試薬ボトル収容装置
【課題】試薬ボトルを収容する際、ボトルホルダの装着を容易とする。
【解決手段】試薬ボトル収容装置24の収容部開口の周囲に締結ベース56を固定する。締結ベース56には案内条62が設けられている。締結ベース56に係合させて、締結リング58を配置する。締結リング58の内周面には案内条62と係合する従動突起70が設けられている。また、締結リング58には、ボトルホルダの係合ピンに係合する係合つば68が設けられている。締結リング58を時計回りに回転させると、従動突起70は案内条62に沿って、下向きに移動する。この移動により、係合つば68が係合ピンを下方に移動させ、ボトルホルダを試薬ボトルに押しつける。これにより試薬ボトルの開口がシールされる。
【解決手段】試薬ボトル収容装置24の収容部開口の周囲に締結ベース56を固定する。締結ベース56には案内条62が設けられている。締結ベース56に係合させて、締結リング58を配置する。締結リング58の内周面には案内条62と係合する従動突起70が設けられている。また、締結リング58には、ボトルホルダの係合ピンに係合する係合つば68が設けられている。締結リング58を時計回りに回転させると、従動突起70は案内条62に沿って、下向きに移動する。この移動により、係合つば68が係合ピンを下方に移動させ、ボトルホルダを試薬ボトルに押しつける。これにより試薬ボトルの開口がシールされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試薬ボトルより試薬を吸引可能な状態とする一方、空気中の特定成分と反応しないように保存する試薬ボトル収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置においては、キュベットと呼ばれる試験管様の容器に検体を分注し、ここにさらに試薬を分注して、検体と薬品を反応させる。試薬には、空気中の特定の成分、例えば二酸化炭素と反応するものがあり、試薬の入った容器を密封し、空気と直接触れないようにしつつ、薬品を吸引し、分注する必要がある。
【0003】
試薬ボトルの概略構成が図10に示されている。試薬ボトル10は、全体として円筒形状であり開口12のやや奥側に試薬が空気の特定成分と反応しないようにアルミニウムのシール膜14が貼られ、内部をシールした状態となっている。試薬ボトル10の底面には斜面15が形成されている。試薬ボトル10は、この斜面が底となるように傾けて収容され、試薬が残り少なくなって吸引できなくなる量を最小限にするようにしている。
【0004】
図11にはボトルホルダ16、図12には試薬ボトル収容装置18の外観が示されている。試薬ボトル10を収容する際には、まず試薬ボトル10を試薬ボトル収容装置18の収容部に収め、その後、試薬ボトル10にかぶせるようにボトルホルダ16を装着する。ボトルホルダ16には、試薬を吸引する吸引管などが備えられており、このボトルホルダを装着する際、吸引管がシール膜を刺し貫く。また、ボトルホルダ16の外周面には係合ピン20が設けられており、この係合ピン20を、収容装置18の収容部の開口に設けられた切り欠き22に合わせて挿入し、さらに回転させて固定する。係合ピン20は、収容装置18の内壁に設けられた溝に案内されて、ボトルホルダ16を試薬ボトル10に押しつける。ボトルホルダ16の、試薬ボトル10の開口12に対向する面には、開口をシールするためのパッキンが配置されており、このパッキンが開口に押しつけられて、試薬ボトル10の内部がシールされる。
【0005】
分析装置の試薬ボトルに関しては、下記特許文献1に記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開平5−302924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のようにボトルホルダ16を回転させて装着する際、試薬ボトル10は、収容装置18の内部で斜面を下にした状態で動かないようになっており、ボトルホルダ16装着時には、吸引管などがシール膜14を破りながらボトルホルダを回転させることになる。また、試薬ボトル10の開口を密閉するために、ボトルホルダ16の内側に設けられたパッキンも引きずるようにして、ボトルホルダを回転させることになる。このため、非常に大きな力で回転させる必要があり、作業性が悪いという問題があった。
【0008】
