説明

試験中における携帯装置監視システム及び方法

【課題】試験中の携帯装置を監視するシステムと方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1台の、通常は数台の携帯装置102が、非テストモードの第1の複数の機能と、テストモードのより少ない数の機能を作動する。試験中に、携帯装置102はテストモードで作動するように設定されなければならない。携帯装置102のモードがテストモードから非テストモードへ変更される場合、携帯装置102は非テストモード信号を生成する。監視アプリケーション112は、その非テストモード信号を記録する。ある態様において、監視アプリケーション112は遠隔試験監督装置200に埋め込まれる。遠隔試験監督装置200の監視アプリケーション112は、モード問い合わせメッセージを携帯装置に送信することができ、携帯装置102は、モード問い合わせメッセージに応じて、非テストモード信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、電子機器を用いた学校の試験に関し、より詳細には、教室での試験中における携帯装置の使用を監視するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯装置には、より多くの性能や機能が付加されてきており、それらは学生が試験でのカンニングに使用することが可能なものである。現在、携帯装置の中には、「テストモード」にある場合にのみ、試験中に使用可能になるものがある。テストモードでは、試験を受けているユーザを支援することが可能なアプリケーション又はプログラム、又は事前に記憶したカンニングメモを含むことが可能なファイルへのアクセスは不可能となる。一部の携帯装置の上部にある点滅する発光デバイス(LED)が、その装置がテストモードにあることを示す唯一のインジケータである。教師又は試験監督官は、試験中に使用されているすべての携帯装置の上部のLEDライトの点滅を目視で探し、その計算機がテストモードにあることを確認しなければならない。
【0003】
こういった解決策は10人の学生に対しては成果を挙げるが、一般的クラスサイズの40人の学生や、一般的な試験委員会によるクラスサイズの80人の学生に対しては、こういったLEDライトをマニュアルで探すことは効果がない可能性がある。また、試験中にある学生が教師又は試験監督官の気をそらすことで、目視によってLEDライトを探すことをすべて中止させ、他の学生がテストモードから抜け出てカンニングメモを見ることが可能になる。
【0004】
このため、特許文献1には、試験・講習装置と通信回線を介して互いに通信可能に接続される受験・受講端末装置において、試験・講習が行なわれている際、受験・受講者の受験・受講状況を監視手段により監視し、監視内容を試験・講習装置へ送信すると共に、試験・講習装置は受信した監視内容を記録するようにした遠隔試験・講習システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−258364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された遠隔試験・講習システムは、受験または受講専用の端末を対象としたものであり、一般的な携帯装置を受験または受講に用いることを想定したものではない。
【0007】
教師又は試験監督官が、限定された機能のテストモードでの操作を可能とされた携帯装置の使用を容易に監視することができ、教室での試験環境でのカンニングを防止することが可能なら、好都合である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書では、機能が制限されたテストモードで動作するように設定される携帯装置を監視する方法が開示される。試験監督官のアプリケーションにより、試験中、テストモードで操作されているかどうかについて、すべての既知の携帯装置の状態を周期的に問い合わせ、携帯装置のモードがテストモードから通常モード(非テストモード)に変更された場合、その携帯装置を試験監督官のアプリケーションに通知する。監視結果は記録され、一目で分かるディスプレイにより、各携帯装置のリアルタイムの状態が教師又は試験監督官に提供される。携帯装置がテストモードから抜け出すと、教師/試験監督官は、携帯装置の状態と共にディスプレイを更新することによって、リアルタイムで警告される。テストモードから抜け出ると、携帯装置を動作させて、テストモードに戻すまでに、携帯装置の画面のスクリーンショットやキーストロークのログなどの利用データの捕捉を開始させることも可能である。捕捉されたデータを試験監督官のアプリケーションに送信することができる。
