説明

調光制御装置、調光制御方法、及び調光制御プログラム

【課題】仕込みに要する時間を短縮し、かつ、誤入力を防止することが可能な調光制御装置を提供する。
【解決手段】本調光制御装置は、カメラ4からの撮影画像を取得する画像取得部10と、取得された撮影画像を表示する表示部30と、照明器具3を識別するための識別情報と、識別情報により識別される照明器具3による照射位置に係る照射位置情報と、を対応付けて記憶する情報記憶部50と、表示された撮影画像への入力を検出するタッチパネル20と、情報記憶部50に記憶された情報のうち、タッチパネル20により検出された入力位置が照射位置に含まれる照射位置情報、に対応付けられた識別情報により識別される照明器具3を指定する照明器具指定制御部43と、指定された照明器具3の調光を制御する調光制御部42と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光制御装置、調光制御方法、及び調光制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の照明器具の中から所望の照明器具を点灯/消灯させたり、調光したり、照明器具による照射方向等を調整したりするための調光制御装置が、一般的に使用されている。
【0003】
例えば、水平回転、垂直回転、フォーカスの動作、及びバンドアーの開閉、回転などの機能を制御可能な動力装置を備えたスポットライトの照射方向等の制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この制御装置は、画像表示装置にプラン図とスポットライトの取付位置、及び照射方向を表示させ、画像表示上の透明デジタイザー、或いはジョイスティック等で照射点を指定し、スポットライトの取付位置と照射点から自動的にスポットライトの水平角、垂直角を演算し、出力すると同時にスポットライトのフォーカス、バンドアーデータを送出してスポットライトを制御し、且つ、画像表示装置に表示するムービングスポットライトの制御装置である。
【0004】
また、照明ライトの照射方向を目視可能なスポットビームで直接指定でき、照明仕込みの時間を低減させ、所望する照明パターンを得るようにした照明ライトの自動制御システムが知られている(例えば、特許文献2参照)。この自動制御システムは、目視可能な可視光および赤外線のスポットビームBを投射するシューティングポインタと、このシューティングポインタから投射されたスポットビームの投射位置を撮像する固体撮像装置と、この固体撮像装置で撮像されたスポットビームの投射位置を記録する画像処理装置と、この画像処理装置からのスポットビーム投射位置に関する信号を演算処理し、操作指令信号を出力するコントローラと、このコントローラからの操作指令信号により特定の照明ライトを三次元駆動させるライト駆動装置を備えた照明器具とを有し、このライト駆動装置により特定の照明ライトをスポットビームの照射位置の方向へ指向させたものである。
【0005】
また、照明負荷の調光レベルを制御し、複数シーンを同時にクロスチェンジすることが可能な調光装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。この調光装置は、所定スイッチが押下されると、再生中のクロスチェンジ元のシーン再生状態を記憶し、この状態を保持しつつクロスチェンジ先のシーン再生状態の設定を受け付ける。クロスチェンジ先のシーン再生状態が設定されると、クロスチェンジ元のシーン再生状態、クロスチェンジ先のシーン再生状態、及び、クロスチェンジする際に操作されるフェーダのレベルに基づいて、クロスチェンジ元のシーン再生状態からクロスチェンジ先のシーン再生状態にクロスチェンジする際の照明負荷に対する出力レベルを決定し、照明負荷を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−062703号公報
【特許文献2】特開平6−096867号公報
【特許文献3】特開2006−147489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、調光制御装置が配置される調光操作卓によりシーンを作成する場合、スポットライトの調光レベルを操作したり、ホリゾントの色を調整したりすることにより、全体のシーンとしての明かりを作成する。この明かりの作成方法では、ユーザが調光操作卓のキースイッチやフェーダ等のレベル調整機能により調光レベルを操作し、モニタ上のレベル表示(数字表示)を確認し、さらにステージ上の照明器具の実際の明かりの状態(明かり状態)を目で確認することによって、明かりが作成される。
【0008】
図18は、従来の明かりの作成方法を説明するためのイメージ図である。図18に示すように、調光対象が実際のステージST上の照明器具であるのに対し、調光を行うための入力手段がユーザの手元にある調光操作卓CSのキーやフェーダであり、その設定レベルがモニタMTに表示されることになる。
【0009】
そのため、ステージST上の照明器具の明かり状態の確認(C1)、調光操作卓CS上の入力手段への操作の確認(C2)、入力手段による設定レベルのモニタMTによる確認(C3)、等の複数の目視確認を行う必要があった。したがって、入力間違いや操作の間違いを引き起こすことがあった。またそれだけ手間がかかるため、仕込み操作に時間を要していた。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、仕込みに要する時間を短縮し、かつ、誤入力を防止することが可能な調光制御装置、調光制御方法、及び調光制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の調光制御装置は、所定位置に配置された照明器具の調光を制御する調光制御装置であって、画像を撮影する画像撮影装置からの撮影画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部により取得された撮影画像を表示する画像表示部と、前記照明器具を識別するための識別情報と、当該識別情報により識別される照明器具による照射位置に係る照射位置情報と、を対応付けて記憶する情報記憶部と、前記画像表示部に表示された撮影画像への入力を検出するタッチパネルと、前記情報記憶部に記憶された情報のうち、前記タッチパネルにより検出された入力位置が前記照射位置に含まれる前記照射位置情報、に対応付けられた識別情報により識別される照明器具を指定する照明器具指定部と、前記照明器具指定部により指定された照明器具の調光を制御する調光制御部と、を備える。
