説明

調製乳用装置

粉末状調製乳などの粉末を容器内に精確に定量供給し、容器内で調製乳を完全に撹拌しながら、調製粉乳を低温殺菌し、かつ還元するための装置を提供する。この装置は、粉末を貯蔵するホッパ組立体と、粉末を計量して貯蔵部から容器の中に定量供給する投入部組立体と、希釈部組立体と、定量供給された粉末から精確かつ完全に撹拌された調製乳を得る撹拌部組立体とを備える。ホッパは粉体ブリッジを発生するような形状で形成されており、これによって得られるブリッジを投入部組立体と組み合わせて利用することにより、粉末から隔離された1つの機械的バルブを用いて、所定量の粉末を供給する。撹拌部組立体は、垂直方向に対して一定の角度に瓶を保持し、かつ容器の内容物を撹拌する。さらに、調製粉乳から低温殺菌された調製乳を提供する方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末から飲料を定量供給し、還元し、かつ撹拌するための装置、および関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体状の調製乳を入手することは可能であるが、携帯性の良さ、保存の容易さ、保存期間の長さ、比較的低いコストなどの理由で、粉末状調製乳(PIF:Powdered Infant Formula)が広く利用されている。しかしながら、PIFから調製乳を調製することは面倒かつ不便であり、また、取り扱いや調製の途中でPIFが汚染されることがある。これらの問題に対処するため、調製乳用の自動調製装置が開発されている。調製乳を調製するために調製乳用の自動調製装置を用いることにより、PIFの取り扱いに伴う汚染を防止することはできるが、製造業者により提供されるPIFに、病気や腐敗の原因となり得る微生物が含まれていないという保証はない。PIFから生成された調製乳がそのような微生物を含まないことを保証するためには、還元した後のPIFを、華氏160度(約71.11℃)より高い温度において少なくとも15秒間にわたって、加熱する必要がある。そして、加熱した後で、得られた液体を安全な飲用温度まで冷却する必要がある。
【0003】
微生物を含まない調製乳を提供することの他にも、調製乳用の自動調製装置が対処しなければならない問題がある。例えば、調製乳の顆粒は不規則であって、ブリッジが発生したり、塊を形成したり、あるいは顆粒自体や容器壁に付着したりする傾向を有するため、PIFは、その投入が難しく、また計量が難しい。PIFは一定の量だけ投入されず、すなわち再現性を有して投入されず、また、PIFは種類ごとに流動の仕方や塊を形成する様子が異なるため、PIFを定量供給する過程を自動化することは困難である。還元後の量が等しい調製乳に対しても、PIFの種類ごとに僅かに異なる量の粉末を配合する必要がある。PIFを還元して、気泡や塊を含まない均一な液体を生成することは難しい。非常に軽量である粉末は、空気中において運ばれて、装置の他の部分に付着する傾向があり、これによって、装置の洗浄や信頼性のある機械動作を維持することが難しくなり得る。さらに、調製乳用の自動装置は低コストでなければならず、そして、洗浄および保守が容易でなければならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、容器内で粉末から還元飲料を調製するための装置が提供される。該装置は、粉末を収容するように構成された貯蔵部と、貯蔵部から粉末を受け取って、容器内に粉末を定量供給するように構成された計量デバイスとを備える。装置は、さらに、容器内に液体を定量供給するように構成された液体供給部と、容器の閉じた基端部が水平方向に対して特定の角度で配置されるように容器を支持し、かつ容器の内容物を撹拌するように構成された撹拌デバイスとを備える。
【0005】
別の態様において、容器内で粉末から還元飲料を調製するための装置が提供される。該装置は、粉末を収容するように構成された貯蔵部を備え、貯蔵部は、第1の寸法を有する開放された第1端部と、第1端部に対向し、かつ第2の寸法を有する開放された第2端部と、第1端部および第2端部を連結する側壁とを有し、側壁の一部分は、第1端部から第2端部に収束するように傾斜しており、かつ、第2端部において、あるいは第2端部の上方において、粉体ブリッジを発生させるように構成された角度を有している。装置は、貯蔵部の第2端部から粉末を受け取り、かつ所定量の粉末を容器内に定量供給するように構成された計量デバイスを備え、粉末の所定量は、計量デバイスの容量と、粉体ブリッジによって形成されるブリッジの下方に存在する粉末量との和に一致している。装置は、容器内に液体を定量供給するように構成された液体供給部をさらに備えることもできる。
【0006】
いずれの態様においても、装置は、以下の特徴を備えていない場合、これらの特徴のうちの1つ以上を備えることができる。装置は、さらに、容器の内容物を撹拌するように構成された撹拌デバイスを備えることができる。撹拌デバイスは、容器の閉じた基端部が水平方向に対して特定の角度で配置されるように容器を支持し、かつ容器の内容物を撹拌するように構成されている。撹拌デバイスは、上記基端部に対して垂直な軸線を中心とする容器の回転により、容器の内容物を撹拌するように構成されている。撹拌デバイスは、容器を正逆両方の回転方向で交互に回転させることにより、容器の内容物を撹拌するように構成されている。撹拌デバイスは、容器の各回転期間同士の間に容器の無回転期間を含めることにより、容器の内容物を撹拌するように構成されている。上記基端部に対して垂直な軸線の水平方向に対する角度は、45度から80度までの範囲内の角度から選択される。撹拌デバイスは、容器を固定するように構成されたホルダと、ホルダを回転させるように構成されたモータとを有している。当該装置は、粉末を貯蔵部から計量デバイス内に定量供給するために、貯蔵部を振動させるように構成された振動装置をさらに備えている。当該装置は、粉末を計量デバイスから容器内に定量供給するために計量デバイスを振動させるように構成された振動装置を備えている。
【0007】
いずれの態様においても、装置は、以下の付加的特徴を備えていない場合、これらの付加的特徴のうちの1つ以上を備えることができる。計量デバイスは、貯蔵部の出口に接続された第1端部と、第1端部に対向する開放された第2端部とを有するチューブを備え、当該装置は、チューブの第1端部と第2端部との間に配置されたバルブをさらに備え、該バルブは、上記第2端部からの粉末の流れを制御するように構成されている。チューブは可撓性である。チューブは弾性である。チューブの断面寸法は、定量供給される粉末の特性に基づいて決定される。チューブの長手軸線に対するバルブの軸線方向位置は、調節可能であり、定量供給される粉末の量に基づいて決定される。バルブは、粉末がチューブの第2端部を通過することを選択的に阻止するように構成されている。バルブは、粉末に直接接触することなく、チューブを通る粉末の通過を制御するように構成されている。バルブはピンチバルブである。バルブは、粉末がチューブを通過可能な第1のチューブ側壁位置と、粉末がチューブを通過することが阻止される第2のチューブ側壁位置との間において、チューブの側壁を移動させるように構成されている。
【0008】
いずれの態様においても、装置は、以下の付加的特徴を備えていない場合、これらの付加的特徴のうちの1つ以上を備えることができる。貯蔵部は、第1の寸法を有する開放された貯蔵部第1端部と、貯蔵部第1端部に対向し、かつ第2の寸法を有する開放された貯蔵部第2端部と、貯蔵部第1端部および貯蔵部第2端部を連結する貯蔵部側壁とを有している。貯蔵部側壁の一部分は、貯蔵部第1端部から貯蔵部第2端部に収束するように傾斜しており、かつ貯蔵部第2端部において、あるいは貯蔵部第2端部の上方において、粉体ブリッジを発生させるように構成された角度を有している。計量デバイスは、貯蔵部第2端部に接続されたチューブ第1端部と、チューブ第1端部に対向する開放されたチューブ第2端部とを有するチューブを備え、当該装置は、チューブ第1端部とチューブ第2端部との間に配置されたバルブをさらに備え、バルブは、チューブ第2端部からの粉末の流れを制御するように構成されている。粉末の所定量は、バルブの上方の計量デバイスの容量と、粉体ブリッジによって形成されるブリッジの下方に存在する粉末量との和に一致している。貯蔵部側壁は、貯蔵部の長手軸線に対して35度から65度までの範囲内の角度で収束している。貯蔵部側壁は、貯蔵部の長手軸線に対して約50度の角度で収束している。貯蔵部は当該装置から取り外し可能である。貯蔵部は補充可能である。貯蔵部は、予め充填され、かつ密封された使い捨てカートリッジである。
【0009】
いずれの態様においても、装置は、以下の付加的特徴を備えていない場合、これらの付加的特徴のうちの1つ以上を備えることができる。液体供給部は、第1の供給管と第2の供給管とを有し、第1の供給管および第2の供給管は、第1の供給管が第2の供給管と異なる方向に沿って容器内に流体を方向付けるように配置されている。液体供給部は、第1の供給管と第2の供給管とを有し、第1の供給管および第2の供給管は、第1の供給管が、第2の供給管と異なる温度で液体を送出するように構成されている。液体供給部は、第1の供給管が、還元飲料を低温殺菌するために十分な温度で液体を送出するように構成されている。計量デバイスと容器との間にシュートが配置されており、シュートは、計量デバイスと容器との間で粉末の流れの方向が変化するように、粉末を計量デバイスから容器内へ方向付けるように構成されている。計量デバイスからの粉末の流れを検出するように構成されたセンサを備えている。