【0009】
このように、試験中における携帯装置を監視する方法が提供される。少なくとも1台の携帯装置は、非テストモードの第1の複数の機能と、テストモードにあるさらに限定された数の機能の操作を行うことが可能であるとする。携帯装置はテストモードで機能するよう設定される。携帯装置がテストモードから非テストモードに変更される場合、携帯装置は非テストモード信号を生成する。監視アアプリケーションは、非テストモード信号を記録する。ある態様において、監視アプリケーションは遠隔試験監督装置に埋め込まれている。遠隔試験監督装置の監視アプリケーションは、モード問い合わせメッセージを携帯装置に送信し、携帯装置は、モード問い合わせメッセージに応じて、非テストモード信号を生成する。
【0010】
ある態様において、遠隔試験監督装置の監視アプリケーションは、非テストモード信号を受信した場合、動作捕捉メッセージを携帯装置に送信する。それに応じて、携帯装置は、携帯装置のディスプレイのスクリーンショットや携帯装置のキーボードストローク等のリアルタイムの携帯装置のユーザインターフェースの動作を取り込んだ、動作メッセージを伝送する。
【0011】
上記方法のさらなる詳細及び試験中において使用される携帯装置監視システムについては、以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】試験中に使用される携帯装置監視システムの概略ブロック図である。
【図2】図1のシステムの変形例を示す概略ブロック図である。
【図3】試験中に使用される複数の携帯装置又は計算機を表す図である。
【図4】試験監督官のアプリケーションと携帯装置との間で生じる一連の動作を示す図である。
【図5】試験中、携帯装置がテストモードを抜け出した場合に生じる一連の動作を示す図である。
【図6】試験中に携帯装置を監視する方法を図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願で使用されるように、「コンポーネント」、「モジュール」、「システム」等の用語は、ハードウェア、ファームウェア、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ、ソフトウェア、コンピュータ可読媒体に記憶されたソフトウェア、又は実行中のソフトウェアなどの自動コンピューティングシステムのエンティティを指すことを意図している。例えば、コンポーネントは、プロセッサ上で動作するプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行ファイル、実行スレッド、プログラム、及び/又はコンピュータであってもよいが、それらに限定されない。図示するために、コンピューティング装置上で動作するアプリケーション及びそのコンピューティング装置の双方をコンポーネントとすることができる。1つ又は複数のコンポーネントがプロセス及び/又は実行スレッド内に存在することが可能で、コンポーネントは1つのコンピュータ上でローカライズされる、及び/又は2台以上のコンピュータ間で分散させることができる。また、これらのコンポーネントは、種々のデータ構造が記憶されている種々のコンピュータ可読媒体から実行可能である。コンポーネントは、1つまたは複数のデータパケット(例えば、ローカルシステム、分散システムにおいて、及び/又は他のシステムとの信号によるインターネット等のネットワーク上で、1つのコンポーネントと相互に作用する別のコンポーネントからのデータ)を有する信号に従う等して、ローカル処理及び/又は遠隔処理によって通信することができる。
【0014】
下記に記載するコンピュータ装置は、一般的に、情報を通信するためのバスやその他の通信機構を有するコンピュータシステム、及び情報を処理するためのバスに接続されたプロセッサを用いる。コンピュータシステムは、また、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は他の動的記憶装置等、プロセッサによって実行される情報及び命令を記憶するバスに連結されるメインメモリを備えることもできる。これらのメモリはコンピュータ可読媒体と言うこともできる。コンピュータ可読媒体に含まれる一連の命令を実行することにより、プロセッサに、もっぱらテストモードで動作していると思われる携帯装置を監視することに関連付けられたステップのいくつかを行わせることができる。あるいは、これらの機能のいくつかをハードウェアで実行することができる。このようなコンピュータシステムの実用的な実装は当業者にとって既知であろう。
