説明

試験測定装置の視覚的ナビゲーション装置及び試験測定装置上でプロトコル情報を視覚的にナビゲートする方法

【課題】プロトコルの異なるプロトコル・レベルをナビゲートし、関連づける。
【解決手段】試験測定装置は、プロトコル応答型視覚的ナビゲーション装置を含み、これは、異なるプロトコル・レイヤと、あるプロトコル・レイヤと別のプロトコル・レイヤへの相互相関項目の種々の側面を分析、検索、測定するのを容易にする。選択されたプロトコル・レイヤに応じて、分析の形式及び特性がユーザに知らされる。物理レイヤリスト表示部信号又はイベントは、プロトコル・レベル情報に相関させても良く、これによって、プロトコル全体と、関連するプロトコル・レイヤ及びイベントの理解を深めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
データ・プロトコルは、典型的には、異なるプロトコル・レイヤから構成される。各レイヤは、そのプロトコルに関連する情報を抽出したものの異なるレベルを表している。今日既存のプロトコルは、量及びパフォーマンスの観点で、巨大でたえず拡張し続けている。シリアル・データ・プロトコルには、例えば、SATA、ファイバーチャネル(Fibre Channel)、serial attached SCSI(SAS)、USB、FireWireなどがある。その他の例としては、プロトコルには、SPIやI2Cのようなマルチ入力デコーダや、PCIeやDisplayPortのようなマルチ・レーン階層型デコーダなどもある。プロトコルは、デジタルである必要はない。例えば、アナログTV信号やその他の非デジタルの階層的信号も、プロトコルに分類できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開平7−226777
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のプロトコル・アナライザは、プロトコル情報の捕捉及び分析に使用する専用ツールである。プロトコル・アナライザは、例えば、電気通信信号、バス信号、ネットワーク信号などを分析できる。しかし、現在のプロトコル・アナライザは、大きな制約がある。例えば、プロトコル・レベル情報を物理的レイヤの信号又はイベントと相関させることができない。バス、特にシリアル・バスは、非常に広く使用されるようになってきているので、ユーザは、アナログのイベントとプロトコル情報がどのように関係しているかを確認したいと思う機会が自然と増えている。
【0004】
一般に、オシロスコープのような単独の装置は、物理レイヤ又はアナログ・レイヤの信号及びイベントを捕捉して分析する必要がある。オシロスコープの強みの1つは、プロトコルの物理レイヤのアナログ特性を記録する能力である。しかし、オシロスコープは、より高いレベルのデータ・プロトコルのナビゲーション、視覚化又は分析はできないし、プロトコル・レベル情報を物理レイヤ・イベントにリンクするか、さもなくば、関連づけることもできない。このように、プロトコルに従った物理レイヤ信号のアナログ特性を、そのプロトコルの異なる抽象化レイヤ(abstracted layer)のような更に高いレベルの情報と関連づけることは困難か又は不可能である。更には、異なるプロトコル・レイヤをナビゲートしたり、異なるレイヤ間のアイテムを関連づける直感的な方法も存在しない。
【0005】
従って、プロトコル応答型の視覚的ナビゲーション装置に対するニーズがある。これは、物理レイヤ信号又はイベントをプロトコル・レベル情報と相関させる能力を提供するこで、プロトコル全体と、関連するレイヤ及びイベントの理解を深めることを可能にする。また、オシロスコープのような試験測定装置がプロトコル応答型視覚的ナビゲーション装置を装備し、これによって、プロトコルを包括的に分析し、プロトコル・レベルのイベントを物理レイヤ・イベントに関連づけできることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の概念1は、試験測定装置の視覚的ナビゲーション装置であって、
プロトコルに関連する第1プロトコル情報と、上記プロトコルに関連する第2プロトコル情報とを表示可能な表示装置を具えている。
【0007】
本発明の概念2は、上記概念1の視覚的ナビゲーション装置であって、
ユーザからの入力を受けて、上記第1プロトコル情報及び上記第2プロトコル情報管の表示を変更するよう構成されたプロトコル・レイヤ変更操作部を更に具えている。
【0008】
本発明の概念3は、上記概念1の視覚的ナビゲーション装置であって、このとき、
上記第1プロトコル情報が、上記プロトコルの物理レイヤの第1サブ・レイヤに関連する波形の一部を含み、
上記第2プロトコル情報が、上記プロトコルの上記物理レイヤの第2サブ・レイヤに関連する物理ビット・ストリームの一部を含み、
上記プロトコル・レイヤ変更操作部が、ユーザからの入力を受けて、上記プロトコルの上記物理レイヤの上記第1サブ・レイヤ及び上記第2サブ・レイヤ間の表示を変更するよう構成されている。
【0009】
本発明の概念4は、上記概念1の視覚的ナビゲーション装置であって、上記入力に応じて上記第1プロトコル情報及び上記第2プロトコル情報間の表示を変更するよう構成されたコントローラを更に具えている。
【0010】
本発明の概念5は、上記概念1の視覚的ナビゲーション装置であって、
上記表示装置が、
上記プロトコルに関連する第3プロトコル情報と、
上記プロトコルに関連する第4プロトコル情報と、
上記プロトコルに関連する第5プロトコル情報と
を更に表示可能なことを特徴としている。
【0011】
本発明の概念6は、上記概念5の視覚的ナビゲーション装置であって、
上記第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報が上記表示装置上に階層表示で同時に表示され、
上記表示装置上の上記階層表示において、ユーザからの入力を受けて、上記第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報の選択又は非選択が変更されるよう構成されたリスト表示部を更に表示することを特徴としている。
【0012】
本発明の概念7は、上記概念6の視覚的ナビゲーション装置であって、1つ以上のナビゲーション関係を更に具え、各ナビゲーション関係が、選択項目、貢献項目、そして、階層中の第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報の中の2つ以上を関連づけるために、上記選択項目が貢献する項目を含んでいる。
【0013】
本発明の概念8は、上記概念7の視覚的ナビゲーション装置であって、このとき、上記リスト表示部が、第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報から選択された選択プロトコル情報を含み、
上記選択プロトコル情報が、上記選択プロトコル情報内の上記選択項目を含み、
上記貢献項目が強調表示されることで、上記選択項目との関係を示すことを特徴としている。
【0014】
本発明の概念9は、上記概念7の視覚的ナビゲーション装置であって、このとき、上記リスト表示部が、第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報から選択された選択プロトコル情報を含み、
上記選択プロトコル情報が、上記選択プロトコル情報内の上記選択項目を含み、
上記選択項目が貢献する項目が強調表示されることで、上記選択項目との関係を示すことを特徴としている。
【0015】