【0010】
別の態様において、容器内で粉末から還元飲料を調製する方法が提供される。該方法は、撹拌デバイスに容器を配置する工程と、撹拌デバイスを用いて容器を回転させる工程と、容器を回転させる工程の間に、所定量の粉末を計量デバイスから容器内に定量供給する工程と、容器を回転させる工程の間に、所望の全希釈量の少なくとも一部の液体を容器に送出する工程と、定量供給する工程および送出する工程の後に、所定時間にわたって、容器を回転させ続ける工程とを備える。
【0011】
この方法は、以下の付加的特徴のうちの1つ以上を含むことができる。所望の全希釈量の少なくとも一部の液体を容器に送出する工程は、液体を容器の側壁に向けて方向付けるように送出する工程を含む。回転させ続ける工程に続いて、十分な液体を容器に加える工程をさらに含み、送出する工程において送出される液体と、十分な液体を加える工程において送出される液体との合計は、所望の全希釈量に等しい。上記の回転させる工程は、容器の基端部を水平方向に対して特定の角度で配向して実施される。定量供給する工程と送出する工程の少なくとも一部は同時に実施される。容器を回転させ続ける工程は、該工程の継続時間の少なくとも一部の間にわたって、回転の方向を逆転させる工程を含む。送出する工程および回転させ続ける工程は反復される。送出する工程および回転させ続ける工程は反復され、反復される工程の少なくとも1つは、温度の異なる液体を用いて実施される。送出する工程は、還元飲料を低温殺菌するために十分な温度で提供される液体を用いて実施される。液体供給部は、第1の供給管と第2の供給管とを有し、第1の供給管および第2の供給管は、第1の供給管が、第2の供給管と異なる方向に沿って、流体を容器内に方向付けるように配置されており、送出する工程および回転させ続ける工程は反復され、反復される工程の少なくとも1つは、第1の供給管からの液体を用いて実施され、反復される工程の少なくとも1つは、第2の供給管からの液体を用いて実施される。
【0012】
さらに別の態様において、容器内に粉末を定量供給する方法が提供される。該方法は、定量供給装置を設置する工程を含んでいる。定量供給装置は、粉末を収容するように構成された貯蔵部を備え、貯蔵部は、第1の寸法を有する開放された第1端部と、第1端部に対向し、かつ第2の寸法を有する開放された第2端部と、第1端部および第2端部を連結する側壁とを有し、側壁の一部分は、第1端部から第2端部に収束するように傾斜しており、かつ第2端部において、あるいは第2端部の上方において、粉体ブリッジを発生させるように構成された角度を有している。定量供給装置は、さらに、貯蔵部の第2端部から粉末を受け取り、かつ所定量の粉末を容器の中に定量供給するように構成された計量デバイスを備え、粉末の所定量は、計量デバイスの容量と、粉体ブリッジによって形成されるブリッジの下方に存在する粉末量との和に一致している。この方法は、貯蔵部内に粉末を供給する工程と、所定量の粉末を容器内に定量供給する工程とをさらに備えている。
【0013】
この方法は、以下の付加的特徴のうちの1つ以上を含むことができる。計量デバイスは、貯蔵部の第2端部に接続され、かつ開放されたチューブ第1端部と、このチューブ第1端部に対向する開放されたチューブ第2端部とを有するチューブを備え、定量供給装置は、チューブ第1端部とチューブ第2端部との間に配置されたバルブをさらに備えている。このバルブは、チューブ第2端部からの粉末の流れを制御するように構成されており、上記の定量供給する工程は、このバルブを開放して、所定量の粉末がチューブ第2端部から容器内に移動可能にする工程を含む。定量供給する工程は、貯蔵部内にブリッジを形成する工程をさらに含む。計量デバイスは、少なくとも1つのパルスをチューブに付与するように構成されたチューブ用振動装置をさらに有し、定量供給する工程は、チューブ用振動装置を駆動する工程をさらに含む。チューブ用振動装置を駆動する工程は、バルブを開放する工程に続いて実施される。定量供給装置は、少なくとも1つのパルスを貯蔵部に付与するように構成された貯蔵部用振動装置をさらに備え、この方法は、貯蔵部用振動装置を駆動する工程をさらに含む。貯蔵部用振動装置を駆動する工程は、上記の定量供給する工程より先に実施される。計量デバイスは、少なくとも1つのパルスをチューブに付与するように構成されたチューブ用振動装置をさらに備え、定量供給する工程は、チューブ用振動装置を駆動する工程をさらに含む。貯蔵部用振動装置を駆動する工程は、定量供給する工程より先に実施され、チューブ用振動装置を駆動する工程は、バルブを開放する工程に続いて実施される。容器内で粉末から還元飲料を調製する方法は、定量供給装置と、容器内に液体を定量供給するように構成された液体供給部と、容器の内容物を撹拌するように構成された撹拌デバイスとを備える調製装置を設置する工程と、調製装置に容器を配置する工程と、所定量の粉末を容器内に定量供給する工程と、所望の全希釈量の少なくとも一部の液体を容器内に送出する工程と、撹拌デバイスを用いて撹拌する工程とを含む。
【発明の効果】
【0014】
貯蔵部は、粉体ブリッジを発生するような形状で形成されており、これによって、投入部組立体と組み合わされて、粉末から隔離された1つの機械的バルブを用いて、所定量の粉末を供給する。このように、粉体ブリッジの発生は、当該技術分野では不都合であると考えられることが多いが、本明細書に開示される装置は、この特性の利点を活かし、かつ利用することにより、粉末の精確かつ再現可能な投入を実現し、また、装置内の比較的少数の機構を用いて達成している。
【0015】
撹拌部組立体は、瓶を水平方向に対して一定の角度に保持して、容器の内容物を撹拌し、これにより、高濃縮のPIFの場合にも、PIFの完全かつ均一な撹拌を実現する。その結果、得られる調製乳は、塊や気泡を実質的に含まない。
【0016】
さらに、調製乳の粉末から、低温殺菌された調製乳を提供する方法が開示される。この方法は、所望の温度、例えば体温で、調製乳を迅速かつ簡単に提供するために、低温殺菌、およびそれに続く冷却を提供する。
【0017】
本発明の実施形態について、添付の図面に示す本発明の一実施形態を参照して、以下において説明する。本発明の上記目的、その他の目的、特徴および効果が、添付の図面と共に以下の本発明の実施形態についての詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】調製乳用自動装置の正面斜視図。
【図2】図1の装置の内部の概略側面図。
【図3】図1の装置の投入部組立体の拡大図。
【図4】図1の装置の撹拌部組立体の拡大図。
【図5】図1の装置の希釈部組立体および制御システムの概略図。
【図6】別の希釈部組立体および制御システムの概略図。
【図7】図1の装置を用いて調製乳を調製する方法のフローチャート。
【図8】図1の装置で使用される別の粉末貯蔵部の斜視図。
【図9】図1の装置で使用されるさらに別の粉末貯蔵部の分解斜視図。
【図10】組み立てられた状態の図9の貯蔵部の斜視図。
【図11】調製乳用自動装置の別の実施形態。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1および2を参照して、調製乳用自動装置1は、ハウジング2内に、ホッパ組立体18、投入部組立体70、希釈部組立体200、および撹拌部組立体150を備えている。これらの組立体18、70、200、150は、粉末から還元される低温殺菌された調製乳を自動的に調製するために用いられ、これらについては後ほど詳細に説明する。この装置1は、哺乳瓶等の1人分の容器500を受け入れ、その容器500の中にPIFと希釈液(例えば水)とを定量供給してから、容器500内でPIFを還元し、撹拌するように構成されている。
【0020】
ハウジング2は、側壁4、および閉鎖された上部6と底部9とを有し、内部のホッパ組立体18、投入部組立体70、希釈部組立体200、および撹拌部組立体150のための保護用筐体を提供している。ハウジング2の上部6は開口部16を備えており、これはヒンジ式の蓋部8、10を用いて選択的に開閉される。蓋部8、10を開放することにより、ハウジング2の内部での作業が可能となり、例えば、以下に詳細に説明するPIF貯蔵部20および貯水タンク202の装着が可能となる。正面に向かう側壁4には、使用者が生成量や温度等に関する装置の動作を制御すること、および装置の状態を視認することを可能にする制御用パネル及び表示部14が支持されている。正面に向かう側壁4は、装置の使用時に容器500が挿入される凹部12をさらに有する。
【0021】
図示される実施形態では、容器500は、通常の哺乳瓶の形態を有し、開放された上部502、側壁508、および閉鎖された底部510を有する円筒形の本体を備えている。側壁508は、容器上部502の開口の大きさを規定する小径のネック部504を有し、ネック部504の外周面は、蓋(図示せず)または授乳部組立体(図示せず)との接続を可能にするネジ部(図示せず)が形成されても良い。容器500は、その底部510に対して垂直な容器軸線512を有しており、これは容器500の長手軸線に相当する。
【0022】
