説明

詰替えパウチの内容物取出装置

【課題】詰替用シャンプー液パック等のパウチに形成されている通常の詰替え用の取出口を利用し、内容物を別の容器に詰め替えることなく確実に取り出せるようにした詰替えパウチの内容物取出装置を提供する。
【解決手段】パウチは挟持具で下向きに吊り下げられる。パウチの取出口にはポンプ85が取り付けられる。このポンプは、壁体が軟質材料で略球状に形成されたポンプ本体86を有し、内部には上方筒状部92と下方筒状部93を有する支持軸91が設けられている。上方筒状部92には入口側バルブ95が設けられ、下方筒状部93には出口側バルブ101が設けられている。ポンプ本体86を握ると、収納空間内の内容物は出口側バルブ101を通ってノズル100から吐出される。このときポンプ本体86は屈曲したりしないので、一定量の内容物を確実に取り出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、詰替え用シャンプー液パック、リンス液パック、洗剤パック等の詰替えパウチからシャンプー液等の流動性のある内容物を簡単に取り出せるようにした詰替えパウチの内容物取出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
詰替え用シャンプー液パック等の詰替えパウチには、切り取り可能な取出口や、ねじキャップで塞がれた取出口が設けられている。通常は、この取出口を開いて、パック内の内容物をシャンプー容器等に移し替えて使用する。内容物をシャンプー容器等に移し替えないで、詰替えパックから直接内容物を取り出して使用できるようにした装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。一般にこの種の装置は、詰替えパック等のパウチを容器や支持部材内に起立状態で収納し、パウチの上部に形成された取出口からポンプの吸引パイプをパウチ内に差込み、ポンプの操作ボタンを上下動させてパウチ内から吸い出した内容物をポンプのノズルから押し出すよう構成されている。そのため、パウチ内のシャンプー液等を最後まで完全に取り出せないし、操作ボタンを押したときの押圧力が容器を置いた床や支持部材を取り付けた壁に伝達されるので、壁等にしっかり保持させなければならない。その上、容器が倒れたり、上記押圧力により壁から支持部材が外れたりすると、取出口から内容物がこぼれることがあったり、該取出口から空気や水がパック内に入って内容物を変質させたり、初期の洗剤の香りを持続できなくなるおそれもあった。また、パウチを吊り下げて内容物をパウチの底から取り出すようにした装置も提案されている(例えば特許文献2参照)が、この種の装置でもポンプのボタンを押すときの押圧力を壁面等で担持させ、パウチの底をカットしてポンプを取り付けているから、上述と同じような欠点がある。
【0003】
さらに、一般に、容器内から内容物を取り出すためのポンプは、押圧操作でポンプの収納スペース内の内容物を加圧してノズルから取り出し、復元するときの吸引作用で入口側バルブを通して容器から内容物を収納スペース内に吸引するよう構成されている(例えば特許文献3参照)。そのような作用を生じさせるため、操作ボタンを押したとき入口側のバルブを閉じるとともに出口側のバルブを開け、操作ボタンが復帰するとき入口側のバルブを開くとともに出口側のバルブを閉じるように構成されている。このような連動動作は内容物が収納されたスペースを加圧したり減圧して行われるが、該スペースが小さく内容物を加圧する力が弱いので、内容物を取り出すとき、入口側のバルブが完全に閉じなかったり、閉じるまでの間に時間差があってその間に内容物が入口からパウチ内に戻ってしまい、充分に出口側から吐出させることができない場合があった。また、長期間使用していないと、シャンプー液等の内容物が出口側バルブ部分で固化し、開口部を塞いでしまうこともあった。
【0004】
