説明

調光構造体

【課題】外部刺激を加えた前後でも液晶の屈折率が安定している調光構造体を提供する。
【解決手段】液晶分子311を含む屈折率変化層310と、液晶性基を有する高分子液晶321を含む透光性層320とが交互に積層された積層体を含み、前記液晶性基は一方向に配向していることを特徴とする調光構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶を用いた調光構造体に係り、より詳細には調光構造体の構成材料に係る。
【背景技術】
【0002】
現在までに、液晶を利用した様々な用途が見いだされてきている。熱、光、または電圧などの外部刺激を加えることにより、光を透過させたり、反射または散乱させたりする調光構造体もその一つである(特許文献1)。
【0003】
特許文献1の実施例1に示される光学素子は、液晶分子と染料とを包含した多数のカプセルが電極によって挟持されている構造を有している。前記液晶分子が、電圧無印加時には歪み、電圧印加時には棒状になることで、前記光学素子は電圧無印加時には光を吸収し、電圧印加時には光を通過させることができる。
【特許文献1】特表昭58−501631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるように、調光構造体などに液晶を適用する場合には、外部刺激を受けている時とそうでない時とで屈折率が変化するという液晶の性質を利用する。しかしながら、液晶と接する基板にラビング処理などの特殊な処理を加えていない場合、外部刺激を加える前と、外部刺激を加えて解除した後とで液晶の屈折率が変化してしまうという問題があった。また、ラビング処理はあらゆる調光構造体に適用できるわけではなかった。
【0005】
そこで、本発明は外部刺激を加えた前と外部刺激を解除した後でも液晶の屈折率が安定している調光構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、液晶分子には互いに作用し合い同じ方向に配列しようとする性質があることに着目し、液晶分子と接する透光性層に、液晶性基が一方向に配向した高分子液晶を含むことにより、外部刺激を受けていない際にも、屈折率変化層に含まれる液晶分子を一方向に配向させられることを見いだした。
【0007】
すなわち、本発明は液晶分子を含む屈折率変化層と、液晶性基を有する高分子液晶を含む透光性層とが交互に積層された積層体を含み、前記液晶性基は一方向に配向していることを特徴とする調光構造体により上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
外部刺激を加える前と外部刺激を解除した後において、屈折率変化層の屈折率がほとんど変わらない調光構造体を提供する事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の第一は液晶分子を含む屈折率変化層と、液晶性基を有する高分子液晶を含む透光性層とが交互に積層された積層体を含み、前記液晶性基は一方向に配向していることを特徴とする調光構造体である。
【0010】
本発明の調光構造体は、透明な材料からなる層同士であっても、それぞれの屈折率の差が大きい場合には層同士を重ね合わせた時にこれらの界面で光が散乱または反射し、屈折率差が小さい場合にはこれらを重ね合わせても光を透過させるという自然法則と、液晶は外部刺激を受けている時と受けていない時とで屈折率が変化するという自然法則とを利用したものである。
【0011】
図1を用いながら詳細を説明すると、外部刺激を受けていない時には屈折率が(i)であり、外部刺激を受けると屈折率が(ii)にまで変化する屈折率変化層Aがあるとする。この屈折率変化層Aに屈折率が(i)付近にある透光性層Bを重ね合わせると、外部刺激を加えていない時には屈折率変化層Aと透光性層Bとの屈折率差が小さくなるため光は透過する。一方、外部刺激を加えている時には屈折率変化層Aと透光性層Bとの屈折率差が大きくなるため光は散乱または反射する。また、屈折率変化層Aに屈折率が(ii)付近にある透光性層Cを重ね合わせると、外部刺激を加えている時には屈折率変化層Aと透光性層Cとの屈折率差が大きくなるため光は散乱または反射する。一方、外部刺激を加えている時には屈折率変化層Aと透光性層Bとの屈折率差が小さくなるため光は通過する。本願発明では、図1におけるAとBとの組み合わせ、およびAとCとの組み合わせの何れも好ましい。
【0012】
従来技術では、上述したように透光性層にラビング処理などの特殊な処理を加えていない場合には、外部刺激を加える前と外部刺激を加えて解除した後とで液晶の屈折率が変化してしまうという問題があった。この場合、図1を用いて説明をすると、例えば屈折率変化層Aと透光性層Bとを組み合わせた場合、外部刺激を加える前には屈折率変化層の屈折率は(i)であり、小さかった屈折率差が、外部刺激の印加を解除した後では屈折率が(i)に戻らず、屈折率差が大きくなってしまうという現象が起こりえた。つまり、外部刺激を受けている時には光を散乱または反射させ、外部刺激を受けていない時には光を透過させるように製造時に設定しても、外部刺激を加えた後では、設定どおりに調光することができなくなる虞があった。
【0013】
これは、液晶の屈折率を変化させる要因の一つが液晶分子の配向方向であり、図2に示すように、従来の調光構造体は外部刺激を加える前(I)と加えて解除した後(I’)とで液晶分子211がそれぞれ元の方向に配向しないことが原因であった。図2における符号210は屈折率変化層を示し、符号220は透光性層を示し、符号(II)は外部刺激を加えている時を示す。
【0014】
この様な問題に対し、図3に例示されるように、本願発明の調光構造体は透光性層320に液晶性基が一方向に配向した高分子液晶321を含むため、外部刺激を加える前と刺激を解除した後(I、I’)であっても、屈折率変化層310に含まれる液晶分子311の殆どが同じ方向に配向する。従って、外部刺激を加えた前(I)と刺激を解除した後(I’)とで屈折率変化層310の屈折率が大きく変化しない。図3における符号(II)は外部刺激を加えている時を示す。ただし、図3は単なる模式図であり、各層の積層数、厚み、幅、液晶分子の配向方向、高分子液晶の液晶性基の配向方向および高分子液晶の種類など本発明を限定するものではない。
【0015】
以下に、本願発明の構成要素について詳細を記載する。
【0016】
[透光性層]
透光性層は、少なくとも高分子液晶を含み、光を透過させるものであれば特に限定はされない。
【0017】
透光性層の厚みと透光性層の屈折率との積から導かれる光学厚みにより、反射させられる光の波長が決定されるため、屈折率を一定とした場合、厚みの薄い透光性層ほど短波長側の光を反射させられ、厚みの厚い透光性層ほど長波長側の光を反射させられる。透光性層の厚みについては特に限定されないが、30〜500nmであることが好ましく、より好ましくは80〜400nmである。透光性層の厚みは、TEM観察により測定することができる。
【0018】
透光性層の積層数は特に限定されず、目的に応じて決定することができる。同じ材質からなる複数の透光性層を用いる場合、同じ厚みを有する層の割合が増える程、特定の波長に対する反射率が向上し、各層の厚みがバラバラになるほど、広範な波長領域に亘り反射することができるようになる。
【0019】
透光性層を2層以上含む場合、全て同じ厚みであってもよいし、少なくとも1層の透光性層は、他の透光性層とは異なる厚みを有してもよい。異なる厚みを有する場合、透光性層の最も厚いものの厚みX(m)と、最も薄いものの厚みY(m)とは下記式を満たすことが好ましい。
【0020】
【数1】

