説明

試験システム

【課題】ハードウエアの知識がなくても、測定器と被試験器との間の接続状態を変更することを、容易に行うことができることのできる試験システムを提供する。
【解決手段】複数の測定器と、複数の測定器と複数の被試験器との間の接続状態を切り換える複数のリレーと、複数のリレーを制御する制御装置とを備え、複数の測定器を用いて複数の被試験器に対して試験を行う試験システムを、制御装置が、各測定器の接続端子と各被試験器の接続端子をパラメータとするリレー設定状態を記憶するリレー設定状態記憶部と、使用する測定器と被試験器を前記パラメータを用いて指定する試験プログラムを動作させる制御部とを備え、制御部が、試験プログラム中の前記パラメータを読み取るパラメータ読取部と、該パラメータ読取部で読み取ったパラメータに基づき複数のリレーの接続状態を設定するリレー設定部を備えるよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被試験器に対し測定器を接続して測定や試験を行うための試験システムに関し、特に、複数の測定器と複数の被試験器との間を、リレー等の切換器により接続する試験システムにおいて、測定器と被試験器との間の接続切換を容易にすることのできる試験システムに関する。
【背景技術】
【0002】
所定の試験手順に従って測定器等の動作を制御し、試験対象である被試験器からの出力信号を測定する試験システムが知られている(例えば特許文献1参照)。この試験システムでは、試験システムの制御部が、各測定器の構成配置図を有しており、該構成配置図に基づいて、各測定器に関する表示や各被試験器の測定結果に関する表示を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−292723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来の試験システムにおいては、制御部の保存する各測定器の構成配置図は固定されており、かつ、各測定器と制御部との接続関係も固定されていた。そして、制御部のソフトウエアにより、例えば図4に示すように、測定器と被試験器との間をリレーにより接続する場合は、被試験器の試験項目毎に、図5に示すようなリレー設定表を作成し、このリレー設定表に基づき、試験プログラムのソフトウエアを作成し、該試験プログラムによりリレーのON/OFF制御を行っていた。
【0005】
図4は、測定器と被試験器との間のリレーの接続例を示す図である。図4において、11(1)、11(2)は測定器であり、13(1)、13(2)は、それぞれ切換器であるリレーユニット1、リレーユニット2である。12は、被試験器であり、テスト中の被試験器(DUT:Device under test)である。リレーユニット1は、内部に、リレー11、リレー12、リレー13を備える。リレーユニット2は、内部に、リレー21、リレー22、リレー23を備える。
【0006】
図5は、従来例に係るリレー設定表の構成例を示す図である。図5においては、被試験器の試験項目毎に、リレーが設定されている。例えば、試験項目1の場合は、リレーユニット1のリレー11をON、リレー12をOFF、リレー13をONし、リレーユニット2のリレー21をON、リレー22をOFF、リレー23をONすることにより、測定器11(1)の端子と、被試験器12のDUT1の端子Aを接続する。図5において、(A001)〜(B003)は、それぞれ、リレー11〜リレー23を表すパラメータであり、このパラメータは、試験プログラム中で用いられるものである。例えば、上述した試験項目1の場合は、「RELAY RELAY ON A001/A003/B001/B003」のように、試験プログラム中に記述される。制御部は、このパラメータ記述を解読して、図4のようにリレー接続状態を設定するようにしている。
【0007】
そのため、試験システムの構成を再構築して、測定器と被試験器との間の接続状態を変更する場合は、リレー設定表と制御ソフトウエアを修正しなければならず、その際は、どのリレーを接続すべきか回路図から追っていくことになる。したがって、ハードウエアの知識が必要となり、測定器と被試験器との間の接続状態を変更することが容易でないという課題があった。
本発明の目的は、上記の課題を解決し、測定器と被試験器との間の接続状態を変更することが容易にできる試験システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための、本願発明の試験システムの代表的な構成は、次のとおりである。すなわち、
複数の測定器と、複数の測定器と複数の被試験器との間の接続状態を切り換える複数のリレーと、複数の測定器と前記複数のリレーを制御する制御装置とを備え、複数の測定器を用いて複数の被試験器に対して試験を行う試験システムであって、