また、リザーバーの下方に、両端にバルブを有する軟質材料製の計量チャンバーを設け、該計量チャンバーを圧縮して液体をリザーバーから取り出す装置も知られている(例えば特許文献4参照)。しかし、この計量チャンバーには、計量チャンバーの上方部分と下方部分を連絡する部材は設けられていない。このような構造のため、特許文献4に記載のものでは、計量チャンバーを圧縮したときに、チャンバーがよじれて液体が予測できない方向に流出する(公報 13頁16〜28行)。そのように屈曲自在なチャンバーを本発明が対象とするシャンプー液用詰替えパウチからの液体の取り出しに使用すると、液体の取り出し方向が一定せず、周囲にシャンプー液が飛散して非常に使いにくいものとなる。その上、そのような屈曲やよじれが生じると、チャンバーの上下方向の長さが短縮したり、形状が大きく変わるために、収納空間に作用する加圧力も上下方向で変化し、上方のバルブと下方のバルブに加圧力が均等に伝達されなくなる。そのため、上述したように、上下のバルブの開閉のタイミングにずれを生じるおそれがあり、例えば上方のバルブの閉鎖が遅れると、収納空間に入っている内容物がパウチ内に逆流してしまうことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−142851号公報(図1)
【特許文献2】特開2002−104546号公報(図3、図4)
【特許文献3】実公昭47−39233号公報(第1図)
【特許文献4】特表2002−510247号公報(13頁16〜28行、図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の解決課題は、上記のように詰替えシャンプー液パック等の詰替えパウチに特別のカットを設けることなく、パウチに形成されている通常の取出口を利用し、軟質材料で形成したポンプ本体により内容物を取り出しでき、内容物を変質させたり、こぼしたり、周囲に飛散させたりすることがなく、最後まで一定量づつ確実に取り出しできるようにした詰替えパウチの内容物取出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、取出口を下方に向けて詰替えパウチを保持する保持部材と、該パウチの取出口に取り付けられるポンプを具備し、該ポンプは入口開口と出口開口を有する収納空間を形成したポンプ本体と、上記取出口に連通し収納空間内にパウチから内容物を取り入れるよう上記入口開口を開閉する入口側バルブと、上記収納空間内の内容物を吐出するよう上記出口開口を開閉する出口側バルブと、上記出口側バルブに連通するよう下向きに形成されたノズルと、上記収納空間を加圧して上記ノズルから内容物を取り出すよう収縮、復元可能な軟質材料で構成されたポンプ壁体と、上記収納空間内に挿通され上方筒状部と下方筒状部を有する支持軸を具備し、上記入口側バルブは上記上方筒状部に設けられ、上記出口側バルブは下方筒状部に設けられていることを特徴とする詰替えパウチの内容物取出装置が提供され、上記課題が解決される。
【0008】
本発明によれば、上記詰替えパウチの内容物取出装置はパウチの取出口に取り付けられる挿入固着具を有し、該挿入固着具には、上記取出口に挿入され外面に弾性のある密着部材と金属材料製の係止片を有する挿入筒と、該挿入筒を上記取出口に挿入したとき上記係止片にパウチ本体を圧着させると共に密着部材でパウチの開口部を閉塞するよう該挿入筒に圧着可能に設けたクランプ片が形成されている。また、上記パウチを保持する上記保持部材として、パウチの一部を直接挟持する挟持具や収納ケースに入れてパウチを吊り下げるようにした保持部材が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記のように構成され、取出口を下方に向けてパウチを保持する保持部材と、該パウチの取出口に取り付けられるポンプを具備し、ポンプ本体の壁体を収縮、復元可能な軟質材料で構成して収納空間を加圧できるようにしたから、該ポンプ本体を握ったり両側からつまむことにより上記ノズルから内容物を取り出すことができる。したがって、パウチの底をカットしたりせずに従来のパウチに普通に設けられている取出口をそのまま利用でき、内容物をこぼしたり、変質させたり、香料を逸散させることおそれがなく、パウチ内の内容物を完全に取り出すことが可能である。また、操作時の荷重が保持部材に直接作用することもないので、パウチが落下するおそれもない。
【0010】