【0021】
X/Yが1に近ければ狭い波長領域ながら強い反射を示すことが可能となり、20に近ければ広い波長領域に渡り、反射を示す構造となる。ただし、反射強度及び半値幅(反射強度の幅)については、積層数とも密接に関係しているため、上記式以外の条件でも反射波長領域や強度を調節することはできる。
【0022】
透光性層を3層以上含み、少なくとも1層の透光性層が他の透光性層とは異なる厚みを有する場合、図4のAに例示されるように厚みの異なる透光性層420はそれぞれランダムに配置されてもよいが、好ましくは図4のB〜Dに例示されるように秩序立てて配置される。図4のBは、透光性層420の厚みが積層方向に次第に増加してゆく例を示す。図4のCは、積層方向の中心に位置する透光性層420’から両端に位置する透光性層に向って次第に厚みが増加してゆく例を示す。図4のDは、積層方向の中心に位置する透光性層420’から両端に位置する透光性層に向って次第に厚みが減少してゆく例を示す。図4において符号410は屈折率変化層を示す。ただし、図4は単なる模式図であって各層の厚みや積層数などを限定するものではない。
【0023】
透光性層の可視光透過率は70%以上であることが好ましい。可視光透過率が70%以上であると視界に優れる。
【0024】
{高分子液晶}
上述したように、本発明は高分子液晶に含まれる液晶性基を利用して屈折率変化層の液晶分子を配向させるところに大きな特徴がある。高分子液晶の液晶性基と屈折率変化層の液晶分子とは、π/πスタッキングなどの分子間相互作用により互いに影響し合うが、この場合、高分子液晶の液晶性基の方は固定された状態にあるため、液晶分子が液晶性基の配向方向に従うものと推測される。また、前記分子間相互作用は外部刺激により液晶分子に加えられる力よりも弱いため、外部刺激を加えることにより、さらに強い力で液晶分子を支配することができ、外部刺激を加えていない時とは別の任意の方向に配向させることができる。そして、上述の仕組みにより外部刺激を加えている時とそうでない時とで、各時の屈折率の変動を抑制しつつ屈折率の切り替えを繰り返すことができる。
【0025】
高分子液晶としては特に限定されず、屈折率、外部刺激に対する応答性、屈折率変化層に用いる液晶分子に対する影響力などにより、従来公知のものを適宜用いることができる。高分子液晶は、液晶性基の結合部位により、前記液晶性基が主鎖にのみ配置している主鎖型高分子液晶(図5のA)、前記液晶性基が側鎖にのみ配置している側鎖型高分子液晶(図5のB)、および前記液晶性基が側鎖および主鎖に配置している複合型高分子液晶(図5のC)に分類される。図5において521aは液晶性基を示し、521bは液晶性基521a同士をつなぐスペーサーを示し、521cは主鎖を示す。これらの基についての詳細は後述する。本発明では特に限定されないが、好ましくは側鎖型高分子液晶または複合液晶型高分子であり、より好ましくは側鎖型高分子液晶である。側鎖に存在する液晶性基の方が配向方向を固定する際に調節し易い。
【0026】
上述したように、側鎖型高分子液晶は主鎖と液晶性基とからなるが、側鎖型高分子液晶の液晶性基は、少なくともメソゲン基を含み、前記メソゲン基に含まれる水素はスペーサー、側方置換基または末端基で置換されうる。下記化学式1に側鎖型高分子液晶の主鎖(C)、液晶性基(LC)、メソゲン基(M)、スペーサー(B)、側方置換基(L)、および末端基(T)の配置例を示す。下記化学式1においてnは自然数を示す。下記化学式1に示されるように、スペーサー(B)を含む場合には、スペーサー(B)は主鎖(C)とメソゲン基(M)との間に配置される。
【0027】
【化1】

【0028】
側鎖型高分子における主鎖(C)としては、特に限定されないが下記化学式2〜9に例示されるものなどが挙げられる。下記化学式2〜9においてnおよびmは自然数を示す。
【0029】
【化2】

【0030】
主鎖(C)には、液晶性基以外の側鎖が結合していてもよく、前記側鎖を含むことにより液晶性基の動き難さをコントロールすることもできる。
【0031】
側鎖型高分子におけるメソゲン基(M)としては、特に限定されないが下記化学式10〜15に例示するものなどが挙げられる。
【0032】
【化3】

【0033】
側鎖型高分子におけるスペーサー(B)としては、特に限定されないが下記化学式16〜25に例示するものなどが挙げられる。下記化学式16〜25においてnは自然数を示す。
【0034】
【化4】

【0035】
側鎖型高分子における側方置換基(L)としては、特に限定されないが、−F、−Cl、−Br、−(CHCH、−O(CHCH、−OH、−CN、または−NOなどが挙げられる。前記nは自然数を示す。液晶性基に側方置換基(L)が含まれる場合、側方置換基(L)の数は特に限定されず複数の側方置換基(L)を含んでいてもよい。また、複数の側方置換基(L)を含む場合、これらはそれぞれ独立である。
【0036】
側鎖型高分子における末端基(T)としては、特に限定されないが、−F、−Cl、−Br、−(CHCH、−O(CHCH、−OH、−CN、または−NOなどが挙げられる。前記nは自然数を示す。
【0037】
より具体的には、側鎖型高分子液晶の好ましい例として下記化学式26〜29に示すものが挙げられる。
【0038】
【化5】

