説明

調髪用梳鋏

【課題】 風合いのよい梳き髪のできる梳鋏を提供する。
【解決手段】 梳刃5における各くし歯6の先端部に、鋏片の長さ方向に並ぶ複数の突出歯部8a,8b,8cを設ける。それら各くし歯6の突出刃部8a,8b,8cは、その突出高さを、鋏片の先側に向けて順次低くなるように形成する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、切断刃と梳刃とを開閉自在に枢着した、調髪用の梳鋏に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
理容店等において調髪用に使用されている梳鋏は、一般に、直刃形の刃部を具えた切断刃と、くし歯形の刃部を具えた梳刃とを開閉自在に枢着した構造のものとなっている。
【0003】
この種梳鋏は、切断刃と梳刃に形成された各くし歯の先端刃部に挟まれた毛髪を切断して、毛髪全体を間引くようにカットするものである。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、梳鋏は、一回毎の毛髪切断量を少なくして、切断回数により調整が細かくできることが好ましい。そのためには、くし歯の間隔を大きくすればよいが、それでは梳き切断の間隔が荒くなって、間引き切断の虎刈りとなる、という問題が生じる。
【0005】
本考案は、上記のような梳鋏における問題を解決して、くし歯間隔を変更することなく、一回の切断量が少なく、しかも、梳き切断の間隔が画一的とならず、ファジーな自然風合の髪梳きができるようにした、調髪用の梳鋏を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本考案の構成について、実施例に対応する図面を参照して説明すると、本考案は、直刃形の切断刃4を設けた鋏片1と、多数のくし歯6,6を並列した梳刃5を設けた鋏片2とを、回動自在に枢着3した梳鋏において、各くし歯6,6の先端部に、鋏片2の長手方向に並ぶ複数の突出刃部8a,8b,8cを設けるとともに、それら各くし歯6における突出刃部8a,8b,8cの突出高さを、鋏片2の先側に向けて順次低くなるように形成したことを特徴とするものである。
【0007】
【考案の実施の形態】
以下、本考案の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本考案梳鋏の一実施例を示す全体の正面図、図2は同梳刃の要部拡大正面図である。
【0008】
図において、1,2は上下一対の鋏片で、互いに中間部において枢着部3を中心にして回動自在に結合されている。一方の鋏片1には、枢着部3から先端部までに直刃形の切断刃4が設けられており、また、他方の鋏片2には、枢着部3から先端部までに、多数のくし歯6,6を所要の間隔で並列した梳刃5が設けられている。
【0009】
上記の各くし歯6は、図2に示すように、先端部が歯身7より若干広巾に形成され、その先端部に手指を開いた状態で3本の先端を弧状とした突出刃部8a,8b,8cが設けられ、それらの谷部にも各刃9が設けられている。そして、それら各すき歯6の突出刃部8a,8b,8cは、枢着部3に近いものから遠いものまで突出高さが順次低くなるように形成されている。すなわち、突出刃部8a,8b,8cの突出高さは8a>8b>8cとなっている。なお、突出刃部の数は上記のように3本とは限らず、それ以上の数であってもよい。
【0010】
なお、図中10,11は、各鋏片1,2に設けられた指孔部、12は鋏片2に設けられた指掛部である。
【0011】
上記の梳鋏は、一般の調髪用鋏と同様に、鋏片1,2を回動して切断刃4と梳刃5をすり合せて使用する。その場合、突出刃部8a,8b,8cの間隙にある毛髪a,aは、切断刃4との間に挟まれて切断されるが、突出刃部8a,8b,8c間よりはずれた毛髪a,aは、各突出刃部8a,8b,8cの頂部等の弧面に沿って滑るとともに、突出刃部8a,8b,8c間にある未切断の毛髪a,a上を滑って移動し、各くし歯6,6の間にある毛髪a,aとともに、くし歯6,6の間隙に入り込み切断されないことになる。
【0012】
したがって、毛髪a,aの一回毎の切断量は、各突出刃部8a,8c,8bに入り込んだ少量の毛髪a,aだけが切断され、しかも、毛髪a,aは全体とし て、突出刃8a,8b,8cの曲線や毛髪a,a相互の滑り作用で、毛髪の切断が不均一化することになり、従来のような段つきとならない、自然な風合いのファジーな髪梳きができることになる。
【0013】
【考案の効果】
以上説明したように、本考案によれば、梳刃における各くし歯の先端部に、鋏片の先側に向けて突出長さを順次低くして複数の突出刃部を形成したので、梳き操作毎での毛髪の梳き切断量は、各突出刃部間に入る毛髪のほかは滑りなどによりくし歯間隙に入り込むことになるとともに、滑り作用などによって、毛髪切断の均一化が緩和して、段つきとならず風合いのより髪梳きができることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例を示す鋏全体の正面図である。
【図2】同要部の拡大図である。
【符号の説明】
1,2 鋏片
3 枢着部
4 切断刃
5 梳刃
6 くし歯
7 歯身
8a,8b,8c 突出刃部
9 谷刃

【実用新案登録請求の範囲】
直刃形の切断刃を設けた鋏片と、多数のくし歯を並列した梳刃を設けた鋏片とを、回動自在に枢着した梳鋏において、各くし歯の先端部に、鋏片の長手方向に並ぶ複数の突出刃部を設けるとともに、それら各くし歯における突出刃部の突出高さを、鋏片の先側に向けて順次低くなるように形成したことを特徴とする、調髪用梳鋏。

【図1】
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【図2】
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【登録番号】第3031843号
【登録日】平成8年(1996)9月18日
【発行日】平成8年(1996)12月3日
【考案の名称】調髪用梳鋏
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平8−5756
【出願日】平成8年(1996)5月30日
【出願人】(390001258)株式会社サントク (1)