【0012】
また、この発明において、前記タッチパネルが、前記画像表示部に表示された画像への複数の入力位置に対する同時入力であるマルチタッチ入力を検出し、前記調光制御部が、前記タッチパネルへの前記マルチタッチ入力に基づいて、前記照明器具の調光を制御することが好ましい。
【0013】
また、この発明において、前記情報記憶部が、前記照明器具の前記識別情報と、前記照射位置情報と、前記識別情報により識別される照明器具により照射される光の色に係る照射光色情報と、を対応付けて記憶し、前記画像表示部が、前記撮影画像と、前記照明器具により照射される光の色を指定するためのパレット画像と、を表示し、前記照明器具指定部が、前記情報記憶部により記憶された情報のうち、前記タッチパネルにより検出された前記撮影画像への入力に係る入力位置が前記照射位置に含まれる前記照射位置情報と、前記タッチパネルにより検出された前記パレット画像への入力により指定された照射光色に係る照射光色情報と、に対応付けられた識別情報により識別される照明器具を指定することが好ましい。
【0014】
また、この発明において、前記ホリゾント幕を照射するホリゾントライトが属する第1のグループと、前記ホリゾントライト以外が属する第2のグループと、のいずれかを選択するグループ選択部を備え、前記照明器具が、前記ホリゾントライトを含み、前記照明器具指定部が、前記グループ選択部により選択されたグループに属する前記照明器具を指定することが好ましい。
【0015】
また、この発明において、前記調光制御部が、前記照明器具指定部により指定された照明器具が複数存在する場合、各照明器具の調光を制御することが好ましい。
【0016】
また、本発明の調光制御方法は、所定位置に配置された照明器具の調光を制御するための調光制御方法であって、画像を撮影する画像撮影装置からの撮影画像を取得するステップと、前記画像取得部により取得された撮影画像を表示部に表示するステップと、前記画像表示部に表示された撮影画像への入力をタッチパネルにより検出するステップと、前記照明器具を識別するための識別情報と、当該識別情報により識別される照明器具による照射位置に係る照射位置情報と、を対応付けて記憶する情報記憶部に記憶された情報のうち、前記タッチパネルにより検出された入力位置が含まれる照射位置に係る前記照射位置情報、に対応付けられた識別情報により識別される照明器具を指定するステップと、前記指定された照明器具の調光を制御するステップと、を有する。
【0017】
また、本発明の調光制御プログラムは、上記調光制御方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、仕込みに要する時間を短縮し、かつ、誤入力を防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態における照明器具の調光を簡単に説明するためのイメージ図
【図2】本発明の第1の実施形態における調光制御装置の構成の一例を示すブロック図
【図3】本発明の第1の実施形態におけるカメラによりステージ上の様子が撮影された撮影画像の表示例を示す図
【図4】本発明の第1の実施形態における照明器具とその照明器具による照射位置とを対応付けるための動作の一例を説明するための図
【図5】本発明の第1の実施形態における照明器具とその照明器具による照射位置との関係の一例を示す図
【図6】本発明の第1の実施形態における照明器具による照射位置を抽出した抽出画像の一例を示す図
【図7】本発明の第1の実施形態における照射位置を特定して照明器具の調光を制御するための動作の一例を説明するための図
【図8】本発明の第1の実施形態におけるタッチされた位置を照射する照明器具が複数存在する状態を示す図
【図9】本発明の第2の実施形態における調光制御装置の構成の一例を示すブロック図
【図10】本発明の第2の実施形態における調光制御装置がマルチタッチ操作により調光レベルを制御する際の動作の一例を示すフローチャート
【図11】本発明の第2の実施形態におけるタッチパネルへのピンチ操作により調光レベルを大きくしたり小さくしたりする表示例を示す図
【図12】本発明の第2の実施形態における複数の照明器具をマルチタッチ操作(ピンチ操作)により同時に調光制御を行っている状態を示す図
【図13】本発明の第3の実施形態における調光制御装置の構成の一例を示すブロック図
【図14】本発明の第3の実施形態におけるホリゾント幕が照明器具により特定の色に染められた状態の一例を示す図
【図15】本発明の第3の実施形態におけるタッチパネルにより照射光色を指定することを示す図
【図16】本発明の第3の実施形態におけるホリゾント幕に照射される光の調光レベルをマルチタッチ操作により指定することを示す図
【図17】本発明の実施形態における明かりの作成方法を説明するためのイメージ図
