詰まり防止装置及び遊技球導入装置
【課題】遊技島から遊技機への供給する遊技球の供給流路内での詰まりを防止する詰まり防止装置を提供することである。
【解決手段】
パチンコ玉2を使用して遊技する遊技機が複数台設置された遊技場にあって、固定部材24から垂下されてパチンコ玉2が通過する供給流路11上に配される詰まり防止装置1において、供給流路11の近傍に垂下される玉ならし部材20と、玉ならし部材20を固定部材24に垂下する固定軸21を有し玉ならし部材20には複数箇所に錘部材25があり、無負荷状態で玉ならし部材20を垂下された姿勢を基準として少なくとも2箇所の錘部材25の重心は固定軸21を通過する天地方向の垂線を挟む位置にあり、玉ならし部材20あるいは固定部材24の少なくとも一方には固定軸21を挿通する固定孔26があり、固定孔26は固定軸21よりも大きく、固定軸21と固定孔26は相対的に移動可能である構成としている。
【解決手段】
パチンコ玉2を使用して遊技する遊技機が複数台設置された遊技場にあって、固定部材24から垂下されてパチンコ玉2が通過する供給流路11上に配される詰まり防止装置1において、供給流路11の近傍に垂下される玉ならし部材20と、玉ならし部材20を固定部材24に垂下する固定軸21を有し玉ならし部材20には複数箇所に錘部材25があり、無負荷状態で玉ならし部材20を垂下された姿勢を基準として少なくとも2箇所の錘部材25の重心は固定軸21を通過する天地方向の垂線を挟む位置にあり、玉ならし部材20あるいは固定部材24の少なくとも一方には固定軸21を挿通する固定孔26があり、固定孔26は固定軸21よりも大きく、固定軸21と固定孔26は相対的に移動可能である構成としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球の詰まり防止装置に関するものである。特に遊技球導入装置内での遊技球の詰まりを防止するのに好適である。
【背景技術】
【0002】
遊技機の代表例として、パチンコ機がある。パチンコ機は、遊技媒体としてパチンコ玉を使用して遊技するものである。パチンコ機においては、遊技中にパチンコ玉が入賞口に入賞するなどの所定条件が成立すると、所定個数のパチンコ玉がパチンコ機から遊技者に対して払い出される。また最近では、遊技者が所望のパチンコ機に隣接する貸出機に金銭を投入すると、パチンコ玉が貸出機を介して当該パチンコ機に直接供給され、遊技者に貸し出される。
【0003】
ところで、パチンコホール(遊技場)では、複数のパチンコ台(遊技機)が列設されて遊技島が形成されており、同一の遊技島内でパチンコ玉(遊技球)が循環する。具体的には、例えばパチンコ機が設けられた遊技島内には、パチンコ玉をパチンコ機の上部側に揚送可能な玉揚送装置と、当該玉揚送装置で揚送されたパチンコ玉を同一島内の遊技機に対して流す傾斜流路と、当該傾斜流路から分岐して各パチンコ機にパチンコ玉を供給する補給シュートとが設けられている。即ち、パチンコ玉は、パチンコ機で使用された後、玉揚送装置に送られ、玉揚送装置で上方に搬送されて、傾斜流路と各パチンコ機の上部に備えられた補給シュートを介して再び各パチンコ機に供給される経路を循環する。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−181523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、パチンコ玉は、傾斜流路から補給シュートに分流される際や、補給シュートからパチンコ機の玉受タンクに供給される際に、玉詰まりが生じ易いことが知られている。これは、補給シュート及び玉受タンクにおける通路が、パチンコ玉の流れ方向下流側の断面形状がテーパー状に漸減されており、最終的にパチンコ玉が1個ずつしか通過できない断面形状とされているため、当該通路を多量のパチンコ玉が一度に流れると、パチンコ玉同士が団子状に積み重なり、パチンコ玉間で架橋構造、所謂ブリッジ構造が形成され、パチンコ玉によって通路が閉鎖されてしまうからである。
【0006】
これによって、貸出機にお金を投入してパチンコ玉を借りる際や、パチンコ機の遊技中にパチンコ玉が入賞口に入賞してパチンコ玉が払い出される際に、遊技者に対してパチンコ玉が払い出されないという問題が生じていた。そのため、従来においては、遊技者が遊技場の従業員を呼んで、従業員の手作業でパチンコ玉の詰まりを解消してもらうことが一般的であった。ところが、遊技場では、1人の従業員が複数の遊技島を管理しているため、従業員が迅速に対応できない場合が生じ、遊技者が不満を感じることがあった。即ち、このようなパチンコ玉の詰まりを頻発していると、遊技者の遊技意欲が低下し、売り上げの低下に繋がる虞があった。
【0007】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされたもので、遊遊技島から遊技機への供給する遊技球の供給流路内での詰まりを防止する詰まり防止装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために従来の補給シュートの詰まり現象について考察した。従来の補給シュート200には、図19のように、パチンコ玉2が通過する供給流路201と、補給シュート200の供給流路201の上方に揺動可能な玉ならし部材202と、を備えている。この玉ならし部材202は供給流路201の幅方向に配した固定軸203によって、パチンコ玉2の流れ方向にのみ揺動可能に固定されている。即ち、従来の補給シュート200は、玉ならし部材202により、団塊化した複数のパチンコ玉2の上部をならすようにして平坦化し、パチンコ玉2があまり積み重ならないようにして団塊化を防ぐ構造にしている。しかしながら、長時間、補給シュート200に多量のパチンコ玉2が導入されると、玉ならし部材202の復元力とパチンコ玉2から受ける外力とのバランスが一定となり、玉ならし部材202がうまく機能せず、供給流路201の中流でパチンコ玉2の流れが止まってしまうことがあった。
そこで本発明者は、この原因として、玉ならし部材が固定軸を中心として規則的に揺動していることが原因であると考えた。こうして試行錯誤を繰り返し導かれた請求項1に記載の発明は、遊技球を使用して遊技する遊技機が複数台設置された遊技場にあって、固定部から垂下されて遊技球が通過する流路上に配される詰まり防止装置において、流路の近傍に垂下される本体部と、本体部を固定部に垂下する軸を有し、前記本体部には複数箇所に重量部があり、無負荷状態で本体部を垂下された姿勢を基準として少なくとも2箇所の重量部の重心は前記軸を通過する天地方向の垂線を挟む位置にあり、本体部あるいは固定部の少なくとも一方には前記軸を挿通する穴があり、当該穴は軸よりも大きく、軸と穴は相対的に移動可能であることを特徴とする詰まり防止装置である。
【0009】
ここで言う穴とは、底の有無、即ち、貫通しているものも貫通していないものも含有する。
【0010】
かかる構成によれば、前記本体部には複数箇所に重量部があり、無負荷状態で本体部を垂下された姿勢を基準として少なくとも2箇所の重量部の重心は前記軸を通過する天地方向の垂線を挟む位置にあり、本体部あるいは固定部の少なくとも一方には前記軸を挿通する穴があり、当該穴は軸よりも大きく、軸と穴は相対的に移動可能であるため、流路を通過する遊技球が本体部に衝突すると、あるいは、遊技球同士が衝突しその振動が本体部に伝わると、本体部は軸の周方向の揺動に加えて、重量部の遠心力や慣性力に引きずられ、軸は穴の領域内で相対的に移動する。即ち、遊技球の振動あるいは衝突により本体部の位置は不規則に移動し、本体部の動作の軌道が不規則に変化する。言い換えると、本体部は、遊技球の振動あるいは衝突を受けて、本体部の重心が不規則に変化する。そのため、本体部の重心が一定のところに留まらず、遊技球から受ける外力と本体部の復元力とのバランスが不安定となる。即ち、遊技球から受ける外力と本体部の復元力とのバランスが一定となりにくく、遊技球の振動あるいは衝突により本体部が不規則に動き続ける。それ故に遊技球が団塊化しにくく、遊技球がブリッジ構造を取ることを防止できる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、重量部は、複数の錘部材からなり、無負荷状態で本体部を垂下された姿勢を基準として、錘部材は軸を回転軸として同一円周上に配されていることを特徴とする請求項1に記載の詰まり防止装置である。
【0012】
かかる構成によれば、重量部は、複数の錘部材からなり、無負荷状態で本体部を垂下された姿勢を基準として、錘部材は軸を回転軸として同一円周上に配されているため、遊技球の衝突や振動により穴の範囲で本体部が移動した際に、本体部が通常の設置状態への戻るための復元力、特に軸の周方向の復元力は、本体部に大きく働く。即ち、遊技球の上部をならし、平滑化するのに、好適である。