図2を参照すると、ホッパ組立体18は、PIFを受け入れ、かつ貯蔵する貯蔵部20と、必要に応じてPIFが貯蔵部20から投入部組立体70の中に確実に落下するように貯蔵部20を振動させる貯蔵部用振動装置50とを備えている。貯蔵部20は、大型で、概ね角錐状の容器であって、第1の開口端部すなわち上部22と、上部22に対向し、かつ一般には上部22の下方の位置に配置される第2の開口端部すなわち底部24とを有している。貯蔵部20は、上部22が蓋部8、10の下方に配置されるように、ハウジング2の上端に隣接して、ハウジング2の内面上に支持されている。特定の実施形態では、ハウジング2の内面に形成された適当な形状のブラケット(図示せず)を用いて、貯蔵部20は適所に係止される。貯蔵部20は、洗浄を可能にするために、開口部16を通してハウジング2から容易に取り外されることができる。貯蔵部20の上部22は蓋36で覆われており、例えば希釈部組立体200の液貯蔵リザーバへの補充のためにハウジングの蓋部8、10が開放されたときに、混入物質が貯蔵部20の中に落下することが防止される。
【0023】
貯蔵部20の上部22は、断面が長方形であり、寸法はPIFの補充を容易にするために十分に大きい。底部24は、断面が円形であり、直径は上部22の大きさに対して相対的に小さい。貯蔵部20は、上部22と底部24との間に延在する側壁26を有している。側壁26は、上部22から底部24に向かって内側に先細りになっているテーパ部34を有している。側壁26は、さらに、テーパ部34と上部22および底部24との間にそれぞれ延在する線形状部38、40を含んでおり、これらは、貯蔵部20の長手軸線42に対して平行に延びている。図示された実施形態では、貯蔵部20は、4つの側壁26a〜dを有し(側壁26dは、図2では側壁26bに対向する側(裏側)にあるので、図示されていない)、そのうち3つの側壁26a、26b、26dは、軸線42に対して特定のテーパ角θを有して形成されている。テーパ角θは、以下においてさらに詳しく記載されるような理由により、貯蔵部20の第2端部24で、又は第2端部24の僅かに上方で、PIFのブリッジBを形成させるように選択される。貯蔵部は、そのテーパ角θが垂直方向に対して35から65度までの範囲内になるように形成される。図示された実施形態では、例えばテーパ角θは約50度である。特定の実施形態では、底部24に隣接する線形状部40は、内側に突出する環状リップ44をさらに備えても良い。環状リップ44は、テーパ部34に隣接して配置されており、リップ44の近傍にPIFの支持部を提供することにより、同一位置にブリッジBの形成を促進する。
【0024】
貯蔵部20は、数食分のPIFを十分に貯蔵するように寸法決めされる。特定の実施形態において、貯蔵部20は、約10から50オンス(約283.5グラムから1417.5グラムまで)の範囲のPIF貯蔵能力を有するように寸法決めされる。例えば、図示された実施形態では、貯蔵部20は、25オンス(約708.7グラム)のPIF貯蔵能力を有している。
【0025】
貯蔵部用振動装置50は、以下においてさらに詳しく述べるように、貯蔵部20を通ったPIFの下向きの移動を促進するために用いられる。貯蔵部用振動装置50は、貯蔵部20の上半分の近傍に配置されており、貯蔵部20の側壁26cに、1つ以上の機械的なパルスを付与するように配置された振動発生装置54を備えている。機械的なパルスによって、貯蔵部20の小さな振幅の強制的な揺動が付与される。
【0026】
図2および3を参照すると、投入部組立体70は、ハウジング2内でホッパ組立体18のすぐ下方に配置されている。投入部組立体70は、投入チューブ72と、投入チューブ用振動装置104と、ピンチバルブ90と、シュート120とを備えている。
【0027】
投入チューブ72は、中空円筒管であって、貯蔵部20の底部24に接続され、かつ開放された第1端部74と、第1端部74に対向する開放された第2端部76とを有し、貯蔵部20の長手軸線42と軸線方向に沿って整合して配置されている。例えば、投入チューブ72の第1端部74は、貯蔵部20の底部24の外周面上にプレス嵌めによって連結され得る。投入チューブ72は、可撓性および弾性の両方を有し、定量供給される粉末の特性に基づいて決定された断面寸法を有している。
【0028】
ピンチバルブ90は、投入チューブ72の第1端部74及び第2端部76の間に配置されて、投入チューブ72の第2端部76からの粉末の流れを制御するように構成されている。ピンチバルブ90は、投入チューブ72の片側の側面に配置されたチューブ支持パネル102と、投入チューブの径方向に沿って対向して配置されたピンチブレード100とを備えている。ピンチブレード100は、貯蔵部20の長手軸線42と直交する直線Lに沿って第1位置および第2位置の間で往復動可能なブロック98の上に支持されており、ピンチブレード100はバルブ用モータ92によって第1位置および第2位置の間で移動させられる。
【0029】
第1位置(図3)はバルブ開放位置に相当し、この位置では、ブロック98およびピンチブレード100は、投入チューブ72の外周面に近接しているが、離間して配置されており、また、投入チューブ72の外径に略相当する距離で、パネル102から離間している。バルブ開放位置では、投入チューブ72は、バルブ90によって圧迫されておらず、従って、第1端部74から第2端部76まで延びる開放された円筒状のPIF通路80を有している。第2位置(図4)はバルブ閉鎖位置に相当し、この位置では、ブロック98およびピンチブレード100は、パネル102に隣接する位置まで移動させられている。投入チューブ72の可撓性によって、投入チューブ72は、投入チューブ72内の通路80が閉鎖されるまで、ピンチブレード100とパネル102との間で径方向に沿って圧迫されて、PIFが投入チューブ72の第2端部76から流出することが防止される。ブロック98およびピンチブレード100を後退させることにより、バルブ90が開放位置まで復帰すると、投入チューブ72は弾性的に元の円筒形状まで復帰する。
【0030】
この構成では、ピンチバルブ90は、バルブ90が直接PIFに接触せずに、投入チューブ72を通るPIFの流れを制御するように、投入チューブ72を介して、作用する。これによると、バルブ90の可動部が粘着性のPIFにさらされないため、バルブ機構の信頼性の高い動作が効果的に実現される。さらに重要なことには、バルブブレードが投入チューブの外に配置されているため、バルブブレード100がPIFで覆われることや、通路80を通るPIFの流れを妨げたりすることがなく、投入の精度が向上する。
【0031】
ピンチバルブ90は、投入チューブ72の第2端部76に隣接して、その上方に配置されている。投入チューブ72の長手軸線に関するピンチバルブ90の具体的な位置と、投入チューブ72の断面直径とによって、ピンチバルブ90が閉鎖位置にあるときの投入チューブ72の容積が決まる。この位置は、調合される特定の粉末の特性と、調合物の望ましい総量とにより、決定される。特定の実施形態では、ハウジング2内でのピンチバルブの位置は、チューブの軸線方向の長さに沿って調節することができる。他の実施形態では、ハウジング2内でピンチバルブ90は固定されており、ハウジング2内でのピンチバルブ90に対する貯蔵部20と投入チューブ72の位置を調節することができる。
【0032】
装置1において、PIFの流れを制御するために配置される機械的バルブは、ピンチバルブ90のみである。その他の機械的バルブあるいは制御デバイスは、ホッパ組立体18や投入部組立体70の中に存在しない。代わりに、この装置は、貯蔵部の形状によって発生する粉体ブリッジを効果的に利用して、貯蔵部20内でバルブ機能を提供している。具体的には、バルブ90が開放位置に移動させられると、所定量のPIFが投入部組立体をから流出し得る。粉末の所定量は、ピンチバルブ90の上方の計量デバイスの容量と、貯蔵部20内での粉体ブリッジによって形成されるブリッジの下方に存在する粉末量との和に一致する。
【0033】
投入チューブ用振動装置104は、以下においてさらに詳しく述べるように、投入チューブを通るPIFの下向きの移動を促進させるため、かつ、ピンチバルブ90が開放位置まで移動したときの投入チューブからのPIFの完全な排出を容易にするために用いられる。投入チューブ用振動装置104は、投入チューブ72に隣接して配置されており、1つ以上の機械的パルスを投入チューブ72に付与するように配置された振動発生装置108を備えている。機械的パルスによって、投入チューブ72の小さな振幅の強制的な揺動が付与される。
【0034】
図2を再び参照すると、シュート120は、投入チューブの第2端部76に位置する剛性の湾曲管であり、ピンチバルブ90が開放されたときにPIFが、傾斜した容器500に流入するように、PIFの流れの方向を変化させるために用いられる。具体的には、シュート120は、PIFの流れの方向を、PIFが投入チューブ72を通過するときの貯蔵部の20の長手軸線42にほぼ整合した流れ方向から、容器軸線512にほぼ整合した流れ方向に変更する。シュート120は、投入チューブ72の第2端部76に対応する位置でハウジング2内に形成された開口部15の中に支持されて、容器500が配置される凹部12の中へ延びている。投入チューブ72の第2端部76は、シュート120の開放された上端122内に突出している。
【0035】
図2および4を参照すると、撹拌部組立体150は、ハウジング2の底部に隣接して配置されており、撹拌用モータ152および容器ホルダ組立体156を備えている。撹拌用モータ152は、可逆式回転電動機であって、出力シャフト154を有している。ホルダ組立体156は、撹拌用モータ152によって回転させられるように、モータの出力シャフト154上に支持されている。撹拌用モータ152は、コントローラ180により制御されて、ホルダ組立体156をハウジング2に対して回転させ、これにより容器500の内容物の撹拌を実現する。例えば、撹拌用モータ152は、250から500rpmまでの速度で回転可能な可逆式歯車モータであり、容器を正逆両方の回転方向で交互に回転させるように制御されることが可能である。加えて、あるいはこれに代えて、撹拌用モータは、容器の各回転期間同士の間に容器の無回転期間を提供するように制御されることが可能である。撹拌の具体的な実施例について、以下において詳細に説明する。