前記制御装置は、各測定器の接続端子と各被試験器の接続端子をパラメータとするリレー設定状態を記憶するリレー設定状態記憶部と、使用する測定器と被試験器を前記パラメータを用いて指定する試験プログラムを動作させる制御部とを備え、
前記制御部は、前記試験プログラム中の前記パラメータを読み取るパラメータ読取部と、該パラメータ読取部で読み取ったパラメータに基づきリレーの接続状態を設定するリレー設定部を備えることを特徴とする試験システム。
【発明の効果】
【0009】
このような構成によれば、測定器と被試験器との間の接続状態を変更することを、容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る試験システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明に係る制御装置の機能ブロックの構成例を示す図である。
【図3】本発明に係るリレー設定状態記憶部の構成例を示す図である。
【図4】測定器と被試験器との間のリレーの接続例を示す図である。
【図5】従来例に係るリレー設定表の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る試験システムの実施例について、図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る試験システムの構成例を示す図である。図1の例では、試験システムは、制御装置10、複数の測定器11、試験対象である電子機器等の複数の被試験器12、被試験器12に接続する測定器11を、複数の測定器11の中から選択して切り換えるための切換器13を備えている。切換器13は、複数のリレーにより、複数の測定器11と複数の被試験器12との間の測定経路の切換を行うものである。
複数の測定器11(1)〜(n)には、特定の被試験器専用の専用試験器や、信号発生器やスペクトルアナライザ等の汎用測定器が含まれる。
【0012】
制御装置10と測定器11との間、制御装置10と切換器13との間、切換器13と被試験器12との間は、LAN(Local Erea Netowork)、あるいはGP―IB(General Purpose Interface Bus)によりケーブル接続され、制御信号を通信可能としている。本例では、制御装置10は、無線機等の被試験器12に対し、試験信号を出力して、予め決められた測定項目について自動的に試験を行い、試験で得た測定値に基づいて被試験器12の動作が正常であるか否かを判定し、その判定結果を、被試験器12の実際の配置位置に対応させて表示する。測定器11や被試験器12は、例えば、ラック等の収容架に多段に配置されている。
【0013】
本実施例における制御装置10の機能ブロック図を図2に示す。図2は、本発明に係る制御装置10の機能ブロックの構成例を示す図である。制御装置10は、本実施例においては、試験システム全体の制御、測定結果の良否判定、切換器13の切り換え状態の制御等を行う制御部(コンピュータ)20と、測定器11の配置位置等を表示する表示手段としての表示部18と、キーボードやマウスなどの操作部17と、後述する記憶部30などを備えている。
【0014】
制御部20は、本実施例においては、CPU(Central ProcessingUnit)とメモリをハードウェア構成として備えている。このメモリには、被試験器12の試験手順が記述された試験プログラムや、測定器11や被試験器12のそれぞれを表す画像を測定器11や被試験器12の実際の配置位置に対応させて表示させる表示動作の処理手順が記述された配置位置表示プログラムなどが記憶されている。
メモリに記憶された各プログラムは、CPUに読み込まれて実行される。なお、各プログラムは、後述する記憶部30に記憶するようにしてもよい。表示部18には、CPUで実行されるプログラム処理に応じ、測定項目や測定結果などの情報が表示される。操作部17は、操作者による各種の指示入力を受け付けるものであり、タッチパネルのように表示部18と一体に構成してもよい。
【0015】
図2に示すように、制御装置10の記憶部30は、切換器13の設定状態、例えば、リレー設定状態を、各測定器の接続端子と各被試験器の接続端子をパラメータとして記憶する、リレー設定状態記憶部31を備える。リレー設定状態記憶部31の一例を、図3に示す。
図3は、図4のように測定器と被試験器との間のリレー接続を行った場合の、リレー状態記憶部31の構成例を示す図である。図4は、前述したとおり、測定器と被試験器との間のリレーの接続例を示す図であり、11(1)、11(2)は測定器であり、13(1)、13(2)はリレーユニット1、リレーユニット2であり、12は被試験器、例えば、テスト中の被試験器(DUT:Device under test)である。
