説明

試験装置

【課題】複数の構成部分を含む試験対象の機器に故障が発生したときに、効率よく故障が発生した部位を特定することができるように工夫された試験装置を提供する。
【解決手段】本発明にかかる試験装置(1)は、試験の対象(18)に対して複数の種類の試験を行う試験装置であって、前記試験の対象に対して前記複数の試験を、順次、行う試験手段(10,12,14,16)と、予め与えられた前記複数の試験の組み合わせの第1の結果と、前記試験の対象に対して行われた前記複数の試験の組み合わせの第1の結果とを比較する結果比較手段(S104,S116)と、前記比較の結果に基づいて、この比較の後に前記試験手段に行わせる試験を選択する選択手段(S106,S118)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験対象の機器を試験する試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、試験対象の機器の故障部位を特定する試験装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−304129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した背景からなされたものであって、複数の構成部分を含む試験対象の機器に故障が発生したときに、効率よく故障が発生した部位(構成部分)を特定することができるように工夫された試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明にかかる試験装置(1)は、試験の対象(18)に対して複数の種類の試験を行う試験装置であって、前記試験の対象に対して前記複数の試験を、順次、行う試験手段(10,12,14,16)と、予め与えられた前記複数の試験の組み合わせの第1の結果と、前記試験の対象に対して行われた前記複数の試験の組み合わせの第1の結果とを比較する結果比較手段(S104,S116)と、前記比較の結果に基づいて、この比較の後に前記試験手段に行わせる試験を選択する選択手段(S106,S118)とを有する。
【0006】
好適には、前記複数の試験それぞれは、それぞれに第2の結果が得られる複数の試験構成部分(図9(B))を含み、前記試験手段は、前記試験対象に対して、前記複数の試験それぞれに含まれる試験構成部分それぞれを行って、この試験に含まれる複数の構成部分の第2の結果の集合を、この試験の前記第1の結果とし、前記予め与えられた複数の試験の組み合わせの第1の結果それぞれは、この試験に含まれる前記複数の試験構成部分の第2の結果の少なくとも1つ以上を含み、前記結果比較手段は、前記予め与えられた複数の試験の組み合わせの第1の結果(図9(A))と、前記複数の試験の組み合わせの実行により得られた第1の結果とを比較し、前記予め与えられた第1の結果(図9(A))および予め与えられた第1の結果に含まれる1つ以上の第2の結果(9(B))と、前記複数の試験の組み合わせの実行により得られた第1の結果および第1の結果に含まれる前記1つ以上の第2の結果とを比較し、前記選択手段は、前記第1の結果の比較結果と、前記第1の比較結果および第2の結果の比較結果とに基づいて、これらの比較の後に前記試験手段に行わせる試験を選択する。
なお、この部分においては、構成部分と、本願明細書・図面に付された符号および図番とが対応付けられているが、これは、本願請求項と明細書・図面の記載との対応関係の明確化のみを目的とし、本願発明の技術的範囲の限定を目的としない。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる試験装置によれば、複数の構成部分を含む試験対象の機器に故障が発生したときに、効率よく故障が発生した部位(構成部分)を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本願発明が適用される機器試験システムの構成を例示する図である。
【図2】図1に示した操作制御装置が試験対象装置の試験を行うために必要とされるパラメータを定義し、操作制御装置のメモリなどに記憶される第1のパラメータテーブルを例示する図表である。
【図3】(A)は、図2に示した第1のパラメータテーブルにおいて、試験3に対して設定された試験条件1を例示する図表であり、(B)は、図2に示したパラメータテーブルにおいて、試験6に対して設定された試験条件7を例示する図表である。
【図4】図2,図3(A),(B)に示したパラメータテーブルおよび試験条件に従った機器試験システムの第1の試験動作(S10)を示すフローチャートである。
