説明

調理用簀の子

【課題】 本発明は、海苔巻きや伊達巻きなどの手巻き寿司を作る際の巻き具の他、電子レンジによる餅類の加熱調理用、蒸し鍋用、各種ケーキ作り用、食品類の水切りなど多用途に利用可能で、食材や具材との剥離性、耐熱性、洗浄性、防カビ性などに優れた多用途の食品調理用簀の子を提供する。
【解決手段】 本発明は、横長の帯片2の側辺3を連結片4を介して一体的に連ねた樹脂製簀の子1であって、該帯片の一側表面には複数の突起6を点在させて形成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種食品の調理に用いる調理用簀の子に関し、詳しくは海苔巻きや伊達巻きなどの手巻き寿司を作る際の巻き具の他、電子レンジによる餅類の加熱調理用、蒸し鍋用、各種ケーキ作り用、食品類の水切り用など多用途に利用可能な食品調理用簀の子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭で用いられている食品調理用の簀の子は主に手巻き寿司を作るときの巻き具として利用するのが普通であるが、その構造は特許文献1に示すように、複数本の竹ひごを凧糸などの糸で編み上げて形成されているのが普通である。
【0003】
ところが、これらの材料は後述する裏巻き寿司を作る際シャリ(米飯)や食材が簀の子にくっつき易いため、予め簀の子上にラップを敷いてその上に前記食材を載せて巻き上げるか、または使用前に予め竹ひごを水で湿らせてから巻き上げているのが普通である。
【0004】
また、上記食材の簀の子に対する付着性や使用後の洗浄性を改善したものとして、特許文献2に示すように簀の子の材料をシリコンゴムで一体成型した巻き寿司具も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−41641号公報(図1)
【特許文献2】特開2004−201662号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上で説明した食品調理用の簀の子は、何れも海苔巻き寿司を作るときの巻き具として利用することを目的に提案されているものであるが、例えば、近年家庭で食されている裏巻き寿司(通称カリフォルニアロールとも言う)のように巻き上げた寿司の表にシャリ(米飯)や具材が現れるようにした巻き寿司や、具材に粘着性があるロールケーキの調理用等に用いる場合には簀の子を予め水で湿らせておくかラップを敷くかしないと具材がくっついて使い難いという問題がある。
【0007】
さらに、特に、竹ひご製の簀の子の場合は空気中の水分を吸収し易く保管中にカビが発生して不衛生となったり、一旦付着した食材やカビの臭いが洗ってもなかなか取れ難いという問題もある。一方、前記シリコンゴム製の簀の子の場合は柔軟過ぎて所望とする食品の形状が保てない他、帯片の表面が平坦であることから例えば簀の子上に餅類やケーキ材料を載せて電子レンジで加熱調理する場合には加熱により粘着性が増した前記食材が簀の子にぴったりくっついて剥離し難いなど多目的に利用するには多くの問題点があるのが実情である。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点を解消して具材との剥離性、耐熱性、洗浄性、防カビ性などに優れた多用途向けの食品調理用簀の子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、横長の帯片2の側辺3を連結片4を介して一体的に連ねた樹脂製簀の子であって、該帯片の一側表面には複数の突起6を点在させて形成したことを特徴とする(請求項1)。
【0010】
さらに、前記帯片は、ポリプロピレン樹脂又はその他の合成樹脂により成形されると共に、その表面に形成した突起6は無数の凹凸部7と該凹凸部の表面にさらに複数の小凸部8を設けたダブルエンボスで形成することもできる(請求項2)。
【0011】
また、前記帯片2の側辺に設けた連結片4は、少なくも該帯片の高さの半分以下の厚さとしかつ屈曲自在に形成するとよい(請求項3)。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、帯片2の側辺3を連結片4を介して一体的に連ねると共に該帯片の一側表面には複数の突起6が点在していることから、特に裏巻き寿司やロールケーキ用食材のように粘着性のある具材を直接触れるように巻いても該具材が簀の子にくっつくことがない(請求項1)。
【0013】
また、前記帯片2はポリプロピレン樹脂又はその他の合成樹脂製でかつその表面には無数の凹凸部7と該凹凸部の表面にさらに複数の小凸部8を設けたダブルエンボスにより形成されていることから、例えば餅類やケーキ類のように粘着性の高い食材を簀の子1上に載せて電子レンジで加熱調理したとしても熱による変形もなく、さらに調理した後も食材が該簀の子に付着することなく容易に剥離できる他、使用後の洗浄・乾燥も容易で、そのうえカビの発生や臭いも皆無となる(請求項2)。
【0014】
さらに、前記帯片2の側辺3に設けた連結片4は該帯片の高さの半分以下の厚さで形成してあるため屈曲性(ヒンジ性)に富み繰り返しの巻き作業にも耐えると共に、隣接する帯片2間に生ずる適宜の空間によって目皿状になっているため食材の水切り・乾燥用や蒸し鍋の簀の子、さらには煮物類の灰汁(アク)取り用落し蓋としても有用である(請求項3)。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明調理用簀の子の平面図である。
【図2】本発明調理用簀の子の拡大断面図である。
【図3】裏巻き寿司の作り方を示す参考図である。
【図4】裏巻き寿司の完成状態の参考図である。