【図18】従来の明かりの作成方法を説明するためのイメージ図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における照明器具の調光を簡単に説明するためのイメージ図である。図1に示すように、実際のステージSTがカメラ4により撮影される。撮影されたこの撮影画像は、表示部(モニタ)30に映し出される。表示部30に映し出されたステージST上には、照明器具3が配置されている。表示部30の画面上にはタッチパネルが配置されており、表示部30上の任意の位置に指FG等で押下又は接触(タッチ)することで、タッチパネルへの入力が検出される。検出された入力の位置情報は、入力位置情報として、調光制御卓CS等に配置された制御部へ送られる。この制御部は、入力位置情報に基づいて指定される照明器具3の調光を制御するための調光制御信号を生成する。この調光制御信号は、照明器具3を調光する調光盤2へ送られ、照明器具3は所望の調光レベルで調光されることになる。なお、本実施形態では、調光制御には、調光レベルつまり明るさを制御することのみでなく、単に点灯/消灯するよう制御することも含む。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施形態における調光制御装置の構成の一例を示すブロック図である。図1に示す調光制御装置1は、画像取得部10、タッチパネル20、表示部30、制御部40、データ記憶部50、出力部60、を有して構成される。調光制御装置1は、ステージ(舞台)、宅内、街路等の所定位置に配置された照明器具3の調光を制御するものである。以下では、主にステージST上に照明器具3が配置されているものとして説明する。また、この調光制御装置1は、調光操作卓CS等に配置される。
【0023】
カメラ4は、ステージST上の画像を撮影する画像撮影装置としての機能を有する。カメラ4は、ステージSTと対向する例えばホール中央に設置され、ステージSTを正面から撮影可能であることが好ましい。カメラ4がステージST正面に設置されることで、照明器具3を調光するための調光室からステージST上の照明器具3の明かりを目視確認できない場合であっても、カメラ4による撮影画像により実際のステージST上の明かりの具合を確認可能である。また、カメラ4は設置後には動かされず、カメラ設置位置や撮影方向が固定される。したがって、カメラ4により毎回同じ撮影範囲の画像を撮影することができる。
【0024】
また、カメラ4により撮影された撮影画像は、調光制御装置1へ送られる。例えば、調光制御装置1が配置される調光操作卓CSが調光室に設置され、調光室がステージSTに向かって正面である場合など、調光制御装置1とカメラ4との距離が短い場合には、カメラ4と調光制御装置1とをUSB(Universal Serial Bus)などのインタフェースを用いて接続することができる。また、調光室がステージST正面にない場合や、調光室とステージSTとの距離が長い場合など、調光制御装置1とカメラ4との距離が長い場合には、イーサネット(登録商標)を用いた有線LANなどの通信線でカメラ4と調光制御装置1とを接続可能である。また、有線LANの配線設備がない場合であっても、無線LANなどの方式を用いて、新たに配線を敷設しないで、カメラ4と調光制御装置1とを接続可能である。
【0025】
画像取得部10は、カメラ4により撮影された撮影画像を取得する。画像取得部10は、USBを介してカメラ4から撮影画像を取得してもよいし、有線LANや無線LANを介してカメラ4から撮影画像を送信してもよい。
【0026】
タッチパネル20は、表示部30上に配置され、ペンや指(指等)で押下することで調光制御装置1の動作、設定に必要な情報を入力する入力インタフェースとして機能する。例えば、タッチパネル20は、表示部30に表示された撮影画像を押下等することで、撮影画像への入力として検出する。タッチパネル20により、感覚的な操作が可能になる。なお、タッチパネル20への入力は、押下ではなく接触のみすることで行われてもよい。以下では、主に押下によりタッチパネル20への入力を行うことを説明する。また、タッチパネル20は、入力された入力座標等を含むタッチ入力信号を制御部40へ出力する。
【0027】
表示部30は、撮影画像を表示させる液晶ディスプレイやLED表示器等により構成され、調光制御装置1の操作、設定に必要な各画面を表示する表示インタフェースして機能する。例えば、表示部30は、図3に示すような、カメラ4により撮影されたステージST上の様子を示す撮影画像を表示する。
【0028】
制御部40は、調光制御装置1全般の信号処理を行い、様々な制御を行う。制御部40は、画像処理部41、調光制御部42、照明器具指定制御部43を備える。画像処理部41は、画像取得部10により取得された撮影画像に対して画像処理を行う。調光制御部42は、照明器具3の調光を制御するための調光制御信号を生成する。照明器具指定部43は、ユーザ操作により特定された位置を照射するための照明器具3を指定する。
【0029】
情報記憶部50は、各種情報を記憶する。例えば、タッチパネル20により入力された、照明器具3を調光するための各回路の出力レベル(調光レベル)の情報を記憶する。この調光レベルの情報は、調光制御情報に含まれるものである。また、情報記憶部50は、照明器具3とその照明器具3による照射位置の情報とを対応付けて記憶するデータベースを有している。さらに、情報記憶部50は、制御部40により所定の処理を実行するためのプログラムやデータ等を記憶しており、本実施形態の調光制御プログラムも記憶する。
【0030】
出力部60は、調光制御部42により生成された調光制御情報に基づいて、調光盤2へ調光制御信号(例えば、ライティングコントロールとして規格化されたDMX512形式の制御信号)を出力する。調光制御信号は、調光制御情報を含むものである。
【0031】
調光盤2は、調光制御装置1からの調光制御信号に基づいて、照明器具3が指示された調光レベルで光出力するよう調光する。照明器具3は、蛍光ランプやスポットライトなどであり、照明器具3には照明負荷が配設される。
【0032】
次に、調光制御装置1の動作について説明する。