【0013】
請求項3に記載の発明は、本体部が軸の長手方向に移動可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の詰まり防止装置である。
【0014】
かかる構成によれば、本体部が軸の長手方向に移動可能である。即ち、流路を通過する遊技球が本体部に衝突する、あるいは、遊技球同士が衝突しその振動が本体部に伝わると、本体部の可動領域に穴の開口面積の範囲内と、本体部と軸との間の空間内で移動可能であるため、本体部の軌道がより不規則なものとなる。即ち、遊技球からの外力をより多方向に分散できる。そのため、遊技球からの外力と本体部の復元力とのバランスがより不安定となり、遊技球の振動あるいは衝突により本体部が不規則に動き続けるので、本体部が一定の位置で留まらず、遊技球がブリッジ構造を取ることを防止できる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、1又は複数の遊技機が集まって形成される遊技機群に設置される遊技球導入装置であって、遊技機に対して遊技球を供給する供給流路を有しており、前記供給流路上に請求項1乃至3のいずれかに記載の詰まり防止装置を備えていることを特徴とする遊技球導入装置である。
【0016】
かかる構成によれば、遊技球が遊技機に搬送され導入される遊技球導入装置において、供給流路内での遊技球の流れの滞りを防止できるので、上述したような遊技者が従業員を呼ぶ手間を省くことができる。即ち、従業員が迅速に対応できない場合における遊技者の不満を解消できると同時に遊技場内での従業員の手間を省くことができる。また、コストの削減にもつながる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、前記本体部には複数箇所に重量部があり、無負荷状態で本体部を垂下された姿勢を基準として少なくとも2箇所の重量部の重心は前記軸を通過する天地方向の垂線を挟む位置にあり、本体部あるいは固定部の少なくとも一方には前記軸を挿通する穴があり、当該穴は軸よりも大きくて軸と穴は相対的に移動可能であるため、流路を通過する遊技球が本体部に衝突する、あるいは、遊技球同士が衝突しその振動が本体部に伝わると、本体部は軸の周方向の揺動に加えて、重量部の遠心力や慣性力に引きずられ、軸は穴の領域内で相対的に移動する。即ち、遊技球の振動あるいは衝突により本体部の位置は不規則に移動し、本体部の動作の軌道が不規則に変化する。言い換えると、本体部は、遊技球の振動あるいは衝突を受けて、本体部の重心が不規則に変化する。そのため、本体部の重心が一定のところに留まらず、遊技球から受ける外力と本体部の復元力とのバランスが不安定となる。即ち、遊技球から受ける外力と本体部の復元力とのバランスが一定となりにくく、遊技球の振動あるいは衝突により本体部が不規則に動き続ける。それ故に遊技球が団塊化しにくく、遊技球がブリッジ構造を取ることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る遊技島を示す説明図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る補給シュートの斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る補給シュート内での玉の流れを表す説明図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る補給シュート内での玉の流れを表す説明図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る詰まり防止装置の斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る玉ならし部材の分解斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る玉ならし部材と固定軸との位置関係を表す説明図である。
【図8】図6の玉ならし本体の断面図である。
【図9】図7の部分拡大図である。
【図10】図5の固定部材の断面図である。
【図11】本発明の第1実施形態に係る玉ならし部材の左右上下方向の移動動作の説明図である。(a)固定軸の周方向の動きの説明図である。(b)固定軸の固定孔内での動きの説明図である。
【図12】本発明の第1実施形態に係る玉ならし部材の幅方向の移動動作の説明図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る詰まり防止装置の正面図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る玉ならし部材の斜視図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る固定部材の斜視図である。
【図16】図13の詰まり防止装置の部分拡大図である。
【図17】本発明の第2実施形態に係る玉ならし部材の左右上下方向の移動動作の説明図である。(a)固定軸の周方向の動きの説明図である。(b)固定軸の固定孔での動きの説明図である。
【図18】本発明の第2実施形態に係る玉ならし部材の幅方向の移動動作の説明図である。
【図19】従来の玉ならし部材の補給シュートの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明において、特に断りがない限り、上下左右の位置関係は、通常の設置位置を基準に説明する。即ち、図2において左右方向を左右、上下方向を上下、紙面に対して手前奥方向を前後と表す。
【0020】
本実施形態の遊技球導入装置3は、主に複数のパチンコ機150(遊技機)を1つの群とした所謂遊技島151に適した構成であり、遊技場内において、その遊技島151が複数配されている。そこで、以下の説明において理解を容易にするために、1つの遊技島151(遊技機群)に注目して説明する。
【0021】
また、本発明の遊技球導入装置3は、詰まり防止装置1を用いることによって、遊技島151からパチンコ機150へのパチンコ玉2の供給流路11でのパチンコ玉2の詰まりを防止できるものである。
【0022】
本発明の遊技球導入装置3は、図1のようにパチンコ玉2をパチンコ機150の上部側に揚送可能な玉揚送装置152と、玉揚送装置152で揚送されたパチンコ玉2を同一遊技島151内のパチンコ機150に対して流す傾斜流路153と、傾斜流路153から分岐して各パチンコ機150にパチンコ玉2を供給可能な補給シュート10とが設けられている。
【0023】
一般的に、遊技島151からパチンコ機150へのパチンコ玉2の供給流路において、パチンコ玉2の詰まりが生じる箇所は、図1に示すパチンコ機150に対してほぼ平行に流れるパチンコ機150上部の傾斜流路153から各パチンコ機150側に分流される補給シュート10や当該補給シュート10の下流側でパチンコ機150に備えられた玉受タンク156とされている。そこで、以下の説明では理解を容易にするため、本発明の遊技球導入装置3の構成中で、補給シュート10に詰まり防止装置1を用いた場合について説明する。
【0024】
補給シュート10は、パチンコ機150に供給するパチンコ玉2が通過する供給流路11を備えている。さらに、補給シュート10は、図2のようにその供給流路11の中流付近に玉留め部材12と、本発明の特徴たる詰まり防止装置1を備えており、その下流側に玉そろえ手段15を備えている。玉留め手段12は、パチンコ機150の交換等の際に供給流路11の下流側にパチンコ玉2が流れ落ちることを係止する部材である。玉そろえ手段15は、供給流路11の下流に位置する玉出口16にパチンコ玉2が一列に流れるように規制するものである。玉出口16の形状は筒状をしており、その内径はほぼパチンコ玉2が1個通る大きさである。また、供給流路11は、図3、4のようにパチンコ玉2の外部からの供給口となる玉入口17と、パチンコ玉2の進行方向を変更する折り返し部18と、パチンコ玉2の外部への排出口となる玉出口16と、を備えている。そして、供給流路11は、玉入口17から折り返し部18を経て、玉出口16に向かって徐々に下り傾斜している。即ち、玉入口17から供給されたパチンコ玉2は、傾斜に沿って折り返し部18に向かって流下し、その後、折り返し部18で折り返して、さらに傾斜に沿って玉出口16に向かって流下して補給シュート10の外部へ排出される。
【0025】
また、パチンコ玉2が玉入口17から玉出口16へ流れる過程において、供給流路11の上流から供給された複数のパチンコ玉2は、詰まり防止装置1に衝突し、積み重なったパチンコ玉2の上部がならされ、玉そろえ手段15の方に流れる。その後、玉そろえ手段15によって、一列に整列され玉出口16から補給シュート10の外部に送り出される。