【図5】(A)は、図1に示した操作制御装置が試験対象装置の試験を行うために必要とされるパラメータを定義し、操作制御装置のメモリなどに記憶される第2のパラメータテーブルを例示する図表であって、(B)は、第2のパラメータテーブルにおいて試験判定を示す情報として設定された0〜2の値が示す内容を定義する判定テーブルを例示する図表である。
【図6】(A)は、操作制御装置が試験として機能試験A〜Eを行うことを例示する図であり、(B)は、(A)に示した試験の結果を例示する図であり、(C)は、操作制御装置のメモリなどに試験前に予め記憶される複数の試験A〜Eの結果の組み合わせを示す情報テーブルを例示する図表であり、(D)は、(C)に組み合わせた図表に示された試験A〜Eの結果の組み合わせから特定される試験A〜Eの試験対象装置の故障箇所の候補を示す候補テーブルを例示する図表である。
【図7】図1に示した機器試験システムにおける図5,図6(A),(B)に示したパラメータテーブルおよび試験条件に従った機器試験システムの第2の試験動作(S12)を示すフローチャートである。
【図8】図7に示したS120−1〜120−7において実行される試験対象装置に対する試験動作(S120)を示すフローチャートである。
【図9】(A)は、図6(C)に示した複数の試験の組み合わせの結果を示す情報テーブル(メインマトリクス)を例示する図表であり、(B)は、各試験について個別に管理される複数の試験構成部分の組み合わせの結果を示す情報テーブル(サブマトリクス)を例示する図表であり、(C)は、(A),(B)に示したメインマトリクスとサブマトリクスとを統合した情報テーブルを例示する図表である。
【図10】図9(A),(B)に示したメインマトリクスとサブマトリクスとを使用した試験1〜3(試験要素部分1−1〜3−2)を実行するために用いられる第3のパラメータテーブルを例示する図表である。
【図11】ユーザが、図9(A)〜(C)に示した情報テーブル(マトリクス)を編集するためのUI(User Interface)画像を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施形態]
以下、本願発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、本願発明が適用される機器試験システム1の構成を例示する図である。
図1に示すように、機器試験システム1は、制御操作装置10−1〜10−n、測定器12−1〜12−nおよび信号切替器16−1〜16−nから構成される。
なお、nは1以上の整数を示すが、常に同じ数を示すとは限らない。
また、操作制御装置10−1〜10−nなど、複数あり得る構成部分のいずれかを特定せずに示すときには、単に操作制御装置10と記す。
また、操作制御装置10など、機器試験システム1の各構成部分をノードと総称することがある。
【0010】
機器試験システム1において、操作制御装置10、測定器12および信号切替器16は、LAN140を介して相互に接続され、操作制御装置10および測定器12は、装置間
信号線142を介して相互に接続され、測定器12と信号切替器16とは、測定線144を介して相互に接続される。
操作制御装置10は、CPU102、メモリ104およびこれらの周辺回路などを含む本体100、表示装置、キーボードおよびマウスなどを含む入出力装置106、他のノードとの間の通信を行う通信装置110、および、記録媒体114に対してデータ・情報を記憶し、読み出す記録装置112を含む(ソフトウェア制御が行われる測定器12および試験対象装置18、および、機器試験システム1において情報処理の主体となりうる全てのノードについて同様)。
つまり、操作制御装置10およびその他のノードは、情報処理および通信機能を有するコンピュータとしての構成部分を含む。
以下に説明する試験のための各処理は、情報処理の主体となりうるノードに、記録媒体114などを介して供給され、メモリ104にロードされて、各ノードのハードウェア資源を具体的に利用して実行されるプログラムにより実現される。
【0011】
機器試験システム1は、これらの構成部分により、1つ以上の構成部分180を含む試験対象装置18−1−1〜18−n−nの試験およびその故障箇所の特定を行う。
つまり、機器試験システム1においては、操作制御装置10の制御により、信号切替器16内の接続を変更して、試験に必要とされる測定器12と、試験の対象となる試験対象装置18とを接続して、試験対象装置18の測定(例えば、試験対象装置18が無線機の場合には受信感度、送信出力、受信信号のノイズ測定、周波数案程度および電源動作など)を行い、この測定結果を解析して、試験対象装置18が正常に動作しているか否か、および、試験対象装置18が正常に動作していないときには、故障が試験対象装置18のいずれの構成部分180(電源装置、増幅装置、冷却装置および制御装置など)の不具合に起因するかが特定され、試験結果とされる。
