説明

調節可能な磁性ターゲット

磁気近接スイッチと共に用いられる磁性ターゲット(22)が提供される。磁性ターゲット(22)は、円筒型の管体(24)を含む。管体(24)は、穴部を部分的に規定する開口した端部を有する。固定磁石(28)が前記開口した端部の反対側の穴部内に設けられ、可動磁石(30)が、前記固定磁石と前記開口した端部との間の穴部内に配置される。調節部材(26)が前記穴部内に受け入れられ、前記調節部材の接触表面が可動磁石(30)と係合する。調節部材(26)が軸方向に変位すると、前記接触表面に起因して、可動磁石(30)が固定磁石(28)に対して対応量だけ変位し、その結果、各磁石の磁束場は、各磁石の長手方向軸から離隔方向におけるラジアル方向に延びる。前記固定磁石および前記可動磁石は、軸方向に磁化されたサマリウムコバルト磁石であってもよいし、あるいは、軸方向に磁化されたネオジム磁石であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に磁気近接スイッチに関し、より詳細には、磁気近接スイッチのセンサーによって検出される磁性ターゲットに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気近接スイッチ(リミットスイッチとしても知られる)は、線形位置感知において普通に用いられている。典型的には、磁気近接スイッチはターゲットおよびセンサーを含み、前記センサーはスイッチング回路に接続される。前記スイッチング回路は、2つのリーフ部と、固定部と、ガラス筺体内に密閉された可動部とを有する。前記ガラス筺体そのものは、スイッチ本体内に含まれる。前記ターゲット(これは一般的には、ハウジング内に含まれる永久磁石を含む)が前記センサーの所定範囲内において通過すると、前記ターゲット磁石によって発生した磁束に起因して、前記可動リーフが前記固定リーフと接触し、これにより、前記スイッチが閉まる。
【0003】
センサーは、物理的接触の必要無く、磁性ターゲットの位置を検出することができるため、ターゲットが密封ハウジング内に含まれ及び前記センサーはハウジング外部に設けられる用途において、磁気近接スイッチを利用することが可能である。例えば、主蒸気隔離弁(MSIV)はゲート弁であり、本ゲート弁は原子炉システムにおいてタービンとボイラーとの間に配置される。MSIVは、放射性物質が蒸気供給中に漏れた場合に、ボイラーとタービンとの間の蒸気流を遮断するために用いられる。前記放射性物質を確実に阻止する必要があるため、前記MSIVは、安全な圧力容器内に収容される。前記MSIVのゲートのバルブ軸に接続された磁性ターゲットにより、前記圧力容器外部に配置されたセンサーは、前記ゲートが特定の位置(例えば、前記MSIVが密閉された位置)に到達したかどうかを検出することができる。
【0004】
上述したMSIVなどの用途において、前記磁性ターゲットおよび前記センサーは通常は、比較的大きな距離で離隔されている。このような場合、前記磁性ターゲットは、円筒型のラジアル方向に磁化されたサマリウムコバルト(SmCo)磁石10を含むことが多い。このようなSmCo磁石10は概して部分楕円形状の磁束場12(図1中に示す)を有し、この磁束場は、SmCo磁石10の上面および下面と交差することが認められている。この部分楕円は、磁石10の長手方向軸16に対して垂直な主軸14を有し、これにより、前記楕円が長手方向軸16から離隔方向に延びている。センサー18はセンサー18の平面検出表面20と垂直方向に交差する磁束場12の成分を検出するため、当業者であれば、SmCo磁石10の長細形状の磁束場12により、SmCo磁石10が長手方向軸16から比較的離れた場所にあるとき、センサー18がSmCo磁石10を検出することが可能となることを理解する。
【0005】
ラジアル方向に磁化されたSmCo磁石10のさらなる特徴として、磁石の長手方向軸に対して磁束場が実質的に均一である点がある。その結果、センサーが特定の空間位置において磁束場を検出した場合、前記センサーが有する磁石の磁束場を検出する能力に影響を与えることなく、前記ラジアル方向に磁化されたSmCo磁石をその長手方向軸周囲において回転させることができる。このような長手方向の均一性は、回転可能なバルブ要素(例えば、MSIVのバルブ軸)に磁性ターゲットが接続されている用途において、望ましい場合がある。
【0006】