【0033】
調光制御装置1では、画像取得部10がカメラ4からの撮影画像を取得し、取得された撮影画像を表示部30が表示する。また、情報記憶部50が、照明器具3を識別するための識別情報と、当該識別情報により識別される照明器具3による照射位置に係る照射位置情報と、を対応付けて記憶し、タッチパネル20が表示部30に表示された撮影画像への入力を検出する。照明器具指定制御部43は、情報記憶部50に記憶された情報のうち、タッチパネル20により検出された入力位置が照射位置に含まれる照射位置情報、に対応付けられた識別情報により識別される照明器具3を、調光対象に指定する。そして、調光制御部42が、調光対象の照明器具3の調光を制御する。
【0034】
このように、照明器具指定制御部43が調光対象の照明器具3を指定するが、そのためには、各照明器具3が照射することが可能な照射位置を把握しておく必要がある。
【0035】
図4は、所定の照明器具3Aとその照明器具3Aによる照射位置とを対応付けるための動作の一例を説明するための図である。ここでは、照明器具3Aが調光レベル100で点灯・調光されることを想定する。なお、調光制御部42は、照明器具3とその照明器具3に調光指示を行う調光盤22との対応関係の情報42aをあらかじめ保持している。調光盤2には、照明器具3に接続される制御回路が含まれている。
【0036】
まず、調光制御部42が、調光対象の照明器具3Aを点灯するよう制御し、必要な調光を行う。このとき、タッチパネル20等の入力手段により照明器具3の調光が指示されると、調光制御部42が、照明器具3Aが接続された制御回路を有する調光盤2Aを検索し、特定する。照明器具3Aに接続された調光盤2Aが特定されると、調光制御部42の調光演算部421により所定の調光演算を行い、調光レベル100となるよう制御するための調光制御信号を生成する。この調光制御信号には、調光盤2Aが有する制御回路の回路番号の情報と調光レベルの情報とが含まれる。出力部60は、この調光制御信号を含む調光信号を調光盤2Aへ出力する。
【0037】
調光盤2Aは、出力部60からの調光信号を入力し、信号変換して、照明器具3Aへ送信する。この信号変換の処理では、調光信号を構成するDMX512等のデジタル信号を、調光信号が示す調光レベルに応じて、例えば0V〜100Vの電圧信号に変換する。ここでは、調光レベル100を想定するので、調光レベル100を電圧100Vで達成する場合には、100Vの電圧信号に変換することになる。調光盤2Aは、変換された電圧信号を配下の照明器具3Aに送信する。その結果、照明器具3Aは、ステージST上で調光レベル100の光を照射する。
【0038】
図5は、照明器具3Aとその照明器具3Aによる照射位置との関係の一例を示す図である。図5では、ステージST上で照明器具3Aのみ点灯しており、他の照明器具3は消灯している状態である。カメラ4は、この状態を撮影して映像信号に変換し、調光制御装置1へ送信する。
【0039】
調光制御装置1の画像取得部10は、この映像信号を受信し、この映像信号を画像取得部10で処理可能な画像信号に変換(デコード処理)する。そして、画像処理部41は、照射範囲特定演算部411により、照明器具3Aにより照射されている撮影画像上の位置(照射位置)Pを検出する。そして、照射範囲特定演算部411は、撮影画像から照明器具3Aによる照射位置に相当する画像(抽出画像)41aを抽出する。図6は、照明器具3Aによる照射位置を抽出した抽出画像41aの一例を示す図である。
【0040】
照射範囲特定演算部411は、撮影画像の各画素における明度値に基づいて、照明器具3Aによる照射位置を認識することができる。具体的には、撮影画像の各画素におけるRGBの明度値と所定の明度値(閾値)とを比較し、その比較の結果、所定の明度値(例えば、最大明度の50%)よりも撮影画像の明度値が大きい画素を、照射されている範囲と認識してもよい。
【0041】
また、照射範囲特定演算部411は、撮影画像上の明度値と実際のステージST上の輝度値を対応付けるための変換テーブルを保持する場合には、撮影画像の各画素における明度値に対応する輝度値に基づいて、照明器具3Aによる照射位置を認識することができる。具体的には、上記の変換テーブルを保持しておき、明度値から変換された輝度値と所定の輝度値(閾値)とを比較し、その比較の結果、所定の輝度値よりも撮影画像に対応する輝度値が大きい画素を、照射されている範囲と認識してもよい。
【0042】
なお、照明器具3は、ワット数や種類に応じて明るさ(輝度)が異なる。そのため、あらかじめ照明器具3のワット数や種類を入力手段で入力し、情報記憶部50がこれらの情報を保持しておくことで、照射範囲特定演算部411が認識する照明器具3による照射位置の誤差が小さくすることができる。
【0043】
そして、制御部40は、照明器具3Aによる照射位置の抽出画像41aと照明器具3Aに接続された制御回路の番号等の回路情報42aとを対応付けて、情報記憶部50に記憶させる。また、抽出画像を記憶させるのではなく、照明器具3Aの識別情報、照明器具3Aに接続された制御回路の識別情報、照明器具3Aにより照射された照射位置に係る照射位置情報、等を対応づけて情報記憶部50に記憶させてもよい。なお、照射位置情報とは、例えば、表示部30の画面上での照明器具3Aにより照射されている座標の情報である。
【0044】
このような特定の照明器具3Aと照明器具3Aによる照射位置とを対応づけることで、所望の照射位置を選択するだけで、その照射位置に対応する照明器具3が調光対象として指定され、所望の照射位置を照射することが可能である。
【0045】
なお、全ての照明器具3をステージST上に設置し、パッチ仕込みを終えた後に、制御部40でのコマンド実行により、全ての照明器具3について、照射位置の対応付けを行うようにしてもよい。なお、パッチ仕込みとは、照明器具3とその照明器具3の調光レベルとの対応付けをあらかじめ行い、記憶させておくことである。また、調光レベルの制御は、例えば入力手段としてのフェーダにより行われる。
