説明

調節弁の保守管理システムおよび保守管理方法

【課題】 プラグおよびシートリングの切削量などの情報を、作業者が互いに共有することができる調節弁の保守管理システムおよび保守管理方法を提供する。
【解決手段】 本発明に係る調節弁の保守管理システムは、保守管理の対象となる各調節弁ごとに、少なくともメンテナンス作業の実施周期と過去のメンテナンス作業履歴とを記録する管理用データベース21と、この過去のメンテナンス作業履歴データベース24とメンテナンス実施周期データベース25とに基づき、各調節弁ごとにメンテナンス作業の実施時期を策定する管理プログラム20と、を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電所や工場で使用されている調節弁について、メンテナンス作業の管理を行うために適用される調節弁の保守管理システムおよび保守管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所や工場等では、摩耗部品や経年劣化する部品について、安全性のために定期的にメンテナンス作業を行う必要がある。このようなメンテナンス作業は、作業者(以下、ユーザともいう)が定期的に点検を実施して、発見した摩耗している部品や損傷している部品に対し、修理や交換などの適切な処置を行うことが一般的である。
【0003】
このような摩耗部品としては、例えば、発電所において流体の流路となる配管に設けられる調節弁がある。調節弁(例えば、株式会社山武製;CV3000)は、図2に示すように、調節弁本体101の内部に第1のシートリング102、第2のシートリング103が備えられており、これらのシートリング102、103に対し、第1のプラグ104、第2のプラグ105が摺動し密着することで、流路を遮断する構成である。この調節弁は、発電設備にある配管に対し複数箇所に設置され、流水量や蒸気流量を調整するという重要な役割を果たしている。
【0004】
しかし調節弁のシートリングやプラグは、長期間の使用によって、キャビテーション損傷や互いの接触による摩耗が生じ、それぞれのシート面を損耗していた。このような損耗は、シートリングとプラグのシート面に隙間を生じさせ、そこから流体を漏洩させることになる。その結果、調節弁における流量特性などの性能を大きく低下させ、また動作不良を起こさせる原因となっていた。このため、発電所のメンテナンス作業では、調節弁のシートリングおよびプラグのシート面の損耗に対して、修理または交換するなどの作業を実施していた。
【0005】
調節弁の主なメンテナンス作業としては、シート面の損耗が浅い場合、シートリングまたはプラグのシート面を切削して新たなシート面を形成し、シート面の損耗が深い場合、シートリングまたはプラグを部品交換する、という二つの手段をとっている。ただしメンテナンス作業は、コストを軽減するために、これらの手段を併用することが多い。すなわち、調節弁のメンテナンス作業では、シートリングやプラグにおける切削の限界値までそれぞれのシート面の切削を行い、限界値を越えるとシートリングやプラグの交換を行っていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、上記のような調節弁のメンテナンス作業は、作業者が自主的に作成した管理表を利用し、この管理表に人為的に書き込み、または確認することによって管理していた。しかしながら、管理表による自主的な管理方法では、作業員による管理表への記入漏れや記入ミスが発生するおそれがあった。
【0007】
また調節弁の損耗は、短い期間に度々生じるわけではなく、長い期間でのメンテナンスの管理が必要となる。このため、メンテナンス作業を行う作業者が前回と同一とは限らず、このときメンテナンスの管理や仕事の引き継ぎが不十分である場合、作業者はシートリングやプラグの切削量の履歴が分からず、切削の限界値を判別できないことがあった。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、調節弁のメンテナンス作業におけるプラグおよびシートリングの切削量などの情報を、作業者が互いに共有することができる調節弁の保守管理システムおよび保守管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、保守作業に際してプラグおよびシートリングシート面の切削が実施される調節弁の保守管理システムであって、
保守管理の対象となる各調節弁ごとに、少なくともメンテナンス作業の実施周期と過去のメンテナンス作業履歴とを記録する管理用データベースと、
過去のメンテナンス作業履歴とメンテナンス作業の実施周期とに基づき、各調節弁ごとにメンテナンス作業の実施時期を策定する演算手段と、を含むことを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、演算手段は、メンテナンス作業の実施時期に対応して、保守作業が必要となる調節弁を割り出すことができる。ここで調節弁は、内部にあるプラグおよびシートリングが見えないため、本体の分解後に必要な保守作業が実施される。このため、保守作業が不要な調節弁を分解してしまうと、作業に無駄な手間がかかることになる。
