態では、テストストリップ上に配置された一連の試薬ゾーンがある。
【0041】
「特定の結合分子」は、目標アナライト(たとえば、ヒトヘモグロビン)と結合し、かつ試料内に存在する他のいかなる分子とも実質上結合しない、分子を称する。いくつかの実施形態では、特定の結合分子は、試料内の当該アナライトの存在と相関するまたは存在を示す分子と結合することもできる。実質上結合することによって、結合が、特定の結合分子によって行われる検定の結果に影響を与える程度で生じる、すなわち、より最適でないまたはより正確でない結果が得られることになることが、意味される。生じることがあり、検定の結果を変更しない少量の非特異性の結合は、実質上の結合とみなされない。いくつかの実施形態では、特定の結合分子が、抗体または、抗体の断片(たとえば、抗体のFab領域)、抗原、配位子と結合する受容体または受容体の断片、またはビオチンストレプタビジン対のまたは他のタイプの結合対の一員であってよい。
【0042】
検知ゾーンは、アナライトの存在が検知されるところのテストストリップの領域である。いくつかの実施形態では、検知ゾーンが、テストラインでの当該アナライトの存在または不在を視覚的に検知するためのテストラインを含む。テストラインは、いかなる形状でもよく、ラインのみである必要はない。テストラインは、アナライトのための特定の結合分子を有してもよい。ヒトヘモグロビンが当該アナライトであるとき、テストライン上の特定の結合分子が、hHbと結合する。この実施形態では、特定の結合分子が、ヒトHbと結合し、擬陽性の結果を回避するために、食事から存在することがあるヘモグロビンとは結合しない。
【0043】
検知の方法
本発明の別の態様は、本発明の検定デバイスを使用して試料内でのアナライトの存在または不在を検知する方法を提供する。本方法の一実施形態では、試料を含む収集スライドが、図4に示すように、検定デバイスのドッキング領域内に配置される。抽出バッファ512が、収集スライドのバッファまたは溶媒オリフィスに付着される。抽出バッファが、アナライトが存在する場合、試料から当該アナライトを溶出させる。バッファオリフィスに付着されたバッファが、カバーパッドを通って乾燥した試料を含む試料収集領域内へ流れる。乾燥した試料が、再水和され、かつ試料の一部分が、溶離液オリフィスを通って収集スライドから溶出される。一実施形態では、バッファが、溶出液の表面張力を破壊する流体移送構造体によって収集パッドを通って流体移送構造体上へ引かれる。収集スライドから溶出された過度のバッファが、流体移送構造体を包囲するウェル内に収集される。流体移送構造体上の溶出液は、重力および毛管現象によってテストストリップの付着ゾーン内へ、および次に(毛管現象によって)テストストリップの下流端部へ流れる。溶出液が移送構造からテストストリップ内へ流れるとき、ウェル内に保持された過度の溶出液が、移送構造によってテストストリップへ移送されてもよい。
【0044】
溶出液がテストストリップの試料装填ゾーンおよび試薬ゾーンを通って流れるとき、装填ゾーンまたは試薬ゾーン内に存在する検定を行うための試薬を溶解させる。一実施形態では、これらの試薬がテストストリップ上で乾燥させられる。最適な検知のために溶出液を状態調整する試薬もまた、上記で説明したように、含まれてもよい。たとえば、検定がサンドイッチフォーマット免疫学的検定である場合、試薬が、抗体、またはその断片などのアナライトに対して特定の標識を付けられた結合分子を備えてもよい。一実施形態では、特定の結合分子が、金で標識を付けられた抗hHb抗体または抗体断片である。アナライトが試料内に存在する場合、標識付きの特定の結合分子が、アナライトを捕捉して、標識付きの、可溶性の複合体を形成し、それが検知ゾーン内で検知される。溶出液は、テストストリップを通って検知ゾーンへ流れ続け、検知ゾーンは、アナライトのための特定の結合分子を有するテストラインを含む。たとえば、特定の結合分子が、標識試薬のものとは異なるエピトープで結合する、アナライトに対する標識の付いていない抗体であってよい。検定がサンドイッチ検定である場合、テストライン内の特定の結合分子が、標識付きの抗体アナライト複合体を捕捉し、かつアナライトが試料内に存在していることを示す視覚的に検知可能なラインを形成する。したがって、テスト結果が、ハウジングの上部部分に配置された結果ウィンドウ128内に現れる。
【0045】
別の実施形態では、検定が競合フォーマット免疫学的検定である。この実施形態では、テストストリップの標識ゾーンまたは試薬ゾーンが、金の標識付きのhHb類似物質などの標識付きのアナライトの類似物質を含む。アナライトが試料内に存在しない場合、標識付きのアナライト類似物質が、テストライン上の抗体と結合する。したがって、テストライン上の能動的な結果が、アナライトが試料内に存在しないことを示す。アナライトが存在するとき、アナライトは、テストライン上の抗体と結合するために標識付きの類似物質と競合する。試料内のアナライトの濃度が増加すると、テストラインと結合する類似物質の量が減少する。このようにして、より薄いラインまたはラインなしが、試料内でのアナライトの存在を示す。
