説明

誘導装置

【課題】機械工具または機械工具ユニットを案内するための案内装置(1)を与える。
【解決手段】本発明は、装置は第1の本体(10)および第2の本体(12)を有し、本のうちの1つ(12)は機械工具または機械工具ユニット(2)がそこに取付けられたまま運動を実行するよう設計される。案内装置(1)はさらに少なくとも1つの結合要素(20)を有し、結合要素は、第1の本体(10)と第2の本体(12)との間の引張力を転送することができるように前記本体を結合し、前記装置は少なくとも2つの支持要素(30,32)を有し、それらは第1の本体(10)と第2の本体(12)との間の圧縮力を転送することができるように前記本体上の支持部でヒンジ係合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、機械加工工具または機械加工工具ユニットの誘導のための誘導装置に関する。装置は第1の本体および第2の本体を有し、本体のうちの1つは、機械加工工具または機械加工工具ユニットがそこに取付けられて、運動を実行するよう設計される。
【背景技術】
【0002】
従来技術
上述の種類の誘導装置は、長い間、たとえばキャビネットドア、加工表面などのパネル加工物を機械加工する際に用いられることが知られてきた。
【0003】
したがって、たとえば、EP0538513Aは、パネル加工物を狭い側面または縁部で機械加工するために連続的に通過させる機械を開示する。連続的なパネル加工物上で実行される典型的な動作は、たとえば、接着剤の適用、縁部が紐状の材料の適用もしくは押圧、または接着された縁材の突起のばりのトリミングもしくはフライス削りである。この目的のために、さまざまな機械加工工具または機械加工ユニットが連続的な処理する機械に沿って配置される。
【0004】
パネル加工物は、運搬装置上で機械加工工具または機械加工ユニットまで運搬される。ここで加工物の配向および寸法の許容誤差が生じ得る。これらの許容誤差を補償するために、機械加工工具および機械加工ユニットは、上述の種類の読取り誘導装置によって、すなわち可動に取付けられて誘導される。問題となる加工物の実際の位置または寸法は読取りローラまたは読取りシューによって検出され、それにより機械加工工具または機械加工ユニットの対応する位置が確実になる。
【特許文献1】EP0538513A
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
誘導装置は、通常はローラ要素を有するリニアベアリングである。しかしながら、この種のリニアベアリングは設計上複雑であり、一般には専門の企業によって非常に高い費用で提供されるに過ぎないことが明らかになっている。さらに、リニアベアリングは耐用年数を減じる埃に弱い。
【0006】
発明の概要
したがって本発明の目的は、設計が簡易であって埃により強い、上述の種類の誘導装置を与えることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この目的は、機械加工工具または機械加工ユニットを誘導するための請求項1に従う誘導装置によって解決される。望ましい実施例は従属請求項に記載される。
【0008】
本発明は、上述の種類の誘導装置においてローラ要素を省略することができ、その代わり、誘導装置の本体間の相対的な運動を達成するためにヒンジ係合された要素を用いるという発想に基づく。この目的のために、本発明は、誘導装置がさらに、第1の本体と第2の本体との間の引張力を伝達することができるような方法で前記本体を接続する少なくとも1つの結合要素と、第1の本体および第2の本体上でその間の圧縮力を伝達することが
できるような方法でその支持部においてヒンジ係合される、少なくとも2つの支持要素とを含むことをもたらす。
【0009】
このようにして、本発明による誘導装置はローラ要素を省略することができ、結果として埃の影響を受けない、耐用年数が長い簡易な設計となる。本発明による誘導装置は完全な直線運動を可能にするわけではないが、それはここで主に意図される適用例については重要ではない。
【0010】
本発明による装置においては、本発明はこれに限定されないが、一般に結合要素は(反応力などの望まないのに発生する力を除いて)引張力のみを伝達し、支持要素は圧縮力のみを伝達する。
【0011】
本発明の発展例は、第1の本体および第2の本体がそれぞれ凹部を含み、その凹部で支持要素および/または結合要素が支持されることをもたらす。これにより、前記支持要素または結合要素は、支持要素または結合要素の所望の旋回運動が妨げられることなく、かつ複雑な構成要素を必要とすることなく、問題となる本体上で固定的に滑らないでそれら自体を支持することができる。
【0012】
本発明の発展例では、誘導装置の運動中、支持要素および少なくとも1つの結合要素による制約のない旋回運動を可能とするために、支持要素のための凹部の基部および1つ以上の引張要素のための凹部の基部が、本質的に1つの平面上に配置される。