本発明の概念10は、上記概念5の視覚的ナビゲーション装置であって、上記第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報のどれが表示装置上に現在表示されているかを特定するためのラベルを更に具えている。
【0016】
本発明の概念11は、上記概念5の視覚的ナビゲーション装置であって、このとき、上記第3プロトコル情報が、プロトコルの物理レイヤのサブ・レイヤに関連する物理的ワード・ストリームの一部を含み、
上記第4プロトコル情報が、上記プロトコルのイーサネット・レイヤに関連する1つ以上のイーサネット・フレームを含み、
上記第5プロトコル情報が、上記プロトコルのインターネット・プロトコル(IP)レイヤに関連する1つ以上のインターネット・プロトコル(IP)パケットを含み、
上記プロトコル・レイヤ変更操作部が、ユーザからの入力を受けて、第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報間で表示を変更するよう構成されていることを特徴としている。
【0017】
本発明の概念12は、上記概念5の視覚的ナビゲーション装置であって、
上記表示装置上に、上記第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報の少なくとも1つと関連する視覚的ナビゲーション情報を更に表示することを特徴としている。
【0018】
本発明の概念13は、上記概念12の視覚的ナビゲーション装置であって、このとき、上記視覚的ナビゲーション情報が、次のa〜eの中の少なくとも1つを含んでいる:
(a)上記第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報の選択された1つに関係する説明テキスト、
(b)上記第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報の選択された1つに関係するグラフ、
(c)上記第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報の選択された1つに関係する測定注釈、
(d)上記第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報の選択された1つに関係する視覚的関係グラフ、
(e)上記第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報から選択された1つのプロトコル情報によって参照されるか、又は、上記第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報から選択された1つのプロトコル情報が参照する関係項目に移動できるようにする1つ以上のリンク。
【0019】
本発明の概念14は、上記概念11の視覚的ナビゲーション装置であって、
上記第1プロトコル情報が選択された場合、上記第1プロトコル情報を時間的に前後に動かし、
上記第2プロトコル情報が選択された場合、上記第2プロトコル情報を時間的に前後に動かし、
上記第3プロトコル情報が選択された場合、上記第3プロトコル情報を時間的に前後に動かし、
上記第4プロトコル情報が選択された場合、複数のイーサネット・フレーム間を移動し、
上記第5プロトコル情報が選択された場合、複数のIPパケット間を移動するよう構成されるパン操作部を更に具えている。
【0020】
本発明の概念15は、上記概念1の視覚的ナビゲーション装置であって、このとき、表示が少なくともオーバービュー(概要表示)と波形ビューに分割され、
上記オーバービューが、取込まれた物理的波形を表すものと、上記取込まれた物理的波形の強調表示部分と、上記強調表示部分の位置を示すマーカとを含み、
上記波形ビューが、上記取込まれた物理的波形の上記強調表示部分の拡大表示を含み、上記拡大表示が、上記第1プロトコル情報に対応することを特徴としている。
【0021】
本発明の概念16は、上記概念15の視覚的ナビゲーション装置であって、このとき、上記第2プロトコル情報が、上記波形ビューにおいて上記第1プロトコル情報の上に表示されることによって、上記第1及び上記第2プロトコル情報を同時に見ることが可能なことを特徴としている。
【0022】
本発明の概念17は、上記概念15の視覚的ナビゲーション装置であって、上記波形ビューの時間長を増加又は減少させるよう構成されるズーム操作部を更に具えている。
【0023】
本発明の概念18は、上記概念17の視覚的ナビゲーション装置であって、このとき、上記第2プロトコル情報がプロトコル・レイヤと関連する場合、上記ズーム操作部が、上記プロトコル・レイヤに関するプロトコル定義によって定義される所定の制約に従って、上記第2プロトコル情報に関連する時間長を増加又は減少させるよう構成されることを特徴としている。
【0024】
本発明の概念19は、上記概念15の視覚的ナビゲーション装置であって、プロトコル・レイヤ変更操作部を用いて、上記第1プロトコル情報及び上記第2プロトコル情報間における変更に応じて、波形ビューを自動的にズームするよう構成されるコントローラを更に具えている。
【0025】
本発明の概念20は、試験測定装置上でプロトコル情報を視覚的にナビゲートする方法であって、
表示装置上にプロトコルに関連する第1プロトコル情報を表示するステップと、
ユーザから入力を受けるステップと、
上記入力に応じて、上記第1プロトコル情報と第2プロトコル情報間で表示を変更するステップと
を具えている。
【0026】
本発明の概念21は、上記概念20の方法であって、上記入力を受けることには、プロトコル・レイヤ変更操作部を通して入力を受けることが含まれることを特徴としている。
【0027】
本発明の概念22は、上記概念20の方法であって、
上記表示装置上に階層表示で上記第1プロトコル情報、上記第2プロトコル情報及び第3プロトコル情報を同時に表示するステップを更に具え、
上記入力を受けるステップが、上記表示装置のリスト表示部を介して上記入力を受けるステップを含み、
上記表示を変更するステップが、上記入力に応じて、上記第1、第2及び第3プロトコル情報間の表示を変更するステップを含む
ことを特徴としている。
【0028】
本発明の概念23は、プロセッサで実行したときに、上記概念20による方法を実行するよう動作するコンピュータ実行可能な命令を非一時的に記憶する1つ以上のコンピュータ読み出し可能な有形メディア(記憶媒体)である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1A】図1Aは、本発明の実施形態例による試験測定装置の表示装置における表示要素の関係を示す図である。