【0015】
本明細書で使用されているように、「コンピュータ可読媒体」という用語は、プロセッサに実行させる命令を与える際に関与する任意の媒体を指す。こういった媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体及び伝送媒体を含む多くの形式を取ることができるが、これらに限定されない。不揮発性媒体は、例えば、光ディスク又は磁気ディスクを含む。揮発性媒体は動的メモリを含む。コンピュータ可読媒体の共通の形式には、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、又はその他の磁気媒体、CD−ROM、その他の光媒体、パンチカード、紙テープ、その他孔パターンの物理的媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH−EPROM、その他のメモリチップ又はカートリッジ、後述される搬送波、又はコンピュータが読み取ることができるその他の媒体が含まれる。
【0016】
図1は、試験中に使用される携帯装置監視システムの概略ブロック図である。システム100はローカルメモリ104及びプロセッサ106を有する携帯装置102からなる。携帯装置102は、非テストモードの第1の複数の機能と、第1の複数の機能より少ない、テストモードの第2の複数の機能を実行することが可能である。携帯装置のいくつかの例には、計算機、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、スマートフォン、タブレット又はノートパソコンが含まれる。テストモードスイッチ108は、携帯装置のモードを変更することが可能である。ここで、そのスイッチは物理的要素として示される。しかしながら、そのスイッチは、モード切り替えアプリケーションから動作可能とされる、又は特定の一連のキーストロークによって開始されるソフトウェアであってもよい。
【0017】
情報収集アプリケーション110は、携帯装置のローカルメモリ104に記憶され、プロセッサ106によって実行される一連のソフトウェア命令として動作可能とされる。情報収集アプリケーションは、テストモードから非テストモードに変更される携帯装置のモードに応じた非テストモード信号を生成する。監視アプリケーション112は、ローカルメモリに記憶され、プロセッサによって実行される一連のソフトウェア命令として動作可能とされ、非テストモード信号を記録する。図1に示すように、監視アプリケーションは携帯装置102に埋め込まれる。例えば、試験後に、試験監督官が監視アプリケーション112を開き、調べることができる。あるいは、試験中か試験後のいずれかに、有線又は無線によるインターフェースを介した遠隔装置によって、監視アプリケーションに問い合わせを行うことができる。
【0018】
図2は、図1のシステムの変形例を示す概略ブロック図である。この態様において、システム100は、遠隔試験監督装置200をさらに備え、監視アプリケーション112はその遠隔試験監督装置に埋め込まれる。遠隔試験監督装置200は、プロセッサ202、メモリ204及びオンラインのネットワーク208に接続されたネットワークインターフェース206を含むコンピューティング装置である。監視アプリケーション112は、メモリ204に記憶されプロセッサ202によって実行される連続した命令のソフトウェアアプリケーションとして動作可能とされる。試験監督監視機能を向上させることによって、試験中のセキュリティを高めることを試みる従来から考えられているものに反して、図1及び2のシステムでは、非テストモードの発信によって「カンニングする人」が通知される。
【0019】