【図5】本発明の他の実施例の参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ポリプロピレン樹脂又はその他の合成樹脂による横長の帯片2の側辺3を連結片4を介して一体的に連ね、さらに該帯片の一側表面には複数の突起6を点在させたダブルエンボスに成形する。これにより、具材との離脱性、耐熱性、洗浄性、防カビ性などに優れた多用途向けの食品調理用簀の子として利用できる。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明の実施例を図1ないし図4により説明する。図1は本発明食品調理用の簀の子1の平面図で、横長の帯片2の側辺3にはその長手方向に沿って適宜間隔に複数箇所(図においては6箇所)設けた連結片4が設けられると共に、該連結片を挟んでその側方(図中下方)に適宜間隔で帯片2が複数本連なり、全体として平面視で略方形の簀の子状に一体成型されている。
【0018】
この帯片2と連結片4は、図2の如くポリプロピレン樹脂又はその他の合成樹脂により成形され、略平らな底辺5の上方面を断面略蒲鉾状に形成した帯片2の側辺3には該帯片の高さの少なくとも半分以下の厚さの連結辺4が図中横方向に延出し、次いで隣接する帯片2aの側辺と一体的に連結し以降同様に複数本の帯片が連結して簀の子状となっている。
【0019】
前記連結片4は、帯片3と同一材料で一体成型されているものであるが、その厚さは該帯片の高さよりも薄く形成されていることから柔軟で屈曲性に富み繰り返しの巻き作業においても好適な強度を保持しているものである。
【0020】
また、帯片2の一側である上方表面には略半円状に突出した複数の突起6により成る凹凸部7と該凹凸部の表面にさらに複数の小凸部8が形成したダブルエンボスが該帯片の長手方向に沿って無数に形成されている。なお、このダブルエンボスは本出願人の出願した特開2001−269274号公報で提案されているものでありその詳細説明は省略する。
【0021】
本発明は以上のように構成されており、例えば簀の子1の凹凸面6が表側となるように広げこの上に寿司用シャリ(米飯)10を直接載せ、さらに各種の具11を混載して巻き上げると(図3)、シャリ10又は具11が巻き寿司表面に直接現れ所望の裏巻き寿司12が完成する(図4)。この場合、簀の子1から巻き寿司を取り出す際も帯片2の表面が凹凸状のダブルエンボスで形成されていることから前記シャリや具材が簀の子1にくっつくことがない。
【0022】
換言すると、帯片2の表面が凹凸状のダブルエンボスに形成されていることから前記シャリ10又は具11表面との接触面積が小さくなるため、これら食材に多少の粘着性があったとしても容易に剥離できる。さらに、好ましくは使用前に予め帯片2(簀の子1)表面に水分を含ませてから使用すると、前記ダブルエンボスの凹凸部7面に表面張力によって水分が残留する保水効果によりさらに剥離性が向上する。
【0023】
また、本発明簀の子1はポリプロピレン樹脂など耐熱性の合成樹脂製であるから加熱調理用としても使用できる他、使用後の洗浄・乾燥も容易であるからカビの発生や食材の臭いも残留せず衛生的である。また、使用後は小さく巻いて保管すれば保管スペースも小さく好都合である。
【実施例2】
【0024】
図5は、簀の子1aを平面視で略円形に形成した他の実施例で、このように形成することにより例えば、電子レンジを活用した餅やケーキ類の加熱調理に使用する場合でも、該電子レンジの円形回転テーブル又は食品皿の形状(図示せず)とも一致しているので好都合である。この場合も、加熱調理によって前記食材が柔らかくなって簀の子に付着したとしても上述した理由により容易に簀の子1aから取り出すことができる。
【0025】
さらに、蒸し鍋のせいろ用として利用できる他、煮物類の灰汁(アク)取り用落し蓋として活用する際には煮物から吹き出た前記灰汁が帯片2上のダブルエンボス部に付着しその表面に寄せ集まってくるので好適に灰汁を除去できる。
【0026】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明調理用簀の子の形状は単に方形に限らず丸形もしくは多角形であってもよく、さらに帯片2の断面形状は蒲鉾型に限らず山形もしくは台形であってもよく、また、簀の子1表面にキャラクターや花柄など各種の模様を施せばその活用度もさらに増すなど本発明の要旨の範囲において各種の変形態様が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0027】
1 簀の子
2 帯片
3 側辺
4 連結片
6 突起
7 凹凸部
8 小凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横長の帯片の側辺を連結片を介して一体的に連ねた樹脂製簀の子であって、該帯片の一側表面には複数の突起を点在させて形成したことを特徴とする食品調理用簀の子。
【請求項2】
前記帯片は、ポリプロピレン樹脂又はその他の合成樹脂により成形されると共に、その表面に形成した突起は無数の凹凸部と該凹凸部の表面にさらに複数の小凸部を設けたダブルエンボスにより形成したことを特徴とする請求項1記載の食品調理用簀の子。
【請求項3】
前記帯片の側辺に設けた連結片は、少なくも該帯片の高さの半分以下の厚さとしかつ屈曲自在に形成したことを特徴とする請求項1記載の食品調理用簀の子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−119394(P2010−119394A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52906(P2010−52906)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3135945号
【原出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(000145552)株式会社曙産業 (10)
【Fターム(参考)】