【0026】
本発明の補給シュート10は、上述したように、パチンコ機150に用いられるパチンコ玉2の供給流路11でのパチンコ玉2の詰まりを、詰まり防止装置1によって防止するものである。そこで、以下、本実施形態の特徴たる構成である詰まり防止装置1について説明する。
【0027】
詰まり防止装置1は、図5のようにパチンコ玉2をならす玉ならし部材20(本体部)と、玉ならし部材20を固定する固定軸21(軸)と、供給流路11に固定軸21を固定する固定部材24(固定部)を備えている。以下、詰まり防止装置1の各構成部材について説明する。
【0028】
まず、玉ならし部材20の構成について説明する。
玉ならし部材20(本体部)は、玉ならし本体35と、錘部材25を備えている。
玉ならし本体35は、図6のように断面形状が略三角形状である。即ち、玉ならし本体35は、三つの角部が各辺と連続した緩やかな丸みを帯びており、下辺が外側方向(下方向)に突出した緩やかな略円弧状となっている。玉ならし本体35の厚み方向の長さは供給流路11の幅方向の長さより短く、錘部材25の直径とほぼ等しい。また、玉ならし本体35は、図6、7のように玉ならし本体35の頂点(上方位置)を中心として、同一円周上に1列に配された2つの錘受け孔22、23を備えている。錘受け孔22、23は、それぞれ錘部材25a、25bを装着可能である。
錘受け孔22、23は、図6、7のように断面形状が円形で、玉ならし本体35の厚さ方向(前後方向)に貫通した孔である。錘受け孔22、23の内径は錘部材25の直径にほぼ等しく、その深さは錘部材25の直径とほぼ等しい。
また、詰まり防止装置1を組み立て、固定軸21に無負荷状態で玉ならし部材20を垂下された姿勢を基準として、錘部材25a、25bの重心は、前記固定軸21を通過する天地方向の垂線を挟む位置にある。即ち、固定軸21を通過する天地方向の垂線に対して、玉ならし部材20の錘部材25a、25bの重心は、左右方向に偏心している。また、玉ならし部材20の断面形状は、固定軸21を通過する天地方向の垂線を基準に線対称関係である。
【0029】
また、玉ならし本体35は、図6、7のように頂点(上方位置)付近に断面形状が略半円状の固定孔26(穴)を有している。
固定孔26は、玉ならし本体35の厚み方向に貫通した貫通孔である。固定孔26の上面28は、玉ならし本体35の頂角付近の形状に沿った形状をしている。即ち、固定孔26の上面28は、上方向に突出した略円弧状となっている。固定孔26の上面28の頂点付近は、一部変形されており、固定孔26の深さ方向に連続して形状が異なる。具体的には、固定孔26の上面28は、固定孔26の深さ方向両端の縁の部分から中央にかけて連続的に曲率が緩やかに大きくなっている。即ち、図8のように固定孔26の上面28は、固定孔26の深さ方向において、緩やかに下方向に突出した略円弧状となっている。それ故に、詰まり防止装置1を組み立て、固定軸21に無負荷状態で玉ならし部材20を垂下された姿勢を基準として、玉ならし部材20は玉ならし部材20の厚み方向(前後方向)に揺動可能となる。
また、固定孔26の下面29は、略直線状となっている。具体的には、固定孔26の下面29は、直線状又は、やや上方向に突出した略円弧状となっている。上面28と下面29との接続部分付近、即ち固定孔26の角部は、緩やかな丸みを帯びて連続している。また、固定孔26の曲率半径は4mm〜12mmである。ここでいう固定孔26の曲率半径とは、正面視した縁部分の曲率から算出した半径である。図9に示す固定孔26の幅方向の長さWと高さ方向の長さHとの割合(W/H)は、1.5〜2.5である。
固定孔26の開口面積は、固定軸21の断面積より大きい。具体的には、図9に示す固定孔26の幅方向の長さWと固定軸21の外径Dとの割合(W/D)は、2〜6であり、固定孔26の高さ方向の長さHと固定軸21の外径Dとの割合(H/D)は、3〜15である。即ち、固定軸21を固定孔26に挿通した場合において、固定軸21は、固定孔26の開口の範囲内を移動可能である。
また、玉ならし本体35の材質は、固体潤滑性を有したものであればよく、例えば、エンジニアリングプラスチック(所謂エンプラ)などが用いられる。
【0030】
錘部材25a、25b(重量部)は、玉ならし部材20の重心を偏心させる部材である。錘部材25a、25bは球状体であり、本実施形態ではパチンコ玉を用いているが、本発明は錘部材25a、25bの形状に限定されない。
また、錘部材25a、25bの重さは、本実施形態ではパチンコ玉2を錘部材25a、25bとして用いているため、パチンコ玉2の重量と等しいが、錘部材25a、25bの重さは供給流路11の幅や遊技球の種類等の設置条件によって適宜調整することが好ましい。
【0031】
続いて、固定軸21の構成について説明する。
固定軸21(軸)は、棒状体である。固定軸21の長さは、図5のように固定部材24の側面30、31間の距離にほぼ等しい。言い換えると、供給流路11の幅方向の長さにほぼ等しい。即ち、固定軸21の長さは、玉ならし部材20の幅方向の長さよりも長い。そのため、玉ならし部材20は、固定軸21に装着時に供給流路11の幅方向の移動が可能である。
また、固定軸21の外径は、固定軸21の外径は、1mm〜3mmであり、玉ならし部材20の固定孔26の開口面積よりも小さい。具体的には上述したように固定孔26の幅方向の長さWと固定軸21の外径Dとの割合(W/D)は、2〜6であり、固定孔26の高さ方向の長さHと固定軸21の外径Dとの割合(H/D)は、3〜15である。即ち、固定軸21は、玉ならし部材20の固定孔26内に挿入した場合、玉ならし部材20の固定孔26の開口領域内で、自由に移動可能である。
【0032】
続いて、固定部材24の構成について説明する。
固定部材24(固定部)は、供給流路11上に着脱自在に固定される部材であり、通常使用時には図2のように供給流路11に装着され固定されている。固定部材24は、図示しない係合部を有しており、供給流路11に係合することによって着脱可能となっている。また、固定部材24は、図10のように断面略「コ」の字状をしている。即ち、固定部材24は、上面34と、その両側に立設する一対の側面30、31を有している。側面30、31は、固定軸21を固定可能な貫通孔32、33を有している。側面30、31の貫通孔32、33は、玉ならし部材20を挿入する空間を挟んで連通している。貫通孔32、33の直径は、固定軸21の外径とほぼ同じ大きさをしており、固定軸21をパチンコ玉2の流れ方向に対して直交方向(前後方向)に固定可能である。
【0033】
続いて、補給シュート10の各部材の位置関係、特に詰まり防止装置1の各部材の位置関係について図面を参照しながら説明する。
【0034】
補給シュート10は、図2のように供給流路11の中流に固定部材24が着脱可能に配されている。即ち、供給流路11の上方の位置には、固定部材24の上面34が配され、供給流路11の側面には固定部材24の側面30、31が配されている。補給シュート10は、玉ならし部材20と、固定部材24に亘って、固定軸21が挿入されている。即ち、玉ならし部材20の固定孔26と、固定部材24の側面30、31の貫通孔32、33と、の3孔に亘って固定軸21が挿入されている。言い換えると、供給流路11は、固定部材24を介してパチンコ玉2の流れ方向に対して直交方向(前後方向)に固定軸21を固定している。
また、補給シュート10は、玉ならし部材20が無荷重で本体に垂下された姿勢において、玉ならし部材20の下面と供給流路11の通路との間隔は、天地方向にパチンコ玉2が一列に2個並んだ際の天地方向の長さとほぼ等しい。即ち、補給シュート10は、パチンコ玉2が流下する際に、玉ならし部材20と供給流路11との間にパチンコ玉2が2個通過できる。
【0035】
また、詰まり防止装置1は、図5のように固定孔26内に固定軸21が挿入されている。即ち、玉ならし部材20は、固定軸21を回転軸として周方向の揺動が可能である。また、固定孔26は固定軸21の断面よりも開口面積が大きいため、玉ならし部材20は固定孔26の開口の範囲内において、上下左右方向への移動可能である。言い換えると、固定孔26の開口領域が固定軸21に対する玉ならし部材20の移動可能領域となっている。
また、詰まり防止装置1は、固定孔26の上面28の頂点付近が下方向に突出した略円弧状であるため、玉ならし部材20の厚み方向(前後)に揺動可能である。さらに、玉ならし部材20の厚み方向において、固定部材24の側面30、31と玉ならし部材20との間に隙間空間を有している。即ち、固定部材24の側面30、31と玉ならし部材20の厚み方向両端との間に隙間空間を有しており、隙間空間内で前後方向に移動可能である。
【0036】