【0036】
ホルダ組立体156は、概ねカップ状のホルダ158を含み、これは、ベース160と、このベース160の周辺に沿ってベース160に垂直な方向に延在する側壁162とを有している。ベース160は通常の手段により出力シャフト154に固定されており、これによって、ホルダ158は出力シャフト154と同軸で回転する。ホルダ158は、側壁162の直径が容器500の外径より大きくなるように寸法決めされている。側壁162の内面には、径方向内側に突出するように弾性タブ164が配置され、弾性タブ164により、ホルダ158内に、容器500の外径よりも僅かに小さい開口部が形成され、容器500の底部がベース160上に載置されるまで、タブ164を通過させるようにして容器500を押圧することにより、容器500は、ホルダ158に挿入される。容器500は、タブ164と容器500の側壁508との間の締り嵌めによって、ホルダ158内に保持される。
【0037】
撹拌用モータ152は、その出力シャフト154が水平方向に対して特定の角度を有するように、ハウジング2内に取り付けられている。その結果、ホルダ158のベース160も、水平方向に対して特定角度を有し、従って、ホルダ158は、容器500の下端510が水平方向に対して角度θをなして配置されるように、容器500を支持する。特定の実施形態では、水平方向に対する容器軸線512の角度θは、45度から80度までの範囲内にある。他の実施形態では、水平方向に対する容器軸線512の角度θは、55度から60度までの範囲内にある。さらには、容器500が垂直方向に対して一定の角度で保持されるように、また、瓶開口部502がPIFを受けいれるために投入部組立体70及びシュート120の下方に配置されるように、ホルダ158はハウジング内でモータ152により支持されている。
【0038】
図2および5を参照して、希釈部組立体200は、液体供給部として作用し、加熱されていない水を貯蔵するための取り外し可能かつ補充可能な常温水タンク202と、この常温水タンク202から充填される比較的小型の温水タンク220とを備えている。常温水タンク202は、貯蔵部20に隣接するハウジング2の上端に隣接し、かつ蓋部8、10の下方において、ハウジング2の内面上に支持されている。常温水タンク202は、開口部16を通してハウジング2から容易に取り外すことができ、これにより洗浄が可能である。常温水タンク202の上部210は補充を可能にする開口部212を備えており、この開口部212は蓋204で覆われ、蓋204は、例えば貯蔵部20への補充のためにハウジングの蓋部8、10が開放されたときに、常温水タンク202の中に汚染物質が落下することを防止する。特定の実施形態では、常温水タンク202は約32オンス(約907.2グラム)の水を保持し、温水タンク220は約8オンス(約226.8グラム)の水を保持する。
【0039】
常温水タンク202内の水は、チェックバルブ206および供給管路234を介してウォータポンプ260に供給される。チェックバルブ206は、常温水タンク202からの流出を許可し、かつタンクへの逆流を阻止する。ウォータポンプ260は、温水タンク220からの逆流を防止するチェックバルブ262を介して、温水タンク220に水を供給する。温水送出管路232は、温水タンク220からの温水を温水出口242に供給する。さらに、ウォータポンプ260は、常温水出口238および供給管路236からの逆流を防止するチェックバルブ264を介して、常温水出口238に水を供給する。通気管路230が温水送出管路232に接続されており、常温水タンク202および温水タンク220の通気が可能である。ウォータポンプ260は、以下においてさらに詳しく述べるように、送出される水の順序および水量を決定するように、コントローラ180により制御される。
【0040】
温水出口242および常温水出口238は、容器開口部502に上方の位置において、シュート120の近傍に配置されている。これらの出口242、238は、常温水及び温水を容器500内へ方向付けるように配向されている。より具体的には、温水出口242は、容器軸線512と概ね整合しており、温水を容器底部510に向かって方向付けるように配置されている。さらに、常温水出口238は、温水出口242と異なる配向角度を有する。例えば、常温水出口238は、常温水を容器側壁508に向けて方向付けるように配置することができる。特定の実施形態では、常温水出口238は、水平方向に沿って延びるように配置される。
【0041】
温水タンク220には、その中に貯蔵されている水を加熱するための水加熱装置280が接続されている。水加熱装置280は、還元調製乳を低温殺菌するために十分な温度で温水を容器に供給するように、コントローラ180により制御される。本明細書において使用される場合の「低温殺菌」という用語は、病気を引き起こしたり、あるいは食品の腐敗や望ましくない発酵を引き起こしたりする可能性のあるような特定の微生物を破壊するために十分な時間にわたって、味や品質の根本的な変化を発生させることなく、食品を高温にさらすことを意味している。例えば、水加熱装置280は、温水タンク220内の水を華氏165度から190度まで(約73.89℃から87.78℃まで)の範囲内の温度まで加熱するように制御される。特定の実施形態では、使用者は、水加熱装置280を異なる温度に設定するために、表示パネル14を介して、のコントローラ180への入力を行うことができる。
【0042】
調製乳用自動装置1の全体にわたってセンサが計画的に配置され、センサは、作動状態を監視して表示出力信号を生成する。センサには、温水タンク温度センサ224と、常温水タンク202の水位が予め選択された最低限度を下回った場合に出力信号を生成する常温水タンク水位センサ208と、調製乳用自動装置1に容器が装着されたことを示す出力信号を生成する準備状態インジケータ186とが含まれる。水温センサ240、182が、それぞれ、常温水タンク202および容器500内の水の温度を検出し、かつ監視するために設けられる。特定の実施形態では、容器500内の液体の温度を検出するためのセンサ182は、赤外線センサであり得る。さらに、調製乳用自動装置1は、PIFが投入部組立体70から撹拌部組立体150に投入されたか否かを検出するセンサ184を備えている。例えば、センサ184は、流路を貫通する光線が、送出されたPIFにより遮断されたか否かを検出することができる。
【0043】
コントローラ180は、制御用パネル及び表示部14と、センサとのそれぞれから出力信号を受信し、予めプログラムされたパラメータ、及びプログラム可能なパラメータの少なくとも一方に基づいて、貯蔵部用振動装置50、投入チューブ用振動装置104、ピンチバルブ90、および希釈部組立体200の構成要素を制御する。また、コントローラは、制御用パネル及び表示部14にステータス信号を供給し、さらには、制御用パネル及び表示部14で入力されたユーザ入力に応じて、撹拌サイクルでシステムを作動させるように作用する。
【0044】
図6に示されるように、温水を必要としない形態の装置1を提供することも可能である。そのような装置では、単に水加熱装置280および温度センサ224を非稼動とするか、除外することが可能である。例えば、代替的な希釈部組立体300は、加熱されていない水を貯蔵するための取り外し可能かつ補充可能な常温水タンク202を備えている。常温水タンク202は、チェックバルブ206および供給管路234を介して、ウォータポンプ260に水を供給する。チェックバルブ206は、常温水タンク202からの流出を可能にし、タンクへの逆流を阻止する。ウォータポンプ260は、出口238からの逆流を防止するチェックバルブ264を介して、供給管路236を用いて常温水出口238に水を供給する。
【0045】
装置1は、少なくとも以下の重要な特性を有する。
1.容器500は、水平方向から約45度から80度までの角度θでホルダ158に保持されている。垂直方向に沿って配向された容器姿勢(水平方向から90度)を用いて撹拌した場合に、垂直姿勢での撹拌の際に粉末が容器500の底部の縁に集まって塊を形成するため、所望の飲料が得られないことが、試験によって明らかになっている。従って、撹拌の角度θは、本発明において重要な要素である。撹拌の角度θは、容器500内で粉末を分散させて構成するように作用して、十分に良好な撹拌を可能にする。角度が大きすぎると調製乳がこぼれる原因となり、角度が小さすぎると十分に撹拌されずに粉末が容器500の壁上に集まるため、45度から85度までの範囲内の角度θが良好に作用し、また、55度から60度までの範囲内の角度θが最適であることが試験により判定された。
【0046】
a.容器500は、様々な回転速度、また、方向反転の様々な時間周期で、時計回りおよび反時計回りの少なくとも一方に回転することが可能なホルダに保持される。
b.回転速度は100から500rpmまでの間である。
【0047】
c.方向反転の時間周期は、数秒(この場合、回転よりむしろ振動を実現する)から10〜15秒(この場合、撹拌する液体の中で渦の形成を可能にする)まで変化させることができる。
【0048】
2.装置1は、水を加える前に、最初にPIFを容器500の中に取り込むか、水とPIFとを同時に取り込むように構成することができる。
3.装置1は、PIFの1回の投入分の全量と、温水の1回の注入分の一部(PIFの完全な還元に必要な水の約半分から3分の1)とを撹拌することができる。