【図1B】図1Bは、本発明の実施形態例による試験測定装置のブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態の別の例による試験測定装置の表示装置に第1プロトコル情報を示したときの表示要素の関係を示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態の更に別の例による試験測定装置の表示装置に第2プロトコル情報を示したときの表示要素の関係を示す図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態の更に別の例による試験測定装置の表示装置に第3プロトコル情報を示したときの表示要素の関係を示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態の更に別の例による試験測定装置の表示装置に第4プロトコル情報を示したときの表示要素の関係を示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態の更に別の例による試験測定装置の表示装置に第5プロトコル情報を示したときの表示要素の関係を示す図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態の更に別の例による試験測定装置の表示装置に第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報を同時に示したときの表示要素の関係を示す図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態の更に別の例による試験測定装置の表示装置にプロトコル情報を視覚的に表示し、ナビゲートする技術のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態には、プロトコル応答型視覚的ナビゲーション装置及び関連する方法が含まれ、これらは、試験測定装置に装備することができる。物理的な信号を取り込んだ後、対応するプロトコルについて、プロトコル・レベル・イベントを物理レイヤ・イベントと相関づけるか、又は、関連づけるというやり方でプロトコルを分析できる。本願で開示する視覚的ナビゲーション装置は、どのような試験測定装置にでも内蔵させることができるが、説明を簡単で一貫性のあるものとするため、以下では、試験測定装置を原則としてオシロスコープとして説明するが、これに限定されるものではない。
【0031】
図1Aは、本発明の実施形態例によるオシロスコープ100の表示装置105における表示要素の関係を示す図である。図1Bは、本発明の実施形態例によるオシロスコープ100の構成要素のブロック図である。以下、図1A及び図1Bを参照して説明する。
【0032】
オシロスコープ100は、1つ以上のチャンネル又は入力端子182があるとして良い。この1つ以上の入力端子182は、例えば、DC〜20+GHzの周波数を有する信号を受けるとしても良い。図1Bでは、オシロスコープ100の構成要素が互いに直接結合されているとして描いているが、オシロスコープ100には、図示しないが、他の種々の回路、ソフトウェア・コンポーネント、入力端子、出力端子、インターフェースがあるとしても良く、これらは、オシロスコープ100の図示した構成要素間に配置するか、又は、図示した構成要素に組み込むようにしても良い。
【0033】
オシロスコープ100は、1つ以上の入力信号を取込み及び処理する信号取込み(アクイジション)システム180を内蔵していても良い。1つ以上の入力信号は、1つ以上の被試験電気入力信号を一部に含んでいても良い。オシロスコープは、視覚的ナビゲーション部195を内蔵していても良い。視覚的ナビゲーション部195には、表示部185があり、これは、1つ以上の入力信号を表示する表示装置105、コントローラ190及びユーザ・インタフェース197が含まれる。ユーザ・インタフェース197には、例えば、パン(pan:左右移動)又はズーム操作部145、測定操作部150、検索操作部155、試験操作部160などが含まれる。加えて、ユーザ・インタフェース197リスト表示部は、マーク設定/クリア操作部170、先行マーカ操作部165、次のマーカ操作部175を含んでいても良い。
【0034】
更には、ユーザ・インタフェース197リスト表示部は、プロトコル・レイヤ変更操作部140を含んでいても良い。この「操作部」の用語には、ノブ、ボタン、セレクタ、アクチュエータ、スイッチなど、オシロスコープ100のユーザからの情報を受ける適切なあらゆる入力手段が含まれると理解すべきである。例えば、プロトコル・レイヤ変更操作部140は、戻り止め付きノブとしても良く、これによれば、ユーザは、この戻り止め付きノブを時計回りに1つ以上カチッと回すか、反時計回りに1つ以上カチッと回すかすることで、プロトコルの1つ以上のレイヤを上や下に移動することが可能になる。ユーザは、数レイヤ移動したければ、このノブを数回カチカチと回せば良い。こうしたことや、同様な点については、以下で更に詳しく記載する。
【0035】
ユーザ・インタフェースの操作部は、選択されたプロトコル中の異なるプロトコル・レイヤを進む(ナビゲートする)のに使うことができる。データ・プロトコルは、通常、レイヤで定義され、これを本願ではzレイヤと呼ぶことにする。本願で用いている「zレイヤ」という用語は、「プロトコル・レイヤ」で代用しても良い。各zレイヤは、その基礎となっている物理的なアナログ信号(例えば、115)と視覚的に関連づけることができる。更に、各各zレイヤは、現在のzレイヤより下か上の他のプロトコル・レイヤと視覚的に関連づけることができる。こうした関係は、表示装置105のオーバービュー(概要表示)部110において視覚的に描かれるようにしても良い。これに代えて、又は、これに加えて、基礎となる物理的アナログ信号と各zレイヤ間の関係は、波形ビュー部112において視覚的に描かれるようにしても良い。
【0036】
実施形態によっては、プロトコル視覚化モードがイネーブルになっていると、物理的アナログ・レイヤがデフォルトで表示される。加えて、ラベル120は、後述するように、ユーザが見ている現在のzレイヤが何かを示す。各レイヤには、名前があっても良い。この名前には、プロトコル名や現在のレイヤ名を含むようにしても良い。ラベル120は、ユーザがプロトコル視覚化モードに入ると、表示上に現れるようにしても良い。
【0037】
実施形態によっては、各zレイヤが、その基礎となっている物理的アナログ信号115に重ねて視覚的描かれるようにしても良い。実施形態によっては、各zレイヤを、その基礎となる物理的アナログ信号と一緒に又は無しで、個別に描いても良く、また、後述のように、階層配置で同時に描いても良い。階層配置で描いた場合、各zレイヤは、可能な場所においては、他のレイヤと時間的な位置を整合させるようにしても良い。
【0038】
プロトコル・レイヤ変更操作部140は、ユーザからの入力を受けてプロトコル・レイヤを上や下に移動するのに利用できる。例えば、プロトコル・レイヤ変更操作部140は、戻り止め付きノブとしても良い。戻り止め付きノブを1刻みカチッと時計回りに動かすと、表示されるプロトコル・レイヤが1レイヤだけ上に移動する。逆に、戻り止め付きノブを1刻みカチッと反時計回りに動かすと、表示されるプロトコル・レイヤが1レイヤだけ下に移動する。ラベル(例えば、120)によって、表示装置105上でどのプロトコル・レイヤが現在表示されているかが示される。
【0039】
オーバービュー(概要表示)部110には、取り込まれた物理的波形(例えば、125)、取り込まれた物理的波形の強調表示部分(例えば、130)、強調表示部分の位置を示すマーカ(例えば、135)を表したものが含まれる。波形ビュー112は、取り込まれた物理的波形の強調表示部分のズーム・ビュー(例えば、115)を含んでいても良い。ズーム・ビューは、後述のように、強調表示部分に対応する1つ以上のプロトコル・レイヤに関連するプロトコル情報を含んでいても良い。
【0040】
ズーム操作部145は、波形ビュー112の時間長を増加又は減少させるのに使用できる。また、オーバービュー部110の強調表示部分130は、ズーミング(拡大又は縮小)の結果として波形ビュー112中に見える情報量を反映するように調整される。ズーム操作部145は、異なるzレイヤ毎に異なる振る舞いをしても良い。例えば、ズーミング係数によっては、そのzレイヤに関するプロトコルの定義に基いてズーミングの量又は形式が制約を受けるか、さもなくば、ズーミングの量又は形式を変更することになるかもしれないが、zレイヤに関して、ズーム操作部145で、波形ビュー112に見える情報の時間長を増加又は減少させることができる.
