説明

調整された粘度を有するフタル酸アルキルエステル混合物の製造方法

【課題】規定の粘度を有する異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物の製造方法を提供する。
【解決手段】異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物が、式IVによる粘度及び組成を有し、かつ異性体純粋のフタル酸ジアルキルエステル及び/又はフタル酸ジアルキルエステル混合物(この際、アルキルエステルは同一のC数を有し、かつ粘度に相応するC数を有する)の混合によって製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の課題は、それからフタル酸エステルが製造され得る各個の異性体アルコールの寄与を介して調整可能な粘度を有するフタル酸エステルの混合物及びその使用である。
【背景技術】
【0002】
フタル酸エステルは、プラスチック、例えば、PVCの軟化剤として広範囲で使用される。軟化剤は、材料、殊にプラスチックに高められた可撓性、柔軟性及び加工性を与える物質として定義され得る(Alan S. Wilson, Plasticizres, The Institute of Materials, 1995, ISBN 0901716 76 6、第1頁)。殊に、排他的ではないが、PVCの軟化は特に重要である。
【0003】
100年以上前から、常に新しい軟化剤が開発されてきて、その際、僅かな例外で多価エステルが使用される。極めて頻繁には、多価カルボン酸及びモノアルコールから成るエステルが使用される。使用される多価芳香族カルボン酸又はその無水物の例は、フタル酸及びイソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸又はテレフタル酸である。無機酸も使用され、最も知られた例は、燐酸のエステルである。通例、これらのカルボン酸又はその無水物は、燐酸エステルの場合には、酸クロリド、例えば、POClも、モノアルコール、例えば、エタノール、ブタノール、イソブタノール、n−及びイソ−アミルアルコール、ヘプタノール、2−エチルヘキサノール、2−プロピルヘキサノールと反応される。高級アルコールとして、異性体混合物も有利に使用され、これは3〜5個のC−原子を有するオレフィンをオリゴマー化させ、次いで、得られるアルデヒドをヒドロホルミル化及び水素添加させることによって得られる。技術的な例は、イソヘプタノール、イソクタノール、イソノナノール、イソデカノール、イソトリデカノールである。エチレンのオリゴマー化によって、直鎖のいわゆるアルファオレフィンも得られ、これはヒドロホルミル化の際に、直鎖及び僅かに分枝したアルコールから成る混合物を生じさせる。そうして技術的に製造したアルコールの例は、ノナノール及びウンデカノール及びその混合物である。直鎖アルコールは、脂肪化学から得られるが、合成的構成によって、エチレン、例えば、いわゆるツィーグラー(Ziegler)−アルコールからも得られる。最後に、更に、技術的に使用される環状アルコール、例えば、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノール、クレゾール、キシロールが挙げられる。
【0004】
多価カルボン酸及びモノアルコールの代わりに、逆に、多価アルコールをモノカルボン酸と反応させて軟化剤を得ることもできる。多価アルコールの例は、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリット、ジペンタエリスリット、エチレングリコール及びそのオリゴマー、ジ−、トリ−及びテトラエチレングリコール、グリセリン、ブタンジオール、ヘキサンジオール等である。糖アルコールも既にこの目的に使用されている。この際、カルボン酸として、前記のアルコールと類似の化合物、即ち、2個から約13個までのC−原子の範囲にあるカルボン酸が使用される。例は、トリアセチン中の酢酸、酪酸、バレリアン酸、ヘプタン−及びノナン酸及び異性体混合物、例えば、イソヘプタン−、イソオクタン−、イソノナン−、イソデカン−及びイソトリデカン酸である。
【0005】
酸官能もアルコール官能も有する化合物も使用可能である。最も知られた例は、3個のカルボン酸残基及び1個のアルコール基を有するクエン酸である。カルボン酸残基とモノアルコールとのエステル化によって、使用可能なエステルが得られ、次いで、アルコール基は付加的にカルボン酸、例えば、酪酸又は酢酸とエステル化され得る。
【0006】
念のために、モノアルコールとモノカルボン酸のエステル、例えば、ステアリン酸−又はラウリン酸エステルも、その沸点が十分に高い場合に、軟化剤として特別な場合に使用されることが挙げられる。
【0007】
前記の列挙も完全ではない。即ち、多価アルコールと多価カルボン酸との組み合わせも既に軟化剤として使用されている。例えば、ジオール及びジカルボン酸を低分子ポリエステルに結合させることができ、次いで、その末端基を官能性の1価アルコール又はカルボン酸とエステル化させる。残ったアルコール基は再びモノカルボン酸でエステル化される。
【0008】
6又は8個のエステル化可能なアルコール基を有するジ−及びトリ−ペンタエリスリットの場合のように、エーテル化合物も、より多数のエステル化可能な基を得るために使用することができる。これは、殊に、高極性成分を有する特に高分子の軟化剤が所望されている場合に行われる。
【0009】
全ての規則において、良好な軟化剤として用いるために十分な極性を有し、できるだけ少ない揮発性でありかつ材料への僅少な移行を示すために、高い分子量を有するが、それでもなお流動性であり、分子量に比較して僅少な粘度を有し、従って、良好な加工性である化合物を製造することが目的である。
【0010】
更に、これらの特性を有する化合物又は化合物の混合物が、例えば、合成滑剤、圧媒油として、しかし又、軟膏、インキ等における溶剤として重要な他の使用範囲を有することが言及されるべきである。機能液("functional fluids")と称する。
【0011】
前記の方法で、殆どあらゆる使用事例に適用するエステルを製造することができ、この際、必要な消費及びそれと結び付いた経費によって、かつ原料の入手性によって、当然、限度は設定されている。従って、引用された可能な組み合わせの多くは、今日、市場から消滅していて、適所使用における限られた重要性しか見いだせず、又は学術的に重要であるだけである。しかし、これは、事情によっては、新規の方法によって原料が安価で入手され、環境意識が変化したことによって従来常用の製品の代用品が見いだされなければならない、又は新規の技術的要求が新規の溶液を強制する場合に、急速に変化し得る。
【0012】
次の実施は、もっぱら判り易いように、PVCの軟化剤の使用範囲から選択された技術的に重要な数例に限定する。しかし、次に記載された問題性及びその解明は、原則的に、全ての前記のエステルに転用可能である。
【0013】
軟化剤のための極めて最重要なエステル群はフタレートである。この内、今日なお、2−エチルヘキサノール(しばしば略して"オクタノール"とも称される)のフタレート、DOP(ジオクチルフタレート)又はDEHP(ジエチルヘキシルフタレート)が優勢である。しかし、その使用技術的特性で明らかな利点、例えば、より少ない揮発性及びより少ない移行を有するDINP(ジイソノニルフタレート)によって次第に取って替えられてきている。立体異性体は別として、明確に決定可能な特性を有する化学的に明確に定義される物質であるDEHPに対して、DINPは同一の分子量を有する多数の類似した異性体の混合物である。これは、エステル化に使用されるイソノナノールの素性に由来する。
【0014】
イソノナノールは、更に、様々な種類で製造されるオクテンのヒドロホルミル化によって製造される。原料として、一般的に、飽和ブタン及び場合により不純物、例えば、C−及びC−オレフィン及びアセチレン系化合物の他に、先ず全ての異性体のC−オレフィンを含有する技術的C−流が用いられる。ブタジエンは、先ず、有価物質として、例えば、NMP(N−メチル−ピロリドン)を用いる抽出蒸留によって得られる。選択的に、ブタジエンは、例えば、OXENO GmbHのSHP−CB−法での選択的水素添加によって、1−及び2−ブテンに変換され得る。両方の場合において、オレフィンに実際には更にイソブテン、1−及び2−ブテンだけを含有し、しばしば"ラフィネートI"として表示されるC−流が得られる。このオレフィン混合物のオリゴマー化によって、高級オリゴマー、例えば、C12−及びC16−オレフィン混合物の他に、主に、オクテンが得られる。C−留分とは、以前に、軟化剤用のイソノナノールの製造に使用された"コジブチレン(Codibutylen)"のことである。
【0015】
今日、イソブテンは、通例、第2の方法で、メタノールとの反応によって、酸性触媒反応下に、例えば、酸性イオン交換体を用いて除去される。この際、燃料添加剤として重要なメチル−t−ブチル−エーテル(MTBE)及び殆どイソブテンを含まないC−流、いわゆる"ラフィネートII"が得られる。メタノールの代わりに、他のアルコール、例えば、エタノールを使用することもできる。この場合には、エチル−t−ブチル−エーテル、ETBEが得られる。アルコールの代わりに水でも、同様に技術的に使用可能な重要な化合物であるt−ブチルアルコールTBAの生成下に、イソブテンの選択的除去が可能である。TBAの再分離によって、高純度のイソブテンが得られる。論究された全ての変法で、飽和ブタンの他に、実際になお1−及び2−ブテンだけを含有するC−流、いわゆる"ラフィネートII"が残留する。
【0016】
ラフィネートIIから、任意に、有価物質として、例えば、ポリオレフィンのコモノマーとして1−ブテンが得られ、同様に、燃料ガスとして使用されるイソブテンが得られ得る。次いで、1−ブテンの貧化したC−流、ラフィネートIIIが得られる。ラフィネートIIもラフィネートIIIも、オリゴマー化の原料として使用することができる。ここで更に、技術的に使用される様々な可能性がある。以前のオリゴマー化法は、酸性触媒、例えば、担体上の燐酸又は酸性ゼオライトを用いて作業する(変法A)。この際、実際に、ジメチルヘキセンを含有するオクテンが得られる。もっと新しい方法、例えば、DIMERSOL−法は、可溶性Ni−錯体−触媒を用いて作業する。ここで、n−オクテン及びジメチルヘキセンの他に、高成分の3−及び5−メチルヘプテンを有するオクテン混合物が得られる(変法B)。最も現代的な方法は、特別に担持されるNi−触媒の高選択性を利用し、これは、OXENO GmbHのOCTOL−法が知られている。これによって、最も少なく枝分かれしたオクテン混合物が得られ、これは軟化剤アルコールの使用に特に好適である(変法C)。次の表は、その都度得られる生成物の組成の大体の値だけを示すが、それというのも、正確な組成は、使用触媒、温度、滞在時間、変換率及び他の条件に依存するからである。しかし、方法によって様々な異性体組成物が得られることは、明白に知ることができる。ラフィネートII又はIIIから次のものが得られる:
【表1】