しかし、ラジアル方向に磁化されたSmCo磁石の利用には、大きな欠陥があり得る。すなわち、ラジアル方向に磁化されたSmCo磁石は製造するのが困難であり、かつ高コストである。従来の磁石は製造するのが安価かつ簡単であるが、このような磁石の磁束場は比較的弱いため、障害物(例えば、圧力容器壁)によって磁石がセンサーから離れている場合、磁束場の検出が不可能となる。このような磁石の場合、磁束場も長手方向に不均一であるため、固定センサーに対して磁石がわずかに回転しただけで、センサーによるターゲット検出が不可能になり得る。軸方向に磁化されたSmCo磁石は、ラジアル方向に磁化されたSmCo磁石よりも製造がより低コストかつ簡単であるものの、このような磁石の楕円磁束場の主軸は、磁石の長手方向軸に対して垂直ではなく平行である。当業者であれば、このような磁束場を検出するためには、軸方向に磁化されたSmCo磁石の比較的近隣にセンサーを配置する必要があるため、このような磁石は、センサーとターゲットとの間の距離が比較的大きな用途においては不向きであることを認識する。
【0007】
そのため、ラジアル方向に磁化されたSmCo磁石の磁束場の強度および長手方向の均一性を含むことなく、ラジアル方向に磁化されたSmCo磁石に代わる、低コストかつ製造が容易なものが必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明の1つの例示的態様によれば、磁性ターゲットアセンブリは、管体を含む。前記管体は、開口した近位端部と、前記近位端部の反対側の遠位端部と、前記遠位端部に隣接する遠位表面とを有する。前記開口した端部は、前記管体内において長手方向に配置された穴部を規定する。前記磁性ターゲットアセンブリは、調節部材も含む。前記調節部材は、調節部と、前記調節部に接続された係合部とを有する。前記係合部の遠位端部に接触表面が配置され、前記係合部は、前記穴部内に受け入れられ、前記管体に変位可能に接続される。前記磁性ターゲットアセンブリは、前記穴部内に配置された固定磁石をさらに含み、これにより、前記固定磁石の第2の極が前記管体の前記遠位端部の近位に位置し、前記固定磁石の第1の極が前記第2の極の反対側に来るようにする。前記調節部材と前記固定磁石との間の前記穴部内に配置された可動磁石も設けられ、これにより、前記可動磁石の第1の極が前記前記固定磁石の第1の極に隣接し、前記可動磁石の第2の極が前記調節部材の前記接触表面の近位に位置するようにする。前記可動磁石の上面は、前記調節部材の前記接触表面と係合するように配置され、これにより、前記調節部材が前記管体の前記遠位端部に向かって長手方向に変位すると、前記可動磁石が前記固定磁石に向かって変位する。この変位に起因して、前記固定磁石の磁束場が前記固定磁石の長手方向軸および前記可動磁石の磁束場から離隔方向に延び、これにより、前記可動磁石の長手方向軸から離隔方向に延びる。
【0009】
別の実施形態において、前記固定磁石および前記可動磁石はどちらとも円筒型の軸方向に磁化されたサマリウムコバルト磁石であるかまたはどちらとも円筒型の軸方向に磁化されたネオジム磁石である。
【0010】
さらに別の実施形態において、前記穴部は、前記近位端部に隣接するねじ部を有する。前記ねじ部は、前記調節部材の前記係合部のねじ部に接続されるように適合され、これにより、前記調節部材が前記管体に対して回転すると、前記調節部材の前記長手方向変位が発生する。もう1つの実施形態において、前記調節部は、前記係合部と一体形成されたフランジ端部を含む。
【0011】
さらなる実施形態において、前記固定磁石および前記可動磁石双方の第1の極は北であり、前記固定磁石および前記可動磁石双方の第2の極は南である。別の実施形態において、前記固定磁石および前記可動磁石双方の第1の極は南であり、前記固定磁石および前記可動磁石双方の第2の極は北である。
【0012】