したがって、調節弁の保守管理は、メンテナンス作業の実施周期から正確に管理することで、作業を効率的に実施することが好ましい。演算手段は、保守作業が必要となる調節弁を自動的に割り出すことで、調節弁ごとの保守作業を適切に管理することができる。
【0011】
管理用データベースには、更に、各調節弁ごとのプラグおよびシートリングシート面の限界切削量、および過去のメンテナンス作業における切削量の履歴が記録され、演算手段は、これらプラグおよびシートリングシート面の限界切削量、および過去のメンテナンス作業における切削量の履歴に基づき、メンテナンス作業において切削可能な切削代残量が調節弁に残っているか否か判別する機能を含むことができる。
【0012】
演算手段は、調節弁のプラグおよびシートリングシート面の限界切削量と、過去の切削量の合計から、切削が可能か否かの判別結果を作業者に提供する。この判別結果を受けて、作業者はプラグやシートリングの交換の要否を知ることができる。これにより、作業者は交換部品を予め用意しておくことが可能であり、メンテナンス作業をより効率的に実施することができる。
【0013】
さらに、演算手段は、過去のメンテナンス作業履歴に基づいて、プラグおよびシートリングシート面の損耗度合を判別する構成とすることができる。作業者は、この損耗度合の判別結果を確認することによって、調節弁のメンテナンス作業の実施周期を任意に変更させることができる。
【0014】
また、本発明に係る調節弁の保守管理方法は、保守管理の対象となる各調節弁ごとに、少なくともメンテナンス作業の実施周期と過去のメンテナンス作業履歴とを記録するステップと、
過去のメンテナンス作業履歴とメンテナンス作業の実施周期とに基づき、各調節弁ごとにメンテナンス作業の実施時期を策定するステップと、を含むことを特徴とする。
【0015】
かかる方法によれば、メンテナンス作業の実施時期に対応して、保守作業が必要となる調節弁を割り出すことができる。したがって、調節弁ごとの保守作業を適切に管理することができる。
【0016】
上述した本発明に係る調節弁の保守管理方法は、各調節弁ごとのプラグおよびシートリングシート面の限界切削量、および過去のメンテナンス作業における切削量の履歴を記録するステップと、プラグおよびシートリングシート面の限界切削量、および過去のメンテナンス作業における切削量の履歴に基づき、メンテナンス作業において切削可能な切削代残量が調節弁に残っているか否か判別するステップと、を更に含むことができる。
さらに、過去のメンテナンス作業履歴に基づいて、プラグおよびシートリングシート面の損耗度合を判別するステップを、含むこともできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、調節弁のメンテナンス作業におけるプラグおよびシートリングの切削量などの情報を、作業者が互いに共有することができ、作業の効率化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1乃至図5は、本発明の実施形態に係る保守管理システムを説明するための図であり、図1は、本実施形態に係る保守管理システムの全体構成を示す概念図である。
図1に示すように、本実施形態の保守管理システムは、サーバ12を管理センターに備えている。このサーバ12は、社内LAN11(ネットワーク)によって、会社内の各端末10に接続されている。保守管理システムは、作業者が各端末10から社内LAN11を通じてサーバ12にアクセスし、メンテナンス情報の閲覧やデータ入力等の操作を行う構成である。
なお以降の説明では、既述した調節弁のメンテナンス管理について特に詳しく説明するが、本発明の保守管理システムは、調節弁だけに限定されず、様々な摩耗部品または経年劣化する部品について、メンテナンス管理することができる。
【0019】
図2は、本実施形態に係る調節弁の全体構造を示す側面断面図である。
まず、調節弁の構造についてより詳しく説明しておくと、調節弁は、図2に示すように、調節弁本体101を有しており、上流側に流体流入口106、下流側に流体流出口107が設けられている。また調節弁本体101の内部には、流体流入口106と連通している流入室108と、流体流出口107と連通している流出室109が形成されている。これら流入室108と流出室109との間には、それぞれの空間を隔てる境界壁110を設けている。そして境界壁110には、流入室108の上面にあたる位置に第1のシートリング102が、流入室108の下面にあたる位置に第2のシートリング103がそれぞれ取り付けられる。
【0020】
第1、第2のシートリング102、103は、ステライト材によって形成されており、中央部に挿通孔111が穿設されている。調節弁は、これら第1、第2のシートリング102、103の挿通孔111に対向して、第1のプラグ104、第2のプラグ105が設けられている。第1、第2のプラグ104、105は、第1、第2のシートリング102、103と同様にステライト材を用いており、下面が円錐状に形成されている。第1、第2のプラグ104、105は、調節弁本体101の上部に設けられているプラグ駆動装置112によって、第1、第2のシートリング102、103の軸芯上をともに上下に摺動する構成である。
【0021】