【0039】
メソゲン基(M)から前記高分子液晶の主鎖(C)までの長さは、原子0〜6個分の長さであることが好ましく、より好ましくは原子3〜4個分の長さである。前記長さはスペーサー(B)により調節することができる。例えば、長さが原子0個分の場合、メソゲン基(M)と主鎖(C)との間にスペーサー(B)を存在させない。また、例えばスペーサーとして−(CH−を用いた場合には、メソゲン基(M)から主鎖(C)までの長さは、炭素原子4つ分となるから、距離は原子4個分となり、スペーサーとして−OCHCH−を用いた場合には、メソゲン基(M)から主鎖(C)までの長さは、酸素原子1つ炭素原子2つ分となるから、距離は原子3個分となる。メソゲン基(M)から前記高分子液晶の主鎖(C)までの長さが前記範囲内にあると、液晶性基が動き難くなる。
【0040】
透光性層に含まれる高分子液晶は1種類だけであってもよいし、2種以上でもよい。例えば、2種以上の高分子液晶を適宜混合することにより、透光性層の屈折率を調節することもできる。
【0041】
液晶性基が配向している方向は、透光性層と屈折率変化層とからなる積層体の積層方向に対して平行方向または垂直方向であることが好ましい。液晶性基が平行方向または垂直方向に配向していると、外部刺激を受けている時とそうでない時とで屈折率変化層の屈折率の変化を大きくすることができる。図1を用いて説明をすると、屈折率変化層Aの(i)と(ii)とを広げることができる。
【0042】
{透光性樹脂}
本発明の透光性層は、さらに透光性樹脂を含むことができる。透光性樹脂を含むことにより、透光性層の屈折率、または透光性層の剪断特性、曲げ特性、もしくは引っ張り特性といった機械的特性を調節することができる。
【0043】
用いる透光性樹脂の種類は特に限定されず、高分子液晶との相溶性、目的の屈折率、または機械的強度などにより適宜選択することができる。例えば、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリメルカプトエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリエチレン樹脂、およびポリ塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂、ならびに、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を用いることができる。
【0044】
高分子液晶と透光性樹脂との混合割合は特に限定されず、目的の屈折率、または機械的強度などにより適宜選択することができる。
【0045】
{その他}
本発明の透光性層には、高分子液晶および透光性樹脂の要素が含まれていてもよく、例えば、樹脂粒子またはセラミックス粒子などを含むことができる。これらを含むことにより屈折率を調節したり、透光性層の機械的強度を調節したりすることができる。
【0046】
[屈折率変化層]
屈折率変化層は、少なくとも1種の液晶分子を含み、光を透過させるものであれば特に限定はされない。
【0047】
上述の透光性層と同様に、屈折率変化層の厚みと屈折率変化層の屈折率との積から導かれる光学厚みにより、反射させられる光の波長が決定されるため、屈折率を一定とした場合、厚みの薄い屈折率変化層ほど短波長側の光を反射させられ、厚みの厚い屈折率変化層ほど長波長側の光を反射させられる。屈折率変化層の厚みについては特に限定されないが、30〜500nmであることが好ましく、より好ましくは80〜400nmである。屈折率変化層の厚みは、TEM観察により測定することができる。
【0048】
屈折率変化層の積層数は特に限定されず、目的に応じて決定することができる。同じ材質からなる複数の屈折率変化層を用いる場合、同じ厚みを有する層の割合が増える程、特定の波長に対する反射率が向上し、各層の厚みがバラバラになるほど、広範な波長領域に亘り反射することができるようになる。
【0049】
屈折率変化層を2層以上含む場合、全て同じ厚みであってもよいし、少なくとも1層の透光性層は、他の透光性層とは異なる厚みを有してもよい。
【0050】
屈折率変化層を3層以上含み、少なくとも1層の屈折率変化層が他の屈折率変化層とは異なる厚みを有する場合、透光性層と同様に、屈折率変化層はそれぞれランダムに配置されてもよいが、好ましくは、秩序立てて配置されることが好ましい。例えば、屈折率変化層の厚みが積層方向に次第に増加してゆくように配置してもよい。また他の例としては、積層方向の中心に位置する屈折率変化層から両端に位置する屈折率変化層に向って次第に厚みが増加してゆくように配置してもよい。さらに他の例としては、積層方向の中心に位置する屈折率変化層から両端に位置する屈折率変化層に向って次第に厚みが減少してゆくように配置してもよい。
【0051】
屈折率変化層の可視光透過率は70%以上であることが好ましい。可視光透過率が70%以上であると視界に優れる。
【0052】
{液晶分子}
液晶分子は外部刺激を受けていない際には、高分子液晶の液晶性基の作用を受けて、一定の方向に配向し、外部刺激を受けている際には外部刺激を受けていない時とは別の一定の方向に配向する。
【0053】
液晶分子としては、特に限定されず従来公知のものを用いることができるが、高分子液晶に含まれるメソゲン基と同じまたは類似の構造を有するものが好ましい。
【0054】
屈折率変化層に含まれる液晶分子は1種類だけであってもよいし、2種以上を含んでいてもよい。例えば、2種以上の液晶分子を適宜混合することにより、屈折率変化層の屈折率や外部刺激に対する応答性を調節したり、屈折率の変化が可能となる温度の範囲をしたりすることができる。
【0055】
液晶性基の誘電異方性と、液晶分子の誘電異方性とは正負が異なることが好ましい。入手性の面からより好ましくは液晶性基の誘電異方性が正であり、液晶分子の誘電異方性が負である。誘電異方性の正負が異なると、外部刺激を受けている時とそうでない時とで屈折率の変化を大きくすることができる。図1を用いて説明をすると、屈折率変化層Aの(i)と(ii)とを広げることができる。
【0056】
{その他}
本発明の屈折率変化層には、液晶分子以外の要素が含まれていてもよく、例えば、有機溶媒、樹脂粒子またはセラミックス粒子などを含むことができる。これらを含むことにより屈折率を調節したり、液晶分子の応答性を調節したりすることができる。
【0057】
[透明電極]
外部刺激としては電圧、光、または熱などが好ましく挙げられ、特に電圧が好ましいことを上述したが、外部刺激として電圧を選択する場合には、調光構造体に電圧を加えるための透明電極を備えることが好ましい。透明電極を用いる場合、透明電極は上述の屈折率変化層と透光性層とからなる積層体の両端面に配置されることが好ましい。透明電極を形成する材料としては特に限定されず例えばITO、SnO、またはZnOなどの従来公知のものを適宜用いることができる。
【0058】
透明電極の可視光透過率は70%以上であることが好ましい。可視光透過率が70%以上であると視界に優れる。
【0059】
[調光構造体]
本願発明の調光構造体は、少なくとも1層の屈折率変化層と、少なくとも1層の透光性層とを含めばよく、本願発明の調光構造体に含まれる「屈折率変化層と透光性層とが交互に積層された積層体」の概念には、これらの層を1層ずつからなる2層構造の積層体も含まれる。
【0060】
本発明の調光構造体は、少なくとも波長380〜780nmの光を反射させられることが好ましい。前記範囲の波長を反射させることにより、調光構造体を非透視性にしたり、光の入射による熱の侵入を抑制したりすることができる。
【0061】
本発明の第二は上述の調光構造体の製造方法である。
【0062】
上述の調光構造体の製造方法としては、透光性層または屈折率変化層の原材料を溶媒に溶解して、スピンコート法または印刷法などにより一層ずつ積層しながら形成してゆく方法や共押出による方法を用いてもよいが、干渉光を用いて一度に多層構造を形成することがより好ましい。
【0063】