本発明の別の例示的態様によれば、バルブ要素の位置を決定するシステムは、ハウジング内に配置されたバルブを含み、前記バルブは、バルブ軸に接続されたゲートを有する。磁性ターゲットも前記バルブ軸に接続され、前記磁性ターゲットは、開口した近位端部を有する管体と、前記近位端部の反対側の遠位端部と、前記遠位端部に隣接する遠位表面とを有する。前記開口した端部は、前記管体内において長手方向に配置された穴部を規定する。前記磁性ターゲットアセンブリはまた、調節部を有する調節部材と、前記調節部に接続された係合部とを含む。接触表面が前記係合部の遠位端部に配置され、前記係合部は、前記穴部内に受け入れられ、前記管体に変位可能に接続される。前記磁性ターゲットアセンブリは、前記穴部内に配置された固定磁石をさらに含み、その際、前記固定磁石の第2の極が前記管体の前記遠位端部の近位に位置し、前記固定磁石の第1の極が前記第2の極に対抗するようにする。また、前記調節部材と前記固定磁石との間の前記穴部内に配置された可動磁石も含まれ、その際、前記可動磁石の第1の極が前記固定磁石の第1の極に隣接し、前記可動磁石の第2の極が前記調節部材の前記接触表面の近位に位置するようにする。前記可動磁石の上面は、前記調節部材の前記接触表面と係合するように配置され、その際、前記調節部材が前記管体の前記遠位端部に向かって長手方向に変位すると、前記可動磁石が前記固定磁石に向かって変位する。この変位に起因して、前記固定磁石の磁束場は、前記固定磁石の長手方向軸から離隔方向に延び、前記可動磁石の磁束場は、前記可動磁石の長手方向軸から離隔方向に延びる。その近位端部においてセンサーを有する、磁気的にトリガーされる近接スイッチも含まれ、前記磁気的にトリガーされる近接スイッチは、前記ハウジングの外部に固定されて設けられる。前記磁気的にトリガーされる近接スイッチのセンサーは、前記固定磁石の磁束場または前記可動磁石の磁束場を検出するように、適合される。
【0013】
別の実施形態において、前記固定磁石および前記可動磁石は、どちらとも円筒型の軸方向に磁化されたサマリウムコバルト磁石であるか、どちらとも円筒型の軸方向に磁化されたネオジム磁石である。
【0014】
さらに別の実施形態において、前記穴部は、前記近位端部に隣接するねじ部を有する。前記近位端部に隣接するねじ部は、前記調節部材が前記管体に対して回転すると、前記調節部材が長手方向に変位するように、前記調節部材の前記係合部のねじ部に接続するように適合される。もう1つの実施形態において、前記調節部は、前記係合部と一体形成されたフランジ端部を含む。
【0015】
さらなる実施形態において、前記固定磁石および前記可動磁石双方の第1の極は北であり、前記固定磁石および前記可動磁石双方の第2の極は南である。別の実施形態において、前記固定磁石および前記可動磁石双方の第1の極は南であり、前記固定磁石および前記可動磁石双方の第2の極は北である。さらに別の実施形態において、前記ハウジングは封入型ハウジングである。
【0016】
本発明のもう一つの例示的態様によれば、ラジアル方向に磁化された永久磁石の磁束場を2つの軸方向に磁化された永久磁石を用いてシミュレートする方法は、軸方向に磁化された第1の永久磁石を提供するステップであって、前記第1の永久磁石は、第1の極と、第2の極と、第1の磁束場とを有する、ステップを含む。軸方向に磁化された第2の永久磁石も提供される。前記第2の永久磁石は、第1の極と、第2の極と、第2の磁束場とを有する。前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石が配置される際、前記第1の永久磁石の長手方向軸が前記第2の永久磁石の長手方向軸と実質的に同軸になり、前記第1の永久磁石の第1の極が前記第2の永久磁石の第1の極の近位に来るようにする。前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石は、長手方向に距離を空けて配置される。前記第1の永久磁石と前記第2の永久磁石との間の長手方向距離を低減するための機構が設けられ、これにより、前記第1の永久磁石の前記第1の磁束場前記第1の永久磁石の長手方向軸から離隔方向に延ばし、前記第2の永久磁石の前記第2の磁束場を前記第2の永久磁石の長手方向軸から離隔方向に延ばす。
【0017】
別の実施形態において、前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石は、双方とも円筒型の軸方向に磁化されたサマリウムコバルト磁石であるか、あるいは、双方とも円筒型の軸方向に磁化されたネオジム磁石である。
【0018】
さらなる実施形態において、前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石双方の前記第1の極が北であり、前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石双方の前記第2の極が南である。別の実施形態において、前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石双方の前記第1の極が南であり、前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石双方の前記第2の極が北である。