本発明は、試薬ボトルの収容作業を容易なものとすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の試薬ボトル収容装置は、試薬ボトルを収容する収容部の開口の縁に締結ベースを設け、さらにこの締結ベースと係合する締結リングを備える。試薬ボトル10の蓋となる蓋体を装着する際には、蓋体は回転させずに、締結リングを締結ベースに対して回転させる。締結リングは従動部を有し、この従動部が締結ベースに設けられた案内部に沿って動き、これにより、締結リングは試薬ボトル収容装置の収容部に向けて移動する。一方、締結リングは、蓋体の側面に突設された係合ピンと係合しており、先の収容部への移動により、蓋体を収容部、すなわち試薬ボトルに向けて移動させる。これにより、試薬ボトルのシールが行われる。
【発明の効果】
【0010】
蓋体を回転させる必要がなく、試薬ボトルの収容作業を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、図面に従って説明する。図1には、本実施形態の試薬ボトル収容装置24の外観が示されている。収容するボトルは、前述した試薬ボトル10と同じものであり、また、ボトルホルダ16も同じものを用いる。
【0012】
図2には、試薬ボトル収容装置24の断面図が示されている。図示されるように試薬ボトル10は、底に設けられた斜面15が下になるように傾けて収容されている。斜面15と底面の境界が最も下となっており、そこに吸引管26が延びてきている。収容装置24の収容部を構成するアルミニウム製のシリンダ28の底部分には、試薬ボトル10の底部の形状に合わせた、同じくアルミニウム製の受け皿30が配置されている。シリンダ28および受け皿30がペルチエユニット32により冷却されて、試薬ボトル内の試薬を低温に維持する。シリンダ28を囲んでいるのは断熱材34である。
【0013】
図3には、試薬ボトル10とボトルホルダ16が示されている。ボトルホルダ16は、吸引管26など、ボトル内部と外部を連通する管などを備えた蓋部36と、試薬ボトル10を保持する円筒部38に大別される。蓋部36は、概略、底面を有する円筒形状であり、円筒の側面40に係合ピン20が外側に向けて突出して設けられている。円筒の底面に相当する蓋面42には、図4に示すように、すでに述べた吸引管26の他、液面を検出するための2本の電極44、および試薬が持ち出された分、外気を導入するための導入管46が固定されている。図4には、これらの管と電極が、蓋部36を取り去った状態で示されている。導入管46には、空気をそのまま導入しては、試薬と反応してしまうので、除去すべき成分の吸着剤が詰まった吸着筒47が連結されている。
【0014】
図5には、蓋部36付近の拡大断面図が示されている。この図において、シール膜14は省略されているが、実際には、試薬ボトル10の開口よりやや奥側に設けられた環状の溝48に装着されている。蓋部36の蓋面42の内側には、柔軟性のある材料、例えばゴムなどのパッキン50が配置され、試薬ボトル10の開口12に当接して、ボトル内部をシールしている。吸引管26は、パッキン50を含む蓋部36を貫いて、図中右方に延び、先端にコネクタ52が設けられている。また、電極44も同様に蓋部36を貫いて右方に延び、先端に接点が設けられている。蓋部36の側面40には、径方向外側に向けて突出した係合ピン20が設けられている。係合ピン20は、本実施形態においては2本であるが、この数は適宜選択することができ、2本を超えて設けることもできる。
【0015】
収容部の開口54には、係合ピン20と係合してボトルホルダ16を装着固定する締結ベース56および締結リング58が配置されている。図6には、締結ベース56と締結リング58が分解斜視図にて示されている。締結リング58は一部が破断されて示されているが、実際には全体として環形状である。締結ベース56は概略環形状であり、収容部の開口54を囲むように収容装置24の本体60に固定されている。図7には、締結ベース56の斜視図が示されている。締結ベース56の外周面には案内条62が6本設けられている。案内条62は、傾斜部62aと水平部62bとストップ部62cが順に配列されている。また、切り欠き64が円周上に2個設けられている。この切り欠き64に、ボトルホルダ16の係合ピン20が嵌り、ボトルホルダの位置決めがなされる。
【0016】