【0049】
a.このアプローチでは、水とPIFとをおよそ1対1の体積比で撹拌して、まずPIFを温水で華氏160度(約71.11℃)を超える温度まで加熱し、PIF及び水の混合物を、少なくとも15秒間にわたって、当該温度に保持する。
【0050】
4.調製乳は、次に、所定の最終温度まで冷却され、そして、追加の水を常温で加えることにより、所望の希釈度まで撹拌される。
a.濃縮調製乳の完全な還元には、最初のPIFの完全な還元のために必要な水の総量の1/3から2/3までの範囲の量の水を、高温の濃縮調製乳に混合させることが必要である。
【0051】
上述の角度を有する撹拌の構成によって、容器500内で管理された流れが形成され、回転する液体の接線ベクトルは、回転速度および容器角度によって決まる。
(動作および使用方法)
図7を参照して、容器500の中にPIFを定量供給し、還元調製乳をPIFから調製する方法は、以下の通りである。
【0052】
1.装置の凹部12の中に容器500を挿入して、ホルダ158に装着する(工程350)。ホルダ158の中に容器500が存在することを、センサ186を用いて検出することができる。
【0053】
2.定量供給される所定量のPIFを計量する(工程351)。このことは、ピンチバルブ90を閉鎖し、かつ貯蔵部20を振動させるようにホッパ用振動装置50を作動させることにより実現され、これによって、貯蔵されているPIFの中の空洞、ブリッジ、あるいはその他の不均一性をいずれも除去し、さらに、貯蔵部20内でのPIFの下向きの移動を促進する。重要なことは、ホッパ用振動装置50の作動が、投入チューブ72にPIFを充填するように作用することにある。ここで、貯蔵部20を「揺動させること」は、単一の機械的パルスあるいは一連のパルス(振動)を付与することを含み得る。この工程は、例えば、貯蔵部20にPIFを充填する際、毎回PIFを定量供給する前に、実行される。
【0054】
3.容器500の回転を開始させる(工程352)。100〜500rpmの回転速度で、容器500を回転させる。
4.容器を回転させながら、所望の投入量のPIFを容器500の中に定量供給する(工程354)。このことは、ピンチバルブ90を開放し、かつ投入チューブ用振動装置104を作動させることにより実現され、これによって、所定量(すなわち1回の投入分)のPIFが投入チューブ72から流出して、シュート120を通り、容器500の開口上部502を通って容器500の中に流入するように促進される。所定量のPIFは、ピンチバルブ90の上方の投入チューブ72の容積と、貯蔵部20内での粉体ブリッジによって形成されるブリッジの下方に配置される粉末量との和に一致する。貯蔵部20から投入チューブ72への移行部において、側壁角度θを有する容器20の形状に起因して発生する粉体ブリッジによって、PIFの計量を実現するための第2のバルブ又はその他の機構は貯蔵部20の中に必要ない。また、あらゆる望ましくない粉末(即ち、ブリッジBの上方のPIF)の、貯蔵部20自体から容器500の中への流入が、ブリッジを形成している粉末によって阻止される。ピンチバルブ90が開放され、チューブ用振動装置104が通電されると、粉末のブリッジBの下方で投入チューブ72内に収容されていたPIFのみが、容器500の中に放出される。
【0055】
PIFが投入チューブ72から流出して、傾斜した容器500の中に流れ込む際には、PIFを均一に広げるために容器500を回転させる。容器500は角度θに保持され、角度θは完全な撹拌のために必要である。
【0056】
5.容器を回転させるとともに、容器500に温水を加えることにより、容器500の中のPIFを低温殺菌する(工程356)。
容器500の中に粉末を取り込むと同時に、あるいは取り込んだ後で、温水タンク220から容器500に温水が注入される。PIFの完全な還元のために必要な水の総量の約50%(33%〜66%の範囲)に相当する量の温水が、加えられる。
【0057】
6.容器500の中で温水とPIFとを混ぜ合わせる(工程357)。濃縮レベルのPIFが撹拌されて、その濃縮調製乳を低温殺菌するための温度下において、十分な時間にわたって維持される。所望の生成量に応じて、以下でより詳しく述べるように、回転の持続時間、方式、および方向が異なる。
【0058】
特定の実施形態において、2オンス(約56.7グラム)の還元調製乳を調製するためのPIF及び温水の混合物は、表1に示す定量供給および回転の手順に従って撹拌される。この場合、所定量のPIF(即ち、1回の投入量)は、2オンス(約56.7グラム)の還元調製乳を得るために必要なPIFの量に相当している。
【0059】
【表1】

7.所望の生成量に基づいて、コントローラ180は、さらなる水及びPIFを容器500の中に定量供給する必要があるかどうか判断する(工程358)。例えば、4オンス(約113.4グラム)の調製乳が必要である場合、表2に示す定量供給および回転の手順が用いられる。
【0060】
【表2】

例えば、6オンス(約170.1グラム)の調製乳が必要である場合、表3に示す定量供給および回転の手順が用いられる。
【0061】
【表3】

例えば、8オンス(約226.8グラム)の調製乳が必要である場合、表4の定量供給および回転の手順が用いられる。
【0062】
【表4】

上述のように、毎回投入分のPIFを容器500に定量供給する前に、この方法の工程351が実行される。
【0063】
8.所望のPIF濃度を実現するために十分な常温水を容器500に加える(工程359)。具体的には、撹拌サイクルが完了すると、常温水タンク202から常温水が容器500の中に送り込まれて、PIFの還元が完了する。希釈するために比較的低温の水を使用することにより、調製乳を低温殺菌温度から飲用に適切な温度、例えば体温に相当する温度すなわち華氏98±5度(約36.67±2.78℃)まで迅速に冷却することができる。この工程の間、容器500の回転が継続させられる。前の工程での回転速度が維持しても良く、あるいは、より低い回転速度で容器を回転させても良い。この場合、可能な回転速度の範囲として、1〜500rpmを含み得る。この工程における回転の持続時間は、加えられる水の量に応じて決定される。
【0064】
上記方法には、いくつかの利点がある。例えば、粉末が定量供給される間、容器を傾斜させて保持して回転させるため、粉末は容器の側壁上において広がり、これによって、塊の形成が防止され、また、完全に溶解されない未混合の粉末の集まりあるいはペースト状の粉末が容器の底または側壁に沿って形成されることが防止される。粉末が容器500の側面に沿って広がるため、低温殺菌などの工程における高濃縮の調製乳の状態であっても、容器に水を加えると、粉末と水との完全かつ均一な混合が実現される。さらに、水が定量供給される間、容器を傾斜させて保持して回転させるため、より良好な撹拌混合が実現され、これにより、粉末及び水の完全かつ均一な混合が促進される。また、水の流れを容器500の側壁へ方向付けることにより容器に水が加えられるため、還元調製乳の中での気泡の形成が最少に抑えられる。
【0065】
手作業で調製する場合に比べて、この自動装置1および方法によると、再現性を有し、かつ正確なPIFの投入が可能であり、還元されたPIFを均一に混合することができ、適正な温度での最終的な提供が可能であり、かつ生成される調製乳を低温殺菌することができるような一貫した調製が保証される。特に、この装置1は、投入量を変更することができ、効果的に調製乳を撹拌し、洗浄を従来より容易に行なうことができ(撹拌された調製乳が装置のいずれの部分にも全く接触しない)、また、瓶内で撹拌することができる(このため、次回の調製の前に洗浄する必要のある部品は存在しない)等の特徴を提供する。また、これらの特徴は、PIFの流れを制御するために1つのバルブ機構のみを備える比較的簡単な装置を用いて実現される。
【0066】
本明細書に記載された装置1および方法は、PIFを還元することを目的としているが、この装置1および方法は、このような用途に限定されるものではない。例えば、この装置および方法を用いて、その他の粉末を還元することができ、例えば、粉末コーヒー、紅茶、さらには、チョコレート味、フルーツ味、あるいは他の風味のものを含むフレーバ飲料の粉末、および栄養補助食品の粉末を還元することができる。また、本明細書に記載された装置1および方法は、人間が飲む飲料を還元する用途に限定されるものではなく、それ以外に適用されても良い。例えば、装置1および方法は、幼家畜に与える調製乳を調製するために用いられても良い。
【0067】
容器500は、本明細書では通常の円筒形の哺乳瓶として記載されているが、装置1は、この種の容器に対して用いられることに限定されない。例えば、哺乳瓶は、非円筒形状を有してもよい。より具体的には、哺乳瓶は、非線形状の長手軸線、および非線形状の側壁の少なくとも一方を有しても良い。容器は異なる種類であってもよく、トラベルマグ、水筒、飲用グラス、またはコーヒーカップが含まれるが、これらに限定されない。さらに、容器は、多角形断面を有したり、又は、長尺状でなく幅がより大きい比率を有したり、形状の異なるものであっても良い。容器は、再現性を有する温度および撹拌構成を実現するために適切に寸法決めされることができ、さらには、それに適切な材料で形成されることができる。また、容器は、この調製乳用自動装置1に応じて、連結保持位置を適応させること、材料を選択すること、及び材料の厚さを変更することの少なくとも1つを含むような変更された特徴を有しても良い。
【0068】
