説明

詰替えボトル装置

【課題】ボディソープ、シャンプー、リンスその他の液状の内容物を簡単に補充でき、かつ使用に際して場所をとらない、主として業務用に使用することが快適な詰替えボトル装置を提供する。
【解決手段】ボトル本体2の上方にキャップ10を着脱可能に取り付ける。このキャップの上面にはボトル本体を吊り下げできるフック11が設けられ、ボトル本体11の下方には可撓性のあるポンプ壁体29を有するポンプ9が設けられている。内容物はポンプ壁体29を握ることにより、吐出される。上記ボトル本体2はキャップの側面の露出している操作部25を押すことにより、キャップ10から外すことができ、容易に内容物を補充することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サウナ、旅館、ホテルその他の業務用施設において使用されている例えば、ボディソープ、シャンプー液、リンス液等の詰替えボトル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、サウナ、フィットネスクラブ、旅館、スーパー銭湯、老人ホームその他の業務用施設においては、浴室内で使用するボディーソープ、シャンプー、リンス、コンディショナー等の液状物は、それぞれボトル内に所定量詰められ、業務の開始に先立って、不足分を補充したり、詰替えて使用されている。このような詰替えボトルを使用する場合、多くのボトルは上部に着脱式のポンプディスペンサーを有し、このポンプディスペンサーの押下げヘッドを押すことにより、ボトル内に延びているチューブを通してポンプのシリンダー内に液状物が吸い上げられ、ノズルから吐出する構成になっている(例えば特許文献1参照)。そのため、詰替え作業の際、上記ポンプディスペンサーをボトルから外すと、チューブの下端から液状物が滴下し、付近を汚してしまうことが多かった。また、このポンプディスペンサーを用いたボトルは床や棚等に直接置いて使用しなければならないから、不衛生であり、複数のボトルを使用する場合にはかなりの広さの置き場所を用意しなければならず、さらにポンプの押下げヘッドを続けて何回も押せば連続的に内容物が吐出されるため、必要以上のシャンプー液等を使用することになり、無駄でかつ環境汚染の原因の一つにもなっていた。なお、詰替えパウチから直接内容物を取り出せるようにした装置も提案されているが、そのような装置は通常個人的に使用するものであって、上記のように施設内で毎日内容物を補充して使用するようにしたボトル形式ではなく、業務用に最適とは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−186963号公報(段落0015、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の解決課題は、上記のように主として業務用に使用される液状物を詰替えボトルに簡単にかつ衛生的に補充でき、広い設置場所を必要とせず、複数のボトルを狭い場所に保持でき、使用に際しても少量ずつ吐出できるようにした詰替えボトル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、上下にネック部を有するボトル本体と、該ボトル本体の上方ネック部に着脱可能に取り付けられるキャップと、該キャップに設けられボトル本体を吊下げ可能な吊下げ部と、上記下方ネック部に連結されるポンプを具備し、上記キャップにはボトル本体の上方ネック部に形成した係止溝に係合するスライド係合片が設けられ、上記ポンプは可撓性のポンプ壁体を押圧することによりボトル本体内の内容物をノズルから定量吐出する構成である詰替えボトル装置が提供され、上記課題が解決される。
【0006】
また、本発明によれば、上記ポンプはボトル本体の上記下方ネック部に連通する流路を有し下端にノズルを連結した内方パイプと、該流路内に形成された弁孔を開閉するよう内方パイプ内に設けられたボールと、該内方パイプの中間に形成した流通孔の外周を取り囲み内容物の収納空間を形成する可撓性のあるポンプ壁体で形成されていることを特徴とする上記詰替えボトル装置が提供され、上記課題が解決される。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、上記のように構成され、上下にネック部を有するボトル本体と、該ボトル本体の上方ネック部に着脱可能に取り付けられるキャップと、該キャップに設けられボトル本体を吊下げ可能な吊下げ部と、上記下方ネック部に連結されるポンプを具備し、上記キャップにはボトル本体の上方ネック部に形成した係止溝に係合するスライド係合片が設けられ、上記ポンプは可撓性のポンプ壁体を押圧することによりボトル本体内の内容物をノズルから定量吐出する構成にしたから、ポンプ本体を適宜の支持棒やフック等に吊下げることができ、複数個吊下げても場所をとらず、衛生的であり、また内容物の補充をする際は、上記スライド係合片を係止溝から外すことにより、ボトル本体をキャップから取り外し、上方ネック部から内容物を容易に補充することができ、周囲を滴下物で汚染するおそれもない。
【0008】