図8には、締結リング58の詳細図が示されている。図8(a)は断面図、図8(b)は図6の下側よりみた図である。締結リング58は、円筒形状の側面66と、側面の一端より内側に向いてせり出すように設けられた係合つば68と、側面の他端より内側に向けて突出した従動突起70を有している。さらに、係合つば68には、円周上の2カ所に切り欠き72が形成されている。係合つば68は、図5に示すように、係合ピン20の上側に当接するものである。係合つばに設けられた切り欠き72は、ボトルホルダ16の装着時に、係合ピン20を係合つば68の下側に導入するために設けられている。従動突起70は、締結ベースの案内条62の下側に係合する。締結リング58は、締結ベース56に対し、従動突起70が案内条のストップ部62cに当接するまでの範囲で回転が許容され、これに係合している。従動突起70が案内条の傾斜部62aに係合している状態で締結リング58を時計回りに回転させると、従動突起70は、傾斜部62aの傾斜に沿って下へ移動する。これにより、締結リング58全体も下側に移動する。従動突起70が水平部62bに沿って移動するときは下方への移動は生じない。締結リング58が締結された状態では、従動突起70は水平部62bに係合しており、締結リングをゆるませる方向の力を生じさせないようになっている。
【0017】
試薬ボトル10の収容方法を図9を用いて説明する。図9は、すでに試薬ボトルが収容装置24の収容部に収められた状態を示している。図2にも示したように、試薬ボトル10の底部には斜面15が形成されており、これが下になるように、傾けて収容されている。締結リング58の切り欠き72を、締結ベース64の切り欠き64と合わせるように締結リング58を回転させる。この状態が、図9に示されている。この切り欠き72,64に、係合ピン20を合わせるようにして、ボトルホルダ16を収容部に向けて挿入する。このとき、ボトルホルダ16に備えられている吸引管26、導入管46および電極44が、シール膜14を差し貫いて、内部に挿入される。係合ピン20が、締結ベースの切り欠き64に嵌ると、ボトルホルダ16は、回転方向に関して位置決めされる。この状態で、締結リング58を回転させると、係合ピン20の上側、すなわち収容部と反対側の面が係合つば68に係合する。さらに、締結リング58を時計回りに回転させると、従動突起70が、案内条62に沿って移動して、係合つば68が係合ピン20を下方に向けて移動させる。これによりボトルホルダ16全体が、収容部に収められている試薬ボトル10に向けて移動される。ボトルホルダ16の蓋面42の内側に配置されてパッキン50は、試薬ボトルの開口12に当接し、ボトル内部がシールされる。
【0018】
以上のように、本実施形態の試薬ボトル収容装置24においては、ボトルホルダ16は回転させず、締結リング58を回転させることにより、試薬ボトルの密閉等を行っている。前述のように、試薬ボトル10は、斜面15が下になるように配置する必要があり、これがずれないようにするため、収容部に収容された後、回転させることはできない。このため、ボトルホルダ16を回転させようとすると、パッキンを引きずって回転させることとなり、大きな力が必要となる。しかし、本実施形態においては、ボトルホルダ16と試薬ボトル10が相対回転せず、小さな力で締結ができる。
【0019】
また、吸引管26は、試薬ボトル10の最も下となる位置に向けて挿入する必要があるため、ボトルの開口12の中心からずれた位置にある。このため、ボトルホルダ16を回転させる場合には、吸引管26も弧を描くように動き、シール膜14を破りながらボトルホルダを回転させることになり、大きな力が必要となる。さらに、多数の管などがシール膜を貫いていれば、ボトルホルダを回転させるに、より大きな力が必要となる。しかしながら、本実施形態においては、ボトルホルダ16と試薬ボトル10が相対回転せず、小さな力で締結ができる。
【0020】
また、ボトルホルダの蓋部36には、吸着筒47や電極44、吸引管26など、多くの部品が設けられており、握りが不完全になりやすく、大きな力をかけにくい。さらに、設けられている部品を損傷する可能性もある。本実施形態では、直接ボトルホルダ16に力を加えることはなく、容易に装着ができ、また部品の損傷も抑制できる。
【0021】
なお、本実施形態においては、締結ベース56に突出した条として案内条62を設けたが、彫り込んだ溝を設け、この溝に沿って従動突起を移動させるようにしてもよい。また、案内条または案内溝を締結リング側に設け、締結ベース側に従動突起を設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態の試薬ボトル収容装置24の外観を示す斜視図である。
【図2】試薬ボトル収容装置24の断面図である。
【図3】ボトルホルダと試薬ボトルを示す斜視図である。
【図4】ボトルホルダに設けられている管などを示す斜視図である。
【図5】試薬ボトルの開口付近の、試薬ボトルおよびボトルホルダの詳細断面図である。
【図6】締結リングと締結ベースを示す分解斜視図である。