【0013】
本体に形成される凹部は、本発明の範囲内で広範囲にわたる形状を取ることができる。しかしながら、支持要素および結合要素について固定的な支持を与えるという観点からは、好ましくは凹部は本質的にV形状に形成される。本発明によれば、代替的にまたは追加的に、支持要素および/または結合要素自体がそれぞれ2つのV形状の支持部または結合部を含む。その結果、本体と支持要素もしくは結合要素との間に制約のない点または直線的接触を生じ、そのため支持要素もしくは結合要素が(振り子支持部と同様の)制約のない旋回要素として、特に有利に動作することができる。支持部または結合部のV角が、関連付けられた凹部のV角よりも小さいことが特に好ましい。これは、V角を互いに適切に一致させることによって、支持要素または結合要素の関連付けられた旋回角と、そのため誘導装置全体の移動量とが、調整され得ることを意味する。
【0014】
少なくとも1つの結合要素は、本発明の範囲内で広範囲にわたる方法で設計することができ、たとえばさらにばねを含んでもよく、またはばねのみの形状をとることさえできる。別の好ましい実施例では、少なくとも1つの結合要素は、たとえばボルトによって固く互いに連結される2つの結合部を含む。
【0015】
支持要素の形状および設計は本発明の範囲内では特に限定されない。しかしながら、誘導装置の製造の簡易性および安定的構造の観点からは、支持要素を棒形状に設計し、好ましくは、本質的に四角形または平行四辺形に対応する断面を与えることが有利であることがわかっている。最後に言及した断面の形状においては、支持要素を別途機械加工する必要なしにV形状の支持部が自動的に得られる。
【0016】
最後に、本体の形状および設計も、本発明の範囲内で多くのやり方でさまざまに変動してもよい。多くの適用例において、一方または両方の本体が貫通孔および位置決め孔を有し、本質的に平坦である。本発明の発展例はさらに、第1の本体および/または第2の本体が、好ましくはともに溶接された複数のシート部品を保有することをもたらす。この結果、(たとえば負荷の発生、問題となる工具またはユニットの接続パターン、機械ジオメトリなどの)複雑な手段なしに現在の必要条件に適合することができる、簡易かつ軽量な
設計をもたらす。
【0017】
さらなる方向に従って、本発明は、本発明による誘導装置に関連付けられる、パネル加工物を特に縁部において機械加工するための機械加工装置を与える。次に少なくとも1つの機械加工工具または機械加工ユニットが誘導装置の本体の1つに取付けられる。この構成は本発明の特に有利な適用例を代表し、誘導装置に取付けられた機械加工工具または機械加工ユニットが、簡易な手段によって運動を実行することを可能にする。特に、機械加工工具または機械加工ユニットが取付けられる本体が、機械加工工具または機械加工ユニットが誘導装置によって制御下で誘導される方向において予め負荷をかけられることが好ましい。このようにして、機械加工工具または機械加工ユニットは、標準的な機械加工位置、たとえば、機械加工される加工物の配向および/またはジオメトリが基準位置からそれた場合にのみそこから(たとえば読取りローラによって)変位するような位置において、予め負荷をかけられ得る。このようにして、機械加工される加工物は、配向または寸法に許容誤差がある場合であっても、なおも精密に機械加工される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
好ましい実施例の詳細な説明
本発明の好ましい実施例が、添付の図面を参照して下記に詳細に記載される。
【0019】
本発明の好ましい実施例としての誘導装置1が図1に斜視図で概略的に示され、図2に2つの側面図および平面図で概略的に示される。示される誘導装置1は、たとえば少なくとも部分的に木材、木製材料などを含むパネル加工物の機械加工にしばしば用いられるような機械加工工具または機械加工ユニットを誘導するために用いられ、下記により詳細に説明される。
【0020】
示される誘導装置1は、第1の本体10および第2の本体12を両方とも箱の形状で有する。両方の本体10,12は、たとえば機械加工テーブルまたは誘導される機械加工工具もしくは機械加工ユニットに接続され得るよう、複数の貫通孔を保有する。
【0021】
本実施例において、第1の本体10および第2の本体12は、ともに溶接された複数のシートパネルの形状をとる。しかしながら、本体はたとえば曲がったシート、鋳造された構成要素、固体片などの単一片で形成されていてもよいことに注意される。
【0022】
本実施例において、棒形状の支持要素30,32および結合要素20が、2つの本体10,12の間に与えられる。これらは第1の本体10および第2の本体12に形成される凹部14および16においてそれぞれ支持される。このようにして、結合要素20は第1の本体10と第2の本体12との間の引張力を伝達することができ、支持要素30,32はそれぞれ第1の本体10と第2の本体12との間の圧縮力を伝達することができる。