このように構成された調節弁は、プラグ駆動装置112によって、第1、第2のプラグ104、105が下方向に押圧されることで、第1のプラグ104が第1のシートリング102と密着するとともに、第2のプラグ105が第2のシートリング103と密着して、流入室108と流出室109を遮断した状態とする。この状態から、プラグ駆動装置112を上方向に摺動させると、第1のプラグ104および第2のプラグ105が引き上がり、第1のプラグ104と第1のシートリング102との間、および第2のプラグ105と第2のシートリング103との間にギャップが生じ、流入室108と流出室109の間が連通して流路が形成される。このとき、第1のプラグ104と第1のシートリング102との間、第2のプラグ105と第2のシートリング103との間に生じるギャップの大きさはプラグ駆動装置112により制御可能であり、弁開度としてフレキシブルに調整される。
【0022】
この調節弁は、長期間の使用によって第1、第2のプラグ104、105、および第1、第2のシートリング102、103の各接触面に対し、キャビテーション損傷や互いの接触による摩耗が生じる。これにより、流入室108と流出室109を遮断していたプラグおよびシートリング面から流体が漏洩することになり、その結果、調節弁の性能を大きく低下させ、また動作不良を起こさせる原因となっていた。
【0023】
この調節弁のメンテナンスは、第1、第2のプラグ104、105面または第1、第2のシートリング102、103面の損耗が浅い場合、シート面を切削して新たなシート面を形成する方法をとっている。しかし、調節弁の第1、第2のプラグ104、105面または第1、第2のシートリング102、103面は、切削量に限界値があり(以下、限界切削量と称する)、この限界切削量を越えて切削すると調節弁における流量特性などの性能を大きく低下させ、また動作不良を起こさせる原因となる。一般に、限界切削量は調節弁の製造者によって定められており、この限界切削量が新しいプラグやシートリングに交換するための基準となっている。
保守管理システムは、このような調節弁の切削量等を管理するシステムであり、これにより作業者が限界切削量を容易に把握することが可能となる。
【0024】
図3は、本実施形態に係る保守管理システムのサーバの構成を示すブロック図である。
次に、上記のような構成をした調節弁の保守管理システムについて説明する。図3に示すように、保守管理システムのサーバ12には、各種プログラムおよびデータベースが保存されるメモリ13と、必要な演算処理を実行するCPU14(演算手段)と、外部の社内LAN11に接続可能なネットワークインタフェース15と、システムの管理者が目視できるモニタ16等が備えられている。
【0025】
サーバ12のメモリ13には、管理プログラム20および管理用データベース21(以下、データベースはDBと略す)が保存されている。作業者は、端末10から社内LAN11を介してサーバ12の管理プログラム20にアクセスして起動し、サーバ12のCPU14は、起動された管理プログラム20にしたがって所定の処理動作を実行する。この管理プログラム20の動作については後述する。
また管理用DB21には、調節弁に関わる各種データが記録してある。管理プログラム20は、この管理用DB21から必要なデータを呼び出し、作業者が操作する端末10に表示することができる。
【0026】
図4は、本実施形態に係る保守管理システムのデータベースの一例を示す表示データである。
図3および図4に示すように、本実施形態の管理用DB21は、ユニット名称データ27、機器名称データ28、機器番号データ29を基本DB22として、諸元DB23、メンテナンス作業履歴DB24、メンテナンス実施周期DB25、管理費DB26に分類してメモリ13に各情報を記録している。これら諸元DB23、メンテナンス作業履歴DB24、メンテナンス実施周期DB25、管理費DB26は、一台毎の機器の情報として関連付けて参照できるが、一方で、独立した一覧データとして参照することもできる。
【0027】
管理用DB21の諸元DB23は、一台毎の調節弁の詳細な情報をデータ登録したものであり、例えば、製造者データ30、メンテナンス周期データ31、設置場所データ32、シート材質データ33、限界切削量データ34、切削代残量データ35などがある。ここで製造者データ30とは、調節弁の機器を製造販売した会社の情報であり、メンテナンス周期データ31とは、製造者等によってあらかじめ定められたメンテナンスの間隔の情報であり、設置場所データ32とは、機器が設置されている場所の情報であり、シート材質データ33とは、調節弁において切削が必要なプラグおよびシートリングの材料情報であり、限界切削量データ34とは、製造者が定めた調節弁における切削量の限界値であり、切削代残量データ35とは、調節弁において限界切削量からこれまで切削した量を減算した値である。作業者は、この諸元DB23にある情報を確認することによって、一台毎の調節弁の実質的な情報を知ることができる。
【0028】
メンテナンス作業履歴DB24は、一台毎の調節弁についてメンテナンス作業の結果を記録したものであり、例えば、点検年月データ36、点検内容データ37、修理年月データ38、修理内容データ39、切削量データ40などがある。この履歴DB24によって、一台毎の調節弁のメンテナンス内容をより詳しく伝達することができ、作業者間でメンテナンスの情報を共有化することができる。
