説明

試験片の高さ測定方法及び装置

【課題】恒温槽内で試験片の高さを測定できる試験片の高さ測定方法及び測定装置を提供する。
【解決手段】試験片支持台3の下部にエアシリンダー10を設け、このエアシリンダー10のピストンロッド11を試験片支持台3を貫通させて上方に延出し、先端に試験片載置部12を設け、上記ピストンロッド11の中間部に0点合わせ用係止段部13を設けてあり、上記ピストンロッド11を上動し、その0点合わせ用係止段部13を試験片支持台3に係止させ、この係止位置でピストンロッド11の先端の試験片載置部12と圧子8とを接合し、その位置で圧子8を静止させ、一旦ピストンロッド11を下げて試験片支持台3上に試験片4を載せて支持し、その後ピストンロッド11を上動してその試験片載置部12に試験片4を載せて試験片4を上動し、試験片4上に圧子8を接触させて圧子8を上動し、圧子8の上動寸法により試験片4の高さを測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮クリープ試験機において、試験片のセット試験直前に試験片の高さを測定する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
恒温槽内において試験片を圧子により押圧して圧縮試験をする圧縮クリープ試験機は公知である。
恒温槽内で、試験片の高さを試験直前に測定することは、この試験片の高さ寸法が自動的に弾性率演算のデータになり好ましいし、また、恒温槽内の温度を変化させることにより、試験片の線熱膨張係数を測定できることで好ましい。
そこで、恒温槽内で試験片のセット試験直前に試験片の高さを測定できればよいが、従前、この恒温槽内で試験片の高さを測定することはできなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、発明者は、恒温槽内で試験片の高さを測定できればいいことに着眼し、恒温槽内で試験片の高さを測定できる新規な試験片の高さ測定方法及び測定装置を開発し、提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そのために、本発明の試験片の高さ測定方法は、試験片支持台の下部にエアシリンダーを上下向きに設け、このエアシリンダーのピストンロッドを試験片支持台を貫通させて上方に延出し、このピストンロッドの先端に試験片載置部を設け、上記ピストンロッドの中間部に0点合わせ用係止段部を設けてあり、上記ピストンロッドを上動し、その0点合わせ用係止段部を試験片支持台に係止させ、この係止位置でピストンロッドの先端の試験片載置部と圧縮クリープ試験する圧子とを接合し、その位置で圧子を静止させ、一旦ピストンロッドを下げて試験片支持台上に試験片を載せて支持し、その後ピストンロッドを上動してその試験片載置部に試験片を載せて試験片を上動し、試験片上に圧子を接触させて圧子を上動し、ピストンロッドの0点合わせ用係止段部が試験片支持台に係止し、圧子の上動寸法により試験片の高さを測定することを特徴とする。
また、本発明の試験片の高さ測定方法は、上記圧子を上下動して圧子に荷重をかける荷重駆動部の押圧杆に設けた変位測定部で圧子上動の寸法を測定するようにしたことを特徴とする。
【0005】
次に、本発明の試験片の高さ測定装置は、試験片支持台の下部にエアシリンダーを上下向きに設け、このエアシリンダーのピストンロッドを試験片支持台を貫通させて上方に延出し、このピストンロッドの先端に試験片載置部を設け、上記ピストンロッドの中間部に0点合わせ用係止段部を設けてあり、ピストンロッド上に位置する圧子の押圧杆に変位測定部を設けてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の試験片の高さ測定方法は、試験片支持台の下部にエアシリンダーを上下向きに設け、このエアシリンダーのピストンロッドを試験片支持台を貫通させて上方に延出し、このピストンロッドの先端に試験片載置部を設け、上記ピストンロッドの中間部に0点合わせ用係止段部を設けてあり、上記ピストンロッドを上動し、その0点合わせ用係止段部を試験片支持台に係止させ、この係止位置でピストンロッドの先端の試験片載置部と圧縮クリープ試験する圧子とを接合し、その位置で圧子を静止させ、一旦ピストンロッドを下げて試験片支持台上に試験片を載せて支持し、その後ピストンロッドを上動してその試験片載置部に試験片を載せて試験片を上動し、試験片上に圧子を接触させて圧子を上動し、ピストンロッドの0点合わせ用係止段部が試験片支持台に係止し、圧子の上動寸法により試験片の高さを測定することを特徴とするから、恒温槽内において、試験片の試験直前に試験片の高さを測定できる効果がある。
【0007】
また、本発明の試験片の高さ測定方法は、上記圧子を上下動して圧子に荷重をかける荷重駆動部の押圧杆に設けた変位測定部で圧子上動の寸法を測定するようにしたことを特徴とするから、試験片の高さ測定を自動的に行うことができる効果がある。
【0008】
さらに、本発明の試験片の高さ測定装置は、試験片支持台の下部にエアシリンダーを上下向きに設け、このエアシリンダーのピストンロッドを試験片支持台を貫通させて上方に延出し、このピストンロッドの先端に試験片載置部を設け、上記ピストンロッドの中間部に0点合わせ用係止段部を設けてあり、ピストンロッド上に位置する圧子の押圧杆に変位測定部を設けてあることを特徴とするから、本発明の試験片の高さ測定方法を実施でき、恒温槽内で試験片の高さを自動的に測定できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図面に示した実施例により、本発明の詳細を説明する。