【図7】締結ベースを示す斜視図である。
【図8】締結リングを示す断面図および底面図である。
【図9】ボトルホルダの装着作業の説明図である。
【図10】試薬ボトルを示す斜視図である。
【図11】ボトルホルダを示す斜視図である。
【図12】従来の試薬ボトル収容装置18の外観を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
10 試薬ボトル、14 シール膜、15 斜面、16 ボトルホルダ、20 係合ピン、24 試薬ボトル収容装置、26 吸引管、36 蓋部、38 円筒部、40 蓋部の側面、42 蓋部の蓋面、44 電極、46 導入管、50 パッキン、54 収容部の開口、56 締結ベース、58 締結リング、62 案内条、64 締結ベースの切り欠き、68 係合つば、70 従動突起、72 締結リングの切り欠き。
【技術分野】
【0001】
本発明は、試薬ボトルより試薬を吸引可能な状態とする一方、空気中の特定成分と反応しないように保存する試薬ボトル収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置においては、キュベットと呼ばれる試験管様の容器に検体を分注し、ここにさらに試薬を分注して、検体と薬品を反応させる。試薬には、空気中の特定の成分、例えば二酸化炭素と反応するものがあり、試薬の入った容器を密封し、空気と直接触れないようにしつつ、薬品を吸引し、分注する必要がある。
【0003】
試薬ボトルの概略構成が図10に示されている。試薬ボトル10は、全体として円筒形状であり開口12のやや奥側に試薬が空気の特定成分と反応しないようにアルミニウムのシール膜14が貼られ、内部をシールした状態となっている。試薬ボトル10の底面には斜面15が形成されている。試薬ボトル10は、この斜面が底となるように傾けて収容され、試薬が残り少なくなって吸引できなくなる量を最小限にするようにしている。
【0004】
図11にはボトルホルダ16、図12には試薬ボトル収容装置18の外観が示されている。試薬ボトル10を収容する際には、まず試薬ボトル10を試薬ボトル収容装置18の収容部に収め、その後、試薬ボトル10にかぶせるようにボトルホルダ16を装着する。ボトルホルダ16には、試薬を吸引する吸引管などが備えられており、このボトルホルダを装着する際、吸引管がシール膜を刺し貫く。また、ボトルホルダ16の外周面には係合ピン20が設けられており、この係合ピン20を、収容装置18の収容部の開口に設けられた切り欠き22に合わせて挿入し、さらに回転させて固定する。係合ピン20は、収容装置18の内壁に設けられた溝に案内されて、ボトルホルダ16を試薬ボトル10に押しつける。ボトルホルダ16の、試薬ボトル10の開口12に対向する面には、開口をシールするためのパッキンが配置されており、このパッキンが開口に押しつけられて、試薬ボトル10の内部がシールされる。
【0005】
分析装置の試薬ボトルに関しては、下記特許文献1に記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開平5−302924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のようにボトルホルダ16を回転させて装着する際、試薬ボトル10は、収容装置18の内部で斜面を下にした状態で動かないようになっており、ボトルホルダ16装着時には、吸引管などがシール膜14を破りながらボトルホルダを回転させることになる。また、試薬ボトル10の開口を密閉するために、ボトルホルダ16の内側に設けられたパッキンも引きずるようにして、ボトルホルダを回転させることになる。このため、非常に大きな力で回転させる必要があり、作業性が悪いという問題があった。
【0008】
本発明は、試薬ボトルの収容作業を容易なものとすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の試薬ボトル収容装置は、試薬ボトルを収容する収容部の開口の縁に締結ベースを設け、さらにこの締結ベースと係合する締結リングを備える。試薬ボトル10の蓋となる蓋体を装着する際には、蓋体は回転させずに、締結リングを締結ベースに対して回転させる。締結リングは従動部を有し、この従動部が締結ベースに設けられた案内部に沿って動き、これにより、締結リングは試薬ボトル収容装置の収容部に向けて移動する。一方、締結リングは、蓋体の側面に突設された係合ピンと係合しており、先の収容部への移動により、蓋体を収容部、すなわち試薬ボトルに向けて移動させる。これにより、試薬ボトルのシールが行われる。