【0019】
さらに別の実施形態において、前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石は、管体の穴部内に配置される。さらに別の実施形態において、前記第1の永久磁石と前記第2の永久磁石との間の長手方向距離を低減するための機構は、ねじ部を有する調節部材を含む。前記調節部材は、前記調節部材が前記管体に対して回転すると、前記調節部材の前記長手方向変位が発生するように、前記管体の前記穴部内においてねじ部と係合する。
【0020】
さらに別の実施形態において、封入型バルブハウジング内の変位可能なゲートを有するバルブが提供され、前記ゲートは、変位可能なバルブ軸に固定される。前記第1の永久磁石と前記第2の永久磁石との間の長手方向距離を低減するための機構は、前記管体に接続され、前記管体は、前記バルブ軸に固定される。前記バルブハウジングの外部にセンサーが設けられる。前記センサーは、前記バルブ軸が所望位置まで変位した際、前記第1の磁束場または前記第2の磁束場のいずれかを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ラジアル方向に磁化されたSmCo磁石と、センサーとの側面図である。
【図2】調節可能な磁性ターゲットの断面側面図である。
【図3a】軸方向に磁化されたSmCo磁石の磁束場の多様な図である。
【図3b】軸方向に磁化されたSmCo磁石の磁束場の多様な図である。
【図3c】軸方向に磁化されたSmCo磁石の磁束場の多様な図である。
【図3d】軸方向に磁化されたSmCo磁石の磁束場の多様な図である。
【図4a】前記バルブ軸に固定された磁性ターゲットを有するゲート弁と、前記バルブハウジングの外部に配置されたセンサーとの断面側面図である。
【図4b】前記バルブ軸に固定された磁性ターゲットを有するゲート弁と、前記バルブハウジングの外部に配置されたセンサーとの断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図2に示すように、調節可能な磁性ターゲット22は、管体24と、管体24内に長手方向に受け入れられた調節部材26とを含む。軸方向に磁化された固定SmCo磁石28が管体24内に配置され、軸方向に磁化された可動SmCo磁石30も、調節部材26と固定SmCo磁石28との間において管体24内に配置される。可動SmCo磁石30が調節部材26と係合する際、調節部材26が固定SmCo磁石28に向かってまたは固定SmCo磁石28から離隔方向に変位した場合、可動SmCo磁石30も前記固定SmCo磁石に向かってまたは前記固定SmCo磁石から離隔方向に変位するように、係合が行われる。
【0023】
図2は、管体24の断面図である。管体24は、好適には、円形断面の概して円筒型の形状を有する。しかし、管体24は、任意の断面形状(例えば、多角形または楕円形)であってもよい。管体24は、金属またはプラスチックから形成され得、従来のプロセス(例えば、鋳造、射出成形、または押出)を用いて製造可能である。管体24は、調節部材26を受け入れる、開口した近位端部32を持ち得る。近位端部32および内面34は、穴部36を部分的に規定し得る。穴部36は、管体24を通じて長手方向に延びる。穴部36は、遠位表面38によってさらに規定され得る。遠位表面38は、管体24の遠位端部40に隣接して配置される。遠位端部40は、長手方向において近位端部32の反対側にある。ねじ部42が、管体24の近位端部32に隣接する内面34上に形成され得る。管体24は、また、第1の外側断面直径44と、第1の直径44よりも小さな第2の断面直径46とを持ち得、これにより、肩部48を形成する。
【0024】