さらに、上記収納空間内に支持軸を挿通し、該支持軸の上方筒状部に上記入口側バルブを設け、下方筒状部に上記出口側バルブを設けたので、軟質材料製のポンプ壁体は支持軸により上下方向が補強され、圧縮(握持)した際に上下方向に短縮したり、ねじれたり、屈曲したりしない。したがって、ポンプ本体を握ると、ポンプ本体が屈曲することなく入口側バルブが閉鎖されるとともに出口側バルブが開口し、出口側バルブに通じるノズルから下方向に向けて内容物を取り出すことができる。ポンプ本体の握持を止めるとポンプ壁体の復元力で入口側バルブが開くとともに出口側バルブが閉鎖されるから、パウチ内の内容物を収納空間側へ流動させることができ、確実に内容物の流動を制御することができる。また、出口側バルブの弁座に密着する弁の弁軸につまみを設けておくと、出口側バルブ内にシャンプー液等の内容物が固化してバルブが閉塞されてしまっても、つまみを引張ることによりバルブを強制的に開口させて内容物を取り出すことができる。
【0011】
上記したように、パウチに設けられている通常の取出口としては、キャップをねじ着した取出口や、切り取り可能な切断線を有する突起状取出口が従来から知られている。キャップの場合には同じようなねじ部を有するジョイントキャップを上記ポンプ本体に設けてポンプを接続すればよい。突起状取出口の場合には切り取った取出口に挿入固定具を差し込み、ねじ部を有するスクリューキャップを該挿入固定具にねじ着してポンプを接続すれば、内容物がもれるおそれがない。この挿入固定具の挿入筒に弾性を有する密着部材と金属材料製の係止片を設けクランプ片でパウチ本体を圧着すれば、比較的重量の有るシャンプー液パック等のパウチでも落下しないように確実に保持でき、かつ漏れを強固に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のパウチの保持部材の一実施例を示し、挟持具でパウチを保持して吊るすようにした斜視図。
【図2】収納ケースに入れてパウチを吊るすようにした斜視図。
【図3】挟持具の断面図。
【図4】ローラー群に沿った方向の断面図。
【図5】収納ケースの斜視図。
【図6】ポンプの参考例を示す断面図。
【図7】図6に示すポンプのポンプ本体を側方からみた断面図。
【図8】他の参考例を示す一部の斜視図。
【図9】クランプ片を圧着している状態の挿入固着具を半断面した説明図。
【図10】クランプ片を解放している状態の挿入固着具を半断面した説明図。
【図11】挿入筒を示し、Aは平面図、Bは側面図、Cは半断面した正面図。
【図12】係止片を示し、Aは平面図、B断面図。
【図13】クランプ片を示し、Aは平面図、Bは正面図、Cは側面図。
【図14】レバーを示し、Aは平面図、Bは半断面した正面図、Cは側面図。
【図15】挿入筒部分の実施例を示す断面図。
【図16】密着部材の斜視図。
【図17】クランプ片で圧着した状態の説明図。
【図18】ポンプの他の参考例を示す断面図。
【図19】図18に示すポンプの側面からみた断面図。
【図20】本発明のポンプの一実施例を示す断面図。
【図21】図20に示すポンプの一部の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1、図2は、本発明のパウチ保持部材の一実施例を示し、取出口2を下方に向けて詰替えパウチ1を保持する保持部材3を有し、該パウチ1の取出口2にはポンプ4が取り付けられている。なお、この実施例では、取出口にねじキャップ(図示略)をねじ着した形式の詰替えパウチが示され、上記ポンプは、キャップを外してこの取出口2に取り付けられている。図1に示す実施例では上記保持部材3として、壁に吸盤等で固定されたフック5に掛け止めるようにした挟持具6が示され、パウチの底、図において上部を挟持して該パウチを下向きに吊り下げている。図2に示す実施例ではパウチを収納して下向きに吊り下げるようにした収納ケース7が示されている。上記挟持具6としては、適宜のものを使用することができる。詰替え用シャンプー液パックのようなパウチは表面が滑り易く、かつ重さも比較的あるので、挟持力の大きい挟持具が好ましい。なお、上記フックに代えて、棒状のハンガー(図示略)を設け、該ハンガーに保持部材を吊り下げるようにしてもよい。
【0014】