【発明の効果】
【0010】
蓋体を回転させる必要がなく、試薬ボトルの収容作業を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、図面に従って説明する。図1には、本実施形態の試薬ボトル収容装置24の外観が示されている。収容するボトルは、前述した試薬ボトル10と同じものであり、また、ボトルホルダ16も同じものを用いる。
【0012】
図2には、試薬ボトル収容装置24の断面図が示されている。図示されるように試薬ボトル10は、底に設けられた斜面15が下になるように傾けて収容されている。斜面15と底面の境界が最も下となっており、そこに吸引管26が延びてきている。収容装置24の収容部を構成するアルミニウム製のシリンダ28の底部分には、試薬ボトル10の底部の形状に合わせた、同じくアルミニウム製の受け皿30が配置されている。シリンダ28および受け皿30がペルチエユニット32により冷却されて、試薬ボトル内の試薬を低温に維持する。シリンダ28を囲んでいるのは断熱材34である。
【0013】
図3には、試薬ボトル10とボトルホルダ16が示されている。ボトルホルダ16は、吸引管26など、ボトル内部と外部を連通する管などを備えた蓋部36と、試薬ボトル10を保持する円筒部38に大別される。蓋部36は、概略、底面を有する円筒形状であり、円筒の側面40に係合ピン20が外側に向けて突出して設けられている。円筒の底面に相当する蓋面42には、図4に示すように、すでに述べた吸引管26の他、液面を検出するための2本の電極44、および試薬が持ち出された分、外気を導入するための導入管46が固定されている。図4には、これらの管と電極が、蓋部36を取り去った状態で示されている。導入管46には、空気をそのまま導入しては、試薬と反応してしまうので、除去すべき成分の吸着剤が詰まった吸着筒47が連結されている。
【0014】
図5には、蓋部36付近の拡大断面図が示されている。この図において、シール膜14は省略されているが、実際には、試薬ボトル10の開口よりやや奥側に設けられた環状の溝48に装着されている。蓋部36の蓋面42の内側には、柔軟性のある材料、例えばゴムなどのパッキン50が配置され、試薬ボトル10の開口12に当接して、ボトル内部をシールしている。吸引管26は、パッキン50を含む蓋部36を貫いて、図中右方に延び、先端にコネクタ52が設けられている。また、電極44も同様に蓋部36を貫いて右方に延び、先端に接点が設けられている。蓋部36の側面40には、径方向外側に向けて突出した係合ピン20が設けられている。係合ピン20は、本実施形態においては2本であるが、この数は適宜選択することができ、2本を超えて設けることもできる。
【0015】
収容部の開口54には、係合ピン20と係合してボトルホルダ16を装着固定する締結ベース56および締結リング58が配置されている。図6には、締結ベース56と締結リング58が分解斜視図にて示されている。締結リング58は一部が破断されて示されているが、実際には全体として環形状である。締結ベース56は概略環形状であり、収容部の開口54を囲むように収容装置24の本体60に固定されている。図7には、締結ベース56の斜視図が示されている。締結ベース56の外周面には案内条62が6本設けられている。案内条62は、傾斜部62aと水平部62bとストップ部62cが順に配列されている。また、切り欠き64が円周上に2個設けられている。この切り欠き64に、ボトルホルダ16の係合ピン20が嵌り、ボトルホルダの位置決めがなされる。
【0016】
図8には、締結リング58の詳細図が示されている。図8(a)は断面図、図8(b)は図6の下側よりみた図である。締結リング58は、円筒形状の側面66と、側面の一端より内側に向いてせり出すように設けられた係合つば68と、側面の他端より内側に向けて突出した従動突起70を有している。さらに、係合つば68には、円周上の2カ所に切り欠き72が形成されている。係合つば68は、図5に示すように、係合ピン20の上側に当接するものである。係合つばに設けられた切り欠き72は、ボトルホルダ16の装着時に、係合ピン20を係合つば68の下側に導入するために設けられている。従動突起70は、締結ベースの案内条62の下側に係合する。締結リング58は、締結ベース56に対し、従動突起70が案内条のストップ部62cに当接するまでの範囲で回転が許容され、これに係合している。従動突起70が案内条の傾斜部62aに係合している状態で締結リング58を時計回りに回転させると、従動突起70は、傾斜部62aの傾斜に沿って下へ移動する。これにより、締結リング58全体も下側に移動する。従動突起70が水平部62bに沿って移動するときは下方への移動は生じない。締結リング58が締結された状態では、従動突起70は水平部62bに係合しており、締結リングをゆるませる方向の力を生じさせないようになっている。