貯蔵部20は、ここでは、長方形の上部22と4つの側壁26a〜dを有する概ね角錐状として記載されたが、貯蔵部20はこの形状に限定されるものではなく、1つの円弧状側壁を有して概ね円錐状に形成されてもよい。同様に、貯蔵部20の開放された底部24は、円筒形ではなく、断面形状が多角形であってもよい。
【0069】
貯蔵部20は、数回分の生成のためのPIFを収容するために十分な大きさであるとして記載されているが、貯蔵部20は、このような大きさに限定されるものではない。例えば、貯蔵部は、1回の生成分の大きさとすることができる。
【0070】
図8を参照すると、本明細書では貯蔵部20をハウジング2内に取り付けられた補充可能なホッパとして示したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、貯蔵部20と投入チューブ72は、予め充填されて、密封されたホッパ形状の使い捨てカートリッジ320に置換されることができる。カートリッジ320は、貯蔵部320の第2端部324で、あるいは第2端部324の僅かに上方でPIFのブリッジを形成するように選択されたテーパ角θを有するテーパ状の側壁326を備えるように構成される。また、カートリッジ320の上端322は閉鎖されており、開放された下端部324は投入チューブ372に接続されており、投入チューブ372は、予め接続されているか、あるいは下端部324と一体に形成され、投入チューブ372の下端は剥離式カバー334で密封されている。PIFが全部投入されて、カートリッジ320が空になった場合に、空のカートリッジ320は、ハウジング2から取り外されて、上限まで充填されたカートリッジ320に取り換えられることができ、面倒で不便な貯蔵部20の洗浄および補充が一切回避される。他の実施形態においては、貯蔵部320は、投入チューブ372なしで形成され、投入チューブ72の代わりに、装置1の投入チューブ72に組み付けられるように構成することができる。この場合には、カートリッジの下端324はカバー334で直接密封され得る。
【0071】
さらに図9および10を参照して、ホッパの形状に限定されない別の使い捨てカートリッジ420を装置1に使用することができる。代わりに、図9に示すように、予め充填されて、密封された使い捨てカートリッジ420を、PIFの配送および貯蔵に便利な箱形に形成することができ、これを、変形された貯蔵部422と共に装置1で用いることができる。具体的には、貯蔵部422は、貯蔵部422の第2端部424において、あるいは第2端部424の僅かに上方でPIFのブリッジを形成するように選択されたテーパ角θを有するテーパ状の側壁426を備えるように形成される。また、貯蔵部422の開いた上端縁428は、カートリッジ420の下端に連結されるように形成されており(図10)、これによって、PIFが貯蔵部422に自動的に充填される。
【0072】
投入部組立体70は、円筒形の投入チューブ72を備えるように記載されているが、投入チューブ72は、円筒形であることに限定されない。例えば、投入チューブは、多角形および不規則な形状など、いずれかの閉じた断面形状を有して良い。
【0073】
投入部組立体70は、ピンチバルブ90を備えるように記載されているが、投入部組立体70は、ピンチバルブ90を使用することに限定されるものではなく、他のバルブ機構を用いて、投入チューブ72の第2端部76からのPIFの流れの制御を実現することができる。例えば、代替的な機構によって、投入チューブ72を十分に湾曲させることにより、投入チューブ72内の通路80を閉塞することができる。また、ピンチバルブ90は、投入チューブ72が弾性的に開くことを可能にするように、投入チューブ72から復帰するように記載されているが、他の実施形態では、投入チューブ72は弾性ではなく可撓性のみを有しても良く、ピンチバルブ90が復帰する際には、チューブの通路80を機械的に開放させるように、チューブ自体にピンチバルブ90を固定することができる。
【0074】
撹拌部組立体のホルダ158は、ホルダ158内で容器500を固定するために弾性タブ164を採用しているが、撹拌部組立体はこれに限定されるものではなく、ホルダ158内で容器500を固定するために他の機構を用いることができる。一例では、弾性タブの代わりに、バネ式の剛性タブを用いることができる。別の例では、ホルダ158の代わりに、容器500を固定するように構成されたクリップを用いることができる。
【0075】
シュート120は、ここではハウジング2の開口部15の中に支持されるように記載されたが、この構成に限定されるものではない。例えば、シュート120は、投入チューブ72と一体に形成されても良い。
【0076】
希釈部組立体200は、温水および常温水の別々の出口242、238を備えているが、希釈部組立体200は、この構成に限定されるものではない。例えば、希釈部組立体200は、温水タンク及び常温水タンクの両方から送り込まれる1つの出口を備えても良い。
【0077】
定量供給および回転の手順の例では、最初に容器軸線512に関して時計回りの回転方向に容器500を回転させ、次に、反時計回りの回転方向に容器500を回転させる場合について記載されたが、回転の手順は、これに限定されない。例えば、最初の回転方向が反時計回りで、次に、時計回りの回転方向に回転させても良い。
【0078】
図11を参照して、代替的実施形態による調製乳用自動装置600は、ハウジング602の中に格納された、上記のホッパ組立体18、投入部組立体70、希釈部組立体200、および撹拌部組立体150を備えている。装置600は、さらに、装置600の前面に配置され、かつ容器500が挿入される凹部612を覆う前カバー601を備え、これにより、装置600の中に閉鎖された殺菌室を提供している。また、装置600は、殺菌室内に配置された容器500を殺菌する容器殺菌装置(図示せず)をさらに備えている。例えば、殺菌は、紫外線を所定時間にわたって、容器500に照射することにより実現することができ、あるいは、殺菌室内で殺菌用蒸気を生成させるために十分な温度の熱湯を容器500に供給することにより実現することができる。装置のハウジング602は、さらに、貯蔵部20および常温水タンク202の充填の度合いを視覚的に監視することを可能にする透明部分603、604を備えても良い。
【0079】
本発明の選択された例示的実施形態について、上記で詳しく説明した。本明細書では、本発明を明確にするために必要と考えられる構造についてのみ記載している。その他の通常の構造、さらに、システムの付加的および補助的な構成要素の構造については、当業者に知られており、また理解されているものと仮定している。また、本発明の実施例について上記で説明したが、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載の発明から逸脱することなく、様々な設計の変更を実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内で粉末から還元飲料を調製するための装置であって、
前記粉末を収容するように構成された貯蔵部と、
前記貯蔵部から粉末を受け取って、前記容器内に前記粉末を定量供給するように構成された計量デバイスと、
前記容器内に液体を定量供給するように構成された液体供給部と、
前記容器の閉じた基端部が水平方向に対して特定の角度で配置されるように前記容器を支持し、かつ前記容器の内容物を撹拌するように構成された撹拌デバイスとを備える装置。
【請求項2】
前記撹拌デバイスは、前記基端部に対して垂直な軸線を中心とする前記容器の回転により、前記容器の内容物を撹拌するように構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記撹拌デバイスは、前記容器を正逆両方の回転方向で交互に回転させることにより、前記容器の内容物を撹拌するように構成されている請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記撹拌デバイスは、前記容器の各回転期間同士の間に前記容器の無回転期間を含めることにより、前記容器の内容物を撹拌するように構成されている請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記基端部に対して垂直な軸線の水平方向に対する角度は、45度から80度までの範囲内の角度から選択される請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記撹拌デバイスは、
前記容器を固定するように構成されたホルダと、
前記ホルダを回転させるように構成されたモータとを有する請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記粉末を前記貯蔵部から前記計量デバイス内に定量供給するために、前記貯蔵部を振動させるように構成された振動装置をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記粉末を前記計量デバイスから前記容器内に定量供給するために前記計量デバイスを振動させるように構成された振動装置をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記計量デバイスは、前記貯蔵部の出口に接続された第1端部と、該第1端部に対向する開放された第2端部とを有するチューブを備え、