【0017】
オクテンを得るもう1つの可能性は、イソブテンのオリゴマー化である。この際、主生成物は、2,4,4−トリメチルペンテン−1及び2,4,4−トリメチルペンテン−2の混合物である。ツィーグラー(Ziegler)−触媒反応下での又はSHOP−法によるエチレンのオリゴマー化も、高級オレフィンへの方法であり、この際、広いC−数−分布を有する直鎖末端オレフィンが生成される。これから、特に、C−留分を得ることができる。このような留分は、フィッシャー(Fischer)−トロプシュ(Tropsch)−法からも得られる。最後に、ナフサ流から好適なC−数の炭化水素を分離する可能性も適時使用される。これは、主に飽和アルカンが得られ、これは脱水素によってオレフィンに変換される。
【0018】
全く別の1可能性は、例えば、精製の際に分解装置中に生じる未分離の粗オレフィン流、例えば、C−、C−及び場合によりC−オレフィンを含有する留分のオリゴマー化である。そのような流れは、酸性オリゴマー化で、これらのオレフィン、要するに、C−数−留分に分解されるヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン等の考えられる全ての組み合わせの混合物、いわゆるポリガス−オレフィンを生成させる。この際、主に高級分枝鎖の内位オレフィンが得られる。
【0019】
全般に、好適な鎖長のオレフィンを酸化(Oxierung)/水素添加に給与して軟化剤アルコールを得る多数の方法がある。方法に応じて、極めて様々な分枝鎖度(非分枝鎖から3−及び多重分枝鎖まで)を有し、かつ末端位から殆ど排他的に内位までの二重結合の様々な分布を有する異性体混合物が得られる。
【0020】
オリゴマー化の次の方法段階として、ヒドロホルミル化、要するに、オレフィンと一酸化炭素及び水素、いわゆる合成ガスを反応させてアルデヒドを得る反応が続く。この場合も、技術的に数種の変法が使用される。触媒としてヒドリドコバルトカルボニルを用いる200〜300バール及び170〜190℃でのヒドロホルミル化が慣用である(Co−高圧−法 Co−HD)。アルキルホスフィンで変性されたCo−触媒の使用も技術的に実施される(Co−リガンド)。更に、触媒としてコバルトの代わりにロジウムを用いて100〜300バール及び120〜130℃で作業する方法が公知である(Rh−HD)。3つの方法は、明らかに、生成物の異性体組成で相違する。例えば、Co−HD−酸化での内位直鎖オクテンの酸化では、内位酸化異性体の他に直鎖n−ノナノール約50%が得られ(n/i〜1)、リガンド変性化Coでの酸化では、約80%(n/i〜4)、Rh−HD−酸化では、約20%(n/i〜0.25)が得られる。同様のことが、分枝鎖オレフィンの酸化にも当てはまる。
【0021】
同一の実験式であっても、例えば、オクテンのC16でも、極めて様々な構造−及び二重結合異性体が、技術的に使用されるオレフィン留分中に存在していることは、断固としたままである。同一のオレフィン留分を使用する場合でも、酸化/水素添加を経て得られる軟化剤アルコールの分枝鎖度は、使用される酸化法に依存して極めて異なっている。また、オリゴマー化法と酸化法との安定した組み合わせでも、使用される粗出発物質、例えば、C−留分の組成における変動によって、操作条件の変化によって、必要な生産の変換率の適応によって、かつもっと多くのことによって、異性体組成における変動が生じる。
【0022】
従って、生成した軟化剤アルコールの異性体組成は、広い範囲で変動し得る。しかし、軟化剤の物理的及び使用技術的特性は、その構造に強く依存する。次に、物理的特性の例として、20℃で測定されたフタレートの粘度が挙げられている。即ち、イソノナノール(DINP)のフタレートは、直鎖オレフィンの使用で、50〜60mPa*sの範囲で粘度を有するが、コジブチレンの使用で160〜170mPa*sを有するDINP−型も公知である。ポリガス−オクテンをベースとするDINP−型は、90〜110mPa*sの範囲で粘度を有する。ラフィネートII又はIIIを使用して、オクトール−法でアルコールを得て、そのフタレートは、Co−高圧法で酸化される場合に、72〜82mPa*sの範囲で粘度を有する。同一のエダクトは、Rh−触媒では、90〜100mPa*sを有する軟化剤となる。
【0023】
次の実施は、実際に、オクテンをベースとする数種の軟化剤変体だけに限り、混合物及び殊に異性体混合物を機能液としてのエステルの製造に使用する場合に、問題性は常に存在していることは当業者に容易に理解でき、この際、ここでは、軟化剤は機能液の亜群として見なされる。
【0024】
エステルがその機能を果たすことを必要とする使用技術的特性は、著しく多様である。滑剤としての使用の際には、例えば、粘度、温度による粘度の依存性、滴点及びもっと多くのことが重要である。軟化剤では、殊に、低温での可撓作用の他に、軟化剤の粘度、しかしまたケーブル被覆での使用の際には、電気特性も同様に重要である。これらの全ての特性は、使用される物質の構造、従って、異性体組成に依存している。
【0025】
使用技術的特性の構造による依存性については、定性規則がある。Alan S. Wilson, Plasticizers, The Institute of Materials, 1995, ISBN 0901716766、135〜136頁に、例えば、総−C−数、即ち、分子量及び分枝鎖度、要するに特に異性体組成に依存するフタレートの特性が論じられている。同一の分子量では、例えば、増加する分枝鎖が特に次のように作用する:
否定的効果
増加する粘度
上昇する蒸気、それによる、より高い揮発性
より僅少な軟化
より僅少な温度−及び光安定性
肯定的効果
より良好なPVC−相容性
より僅少な移行
より大きな加水分解耐性
より僅少な生物学的分解(使用相の期間)
より高い電気抵抗。
【0026】
最良の軟化剤は得られないことは直ぐに明らかであり、使用によって妥協しなければならない。即ち、軟化作用が重要である場合には、できるだけ少ない分枝鎖を有する軟化剤が有利である。これに対して、PVCを用いてケーブル被覆を製造する場合には、より良好な電気絶縁作用の故に、むしろやや高い分枝鎖を有する生成物を得る。
【0027】
Brian L, Wadey, Lucien Thil, Mo A. Khuddus, Hans Reich; The Nonyl Phthalate Ester and It's Use in flexible PVC, Journal of Vinyl Technology, 1990, 12, (4)、第208〜211頁に、DINPの合成的に製造された若干の単一異性体に基づいて、いかに重要な特性がエステルの構造に依存するかが極めて明らかに示されている。
【0028】
総括的に、使用特性は、フタレートの構造に依存し、これは部分的にアルコールの構造に依存し、かつこれは更に部分的にベースにあるオレフィンの構造に依存することを確認することができる。付加的には、これらの化合物が異性体混合物として製造されることが複雑に作用する。従って、既定の特性を有する混合物の収得下に、混合物組成を変える又は総括することが所望される。
【0029】
ところで、単一物質の使用技術的適性を評価するために、多数の検査が必要であることに、大きな困難がある。簡単な例として、PVCの軟化剤としてのフタレートの場合には、先ず、入手したアルコール混合物から、代表的なフタレート試料を実験室で製造しなければならない。引き続き、しばしば数種の濃度の軟化剤を用いて、PVCを有する試験プレートを製造しなければならず、それについて固有の標準試験が行われる。これは極めて消費が嵩み、数日から数週間続く。滑剤としての使用の場合には、消費は更にもっと高く、高価になる可能性があり、例えば、電動機試験(Motorentests)の場合には、数週間かけて走行させなければならない。
【0030】
ひとたび調合が展開されると、ここで、不変の特性を有する生成物が製造されることを製造中に保証しなければならない。例えば、滑剤の場合には、所望の粘度群を保持するために、粘度は狭い限度でしか変化することが許されない。軟化剤の場合には、例えば、軟化剤の加工者を絶え間ない調合適応に従わせないように、軟化作用が不変でなければならず、又は電気抵抗の極限値を下まわらせてはいけない。しかし、使用技術的試験による継続的製造調整は、前記のように、これを引き起こし得る経費を全く除外しては、時間的に全く不可能である。
【0031】
異性体組成の正確な一定保持は、確かに問題を理論的に解明し得るが、これは、実際には貫徹することはできない。分解装置は、一定の組成のC−流を供給するために操作されるのではなく、エチレン、プロピレン又はベンジン又は他の大量生成物を製造するために操作される。分解装置から得られるC−流の組成は、実際には、常にその原料の組成及び操作法に応じて変動する。大量生産の場合には通例であるように、C−流を様々な分解装置から買い足す場合には、この問題は更に厳しくなる。
【0032】
初めに存在する原料によるだけで既に強制的に生成物の組成における変化、従って異性体分布における変化、かつ従って使用技術的特性における変化が生じる。既に前記したように、次の段階のオリゴマー化及びヒドロホルミル化において、例えば、操作条件の変化又はオリゴマー化触媒の老化によって、生成物組成に更に変化が生じる。生成物は極めて様々なオリゴマー化−及び酸化法から由来し得るので、使用アルコールを買い足す独立したエステル製造者において問題は最も危険である。エステル化においてアルコールとして使用されるイソノナノールの製造の際に、使用される原料、オリゴマー化−及びヒドロホルミル化法に応じて、〜50から170mPa*sまでの粘度を有するDINP−型が得られることが指摘される。単独した例のDINPは、原則的な問題性を示す。これは、当然、機能液として使用される全てのエステルの場合に、殊に、アルコール又はカルボン酸の異性体混合物を使用する場合に相応に当てはまる。