また、上記ポンプを、ボトル本体の上記下方ネック部に連通する流路を有し下端にノズルを連結した内方パイプと、該流路に形成した弁孔を開閉するよう内方パイプ内に設けられたボールと、該内方パイプの中間に形成した流通孔の外周を取り囲み内容物の収納空間を形成する可撓性のあるポンプ壁体で形成すると、ポンプ壁体を軽く押圧(握る)してから開放すると、ポンプ壁体が収縮する際に、ポンプ壁体内に収納されていた内容物がノズルから吐出され、ポンプ壁体が収縮状態から復帰する際にボトル本体内より内容物がポンプ壁体内に吸引される。このときの吐出、吸引量はポンプ壁体の大きさにより規定されるから、該ポンプ壁体により吐出量を定量に制御でき、かつポンプ壁体が自身の弾性作用でもとの形態に復元しなければ次に押圧することができないので、従来のポンプディスペンサーのように何度も繰り返して無駄に内容物を使用するというようなおそれもなく、経済的であり、環境汚染を生じるおそれも少ない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例を示し吊り下げ状態の斜視図。
【図2】斜視図。
【図3】ボトル本体からキャップを外した状態の一部の斜視図。
【図4】キャップ部分の分解斜視図。
【図5】キャップ部分のスライド係合片の状態を示し、(A)はボトル本体の上方ネック部に係合している状態、(B)は該ネック部から外れている状態の説明図。
【図6】縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施例を示す図1〜図6を参照し、詰替えボトル装置1のボトル本体2は、中間部から下方部分が膨らんだ略筒状に形成され、上下に該ボトル本体内に開口するネック部3、4が設けられているが、該ボトル本体2の形状は種々の形態に形成することができる。上記上方ネック部3は、ボトル本体2の肩部5から上方に立ち上がり、先端外周にテーパー面6が形成され、中間には環状に凹んだ係止溝7が設けられている。下方ネック部4の外周には雄ねじ8が形成され、ポンプ9が連結されている。
【0011】
上記上方ネック部3には、着脱可能にキャップ10が取り付けられ、該キャップ10にはボトル本体2を吊下げ可能な吊下げ部11が設けられている。該吊下げ部11は、図に示す実施例では、一端がキャップ10の上面(天板)から一体的に上方に立ち上がりその先端がキャップの該上面と間隔をあけて対向している略逆J字状に湾曲するフック形状であるが、両端がキャップの上面から一体的に立ち上がる略U字状にしたり、別体に形成した適宜形状のフックやリング等をキャップに取り付けるようにしてもよい(図示略)。
【0012】
上記キャップ10を着脱可能に取り付けるには、種々できるが、好ましくは上記上方ネック部3にワンタッチで着脱できる構成がよい。図に示す実施例では、該上方ネック部3の係止溝7に係合するスライド係合片12をキャップに設けて片手で着脱できるようにしている。詳述すると、上記キャップ10は、天板13の下方にボトル本体3の肩部5に下端が接する筒状の壁体14を有し、上記天板の裏面には上方ネック部3の先端が入り込む受部15が形成され、該受部15を形成する段部の下面16はスライド係合片12の上面が接する面となり、該下面16には上方ネック部を挟んでその両側に対向しスライド係合片12の側面が摺動するようガイド壁17が設けられ、壁体の外周面には側方に開口する操作孔18が設けられている。また、上記ガイド壁17の下方には、スライド係合片12の下面を支えるよう支持板19が挿入され、ねじ20により固定される。この支持板19には、上記上方ネック部3を挿通できる大きさの受入孔21が形成されており、該受入孔21の下周縁には、上方ネック部の挿入をガイドする傾斜面22が形成されている。
【0013】
上記スライド係合片12はプラスチック材料で板状に形成され、上記上方ネック部3の先端を挿通できるよう略円形状に形成された係止孔23を有し、両側には上記ガイド壁17に摺接する側面24が形成され、一方には上記操作孔18に臨んで略L字状に屈曲する操作部25が設けられている。上記係止孔23を挟んで該操作部25の反体側には、キャップ10の壁体の内面に当り該スライド係合片12を操作部25方向に付勢するよう爪状に延びる2本の弾性脚26が対向状態に突設されている。該スライド係合片12は、通常は該弾性脚26の作用で周側面27がキャップの壁体14の内面に当接するまで操作部25方向に移動し、このとき該操作部25は上記操作孔18から殆ど突出せず、キャップ10の壁体14の外周面とほぼ面一になるようにしてある。なお、上記弾性脚は適宜数設けることができ、また弾性脚26の先端間に、弾性脚の弾性に抗してスライド係合片12をキャップ内に押し込んだとき、キャップの壁体の内面に当接するようストッパーをスライド係合片に突設してもよい(図示略)。
【0014】
図5を参照し、上記スライド係合片12の係止孔23には、該スライド係合片12が操作部25方向に移動しているとき、上記上方ネック部3の係止溝7に嵌り込んで係合しかつスライド係合片12をキャップ内に押し込んだとき該係止溝7から外れるよう内周係止縁28が形成されている。したがって、該係止孔23は図5に示すようにスライド係合片12の移動方向に横長の変形円形状となっている。
【0015】
図6を参照し、上記ポンプ9は可撓性のポンプ壁体29を押圧することによりボトル本体2内の液状の内容物をノズル30から定量吐出できる構成を有している。図6において、ポンプ9は、内面に雌ねじ31を形成した継手32により上記下方ネック部4に接続されており、下端に接続パイプ33を突設した挿入筒34を下方ネック部に挿入し、該接続パイプ33固着される内方パイプ35を有している。該内方パイプ35は内容物の流路となり、内部に弁孔が設けられている。図6において、弁孔は、内方パイプ35の途中に形成した下部弁孔36と上記接続パイプ33の下端に開口する上部弁孔37で構成され、上部弁孔37と下部弁孔36の間には、図において上昇したとき上記上部弁孔37を閉塞するとともに下部弁孔36を開放し、降下したとき上部弁孔37を開放するとともに下部弁孔36を閉鎖するようボール38が挿入されている。該内方パイプ35は上記ボール38を内部に挿入したのち、上記挿入筒34に超音波音溶着等により固定される。
