説明

試料分析装置

【課題】簡単な構成でありながら、るつぼRの上下の反転を判別可能にする。
【解決手段】試料分析装置において、るつぼ設置部33に載置突起332を設け、るつぼRをるつぼ設置部33に上下正向きに設置した場合と、上下逆向きに設置した場合とで、るつぼ設置部33上におけるるつぼRの高さ位置が異なるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鉄鋼や非鉄金属、セラミックスなどの測定試料中に含まれる炭素(C)、窒素(N)、水素(H)、硫黄(S)、酸素(O)等の元素を分析する試料分析装置に関し、特に、るつぼ等の試料容器の上下の反転を検出する機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の試料分析装置において、例えば特許文献1に示すように、上部電極及び下部電極に狭持されたるつぼに測定試料を収容して、電圧を印加することにより、るつぼ内の測定試料を加熱溶解して、それによって生じたガスを分析して前記測定試料の元素を分析する試料分析装置がある。
【0003】
そして、この元素分析装置は、るつぼをるつぼ収容部から落下させて、るつぼ設置部に設置し、当該るつぼ設置部に設置されたるつぼを下部電極上に搬送するようにしている。
【0004】
従来、るつぼ設置部は、図7に示すように、上部に開口したカップ形状をなすものであり、るつぼはるつぼ設置部の凹部底面に載置される。そして、光電センサによりるつぼ設置部上のるつぼの有無が検出される。具体的には、光電センサの発光部から出た光をるつぼ設置部上のるつぼの側面で反射させて、その反射光が光電センサの受光部により検出されたか否かにより、るつぼの有無が検出される。
【0005】
しかしながらこのような構成では、るつぼが上下逆向きに設置された場合であっても、光電センサの光がるつぼに照射されて反射するため、るつぼが設置されていることは検出できるが、るつぼが上下逆向きに設置されたことは検出できないという問題がある。
【0006】
また、るつぼが上下逆向きに設置されたことを検出するためには、別途上下逆向きになっていることを検出するセンサを設ける必要があり、その設置場所の確保、製造コストの増大及び装置構成が複雑になる等の問題がある。
【特許文献1】特許2949501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決するためになされたものであり、簡単且つ安価な構成でありながら、るつぼ等の試料が収容される試料容器の上下の反転を判別可能にすることをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に試料分析装置は、上部が開口して、試料を収容する試料容器が設置される容器設置部を備え、当該試料容器に収容された試料を分析する試料分析装置であって、前記容器設置部が、試料容器を上下正向きに設置した場合に当該試料容器が載置され、試料容器を上下逆向きに設置した場合に当該試料容器内に収容される載置突起を有することを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、試料容器を容器設置部に上下正向きに設置した場合と、上下逆向きに設置した場合とで、容器設置部上における試料容器の高さ位置が異なる。具体的には、上下正向きに設置した場合に比べて上下逆向きに設置した場合の方が低くなる。したがって、試料設置部に載置突起を設けるだけという簡単な且つ安価な構成でありながら、試料容器の上下の反転を簡単に判別することができる。つまり、オペレータは試料容器の高さ位置により視覚的に判別でき、また、試料容器の有無及び上下正逆をセンサにより判別する場合においては、センサを正向きに設置した場合にのみ試料容器を検出できる高さに配置することにより、1つのセンサだけで試料容器の有無及び正逆を判別できるようになる。
【0010】
載置突起上に上下正向きに設置された場合に試料容器が転倒することを好適に防止するためには、前記容器設置部が、前記載置突起の側周に設けられ、前記載置突起上に試料容器が上下正向きに載置された場合に、当該試料容器の転倒を防止する転倒防止面を備えることが望ましい。
【0011】
容器設置部上における試料容器の有無及び反転を自動で検出できるようにするためには、前記載置突起に試料容器が上下正向きに設置された場合にのみ、前記試料容器を検出する容器検知センサをさらに備え、前記容器設置部及び前記容器検知センサにより反転検出機構を構成していることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