遠隔試験監督装置200は、パーソナルコンピュータ(PC)、Macコンピュータ、タブレット、ワークステーション、サーバー、PDA、又は携帯装置であってもよい。プロセッサ又は中央演算装置(CPU)202を、相互接続バス210を介してメモリ204に接続することができる。プロセッサ202は、単一のマイクロプロセッサを含むことができ、又はマルチプロセッサシステムとしてコンピュータ装置を構成する複数のマイクロプロセッサを含むことができる。さらに、各プロセッサは、シングルコア又はマルチコアを含むことができる。メモリ204は、メインメモリ、リードオンリーメモリ、及び種々のディスクドライブ、テープドライブ等の大容量記憶装置等を含むことができる。メインメモリは、一般的に、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)及び高速キャッシュメモリを含む。操作時に、メインメモリは、少なくとも、プロセッサ202によって実行される命令及びデータの一部を記憶する。
【0020】
メモリ204は、また、プロセッサ202によって使用されるデータ及び命令を記憶するための、1つ又は複数の磁気ディスク、テープドライブ又は光ディスクドライブを有する大容量記憶装置からなる。例えば、ワークステーションPCに対して、ディスクドライブ又はテープドライブの形式の少なくとも1つの大容量記憶システムが、そのオペレーティングシステム及びアプリケーションソフトウェアを記憶する。大容量記憶装置は、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD−ROM)、又は集積回路不揮発性メモリアダプタ(すなわち、PC−MCIAアダプタ)等の種々の携帯媒体に対して1つ又は複数のドライブを含み、遠隔試験監督装置200に対してデータ及びコードを入出力する。
【0021】
遠隔試験監督装置のネットワークインターフェース206は、ネットワーク208を介したデータ通信のためのインターフェースとして例示されるような、2つ以上のインターフェースであってもよい。インターフェースは、モデム、イーサネット(登録商標)カード又はその他USB等の適切なデータ通信装置であってもよい。物理的通信回線は、光通信、有線、又は無線であってもよい。
【0022】
遠隔試験監督装置200は、ユーザインターフェース相互接続に対してライン212及び214それぞれにおいて、ディスプレイ216及びキーボード218を有する適切な入出力(IO)ポートを更に含むことができる。例えば、遠隔試験監督装置200は、出力ディスプレイを駆動するためのグラフィックサブシステムを含むことができる。出力ディスプレイ216は、ブラウン管(CRT)ディスプレイ又は液晶ディスプレイ(LCD)を含むことができる。こういった実装のための入力制御装置は、英数字情報及び他のキー情報を入力するためのキーボードを含むことができる。ライン214上の入力制御装置は、マウス、タッチパッド、タッチスクリーン、トラックボール、スタイラスまたはカーソル方向キー等のカーソル制御装置(図示せず)を更に含むことができる。ライン214上の周辺機器への接続は、有線接続であってもよく、又は無線接続を使用してもよい。
【0023】
ある態様において、遠隔試験監督装置の監視アプリケーション112は、モード問い合わせメッセージを携帯装置の情報収集アプリケーション110に送信する。携帯装置の情報収集アプリケーション110は、携帯装置が非テストモードにある場合、モード問い合わせメッセージに応じて、非テストモード信号を生成する。遠隔試験監督装置の監視アプリケーション112は、非テストモード信号の受信に応じて、動作捕捉メッセージを携帯装置の情報収集アプリケーション110に送信することができる。次いで、携帯装置の情報収集アプリケーション110は、携帯装置のディスプレイのスクリーンショット、携帯装置のキーボードストローク、又はその両方等の、リアルタイムの携帯装置のユーザインターフェースの動作を取り込んだ、動作メッセージを送信する。
【0024】
例えば、遠隔試験監督装置の監視アプリケーション112は、周期的な動作捕捉メッセージを、n秒の周期で送信することができる。携帯装置の情報収集アプリケーション110は、携帯装置のユーザインターフェースの動作を記録して、受信した周期的な動作捕捉メッセージに応じて、記録された携帯装置のユーザインターフェースの動作を周期的に送信する。
【0025】
他の態様において、監視アプリケーション112は、非テストモード信号の受信に応じて、警告メッセージを携帯装置102に送信し、携帯装置のユーザインターフェースは、その警告メッセージに応じて、警告インジケータを提示する。その警告は、例えば、携帯装置のディスプレイ上のテキストメッセージ又はアイコン、又は聴覚信号であってもよい。