前記装置は、前記チューブの前記第1端部と前記第2端部との間に配置されたバルブをさらに備え、該バルブは、前記第2端部からの粉末の流れを制御するように構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記チューブは可撓性である請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記チューブは弾性である請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記チューブの断面寸法は、定量供給される粉末の特性に基づいて決定される請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記チューブの長手軸線に対する前記バルブの軸線方向位置は、調節可能であり、定量供給される粉末の量に基づいて決定される請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記バルブは、前記粉末が前記チューブの前記第2端部を通過することを選択的に阻止するように構成されている請求項9に記載の装置。
【請求項15】
前記バルブは、前記粉末に直接接触することなく、前記チューブを通る粉末の通過を制御するように構成されている請求項9に記載の装置。
【請求項16】
前記バルブはピンチバルブである請求項9に記載の装置。
【請求項17】
前記バルブは、前記粉末が前記チューブを通過可能な第1のチューブ側壁位置と、前記粉末が前記チューブを通過することが阻止される第2のチューブ側壁位置との間において、前記チューブの側壁を移動させるように構成されている請求項9に記載の装置。
【請求項18】
前記貯蔵部は、
第1の寸法を有する開放された貯蔵部第1端部と、
前記貯蔵部第1端部に対向し、かつ第2の寸法を有する開放された貯蔵部第2端部と、
前記貯蔵部第1端部および前記貯蔵部第2端部を連結する貯蔵部側壁とを有し、
前記貯蔵部側壁の一部分は、前記貯蔵部第1端部から前記貯蔵部第2端部に収束するように傾斜しており、かつ前記貯蔵部第2端部において、あるいは前記貯蔵部第2端部の上方において、粉体ブリッジを発生させるように構成された角度を有する請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記貯蔵部は、
第1の寸法を有する開放された貯蔵部第1端部と、
前記貯蔵部第1端部に対向し、かつ第2の寸法を有する開放された貯蔵部第2端部と、
前記貯蔵部第1端部および前記貯蔵部第2端部を連結する貯蔵部側壁とを有し、
前記貯蔵部側壁の一部分は、前記貯蔵部第1端部から前記貯蔵部第2端部に収束するように傾斜しており、かつ前記貯蔵部第2端部において、あるいは前記貯蔵部第2端部の上方において、粉体ブリッジを発生させるように構成された角度を有し、
前記計量デバイスは、前記貯蔵部第2端部に接続されたチューブ第1端部と、該チューブ第1端部に対向する開放されたチューブ第2端部とを有するチューブを備え、
当該装置は、前記チューブ第1端部と前記チューブ第2端部との間に配置されたバルブをさらに備え、該バルブは、前記チューブ第2端部からの粉末の流れを制御するように構成されており、
粉末の所定量は、前記バルブの上方の前記計量デバイスの容量と、粉体ブリッジによって形成されるブリッジの下方に存在する粉末量との和に一致する請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記貯蔵部側壁は、前記貯蔵部の長手軸線に対して35度から65度までの範囲内の角度で収束している請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記貯蔵部側壁は、前記貯蔵部の長手軸線に対して約50度の角度で収束している請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記貯蔵部は前記装置から取り外し可能である請求項19に記載の装置。
【請求項23】
前記貯蔵部は補充可能である請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記貯蔵部は、予め充填され、かつ密封された使い捨てカートリッジである請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記液体供給部は、第1の供給管と第2の供給管とを有し、前記第1の供給管および前記第2の供給管は、前記第1の供給管が前記第2の供給管と異なる方向に沿って前記容器内に流体を方向付けるように配置されている請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記液体供給部は、第1の供給管と第2の供給管とを有し、前記第1の供給管および前記第2の供給管は、前記第1の供給管が、前記第2の供給管と異なる温度で液体を送出するように構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記液体供給部は、前記第1の供給管が、還元飲料を低温殺菌するために十分な温度で液体を送出するように構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項28】
前記装置は、前記計量デバイスと前記容器との間に配置されたシュートをさらに備え、
前記シュートは、前記計量デバイスと前記容器との間で粉末の流れの方向が変化するように、前記粉末を前記計量デバイスから前記容器内へ方向付けるように構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項29】
前記計量デバイスからの粉末の流れを検出するように構成されたセンサをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項30】
容器内で粉末から還元飲料を調製するための装置であって、該装置は、
前記粉末を収容するように構成された貯蔵部と、計量デバイスとを備え、
前記貯蔵部は、
第1の寸法を有する開放された第1端部と、
前記第1端部に対向し、かつ第2の寸法を有する開放された第2端部と、
前記第1端部および前記第2端部を連結する側壁とを有し、前記側壁の一部分は、前記第1端部から前記第2端部に収束するように傾斜しており、かつ、前記第2端部において、あるいは前記第2端部の上方において、粉体ブリッジを発生させるように構成された角度を有し、
前記計量デバイスは、前記貯蔵部の前記第2端部から粉末を受け取り、かつ所定量の粉末を前記容器内に定量供給するように構成され、前記粉末の所定量は、前記計量デバイスの容量と、前記粉体ブリッジによって形成されるブリッジの下方に存在する粉末量との和に一致する装置。
【請求項31】
前記容器内に液体を定量供給するように構成された液体供給部をさらに備える請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記液体供給部は、第1の供給管と第2の供給管とを有し、前記第1の供給管および前記第2の供給管は、前記第1の供給管が流体を前記第2の供給管と異なる方向に沿って前記容器内に方向付けられるように配置されている請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記液体供給部は、第1の供給管と第2の供給管とを有し、前記第1の供給管および前記第2の供給管は、前記第1の供給管が、前記第2の供給管と異なる温度で液体を送出するように構成されている請求項31に記載の装置。
【請求項34】
前記液体供給部は、前記第1の供給管が、還元飲料を低温殺菌するために十分な温度で液体を送出するように構成されている請求項31に記載の装置。
【請求項35】
前記容器の内容物を撹拌するように構成された撹拌デバイスをさらに備える請求項30に記載の装置。
【請求項36】
前記容器の閉じた基端部が水平方向に対して特定の角度で配置されるように前記容器を支持し、かつ前記容器の内容物を撹拌するように構成された撹拌デバイスをさらに備える請求項30に記載の装置。
【請求項37】
前記撹拌デバイスは、前記容器の閉じた基端部に対して垂直な軸線を中心とする前記容器の回転により、前記容器の内容物を撹拌するように構成されている請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記撹拌デバイスは、前記容器を正逆両方の回転方向で交互に回転させることにより、前記容器の内容物を撹拌するように構成されている請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記撹拌デバイスは、前記容器の各回転期間同士の間に前記容器の無回転期間を含めることにより、前記容器の内容物を撹拌するように構成されている請求項37に記載の装置。
【請求項40】
前記基端部に対して垂直な軸線の水平方向に対する角度は、45度から80度までの範囲内の角度から選択される請求項37に記載の装置。
【請求項41】
前記装置は、前記容器の内容物を撹拌するように構成された撹拌デバイスをさらに備え、該撹拌デバイスは、
前記容器を固定するように構成されたホルダと、
前記ホルダを回転させるように構成されたモータとを有する請求項30に記載の装置。
【請求項42】
前記粉末を前記貯蔵部から前記計量デバイス内に定量供給するために、前記貯蔵部を振動させるように構成された振動装置をさらに備える請求項30に記載の装置。
【請求項43】
前記粉末を前記計量デバイスから前記容器内に定量供給するために前記計量デバイスを振動させるように構成された振動装置をさらに備える請求項30に記載の装置。
【請求項44】
前記計量デバイスは、前記貯蔵部の出口に接続された第1端部と、該第1端部に対向する開放された第2端部とを有するチューブを備え、