【0017】
試薬ボトル10の収容方法を図9を用いて説明する。図9は、すでに試薬ボトルが収容装置24の収容部に収められた状態を示している。図2にも示したように、試薬ボトル10の底部には斜面15が形成されており、これが下になるように、傾けて収容されている。締結リング58の切り欠き72を、締結ベース64の切り欠き64と合わせるように締結リング58を回転させる。この状態が、図9に示されている。この切り欠き72,64に、係合ピン20を合わせるようにして、ボトルホルダ16を収容部に向けて挿入する。このとき、ボトルホルダ16に備えられている吸引管26、導入管46および電極44が、シール膜14を差し貫いて、内部に挿入される。係合ピン20が、締結ベースの切り欠き64に嵌ると、ボトルホルダ16は、回転方向に関して位置決めされる。この状態で、締結リング58を回転させると、係合ピン20の上側、すなわち収容部と反対側の面が係合つば68に係合する。さらに、締結リング58を時計回りに回転させると、従動突起70が、案内条62に沿って移動して、係合つば68が係合ピン20を下方に向けて移動させる。これによりボトルホルダ16全体が、収容部に収められている試薬ボトル10に向けて移動される。ボトルホルダ16の蓋面42の内側に配置されてパッキン50は、試薬ボトルの開口12に当接し、ボトル内部がシールされる。
【0018】
以上のように、本実施形態の試薬ボトル収容装置24においては、ボトルホルダ16は回転させず、締結リング58を回転させることにより、試薬ボトルの密閉等を行っている。前述のように、試薬ボトル10は、斜面15が下になるように配置する必要があり、これがずれないようにするため、収容部に収容された後、回転させることはできない。このため、ボトルホルダ16を回転させようとすると、パッキンを引きずって回転させることとなり、大きな力が必要となる。しかし、本実施形態においては、ボトルホルダ16と試薬ボトル10が相対回転せず、小さな力で締結ができる。
【0019】
また、吸引管26は、試薬ボトル10の最も下となる位置に向けて挿入する必要があるため、ボトルの開口12の中心からずれた位置にある。このため、ボトルホルダ16を回転させる場合には、吸引管26も弧を描くように動き、シール膜14を破りながらボトルホルダを回転させることになり、大きな力が必要となる。さらに、多数の管などがシール膜を貫いていれば、ボトルホルダを回転させるに、より大きな力が必要となる。しかしながら、本実施形態においては、ボトルホルダ16と試薬ボトル10が相対回転せず、小さな力で締結ができる。
【0020】
また、ボトルホルダの蓋部36には、吸着筒47や電極44、吸引管26など、多くの部品が設けられており、握りが不完全になりやすく、大きな力をかけにくい。さらに、設けられている部品を損傷する可能性もある。本実施形態では、直接ボトルホルダ16に力を加えることはなく、容易に装着ができ、また部品の損傷も抑制できる。
【0021】
なお、本実施形態においては、締結ベース56に突出した条として案内条62を設けたが、彫り込んだ溝を設け、この溝に沿って従動突起を移動させるようにしてもよい。また、案内条または案内溝を締結リング側に設け、締結ベース側に従動突起を設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態の試薬ボトル収容装置24の外観を示す斜視図である。
【図2】試薬ボトル収容装置24の断面図である。
【図3】ボトルホルダと試薬ボトルを示す斜視図である。
【図4】ボトルホルダに設けられている管などを示す斜視図である。
【図5】試薬ボトルの開口付近の、試薬ボトルおよびボトルホルダの詳細断面図である。
【図6】締結リングと締結ベースを示す分解斜視図である。
【図7】締結ベースを示す斜視図である。
【図8】締結リングを示す断面図および底面図である。
【図9】ボトルホルダの装着作業の説明図である。
【図10】試薬ボトルを示す斜視図である。
【図11】ボトルホルダを示す斜視図である。
【図12】従来の試薬ボトル収容装置18の外観を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