【0026】
非テストモード信号の生成に加えて、携帯装置の情報収集アプリケーション110は、携帯装置がテストモードにある場合に、モード問い合わせメッセージに応じて、テストモード信号を生成することもできる。遠隔試験監督装置の監視アプリケーション112は、携帯装置のテストモード/非テストモード状態を遠隔試験監督装置のディスプレイ216に提示する。例えば、ディスプレイは、テストモードで動作している携帯装置すべてを第1の色で、非テストモード信号が生成された携帯装置すべてを別の色で又は点滅アイコンで示すことができる。点滅アイコンが選択されると、ディスプレイ216は携帯装置で生じるリアルタイムの動作を示すことができる。ある態様において、遠隔試験監督装置の監視アプリケーション112は、携帯装置の情報収集アプリケーション110によって送信された非テストモード信号とともに、携帯装置識別子を受信して、携帯装置識別子に対してユーザ名を相互参照する。
【0027】
携帯装置の情報収集アプリケーション110は、HTTPプロトコルベースのリプレゼンテーショナル・ステイト・トランスファー(REST)を使用して遠隔試験監督装置の監視アプリケーション112と通信することができる。ある態様において、遠隔試験監督装置の監視アプリケーション112は、プロセッサ202によって実行されるローカルメモリ204における一連のソフトウェア命令として動作可能とされるウェブサービス(WS)発見アプリケーションを使用して、情報収集アプリケーション110を監視アプリケーション112に接続する。
【0028】
<機能の説明>
携帯装置の状態を監視するアプリケーションは、リアルタイムで、教師又は試験監督官に対して結果を取り込み表示する。テストモードにあると思われる携帯装置がテストモードから抜け出ると、試験監督官のディスプレイ上に警告が発せられ、携帯装置のディスプレイのスクリーンショット及び/又はキーストロークのログの取り込みを自動的に開始し、それらは後の検索のために全て記憶される。
【0029】
試験開始前に、すべての学生の携帯装置は「テストモード」に切り替えられなくてはならない。このプロセスの間、学生の携帯装置は教師又は試験監督官の監視アプリケーションに通信して、その携帯装置を登録し、状態情報の送信を開始する。この登録により、学生の携帯装置のシリアル番号、「テストモード」状態、及び恐らく学生の他の情報が特定される。すべての学生の携帯装置が登録され、「テストモード」にされると、試験が開始され、n秒ごとに試験監督官の監視アプリケーションは全ての携帯装置に問い合わせを行う。あるいは、携帯装置の非テストモード又はテストモードの状態が試験監督官の監視アプリケーションに「発信(プッシュ)」される。n秒は、どのくらいの頻度で問い合わせが実行されるのかを示すリフレッシュ速度で、例えば40秒などの0以外の任意の正数となるように構成することができる。n秒ごとに教師又は試験監督官の監視アプリケーションは、すべての携帯装置のテストモード状態の最新の結果を、ダッシュボードのように一目でわかるディスプレイ上に表示する。その結果は、リフレッシュ速度で、後のレビューのためのファイルに取り込まれる。1台又は複数台の携帯装置が状態を変更する(テストモードを抜け出す又はテストモードにする)場合、その携帯装置のシリアル番号及び恐らくはその学生の他の情報と共に、試験監督官のディスプレイに警告が表示される。教師又は試験監督官が気付くまで、その警告はディスプレイに残されたままである。テストモードを抜け出した携帯装置は、また、携帯装置から試験監督官のアプリケーションに通知を発して、携帯装置のディスプレイ上のアクティビティのスクリーンショット及びキーストロークのログを開始して、それらは試験監督官の監視アプリケーションに送信される。
【0030】
図3は、試験中に使用される複数の携帯装置または計算機を表す図である。教師のソフトウェアは存在するすべての携帯装置のテストモードの状態をポーリングし、その結果をモニタ216に周期的に表示する。1台又は複数台の携帯装置102がテストモードを抜け出した場合、その装置を特定してモニタに警告を表示する。その結果も、後のレビューのためのファイルに記録される。
【0031】
携帯装置は、試験教室で、有線又は無線の制限されたネットワークを介して試験監督官の監視アプリケーションと通信することができる。教師のアプリケーションは、コンピュータ、ラップトップ、又はタブレット装置にインストールされたソフトウェアであることができる。ディスプレイ又は画面タイプの媒体に一目でわかる結果を提示することができる。その結果は、周期的にリフレッシュ速度に基づいて取り込まれ、ハードドライブ又は記憶装置に記憶される。