再度図2を参照して、調節可能な磁性ターゲット22は、調節部材26も有する。調節部材26は、調節部50と、調節部50に固定された係合部52とを有する。調節部50は、係合部52と一体形成され得、レンチまたは他のツールによって係合するように適合されたフランジ多角形状を持ち得る。係合部52は、概して円筒形状であり、外径が管体24の穴部36の直径よりも若干小さい。係合部52は、ねじ部54を持ち得る。ねじ部54の構成は、ねじ部54が管体24のねじ部42と係合する際、調節部材26の長手方向軸に対して垂直方向の第1の方向に調節部材26が回転すると、調節部材26が管体24の遠位端部40に向かって長手方向に変位し、かつ、第1の方向と反対方向の第2の方向に調節部材26が回転すると、調節部材26が管体24の遠位端部40から離隔方向において長手方向に変位するような構成である。調節部材26は、接触表面56も含み得る。接触表面56は、係合部52の遠位端部に配置される。接触表面56は、図2に示すように、調節部材26の長手方向軸に対して実質的に垂直な平坦面であり得る。しかし、接触表面56は、調節部材26と可動SmCo磁石30との間の接触点を提供可能な任意の表面であればよい。
【0025】
再度図2を参照して、調節可能な磁性ターゲット22は、軸方向に磁化された固定サマリウムコバルト(SmCo)磁石28も含む。固定SmCo磁石28は、遠位端部40に隣接する管体24内に配置される。固定SmCo磁石28は円形断面であり得、これにより、固定SmCo磁石28も概して円筒形状であり、固定SmCo磁石28の外径は、管体24の穴部36よりも若干小さくなり得る。しかし、固定SmCo磁石28は任意の断面形状(例えば、楕円形または多角形)であってもよい。固定SmCo磁石28の上面58は、平面であり得、固定SmCo磁石28の長手方向軸60に対して概して垂直に配置され得る。固定SmCo磁石28の底面62も平面であり得、上面58に対して概して平行であり、固定SmCo磁石28の底面62は、管体24の遠位表面38と接触する。固定SmCo磁石28は、第1の極64(図2中において北として記載)と、第2の極66(図2中において南として記載)とを有する。第1の極64は、上面58の近位にあり、第2の極66は、底面62の近位にある。
【0026】
調節可能な磁性ターゲット22は、図2に示すように、管体24内に配置された可動SmCo磁石30も含む。可動SmCo磁石30は、固定SmCo磁石28と同一の物理特性および磁気特性を持ち得る。すなわち、可動SmCo磁石30は、軸方向に磁化され得、円筒形状であり得、外径が管体24の穴部36よりも若干小さい。可動SmCo磁石30の上面68は平面であり得、可動SmCo磁石30の長手方向軸70に対して概して垂直に配置され得る。可動SmCo磁石30の底面72も平面であり得、上面68に対して概して平行である。可動SmCo磁石30もまた、第1の極74(図2中において北として記載)と、第2の極76(図2中において南として記載)とを有する。第1の極74は、底面72の近位にあり、第2の極76は、上面68の近位にある。図2に示すように、可動SmCo磁石30は、これにより、可動SmCo磁石30の第1の極74が固定SmCo磁石30の第1の極64に隣接するように、調節部材26の接触表面56と、固定SmCo磁石28との間において管体24の穴部36内に配置され得る。磁気斥力に起因して、可動SmCo磁石30が固定SmCo磁石28から離隔方向に付勢され、これにより、可動SmCo磁石30の上面68の一部が調節部材26の接触表面56の一部と係合する。固定SmCo磁石28の第1の極64が南でありかつ可動SmCo磁石30の第1の極74が南である場合も、同様の効果を得ることができる。軸方向に磁化された固定SmCo磁石28および可動SmCo磁石30はどちらとも、当該分野において周知の材料およびプロセスを用いて製造される。
【0027】
軸方向に磁化された固定SmCo磁石28と、軸方向に磁化された可動SmCo磁石30とはそれぞれ、磁束場を有する永久磁石である。磁石28および30が図3aに示すように初期距離Djだけ離隔されると、固定SmCo磁石28の磁束場78および可動SmCo磁石30の磁束場80はそれぞれ、概して部分的楕円形状になる。固定SmCo磁石28を一例として用いて、概して楕円形状の磁束場80は、上面58から底面62へと延び、主軸82と、短軸84とを有する。図3bに示すように、主軸82は、固定SmCo磁石28の長手方向軸60に対して平行であり、短軸84は、長手方向軸60に対して垂直である。可動SmCo磁石30が固定SmCo磁石28に向かって長手方向に変位すると、可動SmCo磁石30の磁束場78は、固定SmCo磁石28の磁束場80との相互作用を開始する。この相互作用ゾーンに入った後(例えば、図3cに示すように可動SmCo磁石30が距離D2だけ固定SmCo磁石28から離隔すると)、磁束場78および80の形状が変化し始める。すなわち、図3dの固定SmCo磁石によって示すように、楕円磁束場80は、固定SmCo磁石28の長手方向軸60からラジアル方向に伸長し、これにより、主軸82は長手方向軸60に対して垂直になり、短軸84は長手方向軸60に対して平行になる。この相互作用に起因して、可動SmCo磁石30の磁束場78も同様に変化する。その結果、軸方向に磁化されたSmCo磁石28および30の磁束場78および80の相互作用に起因して、磁束場78および80はそれぞれ、ラジアル方向に磁化されたSmCo磁石10の磁束場12の形状をシミュレートする。