なお、機器試験システム1においては、いずれの操作制御装置10も、試験レシピに従って、全ての試験対象装置18の試験を行うことができ、通常は、試験結果は共有データ記憶装置20に記憶されるが、共有データ記憶装置20が存在しない場合、LAN140に障害が起きたときには、試験を行った操作制御装置10に記憶される。
【0012】
図2は、図1に示した操作制御装置10が試験対象装置18の試験を行うために必要とされるパラメータを定義し、操作制御装置10のメモリ104などに記憶される第1のパラメータテーブルを例示する図表である。
図3(A)は、図2に示した第1のパラメータテーブルにおいて、試験3に対して設定された試験条件1を例示する図表であり、(B)は、図2に示したパラメータテーブルにおいて、試験6に対して設定された試験条件7を例示する図表である。
図2に示すように、第1のパラメータテーブルにおいて、大項目番号0〜6および大項目番号5に対する小項目番号1,2に対応して、試験1〜5,6−1,6−2,7のパラメータが定義される。
【0013】
つまり、図2に示すように、試験1〜5,6−1,6−2、7それぞれに対して、これらの試験を実行するために必要とされ、操作制御装置10のメモリ104などに記憶されたパラメータファイルの名称が設定され、さらに、これらの試験それぞれの結果を判定するための基準(要求基準)とその単位、結果を正常と判断するための基準の上限値および下限値が設定される。
なお、以下に示す各テーブル・データなどは、図2に示したパラメータファイルおよびパラメータテーブルと同様に、操作制御装置10のメモリ104に記憶される。
さらに、図2に点線で示すように、試験3,7に対しては、図3(A),(B)に示すように、これらの試験が実行されるための条件が定義される。
つまり、図3(A)に示すように、試験3は、試験1,2の両方の結果が正常(良)と判断されたときにのみ実行され、これらの一方でも不正常(否)と判定されたときには実
行されない。
また、図3(B)に示すように、試験7は、少なくとも試験6−1,6−2の一方の結果が不正常(否)と判定されたときにのみ実行され、これらの両方が良と判断されたときには実行されない。
【0014】
以下、機器試験システム1における試験動作を説明する。
図4は、図2,図3(A),(B)に示したパラメータテーブルおよび試験条件に従った機器試験システム1の第1の試験動作(S10)を示すフローチャートである。
図4に示すように、ステップ100(S100)において、操作制御装置10は、信号切替器16の接続を変更して、試験対象装置18−i(1≦i≦n;以下同様)と、その試験において用いられる測定器12とを接続させ、測定器12の測定結果を解析し、例えば構成部分180−i−1に関する第1の試験を行う。
操作制御装置10は、第1の試験の結果が、パラメータテーブルに設定された基準を満たすか満たさないか(良否)を判断する。
ステップ102(S102)において、操作制御装置10は、S100においてど同様な処理を行い、例えば構成部分180−i−2に関する試験2を実行してその結果の良否を判断する。
【0015】
ステップ104(S104)において、操作制御装置10は、S100,S102の処理において行われた試験1,2の結果と、図3(A)に示された試験条件1の内容とを比較する。
つまり、操作制御装置10は、パラメータテーブル(図2)に設定された試験条件1(図3(A))を参照して、試験6−1,6−2の両方の結果が良であったか(試験6−1,6−2のいずれの結果にも否がなかったか)否かを判断する。
ステップ106(S106)において、操作制御装置10は、試験1,2の結果が試験条件1に適合しているか否かを判断し、試験1,2の結果が試験条件1に適合しているとき(試験1,2の結果の両方が良のとき)にはS110の処理に進み、それ以外のときにはS108の処理に進む。
ステップ108(S108)において、操作制御装置10は、S100,S102においてと同様の処理を行い、例えば構成部分180−i−3に関する試験3を実行してその結果の良否を判定する。
【0016】
ステップ110〜114−2(S110〜114−2)において、操作制御装置10は、S100,S102などにおいてと同様の処理を行い、例えば構成部分180−i−4〜180−i−(6−1),180−i−(6−2)に関する試験4〜6−2を実行してその結果の良否を判定する。
ステップ116(S116)において、操作制御装置10は、S110〜S114−2の処理において行われた試験4〜6−2の結果と、図3(B)に示された試験条件2の内容とを比較する。
つまり、操作制御装置10は、パラメータテーブル(図2)に設定された試験条件2(図3(B))を参照して、試験6−1,6−2の両方の結果が良であったか否かを判断する。
【0017】