【0016】
図3においては、各測定器の接続端子と各被試験器の接続端子をパラメータとして、リレーの接続状態が設定されている。図3において、(DUT1 A)は、被試験器12の接続端子Aを表すパラメータであり、(DUT1 B)は、被試験器12の接続端子Bを表すパラメータである。また、(OSC CH1)は、測定器11(1)であるオシロスコープの第1チャネルの接続端子を表すパラメータであり、(ADA IN)は、測定器11(2)であるオーディオアナライザの入力接続端子を表すパラメータである。
例えば、被試験器12の接続端子A(パラメータ:DUT1 A)と、オシロスコープの第1チャネルの接続端子(パラメータ:OSC CH1)とをリレーで接続する場合は、図3の左上欄に示すように、リレーユニット1のリレー11をON、リレー12をOFF、リレー13をONとし、リレーユニット2のリレー21をON、リレー22をOFF、リレー23をONとするよう、リレーを設定する。図3においては、ONとするリレーのみが記載され、OFFとするリレーは記載されていない。
【0017】
これらの測定器の接続端子と被試験器の接続端子を表すパラメータは、試験プログラムにおいて用いられるものである。例えば、上述した被試験器12の接続端子Aとオシロスコープの第1チャネルの接続端子とをリレーで接続する場合は、試験プログラムにおいて、「RELAY RELAY ON OSC CH1−DUT1 A」のように記述される。これらのパラメータは、後述する制御部20のパラメータ読取部21により読み取られ、該読み取られたパラメータに基づき、後述するリレー設定部22が、リレー状態記憶部31を参照して、リレーの接続状態を設定する。
【0018】
次に、制御装置10の制御部20について説明する。図2に示すように、制御部20は、試験プログラム中のパラメータを読み取るパラメータ読取部21と、パラメータ読取部21で読み取ったパラメータに基づき複数のリレーの接続状態を設定するリレー設定部22とを備えている。制御部20は、測定器11と被試験器12を指定し使用する試験プログラムを動作させるものであり、該試験プログラム中では、使用する測定器11と被試験器12を、前記リレー設定状態記憶部31に記憶した、各測定器の接続端子と各被試験器の接続端子を表すパラメータを用いて指定するものである。
試験プログラムが動作中において、測定器の接続端子と被試験器の接続端子を表すパラメータを用いてリレーの設定状態を記述したプログラム部分が現れると、パラメータ読取部21が、該現れたパラメータを読み取り、リレー設定部22が、前記読み取ったパラメータに基づいて、複数のリレーの接続状態を設定する。このようにして、例えば、図4に示すようなリレー接続が行われるものである。
【0019】
以上述べた本発明の構成によれば、測定器と被試験器との間の接続状態を変更することを、容易に行うことができる。
なお、本発明は、本発明に係る処理を実行するシステムとしてだけでなく、方法や装置として、或いは、このような方法やシステムを実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体として把握することもできる。
【符号の説明】
【0020】
10:制御装置、11:測定器、12:被試験器、13:切換器、17:操作部、18:表示部、20:制御部、21:パラメータ読取部、22:リレー設定部、30:記憶部、31:リレー設定状態記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の測定器と、複数の測定器と複数の被試験器との間の接続状態を切り換える複数のリレーと、複数の測定器と前記複数のリレーを制御する制御装置とを備え、複数の測定器を用いて複数の被試験器に対して試験を行う試験システムであって、
前記制御装置は、各測定器の接続端子と各被試験器の接続端子をパラメータとするリレー設定状態を記憶するリレー設定状態記憶部と、使用する測定器と被試験器を前記パラメータを用いて指定する試験プログラムを動作させる制御部とを備え、
前記制御部は、前記試験プログラム中の前記パラメータを読み取るパラメータ読取部と、該パラメータ読取部で読み取ったパラメータに基づきリレーの接続状態を設定するリレー設定部を備えることを特徴とする試験システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−220799(P2011−220799A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89397(P2010−89397)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】