図3、図4は本発明に好適に使用される挟持具を示している。挟持具6の挟持具本体8は上方にフック5に掛け止めるための掛止孔9を有している。なお、上記のように図示を省略した棒状のハンガーに吊り下げる場合は、フック状の吊下片(図示略)を挟持具本体に形成してもよい。該挟持具本体8の内面には対向状態に傾斜面10が形成され、下面及び側面に開口する差込口11が設けられている。該差込口11に臨み上記傾斜面に転接可能なローラーが軸方向に複数、図においては2個のローラー12a、12bを並べたローラー群13、14を対向状態に向かい合わせた状態で挟持具本体内に収納されている。上記ローラーはローラー群間にパウチ1を差し込んだときパウチに押されて傾斜面10に沿って差込口11の内方(図3において上方)に移動する。ローラーの表面にはパウチ1を摩擦的に挟持できるよう係止面が形成されている。この係止面として、図に示す実施ではローラーの周面方向に延びる複数の突起15と溝16が形成され、該突起15が対向するローラーの溝16に入り込むような位置関係に上記ローラー群13、14を組み合わせてある。そのため、差込口11からローラー群13、14間に差し込んだパウチ1を左右に動揺させても上記ローラー群を構成する複数のローラーがパウチを挟持したまま個々に動いて挟持作用を分散して負担するから、該挟持作用が消失することはない。したがって、詰替え用シャンプー液パック等のパウチのように重くて表面が滑り易いものでも確実に保持することができる。また受片17を上記ローラー群13、14の上面にそれぞれあてがい、該受片17を押圧するばね18により上記ローラー群13、14を差込口11の入口方向(図3において下方)に付勢し、このローラー群のいずれか一方を内方(図3において上方)に移動させるようスライドスイッチ19を昇降可能に設けてある。該スライドスイッチ19を操作して上記ローラー群の一方を移動させれば、上記挟持作用は消失するから、空になったパウチの取り出しも容易である。
【0015】
上記収納ケース7は図5に示すように、掛止孔20を有する板状のケース基板21の前面上部及び前面下部に起立板22を介して前面板23を設け、ケース基板21と前面板23間の空所にパウチ1を収納し、該前面板間からパウチの取出口2が下方に向けて突出するようにしてある。なお、該ケース基板21の周囲には裏面方向に屈曲する縁片24が形成され、かつ適宜箇所には該収納ケース7をフック5に掛け止めた際、ケース基板21が動揺しないよう裏面方向に突出する突片25を形成して壁面に接触できるようにしてある。
【0016】
図6、図7はポンプの参考例を示し、該ポンプ4は、略筒状のポンプ本体26を有し、該ポンプ本体内に入口開口27と出口開口28を有する収納空間29が形成されている。図7に示すように、該収納空間29は断面円形であるが、ポンプ本体26の外周は断面略楕円形に形成されている。該入口開口27の周囲には入口筒30が形成され、上記パウチの取出口に形成されたねじ部にねじ係合するジョイントキャップ31が該入口筒30の周囲に取り付けられている。該入口筒30にはパウチ1からシャンプー液等の内容物を取り入れるよう該入口開口27に通じる流路を開閉する入口側バルブ32が設けられている。該入口側バルブ32はボールバルブで構成され、ばね33で上記収納空間29方向に付勢された弁座34と、収納空間側に位置し該弁座34に接離可能に設けられたボール35を具備する。該弁座34が段部36に当たってとまっているとき、ボール35と弁座34間には隙間があって入口開口27に通じる流路は開いている。収納空間が加圧されてボール35が上昇すると該ボール35は弁座34に密着して入口開口27に通じる流路は閉鎖される。
【0017】
上記出口開口28はポンプ本体26のほぼ中間部に形成され、該出口開口には、該収納空間からの内容物を吐出するよう該出口開口28を開閉する出口側バルブ37があり、かつ該出口側バルブ37に連通するよう下向きのノズル38が形成されている。該出口側バルブ37はボールバルブで構成され、収納空間29の外側から出口開口28に向けてばね39で付勢されたボール40を有する。
【0018】