【0046】
制御部40での上記コマンドの実行が完了すると、調光操作卓CS等で操作すべき回路の識別情報(回路番号等)、その回路の識別情報に対応する照明器具3の識別情報、及び、撮影画像上でのその照明器具3による照射位置と範囲の情報、の対応付けが完了する。この対応付けの情報を情報記憶部50が記憶しておくことで、調光制御装置1は、回路番号や照明器具3や照射位置から、他の情報を検索して利用することが可能な状態となる。
【0047】
次に、所望の照射位置を照明器具3により照射する際の動作について説明する。
【0048】
先に説明したように、回路の識別情報、照明器具3の識別情報、照射位置情報等が対応付けされた後、調光制御装置1は、これらの情報を基に、タッチパネル20への入力に基づいて、必要な照明器具3の調光を制御することが可能になる。
【0049】
図7は、照射位置を特定して照明器具3の調光を制御するための動作の一例を説明するための図である。ここでは、調光対象として照明器具3を選択する場合を想定する。
【0050】
まず、ユーザは、タッチパネル20が配置された表示部30に表示された撮影画像30aを見ながら、必要な操作を行う。表示部30の画面に対して、明かりの照射を希望する任意の位置に指FG等でタッチすると、タッチパネル20が、タッチされた位置に対する入力を検出し、タッチ入力信号を制御部40へ送る。タッチ入力信号には、タッチされた座標(X,Y)の情報が含まれる。
【0051】
制御部40は、タッチパネル20からのタッチ入力信号を受け取ると、照明器具指定制御部43により、情報記憶部50に記憶された抽出画像のうち、タッチされた座標が照射位置P内に存在する抽出画像を抽出すべく、マッチング処理を行う。ここでの抽出画像には、例えば、照明器具3Aに対応する抽出画像41a、照明器具3B(不図示)に対応する抽出画像41b、照明器具3C(不図示)に対応する抽出画像41c、が含まれる。マッチング処理時には、照明器具指定制御部43は、抽出画像における照射位置Pの座標を認識するようにする。マッチング処理の結果、照明器具指定制御部43は、タッチされた座標が照射位置Pに含まれる抽出画像(例えば図7に示す符号41a)を特定し、その抽出画像に対応する回路情報を特定する。これにより、調光盤2を特定することができ、調光盤2に対応する照明器具3を特定することができる。
【0052】
また、抽出画像ではなく、照射位置情報を情報記憶部50が記憶している場合には、照明器具指定制御部43は、情報記憶部50に記憶された照射位置情報のうち、タッチされた座標がその照射位置情報に係る照射位置P内に存在するものを抽出する。そして、照明器具指定制御部43は、抽出された照射位置情報に対応する照明器具を特定する。
【0053】
タッチされた座標を含む照射位置を照射する照明器具3が特定されると、調光制御部42は、特定された照明器具3の調光を制御する。この結果、タッチされた座標の周辺が特定された照明器具3により照射される。そして、表示部30の画面上には、照明器具3が調光された様子が撮影された撮影画像30bが表示される。
【0054】
このように、照射位置を特定して照明器具3の調光を制御することで、ユーザが撮影画像上の所望の照射位置をタッチするだけで、その照射位置を照明器具3により照射することが可能である。また、照射された結果は撮影画像として直ぐに反映されるので、ユーザは表示部30を確認するだけで、ステージ上の明かりの具合を認識することができる。さらに、表示部30上にタッチパネル20が配置されているため、入力操作の確認と入力操作による調光結果の確認を、同じ表示部30の画面上で行うことができる。
【0055】
なお、タッチされた座標が照射位置Pに含まれる抽出画像が複数存在する場合、つまりタッチされた座標が複数の照射位置情報に係る照射位置P内に存在する場合には、タッチされた位置を照射する複数の照明器具3を同時に調光対象としてもよい。これにより、所望の照射位置を照射する照明器具3の調光をまとめて行うことができ、操作性が向上する。
【0056】
また、複数の照明器具3のいずれかをタッチパネル20等を介して選択し、1つまたは一部の照明器具3を調光対象としてもよい。この場合、照明器具指定制御部43は、例えば表示部30上に、照明器具3を選択するための照明器具3に対応する操作ボタンを表示させ、所望の照明器具3に対応する操作ボタンを選択する。図8は、タッチされた位置を照射する照明器具3が複数存在する状態を示す図である。
【0057】
このような本実施形態の調光制御装置1によれば、ユーザによる目視確認を必要とする位置が集約されるので、仕込み(パッチ仕込み)に要する時間を短縮し、かつ、誤入力を防止することが可能である。
【0058】
(第2の実施形態)
本実施形態では、照明器具3の調光制御を行う手段として、物理的な入力操作手段であるフェーダを用いる代わりに、タッチパネル20を利用して感覚的に照明器具3の調光を行うことを想定している。その他については、第1の実施形態と同様である。
【0059】
図9は、本発明の第2の実施形態における調光制御装置の構成の一例を示すブロック図である。図9に示す調光制御装置1Bは、図2に示した調光制御装置1と比較すると、タッチパネル20に代わりタッチパネル20Bを備える。また、制御部40に代わり制御部40Bを備える。また、制御部40Bは、調光制御部42に代わり調光制御部42Bを備える。なお、図9において、図2に示した調光制御装置1と同じ構成については、同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
【0060】
タッチパネル20Bは、マルチタッチ方式を採用しており、複数の指等によるタッチパネル20Bへの同時入力(マルチタッチ入力)を認識できる機能を有している。