【0041】
別の例では、プロトコル・レイヤ変更操作部140を用いてzレイヤが変更されると、ズーミングが自動的に生じるようにしても良い。言い換えると、あるzレイヤから他のものに変更するのにプロトコル・レイヤ変更操作部140が利用されたときに、特定のzレイヤについてのプロトコル定義が、どの程度自動的にズーミングが生じるかに影響を与えるようにしても良い。ズーミングがどのように制約を受けるかは、その特定のプロトコル・レイヤのプロトコル定義次第であり、これは、プロトコルの開発者が予め定義しておいても良い。
【0042】
より具体的には、第2プロトコル情報がプロトコル・レイヤと関連しているとき、ズーム操作部は、そのプロトコル・レイヤに関するプロトコル定義で定義された所定の制約に従う第2プロトコル情報に関連する時間長を増加又は減少させるように構成される。更には、プロトコル・レイヤ変更操作部140を用いた第1及び第2プロトコル情報間の変更によって、コントローラ190が、この変更に応答して自動的に波形ビューを拡大又は縮小を行うように動作する。
【0043】
パンニング操作部145リスト表示部は、波形ビュー112を時間に関して前後に移動させることができる。しかし、特定のzレイヤに関するパンニング(panning)では、異なる基準に基づいて移動が生じるようにしても良い。例えば、もしzレイヤが、パケット又はフレームを有するプロトコル情報を含んでいたら、パンニングはパケット間又はフレーム間で生じるようにしても良い。言い換えると、前方向へのパンニングでは、波形ビュー112が1つ以上のパケット毎又は1つ以上のフレーム毎に前へ移動するようにしても良い。同様に、後ろ方向へのパンニングでは、波形ビュー112が1つ以上のパケット毎又は1つ以上のフレーム毎に後ろへ移動するようにしても良い。
【0044】
もしデッド又はブランク・スポットがあれば、パンニングは自動的に次のパケット又はフレームにジャンプするようにしても良い。実施形態によって、もしzレイヤがプロトコル・フレームの少なくとも1つのパケット又は別の形態を1度で完全に見えることを必要とするなら、パンニング操作部145が自動的にズーミングを行うようにしても良い。このようなパンニング動作は、その特定のプロトコル・レイヤに関するプロトコル定義次第としても良く、これは、そのプロトコルの開発者が予め定義しておいても良い。
【0045】
ズーミング/パンニング操作部145は、単一の操作部として図示しているが、2つ別々の操作部を用いても良いと理解すべきである。
【0046】
図2〜6は、本発明の実施形態の例において、試験測定装置の表示装置に異なるプロトコル情報を示したときの表示要素の関係を示す図である。以下では、図2〜6を参照して説明する。
【0047】
上述のように、基礎となる物理的アナログ信号115は、独立して、又は、他のプロトコル情報と一緒に同時に、表示装置105の波形ビュー112上に表示可能としても良い。物理的アナログ信号115が独立して分析される場合、ラベル220が、アナログ信号115だけが現在表示されていることを示すようにできる。異なるプロトコル情報は、表示装置105に繰り返し又は順次表示するようにしても良いし、これに代えて、同時に表示するようにしても良い。
【0048】
例えば、物理的アナログ信号115のような第1プロトコル情報が、表示装置105上に表示可能である。第1プロトコル情報は、プロトコルの物理レイヤの第1サブ・レイヤに関連する波形の一部を含むようにしても良い。第1プロトコル・レイヤは、プロトコルの物理レイヤである必要はないが、プロトコル情報の何らかの形式、さもなくば、プロトコル・レイヤの何らかの部分を表すとしても良いと理解すべきである。多くのプロトコルが、物理レイヤを、関連する複数サブ・レイヤを有する最下位レイヤとして含んでいるが、本願が開示する発明の概念は、こうしたものに限定されない。任意の適切な個数のプロトコル・レイヤを用いる任意の適切なプロトコルを用意して、本願で開示する技術を用いて分析するようにしても良い。
【0049】
図3を参照すると、プロトコル情報315のような第2プロトコル情報が、表示装置105上に表示可能である。好ましくは、第2プロトコル情報を第1プロトコル情報115に重ねて、第1及び第2プロトコル情報が同時に見えるようにすると良い。これに代えて、第2プロトコル情報315を、第1プロトコル情報115無しに独立して表示するようにしても良い。第2プロトコル情報315は、第1プロトコル情報115と同じプロトコルに関連づけられるようにできる。
【0050】
第2プロトコル情報315は、プロトコルの物理レイヤの第2サブ・レイヤに関連する物理的なビット・ストリームの一部を含むようにできる。言い換えると、第2プロトコル情報315は、クロックのエッジ(縦線で示す)と、アナログ信号からデジタル・ビット・ストリームに変換したもの(1と0)とを含むようにできる。デジタル変換を行うのに使用する方法は、プロトコル定義の一部として特定しておいても良く、また、プロトコル毎に変更しても良い。
【0051】
プロトコル・レイヤ変更操作部140は、ユーザからの入力を受けて、第1プロトコル情報115及び第2プロトコル情報315間で表示を変更するようにしても良い。実施形態によっては、プロトコル・レイヤ変更操作部140の操作によって、第2プロトコル情報315を表示させると、第1プロトコル情報115に重なるようにできる。また、別の実施形態では、プロトコル・レイヤ変更操作部140の操作によって、第1プロトコル情報115と入れ替えに第2プロトコル情報315を表示するようにでき、その逆も同様としても良い。
【0052】
コントローラ190(図1B参照)は、プロトコル・レイヤ変更操作部140を介して受けた入力に応じて、異なるプロトコル情報間で表示を変更するようにできる。第2プロトコル情報315が選択された場合に、第2プロトコル情報315が表示装置上で現在表示されていることをラベル320が示すようにしても良い。同様に、第1プロトコル情報115が選択された場合に、第1プロトコル情報115が表示装置上で現在表示されていることをラベル220が示すようにしても良い。
【0053】
プロトコルの中には、多数のレイヤを有するものがある。プロトコル・レイヤ変更操作部140は、任意の数のプロトコル・レイヤ間での表示変更に利用できる。例えば、あるプロトコルが、5つの異なるプロトコル・レイヤを持つとする。各レイヤは、表示に利用可能な異なる種類のプロトコル情報を持つとする。第3プロトコル情報(例えば、415)、第4プロトコル情報(例えば、515)及び第5プロトコル情報(例えば、615)が表示装置105上に表示可能で、これらは、第1プロトコル情報(例えば、115)と同じプロトコルと関連づけることができ、従って、第2プロトコル情報(例えば、315)とプロトコルと関連づけることができる。言い換えると、コントローラ190(図1B参照)は、プロトコル・レイヤ変更操作部140を介して受けた入力に応じて、第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報間で表示を変更するようにできる。実施形態によっては、その基礎となる物理的アナログ信号(例えば、115)を表示装置上に残したまま、第2、第3、第4又は第5プロトコル情報が個別に物理的アナログ信号に重ねられる。