【0033】
前記のように、様々な使用範囲に応じるために、異性体組成の変化を経て生成物を調製することは確かに原則的に可能である。しかし、他方で、経済的な理由から、連続的装置を操作しようとする。この際、短い間隔で様々な変種の生成物に製造を切り換えるべき場合には、時間的−及び経費的に極めて厳しく、始めから所望の生成物特性を考慮すべき問題については全く語ることはできない。要するに、できるだけ広い使用範囲を網羅するできるだけ一様の特性を有する標準生成物を製造することが求められる。他方で、顧客要求の増大は記録され、増加する顧客志向は顧客要望への受諾を要求し、このことは、標準生成物の他に、特殊生成物を製造することによってのみ可能である。
【非特許文献1】Alan S. Wilson, Plasticizres, The Institute of Materials, 1995, ISBN 0901716 76 6、第1頁、第135〜136頁
【非特許文献2】Brian L, Wadey, Lucien Thil, Mo A. Khuddus, Hans Reich; The Nonyl Phthalate Ester and It's Use in flexible PVC, Journal of Vinyl Technology, 1990, 12, (4)、第208〜211頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
従って、極めて様々な組成のアルコール混合物から一定の特性のフタレート混合物を製造するという課題があり、この際、フタレートの特性は、簡単な手段で、アルコールの組成を介して調整可能であるべきである。
【0035】
理想的には、臨界的前駆生成物、例えば、オレフィン−異性体混合物のヒドロホルミル化の際に製造されるアルデヒドの製造の間に既に、最終生成物(フタレート混合物)の使用技術的特性を予想することができる方法を見出すことができる。これは、最終生成物の時間のかかる適用技術的試験(例えば、水素添加によるアルコール又は酸化(Oxidation)によるカルボン酸の製造、エステルの製造、軟化PVCでの試験プレートの製造等)を行わずに可能であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0036】
フタレート−エステルの粘度は、エステル化に使用されるアルコールの構造又は異性体組成に依存している。これと、使用技術的値、例えば、寒冷可撓作用及び電気抵抗は相関する。これは、充分な測定が存在する場合には、理論的に基礎付けられた又は同様に1次実験式によって記載することができる。
【0037】
従って、個々のフタル酸エステルの粘度の特に簡単な測定を介して、他の使用技術的特性について言明することができる。当然、問題は、これが完成エステル、例中では、要するにDINPで初めて測定され得ることである。次いで、アルコール組成へ影響を及ぼすことは、もはや不可能である。
【0038】
原則的に、異性体化合物の混合物の粘度は、VDI-Waermeatlas, VDI Verlag, Siebte erweiterte Auflage, 194, Abschnitt Da 30により適用される、次の単一成分から成る簡単な混合規則により評価され得る:
ln(η)=Σx*ln(η
[式中、
ηは、混合物の粘度であり、
ηは、単一成分(フタレート)の粘度であり、
は、単一成分(フタレート)のモル分率である]。
【0039】
従って、単一成分(フタレート)の粘度の測定及び異性体組成(フタレート)の測定は、生成物の特性の一定保持を調整するために好適な手段である。しかし、これは実際には不可能であり、それというのも、異性体の巨大な数、その合成又は反応混合物からの分離及び今日使用される手段でのその測定が、代替可能な消費では実施不可能であるからである。
【0040】
次の配列は、DINPの製造のために使用されるイソノナノールの最重要な異性体を示し、これは、オクテン混合物の酸化によって製造され、オクテン混合物はその側で2−ブテンのオリゴマー化によって製造された。立体異性体を列挙せずに、14種の異性体で、実際の組成を次のように挙げることができる:n−ノナノール、2−メチル−オクナノール、2−エチル−ヘプタノール、2−プロピル−ヘキサノール、4−メチル−オクタノール、3−エチル−ヘプタノール、6−メチル−オクタノール、2,3−ジメチル−ヘプタノール、2−プロピル−3−メチル−ペンタノール、2−エチル−4−メチル−ヘキサノール、2,5−ジメチル−ヘプタノール、4,5−ジメチル−ヘプタノール、2,3,4−トリメチル−ヘキサノール及び2−エチル−3−メチル−ヘキサノール。
【0041】
最初に使用される原料が、更に、例えば、イソブテンを含有する場合には、他の多数の異性体、例えば、3,5,5−トリメチル−ヘキサノール、3,4,5−トリメチル−ヘキサノール及び3,4,4−トリメチルヘキサノール等が追加される。
【0042】
次いで、アルコールと2価のポリカルボン酸、例えば、フタル酸とのエステル化の際に、使用されるアルコールが単一の異性体から成る場合にのみ、単一の化合物が生成する。例えば、フタル酸とn−ノナノールとのエステル化で、ジ−n−ノニルフタレートが生成する。それに対して、エステル化に使用されるアルコールが数種の異性体から成る場合には、例えば、フタル酸のエステル化の場合には、2つのアルキル基が同一又は異なっているフタレートが生成し得る。即ち、14種の異性体を有する前記のイソノナノールを使用する場合には、アルキル基が同一である14種のフタレート及び2つのアルキル基が異なっている91種の(14*13/2)フタレートが生成し得る。要するに、立体異性体を考慮しないで、合計して105種の異なるフタレートが生成し得る。
【0043】
3価のトリメリット酸及び4価のピロメリット酸のエステルのような化合物の場合には、異性体数は莫大に上昇する。各個の異性体を測定しなければならず、この際、分析的分離は既に消費的かつ時間の浪費であるが、ましてや、粘度測定に好適な試料の製造は尚更そうである。
【0044】
ところで、エステルのそのような種類の異性体混合物の粘度は、ポリカルボン酸エステルの場合には、エステル化のために使用されるアルコールの組成と、又はポリオールのエステル化のために使用されるカルボン酸の組成と相関することが意外にも判明した。
【0045】
エステルの粘度に関する前記引用の混合規則は使用不可能であり、それというのも、エステルの真の組成ではなく、エステル化に使用されるアルコール又はカルボン酸の組成のみが関係するからである。そうして、エステル化によって得られる種々の数の異性体を有するエステル混合物の粘度のための寄与として、個々の異性体の粘度特性値が得られる。エステル中の個々の異性体の相互作用によって生じる影響も、当然、これらの値に含まれている。
【0046】
フタレート混合物の鹸化によって得られるはずのアルコール混合物中の個々のアルコール成分のモル分率が同一である場合に、フタレートからだけで成り、そのアルキル基が同一であるエステル混合物が、同一のアルキル基を有するフタレートの他に、異性アルキル基を有するフタレートも存在しているフタレート混合物と、殆ど同一の粘度を有することは予見不可能であった。
【0047】
換言すれば:アルコール混合物中に存在する各異性体を単離させ、フタル酸とエステル化させ、引き続き、様々なフタレートをアルコール混合物中にあるアルコールと同じ割合で混合させるとすれば、アルコール混合物とフタル酸との直接反応によって生成するはずであるそれとほぼ同様の粘度を有するフタレート混合物が得られるはずである。
【0048】
この結果は極めて意外であり、それというのも、アルコール混合物とフタル酸との直接的エステル化の際に、既に前記したように、単一成分をエステル化させ、引続いて、所与の比率で混合させる場合よりも、実際に高い数のフタレート異性体が生成し得るからである。要するに、フタレート混合物中のフタレート異性体の実際の数ではなく、ベースにあるアルコール混合物の異性体組成が重要である。
【0049】
従って、本発明の目的は、フタル酸又は無水フタル酸と一定数の炭素原子を有する異性体アルキルアルコールの混合物とのエステル化によって製造される、一定の粘度を有する異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物であり、これは、フタル酸エステル混合物の粘度が、式Iによる異性体アルキルアルコールの組成及びその粘度特性値によって調整されることを特徴とする:
ln(η)=Σx*ln(η) 式(I)
[式中、
ηは、フタル酸ジアルキルエステル混合物の粘度であり、
は、異性体純粋アルコールのモル分率であり、
ηは、フタル酸ジアルキルエステル混合物中の異性体純粋アルコールの粘度特性値である]。
【0050】
混合物の粘度は、エステル化に使用される異性体アルキルアルコールの炭素原子の数に依存している。本発明により、次の粘度又は優先範囲である:
【表2】