【0061】
調光制御部42は、タッチパネル20へのマルチタッチ入力に基づいて、調光対象の調光レベルを制御する。ここでは、主に後述するピンチ操作を行い、ピンチ操作に基づき調光レベルを制御する。
【0062】
次に、調光制御装置1Bの動作について説明する。
図10は、調光制御装置1Bがマルチタッチ操作により調光レベルを制御する際の動作の一例を示すフローチャートである。また、図11は、タッチパネル20Bへのピンチ操作により調光レベルを大きくしたり小さくしたりする場合の表示例を示している。
【0063】
図10に示すように、まず、調光制御部42は、所定の調光レベルで照明器具3が点灯するよう、照明器具3を制御している(ステップS101)。
【0064】
タッチパネル20Bは、複数の指FG等で押下すると複数の入力座標(第1の入力座標)を検出し、入力信号を制御部40Bへ送る。制御部40Bは、指FG等の間隔つまり複数の入力座標(第1の入力座標)間の距離(第1の距離)を認識する。
【0065】
続いて、制御部40Bは、タッチパネル20を押下した状態(タッチ状態)で、ユーザが複数の指FG等を広げたり狭めたりする操作(ピンチ操作)を行ったか否かを判定する(ステップS102)。
【0066】
ピンチ操作を行った場合には、タッチパネル20により操作後の複数の入力座標(第2の入力座標)を検出し、制御部40Bは、操作後の指FG等の間隔つまり操作後の複数の入力座標(第2の入力座標)間の距離(第2の距離)を認識する。
【0067】
そして、制御部40Bは、第2の距離が第1の距離よりも長いと判断した場合、つまりピンチ操作前後の入力座標間の距離が長くなったと判断した場合には、ユーザが指FG等を広げたもの(拡大操作)と判断する。そして、調光制御部42Bは、調光対象の照明器具3の調光レベルを現在の調光レベルよりも大きくする(明るくする)よう制御する(ステップS103)。
【0068】
また、ピンチ操作により指FG等をどの程度広げるかに応じて、つまり第2の距離と第1の距離との差に応じて、調光レベルを決定すると、より感覚的に理解しやすくなる。例えば、調光制御部42Bは、70%の調光レベルで出力中に、指等の間隔を10pixel広げるピンチ操作を行うと71%の調光レベルに変換して調光制御を行い、指FG等の間隔を100pixel広げるピンチ操作を行うと80%の調光レベルに変換して調光制御を行う。
【0069】
一方、制御部40Bは、第2の距離が第1の距離よりも短いと判断した場合、つまりピンチ操作前後の入力座標の距離が短くなったと判断した場合には、ユーザが指FG等を狭めたもの(縮小操作)と判断する。そして、調光制御部42Bは、調光対象の照明器具3の調光レベルを現在の調光レベルよりも小さくする(暗くする)よう制御する(ステップS104)。
【0070】
また、ピンチ操作により指等をどの程度狭めるかに応じて、つまり第2の距離と第1の距離との差に応じて、調光レベルを決定すると、より感覚的に理解しやすくなる。例えば、調光制御部42Bは、70%の調光レベルで出力中に、指等の間隔を10pixel狭めるピンチ操作を行うと69%の調光レベルに変換して調光制御を行い、指FG等の間隔を100pixel狭めるピンチ操作を行うと60%の調光レベルに変換して調光制御を行う。
【0071】
このような調光制御装置1Bによる照明器具3の調光によれば、キーボード、キースイッチ、マウス、フェーダなどの物理的な装置を特別に操作することなく、感覚的に照明器具3の調光操作を行うことができる。その結果、調光操作も表示部30上に配置されたタッチパネル20により行うことができ、ユーザによる目視確認を必要とする位置が集約されるので、仕込み時間の短縮化と、調光作業の効率化を図ることができる。
【0072】
なお、タッチされた位置を照射する照明器具3が複数存在する場合には、同時に調光制御を行うことができる。したがって、タッチされた位置に応じて複数の照明器具3を調光対象とし、マルチタッチ操作により複数の照明器具3の調光制御を同時に行うことができる。なお、複数の照明器具3の1つまたは一部に対してのみ、調光制御を行うようにしてもよい。図12は、複数の照明器具3をマルチタッチ操作(ピンチ操作)により同時に調光制御を行っている状態を示す図である。
【0073】
(第3の実施形態)
本実施形態では、照明器具3により照射される光の色を指定することを想定し、特に、ホリゾント幕に照射する光の色を指定することを想定する。その他については、第1の実施形態又は第2の実施形態と同様である。
【0074】
図13は、本発明の第3の実施形態における調光制御装置の構成の一例を示すブロック図である。図13に示す調光制御装置1Cは、図2に示した調光制御装置1と比較すると、制御部40に代わり制御部40Cを備える。また、制御部40Cは、調光制御部42に代わり調光制御部42C、照明器具指定制御部43に代わり照明器具指定制御部43Cを備える。また、情報記憶部50に代わり情報記憶部50Cを備える。なお、図13において、図2に示した調光制御装置1と同じ構成については、同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
【0075】
本実施形態では、ステージST上に、ステージST上の任意の位置を照射する照明器具3としてのスポットライト3S等の他に、照明器具3の一種であり、ステージSTの背景用の布製の幕(ホリゾント幕)を照射するホリゾントライト3Hが配置される。スポットライト3S等とは、ホリゾントライト3H以外の照明器具3である。
【0076】
本実施形態のホリゾントライト3Hには、R(赤)、G(緑)、B(青)のフィルタが挿入されている。これらの色フィルタが挿入されたホリゾントライト3Hの各々の調光レベルが調整されることで、所望の色が作成される。なお、フィルタの色は、RGBの3色に限られず、白、黄色、アンバー、水色などのフィルタを用いてもよいし、さらに他の色のフィルタを用いてもよい。各ホリゾントライト3Hは、各調光盤2に接続される。