【0054】
更に別の例では、第3プロトコル情報(例えば、415)が、プロトコルの物理レイヤのサブ・レイヤに関連する物理的ワード・ストリームの一部分を含むようにできる。言い換えると、ビット・ストリーム315を16進表示に変換し、変換されたデータをその基礎となるアナログ・データと時間的に一致して配置(整合)させるようにしても良い。言い換えると、同じデータの異なる表現を同時に表示し、ナビゲートするようにしても良い。同じデータが、例えば、16進データ及び2進データの両方として表現できる。更に別の例では、1つのレイヤの8b10bシンボルを8ビット・データを用いて同時に表示でき、これらの全てを同時にナビゲート及び分析できる。
【0055】
図5を参照すると、第4プロトコル情報(例えば、515)は、プロトコルであるイーサネット・レイヤと関連する1つ以上のイーサネット・フレーム(例えば、530)を含んでいても良い。このレイヤは、その基礎となるデータを複数のイーサネット・フレームに分解し、そのフレームに関連する関係情報をデコードできる。これら複数のフレームは、波形ビュー112やオーバービュー部110に、連続する点又は破線535として表示しても良い。イーサネット・フレームは、代表的な実施形態として記述したもので、第4プロトコル情報は、イーサネット・フレームに加えて、他の形式のデータを含んでいても良い。なお、イーサネットは登録商標である。
【0056】
図6を参照すると、第5プロトコル情報(例えば、615)は、プロトコルであるインターネット・プロトコル(IP)レイヤに関連する1つ以上のインターネット・プロトコル(IP)パケット(例えば、630)を含んでいても良い。これら複数のパケットは、波形ビュー112やオーバービュー部110に、連続する点又は破線635として表示しても良い。これらは、表示装置上に表示しても良い異なる形式のプロトコル情報の例である。異なる形式のプロトコル・レイヤに関連する別の形式のプロトコル情報を表示しても良いことが理解できるであろう。また、IPパケットは、代表的な実施形態として記述したもので、第5プロトコル情報は、IPパケットに加えて、他の形式のデータを含んでいても良い。
【0057】
上述のように、パン操作部145リスト表示部は、プロトコル情報を時間に関して前後に移動させるのに利用できる。第1、第2又は第3プロトコル情報が選択された場合、パン操作部145は、第1、第2又は第3プロトコル情報の夫々を時間に関して前後に移動させることができる。もし第4プロトコル情報がイーサネット・フレームに対応し、第4プロトコル情報が選択された場合では、パン操作部145は、複数のイーサネット・フレーム530間の移動に利用できる。言い換えると、左又は右へのパンニングは、単に時間ウィンドウの移動ではなくなって、左又は右へのパンニングによって、あるフレームから別のフレームへと移動する。このとき、フレーム毎にその大きさが異なることがあるので、パンニングがあると、波形ビュー112のスケールが自動的に再調整され、これによって、いつでも、少なくとも1つのフレームについては全体が表示されるようになる。2秒間などの所定期間、パンニングが一旦停止すると、ウィンドウ540が現れ、そのフレームの共通要素を示すようにしても良い。これに代えて、又は、この時間トリガ・アプローチに加えて、ユーザのホバリング(ペン先を画面から浮かせてポインターを動かす動作)、クリック、タッチ、その他による特定フレームの選択に応じて、そのフレームの共通要素を示すウィンドウ540が現れるようにしても良い。イーサネット・フレームの共通要素には、例えば、宛先アドレス、送信元アドレス、「IP」のようなフレームの形式、データ525などの他、イーサネット・フレームに関するあらゆる適切な情報を含むことができる。ウィンドウ540内に入りきれないほど多くのデータがあることもあるので、ユーザはウィンドウ540内で移動できるようにするか、さもなくば、全ての情報を一度に見ることができるようにウィンドウ540を拡張しても良い。
【0058】
もし第5プロトコル情報がIPパケットに対応するなら、第5プロトコル情報が選択された場合、パン操作部145によって、複数のIPパケット630間を移動可能にしてもよい。言い換えると、左右へのパンニングは、もはや単に時間ウィンドウの移動ではなく、左右へのパンニングによって、あるパケットから別のパケットへの移動となる。このとき、パケット毎にその大きさが異なることがあるので、パンニングがあると、波形ビュー112のスケールが自動的に再調整され、これによって、いつでも、少なくとも1つのパケットについては全体が表示されるようになる。2秒間などの所定期間、パンニングが一旦停止すると、ウィンドウ640が現れ、そのIPパケットの共通要素を示すようにしても良い。これに代えて、又は、この時間トリガ・アプローチに加えて、ユーザのホバリング、クリック、タッチ、その他によるIPパケットの選択に応じて、その特定パケットの共通要素を示すウィンドウ640が現れるようにしても良い。IPパケットの共通要素には、例えば、宛先アドレス、送信元アドレス、「TCP」のようなパケットの形式、データ625などの他、IPパケットに関するあらゆる適切な情報を含むことができる。その他の共通要素には、平均立ち上がり時間(rise mean)、最小立ち上がり時間(rise minimum)、最大立ち上がり時間(rise maximum)、平均オーバーシュートなど(図示せず)を含めても良い。
【0059】
上述のラベル220及び320と同様に、第3プロトコル情報415が選択されると、ラベル420が、表示装置上に第3プロトコル情報415が現在表示されていることを示しても良い。第4プロトコル情報515が選択されると、ラベル520が、表示装置上に第4プロトコル情報515が現在表示されていることを示しても良い。第5プロトコル情報615が選択されると、ラベル620が、表示装置上に第5プロトコル情報615が現在表示されていることを示しても良い。
【0060】
特定情報の検索は、プロトコル・レイヤ・コンテキストの仕様としても良い。言い換えると、もし現在のzレイヤがプロトコルであるIPレイヤに対応するなら、ユーザは、送信元又は宛先IPアドレスである192.168.1.129を用いて全てのパケットを検索するための基準を定義できる。こうした情報は、プロトコルのIPレイヤと関連づけることができる。ユーザは、基準に合致する先行のパケットに行くのに、先行マーカ操作部(例えば、165)を選択できる。同様に、ユーザは、基準に合致する次のパケットに行くのに、次のマーカ操作部(例えば、175)を選択できる。このようにして、ユーザは、特定条件に合致している全てのパケットを素早く特定して、分析できる。
【0061】