前記装置は、前記チューブの前記第1端部と前記第2端部との間に配置されたバルブをさらに備え、該バルブは、前記第2端部からの粉末の流れを制御するように構成されている請求項30に記載の装置。
【請求項45】
前記チューブは可撓性である請求項44に記載の装置。
【請求項46】
前記チューブは弾性である請求項44に記載の装置。
【請求項47】
前記チューブの断面寸法は、定量供給される粉末の特性に基づいて決定される請求項44に記載の装置。
【請求項48】
前記チューブの長手軸線に対する前記バルブの軸線方向位置は、調節可能であり、定量供給される粉末の量に基づいて決定される請求項44に記載の装置。
【請求項49】
前記バルブは、前記粉末が前記チューブの前記第2端部を通過することを選択的に阻止するように構成されている請求項44に記載の装置。
【請求項50】
前記バルブは、前記粉末に直接接触することなく、前記チューブを通る粉末の通過を制御するように構成されている請求項44に記載の装置。
【請求項51】
前記バルブはピンチバルブである請求項44に記載の装置。
【請求項52】
前記バルブは、前記粉末が前記チューブを通過可能な第1のチューブ側壁位置と、前記粉末が前記チューブを通過することが阻止される第2のチューブ側壁位置との間において、前記チューブの側壁を移動させるように構成されている請求項44に記載の装置。
【請求項53】
前記貯蔵部の側壁は、前記貯蔵部の長手軸線に対して35度から65度までの範囲内の角度で収束している請求項30に記載の装置。
【請求項54】
前記貯蔵部の側壁は、前記貯蔵部の長手軸線に対して約50度の角度で収束している請求項30に記載の装置。
【請求項55】
前記貯蔵部は前記装置から取り外し可能である請求項30に記載の装置。
【請求項56】
前記貯蔵部は補充可能である請求項30に記載の装置。
【請求項57】
前記貯蔵部は、予め充填され、かつ密封された使い捨てカートリッジである請求項30に記載の装置。
【請求項58】
前記装置は、前記計量デバイスと前記容器との間に配置されたシュートをさらに備え、
前記シュートは、前記計量デバイスと前記容器の間で粉末の流れの方向が変化するように、前記粉末を前記計量デバイスから前記容器内へ方向付けるように構成されている請求項30に記載の装置。
【請求項59】
前記計量デバイスからの粉末の流れを検出するように構成されたセンサをさらに備える請求項30に記載の装置。
【請求項60】
容器内で粉末から還元飲料を調製する方法であって、
撹拌デバイスに容器を配置する工程と、
前記撹拌デバイスを用いて前記容器を回転させる工程と、
前記容器を回転させる工程の間に、所定量の前記粉末を計量デバイスから前記容器内に定量供給する工程と、
前記容器を回転させる工程の間に、所望の全希釈量の少なくとも一部の液体を前記容器に送出する工程と、
前記定量供給する工程および前記送出する工程の後に、所定時間にわたって、前記容器を回転させ続ける工程とを備える方法。
【請求項61】
所望の全希釈量の少なくとも一部の液体を前記容器に送出する工程は、前記液体を前記容器の側壁に向けて方向付けるように送出する工程を含む請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記方法は、前記回転させ続ける工程に続いて、十分な液体を前記容器に加える工程をさらに含み、前記送出する工程において送出される液体と、前記十分な液体を加える工程において送出される液体との合計は、前記所望の全希釈量に等しい請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記回転させる工程は、前記容器の基端部を水平方向に対して特定の角度で配向して実施される請求項60に記載の方法。
【請求項64】
前記定量供給する工程と前記送出する工程との少なくとも一部は同時に実施される請求項60に記載の方法。
【請求項65】
前記容器を回転させ続ける工程は、該工程の継続時間の少なくとも一部の間にわたって、回転の方向を逆転させる工程を含む請求項60に記載の方法。
【請求項66】
前記送出する工程および前記回転させ続ける工程は反復される請求項60に記載の方法。
【請求項67】
前記送出する工程および前記回転させ続ける工程は反復され、反復される工程の少なくとも1つは、温度の異なる液体を用いて実施される請求項60に記載の方法。
【請求項68】
前記送出する工程は、還元飲料を低温殺菌するために十分な温度で提供される液体を用いて実施される請求項60に記載の方法。
【請求項69】
液体供給部は、第1の供給管と第2の供給管とを有し、前記第1の供給管および前記第2の供給管は、前記第1の供給管が、前記第2の供給管と異なる方向に沿って、流体を前記容器内に方向付けるように配置されており、
前記供給する工程および前記回転させ続ける工程は反復され、
反復される工程の少なくとも1つは、前記第1の供給管からの液体を用いて実施され、
反復される工程の少なくとも1つは、前記第2の供給管からの液体を用いて実施される請求項60に記載の方法。
【請求項70】
容器内に粉末を定量供給する方法であって、
定量供給装置を設置する工程であって、前記定量供給装置は、前記粉末を収容するように構成された貯蔵部と、計量デバイスとを備え、前記貯蔵部は、第1の寸法を有する開放された第1端部と、該第1端部に対向し、かつ第2の寸法を有する開放された第2端部と、前記第1端部および前記第2端部を連結する側壁とを有し、前記側壁の一部分は、前記第1端部から前記第2端部に収束するように傾斜しており、かつ前記第2端部において、あるいは前記第2端部の上方において粉体ブリッジを発生させるように構成された角度を有し、前記計量デバイスは、前記貯蔵部の前記第2端部から粉末を受け取り、かつ所定量の粉末を前記容器内に定量供給するように構成され、前記粉末の所定量は、前記計量デバイスの容量と、前記粉体ブリッジによって形成されるブリッジの下方に存在する粉末量との和に一致する前記定量供給装置を設置する工程と、
前記貯蔵部に粉末を供給する工程と、
前記容器内に所定量の粉末を定量供給する工程とを備える方法。
【請求項71】
前記計量デバイスは、前記貯蔵部の前記第2端部に接続され、かつ開放されたチューブ第1端部と、該チューブ第1端部に対向する開放されたチューブ第2端部とを有するチューブを備え、
前記定量供給装置は、前記チューブ第1端部と前記チューブ第2端部との間に配置されたバルブをさらに備え、該バルブは、前記チューブ第2端部からの粉末の流れを制御するように構成されており、
前記定量供給する工程は、前記バルブを開放して、前記所定量の粉末が前記チューブ第2端部から前記容器内に移動可能にする工程を含む請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記定量供給する工程は、前記貯蔵部内にブリッジを形成する工程をさらに含む請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記計量デバイスは、少なくとも1つのパルスを前記チューブに付与するように構成されたチューブ用振動装置をさらに備え、
前記定量供給する工程は、前記チューブ用振動装置を駆動する工程をさらに含む請求項71に記載の方法。
【請求項74】
前記チューブ用振動装置を駆動する工程は、前記バルブを開放する工程に続いて実施される請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記定量供給装置は、少なくとも1つのパルスを前記貯蔵部に付与するように構成された貯蔵部用振動装置をさらに備え、
前記貯蔵部用振動装置を駆動する工程をさらに含む請求項71に記載の方法。
【請求項76】
前記貯蔵部用振動装置を駆動する工程は、前記定量供給する工程より先に実施される請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記計量デバイスは、少なくとも1つのパルスを前記チューブに付与するように構成されたチューブ用振動装置をさらに備え、
前記定量供給する工程は、前記チューブ用振動装置を駆動する工程をさらに含む請求項75に記載の方法。
【請求項78】
前記貯蔵部用振動装置を駆動する工程は、前記定量供給する工程より先に実施され、
前記チューブ用振動装置を駆動する工程は、前記バルブを開放する工程に続いて実施される請求項77に記載の方法。
【請求項79】
容器内で粉末から還元飲料を調製する方法であって、
調製装置を設置する工程であって、請求項70に記載の定量供給装置と、前記容器内に液体を定量供給するように構成された液体供給部と、前記容器の内容物を撹拌するように構成された撹拌デバイスとを有する前記調製装置を設置する工程と、
前記調製装置に前記容器を配置する工程と、
前記容器内に所定量の粉末を定量供給する工程と、
所望の全希釈量の一部の液体を前記容器内に送出する工程と、
前記撹拌デバイスを用いて撹拌する工程とを備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−530494(P2012−530494A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516284(P2012−516284)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/038929
【国際公開番号】WO2010/148160
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(511307579)リンキア エクスプレス エルエルシー (1)
【氏名又は名称原語表記】LINCKIA EXPRESS LLC
【Fターム(参考)】