説明

調節式カムトラック

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形品を型キャビティから取り出した後に成形品を型コアから引き離すためのストリッパを備えた射出成形機に、特にストリッパからの成形品の取り外し位置及びそのタイミングの両方またはいずれか一方を調節する手段に関するものである。
【0002】
【従来の技術】射出成形機は、通常、一般的に射出成形機のベースに対して特定位置に固定されている固定板を備えている。この固定板は、型ベースの形を取ることができ、型ベースと可塑化射出部との間に連結されたランナまたはマニホルドシステムを備えることができる。型ベース及び固定板の両方またはいずれか一方は、一般的に1つまたは複数の型キャビティ部を備え、それらは1つまたは複数の製品を形成するためにコア部と協働して溶融樹脂が注入される空間を形成する。コア部はベースに対して移動可能で、一般的に可動板に取り付けられており、可動板は固定板に対して、コア部とキャビティ部が互いに係合して成形空間を形成する閉鎖位置と、成形品を成形機から取り出すことができる開放位置との間を往復動する。
【0003】射出成形機はまた、成形品をコアまたはキャビティ部から引き離すストリッパを備えている。場合によっては、ストリッパは、型キャビティ及び型コアと協働して射出部から樹脂材料を受け入れる空間を形成する補助空間形成表面の形を取っている。ストリッパの空間形成表面は一般的に、成形品をコア及びキャビティ組立体からうまく取り出すことができるように成形品と密接に係合すると共に、成形品を空間形成表面から確実に引き離すために何らかの作用を必要とする構造になっている。この引き離し及びプラスチック部品の取り外しをうまく行うことが、一部の従来の開発の主題であった。
【0004】成形品をコア及びキャビティ部からうまく引き離してから、それを空間形成表面から取り外すため、米国特許第4,497,624 号明細書に記載されているように、空間形成表面はアクチュエータに連結されていた。この特許では、空間形成表面は各成形品の一部分にねじを形成するねじ分割体(thread splits) を構成しており、ねじ分割体を相対移動させることができるように各ねじ分割体がアクチュエータに連結されている。
【0005】アクチュエータは、トラックにはまったカムフォロワに連結されている。トラックには、ランプすなわち傾斜部を形成したインサートが設けられており、これはカムフォロワと相互作用して、アクチュエータに、成形品を取り外すように成形品と係合しているねじ分割体を移動させる。使用時には、少なくとも2つ、一般的に4つのそのようなトラックインサートが用いられ、成形品の取り外しタイミング及び位置の両方またはいずれか一方を調節できるように、トラックに対する位置が調節可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】トラックインサート自体の位置が調節可能であることは、ねじ分割体を分離させるために力を均等に加えることができるように4つのトラックインサートすべてをそれぞれのトラック内に同じ相対位置に位置決めすることが困難になる点で、ある程度問題があり、力が不均衡であると、装置に不都合なひずみや磨耗が発生し、部品の取り外しが確実でなくなる。
【0007】単一の固定位置ランプすなわち傾斜部を用いると、コア及びキャビティ部の形状の変化によって部品の取り外し点の変化も必要になることから望ましいと考えられる型部材の可変作動ができなくなる。このため、カムフォロワによってアクチュエータを作動させるために単一位置ランプすなわち傾斜部を用いることは実際的な代用例ではない。
【0008】従って、部品を成形機から取り外すためにアクチュエータに連結したカムと相互作用する装置を、そのカムが位置調節可能でありながら、力が不均衡状態に加えられないように同じ成形機の他の同様なカムと容易に協調でき、また部品の落下性能を向上させるように開発することが望ましい。
【0009】このような事情に鑑みて、本発明は、成形品を取り出すためのアクチュエータと連動するカムの位置調整を可能にし、すべてのカムフォロワの位置、従ってその作動を同調させ、それによってひずみや磨耗の不均衡を回避できるようにした調節式カムトラックを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、射出成形機用の調節式カムトラックが、射出成形機の可動板またはコアベースに連結された1組のガイドを備えている。ガイドには、ストリッパープレートに移動可能に取り付けられたねじ分割体等の空間形成表面の移動を案内する機能がある。成形機の型から予め引き離されている成形品を取り外すことができるように対となる表面を相対移動させるために、1組のカムフォロワがアクチュエータで空間形成表面に連結されている。1組のカムインサートがカムフォロワと係合して、成形品の取り外し点を調節するためにガイドに対して調節可能に位置決めされる。