更に別の例では、ユーザは、1.65ns(ナノ秒)よりも大きな立ち上がりエッジを含み、且つ、その送信元IPアドレスが192.168.1.9であるパケットを検索するための基準を定義できる。更に別の例では、ユーザが192.168.1.127の送信元アドレスについて検索する基準を定義でき、こうした基準に合致するパケットの平均立ち上がり時間も表示するようにできる。続いて、ユーザは、選択された基準に合致するパケットをナビゲートするのに、先行マーカ操作部(例えば、165)及び次のマーカ操作部(例えば、175)を利用できる。なお、その他の同様な形式の基準を用いても良いことは言うまでもない。基準に合致したプロトコル・レイヤや波形上の位置に、マーカが配置されるようにしても良い。マーカ動作の初期設定モードでは、検索基準に合致するマーカを、検索基準が適用されるzレイヤ中にだけ配置するようにしても良い。加えて、マーカ動作の別のモードでは、その基礎となる物理的アナログ波形が基準に合致するものを含む複数のプロトコル・レイヤの中の対応する位置にマーカを配置しても良い。このようにして、そのプロトコルの異なるプロトコル・レイヤを横断して基準に合致する情報が効率よく検索され、分析される。
【0062】
いくつかの形式のマーカは、初期設定で、異なるzレイヤ中に見られるようにできる。例えば、物理レイヤ中に仕様から外れた部分があると、エラー・マーカが生じて、その物理的アナログ信号中の対応する位置に配置されるようにしても良い。エラー・マーカが初期設定で全てのレイヤで見えるようにする、つまり、エラーが生じたレイヤより上の全てのレイヤで見えるようにしても良い。これによって、プロトコル・レイヤ間の問題を視覚的に関連づけることが可能になる。全プロトコル・レイヤからマーカが見えることによって、マーカは、それらマーカが生じたレイヤを視覚的に示すことになる。これによって、ユーザは、全プロトコル・レイヤ上の仕様から外れたエッジ位置に関するマーカを見ることができる。個々のマーカ(例えば、780及び785)は、異なるプロトコル・レベルと関連づけてられても良い。言い換えると、表示には、「マーカ階層」を設けても良く、プロトコル階層を通してマーカ階層中を進む(ナビゲートする)ことによって、異なるプロトコル・レイヤ中に表示される異なるマーカが生じる。これに代えて、又は、マーカ階層に加えて、異なるマーカをオーバービュー部内に表示しても良い。
【0063】
更なる例では、検索コンテキスト(search contexts)には、ゲート・カーソル間の波形全体又は波形の一部を含むようにしても良い。検索基準は、異なるコンテキスト内にあっても良い。例えば、もしユーザがIPレイヤを目に見えるようにして、192.168.1.127の送信元IPアドレスを用いてパケットを求めたいならば、マーカをこのレイヤ上にだけ配置するようにしても良い。これに代えて、ユーザが、レイヤ上にある検索に制約を加える事項か何かを用いて、階層状の検索を実行するようにしても良い。例えば、もしユーザがIPレイヤを分析しているとして、送信元IPアドレスが192.168.1.28のパケットに関して、2.3nsより大きい全ての立ち上がりにマークを付けるよう要求すると、マーカは、そのIPレイヤと、その基礎となる物理レイアの両方に配置される。これによって、ユーザは、これらレイヤ間を動いて、マークされた事項を見ることができる。
【0064】
当然ながら、6個以上のプロトコル・レイヤを、それらと関連するプロトコル情報と共に表示するようにしても良い。6個以上のプロトコル・レイヤがある場合、同様の形式のラベルで、表示装置上に表示されている個々のプロトコル・レイヤを示すようにしても良い。更に、同様な形式の検索、マーキング(マークを付けること)、分析を、それらの1つ以上のレイヤに対して実行しても良い。
【0065】
図7は、本発明の実施形態の更に別の例による試験測定装置の表示装置に第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報を同時に階層表示で示したときの表示要素の関係を示す図である。
【0066】
リスト表示部705は、異なるプロトコル情報を階層表示で表示する。リスト表示部705によって、1つ以上の異なるプロトコル・レイヤを同時に見ることが可能になる。各レイヤは、リスト表示部705を用いて、折り畳んだり、展開したりできる。言い換えると、プロトコル・レイヤの階層を、縦に積み上げることができる。各プロトコル・レイヤを、表示装置上で、個別に選択、強調表示、又は、表示/非表示させることができる。ユーザは、このリスト表示に関連する1つ以上の「+/−」アイコン(例えば、710、715、720、725及び730)のようなアイコンを用いて、階層のレベルを展開したり、閉じたりすることによって、プロトコル・レイヤの階層を探索できる。このとき、「−」アイコンは、詳細非表示アイコンであり、これをクリックすることで、その対応するレイヤが折り畳まれて、その詳細が非表示となる。この詳細非表示状態において、詳細表示アイコンである「+」アイコン(図示せず)が現れ、これをクリックすることで、対応するレイヤが展開されて、その詳細が表示される。図7では、全てのレイヤが詳細表示状態で示されている。加えて、1つ以上の異なるプロトコル・レイヤは、それら基礎となる物理的アナログ信号115を重ねて、更なる分析のために同時に表示できる。
【0067】
より具体的には、もしノード710が選択されると、第5プロトコル情報615が折り畳まれるか又は展開されて、表示装置上で表示されるか又は非表示になる。同様に、ノード715が選択されると、第4プロトコル情報515が折り畳まれるか又は展開されて、表示装置上で表示されるか又は非表示になる。ノード720が選択されると、第3プロトコル情報415が折り畳まれるか又は展開されて、表示装置上で表示されるか又は非表示になる。ノード725が選択されると、第2プロトコル情報315が折り畳まれるか又は展開されて、表示装置上で表示されるか又は非表示になる。ノード730が選択されると、第1プロトコル情報115が折り畳まれるか又は展開されて、表示装置上で表示されるか又は非表示になる。
【0068】
リスト表示部705は、ユーザからの入力を受けて、表示装置上の階層表示において、第1、第2、第3、第4又は第5プロトコル情報を選択するか又はしないかを変更できる。加えて、特定のプロトコル・レイヤの個々の部分又は項目を選択でき、これによって、他のプロトコル・レイヤの貢献のある項目(貢献項目:Contributor Item)が強調表示される。詳しくは後述するが、このようにして、異なるプロトコル・レイヤの関連する項目の間に対応関係を構築できる。
【0069】
1つ以上のナビゲーション関係735、740、745、750及び755は、プロトコル情報615、515、415、315及び115の夫々と関連づけることができ、また、これらと関連づけして表示される。ナビゲーション関係には、選択項目、寄与項目を含んでいても良く、加えて、階層中の第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報の中の2つ以上を関連づけるために、選択項目が貢献する項目を含んでいても良い。
【0070】