このように本発明によれば、簡単且つ安価な構成でありながら、るつぼ等の試料容器の上下の反転を判別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、図1は本実施形態の試料分析装置100の概略構成図、図2はるつぼ供給機構3の構成を示す模式的断面図、図3は案内管の正面図、図4はるつぼ設置部33の構成を示す拡大断面図、図5は反転検出機構4及び反転検出方法を示す模式図である。
【0014】
<装置構成>
本実施形態に係る試料分析装置100は、るつぼR内に収容された金属試料(以下、単に試料とも言う)を加熱溶解し、その際に発生するガス成分を分析することによって、当該試料中に含まれている元素を測定するもので、分析装置本体1と、当該分析装置本体1にるつぼRを搬送するるつぼ搬送機構2と、当該るつぼ搬送機構2に搬送されるるつぼRを供給するるつぼ供給機構3とを備えている。
【0015】
<<分析装置本体1>>
分析装置本体1から説明すると、この分析装置本体1の正面には、図1に示すように、上部電極12及び下部電極11が上下に離間させて設けられており、下部電極11上に、試料を収容したるつぼRを載置できるように構成してある。この図1に示す下部電極11上に載置されたるつぼ位置が加熱位置P1である。なお、図1中、符号13は下部電極11上におけるるつぼの有無を検知する検知センサ(例えば光電センサ)である。また、るつぼRは、上部が開口した円筒状をなす黒鉛を素材としたもので、下端部は先細りのテーパ形状をなしている。なお、るつぼRは、下端部が先細りテーパ形状をなすものの他、下端部の外周に環状凹溝が形成されたものであっても良い。
【0016】
そして分析時は、加熱位置P1に置かれたるつぼRに対して、下部電極11が上方にスライドし、上部電極12との間でるつぼRを挟み込む。この状態で、上部電極12の上方に設けられた試料投入口12Aから、るつぼR内に試料を投入されると、その後、電極11、12間に電流が印加され、るつぼRが発熱して内部の試料が加熱融解される。加熱した試料から発生したガスは、図示しない分析部に送られて成分が測定され、その結果から、試料に元々含まれていた元素が分析される。
【0017】
例えば、試料中の酸素量を測定する場合には、試料の加熱によって反応生成物であるCO(一酸化炭素)を発生させ、COを例えば分析部を構成する非分散形赤外線検出器を用いて測定し、そのCO値に基づいて当該試料中に存在していた酸素量を測定・算出する。その他、反応生成物とそれに応じた分析部を設定することにより、水素や窒素などの成分も測定することができる。なお、分析後は、使用したるつぼRは、るつぼ搬送機構2により試料と共に廃棄処分される。
【0018】
<<るつぼ搬送機構2>>
るつぼ搬送機構2は、図1に示すように、後述するるつぼ設置部33に設置されたるつぼRを、分析装置本体1における加熱位置P1まで搬送するものであり、加熱位置P1(下部電極11)に対して進退移動可能なアーム部21と、当該アーム部21を駆動する駆動機構(図示しない)と、アーム部21の先端に取り付けられた一対の把持爪22とを具備するもので、別に設けた制御機器(図示しない)からの指令によって制御される。
【0019】
アーム部21の基端部は、基台101に設けられた駆動機構の回転軸に連結されており、この駆動機構により、アーム部21は、加熱位置P1及び加熱位置P1から離間した退避位置の間を回転して進退移動する。ここで、退避位置は、加熱位置P1に対して、るつぼ設置部33よりも外方に位置している。また、把持爪22は、少なくとも一方が例えば概略くの字形をなすものである。各把持爪22は、基端部においてアーム部21にスライド駆動可能に保持されており、前記制御機器からの指令で把持爪22間の距離を縮めるようにスライドさせることによって、各把持爪22の中央部分間で前記るつぼRの側周面を狭圧把持できるように構成されている。
【0020】
るつぼ搬送機構2の動作について説明すると、るつぼ搬送時において、アーム部2が退避位置から回転移動して、るつぼ設置部33に至る。そして、把持爪21がるつぼ設置部33にあるるつぼRを把持する。その後、再び回転移動して、加熱位置P1に移動し、加熱位置P1(下部電極11上)にるつぼRを載置する。載置後、アーム部2は退避位置に戻る。また分析後は、アーム部21が退避位置から加熱位置P1に移動し、把持爪21が下部電極11上にあるるつぼRを把持し、図示しない廃棄容器に搬送して廃棄する。
【0021】
<<るつぼ供給機構3>>