【0016】
上記内方パイプ35の下端に設けたノズル30は、吐出口39を有し上記内方パイプ35の下端に超音波溶着等により固定される吐出口部材40と、該吐出口部材40内に設けられ上記吐出口39に接するOリング等を下端に有する弁棒41と、該弁棒41を図において上方に付勢する吐出口ばね42を有する。該吐出口ばね42は弱いばねであり、上記ポンプ壁体29を押圧した際の加圧力で弁棒41が降下することを許容する程度の強さである。上記内方パイプの35中間部には内容物が出入り可能な流通孔43が形成され、該流通孔43の外周を取り囲み内容物の収納空間を形成するよう可撓性のある上記ポンプ壁体29が設けられている。該ポンプ壁体29は、図に示すように略球状に形成され、上方に係止溝44を有し、該係止溝44に上記継手32の下端のフランジ部を係合させて保持され、下方には上記内方パイプ35の下端が挿入され筒状部45が設けられている。
【0017】
上記の構成によりキャップ10の吊下げ部11を、例えば図1に示すように、浴室内のシャワーハンガー46に設けた支持棒47に引っ掛ければ、複数の詰替えボトル装置1を大きな設置場所をとらずに浴室内に置くことができる。そして、下端のポンプ9のポンプ壁体29を押圧すれば(握れば)、ポンプ壁体の変形による加圧力でボール38が上昇して接続パイプ33の下端の上部弁孔37を閉塞するとともに下部弁孔36が開いてポンプ壁体29内の内容物がノズル30から押し出され、所定量使用することができる。また、ポンプ壁体29の押圧を止めればポンプ壁体29がもとの状態に復元するときの吸引力でボール38が降下するとともに上部弁37孔が開いてボトル本体2内から内容物を所定量ポンプ壁体29内に取り入れることができる。このようにして、ポンプ壁体29を1回押圧するごとに、内容物を定量吐出させることができる。そして、ボトル本体2内の内容物が減少したときや毎日の始業時に、上記キャップ10の操作孔18に臨んでいる操作片25を上記弾性脚26の弾性に抗して押圧すれば、スライド係合片12の内周係止縁28が上方ネック部3の係止溝7から外れ、ボトル本体2をキャップ10から取り外すことができ、内容物の補充が容易にできる。充填後はボトル本体2の上方ネック部3の先端をキャップ10に差し込めば、スライド係合片12は上方ネック部3の先端に押されて進退し上記内周係止縁28が上記係止溝7に係合し、簡単にキャップに連結して吊下げることができる。
【0018】
本発明の詰替えボトル装置は上記のように構成されているので、短時間で補充作業ができ、業務用施設で好適に使用できるが、家庭内で使用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0019】
1 詰替えボトル装置
2 ボトル本体
3 上方ネック部
4 下方ネック部
7 係止溝
9 ポンプ
10 キャップ
11 吊下げ部
12 スライド係合片
17 ガイド壁
18 操作孔
19 支持板
25 操作部
26 弾性脚
28 内周係止縁
29 ポンプ壁体
30 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下にネック部を有するボトル本体と、該ボトル本体の上方ネック部に着脱可能に取り付けられるキャップと、該キャップに設けられボトル本体を吊下げ可能な吊下げ部と、上記下方ネック部に連結されるポンプを具備し、上記キャップにはボトル本体の上方ネック部に形成した係止溝に係合するスライド係合片が設けられ、上記ポンプは可撓性のポンプ壁体を押圧することによりボトル本体内の内容物をノズルから定量吐出する構成である詰替えボトル装置。
【請求項2】
上記ポンプは、ボトル本体の上記下方ネック部に連通する流路を有し下端にノズルを連結した内方パイプと、該流路内に形成された弁孔を開閉するよう内方パイプ内に設けられたボールと、該内方パイプの中間に形成した流通孔の外周を取り囲み内容物の収納空間を形成する可撓性のあるポンプ壁体で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の詰替えボトル装置。
【請求項3】
上記キャップの壁体の側面には操作孔が設けられ、上記スライド係合片は上記上方ネック部を挿通できるよう略円形状に形成された係止孔と、上記操作孔に臨む操作部と、該スライド係合片を操作部方向に付勢する弾性脚を有し、上記係止孔には該スライド係合片が操作部方向に移動しているとき上記上方ネック部に係止した係止溝に係合可能でかつ上記弾性脚に抗してスライド係合片をキャップ内に押し込んだとき該係止溝から外れる内周係止縁が形成されている請求項1または2に記載の詰替えボトル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−153426(P2012−153426A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16672(P2011−16672)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(592037804)株式会社三輝 (8)
【Fターム(参考)】