【0029】
メンテナンス実施周期DB25は、作業者によるメンテナンス作業の実施記録や今後の実施予定をデータとして記録したものであり、例えば、メンテナンス実施年月データ41、メンテナンス予定年月データ42などがある。作業者は、このメンテナンス実施周期DB25を確認することによって、メンテナンス作業の今後の日程などを知ることができる。
【0030】
また管理費DB26は、メンテナンス作業にかかるコストをデータとして登録したものであり、例えば、作業者のコストを示した人件費データ43、交換部品のコストを示した部品費データ44などがある。作業者は、この管理費DB26を用いることで、メンテナンス作業にかかる概略的なコストを算出することができる。
【0031】
作業者は、端末10を操作することによって、メモリ13から管理用DB21の各種データを自在に呼び出すことができる。作業者は、呼び出されたデータを参照することで、メンテナンス作業に必要な情報を事前に得ることが可能である。また管理プログラム20は、各種データから最適なメンテナンス作業の計画を自動策定し、作業者に提示することもできる。
【0032】
図5は、本実施形態に係る保守管理システムの管理プログラムによる調節弁の切削量を管理する処理過程の一例を示すフローチャートである。
次に、保守管理システムによる調節弁の切削量管理について図5を参照して説明する。調節弁のメンテナンス作業の終了後、作業者は調節弁の保守管理システムにアクセスする。保守管理システムは、管理プログラム20が起動されて、機器の各種データを入力する入力画面を端末のモニタに表示する(ステップS10)。
【0033】
その後、メンテナンス作業の結果が、作業者によって入力されデータ更新される(ステップS11)。このとき作業者が書き込むデータとしては、メンテナンス作業履歴DB24の点検年月データ36、点検内容データ37、修理年月データ38、修理内容データ39、切削量データ40などがある。
【0034】
そして、保存されていた切削代残量データ35から入力された切削量データ40を減算することで、新たな切削代残量データ35を算出してデータ更新する(ステップS12)。さらに、切削代残量データ35においてプラグおよびシートリングシート面の切削代残量が残っているかを判別し(ステップS13)、データがマイナスの場合は、切削代残量が残っていないと判別し、調節弁の状態に不具合があることを作業者に警告する(ステップS14)。一方、切削代残量データ35がまだ残っている場合は、そのままDBに保存されて終了する(ステップS15)。
以上のように、保守管理システムは、作業者が調節弁のメンテナンス作業の結果を入力することで、プラグやシートリングの切削量を管理することができる。
【0035】
図6は、本実施形態に係る保守管理システムの管理プログラムがメンテナンス作業計画を策定する処理過程の一例を示すフローチャートである。
また保守管理システムの管理プログラム20は、図6に示すように、以下のようなステップによってメンテナンス作業計画を策定することができる。まず、メンテナンス作業履歴DB24から、各機器の点検年月データ36および修理年月データ38を呼び出すとともに、諸元DB23からメンテナンス周期データ31を呼び出す(ステップS21)。そして、点検年月データ36および修理年月38データに対し、メンテナンス周期データ31を加算し、各調節弁ごとの今後のメンテナンス時期を算出する(ステップS22)。
【0036】
また、メンテナンス実施周期DB25からメンテナンス予定年月データ42を呼び出し(ステップS23)、算出された各調節弁ごとのメンテナンス時期と照らし合わせることで、実際にメンテナンス作業を実施するときの点検や修理すべき機器を特定する(ステップS24)。さらに特定された調節弁の各種データを諸元DB23、メンテナンス作業履歴DB24、メンテナンス実施周期DB25、管理費DB26から呼び出す(ステップ25)。
【0037】
ここで、メンテナンス作業履歴DB25の切削量データ40を用いて、プラグおよびシートリングシート面の損耗度合を算出する(ステップS26)。この損耗度合(過去の切削量合計値)の算出方法としては、切削量データ40におけるこれまでのプラグおよびシートリングの切削量の合計値から算出する方法がある。また他の方法として、製造者が現品を寸法測定した結果から提供される損耗度合のデータをそのまま用いてもよい。
【0038】
さらに、算出した損耗度合と諸元DB23の限界切削量34とを比較する(ステップS27)。そして、損耗度合が限界切削量34よりも大きい場合、調節弁のプラグおよびシートリングの交換が必要と判別し(ステップS28)、損耗度合が限界切削量34よりも小さい場合、調節弁のプラグおよびシートリングの交換が不要と判別する(ステップS29)。
【0039】
さらに管理費DB26を呼び出し、各調節弁に対する人件費データ43、部品費データ44から、メンテナンス作業にかかる全体の費用を算定する(ステップS30)。そして最後に、以上の処理フローによって策定したメンテナンス作業の計画を、作業者の端末10に提示する(ステップS31)。
【0040】
以上のような管理プログラム20の処理フローによって、メンテナンス作業の対象機器や内容について策定することができ、この策定されたメンテナンス作業の情報を利用することが可能である。