ステップ118(S118)において、操作制御装置10は、試験6−1,6−2の結果が試験条件2に適合しているか否かを判断し、試験6−1,6−2の結果が試験条件2に適合しているときには処理を終わり、これ以外のときにはS120の処理に進む。
ステップ120(S120)において、操作制御装置10は、S100,S102においてと同様の処理を行い、例えば構成部分180−7に関する試験7を実行してその結果の良否を判定し、処理を終了する。
【0018】
以上説明したように機器試験システム1を動作させると、各試験の以前の試験の結果に応じて必要な試験のみが実行されるので、各試験を何らの判断もせずに順次、実行する場合と比べて、試験時間が短くて済む。
また、以上説明したように機器試験システム1を動作させると、故障が発生したときにのみその原因を詳細に調べるための試験を実施して、故障の原因となっている構成部分180を容易に特定できるようになる。
【0019】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態を説明する。
図5(A)は、図1に示した操作制御装置10が試験対象装置18の試験を行うために必要とされるパラメータを定義し、操作制御装置10のメモリ104などに記憶される第2のパラメータテーブルを例示する図表であって、(B)は、第2のパラメータテーブルにおいて試験判定を示す情報として設定された0〜2の値が示す内容を定義する判定テーブルを例示する図表である。
図5(A)に示すように、第2のパラメータテーブルは、図2に示した第1のパラメータテーブルの内容に加えて、試験判定を0〜2の数値で示す情報が設定される。
なお、この第2のパラメータテーブルには、第1のパラメータテーブルと同様に、各試験に対して試験条件が設定可能なので、第2のパラメータテーブルと、図3(A),(B)に示した試験条件テーブルとを組み合わせることにより、図4に示したような試験シーケンスの制御も可能である。
【0020】
図5(B)に示すように、試験判定の値0は、第2のパラメータテーブルに定義された試験1〜5,6(6−1,6−2),7それぞれに設定されたときに、この値が設定された試験(当該試験)を実行し、次の試験に進むことを示す。
また、試験判定の値1は、この値が設定された当該試験を実行し、さらに、故障部位の特定を行うことを示す。
また、試験判定の値2は、故障部位の特定を行い、特定できなかったときにのみ当該試験を実行することを示す。
【0021】
図6(A)は、操作制御装置10が試験として機能試験A〜Eを行うことを例示する図であり、(B)は、(A)に示した試験の結果を例示する図であり、(C)は、操作制御装置10のメモリ104などに試験前に予め記憶される複数の試験A〜Eの結果の組み合わせを示す情報テーブルを例示する図表であり、(D)は、(C)に組み合わせた図表に示された試験A〜Eの結果の組み合わせから特定される試験A〜Eの試験対象装置18の故障箇所の候補を示す候補テーブルを例示する図表である。
なお、図6(A)〜(D)において、図2〜図5(A),(B)などの他の図面とは異なり、試験1〜7との用語ではなく、試験A〜Eとの用語が使用されているが、これは、図時の関係上の問題で、本願発明の本質とは関係がない。
【0022】
図6(A)に示すように、試験対象の試験対象装置18−iに対して試験A〜Eが行われると、例えば、図6(B)に示す結果が得られる。
例えば、試験A〜Eの実行に先立つ検討により、あるいは、それまでの試験による故障部位の特定の結果に基づいて、図6(C)に示すように、試験対象装置18−iの故障部位(構成部分180)の特定に役立つ試験結果の組み合わせを示す情報テーブルが予め求められ、操作制御装置10の入出力装置106に記憶される。
さらに、例えば、図6(D)に示すように、図6(A)に示した試験対象装置18−iに対する組み合わせ番号1〜6の試験結果の組み合わせそれぞれに対応して、故障の原因として特定されるべき試験対象装置18−iの構成部分180−i−j(1≦j≦n)の候補と、その可能性の高さの順番(1,2,・・・;数値が少ない方が可能性が高い)が、例えば図6(C)に示した情報テーブルに含まれる複数の試験の組み合わせの結果と同
様に、試験A〜Eの実行に先立つ検討により、あるいは、それまでの試験による故障部位の特定の結果に基づいて求められ、操作制御装置10の入出力装置106に、候補テーブルとして記憶される。
【0023】
図7は、図1に示した機器試験システム1における図5,図6(A),(B)に示したパラメータテーブルおよび試験条件に従った機器試験システム1の第2の試験動作(S12)を示すフローチャートである。
図8は、図7に示したS120−1〜120−7において実行される試験対象装置18−iに対する試験動作(S120)を示すフローチャートである。