るつぼ供給機構3は、るつぼ搬送機構2により搬送されるるつぼRを自動的に供給するものであり、特に図2に示すように、複数のるつぼRを収容可能なるつぼ収容部31と、るつぼ収容部31からるつぼRを自重により落下させる案内路32と、案内路32の出口に設けられ、落下したるつぼRを受け取るるつぼ設置部33と、を備えている。
【0022】
るつぼ収容部31は、複数のるつぼRが並列に載置される傾斜面311と、当該傾斜面311の下方に設けられた排出口312と、傾斜面311の下方に滑下したるつぼRを保持して前記排出口312に移動させるるつぼ排出機構313とを備えている。るつぼ排出機構313としては、例えば、側面にるつぼRを収容する凹部を有し、一軸周りに回転する回転体(図1参照)と、当該回転体を回転させる駆動部(図示しない)とからなり、前記凹部に収容されたるつぼRを回転することにより、排出口312に移動させるものが考えられる。そして、るつぼ排出機構313により、排出口312上部に移動されたるつぼRは自重により、排出口312から落下して排出される。これならば、るつぼRを並列に収容しているので、るつぼRを可及的に多く収容することができる。またるつぼRの自重を用いて排出するようにしているので排出機構313の構造を簡単にすることができる。
【0023】
案内路32は、るつぼRを略鉛直方向に落下させて、るつぼ設置部33に案内するものであり、図2に示すように、るつぼ収容部31の排出口312に連通して、略鉛直に形成されている。
【0024】
また、案内路32は、るつぼ収容部31から導入されたるつぼRを上下正向きの状態のまま落下させるものであり、るつぼRが落下する際に上下反転しない内径、例えば、るつぼRの最長の対角線の長さ寸法よりも小さい内径である。
【0025】
案内管5の側壁には、排出口312から導入されたるつぼR以外の異物(例えばるつぼRの破片等)を出口(導出口32b)に到達させること無く案内管5の外部に排出するための、例えばスリット状の貫通孔5Aが1又は複数個設けられている(図3において3個)。具体的には、案内管5中、傾斜面311に略垂直に設けられた屈曲部51の側壁下方に貫通孔5Aが設けられている。これにより、破片は自重により貫通孔5Aを通って案内管5外に排出される。また、この貫通孔5Aにより、案内路32におけるるつぼRの詰まりを確認することもできる。
【0026】
また、案内路32の出口近傍には、るつぼRの落下速度を低下させるためのテーパ部321が形成されている。このテーパ部321の最小径は、るつぼRの外径よりも若干大きく、るつぼRが通過可能なものである。また案内路32におけるテーパ部321の下流側は、テーパ部321の最小径と同一径を有する。これならば、案内路32の出口近傍におけるるつぼRの落下速度を小さくすることができ、るつぼ設置部33に着地する際のるつぼRの損傷を防止することができる。また、るつぼ設置部33での設置位置の位置ずれを防止することができ、精度良く設置することができる。
【0027】
るつぼ設置部33は、図1及び図2に示すように、基台101に設けられたエアシリンダ等からなる昇降機構34の駆動軸341の先端部に設けられている。そして、るつぼ設置部33は、案内路32に接続されて、落下したるつぼRを受け取る受取位置Q1と、当該受取位置Q1から鉛直下方に離間したるつぼ搬送位置Q2との間を昇降移動するものである。なお、るつぼ設置部33の詳細は後述する。
【0028】
<<反転検出機構4>>
しかして本実施形態のるつぼ供給機構3は、図1及び図2に示すように、るつぼRの上下の反転を検出するための反転検出機構4を備えている。このるつぼ反転検出機構4は、るつぼ設置部33と、るつぼ検知センサ41とから構成される。
【0029】
具体的にるつぼ設置部33は、図4に示すように、るつぼRを収容可能な凹部331xを有し、るつぼRを受け取るるつぼ受け本体331と、当該るつぼ受け本体331の凹部331x内に設けられた載置突起332とを備えている。
【0030】
るつぼ受け本体331は、概略有底円筒形状をなし、内部を視認可能な透明樹脂から形成されており、その凹部331xの内径は、るつぼRの外径よりも大きい。また、るつぼ受け本体331の上端部外周面には、テーパ面331tが形成されている。そして、るつぼ設置部33がるつぼ搬送位置Q2から受取位置Q1に移動するにつれて、前記案内路32を形成する案内管5の出口側端面に設けられたテーパ面5tと嵌ることにより、るつぼ受け本体331及び載置突起332と案内路32との位置決めを行う位置決め機能を発揮する(図2参照)。
【0031】