なお、メンテナンス作業の計画の策定は、以上のような処理フローに限定されないことは勿論であり、種々の応用例や変形例が可能である。
【0041】
このようにして、保守管理システムは、機器のメンテナンス作業について全般的に管理を実施することができる。なお保守管理システムは、各機器のその他のデータを書き換えることも可能であり、例えば、メンテナンス作業において、調節弁のプラグやシートリング面の損耗が極端に多かった場合は、調節弁が損耗しやすい設置場所に設けられていると判断し、メンテナンス作業の周期を製造者の指定よりも短くするようにメンテナンス周期データ31を書き換えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態に係る保守管理システムの全体構成を示す概念図である。
【図2】調節弁の構造例を示す側面断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る保守管理システムのサーバの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る保守管理システムのデータベースの一例を示す表示データである。
【図5】本発明の実施形態に係る保守管理システムの管理プログラムによる調節弁の切削量を管理する処理過程の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る保守管理システムの管理プログラムがメンテナンス作業計画を策定する処理過程の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
10:端末、11:社内LAN、12:サーバ、13:メモリ、14:CPU、15:ネットワークインタフェース、16:モニタ、
20:管理プログラム、21:管理用DB、22:基本DB、23:諸元DB、24:メンテナンス作業履歴DB、25:メンテナンス実施周期DB、26:管理費DB、
101:調節弁本体、102:第1のシートリング、103:第2のシートリング、104:第1のプラグ、105:第2のプラグ、106:流体流入口、107:流体流出口、108:流入室、109:流出室、110:境界壁、111:挿通孔、112:プラグ駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保守作業に際してプラグおよびシートリングシート面の切削が実施される調節弁の保守管理システムであって、
保守管理の対象となる各調節弁ごとに、少なくともメンテナンス作業の実施周期と過去のメンテナンス作業履歴とを記録する管理用データベースと、
前記過去のメンテナンス作業履歴とメンテナンス作業の実施周期とに基づき、前記各調節弁ごとにメンテナンス作業の実施時期を策定する演算手段と、を含むことを特徴とする調節弁の保守管理システム。
【請求項2】
前記管理用データベースには、更に、各調節弁ごとのプラグおよびシートリングシート面の限界切削量、および過去のメンテナンス作業における切削量の履歴が記録され、
前記演算手段は、これらプラグおよびシートリングシート面の限界切削量、および過去のメンテナンス作業における切削量の履歴に基づき、メンテナンス作業において切削可能な切削代残量が調節弁に残っているか否か判別する機能を含むことを特徴とする請求項1に記載した調節弁の保守管理システム。
【請求項3】
前記演算手段は、前記過去のメンテナンス作業履歴に基づいて、プラグおよびシートリングシート面の損耗度合を判別することを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載の調節弁の保守管理システム。
【請求項4】
保守管理の対象となる各調節弁ごとに、少なくともメンテナンス作業の実施周期と過去のメンテナンス作業履歴とを記録するステップと、
前記過去のメンテナンス作業履歴とメンテナンス作業の実施周期とに基づき、前記各調節弁ごとにメンテナンス作業の実施時期を策定するステップと、を含むことを特徴とする調節弁の保守管理方法。
【請求項5】
各調節弁ごとのプラグおよびシートリングシート面の限界切削量、および過去のメンテナンス作業における切削量の履歴を記録するステップと、
前記プラグおよびシートリングシート面の限界切削量、および過去のメンテナンス作業における切削量の履歴に基づき、メンテナンス作業において切削可能な切削代残量が調節弁に残っているか否か判別するステップと、を更に含むことを特徴とする請求項4に記載した調節弁の保守管理方法。
【請求項6】
前記過去のメンテナンス作業履歴に基づいて、プラグおよびシートリングシート面の損耗度合を判別するステップを、含むことを特徴とする請求項4または5のいずれか一項に記載の調節弁の保守管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−115636(P2009−115636A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−289408(P2007−289408)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】