図7に示すように、図2〜図4に示した第1の試験動作(S10)と組み合わされない場合には、例えば、ステップ120−1〜120−7(S120−1〜120−7)において、試験対象装置18−iに対する試験1〜7が順次、実行される。
【0024】
図8に示すように、S120−k(ここでは1≦k≦7)に対応する試験kのステップ122(S122)において、操作制御装置10は、その試験において、図5(A)に示した試験判定の結果に定義されている値を判断する。
操作制御装置10は、図5(B)に定義された試験判定の結果に対応した試験の実行の態様に従って、試験判定の結果の値が0または1であるときにはS130の処理に進み、この値が2であるときにはS122の処理に進む。
ステップ122(S122)において、操作制御装置10は、図6(C)に示した複数の試験の組み合わせの結果を示す情報テーブルと、図6(D)に示した候補テーブルにより特定される故障部位とを比較し、試験対象装置18−iの故障部位を特定する。
ステップ124(S124)において、操作制御装置10は、S122の処理において、故障部位が特定されたときには次の処理(試験(k+1)または処理終了)にすすみ、これ以外のときにはS126の処理に進む。
ステップ126(S126)において、操作制御装置10は、試験kを実行する。
【0025】
ステップ130(S130)において、操作制御装置10は、試験kを実行する。
ステップ132(S132)において、操作制御装置10は、図5(B)に定義された試験判定の値が0のときには次の処理に進み、この値が1のときにはS134の処理に進む。
ステップ134(S134)において、操作制御装置10は、S122における処理と同様に、S130において実行された試験kの結果と、それ以前の試験1〜(k−1)との結果の組み合わせに基づいて、故障部位の特定を行う。
【0026】
[複数の試験の組み合わせの結果を示す情報の管理方法]
以下、機器試験システム1の第2の試験動作における複数の試験の組み合わせの結果を示す情報の管理方法を説明する。
図9(A)は、図6(C)に示した複数の試験の組み合わせの結果を示す情報テーブル(メインマトリクス)を例示する図表であり、(B)は、各試験について個別に管理される複数の試験構成部分の組み合わせの結果を示す情報テーブル(サブマトリクス)を例示する図表であり、(C)は、(A),(B)に示したメインマトリクスとサブマトリクスとを統合した情報テーブルを例示する図表である。
図6(C)に示した複数の試験結果の組み合わせは、例えば、各試験が複数の試験の集合(試験構成部分)から構成されており、これら複数の試験構成部分を実行することにより、各試験が実現されるような場合には、1つのテーブルで、複数の試験結果の組み合わせと、複数の試験結果それぞれの試験構成部分の結果とを定義することは複雑で難しくなってしまう。
【0027】
このようなときには、この情報テーブルを部分ごと、例えば、図9(A),(B)に示
すように、全試験1〜3の組み合わせの結果を項目として含むが、実際には、試験1,2に含まれる試験構成部分1−1〜2−2の組み合わせの結果のみを示す情報テーブル(メインマトリクス)と、試験3に含まれる試験構成部分3−1,3−2の組み合わせの結果を抜粋して示す情報テーブル(サブマトリクス)とが分けられて定義されうると便利である。
操作制御装置10は、図9(A)に示すメインマトリクスのみを、試験1(試験構成部分1−1)の開始時から試験2(試験要素2−2)の終了時まで参照して試験1,2を実行し、試験3(試験構成部分3−1)が実行される時点で、さらに、図9(B)に示すサブマトリクスを参照し、これらを図9(C)に示すように統合して用いて試験3(試験構成部分3−1,3−2)を実行する。
なお、各試験1〜3において、操作制御装置10は、図9(A),(C)に示した情報テーブルと、これとは別途設けられた故障箇所の特定をするための候補テーブル(図示せず;図6(D)を参照)とを参照して、故障箇所を特定する。
【0028】
図10は、図9(A),(B)に示したメインマトリクスとサブマトリクスとを使用した試験1〜3(試験要素部分1−1〜3−2)を実行するために用いられる第3のパラメータテーブルを例示する図表である。
図9(A),(B)に示したメインマトリクスとサブマトリクスとを使用した試験1〜3(試験要素部分1−1〜3−2)を実行するためには、図5に示した第2のパラメータテーブルに、図10に示すように、サブマトリクスを用いて行われる試験項目(図9(A)〜(C),図10においては試験3)に対応して、その試験からに用いられるサブマトリクスを内容とし、操作制御装置10のメモリ104に記憶されるサブマトリクスファイル名が追加された第3のパラメータテーブルが用いられる。