載置突起332は、るつぼ受け本体331の凹部331x内において同軸上に設けられ、るつぼRが上下正向きに設置された場合には、その略水平な上面332aにるつぼRが載置される。一方、載置突起332は、るつぼRが上下逆向きに設置された場合には、るつぼR内に収容される。この構成により、るつぼRを上下正向きに設置した場合と、るつぼRを上下逆向きに設置した場合とで、るつぼ設置部33におけるるつぼRの高さ位置が異なる。
【0032】
なお、本実施形態の載置突起332は、るつぼ受け本体331の凹部底面331x1に固定されるものであるが、るつぼ受け本体331の略中央部に設けられた貫通孔を通って昇降機構34の駆動軸341に固定されるものであっても良い。
【0033】
具体的に載置突起332は、概略円柱形状をなすものであり、その直径がるつぼRの開口径よりも若干小さく設定されている。より詳細には、載置突起332の直径は、るつぼRを上下正向きに安定して載置するために、るつぼRの開口径よりも小さい範囲で可及的に大きくするとともに、るつぼRが上下逆向きに設置されたときに、るつぼRが自重により載置突起332に嵌合するようにしている。
【0034】
また、載置突起332の長さは、用いられる種々のるつぼRにおいて、いずれの深さ寸法よりも長くして、るつぼRのサイズを問わない構造としている。つまり、上下逆向きに設置した場合に、るつぼRの開口が凹部底面331x1に接触しない長さである。つまり、載置突起332の長さは、上下逆向きに設置した場合に、凹部底面331x1と、るつぼRの開口端面との間に空間が形成されるように設定されている。これにより、るつぼRの破片等の異物が凹部331xに蓄積されている場合であっても、るつぼ受け本体331は、上下逆向きにるつぼRを収容することができる。
【0035】
さらに、載置突起332は、るつぼ受け本体331の凹部331x内に収まる長さである。これにより、るつぼ受け本体331の凹部331xの内側周面331x2は、載置突起332の上部において、載置突起332の周囲に、その外側周面から等間隔に設けられることになる。そうすると、凹部331xの内側周面331x2は、載置突起332にるつぼRが上下正方向に設置された場合において、るつぼRの転倒を防止する転倒防止面としての機能を発揮する。
【0036】
るつぼ検知センサ41は、載置突起332にるつぼRが上下正向きに設置された場合にのみるつぼRを検出する、光を利用したものである。具体的には、光電センサを用いられ、光電センサの発光部を出て受光部に到達する光L1の軌道が、るつぼ設置部33に上下正向きに設置されたるつぼRの外周面で反射して受光部に到達するように構成されている。
【0037】
るつぼ検知センサ41の具体的な設置位置は、図5に示すように、るつぼ設置部33のるつぼ搬送位置Q2の側方に設けられている。より詳細には、るつぼ検知センサ41の発光部から出る光L1の高さ位置が、上下正向きに設置した場合の高さ位置T1と、上下逆向きに設置した場合の高さ位置T2との間に位置するように設けられている。ここで、高さ位置T1、T2とは各設置状態におけるるつぼRの最上端の高さ位置をいう。例えば、上下正向きに設置した場合には、るつぼRの開口が設けられた上面の高さ位置であり、上下逆向きに設置した場合には、るつぼRの底面の高さ位置である。なお、本実施形態では、上下逆向きに設置した場合、るつぼRは、側面視においてるつぼ受け本体331内に収容されて隠れてしまうため、るつぼ受け本体331の最上端の高さ位置よりも高い位置に設けられている。
【0038】
このような構成により、るつぼRを上下正向きに設置した場合には、発光部から出た光L1は、るつぼRの側面により反射されて受光部により受光される。一方、るつぼRを上下逆向きに設置した場合には、発光部から出た光L1は、るつぼRの外側周面により反射されることなく、受光部により受光されない。以上により、るつぼ設置部33にるつぼRが設置されていない場合、設置されていても上下逆向きに設置されている場合には、受光部が光L1を受光しないことから、るつぼRの有無及びるつぼRの反転を検知できる。また、受光部の検知信号は、図示しない報知手段に出力され、警報音等でオペレータに報知するようにしている。なお、るつぼ検知センサ41は、上述した反射型のものに限られず、透過型のものでもよいし、超音波を利用したもの等を用いても構わない。
【0039】
<本実施形態の効果>
【0040】