【0077】
調光制御部42Cは、スポットライト3S又はホリゾントライト3Hにより照射される光の色(照射光色)を制御する。例えば、タッチパネル20への入力により指定された色の光を照射するように、指定された色のフィルタが挿入されたホリゾントライト3Hの調光レベルを制御することで、照射光色を制御する。また、複数のホリゾントライト3Hを用いて、複数の色の光を合わせて指定された色を作成するようにしてもよい。
【0078】
照明器具指定制御部43Cは、ステージST上の所定の位置もしくはホリゾント幕の所定の位置を照射する照明器具3としてのスポットライト3S又はホリゾントライト3Hを指定する。このとき、タッチパネル20を介して指定された照射位置及び照射光色に基づいて、スポットライト3S又はホリゾントライト3Hを、調光対象として指定する。
【0079】
情報記憶部50Cは、照明器具3の識別情報、その照明器具3による照射位置情報の他に、その照明器具3により照射される照射光色に係る照射光色情報、等を対応付けて記憶している。ホリゾントライト3Hについては、ホリゾントライト3Hの識別情報、そのホリゾントライト3Hによる照射位置情報の他に、そのホリゾントライト3Hにより照射される照射光色に係る照射光色情報を対応付けて記憶している。
【0080】
次に、調光制御装置1Cの動作について説明する。
ここでは、主に、ホリゾントライト3Hにより色のついた光を投影させ、ステージST上に色をつけることを想定する。調光制御装置1Cは、ホリゾントライト3Hに対応する制御回路と、そのホリゾントライト3Hによる照射光色と、の関係づけを、ホリゾントライト3Hに挿入されたフィルタの色の情報により認識している。調光制御装置1Cは、所定の制御回路(例えば緑色のフィルタが挿入されたホリゾントライト3Hに接続された制御回路)の調光レベルを上げると、ステージSTが所定の色(例えば緑)に染まる、などを考慮しながら、シーンを作成する。
【0081】
図14は、表示部30上に表示された撮影画像の一例を示す図である。図14に示す例では、RGBの各色フィルタが挿入されたホリゾントライト3Hが、ステージSTの上部及び下部に、ステージSTに向かって左側(下手側)、中央、右側(上手側)の各位置に配置されている。ホリゾントライト3Hの配置位置、個数は、この例に限られない。
【0082】
また、図14に示すように、ホリゾントライト3Hとして、ホリゾント幕の上部を染めるアッパーホリゾントライト3UPと、ホリゾント幕の下部を染めるロアーホリゾントライト3LWと、を設けてもよい。この場合、制御部40Cは、タッチパネル20を介した入力について、タッチされた位置がホリゾント幕の上部であるか、下部であるかを認識する。
【0083】
また、図15に示すように、表示部30の画面上に、撮影画像30dとともに、カラーパレットが示されたパレット画像30pが表示される。図15に示す例では、撮影画像30dとパレット画像30pとが別領域に表示されているが、撮影画像とパレット画像とが一部重複して表示されてもよい。
【0084】
ユーザは、パレット画像において、ホリゾント幕を照射したいRGB等の色にタッチする。また、表示部30に表示された撮影画像におけるホリゾント幕において、光を照射したい位置をタッチする。すると、タッチパネル20が入力を検知し、制御部40Cが照射位置及び照射光色を認識する。そして、照明器具指定制御部43Cは、この照射位置情報及び照射光色情報に対応付けて記憶された識別情報により識別されるホリゾントライト3Hを、調光対象として指定する。
【0085】
例えば、図15に示すように、ユーザが、表示部30に表示されたカラーパレットにタッチすることで緑色を選択し、ホリゾント幕の上部をタッチする。すると、照明器具指定制御部43Cは、アッパーホリゾントライト3UPのうち、緑色のフィルタが挿入された照明器具4UPを、調光対象のホリゾントライト3Hとして指定する。
【0086】
続いて、調光制御部42Cは、指定されたホリゾントライト3Hの調光を制御する。このとき、図16に示すように、マルチタッチ操作により調光制御を行ってもよい。マルチタッチ操作による調光制御の方法は、第2の実施形態で説明した方法と同様である。これにより、表示部30に表示された撮影画像を用いて、調光対象となるホリゾントライト3Hの指定及びホリゾントライト3Hの調光操作を、直感的に行うことができる。
【0087】
このような本実施形態の調光制御装置1Cによれば、ホリゾント幕に照射する光の色を直感的に調整することが可能である。また、ユーザは、調光操作を行う調光室からステージST上を確認することができない状況であっても、照射光色の指示が反映されたことを、カメラ4により撮影された撮影画像で即時に確認することができる。
【0088】
なお、ホリゾントライト3Hによる照射位置とスポットライト3S等による照射位置とが表示部30上で重複している場合、表示部30上でタッチされる位置によっては、いずれの照明器具3の調光を希望しているか不明な場合が想定される。このような状態を回避するため、制御部40Cにより、第1のグループとしてのスポットライト3S等のグループ、第2のグループとしてのホリゾントライト3Hのグループなど、グルーピングをあらかじめ行い、情報記憶部50Cに記憶しておいてもよい。情報記憶部50Cには、例えば、グループの識別情報、そのグループに属するホリゾントライト3H又はスポットライト3S等の識別情報、などを記憶しておく。そして、例えばタッチパネル20上に各グループの選択ボタンを設け、所望のグループをタッチパネル20を介して選択する。この選択ボタンは、グループ選択部として機能する。
【0089】