10 試薬ボトル、14 シール膜、15 斜面、16 ボトルホルダ、20 係合ピン、24 試薬ボトル収容装置、26 吸引管、36 蓋部、38 円筒部、40 蓋部の側面、42 蓋部の蓋面、44 電極、46 導入管、50 パッキン、54 収容部の開口、56 締結ベース、58 締結リング、62 案内条、64 締結ベースの切り欠き、68 係合つば、70 従動突起、72 締結リングの切り欠き。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口にシール膜を貼られた試薬ボトルを収容する試薬ボトル収容装置であって、
試薬ボトルを収容する収容部を有する収容庫と、
略円筒の側面と円筒の底面である蓋面とを有し、試薬ボトルの開口に蓋をする蓋体であって、蓋面の中心からずれた位置を貫通し、ボトル内部の薬品を吸引する吸引管と、径方向外側に向けて側面に突出して設けられた係合ピンと、を有する蓋体と、
収容装置の試薬ボトルを収容する収容部の開口の縁に沿って設けられた締結ベースと、
締結ベースと同軸に配置され、これと係合する締結リングと、
を有し、
締結ベースと締結リングの対向する面の一方には案内部が設けられ、他方には案内部に沿って移動する従動部が設けられ、
締結リングには、さらに蓋体の係合ピンと係合する係合つばが設けられ、
試薬ボトルを収容する際には、試薬ボトルのシール膜を蓋体の吸引管で刺し貫き、締結リングの係合つばを蓋体の係合ピンと係合させ、
さらに、締結リングを回転させて、締結リングの従動部と締結ベースの案内部の係合によって締結リングを収容部側に移動させ、これにより蓋体の蓋面が試薬ボトル開口に対して押しつけられてボトル内部を密閉する、
試薬ボトル収容装置。
【請求項2】
請求項1に記載の試薬ボトル収容装置であって、
さらに、蓋体の蓋面を、薬品容器内部に外気を導入する導入管と、薬品の残量を検出する2本の電極とが貫いている、
試薬ボトル収容装置。
【請求項3】
請求項1に記載の試薬ボトル収容装置であって、
締結ベースには、蓋体の係合ピンが嵌る切り欠きが設けられ、
締結リングの係合つばには、蓋体を締結ベースの切り欠きに導くための切り欠きが設けられた、
試薬ボトル収容装置。
【請求項1】
開口にシール膜を貼られた試薬ボトルを収容する試薬ボトル収容装置であって、
試薬ボトルを収容する収容部を有する収容庫と、
略円筒の側面と円筒の底面である蓋面とを有し、試薬ボトルの開口に蓋をする蓋体であって、蓋面の中心からずれた位置を貫通し、ボトル内部の薬品を吸引する吸引管と、径方向外側に向けて側面に突出して設けられた係合ピンと、を有する蓋体と、
収容装置の試薬ボトルを収容する収容部の開口の縁に沿って設けられた締結ベースと、
締結ベースと同軸に配置され、これと係合する締結リングと、
を有し、
締結ベースと締結リングの対向する面の一方には案内部が設けられ、他方には案内部に沿って移動する従動部が設けられ、
締結リングには、さらに蓋体の係合ピンと係合する係合つばが設けられ、
試薬ボトルを収容する際には、試薬ボトルのシール膜を蓋体の吸引管で刺し貫き、締結リングの係合つばを蓋体の係合ピンと係合させ、
さらに、締結リングを回転させて、締結リングの従動部と締結ベースの案内部の係合によって締結リングを収容部側に移動させ、これにより蓋体の蓋面が試薬ボトル開口に対して押しつけられてボトル内部を密閉する、
試薬ボトル収容装置。
【請求項2】
請求項1に記載の試薬ボトル収容装置であって、
さらに、蓋体の蓋面を、薬品容器内部に外気を導入する導入管と、薬品の残量を検出する2本の電極とが貫いている、
試薬ボトル収容装置。
【請求項3】
請求項1に記載の試薬ボトル収容装置であって、
締結ベースには、蓋体の係合ピンが嵌る切り欠きが設けられ、
締結リングの係合つばには、蓋体を締結ベースの切り欠きに導くための切り欠きが設けられた、
試薬ボトル収容装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−93256(P2007−93256A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−279542(P2005−279542)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(390029791)アロカ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(390029791)アロカ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】
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