【0046】
工程制御もまた、検知ゾーン内に含まれてよい。工程制御は、ラインとして存在することができ、アナライトが試料内に存在するかどうかを常に現すことになる。工程制御による能動的な結果がないことは、誤った検定を示す。
【0047】
他の実施形態では、溶出液が、免疫学的検定以外の手段を用いてテストされる。たとえば、アナライトを含む溶出液が、グアヤクテストなどの化学的手段またはその他の化学的手段を使用して検知することができる。
【0048】
試料およびアナライトのタイプ
「試料」は、アナライトの存在、不在、または量についてテストされるいずれかの材料である。一実施形態では、試料は、大便試料などの生物学的試料である。しかし、いかなるタイプの試料も、溶解されることができ、かつ収集スライドを通って検定デバイス内へ通過することができる検知される予定のアナライトを含む限り、本発明を使用して検定されることができる。試料は、大便、土、組織、血液、体の流体または液体漬けの組織などの固形、半固形または高粘性材料などの多くの形態であってよい。試料はまた、口腔または膣スワブであってよい。
【0049】
様々なアナライトが、本デバイスを使用してテストされてもよい。本発明を使用して検知されることができるアナライトの例は、ヘモグロビンなどの血液構成要素、クレアチニン、ビリルビン、亜硝酸塩、蛋白質(非特異性)、ホルモン(たとえば、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモンなど)、白血球、糖、重金属または毒素、バクテリア構成要素(たとえば、蛋白質、糖、またはE.coliO157:H7、Staph.aureus、Salmonella sp.、Salmonella typhii、Shigella、C.perfringens、Clostridium difficile、Campylobacter、Helicobacter pylori、L.monocytogenes、V.parahaemolyticus、Vibrio choleraeまたはB.cereusなどの特定のタイブのバクテリアに特有の抗原)、ovaAおよび寄生虫、およびpHおよび比重などの尿試料の物理的特性を含むがそれに限定されない。信頼できる検定が設計されることができるいかなるアナライトが検知されてもよい。本開示を参照すると、本発明で適用可能な様々な検定原理を使用して検知されることができる様々な抗原を、当業者なら理解されよう。
【0050】
テストキット
本発明のさらなる態様は、1つまたは複数の収集スライド、および/または1つまたは複数の本発明の検定デバイス、および検定を行う際のそれらの使用説明書を含むキットを提供する。テストキットは、使用者の必要に応じて様々なフォーマットで包装されてもよい。一実施形態では、キットとともに提供される説明書が、大便試料内のヘモグロビンの存在を検知するための説明書である。
【0051】
一実施形態では、キットが、パッケージ内に提供された3つの収集スライド、3つの検定デバイス、3つのアプリケータ、3つの密封可能な区画を有する乾燥メーリングパウチおよび試料を収集するための説明書を含む。パッケージはいかなる適切な容器であってもよい。様々な実施形態では、パッケージは、箱、パウチ、バッグであってよい、または単にキットのアイテムをひとまとめにする包装であってもよい。
【0052】
別の実施形態では、キットが、パッケージ内に提供された、フォイルパウチ内に個別包装された1つまたは複数の収集スライドおよび検定デバイスと、抽出バッファの1つまたは複数のビンと、説明書とを備える。別の実施形態では、キットが、3つの個別に包まれた収集スライド、3回のテストを行うための抽出バッファ、および使用説明書を含む。多くのテストが行われる医療施設では、キットが、多くの個別に包まれたテストデバイス、抽出バッファの1つまたは2つの大きなビン、および1冊子の説明書を含んでもよい。
【0053】
さらなる実施形態は、2つの「ミニキット」を含むキットを提供し、一方のミニキットが、一緒に包装された3つの収集スライド、3つのアプリケータ、乾燥剤メールパウチおよび試料を正確に収集する方法を患者に説明するための説明書を含む。第2のミニキットは、医師用に一緒に包装された、3つのテストデバイス、3回のテストを行うために十分な抽出バッファおよび使用説明書を含む。
【0054】
実施例1−大便内のhHbの解析のための収集スライドおよび検定デバイスの使用
本発明の6つの収集スライドが、収集パッド上に試料を塗沫することによって大便試料を装填された。乾燥後、各スライドが、図に示すように本発明の検定デバイスのドッキング領域内に配置された。収集スライドをドッキング領域内に配置することによって、スライドのヒンジ付きの側面が、タングの下に挿入され、収集スライドの溶離液オリフィスが、デバイスの吸収性移送材料と流体連通するように、スライドが押し下げられて、ドッキング領域内の定位置にスナップされた。