【0011】各ガイドは、はめ込まれたカムフォロワの位置の2つの限界を定めるチャネルを形成する一対のガイド壁を備えている。各カムインサートはガイド壁間にはめ込まれて、2つの位置限界間にカムフォロワの移動経路を定めている。カムインサートによって定められた移動経路は、設計上の選択事項であり、カムフォロワをガイド壁によって定められた2つの位置限界内の一方の位置から別の位置へ案内するための1つまたは複数の傾斜領域を設けている。各カムインサートに第1ラック歯が取り付けられているのに対して、第2ラック歯が各ガイドに取り外し可能に固定されている。2つのラック歯が噛み合うことによって、各ガイドに対する各カムインサートの位置を所定位置だけに固定して、すべてのカムフォロワの位置、従ってその作動を同調させ、それによってひずみや磨耗の不均衡を回避することができる。
【0012】本発明の1つの特徴は、ガイド壁の一方に少なくとも1つのインデックスマークが付けられ、またカムインサートの壁の一方に複数の目盛りマークが付けられていることである。この特徴によって、ガイドに対するカムインサートの選択位置を容易に表示でき、これによってすべてのカムインサートの位置を簡単に同調させることができる。
【0013】本発明の別の特徴は、カムインサート延長部分がカムインサートに固定されて、カムフォロワの経路を定める表面と整合した1つの壁を備えていることである。そのようなカムインサート延長部分には、取り外し点の調節可能性を延ばすという利点がある。
【0014】本発明の他の特徴及び利点は、好適な実施例の以下の説明から当業者には明らかになるであろう。以下の説明は添付の図面を参照しており、その図面と共に現時点での発明を実施する最良の態様を開示している。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明による射出成形機10が図1に示されており、ベース12と、ベース12に対して固定された固定板(第1板)14とを備えている。固定板14の前表面16が、ガイド手段20上を移動する可動板(第2板)18に向き合っている。可動板18の移動は、クランプトグルとして図示されている第1動力手段22で行うことができるが、これはいずれの従来形の機械式、油圧機械式、または油圧式クランプ機構にすることもできる。
【0016】固定板14と可動板18との間にストリッパープレート24が配置されており、これもブッシュ26によってガイド手段20上を移動するように案内される。ストリッパープレート24は、可動板18に対して第2動力手段28で移動し、これはピストンロッド30を可動板18に挿通させてストリッパープレート24に固定している油圧シリンダとして図示されている。空気シリンダ、ラック/ピニオン歯車等の他の動力手段を同じ目的で使用することもできる。
【0017】可塑化射出部32が、固定板14の背面34にマニホルド組立体36で連結されている。マニホルド組立体36は、樹脂材料を可塑化射出部32から複数の型キャビティ部40を備えている型キャビティ組立体38へ送る。型コア42を備えた型コア組立体が可動板18に連結されており、キャビティ40及びコア42が協働して互いに係合することによって、可塑化射出部32から樹脂材料を受け取って成形品44を形成する空間が形成される。
【0018】成形品がコア42から引き離された後に成形機から取り出されているところを図1に示している。ブロー成形プラスチックボトルまたは容器を製作するための射出成形パリソンすなわち予備成形品の特殊な例が図示されているが、これは単に説明のためのものであって、本発明の有用性の範囲を制限するものではない。
【0019】図1には、射出成形機10の可動板18が成形品44を取り出すために必要な距離だけ固定板14から離れた状態に示されている。この取り出しは、図2にさらに十分に示されている装置を利用して行われ、図2はストリッパープレート24の、固定板14の表面16に向き合った表面を示している。ストリッパープレート24には複数対の空間形成表面46が取り付けられており、これは業界では一般的に「ねじ分割体」として知られている。ねじ分割体はコア42及びキャビティ40と協働して、製品44を形成する樹脂を受け入れる空間を完成させている。空間形成表面は、コア42から引き離された製品44を保持する。ねじ分割体の各半割体46a及び46bは、ねじ分割体を受け部56に固定するねじ54で個別のスライド50及び52に取り付けられている。スライド50及び52は、ブラケット58及び60によって定められたチャネル内を横方向に往復移動する。