【0028】
これらの磁石が前記相互作用ゾーンに入ると、例えば可動SmCo磁石30を固定SmCo磁石28に対して長手方向に変位させることにより、磁束場78および80の形状を調節することが可能となる。調節可能な磁性ターゲット22から比較的遠位位置にセンサーを配置した場合、可動SmCo磁石30が固定SmCo磁石30に向かって変位するように磁性ターゲット22の調節部材26を回転させることが可能になり、これにより、磁石28および30の長手方向軸60および70から離隔方向において磁束場78および80をラジアル方向に拡張させる。磁束場78および80が前記センサーによる検出が可能なレベルまで十分に外側に延びるまで、調節部材26の回転が継続する。
【0029】
ラジアル方向に磁化されたSmCo磁石10の磁束場をシミュレートすることにより、磁石とセンサーとの間の距離を比較的長くする必要がある用途において、軸方向に磁化されたSmCo磁石28および30をラジアル方向に磁化されたSmCo磁石10の代わりに用いることが可能になる。例えば、(縮尺通りではない)図4aおよび図4bに示すように、バルブ88のゲート86が密閉バルブハウジング90内の特定の点まで変位したかどうかを決定することが望まれる場合に、調節可能な磁性ターゲット22をバルブ軸92に接続することができる。図4aにおいて、軸92に接続された調節可能な磁性ターゲット22が磁気近接スイッチ96(例えば、GOスイッチ(登録商標)(製造元:TopWorx,Inc.))のセンサー94の検出範囲外になるように、ゲート86が第1の位置に設けられる。しかし、図4bに示すように、ゲート86が第2の位置(例えば、閉口位置)に変位すると、調節可能な磁性ターゲット22はセンサー94の検出範囲内に入り、磁気近接スイッチ96は状態を変える。磁気近接スイッチ96の状態変化を示す信号をコントローラ(図示せず)へと送り、LEDまたはアラーム(図示せず)の形態の警告をトリガすることで、前記バルブが閉まっていることを示すことができる。
【0030】
多様な実施形態について説明してきたが、本開示はこれらに限定されない。全て添付の特許請求の範囲内にある開示の実施形態における変更が可能である。例えば、固定磁石28および可動磁石30をサマリウムコバルト(SmCo)磁石として説明してきたが、他の種類の磁石(例えば、ネオジム磁石およびアルニコ磁石)も利用可能である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口した近位端部と、前記近位端部の反対側の遠位端部と、前記遠位端部に隣接する遠位表面とを有し、前記開口した端部は、前記管体内において長手方向に配置された穴部を規定した菅体と、
調節部と、前記調節部に接続された係合部と、前記係合部の遠位端部に隣接して配置された接触表面とを有し、前記係合部は、前記穴部内に受け入れられ、前記管体に変位可能に接続された調節部材と、
前記固定磁石の第2の極が前記管体の前記遠位端部の近位にあり、かつ前記固定磁石の第1の極が前記第2の極と反対側になるように、前記穴部内に配置された固定磁石と、
前記可動磁石の第1の極が前記前記固定磁石の第1の極に隣接し、かつ前記可動磁石の第2の極が前記調節部材の前記接触表面の近位に来るように、前記調節部材と前記固定磁石との間の前記穴部内に配置された可動磁石と、
を含み、
前記調節部材が前記管体の前記遠位端部に向かって長手方向に変位すると、前記可動磁石が前記固定磁石に向かって変位して、これにより前記固定磁石の磁束場が前記固定磁石の長手方向軸から離隔方向に延び、かつ前記可動磁石の磁束場が前記可動磁石の長手方向軸から離隔方向に延びるように、前記第2の極に隣接する前記可動磁石の上面が、前記調節部材の前記接触表面と係合するように配置される、
磁性ターゲットアセンブリ。
【請求項2】