【0055】
3滴(約200μl)の抽出バッファが次に、収集スライドのバッファオリフィスに付着された。すべての場合で、7〜16秒以内に、バッファが、試料収集パッドを通って溶離液オリフィスから外へおよび試料ウェル内へ流れた。約50秒以内で、バッファが各テストストリップの上におよびそれを通って流れ、ラインが制御ラインのところに現れた。テストストリップは、hHbに対する特定の結合分子を有するテストライン、およびhHbに対する標識付き抗体を有する試薬ゾーンを有した。
【0056】
本明細書で例示的に説明された本発明は、本明細書で特に開示されていないいずれかの要素、制限がなくても実施されることができる。使用された用語および表現は、説明の用語として使用され、限定するものではなく、このような用語および表現の使用において、図示され説明された特徴またはその一部と均等なものを排除する意図はなく、様々な修正が、請求された本発明の範囲内で可能であることを認識されたい。したがって、本発明が様々な実施形態および任意の特徴によって特に開示されているが、本明細書に開示された概念の修正および変更が当業者によって行われてもよいこと、およびこのような修正および変更が、添付の特許請求の範囲によって定義されたような本発明の範囲内にあるとみなされることを理解されたい。
【0057】
本明細書で述べられたまたは引用された記事、特許、および特許出願および他のすべての文書、および電気的に使用可能な情報の内容が、各刊行物が特別にかつ個別に参照によって組み込まれるように示された場合と同程度に、その全体において参照によって組み込まれる。出願人らは、このような論文、特許、特許出願またはその他の文献から、任意のおよびすべての資料および情報を本出願内に実際に組み込む権利を保持する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】試料収集スライド110および収集スライドと係合するテストデバイス120を備える、本発明の実施形態の透視図である。また、試料を収集スライドへ付着させるための試料コレクタ134が示されている。
【図2】図1に示されているデバイスの分解図である。
【図3A】カバーパッド218および収集パッド216を示す開いた収集スライドを示す、収集スライドへの試料の付着を示す図である。
【図3B】収集パッドへの試料310の付着を示す、収集スライドへの試料の付着を示す図である。
【図3C】閉じた収集スライドを示す、収集スライドへの試料の付着を示す図である。
【図4】テストデバイスのドッキング領域126と係合する収集スライド110を示す図である。
【図5】係合された収集スライドの溶媒オリフィス116への抽出バッファ512の付着を示す図である。
【図6】テストデバイス120内に係合された収集スライド110の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テスト要素と、
外部の収集スライドを受け、それと係合するためのドッキング領域であって、ドッキング領域が、試料受けオリフィスの円周内に備えられた1つまたは複数の流体移送構造体を有する試料受けオリフィスを備えるドッキング領域と、
テスト結果を観察するための結果ウィンドウと
を含むハウジング
を備える、試料内のアナライトを検知するためのデバイス。
【請求項2】
試料受けオリフィスが、デバイスのハウジング内のウェル内に設けられている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
1つまたは複数の流体移送構造体が、ドッキング領域の平面の上方に突き出しているクロスバーを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
クロスバーが、係合された収集スライドと流体連通するように配置されている、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
ドッキング領域が、外部の試料収集スライドを試料受けオリフィスの上方の位置に固定するための1つまたは複数の突起部を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
1つまたは複数の突起部が、1つまたは複数のスナップロックを備える、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
ドッキング領域が、ハウジング内のくぼみとして設けられ、ハウジングの隆起した領域によって少なくとも部分的に外接されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
テスト要素が、1つまたは複数の流体移送構造体と流体連通している試料付着ゾーンと、
検定を行うための試薬を備える試薬ゾーンと、
テストラインでのアナライトの存在または不在を視覚的に検知するためのテストラインを備える検知ゾーンとを有する吸収性基質を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