特開平11−231135号公報にあるように、干渉光を照射して光重合性の樹脂を層状に形成する干渉露光法は公知技術であるが、干渉露光法を用いて形成された透光性層と屈折率変化層とからなる積層体には、ラビング処理などを行うことができないため、本発明を適用する意義は大きい。
【0064】
以下に干渉露光法を用いた調光構造体の好ましい製造方法を示す。干渉露光法を用いた調光構造体の製造方法は少なくとも二つの段階からなり、重合性基を有する液晶分子の誘導体、および液晶分子を含む第1混合液を基材に塗布し[段階(I)]、第1混合液に外部刺激を加えて前記重合性基を有する液晶分子の誘導体を同じ方向に配向させながら前記混合物に干渉光を照射し、液晶分子を含む屈折率変化層および高分子液晶を含む透光性層および積層体を得る[段階(II)]。以下に図6を用いながら詳細を説明する。図6は電圧に対する応答性を有し誘電異方性が正である液晶分子611と、電圧に対する応答性を有し誘電異方性が負である液晶性基を有する側鎖型高分子液晶621とを用いた例である。ただし、図6は単なる模式図であり、各層の積層数、厚み、第1混合液の構成要素、高分子液晶の種類、外部刺激の種類、液晶分子の誘電異方性、または液晶性基の誘電異方性など図6に限定されない。
【0065】
[段階(I)]
段階(I)は第1混合液60を基材640の上に塗布する段階である。第1混合液は少なくとも重合性基を有する液晶分子の誘導体、および液晶分子を含む。本発明は、段階(I)において第1混合液60に重合性基を有する液晶分子の誘導体623を含む点で、従来の干渉露光法を用いた方法と大きく異なる。本発明でいう「重合性基を有する液晶分子の誘導体」とは液晶分子に重合性基を置換または付加した構造を有するものを指す。
【0066】
第1混合液60に含まれる液晶分子611としては上述の本発明の第一の項に記載したとおりである。
【0067】
第1混合液60に含まれる重合性基を有する液晶分子の誘導体623としては特に限定されないが、上述の本発明の第一の項に記載した、高分子液晶の液晶性基と、高分子液晶の主鎖を構成する重合性単量体とからなるものが好ましい。また、重合性基を有する液晶分子の誘導体623は液晶分子611に対して相溶性を有することが好ましく、尚且つ重合性基を有する液晶分子の誘導体623は重合により高分子液晶621となった後は、液晶分子611と非相溶性であることが好ましい。
【0068】
また、第1混合液には、光重合開始剤、光重合開始助剤、色素増感剤、透光性樹脂の重合性単量体、または溶媒が含まれていてもよい。
【0069】
光重合開始剤を含むことにより、重合速度を向上させることができる。光重合開始剤としては特に限定されず、干渉光の波長、強度、および重合性基を有する液晶分子の誘導体623の種類により適宜選択することができるが、例えば、ジケトン系、アセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、またはチオキサンソン系などの光重合開始剤を用いることができる。前記ジケトン系の光重合開始剤としては、9,10−フェナントレンキノン、樟脳キノンなどを挙げることができる。前記アセトフェノン系の光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、またはジメトキシアセトフェノンなどを挙げることができる。前記ベンゾイン系の光重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、またはミヒラーズケトンなどを挙げることができる。前記ベンゾフェノン系の光重合開始剤としては、4−フェニルベンゾフェノンなどを挙げることができる。前記チオキサンソン系の光重合開始剤としては、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、またはイソプロピルチオキサントンなどを用いることができる。
【0070】
光重合開始助剤を含むことにより、光重合開始剤の効果を向上させることができる。光重合開始助剤としては特に限定されず、ジメチルエタノールアミン、または4−ジメチルアミノ安息香酸などを挙げることができる。
【0071】
色素増感剤を含むことにより、光重合開始剤の効果を向上させることができる。色素増感剤としては特に限定されず、干渉光の波長、および強度により適宜選択することができるが、例えば、クマリン系色素、ローダミン系色素、オキサジン系色素、カルボシアニン系色素、スチリル系色素、キサンテン系色素、メロシアニン系色素、ローダシアニン系色素、ポルフィリン系色素、またはアクリジン系色素などを挙げることができる。
【0072】
透光性樹脂の重合性単量体を含むことにより、透光性樹脂の重合性単量体同士が重合して高分子鎖を形成し、透光性層を高分子液晶と透光性樹脂との混合物にしたり、透光性樹脂の重合性単量体同士と重合性基を有する液晶分子の誘導体とが重合し、高分子液晶の主鎖の構造を調節したりすることができる。透光性樹脂の重合性単量体としては、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、グリシジルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、モルホリンアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレートなどの単官能アクリレート化合物、2−エチルヘキシルメタクリレート、ブチルエチルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、2−シアノエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソボニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、モルホリンメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタクリレートなどの単官能メタクリレート化合物、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、グリセロールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ウレタンアクリレートオリゴマーなどの多官能アクリレート化合物、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ジシクロペンタニルジメタクリレートグリセロールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタメタクリレート、またはウレタンメタクリレートオリゴマーなどの多官能メタクリレート化合物などが挙げられる。これらはオリゴマーの状態で第1混合液に含まれていてもよい。
【0073】
溶媒を含むことにより、第1混合液の粘度を調節したり、屈折率変化層の粘度を調節して液晶分子の応答性を調節したりすることができる。溶媒としてはトルエン、アセトン、または酢酸エチルなどが挙げられる。
【0074】
基材640としては、上述の本発明の第一の項に記載した透光性樹脂からなる基材、またはガラスからなる基材などが挙げられる。高分子液晶の液晶性基を一定の方向に配向させるための外部刺激が電圧である場合、基材の片面には電極630が形成されていてもよい。また、外部刺激が電圧である場合、図6の(I)に示すように片面に電極630を形成した基材640で、第1混合液60を挟持することが好ましい。液晶分子611の配向方向を変化させる外部刺激を電圧とする場合には、前記電極630として透明電極を用いると、調光構造体の製造工程を短縮することもできる。透明電極としては上述のものを用いることができる。
【0075】
第1混合液を基材に塗布する方法としては特に限定されずディッピング、バーコート、スピンコート、またはスクリーンプリントなどの従来公知の方法を用いることができる。
【0076】
[段階(II)]