また、錘部材25a、25bは、図5、6のように玉ならし本体35の錘受け孔22、23に装着されている。錘受け孔22、23内に収納されている。即ち、錘部材25a、25bは、錘受け孔22、23からはみ出していない。
詰まり防止装置1の重心は、2つの錘部材25a、25bの重さによって、玉ならし本体35の重心に対して、下方の位置に偏心している。即ち、玉ならし部材20の固定孔26は玉ならし部材20の重心上にない。また、玉ならし部材20の重心は、固定軸21を通過する天地方向の垂線上にある。
【0037】
以下、パチンコ玉2を供給流路11に流下させ、玉ならし部材20へパチンコ玉2が衝突した時、あるいは、パチンコ玉2同士が衝突し玉ならし部材20に振動が伝わった時の詰まり防止装置1の動作の一例を、図面を参照しながら説明する。
【0038】
詰まり防止装置1は、供給流路11に複数のパチンコ玉2が供給されると、供給されたパチンコ玉2が玉ならし部材20に衝突し、或いは、パチンコ玉2同士が衝突しその振動が玉ならし部材20に伝わる。そのため、玉ならし部材20は、固定軸21に沿って周方向に回転する(図11(a))と同時に、玉ならし部材20の固定孔26の開口領域内で移動する(図11(b))。そのため、玉ならし部材20は、これらの動きが複合され固定孔26の開口領域内で不規則に揺動しながら回転する。さらに、詰まり防止装置1は、図12のように玉ならし部材20が玉ならし部材20の厚み方向(前後方向)にも揺動する。
即ち、詰まり防止装置1は、パチンコ玉2からの外力を受けると、左右上下前後の全方向に不規則に移動し、重心を変える。それ故に、詰まり防止装置1は、パチンコ玉2から受ける外力を多方向に分散させることができる。
【0039】
以上のように、本実施形態の詰まり防止装置1によれば、パチンコ玉2から振動あるいは衝突を受けても、パチンコ玉2からの外力と玉ならし部材20の復元力とのバランスが一定とならず、玉ならし部材20が不規則に動き続けるので、パチンコ玉2が団子状に積み重なりブリッジ構造を取ることを防止できる。
【0040】
さらに結果として、遊技球導入装置3に詰まり防止装置1を用いると、補給シュート10内でのパチンコ玉2の流れの滞りを防止できるので、遊技者が従業員を呼ぶ手間を省くことができる。即ち、従業員が迅速に対応できない場合の遊技者の不満を解消できると同時に遊技場内での従業員の手間を省くことができる。
【0041】
続いて、以下、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
【0042】
詰まり防止装置60は、図13のように玉ならし部材61(本体部)と、固定軸21と、固定部材62(固定部)とを備えている。
【0043】
玉ならし部材61(本体部)は、図14のように玉ならし部材20とほぼ同様の構成を有しているが、固定孔26の代わりに貫通孔64が設けられている。
貫通孔64は、玉ならし部材61の厚み方向(前後方向)に貫通している貫通孔である。貫通孔64の内径は、固定軸21の外径とほぼ等しい。
【0044】
固定部材62(固定部)は、図15のように固定部材24とほぼ同様の構成を有しているが、貫通孔32、33の代わりに固定孔63が設けられている。
固定孔63は、固定部材62の側面65、66を厚み方向(前後方向)に貫通した貫通孔である。固定孔63の形状は、略半円状をしている。具体的には、固定孔63は、側面30、31の下端部付近に配され、固定孔63の下面68は、下方向に突出した略円弧状となっている。また、固定孔63の上面67は、略直線状となっている。具体的には、固定孔63の上面67は、直線状又は、やや上方向に突出した略円弧状となっている。即ち、固定孔63は、無負荷状態で玉ならし部材20を垂下された姿勢における固定孔26を180度回転させた形状とほぼ同様の形状をしている。また、図16に示す固定孔63の幅方向の長さwと固定軸21の外径Dとの割合(w/R)は、2〜6であり、固定孔63の高さ方向の長さhと固定軸21の外径Dとの割合(h/R)は、3〜15である。即ち、固定孔63の開口面積は、固定軸21の断面積よりも大きく、固定軸21が固定孔63内を移動可能な大きさとなっている。また、側面65、66の2つの固定孔63は、玉ならし部材20を挿入する空間を挟んで連通している。
【0045】
以下、詰まり防止装置60の各部材の位置関係について図面を参照しながら説明する。
【0046】
詰まり防止装置60は、図13のように固定孔63内に固定軸21が挿入されている。即ち、玉ならし部材61は、固定軸21を回転軸として周方向の揺動が可能である。
また、固定孔63は、固定軸21の断面よりも開口面積が大きいため、玉ならし部材61は、固定孔63の開口の範囲内において上下左右方向への移動可能である。言い換えると、固定孔63の開口領域は、固定軸21に対する玉ならし部材61の移動可能領域である。
【0047】
以下、パチンコ玉2を供給流路11に流下させ、玉ならし部材61へパチンコ玉2が衝突した時、或いは、パチンコ玉2同士が衝突し、玉ならし部材61に振動が伝わった時の詰まり防止装置60の動作の一例を、図面を参照しながら説明する。
詰まり防止装置60は、供給流路11にパチンコ玉2が供給されると、供給されたパチンコ玉2が玉ならし部材62に衝突する、或いは、パチンコ玉2同士が衝突し、その振動が玉ならし部材62に伝わる。そのため、玉ならし部材62は、固定軸21に沿って周方向に回転する(図17(a))と同時に、玉ならし部材62の固定孔63の開口領域内で移動する(図17(b))。そのため、玉ならし部材62は、これらの動きが複合され固定孔63の開口領域内で不規則に揺動しながら回転する。さらに、詰まり防止装置1は、図18のように玉ならし部材20が玉ならし部材20の厚み方向(前後方向)にも揺動する。
即ち、詰まり防止装置60は、パチンコ玉2からの外力を受けると、左右上下前後の全方向に不規則に移動し、重心を変える。それ故に、パチンコ玉2からの外力を多方向に分散させることができる。
【0048】
上記した実施形態では、固定孔26や固定孔63は貫通孔であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、固定孔26や固定孔63は貫通孔でなくてもよい。即ち、貫通していなくても良い。
【0049】
玉ならし本体と錘部材を別部材としていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、玉ならし本体と錘部材は一体化していてもよい。
【0050】
上記した実施形態では、錘部材の数を2個にしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、錘部材が一体化して、ダンベル型などの2つの重心を持つ錘部材が形成されていてもよい。また、錘部材は、3個以上であっても良い。
【0051】
上記した実施形態では、遊技球導入装置の中の補給シュートについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、玉受タンクにおける通路においても同様である。
【0052】
上記した実施形態では、固定孔の形状を略半円状にしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、三日月形状や真円の一部が欠けた形状でもよい。
【0053】
上記した実施形態では、固定孔の深さ方向の固定孔の上面の頂点付近の形状を一部変形したが、本発明はこれに限定されるものではなく、固定孔の深さ方向の上面の頂点付近の形状を変形しなくてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 詰まり防止装置
2 パチンコ玉(遊技球)
3 遊技球導入装置
11 供給流路(流路)
20、61 玉ならし部材(本体部)
21 固定軸(軸)
24、62 固定部材(固定部)
25 錘部材(重量部)
26、63 固定孔(穴)
150 パチンコ機(遊技機)
151 遊技島(遊技機群)
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球の詰まり防止装置に関するものである。特に遊技球導入装置内での遊技球の詰まりを防止するのに好適である。
【背景技術】
【0002】
遊技機の代表例として、パチンコ機がある。パチンコ機は、遊技媒体としてパチンコ玉を使用して遊技するものである。パチンコ機においては、遊技中にパチンコ玉が入賞口に入賞するなどの所定条件が成立すると、所定個数のパチンコ玉がパチンコ機から遊技者に対して払い出される。また最近では、遊技者が所望のパチンコ機に隣接する貸出機に金銭を投入すると、パチンコ玉が貸出機を介して当該パチンコ機に直接供給され、遊技者に貸し出される。
【0003】
