説明

調理用タイマー

【課題】本発明は、容器内部の食材を食する程度に暖めたり調理する際に、手軽に利用でき、かつ食材の調理終了の時間を確実に報知できる調理用タイマーを提供することを目的とするものである。
【解決手段】上面と側面とから成る角部を有する被載置体の前記上面に載置可能となっているとともに、時間の経過に起因してタイマー本体1が被載置体から落下する調理タイマーを提供するものであり、この調理用タイマーによれば、タイマー本体1の重心が移動する重心移動手段により、タイマー本体1は時間の経過に起因して前記タイマー本体1の重心が次第にまたは瞬間的に移動するようになっている。そのため計測したい所定の時間経過時において前記タイマー本体1が前記被載置体から落下するように、位置規定部を用いて前記被載置体の角部に対するタイマー本体の載置位置を選べば、極めてシンプルな構造にして食材の調理終了の時間を確実に報知できることになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップや皿、鍋などの種々の容器内の食材の調理終了の時間の完了を報知できる調理用タイマーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カップ食材と称されるものには、調理済みや一部調理済みの、麺や、ご飯、野菜、その他各種食材がカップ中に収納され、カップ内にお湯を注ぐことにより内部の食材を食する程度に暖めたり、調理できるものである。また皿内に食材を投入し、お湯を注いだ後蓋等を被せ内部の食材を食する程度に暖めたり、調理を行う食材もある。例えばカップ麺と称される食品を例に挙げると、カップ麺容器の蓋体の一部分を剥離し、そこから湯を注いで麺の茹でを3分から5分程度待つ処理が必要となる。その際に、時間を計り監視していないと、麺の茹で時間が短すぎたり、または長すぎたりして良好な茹の具合を得られないことがある(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−300409号公報
【特許文献2】実開平6−86096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、時間が短すぎたり、長すぎたりして良好な茹で具合を得られないといった上記問題を解決するために、背景技術として上記公知文献1や2に示されるように、蓋体を押えておく器具や、蓋体を押える器具に時間を測る砂時計が取り付けられたものがあった。これらの文献に示されるような技術は一部既に実用化されているが、公知文献2のものでは一々時計を用いて時間を測らなければならず実用性に富むものではなかった。特に公知文献1に示されている技術は、重石とともに砂時計等を有するものであるが、結局、砂時計の砂が落ちきるのを逐次監視していなければならないものであり、明快かつ効果的に麺の茹で上がり時間を伝達できるものではなく、上記する課題を効果的に解決できるものではない。
【0005】
そこで本発明は、容器内部の食材を食する程度に暖めたり調理する際に、手軽に利用でき、かつ食材の調理終了の時間を確実に報知できる調理用タイマーを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明に係る調理用タイマーは、上面と側面とから成る角部を有する被載置体の前記上面に載置可能となっているタイマー本体であり、前記タイマー本体の一部には、前記タイマー本体の載置時において前記被載置体の角部に対するタイマー本体の載置位置を示す位置規定部が設けられているとともに、前記タイマー本体は時間の経過に起因して前記タイマー本体の重心が移動する重心移動手段を備え、所定時間経過後の前記タイマー本体の重心の移動で前記被載置体から前記タイマー本体が落下することを特徴としている。
この特徴によれば、前記重心移動手段により、タイマー本体は時間の経過に起因して前記タイマー本体の重心が次第にまたは瞬間的に移動するようになっている。そのため計測したい所定の時間経過時において前記タイマー本体が前記被載置体から落下するように、位置規定部を用いて前記被載置体の角部に対するタイマー本体の載置位置を選べば、極めてシンプルな構造にして食材の調理終了の時間を確実に報知できることになる。
【0007】
かかる目的を達成するために本発明に係る調理用タイマーは、前記重心移動手段が、所定の傾斜により、前記流動体が下流に移動することによって重心の移動を可能としていることを特徴としている。