【0051】
一定の粘度ηを有する異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物の製造を、2種のフタル酸ジアルキルエステル混合物の混合によって行う場合には(この際、極端な場合には、混合物の代わりに、異性体純粋フタル酸エステルを使用することもできる)、フタレート混合物のベースにある異性体アルコールのモル分率が周知である場合に、式IIによる2つの成分の混合割合を計算することが可能である:
ln(η)=aΣxi1*ln(η)+(1−a)Σxi2*ln(η) 式(II)
[式中、
ηは、2つの成分の混合によるフタル酸ジアルキルエステル混合物の粘度であり、
i1は、フタレート混合物1の鹸化の際に生じるはずのアルコール混合物1の異性体のモル分率であり、
i2は、フタレート混合物2の鹸化の際に生じるはずのアルコール混合物2の異性体のモル分率であり、
ηは、アルコール異性体の粘度特性値であり、
aは、2成分混合物中のフタレート混合物1の相対的混合割合であり、
(1−a)は、2成分混合物中のフタレート混合物2の相対的混合割合であり、
(a/(1−a)は、2つの成分の混合割合である]。
【0052】
式IIと同様にして、2種以上のフタル混合物の混合物のための計算方式を作成することができる。3種のフタレート混合物から製造されるフタレート混合物の粘度について、例えば、次の式が当てはまる:
ln(η)=aΣxi1*ln(η)+bΣxi2*ln(η)+cΣxi3*ln(η) 式(III)
[式中、
a+b+c=1である]。
【0053】
この際、a、b及びcは、総混合物中の3種の成分の相対的混合割合である。
【0054】
従って、本発明の他の目的は、異性体純粋のフタル酸ジアルキルエステル及び/又はフタル酸ジアルキルエステル混合物の混合によって製造され、一定の粘度を有する異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物であり、この際、アルキルエステルは同じC−数を有し、粘度に相応するC−数を有し、これは、異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物が、式IVによる粘度及び組成を有することを特徴とする(式II及びIIIは、一般に使用可能な式IVの特例である):
【化1】