テストラインが、基質上で不動にされたアナライトのための特定の結合分子をさらに備える、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
特定の結合分子が抗体である、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
テストライン上の特定の結合分子が、ヒトヘモグロビンと結合する、請求項9に記載のデバイス。
【請求項12】
試薬ゾーンが、アナライトのための標識付きの特定の結合分子を備える、請求項8に記載のデバイス。
【請求項13】
アナライトが、ヒトヘモグロビンである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
試料収集スライド内に含まれる試料内でのアナライトの存在または不在を検知する方法であって、
試料を含む収集スライドを試料内のアナライトを検知するためのデバイスのドッキング領域内に配置するステップであって、デバイスが、
ハウジング内に設けられたテスト要素、
試料受けオリフィスの円周内に備えられた1つまたは複数の流体移送構造体を有する試料受けオリフィスを備える、収集スライドを受けるためのドッキング領域、および
テスト結果を観察するための結果ウィンドウを備え、
収集スライドが、
溶離液オリフィスを有する第1の耐水性カード、
第1のカードとヒンジで接続され、かつ溶媒オリフィスを有する第2の耐水性カードであって、収集スライドが開位置および閉位置を有する第2の耐水性カード、および
収集スライドが閉位置にあるとき、溶媒と溶離液オリフィス間に存在する試料収集表面を備え、さらに方法は
抽出バッファを収集スライドの溶媒オリフィスに付着させるステップと、
抽出バッファが試料領域を通って、および試料受けオリフィスおよびテスト要素を通って通過することを許すステップと、
結果ウィンドウ内のテスト結果を観察するステップと
を含む、方法。
【請求項15】
テスト要素が、
1つまたは複数の流体移送構造体と流体連通している試料付着ゾーンと、
検定を行うための試薬を備える試薬ゾーンと、
アナライトの存在または不在を検知するためのテストラインを備える検知ゾーンと
を備える吸収性基質を備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
テストラインが、アナライトのための特定の結合分子を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
テストラインが、化学的テストを行うための試薬を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
アナライトが、ヒトヘモグロビンである、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
生物学的試料を収集するためのキットであって、
流体内のアナライトを検知するためのデバイスであって、
テスト要素、
収集スライドと係合し、かつ試料受けオリフィスの円周内に備えられた1つまたは複数の流体移送構造体を有する試料受けオリフィスを備えるためのドッキング領域、
テスト結果を観察するための結果ウィンドウ、
試料コレクタ、
装填された収集デバイスを含むためのエンベロープ、および
使用説明書
を含むハウジングを備えるデバイスと、
収集スライドであって、
内側表面および溶離液オリフィスを有する第1の耐水性カード、
第1のカードにヒンジで接続され、かつ内側表面および溶媒オリフィスを備える第2の耐水性カードであって、収集スライドが、開位置および閉位置を有し、収集スライドが閉位置にある場合に溶媒および溶離液オリフィスが位置合わせされる、第2の耐水性カード、および
収集スライドが閉位置にある場合に溶媒と溶離液オリフィスの間に存在する、試料が収集のために付着される第1の耐水性カード上の試料収集領域
を備える収集スライドと、
試料コレクタと
を備え、それらがパッケージ内に提供される、キット。
【請求項20】
使用説明書に従って検定を行うためのバッファを含む1つまたは複数のビンをさらに備える、請求項19に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−513966(P2009−513966A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537176(P2008−537176)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003909
【国際公開番号】WO2007/049009
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(302044591)インバーネス・メデイカル・スウイツツアーランド・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (38)
【Fターム(参考)】