【0023】
図2の側面図に最もよく見られるように、凹部14,16は本質的にV形状であって、支持要素30,32のための凹部14の基部および結合要素20のための凹部16の基部は、本質的に1つの平面に配置される。
【0024】
本実施例において、結合要素20は、2つのボルト22によってともに接続された2つの棒形状の結合部24の形状をとる。結合部24はそれぞれV形状であって、結合部24のV角は関連付けられた凹部16のV角よりも小さい。
【0025】
本実施例の支持要素30,32は棒形状であって、本質的に四角形の断面を有する。このようにして、四角形の断面の2つの対向するコーナ部は、対応する凹部14において支持されるV形状の支持部34を各々形成する。この点、この場合であっても、支持部34
のV角は関連付けられる凹部14のV角よりも小さい。しかしながら、支持要素30,32の断面は原則としていかなる形状を取ることもでき、たとえば平行四辺形などに形成され得ることに注意されるべきである。
【0026】
支持要素30,32は、V形状の凹部14の角が位置するようになる溝(図示せず)を有することができる。このようにして、第1の本体10および第2の本体12は、簡易かつ効果的な態様で、読取り方向を横切る方向に互いに対して変位不能に維持される。しかしながら、この目的のために、たとえば横方向に配置される固定ボルトなどの他の設計もまた可能である。
【0027】
上述の本発明による誘導装置1の設計によって、本体10および12は固定的に誘導された互いに対する運動を実行することができる。この運動の間、支持要素30,32および結合要素20はそれぞれ旋回運動を実行し、可能性のある旋回角度を用いて(すなわち凹部14,16のV角の比率または支持部24もしくは結合部34のV角の比率によって)移動量を規定することができる。代替的に、本実施例のように、所望の程度にまで移動量または旋回角度を制限する追加的なストッパ18を与えることもさらに可能である。
【0028】
本発明の好ましい実施例として、機械加工装置4が2つの側面図および平面図で概略的に図3に示される。機械加工装置4はパネル加工物6を機械加工するために用いられ、そのうち1つが側面図の1つとして図3に概略的に示される。パネル加工物6はたとえばキャビネット前面、加工表面などであってもよく、木材、木材ベースの材料または他の複合材料などから少なくとも部分的にできている。縁部6′はこの性質のパネル加工物6の狭い側面にしばしば遡って適合され、機械加工(本実施例では接着)され得る。このように、示される機械加工装置4は縁部接着装置であり得る。
【0029】
本実施例の機械加工装置4は、まず図3の側面図の1つに示されるベルトコンベアの形状の運搬装置7を含み、たとえばその上で、ここではこれ以上詳細には説明されない機械台が移動する。本発明による誘導装置1がその機械台に取付けられ、その一部が、誘導装置1の本体のうちの1つ12に取付けられた機械加工ユニット2を担持する。本実施例において、機械加工ユニットは、パネル加工物6に接着された縁部の突起を削り取るために用いられるばり削りユニットである。しかしながらこれはたとえば、金べら、または接着剤適用装置もしくは圧力帯などの別の種類の機械加工ユニット、すなわち接着された縁材を加工物に押圧するための装置などの簡易な工具であることもできる。
【0030】
さらに、パネル加工物6が読取りローラ8(または読取りシューなど)を有する機械加工装置4を通過しながらそこに向かって動くばり削りユニット2に読取りローラ8が接続され、ばり削り装置が、詳細には示されない垂直方向の誘導装置によって垂直方向に、パネル加工物6の実際の位置に適合されることが確実になる。
【0031】
さらに、機械加工装置4は、機械加工でパネル加工物6から切り取られる縁部6′と接触するよう意図されるストッパ9を含み、このようにして、パネル加工物6の実際の寸法または実際の位置に適合された、ばり削りユニット2の精密な水平の位置決めが確実になる。ストッパ9が問題となる縁部6′と常に接触していることを確実にするために、ばり削りユニット2が取付けられる本体12は、パネル加工物6に向かう方向(すなわち読取り方向)においてたとえばばねなどによって予め負荷をかけられる。本発明による誘導装置は、この構造によって、最も簡易な手段を用い、水平方向において、ばり削りユニットによる埃の影響を受けない、読取り誘導を達成することができ、その結果、装置を通過するパネル加工物6の寸法または配向の許容誤差が補償される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による誘導装置の実施例の概略的斜視図を示す図である。
【図2】図1に示す誘導装置の2つの概略的側面図および平面図を示す図である。