ところで、パチンコホール(遊技場)では、複数のパチンコ台(遊技機)が列設されて遊技島が形成されており、同一の遊技島内でパチンコ玉(遊技球)が循環する。具体的には、例えばパチンコ機が設けられた遊技島内には、パチンコ玉をパチンコ機の上部側に揚送可能な玉揚送装置と、当該玉揚送装置で揚送されたパチンコ玉を同一島内の遊技機に対して流す傾斜流路と、当該傾斜流路から分岐して各パチンコ機にパチンコ玉を供給する補給シュートとが設けられている。即ち、パチンコ玉は、パチンコ機で使用された後、玉揚送装置に送られ、玉揚送装置で上方に搬送されて、傾斜流路と各パチンコ機の上部に備えられた補給シュートを介して再び各パチンコ機に供給される経路を循環する。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−181523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、パチンコ玉は、傾斜流路から補給シュートに分流される際や、補給シュートからパチンコ機の玉受タンクに供給される際に、玉詰まりが生じ易いことが知られている。これは、補給シュート及び玉受タンクにおける通路が、パチンコ玉の流れ方向下流側の断面形状がテーパー状に漸減されており、最終的にパチンコ玉が1個ずつしか通過できない断面形状とされているため、当該通路を多量のパチンコ玉が一度に流れると、パチンコ玉同士が団子状に積み重なり、パチンコ玉間で架橋構造、所謂ブリッジ構造が形成され、パチンコ玉によって通路が閉鎖されてしまうからである。
【0006】
これによって、貸出機にお金を投入してパチンコ玉を借りる際や、パチンコ機の遊技中にパチンコ玉が入賞口に入賞してパチンコ玉が払い出される際に、遊技者に対してパチンコ玉が払い出されないという問題が生じていた。そのため、従来においては、遊技者が遊技場の従業員を呼んで、従業員の手作業でパチンコ玉の詰まりを解消してもらうことが一般的であった。ところが、遊技場では、1人の従業員が複数の遊技島を管理しているため、従業員が迅速に対応できない場合が生じ、遊技者が不満を感じることがあった。即ち、このようなパチンコ玉の詰まりを頻発していると、遊技者の遊技意欲が低下し、売り上げの低下に繋がる虞があった。
【0007】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされたもので、遊遊技島から遊技機への供給する遊技球の供給流路内での詰まりを防止する詰まり防止装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために従来の補給シュートの詰まり現象について考察した。従来の補給シュート200には、図19のように、パチンコ玉2が通過する供給流路201と、補給シュート200の供給流路201の上方に揺動可能な玉ならし部材202と、を備えている。この玉ならし部材202は供給流路201の幅方向に配した固定軸203によって、パチンコ玉2の流れ方向にのみ揺動可能に固定されている。即ち、従来の補給シュート200は、玉ならし部材202により、団塊化した複数のパチンコ玉2の上部をならすようにして平坦化し、パチンコ玉2があまり積み重ならないようにして団塊化を防ぐ構造にしている。しかしながら、長時間、補給シュート200に多量のパチンコ玉2が導入されると、玉ならし部材202の復元力とパチンコ玉2から受ける外力とのバランスが一定となり、玉ならし部材202がうまく機能せず、供給流路201の中流でパチンコ玉2の流れが止まってしまうことがあった。
そこで本発明者は、この原因として、玉ならし部材が固定軸を中心として規則的に揺動していることが原因であると考えた。こうして試行錯誤を繰り返し導かれた請求項1に記載の発明は、遊技球を使用して遊技する遊技機が複数台設置された遊技場にあって、固定部から垂下されて遊技球が通過する流路上に配される詰まり防止装置において、流路の近傍に垂下される本体部と、本体部を固定部に垂下する軸を有し、前記本体部には複数箇所に重量部があり、無負荷状態で本体部を垂下された姿勢を基準として少なくとも2箇所の重量部の重心は前記軸を通過する天地方向の垂線を挟む位置にあり、本体部あるいは固定部の少なくとも一方には前記軸を挿通する穴があり、当該穴は軸よりも大きく、軸と穴は相対的に移動可能であることを特徴とする詰まり防止装置である。
【0009】
ここで言う穴とは、底の有無、即ち、貫通しているものも貫通していないものも含有する。
【0010】
かかる構成によれば、前記本体部には複数箇所に重量部があり、無負荷状態で本体部を垂下された姿勢を基準として少なくとも2箇所の重量部の重心は前記軸を通過する天地方向の垂線を挟む位置にあり、本体部あるいは固定部の少なくとも一方には前記軸を挿通する穴があり、当該穴は軸よりも大きく、軸と穴は相対的に移動可能であるため、流路を通過する遊技球が本体部に衝突すると、あるいは、遊技球同士が衝突しその振動が本体部に伝わると、本体部は軸の周方向の揺動に加えて、重量部の遠心力や慣性力に引きずられ、軸は穴の領域内で相対的に移動する。即ち、遊技球の振動あるいは衝突により本体部の位置は不規則に移動し、本体部の動作の軌道が不規則に変化する。言い換えると、本体部は、遊技球の振動あるいは衝突を受けて、本体部の重心が不規則に変化する。そのため、本体部の重心が一定のところに留まらず、遊技球から受ける外力と本体部の復元力とのバランスが不安定となる。即ち、遊技球から受ける外力と本体部の復元力とのバランスが一定となりにくく、遊技球の振動あるいは衝突により本体部が不規則に動き続ける。それ故に遊技球が団塊化しにくく、遊技球がブリッジ構造を取ることを防止できる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、重量部は、複数の錘部材からなり、無負荷状態で本体部を垂下された姿勢を基準として、錘部材は軸を回転軸として同一円周上に配されていることを特徴とする請求項1に記載の詰まり防止装置である。
【0012】
かかる構成によれば、重量部は、複数の錘部材からなり、無負荷状態で本体部を垂下された姿勢を基準として、錘部材は軸を回転軸として同一円周上に配されているため、遊技球の衝突や振動により穴の範囲で本体部が移動した際に、本体部が通常の設置状態への戻るための復元力、特に軸の周方向の復元力は、本体部に大きく働く。即ち、遊技球の上部をならし、平滑化するのに、好適である。
【0013】
請求項3に記載の発明は、本体部が軸の長手方向に移動可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の詰まり防止装置である。
【0014】
かかる構成によれば、本体部が軸の長手方向に移動可能である。即ち、流路を通過する遊技球が本体部に衝突する、あるいは、遊技球同士が衝突しその振動が本体部に伝わると、本体部の可動領域に穴の開口面積の範囲内と、本体部と軸との間の空間内で移動可能であるため、本体部の軌道がより不規則なものとなる。即ち、遊技球からの外力をより多方向に分散できる。そのため、遊技球からの外力と本体部の復元力とのバランスがより不安定となり、遊技球の振動あるいは衝突により本体部が不規則に動き続けるので、本体部が一定の位置で留まらず、遊技球がブリッジ構造を取ることを防止できる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、1又は複数の遊技機が集まって形成される遊技機群に設置される遊技球導入装置であって、遊技機に対して遊技球を供給する供給流路を有しており、前記供給流路上に請求項1乃至3のいずれかに記載の詰まり防止装置を備えていることを特徴とする遊技球導入装置である。
【0016】