であり、
nは、混合物成分の数であり、
mは、最終混合物のベースにあるアルコール異性体の数であり、
ηは、成分の混合によるフタル酸ジアルキルエステル混合物の粘度であり、
ijは、フタレート混合物jの鹸化の際に生じるはずのアルコール混合物j中の一定の異性体iのモル分率であり、
ηは、一定のアルコール異性体iの粘度特性値であり、
は、最終生成物中の成分j(フタレート混合物)の混合割合(質量割合)である]。
【0055】
鎖長、粘度及びその優勢範囲については、前記したものが当てはまる。
【0056】
式II〜IVは、様々な異性体組成(異性体の種類及び量の割合)を有する2種以上のアルコール混合物(成分)から製造されるアルコール混合物が、所与の粘度を有するフタレート混合物の製造のために製造されるべき場合に、混合物割合の計算にも使用可能である。
【0057】
更に、エステル化の前のフタル酸エステル又はアルコールの混合による前記の粘度を有する異性体フタル酸ジアルキルエステルの前記の混合物の製法が、本発明の目的である。
【0058】
9個の炭素原子を有するアルキルアルコールから製造される本発明によるフタル酸イソノニルエステルは、異性体アルキルアルコールの混合物として、異性体純粋ノナノール又はノナノール混合物とn−ノナノールとの混合によって製造されたノナノールの混合物を使用することによって得ることができる。選択的に、異性体アルキルアルコールの混合物として、異性体純粋ノナノール又はノナノール混合物と3,5,5−トリメチルヘキサノールとの混合によって製造されているノナノールの混合物を使用することが可能である。
【0059】
フタル酸エステル、例えば、フタル酸ジノニルエステルの混合物の場合には、異性体純粋フタル酸ジノニルエステル又はフタル酸ジノニルエステル混合物をフタル酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノール)又はフタル酸ジ(イソノニル)エステルと混合させることができる。
【0060】
補助成分の好適な混合によって、その粘度がこの範囲にある全ての生成物を製造することができる。アルコール、n−ノナノール又は3,5,5−トリメチルヘキサノールによって、例えば、〜45から〜110mPa*sの範囲の粘度を有する品質のDINPを調整することができ、この際、最初の例では、良好な寒冷可撓作用を有する生成物が生成し、第2例では、寒冷可撓作用はやや良好性に欠けるが、高められた電気抵抗を有する生成物が生成する。
【0061】
本発明によるフタル酸エステル混合物は、容易に調整可能な粘度によって極めて可撓に使用可能であり、プラスチック、殊に、PVCの軟化剤として、圧媒液として、滑剤として又は滑剤成分として使用され得る。
【0062】
個々の成分の粘度寄与の調査
一方で、稀に、全ての微量成分を含む全ての異性体を分析することができ、又は、それとは別に更に劇的に上昇する消費により分析を必要とする。この場合には、未知の残分を総括して仮定成分として処理する。この未知残分が大きすぎない、例えば、10%以下又はより良好には5%以下である場合には、この誤差は許容できる大きさである。最終生成物の差幅+/−2mPa*sは、例えば、数%の未知残分を有する多数の測定値を包含する。
【0063】
他方で、異性体の自己相関での問題をその都度有する。内位n−オクテンの酸化で、例えば、2−プロピル−ヘキサノールが生じる場合には、常に一定の割合で、2−エチル−ヘプタノール及び2−メチル−オクタノールも存在していて、このことはこの異性体の高い自己相関を導く。この異性体を、他の手段、例えば、蒸留によっても明らかには区別できない場合には、この自己相関された成分を同様に数成分に総括する。この場合には、正確性への影響は極めて少なく、それというのも、前記の手段によって自己相関を止めさせることが不可能であるならば、それは実際の製造でますます存在していくからである。その場合には、2種以上のそのような成分を単一成分として処理することは、完全に無批判的で、正当である。
【0064】
意外なことに、仮定の粘度寄与を測定するために全成分を分離する必要はない。イソノナノールの場合には、むしろ、3〜4種の成分まで総括することができ、依然として、許容された内訳幅に留まっている。他方で、正確性が強く要求される場合に、相応して高い消費を伴って任意に改善されることができる。しかし、この消費は、ただ一回必要である。実際には、消費と正確性との間での妥協が求められる。
【0065】
基礎データの調査が一度行われる場合には、極限値の適正保守のための解明が生じる。ここで、成分の影響が周知であるので、既に製造中に、組成の変化、それに伴う予期すべき特性を対処させることができる。前記のように技術的に全く不可能であるか、又は代替不可能な消費を伴ってのみ可能である、生成物自体の組成の正確な一定保持は重要ではない。むしろ、最終生成物の使用技術的特性の一定が重要である。実際には、明らかに所望の値と相違する成分、異性体混合物又は一定のアルコールを用意する。
【0066】
次に、異性体として、同じ実験式で、しかし異なる構造の化合物を示す。異性体−純粋は、エステル又はアルコールが1つの異性体(これに関して、立体異性体は1つの異性体として見なされる)の化合物だけから成ることを意味し、この際、通常及び/又は技術的に規制された他の異性体の不純物は考慮されない。
【0067】
本発明によるフタル酸エステル又はその製法を用いて、例えば、錯体のオクテン混合物のヒドロホルミル化、及びそれに続くヒドロホルミル化生成物の水素添加によって、既に前駆生成物を経るイソノナノールの製造の迅速で自動化可能な製造制御が可能であり、この際、アルデヒドに水素添加して相応するアルコールを得る場合に、異性体のイソ指数及び分枝鎖の種類は保持されたままであり、それから製造すべき最終生成物、例においては、DINP−軟化剤の特性に関して言明することが可能である。例えば、予期すべき軟化剤粘度を、自動計測と連結したプロセス−ガスクロマトグラフィーによって制御することができる。この方法で、自動モニタリングは、予期すべき最終生成物の製品品質のみならず、使用技術的特性も(この場合には、粘度の物理的値を介して)可能である。しかし、これは、他の使用技術的特性と系統的に相関しているので、原則的に、各々重要な値は内訳限度の範囲で制御され得る。それには、先ず必要な測定値だけを先調査して、次いで連続制御を実施することができる。
【0068】
実際には、できるだけ異なる異性体組成を有する一連の様々な混合物を製造する。そのために、例えば、様々な組成を有するオクテン混合物、例えば、市販のオレフィン、例えば、1−オクテン、4−オクテン、2−エチルヘキセン−1又は2,4,4−トリメチルペンテン(ジイソオクテン)を使用することによって、最初に挙げた問題性を系統的に問題解決に利用することができる。異性体混合物を、酸性触媒でのアルコールの脱水によって、例えば、オクタノール−2又は2−エチルヘキサノールの脱水によって製造することもできる。ジメチルヘキセンは、特に、1−及び2−ブテンの酸性オリゴマー化によって製造することができる。オレフィンの製造のための全ての合成的可能性は、できるだけ様々な出発オレフィンを得るために利用され得る。
【0069】
オレフィンは、次いで、様々な方法によって、例えば、Co−高圧、Rh−高圧又はリガンド変性化Rh−及びCo−触媒を用いてヒドロホルミル化される。それによって、使用される同一のオレフィンで、異性体組成自体のもう1つの差別化が得られる。次いで、水素添加によって、完全に異なる異性体組成を有する所望のアルコール、例えば、イソノナノールが得られる。もう1つの差別化は、慎重な蒸留によって、不自然な異性体分布を有する異性体断片の取得下に達成され得る。当然、アルコール及びアルデヒドの製造のために、他の合成法を使用することもできる。
【0070】
最終生成物の粘度調整は、ヒドロホルミル化へのオレフィン給送の水準で行うことができることを挙げる。即ち、補助物質、例えば、1−オクテン又は僅少に分枝鎖したオクテン混合物の供給が、後でそれから製造されるべき軟化剤の粘度低下のために準備され、かつジイソブテン又は強く分枝鎖したオクテン混合物の供給が、相当する粘度上昇のために準備され得る。ヒドロホルミル化段階中にその都度調整する酸化法の異性体分布は、連続分析法によって知らされ、補助物質の必要な供給に換算され得る。従って、供給によって変化される異性体分布の組成を計算することができ、従って、製造すべき軟化剤の予期すべき粘度の計算も更に可能である。
【0071】
組成は、様々なアルコール混合物によって決定される。この際、各々単一異性体の構造を知ることは、役に立つが、絶対に必要ということではない。これに対して、異性体は区別可能であり、その互いの比率は決定され得ることが重要である。異性体組成の分析は殆どガスクロマトグラフィーによって実施されるので、異性体は、その移行指数によって、可能な限り2つの異なるカラム上で決定され区別され得る。
【0072】
次に、本発明を、ノナノール混合物の例で詳説する。
【実施例】
【0073】
例1
ノナノール混合物の分析の際に、例えば、次のように行われる:
移行指数は、次のn−アルカノールに関係される;
n−ヘプタノール=700
n−オクタノール=800
n−ノナノール=900。
【0074】
測定は、温度計画法(分析条件、参照)で実施されるので、ノナノール異性体の移行指数(R)は、移行時間(RT)で、n−オクタノール及びn−ノナノールのそれの間で、次に式により計算される:
=800+(RT−RTn−オクタノール):(RTn−ノナノール−RTn−オクタノール)*100
分析条件
60m長の毛細管カラム
固定相:極性カラム ポリエチレングリコール20M
非極性カラム ポリジメチルシロキサン95%/ポリジフェニルシロキサン5%
キャリアーガス:ヘリウム
ガス流量:1.5ml/分
初期温度:60℃
最終温度:220℃
昇温率:2℃/分。
【0075】
第1表に、イソノナノール混合物の分析を表示する。この際、若干の選択された混合物の分析が示したように、質量%と同様に充分に大きな正確性を有する面−%を表示すことができる。
【0076】
【表3】