上記ポンプ本体の両端には、上記収納空間29を加圧し上記出口側バルブ37を通して内容物を取り出すよう近接、離反可能にポンプ本体の軸方向に移動するスピンドル41、42が対向状態に設けられている。該スピンドル間には該スピンドル41、42を離反させる方向に付勢するばね43が設けられている。2つのばねをポンプ本体の外方に設けて各スピンドルを個別に付勢するようにしてもよい(図示略)。また、各スピンドルの端部にはポンプ本体26の外周に嵌着するキャップ44が取り付けられている。一方のスピンドル41はブッシュ45に挿通され、その内方先端で上記入口側バルブ32のボール35を支持している。該スピンドル41の先部には傾斜面46が設けられ、上記スピンドルが近接する方向に移動するとき、ボール35を入口開口の弁座34に密着させて該入口開口27を閉じるよう該傾斜面46でボール35を押圧できるようにしてある。なお、弁座34やスピンドル41、42の適所にはOリング等のシール部材が設けられている。
【0019】
上記構成により図6、図7に示すポンプによれば、両端のキャップ44に手を当ててスピンドル41、42を内方に押し込むと、入口側バルブ32のボール35は直接的に弁座34に押し付けられ入口開口27に通じる流路は直ちにかつ確実に閉鎖される。さらに、スピンドルを移動すると、収納空間29内の内容物が出口開口28を通ってノズル38から取り出される。スピンドル41、42の押圧を止めるとスピンドルが外方に移動して元の位置に復帰するときの吸引作用(真空作用)で入口開口27が開き、出口開口28が閉じるから内容物を収納空間29内に取り入れることができる。そのようにして、パウチ内のシャンプー液等の内容物を最後まで取り出すことができる。上記スピンドル41、42を操作するときの押圧力はポンプ本体26の軸方向に作用するだけで、上記保持部材3や該保持部材3を取り付けている壁に作用しないので、パウチが脱落するおそれもない。
【0020】
図8は、切り取り可能な取出口48を有するパウチ47の場合の実施例を示している。切り取りにより形成された取出口48には、挿入固着具49が取り付けられ、該挿入固着具49にポンプ50を接続してある。図9、図10を参照し、該固着具49は、挿入筒51と、該挿入筒51の外周に対向状態に突設した支柱52に回動可能に枢着53aしたクランプ片53と、該クランプ片53を操作するよう該クランプ片53に枢着54aしたレバー54を有している。上記挿入筒51は取出口48に容易に差し込めるよう先端55を斜めに形成し、流路56の後端の径大部57には円錐状開口58があり、後記するようにボールバルブのボールが収納される。該径大部の外面にねじ59が形成され(図11)、上記先端側の外面には金属材料で鋸刃状の係止突起60を形成した係止片61(図12)が設けられている。図13を参照し、上記クランプ片53には、翼板部62と該翼板部62のほぼ中央に上記挿入筒51の外面に嵌合するよう凹部63が形成され、内面にはゴム材料等の弾性部材64が設けられている。上記レバー54の後端には、挿入筒51に沿って倒した際、該挿入筒の周面に当たるカム部65が形成され、先端には上記クランプ片53の掛止部66に係止される爪片67が形成されている(図14)。
【0021】
上記レバー54を起こした状態(図10)でパウチ47の一部を切り取って開口させた取出口48内に上記挿入筒51を挿入し、該挿入筒51を充分パウチ本体内に差し込む。その後、上記レバー54を倒せば上記カム部65の作用で上記クランプ片53の先端は挿入筒51の外面に押し付けられ(図9)、該クランプ片53の翼板部62でパウチを圧着するとともに係止片61及び弾性部材64で滑り止めされる。それにより、該挿入固着具49はパウチ47の取出口48を密閉すると共にパウチに確実に取り付けられ、内容物が取出口から漏れるおそれはない。
【0022】
なお、パウチの素材によっては、上記クランプ片でパウチの取出口を挟着したときパウチを構成するシートが上記挿入筒の外面に沿って丸く屈曲せずにシートの合着部分の内面間にわずかな隙間を生じて内容物が漏れるおそれがある。このような場合には図15に示すように上記挿入固着具49の挿入筒51の外周に弾性材料で筒状に形成した密着部材81を設ければよい。該密着部材81は、図16に示すように、両側に断面略三角形状の耳片82を有し、かつ挿入筒51に形成した位置決め用の突起83に係合する嵌合孔84を具備している。これにより、図17に示すように、パウチの取出口に挿入した挿入筒51の外面をクランプ片53で挟着した際、クランプ片の凹部63でパウチの大部分が挟着され、挿入筒に沿ったパウチのシート間には側方に突出する耳片82が入り込む。そして、耳片の外面をクランプ片53の翼板部62で圧着するから、パウチのシート間の隙間が塞がれ、内容物の漏れが防止される。
【0023】