かかる構成によれば、遊技球が遊技機に搬送され導入される遊技球導入装置において、供給流路内での遊技球の流れの滞りを防止できるので、上述したような遊技者が従業員を呼ぶ手間を省くことができる。即ち、従業員が迅速に対応できない場合における遊技者の不満を解消できると同時に遊技場内での従業員の手間を省くことができる。また、コストの削減にもつながる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、前記本体部には複数箇所に重量部があり、無負荷状態で本体部を垂下された姿勢を基準として少なくとも2箇所の重量部の重心は前記軸を通過する天地方向の垂線を挟む位置にあり、本体部あるいは固定部の少なくとも一方には前記軸を挿通する穴があり、当該穴は軸よりも大きくて軸と穴は相対的に移動可能であるため、流路を通過する遊技球が本体部に衝突する、あるいは、遊技球同士が衝突しその振動が本体部に伝わると、本体部は軸の周方向の揺動に加えて、重量部の遠心力や慣性力に引きずられ、軸は穴の領域内で相対的に移動する。即ち、遊技球の振動あるいは衝突により本体部の位置は不規則に移動し、本体部の動作の軌道が不規則に変化する。言い換えると、本体部は、遊技球の振動あるいは衝突を受けて、本体部の重心が不規則に変化する。そのため、本体部の重心が一定のところに留まらず、遊技球から受ける外力と本体部の復元力とのバランスが不安定となる。即ち、遊技球から受ける外力と本体部の復元力とのバランスが一定となりにくく、遊技球の振動あるいは衝突により本体部が不規則に動き続ける。それ故に遊技球が団塊化しにくく、遊技球がブリッジ構造を取ることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る遊技島を示す説明図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る補給シュートの斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る補給シュート内での玉の流れを表す説明図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る補給シュート内での玉の流れを表す説明図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る詰まり防止装置の斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る玉ならし部材の分解斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る玉ならし部材と固定軸との位置関係を表す説明図である。
【図8】図6の玉ならし本体の断面図である。
【図9】図7の部分拡大図である。
【図10】図5の固定部材の断面図である。
【図11】本発明の第1実施形態に係る玉ならし部材の左右上下方向の移動動作の説明図である。(a)固定軸の周方向の動きの説明図である。(b)固定軸の固定孔内での動きの説明図である。
【図12】本発明の第1実施形態に係る玉ならし部材の幅方向の移動動作の説明図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る詰まり防止装置の正面図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る玉ならし部材の斜視図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る固定部材の斜視図である。
【図16】図13の詰まり防止装置の部分拡大図である。
【図17】本発明の第2実施形態に係る玉ならし部材の左右上下方向の移動動作の説明図である。(a)固定軸の周方向の動きの説明図である。(b)固定軸の固定孔での動きの説明図である。
【図18】本発明の第2実施形態に係る玉ならし部材の幅方向の移動動作の説明図である。
【図19】従来の玉ならし部材の補給シュートの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明において、特に断りがない限り、上下左右の位置関係は、通常の設置位置を基準に説明する。即ち、図2において左右方向を左右、上下方向を上下、紙面に対して手前奥方向を前後と表す。
【0020】
本実施形態の遊技球導入装置3は、主に複数のパチンコ機150(遊技機)を1つの群とした所謂遊技島151に適した構成であり、遊技場内において、その遊技島151が複数配されている。そこで、以下の説明において理解を容易にするために、1つの遊技島151(遊技機群)に注目して説明する。
【0021】
また、本発明の遊技球導入装置3は、詰まり防止装置1を用いることによって、遊技島151からパチンコ機150へのパチンコ玉2の供給流路11でのパチンコ玉2の詰まりを防止できるものである。
【0022】
本発明の遊技球導入装置3は、図1のようにパチンコ玉2をパチンコ機150の上部側に揚送可能な玉揚送装置152と、玉揚送装置152で揚送されたパチンコ玉2を同一遊技島151内のパチンコ機150に対して流す傾斜流路153と、傾斜流路153から分岐して各パチンコ機150にパチンコ玉2を供給可能な補給シュート10とが設けられている。
【0023】
一般的に、遊技島151からパチンコ機150へのパチンコ玉2の供給流路において、パチンコ玉2の詰まりが生じる箇所は、図1に示すパチンコ機150に対してほぼ平行に流れるパチンコ機150上部の傾斜流路153から各パチンコ機150側に分流される補給シュート10や当該補給シュート10の下流側でパチンコ機150に備えられた玉受タンク156とされている。そこで、以下の説明では理解を容易にするため、本発明の遊技球導入装置3の構成中で、補給シュート10に詰まり防止装置1を用いた場合について説明する。
【0024】
補給シュート10は、パチンコ機150に供給するパチンコ玉2が通過する供給流路11を備えている。さらに、補給シュート10は、図2のようにその供給流路11の中流付近に玉留め部材12と、本発明の特徴たる詰まり防止装置1を備えており、その下流側に玉そろえ手段15を備えている。玉留め手段12は、パチンコ機150の交換等の際に供給流路11の下流側にパチンコ玉2が流れ落ちることを係止する部材である。玉そろえ手段15は、供給流路11の下流に位置する玉出口16にパチンコ玉2が一列に流れるように規制するものである。玉出口16の形状は筒状をしており、その内径はほぼパチンコ玉2が1個通る大きさである。また、供給流路11は、図3、4のようにパチンコ玉2の外部からの供給口となる玉入口17と、パチンコ玉2の進行方向を変更する折り返し部18と、パチンコ玉2の外部への排出口となる玉出口16と、を備えている。そして、供給流路11は、玉入口17から折り返し部18を経て、玉出口16に向かって徐々に下り傾斜している。即ち、玉入口17から供給されたパチンコ玉2は、傾斜に沿って折り返し部18に向かって流下し、その後、折り返し部18で折り返して、さらに傾斜に沿って玉出口16に向かって流下して補給シュート10の外部へ排出される。
【0025】
また、パチンコ玉2が玉入口17から玉出口16へ流れる過程において、供給流路11の上流から供給された複数のパチンコ玉2は、詰まり防止装置1に衝突し、積み重なったパチンコ玉2の上部がならされ、玉そろえ手段15の方に流れる。その後、玉そろえ手段15によって、一列に整列され玉出口16から補給シュート10の外部に送り出される。
【0026】
本発明の補給シュート10は、上述したように、パチンコ機150に用いられるパチンコ玉2の供給流路11でのパチンコ玉2の詰まりを、詰まり防止装置1によって防止するものである。そこで、以下、本実施形態の特徴たる構成である詰まり防止装置1について説明する。
【0027】
詰まり防止装置1は、図5のようにパチンコ玉2をならす玉ならし部材20(本体部)と、玉ならし部材20を固定する固定軸21(軸)と、供給流路11に固定軸21を固定する固定部材24(固定部)を備えている。以下、詰まり防止装置1の各構成部材について説明する。
【0028】
まず、玉ならし部材20の構成について説明する。
玉ならし部材20(本体部)は、玉ならし本体35と、錘部材25を備えている。
玉ならし本体35は、図6のように断面形状が略三角形状である。即ち、玉ならし本体35は、三つの角部が各辺と連続した緩やかな丸みを帯びており、下辺が外側方向(下方向)に突出した緩やかな略円弧状となっている。玉ならし本体35の厚み方向の長さは供給流路11の幅方向の長さより短く、錘部材25の直径とほぼ等しい。また、玉ならし本体35は、図6、7のように玉ならし本体35の頂点(上方位置)を中心として、同一円周上に1列に配された2つの錘受け孔22、23を備えている。錘受け孔22、23は、それぞれ錘部材25a、25bを装着可能である。
錘受け孔22、23は、図6、7のように断面形状が円形で、玉ならし本体35の厚さ方向(前後方向)に貫通した孔である。錘受け孔22、23の内径は錘部材25の直径にほぼ等しく、その深さは錘部材25の直径とほぼ等しい。
また、詰まり防止装置1を組み立て、固定軸21に無負荷状態で玉ならし部材20を垂下された姿勢を基準として、錘部材25a、25bの重心は、前記固定軸21を通過する天地方向の垂線を挟む位置にある。即ち、固定軸21を通過する天地方向の垂線に対して、玉ならし部材20の錘部材25a、25bの重心は、左右方向に偏心している。また、玉ならし部材20の断面形状は、固定軸21を通過する天地方向の垂線を基準に線対称関係である。
【0029】
また、玉ならし本体35は、図6、7のように頂点(上方位置)付近に断面形状が略半円状の固定孔26(穴)を有している。