【0020】スライド50はつなぎ材62で互いに連結されているのに対して、スライド52はつなぎ材64で互いに連結されているため、すべてのスライド50及び52の横方向移動が均一になって同調する。その移動は、ストリッパープレート24の表面に取り付けられたブロック68を貫通している作動ロッド66によって行われる。作動ロッド66はビーム70に連結しており、可動板18に固定されたカムトラック74にはめ込まれたカムフォロワを構成するローラ72がビーム70の各端部に設けられている。ストリッパープレート24は動力手段28で可動板18に対して移動するので、ローラ72はカムトラック74によって定められたチャネルに沿って進む。
【0021】所望位置において、カムトラック74はビーム70を図2に実線で示されている位置から点線で示された位置へ外向きに移動させる構造になっている。ビーム70のこの外向き移動が作動ロッド66を外向きに引くことによって、スライド50及び52が互いに離れる方向へ移動し、そのためねじ分割体の半割体46a及び46bが互いに分離して、ねじ分割体によって保持されていた部品が解放される。
【0022】図2の左上にカムトラックの断面が示されており、内部にカムインサート78がはめ込まれたほぼチャネル形のガイドを有しており、これは図3及び図4にさらに詳細に示されている。ガイド76は、断面がほぼU字形のチャネルを有しており、該チャネルは開放端部80と閉鎖端部82とを備えている。閉鎖端部82に設けられたランド84は、可動板18を取り付けるためのガイド76の側面になっている。ランド84は下表面86とストリッパープレート24の側部との間に隙間を形成している。締結部材(図示せず)が閉鎖端部82の開口にはめ込まれて、ガイド76を可動板18に固定している。
【0023】ガイド76のU字形チャネルは、チャネル内でのカムフォロワ72の位置の限界を定める2つのガイド壁90及び92で形成されている。ガイド壁90及び92の各々は、図4に示されているアンダーカット94を備えている。一方のガイド壁90にはさらに、ラック歯98及びリテーナプレート100 を受け入れる段差付き破断部96を備えている。ラック歯は図3に点線で示されている締結具102 でリテーナプレート100 に固定されており、リテーナプレート100 は、壁90の開口にはめ込まれた締結具104 でガイド76の壁90に固定されている。
【0024】カムインサート78は、対となるガイド壁90及び92の間にはめ込まれており、それに半径方向外向きに設けられたフランジ108 が、ガイド壁90及び92のベースのアンダーカット94と係合して、インサート78がガイド76に対して図3に示されている矢印Aの方向へ摺動できるようにしている。ガイド76内でのインサート78の位置に応じて、インサート78の一端部110 が図3に示されているようにガイド76の端部80から突出することもある。インサート78は、カムフォロワ72の経路を形成する一対のカムインサート壁112 び114 を備えている。壁112 及び114 によって定められたチャネルの形状は設計上の選択事項であり、1つにはねじ分割体46a及び46bから成形品44を取り外すために必要な相対移動によって決定される。
【0025】カムインサート78によって定められる移動経路は一般的に、壁112 及び114 によって定められた1つまたは複数の傾斜領域を備えており、これはカムフォロワ72をガイド壁90によって定められた2つの位置限界内の1つの位置から別の位置へ案内する。カムフォロワが十分に長い作動経路を備えることができるようにするため、カムインサート延長部分124 をカムインサート78のチャネルの閉鎖端部82側の端部に付け加えて、カムインサート壁114 のカムフォロワ72と接触する表面と整合した位置に締結具126 で固定することができる。
【0026】壁112 の外側表面116 に目盛りマークが付けられており、これはガイド76の壁92の基準マーク118 と協働して、インサート78をガイドに対して正確に位置決めすることができる。壁114 にはまた、ラック歯(第1ラック歯)120 が締結具122 で所定位置に固定されている。リテーナプレート100 を壁90に取り付けた時、第2ラック歯120 と第1ラック歯98が噛み合う。ラック歯98及び120 の噛み合いによって、ガイド76に対するカムインサート78の位置がラック歯98及び120 上の歯のピッチによって定められた所定位置だけに固定される。