この特徴によれば、前記重心移動手段により、タイマー本体は時間の経過に起因して前記タイマー本体の重心が次第にかつ正確に移動し、時間経過を正確に計測できる。また構造が極めて簡素化できることになる。
【0008】
かかる目的を達成するために本発明に係る調理用タイマーは、少なくとも基部と前記流動体を備えた重心移動部とを有し、調理用タイマーが上面と側面とから成る角部を有する被載置体の前記上面に載置された状態で、重心移動部が側面側に傾斜状態になることを特徴としている。
この特徴によれば、被載置体の前記上面に調理用タイマーが載置された状態から計時を開始でき、取り扱いが簡便となる。
【0009】
かかる目的を達成するために本発明に係る調理用タイマーは、少なくとも前記基部と前記重心移動部とを有し、前記基部に対して前記重心移動部が回動可能となっており、この回動によって前記重心移動部の前記流動体の配置位置を変更できるようになっていることを特徴としている。
この特徴によれば、適宜重心移動部の前記流動体の配置位置を変更して、繰り返し調理用タイマーを利用できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態を概略的に示す斜視図である。
【図2】タイマー本体を上方から見た斜視図である。
【図3】タイマー本体の内部構造を説明する一部断面図である。
【図4】図3の状態におけるタイマー本体の喉部を指で押圧した場合の形状を説明する一部断面図である。
【図5】タイマー本体を下方から見た底面図である。
【図6】タイマー本体の設置と、カップ食材容器蓋を開放する様子の説明図である。
【図7】喉部が時間の経過とともに移動し、タイマー本体自体の荷重のバランスが変化する様子の説明図である。
【図8】本発明の第2実施形態を示す一部断面図である。
【図9】基部と重心移動部の内部構造を示す斜視図である。
【図10】流動体を備えた重心移動部の構造を示す一部破断上面図である。
【図11】重心移動部内の流動体の移動により、タイマー本体自体の荷重のバランスが変化する様子の説明図である。
【図12】本発明の第3実施形態の内部構造を概略的に示す斜視図である。
【図13】本発明の第3実施形態のであり、頭部が時間の経過とともに移動し、タイマー本体自体の荷重のバランスが変化する様子の説明図である。
【図14】本発明の変形例としての実施形態であり、脚部が時間の経過とともに移動し、タイマー本体自体の荷重のバランスが変化する様子の説明図である。
【図15】本発明の別の変形例としての実施形態であり、腕部が時間の経過とともに移動し、タイマー本体自体の荷重のバランスが変化する様子の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る調理用タイマーを説明する実施の形態として、一例としてカップ食材容器蓋の押え具として、この調理用タイマーを用いた実施形態を図面と共に説明する。以下に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、これら実施例は、本発明を適用できる実施形態の一例ではあるものの、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではなく本発明の思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【実施例1】
【0012】
調理用タイマーは主に一個のタイマー本体として表現されており、図1は本発明の第1実施形態を概略的に示す斜視図である。第1実施形態において、このタイマー本体1はカップ食材容器蓋の押え具として利用されるものであり、この実施例の場合、ゴム質の合成樹脂からなる物体であり、動物(カエル)の形状をしている。このタイマー本体1は後述するように所定の重量があり、カップ麺と称される食品を例に挙げると、カップ麺に湯を注ぐために剥離した蓋体の一部分が蓋体の弾力性により捲れ易く、この捲れた部分から熱が逃げないように、蓋体の一部分を閉塞状態で保持する程度の重量が与えられている。
【0013】
2は、タイマー本体1(カエル)の喉部であり、通常時は膨出しており、押し込むと内側へ変形できるようにするために、特にこの喉部2の部分は弾性変形しやすい比較的柔らかい樹脂で構成されている。ただしタイマー本体1全体を弾性変形しやすい比較的柔らかい樹脂で構成してもよい。図2はタイマー本体1を上方から見た斜視図であり、上部には、その中心部にオリフィス31の形成された比較的軟性の逆止弁3が貼着されている。なお逆止弁3とオリフィス31とを別の位置に形成してもよい。