【0032】
ウェブサービス(WS)発見モデルを使用して、携帯装置の情報収集アプリケーションを発見して教師の監視アプリケーションに接続することができる。WS発見通信のすべては、拡張マークアップ言語(XML)フォーマットのシンプル・オブジェクト・アクセス・プロトコル(SOAP)を使用したマルチキャストのユーザ・データグラム・プロトコル(UDP)のネットワーク通信を使用する。
【0033】
単一の携帯装置との一般的な通信は、所有者のハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)のメッセージング・プロトコルを使用して実行され、アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)機能を呼び出す。HTTPメッセージング・プロトコルは、WS発見コードとは別の背景処理、及び別のポートを使用して実行することが可能である。教師の監視アプリケーション及び携帯装置の情報収集アプリケーションは、HTTPプロトコルベースのRESTを使用して、API機能を呼び出し、結果を返信することが可能である。携帯装置の情報収集アプリケーションは、背景で動作する。このアプリケーション又は背景サービスは、装置の電源がONにされている限り、常に作動する。その目的は、教師の監視アプリケーションからメッセージ要求を受け取り、応答を生成することである。このサービスは、ユーザインターフェースを必要としないもので、自身で作動し、ネットワーク要求を受信し、API機能を作動し、結果を生成する処理である。
【0034】
「getStatusAPI」が携帯装置の状態(テストモードまたは通常(非テスト)モード)を教師のアプリケーションに返信する。このAPIは、電池残量及びWiFi信号強度を含むこともできる。SQLiteという、内蔵型の、サーバレスで、設定が不要なトランザクションのSQLデータベースエンジンを実装するソフトウェアライブラリも使用可能である。
【0035】
以下のデータの中には、携帯装置と遠隔試験監督監視アプリケーションとの間の通信を可能にするのに有用なものがある:
−IPアドレス − WiFiネットワーク上の携帯装置のIPアドレス
−MACアドレス − 携帯装置のWiFi接続のハードウェアアドレス
−シリアル番号 − 携帯装置のシリアル番号
−ソフトウェアのバージョン − 携帯装置のソフトウェアリリースのバージョン番号
−機種名 − 公式機種名
学生のユーザ名及びパスワードによる携帯装置のログインと、装置のMACアドレスとの組み合わせを使用して、装置をユーザに関連付けることが可能である。
【0036】
図4は、試験監督官のアプリケーションと携帯装置との間で生じる一連の動作を示す図である。ステップ1において、監視アプリケーションは第1の携帯装置に問い合わせを行うと、ステップ2で携帯装置の状態(テストモード又は非テストモード)を含む、確認が返信される。ステップ3において、試験監督官のディスプレイは更新される。このループはn秒ごとに繰り返される。ステップ4において、監視アプリケーションは、第2の携帯装置に問い合わせを行い、ステップ5において確認が返信される。ステップ6において、試験監督官のディスプレイは更新される。このループはn秒ごとに繰り返される。
【0037】
図5は、試験中、携帯装置がテストモードを抜け出した場合に生じる一連の動作を示す図である。ステップ1において、携帯装置はテストモードを終了する。ステップ2において、携帯装置は、非テストモード信号を監視アプリケーションに発信(プッシュ)する。交互に、あるいはステップ2に加えて、監視アプリケーションは、ステップ3において携帯装置に問い合わせを送信し、ステップ4において、携帯装置は、装置状態(装置が非テストモードにあること)を含む確認を返信する。ステップ5において、試験監督官のディスプレイは更新される。ステップ6において、監視アプリケーションは携帯装置のアクティビティに対する要求を送信し、ステップ7において、携帯装置は、スクリーンショット、キーストローク、ダウンロード、アップロード、インターネットアクセス、ネットワークアクセス、IOポートの使用、又は別の携帯装置との通信等の動作の取り込みを開始する。ステップ8において、携帯装置は取り込んだ動作データを返信し、ステップ9において、試験監督官のディスプレイは、取りこまれたデータに更新される。