【0027】成形品44の取り外し点は、壁112 及び114 の傾斜部分の長手方向位置によって決定される。噛み合ったラック歯98及び120 を利用して壁の位置を段階的に調節することによって、4つのカムトラック74すべてを所定位置に同様に位置決めしてすべてのカムフォロワ72の作動を調和させることによって、ビーム70を同時に外向き移動させ、それによって成形品取り外し機構における不都合なひずみや磨耗を回避することができる。
【0028】以上に本発明を図示の好適な実施の形態を参照しながら説明してきたが、特許請求の範囲に定義されている発明の範囲及び技術的思想内において様々な変更を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置の選択的特徴を示すために一部破断して示されている射出成形機の側面図である。
【図2】ストリッパープレートに対して移動可能な4対の空間形成表面とそれらを移動させる作動機構とを備えているストリッパープレートの前面図である。
【図3】カムインサートをガイドに対して線形調節するための第2ラック歯をガイドから取り外した状態に示している、ガイド及びカムインサートの分解図である。
【図4】図3の4−4線に沿ったガイド及びカムインサートの断面図である。
【符号の説明】
10 射出成形機
12 ベース
14 可動板
18 固定板
24 ストリッパープレート
22 第1動力手段
28 第2動力手段
72 カムフォロワ
74 カムトラック
76 ガイド
78 カムインサート
98、120 ラック歯

【特許請求の範囲】
【請求項1】ベースと、型キャビティ組立体を備えてベースに固定されている第1板と、型コア組立体を備えてベース及び第1板に対して移動可能な第2板と、第1板及び第2板間に移動可能に配置されかつ少なくとも1つの成形品を形成するために注入された樹脂材料を受け入れる少なくとも1つの空間を型キャビティ及び型コア組立体と共に形成する少なくとも一対の空間形成表面を備えているストリッパープレートと、第2板及びストリッパープレートを第1板から離れる方向へ移動させることによって少なくとも1つの成形品を型キャビティ組立体から取り出せるようにする第1動力手段と、第2板及びストリッパープレートを分離させることによって少なくとも1つの成形品を型コア組立体から取り外せるようにする第2動力手段とを備えた射出成形機用の調節式カムトラックであって、第2板に対するストリッパープレートの移動を案内するために第2板に固定されたガイド(76)と、前記少なくとも一対の空間形成表面に連結されて、各対の空間形成表面を相対移動させることによって成形品を成形機から取り外せるようにするカムフォロワ(72)と、カムフォロワと係合して、少なくとも1つの成形品の取り外し点を調節するためにガイドに対して調節式に位置決め可能であるカムインサート(78)とを有しており、カムインサートは第1ラック歯(120) を備え、また第2ラック歯(98)は、ガイドに取り外し可能に固定されかつ第1ラック歯と噛み合ってガイドに対するカムインサートの位置を所定位置だけに固定するようにしたことを特徴とする調節式カムトラック。
【請求項2】 ガイドは、カムフォロワの位置の2つの限界を定めるチャネルを形成する一対の壁を有しており、カムインサートは対となる壁間にはめ込まれて、2つの位置限界間にカムフォロワの移動経路を定めていることを特徴とする請求項1に記載の調節式カムトラック。
【請求項3】 ガイドは、対となる壁の各々のベースにアンダーカットを備えており、カムインサートは、前記アンダーカットと係合する外向きに延出したフランジをを備えて、ガイドとカムインサートの相対位置を摺動調節可能したことを特徴とする請求項2に記載の調節式カムトラック。
【請求項4】 前記対となったガイド壁の一方には、前記第2ラック歯を受け入れる段差付き破断部と、ガイドに対するカムインサートの位置を所定位置だけに固定するために第1ラック歯と噛み合うように前記第2ラック歯をガイドに取り外し可能に締結する締結手段とが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の調節式カムトラック。
【請求項5】 締結手段は、リテーナプレートと、第2ラック歯をリテーナプレートに固定する第1組の締結具と、リテーナプレートをガイド壁に固定する第2組の締結具とを有していることを特徴とする請求項4に記載の調節式カムトラック。
【請求項6】 ガイド壁の一方に少なくとも1つのインデックスマークが付けられており、カムインサートには、少なくとも1つのインデックスマークと整合して前記取り外し点の選択位置を表示できるようにする複数の目盛りマークが付けられていることを特徴とする請求項2に記載の調節式カムトラック。