【図3】本発明による機械加工装置の実施例の2つの概略的側面図および平面図を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1 誘導装置、10,12 本体、14,16 凹部、18 ストッパ、20 結合要素、22 ボルト、24,34 結合部、32 支持要素。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械加工工具または機械加工ユニット(2)の誘導のための誘導装置(1)であって、
第1の本体(10)および第2の本体(12)を有し、本体のうちの1つ(12)は、機械加工工具または機械加工工具ユニットがそこに取付けられて、運動を実行するよう設計され、
誘導装置(1)はさらに、
第1の本体(10)と第2の本体(12)との間の引張力を伝達することができるような方法で第1の本体(10)および第2の本体(12)を接続する少なくとも1つの結合要素(20)と、
第1の本体(10)と第2の本体(12)との間の圧縮力を伝達することができるような方法で第1の本体および第2の本体上で旋回することを可能にする態様で支持される、少なくとも2つの支持要素(30,32)とを含むことを特徴とする、誘導装置(1)。
【請求項2】
第1の本体(10)および第2の本体(12)はそれぞれ凹部(14,16)を含み、その凹部で支持要素および/または結合要素が支持されることを特徴とする、請求項1に記載の誘導装置。
【請求項3】
支持要素(30,32)のための凹部(14)の基部および少なくとも1つの結合要素(20)のための凹部(16)の基部が本質的に1つの平面上に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の誘導装置。
【請求項4】
凹部(14,16)は本質的にV形状であることを特徴とする、請求項2または3に記載の誘導装置。
【請求項5】
支持要素(20)および/または結合要素(30,32)がそれぞれ2つのV形状の支持部または結合部(24,34)を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の誘導装置。
【請求項6】
支持部(24)または結合部(34)のV角が、関連付けられた凹部(14,16)のV角よりも小さいことを特徴とする、請求項5に記載の誘導装置。
【請求項7】
少なくとも1つの結合要素(20)は、好ましくはボルト(22)によって互いに固く接続される2つの結合部(24)を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の誘導装置。
【請求項8】
支持要素(30,32)は棒の形状をとり、好ましくは本質的に四角形または平行四辺形に対応する断面を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の誘導装置。
【請求項9】
少なくとも1つの結合要素はばねを含み、ばねは好ましくは予め負荷をかけられることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の誘導装置。
【請求項10】
第1の本体(10)および/または第2の本体(12)が、好ましくはともに溶接された複数のシートメタル部分を含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の誘導装置。
【請求項11】
第1の本体(10)および第2の本体(12)は、読取り方向を横切る方向に互いに対して変位不能に維持されることを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の誘導装置。
【請求項12】
パネル加工物(6)をより特定的には縁部(6′)において機械加工するための機械加工装置(4)であって、
請求項1から11のいずれかに従った誘導装置(1)と、
機械加工装置の本体のうちの1つ(12)に取付けられた機械加工工具または機械加工ユニット(2)とを含む、機械加工装置(4)。
【請求項13】
機械加工工具または機械加工ニットが取付けられる本体(12)は、機械加工工具または機械加工ユニット(2)が誘導装置(1)によって制御下で誘導される方向において予め負荷をかけられることを特徴とする、請求項12に記載の誘導装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−253324(P2007−253324A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−73066(P2007−73066)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(507090937)ブラント・カンテンテヒニク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (3)
【氏名又は名称原語表記】BRANDT KANTENTECHNIK GMBH
【Fターム(参考)】