【0014】
図3,4には、タイマー本体1の内部構造が一部断面図として示されている。図3に示されるようにタイマー本体1の内部には空気収納空間7が形成されており、この空気収納空間7は喉部2の裏側に位置し、前記した逆止弁3と小孔5を備える上蓋8で閉塞されている。さらに空気収納空間7には、バネ4が内蔵され、このバネ4は喉部2と上蓋8との間に位置し、両者を逆方向に付勢している。6は、このタイマー本体1を利用しない時に冷蔵庫等へ吸着させるためのマグネットである。特に図4はタイマー本体1の使用例であり、図3の状態のタイマー本体1の喉部2を指9で押圧した場合の形状が示されている。弾性変形しやすい比較的柔らかい樹脂で構成されている喉部2は、バネ4の変形とともにタイマー本体1内に入り込む。この時、空気収納空間7内の空気は逆止弁3を押し開けて小孔5から外部へ流出する。
【0015】
図5はこのタイマー本体1を下方から見た底面図であり、後端部近傍に線状凹部10が設けられており、この線状凹部10はカップ食材容器にタイマー本体1を載置する際の位置規定部となる。すなわち線状凹部10の凹部が容器体12の開口の縁部に嵌り位置決めできることになる。位置規定部はこのような線状凹部10でもよいが、線状凸部、またはそれら凹凸が点在するもの、さらには利用者がタイマー本体1を載置する際の目安として利用する凹凸のないマーカーでもよい。タイマー本体1の左または右にマーカーとしての印がついているものでもよい。また本例によれば線状凹部10の凹部がタイマー本体1の下面に左右方向に一本形成されているが、他の例として図5に破線で示される様に線状凹部10’を追加形成して前後に2本もしくはそれ以上の本数形成することもできる。当然凹凸のない複数のマーカーでもよい。すなわち複数の位置規定部を設け、これら複数の位置規定部をカップ食材容器にタイマー本体1を載置する際の位置規定部として選択して利用できることになる。すなわち後述するように、容器体12の開口のほぼ縁部に位置する線状凹部10(位置規定部)をほぼ支点として機能させる場合、位置規定部の選択で前記した支点を複数個選択できることになるのである。この位置規定部は、格別支点としての機能に限らず、落下する際の前後の荷重バランスを支配する位置としての機能に主眼を置いた利用でもよい。
【0016】
続いて図4に示される位置で指9の押圧を解放すると、タイマー本体1の喉部2は、バネ4の復帰力によって図3の位置に戻ろうとする。しかし復帰するには空気収納空間7内に空気の供給が必要であり、負圧状態の空気収納空間7内に外部から空気を吸い込もうとするも、逆止弁3が小孔5を塞ぐことになり、オリフィス31を介してしか負圧状態の空気収納空間7内に外部から空気を吸い込むことができないため、時間の掛かる復帰となる。したがって図4の状態から図3の状態に戻る時間は、オリフィス31の大きさやバネ4の弾性係数を選択することにより決定でき、時間の経過を計測するタイマー手段を得ることができる。また後述するが、喉部2の復帰移動は、前記タイマー手段によって所定の時間が計測された結果に起因して機能する解除手段となりうる。
【0017】
図6には、調理済みや一部調理済みの、麺や、ご飯、野菜、その他各種食材がカップ中に収納され、カップ内にお湯を注ぐことにより内部の食材を食する程度に暖めたり、調理できるカップ食材容器11が示されている。(イ)に示されるように、カップ食材容器11は一般に容器体12から蓋体13の一部分を剥離し、そこから湯を注いで麺の茹でを3分から5分程度待つ処理が必要となる。その処理時、蓋体13の一部剥離した部分は蓋体13が弾力性を有しており上方に捲れ易くなっている。ここでカップ食材容器11は一般に容器体12と蓋体13とから成り、蓋体13である上面と、容器体12側面とから成る角部が形成されている被載置体(カップ食材容器11)の蓋体13の一部剥離した部分を、その荷重で戻すように上面にタイマー本体が載置される。前記タイマー本体1の下面には、前記タイマー本体の載置時において前記被載置体(カップ食材容器11)の角部に対するタイマー本体1の載置位置を示す前記した位置規定部が形成されている。
【0018】