図18、図19は上記挿入固着具49に接続される上記ポンプ50の参考例を示している。ポンプ本体の壁体68は収縮、復元可能なシリコンゴム等の軟質材料で構成され、ポンプ本体には入口開口69と出口開口70を有する略球状の収納空間71が形成されている。なお、壁体の軟質材料として透明性のある材料を用いれば、収納空間71内を透視することができる。該入口開口69と出口開口70は、金属材料や硬質プラスチック材料で形成した中リング72、73で構成され、入口開口69の中リング72の外周には上記挿入固着具49のねじ59にねじ係合するスクリューキャップ74が設けられている。また、上記入口開口69には、収納空間71内にパウチ47から内容物を取り入れるよう入口側バルブ75を設けてある。図19に示す実施例ではボールバルブが用いられ、上記挿入固定具49の径大部57の内方にボール76を入れ、該ボール76が図19において上方に移動したとき上記挿入筒51の円錐状開口58に密着して該円錐状開口58及び流路56を閉鎖できる。ボール76が下方に移動したとき上記円錐状開口58及び流路56が開き、パウチ47内の内容物は入口開口69から収納空間71に入り込む。
【0024】
上記出口開口70には、入口開口69から収納空間71内に入った内容物を吐出するよう該出口開口70を開閉する出口側バルブ77が設けられている。上記ポンプ本体の中間部に位置して該出口側バルブ77連通するよう下向きのノズル78が形成されている。該出口側バルブ77としてはボールバルブが用いられ、該出口開口70に向けてボール79をばね80で付勢してある。
【0025】
上記の構成により、上記ポンプ本体68を圧縮(握持)すると、収納空間71が加圧され、上記入口側バルブ75のボール76が上昇して上記挿入固着具49の流路56を塞ぎ、収納空間71に入っている内容物は出口側バルブ77のボール79を押しのけてノズル78から流出する。ポンプ本体68の圧縮(握持)を止めると、該ポンプ本体68は元の状態に膨らみ、上記出口側バルブ77のボール79はばね80で押されて出口開口70を塞ぎ、上記入口側バルブ75のボール76は降下し、流路56を開くから、入口開口69を通してパウチ47内の内容物が収納空間71に吸引される。このようにして、パウチ内のシャンプー液等の内容物を最後まで取り出すことができる。上記ポンプ本体を圧縮(握持)するときの押圧力は該ポンプ本体に作用するだけで、上記保持部材や該保持部材を取り付けている壁に作用しないので、パウチが脱落するおそれもない。なお、上記各実施例において、バルブとしてボールバルブを用いているが、その他適宜のバルブを用いることもできる。
【0026】
図20、図21は、本発明のポンプの一実施例を示し、出口側バルブとして弁軸に形成された弁を用いたポンプ85が示されている。図20において、ポンプ本体86の壁体87は、上記図18、図19に示すポンプと同様に収縮、復元可能なシリコンゴム等の軟質材料で構成され、入口開口88と出口開口89を有する収納空間90が形成されている。上記収納空間内には支持軸91が挿通されている。支持軸91は上方筒状部92と下方筒状部93を有し、該上方及び下方筒状部には数箇所の通孔94が形成されている。上方筒状部92には入口側バルブ95のボールバルブを構成するボール96が収納され、該ボール96が入口開口88の弁座97に対向している。該弁座97を形成するプレート98は、スクリューキャップ99をポンプ本体86に嵌め合わせた後、上記上方筒状部92の上端に超音波溶接により固定される。
【0027】
上記下方筒状部93はポンプ本体86の下方に突出し、その先端にノズル100が超音波溶接により固定される。該ノズル100内には、出口側バルブ101を形成する弁軸102が収納されている。該弁軸102は出口開口を挿通して下方に延び、出口開口89に形成した弁座103に対向する弁104を有し、該弁104が上記弁座103に圧着する方向にばね105で付勢されている。該弁104には、図20に示すように、Oリングを設けてある。上記ノズル100から突出する弁軸102の先端には、該弁軸を、図20において、下方に移動させることができるようつまみ106が形成されている。
【0028】