固定孔26は、玉ならし本体35の厚み方向に貫通した貫通孔である。固定孔26の上面28は、玉ならし本体35の頂角付近の形状に沿った形状をしている。即ち、固定孔26の上面28は、上方向に突出した略円弧状となっている。固定孔26の上面28の頂点付近は、一部変形されており、固定孔26の深さ方向に連続して形状が異なる。具体的には、固定孔26の上面28は、固定孔26の深さ方向両端の縁の部分から中央にかけて連続的に曲率が緩やかに大きくなっている。即ち、図8のように固定孔26の上面28は、固定孔26の深さ方向において、緩やかに下方向に突出した略円弧状となっている。それ故に、詰まり防止装置1を組み立て、固定軸21に無負荷状態で玉ならし部材20を垂下された姿勢を基準として、玉ならし部材20は玉ならし部材20の厚み方向(前後方向)に揺動可能となる。
また、固定孔26の下面29は、略直線状となっている。具体的には、固定孔26の下面29は、直線状又は、やや上方向に突出した略円弧状となっている。上面28と下面29との接続部分付近、即ち固定孔26の角部は、緩やかな丸みを帯びて連続している。また、固定孔26の曲率半径は4mm〜12mmである。ここでいう固定孔26の曲率半径とは、正面視した縁部分の曲率から算出した半径である。図9に示す固定孔26の幅方向の長さWと高さ方向の長さHとの割合(W/H)は、1.5〜2.5である。
固定孔26の開口面積は、固定軸21の断面積より大きい。具体的には、図9に示す固定孔26の幅方向の長さWと固定軸21の外径Dとの割合(W/D)は、2〜6であり、固定孔26の高さ方向の長さHと固定軸21の外径Dとの割合(H/D)は、3〜15である。即ち、固定軸21を固定孔26に挿通した場合において、固定軸21は、固定孔26の開口の範囲内を移動可能である。
また、玉ならし本体35の材質は、固体潤滑性を有したものであればよく、例えば、エンジニアリングプラスチック(所謂エンプラ)などが用いられる。
【0030】
錘部材25a、25b(重量部)は、玉ならし部材20の重心を偏心させる部材である。錘部材25a、25bは球状体であり、本実施形態ではパチンコ玉を用いているが、本発明は錘部材25a、25bの形状に限定されない。
また、錘部材25a、25bの重さは、本実施形態ではパチンコ玉2を錘部材25a、25bとして用いているため、パチンコ玉2の重量と等しいが、錘部材25a、25bの重さは供給流路11の幅や遊技球の種類等の設置条件によって適宜調整することが好ましい。
【0031】
続いて、固定軸21の構成について説明する。
固定軸21(軸)は、棒状体である。固定軸21の長さは、図5のように固定部材24の側面30、31間の距離にほぼ等しい。言い換えると、供給流路11の幅方向の長さにほぼ等しい。即ち、固定軸21の長さは、玉ならし部材20の幅方向の長さよりも長い。そのため、玉ならし部材20は、固定軸21に装着時に供給流路11の幅方向の移動が可能である。
また、固定軸21の外径は、固定軸21の外径は、1mm〜3mmであり、玉ならし部材20の固定孔26の開口面積よりも小さい。具体的には上述したように固定孔26の幅方向の長さWと固定軸21の外径Dとの割合(W/D)は、2〜6であり、固定孔26の高さ方向の長さHと固定軸21の外径Dとの割合(H/D)は、3〜15である。即ち、固定軸21は、玉ならし部材20の固定孔26内に挿入した場合、玉ならし部材20の固定孔26の開口領域内で、自由に移動可能である。
【0032】
続いて、固定部材24の構成について説明する。
固定部材24(固定部)は、供給流路11上に着脱自在に固定される部材であり、通常使用時には図2のように供給流路11に装着され固定されている。固定部材24は、図示しない係合部を有しており、供給流路11に係合することによって着脱可能となっている。また、固定部材24は、図10のように断面略「コ」の字状をしている。即ち、固定部材24は、上面34と、その両側に立設する一対の側面30、31を有している。側面30、31は、固定軸21を固定可能な貫通孔32、33を有している。側面30、31の貫通孔32、33は、玉ならし部材20を挿入する空間を挟んで連通している。貫通孔32、33の直径は、固定軸21の外径とほぼ同じ大きさをしており、固定軸21をパチンコ玉2の流れ方向に対して直交方向(前後方向)に固定可能である。
【0033】
続いて、補給シュート10の各部材の位置関係、特に詰まり防止装置1の各部材の位置関係について図面を参照しながら説明する。
【0034】
補給シュート10は、図2のように供給流路11の中流に固定部材24が着脱可能に配されている。即ち、供給流路11の上方の位置には、固定部材24の上面34が配され、供給流路11の側面には固定部材24の側面30、31が配されている。補給シュート10は、玉ならし部材20と、固定部材24に亘って、固定軸21が挿入されている。即ち、玉ならし部材20の固定孔26と、固定部材24の側面30、31の貫通孔32、33と、の3孔に亘って固定軸21が挿入されている。言い換えると、供給流路11は、固定部材24を介してパチンコ玉2の流れ方向に対して直交方向(前後方向)に固定軸21を固定している。
また、補給シュート10は、玉ならし部材20が無荷重で本体に垂下された姿勢において、玉ならし部材20の下面と供給流路11の通路との間隔は、天地方向にパチンコ玉2が一列に2個並んだ際の天地方向の長さとほぼ等しい。即ち、補給シュート10は、パチンコ玉2が流下する際に、玉ならし部材20と供給流路11との間にパチンコ玉2が2個通過できる。
【0035】
また、詰まり防止装置1は、図5のように固定孔26内に固定軸21が挿入されている。即ち、玉ならし部材20は、固定軸21を回転軸として周方向の揺動が可能である。また、固定孔26は固定軸21の断面よりも開口面積が大きいため、玉ならし部材20は固定孔26の開口の範囲内において、上下左右方向への移動可能である。言い換えると、固定孔26の開口領域が固定軸21に対する玉ならし部材20の移動可能領域となっている。
また、詰まり防止装置1は、固定孔26の上面28の頂点付近が下方向に突出した略円弧状であるため、玉ならし部材20の厚み方向(前後)に揺動可能である。さらに、玉ならし部材20の厚み方向において、固定部材24の側面30、31と玉ならし部材20との間に隙間空間を有している。即ち、固定部材24の側面30、31と玉ならし部材20の厚み方向両端との間に隙間空間を有しており、隙間空間内で前後方向に移動可能である。
【0036】
また、錘部材25a、25bは、図5、6のように玉ならし本体35の錘受け孔22、23に装着されている。錘受け孔22、23内に収納されている。即ち、錘部材25a、25bは、錘受け孔22、23からはみ出していない。
詰まり防止装置1の重心は、2つの錘部材25a、25bの重さによって、玉ならし本体35の重心に対して、下方の位置に偏心している。即ち、玉ならし部材20の固定孔26は玉ならし部材20の重心上にない。また、玉ならし部材20の重心は、固定軸21を通過する天地方向の垂線上にある。
【0037】
以下、パチンコ玉2を供給流路11に流下させ、玉ならし部材20へパチンコ玉2が衝突した時、あるいは、パチンコ玉2同士が衝突し玉ならし部材20に振動が伝わった時の詰まり防止装置1の動作の一例を、図面を参照しながら説明する。
【0038】
詰まり防止装置1は、供給流路11に複数のパチンコ玉2が供給されると、供給されたパチンコ玉2が玉ならし部材20に衝突し、或いは、パチンコ玉2同士が衝突しその振動が玉ならし部材20に伝わる。そのため、玉ならし部材20は、固定軸21に沿って周方向に回転する(図11(a))と同時に、玉ならし部材20の固定孔26の開口領域内で移動する(図11(b))。そのため、玉ならし部材20は、これらの動きが複合され固定孔26の開口領域内で不規則に揺動しながら回転する。さらに、詰まり防止装置1は、図12のように玉ならし部材20が玉ならし部材20の厚み方向(前後方向)にも揺動する。
即ち、詰まり防止装置1は、パチンコ玉2からの外力を受けると、左右上下前後の全方向に不規則に移動し、重心を変える。それ故に、詰まり防止装置1は、パチンコ玉2から受ける外力を多方向に分散させることができる。
【0039】
以上のように、本実施形態の詰まり防止装置1によれば、パチンコ玉2から振動あるいは衝突を受けても、パチンコ玉2からの外力と玉ならし部材20の復元力とのバランスが一定とならず、玉ならし部材20が不規則に動き続けるので、パチンコ玉2が団子状に積み重なりブリッジ構造を取ることを防止できる。
【0040】
さらに結果として、遊技球導入装置3に詰まり防止装置1を用いると、補給シュート10内でのパチンコ玉2の流れの滞りを防止できるので、遊技者が従業員を呼ぶ手間を省くことができる。即ち、従業員が迅速に対応できない場合の遊技者の不満を解消できると同時に遊技場内での従業員の手間を省くことができる。
【0041】
続いて、以下、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