そこで(ロ)に示されるように、熱湯を注入のために開放されたカップ食材容器11の蓋体13の外周部分にタイマー本体1が置かれる。この例はタイマー本体1自体の荷重を利用するものであり、前記タイマー本体1の位置規定部の近傍が、その荷重を一度開放されたカップ食材容器11の蓋体13の外周部分における開放を抑制できる位置に配置されている。位置規定部である線状凹部10はカップ食材容器11にタイマー本体1を載置する位置の目安となり、線状凹部10はカップ食材容器11の蓋体13の外周部分、すなわち容器体12の開口のほぼ縁部(角部)に位置することになる。この位置は、後述する前記タイマー手段によって所定の時間が計測された結果に起因して機能する喉部2の復帰移動によるタイマー本体1の解除タイミングと密接に関係する。図4に示したようにタイマー本体1の喉部2を指9で押圧し、その状態で(ロ)に示されるように、熱湯を注入のために開放されたカップ食材容器11の蓋体13の外周部分にタイマー本体1が置かれる。
【0019】
タイマー本体1の喉部2は、バネ4の復帰力によって図3に位置に戻ろうとするが、前記したように図4の状態から図3の状態に戻る時間は、オリフィス31の大きさやバネ4の弾性係数の選択により決定され、時間の経過を計測するタイマー手段を得ることができる。要するにタイマー本体1は、カップ食材容器11の蓋体13の外周部分における少なくとも一部の開放を抑制または解放可能な開閉制御手段として機能することになり、続いてタイマー本体1は、時間の経過によって図4の状態から図3の状態に戻る。すなわち前記タイマー本体1は時間の経過に起因して前記タイマー本体1の重心が移動する重心移動手段を備えることになり、(ハ)に示されるようにタイマー本体1は所定時間経過後の前記タイマー本体1の重心が移動して前記蓋体13の外周部分からタイマー本体1が落下し、その荷重が失われる。すなわち容器体12の開口のほぼ縁部に位置する線状凹部10が支点となってタイマー本体1が回転して落下し、食材の調理等終了を報知できることになる。これに加えて、荷重が失われることにより、蓋体13の外周部分がその弾性力により開放し、食材の調理等終了を報知できる効果もある。
【0020】
図7には、タイマー本体1自体の荷重のバランス、すなわちタイマー本体1の重心が移動する重心移動に起因して、タイマー本体1が線状凹部10の位置、すなわち容器体12の開口のほぼ縁部の位置で回転することが示されている。すなわち容器体12の開口のほぼ縁部に位置する線状凹部10が支点となってタイマー本体1が回転して落下し、食材の調理等終了を報知できることになる。これに加えて、荷重が失われることにより、蓋体13の外周部分がその弾性力により開放し、食材の調理等終了を報知できる効果もある。なお、前記したように容器体12の開口のほぼ縁部に位置する線状凹部10(位置規定部)を複数個用意した場合について、支点となる位置規定部として前方を選択した場合、支点を中心としたタイマー本体1自体の荷重バランスは後が大となり、図7(ハ)に示されるタイマー本体1自体の荷重のバランスの変化で前記蓋体13の外周部分からタイマー本体1が落下する時間は早まり、また支点となる位置規定部として後方を選択した場合、支点を中心としたタイマー本体1自体の荷重バランスは前が大となり、図7(ハ)に示されるタイマー本体1自体の荷重のバランスの変化で前記蓋体13の外周部分からタイマー本体1が落下する時間は遅れることになり、カップ食材に応じたタイマー調整が可能となる。この位置規定部は、格別支点としての機能に限らず、落下する際のタイマー本体1前後の荷重バランスを支配する位置としての機能に主眼を置いた利用でもよいことは明らかである。
【0021】
図8は、本発明の第2実施形態であり、第2実施形態において、このタイマー本体1もカップ食材容器蓋の押え具として利用されているが、格別カップ食材容器に載せる必要はない。この実施例の場合、ゴム質の合成樹脂からなる物体であり、動物(カメ)の形状をしている。このタイマー本体1は後述するように所定の重量があり、カップ麺と称される食品を例に挙げると、カップ麺に湯を注ぐために剥離した蓋体の一部分が蓋体の弾力性により捲れ易く、この捲れた部分から熱が逃げないように、蓋体の一部分を閉塞状態で保持する程度の重量が与えられている。
【0022】
載置状態は前記実施形態で説明したので省略するが、タイマー本体1(カメ)は、基部40(胴部)と、重心移動の機能を果たす重心移動部30(甲羅部)から構成され、重心移動部30(甲羅部)内に設けられた空間部32内には流動体である水等の液体36が封入されている。また空間部32内には上端から仕切り部34が垂下しており、空間部32を下端のオリフィス部37を残して前後に仕切っている。またこの載置状態では少なくとも重心移動部30(甲羅部)は傾斜し、上方の液体36が下流側へオリフィス部37を介して流出できるようになっている。6は、このタイマー本体1を利用しない時に冷蔵庫等へ吸着させるためのマグネットである。