【0077】
略語
A及びB=非光学活性填料を備えたカラム上でガスクロマトグラフィーにより区別可能であるジアステレオマー
E=エチル−
M=メチル−
DM=ジメチル−
Pr=プロピル−
X=未知化合物。
【0078】
次いで、様々なアルコール混合物からエステルを製造し、重要な使用技術的データ、特に、粘度を測定する。それに対して、フタレート混合物が存在する場合には、その粘度を測定し、それから鹸化によってベースにあるアルコール混合物を取得し、分析することができる。次いで、粘度の混合規則を適用するが、未取得成分のエステル異性体の代わりに、もっと簡単な良好に測定できるアルコールの異性体分布を使用し、データ率を非直線性回帰計算にかける。次いで、評価値として、個々の成分の仮定の粘度寄与を得る。
【0079】
この方法をノニルフタレート混合物に実施する。第2a〜f表に、52種のイソノナノール混合物の異性体分布及びそれから製造されたノニルフタレートの粘度を表示する。ジアステレオマーは総括されている。未知異性体は、要約して仮定成分と見なされる。第1表に表示された化合物に付加的に、若干の混合物3,5,5−トリメチルヘキサノールが含まれる。
【0080】
第2a〜f表に表示されたデータ率及び式2を基礎に、プログラム(DataFit, OAKDALE Engineering, Version 5.1, http: www. oakdaleengr.com)により、各イソノニル異性体について、仮定粘度寄与(粘度特性値)(第2f表、最終欄)を作成する。この方法は、他の又は付加的に他のノナノール異性体がそのベースにある他のノニルフタレート混合物にも適用することができる。第2f表、最終欄に表示される仮定粘度寄与の値は、データ率の上昇数で正確に定められ得る。
【0081】
【表4】