前記固定磁石および前記可動磁石は、どちらとも円筒型の軸方向に磁化されたサマリウムコバルト磁石であるか、またはどちらとも円筒型の軸方向に磁化されたネオジム磁石である、請求項1に記載の磁性ターゲットアセンブリ。
【請求項3】
前記穴部は、前記近位端部に隣接するねじ部を有し、前記近位端部に隣接する前記ねじ部は、前記調節部材が前記管体に対して回転すると、前記調節部材の前記長手方向変位が発生するように、前記調節部材の前記係合部のねじ部に接続されるように適合される、請求項1に記載の磁性ターゲットアセンブリ。
【請求項4】
前記調節部は、前記係合部と一体形成されたフランジ端部を含む、請求項3に記載の磁性ターゲットアセンブリ。
【請求項5】
前記固定磁石および前記可動磁石双方の第1の極は北であり、前記固定磁石および前記可動磁石双方の第2の極は南である、請求項1に記載の磁性ターゲットアセンブリ。
【請求項6】
前記固定磁石および前記可動磁石双方の第1の極は南であり、前記固定磁石および前記可動磁石双方の第2の極は北である、請求項1に記載の磁性ターゲットアセンブリ。
【請求項7】
バルブ要素の位置を決定するシステムであって、
ハウジング内に配置され、バルブ軸に接続されたゲートを有したバルブと、
前記バルブ軸に接続された磁性ターゲットであって、該磁性ターゲットは、開口した近位端部と、前記近位端部の反対側の遠位端部と、前記遠位端部に隣接する遠位表面とを有した管体を備え、前記開口した端部は、前記管体内において長手方向に配置された穴部を規定した磁性ターゲットと、
調節部と、前記調節部に接続された係合部と、前記係合部の遠位端部に隣接して配置された接触表面とを有し、前記係合部は、前記穴部内に受け入れられ、前記管体に変位可能に接続された調節部材と、
前記固定磁石の第2の極が前記管体の前記遠位端部の近位にあり、かつ前記固定磁石の第1の極が前記第2の極と反対側になるように、前記穴部内に配置された固定磁石と、
前記可動磁石の第1の極が前記前記固定磁石の第1の極に隣接しかつ前記可動磁石の第2の極が前記調節部材の前記接触表面の近位に来るように、前記調節部材と前記固定磁石との間の前記穴部内に配置された可動磁石と、
その近位端部においてセンサーを有し磁気的にトリガーされる近接スイッチであって、該近接スイッチは、前記ハウジングの外部に固定されて配置され、該センサーは、前記固定磁石の磁束場または前記可動磁石の磁束場を検出するように適合される、近接スイッチと、
を含み、
前記調節部材が前記管体の前記遠位端部に向かって長手方向に変位すると、前記可動磁石が前記固定磁石に向かって変位して、これにより前記固定磁石の磁束場が前記固定磁石の長手方向軸から離隔方向に延び、かつ前記可動磁石の磁束場が前記可動磁石の長手方向軸から離隔方向に延びるように、前記第2の極に隣接する前記可動磁石の上面が、前記調節部材の前記接触表面と係合するように配置される、
バルブ要素の位置を決定するシステム。
【請求項8】
前記固定磁石および前記可動磁石は、どちらとも円筒型の軸方向に磁化されたサマリウムコバルト磁石であるか、またはどちらとも円筒型の軸方向に磁化されたネオジム磁石である、請求項7に記載のバルブ要素の位置を決定するシステム。
【請求項9】
前記穴部は、前記調節部材が前記管体に対して回転すると、前記調節部材の前記長手方向変位が発生するように、前記調節部材の前記係合部のねじ部に接続するように適合された前記近位端部に隣接するねじ部を有する、請求項7に記載のバルブ要素の位置を決定するシステム。
【請求項10】
前記調節部は、前記係合部と一体形成されたフランジ端部を含む、請求項7に記載のバルブ要素の位置を決定するシステム。
【請求項11】
前記固定磁石および前記可動磁石双方の第1の極は北であり、前記固定磁石および前記可動磁石双方の第2の極は南である、請求項7に記載のバルブ要素の位置を決定するシステム。
【請求項12】
前記固定磁石および前記可動磁石双方の第1の極は南であり、前記固定磁石および前記可動磁石双方の第2の極は北である、請求項7に記載のバルブ要素の位置を決定するシステム。
【請求項13】
前記ハウジングは封入型ハウジングである、請求項7に記載のバルブ要素の位置を決定するシステム。
【請求項14】
ラジアル方向に磁化された永久磁石の磁束場を2つの軸方向に磁化された永久磁石を用いてシミュレートする方法であって、
軸方向に磁化された第1の永久磁石を提供するステップであって、前記第1の永久磁石は、第1の極、第2の極および第1の磁束場を有する、ステップと、