このような手順で試験を行うためには、操作制御装置10は、第3のパラメータテーブルに従って、図7,8に示したように、まず、メインマトリクスを用いて試験1〜3を実行し、図7に示したS120−3の処理を開始するときに、サブマトリクスをさらに用いて試験3を行えばよい。
【0029】
[マトリクスの編集]
図11は、ユーザが、図9(A)〜(C)に示した情報テーブル(マトリクス)を編集するためのUI(User Interface)画像を例示する図である。
なお、図11には、図9(B)に示した試験3のサブマトリクスの他に、試験1のサブマトリクスが存在し、メインマトリクスと試験1,3のサブマトリクスが統合されて表示されている場合が例示されている。
操作制御装置10は、例えば、図10に示した第3のパラメータテーブルを、入出力装置106に表示してユーザに示す。
ユーザが、表示されたパラメータテーブルの試験項目をクリックすると、操作制御装置10は、クリックされた試験項目において用いられる図9(A)〜(C)のいずれかに示された情報テーブル(マトリクス)を、図11に示すように、入出力装置106にUI画像として表示する。
ユーザは、表示されたUI画像を用いて、パラメータテーブルおよび各マトリクスなどの編集を行い、ユーザが編集を終了させるための操作を行うと、操作制御装置10は、編集されたパラメータテーブルおよび各マトリクスを、メモリ104に記憶する。
【0030】
[機器試験システム1の特徴]
以上説明したように、機器試験システム1によれば、不具合が発生した場合の電子機器などの試験対象装置18において、故障の原因となっている構成部分180を容易に特定できる。
つまり、機器試験システム1によれば、予め用意された情報テーブル(マトリクス)と候補テーブルとを用いて試験が行うので、故障箇所が短時間で効率よく特定されうる。
また、機器試験システム1においては、情報テーブルが、メインテーブルとサブテーブルに分けて定義できるので、情報テーブルへの項目の追加および削除が容易であり、ユーザは、試験の目的に応じて、適宜、各マトリクスを編集して試験の内容を変更・更新して実行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本願発明は、電子装置などの機器の試験のために利用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1・・・機器試験システム,10・・・操作制御装置,100・・・本体,102・・・CPU,104・・・メモリ,106・・・入出力装置,110・・通信装置,12・・・測定器,140・・・LAN,142・・・装置間信号線,144・・・測定線システム,16・・・信号切替器,18・・・試験対象装置,180・・・構成部分,

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験の対象に対して複数の種類の試験を行う試験装置であって、
前記試験の対象に対して前記複数の試験を、順次、行う試験手段と、
予め与えられた前記複数の試験の組み合わせの第1の結果と、前記試験の対象に対して行われた前記複数の試験の組み合わせの第1の結果とを比較する結果比較手段と、前記比較の結果に基づいて、この比較の後に前記試験手段に行わせる試験を選択する選択手段と
を有する試験装置。
【請求項2】
前記複数の試験それぞれは、それぞれに第2の結果が得られる複数の試験構成部分を含み、
前記試験手段は、前記試験対象に対して、前記複数の試験それぞれに含まれる試験構成部分それぞれを行って、この試験に含まれる複数の構成部分の第2の結果の集合を、この試験の前記第1の結果とし、
前記予め与えられた複数の試験の組み合わせの第1の結果それぞれは、
この試験に含まれる前記複数の試験構成部分の第2の結果の少なくとも1つ以上
を含み、
前記結果比較手段は、前記予め与えられた複数の試験の組み合わせの第1の結果と、前記複数の試験の組み合わせの実行により得られた第1の結果とを比較し、
前記選択手段は、前記予め与えられた第1の結果および予め与えられた第1の結果に含まれる1つ以上の第2の結果と、前記複数の試験の組み合わせの実行により得られた第1の結果および第1の結果に含まれる前記1つ以上の第2の結果とを比較し、
前記選択手段は、前記第1の結果の比較結果と、前記第1の比較結果および第2の結果の比較結果とに基づいて、これらの比較の後に前記試験手段に行わせる試験を選択する
請求項1に記載の試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−163956(P2011−163956A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27464(P2010−27464)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】