別の例としては、リスト表示部705は、第1プロトコル情報115、第2プロトコル情報315、第3プロトコル情報415、第4プロトコル情報515及び第5プロトコル情報615から選択されたプロトコル情報を含んでも良い。この選択プロトコル情報は、プロトコル・レイヤ415中の選択項目417のような、選択プロトコル情報内の選択項目を含んでいても良い。選択項目417に応答して、プロトコル・レイヤ315中の317のような貢献項目が、選択項目417との関係を示すために、強調表示されても良い。
【0071】
項目と、その送信元項目及び貢献インスタンスを関連づけることによって、異なるプロトコル・レイヤの要素間のナビゲーション関係の構築が可能になる。このような関連づけは、外部インデックス・テーブルを用いるか、又は、その項目と一緒に関係情報を運ぶことによって可能にしても良い。例えば、ある1ビットをオシロスコープのチャンネル(例えば、Ch1)の特定時間範囲から構成しても良く、そのビットをそのチャンネルのその特定時間範囲と関連づけることができる。ユーザが、プロトコル・レイヤ又は波形を指定するか又は選択すると、この関連ビットがユーザに知らされる。または、これに代えて、ユーザがそのビットを指定又は選択すると、関連する波形がユーザに知らされる。こうした送信元及び項目インスタンス情報は、プロトコル・レイヤ階層の上下の異なる項目を関連づけるのに利用できる。また、これは、プロトコル階層の上下をナビゲートすることも可能にする。加えて、ナビゲーション関係を利用することで、異なるプロトコル・レイヤの複数の側面を測定及びマーキングするのが容易になる。
【0072】
視覚的ナビゲーション情報735、740、745、750及び755は、1つ以上のプロトコル・レイヤと関係づけることができる。視覚的ナビゲーション情報は、種々のレイヤの分析を補助する種々の有用な情報を含んでいても良い。例えば、視覚的ナビゲーション情報は、第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報から選択された1つのプロトコル情報に関係する説明テキストを含んでいても良い。説明テキストは、特定プロトコル・レイヤの1つ以上の項目が、同じ又は異なるプロトコル・レイヤの別の部分又は項目と、どのように関係するかを示すものであっても良い。視覚的ナビゲーション情報は、第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報から選択された1つのプロトコル情報に関係するグラフィック又は他の視覚的キュー(cue:指示、手がかり)を含んでいても良い。グラフィック又は視覚的キューは、あるプロトコル・レイヤの1つ以上の項目が、同じ又は異なるプロトコル・レイヤの別の部分又は項目と、どのように関係するかを示すものであっても良い。
【0073】
視覚的ナビゲーション情報は、第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報から選択された1つのプロトコル情報に関係する測定の注釈を含んでいても良い。測定は、レイヤに応じて変化しても良い。もしユーザが選択されたプロトコル・レイヤのある側面(例えば、IPパケット・レイヤなど)を測定したい場合、利用可能な測定は、「パケット数」としても良い。これに代えて、もし物理的アナログ・レイヤが選択レイヤであるなら、ユーザは「平均立ち下がり時間」を測定できる。異なる形式の測定注釈が、異なる形式のプロトコル・レイヤに関する異なるコンテキスト(状況)において利用可能である。ユーザ・インタフェースで利用可能な測定は、このプロトコル・コンテキストによって影響されるようにしても良い。ユーザは、特定のレイヤを分析しているとき、測定「スナップショット」を選択でき、これは、そのレイヤに関する最も適切な又は最も普通に要求のある測定値を表示できる。例えば、IPレイヤは、パケット数、平均パケット・サイズ、TCPカウント(使用しているTCPポート数)、UDPカウント(使用しているUDPポートの数)、ARPカウントなどに関する測定注釈を含んでいても良い。
【0074】
更には、視覚的ナビゲーション情報は、第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報から選択された1つのプロトコル情報に関係する視覚的な関係グラフを含んでいても良い。視覚的関係グラフは、あるプロトコル・レイヤの1つ以上の項目が、同じ又は異なるプロトコル・レイヤの別の部分又は項目と、どのように関係するかを示すものであっても良い。加えて、視覚的ナビゲーション情報は、第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報から選択された1つのプロトコル情報によって参照されるか、又は、第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報から選択された1つのプロトコル情報が参照する関係項目に移動できるようにする1つ以上のリンクを含んでいても良い。この1つ以上のリンクは、項目によって参照されるか、又は、その項目が参照する関係項目への移動を可能にする。視覚的ナビゲーション情報は、測定注釈又は視覚的関係グラフのようなその他の適切な視覚的注釈を含んでいても良い。上述のように、各プロトコル・レイヤは、可能であれば、他のものと時間的位置を合わせるようにしても良い。
【0075】
視覚的ナビゲーション情報は、複雑な測定、分析、又は、データ・マイニングに利用できる。例えば、ユーザは、オシロスコープのCh1(チャンネル1)上の2.4マイクロ秒より小さく、I2Cデータ・フィールド上にあり、0x50より小さい値を有する全グリッチを発見し、表示させるという要求が可能である。これは、0x50より小さいI2Cデータ・フィールドからのナビゲーション情報に従って、時間ウィンドウのグループを生成し、この時間ウィンドウのグループを追加の分析及びナビゲーションを行うのに利用することによって実現される。データ・マイニングの結果は、ナビゲーションや視覚化に利用できる。
【0076】
図8は、本発明の実施形態の更に別の例による試験測定装置の表示装置にプロトコル情報を視覚的に表示し、ナビゲートする技術を説明するフローチャート800を示す図である。
【0077】
この技術及びフローは、ステップ805で始まり、このとき、例えば、プロトコル・レイヤに関する第1プロトコル情報が、オシロスコープの表示装置上に表示される。第1プロトコル情報は、上述の如く、その基礎となる物理的アナログ信号を含んでいても良い。これに代えて、第1プロトコル情報が、プロトコルに関連する任意のプロトコル・レイヤ又はプロトコル・レイヤの一部分を表しても良い。ステップ810では、例えば、プロトコル・レイヤ変更操作部を通してユーザから入力があったかどうか判断される。もしNOなら、フローはステップ805に戻る。逆に、もしYES、つまり、入力を受けたなら、フローは、2つの異なるパスの1つを取ることができる。
【0078】