図6では、段階(II)を(II−i)および(II−ii)として示した。段階(II)は前記第1混合液60に干渉光を照射して屈折率変化層610と透光性層620とからなる積層体を形成する段階である。干渉露光法により、二つの層からなる積層体を作成できる原理について説明すると、干渉光は強度が規則的に変動する光であるため、基材640に塗布された第1混合液60における干渉光の強度の強い部分では重合性基を有する液晶分子の誘導体623の重合が進行して高分子液晶621が形成され、強度の弱い部分では光重合は殆ど進行せず強度の強い部分に存在していた液晶分子611は強度の弱い部分に集まってくる。その結果、強度の強い部分では透光性層620が形成され、強度の弱い部分では屈折率変化層610が形成される。
【0077】
本発明は、段階(II)において外部刺激を加えながら干渉光を照射する点で、従来の干渉露光法を用いた方法と大きく異なる。図6の(II−i)から(II−ii)にかけて示すように、外部刺激を加えて、重合性基を有する液晶分子の誘導体623を同じ方向に配向させながら重合を促進することで、液晶性基が同じ方向に配向した高分子液晶621を含む透光性層620を得ることができる。
【0078】
重合性基を有する液晶分子の誘導体623を配向させるための外部刺激としては目的の重合反応を阻害しないものであれば特に限定されず、電圧、熱、光、または磁場などが挙げられる。光を用いる場合には干渉光の光よりも弱い光を用いて、外部刺激により前記液晶分子の誘導体の重合が促進されないようにしなければならず、例えば、重合を紫外領域の波長で行う場合、外部刺激を可視光線とする。
【0079】
干渉光はコヒーレント光を交差させることにより発生させることができる。コヒーレント光としてはArレーザー(λ=488nm、514.5nm)、He−Neレーザー(λ=633nm)、Krレーザー(λ=647nm)、またはチタンサファイアレーザー(λ=780nm付近)などのレーザー光が挙げられる。コヒーレント光の光源としては2つの光源を用いてもよいし、一つの光源を用いてもよい。光源を一つとした場合には、スプリッターを用いて光を分岐させた後、ミラーを用いて分岐した光を交差させることにより干渉光を発生させることができる。また、光源を一つとした場合には、コヒーレント光を反射させて干渉光を発生させることもできる。例えば、図6では第1混合液60を一対の基材640で挟持した例を図示したが、基材640で挟持をせずに、一枚の基材640上に第1混合液60を配置した状態で、基材640にコヒーレント光を照射し、基材640からの反射光を利用して干渉光を生じさせることもできる。この場合、基材640としてコヒーレント光を反射させるものを用いる。
【0080】
コヒーレント光の波長、照射角度、または第1混合物60の屈折率などにより、強度の強い部分と弱い部分との間隔を調整することができ、その結果、屈折率変化層および透光性層の厚みをそれぞれ調節することができる。ただし、屈折率変化層と透光性層との厚みを異なるようにすることはできるが、干渉露光法により得られる屈折率変化層同士の厚みは全て均一な厚みとなり、透光性層同士の厚みも全て均一な厚みとなる。
【0081】
また、工程(II)の後に後述の工程(III)を行う予定がある場合には、第2混合液等が浸透し易くなるように干渉光の強度または照射時間を調節することが好ましい。
【0082】
段階(I)、(II)を経て得られた調光構造体の例を図6の(II’)に示す。重合性基を有する液晶分子の誘導体623を一定方向に配向させた状態で重合を促進することで、液晶性基が一定の方向に配向した高分子液晶621を含む透光性層620を得ることができる。図6の(II’)は調光構造体に外部刺激が加えられていない状態を示し、液晶分子610が高分子液晶621に影響されて、同じ方向に配向していることがわかる。この場合、外部刺激を加えることにより図6の(II−i)、(II−ii)に示すように液晶分子611を一定の方向に配向させることができ、外部刺激により屈折率を切り替えることができる。
【0083】
前記段階(II)の後に下記工程(III)を加えるか、または段階(III)の後にさらに下記工程(IV)を加えることにより屈折率変化層または透光性層の厚みを増加させることができる。
【0084】
[段階(III)]
段階(III)は上述の段階(II)の後に行われ、積層体の一方の端面または両面から、液晶分子、溶媒、または第2混合液を浸透させる。前記第2混合液は、重合性基を有する液晶分子の誘導体、または透光性樹脂の重合性単量体と重合開始剤とを含む。
【0085】
段階(II)で得られた積層体にさらに液晶分子、溶媒、または第2混合液を浸透させることにより、段階(II)で得られた積層体に含まれる屈折率変化層または透光性層の厚みを増加させることができる。
【0086】
さらに、前記第2混合液等を浸透させる時間を調節することにより、屈折率変化層または透光性層の厚みを段階的に増減させることもできる。例えば、積層体の一方の端面から前記第2混合液等を浸透させて、適切な頃合で浸透を中止すると前記第2混合液等を浸透させた側から一方の側に向って前記第2混合液等の含浸量を減らすことができるため、同方向に向かって屈折率変化層または透光性層の厚みを段階的に減らすことができる。積層体の両面から前記第2混合液等を浸透させた場合も同様であり、両端面から中心に向って屈折率変化層または透光性層の厚みを段階的に減らすことができる。
【0087】
屈折率変化層の厚みを調節するか、透光性層の厚みを調節するかは浸透させるものにより選択することができる。
【0088】
段階(III)で用いる、液晶分子、溶媒、重合性基を有する液晶分子の誘導体、または透光性樹脂の重合性単量体としては、上述のものを用いることができる。これらは、前記第1混合液に含まれるものと同じであっても良いし、異なってもよい。
【0089】
第2混合液に含まれる重合開始剤としては、上述の光重合開始剤を用いてもよいし、熱重合開始剤をもちいてもよい。熱重合開始剤としては、2,2‘−アゾビス-イソブチロニトリルなどが挙げられる。
【0090】
[段階(IV)]
前記段階(III)で、重合性基を有する液晶分子の誘導体、または透光性樹脂の重合性単量体を浸透させた場合、段階(IV)を行いこれらの重合を促進することが好ましい。重合を促進する方法としては、段階(III)で得られた積層体に非干渉光または熱を加える方法が挙げられる。
【0091】
本発明の第三は上述の調光構造体または上述の方法により作製された調光構造体の用途である。
【0092】
本発明の調光構造体は、様々な用途に用いることができるが、好ましくは車両に含まれる部品として用いられる。例えば、可視光の透過と非透過との切り替えを安定して行うことができることから、車両用のグレージング材として適用することができる。例えば、運転中には窓を可視光透過性にし、プライバシーを保護したい時や車室の温度上昇を抑制したい時などには窓を可視光非透過性にすることができる。本発明を車両用グレージング材として用いる場合、適用されうる窓としては、フロントガラス、サンルーフ、ウィンドシールド、リアガラス、フロントサイドガラス、またはリアサイドガラスなどが挙げられる。本発明を車両用のグレージング材に適用する場合には、屈折率変化層と透光性層との組み合わせは、図1のAとBとに示される組み合わせが好ましい。前記組み合わせを適用すると、外部刺激を加えていない時に、透視性を確保できるため、フェールセーフに優れる。
【0093】
グレージング材以外の用途としては、カーナビ装置もしくは車内用テレビのディスプレイなどが挙げられる。
【0094】
本発明の第四は上述の調光構造体、上述の方法により作製された調光構造体、または上述の車両用グレージング材を含む車両である。
【0095】
本発明の調光構造体は屈折率の切り替えを安定して行うことができるため、本発明の調光構造体またはグレージング材を含む車両は信頼性に優れる。
【実施例】
【0096】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
【0097】
(実施例1)
液晶分子として下記化学式30に示す2,3,4−トリシアノ−4’−プロピルビフェニル(屈折率n=1.55〜1.72)を用意した。
【0098】
【化6】