【0038】
図6は、試験中の携帯装置を監視する方法を図示するフローチャートである。その方法は、明確にするために連番のステップとして示されるが、付された番号は必ずしもステップの順番を指示するものではない。これらのステップのいくつかは省略され、並行して実行され、又は厳密に連続した順番を維持することを要さずに実行されることが可能であることを理解されたい。しかしながら、一般的に、その方法は、図示されたステップの番号順に従う。ステップ600においてその方法は開始される。
【0039】
ステップ602において、携帯装置は、非テストモードの第1の複数の機能と、第1の複数の機能より少ない、テストモードの第2の複数の機能を実行することが可能となっている。ステップ604において、携帯装置は、テストモードで作動するように設定される。携帯装置のモードが、テストモードから非テストモードに変更される場合、ステップ606において、携帯装置は非テストモード信号を生成する。ステップ608において、監視アプリケーションは、ローカルメモリに記憶されプロセッサによって実行される一連のソフトウェア命令として動作可能とされ、非テストモード信号を記録する。ある態様において、ステップ608において非テストモード信号を記録することには、携帯装置に埋め込まれた監視アプリケーションが非テストモード信号を記録することを含む。あるいは、ステップ608において、監視アプリケーションを埋め込んだ遠隔試験監督装置は、携帯装置から非テストモード信号を受信する。
【0040】
ある変形例において、ステップ609aでは、監視アプリケーションは非テストモード信号の受信に応じて、携帯装置に警告メッセージを送信する。ステップ609bにおいて、携帯装置のユーザインターフェースは、その警告メッセージに応じて警告インジケータを提示する。
【0041】
ある態様において、ステップ605aでは、遠隔試験監督装置の監視アプリケーションは、モード問い合わせメッセージを携帯装置に送信する。そして、ステップ606において非テストモード信号を生成することは、モード問い合わせメッセージに応じて非テストモード信号を生成することを含む。あるいは、非テストモード信号は、問い合わせの必要がなく、発信(プッシュ)される。
【0042】
他の態様において、ステップ610では、遠隔試験監督装置の監視アプリケーションは、非テストモード信号の受信に応じて、動作捕捉メッセージを携帯装置に送信する。ステップ612において、携帯装置は、携帯装置のディスプレイのスクリーンショット、携帯装置のキーストローク、またはその両方等のリアルタイムの携帯装置のユーザインターフェースの動作を取り込んだ、動作メッセージを伝送する。例えば、ステップ610で動作捕捉メッセージを送信する遠隔試験監督装置の監視アプリケーションは、n秒の周期で、周期的な動作捕捉メッセージを送信することが可能である。そして、ステップ612で動作メッセージを伝送する携帯装置は、以下のサブステップを含む。ステップ612aにおいて、携帯装置は、携帯装置のユーザインターフェースの動作を記録し、ステップ612bにおいて、携帯装置は、受信した周期的な動作捕捉メッセージに応じて、記録された携帯装置のユーザインターフェースの動作を周期的に伝送する。
【0043】
ある態様において、ステップ605bでは、携帯装置がテストモードにされたままである場合、モード問い合わせメッセージ(ステップ605a)に応じて、テストモード信号を生成し、ステップ614において、遠隔試験監督装置の監視アプリケーションは、遠隔試験監督装置のディスプレイに携帯装置のテストモード/非テストモード状態を提示する。あるいは、問い合わせを行わずに、テストモード信号を発信(プッシュ)することができる。
【0044】
他の態様において、ステップ608において非テストモード信号を携帯装置から受信することは、携帯装置の識別子を追加で受信することを含む。そして、ステップ609cにおいて、遠隔試験監督装置の監視アプリケーションは、携帯装置の識別子に対して、ユーザ名を相互参照する。
【0045】