上記の構成により、図20に示すポンプ85は、取出口に形成されているねじや上記のような挿入固定具のねじにスクリューキャップ99をねじ着することによりパウチに接続される。そして、上記ポンプ本体86を握って収縮させれば、加圧作用により入口側バルブ95は閉じられ、出口側バルブ101の弁104はばね105に抗して下方に移動するから、収納空間90に入り込んでいる内容物をノズル100から取り出すことができる。
ポンプ本体の収縮を止めれば、ポンプ本体は元の状態に膨らむ。そして、このときの真空吸引作用により入口側バルブ95が開き、パウチから内容物が入口側バルブ95を通って上記収納空間90内に入り込み、弁軸102はばね105に押されて上昇し、弁104が弁座103に係合して出口開口89は閉鎖される。長期間の不使用により上記出口開口部分で内容物が固化すると、出口開口が固化物で閉塞され、該弁の移動が不確実になり、内容物を取り出せないおそれがある。そのような事態が生じたら、ノズル100の外方に形成した上記つまみ106を引張れば、該弁軸102を移動させて固化物を出口開口から排除できるから、その後は、上述のようにポンプ本体を収縮させて内容物を取り出せばよい。
【符号の説明】
【0029】
1、47 パウチ
2、48 取出口
4、50、85 ポンプ
6 挟持具
7 収納ケース
49 挿入固着具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取出口を下方に向けて詰替えパウチを保持する保持部材と、該パウチの取出口に取り付けられるポンプを具備し、該ポンプは入口開口と出口開口を有する収納空間を形成したポンプ本体と、上記取出口に連通し収納空間内にパウチから内容物を取り入れるよう上記入口開口を開閉する入口側バルブと、上記収納空間内の内容物を吐出するよう上記出口開口を開閉する出口側バルブと、上記出口側バルブに連通するよう下向きに形成されたノズルと、上記収納空間を加圧して上記ノズルから内容物を取り出すよう収縮、復元可能な軟質材料で構成されたポンプ壁体と、上記収納空間内に挿通され上方筒状部と下方筒状部を有する支持軸を具備し、上記入口側バルブは上記上方筒状部に設けられ、上記出口側バルブは下方筒状部に設けられていることを特徴とする詰替えパウチの内容物取出装置。
【請求項2】
上記入口側バルブは収納空間側にボールを有するボールバルブであり、上記出口側バルブは出口開口の弁座に係合する弁を有する弁軸と、上記弁を弁座に圧着する方向に上記弁軸を付勢するばねと、上記弁軸を移動させるようノズルの外方に形成されたつまみを有する請求項1に記載の詰替えパウチの内容物取出装置。
【請求項3】
上記取出口には挿入固着具が取り付けられ、該挿入固着具に上記ポンプ本体が接続されている請求項1または2に記載の詰替えパウチの内容物取出装置。
【請求項4】
上記挿入固着具は、上記取出口に挿入され外面に金属材料製の係止片を有する挿入筒と、上記取出口に挿入した該挿入筒の係止片にパウチ本体を圧着させるよう該挿入筒に圧着可能に設けられたクランプ片を有する請求項3に記載の詰替えパウチの内容物取出装置。
【請求項5】
上記クランプ片は翼板部と該翼板部に形成された凹部を有し、上記挿入筒は外周に筒状の密着部材を有し、該密着部材は上記クランプ片の翼板部により圧着されるよう側方に伸びる耳片を具備している請求項4に記載の詰替えパウチの内容物取出装置。
【請求項6】
上記保持部材はパウチの一部を挟持する挟持具である請求項1から5のいずれかに記載の詰替えパウチの内容物取出装置。
【請求項7】
上記保持部材はパウチを下向きに収納する収納ケースである請求項1から5のいずれかに記載の詰替えパウチの内容物取出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2013−67433(P2013−67433A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−278217(P2012−278217)
【出願日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【分割の表示】特願2008−156440(P2008−156440)の分割
【原出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(592037804)株式会社三輝 (8)
【Fターム(参考)】