【0099】
光硬化性樹脂の前駆体として下記化学式31に示す2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートを用意した。
【0100】
【化7】

【0101】
重合性基を有する液晶分子の誘導体として下記化学式32に示す3−(p−(p’−シアノフェニル)−フェニル)プロピルアクリレートを用意した。
【0102】
【化8】

【0103】
[段階(I)]
前記液晶分子、前記光硬化性樹脂の前駆体、および前記重合性基を有する液晶分子の誘導体を質量比4:3:3で混合したものに、さらに光重合開始剤として3,3’,4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、色素増感剤として3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)を添加し、第1混合液とした。
【0104】
第1混合液をガラス基板上に形成されたITO膜の上にアプリケーターを用いて塗布した。
【0105】
[段階(II)]
次に、片面にITO膜を形成した他のガラス基板で挟み込み、交流電圧を印加した状態で、Arレーザー(波長488nm)をエキスパンダーおよびコリメーターを介して照射し、ITO膜同士の間に、透光性層と屈折率変化層とが交互に積層された積層体を得た。
【0106】
得られた調光構造体のITO膜同士の間に形成された積層体をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が361であり、透光性層が181層、屈折率変化層が180層であった。
【0107】
また、GPCを用いて、高分子液晶の重量平均分子量を測定したところ、重量平均分子量は、34000であった。
【0108】
得られた調光構造体に対して、図7に示す光学評価装置を用いて電圧を印加する前の可視光透過率を調べ、さらに図8に示す光学評価装置を用いて500Vの電圧を印加した時の可視光反射率、さらに電圧の印加解除後10秒から30秒経過後の電圧無印加状態での可視光透過率を調べた。
【0109】
図7に示す光学評価装置は、一対のガラス基材730に挟持されてなる調光構造体75に光を照射する部分と、調光構造体75を透過した光を受光する部分とからなる。調光構造体75に光を照射する部分は、タングステン−ハロゲン光源760、直線型光ファイバ750、および投光器770からなり、タングステン−ハロゲン光源760で発生した光を直線型光ファイバ750が投光器770に伝え、投光器770から調光構造体75に向かって照射光740が照射される。調光構造体75を透過した光を受光する部分は、受光器772、直線型光ファイバ752、およびマルチチャンネル光検出器762からなり、調光構造体75を透過した透過光742は受光器772により受光され、受光された光は直線型光ファイバ752を介してマルチチャンネル光検出器762に送られる
図8に示す光学評価装置は、一対のガラス基材830に挟持されてなる調光構造体85に光を照射し、なおかつ、調光構造体85から反射した光を受光する部分からなる。より詳細には、図8に示す光学評価装置は、Y型光ファイバ852、タングステン−ハロゲン光源860、マルチチャンネル光検出器862、および投受光器874からなる。タングステン−ハロゲン光源860で発生した光をY型光ファイバ852が投受光器874に伝え、投受光器874から調光構造体85に向かって照射光840が照射され、調光構造体85により反射した反射光844は投受光器874により受光され、受光された光はY型光ファイバ852を介してマルチチャンネル光検出器862に送られる。
【0110】
(実施例2)
段階(II)の後にさらに下記段階(III)を加えたこと以外は実施例1と同様にして調光構造体を得た。
【0111】
得られた調光構造体のITO膜同士の間に形成された積層体をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは積層方向に向って80nmから150nmまで次第に増加していた。また、積層数は各層の合計積層数が361であり、透光性層が181層、屈折率変化層が180層であった。
【0112】
さらに実施例1と同様にして、得られた調光構造体の電圧を印加した時の可視光反射率と、電圧を印加した前後の可視光透過率とを調べた。
【0113】
[段階(III)]
前記光硬化性樹脂の前駆体、およびトルエンを混合した第2混合液を用意した。第2混合液を前記積層体の片面に塗布して、およそ30秒間浸透させた。次に積層体表面に残留していた第2混合液を除去し、高圧水銀灯を用いて積層体に非干渉光を照射した。次に、積層体を減圧条件下に置いて乾燥を行い調光構造体を得た。
【0114】
(実施例3)
段階(III)において、第2混合液を積層体の両端から浸透させたこと以外は実施例2と同様にして調光構造体を得た。
【0115】
得られた調光構造体のITO膜同士の間に形成された積層体をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは積層方向の中心に位置する透光性層から両端に位置する透光性層に向って80nmから150nmまで次第に増加していた。また、積層数は各層の合計積層数が361であり、透光性層が181層、屈折率変化層が180層であった。
【0116】
さらに実施例1と同様にして、得られた調光構造体の電圧を印加した時の可視光反射率と、電圧を印加した前後の可視光透過率とを調べた。
【0117】
(実施例4)
段階(I)で用いた混合液1に含まれる液晶分子、光硬化性樹脂の前駆体、および重合性基を有する液晶分子の誘導体の質量比を4:4:2に変更したこと以外は実施例2と同様にして調光構造体を得た。
【0118】
得られた調光構造体のITO膜同士の間に形成された積層体をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは70nmであり、透光性層の厚さは積層方向の中心に位置する透光性層から両端に位置する透光性層に向って70nmから140nmまで次第に増加していた。また、積層数は各層の合計積層数が361であり、透光性層が181層、屈折率変化層が180層であった。
【0119】
さらに実施例1と同様にして、得られた調光構造体の電圧を印加した時の可視光反射率と、電圧を印加した前後の可視光透過率とを調べた。
【0120】
(実施例5)
混合液1において、重合性基を有する液晶分子の誘導体を下記化学式33に示す3−(p−(p’−シアノフェニル)−フェニル)メチルアクリレートに変更したこと以外は実施例2と同様にして調光構造体を得た。
【0121】
【化9】