このように構成した本実施形態に係る試料分析装置1によれば、るつぼRをるつぼ設置部33に上下正向きに設置した場合と、上下逆向きに設置した場合とで、るつぼ設置部33上におけるるつぼRの高さ位置が異なる。具体的には、るつぼRの高さ位置が、上下正向きに設置した場合に比べて上下逆向きに設置した場合の方が低くなる。そして、センサを正向きに設置した場合にのみるつぼRを検出できる高さに配置しているので、1つのセンサだけでるつぼRの有無及び上下正逆をセンサにより判別できる。さらに、るつぼRの破片等の異物を載置突起332の周囲に落とすだけでるつぼ設置部33にるつぼRを安定して設置できるようになり、るつぼ設置部33の清掃が容易になる。
【0041】
<その他の変形実施形態>
【0042】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。以下の説明において前記実施形態に対応する部材には同一の符号を付すこととする。
【0043】
例えば、図6に示すように、るつぼ受け本体331の底壁に、るつぼRの破片などの異物をるつぼ受け本体331から落下させて排出するための排出口331Aを設けるようにしても良い。これならば、るつぼRの破片等の異物がるつぼ受け本体331内に溜まることが無くなり、るつぼRが上下逆向きに設置された場合に、るつぼRが異物に邪魔されることなく、載置突起332に確実に嵌るようにすることができる。
【0044】
また、前記実施形態の載置突起は円柱状であり、その直径がるつぼの開口径よりも小さいものであったが、載置突起の形状は円柱状に限られず、るつぼを上下逆向きに設置した場合に、るつぼ内に収容されるものであれば形状は限定されない。例えば、載置突起が角柱状をなすものであっても良い。
【0045】
さらに、載置突起の長さは前記実施形態に限られず、るつぼの長さ(凹部の深さ)に応じて設定することができる。例えば、載置突起の長さは、上下逆向きに設置した場合に、るつぼの開口が凹部底面に接触する長さであっても良い。これにおいても、るつぼを上下正向きに設置した場合と上下逆向きに設置した場合とで、るつぼ設置部におけるるつぼの高さ位置が異なるので、るつぼの有無及びるつぼの上下の反転を検出することができる。
【0046】
前記実施形態では、るつぼ設置部は、るつぼ収容部から案内路を通じて、るつぼが設置されるものであったが、オペレータが例えばピンセット等を用いて手動で設置するようにしても良い。
【0047】
また、黒鉛るつぼの他に、セラミックるつぼを用いるものであっても良い。この場合、分析装置本体は高周波加熱炉を備えるものであり、試料中に存在する炭素や硫黄などを分析するものであっても良い。
【0048】
その上、前記実施形態では、試料容器がるつぼである試料分析装置に用いるものであったが、その他、試料容器中に試料を収容して、当該試料を分析する試料分析装置であっても良い。
【0049】
その他、前述した実施形態や変形実施形態の一部又は全部を適宜組み合わせてよいし、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態に係る試料分析装置の模式的構成図。
【図2】同実施形態におけるるつぼ供給機構の模式的構成図。
【図3】同実施形態における案内管の正面図。
【図4】るつぼ設置部の構成を示す拡大断面図。
【図5】反転検出機構及び反転検出方法を示す図。
【図6】変形実施形態に係るるつぼ設置部の断面図。
【図7】従来のるつぼ設置部の構成を示す図。
【符号の説明】
【0051】
100 ・・・試料分析装置
R ・・・るつぼ(試料容器)
33 ・・・るつぼ設置部(容器設置部)
332 ・・・載置突起
331x2・・・凹部の内側周面(転倒防止面)
41 ・・・るつぼ検知センサ(容器検知センサ)
4 ・・・反転検出機構


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口した試料容器が設置される容器設置部を備え、当該試料容器に収容された試料を分析する試料分析装置であって、
前記容器設置部が、試料容器を上下正向きに設置した場合に当該試料容器が載置され、試料容器を上下逆向きに設置した場合に当該試料容器内に収容される載置突起を有する試料分析装置。
【請求項2】
前記容器設置部が、前記載置突起の周囲に設けられ、前記載置突起上に試料容器が上下正向きに載置された場合に、当該試料容器の転倒を防止する転倒防止面を備える請求項1記載の試料分析装置。
【請求項3】
前記載置突起に試料容器が上下正向きに設置された場合にのみ、前記試料容器を検出する容器検知センサをさらに備える請求項1又は2記載の試料分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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