ステップ815へのパスでは、表示を第1プロトコル情報から第2プロトコル情報へと変更する。このようにして、ユーザは、どのプロトコル・レイヤリスト表示部情報を表示装置上に現在表示するかを選択できる。この代わりにステップ820へのパスでは、第1プロトコル情報及び第2プロトコル情報を同時に表示する。実施形態によっては、第2プロトコル情報は、表示装置上で第1プロトコル・レイヤに重ねて表示される。また、別の実施形態では、第2プロトコル情報は、上述のように、第1プロトコル情報に対して、階層状に配置されて表示される。
【0079】
ステップ825では、追加の入力を受けたかどうか判断される。もしNOならフローは、ステップ805に戻る。逆にもしYES、つまり、入力を受けたのなら、フローは、2つの異なるパスの1つを取ることができる。
【0080】
ステップ830へのパスでは、表示が第2プロトコル情報から第3プロトコル情報へと変更される。このようにして、ユーザは、どのプロトコル・レイヤ・リスト表示部情報を表示装置上に現在表示するかを選択できる。この代わりにステップ835へのパスでは、第1プロトコル情報、第2プロトコル情報及び第3プロトコル情報を同時に表示する。この代わりにステップ840へのパスでは、4つ以上のプロトコル・レイヤに関係する情報が同時に表示される。実施形態によっては、第2及び第3プロトコル情報が、表示装置上で第1プロトコル・レイヤに重ねて表示される。更に別の実施形態では、上述のように、第2及び第3プロトコル情報が、第1プロトコル情報に対して、階層状に配置されて表示される。
【0081】
特定の実施形態を説明してきたが、本発明の原理は、これら実施形態に限定されるものではないことは当然である。例えば、SATA、Fibre Channel、serial attached SCSI(SAS)、USB、FireWireなどのようなシリアル・データ・プロトコルを含む任意の形式のプロトコルを分析できる。別の実施形態では、プロトコルが、SPI又はI2Cのように複数の入力デコーダを含むものや、PCIeやDisplayPortのようにマルチ・レーン階層デコーダを含むものであっても良い。プロトコルは、デジタルである必要はない。例えば、アナログTV信号やその他の非デジタルの階層信号をプロトコルとして扱って、本願に開示する本発明の原理を用いて分析することも可能である。
【0082】
本発明の実施形態は、場合によっては、フレキシブル・ディスク、光ディスク、ハード・ディスク、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ランダム・アクセス・メモリ、リード・オンリー・メモリ、又はフラッシュ・メモリを含むグループの中から選ばれるものであって、試験測定装置で実行したときに、装置が本願で開示した本発明の種々の実施形態のステップを実行する非一時的命令が組み込まれた、装置でアクセス可能なメディアであっても良い。その他にも、本発明の原理から離れることなく、種々の変形及び変更が可能なことは、当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0083】
100 試験測定装置
105 表示装置
110 オーバービュー部
112 波形ビュー部
115 第1プロトコル情報(物理的アナログ信号)
120 ラベル
125 物理的波形
130 強調表示部分
135 マーカ
140 プロトコル・レイヤ変更操作部
145 ズーム操作部
150 測定操作部
155 検索操作部
160 試験操作部
165 先行マーカ操作部
170 マーク設定/クリア操作部
175 次のマーカ操作部
180 信号取込み部
182 入力チャンネル
185 表示部
195 視覚的ナビゲーション部
197 ユーザ・インタフェース
220 ラベル
315 第2プロトコル情報
320 ラベル
415 第3プロトコル情報
420 ラベル
515 第4プロトコル情報
520 ラベル
530 イーサネット・フレーム
540 ウィンドウ
615 第5プロトコル情報
620 ラベル
630 IPパケット
640 ウィンドウ
705 リスト表示部
710 +/−アイコン
715 +/−アイコン
720 +/−アイコン
725 +/−アイコン
730 +/−アイコン
735 ナビゲーション関係
740 ナビゲーション関係
745 ナビゲーション関係
750 ナビゲーション関係
755 ナビゲーション関係

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロトコルの物理レイヤの第1サブ・レイヤに関連する波形の一部を含む第1プロトコル情報と、上記プロトコルの上記物理レイヤの第2サブ・レイヤに関連する物理ビット・ストリームの一部を含む上記第2プロトコル情報とを表示する表示手段と、
ユーザからの入力を受けて、上記プロトコルの上記物理レイヤの上記第1サブ・レイヤ及び上記第2サブ・レイヤの表示を変更するよう構成されるプロトコル・レイヤ変更操作部と
を具える試験測定装置の視覚的ナビゲーション装置。
【請求項2】
上記表示装置は、上記プロトコルに関連する第3、第4及び第5プロトコル情報を更に表示可能であって、
上記第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報が上記表示装置上に階層表示で同時に表示され、
上記表示装置上の上記階層表示において、上記第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報の選択又は非選択が変更可能に構成されたリスト表示部を更に表示することを特徴とする請求項1記載の試験測定装置の視覚的ナビゲーション装置。
【請求項3】
上記第3プロトコル情報が、上記プロトコルの上記物理レイヤのサブ・レイヤに関連する物理的ワード・ストリームの一部を含み、
上記第4プロトコル情報が、上記プロトコルのイーサネット・レイヤに関連する1つ以上のイーサネット・フレームを含み、
上記第5プロトコル情報が、上記プロトコルのインターネット・プロトコル(IP)レイヤに関連する1つ以上のインターネット・プロトコル(IP)パケットを含み、
上記プロトコル・レイヤ変更操作部が、第1、第2、第3、第4及び第5プロトコル情報間で表示を変更できるよう構成されていることを特徴とする請求項2記載の試験測定装置の視覚的ナビゲーション装置。
【請求項4】
表示装置上に階層表示で第1、第2及び第3プロトコル情報を同時に表示するステップと、
上記表示装置のリスト表示部を介してユーザからの入力を受けるステップと、
上記入力に応じて、上記第1、第2及び第3プロトコル情報間の表示を変更するステップと
を具える試験測定装置上でプロトコル情報を視覚的にナビゲートする方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−106356(P2013−106356A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−252354(P2012−252354)
【出願日】平成24年11月16日(2012.11.16)
【出願人】(391002340)テクトロニクス・インコーポレイテッド (234)
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
【Fターム(参考)】