【請求項7】 カムインサートは、カムフォロワの大きさにほぼ等しい距離だけ離れた一対の壁を備えており、第1のカムインサート壁は、前記第2ラック歯と向き合わせて設けられて前記第1ラック歯を収容しているリセスと、第1ラック歯をカムインサート壁に固定する締結具とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の調節式カムトラック。
【請求項8】 カムインサートは、さらに、第1のカムインサート壁に固定されたカムインサート延長部分を備えており、カムインサート延長部分は、カムフォロワと向き合う前記第1のカムインサート壁の表面と整合した表面を備えていることを特徴とする請求項7に記載の調節式カムトラック。
【請求項9】ベースと、複数の型キャビティを形成した型キャビティ組立体を備えてベースに固定されている第1板と、複数の型コアを形成した型コア組立体を備えてベース及び第1板に対して移動可能な第2板と、第1及び第2板間に移動可能に配置されかつ複数の成形品を形成するために注入された樹脂材料を受け入れる複数の空間を型キャビティ及び型コア組立体と共に形成する複数対の空間形成表面を備えているストリッパプレートと、第2板及びストリッパープレートを第1板から離れる方向へ移動させることによって成形品を型キャビティ組立体から取り出すための第1動力手段と、第2板及びストリッパープレートを分離させることによって成形品を型コア組立体から取り外すための第2動力手段とを備えた射出成形機用の調節式カムトラックであって、第2板に対するストリッパープレートの移動を案内するために第2板に連結された1組のガイドと、前記対の空間形成表面に連結されて、各対の空間形成表面を相対移動させることによって成形品を成形機から取り外せるようにする1組のカムフォロワと、カムフォロワと係合して、成形品の取り外し点を調節するためにガイドに対して調節式に位置決め可能である1組のカムインサートとを有しており、各カムインサートは第1ラック歯を備え、また第2ラック歯は、各ガイドに取り外し可能に固定されかつ第1ラック歯と噛み合って各ガイドに対する各カムインサートの位置を所定位置だけに固定するようにして、すべてのカムフォロワの作動を調整することにより磨耗の不均衡を回避するようにしたことを特徴とする調節式カムトラック。
【請求項10】 各ガイドは、はめ込まれたカムフォロワの位置の2つの限界を定めるチャネルを形成する一対のガイド壁を有しており、各カムインサートは前記対のガイド壁間にはめ込まれて、2つの位置限界間にカムフォロワの移動経路を定めており、前記ガイド壁の一方には、前記第2ラック歯を受け入れる段差付き破断部と、ガイドに対するカムインサートの位置を所定位置だけに固定するために第1ラック歯と噛み合うように前記第2ラック歯をガイドに取り外し可能に締結する締結手段とが設けられていることを特徴とする請求項9に記載の調節式カムトラック。
【請求項11】 締結手段は、リテーナプレートと、第2ラック歯をリテーナプレートに固定する第1組の締結具と、リテーナプレートを1つのガイド壁に固定する第2組の締結具とを有していることを特徴とする請求項10に記載の調節式カムトラック。
【請求項12】 各カムインサートは、はめ込まれたカムフォロワの大きさにほぼ等しい距離だけ離れた一対のカムインサート壁を備えており、その第1のカムインサート壁は、前記第2ラック歯と向き合わせて設けられて前記第1ラック歯を収容しているリセスと、第1ラック歯をカムインサート壁に固定する締結具とを備えていることを特徴とする請求項10に記載の調節式カムトラック。
【請求項13】 各カムインサートは、さらに、第1のカムインサート壁に固定されたカムインサート延長部分を備えており、カムインサート延長部分は、カムフォロワと向きあう第1のカムインサート壁の表面と整合した表面を備えていることを特徴とする請求項12に記載の調節式カムトラック。
【請求項14】 各ガイドは、はめ込まれたカムフォロワの位置の2つの限界を定めるチャネルを形成する一対のガイド壁を有しており、各カムインサートはガイド壁対の間にはめ込まれて、2つの位置限界間にカムフォロワの移動経路を定めており、また各ガイドの壁の一方に少なくとも1つのインデックスマークが付けられており、各カムインサートには、少なくとも1つのインデックスマークと整合して前記取り外し点の選択位置を表示する複数の目盛りマークが付けられていることを特徴とする請求項9に記載の調節式カムトラック。