ある態様において、ステップ606で非テストモード信号を生成することは、ローカルメモリに埋め込まれプロセッサによって実行される一連のソフトウェア命令として動作可能とされる情報収集アプリケーションが、以下のサブステップを行うことを含む。ステップ606aにおいて、携帯装置は、携帯装置が非テストモードにあるかどうか判断し、ステップ606bでは、HTTPプロトコルベースのリプレゼンテーショナル・ステイト・トランスファー(REST)を使用して、遠隔試験監督装置の監視アプリケーションと通信する。携帯装置がテストモードにされたままである場合(ステップ605b)、携帯装置の情報収集アプリケーションは、以下のサブステップを使用してテストモード信号を生成する。ステップ605cにおいて、携帯装置がテストモードにあるかどうか判断し、ステップ605dにおいて、HTTPプロトコルベースのRESTを使用して、遠隔試験監督装置の監視アプリケーションと通信する。
【0046】
他の態様において、ステップ606で非テストモード信号が生成されるより前に、遠隔試験監督装置の監視アプリケーションは、プロセッサによって実行されるローカルメモリの一連のソフトウェア命令として動作可能とされる、ステップ603におけるウェブサービス(WS)発見アプリケーションを使用して、携帯装置の情報収集アプリケーションを遠隔試験監督装置の監視アプリケーションに接続する。
【0047】
試験中の携帯装置を監視するシステムと方法が提供されている。特定のメッセージ構造、ハードウェアユニット及び工程の例は、本発明を例示するために提示されている。しかしながら、本発明は、単にこれらの例に限定されるものではない。本発明の他の変形例及び実施形態は、当業者によって想到されるものであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験中における携帯装置を監視する方法であって、
前記携帯装置は、非テストモードの第1の複数の機能と、該第1の複数の機能より少ない、テストモードの第2の複数の機能を実行することが可能に構成されており、
前記携帯装置を前記テストモードで作動するように設定するステップと、
前記携帯装置のモードが前記テストモードから前記非テストモードへ変更される場合、前記携帯装置が非テストモード信号を生成するステップと、
前記非テストモード信号を記録するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記非テストモード信号を記録するステップは、前記携帯装置に埋め込まれた前記監視アプリケーションが前記非テストモード信号を記録するステップを含むことを特徴する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非テストモード信号を記録するステップは、前記監視アプリケーションを埋め込んだ遠隔試験監督装置が前記携帯装置から前記非テストモード信号を受信するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
試験環境において使用される携帯装置監視システムであって、
ローカルメモリと、非テストモードの第1の複数の機能と、第1の複数の機能より少ない、テストモードの第2の複数の機能を作動することが可能なプロセッサを有する携帯装置と、
前記携帯装置のモードを変更することが可能なテストモードスイッチと、
前記携帯装置のローカルメモリに記憶され、前記プロセッサによって実行される一連のソフトウェア命令として動作可能とされ、前記テストモードから非テストモードに変更される前記携帯装置のモードに応じて非テストモード信号を生成する情報収集アプリケーションと、
ローカルメモリに記憶されプロセッサによって実行される一連のソフトウェア命令として動作可能とされ、前記非テストモード信号を記録する監視アプリケーションと、
を備えることを特徴とする携帯装置監視システム。
【請求項5】
前記監視アプリケーションは前記携帯装置に埋め込まれることを特徴とする請求項4に記載の携帯装置監視システム。
【請求項6】
遠隔試験監督装置を備える請求項4のシステムにおいて、前記監視アプリケーションが前記遠隔試験監督装置に埋め込まれることを特徴とする携帯装置監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−247773(P2012−247773A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−100523(P2012−100523)
【出願日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】