軸方向に磁化された第2の永久磁石を提供するステップであって、前記第2の永久磁石は、第1の極、第2の極および第2の磁束場を有する、ステップと、
前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石が配置される際、前記第1の永久磁石の長手方向軸が前記第2の永久磁石の長手方向軸と実質的に同軸になり、前記第1の永久磁石の第1の極が前記第2の永久磁石の第1の極の近位に来るようにするステップであって、前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石は、長手方向距離だけ離隔される、ステップと、
前記第1の永久磁石と前記第2の永久磁石との間の長手方向距離を低減するための機構を設けることで、前記第1の永久磁石の前記第1の磁束場を前記第1の永久磁石の長手方向軸から離隔方向に伸長させ、前記第2の永久磁石の前記第2の磁束場を前記第2の永久磁石の長手方向軸から離隔方向に伸長させる、ステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石はどちらとも円筒型の軸方向に磁化されたサマリウムコバルト磁石であるか、またはどちらとも円筒型の軸方向に磁化されたネオジム磁石である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石双方の前記第1の極は北であり、前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石の前記第2の極は南である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石双方の前記第1の極は南であり、前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石の前記第2の極は北である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石は、管体の穴部内に配置される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の永久磁石と前記第2の永久磁石との間の長手方向距離を低減するための前記機構は、前記調節部材が前記管体に対して回転すると、前記調節部材の前記長手方向変位が発生するように、前記管体の前記穴部内のねじ部と係合するねじ部を有する調節部材を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
封入型バルブハウジング内の変位可能なゲートを有するバルブを提供するステップであって、該ゲートは変位可能なバルブ軸に固定される、ステップと、
前記管体に対する前記第1の永久磁石と前記第2の永久磁石との間の長手方向距離を低減するように前記機構を接続し、前記管体を前記バルブ軸に固定するステップと、
前記バルブハウジングの外部にセンサーを設けるステップであって、前記センサーは、前記バルブ軸が所望位置まで変位した際、前記第1の磁束場または前記第2の磁束場を検出することができる、ステップと、
をさらに含む、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4a】
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【図4b】
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【公表番号】特表2013−504161(P2013−504161A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527899(P2012−527899)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/045882
【国際公開番号】WO2011/028421
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(512014762)ジェネラル イクイップメント アンド マニュファクチャリング カンパニー, インコーポレイテッド, ディー/ビー/エー トップワークス, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】