【0023】
図9には、タイマー本体1(カメ)の分解斜視図が示されており、重心移動部30(甲羅部)は、仕切り部34が垂下する比較的透明な透視板で形成されている上板33と下板38とで密封状態の空間部32が形成されている。空間部32は仕切り部34で前後に仕切られてはいるが、下端にはオリフィス部37が存在する。また下板38下方には回転ピン39が延出している。35は下板38下方に凸設している係止片である。基部40(胴部)は、上面44に前記回転ピン39と遊嵌するピン孔41を有し、また前後には前記係止片35と係合できる係止片42が設けられている。したがって重心移動部30(甲羅部)は、基部40(胴部)に対して回転ピン39を中心に回動可能であり、かつ係止片35と係止片42との比較的軽い係脱機能が用意されているため、両者は約180度回転して安定的に保持できるようになっている。図10はタイマー本体1(カメ)の一部破断状態の平面図である。特に本例によれば、図10に示されるように前記タイマー本体1の基部40(胴部)における位置規定部の近傍が、その荷重で一度開放されたカップ食材容器11の蓋体13の外周部分における開放を抑制できる位置に配置されているが、基部40(胴部)の一部である延出部、すなわちカメの腕を利用することによって、カップ食材容器11の蓋体13を広く押えることができ、蒸気の逃げを確実に防止できるようになっている。本例では上板33が透視板であるため、内部の流動体を視認でき、時間の経過を目で予測もできることになる。なお透視板は一部に利用されていてもよい。
【0024】
図11には、調理済みや一部調理済みの、麺や、ご飯、野菜、その他各種食材がカップ中に収納され、カップ内にお湯を注ぐことにより内部の食材を食する程度に暖めたり、調理できるカップ食材容器11が示されている。(イ)に示されるように、カップ食材容器11は一般に容器体12から蓋体13の一部分を剥離し、そこから湯を注いで麺の茹でを3分から5分程度待つ処理が必要となる。この例はタイマー本体1自体の荷重を利用するものであり、前記タイマー本体1の位置規定部の近傍が、その荷重を一度開放されたカップ食材容器11の蓋体13の外周部分における開放を抑制できる位置に配置されている。位置規定部である線状凹部10はカップ食材容器11にタイマー本体1を載置する位置の目安となり、線状凹部10はカップ食材容器11の蓋体13の外周部分、すなわち容器体12の開口のほぼ縁部(角部)に位置することになる。タイマー本体1の重心移動部30(甲羅部)内に設けられた空間部32内の水等の液体36は、仕切り部34の上方側に溜まった状態である。
【0025】
(ロ)に示されるように、この載置状態では少なくとも重心移動部30(甲羅部)は傾斜し、上方の液体36が下流側へオリフィス部37を介して流出を始める。封入された液体36の移動は、オリフィス部37の開口量や液体の粘性の選択により決定され、時間の経過を計測するタイマー手段を得ることができる。すなわちタイマー本体1は、時間の経過によって仕切り部34を挟んで移動し、これに伴い前記タイマー本体1の重心が移動する重心移動手段を備えることになり、(ハ)(ニ)に示されるようにタイマー本体1は所定時間経過後の前記タイマー本体1の重心が移動して前記蓋体13の外周部分からタイマー本体1が落下し、その荷重が失われる。この場合は容器体12の開口のほぼ縁部に位置する線状凹部10が支点となって、この支点をタイマー本体1の重心が越える状態になることにより、タイマー本体1が回転して落下し、食材の調理等終了を報知できることになる。これに加えて、荷重が失われることにより、蓋体13の外周部分がその弾性力により開放し、食材の調理等終了を報知できる効果もある。再度の使用時には、図9、10に示されるように、重心移動部30(甲羅部)が、基部40(胴部)に対して回転ピン39を中心に回動可能であり、かつ係止片35と係止片42との比較的軽い係脱機能が用意されているため、重心移動部30(甲羅部)を、基部40(胴部)に対して約180度回転して安定的に保持した状態で再度(イ)に示されるような載置が可能となる。なお、流動体として液体36に代えて砂、砂鉄、種々の粉体、更にはコロイド物質などを利用することができる。またオリフィス部37や仕切り部34の形状はこの実施例のものに限定されず、円孔や溝のオリフィス部37など種々の変更が可能なことは明らかである。なお本例では、タイマー本体が重心移動部30と基部40から成るが、重心移動部30のみの単体でもよく、この場合は再度使用する時に、上下の向きを変えて載置すればよい。