【0122】
得られた調光構造体のITO膜同士の間に形成された積層体をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは70nmであり、透光性層の厚さは積層方向の中心に位置する透光性層から両端に位置する透光性層に向って70nmから180nmまで次第に増加していた。また、積層数は各層の合計積層数が361であり、透光性層が181層、屈折率変化層が180層であった。
【0123】
また、GPCを用いて、高分子液晶の重量平均分子量を測定したところ、重量平均分子量は、26000であった。
【0124】
さらに実施例1と同様にして、得られた調光構造体の電圧を印加した時の可視光反射率と、電圧を印加した前後の可視光透過率とを調べた。
【0125】
(実施例6)
混合液1において、重合性基を有する液晶分子の誘導体を下記化学式34に示す3−(p−(p’−シアノフェニル)−フェノキシ)メチルアクリレートに変更したこと以外は実施例2と同様にして調光構造体を得た。
【0126】
【化10】

【0127】
得られた調光構造体のITO膜同士の間に形成された積層体をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは70nmであり、透光性層の厚さは積層方向の中心に位置する透光性層から両端に位置する透光性層に向って70nmから180nmまで次第に増加していた。また、積層数は各層の合計積層数が361であり、透光性層が181層、屈折率変化層が180層であった。
【0128】
また、GPCを用いて、高分子液晶の重量平均分子量を測定したところ、重量平均分子量は、28400であった。
【0129】
さらに実施例1と同様にして、得られた調光構造体の電圧を印加した時の可視光反射率と、電圧を印加した前後の可視光透過率とを調べた。
【0130】
(実施例7)
混合液1において液晶分子を下記化学式35に示す4−シアノ−4’−プロピルビフェニルに変更したこと、および重合性基を有する液晶分子の誘導体を下記化学式36に示す3−(p−(o’,m’,p’−トリシアノフェニル)−フェニル)プロピルアクリレートに変更したこと以外は実施例2と同様にして調光構造体を得た。
【0131】
【化11】

【0132】
得られた調光構造体のITO膜同士の間に形成された積層体をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは積層方向の中心に位置する透光性層から両端に位置する透光性層に向って80nmから150nmまで次第に増加していた。また、積層数は各層の合計積層数が361であり、透光性層が181層、屈折率変化層が180層であった。
【0133】
さらに実施例1と同様にして、得られた調光構造体の電圧を印加した時の可視光反射率と、電圧を印加した前後の可視光透過率とを調べた。
【0134】
(実施例8)
混合液1において液晶分子を下記化学式37に示す4−シアノ−4’−ペンチルビフェニル、下記化学式38に示す4−シアノ−4‘−ペンチルピリミジニル−ベンゼン、下記化学式39に示すp−メトキシ安息香酸−p−ペンチルフェニル、および下記化学式40に示すp−(p’−ペンチル−エチニレニルフェニル)−エトキシベンゼンの混合体(混合割合は質量比で10:10:30:50)に変更したこと以外は実施例2と同様にして調光構造体を得た。
【0135】
【化12】

【0136】
得られた調光構造体のITO膜同士の間に形成された積層体をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは積層方向の中心に位置する透光性層から両端に位置する透光性層に向って80nmから140nmまで次第に増加していた。また、積層数は各層の合計積層数が361であり、透光性層が181層、屈折率変化層が180層であった。
【0137】
さらに実施例1と同様にして、得られた調光構造体の電圧を印加した時の可視光反射率と、電圧を印加した前後の可視光透過率とを調べた。
【0138】
(比較例1)
実施例1で用いた3−(p−(p’−シアノフェニル)−フェニル)プロピルアクリレートを用いないこと以外は実施例1と同様にして調光構造体を得た。
【0139】
得られた調光構造体のITO膜同士の間に形成された積層体をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層および硬化樹脂層の厚さは80nmあった。また、積層数は各層の合計積層数が361であり、透光性層が181層、屈折率変化層が180層であった。
【0140】
(比較例2)
特表昭58−501631号の実施例1に記載の調光材料を作製した。作製方法は以下に示すとおりである。液晶材料(アメリカン・リキッド・クリスタル・ケミカル・コーポレーション製、製品番号8250)0.2リットルを7%PVA溶液1リットルと混合し、10リットルの純水に添加した。得られた混合物をコーンギャップを0.1mm(4ミル)に設定したコロイドミルに入れて、4分間乳化した。得られた乳液材料に含まれる粒子の大きさは3μmであった。
【0141】
ITO膜が片面に形成されたマイラー薄板(シエラシン社製)を2枚用意し、得られた乳液材料をITO側にドクターブレード法で塗布し、乾燥することにより厚さ20μm(0.8ミル)の調光材料の層を形成した。次に、調光材料の層同士が接するようにこれらを重ね合わせてサンプルを得た。
【0142】
表1に実施例で得られた調光構造体と比較例で得られた調光構造体との可視光透過率と可視光反射率の測定結果をまとめる。
【0143】
【表1】