【0042】
詰まり防止装置60は、図13のように玉ならし部材61(本体部)と、固定軸21と、固定部材62(固定部)とを備えている。
【0043】
玉ならし部材61(本体部)は、図14のように玉ならし部材20とほぼ同様の構成を有しているが、固定孔26の代わりに貫通孔64が設けられている。
貫通孔64は、玉ならし部材61の厚み方向(前後方向)に貫通している貫通孔である。貫通孔64の内径は、固定軸21の外径とほぼ等しい。
【0044】
固定部材62(固定部)は、図15のように固定部材24とほぼ同様の構成を有しているが、貫通孔32、33の代わりに固定孔63が設けられている。
固定孔63は、固定部材62の側面65、66を厚み方向(前後方向)に貫通した貫通孔である。固定孔63の形状は、略半円状をしている。具体的には、固定孔63は、側面30、31の下端部付近に配され、固定孔63の下面68は、下方向に突出した略円弧状となっている。また、固定孔63の上面67は、略直線状となっている。具体的には、固定孔63の上面67は、直線状又は、やや上方向に突出した略円弧状となっている。即ち、固定孔63は、無負荷状態で玉ならし部材20を垂下された姿勢における固定孔26を180度回転させた形状とほぼ同様の形状をしている。また、図16に示す固定孔63の幅方向の長さwと固定軸21の外径Dとの割合(w/R)は、2〜6であり、固定孔63の高さ方向の長さhと固定軸21の外径Dとの割合(h/R)は、3〜15である。即ち、固定孔63の開口面積は、固定軸21の断面積よりも大きく、固定軸21が固定孔63内を移動可能な大きさとなっている。また、側面65、66の2つの固定孔63は、玉ならし部材20を挿入する空間を挟んで連通している。
【0045】
以下、詰まり防止装置60の各部材の位置関係について図面を参照しながら説明する。
【0046】
詰まり防止装置60は、図13のように固定孔63内に固定軸21が挿入されている。即ち、玉ならし部材61は、固定軸21を回転軸として周方向の揺動が可能である。
また、固定孔63は、固定軸21の断面よりも開口面積が大きいため、玉ならし部材61は、固定孔63の開口の範囲内において上下左右方向への移動可能である。言い換えると、固定孔63の開口領域は、固定軸21に対する玉ならし部材61の移動可能領域である。
【0047】
以下、パチンコ玉2を供給流路11に流下させ、玉ならし部材61へパチンコ玉2が衝突した時、或いは、パチンコ玉2同士が衝突し、玉ならし部材61に振動が伝わった時の詰まり防止装置60の動作の一例を、図面を参照しながら説明する。
詰まり防止装置60は、供給流路11にパチンコ玉2が供給されると、供給されたパチンコ玉2が玉ならし部材62に衝突する、或いは、パチンコ玉2同士が衝突し、その振動が玉ならし部材62に伝わる。そのため、玉ならし部材62は、固定軸21に沿って周方向に回転する(図17(a))と同時に、玉ならし部材62の固定孔63の開口領域内で移動する(図17(b))。そのため、玉ならし部材62は、これらの動きが複合され固定孔63の開口領域内で不規則に揺動しながら回転する。さらに、詰まり防止装置1は、図18のように玉ならし部材20が玉ならし部材20の厚み方向(前後方向)にも揺動する。
即ち、詰まり防止装置60は、パチンコ玉2からの外力を受けると、左右上下前後の全方向に不規則に移動し、重心を変える。それ故に、パチンコ玉2からの外力を多方向に分散させることができる。
【0048】
上記した実施形態では、固定孔26や固定孔63は貫通孔であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、固定孔26や固定孔63は貫通孔でなくてもよい。即ち、貫通していなくても良い。
【0049】
玉ならし本体と錘部材を別部材としていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、玉ならし本体と錘部材は一体化していてもよい。
【0050】
上記した実施形態では、錘部材の数を2個にしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、錘部材が一体化して、ダンベル型などの2つの重心を持つ錘部材が形成されていてもよい。また、錘部材は、3個以上であっても良い。
【0051】
上記した実施形態では、遊技球導入装置の中の補給シュートについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、玉受タンクにおける通路においても同様である。
【0052】
上記した実施形態では、固定孔の形状を略半円状にしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、三日月形状や真円の一部が欠けた形状でもよい。
【0053】
上記した実施形態では、固定孔の深さ方向の固定孔の上面の頂点付近の形状を一部変形したが、本発明はこれに限定されるものではなく、固定孔の深さ方向の上面の頂点付近の形状を変形しなくてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 詰まり防止装置
2 パチンコ玉(遊技球)
3 遊技球導入装置
11 供給流路(流路)
20、61 玉ならし部材(本体部)
21 固定軸(軸)
24、62 固定部材(固定部)
25 錘部材(重量部)
26、63 固定孔(穴)
150 パチンコ機(遊技機)
151 遊技島(遊技機群)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を使用して遊技する遊技機が複数台設置された遊技場にあって、固定部から垂下されて遊技球が通過する流路上に配される詰まり防止装置において、
流路の近傍に垂下される本体部と、
本体部を固定部に垂下する軸を有し、
前記本体部には複数箇所に重量部があり、
無負荷状態で本体部を垂下された姿勢を基準として少なくとも2箇所の重量部の重心は前記軸を通過する天地方向の垂線を挟む位置にあり、
本体部あるいは固定部の少なくとも一方には前記軸を挿通する穴があり、当該穴は軸よりも大きく、軸と穴は相対的に移動可能であることを特徴とする詰まり防止装置。
【請求項2】
重量部は、複数の錘部材からなり、
無負荷状態で本体部を垂下された姿勢を基準として、錘部材は軸を回転軸として同一円周上に配されていることを特徴とする請求項1に記載の詰まり防止装置。
【請求項3】
本体部が軸の長手方向に移動可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の詰まり防止装置。
【請求項4】
1又は複数の遊技機が集まって形成される遊技機群に設置される遊技球導入装置であって、
遊技機に対して遊技球を供給する供給流路を有しており、
前記供給流路上に請求項1乃至3のいずれかに記載の詰まり防止装置を備えていることを特徴とする遊技球導入装置。
【請求項1】
遊技球を使用して遊技する遊技機が複数台設置された遊技場にあって、固定部から垂下されて遊技球が通過する流路上に配される詰まり防止装置において、
流路の近傍に垂下される本体部と、
本体部を固定部に垂下する軸を有し、
前記本体部には複数箇所に重量部があり、
無負荷状態で本体部を垂下された姿勢を基準として少なくとも2箇所の重量部の重心は前記軸を通過する天地方向の垂線を挟む位置にあり、
本体部あるいは固定部の少なくとも一方には前記軸を挿通する穴があり、当該穴は軸よりも大きく、軸と穴は相対的に移動可能であることを特徴とする詰まり防止装置。
【請求項2】
重量部は、複数の錘部材からなり、
無負荷状態で本体部を垂下された姿勢を基準として、錘部材は軸を回転軸として同一円周上に配されていることを特徴とする請求項1に記載の詰まり防止装置。
【請求項3】
本体部が軸の長手方向に移動可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の詰まり防止装置。
【請求項4】
1又は複数の遊技機が集まって形成される遊技機群に設置される遊技球導入装置であって、
遊技機に対して遊技球を供給する供給流路を有しており、
前記供給流路上に請求項1乃至3のいずれかに記載の詰まり防止装置を備えていることを特徴とする遊技球導入装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−139336(P2012−139336A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293519(P2010−293519)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】
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