【0082】
【表5】

【0083】
【表6】

【0084】
【表7】

【0085】
【表8】

【0086】
【表9】

【0087】
例2
無水フタル酸と異性体ノナノールの混合物とのエステル化によるジイソノニルフタレート(DINP)の製造のための変法:
製造すべきDINPは、限度値75〜80mPa*sを有する約78mPa*sの粘度を有するべきである。n−ノナノールは、約43mPa*s、3,3,5−トリメチルヘキサノールは、約111mPa*sの総粘度への寄与を有する。
【0088】
製造されたイソノナノールの異性体分布から計算されたDINPの粘度が、設定された限度値以上に、例えば、80mPa*s以上に上昇する場合には、選択された値、例えば、即ち78mPa*sが再び調整されるように、エステル化の際に、n−ノナノールを供給する。計算された粘度が選択された限度値以下に、例えば、75mPa*s以下に下がる場合には、所望の値が再び達成されるまで、エステル化の際に、単純に、粘度上昇性の3,5,5−トリメチル−ヘキサノールを供給する。エステル化へのアルコールの混合と同様に、エステルの混合によって、同じ効果を達成することができる。
【0089】
2つの場合において、式IIを適用することができ、この式は、第2成分として純粋な異性体が使用されるので、次の形式を取る:
ln(η)=aΣxi1*ln(η)+(1−a)*ln(η
[式中、
ηは、2つの成分の混合によるフタル酸ジアルキルエステル混合物の粘度であり、
i1は、フタレート混合物1の鹸化の際に生じるはずのアルコール混合物1の異性体のモル分率であり、
i2は、フタレート混合物2の鹸化の際に生じるはずのアルコール混合物2の異性体のモル分率であり、
ηは、アルコール異性体の粘度特性値であり、
aは、2成分混合物中のフタレート混合物1の相対的混合割合であり、
(1−a)は、2成分混合物中の純粋なフタレートの相対的混合割合であり、
(a/(1−a)は、2つの成分の混合割合である]。
【0090】
この式によって、2つの成分の混合割合を計算することができる。
【0091】
n−ノナノールは市販で得られるが、購入可能な1−オクテン又は安価の内位n−オクテンをヒドロホルミル化させて、低いが、ただ明らかに選択された限度値以下になければならない粘度寄与を有する異性体混合物を得ることができる。3,5,5−トリメチル−ヘキサノールは同様に市販で得られ、またジイソブテンのヒドロホルミル化、次いで水素添加によって簡単に製造することもでき、更にジイソブテンはその側でイソブテンのオリゴマー化によって得られ、かつ市販製品である。最後に、低及び高粘度寄与の異性体混合物を準備することができる。EP1029839に、DINPに粘度77mPa*sを生じさせるイソノナノールが如何にしてオクテン混合物から得られるかが示されている。更に、そこに、オクテン混合物を、より低い分枝鎖及びより高い分枝鎖度を有する2つのフラクションに分けることが可能であることが記載されている。この際、より低い分枝鎖のフラクションが、酸化、アルコールへの水素添加及び次の無水フタル酸とのエステル化により、約68mPa*sを有するDINPを生じさせ、より高い分枝鎖のフラクションが、約103mPa*sを有するDINPを生じさせる。要するに、生成されたイソノナノールと同じ原料から由来するこれらの2つのアルコールフラクションを準備することが前記の方法には充分である。
【0092】
次の例に、様々な異性体組成を有するDINP−混合物とその粘度及び適用技術的特性との間の関係を記載する。
【0093】
例3:
フタル酸ジノニルエステル混合物(DINP)の製造
水分離器及び強力冷却器を備えた蒸留フラスコ中に、無水フタル酸148g(1モル)、ノナノール混合物432g(3モル、即ち、50%過剰)及びテトラ−n−ブチルチタネート0.5gを前以て装入し、攪拌下に徐々に沸騰加熱した。前以て装入させたアルコールの還流下に標準圧でエステル化させ、この際、生じる反応水を水分離器で継続的に除去した。酸価KOH<0.3mg/gまでエステル化させた。引き続き、アルコールを真空下に留去させた。中和のために、粗エステルを80℃に冷却させ、相応する量の苛性ソーダ溶液の添加後に、標準圧で約30分間攪拌した。その後に、有機相を水で数回洗浄し、次いで水相を分離させた。
【0094】
ここで、エステルを真空下に180℃に加熱した。恒温で、浸漬管を経て、VE−水(粗製エステルの秤量に対して8%)を滴加した。この水蒸気蒸留の終了後に、痕跡量の水分の除去のために、180℃で30分間、30ミリバールの真空にした。ここで、生成物を、真空下に80℃まで冷却し、次いで、濾紙及び濾過助剤を有する吸引濾過器を経て濾過させた。
【0095】
例4:
ガラス転移温度の測定
引き続き、そうして製造したノニルフタレートについて、DIN53015により20℃で動的粘度及び場合により、軟化剤の可撓効果の尺度であるガラス転移温度Tgを測定する。所与の混合比では、純粋な軟化剤のTgが低くなればなるほど、それで製造された軟化−PVCのTgも低くなり、その可撓性は高くなる。
【0096】
Tgの測定のために、例えば、動的差−熱量測定(Dynamische Differenz−Kalorimetrie)(DDK)又は組紐捩り試験(Torsional Braid Analysis)(TBA)を使用することができる。ここで記載された例では、より高い正確性の故に、TBA−法が実施された。これは、例えば、DIN EN ISO 6721 2部 に記載された"典型的"捩り振り分析(TSA)の変法であった。TBAにおいては、検査すべき材料(ここでは、軟化剤)を、組紐状に編んで糊抜きしたガラス繊維−ロービング(負荷18〜25質量%)上に載せた。この上で、捩り振り子(MYRENNE ATM III)で、−180〜+100℃の温度及び1s−1の頻度で、各々剛度G’及び損失度G"を測定した。G"の最高値からガラス転移温度Tgを決定することができた。
【0097】
DINPにおけるガラス転移温度と粘度との間の関係
様々なノナノール混合物から、相応するジイソノニルフタレートを製造し、軟化剤(フタレート)の粘度もガラス転移温度も測定した。次の表に、相応するデータを挙げる:
【表10】

【0098】
粘度及びガラス転移温度の実際に直線的な依存性が判明する。相関因子は0.99である(Microsoft Excel, statistische Funktion "Korrel")。
【0099】
例5:
軟化剤のガラス転移温度−DINPの柔軟−PVCのガラス転移温度の関係
前記の(o.a.)フタレートにエステル化された数種のノナノール混合物を、次の方法によって軟化PVC−圧縮プレートに加工した:
K−値70を有する懸濁液−PVC(例えば、VESTOLIT S 7054)700gに、軟化剤300g及びペベタール(Pebetal)21g及びベロスタブ(Baerostab)PB28F2.1gを混合させ、120℃までの温度でドライブレンドに加工した(加熱混合機)。その後に、混合物を冷却させた。ロール薄膜の製造のために、そうして製造したドライブレンド250gを、Fa. Schwabenthan App.−Nr. 1133/0578のロール(ロールスリット1.2mm、ロール上の温度165℃)上に装入した。薄膜形成後に、合計して更に5分間可塑化させた。薄膜を圧延機から取り出し、冷却させた後に、薄膜から、断片(約80g)を切り取り、型220*220*1mmに入れ、Firma Werner & Pfleidererの水圧ハンド−プレス(Hand−Presse)(60t)中で、次のように加圧した:温度を170℃に調整し、ロール薄膜を有する型を、先ず2分間50バールで、次いで1分間100バールで、最後に再度2分間180バールで加圧した。その後に、圧力を200バールに高め、この圧力で室温に冷却させた。
【0100】
【表11】