【0144】
表1から、実施例1〜8で得られた本発明における調光構造体と、比較例1とを比べると、実施例で得られた調光構造体は外部刺激を加える前と外部刺激を解除した後とで屈折率が全く変わらないか又は殆ど変わらないことがわかる。これは、実施例1〜8と比較例1との違いが実施例1〜8では透光性層に含まれる高分子液晶の液晶性基が一方向に配向しており、比較例1ではそうでないということに起因するものと考えられる。
【0145】
また、外部刺激が加えられていない時の調光構造体の可視光透過率が高いものは、屈折率変化層に含まれる液晶分子の配向性に優れているものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】屈折率変化層と透光性層との組み合わせによる調光構造体の性質について説明をするための模式図である。
【図2】従来の調光構造体の断面概略図である。
【図3】本願発明の調光構造体の一例を示す断面概略図である。
【図4】本願発明の調光構造体において、透光性層420の厚みを変化させた際の変化のパターンを示す断面概略図である。
【図5】高分子液晶の種類を示す図であり、Aは主鎖型高分子液晶、Bは側鎖型高分子液晶、Cは複合型高分子液晶を示す。
【図6】本願発明の調光構造体の製造過程の一例を示す断面概略図である。
【図7】可視光透過率を調べるための光学評価装置の構造を示す概略図である。
【図8】可視光反射率を調べるための光学評価装置の構造を示す概略図である。
【符号の説明】
【0147】
60 第1混合液、
75 調光構造体、
85 調光構造体、
210 屈折率変化層、
211 液晶分子、
220 透光性層、
310 屈折率変化層、
311 液晶分子、
320 透光性層、
321 高分子液晶、
410 屈折率変化層、
420 透光性層、
420’ 積層方向の中心に位置する透光性層、
521a 液晶性基、
521b スペーサー、
521c 主鎖、
610 屈折率変化層、
611 液晶分子、
620 透光性層、
621 高分子液晶、
623 重合性基を有する液晶分子の誘導体、
630 電極、
640 基材、
730 ガラス基材、
740 照射光、
742 透過光、
750 直線型光ファイバ、
752 直線型光ファイバ、
760 タングステン−ハロゲン光源、
762 マルチチャンネル光検出器、
770 投光器、
772 受光器、
830 ガラス基材、
840 照射光、
844 反射光、
852 Y型光ファイバ、
860 タングステン−ハロゲン光源、
862 マルチチャンネル光検出器、
874 投受光器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶分子を含む屈折率変化層と、
液晶性基を有する高分子液晶を含む透光性層と、が交互に積層された積層体を含み、
前記液晶性基は一方向に配向していることを特徴とする調光構造体。
【請求項2】
前記高分子液晶は、前記液晶性基が側鎖にのみ配置している側鎖型高分子液晶であることを特徴とする請求項1に記載の調光構造体。
【請求項3】
前記側鎖に配置している前記液晶性基は、メソゲン基を含み、
前記メソゲン基から前記高分子液晶の主鎖までの長さは、原子0〜6個分の長さであることを特徴とする請求項2に記載の調光構造体。
【請求項4】
前記メソゲン基から前記高分子液晶の主鎖までの長さは、原子3〜4個分の長さであることを特徴とする請求項3に記載の調光構造体。
【請求項5】
前記液晶性基が配向している方向は、前記積層体の積層方向に対して平行方向または垂直方向であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の調光構造体。
【請求項6】
前記液晶性基の誘電異方性と、前記液晶分子の誘電異方性との正負が異なることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の調光構造体。
【請求項7】
前記液晶性基の誘電異方性が正であり、前記液晶分子の誘電異方性が負であることを特徴とする請求項6に記載の調光構造体。
【請求項8】
前記屈折率変化層または前記透光性層の厚さは、30〜500nmであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の調光構造体。
【請求項9】
前記屈折率変化層または前記透光性層を2層以上含み、
前記屈折率変化層および前記透光性層の少なくとも一方の層の厚さは、積層方向に向かって次第に厚くなっていること、または、
前記屈折率変化層または前記透光性層を3層以上含み、
前記屈折率変化層および前記透光性層の少なくとも一方の層の厚さは、前記積層体の層の中心に位置する層から積層方向両端に位置する層に向かって次第に厚くなっていること
を特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の調光構造体。
【請求項10】
前記透光性層は、さらに透光性樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の調光構造体。
【請求項11】
前記屈折率変化層は、2種以上の前記液晶分子を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の調光構造体。
【請求項12】
前記屈折率変化層は、電圧を印加されることにより屈折率が変化することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の調光構造体。
【請求項13】
前記積層体は、一対の透明電極で挟持されていることを特徴とする請求項12に記載の調光構造体。
【請求項14】
重合性基を有する液晶分子の誘導体、および液晶分子を含む第1混合液を基材に塗布する段階(I)と、
前記第1混合液に外部刺激を加えて前記誘導体を一方向に配向させながら前記第1混合液に干渉光を照射し、液晶分子を含む屈折率変化層および高分子液晶を含む透光性層からなる積層体を得る段階(II)と、
を含むことを特徴とする調光構造体の製造方法。
【請求項15】
前記第1混合液は、さらに光重合開始剤、光重合開始助剤、色素増感剤、透光性樹脂の重合性単量体または溶媒を含むことを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
さらに前記段階(II)の後に、前記段階(II)で得られた積層体の一方の端面または両面から、
液晶分子、溶媒、または第2混合液を浸透させる段階(III)、および
前記段階(III)で得られた積層体に非干渉光または熱を加える段階(IV)を含み、
前記第2混合液は、重合性基を有する液晶分子の誘導体、または透光性樹脂の重合性単量体と重合開始剤とを含むことを特徴とする請求項14または15に記載の製造方法。
【請求項17】
請求項1〜13のいずれかに記載の調光構造体、または
請求項14〜16のいずれかに記載の方法により製造された調光構造体
を含むことを特徴とする車両用グレージング材。
【請求項18】
請求項1〜13のいずれかに記載の調光構造体、
請求項14〜16のいずれかに記載の方法により製造された調光構造体、または
請求項17に記載の車両用グレージング材
を含むことを特徴とする車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−151973(P2008−151973A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339079(P2006−339079)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】