これにより、選択されたグループに属するスポットライト3S等又はホリゾントライト3Hが調光対象に指定されるので、意図しないスポットライト3S等又はホリゾントライト3Hが指定され、誤操作を行うことを防止することができる。
【0090】
また、ホリゾントライト3Hに色フィルタを挿入することと同様に、色フィルタをスポットライト3S等に挿入してもよい。これにより、スポットライト3S等により所望の色のついた光で所望の位置を照射することができる。また、表示部30により表示されたカラーパレットによりタッチパネル20を介して色の選択を行うことで、直感的な操作で所望の色の光を照射するスポットライト3S等を選択することが可能になる。
【0091】
上記説明したように、本発明の実施形態の調光制御装置1、1B及び1Cによれば、図17に示すように、調光レベルの指示を行うための入力操作の確認、入力操作による調光レベルの表示部30上での確認、ステージST上での照明器具3による明かりの確認、の全てを、表示部30周辺のみを目視確認することで行うことができる。したがって、仕込みに要する時間を短縮し、かつ、誤入力を防止することが可能である。
【符号の説明】
【0092】
1、1B、1C 調光制御装置
10 画像取得部
20 タッチパネル
30 表示部
30a〜30d 撮影画像
30e パレット画像
40、40B、40C 制御部
41 画像処理部
42、42B、42C 調光制御部
43、43C 照明器具指定制御部
50、50C 情報記憶部
60 出力部
2 調光盤
3 照明器具
3S スポットライト
3H ホリゾントライト
3UP アッパーホリゾントライト
3LW ロアーホリゾントライト
4 カメラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定位置に配置された照明器具の調光を制御する調光制御装置であって、
画像を撮影する画像撮影装置からの撮影画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部により取得された撮影画像を表示する画像表示部と、
前記照明器具を識別するための識別情報と、当該識別情報により識別される照明器具による照射位置に係る照射位置情報と、を対応付けて記憶する情報記憶部と、
前記画像表示部に表示された撮影画像への入力を検出するタッチパネルと、
前記情報記憶部に記憶された情報のうち、前記タッチパネルにより検出された入力位置が前記照射位置に含まれる前記照射位置情報、に対応付けられた識別情報により識別される照明器具を指定する照明器具指定部と、
前記照明器具指定部により指定された照明器具の調光を制御する調光制御部と、
を備える調光制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の調光制御装置であって、
前記タッチパネルは、前記画像表示部に表示された画像への複数の入力位置に対する同時入力であるマルチタッチ入力を検出し、
前記調光制御部は、前記タッチパネルへの前記マルチタッチ入力に基づいて、前記照明器具の調光を制御する調光制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の調光制御装置であって、
前記情報記憶部は、前記照明器具の前記識別情報と、前記照射位置情報と、前記識別情報により識別される照明器具により照射される光の色に係る照射光色情報と、を対応付けて記憶し、
前記画像表示部は、前記撮影画像と、前記照明器具により照射される光の色を指定するためのパレット画像と、を表示し、
前記照明器具指定部は、前記情報記憶部により記憶された情報のうち、前記タッチパネルにより検出された前記撮影画像への入力に係る入力位置が前記照射位置に含まれる前記照射位置情報と、前記タッチパネルにより検出された前記パレット画像への入力により指定された照射光色に係る照射光色情報と、に対応付けられた識別情報により識別される照明器具を指定する調光制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の調光制御装置であって、
前記ホリゾント幕を照射するホリゾントライトが属する第1のグループと、前記ホリゾントライト以外が属する第2のグループと、のいずれかを選択するグループ選択部を備え、
前記照明器具は、前記ホリゾントライトを含み、
前記照明器具指定部は、前記グループ選択部により選択されたグループに属する前記照明器具を指定する調光制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の調光制御装置であって、
前記調光制御部は、前記照明器具指定部により指定された照明器具が複数存在する場合、各照明器具の調光を制御する調光制御装置。
【請求項6】
所定位置に配置された照明器具の調光を制御するための調光制御方法であって、
画像を撮影する画像撮影装置からの撮影画像を取得するステップと、
前記画像取得部により取得された撮影画像を表示部に表示するステップと、
前記画像表示部に表示された撮影画像への入力をタッチパネルにより検出するステップと、
前記照明器具を識別するための識別情報と、当該識別情報により識別される照明器具による照射位置に係る照射位置情報と、を対応付けて記憶する情報記憶部に記憶された情報のうち、前記タッチパネルにより検出された入力位置が含まれる照射位置に係る前記照射位置情報、に対応付けられた識別情報により識別される照明器具を指定するステップと、
前記指定された照明器具の調光を制御するステップと、
を有する調光制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の調光制御方法の各ステップをコンピュータに実行させるための調光制御プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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