【請求項15】 各ガイドは、対となるガイド壁の各々のベースにアンダーカットを備えており、各カムインサートは、前記アンダーカットと係合する外向きに延出したフランジを備えて、各ガイドとそれにはめ込まれたカムインサートとの相対位置を摺動可能に調節できるようにしたことを特徴とする請求項9に記載の調節式カムトラック。
【請求項16】ベースと、複数の型キャビティを形成した型キャビティ組立体を備えてベースに固定されている第1板と、複数の型コアを形成した型コア組立体を備えてベース及び第1板に対して移動可能な第2板と、第1及び第2板間に移動可能に配置されかつ複数の成形品を形成するために注入された樹脂材料を受け入れる複数の空間を型キャビティ及び型コア組立体と共に形成する複数対の空間形成表面を備えているストリッパプレートと、第2板及びストリッパープレートを第1板から離れる方向へ移動させることによって成形品を型キャビティ組立体から取り出せるようにする第1動力手段と、第2板及びストリッパープレートを分離させることによって成形品を型コア組立体から取り外せるようにする第2動力手段とを備えた射出成形機用の調節式カムトラックであって、第2板に対するストリッパープレートの移動を案内するために第2板に連結された1組のガイドと、前記対の空間形成表面に連結されて、各対の空間形成表面を相対移動させることによって成形品を成形機から取り外せるようにする1組のカムフォロワと、カムフォロワと係合して、成形品の取り外し点を調節するためにガイドに対して調節式に位置決め可能である1組のカムインサートとを有しており、各ガイドは、はめ込まれたカムフォロワの位置の2つの限界を定めるチャネルを形成する一対のガイド壁を有しており、各カムインサートは対となるガイド壁の間にはめ込まれて、はめ込まれたカムフォロワの大きさにほぼ等しい距離だけ離れた一対のカムインサート壁を備えており、カムインサート壁は、2つの位置限界間にカムフォロワの移動経路を定めるために少なくとも1つの傾斜部分を備えており、各カムインサートは第1ラック歯を備え、また第2ラック歯は、各ガイドに取り外し可能に固定されかつ第1ラック歯と噛み合って各ガイドに対する各カムインサートの位置を所定位置だけに固定するようにして、すべてのカムフォロワの作動を調整することにより磨耗の不均衡を回避するようにしたことを特徴とする調節式カムトラック。
【請求項17】 各ガイドの壁の一方に少なくとも1つのインデックスマークが付けられており、各カムインサートには、少なくとも1つのインデックスマークと整合して前記取り外し点の選択位置を表示する複数の目盛りマークが付けられていることを特徴とする請求項16に記載の調節式カムトラック。
【請求項18】 各ガイドの前記ガイド壁の一方には、前記第2ラック歯を受け入れる段差付き破断部が設けられ、さらにリテーナプレートと、第2ラック歯をリテーナプレートに固定する第1組の締結具と、ガイドに対するカムインサートの位置を所定位置だけに固定するためにリテーナプレート及び第2ラック歯を第1ラック歯と噛み合うように段差付き破断部分内に取り付ける第2組の締結具とを有していることを特徴とする請求項16に記載の調節式カムトラック。
【請求項19】 各ガイドは、各ガイド壁のベースにアンダーカットを備えており、各カムインサートは該アンダーカットと係合する外向きに延出したフランジをを備えて、ラック歯が噛み合っていない時にガイドとカムインサートの相対位置を摺動調整可能としたことを特徴とする請求項18に記載の調節式カムトラック。
【請求項20】 各カムインサートは、さらに、カムインサート壁の一方に固定されたカムインサート延長部分を備えており、カムインサート延長部分は、カムインサート壁のカムフォロワと向き合った表面と整合した表面を備えていることを特徴とする請求項16に記載の調節式カムトラック。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【特許番号】第2789453号
【登録日】平成10年(1998)6月12日
【発行日】平成10年(1998)8月20日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−134240
【出願日】平成8年(1996)5月1日
【公開番号】特開平8−300424
【公開日】平成8年(1996)11月19日
【審査請求日】平成9年(1997)5月14日
【出願人】(595079216)エレクトラ フォーム インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Electra Form,Inc.
【参考文献】
【文献】特開 平2−165909(JP,A)
【文献】特公 昭62−17524(JP,B2)