【0101】
純粋な軟化剤のガラス転移温度を、それから製造された軟化−PVC−プレートのガラス転移温度に対してプロットする場合に、ここでも、0.98の係数を有する一義的な相関が判明する。
【0102】
軟化剤の粘度と、使用技術的値の軟化−PVC−プレートのガラス転移温度との間の相関係数は、0.98に計算され得る(Microsoft Excel, statistische Funktion "Korrel")。
【0103】
例3〜5は、ベースにあるノナノール混合物の異性体組成によって決定されているDINPの軟化作用がその粘度と相関することを証明する。
【0104】
例6:
ジデシルフタレート(DIDP)におけるガラス転移温度と粘度との間の関係
1−ブテン、2−ブテン又はイソブテンのヒドロホルミル化によって、アルデヒド、n−バレルアルデヒド("1")、2−メチルブタナール("2")及び3−メチルブタナール("3")が生じ得る。これらのどのアルデヒド(場合によっては、それから成る混合物も)が、後続のアルドール縮合及び相応するC10−アルコールへの水素添加に使用物質として使用されるかによって、様々なホモ−及び/又はコアルドール縮合体が生じ得る。
【0105】
このC10−アルコールは、ノナノールについて記載したように、相応するフタレート混合物(DIDP)に変換され、分析された。
【0106】
次の表に、このC10−アルコールから製造された若干のフタル酸エステルの粘度及びガラス転移温度を挙げた。GCおよびNMRによって、次の組成物を調査し、この際、次の略記法を使用した:
化学表示 略形
2−イソプロピル−5−メチル−ヘキサノル−1 3+3
2−イソプロピル−4−メチル−ヘキサノル−1(2つのジアステレオマー) 2+3
2−プロピル−5−メチル−ヘキサノル−1/2−イソプロピル−ヘプタノル−11+3
A−2−プロピル−4−メチル−ヘキサノル−1(2つのジアステレオマー) 1+2
2−プロピルヘプタノル−1 1+1
コ−アルドールをベースとする様々なC10−フタレートの組成及び物理的データ:
【表12】

【0107】
ここでも同様に、C10−フタレートの粘度をガラス転移温度(℃)に対してプロットして、ここでも一義的な相関が判明する(Funktion Korrel、相関因子0.95)。
【0108】
例6:
混合による理論値、例えば、70、80、90mPa*sへのDINPの調整
イソノナノールに、n−ノナノール又は3,5,5−トリメチルヘキサノールを、表に挙げた比率で混合させ、前記のように、相応するフタレートに変換させた。
【0109】
【表13】

【0110】
イソノナノールにおける異性体分布から出発し、その模型が76mPa*sの粘度を算出し(試料O)、かつ顧客のために約70mPa*sの特別なDINP−品質が必要とされた場合に、n−ノナノール約15%をエステル化の前に混合させなければならないことを計算模型が調査した。
【0111】
模型を経て予想された粘度は、実験的に得られる値によって良好に確証された(偏差<5%)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
規定の粘度を有する異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物の製造方法において、異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物が、式IV
【化1】

[式中、
nは、混合物成分の数であり、
mは、最終混合物の基礎となるアルコール異性体の数であり、
ηは、成分の混合によるフタル酸ジアルキルエステル混合物の粘度であり、
ijは、フタレート混合物jの鹸化の際に生じるはずのアルコール混合物j中の一定の異性体iのモル分率であり、
ηは、一定のアルコール異性体iの粘度特性値であり、
は、最終生成物中の成分j(フタレート混合物)の混合割合(質量割合)である]による粘度及び組成を有し、かつ異性体純粋のフタル酸ジアルキルエステル及び/又はフタル酸ジアルキルエステル混合物(この際、アルキルエステルは同一のC数を有し、かつ粘度に相応するC数を有する)の混合によって製造することを特徴とする、調整された粘度を有するフタル酸ジアルキルエステル混合物の製造方法。
【請求項2】
粘度19〜44mPa*sを有する異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物を、異性体純粋のフタル酸ジアルキルエステル及び/又はフタル酸ジアルキルエステル混合物(この際、アルキルエステルは4個の炭素原子を含有する)の混合によって製造し、かつ異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物は、式IVによる粘度及び組成を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
粘度24〜50mPa*sを有する異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物を、異性体純粋のフタル酸ジアルキルエステル及び/又はフタル酸ジアルキルエステル混合物(この際、アルキルエステルは5個の炭素原子を含有する)の混合によって製造し、かつ異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物は、式IVによる粘度及び組成を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
粘度28〜80mPa*sを有する異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物を、異性体純粋のフタル酸ジアルキルエステル及び/又はフタル酸ジアルキルエステル混合物(この際、アルキルエステルは6個の炭素原子を含有する)の混合によって製造し、かつ異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物は、式IVによる粘度及び組成を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
粘度33〜100mPa*sを有する異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物を、異性体純粋のフタル酸ジアルキルエステル及び/又はフタル酸ジアルキルエステル混合物(この際、アルキルエステルは7個の炭素原子を含有する)の混合によって製造し、かつ異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物は、式IVによる粘度及び組成を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
粘度39〜130mPa*sを有する異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物を、異性体純粋のフタル酸ジアルキルエステル及び/又はフタル酸ジアルキルエステル混合物(この際、アルキルエステルは8個の炭素原子を含有する)の混合によって製造し、かつ異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物は、式IVによる粘度及び組成を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
粘度52〜400mPa*sを有する異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物を、異性体純粋のフタル酸ジアルキルエステル及び/又はフタル酸ジアルキルエステル混合物(この際、アルキルエステルは10個の炭素原子を含有する)の混合によって製造し、かつ異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物は、式IVによる粘度及び組成を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
粘度61〜400mPa*sを有する異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物を、異性体純粋のフタル酸ジアルキルエステル及び/又はフタル酸ジアルキルエステル混合物(この際、アルキルエステルは11個の炭素原子を含有する)の混合によって製造し、かつ異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物は、式IVによる粘度及び組成を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
粘度66〜400mPa*sを有する異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物を、異性体純粋のフタル酸ジアルキルエステル及び/又はフタル酸ジアルキルエステル混合物(この際、アルキルエステルは12個の炭素原子を含有する)の混合によって製造し、かつ異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物は、式IVによる粘度及び組成を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
粘度70〜400mPa*sを有する異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物を、異性体純粋のフタル酸ジアルキルエステル及び/又はフタル酸ジアルキルエステル混合物(この際、アルキルエステルは13個の炭素原子を含有する)の混合によって製造し、かつ異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物は、式IVによる粘度及び組成を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
粘度74〜400mPa*sを有する異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物を、異性体純粋のフタル酸ジアルキルエステル及び/又はフタル酸ジアルキルエステル混合物(この際、アルキルエステルは14個の炭素原子を含有する)の混合によって製造し、かつ異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物は、式IVによる粘度及び組成を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
粘度45〜200mPa*sを有する異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物を、異性体純粋のフタル酸ジアルキルエステル及び/又はフタル酸ジアルキルエステル混合物(この際、アルキルエステルは9個の炭素原子を含有する)の混合によって製造し、かつ異性体フタル酸ジアルキルエステルの混合物は、式IVによる粘度及び組成を有する、請求項1に記載の方法。

【公開番号】特開2009−7353(P2009−7353A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150495(P2008−150495)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【分割の表示】特願2003−532435(P2003−532435)の分割
【原出願日】平成14年9月20日(2002.9.20)
【出願人】(398054432)エボニック オクセノ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (63)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Oxeno GmbH
【住所又は居所原語表記】Paul−Baumann−Strasse 1, D−45764 Marl, Germany
【Fターム(参考)】