図1に本発明の試験片の高さ測定装置の正面図を示してある。図中符号1がクリープ試験のための恒温槽の上壁で、この恒温槽の上壁1から一対づつの4本の支柱2を垂下固設してあり、この4本の支柱2の下部に試験片支持台3を固設してある。この試験片支持台3は、試験片4を支持する上部支持台と後述するエアシリンダーを支持する下部支持台だからなっている。上部支持台の両端には試験片4を支持する支持突部5を設け、この支持突部5の両側に試験片4のための位置決めピン6を起立させてある。
【0010】
恒温槽の上部には、図示しない荷重駆動部が設けてあり、この荷重駆動部から恒温槽内に上壁1を貫通して押圧杆7を垂下してあり、この押圧杆7の下端に試験片4に圧縮荷重を加える圧子8を設けてある。そして上記押圧杆7の恒温槽の外即ち上壁1より上部に変位測定部9を設けてあり、圧子8の上下移動の移動量を測定するようにしてある。
【0011】
試験片支持台3の下部支持台の下部であって上記圧子8の直下位置にエアシリンダー10を上下向きに設けてあり、そのピストンロッド11を上向きに試験片支持台3を貫通させて上方向に延出し、その上端に試験片載置部12を設けてある。上記ピストンロッド11の中間部には0点合わせ用の係止段部13を設けてある。シリンダー10のピストン14と試験片支持台3との間にはピストンロッド11を引き込める方向の拡圧弾力を付与するスプリング15が設けてあり、通常はピストンロッド11を引き込める方向に作動し、エアシリンダー10内に入口16から圧搾空気を注入することにより、スプリング15の弾圧力に抗してピストン14を上動し、ピストンロッド11及び試験片載置部12を上動するようにしてある。
【0012】
上記本発明の試験片の高さ測定装置を使用して行う本発明の試験片の高さ測定方法について図2乃至図5に従い詳細に説明する。
図2は本発明方法の初期状態の正面図で、エアシリンダー10からは空気が抜かれてピストン14がスプリング15の弾力により下動しており、試験片載置部12が最下の位置にある。この状態では圧子8は待機位置にある。
【0013】
この位置から図3に示すようにピストンロッド11を上動し、その0点合わせ係止段部13を試験片支持台3に係止させ、同時に圧子8を下動し、この圧子8とピストンロッド11の試験片載置部12とを接合し、この位置で圧子8を静止させ、圧子8を0点合わせ位置に位置付ける。
この状態で図4に示すように、一旦ピストンロッド11を下動し、試験片支持台3上に試験片4を載せて支持する。
【0014】
その後図5に示すように、ピストンロッド11を上動してその試験片載置部12に試験片4を載置し、さらに、ピストンロッド11を上動して試験片4を上動する。そのことにより試験片4上に圧子8が接触し、圧子8を上動する。ピストンロッド11の0点合わせ用係止段部13が試験片支持台3に係止し、ピストンロッド11の上動が停止する。この動作における圧子8の上動寸法が試験片4の高さ寸法であり、この寸法が押圧杆7の上動寸法を変位測定部9が自動的に測定する。
【0015】
上記のように本発明の試験片の高さ測定装置を使用して、試験片の高さ測定方法を行うことにより、恒温槽内のクリープ試験において、試験直前に試験片の高さが測定できる。なお、上記説明ではエアシリンダーとして説明したが、他の流体圧シリンダーであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明方法を実施するための本発明試験片の高さ測定装置の正面図。
【図2】本発明方法の初期状態の正面図。
【図3】本発明方法の0点合わせ状態の正面図。
【図4】本発明方法の試験片設置の状態の正面図。
【図5】試験片高さの測定状態の正面図。
【符号の説明】
【0017】
1 恒温槽の上壁
2 支柱
3 試験片支持台
4 試験片
5 支持突部
6 位置決めピン
7 押圧杆
8 圧子
9 変位測定部
10 エアシリンダー
11 ピストンロッド
12 試験片載置部
13 0点合わせ用係止段部
14 ピストン
15 スプリング
16 入口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験片支持台の下部にエアシリンダーを上下向きに設け、このエアシリンダーのピストンロッドを試験片支持台を貫通させて上方に延出し、このピストンロッドの先端に試験片載置部を設け、上記ピストンロッドの中間部に0点合わせ用係止段部を設けてあり、上記ピストンロッドを上動し、その0点合わせ用係止段部を試験片支持台に係止させ、この係止位置でピストンロッドの先端の試験片載置部と圧縮クリープ試験する圧子とを接合し、その位置で圧子を静止させ、一旦ピストンロッドを下げて試験片支持台上に試験片を載せて支持し、その後ピストンロッドを上動してその試験片載置部に試験片を載せて試験片を上動し、試験片上に圧子を接触させて圧子を上動し、ピストンロッドの0点合わせ用係止段部が試験片支持台に係止し、圧子の上動寸法により試験片の高さを測定することを特徴とする試験片の高さ測定方法。
【請求項2】
圧子を上下動して圧子に荷重をかける荷重駆動部の押圧杆に設けた変位測定部で圧子上動の寸法を測定するようにした上記請求項1に記載の試験片の高さ測定方法。
【請求項3】
試験片支持台の下部にエアシリンダーを上下向きに設け、このエアシリンダーのピストンロッドを試験片支持台を貫通させて上方に延出し、このピストンロッドの先端に試験片載置部を設け、上記ピストンロッドの中間部に0点合わせ用係止段部を設けてあり、ピストンロッド上に位置する圧子の押圧杆に変位測定部を設けてあることを特徴とする試験片の高さ測定装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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