【0026】
図12は本発明の第3実施形態における斜視図であり、タイマー本体1の頭部22が内部に設置された移動棒14と連携し、前後に動くようになっている。具体的には、ギアケース15の溝17に対して移動棒14が前後に所定時間かけて動くようになっている。16はこのギアケース15内のギアを動かすゼンマイボックスである。(ロ)に示される頭部22が前に来ている状態のタイマー本体1が、熱湯を注入のために開放されたカップ食材容器11の蓋体13の外周部分に置かれる。この例はタイマー本体1自体の荷重を利用するものであり、前記タイマー本体1が、その荷重を開放されたカップ食材容器11の蓋体13の外周部分における開放を抑制できる位置に配置されている。そして頭部22は時間の経過とともに(ロ)に示される状態となり、タイマー本体1自体の荷重のバランスが変化する。その結果タイマー本体1が落下し、食材の調理等終了を報知できることになる。これに加えて、荷重が失われることにより、蓋体13の外周部分がその弾性力により開放し、食材の調理等終了を報知できる効果もある。この動きは図13に示されている。この場合、腕と胸部との境界部が、カップ食材容器にタイマー本体1を載置する際の位置規定部となる。
【0027】
別の実施形態である図14は脚部22’が時間の経過とともに移動し、タイマー本体1自体の荷重のバランスが変化する変形例であり、図15は腕部22”が時間の経過とともに移動し(この場合は瞬間的に動く)、すなわち腕部22”の移動はタイマー本体1の重心の移動でもあり、これに起因して、タイマー本体1自体の荷重の支えが無くなる変形例である。この実施形態は第3実施形態におけるギアケース15やゼンマイボックス16を用いた機構が採用されているが、時間とともに次第に動く機構を用いてもよい。この場合も、腕と胸部との境界部が、カップ食材容器にタイマー本体1を載置する際の位置規定部となる。
【符号の説明】
【0028】
1 タイマー本体
2 タイマー本体の喉部
3 逆止弁
4 バネ
5 小孔
6 マグネット
7 空気収納空間
8 上蓋
10 線状凹部
11 カップ食材容器
12 容器体
13 蓋体
14 移動棒
15 ギアケース
16 ゼンマイボックス
17 溝
22 頭部
22’ 脚部
22” 腕部
30 重心移動部
31 オリフィス
32 空間部
34 仕切り部
35 係止片
36 流動体
37 オリフィス部
39 回転ピン
40 基部
41 ピン孔
42 係止片
44 上面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面と側面とから成る角部を有する被載置体の前記上面に載置可能となっているタイマー本体であり、前記タイマー本体の一部には、前記タイマー本体の載置時において前記被載置体の角部に対するタイマー本体の載置位置を示す位置規定部が設けられているとともに、前記タイマー本体は時間の経過に起因して前記タイマー本体の重心が移動する重心移動手段を備え、所定時間経過後の前記タイマー本体の重心の移動で前記被載置体から前記タイマー本体が落下することを特徴としている調理用タイマー。
【請求項2】
前記重心移動手段が、所定の傾斜により、前記流動体が下流に移動することによって重心の移動を可能としていることを特徴とする請求項1に記載の調理用タイマー。
【請求項3】
少なくとも基部と前記流動体を備えた重心移動部とを有し、調理用タイマーが上面と側面とから成る角部を有する被載置体の前記上面に載置された状態で、重心移動部が側面側に傾斜状態になることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の調理用タイマー。
【請求項4】
少なくとも前記基部と前記重心移動部とを有し、前記基部に対して前記重心移動部が回動可能となっており、この回動によって前記重心移動部の前記流動体の配置位置を変更できるようになっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の調理用タイマー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate